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東海地域におけるGaNパワーデバイス開発-パワーエレクトロニクスから

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東海地域におけるGaNパワーデバイス開発-パワーエレクトロニクスから
第2回窒化物半導体応用研究会-1
東海地域におけるGaNパワーデバイス開発
-パワーエレクトロニクスからの期待-
名古屋工業大学 松井 信行
1.パワーエレクトロニクスの利点
2.パワーデバイスとパワーエレクトロニクスの発展の歴史
3.パワエレ発展の考え方
4.技術要求とパワーデバイス(スイッチングデバイス)
5.次世代パワーデバイスへの要求
6.知的クラスター創成事業(名古屋工業大学)
平成20年6月27日(金)
第2回窒化物半導体応用研究会-2
1.パワーエレクトロニクスの利点
可変抵抗による電圧制御(抵抗制御)
負荷端子電圧 Va = Vs − I ⋅ R
Va
変換効率 η = ×100[%]
Vs
DCチョッパによる電圧制御(パワエレ)
OFF
負荷端子電圧
vOFF
L = αVs
ON
ON
ONT
デューティー比 α =
1
T
変換効率 100%(理想素子)
第2回窒化物半導体応用研究会-3
1.パワーエレクトロニクスの利点
DCチョッパによる電圧制御(パワエレ)
Va , ia
Vs
ia
T1
t
T
Va , ia
Vs
ia
T1
t
T
スイッチング周波数
f sw =
1
を上げると
T
電流脈動小=トルク脈動小=高品質制御
第2回窒化物半導体応用研究会-4
理想素子≠パワーデバイスの実際
制御品質の向上=スイッチング周波数の高速化
OFF → ON
瞬時スイッチング損失pswon
v
例: IGBT
トレードオフ
C(コレクタ)
ic
CE
ic
vCE
G
(ゲート)
導通損失
E(エミッタ)
スイッチング損失∝fsw
ton
t
+導通損失=パワーデバイス総損失=熱
パワーデバイス自身のトレードオフ
第2回窒化物半導体応用研究会-5
2.パワーデバイスとパワーエレクトロニクスの発展の歴史
サイラトロン(放電管)からサイリスタ(半導体)へ
劇的な
小型化
サイラトロン
実用化1958年 サイリスタ
(別名:ソリッドサイラトロン)
第2回窒化物半導体応用研究会-6
2.パワーデバイスとパワーエレクトロニクスの発展の歴史
パワーデバイスの開発動向
1960
1970
First Wave
(Uncontrollable
Latching
Devices)
Triac
Thyristor
1980
1990
2000
RC
Thyristor
Light Trig. Thyristor
GTO
Second
Wave
SIT
(Uncontrollable Bipolar
Non-Latching Transistor
Devices)
Bipolar Tr. Module
GCT
Highβ
Bip. Tr. Module
Trench MOS
Third Wave
(MOS-Gate
Controlled
Devices &
Power ICs)
Power MOSFET Power MOS.
1991 :第2世代 MOSFET & IGBT
Sub μ m MOS
Module
(5μ m design rule).
IGBT
1993 :第3世代 MOSFET & IGBT
Trench IGBT
(3μ m design rule).
IGBT
1995:第4世代 MOSFET
Module
(1.5μ m design rule).
Sub μ m IGBT
1995:第4世代 IGBT
(1μ m design rule; Trench Version).
CSTBTTM *注
IPM;
1997:第5世代 MOSFET
ASIPM * 注
System
(1μ m design rule).
DIP-IPM;
Integrated
1999:第4世代 IGBT
ASIPM *注
HEV-IPM;
(1μ m design rule; Planar Version).
HVIPM;
注:ASIPM Mitsubishi’s Application Specific Inteligent Power Module
New Devices
Powe r ICs
CSTBT Mitsubishi’s carrier stored trench gate bipolar transistor
(SiC Devices)
出展: 荒木 達,「パワーデバイス最新技術」,パワーエレクトロニクス学会, 第19回専門講習会テキスト,p.26 (2004年)
第2回窒化物半導体応用研究会-7
2.パワーデバイスとパワーエレクトロニクスの発展の歴史
製鉄業界における技術動向
1960
DC Motor
Drives
AC Motor
Drives
(Main)
AC Motor
Drives
(Aux.)
