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降着円盤の基礎 - 東北大学天文学教室
降着円盤 (Accretion Disc) update:May. 04. 2012, presented by Sho Nakamura 概要 連星系中の中性子星や白色矮星など、いわゆる compact objecs 周辺には降着円盤 (Accretion Discs) と呼ばれる回転ガス円 盤が形成されることがある。伴星の表面からガス物質がコンパクト星に落下するときに、ガスが持っている角運動量のため に自由落下ができず、ガス物質の回転運動の遠心力とコンパクト星による重力とのつりあいによって回転ガス円盤が形成さ れるのである。このとき遠心力と重力のつりあい式より、半径 r に存在するガスの公転角速度 rΩ2k GM = 2 =⇒ Ωk ≡ r √ GM r3 (1) を得る。これをケプラー回転角速度 (あるいは角振動数) と呼ぶ。この角速度分布からわかるように、ガスの公転角速度は 中心星からの距離 r に依存している。この円盤は差動回転をしているので、半径方向に隣り合ったガスの塊どうしは互いに こすれあい、そのときに生じる粘性による摩擦応力で円盤の内側から外側に向かって角運動量を輸送することになる。よっ て、回転円盤中のガスは自分の持っている角運動量を外側のガスに渡しながら、中心のコンパクト星に向かって落下してい くのである。また差動回転による摩擦熱の発生により、円盤のガスの回転のエネルギーが熱エネルギーに変換され、それが 輻射となって円盤表面より放出される。 質量保存式 ここで扱う降着円盤は、軸対称かつ幾何学的に十分薄いとする。半径 r におけるガス円盤の面密度を ∫ Σ≡ h ρ dz (2) −h のように定義する。ここで円盤の厚みを 2h とした。 降着円盤を形成しているガスの半径方向の運動速度を vr (t, r), 半径が r, 幅 ∆r のガスリングを考える。このガスリングの質 量を Mring とすると、∆r 1 のとき Mring = 2πr∆rΣ (3) 円盤を形成しているガスの動径方向速度を vr とすると、このガスリング内における単位時間足りの質量変化は、(r から入っ てくるガス質量)-(r + ∆r から出て行くガスの質量) と考えることができる。よって ∂ (2πrΣ(r, t)∆r) = 2πrΣ(r, t)vr (r, t) − 2π(r + ∆r)Σ(r + ∆r, t)vr (r + ∆r, t) ∂t (4) 微分の定義を用いて、偏微分方程式の形にすると r ∂ Σ(r, t) = ∂t 1 [2π {rΣ(r, t)vr (r, t) − (r + ∆r)Σ(r + ∆r, t)vr (r + ∆r, t)}] 2π∆r = − (r + ∆r)Σ(r + ∆r, t)vr (r + ∆r, t) − rΣ(r, t)vr (r, t) ∆r 1 ∆r→0 −→ − ∂ (rΣvr ) ∂r (5) ∂ ∂ ... r Σ = − (rΣvr ) ∂t ∂r (6) 角運動量保存、粘性によるトルク 方位角方向のガスの速度を vϕ とすると、ガスリングの角運動量は Lring = r · 2πr∆rΣvϕ (7) ガスの粘性により、隣接するガスどうしには力がはたらく。応力テンソルを σ̃ij とすと、その rϕ 成分は ( σ̃rϕ = η ∂vϕ ∂vr + ∂xϕ ∂xr ) ( =η ∂vϕ vϕ 1 ∂vr + − r ∂ϕ ∂r r ) = ρνr ∂ vϕ ∂Ω = ρνr ∂r |{z} r ∂r (8) vϕ =rΩ ∂ = 0 とした。 ∂ϕ 応力テンソルの rϕ 成分のみがゼロでないと仮定すると、この粘性によって半径 r のガスリングにはたらくトルクは と書ける。ここで η は粘性係数、ν ≡ η/ρ は動粘性係数である。