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平成26年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業

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平成26年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業
平成26年度
国際エネルギー使用合理化等対策事業
省エネルギー人材育成事業
成
果
報
告
平成27年3月
書
この報告書は、経済産業省
化等対策事業
資源エネルギー庁「平成 26 年度国際エネルギー使用合理
省エネルギー人材育成事業」により委託され実施した報告書である。
(2015.3.31)
概
要
1.事業の目的と基本方針
アジア地域を中心とした新興国や中東を始めとする資源国等では、引き続き大幅なエネル
ギー需要の伸びが見込まれている。こうした国々における省エネルギー対策の促進は、気候
変動対策上重要である事に加えて、我が国のエネルギー安全保障確保にも資する。
一方で、こうした国々では省エネルギー対策の促進に係る制度・執行体制が十分整ってい
ないことが多く、導入促進に向けた課題となっている。
このため、こうした国々に対して、我が国の優れた技術を有する企業との交流・意見交換
や我が国の省エネルギー政策・制度の紹介を通じて、相手国人材の省エネルギー政策・制度
の整備や執行に関する能力の育成を図る。また、日本の政策・制度・技術をアピールするこ
とで、各国の制度や政策を日本仕様に誘導し、我が国企業が当該国にビジネス参入し易いよ
うな環境作りを目指した。
上記を実施するため、一般財団法人省エネルギーセンター(以下、ECCJ と表記)は、政
府の指導のもと、所定の仕様に基づき、我が国のシーズ、相手国のニーズを踏まえた適切な
計画を立案しつつ、以下の事業を効果的、効率的に実施した。
①専門家派遣
②受入研修
③フォローアップの実施、国内及び各国省エネ関係者とのネットワークの形成・維持
実施にあたってはⅠ章に述べる基本方針に基づき、相手国の状況、ニーズ等をきめ細かく
分析し、下記に示す項目について多角的な評価を行った上で、派遣、受け入れの具体的内容
を国別に整理して作成した。
A.二国間・多国間の政府間交渉における合意内容
B.省エネ政策・法制度等の導入進捗度
C.省エネを特に配慮すべき産業分野、製品・技術分野
D.省エネビジネスに係る市場環境
E.これまでの省エネ協力の経緯及びその効果
上記評価要素の中で特に B については、以下のような「段階」を評価し、協力の態様につ
いて目安を整理し計画を立てた。国別評価と協力の態様についての詳細はⅠ-3を参照願う。
(段階-1:省エネに係る基本的な政策、法規を立案中)
(段階-2:省エネに係る基本的な政策、法規は導入済み、その運用を模索中)
(段階-3:運用を含め省エネ政策・法制度が概ね確立)
1
2.専門家派遣、受け入れ研修の実施計画と実施結果
基本方針に則り実施計画を立てて実施した。METIの指示のもと省エネルギー推進が気候変
動防止上も我が国のエネルギー安全保障上も重要な国や地域、即ち、ASEANを中核とするア
ジア諸国、インド、中国および中東や中南米を含む資源外交重点国に対し計画し実施した。
人材育成の為の具体的な活動を計画・実行するに当たり、先に述べた基本方針の内、特に専
門家派遣による現地の研修・指導や日本に研修生を招聘し実施する受入研修を効果的に連携
させる事、また、アジア省エネルギー協力センターの有する情報発信・収集機能と国内外の
関係機関とのネットワークを活用し、各国のニーズを把握し、現地活動やその活動成果のフ
ォローアップを有効に実施した。
本年度は、派遣人数及び受け入れ研修生数でASEAN諸国に対する多国間の協力、インドネ
シアに対する2国間協力において計画を大幅に超える実績と成果を上げることができ、中国に
対する専門家派遣においては、年末からの日中政府間の関係改善がはかられ協力事業が開始
され、専門家派遣において計画以上の実績を上げることができた。又、サウジアラビアを中
心とした中東地域やブラジルについては、ほぼ昨年同様の協力事業を実施できた。更に、新
しい国としてトルコに対する受け入れ研修を実施することができた。
一方、人材育成のニーズとシーズの調整不良等のため、インドにおいては大幅な未達成と
なり、加えて従来は事業の主要対象国であったマレーシア及びタイに対しても専門家派遣及
び受け入れ研修による協力事業が実施できなかった。尤も、インドでは新たにヒートポンプ
技術に関するワークショップを開催したことは成果と言える。
事業の内容としては、ASEAN(多国間協力)やインドネシアへの協力事業では省エネ法制
度構築・エネルギー管理中心の人材育成から、省エネプロジェクト形成を目指した将来の省
エネビジネス展開に資する人材育成を実施し、その効果を上げつつある。
更 に 2014 年 9 月 23 日 に 国 連 の 「 国 連 気 候 サ ミ ッ ト 」 に 合 わ せ て 開 催 さ れ た SE4ALL
(Sustainable Energy for All)会合で、日本政府の推薦で、ECCJがSE4ALLにおける「エ
ネルギー効率を促進する国際的なハブ」とする提案を行い、LOIを提出し、本活動に貢献す
ることとなった。
下記表に示すように、専門家派遣事業の派遣人数はほぼ計画通り実施でき、一方、受け入
れ研修の研修回数及び研修生の数としては、結果として、当初の計画より少なかった。しか
し、事業内容及びその成果は当初の目的を十分達成できたと結論できる。
国毎の実施計画とそれに基づく実施結果の要約について-は第Ⅱ章に、また、更に詳細な実
施結果の内容と成果は出張報告及び研修報告をベースに第Ⅳ章にて報告する。
2
項
目
専門家派遣事業
派遣専門家数(人回)
受入研修事業
受入研修生数(人)
コース数(コース)
実
績
当初の計画
71
74
140
10
175
14
3.フォローアップ、情報収集・発信、国内外省エネ関係者とのネットワークの構築
フォローアップは、アジア省エネルギー協力センターのネットワークを含めECCJが有す
る国内及び各国機関とのネットワークを活用して各対象国や対象地域のカウンターパート
(CP)と共同で行い、現在も継続している。基本的には、日常の相互の交信に加えて、専門
家派遣と受入研修を連携させて実施しているので、実施を通じて体系だったフォローアップ
ができた。更に、ASEAN省エネ協力事業のAJEEPスキーム2事業では国内の民間企業団体
やJASE-Wと連携し、彼らが本事業の成果のフォローアップを生かして実施するビジネスマ
ッチングを目的としたセミナーに協力しているが、これもフォローアップの1つである。
フォローアップの事項は以下の点を中心に実施し、結果を分析し必要に応じてCPと協議
して改善のためのアクションを取り、あるいは、将来の活動の検討にフィードバックさせた。
(1) 現地側で実施すべき活動が、計画に従い実施されているかの確認。
(2) 実施した活動の成果が定着し普及されているかの確認と、効果の評価
(3) 問題点がある場合は、これらの明確化と対応策の実施現状
(4) 活動実施の結果生じる、あるいは新たに見出されるニーズを把握
国内の関係者とのネットワークについては資源エネルギー庁の下で国際事業を実施してい
る国内関係機関である独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、一般財団法人日
本エネルギー経済研究所(IPEEC関連事業への協力)とも事業での連携を行い必要な情報交
換や意見交換を行った。更に、本事業との関係で、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)、
独立行政法人国際協力機構(JICA)などの機関とも情報交換や事業連携を行っている。具体
的には、JICAからECCJはベトナムの省エネ研修センター設立プロジェクトを受注しており、
このプロジェクトを通したより緊密な情報交換ができている。また、世界省エネルギー等ビ
ジネス推進協議会とその会員企業の一部、更に日本鉄鋼連盟、日本工業炉協会、建築省エネ
ルギー環境機構等の民間団体とは関係事業に関して情報の提供や交換を行ったりするととも
に、専門家派遣、受入研修等に参加してもらっている。
これらのネットワークを活用して引き続き継続的な成果のフォローを行っている。
さらに、本事業実施においてこれらのネットワークを活用することで、既存ネットワークが
一層強固かつ広がりをもったものとなり、今後の活動において更なる効用を期待できる。
詳細は第Ⅲ章で述べる。
3
4.実施結果に基づく政策制度構築や技術導入とその人材ニーズ、これらに基づく事業企画
案
今年度実施した活動を通じ、基本的には各国別・各地域別に設定した人材育成目標が適
切である事が確認され、これらの目標に沿った人材を育成することができた。
これらの人材の貢献によって協力を実施した国や地域においては、着実に政策や法制度
の確立等が進みつつある。この進捗により、その法制度の円滑な実施や省エネ技術導入によ
る省エネの推進が行われ、これに必要な人材のニーズもより具体化して来た国がいくつかあ
る。これらの国に対しては、このニーズを考慮した将来の事業企画も具体化できよう。
各国の省エネ人材育成に対するニーズとそれに基づく企画案については第Ⅴ章に詳しく
述べるが、基本方針にも述べているように、各国の省エネルギーに関する政策や法制度の確
立状況に応じた取組みが重要である。
まずは、政策や法制度の枠組みを適切に構築する事が重要で優先されるべきであろう。
なぜならば、この適切な枠組みが省エネ法制度を持続的に実施し、発展させていくために必
須である。そしてこれらの持続性のある政策や法制度の中で民間での省エネがビジネスベー
スで展開され推進され、更なる効果を得ることが出来るからである。従い、省エネに関する
政策や法制度の合理的で効果的な包括的枠組みを構築する人材を制度構築の進展に合わせ
て、必要な資質を高めていくよう育成する必要がある。
次にビジネスベースでの省エネ推進に関しては、より有効な省エネ技術や設備の導入が
望まれるが、特に、日本で既に有効性が検証された省エネ技術や省エネ製品を導入し普及す
る事は相手国の省エネ推進に大いに貢献できる。しかし、その導入には投資資金の問題がい
つもネックになっている。したがって、民間企業においては省エネ設備やシステムの有効性
に関する知識だけでなく、金融面の知識を有し、適切な投資計画の立案を伴う省エネプロジ
ェクトを提案する能力を有する人材が必要である。同時に、これらの人材には、資金面での
制約の中で、機能的なエネルギー管理体系を構築し、現実的な省エネ対策を具体化して実施
しつつプロジェクトを形成していくことが求められる。
更に、市場環境を整備するためにも政策や法制度が適切に機能するよう、より具体的な
規則や指針等の追加や既存制度の改善も必要になる。(例えば、機器類の効率基準や金融支
援策の策定など)そのため、政府側にも、省エネ技術導入を推進する、技術面と政策面に精
通した人材の育成が重要になる。
最後に、この事業を円滑に実施するために、多大な御指導と助言を頂いた経済産業省や国
内関係機関の関係者、特に資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部政策課・国際
室の皆様方、更に、実施において支援・調整に骨を折って頂いた対象国・対象地域の政府お
よび関係機関の関係者の方々に、この紙面を借りて深く感謝申し上げます。
4
5
目
次
概要
1
Ⅰ.事業実施内容の総括
Ⅰ-1
Ⅰ-1.事業の目的
Ⅰ-1
Ⅰ-2.事業基本方針
Ⅰ-1
Ⅰ-3.国別事業企画
Ⅰ-2
Ⅰ-4.実施計画の立案
Ⅰ-4
Ⅰ-5.実施結果
Ⅰ-5
Ⅱ.国別の事業実施計画と実施結果
Ⅱ-1
Ⅱ-1.ASEAN 地域の多国間活動
Ⅱ-1
Ⅱ-2.インドネシア
Ⅱ-13
Ⅱ-3.ベトナム
Ⅱ-21
Ⅱ-4.インド
Ⅱ-25
Ⅱ-5.中国
Ⅱ-30
Ⅱ-6.サウジアラビア
Ⅱ-35
Ⅱ-7.中東資源外交重点国
Ⅱ-39
Ⅱ-8.トルコ
Ⅱ-43
Ⅱ-9.ブラジル
Ⅱ-47
Ⅱ-10.その他二国間活動
Ⅱ-52
Ⅱ-11.国際連携による多国間活動
Ⅱ-62
Ⅱ-12.SEA4ALL
Ⅱ-63
Ⅲ.フォローアップ、情報収集・発信、
国内外省エネ関係者とのネットワーク構築
Ⅲ-1
Ⅲ-1.フォローアップの実施 .............................................................................. Ⅲ-1
Ⅲ-2.国内外の省エネルギー情報の収集、分析、発信の実施 ............................ Ⅲ-1
Ⅲ-2-1.各国の省エネルギー情報や日本の制度・技術等の収集,分析
Ⅲ-2
Ⅲ-2-2.アジア省エネルギー協力センターを活用した情報収集と発信
Ⅲ-3
Ⅲ-3.国内外省エネルギー関係者とのネットワークの構築と維持
Ⅲ-10
Ⅳ.事業の実施結果と成果(詳細)
Ⅳ-1
Ⅳ-1.ASEAN 地域の多国間活動
Ⅳ-1
Ⅳ-1-1.専門家派遣
Ⅳ-1
Ⅳ-1-2.受入研修
Ⅳ-58
Ⅳ-2.インドネシア
Ⅳ-74
Ⅳ-2-1.専門家派遣
Ⅳ-74
Ⅳ-2-2.受入研修
Ⅳ-116
Ⅳ-3.ベトナム
Ⅳ-129
Ⅳ-3-1.専門家派遣
Ⅳ-129
Ⅳ-3-2.受入研修
Ⅳ-130
Ⅳ-4.インド
Ⅳ-134
Ⅳ-4-1.専門家派遣
Ⅳ-134
Ⅳ-4-2.受入研修
Ⅳ-148
Ⅳ-5.中国
Ⅳ-5-1.専門家派遣
Ⅳ-6.サウジアラビア
Ⅳ-154
Ⅳ-154
Ⅳ-177
Ⅳ-6-1.専門家派遣
Ⅳ-177
Ⅳ-6-2.受入研修
Ⅳ-186
Ⅳ-7.中東資源外交重点国
Ⅳ-7-1.受入研修
Ⅳ-8.トルコ
Ⅳ-8-1.受入研修
Ⅳ-9.ブラジル
Ⅳ-187
Ⅳ-187
Ⅳ-193
Ⅳ-193
Ⅳ-199
Ⅳ-9-1.専門家派遣
Ⅳ-199
Ⅳ-9-2.受入研修
Ⅳ-224
Ⅳ-10.SEA4ALL
Ⅳ-10-1.専門家派遣
Ⅳ-231
Ⅳ-203
Ⅴ.実施結果に基づく政策制度構築や技術導入とその人材育成のニーズ、
これらに基づく事業企画案
Ⅴ-1.多国間協力:各地域におけるニーズと事業企画案
V-1
V-1
Ⅴ-1-1.ASEAN 地域
V-1
Ⅴ-1-1-1.省エネ技術・設備導入のプロジェクト形成(スキーム2)
V-2
Ⅴ-1-1-2.省エネ政策・制度状況の国間格差縮小(スキーム3)
V-3
Ⅴ-2.二国間協力:各国におけるニーズと事業企画案
V-6
Ⅴ-2-1.インドネシア
V-7
Ⅴ-2-2.ベトナム
V-9
Ⅴ-2-3.インド
V-10
Ⅴ-2-4.中国
V-12
Ⅴ-2-5.サウジアラビア
V-14
Ⅴ-2-6.中東資源外交重点国
V-15
Ⅴ-2-7.トルコ
V-16
Ⅴ-2-8.ブラジル
V-17
Ⅴ-2-9.その他二国間活動
V-18
Ⅴ-2-10.国際連携による多国間活動(IPEEC 等の下でのプログラム参加地域)等
V-16
Ⅵ.結び
Ⅵ-1
添付資料
東アジア 16 ヶ国のエネルギー関連情報
添付資料
英語表記略語集
Ⅰ.事業実施内容の総括
Ⅰ-1.事業の目的
アジア地域を中心とした開発途上国や中東を始めとする資源国等では、引き続き大幅なエネ
ルギー需要の伸びが見込まれている。こうした国々における省エネルギー対策の促進は、気候変
動対策上重要であることに加えて、我が国のエネルギー安全保障確保にも資する。
一方で、こうした国々では省エネルギー対策の促進に係る制度・執行体制が十分整っていな
いことが多く、 導入促進に向けた課題となっている。
このため、こうした国々に対して、我が国の優れた技術を有する企業との交流・意見交換や
我が国の 省エネルギー政策・制度の紹介を通じて、相手国人材の省エネルギー政策・制度の整
備や執行に関する能力育成を図る。
また、日本の政策・制度・技術をアピールすることで、各国の制度や政策を日本仕様に誘導
し、我が国企業が当該国にビジネス参入しやすいような環境づくりを目指す。
Ⅰ-2.事業基本方針
事業の目的を達成するため、一般財団法人省エネルギーセンター(以下、ECCJ と表記)は、
政府の指導のもと所定の仕様に基づき、我が国のシーズ、相手国のニーズを踏まえた適切な計画
を立案しつつ、以下の
①専門家派遣
②受入研修
③フォローアップの実施、国内及び各国省エネ関係者とのネットワークの形成・維持の
事業
を効果的、効率的に実施する。事業実施に当たっての基本方針は次のとおり。
(1)各国別のきめ細かな対応を行う。
相手国における省エネ政策・制度に係る人材育成、我が国企業の省エネビジネス拡大等が効
果的かつ効率的に進むよう、各国ごとに省エネ政策・制度の導入状況、省エネが特に必要な産業・
技術分野、省エネビジネス環境等をきめ細かに把握した上で、最適なプログラムを企画し実施す
る。
(2)省エネへの国民意識の変革に重点をおいた対応を行う。
各国のニーズに応じ、本事業の各国での活動の内容・成果を国民各層に浸透させるべく、各
国エネルギー政策関係者による省エネルギー導入に関する国民意識を変えるための施策につい
て、日本及び各国のベストプラクティスを踏まえた具体的な提案などを行う。
(3)我が国企業が当該国にビジネス参入等しやすいような環境作りのための取り組みを行う。
① 我が国省エネ法関連制度等の導入支援
② 助成制度の充実
③ 日本の具体的な省エネ技術の情報発信
④ 具体的プロジェクトにおける省エネ診断
(4)事業の内容等について新たなニーズに積極的に対応するとともに、これまでの蓄積等に基
づく独自の手法等を活用する。
① 省エネ基準等我が国類似制度への誘導
② 国別の事業企画」手法の活用
③ 独自のエネルギー管理手法等の適用(ECCJが開発したツール)
Ⅰ-1
(5)国別対応、派遣と研修との連携、ネットワークの活用等により事業が最大限の効果をあげ
るよう工夫する。
① 「国別の事業企画」手法を活用した計画策定、ビジネス環境づくりへの戦略的対応等に
より成果が期待される分野への資源配分の重点化を図り事業効果を向上させる。また、
本事業全体をPDCAを意識しつつ実施することにより累積的に効果が高まるよう工夫す
る。
② 専門家派遣・研修の実施について、仕様書で要求される基本的内容に即して企画し、更
に過去事業で得られた情報・経験及びネットワークを参考にレベルアップを図る。
③ 各国の省エネルギー推進機関、関係企業や国内関係企業等との連携
④ これまでの実績等に基づく効率的なスケジュールで事業を実施する。また、二国間エネ
ルギー政策対話などの政府のスケジュールと連関して、タイムリーな活動実施を図る。
(6)危機管理を含め適切な実施体制の形成、コストパフォーマンスの向上を図る。
① 事業規模等を踏まえた適切な実施体制
② コストパフォーマンスの向上
③ 危機管理体制の整備
Ⅰ-3. 国別事業企画
活動計画においては、相手国の状況、ニーズ等をきめ細かく分析し、多角的な評価を行っ
た上で、専門家派遣、受入研修の具体的内容を下記の基本的内容を国別に整理する。
(1)事業内容企画に当たっての主要な評価要素
具体的な評価要素は主に以下のとおり。
A.二国間・多国間の政府間交渉における合意内容
B.省エネ政策・法制度等の導入進捗度(国民意識の向上度を含む)
C.省エネを特に配慮すべき産業分野、製品・技術分野
D.省エネビジネスに係る市場環境
E.これまでの省エネ協力の経緯及びその効果
(2)制度導入の進捗度に係る評価
上記評価要素の中で特に B については、以下のような「段階」を評価し、協力の態様につ
いて目安を整理する。
(段階-1:省エネに係る基本的な政策、法規を立案中)
○当該国の状況:省エネに係る基本政策、法規は確立されていないが、責任官庁等が決
定され、これらが立案中の状況。
○協力の態様:我が国の政策・法体系をベースに
① 省エネ政策・法やエネルギー管理の基本等を理解させると同時に同国に適した
枠組を提言する。
② 省エネ施策による裨益を示すなど各国内で新たな施策を導入するうえでの助
言を行う。
③ 基本政策・法の策定に携わる人材の育成を行う。
(段階-2:省エネに係る基本的な政策、法規は導入済み、その運用を模索中)
○当該国の状況:省エネに係る基本政策・法規は導入済みであるが、エネルギー管理に
係る基準、省エネ製品等の性能基準・ラベリング制度、エネルギー管理
者資格等運用やそのための実施機関が検討されている状況。
○協力の態様:類似の日本の制度をベースに
Ⅰ-2
① エネルギー管理及び診断に係る資格の整備に係る人材育成を行う。
② 上記資格の資格対象者を含め、モデル的な現場の省エネ推進者の育成を行う。
③ 工場等のエネルギー管理関係の指針・基準、省エネ製品等に係る認証・ラベリ
ング、省エネ製品・技術に係る助成制度等の整備を行う人材育成を行う。この
際、日本の優れた製品・技術等が差別化されビジネス機会が拡大するよう誘導
する。
(段階-3:運用を含め省エネ政策・法制度が概ね確立)
○当該国の状況:省エネに係る基本政策・法規及びその運用までほぼ確立し、
これらに基づく省エネ対策が実施されている状況。
○協力等の態様:
①同国における実際の省エネ施策の実施状況について情報収集を行いつつ、例
えば省エネ製品の性能基準・ラベリングの最新化、これに係る情報発信の強
化等により我が国企業の優位性を発揮できる環境を創出できるよう誘導する。
②多国間協力の枠組みの中で、第一及び第二段階の国に対する人材育成協力に
ついて同国の省エネ政策・法規に係る整備の経験等を踏まえた連携を要請す
る。
(段階共通)
省エネへの国民意識の変革への協力
○協力等の態様:
①日本、その他の国における効果的な省エネ政策、制度等(ベストプラクティス)
に係る情報提供を行う。
②これを踏まえ、当該国に即した省エネ教育、広報等国民意識の変革のための施
策を提案する。
(3)省エネビジネス環境に係る評価
上記評価要素の中で特にDについては、当該国の民間ビジネスにおける省エネ・マイ
ンドや省エネ投資への意欲の程度について複数専門家が経験等をもとに概念的に評価す
るものである。この度合いが高い程企業のビジネス機会が増加する傾向にある。この度
合いはBの制度導入の進捗度と相関が強い。
この度合いが高まるに従い、本事業に関し次のようなニーズが生じる。
① 省エネプロジェクトの形成に係る基礎情報の提供
当該国の産業政策や技術政策を考慮して、日本の製品・技術を活用したビジネスプロ
ジェクトの形成に資する情報の提供と助言を行うこと。
具体的には世界省エネルギー等ビジネス推進協議会の技術集の情報、省エネ優秀事例
や省エネ大賞などで表彰された事例や機器に関する情報、また企業から提供をうける情
報を専門家派遣、受入研修において活用する。
② 省エネプロジェクトの形成に係る人材育成協力
省エネ技術や設備を活用した具体的な省エネプロジェクトを的確に形成できる人材を
育成すること。これには、コスト評価ツールや最適改善方策を決める為の分析ツールを
組み込んだエネルギー管理などを活用する。具体的には、我が国が関与し得る省エネプ
ロジェクトを発掘の上、我が国専門家による省エネ診断等を活用しながら、FS等を的確
に行うモデル人材の育成を図るといったスキーム。 また、この実施に当たっては、我が
国企業の協力を得つつできるだけ日本の優れた技術・製品の導入を 誘導する。この際、
費用対効果や最適な対策を評価する分析ツールを利用する。
③ 基準・認証・ラベリング等についての日本仕様への誘導
エネルギー管理関係の基準、省エネ製品等に係る認証・ラベリング等について、日本
の優れた 省エネ製品・技術等が差別化されビジネス機会が拡大す
るよう誘導すること。また優れた省エネ製品についての助成制度を整備すること。
Ⅰ-3
図Ⅰ-3-1. 省エネ政策推進基盤構築の段階と各国状況
( 段階-2 )
政策制度改善
( 段階-1 )
政策制度構築
市場整備
進
( 段階-3 )
政策制度の
更なる展開
ビジネス展
開促進
化
タイ
メキシコ
シンガポール
フィリピン マレーシア
市場環境の展開
ブルネイ
サウジアラビア
ASEAN - CLM
ロシア
インドネシア
中国、インド
ベトナム
政策・法制度が確立されている。
CLM ( カンボジア、ラオス、ミャンマー )
Ⅰ-4.実施計画の立案
事業の目的を達成するためにⅠ-2及びⅠ-3で述べた基本方針に従い事業を計画・実施
した。(要点を下に記す。)
1.対象国は、ASEANを中核とするアジア諸国とインドおよび中東や中南米・ロシアを含む
資源外交重点国。
2.Ⅰ-3で述べた各国の省エネ推進制度確立状況に基づき且つ各国ニーズとも合致する人
材の育成。
3.政策や制度及び技術の日本仕様への誘導に基づくビジネス参入し易い環境の整備。
加えて、上記項目2の各国の方針に対応し、決定したテーマを実現する育成すべき人材を
選定した。(基本的な対象者の所属機関とカリキュラムの基本テーマの分類を下表に示す。)
更に、事業効率や効果を高める為に、各国の核となり決定権限を有する人物を育成の対象と
した。
対象者の所属機関
政
府
機
関
実施機関・民間団体
民間(産業団体等)
カリキュラムの基本テーマ
省エネ政策や法制度構築 ・整備/
ビジネス展開を考慮した施策
法制度執行支援、エネルギー管理・省エネ技術等の
普及と運営
経営者啓蒙 / エネルギー管理 /
省エネ診断・省エネ技術・製品導入プロジェクト形成
対象となる各国や地域毎に、
実際のエネルギー状況やこれに伴う省エネルギーに関する政策
Ⅰ-4
や各種制度等についての各国の現状と改善の課題を把握し、経済産業省による政府間協議の
場等で確認した上で具体的な改善テーマについて協力方針を含めて討議された。この討議を
通じて各国がやるべき改善とそれらに係る人材のニーズ及び求められるべき資質を把握して
具体的なカリキュラムと活動の実施計画を策定し具体的な活動を実施した。実施計画につい
ては、本章で国・地域別に述べる。
Ⅰ-5.実施結果
1.実施結果の要約
上記により作成された実施計画に基づき、一部の国を除き、事業はほぼ予定通り完了し、
満足のいく成果を得る事が出来た。
尚、実施内容の要約を下記に示すが、国、地域ごとの実施計画及びその実施内容・成果を
第Ⅱ章に報告する。更に、各地域・国ごとに、その派遣ごと及び研修コースごとに、詳細な
報告を第Ⅳ章で行っている。
事業の実施フローについては図Ⅰ-5-1.を参照。
(1)多国間事業
○ ASEAN地域:
当該地域の省エネ人材育成事業であるAJEEP(ASEAN-Japan Energy Efficiency
Partnership)プロジェクトでは大きな成果が得られ、ASEANエネルギー協力活動計画
(2010-2015)で目標とする「2015年までにASEAN全域で、8%の省エネ(2005年比)
」
の達成に大きく貢献している。
民間企業の参画を促し、省エネプロジェクト形成に資する人材育成のスキーム2にお
いては、専門家をタイ及びインドネシアの2カ国に派遣した。タイでは鉄鋼産業の電気炉
及び加熱炉における省エネ技術をテーマとして、インドネシアでは食品産業におけるボ
イラーの蒸気の差圧発電やインバータ技術をテーマとして省エネ診断やセミナーなどを
実施した。又、ASEAN内の機器分野(エアコン)の省エネ基準・ラベリング制度の調和
や省エネ優秀事例・ビル表彰制度の評価基準改善等をテーマにした受け入れ研修を実施
した。本スキーム実施に当たっては、JASE-Wや日本鉄鋼連盟、日本工業炉協会、
IS-INOTEC、建築省エネルギー環境機構等の民間団体と連携し、活動内容のレベルアッ
プをはかり計画以上の実績を上げることができた。加えて、日本の民間企業の本スキー
ムへの関心も高まっている。
ASEAN内で、省エネ推進基盤で遅れたカンボジア、ラオス及びミヤンマーに対する省
エネ政策と省エネ法制度構築のための人材育成のスキーム3においては、当該3カ国での
法制度構築のためのワークショップ及び民間企業の省エネ意識向上を目的とした省エネ
診断実習を実施した。又、受け入れ研修もこの現地ワークショップと連携したワークシ
ョップを日本で実施した。各国とも制度構築に向けた政策の策定、省エネ法規則の草案
の作成が進んでおり成果が上がっている。
○ 中東資源外交重点国:
昨年度はサウジアラビアを中心にイラン、エジプト、カタールの4カ国の参加であった