1970
1980
1990
2000
Static Leonard
Thyristor
Thyristor Leonard
Light Trig. Thyristor
GTO
Load Commutated Inverter
IEGT Inverter
GTO Inverter
Cycroconverter
Bipolar Tr. Module
Transistor Inverter GTO Inverter
Current Source
Voltage Source
IGBT Inverter
Thyristor Inverter Thyristor Inverter IGBT
IGBT
Module
速度制御精度改善,速度応答改善,可変速レンジの拡大
出展: 齋藤涼夫・小西博雄・加我 敦,「パワーエレクトロニクス装置における発展形態と今後の課題」, 電
学論A, Vol.124-A, No.8, pp.653-660, (2004年)
第2回窒化物半導体応用研究会-8
2.パワーデバイスとパワーエレクトロニクスの発展の歴史
電鉄業界におけるパワエレの歩み
1960
DC Motor
Drives
1970
1980
1990
2000
Chopper Control (Armature)
Thyristor
Chopper Control (Field)
Light Trig. Thyristor
GTO
AC Motor
Drives
Thyristor
GTO Inverter
Inverter
VVVF Inverter
Bipolar
Transistor
Bipolar Tr. Module
Three level Inverter
IGBT Inverter
IGBT
IGBT
Module
PWM Converter
保守の簡素化,高性能,高信頼性,快適性
出展: 齋藤涼夫・小西博雄・加我 敦,「パワーエレクトロニクス装置における発展形態と今後の課題」, 電
学論A, Vol.124-A, No.8, pp.653-660, (2004年)
第2回窒化物半導体応用研究会-9
2.パワーデバイスとパワーエレクトロニクスの発展の歴史
電力業界におけるパワエレの歩み
project
1960
FC/BTB
HVDC
AC/DC Converter
Type
Capacity
(Self-commutated)
Rating Thyristor
(Self-commutated)
Insulated/Cooling
Gate Trigger
1970
1980
1990
2000
Sakuma
Shinshinano Shinshinano Minami-Fukumitsu
Sakuma PC
Thyristor Test
FC(2)
FC(1)
Asynchronous Tie
Hokkaido-Honshu Hokkaido-Honshu Ku Channel
Thyristor
HVDC(1)(2)
HVDC(3)
HVDC
Thyristor Converter
Mercury-arc
Self-commutated
(External-commutated Type)
Rectifier
Converter
GTO
300MW 125kV
37.5MW 125kV
1400MW 250kV
GCT
300MW 250kV
(50MVA)
IGBT
2.5kV 500A(40φ) 2.5kV 1500A/ 6kV 2400A(100φ) 8kV 3500A(150φ)
4kV 800A(60φ)
IEGT
IGBT
GTO(4.5kV 1.5kA/6kV 6kA)
Oil / Oil
Air / Air
Air / Water
Electromagnetic
Indirect Light
Direct Light
高電圧・大容量化,コンパクト化,高信頼化,高機能・高性能化
出展: 齋藤涼夫・小西博雄・加我 敦,「パワーエレクトロニクス装置における発展形態と今後の課題」, 電
学論A, Vol.124-A, No.8, pp.653-660, (2004年)
第2回窒化物半導体応用研究会-10
パワーエレクトロニクス装置の
応用マップとパワーデバイスのニーズ
MOSFET
1.E+05
装置容量(KVA)
1.E+04
IGBT/IP M
・Active-converter採用 交通用電源 ・小型・低損失化 ・小型・低損失化
(共振方式の検討)
・MOSゲート化
・省エネ・低損失化
・小型化
・系統連携機能の向上
1.E+03
UPS 太陽電池
燃料電池
1.E+02
Thy/GTO/GCT
送配電PE ・小型・低損失化 大形ドライブ
・小型・低損失化 電鉄ドライブ
・小型・低損失化 ・MOSゲート化、IPM化へ
産業ドライブ
HEV・FCVドライブ
・省エネ・低損失・小型化 ・小型化・軽量化・省エネ・低損失化 ・低ノイズ化(EMI対策) ・高圧化・高集積化 ・メンテナンス簡易化 ・Matrix-Conv適用検討
・高圧ダイレクト駆動 1.E+01
家電機器
RF級電源 ・高効率・低損失化
・省エネ・低損失化 (高周波共振制御)
・低騒音化 ・小型化
・低ノイズ化(EMI対策) ・Vector制御適用 1.E+00
1.E‐01
10
100
1000
装置電圧(V)
10000
100000
出展: 荒木 達,「パワーデバイス最新技術」,パワーエレクトロニクス学会, 第19回専門講習会テキスト,p.26 (2004年)
第2回窒化物半導体応用研究会-11
3.パワエレ発展の考え方
パワエレ発展の二つの見方
①シーズから発展・・・新しい機能を持った素子の開発が
パワエレに新しい命を吹き込んできた
②ニーズから発展・・・それぞれの時代が要求するものづくり技術が
新しい素子の開発を生んだ
ものづくりニーズに応える
・ASIC(用途指向形半導体集積回路)
・ASEM(用途指向形モータドライブ)
・ASPD(用途指向形パワーデバイス)???