さらにこの系は軸対称を仮定し、 N = rer × σ̃rϕ eϕ = rσ̃rϕ ez (9) を円周と円盤の厚みで積分したものである。よってガスリングにはたらく全トルク G は ∫ h ∂Ω G(r, t) = 2πr · r σ̃rϕ dz = 2πr ν ∂r |{z} −h 3 (8) ∫ h ∂Ω ρ dz = 2πr3 ν Σ ∂r −h | {z } (10) (2) ガスリングの単位時間あたりの角運動量変化は、質量保存のときと同様に考えて (ガスリングより外側にいるガスからのト ルク)-(ガスリングより内側にいるガスからのトルク)+(単位時間に r から入ってくるガスの角運動量)-(単位時間に r + ∆r から出て行くガスの角運動量) と表される。これを式に書けば ∂ Lring = G(r + ∆r, t) − G(r, t) ∂t | {z } (7) +r{2πrΣ(r, t)vr (r, t)vϕ (r, t)} − (r + ∆r){2π(r + ∆r)Σ(r + ∆, t)vr (r + ∆r, t)vϕ (r + ∆r, t)} ∂ 2 G(r + ∆r) − G(r, t) (r + ∆r)2 Σ(r + ∆r, t)vr (r + ∆r, t)vϕ (r + ∆r, t) − r2 Σ(r, t)vr (r, t)vϕ (r, t) =⇒ (r Σ(r, t)v ) = − ϕ |{z} ∂t 2π∆r ∆r /2π∆r ∆r→0 −→ 1 ∂G ∂ 2 − (r Σvr vϕ ) 2π ∂r ∂r ... (10) =⇒ r (11) ∂ 2 ∂ 2 ∂ (r ΣΩ) + (r Σvr vϕ ) = ∂t ∂r ∂r となる。 2 ( r3 νΣ ∂Ω ∂r ) (12) 円盤物質の拡散方程式の導出 (12) =⇒ ∂ ∂ 3 ∂ −r (r2 ΣΩ) − (r Σvr Ω) = − ∂t ∂r ∂r =⇒ ∂ −r (r2 ΣΩ) − ∂t 系は定常状態にある仮定して、 −r3 Ω =⇒ −r3 Ω { ( νΣr 3 ∂Ω ) ∂r } ( ) ( ) ∂ 2 ∂ ∂ 2 3 ∂Ω (r Ω) rvr Σ − (rvr Σ) r Ω = − νΣr ∂r ∂r ∂r ∂r (13) ∂Ω = 0 とすると ∂t ∂Σ − ∂t ∂Σ − ∂t =⇒ rvr Σ = − { { } { } ( ) ∂ ∂Ω ∂ 2 ∂ (r Ω) rvr Σ − − (rvr Σ) r2 Ω = − νΣr3 ∂r ∂r ∂r ∂r {z } | (6) } ∂ 2 ∂Σ 2 (r Ω) rvr Σ + r r Ω=− ∂r ∂t 1 ∂ ∂ 2 Ω) ∂r (r ∂r { } ( ) ∂ 2 ∂ ∂Ω (r Ω) rvr Σ = − νΣr3 ∂r ∂r ∂r { ( )} ∂Ω νΣr3 − ∂r ∂ ∂Σ ∂ =⇒ (rvr Σ) = −r =− ∂r ∂t ∂r | {z } [ 1 ∂ ∂ 2 Ω) ∂r (r ∂r { ( )}] ∂Ω νΣr − ∂r 3 (14) (6) ∂Σ 1 ∂ ... = ∂t r ∂r [ ∂ 1 ∂ 2 Ω) ∂r (r ∂r { ( )}] ∂Ω νΣr − ∂r 3 (15) さらに ν = uniform, Ω = Ωk (質量 M の中性子星やブラックホール) とすると、 ∂Σ ∂t = = { } { } { } √ √ √ ν 3ν ν ∂ 2 3 GM ∂ 3 GM ∂ 1 ∂ GM ∂ ∂ = √ = √ √ Σr3 Σr2 Σr2 r ∂r 2 r5 r ∂r r3 r ∂r r GM ∂r r3 GM ∂r GM ∂r r r r3 { } √ [ ] [ ( )] 3ν ∂ 1 ∂ GM 3ν ∂ 1 ∂ { 2 } 3ν ∂ 1 ∂Σ 2 2 2 ∂Ωk √ Σr = Σr Ω = r Ω + 2rΣΩ + Σr k k k r ∂r r GM ∂r r3 r ∂r rΩk ∂r r ∂r rΩk ∂r ∂r [ = r3 