が、本年度はサウジアラビアを除く3カ国にバーレーン、イラク、モロッコ、チュニジア
が加わり7カ国に対するの受け入れ研修を「ビル分野の省エネ」をテーマに研修を行い、
日本のビル分野の省エネ政策・法制度や最新の省エネ技術の情報提供を行った。
○ 東アジア及びIPEEC:
東アジア関連ではラオスで開催されたECTF(Energy Conservation Taskforce)の会
合に専門家を派遣しアジア省エネルギーコラボレーションセンター(AEEC)の活動に
ついての報告を行い、各国代表(ASEAN10カ国とアメリカ等8カ国の18カ国)より引き
続き活動の継続が了承された。IPEEC関連の専門家派遣は、本事業では本年度は実施し
なかった。
○ SE4ALL:
Ⅰ-5
2014年9月23日に「国連気候サミット」に合わせて開催されたSE4ALL会合で、特に
アジアを中心とした省エネルギー政策・制度構築等に関する人材育成の知見をSE4ALL
の活動にも活かすべく、ECCJがSE4ALLにおける「エネルギー効率を促進する国際的な
ハブ」とする提案を行い、LOIを提出した。
(2)2国間事業
○ インドネシア:
インドネシア政府の省エネ実務プログラムの推進方針と連携する形でエネルギー管理
体系構築等の活動を行い、ISO 50001に基づくエネルギー管理体系構築のパイロットプ
ロジェクトをエネルギー多消費産業である鉄鋼や紙パルプ産業の協力工場で実施。本年
度は繊維、セメント及び食品産業に拡張し成果を上げている。更に、本活動の進捗に伴
い、省エネ技術プロジェクト提案を行い省エネビジネス展開につなげている。
○ ベトナム:
2011年に施行された省エネ法の付帯制度の更なる整備と執行能力向上のための人材
育成としてエネルギー管理指針(判断基準や管理標準の整備)や省エネ促進のための支
援制度をテーマにした受け入れ研修を商工省や地方政府の担当者を対象に実施し、日本
の経験と優秀事例情報を提供した。
○ インド:
日印エネルギー対話の合意に基づいて、運輸分野の省エネの一環としてに政府関係者
およびエコドライブ研修実務担当者等を受入れてエコドライブの実習及び運輸部門の省
エネに関するワークショップを実施した。又高効率機器であるヒートポンプの普及を図
るため、ヒートポンプの効率性の紹介、導入事例の紹介、市場性に関する討論を目的と
したワークショップをインドにて開催した。PAT(Perform, Achieve & Trade)精度にお
ける産業の省エネ支援については、そのモニタリング、評価についての知識、とくに
SDA(地方政府組織)における人材が不足していることが明らかになり、来年度の課題と
して挙げられている。
○ 中国:
昨年11月にAPEC首脳会議の開催中に日中首脳会談が行われて以降、日中間の省エネ
関係部門の交流が急に進展し始め、日中省エネ協力事業が再開された。準備期間の問題
で受け入れ研修は実施できなかったが、下記に述べるように専門家派遣として「日中省
エネルギー環境フォーラム」の北京での開催、地方政府(四川省)における省エネ技術
セミナーの開催、国家省エネルギーセンターとの協議等に専門家を派遣し、日中省エネ
人材育成事業が2年ぶりに再開された。
○ サウジアラビア:
METIとSEEP(Saudi Energy Efficiency Program)との省エネ協力に参加し、我が
国の情報を提供するとともに議論を重ね、エネルギー管理士制度(認定、認証制度)構築支
援に関する提案と事業決定を行い日サ協力事業として開始した。
○ ブラジル:
昨年2月の日本でのワークショップ で把握された省エネ協力のテーマのうち、ブラジ
ルのニーズに合致して日本が実際に協力可能なテーマ(
「節電・ピークカット」)を具体
的に設定し、これらの実現に資する付帯プログラムを専門家派遣及日本でのワークショ
ップで実施した。日本の進んだ政策や法制度に加え、協力テーマに沿った具体的省エネ
技術の導入を目指した。この観点から、ブラジルESCO協会とMOUを交わしたJASE-W
の協力を得、省エネ技術・システムに関する情報を提供した。
○ トルコ:
今年度はトルコに対し第1回目の受け入れ研修を実施した。同国への董人材育成事業で
の支援は初めてで、トルコ省エネルギー政策担当者を中心に関係者を招聘しビル分野の
省エネルギーをテーマとしたワークショップを開催した。今回の事業の企画においては
以前ECCJが担当したJICAの研修センター設立事業でのネットワークを利用した。
結果として、追加的に投入を行う事が出来た地域・国を始め、事業を計画通り実施し出来
Ⅰ-6
た国は以下の「2.各国及び各地域で育成した人材と成果纏め」に示すように大きな成果を
上げることが出来た。
尚、上記事業の実施においては、Ⅲ章に述べるように、活動の効率性や成果のフォローア
ップや情報収集を行うとともに国内外省エネ関係者とのネットワークの構築を行った。
これらの育成した人材が各国や各地域の目標とする制度構築等の事業に貢献し省エネが一
層推進される事が期待できる。
(その他の国・活動については個別の説明を参照)
専門家派遣の派遣回数・人数と受入研修の研修生の数に関し、国毎の実施計画と実績を表
Ⅰ-5-1.と表 Ⅰ-5-2.にまとめた。又、実施スケジュールを図 Ⅰ-5-2を示
す。
表 Ⅰ-5-1. 専門家派遣の国毎の派遣人数(実施計画と実績)
実施計画
実績
派遣
回数
(回)
派遣
人数
(人回)
派遣
回数
(回)
派遣
人数
(人回)
24
46
18
40
インド
7
18
4
9
インドネシア
2
6
3
9
ベトナム
2
6
1
1
中国
3
6
5
14
タイ
2
2
0
0
フィリピン
0
0
1
1
ロシア
2
2
0
0
サウジ等
中東産油国
4
4
2
2
中南米諸国
2
2
2
4
14
28
11
31
ASEAN地域
10
24
9
29
IPEEC(SE4ALL)
3
3
1
1
東アジア地域
1
1
1
1
36
74
29
71
二国間協力
多国間協力
合
計
Ⅰ-7
【受入研修】
二国間協力及び多国間協力の枠組みの下で、10 コースの研修を実施し 5 カ国と 2 地域から 141
人を受入れ実施した。
表 Ⅰ-5-2.受入研修生数(実施計画と実績)
着色部が実施コース
区分
国など名称
コース数
研修生数 実質日数
(コース)
(名)
(日間)
計画 実績 計画 実績 計画 実績
インド
0
10
0
5
0
1
15
13
5
8
2
15
21
5
6
0
10
5
5
(BEE) 次期PAT制度のための政策担当者とSDAの
推進能力向上
(PCRA) 運輸部門の省エネ推進 (エコドライブ促進)
2
インドネシア
(MOI) エネルギー多消費産業でのモデル的EnMS
構築と制度構築支援
(MEMR) エネルギー管理規則の整備と省エネ支援
制度の設計案
ビル部門の省エネ普及プロジェクト促進
1
二国間
協力
多国間
協力
タイ
1
0
10
0
5
0
ベトナム
1
1
10
12
5
6
中国
1
0
10
0
5
0
ロシア
1
0
10
0
5
0
サウジアラビア
1
0
15
0
5
0
トルコ
1
1
10
10
5
5
イラン
1
0
10
0
5
0
ブラジル
1
1
15
11
5
7
ASEAN地域
MENA (中東北ア
フリカ諸国)地域
合計
実績率(%)
(略号)
3
0
3
1
14 10
71.4
テーマ (着色部が実施コース)
省エネ法付帯制度(エネルギー管理制度、支援制
度)の整備
NECCとの省エネ技術交流
ビル部門の省エネを基軸とするスマートシステム構
築
産業・ビル部門のエネルギー管理人材の育成と省
エネ意識高揚策
ビルの省エネ推進
ビル・産業における省エネ普及活動と省エネ技術
節電・ピークカット:エネルギー多消費産業のEnMS
構築を通じた省エネプロジェクト形成と規制や支援
制度の整備
BCLMの省エネ政策法制度構築支援と人材育成
15
17
5
5
15
17
5
6
15
18
5
4
0
12
0
5 ビルの省エネ推進
175 141
80.6
機器省エネ基準調和の取組み支援
EnM・省エネビル表彰制度評価基準の見直し支援
75 57
76.0
BEE : エネルギー効率局 / PCRA : 石油節約研究協会 / SDA : 州指定機関 / MOI : 工業省 /
MEMR : エネルギー鉱物資源省 / NECC : 中国国家省エネセンター / EnM : エネルギー管理 /
EnMS : エネルギー管理システム / BCLM : ブルネイ・カンボジア・ラオス・ミャンマー/
MENA : 中東北アフリカ諸国 /
Ⅰ-8
2.各国及び各地域で育成した人材と成果と纏め
専門家派遣や受入研修を通じて各国での省エネ推進の指導的役割を果たす人材を育成する事が出来た。各国および各地域において育成した人材と各国
において上げた成果を以下にまとめた。
多国間協力
(ASEAN地域)
対
象
育成の重点
主な成果
スキーム2
・省エネルギー技術導入のためプ
ロジェクト形成ができる人材
(1) 下記の省エネ設備導入に関するプロジェクト形成ができ
る人材が育成された。
①タイ:鉄鋼工場の電気炉の改修と加熱炉へのリジェネバー
ナーの導入等、
②インドネシア:食品工場におけるボイラー設備の改善及び
ポンプシステムへのインバーター導入等、
(2) 日本企業の本スキームへの関心が高まっている。
(3) ASEANの省エネ関連表彰制度の評価に関する人材が育
成された。
(ASEANのカンボジア、ラオス、ミヤン
マー)政府・エネルギー関係省、ASEAN
Centre for EnergyやCLM各国の官民の
関係団体の関係者
スキーム3
・省エネの政策や省エネ法・制度を
策定し執行出来る人材
(1) カンボジア・ラオス・ミャンマーで省エネの政策や省エ
ネ法制度を策定する人材が育成され、策定のタスクフォ
ースが組織された。
(2) 機器分野の省エネ基準・ラベリング制度普及促進のため
の人材が育成された。
(3) 省エネ法制度策定のためのアクションプランに基づき、
その実施に向けたタスクフォースが形成され、省エネ政
策の策定や一部の分野における法制度・規則の草案が作
成された。
AJEEP事業全体
スキーム2及びスキーム3
ASEANエネルギー協力活動計画(2010-2015)で目標とす
る2015年までにASEAN全域で、8%の省エネ(2005年比)
の実現がほぼ達成できている。
ASEANの各国政府・エネルギー関係省、
ASEAN Centre for Energyや民間の関係
団体の関係者
Ⅰ-9
(中東資源外交重点国(バーレン、イラン、エジプト、カタール、イラク、モロッコ、チュニジアの7カ国))
対
象
政府及び政府関係機関の関係者
育成の重点
主な成果
ビル分野の省エネルギー推進のための人材
ビルの省エネ推進のための施策や基準及び技術導入のた
め、各国に必要な施策を具体化した。
①DSM強化対策を含む包括的対策
②ビルの省エネ推進者の教育訓練施設
③機器のラベリング整備、機器普及の支援策
二国間協力
(インドネシア)
対
象
エネルギー鉱物資源省の
新再生エネ・省エネ総局の関係者
工業省等政府機関及びエネルギ
ー多消費産業等の産業団体関係
者
育成の重点
主な成果
省エネルギー推進の有効な政策や法制度を策
定・執行する人材(省エネルギー規則に従う
中央政府の法整備・執行人材を含む)
次の計画を策定した。
①エネルギー管理を強化・推進する規則
②省エネ投資を促進する支援制度
(1) エネルギー多消費産業における省エネ推
進
・エネルギー管理体系構築と体系的活動を通
じた対策把握に基づく省エネ技術や設備導入
のためのプロジェクトを形成できる民間の人
材
・上記を促進するための規制や支援制度を策
定執行できる人材
「ISO50001に基づくエネルギー管理システム構築パイロ
ットプログラム」を実施中である。
①5業種8工場でモデル的エネルギー管理体系を構築中。管
理標準やデータベース等のエネルギー管理ツールを導
入・試用。
②上記の運用を通じた有効な省エネパイロットプロジェ
クトを検討し一部実施。
③工業省による二酸化炭素排出実績報告制度の策定
ESCO方式で実施可能なパイロットプロジェクトの具体的
な検討を実施。
①上記項目(1)に基づくESCOプロジェクト
(1案件を日本企業がESCOで提案した。)
②政府ビルの省エパイロットプロジェクト
③工業省等により施策や予算措置等を検討中。
(2) ESCO導入のための現実的な取組み
・ESCO導入政策・施策検討人材
・ESCO事業の実務の指導人材
Ⅰ-10
(ベトナム)
対
象
中央政府(商工省・省エネルギー
局)、地方局などの関係者
育成の重点
主な成果
省エネ法執行特にエネルギー管理制度や
省エネ推進のための支援制度などの
制度構築や規則・指針の策定人材
左記の人材が以下の計画を策定した。
①エネルギー管理の為の指針策定(日本の判断基準を参
考。エネルギー管理標準の整備を含む。)
②省エネ推進の金融的支援 (JCMの活用等有機的な資
金メカニズムの検討を含む)
(インド)
対
象
育成の重点
主な成果
石油節約研究協会(PCRA)の
関係者
・運輸部門の省エネルギーを推進する人材
・省エネ診断マニュアルの普及や策定能力及
びエネルギー多消費産業の省エネ推進能力
の高い人材
(1) 新たな協力に向けて以下の活動が方向づけられた。
・運輸部門の省エネに係る協力プログラム。
エコドライブプログラムが実施された・
・産業部門の省エネ推進支援(石油部門)
(2) 上記に基づきMOUを更新
エネルギー効率局(BEE)の
関係者
・産業分野のPATによる目標達成のための
省エネ手法の支援
・日本の省エネ技術情報の提供と普及(ヒー
トポンプ技術、インバータ付きエアコン等)
・エネルギー管理者や診断者の能力向上
今後の支援方針
・PAT制度における目標達成のための方策支援
・省エネ技術、設備の紹介と導入支援
・エネルギー管理標準やガイドラインの策定支援
・SDAに対する能力向上
Ⅰ-11
(中国)
対
象
育成の重点
主な成果
中央政府の省エネ法制度策定担
当者
2008年に施行された省エネ法の改正の作業が
開始される予定で、改正に日本の省エネ法改
正の経験・ノウハウを提供。
地方政府の省エネ法執行者及び
民間企業のエネルギー管理者
省エネ診断を含むエネルギー管理能力の向上
省エネ技術導入の省エネプロジェクト形成能
力の向上(日本の省エネ技術情報の提供)
中国国家節能中心との協議により、来年度に向けて「中国の
省エネ法改正」をテーマにした受け入れ研修等具体的計画が
作成された。
(1) 北京で開催されたアジアヒートポンプネットワーク・セミ
ナーでヒートポンプの優れた省エネ性能と事例を説明し、
普及活動を行った。
(2) 四川省成都市及び徳陽市で省エネ技術セミナーを開催し、
空気汚染対策に有効な日本の省エネ技術を紹介し、中国地
方都市での当該技術・設備のビジネス環境整備に貢献し
た。
(ブラジル)
対
象
中央政府及び産業団体の関係者
育成の重点
主な成果
エネルギー管理システム構築とこれに基づ
くプロジェクト形成、省エネルギー技術や設
備の導入促進のための政策や制度の整備お
よびビジネス展開のための官民の人材
節電・ピークカットに資する以下のプログラムを、Steering
Taskforceを組織して開始した。
① ISO50001に基づくモデル的エネルギー管理体系の構築
② ①を促進するエネルギー管理規則等の規制や支援制度の
整備
③ 節電・ピークカットのガイドブック策定
(トルコ)
対
象
エネルギー天然資源省再生可能
エネルギー局及び関係機関の関
係者
育成の重点
主な成果
ビルの省エネの総合的な法制度・省エネ基準
及び省エネ技術
 トルコにおけるビル分野の省エネ推進における現状と問題
点とその改善案を討議。既存ビルの改修のためのESCO事業
の推進が課題。
 トルコ・日本の省エネルギーに関する将来計画の立案がで
きた。
Ⅰ-12
図
Ⅰ-5-1.事業実施フロー、
専門家派遣、受け入れ研修、フォローアップ、ネットワーク形成等を下記の実施フローによって効果的、効率的に実施する。
Ⅰ-13
図
Ⅰ-5-2.省エネルギー人材育成事業
実施スケジュール
平成26年度 人材育成事業 専門家派遣及び、受入研修 スケジュール
4月
7
●ASEAN
(多国間)
14
21
5月
28
5
12
19
6月
26
2
9
16
7月
23
30
7
14
8月
21
28
4
11
9月
18
25
1
8
15
10月
22
29
6
13
20
11月
27
3
10
12月
17
24
1
8
15
1月
22
29
5
12
19
2月
26
2
9
16
3月
23
2
9
16
23
30
・ASEAN+3フォーラム
(5/24-26)
・EE&C-SSN会議等
(5/26-6/1)
・SOME+METI
・AJEEP スキーム2(タイ)
・Inception Workshop
(6/10-14)
(8/10-14)
(11/9-15)
・AJEEP スキーム3 (カンボジア)
(11/30-12/6)
・AJEEP スキーム2(インドネシア)
(12/6-18)
・AJEEP スキーム3 (ラオス)
(1/11-17)
・AJEEP スキーム3 (ミヤンマー)
・Summary & Post Workshop
(1/18-24)
(2/24-3/1)
専
門
家
派
遣
●インドネシア
・政策協議・事業計画
(6/2-6)
・パイロトプログラムの実施
・パイロトプログラムの実施
(7/13-19)
(12/7-13)
・省エネ協力協議
(10/20-24)
●ベトナム
・省エネ協力協議Ⅰ
●インド
・省エネ協力協議Ⅱ
(7/7-11)
(1/7-10)
・ヒートポンプワークショップ
(2/2-7)
・日印省エネ会合出席
(2/24-28)
・中国省エネ協力事業協議
●中国
(11/23-28)
・アジアヒートポンプネットワーク会議
(11/25-28)
・日中省エネ・環境総合フォーラム
(12/27-29)
・四川省省エネ技術セミナー
(2/1-7)
・国家節能中心との協議
(3/5-7)
●サウジアラビア
・省エネ協力協議 Ⅰ
・省エネ協力協議 Ⅱ
(8/16-21)
(1/18-22)
●ブラジル
・METI-開発商工省セミナー
・実施計画の最終化キックオフ
(5/3-10)
(10/18-27)
●その他
・ADB省エネワークショップ(フィリピン)
(5/14-17)
・国連のSE4ALL会議出席
(9/21-25)
●ASEAN
・ECAP5(法制度構築)
(10/29-11/5)
・ECAP6(機器の省エネ)
(11/20-28)
・ECAP7(省エネ表彰制度)
(12/12-18)
受
入
研
修
●インドネシア
・BECID4(工業省向け)
(9/4-11)
●ベトナム
・BECID5(MEMR向け)
(11/6-12)
・BECVN11(商工省)
(11/13-20)
●インド
・BECIN10(運輸分野)
(9/16-26)
●中東資源国
・MENA1(ビル簿省エネ)
(12/16-22)
●ブラジル
・BECBR4(節電・ピークカット)
(1/22-30)
●トルコ
・BECTR(ビルの省エネ)
(2/4-10)
Ⅰ-14
Ⅱ.国別の事業実施計画と実施結果
本章では国別、地域別に事業実施計画と実施結果を報告する。専門家派遣ごと研修コー
スごとの詳細報告はⅣ章で行う。
Ⅱ-1.ASEAN地域の多国間活動
Ⅱ-1-1.状況分析と実施方針
(1)ASEAN に対しては、2000 年から ECCJ も参画し省エネ人材育成活動(Promotion of
Energy Efficiency and Conservation(PROMEEC))プロジェクトを実施、共通の
省エネ優秀活動表彰の制度化等大きな成果を上げてきた。
(2)この成果の上に 2012 年日本政府(経済産業省)と ASEAN 各国のエネルギー省の次
官クラス(SOME)の会合の場で、省エネ人材育成協力 AJEEP(ASEAN-Japan
Energy Efficiency Partnership)プロジェクトの実施が決定・開始されることとなっ
た。
(3)AJEEP は、次のようなねらいからも明らかなように、ASEAN のそれぞれの国の省
エネ政策・法制度等の導入状況(B)や省エネビジネス環境(D)等を念頭に置いた
プロジェクトである。したがって、このプロジェクトに呼応して本事業を実施するこ
とにより所期の効果が見込まれる。
①
ASEAN 諸国間の省エネ政策や法制度等省エネ推進基盤に係る格差を縮小するため、
遅れている国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)において関係人材育成を図る。
②
省エネ推進基盤の面で先行している国(タイ、シンガポール、マレーシア等)におい
て、優れた技術・製品による省エネ促進及びこれによる省エネビジネスの発展が実現
されるよう関連人材育成を行う。
(4)本プロジェクトは、次の3つのスキームにより実施される。なお、この枠組みについ
ては、ECCJ も PROMEEC プロジェクトでの協力経験をもとに策定、支援を行った。
①
スキーム1: PROMEEC によって形成された活動を ASEAN 自身による持続的活動
で実施するもの。
②
スキーム2:ASEAN 地域の中で省エネ推進基盤が進んだ国における省エネビジネス
展開のためのプロジェクト形成とその推進人材の育成を行う。
(対象国)ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ及び
ベトナムの 7 カ国。
③
スキーム3:省エネ推進基盤で遅れた国の実情に合致した省エネ政策策定と省エネ法
制度構築のための人材育成を行う。育成効果を高めるため、ASEAN の省エネ先進国
がアドバイザーとして専門家を派遣し、彼らの経験情報を提供し、日本人専門家とと
もに助言を行う。
(対象国)カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM 諸国)。
Ⅱ-1
以上から日本はスキーム2及び3を中心に人材育成協力を行うことになる。
(5)スキーム2については、これら省エネ先行国は、総じて省エネビジネス環境が整って
いるので、省エネ関連基準・ラベリング制度の運用、個別プロジェクトへの参画等あ
らゆる点から日本の優れた省エネ製品・技術の導入が進むよう配慮する。
(6)スキーム3については、ECCJ がこれまでの日本国内での省エネルギー促進活動の実
績、海外活動での知見から形成してきた独自のエネルギー管理手法等を活用する。
また、本年度は、昨年度 CLM3 カ国に専門家を派遣し、省エネ法整備のための「ア
クションプラン」(3 年計画)の草案を最終化した点を踏まえ、2014 年度計画の実施
促進並びに 2015 年度の詳細計画策定に向けた活動となる。又、CLM3 か国において、
上記スキーム 2 の活動の可能性も追及する。
各スキームの内容は図 Ⅱ-1-1.~Ⅱ-1-3.を参照。
Ⅱ-1-2.企画検討
上記の実施状況の分析と実施方針に基づき、平成 26 年度の ASEAN 地域の多国間活動
は以下のように実施企画を行った。
1.スキーム2関連(省エネプロジェクト推進強化等)
(1)専門家派遣
①
日本の優れた省エネルギー技術の情報発信とともに、具体的な省エネプロジェクトを
的確に形成できる人材を育成するための「省エネプロジェクトの形成に係る人材育成
協力」を推進する観点から、省エネ技術・設備をテーマとしたワークショップ、現地
での省エネ診断などに専門家派遣を行う。
(3回派遣:上記7カ国のうち3カ国を選定)
(注)我が国が関与し得る省エネプロジェクトを発掘の上、我が国専門家による省エ
ネ診断等を活用しながら、FS等を的確に行うモデル人材の育成を図るといっ
た仕組み。また、この実施に当たっては、我が国企業や企業団体(JASE-W、日
本鉄鋼連盟等)の協力を得つつ、できるだけ日本の優れた技術・製品の導入を
誘導する。
②
対象となるプロジェクト等の選定については、ASEAN 内でできるだけ横展開が可能
な産業・技術分野を選定する。
この選定について 2013 年度の実績を参考とする。2013 年度はビル分野についてイ
ンドネシアで、また鉄鋼分野についてタイで、FS作成のための指導、省エネ診断等
を実施し、参加日本企業、現地政府・企業に高い評価を得て、日本側の技術シーズと
現地側のニーズが整合していることを確認し選定が適切であった。又、JASE-W や日
Ⅱ-2
本鉄鋼連盟が開催したビジネスマッチングも目的とした大規模なセミナーにも参加・
活用し横展開にも努めた。
(2)受け入れ研修
ASEAN における省エネ推進リーダーとして育成すべき人材を対象に、日本の優れ
た省エネ技術・設備や日本型の政策・制度の導入した場合の効果などをテーマにした
研修を行う。また、基本方針Ⅰ-1(2)の「省エネ基準等我が国類似制度への誘導」
の観点から、ASEAN における性能基準とラベリングの見直し強化等を促進する内容
とする。(20 名程度で 1 回実施)
2.スキーム3関連(省エネ推進基盤の国別格差尚縮小)
(1)専門家派遣
①
CLM3 カ国への専門家派遣を行い、ワークショップの開催を通じて、上記の昨年度の
活動で作成した「法制度構築アクションプラン」を確認し、具体的な方策作成・実施
において実施チームが抱えている問題の解決策に関する情報提供を行う。
②
当該ワークショップには省エネ政策・制度構築が先行している国からの経験情報提供
のための参加(タイなどの段階3対象国)を求める。
③
将来策定される政策・法制度が円滑に執行・実施されるよう、政府・企業の省エネ関
連機関団体への啓蒙活動として、エネルギー管理実習や省エネ診断実習等の実践的な
研修を提供する。 (CLM 各国へ専門家派遣 1 回)
(2)受け入れ研修
昨年度に最終化した上記の「アクションプラン」に基づいて、策定した計画が実現でき
るように研修を実施する。ASEAN における省エネ推進リーダーとして育成すべき人材を
対象に、日本の優れた省エネ技術・設備や日本型の政策・制度の導入した場合の効果など
をテーマにした研修を行う。この研修においては、基本方針2(1)の「省エネ基準等我
が国類似制度への誘導」の観点から、ASEAN における性能基準とラベリングの見直し強
化等を促進する内容を併せて実施する。(1 回実施)
3.省エネ国民意識の変革(スキーム2・3共通)
①
ASEAN 各国の政策関係者を対象に、省エネルギー導入に関する国民意識を変えるた
めの施策をテーマとして研修を行う。ASEAN における省エネルギーの先行国、後行
国を問わず必要なテーマであることから、スキーム2・3共通の研修とする。 (1回
実施)
②
研修の内容
・国民意識を変えるための施策の分野について、例えば下記の分野などのの具体的な情
Ⅱ-3
報共有企画方法などの討議
学校教育による意識変化の導入
展示による意識変化の導入
表彰による意識変化の導入
・各施策分野における、日本及び各国のベストプラクティス(効果的な政策・制度等)
③
この研修は、省エネ政策・制度の導入と普及、省エネ性の高い機器・製品の普及など
に対して、省エネルギー導入に関する国民意識が重要な役割を果たすことを強く意識
したものとする。
4.上記人材育成活動を円滑に行うための調整会議の実施
多国間の枠組みでの事業であるため、各活動について他の ASEAN 諸国の協力を得て実
施する活動である。したがって各国政府の省エネルギー関連部門の代表を集めた調整・運
営会議(具体的な実施計画を確定、活動成果の討議等)を開催し、各活動の円滑な実施を
行う。また、ASEAN の省エネルギー担当実 務者会議である EE&C‐SSN(Energy
Efficiency & Conservation Sub-Sector Network)会合に参加して AJEEP の報告を行う。
更に、ASEAN のエネルギー関連省庁の次官クラスと METI との会合にもオブザーバーと
して出席し、情報の収集・発信を行う。(3 回派遣)
Ⅱ-1-3.実施結果の要約
2014 年度の事業開始にあたってはその基本計画を、カウンターパートである ASEAN10
カ国のエネルギー関係省庁で省エネルギー政策を担当する担当者(Focal Point)らと 5 月
