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テーマ 9 キャッシュ・フロー計算書

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テーマ 9 キャッシュ・フロー計算書
会計学概論 2010(太田浩司)
Lecture Note 9
1
テーマ 9 キャッシュ・フロー計算書
1.
キャッシュ・フロー計算書(Cash Flow Statement:CFS)
キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の
活動区分別に表示する計算書で、貸借対照表、損益計算書と並んで企業の活動状況を表す
基本財務諸表の一つである。キャッシュ・フローとは、お金の流れを意味し、主に、企業
活動によって、実際に得られた収入から外部への支出を差し引いて、手元に残る資金の流
れのことをいう。我が国では、2000 年 3 月決算期からキャッシュ・フロー計算書の開示が
義務付けられた。
2.
収益・費用とキャッシュ・フロー
「勘定合って銭足らず」
「黒字倒産」という現象は、会計上は儲かっているのに、実際の
支払いに充てるお金(資金)が足りなくなってしまい、それによって倒産してしまう状況
を表している。なぜ、このようなことが起きるのか以下で説明する。
期間損益の計算(期間損益=期間収益-期間費用)には、発生主義の原則、実現主義の
原則、費用収益対応の原則が適用される。そのため、期間収益額と現金収入額、期間費用
額と現金支出額は、必ずしも一致しない。
例えば、商品を販売し、その代金を現金で受け取った場合には、売上収益と同額の現金
収入が得られる。しかし、商品を掛けで販売し、その売掛金は翌期に回収した場合、収益
計上と現金収入の時期にズレが生じる。また、建物を 1,000 万円で購入し、全額を現金で支
払ったとする。減価償却費として、当期の損益計算に含まれるのは、費用収益対応の原則
(費用配分の原則)により、支出した 1,000 万円の一部分だけである。さらに、現金の収入・
支出を伴わない収益・費用項目(例えば、貸倒引当金繰入額・貸倒引当金戻入額)もある。
このような収益・費用と収入・支出とのズレを、簡単な説例で確認してみる。例えば、
期首の手元現金は 50 万円で、1 年間に以下の 2 つの取引だけを行ったと仮定する。
①
商品(50 万円)を仕入れた。
②
上記で仕入れた商品を 80 万円で販売した。
期間収益は売上 80 万円、期間費用は売上原価 50 万円、当期純利益は 30 万円である。こ
れに対して、期末の現金残高は、①と②の取引の代金決済の方法によって、以下のように
変化する。
会計学概論 2010(太田浩司)
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Lecture Note 9
売上代金
②現金受取
仕入代金
①現金支払
②掛け売上(売掛金)
(A)
80 万円
(C)
0 万円
①掛け支払(買掛金) (B)
130 万円
(D)
50 万円
売上代金と仕入代金のどちらも現金で決済した場合、期首手元現金(50 万円)から仕入
代金現金支払額(50 万円)差し引き、売上代金現金受取額(80 万円)を足すと期末手元現
金(80 万円)となり、現金残高は期首から 30 万円増加する。これは、当期純利益額と同額
になる。つまり、儲けと同額だけ現金が増加している。しかし、その他の場合には、現金
の増加額と当期純利益は一致しない。
<それぞれのケースにおける期末手元現金残高>
(A) 50-50+80=80
(B) 50-0+80=130
(C) 50-50+0=0
(D) 50-0+0=50
キャッシュ・フロー計算書は、このような損益計算書だけでは把握できないキャッシュ・
フローに関する情報を提供してくれるのである。
2.
キャッシュ・フロー計算書の資金の範囲
キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金の範囲は、現金および現金同等物であり、
貸借対照表の現金預金とは必ずしも一致しない。従って、キャッシュ・フローとは、現金
及び現金同等物の流入または流出を意味する。
現金とは、手元現金および要求払預金をいう。要求払預金とは、顧客が事前の通知なし
で、または数日の事前通知により、元本を引き出すことができ、かつ期限の定めのない預
金をいう。例えば、当座預金、普通預金、通知預金がこれに当たる。
現金同等物は、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動についてわずかなリスクしか
負わない短期の投資をいう。例えば、取得日から満期日または償還日までの期間が 3 ヶ月
以内の短期投資である定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパーなどが含まれる。
手許現金
Ⅰ
現金
当座預金
要求払現金
普通預金
通知預金
CF 計算書
の資金
Ⅱ
現金同等物
満期日または
償還日までが
3 ヶ月以内の
短期投資
定期預金
譲渡性預金
コマーシャル・ペーパー
会計学概論 2010(太田浩司)
3
Lecture Note 9
キャッシュ・フロー計算書のしくみ
3.