3ν ∂ 1 r ∂r rΩk ( ∂Σ 2 3 Ωk r Ωk + 2rΣΩk − Σr2 ∂r 2 r )] 3ν ∂ = r ∂r ( ∂Σ 1 r+ Σ ∂r 2 ) (16) √ x = 2 r とおくと、 r= x2 ∂ ∂x ∂ 1 ∂ 2 ∂ , = =√ = 4 ∂r ∂r ∂x x ∂x r ∂x (17) これらより ∂Σ 12ν 2 ∂ = 2 ∂t x x ∂x ( 2 ∂Σ x2 1 + Σ x ∂x 4 2 ) = 12ν ∂ x3 ∂x ( x ∂Σ +Σ ∂x ) = 12ν ∂ 2 ∂ √ 12ν ∂ 2 √ (xΣ) =⇒ ( rΣ) = 2 ( rΣ) 3 2 x ∂x ∂t x ∂x2 よって最終的に求める答え (18) が拡散方程式の形になっていることが確認された。 3 (18) 質量降着率と円盤からのエネルギー放出 系の定常を仮定していので、質量降着質 Ṁ は Ṁ = 2πrΣ(−vr ) = −2π rΣvr | {z } = const (19) (6) より const である。角運動量保存 (12) 式より ( ) ∂Ω 3 r νΣ ∂r ∂ 2 ∂ (r Σvr vϕ ) = ∂r ∂r |{z} =rΩ ∫ =⇒ |{z} 両辺 r 積分 r rin ∂ 3 (r Σvr Ω) dr = ∂r ∫ r rin ∂ ∂r ( ∂Ω r νΣ ∂r ) 3 (20) 3 (左辺) = [r3 Σvr Ω]rrin = r3 Σvr Ω − rin Σ(rin )vr (rin )Ω(rin ) [ ∂Ω (右辺) = r νΣ ∂r ]r r Σvr rin (22) ∂Ω = 0 とすると ∂r Ω = Ωk 、さらに円盤の内側境界で √ ∂Ω ∂Ω 3 = r νΣ − rin νΣ(rin ) ∂r ∂r rin 3 3 3 (21) √ } √ ( ) { √ 3 GM 2 GM GM r3 3 3 3 3 = r νΣ − =⇒ νΣ = − 2 r Σvr − rin Σ(rin )vr (rin ) − rin Σ(rin )vr (rin ) (23) 3 3 3 3 r rin 2r r 3r rin (19) 式より rΣvr = rin Σ(rin )vr (rin ) = −Ṁ /2π = const を代入。 Ṁ νΣ = 2 3r π √ { r − 2 2 rin r3 3 rin } Ṁ = 3π √ } { rin 1− r (24) となる。 粘性による単位時間単位体積あたりの散逸エネルギー発生率 は 3 1 ∑ ∂vi = = σ̃ij σ̃ij σ̃ij ∂xj 2η i,j=1 i,j=1 = |{z} rϕ 成分のみ 6=0 σ̃rϕ ( )2 z}|{ 1 z}|{ 1 ∂Ωk 2 ∂Ωk 2 2 ( σ̃rϕ + σ̃ϕr )= 2ρ2 ν 2 r2 = ρν r 2νρ 2νρ ∂r ∂r (8) 3 ∑ (25) ここでも同様に粘性テンソルの rϕ 成分のみが 0 でないと仮定した。これを円盤の厚みと面積 2πrdr のリングで積分してや れば、円盤全体からの散逸エネルギー発生率の総量が算出されることになる。 ≡¯ ∫ z }| { ∫ r h 2πr rin dz }{ ∫ dr {∫ r = 2π −h } ( )2 )2 ( ∫ r ∫ r ∂Ωk ∂Ωk 9 GM ρν r dr dz dr = 2π νΣr r dr = −2π νΣ r |{z} ∂r ∂r 4 r3 −h rin rin r rin = − = 2Ṁ 3 h (24) ∫ r rin 3 GM Ṁ 2 √ ) √ ) √ ]r ( [ ∫ r( 9 GM 3 1 3 1 2 rin rin rin 1− dr = GM Ṁ − dr = GM Ṁ − + 4 r2 r 2 r2 r5 2 r 3 r3 rin rin √ ( ) 1 2 rin 1 2 1 − + + − r 3 r3 rin 3 rin 4 (26) 簡単のため、円盤は無限遠まで広がっていると考えると r → ∞ として ∫ ∞ 2πr¯ dr = − rin GM Ṁ 2rin (27) この結果は当然のようにも思える。