に開催された EE&C‐SSN(Energy Efficiency & Conservation Sub-Sector Network)
会合で協議して承認を得た。この基本計画を、ASEAN 各国のエネルギー関連省庁の Senior
Official レベルの会合 (Senior Officials Meeting on Energy (SOME)) と経済産業省間で
開催される所謂 SOME-METI で協議し、最終的に AMEM(ASEAN エネルギー大臣会合)
にあげて承認を得た。更に具体的な活動内容は、8 月に開催された Inception Workshop
で上記 EE&C-SSN の Focal Point と協議し詳細計画を決定し、スキーム2とスキーム3
の事業を専門家派遣は 5 カ国で実施し、日本での受け入れ研修(ワークショップ)は3コ
ース(55 名)(スキーム2で 2 コース、スキーム3で 1 コース)を実施した。
実施に当たっては、ASEAN 本部の実施機関として設立された ASEAN Centre for
Energy (ACE)がプロジェクトの調整を行った。
当該プロジェクトの実施体制を図
Ⅱ-1-4.に示す。
1.専門家派遣による AJEEP 事業実施に向けての準備と成果の発信
(企画検討項目2.4に基づき実施)
以下に専門家派遣と受け入れ研修の実施準備のための活動内容と当該プロジェクトの
Ⅱ-4
2014 年度の活動成果と本年度の基本計画の情報発信のための活動について述べる。
(1) ASEAN+3 新エネ・省エネ環境フォーラム、ASEAN 省エネ表彰制度評価委員会(BOJ)及
び EE&C-SSN の年次会合に出席
①
ASEAN+3 新エネ・省エネ環境フォーラム出席
ラオス(ビエンチャン)で開催された同フォーラムで AJEEP の 2013 年度の事業に
ついてを報告し、ASEAN+3各国への当該事業の成果に関する情報発信をすると同時
に、ASEAN+3各国からの新エネ・省エネ担当の代表と情報を共有した。
②
ASEAN 省エネ表彰制度評価委員会(BOJ)に出席
下記 EE&C-SSN 会合に合わせて開催された、ASEAN Energy Award(ASEAN の
エネルギーに関する表彰制度)の省エネビル部門及びエネルギー管理優秀事例部門の
評価委員会(BOJ:Board of Judge Meeting)にオブザーバーとして出席し、ASEAN
の省エネ技術・エネルギー管理のベストプラクティスに関する情報を得るとともに、
評価基準・方法に関する助言も行った。
③
EE&C-SSN の年次会合に出席
この会合はラオス(ビエンチャン)で開催され、平成 25 年度の AJEEP 事業の成果
と平成 26 年度の省エネ推進事業の基本方針が ASEAN 各国の EE&C-SSN の Focal
Point により承認された。AJEEP 事業についても ECCJ の代表より 2013 年度の事業
成果と 2014 年度の基本方針を説明し、了承された。この結果は 6 月の SOME の会合
で ACE より報告され承認される。
(3)SOME-METI 会合等での AJEEP 事業の成果の報告(会合にオブサーバーとして出席)
ラオス(ルアンプラバーン)で開催されたASEAN諸国のエネルギー担当省の次官クラ
スの会合であるSOMEとMETIの会合(15th SOME-METI会合)にオブザーバ
ーと出席し、AJEEP事業に関するASEAN各国からの質疑に対応した。加えて 13th
SOME+3-EPGG(Energy Policy Governing Group)Meetingに及び 19th
EAS ECTF
Meetingに出席し、前者ではAJEEP事業に関する報告を、後者では、アジア省エネ協力
センター(AEEC)の活動についての報告を行い、同センターの活動の継続に関し、東ア
ジア各国(上記ASEAN+3 と豪州、インド、ニュージーランド、米国、ロシア)から確認
を得た。
(4)Inception Workshop の開催(ホーチミンシティ)
AJEEP スキーム2及び3事業に関し専門家派遣及び受け入れ研修(ECAP:ワークショ
ップ)の実施計画を協議し最終化した。(ECCJ が実施計画案を策定しこのワークショッ
プで協議してスケジュールを含めて最終化)
AJEEPスキーム2事業はタイ(鉄鋼産業における省エネプロジェクトの推進(リジェネ
Ⅱ-5
バーナー導入等):H26 年 11 月)、マレーシア(ビルの改修のための省エネ診断(OJT
も含む)による省エネ技術提案:H27 年 1 月)、ベトナム(産業分野の省エネ診断による
省エネプロジェクト提案:日程未定)の 3 カ国で実施することになった。しかし、ベトナ
ムからの具体的な事業提案がなかったため、当会議で申請のあったインドネシア(食品産
業における省エネ診断(OJTも含む)と省エネプロジェクト提案:H26 年 12 月)での実
施に変更した。又、マレーシアでの活動は日本企業からの要請もあり、国立病院が省エネ
診断の対象となったことで、実施のための各政府機関内の承認手続きに時間を要し、2015
年度に延期することとなった。よって、本年度のスキーム2はタイとインドネシアの 2 か
国で実施した。
AJEEP スキーム 3 については省エネ法制度構築のためのワークショップをカンボジア
(H26 年 12 月)、ラオス(H27 年 1 月)及びミャンマー(H27 年 1 月)の 3 カ国で実施
することになった。
受け入れ研修(ECAP)については 3 回実施する方向で検討することとなった。
ECAP5:省エネ法制度構築をテーマ
ECAP6:空調機の省エネ基準とラベリング制度の調和
ECAP7:ASEAN Energy Award(ASEAN のエネルギー関連表彰制度)の省エネビル部
門(グリーンビル分野も含む)とエネルギー管理部門の評価基準の改定に関する研究会
2.スキーム 2 関連(省エネプロジェクト推進強化など)
(企画検討項目2.1及び2.3に基づくき実施)
(1)専門家派遣
実施計画通りタイ(鉄鋼産業)及びインドネシア(食品産業)の 2 カ国において、省エ
ネ技術・設備をテーマとしたワークショップや省エネ診断などに専門家派遣を行い、省エ
ネプロジェクト提案及び日本の省エネ技術の普及促進活動を実施した。活動実施に当たっ
ては JASE-W や日本鉄鋼連盟、日本工業炉協会の協力を得て、専門家を派遣した。マレー
シア(ビル:政府系)の省エネ診断も計画していたが、来年度以降に延期となった。
タイでは鉄鋼業で唯一リジェネバーナーを有する Kasemsakdi 社(電炉圧延)での省エ
ネ診を実施した。日本からは工業炉関連企業及び協会含め 8 名参加。日本の経験をもとに
電気炉、加熱炉での省エネ改善提案を行った。電気炉では具体的な酸素の運用方法の改善
などによる原単位改善などを提案した。加熱炉ではバーナー空燃比、各部の温度管理によ
る省エネ改善提案を行った。リジェネバーナーはその効果を確認した上で、日本メーカー
の技術、経験をもとに更なる省エネ改善の提案を行うことができた。
インドネシアの食品産業では、熱関連設備の石炭ボイラーの蒸気を有効利用する差圧発
電機導入の検討を、またボイラーの操業効率条件調整によるエネルギー効率改善の検討を
提案した。電気関連設備では各モーターのインバータ化による省エネ効果を具体的に試算
Ⅱ-6
し、導入の検討を提案した。
加えて、これら活動を通し、省エネ診断指導により関係者の人材育成を図ると共に、ワ
ークショップを実施し、関連技術及び政策・制度に関する情報の供与も含めて省エネビジ
ネス基盤の構築が出来た。
(2)受け入れ研修(ECAP6 及び ECAP7 の実施)
①
ECAP6 の実施(平成 26 年 11 月 20 日~11 月 28 日)
S&L に関する現在進行中のさまざまな ASEAN・日本間の国際協力プログラムにつ
いて理解を深めること、さらに小集団討議を通して家電製品や設備に関する新技術・
新システムを通じて日本の省エネ 改善アプローチを学び、ASEAN の中での S&L に
関する基準調和を進めることを目的とした。
 ブルネイを除く 9 カ国から 16 名が参加した 3 日間のワークショップでは参加者
及び日本の専門家間で非常に有意義な討議と意見交換が行われた
 集団討議を通して各国の置かれている立場の違いが共通認識され、課題が整理さ
れ、ASEAN 省エネラベルのあり方を検討することになった。
②
ECAP7 の実施(平成 26 年 12 月 15 日~12 月 18 日)
「2014 年のエネルギー管理優秀事例表彰」及び「2014 年の省エネルギー優秀ビル
表彰」の結果を再検討し、今後の評価手法の改善内容を決定した。合わせて ASEAN
エネルギー表彰制度の新部門(省エネ機器部門等)の導入に関する協議を行った。
 ASEAN の両表彰制度の評価委員会の ASEAN 各国の評価委員(各国 2 名参加、
ブルネイ 2 名とミャンマー1 名は欠席で総数 17 名が参加した。
 日本の「ビルの環境性能評価方法」である CASBEE の内容の理解などが深まり、
また表彰制度の評価方法の改善にも繫げることができた。
 ASEAN における省エネルギー導入に関する国民意識を変えるための重要な活動
1 つである表彰制度の一層のレベルアップに貢献できた。
3.スキーム 3 関連(省エネ推進基盤の国別格差の縮小)
(企画実施項目2.2及び2.3に基づき実施)
(1)専門家派遣
実施計画通り、CLM3 カ国への専門家派遣(各国 3、4名)を行い、ワークショップの
開催を通じて上記の「アクションプラン」実施状況を確認し、実施チームが抱えている問
題の解決策に関する情報提供を行った。カンボジアは新たに発足した MME(鉱山エネル
ギー省)を主体とした省エネ推進国家組織の確立と省エネ政策策定、ラオスは MEM(エ
ネルギー鉱山省)の省エネ規則案の認知や国家省エネ委員会の組織化及びエアコンの省エ
ネ基準・ラベリング制度の策定、ミャンマーは新たに発足した工業省工業総局省エネ部を
主体とした省エネ啓蒙活動、既に文書化した省エネ法案に基づく諸規定の準備とそれぞれ
Ⅱ-7
実施状況は異なるが、各国とも 3 年間のアクションプランが完成し、省エネ政策、省エネ
法規則、省エネ基準等の制度構築のためのタスクフォースが組織され、優先順位を決めて
活動している。
また ASEAN 省エネ先行国も CLM 各国に専門家を派遣協力して ASEAN 先行国での省
エネ法制度構築に向けた経験・事例を紹介し、ASEAN 間での相互の支援体制と人材育成
の基盤が構築できた。この相互支援システムは ASEAN 独自のものとして多事業にも取り
入れられている。
(2)受入れ研修(ECAP5 の実施)
実施計画通り、昨年度に最終化した上記の「アクションプラン」(3 年計画)に基づいて
策定した計画を実施するために受け入れ研修(ワークショップ)を 1 回行った。
 被支援の CLM3 カ国及び今回被支援に回ったブルネイから 11 名、支援側の ASEAN6
カ国から 5 名(マレーシア不参加)がそれぞれ参加して、AJEEP Scheme3 の下、有
益な討議が行われた
 CLM は省エネ法制度構築に向けた3ヵ年行動計画に基づく短期詳細計画を策定した
 ブルネイはエネルギー白書に基づく省エネルギー政策としてエネルギー管理制度に係
る3ヵ年行動計画を策定した
 支援国を2つのグループに分けて、被支援国と集中的なグループ討議を行う場を設定
し、両者間での有意義な意見交換や、支援国側の効果的な助言・示唆の提供につなが
った
本研修には CLM3 カ国(各国 3 名)に加え、アドバイザーの立場で省エネ制度構築先行
国である 5 カ国(インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)から各 1
名招聘した。またブルネイは CLM 諸国よりは先行しているが、現在、省エネ法制度構築
中であることもあり、アドバイザーとしてでなく助言される立場で 2 名を招聘した。
研修においては、講義のみならず、工場・ビル訪問・見学、グループワーク等により、
日本の優れた省エネ政策、法制度の実施状況を紹介しつつ次年度の効果的な活動につなが
る短期詳細計画が策定できるよう誘導した。
4.2014 年度 AJEEP 事業の総括と来年度の基本方針を協議する Summary & Post Workshop
開催
(企画検討項目2.4に基づき実施)
2014 年度の ASEAN AJEEP の活動を終了するにあたり活動内容を総括する Summary
& Post Workshop を開催した。この Workshop は本事業の 1 年間の活動の成果及び今後の
方針を協議する場であり、毎年度末に開催している。
ここでは AJEEP 事業を Scheme2、Scheme 3 及び ECAP の3セッションに分けて協議
した。また来年度以降の計画の討議については、今後の新たな AJEEP 事業に対する
ASEAN の EE&C-SSN(省エネに関するサブネットワーク)のフォーカルポイント(FP)
Ⅱ-8
の要望・期待を発表してもらい、その内容を議論して、基本的な方向性を確認した。
Workshop では 2014 年度の活動の成果を評価し、2015 年度も内容の一層のレベルアッ
プを図った計画・実施を行うことと、特に下記の点について確認した。
①
Scheme 2 について
各国での活動成果に関する情報を ASEAN 内で共有するため、国際セミナーでの報
告や WEBSITE を利用した情報発信を行なう。又、来年度の活動実施国は未実施のマ
レーシアとベトナムに優先権を与える。
②
Scheme 3 について
この Scheme の事業も 3 年が経ち、総括すべき目標年度を迎え、CLM 各国とも具
体的で実質的な成果と今後のアクションプランを作成し、EE&C-SSN の会合で報告
する。その報告をベースにこのスキームでの活動の継続を考える。基本的な方向とし
て、スキーム2への移行を進める。
③
ECAP について
ワークショップの内容は ASEAN からも提案したい。特に、運輸分野の省エネ法制
度やビルの省エネ基準などを研修テーマに加える。
4 月に実施される EE&C-SSN の会合で、ECCJ より今回の Summary &Post Workshop
で協議され、了承された内容をもとに、来年度の AJEEP の事業計画について提案し、協
議することになった。
以上の活動を成功裏に完了することが出来た。その成果については表Ⅱ-1-1.に纏
めた。又、AJEEP 事業の詳細活動報告はⅣ章で行う。
Ⅱ-9
表
Ⅱ-1-1. ASEAN における活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
定量的な成果(数値化できる成果)
AJEEP 事業が本年度は 3 年目となり、日本が中心となって支援するスキーム2、スキーム
3及び日本研修は計画以上に実施出来た。
(1)スキーム2:産業分野を対象にタイ国(鉄鋼産業)とインドネシア(食品産業)で活動を実
施した。ビル分野での活動をマレーシアで計画していたが来年度に延期となった。
タイでは政府や民間企業・団体(タイ鉄鋼連盟、鉄鋼企業等)と日本の民間企業団体
(JASE-W、日本鉄鋼連盟、日本工業炉協会)の協力を得て、タイの鉄鋼工場の省エネプロジ
ェクト形成(電気炉の改修、リジェネバーナー導入)を目的に省エネ診断とワークショップを
実施した。
インドネシアでは、パーム油の精製工場にて、熱関連では既設ボイラーの蒸気を利用した小
型の差圧発電機導入による省エネ、及び各種ポンプへのインバータ導入による電力の省エネを
提案した。
両国とも関連技術や政策・法制度に関する情報の供与も含めて省エネビジネス基盤の構築が
出来た。
(2)スキーム3:CLM3 ヵ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の省エネ政策、法制度やエネ
ルギー管理システム構築に向けたワークショプやエネルギー管理研修と現場でのエネルギー
管理実習を計画通り実行した。日本での研修で作成した 3 ヵ年アクションプランに基づく短
期詳細計画を効果的に実施するために、CLM の国内ステークホールダー間で関連情報と問題
意識の共有化を図り、今後の取組み体制を確立させた。
また ASEAN 省エネ先行国が CLM 各国に専門家を派遣協力して自国の省エネ法制度構築に
向けた経験・事例を紹介し、ASEAN 間での相互の支援体制と人材育成の基盤が構築できた。
(3)受入研修:
・ECAP5 では CLM 各国は省エネルギー法制度構築に向けた3か年詳細行動計画を策定。
・ECA6 では家電製品や設備に関する新技術・新システムを通じて日本の省エネ 改善アプ
受入研修生数:97 人 (H16 からの累積は 1,457 人)
累積数を含め二国間協力対象国で計上した参加者および東
アジア省エネ推進機関数向け研修の参加者を含む。
ASEAN の AJEEP ECAP Project としては今年度の 3 回を含
め、PROMEEC Project から数え 18 回目となる多国間研修
に ASEAN 各国の省エネルギー政策推進実務者を 10 カ国 55
人招聘し育成した。
ローチを学び S&L に関する基準調和を進めることができた。
・ECAP7 では ASEAN 内のエネルギー管理及び省エネルギー優秀ビル表彰制度の評価結果を元
に評価基準の改善を行った。
Ⅱ-10
派遣専門家数:29 人回(H16 からの累積は 349 人回)
(活動国)
スキーム2:2カ国(タイ、インドネシア)
スキーム3:3 カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)
スキーム2の実績:
・現地セミナー参加者数:82 人(H16 からの累積で 4927 人)
・産業診断 OJT 参加者:35 人 (H16 からの累積で 442 人)
・ビル診断 OJT 参加者:0 人 (H16 からの累積で 350 人)
スキーム3の実績:
・省エネ政策・法整備のためのワークショップ:64 人
・エネルギー-管理研修参加者:78 人 (H19 来の累積で 845
人)
・省エネ診断 OJT:55 人(H24 からの累積で 102 人)
これら育成した人材による活動は、ASEAN エネルギーー協力活
動計画(2010-2015)で目標とする 2015 年までに ASEAN 全域で
8%の省エネ(2005 年比)を達成するための基盤作りに貢献して
いる。この目標の達成は実現できるとの報告を受けている。
図
Ⅱ-1-1.
図
AJEEP 事業の 3 つのスキーム
Ⅱ-1-2.
AJEEP スキーム2
Ⅱ-11
図
図
Ⅱ-1-3.
Ⅱ-1-4.
AJEEP スキーム3
AJEEP プロジェクトの実施体制
Ⅱ-12
Ⅱ-2.
インドネシア
Ⅱ-2-1.状況分析と実施方針
(1)インドネシアは、2008 年の省エネ規則施行後、関連法制度の整備は少しずつ進捗し
ているもののまだ整備状態は不十分であり、地方政府を含む行政体制の下での省エネ
政策実施体系の充実が必要な状況にある(Ⅰ-3の段階-2)。
(2)2020 年までに二酸化炭素排出量を自国努力で 26%削減するとの国際公約を発表し、
政府関係者の省エネ対策推進への関心は高くこれを重要項目としている。一方、エネ
ルギーに係る価格補助制度があること等から、民間における省エネマインド・投資意
欲は一般的にまだ高くないが、補助金の削減が進んで電力始めエネルギー価格は上昇
しており、省エネの必要性・インセンティブが高まっている。
(3)このような中、日本との間では経済連携協定 (EPA)の一環として、2008 年度から同
国の製造業の競争力強化を支援する MIDEC (Manufacturing Industry Development
Center) イニシアチブのプログラム等が実施され、この中で省エネ協力も行われた。
その成果として、ESCO 導入を含む産業部門の省エネ推進の政策担当官や省エネプ
ロジェクト形成の中核人材が育成された。
加えて、4 年前に設立されたエネルギー鉱物資源省の新再生エネルギー・省エネル
ギー総局の新任担当官の資質向上を通じた省エネを始めとするエネルギー政策の改善
に貢献した。
(4)従い、上記成果を踏まえて、エネルギー管理体系の構築を通じたエネルギー多消費産
業の省エネを推進するため、ビジネス環境の改善を含む制度面の整備を目指した。
電気代の急速な上昇などで、特に、鉄鋼、製紙、セメントなどの産業において省エ
ネニーズが高く、政府においては ESCO 導入・活用に関心が強い。この実情に基づき、
ISO 50001 に基づくエネルギー管理体系構築とこれらを通じた省エネプロジェクト形
成のモデル工場作りと、この活動成果に基づく省エネ政策・制度改善の検討を方針と
した事業を実施した。
Ⅱ-2-2.企画検討
エネルギー多消費産業の省エネ推進を目的とする事業として、2013年度の成果に基づき
以下の事業プログラムを企画し、現地での専門家派遣による調査や助言、また日本に各事
業の中核となる人材を受入れて課題を把握し解決のための助言と、更なる活動計画を策定
した。なお、産業部門の省エネ推進に係るプログラムは工業省、省エネ政策や規制等の制
度改善に係るプログラムはエネルギー鉱物資源省をカウンターパートに両省の連携を取っ
て実施した。
Ⅱ-13
(1)ISO 50001に基くモデル的エネルギー管理システム構築パイロットプログラム
工業省をカウンターパートとして、専門家派遣と受入研修により実施する。
具体的には、エネルギー多消費産業の省エネを目的に、鉄鋼、紙パルプ、セメントなど
の産業の協力工場において、ISO 50001に基づくモデル的なエネルギー管理システムを構
築し、その運用により把握される省エネ対策のうち可能な対策を実行し、エネルギー管理
システムの機能を実証する。この活動を通じて、省エネの実効を上げるパイロットプロジ
ェクトの形成を目標とする。
このための情報と助言を提供し支援する。エネルギー管理システムの運用に対しては、
以下のようなエネルギー管理ツールの導入と活用により体系だった省エネ推進ができる事
を目指す。
○エネルギー・物質収支-コスト管理データベース
○日本の判断基準を参考とする省エネ指針
○エネルギー管理標準
○省エネ対策の体系的な選定のための分析手法
また、省エネプロジェクトの形成に関しては、JASE-Worldを通じた適切な日本企業の
参加を考慮した取組みとする。
プロジェクト検討が進展する場合は、該当するインドネシアの協力工場と日本企業によ
る個別ビジネスとして切り離す。
(2)エネルギー管理とこれに基づく省エネルギー促進のための政策・制度の整備
工業省の事業と連携し、エネルギー鉱物資源省をカウンターパートとして、受入研修に
より実施する。
項目(1)の成果を普及するため、特に以下の適切で効果的な規制や支援策を改善・整
備する事を目指す。
○エネルギー管理に関する規制
○効果的な省エネ設備や技術導入の支援策 (ESCO導入のための支援を含む)
(3)ESCO導入のための施策整備
工業省をカウンターパートにして、項目(1)の事業の実施と並行してパイロットプロ
ジェクトの検討を行う。パイロットプロジェクトとしては、実施が容易で汎用的に普及で
きる省エネ対策(例えば産業部門にも共通するビル分野の省エネ対策等を検討する。)こ
のプロジェクト案の策定に関しても、日本企業の参加を求める。
上記項目(1)の事業を通じて形成されるプロジェクトのうち、ESCO方式を提案でき
るものがあればこれをパイロットプロジェクトにするよう検討する。
上記プロジェクト案に基づき、政府側の実施内容や支援策を検討する。
Ⅱ-14
インドネシアにおけるこれまでの実績を含む省エネ事業の全体像を図Ⅱ-2-1に、パ
イロットプログラムの事業概念を図Ⅱ-2-2.に示す。
3.実施結果の要約
下記にまとめる活動の結果、以下の進展を得た。
(1) 実質的に PDCA が機能するエネルギー管理体系構築の進捗
鉄鋼、製紙、繊維、セメント、食品の 5 業種・8 工場にモデル形成活動を拡張し、具体
的な活動として個別の分野と工場に適するエネルギー管理体系を構築している。参加
工場のうちグループ企業に展開したいとの要望も出て波及も期待できる。
更に、物質収支-コスト管理データベース、エネルギー管理標準等のエネルギー管理
ツール(*)も導入され効果的エネルギー管理の実践の礎も出来つつある。
(2) 省エネプロジェクトの形成
上記の活動の進捗に伴い、項目(2)のビジネス展開に繋がっている提案を行った。
各工場のエネルギー事情や管理活動の実態及び設備やプロセスの技術の実態を把握し、
各協力工場の関係者と協議して基本改善対策を提案。
特に、電気料金を始めとしてエネルギー価格の急速な上昇による製造コスト上昇が経
営を圧迫しつつあり、提案や提言はこの緊急の対策を含む。活動の一部に ECCJ チー
ムとして日本の企業が参加して具体的な提案を行った。
提案項目
(2)-1.ガスエンジンコ
ジェネの導入
提案
者
H社
(2)-2.圧縮空気供給シ
ステム最適化
A社
(2)-3.蒸気システムの
損失防止
T社
(2)-4.製鋼用電気炉の
省エネ対策
S社
分野・メリット
鉄鋼
・高発電効率で電力の安価化
・排熱の空調利用
セメント及び鉄鋼
・電力消費量削減
(圧縮空気供給設備の統合管理
と圧縮機運転の最適運転制御)
製紙及び繊維
・燃料使用量削減
(スチームトラップ等の漏れ防
止、コンデンセート回収率向
上や蒸気加熱設備運転方案改
善)
鉄鋼
・電力使用量の削減
(酸素吹込み設備改善、公害防
止型排ガス-スクラップ予熱
設備導入)
状態
入札
失注 (価格)
客先仕様に課題
事業化の調査中
(現地法人駐在技
師を通じ)
第 1 段階として、
詳細な提案内容や
メリット試算の為
の診断調査を提案
中
総合的な Pre-FS
を検討中 (差別技
術なるも投資額大
のため)
上記の殆どは本プログラムの適切なプロジェクト形成に向けた対策であると評価する。
省エネルギーセンターは、上記の提案を含めインドネシアのエネルギー多消費産業に有効
Ⅱ-15
な対策を次のような提案として広く波及したいと考える。
提案対策
石炭ボイラー設備の
効率化を含むコジェ
ネレーションシステ
ムの導入
ガスエンジンコジェ
ネレーションの導入
圧縮空気や窒素など
の気体供給設備の効
率化
(類似案件)
用水供給設備の効率
化
蒸気供給システムの
効率化
排エネルギーの回収
個別機器の効率改善
分野・メリット
製紙、繊維、食品等
・石炭使用量削減
・高価な電力購入量削減
(燃料管理を含む燃焼制御、微
粉炭焚き等高効率石炭ボイラ
ー導入、発電設備導入等)
鉄鋼、セメント等複数の業種
や工場と複合する商業施設等
・高発電効率で電力の安価化
・排熱の空調利用
エネルギー多消費産業全般
・電力使用量削減
(圧縮気体等供給設備の統合管
理と圧縮機運転の最適運転制
御、可変量制御や電動機含む
高効率機器への更新 (仕様・数
量見直しも含む)、配管圧損低
減を含む輸送系の効率化)
製紙、繊維、食品や石油精製
など複数業種
・燃料や用水の使用量節減
(燃焼制御を含むボイラの効率
改善化、配管設計や機能の高
いスチームトラップ等や保温)
エネルギー多消費産業全般
・燃料や電力使用量の削減
(排ガスの顕熱や潜熱の回収設
備、背圧利用設備等)
エネルギー多消費産業全般
・燃料や電力使用量の削減
(操業改善の提案から派生する
用役等の可変量供給制御や燃
焼制御及び排ガス・廃棄物発
生量削減対策)
条件や特徴等
工場側条件で下記対応
可。
・以下による総合的対応
総合エンジ、計測制御
ボイラ等蒸気設備
・個別対策提案も可能。
天然ガスが利用可能。
価格が安価なほど有利。
工場側条件により自由度
の高い提案が可能
既存設備の改善や更新等
工場側の条件を考慮した
提案が可能。
(加熱設備の蒸気要求量に
基づくバランス適正化提
案も含む。)
工場条件により多様で複
合的な提案が可能
エネルギー管理の実践活
動と組み合わせて実現が
容易な提案を多くでき
る。
(3) 項目(1)と(2)に基づく政府の規則や支援策設計等の案の検討が進捗
(工業省)
二酸化炭素の排出実績をオンライン監視するための規則策定
工業省ビルの省エネ対策の ESCO パイロットプロジェクト検討
(エネルギー鉱物資源省)
エネルギー管理規則の改善(省エネ指針やエネルギー管理標準策定義務化)