キャッシュ・フロー計算書では、一会計期間のキャッシュ・インフローとキャッシュ・
アウトフローを企業の主要な 3 つの活動、すなわち「営業活動によるキャッシュ・フロー」
、
「投資活動によるキャッシュ・フロー」
、
「財務活動によるキャッシュ・フロー」に区分し
て表示し、差額としての正味キャッシュ・フローを計算する。
キャッシュ・フロー計算書
3.1
Ⅰ
営業活動によるキャッシュ・フロー
500
Ⅱ
投資活動によるキャッシュ・フロー
△200
Ⅲ
財務活動によるキャッシュ・フロー
100
Ⅳ
現金及び現金同等物の増加額
400
Ⅴ
現金及び現金同等物の期首残高
350
Ⅵ
現金及び現金同等物の期末残高
750
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動とは、いわゆる本業のことで、商品の売買、製品の製造・販売、サービスの提
供に関連する諸活動を意味する。この区分には、以下のような項目が記載される。
① 商品および役務の販売による収入
② 商品および役務の購入による支出
③ 従業員および役員に対する報酬の支出
④ 災害による保険金収入
⑤ 法人税等の支払額(法人税等に係わるキャッシュ・フローは営業キャッシュ・フ
ローの区分に記載される。
)
また、投資活動および財務活動以外の活動によるキャッシュ・フローもこの区分に含ま
れる(災害による保険金収入、損害賠償金の支払いなど)
。
営業活動によるキャッシュ・フローは、本業の現金創出能力を示している。この区分の
情報により、営業活動によるキャッシュ・フローで新規投資や営業能力維持のための追加
投資に必要な資金をまかなえるか、外部からの資金調達なしで借入金の返済や配当ができ
るかなどについて知ることができる。
会計学概論 2010(太田浩司)
3.2
Lecture Note 9
4
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動とは、企業の営業能力を維持・拡張するための設備投資、資金運用を目的とし
た金融商品への投資、第三者に対する融資に関連する諸活動を意味する。投資活動による
キャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得および売却、現金同等物に含まれない有
価証券の取得および売却によるキャッシュ・フローが記載され、以下のような項目が含ま
れる。
① 有形固定資産および無形固定資産の取得による支出
② 有形固定資産および無形固定資産の売却による収入
③ 現金同等物を除く有価証券および投資有価証券の取得による支出
④ 現金同等物を除く有価証券および投資有価証券の売却による収入
⑤ 貸付による支出
⑥ 貸付金の回収による収入
投資活動によるキャッシュ・フローの区分の情報により、将来の利益やキャッシュ・フ
ローを生み出すための投資は十分か、資産売却の内容や価額は適切か、などについて知る
ことができる。
3.3
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動とは、企業経営に必要な資金調達(借入れ、社債発行、株式発行)や株主に対
する配当金の分配に関連する諸活動を意味する。財務活動によるキャッシュ・フローの区
分には、資金の調達および返済によるキャッシュ・フローが記載され、以下のような項目
が含まれる。
① 株式の発行による収入
② 自己株式の取得による支出
③ 社債の発行による収入
④ 社債の償還による支出
⑤ 借入れによる収入
⑥ 借入金の返済による支出
⑦ 配当金の支払い(ただし、受取配当金、受取利息および支払利息は、通常、営業
キャッシュ・フローの区分に記載される。
)
財務活動によるキャッシュ・フローの区分の情報により、営業活動と投資活動によって
生じた資金の過不足がどのように調整されたかを知ることができる。
会計学概論 2010(太田浩司)
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Lecture Note 9
これら 3 つのキャッシュ・フローの増減額を集計すれば、一会計期間における現金及び現
金同等物の増減額が示される。これに現金及び現金同等物の期首残高を加算することによ
って、現金及び現金同等物の期末残高が計算される。
4.