熱エネルギーと重力エネルギーの間にエネルギー等分配が成り立っているとすれば、半 分は輻射として外部に放出、もう半分は重力エネルギーとして中心星へ落ちていくことになる、と考えることができる。 粘性によって散逸エネルギーの半分がガスの片面から温度 T の黒体輻射として放出されると考えると ¯ = σSB T 4 (σSB = Stefan − Boltzmannconst) 2 (28) である。黒体輻射のスペクトルはプランクの輻射則より、その温度 T の黒体からの輻射の単位立体角あたりのエネルギー密 度は B(ν, T ) = 2h ν3 3 c exp(hν/kB T ) − 1 (29) で与えられる。この関数が最大値となる νpeak を求めてみよう。それには B(ν, T ) を ν で偏微分すればよい。 hν hν 3 2 ∂B 2h 3ν (e kB t − 1) − ν e kB T = 3 hν ∂ν c (e kB T − 1)2 h kB T 2h = |{z} c3 hν kB T ( ≡x kB T h )2 3x2 (ex − 1) − x3 ex = 0 =⇒ 3(ex − 1) − xex = 0 (ex − 1)2 (30) この解は Newton 法を用いて数値的に求めることが一般的 (?) であるが、実際には Lambert の特殊関数を用いて ( x=3+W 3 − 3 e ) ∼ 2.82 (31) と求めることもできる (特殊関数の性質に関してはここでは言及しない)。この値をもちいて hνpeak の典型的な値を見積もっ てみる。 ( hνpeak ' |{z} 2.82kB (28) { = |{z} 2.82kB (24) ¯ 2σSB )1/4 Ṁ 6πσSB ここで Schwartzschild radius rg = ( hνpeak = 2.82kB 3Ṁ c2 rg 8πσSB 2 r3 ∫ = 2.82kB h −h ( ( )2 1/4 ( )2 )1/4 k k dz νρ r ∂Ω νΣ r ∂Ω ∂r ∂r = 2.82kB 2σSB 2σSB }1/4 )1/4 ( )1/4 ( ( √ ) r 9 2 3Ṁ GM Ṁ 9 2 1− Ω = 2.82kB Ω = 2.82kB (32) |{z} rin 4 k 6πσSB 4 k 8πσSB r3 rrin 2GM を用いて整理する。 c2 )1/4 ( = 2.82kB 3Ṁ c2 8πσSB 2rg2 )1/4 ( r )3/4 g r さらに solar massM = 1.989 × 1033 g を用いて 5 ( = 2.82kB 3Ṁ c2 c4 8πσSB 2 4G2 M 2 )1/4 ( r )3/4 g r (33) ( hνpeak = 2.82kB ( = 2.82kB ( ' 6 3Ṁ c2 c4 2 8πσSB 2 4G2 M )1/4 ( 3c6 10−9 2 64πσSB G M 1year Ṁ 10−9 M /1year )1/4 ( M M )1/4 ( M M )−1/2 ( rg )3/4 r Ṁ 10−9 M /1year )−1/2 ( )1/4 ( M M )−1/2 ( rg )3/4 (keV) r rg )3/4 r (34) 程度となる (途中の計算はかなり大雑把に行った、正確に電卓をはじくと係数は 7 となる)。 (i). 中心星が白色矮星 (W.D.) で、rg /r ∼ 10−4 , Ṁ = (10−9 M /1yr), M = M のとき hνpeak ' 7 × 10−3 (keV) = 7 (eV) (35) (ii). 