参考資料:マイウェイ・テクノサービス株式会社発行,「パワーエレクトロニクスダイジェスト(PED)」,2005. Jul. Vol.7
松井 信行,Front Message “パワーエレクトロニクスの流れに想う”
第2回窒化物半導体応用研究会-12
4.技術要求とパワーデバイス(スイッチングデバイス)
サイリスタからIGBTへ(過去)
製品トレンド
要求項目
スイッチングデバイス
特徴
圧延機制御
交流電化
小型・高効率な
電力変換
チョッパ電車
粘着・低M/T比・
省エネ
fsw:100Hz程度
サイリスタ
(小型)静止電源
逆導通サイリスタ fsw:250Hz
回路の小型化
インバータエアコン
交流可変速
省エネ
(オイルショック)
fsw:4kHz
パワートランジスタ
自己消弧形素子 ※1
地下鉄
千代田線
粘着・低M/T比・
省エネ
IGBT
電圧制御素子
※1・・・電圧形・電流形の議論の終焉,Six in One
※2・・・電圧駆動形のeffect,IPM化
fsw:数‐十数
kHz
※2
第2回窒化物半導体応用研究会-13
4.技術要求とパワーデバイス(スイッチングデバイス)
IGBTから次世代素子へ(現在から未来へ)
製品トレンド
HEV, PEV
要求項目
スイッチングデバイス
IGBT
環境問題
燃費向上
マトリックスコンバータ
メンテンナンスレス
高信頼性・
有寿命部品レス
◎従来技術(コンバータ/インバータ)
fsw=数kHz
RB素子
fsw=数‐十数
(逆耐圧性向上) kHz
モータ
平滑コンデンサ(異形バルク部品,有寿命)
特徴
◎マトリックスコンバータ
双方向素子
(RB-IGBT逆並列)
モータ
平滑コンデンサレス直接AC-AC変換
第2回窒化物半導体応用研究会-14
RB-IGBTの一例(トレンチ分離形終端型)
ダイジンク
側面
IGBTの特性そのものは,従来のNPT形IGBTと同等
z 分離領域最小,チップサイズも小さくできる
z プロセスは従来のIGBTと同じ
z 高耐圧化には深いトレンチを形成する必要=量産難
z
第2回窒化物半導体応用研究会-15
RB-IGBTの一例(分離層改良型)
[従来技術]
高温・長時間の熱拡散で
深い分離拡散層を形成
[改良]
ウェハー裏面よりV字溝を形成し,その側壁にイオン注入。
レーザアニールによりp+分離拡散層を形成。
高耐圧化の熱処理時間を短縮
出展:富士電機時報,Vol.80, No.1, p.81 (2007)
第2回窒化物半導体応用研究会-16
5.次世代パワーデバイスへの要求
• 高耐圧化
-1200V耐圧(産業用AC200~400V系のインバータ用途)
• 高スイッチング周波数化
-パワエレ機器の高電力密度化(変換電力/装置容積)
リアクトルなど異形部品の小型化
fsw>100kHz(産総研+首都大学東京の研究G)※1
fsw=200~500kHz(スイス連邦工科大の研究G)※2
• 低損失化& 高動作上限温度化
-高電流密度化 >500A/cm2(HEV, PEV用途)
出展: ※1 H.Ohashi, “Recent Power Devices Trend”, IEEJ, Vol.12, No.3, pp.168-171(2002)
※2 J. W. Kolar, et.al: “PWM Converter Power Density Barriers”, Conf. Proc. of the Fourth Power Conversion
Conference (PCC-Nagoya), pp.P-9-P-29, 2007
第2回窒化物半導体応用研究会-17
パワーエレクトロニクス装置の
応用マップとパワーデバイスのニーズ
MOSFET
1.E+05
装置容量(KVA)
1.E+04
IGBT/IP M
・Active-converter採用 交通用電源 ・小型・低損失化 ・小型・低損失化
(共振方式の検討)
・MOSゲート化
・省エネ・低損失化
・小型化
・系統連携機能の向上
1.E+03
UPS 太陽電池
燃料電池
1.E+02
Thy/GTO/GCT
送配電PE ・小型・低損失化 大形ドライブ
・小型・低損失化 電鉄ドライブ
・小型・低損失化 ・MOSゲート化、IPM化へ
産業ドライブ
HEV・FCVドライブ
・省エネ・低損失・小型化 ・小型化・軽量化・省エネ・低損失化 ・低ノイズ化(EMI対策) ・高圧化・高集積化 ・メンテナンス簡易化 ・Matrix-Conv適用検討