キャッシュ・フロー計算書の表示方法
キャッシュ・フロー計算書の作成に際して、営業キャッシュ・フローの表示方法には、
直接法と間接法がある(実務上では殆ど全ての企業が間接法を採用している)
。
直接法による表示
間接法による表示
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
営業収入
原材料または商品の仕入支出
人件費支出
家賃支払の支出
その他の営業支出
×××
△××
△××
△××
△××
小計
利息および配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
××
××
△××
△××
××
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
有価証券の売却による収入
有形固定資産の取得による支出
有形固定資産の売却による収入
投資有価証券の取得による支出
貸付金の回収による収入
そ
の
他
投資活動によるキャッシュ・フロー
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前当期純利益
減価償却費
貸倒引当金の増加額
売上債権の増加額
棚卸資産の減少額
仕入債務の減少額
有価証券売却益
固定資産売却損
小計
利息および配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
以下左に同じ
××
××
××
××
××
××
×××
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借り入れによる収入
長期借入金の返済による支出
配 当 金 の 支 払 額
自己株式の取得による支出
そ
の
他
××
××
××
××
××
財務活動によるキャッシュフロー
×××
Ⅳ
現金及び現金同等物の増加額
××
Ⅴ
現金及び現金同等物の期首残高
×××
Ⅵ
現金及び現金同等物の期末残高
×××
×××
××
××
△××
××
△××
△××
××
××
××
△××
△××
××
会計学概論 2010(太田浩司)
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Lecture Note 9
直接法とは、営業収入、原材料または商品の仕入のための支出など、営業活動によるキ
ャッシュ・フローを主要な取引ごとに総額で表示する方法である。間接法とは、損益計算
書の税引前当期純利益(または税引前当期純損失)に、非資金損益項目、営業活動に係わ
る資産・負債の増減、投資および財務活動によるキャッシュ・フローの区分に含まれる損
益項目を加減して表示する方法である。従って、間接法による営業キャッシュ・フローは、
概ね以下のようになる。
営業キャッシュ・フロー=税引前当期純利益+減価償却費-売上債権増加-棚卸資産
増加+仕入債務増加-固定資産売却益
直接法と間接法のいずれを採用しても、営業活動によるキャッシュ・フローの増減額は
同じである。間接法は、税引前当期純利益の金額を調整して、営業活動によるキャッシュ・
フローの増減額を計算するため、期間損益とキャッシュ・フローとの関係が明らかになる
という長所がある。これに対して、直接法には、営業活動によるキャッシュ・フローを構
成する項目の金額を直接把握することができるという長所がある。
なお投資および財務活動によるキャッシュ・フローの表示方法は両者とも直接法による。
5.
キャッシュ・フロー計算書の作成例
以下の貸借対照表、損益計算書、補足資料にもとづいて、キャッシュ・フロー計算書を
作成する。
(金額:百万円)
貸借対照表
資
産
期首
期末
負債・純資産
450
750 買
現
金
掛 金
500
650 短 期 借 入 金
売
掛 金
400
350 長 期 借 入 金
棚 卸 資 産
450
350 資
有 価 証 券
本 金
1,300 1,300 利 益 剰 余 金
有形固定資産
(600) (700)
減価償却累計額
2,500 2,700
損益計算書
期首
400
200
600
1,000
300
期末
500
250
500
1,000
450
2,500
2,700
売 上 高
売上原価
売上総利益
販売費及び一般管理費
減価償却費
営業利益
営業外費用
有価証券売却損
税引前当期純利益
法人税、住民税及び事業税
当期純利益
3,600
3,190
410
(補足資料)
•
当期中に帳簿価格 100 百万円の有価証券を 90 百万円で売却した。
•
当期中に短期借入金を新たに 50 百万円借り入れ、長期借入金を 100 百万円返済した。これ以外に借
入金の増減はなかった。
100
310
10
300
150
150
会計学概論 2010(太田浩司)
5.1
Lecture Note 9
7
営業活動によるキャッシュ・フローの区分を間接法によって表示する場合
間接法による場合、営業活動によるキャッシュ・フローの区分は、税引前当期純利益 300
百万円から始まる。これに、①キャッシュ・フローを伴わない損益、②投資活動および財
務活動に関連する損益、③営業活動に係る資産および負債の増減額、④投資活動および財
務活動以外の活動による現金及び現金同等物の増減額を加減して、営業活動によるキャッ
シュ・フローの増減額を計算する。
① キャッシュ・フローを伴わない損益
キャッシュ・フローを伴わない損益とは、税引前当期純利益の計算には含まれてい
るが、キャッシュ・フローを伴わない収益・費用項目である。この説例では、減価償
却費がこれに該当する。減価償却費 100 百万円は損益計算にあたって減算されている
が、現金は流出していないので、税引前当期純利益に加算する。
② 投資活動および財務活動に関連する損益