中心星が中性子星 (N.S.) で、rg /r ∼ 10−1 , Ṁ = (10−9 M /1yr), M = M のとき hνpeak ' 7 × 10−3/4 (keV) = 1.24 (keV) (36) が降着円盤からの輻射のピークのエネルギーとなる。 簡単な場合の解析解 (18) において √ rΣ = T (t)S(x) のように変数分離を行うと S ∂T 12ν ∂ 2 S 1 ∂T 1 12ν ∂ 2 S =T 2 =⇒ = 2 ∂t x ∂x T ∂t S x2 ∂x2 (37) 左辺は t のみの関数、右辺は x のみの関数なので 1 ∂T 1 12ν ∂ 2 S = = const = −λ2 T ∂t S x2 ∂x2 (38) 2 1 ∂T = −λ2 =⇒ T (t) = T0 (λ)e−λ t T ∂t (39) ∂2S λ2 2 + x S=0 ∂x2 |{z} 12ν (40) と書くことができる。 同様に S(x) についても式変形を行う。 ≡α 6 この解はベッセル関数を用いて表現することができる。少し本題からは脱線するが、それを証明しよう。S(x) = √ xZ(x) と おくと、 2 ∂S 1 ∂Z ∂ 2 S 1 −3/2 1 −1/2 ∂Z 1 −1/2 ∂Z 1/2 ∂ Z = − = x−1/2 Z + x1/2 , x Z + x + x + x ∂x 2 ∂x ∂x2 4 2 ∂x 2 ∂x ∂x2 ) ( ∂2Z ∂Z 1 −3/2 ∂2Z 1 ∂Z 1 1 . 1/2 −1/2 5/2 2 ..x +x − x Z + αx Z = 0 =⇒ + + − 2 + αx Z = 0 ∂x2 ∂x 4 ∂x2 x ∂x 4x (41) (42) さらに ξ = x2 と置換すると 2 ∂ξ ∂ ∂ ∂2 ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ 2 ∂ = = 2x , = 2 + 2x = 2 + 4 x |{z} ∂ξ 2 ∂x ∂x ∂ξ ∂ξ ∂x2 ∂ξ ∂x ∂ξ ∂ξ (43) ξ より 4ξ 最後に ζ = ( ) ( ) ∂2Z ∂Z 1 1 1 ∂Z ∂2Z 1 ∂Z + 2 + αξ − + α − + 2 Z = 0 =⇒ + Z=0 ∂ξ 2 ∂ξ ∂ξ 4ξ ∂ξ 2 ξ ∂ξ 4 16ξ 2 (44) √ αξ/2 と置換して整理を行う。 4 ∂2Z 4 1 ∂Z + + α ∂ζ 2 α ζ ∂ζ ( α α/4 − 4 16ζ ) ( ) ∂2Z 1 ∂Z (1/4)2 Z = 0 =⇒ + + 1− Z=0 ∂ζ 2 ζ ∂ζ ζ (45) これこそ Bessel の微分方程式である。この解は √ √ Z(x) = J1/4 (ζ) = J1/4 ( αξ/2) = J1/4 ( αx2 /2) (46) 以上より求めたかった (40) 式の S(x) は √ √ √ S(x) = A(λ) xJ1/4 ( αx2 /2) |{z} = A(λ) 2r1/4 J1/4 √ x=2 r (√ λ2 r 3ν ) = √ 2A(λ)r1/4 J1/4 (f λr) (47) √ となる。ここで f ≡ 1/ 3ν とした。 λ は t, x に依存しない定数なので、(18) 式の解は、実際には様々な λ の重ね合わせとして表現されるはずである。よって最 √ 終的に求めたい rΣ(r, t) は √ rΣ(r, t) = ∫ ∞ T0 (λ)e−λ 2 t √ √ ∫ 2A(λ)r1/4 J1/4 (f λr)dλ = 2 0 0 √ ∫ ... Σ(r, t) = 2 ∞ C(λ)e−λ t r−1/4 J1/4 (f λr)dλ 2 ∞ T0 (λ)A(λ) e−λ t r1/4 J1/4 (f λr)dλ | {z } 2 ≡C(λ) (48) 0 より簡単にするため、初期条件として Σ(λ, t = 0) = m δ(r − r0 ) 2πr0 7 (49) を考える。