・高圧ダイレクト駆動 1.E+01
家電機器
RF級電源 ・高効率・低損失化
・省エネ・低損失化 (高周波共振制御)
・低騒音化 ・小型化
・低ノイズ化(EMI対策) ・Vector制御適用 1.E+00
1.E‐01
10
100
1000
装置電圧(V)
10000
100000
1200V耐圧で大部分の用途がカバー
出展: 荒木 達,「パワーデバイス最新技術」,パワーエレクトロニクス学会, 第19回専門講習会テキスト,p.26 (2004年)
第2回窒化物半導体応用研究会-18
高出力密度パワーエレクトロニクスのロードマップ
出展: H.Ohashi, “Recent Power Devices Trend”, IEEJ, Vol.12, No.3, pp.168-171(2002)
第2回窒化物半導体応用研究会-19
現状のデバイス冷却技術
◎優れた冷却性能を実現する放熱材料
出展: 廣田幸嗣・三原輝儀・篠原俊朗,「モービル・パワー・エレクトロニクス入門-第3回-パ
ワーモジュールの実装設計」,日経エレクトロニクス,pp.125-133(2007年6月18号)
第2回窒化物半導体応用研究会-20
現状のデバイス冷却技術
◎両面冷却パワーモジュール(LEXUS600h)
ワイヤ・ボンディングの代替技術
チップ裏面をはんだ接合,
表面をCuスペーサを介したヒートスプレッダへの面接触
低損失化・高動作上限温度化が進めば,冷却系が簡素化
出展: 廣田幸嗣・三原輝儀・篠原俊朗,「モービル・パワー・エレクトロニクス入門-第3回-パ
ワーモジュールの実装設計」,日経エレクトロニクス,pp.125-133(2007年6月18号)
第2回窒化物半導体応用研究会-21
高出力密度電力変換を支える周辺技術
◎パワーモジュール内のCompatibilityにかかわる課題
①熱的課題
局所的なチップ温度上昇による熱暴走=瞬時に永久破壊
・3次元構造の熱回路網モデリングによる解析評価
→チップの電力損失に見合ったマージンのある放熱設計
・サーマルダイオードによる温度モニター
第2回窒化物半導体応用研究会-22
高出力密度パワエレを支える周辺技術
◎パワーモジュール内のCompatibilityにかかわる課題
②熱応力的課題
チップの局所的な熱抵抗増加による熱破壊
はんだや半導体チップにせん断歪みや伸縮歪みを生じ
はんだ接合部やチップの脆弱破壊
・低熱膨張係数の材料の選定
→インバー,モリブデン(Mo)など金属両面に張り合わせたクラッド材
Cu-Mo合金,DBCセラミック基板
・ボンディングワイヤの温度サイクルによる疲労破壊寿命予測
・放熱グリースの長期安定性確保(ポンプアウトやドライアウト回避)
第2回窒化物半導体応用研究会-23
高出力密度パワエレを支える周辺技術
◎パワーモジュール内のCompatibilityにかかわる課題
③電気磁気学的課題
ワイヤやバスバーの寄生インダクタンスによる過渡電圧
巻線の対地容量によるコモンモード電流
電線の表皮効果
線間結合によるコモンモード雑音(EMI)
・磁場・回路連成解析による解析設計対策
素子の能力を活かす回路トポロジーと連成設計を含め,ニーズ
に応じて信頼性を保証する総合的ソリューションが必要
第2回窒化物半導体応用研究会-24
知的クラスター創成事業(名古屋工業大学)
GaN次世代パワーデバイスの創出
オン抵抗/耐圧比に優れるGaN
大橋弘道、応用物理第73巻第12号p.1571、2004年
第2回窒化物半導体応用研究会-25
知的クラスター創成事業(名古屋工業大学)
GaN次世代パワーデバイスの創出
大口径Si基板上GaNヘテロエピタキシャル技術の開発
大口径化
GaN/Si
◎
GaN/SiC
△
GaN/サファイア
○
GaN/GaN
△
SiC
△
コスト
◎
△
○
△
△
高出力化 総合評価
○
◎
◎
○
△
△
○
△
◎
○
高耐圧化,高スイッチング周波数化,低損失化&高動作上限温度化
次世代自動車用高出力パワーデバイス、高周波デバイスの開発
名古屋工業大学 江川孝志 教授を中心とするプロジェクトチーム
(1)6インチ用MOCVD装置開発
(2)Si上へテロエピの高品質化、結晶評価技術の確立
(3)プラズマによるダメージフリードライエッチング技術の開発
(4)高効率パワーデバイス・高周波デバイス開発
(5)GaNを用いた低消費電力回路技術の確立
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