省エネ投資支援策の設計(現在実施中の公共照明効率化支援策を事例に検討)
活動結果の要約
2014 年 2 月に鉄鋼と紙パルプ分野の各1箇所の協力工場で ISO 50001 に基づくエネル
Ⅱ-16
ギー管理システム構築パイロットプロジェクトの活動を開始した。
今年度、更に参加する対象業種と協力工場を拡張した。その結果、鉄鋼分野の 1 工場、
紙パルプ分野の 3 工場、セメント分野の1工場、繊維分野の2工場そして食品分野の1工
場の5業種8工場の協力を得てでこのパイロットプログラムを実施している。その進捗を
以下にまとめる。
(1)
2014 年 2 月に活動を開始した鉄鋼工場では活動が以下のように進捗した。
●ISO 50001 の要求に沿いエネルギー管理体系が構築されつつある。
●日本側の提案に基づく省エネプロジェクトが形成され一部入札が行われた(*)。
(*) ガスエンジンコジェネレーション導入プロジェクト
(2) 2014 年に活動を開始した製紙分野・繊維分野の各 2 工場でも順調に立上がった。
●ISO 50001 の認証を取得した繊維工場では ISO 50001 に忠実に活動を展開
●日本側の提言によりエネルギー・用役供給システムの省エネプロジェクトが形
成されつつある。(発電・熱エネルギー供給のための蒸気システムの省エネや圧縮空
気システムの省エネに関するプロジェクト等)
●4工場とも同じ地区にあり工場間の協力体制が構築されつつある。
●1繊維工場から同社のグループ企業への展開の提案があり実施方案を検討中。
(3) 以下のエネルギー管理ツールが導入され工場での定着に向け試用を開始した。
●エネルギー・物質収支-コスト管理データベース
●エネルギー管理標準
(4) ESCO パイロットプロジェクトの検討を実施中。
●工業省のビルの省エネ対策をプロジェクト案として調査・提案した。
●政府施設での実施のための予算等の課題を明確にし解決策を工業省が検討中。
更に、上記の事業の進展に基づき、エネルギー鉱物資源省の事業との連携を図るため、
以下を実施した。
即ち、今年度エネルギー鉱物資源省とは過去 3 年間に実施されたエネルギー政策の改善
をや整備をテーマにした受入研修の成果に基づき、省エネをテーマにするワークショップ
を日本で実施した。かつ工業省とのエネルギー管理体系構築パイロットプログラム等との
連携を取り、以下の法制度等の改善をテーマに取り上げこの活動計画を策定した。
(1) エネルギー管理規制の改善
(2) 省エネ推進のための有効な省エネ設備や技術導入を促進する支援策の設計
なお、工業省は前述の事業を通じて工業省として目標とする二酸化炭素排出量削減のた
めの報告書提出をエネルギー多消費産業の工場に義務付ける規則の草案を策定している。
以上事業の成果を 表 Ⅱ-2-1.に示す。
Ⅱ-17
図 Ⅱ-2-1. インドネシアの省エネ事業の全体像
大統領:国家目標
C O 2 26 %↓('20)
省エネルギーセンター 国際人材育成センター
エネルギー価格補助
削減ブループリント
政策・法制度の整備
産業部門の省エネ対策実施
エネルギー鉱物
資源省 (MEMR)
工業省
JCM ( 二国間オフセ ット ク
レジット ) 制度構築
MEMR 政策人材育成
研修 H24 2月、9月
日尼EPA
CO 2 削減Ro ad Map ( - 2 0 2 5 )
エネルギー法
( Law N o .3 0 2 0 0 7 )
NEDO
実証事業
産業部門のCO 2 削減( 省エネ始め)
省エネルギー規則
( N o .7 0 TAH U N 2 0 0 9 )
国家エネ ルギー計画
( 新・ 再生エネルギー
他重要事項)
エネルギー管理制度
報告制度含む
訓練センター
カリキュラム
エネルギー管理士・診断士
の育成・認証制度
管理標準・判断基準
現在の課題
付帯規則整備
省エネ投資促進優遇制度
JICA
開発調査
エネ ルギー多消費産業の省エネ 推進
( 効果的な 技術や設備導入)
国家省エネ プログラム
(2005-2025)
適切な連携による
政策マッチング
MO I によるハ ゚イ
ロッ トプロジェクト ( 鉄鋼・ 製
紙)
( 鉄連、JASE- W等と連携
可能)
エネ ルギー多消費産業 EMS
構築ハ ゚イロッ トプログラム支
援・ 省エネ 技術導入推進
ISO50001に基づくEMS
導入と現実的な効果的技術
ESCO 導入施策・ ハ ゚イロッ ト
プロジェクト検討
罰則
MI D EC I n itiative
( 2 0 1 2 年度に終了)
産業省エ ネ
推進・ ESCO
導入検討
省
エ
ネ
自
動
車
鉄
鋼
製造産業競争
力向上(13分
野)
その他10分野・ ・ ・ ・ ・
中核リーダー2 0 名の育成とチーム組織
ESCO 協会設立
MIDEC人材育成セミナー(H24 2月)・
MIDEC HL セミナ H24 7月 H25 6月、
研修 H24 9月、現地セミナ H25 2月
JAESCO / JASE- Wと連携
( 業務用含む案件化)
Gre e n Aid Plan
( GAP)
省エネ
環境保全・3R
鉄鋼・ 製紙等産業用 省エ
ネ ガイドライン策定・ 普及
執行体制
ゴム産業向け省エネ ガイドラ
イン
DSM
ラベリング制度
その他付帯制度
付帯規則整備
MIDEC人材育成
セミナー(H24 2月)
・省エネガイドライン紹介・普及
支援
ゴム産業省エネ 推進基盤整備
( 温暖化防止等大気公害防止含む)
・ エネ ルギー管理者・ 診断技術者育成
・ 省エネ ガイドライン策定
・ 普及の仕組み構築
専門家現地準備 (H24 11月末)
研修(H24 12月)
・省エネガイドラインの内容最終化
・普及システム構築計画策定
水質管理成功モデル
公害防止管理
ゴム産業:GAPKINDO 者制度構築
州政府
省エネ規則執行に必要な条
例整備や執行体制構築等
(*) MIDEC : Manufacturing Industry Development Center Initiative
Ⅱ-18
図
Ⅱ-2-2. インドネシアのパイロットプログラム等の事業概念
プログラム – 1
産業協会や企業による
エネルギー多消費産業における
協力工場でのモデル的エネルギー
管理体系の構築
政府による
エネルギー管理ツール
プログラム – 2
政府による
規制や支援策
日本企業
の参加
ESCOパイロットプロジェクト
の設立と実施
各産業部門
での普及
エネルギー・物質収支&
コスト管理データベース
P-D-C-A ポートフォリオ
サイクル
分析
エネルギー管理
エネルギー
管理等の規制 体系構築
(ISO50001)
- 指針
- 管理標準
- 報告義務
プログラム – 3
指針:“判断基準”
エネルギー
管理標準
マニュアル
(操業等)
Ⅱ-19
パイロット
省エネ
プロジェクト
(エネルギー
管理体系
機能検証)
支援制度
ESCO
パイロット
プロジェクト
ビルの
省エネ
- 補助等
- 技術指針
- 優秀事例
表彰制度
共通的な設備
表
Ⅱ-2-1.インドネシアにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
定量的な成果(数値化できる成果)
(1)2004 年来の協力の結果、日本の省エネ法も参考とした省エネルギ
ー規則が 2009 年末に施行し、エネルギー管理士制度や支援制度等
の付帯制度を大臣令として整備を進めている。
(2) ゴム産業における省エネガイドラインを完成させ、インドネシア
ゴム協会(GAPKINDO)傘下の 130 以上の工場に普及し活用され
ている。工業省は、鉄鋼やセメントなど他のエネルギー多消費産業
向けにこれをベースにした省エネガイドラインを策定し普及。
(3) インドネシア政府が目指す ESCO 導入に関し、政策や制度及び
実務面での工業省を中心とする官民の推進中核リーダー20 名と
約 50 名の現地リーダーが育成された。また、ESCO パイロット
プロジェクトの検討を行っている。((4)のプロジェクトとも連携)
(4) エネルギー多消費産業(鉄鋼と紙パルプ)で ISO50001 に基づく
エネルギー管理体系構築パイロットプログラムの実施を開始し、セ
メントや繊維及び食品分野に拡張した。この活動に日本企業も参加
し省エネプロジェクト案件が形成されつつある。
(5) エネルギー鉱物資源省の新再生エネルギー・省エネルギー総局や
電力総局等エネルギー政策担当官の政策立案執行能力が改善され
た。その結果、エネルギー政策の改善に資する計画案が策定され、
今後の実現が期待される。更に、上記産業部門の省エネ推進のため
にエネルギー管理の規制改善や省エネ推進のための支援策の設計等
の計画案が策定された。工業省の事業との相乗効果を期待する。
受入研修生数:36 人 (H16 からの累積は 354 人(多国間含む))
二国間研修として
・工業省と鉄鋼、紙パルプ、セメントや繊維分野の産業団体関係者とパ
イロットプログラムの協力工場の関係者を対象に、エネルギー多消費
産業の省エネ推進ため、ISO50001 に基づくエネルギー管理システム
の構築とこのための管理ツールの導入及び管理システムの運用に基
づく省エネ技術導入のためのプロジェクト形成に資する人材 21 人を
育成した。
・エネルギー鉱物資源省の新エネ・省エネ総局と電力総局の関係者を対
象に、工業省の事業と連携して、エネルギー管理強化に必要な規制の
整備や省エネプロジェクトの促進のための支援制度の設計を検討す
るための政策担当官 10 人を育成した。
派遣専門家数:16 人回 (H16 からの累積は 134 人回(多国間含む))
・鉄鋼、紙パルプ、繊維及び食品産業に活動を拡張し 8 工場で省エネ推進
のための ISO50001 に基づくエネルギー管理体系構築パイロットプロ
グラムを実施中。エネルギー管理ツールも導入試用され、活動を通じ
ガスエンジンコジェネレーションの導入等の省エネプロジェクトも
形成されつつある。このための助言を行い支援した。
これら人材による制度構築や活動は、制定された国家省エネルギーマス
タープラン (2005-2025)で設定するエネルギー原単位削減目標 1%/年と、
国家の 2020 年までに CO2 排出量 26%削減の目標を達成する事に貢献
している。
Ⅱ-20
Ⅱ-3.ベトナム
Ⅱ-3-1.状況分析と実施方針
(1)ベトナムでは、省エネ法が2011年に施行され、その執行のための制度構築を進めて
いる段階である。例えば、近時の経済成長の中で省エネが必要となってきたことから、
省エネ法において指定する事業者にエネルギー診断を含むエネルギー管理を義務付
けている。
(2)また、近時は経済活動の活発化に伴い消費水準等も向上し、冷房需要が増大している。
この中で省エネビジネス機会も拡大しつつある一方、同時にこの為の国民の理解と意
識向上が急務である。このため、エアコンを始め家電の性能基準の導入が制度として
スタートしているが、認証・測定機関の不足、ラベリング運用方法等未整備など執行
面で課題がみられる。
(3)日越間では、エネルギー対話やGAP(Green Aid Plan)等エネルギー部門間の協議が
行われている。この枠組みにおいて、これまで、ECCJは以下の協力を通じ成果を上
げた。
● 省エネ法の策定:商工省等省エネ推進担当の政府機関に対する情報提供や助言。
● 省エネ法執行に必要な制度構築・整備:エネルギー管理指針や判断基準の策定に
係る支援。
● 省エネ診断員の能力向上支援:省エネ診断OJT、セミナー、ワークショップを
実施。 (対象は各地の省エネセンターや民間企業の省エネ診断技術者)
● これらの一連の活動をうけて、省エネルギー研修センター設立プロジェクトが開
始された。(2013年開始のJICAプロジェクト)
● エアコンの省エネ性能評価:日本仕様の導入促進の観点を含め測定及び評価基準
の策定を支援。
(4)以上からベトナムに対しては、省エネ法の円滑かつ確実な執行を実現するために以下
に重点を置く。
● 省エネ技術や設備に関する情報提供及びこれらの技術や設備の導入を促進する為
の支援制度の整備。
● ラベリングの運用を含めこのための国民意識を向上させる施策の確立 。
(上記の実施に際しては、JASE-Wの活動とも連携して日本のビジネス機会の拡
大に十分配慮する)
Ⅱ-3-2.企画検討
(1)省エネ関連制度整備のための受入研修及び専門家派遣
日本の省エネ製品の導入・普及を意識しながら、エネルギー管理の指針や基準の策定と
実施に資する 高効率機器導入の促進(ラベリング制度の運用方法含む)のための優遇税制
Ⅱ-21
など金融面での支援制度、優秀事例表彰など省エネ促進のための制度確立を支援する。こ
のために、以下のテーマで受入研修(1回実施)および専門家派遣を行う。
(テーマ)高効率機器などに対する税制優遇などの金融的支援制度
優秀事例表彰制度などの促進策確立支援
エネルギー診断士養成のための支援
エネルギー管理の指針や判断基準の策定支援
ラべリング制度運用確立のための人材育成
基準に関する製品認証試験所の拡大(タイなどの試験所の活用を含む。)
Ⅱ-3-3.実施結果の要約
(1)上記計画に基づき、ベトナム商工省の省エネ政策担当者および地方局の省エネセンタ
ー・担当者等12名を招聘し、日本のエネルギー管理システムに係わる省エネ関連技
術・製品導入に繋がる適切な政策・制度を整備・実施する事を目指した受け入れ研修
を実施した。
(2)研修の重点課題は下記とした。
①
省エネ促進のための優遇策や促進策の整備:
エネルギー効率の高い設備や技術の同定と導入促進のための補助制度等の事例を
学びベトナムでの実施計画を立案させる。
②
業界別事例紹介:
指定された業界での省エネ対策を紹介し、好事例をベトナム国内で実施に向け具体
的に検討させる。JASE-World会員企業(旭硝子・東芝ライテック・日立造船)と意
見・情報交換も実施した。
(3)研修において、講義、工場見学、小集団討議等を通して作成された最終報告は、2016
年からの新国家目標を視野に入れた意欲的な提案、計画となった。
①
ベトナム国の省エネルギー中長期計画策定
・国家目標値についてエネルギー消費量削減率でなくGDP当たり削減率とすべき。
・包括的計画であるが、実現に向けた実際としては課題が多い。
・現状分析がスタートとなるが、指定工場からのデータ分析ができていない。この
ための人材育成が直近の課題として明確になった。
・ラべリングなど支援制度は良好であり、13項目6000品種を指定。
②
ベトナム国のエネルギー管理方針と判断基準
・年次報告はあるが、実施が不十分。
・法令に従った診断を実施。省エネセンターは14か所、地方局担当部署は43あり、
診断を実施。
・トップの参画がないことが問題。ISOのスキームを利用することや、トップを対象
Ⅱ-22
としたセミナー開催なども企画できないか。
・ベンチマーク策定のための教育・人材育成が必要。
(4)専門家派遣
エネルギー診断士の養成は、エネルギー管理士養成と合わせて、JICA支援のエネル
ギー管理研修センター設立プロジェクトにて進めているが、現在未完成である中、ペト
ロベトナム社から診断士養成のための専門家派遣の要請があり、ニーズ確認のため専門
家が出張した。実施時期が合わないため実現しなかったが、引き続き検討を継続する。
具体的な活動の定性的、定量的な成果を表
Ⅱ-23
Ⅱ-3-1.に示す。
表
Ⅱ-3-1.ベトナムにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
定量的な成果(数値化できる成果)
2004 年以来の研修・長期専門家を通じた助言の結果、日本の省エネ法
を参考にした同国の省エネルギー法が策定され 2011 年に施行された。
これは、国家省エネルギープログラム(2006-2015 年)の最重要案件
であり、重要な最初の段階を完了した。
円滑な執行に向けて、付帯制度の整備の進捗に貢献した。
規則整備が整い執行されている制度
(1) エネルギー管理制度(以下の資格制度や報告制度など)
(2) エネルギー管理士とエネルギー診断士の育成・認証制度
(3) ラベリング制度
受入研修生数:12 人 (H16 からの累積は 309 人)
省エネ法が施行され、付帯制度も整ってきているが、実施の現場では必
ずしも制度の通り執行されていない実態もある。
商工省や地方局の省エネルギーセンター担当 12 名を対象に、以下を策
定し帰国後の整備に資する研修を実施した。
・エネルギー管理指針(判断基準や管理標準の整備)
・省エネ促進の支援制度(税制優遇や技術支援)及び表彰制度等促進策
商工省担当者と地方局担当者が、研修を通じて現状の問題点につい
て議論でき、特に中央・商工省担当と問題点を共有できたことが、今
後の活動に向け大きな成果となった。
派遣専門家数:1人 (H16 からの累積は 105 人回(多国間を含む))
今回の派遣は、本年度の受入研修の人員確認及び今後の研修内容に関す
る協議とペトロベトナム社から要請されているエネルギー診断への専
門家派遣についての調整であった。
(参考)JICA 事業との連携
上記人材による法整備をはじめとする制度整備や企業現場での取り
上記の制度整備の進展に基づき、2013 年 7 月にプロジェクトタイプ
技術協力として、「省エネルギー研修センター設立支援」の事業を 組みは、2006 年に規定された国家省エネプログラムで目指す Phase-2 期間で
JICA が開始し、この施設や人材を使ってより高度な資質を有するエネ ある 2011 年-2015 年に 5-8 %/年のエネルギー消費量削減向けての基盤整備
ルギー管理士や診断士の育成・認証が 2016 年より開始される予定であ に貢献している。
る。ECCJ は、この事業の委託を受け実施している。
Ⅱ-24
Ⅱ-4.インド
Ⅱ-4-1.状況分析と実施方針
(1)省エネ法など関連制度整備は進んでいる。産業分野についてはPAT(Perform, Achieve
& Trade)制度(注) による義務化が既に導入されている。
(注)PAT制度は、各産業分野について指定事業所のエネルギー原単位の目
標値と期限を設定し達成を義務付けるもので、達成できないときは、
未達成エネルギー分を過達成事業所からの取引により調達するか、ま
たは罰金を支払わなければならない。対象産業分野は逐次拡大予定。
(2)PATは、省エネ技術、設備導入につながる点からビジネスの観点からも期待される。
ただし地方機関等、制度実施部門の未成熟により運用においては課題があるとされる。
(3)ECCJは、これまでに
①
中小企業に対する総合エネルギー管理の導入協力
②
PCRA(石油節約研究協会)が実施するエネルギー診断普及・強化のための協力、エコ
ドライブなど運輸部門の省エネ協力(ECCJはPCRAと省エネの情報提供等のた
めのMOU
を締結)
③
各州地方政府における省エネ法執行のための指定機関(SDA)の人材育成協力
④
BEE (Bureau of Energy Efficiency -電力省エネルギー効率局)及びPAT対象産業に
対する省エネ技術やエネルギー管理手法の紹介、実施に向けた支援
⑤
インバータエアコン等、省エネ機器普及のための基準・ラべリング制度の支援、およ
び普及方策の情報提供
等を実施し、政府等各組織に協力関係を築いてきた。
さらに、
(4)2013年9月の政府間の日印エネルギー対話において、以下が確認された。
①
従来からの実績を踏まえBEE、PCRAとの間の省エネルギー関連協力を継続する
こと
②
地方指定機関(SDA)、中小企業、エネルギー管理士・診断士のための研修、人材
育成事業の継続
③
エネルギー消費の伸びが著しい鉄鋼、セメント、工作機械、運輸、インバータエアコ
ンなどの情報を共有し、更なる協力の可能性を検討するとともに、優れた省エネ技術普
及のための課題、解決策について定期的に議論すること
④
PCRAとのMOUを更新し、運輸部門の協力を継続すること
(5)2014年度においては(4)の各項目に沿って、日本の優れた省エネ製品・技術の導入
促進を意識しつつ本事業を実施することとする。
Ⅱ-25
Ⅱ-4-2.企画検討
(1)専門家派遣
・石油精製における簡易診断と技術交換会としてのセミナー
・エコドライブプログラム構築支援のための講義、実習
<PCRA>
<PCRA>
・SDAを対象としたPAT推進能力向上及び実施上の課題検討
<BEE>
(2)受入研修
・製油所の省エネ技術移転、技術情報提供
または火力発電における省エネ技術情報提供
<PCRA>
・運輸部門の省エネ(エコドライブ実習、トップランナー燃費規制等
<PCRA>
・PAT執行の円滑な対応と推進強化を図るため、この執行を担当するBEEおよびSDAを対象
に受入研修を実施することを提案する。
<BEE>
これにより日本の省エネ制度や省エネ技術に係る理解を促進するとともに、執行状況、課題
について情報共有を図り、省エネ技術の導入への道筋をつける。
(PCRAとBEEを対象にした受入研修を各1回実施)
Ⅱ-4-3.実施結果の要約
本年も、上記の「1.状況分析と実施方針」で述べた日印エネルギー対話で合意された内
容を考慮して、産業分野を対象としたPATプログラム推進の支援の検討および、運輸部門
の省エネルギー対策としてのエコドライブの推進について人材育成事業を実施した。
さらに、新たな取り組みとして省エネルギー機器としてのヒートポンプ機器の普及を図
るため、ワークショップを開催し HP に対する理解・知識向上と市場性の確認を行った。
PCRAとのMOUは本年も日印エネルギー対話での合意に基づきさらに1年延長し、
2015年6月26日までの契約とした。さらに本契約満期後についても一年延長することで
PCRAと了解している。
今年度実施済みの専門家派遣及び受入研修事業の概要は下記のとおりである。
(1)人材育成事業実施に関するBEEとの検討
PATスキームの執行状況を確認しつつ課題、今後に向けての見なおし方策などについて
議論を行い我が国として人材育成の面から支援可能性を探った。
BEEから実施状況のヒアリングを行った結果、PATは既に第一フェーズが終了しつつあり
各対象企業からのデータは提出されているものの、そのモニタリング、評価についての知
識、とくにSDA(地方政府組織)における人材が不足していることが明らかになった。
こ
れらの課題について我が国からの支援を求めたいとの要望が寄せられているものの具体
Ⅱ-26
的な実施項目の合意には至っていない。一方第2フェーズは2016年の実施予定であり、そ
れまでに第一フェーズの課題をクリアして次フェーズの実施に向けて準備する必要があ
ることから、今後の支援活動は時宜を得たものといえよう。
(2)運輸部門の省エネ推進のための受入研修
(運輸分野の省エネ)
運輸部門の省エネルギー活動推進支援のため、PCRA を対象とした受入研修を実施した。
インドにおいては運輸部門の省エネに関する省庁横断の国家プロジェクトが立ち上がり、
PCRA も政策提言が求められている。そこで、日印エネルギー対話の合意に基づいて、運
輸分野の省エネの一環として 2014 年9月16日~26日に政府関係者およびエコドライ
ブ研修実務担当者等、研修生 13 名を受入れてエコドライブの実習及び運輸部門の省エネ
に関するワークショップを実施した。
重点項目としては、
・運輸部門の省エネ方策の実際と課題解決(トップランナー制度など燃費規制や、省エネ
法に基づく省エネ推進方策等)
・最新省エネ技術の紹介(ハイブリッド車・電気自動車等に関する技術)および支援制度。
・インドにおけるエコドライブ研修定着のための人材育成(大型車のエコドライブ実習)
現在 PCRA はエコドライブ研修制度の構築・推進を計画をしており、特に日本でのエコ
ドライブ実習は、今後のインドにおけるエコドライブの実施、推進について大きな支援と
なったと評された。
また演習を通じて、インドに適した制度の確立、及び指導者の養成による推進体制の確
立を支援することを狙いとした受入研修を実施した。
(3)ヒートポンプ・ワークショップの開催
高効率機器であるヒートポンプの普及を図るため、ヒートポンプの効率性の紹介、導入
事例の紹介、市場性に関する討論を目的としたワークショップをBEEの協力を得てイン
ド・ニューデリーにて開催した。
インドにおけるヒートポンプ導入は非常に例が少ないことから、まずはその効率性の理
解、導入事例による効果説明、可能性の検討を行うことにより理解を図り、今後の普及を
支援する人材を育成していくことを狙いとしたワークショップを開催し啓発を進めた。
実施にあたってはTERIや日本のヒートポンプ蓄熱センター(HPTCJ)とも連携し幅広い
関係者と情報を共有することを狙った。
(4)BEEとMETIの会合参加
2013 年以来開催されていない日印政府間エネルギー対話の再開に備え、本年度の協力事
業を整理し成果を相互で確認するとともに、今後の協力案件検討のための課題発掘を行う
ことを目指して開催された。
Ⅱ-27
本会合において、ECCJ が別事業において進めてきたインバータエアコンの評価方式の
再構築については日印協力事業の成功例として評価されることが確認された。
また、ヒートポンプについても導入による費用対効果を示すことができれば BEE とし
ても支援策を検討することが確認された。
インドにおける活動の成果について表Ⅱ-4-1.に示す。
Ⅱ-28
表 Ⅱ-4-1.インドにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
1. 日印エネルギー対話並びに PCRA(石油節約研究協会)との間で締結した
MOU に従い、PAT 制度の推進に資する産業部門の省エネ及びエネルギー消
費の増加抑制が必要な運輸部門の省エネ活動に係る支援により、関係者の省
エネ管理や省エネ対策実施能力の向上に寄与した。
2. ヒートポンプの効率性と導入事例、最新技術の紹介など理解活動を行うこと
により、各分野における高効率機器であるヒートポンプの導入に向けての支
援を行った。
定量的な成果(数値化できる成果)
受入研修生数:13 人 (H16 からの累積は 388 人)
二国間研修
・PCRA や運輸部門の省エネ政策関係者等(13名)
運輸部門の省エネ方策の推進やエコドライブ研修推進のための知識経
験を伝えることにより運輸部門の省エネ方策推進者を育成した。
派遣専門家数:9 人回 (H16 からの累積は 80 人回)
・BEE,PCRA との事業課題検討及び事業実施調整 (4 人回)
・ヒートポンプ・ワークショップの開催 (4人回)
・BEE―METI 会合への参加 (1 人回)
上記活動は、2009 年 8 月に発表された 2015 年までに年間のエネルギー
消費量の約 5 %の削減を目指す国家省エネ目標達成に貢献している。
Ⅱ-29
Ⅱ-5.中国
Ⅱ-5-1.状況分析と実施方針
(1)中国は、2008年4月に施行された改正省エネルギー法の執行により同国のエネルギー
効率は大幅に改善されているが、エネルギー消費の増大から引き続き省エネは喫緊の
課題であり、更なる省エネ強化目標を設定されている。(Bの段階-2)
また、 PM2.5環境対策として、2013年に大気汚染防止計画が公表され、諸対策を検
討中である。
(2)一方、中国では、省エネ推進の観点から日本の状況も参考として省エネプロジェクト
の導入のための支援制度などビジネス環境の整備が進んできた。最近では特に新しい
技術・設備やスマートコミュニティ等の導入、エネルギー管理人材の育成等に力が入
れられつつある。
(3)日本と中国の間では、日中省エネルギー・環境総合フォーラムを始めエネルギー分野
での政府間協議が適宜実施され、省エネについても多岐に亘る協力が行われてきた。
ECCJも、2006年から受入研修や専門家派遣により、中国の省エネ法執行のための
人材育成に貢献している。また、2009 年に設立され、国家レベルの省エネ推進機関と
なった中国国家節能中心(NECC)とは覚書を交わして、その機能整備及び職員の能
力向上に協力を行った。
(4)現在、中国の政府に対する省エネルギーに関する協力は、政治的事情等から停滞して
いるが、地方政府或いは民間色の強い協力活動については、最近実施環境が改善され
てきている。
2.企画検討
(1)NECCとの省エネ技術交流スマートコミュニティに係る技術など日本企業の中国での
活動に資する分野において技術交流による協力を行う。受入研修1回、政府間の協議
などが行われることが前提)