投資活動および財務活動に関連する損益とは、
「投資活動によるキャッシュ・フロー」
の区分と「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に含まれるキャッシュ・フロ
ーに関連して発生した損益項目である。この説例では、有価証券売却損がこれに該当
する。有価証券売却損 10 百万円は損益計算にあたって減算されているが、有価証券の
売却による収入 90 百万円をすべて「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記
載するために、営業活動によるキャッシュ・フローを計算するにあたって、税引前当
期純利益に加算する。通常、
「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分と「財務活
動によるキャッシュ・フロー」の区分における加算項目は、税引前当期純利益から減
算し、反対に減算項目は加算す。
③ 営業活動に係る資産および負債の増減額
営業活動に係る資産および負債の増減額とは、損益計算にはまったく影響を与えて
いないが、その増減(前期末残高-当期末残高)が現金及び現金同等物の残高に影響
を与えている資産・負債項目の増減額である。この説例では、売掛金の増加額、棚卸
資産の減少額、買掛金の増加額がこれに該当する。売掛金の増加額 150 百万円は税引
前当期純利益から減算し、棚卸資産の減少額は 50 百万円と買掛金の増加額 100 百万円
は加算する。通常、資産(売掛金、受取手形、棚卸資産など)の当期増加額は税引前
当期純利益から減算し、反対に当期減少額は加算する。また、負債(買掛金、支払手
形など)の当期増加額は税引前当期純利益に加算し、反対に減少額は減算する。
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Lecture Note 9
④ 投資活動および財務活動以外の活動による現金及び現金同等物の増減額
投資活動および財務活動以外の活動による現金及び現金同等物の増減額に該当する
項目は、この説例では、法人税等の支払額のみである。法人税等の支払額 150 百万円
を税引前当期純利益から減算する。
以上の調整にもとづいてキャッシュ・フロー計算書を作成すると以下のようになる。
5.1
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前当期純利益
減価償却費
有価証券売却損
売上債権の増加額
棚卸資産の減少額
仕入債務の増加額
小計
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
300
100
10
△150
50
100
410
△150
260
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
有価証券の売却による収入
投資活動によるキャッシュ・フロー
90
90
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借り入れによる収入
長期借入金の返済による支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
50
△100
△50
Ⅳ
現金及び現金同等物の増加額
300
Ⅴ
現金及び現金同等物の期首残高
450
Ⅵ
現金及び現金同等物の期末残高
750
営業活動によるキャッシュ・フローの区分を直接法によって表示する場合
直接法によって営業活動によるキャッシュ・フローの区分を表示すると、以下のように
なる。その他の区分は、間接法の場合と同じである。
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
営業収入
商品の仕入支出
小計
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
3,450
△3,040
410
△150
260
ここでの営業収入 3,450 百万円は、売上高 3,600 百万円から売掛金の増加額 150 百万円を
控除したものである。また、商品の仕入支出 3,040 百万円は、売上原価 3,190 百万円から買
掛金の増加額 100 百万円と棚卸資産の減少額 50 百万円を控除したものである。
会計学概論 2010(太田浩司)
Lecture Note 9
9
【問題 1】
次のキャッシュ・フロー計算書に関する記述のうち、正しいものには○を、誤っているも
のには×を記入しなさい。
キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を表示
する。
キャッシュ・フロー計算書は、貸借対照表や損益計算書とは異なり、財務諸表の 1 つ
とは位置づけられていない。
損益計算書に計上される期間収益・期間費用の金額と、実際の現金収支額とは必ずし
も一致しないが、キャッシュ・フロー計算書はその不一致額の原因を明らかにする。
キャッシュ・フローとは、キャッシュ・インフロー、キャッシュ・アウトフロー、そ
の差額としての正味のキャッシュ・フローを意味する。
キャッシュ・フロー計算書が対象とするキャッシュの範囲は、現金及び現金同等物で
ある。
【問題 2】
以下の項目のうち、現金及び現金同等物に該当しない項目を選びなさい。答え
①通知預金 ②手元現金 ③普通預金 ④市場性のある株式 ⑤当座預金
【問題 3】
次のキャッシュ・フロー計算書に記載される項目のうち、
「営業活動によるキャッシュ・フ
ロー」の表示区分に記載されるものには「営」、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の
表示区分に記載されるものには「投」、