これは半径 r = r0 に質量 m がたまっている、とした場合である。 Bessel 関数の展開定理 ∫ ∫ ∞ g(r) = g(r)Jν (αr)r dr 0 ∫ ∞ 0 ∞ ḡ(α)Jν (αr)dr, ḡ(α) = α (50) 0 1 Jν (αr)Jν (ᾱr)r dr = δ(α − ᾱ), α ∫ ∞ Jν (αr̄)Jν (αr)α dα = 0 1 δ(r − r̄) r (51) を用いて、この初期条件の場合の解析解を導出しよう。 ∫ ∫ ∞ δ(r − r0 ) = ∞ D(λ)Jν (λr)dλ = 0 D(λ̄)Jν (λ̄r)dλ̄ (52) 0 とする。両辺に rJ(λr) をかけ、それを r で積分する。 ∫ ∞ rδ(r − r0 )Jν (λr) = rD(λ̄)Jν (λ̄r)Jν (λr)dλ̄ 0 ∫ =⇒ r0 J(λr0 ) = ∫|{z} ∞ 0 (∫ ∞ ∞ D(λ̄) | 0 dr 0 ) ∫ ∞ 1 D(λ) D(λ̄) δ(λ̄ − λ)dλ̄ = rJν (λ̄r)Jν (λr)dr dλ̄ = λ λ̄ 0 {z } (53) (51) ... D(λ) = λr0 Jν (λr0 ) (54) (48) 式より t = 0 として Σ(x, t = 0) |{z} = √ ∫ 2 0 (48) ∫ =⇒ |{z} 5/4 × r√ 2 =⇒ ∫|{z} ∞ 0 ∞ ∞ 0 C(λ̄)r−1/4 J1/4 (f λ̄r)dλ̄ |{z} = (49) m δ(r − r0 ) 2πr0 m C(λ̄)rJ1/4 (f λ̄r)J1/4 (f λr)dλ̄ = √ r5/4 J1/4 (f λr)δ(r − r0 ) 2 2πr0 J1/4 (f rλ) ∫ (∫ ∞ C(λ̄) | 0 dr 0 ∞ ) m rJ1/4 (f λ̄r)J1/4 (f λr)dr dλ̄ = √ 2 2πr0 {z } ∫ ∞ r5/4 J1/4 (f λr)δ(r − r0 )dr 0 (51) ∫ ∞ =⇒ 0 ∫ 1 C(λ̄) δ(f λ̄ − f λ)dλ̄ = f λ̄ 0 ∞ 1 C(λ) m C(λ̄) 2 δ(λ̄ − λ)dλ̄ = 2 = √ f λ f λ̄ 2 2πr0 m ... C(λ) = √ f 2 λr01/4 J1/4 (f λr0 ) 2 2π ∫ ∞ r5/4 J1/4 (f λr)δ(r − r0 )dr 0 (55) となる。これを (48) 式に代入。 Σ(r, t) = ( 2 ( 2 2 ) ) ∫ f rr0 mf 2 ( r0 )1/4 ∞ −λ2 /t mf 2 ( r0 )1/4 1 f r + f 2 r02 e λJ1/4 (f rλ)J1/4 (f r0 λ)dλ = exp − I1/4 2π r 2π r 2t 4t 2t |0 {z } 積分公式 ( 2 ( 2 2 ) ) f rr0 mf ( r0 )1/4 1 f r + f 2 r02 exp − I1/4 2π r 2t 4t 2t 2 = 8 (56) diffusion time-scale τdiff ≡ r02 /(12ν) = r02 f 2 /4 をもちいて時間を規格化したもの τ = t/τdiff 、そして規格化した長さ R = r/r0 を用いて Σ(r, t) を書き換えると ( ) ( ) m R−1/4 R2 + 1 2R Σ= 2 exp − I1/4 πr0 τ τ τ (57) となる。2πr02 Σ/m を図示すると fig1 のようになる。 πr02Σ/m τ=0.075 $ !"# τ=0.6 R ! !"# $ $"# fig 1: (57) 式の時間発展図。 Bibliography [1] 東北大学理学部天文学コース 天体物理学実習 II (担当教官:李准教授) 演習プリント [2] 中山 恒義, ”物理数学 (II)”, 裳華房フィジックスライブラリー 9 %