(2)セミナーなどでの産業分野の日本の優秀な省エネ機器の普及活動地方政府、企業の参
加する効果の高いセミナーなどでの日本の機器の浸透・普及活動(専門家派遣1回)
(3)環境・省エネをテーマとする中国における国際的ワークショップへの参加環境・省エ
ネに関する情報の提供・共有によって中国の大気環境の改善に協力する。(専門家派
遣2回程度)
3.実施結果の要約
昨年 11 月に APEC 首脳会議の開催中に日中首脳会談が行われて以降、日中間の省エネ
関係部門の交流が急に進展し始め、日中省エネ協力事業が再開された。準備期間の問題で
Ⅱ-30
受け入れ研修は実施できなかったが、下記に述べるように専門家派遣(上記項目(2)と
(3))は計画以上の成果を上げることができた。
(1)第8回「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」に出席(企画検討項目(3))
北京にて年末(12 月 28 日)に開催され日中官民合わせて 500 名を超える参加があり、
ECCJ からは3名出席。全体会議に引き続き開催された 6 分野の分科会の 1 つであるエネ
ルギー管理・LED 分科会に出席し、「日本の LED 技術」や「ビルのエネルギー管理ツー
ル」についての発表を行い情報を共有した。更に当フォーラムが開催されたことにより、
日中の省エネ協力事業が再開されることになった。
(2)アジアヒートポンプネットワーク会議への専門家派遣(企画検討項目(3))
我が国が優位的に技術・製品を保有する高効率機器であるヒートポンプシステムの省エ
ネ性の理解および普及促進のため、11 月 26-27 日、北京にてアジアヒートポンプネットワ
ーク(AHPNW)(現在は日、中、韓、ベトナム、インド、タイがメンバー)のセミナー
(主催:中国
建築科学研究院)に、ヒートポンプ蓄熱センターと連携して参加した。下記
にその成果を示す。
1)セミナーでは省エネルギーセンターの国際協力活動紹介と共にベトナム、インドネシ
アにおけるビル省エネ診断を通じた HP 普及理解活動の具体的実例を示し、HP の省
エネ効率の優秀性を示すと共に、アジア各国に対して技術支援及び普及理解活動の実
際を提示した。
2)メンバーによる AHPNW 運営のための専門家会議にもオブザーバーとして参加し、
メンバーから要請があった我が国の「人材育成事業」について目的、手法、実例など
について説明を行い、国際協力の有効な形であることの理解を得、今後の ECCJ の事
業に対する協力の合意を得た。
3)本年度計画している HP をテーマとした省エネプロジェクト推進を目的とする人材育
成事業(インドとタイの政府関係者と協議中)について具体的な協議ができた。
(3)中国四川省での省エネ技術セミナーの実施(企画検討項目(2))
今回、中国国家節能中心からの同意も得て、2009 年から日中省エネ協力事業の専門家
派遣において、地方政府の中で日本人専門家の派遣回数が最も多かった四川省において、
日中省エネ人材育成事業の再開第一号となる省エネルギー技術セミナーを開催すること
になった。さらに、本セミナーの成果をベースに、他地方政府との間にも本活動を拡大し
て行く計画である。
なお、四川省は大気汚染が比較的顕著な都市の一つであることから「大気汚染対策に資
する省エネ技術の紹介」をテーマとしたセミナーとした。本セミナーの成果は下記。
1)今後の日中省エネ人材育成事業のモデルケースの実施
Ⅱ-31
今回、成都市にて日中関係改善後初めて、省エネ人材育成事業としての省エネプロ
ジェクト形成を目的とした省エネ技術交流ワークショップを開催できた。2006 年よ
り 2011 年度まで実施した中国発展改革委員会と METI との合意に基づく専門家派遣
及び受入れ研修による協力事業に最も熱心であった四川省から再開し、今後の対中国
への省エネ協力事業の1つのモデルケースとなった。
2)中国側のカウンターパート(国家節能中心)の決定
国家発展改革委員会傘下の国家節能中心を ECCJ の中国側のカウンターパートと
して覚書を結び、地方政府の窓口調整を依頼することが不可欠であることが分かっ
た。。これにより中国側の日中省エネ協力に対する明確なニーズ情報を入手でき又、
過去の受け入れ研修・専門家派遣で構築された地方政府の関連部門とのネットワーク
も利用し、ワークショップのレベルアップを図ることができる。
3)日本の関係諸機関との情報共有と、省エネ技術普及支援におけるビジネス環境整備
特に中国への省エネ人材育成事業では省エネプロジェクトを発掘し、省エネビジネ
ス環境を整備することが主目的となる。そのため、従来通り METI の指示に従い、
JASE-W に加え日中経済協会、JETRO 等の関係機関や民間企業との情報共有及び、
連携・協力を推進していく体制が形成できた。
4)研修内容の深化・拡大
研修内容をさらに中国側のニーズに適合させ、日本側のシーズを提供していく。今
回のワークショップを通し、低炭素社会の実現とそれを通じた大気汚染の改善は中国
社会の喫緊の課題であることが再認識でき、日本が得意とする高度で多様な省エネ技
術の紹介により、民間企業の中国での省エネビジネス展開に貢献できることが分かっ
た。
5)受入研修事業の実施の可能性
中国側から、受入研修の再開を要請する声が多くあることが判明した。。日本に招
へいし、日本の制度や技術におけるベストプラクティスを実際に見聞してもらうこと
は、中国の更なる省エネ推進及び中国での省エネビジネスの進展に有効であると考え
る。しかし、今後は、METI 予算制約等も踏まえ、研修効果に見合った応分の費用負
担を、中国者側に求めていく方向性としたい。
(4)中国国家節能中心(NECC)との協議
2014 年 12 月 28 日に北京で開催された「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を
契機に、日中省エネ協力事業が再開された。再開後の第一回目として、2015 年 2 月上旬
に日中経協との共催により四川省成都市及び徳陽市で省エネ技術セミナーを開催した。今
回は、日中省エネ協力事業の再開に当たり、2 年前に中断する前のカウンターパートで、
当時 ECCJ と協力の覚書を交わしていた中国国家節能中心(NECC)と今後の協力方針に
ついて協議するため出張した。
Ⅱ-32
尚、今回の出張は NECC の贾复生主任より ECCJ の奥村専務にあてた、当該協力方針
に関する書簡(2015 年1月付け)への回答も兼ねている。
1)NECC より提案のあった 2015 年度の日中省エネ協力の下記3項目について具体的な
内容・方法について、協議できた。2015 年度の「省エネルギー人事育成事業」に関
しては ECCJ が委託事業者に未だ決まっていないため NECC からの提案を聞くこと
に徹した。
①近々中国で計画されている省エネ法の修正事業への日本からの情報提供
②地方における省エネ技術・エネルギー管理の向上を目指した現地での省エネセミナ
ー開催
③省エネ政策・技術に関する日中間の比較研究会
2)NECC との協議を通して、中国側が進んだ日本の省エネ政策や省エネ技術の導入に非
常に熱心であることが分かった。又、空気汚染問題(PM2.5)がかなり深刻であり、
その解決ためにも間接的に効果が上がる省エネ推進について日本の支援を期待して
いる。
具体的な活動の定量的、定性的な成果を表Ⅱ-5-1.に示す。
Ⅱ-33
表 Ⅱ-5-1.中国における活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
(1) 北京にて年末(12 月 28 日)に開催され日中官民合わせて 500
名を超える参加があり、ECCJ からは3名出席。全体会議に引
き続き開催された 6 分野の分科会の 1 つであるエネルギー管
理・LED 分科会に出席し、
「日本の LED 技術」や「ビルのエ
ネルギー管理ツール」についての発表を行い、情報を共有した。
(2) 我が国が優位的に技術・製品を保有する高効率機器であるヒ
ートポンプシステムの省エネ性の理解および普及推進のため、
ヒートポンプ蓄熱センターと連携して、アジアヒートポンプネ
ットワーク・セミナーに参加し、今後アジア各国におけるヒー
トポンプに対する省エネ性能に関する理解と普及促進の活動
を行った。
(3) 四川省において、日中省エネ人材育成事業の再開第一号とな
る省エネ技術導入を目指した「省エネルギー技術セミナー」を
開催し、200 名以上の参加者に日本の最新の省エネ技術壽法を
っ提供した。さらに、本セミナーの成果をベースに、他地方政
府との間にも本活動を拡大して行くベースができた。
(4)中国国家節能中心との協議により、2015 年度の日中省エネ人
材育成事業の方針と具体的な協力内容に関する提案を作成し
た。
定量的な成果(数値化できる成果)
受入研修:0 人(平成18年度からの累計は 688 人)
なお、今年度は低炭素社会、省エネルギー技術、省エネルギービジネ
ス及びエネルギー管理士制度の受入研修を1コース計画したが、準備期間が短く
実施されなかった。
派遣専門家数:15人回(6年間の累計:42 回 109 人)
APECでの日中首脳会談後、年度計画の策定、アジアヒートポンプネットワーク
会議、日中省エネ・環境総合フォーラム、四川省省エネ技術セミナー等に専門家
を派遣した。
上記人材による法制度整備と執行を始めとする活動は、中国政府が発表した以下
の成果のうち、相当の部分に貢献している。
CO2 排出量の低減目標の新設
1.第十二次五カ年計画において、単位 GDP あたりのエネルギー使用量は▲16%
に、CO2 排出量は▲17%に設定され、政府の管理の下、計画通り実施されて
いる。
2.エネルギー管理士制度試行地域で、エネルギー管理士を認定
(2012 年 12 月時点)
山東省:約 5,100 人、天津市:約 900 人、北京市:約 600 人、
河北省:約 1,200 人、陝西省:約 600 人
Ⅱ-34
Ⅱ-6.サウジアラビア
Ⅱ-6-1..状況分析と実施方針
(1)サウジアラビアにおいては、エネルギー価格が安価で省エネ推進には不利であるが、
国内のエネルギー消費増大により、政府は外貨獲得のためにも省エネ強化の必要に迫ら
れており、エアコン、自動車などの省エネ規制を進めている。電力不足も顕在化してお
り、ビル部門では、空調、建材、照明等に対する省エネ技術への関心が高まっている。
また、産業部門を中心にエネルギー管理に対する関心も高い。
(2)このため、2012年より省エネ推進に向けて設立された省庁横断の組織(SEEP)が中
心となり、サウジ省エネセンター(SEEC)等により各部門の省エネを実施推進してい
る。
(Bの段階-1~2)
(3)資金力は豊富であるため、今後、高効率技術・機器の導入により省エネビジネスの機
会が拡大する可能性がある。
(4)日本との関係では、2013年からはMETIとSEEPの間で定期的にセミナーが実施され
ており、これに省エネセンターも参加している。(2013年度は2回)
(5)以上から、エネルギー管理人材の育成など省エネ推進基盤の整備を支援するとともに、
各分野におけるビジネス機会の拡大を念頭に我が国省エネ技術・機器の理解促進を行う。
Ⅱ-6-2.企画検討
サウジで開催されたMETI-SEEP間の省エネセミナーでの議論
および
2013年度事業
にて実施した受入研修、さらにサウジ側から個別に要望のあった事項を中心に、我が国の
経験、ノウハウを移転することにより省エネ推進基盤構築および人材育成支援、さらには
ビジネス機会の拡大を図るべく、以下の観点から事業を行う。
(1)専門家派遣
・鉄鋼、セメント、石油化学などにおけるエネルギー管理について、エネルギー診断を
含む実務紹介および省エネルギー推進基盤構築に資するエネルギー管理の人材育成
の支援
・空調機器に関するラべリング、基準および省エネ意識向上のための普及啓発推進に関
する支援等
(2)受入研修
・ビル部門の省エネ機器、エネルギー管理に関する研修を行い、省エネ推進基盤構築を
支援する。
・ESCO事業に関する実績の紹介、推進方策などについて紹介、導入推進を支援する。
(1回実施)
Ⅱ-35
Ⅱ-6-3.実施結果の要約
昨年度把握したサウジアラビア側のニーズに基づく提案を策定し、METI - SEEP 間の
協議において、METI のリードの下で更に具体的な協力の方針とテーマを協議し、「エネ
ルギー管理士の認証制度」が相互に協力し合える事業テーマであることを確認した。
特に、エネルギー多消費産業である鉄鋼、石油化学及びセメントといった業種での省エ
ネを推進する事に重点を置いた制度構築に重点をおくことを確認した。
この結果、上記の事業実施に必要な上記制度に係るサウジアラビアの現状の調査を共同
で実施する事から活動を開始する事が出来た。
以下にその経緯を要約する。
〇2013 年から日本からの省エネ支援として、METI とサウジ政府を主体としたサウジ省
エネプログラム(SEEP)との間で省エネに関する協力について合意文書が結ばれてお
り、省エネセンターは本合意の下で産業部門のエネルギー管理制度構築に関する支援を
行っている。
<サウジにおける省エネのキーポイント>
(1)同国はエネルギー価格が安価で省エネ推進には不利であるが、国内のエネルギー
消費増大により原油輸出余力が減っており、政府は外貨獲得のためにも省エネ強
化の必要に迫られている。
(2)サウジの省エネに対する取り組みは、政府主導で行われており産業部門、近年消
費量が伸びているビル部門、エネルギー消費の大半を占める運輸部門、国民への
啓発が遅れている家庭部門、それぞれテーマを設定し積極的に取り組む方針。
(3)電力不足も顕在化しており、ピークカットの側面も重視されている。
(4)特に国民の省エネに対する意識が弱く、啓発活動が重要であることは政府も認識
している。
これらの状況やサウジ側からの具体的なニーズを取り込み、今年度は特にサウジからの
要望があった、産業部門のエネルギー管理制度の構築に関する支援を行うこととした。 8
月に日本側から事業内容を提案後、先方検討の間、一時期サウジ側の都合により協議が中
断されたが、1 月になり協議が再開され、エネルギー管理者の認定、認証制度に絞って制
度構築支援を行うことで協議が整った。
<専門家派遣>
① エネルギー管理制度の構築についての提案
(2014/8/16-21)
② エネルギー管理者の認定、認証制度の構築についての提案と事業内容決定
(2015/1/18-22)
Ⅱ-36
サウジにおける活動の成果について表Ⅱ-6-1.に示す。
Ⅱ-37
表 Ⅱ-6-1.サウジにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
METI と SEEP との省エネ協力に参加し、我が国の情報
を提供するとともに議論を重ね、サウジにおける省エネの
課題を検討、事業を開始した。
定量的な成果(数値化できる成果)
派遣専門家数:2 人回 (H18 からの累積は4人回)
SEEP との省エネ協力事業会合を 2 回開催し、エネルギー管理制度(認定、認証制度)
構築支援に関する提案と事業決定を行い日サ協力事業として開始した。
Ⅱ-38
Ⅱ-7.中東資源外交重点国
Ⅱ-7-1.状況分析と実施方針
この地域の資源外交重点国としては、前述のサウジアラビア、イラン、トルコの他に中東諸
国(アブダビなど)や北アフリカ諸国 (エジプト、アルジェリア等)といった広域の諸国にわ
たる。
(1)これらの地域は石油資源に恵まれる。加えて北アフリカ地域では太陽エネルギーや風力と
いった再生可能エネルギーの利用に適した気候にも恵まれ積極的にこれらの再生可能エ
ネルギーを利用している国もある。
(2)しかし、これらの資源国でも人口増加や経済成長と共に豊かにある国民生活の変化でエネ
ルギー消費量が増加しており、石油資源のビジネスへの影響が顕在化している。このよう
な事情は、日本にとってエネルギー保障の面においても注目すべき点である。
(3)上記の事情に対し省エネの取組みは遅れているのが現実である。制度的枠組みを構築しつ
つ有効な省エネ技術や設備を導入する仕組み作りが有効で、日本にとってメリットがある
と考えられる。
Ⅱ-7-2.企画検討
上記に基づきこの地域の省エネ推進について、重点となる国やそれらの国のニーズや重点テ
ーマを把握するために、省エネ推進に対して積極的に対応していく事とした。
これら各国に対しては、政府間協議の状況を踏まえつつ、2013年度に実施した受入研修 (サ
ウジアラビア、イラン、エジプト、カタールが参加)により得られた各国のニーズや日本への
期待およびネットワークを踏まえ、
・省エネ基準を含む政策情報の提供や実施のための人材育成
・ビルや産業分野を中心とした省エネ技術の情報提供
・家庭分野を中心とした啓発活動(Awareness)
を中心として受入研修および専門家派遣の実施を企画する。
また、さらに周辺諸国やモンゴルなどに対しても対象を広げていくことを検討する。
Ⅱ-7-3.実施結果の要約
(1)研修実施
中東諸国に対しては、中東諸国における省エネルギーに対するニーズおよび我が国対する期
待も明らかになってきた。そこで中東諸国および北アフリカ諸国に参加を呼びかけ、他国との
意見交換情報交換を含むワークショップ形式で受入研修を実施することとした。
(2)研修内容
① (研修期間):平成 26 年 12 月 4 日~12 月 11 日(5 日間)
Ⅱ-39
② (研修参加者):7カ国政府組織(イラン、イラク、エジプト、カタール、バーレーン、チュ
ニジア、モロッコ)より12人の参加。
③ 講義・見学内容
・参加国(7カ国)から各国別に各国のエネルギー供給・消費状況およびエネルギー政策戦
略および省エネ推進における進捗と課題に関し討議した。
・現時点における日本のビル省エネの情報提供に行なった。
・最近の日本の省エネルギー政策動向
・ビルにおける最新省エネルギー技術の紹介
・最新のビル適用省エネルギー技術
・日本における省エネ法に基づく新築省ビルの設計基準
・日本における最新省エネルギービル・地域熱供給設備の見学
④ 研修成果
研修結果に基づき次の活動計画が各国参加者がグループを形成し議論した結果以下に
示す計画案が策定された。
提案はそれぞれの国に適用 するよう改善するとしている。
・国立省エネルギーセンターの設立
・政府ビルにおける省エネルギー推進
・家庭ビルと照明設備の省エネプログラムの実施
(3)実施結果の要約
① 研修生の反応
今回のワークショップで得た知識と経験は、今後の活動に有用である。帰国後に関係
機関と研修内容に関し情報共有をするとし、政策立案の参考とするとの反応であり好評
であった。
② 最終成果物活用にについて
最終的な成果を示すグループワーク作業によるファイナルレポートは3グループに別れ
作成したが、各グループよく省エネルギー活動の本質を捉えた発表内容であった。省エ
ネルギー政策のあり方について各国の研修生は知識については十分と考えられる。包括
的にやるべき項目のリストアップおよび全体構成についてはよくファイナルレポートに
表現されていると思う。
しかしながら、各国によりエネルギー情勢は異なり共通的要素の追求に終わ
り各国における適用性についてはさらに検討が必要である。多国間研修における
難しさを感じた。
③ 今後の研修展開について
中東資源外交重点国から各国代表が集合するのであれば、各国に重要な共通テーマで
Ⅱ-40
ないと議論が分散する可能性があると感じた。
今回は共通的なテーマとしてビルの省エネルギーを設定したが、一つの問題定義とし
て全体でワークショップを行うより、さらに重点を絞り、二国間研修に展開することが
より有効ではないかと感じた。
Ⅱ-41
表 Ⅱ-7-1.中東資源外交重点国における活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
(体制の確立)
中東資源外交重点国(MENA)7カ国に対しビル省エネルギーに関する日本技
術の優位性を講義および見学により情報提供することが出来た。研修生は内容
に関しては満足していた。
今回の実施により次年度以降の研修に関し、大使館を通じた招聘業務および
HIDAを活用する受け入れ態勢の基盤ができた。
定量的な成果(数値化できる成果)
下記7カ国政府組織関係者
バーレン(1)、エジプト(2)、イラク(2)、イラン(1)、モロッコ(2)、チュニジア(2)、
カタール(2)
上記政府より12人の受け入れ研修実施
(問題点の把握)
今後はさらに系統的なプログラム構成を行ない総論的な構成ではなくビル省
エネルギーであれば企画、設計、運用、改修の様に段階に分けた、より実用的
な情報提供が必要と感じた。
法制度・規則に関しても詳細な情報提供が必要と考えられる。
その為には研修日程の拡大が必要である。
(今後の方向性の把握)
多国間研修の問題点として共通課題がテーマになるので、その国の事情に合わ
せた、よりその国の課題に焦点を合わせたプログラムを構成することが困難で
ある。
多国間からそれぞれ二国間研修に展開し、その国の事情にあわせた研修も一案
でより有効と考えられる。
Ⅱ-42
Ⅱ-8.トルコ
Ⅱ-8-1.状況分析と実施方針
(1)トルコにおいては、すでに省エネルギー法は策定済み(2007年)であり、国家目標とし
てトルコのGDP当りのエネルギー原単位を2023年までに2011年比▲20%の削減との
戦略目標が策定されておりその実行ロードマップも公表されている。
経済発展により急増しているエネルギー消費を抑えることは非常に重要な政策目
標として掲げられている。
(Ⅰ-3の段階-3)
(2)同国は、エネルギーに関し原油および天然ガスに関し国内生産がないため、国外から
の輸入であり、貿易収支の観点からも省エネルギー推進を行いる輸入エネルギー量削
減が政治的に重要な優先順位である。
以上の背景で国際収支上も国内のエネルギー消費量の増加に対し、政府は省エネル
ギーを強化する必要性に迫られている。
(3)トルコは近年経済成長の著しい国でありまた親日国としても注目されている。すでに
G20会議にも参加し、現在EU加盟交渉を実施している。
2013年が建国100年であり経済大国へ目標を立てて活動している。
日本にとっても経済活動のパートナー国として極めて重要であり、日本からすでに
多くの企業がトルコに進出している。
(4)省エネルギーに関しては組織体制も確立されており、省エネルギーに関する政策責任
機関はエネルギー天然資源省(MENR)の再生可能エネルギー総局(GDRE)である。
再生可能エネルギー総局(GDRE)が産業用、民生用、運輸部門等すべての省エネルギ
ー政策および省エネルギー法の主管元である。
(5) 省エネルギーに関しECCJとトルコはすでに過去において協力関係の実績がある。す
なはち、同国に対しJICAのプロジェクトタイプ技術協力を通じてECCJは2000年から
2005年の間、国立省エネルギーセンターの設立および人材育成に協力した経緯がある。
(6) 同国に関し、日本の省エネルギー政策動向の情報提供を含め、日本側から省エネル
ギー技術に関する情報提供等を行うことはトルコでの省エネルギー政策の向上に寄
与すると考えられる。
同時にビジネス機会の拡大も、念頭に置きながらエネルギー人材育成事業を実施す
ることが我国に有効であると考えられる。
Ⅱ-43
Ⅱ-8-2.企画検討
(1)省エネ推進のための受入研修
①
プログラマムテーマの背景
トルコ国では経済成長によりエネルギー需要が増加のなか、特にビルのエネルギ
ーの比率が大きい。また増加に対しその需要増の歯止めをかけるべくビル用に省エ
ネ対策が必要とされている。ビル省エネルギーの重要性はJICA等もH24年度調査を
行ない報告レポートに示されている。
特に新設ビルおよび既設ビルの両方に対し対策が必要と考えられる。
②
プログラム企画の考え方
日本におけるビル省エネの総合的な法制度および省エネ基準を含めた情報
提供が有効であると考えられる。特に日本における省エネルギービルの設計基準に
関する基本的な考え方、省エネルギーの観点からビルの評価を行うCASBEE、新設
ビルへの適用する最新省エネ技術等について情報提供を行う為の受入研修を行う。
Ⅱ-8-3.実施結果の要約
今年度はトルコに対し第 1 回目の受け入れ研修を実施した。
H27.2.4~H27.2.10
にかけてトルコ省エネルギー政策担当者を中心に関係者を
招聘しビル分野の省エネルギーをテーマとしたワークショップを開催した。
(1) 研修対象者
エネルギー天然資源省再生可能エネルギー局および関係機関から 10 名
(2) トルコ省エネルギー活動状況報告
トルコ側からは報告が行われ、お互いに課題等を討議した。
・トルコにおけるエネルギー供給状況および省エネルギー国家目標
・省エネルギー展開に向けた戦略案および政策課題
・省エネルギービル評価システムの状況と省エネ推進の為の施策
(3) 講義内容
次に示す項目に関し日本における最近の政策・規制動向に関し情報提供した。
・日本におけるビル省エネルギー政策動向
・ビルにおける最新省エネルギー対策技術の紹介
・省エネビルの新築設計基準・ESCO による既設ビル改修事例の紹介
・環境性を考慮したビル評価法(CASBEE)
Ⅱ-44
(4) 見学内容
以下のエネルギー管理優秀ビルを訪問し情報交換を行った。
①
東京スカイツリー熱供給プラント
大型蓄熱槽活用による負荷平準化運転による省エネルギー推進事例
②
東京都庁ビル
大型ビル省エネルギー改善運転実施推進状況の情報取得
(5) 最終成果内容
最終的に今回の研修で学んだ内容を踏まえ、グループワークを行ない政策提言
の形で纏めてもらった。
上記の討議の結果次の 2 つの政策活動計画が策定され
た。
いずれも内容に関しては実践的な提言となっている。
① トルコのビルの省エネルギー現状の問題点と改善点
Current situation,Deficiencies and requirements in Building Sector
トルコに新設・既設ビルの省エネ改修が必要、現在ビルの省エネ度の検査
証書発行を行っている。順次改修したいが ESCO 業者改善能力・改修資金の
調達が課題。
② トルコ・日本の省エネルギーに関する将来協力計画の立案
To establish a possible Future Cooperation on EE/C In building
トルコにおける新しい省エネビルの評価基準や法制度構築が必要、エネルギー
マネジメントや関連組織の能力底上げも必要、日本との協力関係によ考えた
い。
(6) 今後の展開について
今後の展開に関してはトルコ側と研修最終日に議論を行った。
トルコは今回のワークショップを通じ日本における省エネビルの推進状況に関し
総括的に情報取得を行ったが、さらに日本から学ぶべき事項がまだまだあるとの見
解であった。特に法制度に関しさらに新しい制度を構築する必要性を述べていた。
トルコにおける活動の成果について表Ⅱ-8-1.に示す。
Ⅱ-45
表 Ⅱ-8-1.トルコにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
定量的な成果(数値化できる成果)
(1)省エネルギー情報交換ルートの確立
トルコの省エネルギー政策を担当するエネルギー天然資源省再生可能エネルギー局
キーマンとの情報交換ルートが確立した。今後トルコのエネルギー関連情報が入手
が可能となった。
(2)トルコビル省エネ政策の情報入手
トルコ省エネルギー政策状況に関し、詳細情報を入手した。
すでに省エネルギー法(2007 年)は発行されている。
特にビルに関する政策・制度に関し情報提供があった。
新築・既築ビルに関し Rating を実施中であり、日本にも同様の制度があり参考にな
る可能性が大きい。
(3)今後のトルコ・日本の省エネ協力分野の整理
今後、日本が協力するとしたらのどのような分野が考えられるかに関し、トルコ側
の概略の回答を得た。
今後の詳細に関しては今後検討していくが、トルコとしてはビル分野を中心に日本
との関係を維持したいとの意向である。研修結果から日本の新築・改築のケースの
許認可ルールについて非常に興味を持った。
Ⅱ-46
受入研修生数:10 人 (第 1 回目 累積は 10 人)
エネルギー天然資源省再生可能エネルギー局および関係機関からの
10 名に対しビル省エネルギーに関する受入研修を実施。
Ⅱ-9.