「財務活動によるキャッシュ・フロー」の表示区分
に記載きれるものには「財」を記入しなさい。
商品および役務の販売による収入
有形固定資産および無形固定資産の取得による支出
株式の発行による収入
従業員および役員に対する報酬の支出
有価証券(現金同等物を除く)および投資有価証券の売却による収入
配当金の支払
社債の償還および借入金の返済による支出
商品および役務の購入による支出
貸付けによる支出
会計学概論 2010(太田浩司)
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【問題 4】
次のキャッシュ・フロー計算書に関する記述のうち、正しいものには○を、誤っているも
のには×を記入しなさい。
キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金とは、現金および現金同等物をいう。
キャッシュ・フローの増減額は、
「営業活動によるキャッシュ・フロー」
、
「営業外活
動によるキャッシュ・フロー」および「財務活動によるキャッシュ・フロー」の 3
つに区分表示される。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分には、商品等の販売による収入、商
品等の購入による支出等、営業損益計算の対象となった取引が記載される。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分には、有形固定資産等の取得による
支出や売却による収入、資金の貸付および回収、現金同等物に含まれない有価証券
の取得による支出や売却による収入などが記載される。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」の表示は、主要な取引ごとにキャッシュ・
フローを総額表示する方法によらなければならない。
法人税等に係るキャッシュ・フローは、
「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区
分に記載される。
【問題 5】
次の(
)にあてはまる数値を記入し、キャッシュ・フロー計算書を完成させなさい。
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動からの収入
営業活動への支出
営業活動によるキャッシュ・フロー
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動からの収入
投資活動への支出
投資活動によるキャッシュ・フロー
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動からの収入
財務活動への支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
ざいむ
Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額
Ⅴ
現金及び現金同等物の期首残高
Ⅵ
現金及び現金同等物の期末残高
500
△250
(
)
(
)
△350
△200
(
)
△200
100
(
)
(
)
500
会計学概論 2010(太田浩司)
11
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【問題 6】
以下の貸借対照表、損益計算書、補足資料にもとづいて、
(
)内に適切な数値を記入し、
キャッシュ・フロー計算書の一部を完成させなさい。
貸借対照表
資
産
現 金 預 金
売
掛 金
商
品
建
物
土
地
期首
600
3,200
2,800
4,200
4,000
14,800
期末
2,000
4,000
2,400
3,500
4,000
15,900
損益計算書
負債・純資産
買
掛 金
未 払 利 息
資
本 金
資本剰余金
利益剰余金
期首
3,000
200
6,000
4,000
1,600
14,800
期末
2,000
300
6,000
4,000
3,600
15,900
売 上 高
売上原価
減価償却費
その他費用
税引前当期純利益
25,000
20,000
700
2,300
2,000
(補足資料)
•
当期中の税金と配当金および役員賞与の支払いはない。
•
当期中の投資活動によるキャッシュ・フローはない。
•
当期中の財務活動によるキャッシュ・フローはない。
キャッシュ・フロー計算書
税引前当期純利益
2,000
減 価 償 却 費
(
)
商 品 の 減 少
(
)
買掛金の減少
△1,000
未払利息の増加
(
)
【問題 7】
以下の財務データに基づいて、各問に答えなさい。
貸借対照表
資
産
現 金 預 金
売
掛 金
有 価 証 券
棚 卸 資 産
固 定 資 産
前期
120
150
100
90
490
950
当期
180
130
50
120
440
920
損益計算書
負債・純資産
買
掛 金
短期借入金
長期借入金
純
資 産
(キャッシュ・フローに係る資料)
短期借入金の返済の支出
長期借入金の借入れによる収入
減価償却費
有価証券の売却による収入
配当金の支払
前期
160
280
210
300
当期
140
150
300
330
950
920
売 上 高
営業利益
有価証券売却損
税引前当期純利益
当期純利益
130
90
50
20
10
①当期の営業活動によるキャッシュ・フローはいくらになるか。
答え
②当期の投資活動によるキャッシュ・フローはいくらになるか。
答え
③当期の財務活動によるキャッシュ・フローはいくらになるか。
答え
④現金及び現金同等物の期末残高はいくらになるか。
答え
500
100
30
70
40
Fly UP