ブラジル
Ⅱ-9-1.状況分析と実施方針
(1)ブラジルは、省エネ法はないが、ラベリング制度を実施しているなど進展している部
分もある。エネルギー管理については、省エネ法ではなくISO規格の活用を想定し、
アメリカとともに規格策定開始の提案国となった。なお、同国はISO規格重視のため、
省エネ法(規制)への関心がそれほど高くない。(Ⅰ-3の段階-1)
(2)ブラジルの政府機関、企業などから日本の低炭素化技術、省エネルギー技術、スマー
トコミュニティに繋がるエネルギー管理技術を始めとするシステム化技術に対して
高い関心が寄せられており、ビジネスの市場環境の観点からもこの分野での情報提
供・理解活動が望まれている。なお、自動車燃料へのアルコール活用を世界に先駆け
て普及した実績もある。
(3)一方、前述のようにエネルギー自給率が高いにも係らず、気候変動(干ばつ)の影響
で電力供給の76%を占める水力発電の発電量が低下し電力供給量の不足に直面して
いる。この結果、電気代の急激な上昇を含め企業の生産活動や市民生活の制約が発生
しており、「節電・ピークカット」を始めとする省エネ対策を待ったなしで実現して
いかなければならない状況となっているが、技術面・資金面で企業等が対応する能力
が十分とは言えない状況である。
この改善のためには、エネルギー管理システムの導入・確立により緊急に対応できる
省エネ対策を実施しつつより大きな効果を得るための投資による高効率の技術や設
備導入を行うためのプロジェクトを形成し実施する必要がある。
特に、エネルギー多消費産業においてはこれらを体系的に進める事が有効である。同
時に、このために政府の制度改善や整備を通じた省エネ推進の枠組みの構築も重要と
なる。
これに資する事業を実施する。
(4)加えて、同国のエネルギー事情等からスマートコミュニティやスマートグリッドの構
築と、これらの要素となるビルなどの新しい省エネ技術に関心がある。国内では多く
のスマートシステムのプロジェクトも実施しており、そのプロジェクトに技術や設備
を供給する国内外の参加を求めている。
本事業は、日伯間で設置されたスマートコミュニティワーキングの省エネ分野の協力
として位置づけられている。
昨年度日本でのワークショップで共有した両国が省エネ分野で協力可能なテーマの
中から、ブラジル側のニーズに最も合致した事業を計画した。
Ⅱ-47
Ⅱ-9-2.実施計画内容
2014年2月の日本でのワークショップ (BP BR3) の結果、日伯間で省エネ分野において
協力の可能性があるテーマが具体的に把握された。
これに従い、ブラジル側のエネルギー等の事情を考慮して事業案を検討しこの事業案につ
いてブラジル側と協議して決定した。
具体的には、「節電・ピークカット」に資する事業とした。これを実現するための解決策
を考慮して次の3つのプログラムからなる事業を計画した。
(プログラム-1)
エネルギー管理制度や機器の省エネ標準・ラベリング制度及び支援制度等の整備
・既存の規則や支援策の評価とプログラム-2の適用と実施結果を改善に反映
(プログラム-2)
ISO 50001に基づくエネルギー多消費産業におけるモデル的エネルギー管理体系構築とこ
れに基づく省エネプロジェクト形成
・協力工場でのISO 50001に基づくエネルギー管理システム構築 (エネルギー管理ツ
ールの導入活用を含む。)
・エネルギー管理実践を通じた省エネ対策の具体化とプロジェクト形成
プロジェクト形成に関しては、対象とする業種を考慮しなければならないが、JASE-W
が展開している活動と関係会員企業や現地進出企業、またスマートコミュニティーワー
キングの下で現地プロジェクトに参加している企業を考慮した提案を考慮する。
(プログラム-3)
国民や事業者向けの節電・ピークカット促進ツール(ガイドラインマニュアル等)の策定
(政府と産業団体による)
今年度から新たに具体的な事業を決定して実施する事になるため、以下の3段階で進める事
とした。
(STEP-1)
具体的な事業計画の協議と決定
(STEP-2)
実施開始準備と実施計画の最終化及び一部可能な活動から実施開始
(STEP-3)
実施計画に従う政府及び産業団体による活動実施
Ⅱ-48
Ⅱ-9-3.実施結果の要約
上記の計画に従い活動を実施した。
成果
(1) 昨年 2 月の日本でのワークショップ (BP BR3) で把握された協力の可能性があるテーマ
のうち、ブラジルのニーズに合致して日本が実際に協力可能なテーマ(「節電・ピークカ
ット」)を具体的に設定し、これらの実現に資する付帯プログラムを決定できた。
(2) 項目(1)の具体的な活動計画を日本でのワークショップ (BEC BR4) で策定しブラジル
国内での活動を開始した。
● 事業を Steering するためのタスクフォースを組織(BEC BR4 参加者に鉱山エネル
ギー省の関係者を加える。
● 事業を実施するための具体的な活動計画を策定し、ブラジル国内での活動を開始し
た。政府関係機関と協力工場含む産業団体が各プログラムを以下のように担当。
政府機関
✰✰✰
プログラム - 1
産業団体
✰✰✰
プログラム - 2
プログラム - 3
✰ (国民・ビル用)
✰ (工場用)
結果の要約
上記計画に従い、段階的に進めた。
(STEP-1)具体的な事業計画の協議と決定
2014年2月の成果に基づき、経済産業省 (METI) と日本が可能な協力事業の提案を検討
し、ブラジルのカウンターパートである開発商工省(MDIC)等関係機関と協議して上記の事
業を決定した。
これを協議する機会を以下の通り設定した。
●METI – MDIC ワークショップ (2014年5月
ブラジリアにて開催)
松島経済産業副大臣とMDICのNational SecrearyのNelson Fujimoto参加の下、スマー
トコミュニティー
ワーキングの省エネ分野における協力事業案を紹介。日本企業によ
る提案プロジェクトに加え、ECCJは「節電・ピークカット」をテーマにする事業提案を
発表し討議した。また、MDICや科学技術省等政府関係とも事業案に関する意見交換を別
途行った。
●スマートコミュニティー
ワーキング会合 (2014年9月
東京にて開催)
5月の討議結果を反映して事業の基本計画案を策定し、この会合で内容を発表して討議
や意見交換を行った。
上記の協議結果に従い実施計画案を検討した。
Ⅱ-49
(STEP-2)
実施開始準備と一部活動開始
●実施計画案のMDICや関係産業団体との協議と最終化(2014年10月ブラジリアで)
ブラジル側の要望に基づき、国際セミナー「Smart Grid Brasil 2014」が開催され、こ
の場で日本のブラジルに対する協力として事業計画を発表しパネル討議に参加した。ま
た、MDICと実施計画案を協議して最終化した。加えて、本事業のプログラムに関係する
エネルギー多消費産業に係る産業団体等と打合せ、事業の説明と参加・協力を求めた。
以上の準備に基づき、2015年1月に実施する事になった日本でのワークショップ(BEC
BR4)の企画内容を決定し、準備事項と日程を決めて帰国した。
●日本でのワークショップ (BEC BR4) の実施
政府機関や関係産業団体から代表11名が参加して、各団体が本事業で実施するプログラ
ムの具体的な活動計画を策定した。
(STEP-3)
BEC BR4で策定した活動計画に従う政府及び産業団体による活動実施
以上により本格的な事業実施に向け、参加する協力工場の選定を始めとする準備をブラジル
側でまたそのために必要な支援を日本側で進めている。
具体的な活動の定性的、定量的な成果を 表Ⅱ-9-1.に示す。
Ⅱ-50
表
Ⅱ-9-1. ブラジルにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
これまでパラナ州政府の省エネルギー政策責任者との間で今後同州が
必要とする政策の改善や策定に必要な活動と日本との協力可能部分を
確認し、同州における省エネルギー技術・製品導入促進および日本企業
のビジネス展開政策策定執行者等の関係者を対象とする人材育成プロ
グラム案をまとめ、JASE-W の活動との連携を強固にできた。
日伯政府間でスマートコミュニティーワーキングが設置され省エネ分
野の協力が合意された。これに従い上記の成果をブラジル国内に波及さ
せる事を含め、日伯間で協力可能なテーマを抽出した。
これに基づき、ブラジル側のエネルギー事情やニーズを分析し最も効果
的な「節電・ピークカット」を事業テーマに決定した。
このためのブラジル政府のエネルギーに係る 4 省や事業に係る地方政府
及びや主要産業団体の主要関係者とのネットワークを構築できた。ま
た、ビジネス展開に適したテーマともなっている。
定量的な成果(数値化できる成果)
受入研修生数:11 名(平成 23 年度からの累計 63 人)
専門家派遣 :4 人(平成 26 年度から累計 4 人)
まだ数値実績として示すことができる成果はない。
これから事業実施を通じて「節電やピークカットによるピーク需要の緩
和」を実現する事で、ブラジルの省エネ目標の達成に貢献できると期待
できる。
Ⅱ-51
Ⅱ-10.
その他二国間活動
Ⅱ-10-1.マレーシア
Ⅱ-10-1-1.状況分析と実施方針
(1)マレーシアでは、これまで電気エネルギー効率的管理規則(2008年施行)。グリー
ン技術導入政策に加え、国家省エネマスタープラン (NEEMP) が策定されこのプラ
ンに従い最重要事項である包括的省エネ法の第一草案が作成されたが、同国政府事情
により中断している。
一方で、機器の省エネ基準整備、強制的なラベリング等制度が義務化され実質的な規
制が始まった。加えて、まだ政府補助が行われているエネルギー価格も上昇しており
企業の省エネニーズが高まっている背景から、省エネを進める必要性も高まっており、
そのためにエネルギー管理者やエネルギー診断技術者の資質向上ニーズも増大して
いる。
(Ⅰ-3の段階-2)
(2)省エネビジネスの環境に関しては、上記のような制度整備等が進む一方、課題はある
が省エネ補助政策(税制)もあり比較的高い投資マインドを有することから、この後
の急速な改善が期待できる状況にある。
(3)日本はマレーシアとの間で締結された EPA を背景として、特に ECCJ が中心となっ
て電気エネルギー効率的管理規則のガイドライン、国家省エネマスタープランの実現
特に包括的省エネ法の策定に対する助言指導を必要な情報提供と共に行うなど、これ
までも省エネ人材協力を実施してきており、強いネットワークが形成できている。
(4)以上の点を踏まえ、本事業においては、エネルギー管理人材の育成研修プログラムの
策定や、我が国の優れた省エネ製品・技術の導入等省エネビジネスの機会拡大に重点
を置く計画を策定した。
Ⅱ-10-1-2.企画検討
(1)エネルギー管理人材の育成研修プログラムの策定
2013年度に受入で実施する事を企画・計画して準備を進めたが、カウンターパートで
あるマレーシアのエネルギー・グリーン技術・水省 (MEGTWと略す)の事情により実施
を直前にキャンセルされた経緯がある。
従い、上記に準じて、以下に重点を置く活動を現地ないし日本での受入によるワーク
ショップ等で実施する計画とした。
●エ ネ ル ギ ー 管 理 実 践 に 要 す る エ ネ ル ギ ー 管 理 者 用 要 件 ・ 能 力 (TOR : Terms of
Reference) の定義
●エネルギー管理者が行う業務指針(日本の判断基準とエネルギー管理標準の整備と同
Ⅱ-52
等)の策定
●TORを達成でき指針に従い業務出来る人材を育成するための研修プログラムの策定。
上記は、MEGTWを始めマレーシア政府の事業が変化して、引き続き日本が包括的省
エネ法の策定の協力を再開できる将来に、この法律を執行する基礎作りへの貢献ともな
ろう。
Ⅱ-10-1-3.実施結果の要約
成果
結果的には以下の事情により計画した活動を実施できなかったが、このような事情の制
約を受けない新たな事業を提案すべく検討を行った。
即ち、エネルギー・グリーン技術・水省への前記提案に関する確認に対し同省から検討
を含めた実施について、企画内容へのコメントを含めて実行の意思決定を得る事が出来な
かったためである。これは、国際協力にも影響する NEEMP が見直され新たに国家省エネ
活動計画 (NEEAP)として策定されているとの背景も影響している。
結果の要約
MEGTW における事態の膠着状態が続く中、計画した事業と並行して、項目1「状況分
析と実施方針」で述べたが、省エネビジネスに展開できる可能性のある事業を検討した。
この狙いは、先に述べた政府事情に影響されないがマレーシアにとってもメリットを得
る事が出来るような事業を検討すると共に、この事業の実施を通じて政府関係者とのコン
タクトが取れるような接点作りも行おうとの点にある。
このために、日本から進出している日系企業を含めた現地企業のニーズを調査した。
この結果、調査自体が難しいので今回あまり明確に方向性を把握できた訳ではないが以
下のように整理された。
(技術や設備の範疇)
●空調設備
●エネルギー管理システム(制御や予知とアクションガイドシステムを含む)
●操業変動に応じた流量制御など(電動機の回転数制御等による)
●流体輸送損失の低減
●断熱強化
(分野)
●業務施設
●産業
加えて、過去にマレーシア政府が実施した「マレーシア産業エネルギー効率改善プロジ
Ⅱ-53
ェクト(MIEEIP と称す。2000 年-2008 年に実施)」において実施されたモデルプロジェ
クトも検討する際に考慮できよう。この点は、元来 NEEMP は、MIEEIP の成果を含め過
去の事業成果を実効的な実績につなげようとの基本方針により策定された経緯があり、こ
れに基づく提案は官民に受け入れやすいとの観点に基づく。
具体的には表Ⅱ-10-1(1).を参照されたい。
表
Ⅱ-10-1(1).MIEEIP の下で実施されたモデルプロジェクト
業種
(1)鉄鋼
実証対象技術・設備
低過剰空気比蓄熱バーナー
基本技術指針
ロータリーキルンバーナーゾーン高断熱煉瓦
燃焼の合理化
排熱回収
燃焼の合理化
排熱回収
放散熱量低減
ロータリーキルンバーナ燃焼制御
燃焼の合理化
(3)窯業
マッフルキルン用セラミック排熱回収装置
排熱回収
(4)ガラス
高効率電気溶融炉
設備効率化
溶解炉排熱回収装置用断熱
放散熱量低減
(5)紙・パルプ
高効率乾燥設備
設備効率化
(6)ゴム
乾燥用空気循環装置と射出成型機の断熱
排熱回収(利用)
放散熱量低減
(7)食品加工
浸漬チューブタイプジュース滅菌装置
設備効率化
エバポレータガス再圧縮装置
設備効率化
高効率食品加熱装置(蒸気再循環方式)
排熱回収(利用)
蒸気コンデンセート回収
排熱回収
木屑燃焼装置、自動給燃燃焼設備
排熱(燃料)回収
高効率取鍋乾燥予熱装置(鋳物工業用)
(2)セメント
(8)材木加工
これらの結果に基づき、上記の技術・設備の範疇に合致し MIEEIP のモデル事業を考慮
した産業部門の省エネ技術導入に資する事業を検討した。
省エネルギー人材育成事業としては次のような事業を新たに提案する事が考えられよう。
即ち、エネルギー管理システムの構築を基軸にした事業で以下の要素を含む事業である。
A.対象:エネルギー多消費産業(エネルギー多消費の業務施設も可能)
B.事業の要素
●ISO 50001 に基づくエネルギー管理システムの導入と実践
上記技術・設備導入を考慮した指針や管理標準等の管理ツールの導入と活用
●活動に基づく改善策の把握と技術・設備導入のためのプロジェクト化検討
(プロジェクト提案を行う段階で把握された対策を具体化できる提案が可能な日本
企業の参画を求める)
Ⅱ-54
今年度実質的な進展はないが、これまでのマレーシアにおける活動状況と成果を 表 Ⅱ-1
0-1(2).に示す。
Ⅱ-55
表 Ⅱ-10-1(2).マレーシアにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
定量的な成果(数値化できる成果)
日本の省エネ法を参考にした「電気エネルギー効率規則」が策定され 受入研修生数:実施できず。 (H16 からの累積は 197 人)
2008 年 12 月に施行された。
また、国家グリーン技術政策のもと、国家省エネルギーマスタープラン
(NEEMP)が策定され、この中で、包括的な省エネルギー法の策定を開 派遣専門家数:実施できず。 (H16 からの累積は 84 人回(多国間含む))
始し 2012 年に第 1 草案が完成したが、現在同国政府の事情により中断
している。
なお、NEEMP に含まれた機器の効率基準・ラべリング制度は義務化さ
れ実現して運用されている。
NEEMP は再度見直しされ国家省エネルギー活動計画(NEEAP)として
草案が完成し最終化段階にある。
省エネ法策定の支援を通じて、省エネ法の法体系を始めとする基本設計
の要点を理解し、法律の策定を行うための人材を育成した。
加えて、省エネ法の策定や執行に係る関係省庁の高官(意思決定者)の
訪日研究(2 回目)により、他省庁を含む政府指導者の省エネの重要性
や効果に関する理解が深まり、今後計画を具体化し両国の協力が発展さ
せることが期待される。
また、経済産業省の高官との対話ネットワークも構築された。
Ⅱ-56
Ⅱ-10-2.タイ
Ⅱ-10-2-1.状況分析評価と実施方針
(1)タイにおいては、省エネ法と省エネ促進基金による支援制度など法・制度面は確立さ
れている。また運用面でも省エネルギー診断の普及、ラベリング制度の実施、省エネ
改善事例の表彰制度など省エネ対策が相当浸透している。
(Ⅰ-3の段階-3)
(2)ASEAN諸国に対する日本の協力活動において、同国はパートナーとして支援を要請
し得るレベルにある。前記の通りAJEEPスキーム3で他のASEAN諸国を支援する国
として日本の指導に協力している。
(3)支援制度を含めた省エネ推進基盤が整備されており、省エネビジネスの環境も醸成さ
れ、日系企業の技術等に対する理解も進んでいる。従い、日本の高いレベルの省エネ
技術や製品の導入ニーズは高い。
(4)これまで日本はタイとの関係ではECCJが中心となり省エネ法体系の整備をはじめ以
下のような協力を行った。これらが同国の省エネ推進の整備の進展に大いに寄与して
きた。
・省エネハンドブック(エネルギー管理、熱及び電気エネルギーの改善)
・省エネハンドブックの指針を生かした優秀改善事例表彰制度の構築
・繊維、鉄鋼等5業種向け省エネ診断マニュアル作成と各分野のトレーナー育成
(トレーナーバンクシステムも構築し活用。)
・Khon Kaen Universityで確立したエネルギー管理システムと省エネモデルプロジェ
クト (ASEANエネルギー管理優秀事例(ビル分野)で2012年に受賞)
(5)なお、ビル省エネ分野については省エネが遅れており、BEMS 等最新の技術やシス
テムの活用などを含め課題が多く残っており、改善の必要性がある。
(6)以上の点を踏まえ、タイにおいては、我が国企業のビジネス拡大及びビル分野の省エ
ネに重点を置いて事業を実施する事とした。
Ⅱ-10-2-2.企画検討
(1)ビル分野の省エネに係る専門家派遣及び受入研修
①次のテーマ等により専門家派遣及び受入研修を行い、情報交換、解決の向けた助言等
を実施する計画とした。 要点を含め以下に述べる。
(ⅰ)BEMS やヒートポンプ空調等有効な省エネ設備導入
(ⅱ)エネルギー管理標準の策定・運用を含むエネルギー管理システムの確立
(ⅲ)具体的なビル省エネプロジェクトの発掘
②上記の機会に JASE-W 会員などの日本企業との交流を実施し、日本の関連技術を重点
Ⅱ-57
的に紹介・その導入を図る。
③ECCJ が開発したビル省エネのツールの活用を図る。
(2)多国間協力(AJEEP 等)における共同活動等
下記の計画とした。具体的にはⅡ-1章に述べる
①AJEEPのスキーム等において、ASEAN地域全体の省エネ推進基盤の整備を促進する
ため同国に共同活動を要請する。
②また、同国の進んだ省エネ基盤をASEAN他国が活用する仕組みの創設を誘導する。例
えばASEAN地域では性能基準の適合に係る試験機関の整備が遅れ、認定に時間のかか
る国が多くみられるので、タイの試験機関の地域活用を図る仕組み等が考えられる。
これにより日本の最新省エネ技術がより迅速に評価される可能性が高まる。
(3)Khon Kaen 大学との国民意識向上に係るプログラムの協力
教育機関として学内での教職員や学生に対する教育に熱心である。よって、同大学と事
業成果を活用した学生や一般市民への省エネ教育や啓蒙に関する協力を行う。
Ⅱ-10-2-3.実施結果の要約
成果
計画した事業をタイのエネルギー省と協議して進めようとしたが、タイ政府側の方針と
合致せず、また暫定政府といった状況で、タイ政府内部の方針がこれまでの方針とは異な
る方向に揺れた(*)上に意思決定が進まず、結果的に計画した事業を実施できなかった。
結果の要約
同国エネルギー省の代替エネルギー開発効率化局 (DEDE)
に以下に説明する事業計
画を提出し実施を協議しようとタイ側のコメントを求めた。
(事業名)
ビル分野における省エネ技術や設備の普及促進と省エネシステム構築の提案
(事業の要点)
●インバータ・ヒートポンプ式空調設備、トリジェネによる電気や温冷熱供給、断
熱技術や高効率照明等の効果的な設備の導入と促進のための金融支援の検討
●ビルのエネルギー管理者の指針(判断基準を参考)の整備とエネルギー管理標準
の導入と整備
●総合的にエネルギー使用や設備運転の状況を監視・制御するための BEMS の導入
●個別導入の BEMS を将来 ICT にて地域内で統合管理するシステムの構築。
→
スマートコミュニティへの展開の要素の完成。
Ⅱ-58
上記を受け、DEDE 局長の意向は即座に先端的な省エネ技術や設備が導入できる事業で
あるべきとの方針の変化(*)にあり、日本側の提案事業とのかい離が大きく、ASEAN
との多国間下で実施する企画項目(2)以外は企画事業の見直しが必要となった。
少なくとも企画項目(3)は事業対象から外れ、上記の提案事業は成果が得られる
事業期間についてタイ側の意向と合致せず大幅な見直しを要求される事となった。
この検討中に局長が交代し新局長が赴任する事となった。
新局長が前局長の方針を引き継いでいる前提で、再度同じように上記の事業計画を
説明するとともに省エネルギー人材育成事業として提案できる新たな事業案を提示し
て再度協議を行う必要があろう。
ビジネスに直結する案件との観点では JASE-W からの事業提案も有効と考える。
(*)タイ政府の方針の変化とこれに対応する事業の基本的な考え方
省エネ推進の基本方針として、投資による設備や技術導入の対策によるべしとの政策であ
ったが、実際は省エネ促進基金が有効に使用されていない事実もあった。
タイ政府は、この原因が企業において体系的で持続的な省エネ推進基盤が十分確立されて
いないとの結論を出し、「エネルギー管理の強化」に重点を置く政府方針を示し、2009 年に
省エネ法を改正しこれが現在の省エネ法に至っている。
この改正省エネ法が目標とする成果を達成しているかとの評価も終わっていないと思われ
るが、非公式ながら DEDE の局長を通じて過去のハード対策を優先する方針が示されている。
従い、確立されたエネルギー管理システムに基づく効果的な省エネ技術導入のための省エ
ネプロジェクトの形成をモデル事例にできる事業を、今年度の計画事業の見直しを含めて再
度検討し事業を提案し DEDE と協議していく必要があろう。
上記の通り進展はなかったが、タイにおけるこれまでの活動状況と成果を 表Ⅱ-10
-2.に示す。
Ⅱ-59
表
Ⅱ-10-2. タイにおける活動の成果
定性的な成果(数値化できない成果)
定量的な成果(数値化できる成果)
(1) 4 種類の省エネハンドブックの完成(2008 年度までに)
・“Total Energy Management (TEM) ハンドブック”
・中小企業用エネルギー管理ハンドブック
・熱および電気エネルギー効率改善ハンドブック
上記は ASEAN 地域内の諸国にも普及した。
(2) ハンドブックの実務・技術指針を活用した優秀事例表彰制度構築
最も権威のある既存の首相賞のエネルギー管理部門の下位分野に
設定し、2010 年度に第 1 回目の表彰を開始し、優秀事例の抽出と
普及を通じた企業の自主的な省エネの推進とこの活動を通じた人材
育成を実現できた。
(3) 育成した省エネ指導員の登録バンクと省エネ診断マニュアル完成
育成した省エネ指導員を設置したトレーナーバンクシステムに登
録し運用できるようになった。また、5 分野(食品、繊維、鉄鋼、窯
業、プラスチック)の省エネ診断マニュアルを完成した。
(2011 年)
(4) 総合大学の省エネシステム構築
KhonKaen 大学にモデルとなるエネルギー管理システムを構築し
効果的な省エネ技術や設備の省エネプロジェクトが実施された。こ
れらの成果や活動は同大学での 2012 年から 4 ヵ年の省エネプラン
に継承されている。
受入研修生数:実施できず。 (H17 からの累積は 359 人)
派遣専門家数:多国間以外の活動は実施できず。
0 人回 (H16 からの累積は 151 人回(多国間含む))
(1)4 つの省エネハンドブックの活用に関係した表彰制度が運営されてお
り、優秀事例の収集と情報共有に機能している。また、応募事例を通
じて省エネ効果を確認できるようになった。
(2)タイでは 2030 年までに以下のように、2005 年比でエネルギー原単
位で 25%、最終エネルギー消費で 20%の削減を目標としており、上
記の成果と育成した人材による活動は、その達成に向けて大いに貢献
している。
(3)Khon Kaen 大学での事業は、新たな省エネ目標たる今後の 4 年間で
20%の省エネを図る大学のプログラムに移行し活動を継続中である。
Ⅱ-60
Ⅱ-10-3.ロシア
1.状況分析と実施方針
ロシアでは 2009 年連邦省エネ法が成立しているが、エネルギー管理者などの資格制度は
なく人材育成に対する推進力は十分ではない。また、ロシアのエネルギー効率は先進国の中
で低く、暖房供給のエネルギー損失は 50%を越えること等から省エネ性の高い機器に対す
る関心は高い。今後民間ビジネスにおいて省エネ投資推進が期待される。
省エネ分野における日露関係の観点では、エネルギー効率と再生可能エネルギー分野にお
ける日露共同委員会が 2 回開催され(第 2 回:2010 年 7 月)、これに基づいて、ECCJ が
2010 年 10 月にエネルギー管理を含む省エネ政策・対策についてのワークショップを実施し、
日本の省エネ政策の手法、制度などの情報を提供している。
日露の協力関係では、政府間の協議が特に重要であるため、日露共同委員会などの政府間
協議にそって、時期及びテーマを見極めつつ、本事業によるセミナーの開催などの活動を企
画するが、2014 年度は政府間において第 4 回日露共同委員会は開催されていない。今後は
政府の意向を確認しながらアプローチ活動を企画する必要がある。
2.実施内容
第3回の省エネルギー・再生可能エネルギーに関する日本-ロシア共同委員会は、経済産
業省とロシアエネルギー省によって、2013 年 9 月 5 日、東京(経済産業省国際会議室)に
て開催された。この委員会は、第2回の委員会(2010 年 7 月 9 日、於モスクワ)に続くも
のであるが、3 年の時間が経過しており、第3回の共同委員会では、日本、ロシア双方のプ
レゼンテーションに加えて、第 2 回の委員会後の進捗などがレビューされた。
本事業に関連する項目としては、省エネルギー政策に関する受入プログラムの実施状況と
して、第 2 回の委員会のアクションプランに基づいて、上記の 2010 年 10 月の、エネルギ
ー管理を含む省エネ政策・対策についてのワークショップを実施したことがあげられ、また
本件に関して、今後、フォローアッププログラムを実施することなどが記述されている。
現在、ロシアは近代化投資に強い関心があることから、これに即した内容であることが望
ましく、ビルの省エネに関する技術、設備、管理システムを中心としてエコシティなどをテ
ーマとして取り上げ、また、現在、日本側の活動として世界省エネルギー等ビジネス推進協
議会(JASE-W)が積極的にアプローチしている、域熱供給の近代化に役に立つ技術及び設
備、発電所、送電系の効率化につながる技術及び設備なども含めていくことが適切と考えら
れる。
2014 年度はロシア側へ幾度かフォローアッププログラム提案を行うべくアプローチしよ
うとしたが、政府間協議も行われていない状況であり結果として中断の状況である。
Ⅱ-61
Ⅱ-11.国際連携による多国間活動
Ⅱ-11-1.実施企画
二国間で達成した成果の発信を通じた日本仕様の制度や技術の優位性の発信を行うと同
時に、国際的な組織や人的なネットワークを拡大する。
下記(1)、(2)の活動において、ワークショップ等に専門家を派遣する。(3~4回程度)
(1)IPEEC(International Partnership for Energy Efficiency Cooperation)
IPEECは、2009年のG8エネルギー大臣会合に基づき発足した省エネ推進のための
国際連携による多国間活動であり、全体で8つのタスクグループから構成される。
(2回程度
以下のタスクグループ等のプログラムに係るワークショップに派遣)
EMAK(Energy Management Action Network):
テーマ:産業部門のエネルギー管理のベストプラクティスの共有
主導国:日本
対象 :政策立案者・実務者
WEACT(Worldwide Energy Efficiency Action Through Capacity Building):
テーマ:途上国を対象にした省エネルギー人材育成(研修)
主導国:イタリア
対象 :途上国の政策立案者
(2)東アジアサミット(EAS: East Asia Summit)
東アジアサミット(EAS: East Asia Summit)に対しては、引き続き日本政府に協
力し、必要な場合、ECCJから省エネ専門家を派遣する。(1回程度実施)
(3)エネルギー管理、省エネ基準をテーマとするセミナー
APEC等においては標記テーマのセミナーの開催などが想定されるため、必要に応
じ人材育成、情報共有、ネットワーク形成の観点からこれに参画する。(1回程度実施)
Ⅱ-11-2.実施結果の要約
International Partnership foe Energy Efficiency Cooperation (IPEEC) に係るプログ
ラムでは、EMAK(Energy Management Action Network)の下で実施された第6回ワー
クショップ(2015年2月、インド
ニューデリー)
における省エネ推進と廃熱回収技術について」>
<テーマ「インドにおける中小企業
への専門家派遣に関し、ECCよりの専
門家をIEEJに紹介することで対応した。
なお、イタリア政府が主導するWEACT(Worldwide Energy Efficiency Action Through
Capacity Buildingがあるが、今年度は本事業の下でのワークショップ等の参加するような
機会はなかった。
Ⅱ-62
Ⅱ-12.SE4ALL
Ⅱ-12-1.状況分析と実施方針
SE4ALL(Sustainable Energy For All)とは、潘基文国連事務総長が 2011 年に開始
した政府・民間企業・市民団体によるパートナーシップであり、名称は「すべての人の
ための持続可能なエネルギー」を意味する。SE4ALL は、2030 年までに、世界のすべて
の人が近代的なエネルギーを利用できるようにし、エネルギー効率改善率とエネルギー
ミックスにおける再生可能エネルギーの割合とを倍増させるという目標を掲げている。
その国連の SE4ALL 内に、日本から新 HUB を立ち上げることになり、その HUB の
実質的機能に際しては、経済産業省などと協議の結果、ECCJ が担うのが最適であろう
との結論に至った。
Ⅱ-12-2.企画検討
HUB については、以下の内容で経済産業省と調整を図った。
Ⅱ-63
Ⅱ-12-3.実施結果の要約
2014 年 9 月 23 日に「国連気候サミット」が国連で開催された際、別途 SE4ALL 会合
も開催された。その際に、特にアジアを中心とした省エネルギー政策・制度構築等に関
する人材育成の知見を SE4ALL の活動にも活かすべく、ECCJ が SE4ALL における「エ
ネルギー効率を促進する国際的なハブ」とする提案を行い、ECCJ の祖川常務理事が、
ユムケラーSE4ALL 担当国連事務総長特別代表に対して、ECCJ が国際的なハブを担う
旨の書簡(LOI)を手交した。
また、安倍総理は、「国連気候サミット」における演説で、「省エネルギーの国際的な
ハブを東京に設置する」旨を宣言した。
以下に、手交した書簡(LOI)の内容を示す。
Ⅱ-64
Ⅲ.フォローアップ、情報収集・発信、国内外省エネルギー関係者とのネットワーク構築
Ⅲ-1.フォローアップの実施
(1)研修や技術指導の効率性フォロー
実施終了時のアンケートや事後専門家派遣等の機会を活用して、本事業で実施した専門
家による現地指導や受入研修の効率性の評価を実施した。
評価ポイントは以下の通り。
①
活動の効用と効率の確認:参加者の期待充足度
②
活動の継続性の確認:受入研修で作成した行動プログラムのフォロー
専門家派遣によって作成した活動計画のフォロー
③
活動規模、参加者の範囲などの適正度:規模、日程、人数など
④
テーマ選定の適切性の判断のための情報:相手国の省エネ状況などと活動との合致性
や相手国の希望と活動との合致性など
⑤
今後の活動計画のために必要な情報か:継続的活動計画の有無、相手国の政策の進展、
変化など
(2)フォローアップ結果の活用
上記の評価結果等に基づいて以下の通り本事業の計画策定や実施時の効率的・効果的実
施に活用した。
① 専門家派遣及び研修実施後の各国における活動計画実施状況の確認
② 過去の成果のまとめ・評価、相手国ニーズを把握した上、日本のシーズと照合し計画
に反映
③ 活動上の課題を把握し、解決策を相手国関係者と協議し、以後の事業展開に反映
(3)ビジネス展開に向けてのフォローアップ
ASEAN 省エネ協力の AJEEP スキーム2事業では、本事業のフォローアップとして事業
成果のさらなる活用をめざし、民間企業の省エネ促進・普及政策への参画を促すことに努
めた。特に鉄鋼連盟、工業炉協会など日本の民間企業団体による専門家派遣を行い、現地
において現地政府と共同してセミナーを開催するなど、日本の各企業による省エネビジネ
ス展開推進のための環境整備を図ることを企図した活動を実施した。
また研修実施時は世界省エネルギー等ビジネス協議会と連携して、企業による技術・製
品紹介、実習、視察、意見交換会などを実施するとともに、後日カウンターパートや参加
者に対するフォローアップにより、ビジネス展開に向けて活用している。
Ⅲ-1
Ⅲ―2.国内外の省エネルギー情報の収集、分析、発信の実施
Ⅲ-2-1.各国の省エネルギー情報や日本の制度・技術等の収集,分析
(1)情報収集の方法とまとめ
・受入研修や専門家派遣事業(人材育成事業で実施)などを通じた情報収集、国内外の国際
機関によるセミナーやワークショップへの参加、並びに政府や関連機関のウェブサイト検
索や各種出版物から情報収集などを実施した。
内容としては、各国のエネルギー政策、
需給動向、省エネルギー推進のための計画、政策や法制度、民間の省エネ活動状況等。 こ
れらを活用し調査と分析を実施し国際協力本部の事業活動に活用した。
具体的には、
・東アジア16カ国の省エネ実施状況に関する収集情報を「各国省エネルギー取組実施状況一
覧表」として、我が国の省エネ国際協力の方針検討に資するよう国別に取りまとめた。 概
要は本報告書の末尾に添付した。
・今年度は情報収集対象国を広げ、共通省エネ目標をもつ南アジア連合各国(パキスタン、
バングラディシュ、スリランカなど)や省エネに積極的な欧米各国の動向などに関する情
報も収集した。
・また、トルコ、南アフリカ、セネガル、メキシコ、ペルー等など今後の国際協力展開も視
野に入れ、幅広く情報収集に努めた。
これらは必要に応じて経済産業省やその関連機関へ提供されるとともに、JASE-World
会員企業に対してもその活動のために提供され活用されている。
※JASE-World:世界省エネルギー等ビジネス推進協議会
(2)「Energy Conservation Handbook 2014」(英文)の作成
日本のエネルギー状況、エネルギー基本計画、省エネ法改正をふまえ省エネに関する法
令や政策についての概要、気候変動に対する国際的な取り組み状況、各分野別(産業・機
器・民生・運輸)の省エネルギー方策と活動、国内外の省エネ関連データなどを掲載した
「Energy Conservation Handbook 2014」(英文)を作成し、AEEC
ウエブサイトに掲
載した。 これは ECCJ への訪問者や受入研修生、専門家訪問先機関などに紹介し有効に
活用されているほか、ウエブサイト閲覧者において広く活用されている。
(3)省エネルギー管理テキストの整備
人材育成事業においては省エネルギーを推進するための各国の制度構築支援に引き続
いて、実際に省エネルギー対策を実施していくための技術移転を実施している。ECCJ は
今まで実施してきたこれらの事業を通じて諸外国にも有益と考えられる多くの経験、知識、
情報を蓄積してきた。
現在各国では、より実効性のあるエネルギーマネジメントを実行
Ⅲ-2
できる人材の育成ニーズが高まっていることから、上記の情報を活用して各国のニーズに
対応すべく「エネルギー管理の基本」および「熱分野」、「電気分野」における設備別省エ
ネ対策を包括的に記述したテキストを作成した。
これらは、人材育成事業における専門
家派遣や受入研修の実施にあたり活用している。
Ⅲ-2-2.アジア省エネルギー協力センターを活用した情報収集と発信
1.実績の概要
「 ア ジ ア 省 エ ネ ル ギ ー 協 力 セ ン タ ー (Asia Energy Efficiency and Conservation
Collaboration Center:以下AEEC)」は、2007年1月に開催された第2回東アジア首脳
会議(EAS)において当時の安倍首相により提言された「日本のエネルギー協力イニシ
アティブ」の中で省エネルギー推進に関する協力の一つとして設置が決まったもので、
同年4月より活動を開始したものである。
主としてASEAN、中国、インドなどのアジアの主要発展途上国の省エネルギー推進を
支援するために、省エネルギーに関する情報を関係諸国に発信並びにそれらの国からの
省エネルギーに関する問い合わせに対して回答をするワンストップサービス、経済産業
省(以下METI)への情報提供、などの対外的支援業務を実施した。さらに、途上国省エ
ネ推進機関の代表者の人材ネットワークの構築や人材育成を目的とした研修事業並びに
専門家派遣事業と連携し、情報収集及び発信、並びにそれらの有効活用に相乗的な効果
を得ることができた。これらの活動状況についてはECTF(EASエネルギー協力タスク
フォース)において報告を行い、引き続き推進していくことを確認した。
省エネに関する AEEC のような包括的な情報受発信ツールは日本の優れた省エネ制度情
報や技術情報の発信のために不可欠なものである。
AEEC では英文ウェブサイトに設けた Contact 欄の質問フォームから各種質問や意見、
依頼などを受け付けており、アクセス件数は 9,098 件(2015 年 3 月 3 日現在)であり、また、
質問への回答の他に訪問受入や講師派遣等を含めた総活動件数は 37 件(2015 年 3 月 3 日
現在)となった。
2.事業の実施内容
2-1.ワンストップサービス
(1)活動実績の概要
AEEC ウェブサイトにおいて日本の省エネルギー政策や対策、国際協力状況、省エネ
推進に係る各種パンフレットの掲載、等により情報発信するとともに、E-メールや電
話による省エネに関する問合せに回答をするなど、ワンストップサービスを提供した。
具体的事業内容としては問合せに対する必要情報の提供、希望する省エネ機関等の紹
Ⅲ-3
介、ECCJ への訪問受入、国内外セミナー等への講師派遣など適切な対応を実施した。
(2)問い合わせ対応実績とりまとめ
1)AEEC では電話等の他にウェブサイトに設けた Contact 欄の質問フォームか
ら各種質問や意見などを受け付けている。2014 年 4 月 1 日から 2015 年 3 月 3
日現在までの問い合わせとその対応等に関する実績は以下の通り。
・ウェブサイトへのアクセス件数は9,098件
・各種活動件数は37件
(昨年実績:12,520件)
(昨年実績:65件)
・活動件数37件の内訳:質問への回答28件、関係機関の紹介3件、
訪問受入6件(内訳:海外から5件、国内から1件)
2)問い合わせ内容の比率を下の円グラフに示すが、
質問が 49%、質問以外の依頼が 40%、その他が 11%となっている。
(前年度はそれぞれ、40%、46%、14%)
質問に関しては「省エネ法関連」が 27%、「省エネ活動関連」が 22%となってお
り、諸外国が法整備を行うにあたって日本の省エネ法及び省エネ関連活動を成功事
例として調査・参考としている様子が伺える。 特に今年度は各国から日本におけ
るエネルギー管理士・管理員制度及び試験制度に関する質問が多数寄せられた。
また、海外政府やエネルギー関連機関からの問い合わせの機会をとらえ、相手
国の省エネルギー事情に関して情報交換を行った。 さらに、例年通り海外の製造
業者からトップランナー制度やラベリング等「機器」に関する質問も寄せられたが、
その大半は制度に関する基本的な質問であった。
依頼については、今年度も多岐にわたっており「センター訪問依頼」の目的と
しては、民間から法人までさまざまな機関から日本の省エネ制度の紹介やアジアを
主とする海外支援経験の情報共有などを求める声が高かった。
以下、
・共同でプロジェクトを行いたい等の「事業協力依頼」、
・研修を実施してほしい、講演などへ講師を派遣してほしい等の「研修実施
/講師派遣依頼」
・適切な機関を紹介してほしいという「関係先紹介依頼」
・シンポジウム、セミナー、展示会等への「参加要請依頼」
・ECCJ の事業から外れるものを分類した「その他」
などの問い合わせに対応した。 また、問い合わせ元の種別を見ると、「民間企業」
「NPO/NGO」「行政機関」の順で、それぞれ 46%、21%、19%となったほか、教
育機関、学生、個人からの問い合わせもあった。
Ⅲ-4
問い合わせ元
種別
問い合わせ内容
3)下の円グラフは、問い合わせに対する最終的な対応実績である。
【対応手段】として「回答」が 75%と最も多いが、これには各種依頼を「辞退」し
た場合も含まれる。次いで「海外受入」が 14%、「関連機関の紹介」が 8%、とな
っており、先述の通り当センターでこれまで蓄積してきた事業経験の共有やアドバ
イスなどを国内外の機関へ向けて幅広く行った。
【内容】としては、「省エネ法関連(省エネ法についての情報提供、講演等)」が
38%、次いで「省エネ活動関連(センターの活動内容についての情報提供、講演等)」
が最も多くて 35%となっており、「関連機関の紹介」が 9%となっている。
最終実績【手段】(回答に辞退含
最終実績【内容】(辞退を除く)
Ⅲ-5
2-2.情報交換活動
情報交換活動として、訪問者の受入、講師派遣、セミナーやワークショップへの参加
などを通じて、情報収集や情報発信を効果的に実施した。ECCJ が所有する経験やノウ
ハウを活用した情報により、訪問者や受講者などにとっては各々の省エネ活動の推進
に有意義であったと思われる。
(1)訪問者受入
1)国内
・国内からの訪問者を受け入れは以下の 1 件であり、メディア取材対応を行った。
①訪問者:共同通信社経済部・経済産業省記者クラブ
日
時:5 月 23 日(金)15:00~16:30
目
的:同社は日本の戦後から将来につながる課題を浮かび上がらせる「岐路か
ら未来へ」という企画を連載しており、日本の省エネが国際的にどのよ
うな水準にあるのか、日本がどのように省エネを海外に伝えているのか
について、取材を希望。
概
要:具体的には、省エネ技術の海外専門家派遣でどのようなことをしている
のか、特にサウジアラビアなど日本が資源を頼る産油国にどのような貢
献をしているのかについての情報提供を希望されていたので、海外派遣
担当者が取材対応
2)海外
・海外からの訪問者を受け入れ(5 件)、日本の省エネルギー政策や、省エネ診断、
エネルギー管理者制度、トップランナープログラムなどの省エネルギー推進手段を
説明。
①訪問者:台湾/ Chia-Nan University of Pharmacy and Science
日
時:4 月 25 日(金)11:00~12:00
目
的:台湾の大学で日本の省エネ政策についてリサーチをしており、省エネ技
術の発展や普及のための活動について情報提供を要請
概
要:昨年度に訪問の予定だったが急遽中止となったため、今回同様の内容で
再度受入を実施。日本政府による金融支援政策などを紹介したほか、
ECCJ のパンフレットでセンター概要を紹介し、台湾の省エネ政策事情
なども伺った。
②訪問者:チリ/ エネルギー省(Ministry of Energy of Chile) 4 名
日
時:9 月 1 日(月)14:00~17:00
Ⅲ-6
目
的:チリは省エネ法に向けた調査活動を開始しており、その一環として、来
日調査を 9/1~9/5 の予定で実施したもの。訪問先は、チリ政府から METI
へのコンタクトにより、METI の支援を得て設定されており、9/1 の PM
は ECCJ への訪問となったもの。
要:省エネ法については 9/3 に METI から説明を受ける予定であり、ECCJ
では省エネ法に関連するエネルギー管理の実施、エネルギー管理の実施
者の育成、トップランナー制度、エネルギー診断について説明の依頼が
あり、これに対応した。
概
③訪問者:モロッコ/ モロッコ王国ウジュダ・アンガッド府職員
日
時:9 月 8 日(月)13:00~15:00
目
的:再生可能エネルギー等に関する技術やビジョンについて学ぶ目的で来日
中に、日本の省エネルギー制度についても学びたいという要望を受け、
ECCJ を訪問。
要:日本の省エネ政策の中でもとりわけエネルギー管理士制度に対する関心
が高く、 エネルギー管理士の役割や概要、ECCJ が本制度に対して果た
す役割についてなどを説明。またモロッコ側からは国内の一般家庭での
省エネに対する認知度や、モロッコのラベリング制度について情報を得
た。
概
④訪問者:サウジアラビア/ SEHAI(Saudi Eelctronics & Home Applicances
Institute)、中東協力センター
計2名
日
時:11 月 18 日(火)10:00~12:00
目
的:SEHAI は、METI の補助金により中東協力センター(JCCME)
概
が 2008 年から家電製品の修理保守技術育成期間として設立運営したが、
来年度からは省エネをテーマとして運営していくに当たり、ECCJ の活
動などを紹介。さらに、今後実施される講師派遣事業の事前調整も行っ
た。
要:サウジに対する省エネ国際協力については、現在 METI を通じて SEEP
と実施していることから、SEHAI に対する直接協力ではなく、G-G 協
力の一環として METI の了解を得ながら実施することを確認
⑤訪問者:イタリア/FIRE(Federazione Italiana per l'uso Razionale dell'Energia)
日
時:12 月 25 日(木)14:00~17:00
目
的:EU では Energy Expert の資格制度の導入を検討しており、参考のため
に日本のエネルギー管理士制度についての情報交換をしたいとの目的で
ECCJ を訪問。
概
要:エネルギー管理士/管理者の育成プログラム(国家試験、講習など)につ
いて関心が高く、試験において網羅される内容に加え、エネルギー診断、
ISO50001 などの管理ガイドラインの活用法、さらにイタリアと日本の
機器省エネ制度の違いなど、様々な内容の情報交換が行われた。
(2)講師派遣
今年度は国内外からの要請により以下3件の国内における講師派遣および 1 件の海外講
Ⅲ-7
師派遣を実施。
【国内】
①
日本アブダビ経済協議会
日
時:4 月 22-23 日
ワーキンググループ
9:00-14:00
出席者:アブダビ国営石油会社(ADNOC)、ガスコ社(GASCO)、
アブダビ水電力公社(ADWEA)他
約 17 名
日本側:METI、中東協力センター他
概
約 40 名
要: 日本の省エネ政策・技術の紹介およびアブダビにおける省エネ活動
の実態についての情報交換。ECCJ より、事務所ビルの省エネにつ
いて講演・質疑応答を行った。
②
SEHAI(サウジアラビア電子機器・家電製品研修所)
議
題:「家庭部門の省エネ政策について」
日
時:11 月 20 日(木)10:00~17:00
来日に伴う講義
出席者:SHAI(サウジアラビア電子機器・家電製品研修所)所長・教員、日本
工学院専門学校、通訳など合計10名
概
要:ECCJ より日本のエネルギー事情と省エネ政策、ECCJ の活動に加え、
トップランナーやラべリング、啓発など家庭部門を中心に講義し、日
サのエネルギー事情、国民意識を比較しながら情報交換を実施した。
③
海外省エネ法講座
議
題:「海外進出に役立つ ASEAN 地域の省エネ法等の基礎知識」
日
時:1 月 29 日(木)10:00~12:00
出席者:製造業者、省エネソリューション企業等含む計 16 社から 18 名
概
要:主にASEAN地域に進出している(進出しようとしている)企業を
対象とし、現地での事業活動をより円滑にまた効果的に展開・実施す
る上で役立つ省エネ法の内容や整備動向などを紹介。
当日は当センターのこれまでの国際協力活動の実績に基づき、ASE
AN地域における法整備の現状、特にタイとベトナム等ASEAN主
要国の省エネルギー法の要点を、その他諸国の現在の法整備の現在の
動向を含め解説
【海外】
①
議
ADB 主催 ワークショップへの参加
題:アジアにおける省エネルギー推進投資のためのワークショップ
Ⅲ-8
日 時:5 月 15-16 日
場 所:フィリピン マニラ
出席者:アジア各国より政府関係者、企業関係者、金融関係者等約 100 名
概 要:ADB(アジア開発銀行)が主催する「省エネルギーワークショップ」
アジアでの省エネ推進投資を促進するための WS. 各国の政府関係者、
企業関係者が出席し、各国の省エネ事情、事例としての Best Practice,
ビル・産業分野における省エネ技術、ファイナンスの事例、ADB の活動
事例紹介などを通じて、省エネに関する投資についての議論と情報交換を
行った。 ECCJ からは我が国の省エネ制度および ECCJ の活動実績な
どの報告紹介を行った。
(3)国際省エネ協力パートナーシップ(IPEEC)への参加
(IPEEC: International Partnership for Energy Efficiency Cooperation)
IPEEC の中で我が国が提案したエネルギー管理の国際的普及に関するネットワーク構
築プロジェクト(EMAK:Energy Management Action network)については、
第 1 回ワークショップ(2010 年 1 月@パリ)、
第 2 回ワークショップ(2010 年 5 月@ワシントン)、
第 3 回ワークショップ(2011 年 11 月@中国/桂林)、
第 4 回ワークショップ(2014 年 1 月@東京 ENEX 展)
第 5 回ワークショップ
(2014 年 2 月@オーストラリア)に参加し、
日本のエネルギー管理手法や EMAK 活動への提言等について発表してきた。
今年度は、2015 年 2 月 25 日にインド・ニュデリーにて開催された第 6 回ワークショッ
プで中小企業(製造分野)の省エネルギー管理方策や廃熱回収技術について発表した。こ
れまでの活動を通じて EMAK の目的である産業分野のエネルギー管理に関する事例紹介
やそれらの共有の場としてのプラットフォームが構築されてきており今後の継続的な活
動が期待される。
2-3.情報発信サイト/AEEC 英文ウェブサイトの維持・更新
AEECのウェブサイト(http://www.asiaeec-col.eccj.or.jp/index.html)はECCJの英語サ
イトと一体化を図っており、AEECが主体的に管理することにより効率的な運用が可能と
なっている。
コンテンツとしては、日本の省エネルギー法制度や政策、分野別省エネルギー対策、国
際協力実績などの紹介、東アジア 16 ヶ国の省エネ法や政策に関する情報のデータベース
や日本の優れた省エネルギー機器に関する検索システム、産業やビルにおける省エネ対策
優秀事例などを掲載している。
このうち一部参加国のデータベースについては情報が更
新されていないものがあることから、今後なるべく早い時期に各国に協力を求めて更新す
べく、準備を行っている。
また、トップページでは METI の HP を始め各種情報機関等から収集したエネルギー関
連ニュースを随時更新しているほか、省エネルギーセンターが実施している人材育成事業
Ⅲ-9
としての専門家派遣や受入研修をはじめ、国際協力に関する各プロジェクトについて最新
活動を随時紹介している。
これにより幅広く国際協力事業について情報を共有し理解を
得ることを期待するとともに、各国のニーズ、要望を収集する手段としても活用している。
Ⅲ-3.国内外省エネルギー関係者とのネットワークの構築と維持
(1)ネットワーク形成・維持
人材育成事業の専門家派遣や受入研修を効率的にかつ確実に実施し、また最新情報の収
集を迅速かつ容易に実施するためには、日常的に関係諸国のエネルギー関連政府組織や省
エネルギー推進機関との緊密な関係を維持しておくことが肝要であり、現在下表のような
組織・機関とネットワークを構築している。
このようなネットワークは、カウンターパートとなる各国の政府の部署や省エネ推進機
関(実施機関)、研修参加組織などから構成されている。
具体的には、国内の関係者とのネットワークについては資源エネルギー庁の下で国際事
業を実施している国内関係機関である独立行政法人
新エネルギー・産業技術総合開発機
構、一般財団法人日本エネルギー経済研究所(IPEEC関連事業への協力)や日本工業炉協
会や日本鉄鋼連盟等の業界団体とも事業での連携を行い、専門家派遣や受入研修において
協力して実施したほか、随時必要な情報交換や意見交換を行った。更に、本事業との関係
で独立行政法人
国際協力機構(JICA)など他省庁管轄の機関とも情報交換や事業連携を
行っている。具体的には、JICAからECCJはベトナムの省エネ研修センター設立プロジェ
クトを受注しており、このプロジェクトを通したより緊密な情報交換ができている。また、
世界省エネルギー等ビジネス推進協議会とその会員企業については関係事業に関する情
報の提供や交換を実施し、専門家派遣、受入研修等に参加し各企業の技術・製品紹介と共
に、ビジネスの展開手段として活用してもらっている。
また、ネットワークは、専門家派遣や受入研修のフォローアップ等を通じて得た新情報
に基づいて適宜更新することによってネットワーク機能の維持に努めるとともに、さらな
る活用をめざして一層の連携強化を図っている。
Ⅲ-10
各国政府・機関との省エネネットワーク
国名
中国
インド
タイ
ベトナム
インドネシア
マレーシア
フィリピン
シンガポール
機関名称
国家発展和改革委員会
国家節能中心 (*1)(*2)
物資節能中心 (*2)
他 地方(省など)政府 (約 20)
電力省, Bureau of Energy Efficiency (BEE)
石油天然ガス省,Petroleum Conservation Research Association
(PCRA)(*1)(*2)
Ministry of Petroleum & Natural Gas
Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry (FICCI)
The Energy and Restourcs Institute (TERI)
工業省 工業振興局 (DIP)
エネルギー省 代替エネルギー開発効率化局 (DEDE)
Energy Conservation Center of Thailand (*2)
Thailand Environment Institute (TEI)
Federation of Thai Industry (FTI)
Khon Kaen University
商工省 エネルギー総局 科学技術・省エネルギー局
Science, Technology and Energy Efficiency Department,
General Directorate of Energy, Ministry of Industtry and Trade
Energy Conservation Center, Hanoi (*2)
Ho Chi Minh City Department of Industry and Trade / DOIT HCMC
Energy Conservation Center, Ho Chi Mihn City (*2)
エネルギー鉱物資源省 新再生エネルギー省エネルギー総局
Directorate General of New and Renewable Energy and Energy
Conservation (DGNREEC)
エネルギー鉱物資源省 電力総局
Directrate General of Electricuty (DGE)
工業省 資源環境・エネルギー研究開発局
東ジャワ州政府
PT Energy Management Indonesia (EMI) (*2)
インドネシア商工会議所 (KADIN)
インドネシアゴム工業会 (GAPKINDO)
インドネシア ESCO 協会 (APKENINDO)
インドネシア産業団体:鉄鋼協会、紙パルプ協会、セメント協会
エネルギー・グリーン技術・水省(MEGTW)
MEGTW Sustainable Energy Development Authority Malaysia
Green Tech Malaysia. (*2)
Department of Energy エネルギー省
科学技術省 フィリピン工業エネルギー研究開発委員会
(PCIERD)
Federation of Philippine Industry (FPI)
Energy Efficiency Practitioners Association of The Philippines, Inc.
(ENPAP) (*2)
Ministry of Industry and Trade
Energy Market Authority
Ministry of Environment and Water Resources
National University of Singapore (NUS) (*2)
Ⅲ-11
ブルネイ
カンボジア
ラオス
ミャンマー
ASEAN
メキシコ
ブラジル
ロシア
サウジアラビア
イラン
イラク
バーレーン
オマーン
エジプト
チュニジア
モロッコ
カタール
トルコ
Prime Minister's Office
Ministry of Industry, Mines and Energy
Ministry of Energy and Mines
Ministry of Energy
Ministry of Indsutry
ASEAN Centre for Energy (ACE)
(Energy Efficiency Conservation Sub-sector Network (EE&C-SSN)
Focal Points)
Ministry of Energy (SENER)
エネルギー省 エネルギー使用効率化国家委員会
Commission Nacional Para El Uso Eficiente De La Energia
(CONUEE), Ministry of Energy
商工開発省 Ministry of Development, Industry and Foreign Trade
鉱山エネルギー省 Ministry of Mines and Energy
科学技術省 Ministry of Science, Technology and Innovation
ブラジル産業開発庁 (ABDI)、電力規制庁 (ANEEL)
国家産業連盟(CNI)、ブラジル ESCO 協会 (ABESCO)
ブラジルエネルギー多消費産業協会 (ABRACE) 他
Russia Energy Agency
Ministry of Water and Power
Saudi Energy Efficiency Program(SEEP)
Saudi Energy Efficiency Center (SEEC)
Ministry of Energy
Ministry of Petroleum
省エネルギー機構 (SABA)
Iranian Fuel Consumption Optizing Organization (IFCO)
Ministry of Electricity
科学技術省 (Ministry of Science and Technology)
国家石油天然ガス機構 National Oil and Gas Authority (NOGA)
Ministry of Works
バーレーン大学 University of Bahrain
商工省 (Ministry of Commerce and Industry)
Ministry of Electricity & Energy
Ministry of Industry
Ministry of Energy, Mines, Water and Environment
Qatar General Electricity and Water Corporation
Ministry of Energy and Natural Resources,
General Dierctorate of Renewable Eenergy
(ビル関係協会)Turkish Standard Institute (TSE)
Energy management Association (EYODER)
Association of Turkish Construction Material Procedures (IMSAD)
IPEEC
EMAK
WEACT
Top Ten EE Best Practice
(*1)は覚書を交わしている機関
(*2)東アジア協力枠組み下での実施機関のネットワーク
Ⅲ-12
Ⅳ.事業の実施結果と成果(詳細)
本章では、各国及び各地域における事業の実施内容とその成果を出張ごと及び研修コース
ごとに詳細に報告する。
Ⅳ-1.ASEAN 地域の多国間活動
Ⅳ-1-1.専門家派遣
1.AJEEP 事業実施に向けての準備活動及び成果の発信のための専門家派遣
1.1 ASEAN+3 新エネ・省エネフォーラム ASEAN 省エネ表彰制度 BOJ (評価委員会) 及
び EE&C-SSN 会議出席
(1)全体概要
○出
張
者:国際協力本部
国際協力計画部長
国際調査普及部
牛尾好孝
澤田加奈子
○出張国(都市):ラオス(ビエンチャン)
○出張の目的:
標記事業に関し、下記会議に出席するため、ビエンチャンに出張した。会議(1)におい
ては、AJEEP 事業の成果を報告した。会議(2)~(4)においてはオブザーバーとして、
評価に参加するとともに、評価方法に関するアドバイス及び ASEAN の省エネビルやエネル
ギー管理のレベルに関する情報入手を行った。又、会議(5)においては 2013 年度の METI
委託事業である「ASEAN 省エネ人材育成事業(AJEEP 事業)」並びに「ASEAN 機器分野
における省エネ普及促進支援事業(EMTIPS 事業)」の成果報告と H26 年度の計画発表を
行うとともに、ASEAN の省エネ推進状況、省エネ分野における他国の協力活動に関する情
報を収集した。
(1)ASEAN+3 新エネ・省エネフォーラム
(2)ASEAN エネルギー管理優秀事例表彰制度
第 9 回評価判定委員会(Board of
Judges)
(3)ASEAN 省エネ優秀ビル表彰制度
(4)ASEAN グリーンビル表彰制度
第 20 回評価判定委員会(Board of Judges)
第 1 回評価判定委員会(Board of Judges)
(5) ASEAN EE&C-SSN (Energy Efficiency and Conservation Sub-sector Network)
の年次会合
○出張日程
Ⅳ-1
日程
5 月 24 日 (土)
5 月 25 日 (日)
5 月 26 日 (月)
5 月 27 日 (火)
5 月 28 日 (水)
5 月 29 日 (木)
5 月 30 日 (金)
5 月 31 日 (土)
(2)
業務内容
Lv. 羽田 Ar. ビエンチャン(牛尾)
ASEAN+3 新エネ・省エネフォーラムに出席
ASEAN エネルギー管理優秀事例表彰制度の BOJ(評価判定委員会)に出
席
ASEAN エネルギー管理優秀事例表彰制度の BOJ(評価判定委員会)に出
席
ASEAN 省エネ優秀ビル表彰制度の BOJ(評価判定委員会)に出席
ASEAN 省エネ優秀ビル表彰制度・グリーンビル表彰制度の BOJ(評価判
定委員会)に出席
ASEAN EE&C- SSN 年次会合に出席
Lv.ビエンチャン(牛尾)
Lv.ビエンチャン(澤田) Ar. 羽田
会議出席者
各会議の出席状況は以下のとおり。
①
ASEAN+3 新エネ・省エネフォーラム
• ASEAN7カ国(カンボジア、フィリピン、シンガポールが欠席)
ブルネイ 3 名、インドネシア 1 名、マレーシア 2 名、ミャンマー2 名、タイ 1 名、
ベトナム 1 名、ラオス
約 10 名)
• 日本(日本8名(METI:2名、IEEJ:4名、NEF:1名、ECCJ:1名)
• 韓国 1 名
• 中国 3 名
②
ASEAN エネルギー管理優秀事例表彰制度
第 9 回評価判定委員会
• ASEAN 各国からの BOJ 委員(カンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポー
ルベトナムは不参加)
• ACE (ASEAN Centre for Energy): Mr. Chris Zamora, 他 1 名
• ECCJ(オブザーバー)
③
ASEAN省エネ優秀ビル表彰制度
④
ASEAN グリーンビル表彰制度
第 20 回評価判定委員会
および
第 1 回評価判定委員会
• ASEAN 各国からの BOJ 委員(カンボジア、フィリピン、ベトナムは不参加)
• ACE (ASEAN Centre for Energy): Mr. Chris Zamora, 他 1 名
• ECCJ(オブザーバー)
⑤
ASEAN EE&C-SSN (Energy Efficiency and Conservation Sub-sector Network) の
年次会合
• ASEAN EE&C-SSN の各国代表(カンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポー
ル、ベトナムは不参加)
• ACE (ASEAN Centre for Energy): Mr. Hardiv Situmeang (Managing Director)、
Mr. Chris Zamora, 他 1 名
Ⅳ-2
• ASEAN との省エネ協力事業関係者:ECCJ、ICA (International Copper Association
Ltd)
(3)各会議の内容
(1) ASEAN+3 新エネ・省エネフォーラム
10th
ASEAN+3 NRE(New & Renewable Energy)and EE&C(Energy Efficiency &
Conservation)Forumに出席し、昨年度AJEEP事業の成果及び今年の事業計画について報
告し、今後の事業内容向上のためのNRE及びEE&Cに関する情報収集を行った。
3 事業 (① 民間 企業 の 参入を 図り 省エ ネビ ジ ネス展 開に 資す る人 材 育成活 動を 行う
AJEEP スキーム 2 事業(タイ、インドネシア、ブルネイで実施)、②ASEAN 内の省エネ推
進基盤・能力の格差を縮小するための人材育成を行う AJEEP スキーム3事業(カンボジア、
ラオス及びミャンマーで実施)、③日本での研修事業(ECAP2、ECAP3 及び ECAP4))と
もほぼ計画通りに実施でき、各活動とも多くの参加者があり成功裏に完了したことを報告し
た。2014 年度は 3 事業とも昨年度の実績・成果をベースに事業内容のレベルアップを図り
継続して実施することを確認し、ASEAN の更なる協力を要請した。
ECCJ の報告に対し ASEAN 側より下記のコメントがなされ、AJEEP 事業の ASEAN 側
の高い評価を確認できた。
① AJEEP 事業を通して、省エネプロジェクト形成のための診断調査、省エネ技術情報共有
のためのセミナーやビジネスマッチング等の機会を提供し、民間企業・団体の省エネ普
及促進事業への参画の促進が図られることに期待したい。
② AJEEP(PROMEEC も含む)事業は ASEAN の省エネ普及促進に大いに貢献しており、
引き続き一層の活動内容のレベルアップ化(スコープの拡大等)を図り実施してほしい、
実施状況・成果を来年も報告してほしい。
③ ブルネイの代表より、ブルネイでの昨年度の活動(EE&C Building Code に関する
Workshop 及び政府ビルの省エネ診断)は非常に役に立ったとの発言あり。
(2) ASEAN エネルギー管理優秀事例表彰制度の BOJ(評価判定委員会)
本年度は 9 回目(毎年 1 回)の表彰で、6 部門【中小規模ビル部門(5 例)、大規模ビル
部門(7 例)、中小規模工場部門(3 例)、大規模工場部門(9 例)、ビル特別提案部門(2 例)、
工場特別提案部門(4 例)】に、インドネシア(7 例)、ラオス(2 例)、マレーシア(5 例)、
フィリピン(5 例)、タイ(7 例)、ベトナム(4 例)の 6 カ国より合計 30 例の応募があった。
(昨年は 19 例。)
2 日間に及ぶ評価作業の結果、中小/大規模ビル・産業の 4 部門において最優秀事例
(Winner)として 6 例が、優秀事例(Runner-up)として 9 例が選定され、ビル/産業
の特別提案 2 部門では 3 例が Winner と選定された。中小ビル部門ではタイの病院とマレー
シアのオフィスが、大規模ビル部門ではタイのショッピングセンターが、中小規模工場部門
Ⅳ-3
ではタイの工場が、大規模工場分野ではタイの鉄鋼工場とインドネシアの自動車工場が
Winner を受賞した。
この評価会議において、PROMEEC/AJEEP 事業や各国独自の省エネ推進活動を通し、本
表彰制度が ASEAN 諸国の中で普及しつつあることが確認できた。これら受賞事例は、9 月
の AMEM (ASEAN Ministry of Energy Meeting:ASEAN エネルギー大臣会合)の席上
で表彰される。
(3) ASEAN 省エネ優秀ビル表彰制度の BOJ(評価判定委員会)
本年度は 20 回目(毎年 1 回)の表彰で、4 部門【新築・既存ビル部門(6 例)、改修ビル
部門(1 例)、トロピカルビル部門(4 例)及び特別提案部門(3 例)】に、インドネシア(3
例)、マレーシア(1 例)、フィリピン(1 例)、シンガポール(3 例)、タイ(4 例)及びベ
トナム(2 例)の 6 カ国から 14 例の応募があった。(昨年は 20 例。)
1.5 日の評価作業の結果、最優秀ビル(Winner)として 4 例が、優秀ビル(Runner-up)
として 4 例が選定された。新築・既存ビル部門ではインドネシアの政府ビルが、改修ビル部
門ではシンガポールのオフィスビルが、トロピカルビル部門ではインドネシアの大学施設が
Winner を受賞した。
応募数は昨年に比べ若干少ないが、内容については省エネビルとして充実したものであり、
毎年レベルが高くなっている。本年は改修ビル部門の応募が 1 例と少なく、ASEAN におい
て築年数が 5 年を超えるビルが多くあることを考慮すると(改修ビル部門の応募規定に築年
数 5 年以上とある)、今後本部門に対する応募が増えることが望ましい。本表彰制度の受賞
者も 9 月の AMEM の席上で表彰される。
(4) ASEAN グリーンビル表彰制度の BOJ(評価判定委員会)
本年度は 1 回目(本年から開始)の表彰で、2 部門【中小規模ビル部門(3 例)、大規模
ビル部門(3 例)】に、インドネシア(2 例)、ミャンマー(1 例)、シンガポール(2 例)、
タイ(1 例)の 4 カ国から 6 例の応募があった。
0.5 日の評価作業の結果、最優秀グリーンビル(Winner)として 3 例が、優秀グリーンビ
ル(Runner-up)として 2 例が選定された。中小規模ビル部門ではインドネシアの集合住
宅とシンガポールのオフィスビルが、大規模ビル部門ではインドネシアのオフィスビルが
Winner を受賞した。
今回から開始された表彰制度であるためか応募数は 6 件と少なかった。「グリーンビル」
という大きな括りのためか応募内容にばらつきがあり評価判定委員も優劣の判断に苦慮し
ている様子であった。ASEAN 側からは、本年度の AJEEP 人材育成事業において、グリー
ンビル表彰制度を改善するためのワークショップの開催を望む声が上がった。本表彰制度の
受賞者も 9 月の AMEM の席上で表彰される。
Ⅳ-4
(5) EE&C-SSN (Energy Efficiency & Conservation Sub-sector Network) の第 18 回年次
会合
本会議は、APAEC(ASEAN Plan of Action for Energy Cooperation)に従う ASEAN 地
域の省エネ協力活動の進捗を確認し、2014 - 2015 年の計画を協議し、SOME(Senior
Official Meeting on Energy)に図り AMEM で承認を得る実務者レベルの重要な会合であ
る。今回は、APAEC 2010-2015 の 5 年目の実施に向け、昨年の事業の実施状況及び成果の
確 認 を 行 い 、 本 年 度 の 事 業 の 実 施 計 画 に つ い て 協 議 を 行 っ た 。 さ ら に 、 次 期 APAEC
2016-2020 の策定に向けた省エネに関する草案委員会からの報告もあった。
会議の内容の詳細は添付資料に示すが、以下のような点が会議の主な議題となった。(ア
ジェンダ順)
① EU の支援により 2013 年から実施している ASEAN SHINE(ASEAN Standards
Harmonization Initiative for Energy Efficiency)の昨年度の活動成果と今年度の計画
(ICA(International Cupper Association)による発表)
② EU の支援により 2010 年から実施し先ごろ EU 資金によるプロジェクトが完了した
AEMAS(ASEAN Energy Manager Accreditation System)のこれまでの活動成果と今
後の計画 (ICA 及び UN-EP がコンサル。ACE による発表)
③ ASEAN 人材育成(AJEEP/ECAP)事業(METI からの委託事業)の昨年度の活動成果
と今年度の計画(ECCJ による発表)
④ ASEAN における機器分野の省エネ普及促進(EMTIPS)事業(METI からの受託事業)
の昨年度の活動成果と今年度の計画(ECCJ による発表)
⑤ ASEAN Energy Award(エネルギー管理、省エネビル、グリーンビル)の評価結果の報
告
⑥ タイが提案する「省エネプロジェクト実施のための融資メカニズム設計に関する
ASEAN 内協力」の進捗状況(タイによる発表)
⑦ ASEAN におけるエネルギー強度データ収集方法、および長期省エネ目標(ACE による
発表)
⑧ ASEAN からの今後の省エネ推進活動提案及び各国からの省エネ活動とその成果の報告
⑨ 2014-2015 の ASEAN における省エネ推進事業計画
(4)上記会議を踏まえた本年度の AJEEP 事業及び EMTIPS 内容について
① Inception Workshop を 7 月(8 月に変更)に実施し本年度の活動内容を早急に確定する。
② AJEEP・ECAP 事業はこれまでのスキームに基づき引き続き実施する。
③ EMTIPS については ASEAN で SOME-METI 会合での合意に基づいたものであること
が確認され、更に、EU の Fund で実施されているエアコンの省エネ基準の調和の目的と
した ASEAN-SHINE 事業と重複しない こと が了承された。よ って 提案書に基づき
EMTIPS の本年度の事業を実施する。
Ⅳ-5
④ ASEAN Energy Award の表彰制度は日本企業の省エネ技術・製品に関する情報発信の
プラットフォームになる可能性もあり評価委員の能力向上のための日本での研修を実施
する。エネルギー管理優秀事例部門の評価方法の改善、ASEAN の Green Building の定
義、評価基準の明確化等を研修のテーマとしたい。
(5)成果
今回、5 日間の ASEAN 省エネ部会(ASEAN EE&C-SSN)主催の省エネ関連会議にオブ
ザーバーとして出席し、ASEAN 各国の省エネ方針や省エネ推進状況だけでなく、他ドナー
(EU、米国、韓国等)の活動状況もよく理解することが出来た。又、4 日間の ASEAN Energy
Award の評価委員会に参加し、全ての応募事例(50 件)の説明書を読み、評価することで
ASEAN の省エネ進展状況をよく把握できた。
今回の出張で得た情報を今後の ASEAN 省エネ協力事業の実施に生かすとともに、国内に
おいて関係団体にも発信していきたい。
1.2 ASEAN-SOME (注1) 関連会合出席
(1)出張概要
○出 張 者:国際協力本部
国際協力計画部長
牛尾好孝
○出張国(都市):ラオス(ルアンプラバーン)
○出張目的:
(a) 15th SOME-METI(注 2) 会合にオブザーバーとして出席
(b) 13th SOME+3-EPGG(注 3) (Energy Policy Governing Group)Meetingに 出席、
AJEEP事業に関する報告を行う。
(c) 19th EAS-ECTF(注4) Meetingでアジア省エネ協力センター(AEEC)の活動に
ついての報告を行い、同センターの活動の継続に関し、東アジア各国(上記
ASEAN+3と豪州、インド、ニュージーランド、米国、ロシア)から確認を得る。
○日本側関連会議出席者:
資源エネルギー庁 長官官房 守山国際エネルギー戦略推進室長
資源エネルギー庁 長官官房国際課 因国際資源エネルギー専門官、藤井係長、石井係長、そ
の他団体:IEEJ, NEF(新エネルギー財団)、JAEA(日本原子力研究開発機構), ERIA
等関係団体の代表
○業務予定 :
以下の予定表の通り
日程
業務内容
6 月 10 日
(火)
Lv. 羽田 Ar. Luang Prabang(Lao PDR)
6 月 11 日 (水) (午前)15th SOME-METI 会合出席(オブザーバー)
(午後)13th SOME+3-EPGG Meeting 出席(報告)
6 月 12 日 (木) (午前・午後)19th EAS ECTF 会議出席(報告)
6 月 13 日 (金) Lv. Luang Prabang
6 月 14 日 (土) Ar. 羽田
<注釈>
(注 1)SOME:Senior Officer Meeting on Energy:ASEAN のエネルギー部門の次官級
会合
Ⅳ-6
(注 2)SOME-METI:ASEAN 各国のエネルギー部門の次官級と日本(METI)の代表との会
合
(注 3)SOME+3-EPPG:ASEAN 各国のエネルギー部門の次官級と日本・中国・韓国の代表
とのエネルギー政策に関する会合
(注 4)EAS ECTF:「東アジアエネルギー協力タスクフォース」で、2007 年の東アジア各
国首脳が承認したエネルギーの安全保障に関する「セブ宣言」に基づき
設立された。
ECCJ は AEEC を通し情報発信でこの事業に協力している。
(2)各会議における省エネ関連内容について
(1) 15th SOME-METI Consultations
① ECCJ に関連する事業(AJEEP、EMTIPS)についての ASEAN からの報告・提案(ACE
の Dr. Hadiv Situmeang より説明)
(a)
AJEEP、ECAP、EMTIPS 2013-2014 の成果報告(ACE)
昨年度の活動報告は 5 月 30 日に開催された ASEAN
EE&C-SSN 年次総会で ECCJ
から報告した内容をベースに詳しく報告。この報告では、ECCJ の ASEAN 省エネ協
力事業である AJEEP 事業、ECAP 事業及び EMTIPS 事業の 3 事業が SOME-METI
会合で承認された事業として確認された。
注)EE&C-SSN 年次総会:ASEAN 各国の省エネ担当者と ACE が参加し、前年度の
活動の成果を報告・確認し、今年の活動方針を協議・決定する会議。
(b)
AJEEP、ECAP、EMTIPS 2014-2015 の下記具体的な活動提案(ACE)
 Inception Workshop を 7 月に実施予定で、本年度の具体的な活動内容を決定する。
 スキーム2については 3-4 カ国で実施。昨年度のフォローアップを 1 カ国で実施す
る。
 スキーム3については昨年度の活動の Follow-up を 3 カ国(カンボジア、ラオス及
びミャンマー)で実施。
 ECAP についても引き続き実施。
 EMTIPS はエアコンの省エネ効率ランキングリストの作成、消費者のアンケート
調査に重点を置いて活動を実施する。上記 EE&C-SSN 会合で ECCJ が発表した資
料を使って詳しく説明。
② 協議内容(ECCJ 関連)
(a)
ASEAN からの提案及びコメント
 日本の ASEAN に対する省エネ分野の長年(15 年)の協力に感謝する。ASEAN 諸
国はこの協力により省エネ推進において多くの恩恵を得てきた。
 AJEEP 事業はディマンド側に重点を置いた事業のように思えるが、Supply 側の省
Ⅳ-7
エネ(発電所、配電設備の省エネ)推進事業も実施してほしい。
 更に運輸についても AJEEP でテーマとして取り扱ってもらいたい。
(b)
METI(ECCJ)のコメント
 AJEEP 事業の実施範囲は ASEAN 側の優先順位に基づき実施するが、今まで未実
施の Supply 側の配電設備の省エネ、運輸分野の省エネについても ASEAN との調
整会議の中で協議し、METI に相談しつつ検討する。
(2) 13th SOME+3 Energy Policy Governing Group (EPGG) Meeting
ECCJ から AJEEP の昨年度の活動報告行った。本件は既に SOME-METI で議論されて
いたため、質問・コメントは特になかった。
(3) 19th Meeting of Energy Cooperation Task Force (ECTF)(19th EAS ECTF)
ECCJ から ECCJ の概要と国際協力の実績を簡単に説明し、アジア省エネルギー協力セ
ンター(AEEC)の活動内容及び成果を報告した。ECCJ(AEEC)のホームページに掲載
している関係各国の Energy Efficiency Goals and Action Plans の内容等の更新のため各国
からの最新情報の提供を要請し、AEEC の活動の継続を確認した。
(3)ASEAN SOME
関連会議での要請に基づく ECCJ の今後の対応
会議で出された ASEAN 各国の提案・コメントに基づき METI の指導のもと下記対応を
行う。
(1)
AJEEP 事業の今後の対応
(a) AJEEP 事業の成果について各国から高い評価を受け、協力スキームが各国から理解を
得たことを確認し、現在進めている ASEAN(ACE)との協議を継続する。
(b) 本事業の供給側、特に配線設備の省エネ推進をテーマを加える等のスコープの拡大に
関する要請について、ECCJ が実施可能な範囲を検討し、前向きに対応する。また、
交通・輸送分野の取り込みについては、ECCJ が国内で行っているエコドライブ、貨
物輸送分野の法制度等をプログラムの中に取り込むことが適正であるかを METI の指
示に基づき検討する。
(c)
EMTIPS 事業は SOME-METI 会合で承認され、5 月末に開催された EE&C-SSN 会
合(ASEAN 省エネ部会の年次総会)で ECCJ より提案した計画に基づき実施する。
(d)
2013-2014 の具体的な活動内容は 8 月初旬の Inception Workshop で決定する。
(e)
予算内で最大限彼らの要求を満足させる活動内容を目指す。
Ⅳ-8
(2)
AEEC の今後の対応
(a)
AEEC の活動の継続が本会議で確認されたことで、今後 AEEC のサービス向上のた
め、Web Site の提供情報の内容の充実をはかり、EAS 地域への日本の省エネ推進へ
の貢献成果を発信し、と東アジア各国の省エネ実施機関とのネットワークの強化を図
る。
1.3
Inception Workshop の実施
(1)出張概要
○出 張 者: 国際計画部長
牛尾
好孝
国際計画部部長
及川
孝一
国際計画部技術専門職
国徳
和秀
○出張国(都市):タイ国(バンコック)
ASEAN 各国のエネルギー関連省庁の次官級(SOME)と METI と
の会合で合意された、「平成 26 年度の ASEAN に対する省エネ人材
育成事業(AJEEP:ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership
Program)」の具体的な活動実施計画作成のためのワークショップに
参加した。ワークショップには ASEAN 各国(8 カ国)から ASEAN
省エネルギー部会(EE&C-SSN)の代表(Focal Point 又はその代
理)及び ACE(ASEAN Centre for Energy)が参加し、実施計画を
決定した。不参加はフィリピン及びシンガポールの代表。但し、フィ
リピンの提案等の発表は ACE が代行して実施。
○業務日程と内容
:
以下の予定表の通り
日程
業務内容
8 月 10 日 (日)
移動(牛尾、及川):成田 → ホーチミン
8 月 11 日 (月)
移動(国徳):羽田→ホーチミン(早朝着)
14:00-16:30 ACE と打合せ(発表内容と会議の準備に関する確認)
8 月 12 日 (火)
9:00-16:30 ワークショップ:Day 1
8 月 13 日 (水)
9:00-12:00 ワークショップ: Day 2、
移動(国徳):ホーチミン→成田、
8 月 14 日 (木)
牛尾、及川は EMTIPS の会合に出席(15日まで)
移動(国徳):到着
○出張目的と概要:
(2)Inception Workshop で決定した内容
2 日間の協議により、平成 26 年度の AJEEP 事業の具体的な活動内容が、参加各国及び
ECCJ の提案内容をベースに下記のように決定された。会議の内容は添付資料1を参照。
(1)スキーム2の実施計画
2014 年度の ASEAN のスキーム2の活動内容は下記に示す。スキーム2対象国 7 カ国の
内2カ国(シンガポール、フィリピン)が欠席。但しフィリピンは ACE が代理で提案した
ため、本年度は6カ国からの提案をベースに協議を行い、決定した。
具体的な提案はインドネシア、フィリピン及びタイの 3 カ国。先ず、昨年の政治情勢の悪
Ⅳ-9
化で中断されたタイでの活動の実施を確認した。タイ以外の 2 カ国については、過去 2 年間
未実施のマレーシア及びベトナムでの実施を優先することとした。しかし、両国からの具体
的な提案がなかったため、両国に対し 2 週間以内に AJEEP スキーム2の活動提案の提出を
要請した。もし、1 カ国又 2 カ国とも実施できない場合、具体的な提案をしているインドネ
シア、フィリピンの順に優先権を与えることとした。
対象国
実施期間
タイ
(11/10~14)
マレーシア
(未定)
ベトナム
(未定)
インドネシア
(12/8~12)
フィリピン
(未定)
インドネシア
(10/20~22)
(実施決定)
提案内容
鉄鋼産業における省エネプロジェクトの推進(リジェネバーナー導入)
 Kasemsak Traiding Co., Ltd.の工場で高効率バーナーの導入状況の
調査(工場調査)を実施し、日本製リジェネバーナー導入提案を行
い、その内容についてワークショップで議論。
 鉄鋼分野の ASEAN で有効な新省エネ技術の紹介も含む Roundtable
Discussion を予定。
 本件は日本鉄鋼連盟、日本工業炉協会の協力を得て実施する。
 同国では鉄鋼産業において高効率バーナーの導入が補助金支給の対
象となっている点を考慮し実施
 尚、本件は昨年度工場内の事故及び政治問題で実施できなかった活
動。
ビル改修のための省エネ診断(診断 OJT も含む)と省エネ技術提案
 現地の ESCO 事業者が参加、省エネ診断に基づく改修プロジェクト
提案を行う。診断結果及び省エネ技術に関する情報共有のためのワ
ークショップ(50-60 人)実施。
 EMC(ESCO)事業の推進・普及への貢献。
 本件は JASE-W 業務用施設 SWG の協力を得て実施する。
産業分野の省エネ診断による省エネプロジェクト提案
 診断調査及び省エネ技術に関するセミナー・ワークショップ(50-60
人)を実施。
 具体的な活動内容は、会議中には出なかったが、前向きに検討との
回答を得ている。
 本件の詳細実施計画は同国政府より再提出。
食品・飲料工場における省エネ診断と省エネ技術プロジェクト提案
 3 工場を診断調査の対象工場として提案。1 工場を後日選定。
Sinarmas Medan/North Sumatora(食用油、マーガリン・バター、
ココア等)
PT Otsuka/East Java (スポーツ飲料)
Rancabali Tea Plantation /West Java(紅茶)
 診断調査結果及び省エネ技術を討議するセミナー・ワークショップ
(50-60 人)開催。
 省エネ診断は参加者の OJT を兼ね、広範囲のデータ収集を要望。
地方政府のビルの省エネ推進活動支援(省エネ基準の準拠状況の調査)
 グリービル基準、省エネビル基準の準拠状況の調査と省エネ技術導
入による省エネ効果の提案。
 調査結果及び省エネ技術に関するセミナー・ワークショップ(50~
60 人)
ビル分野の省エネ設備に関するビジネスマッチングを目的とした会合
を JASE-W 主催で実施。AJEEP 事業は一部発表者派遣等で協力。
Ⅳ-10
(2)
スキーム3の実施計画
前日のカンボジア、ラオス、ミャンマーの提案内容に基づき協議し、下記活動内容が決定された。
省エネ法制度構築のための人材育成活動として下記を実施。各国とも昨年結成された
Taskforce
対象国
期間
カンボジア
5日間
(12/1-5)
ラオス
5日間
(1/12-16)
ミャンマー
5日間:(1
(1/19-23)
Working Team とのワークショップ。
活動内容
 作成された国家省エネ政策に基づく産業・ビル分野の法制
度策定及び国民の省エネ意識向上対策に関するワークショ
ップ(プノンペン:1日)
 エネルギー管理 OJT 実習(シームリアップ:1日)
 ビルの省エネ診断 OJT(シームリアップ:3 日)
 全セクターの省エネ法制度構築のためのワークショップ
(1日)
 エアコンの省エネ基準及びラベリング制度の策定に関する
ワークショップ(1日)。
 産業分野(鉄鋼又はセメント)における省エネ診断 OJT(3
日)
 全セクター及び産業セクターにおける省エネ法策定に関す
るワークショップ(新しく組織された EE&C Division のスタッフ
とのディスカッションも含む)(2 日間)
法制度及び政策作成プロセス、省エネ技術、国民(企業)
の省エネ意識の向上等をテーマとする。
 工場訪問によるエネルギー管理 OJT 実習(3 日間)
ASEAN
支援国
マレーシア
シンガポール
タイ
フィリピン
タイ
ベトナム
インドネシア
タイ
ベトナム
スキーム3の現地活動を実施するための準備として、下記が参加各国に要請された。
1)CLM 各国は各支援国に対し、活動の中でアドバイスをもらう具体的なテーマを連絡
する。
2)支援国は CLM 各国の要請に基づき専門家の選定とワークショップへの準備を行う。
(3) 受け入れ研修の実施計画
ASEAN 各国から受け入れ研修に対する期待が示され、ECCJ からの下記提案が了承された。
研修名
日程
ECAP 05
10 月 22 日~28 日
(10 月 29 日~
11/5 に な ら な い
か
?
Ms.Amapaporn
の参加のため)
ECAP 06
11 月 8 日~15 日
研修内容
 目的:
①CLM 各国が昨年度 AJEEP スキーム 3 現地にて作成した「3
か年実施計画」の実施状況及び今後の計画を確認。
②日本の省エネ政策・法制度の内容と実施状況を理解し、省エネ
法制度の策定・実施の参考とする。
③日本の国民の省エネ意識の向上のための施策の理解
 参加者:
CLM 及びブルネイから各 3 名,また他の ASEAN 支援国から各
1 名,ACE から 1 名(計 19 名)を想定。参加者は各国政府の省
エネ法制度策定担当者。
 ASEAN からの要請
産業に特化しないで全セクターを対象とした研修を希望。
 目的:
①家庭用機器(例:エアコン及び冷蔵庫)の省エネ基準・ラベリ
Ⅳ-11
ECAP 07
12 月 15 日~18 日
ング制度実施における日本の経験を理解し、各国の当該分野の制
度構築に反映される。
②エアコン及び冷蔵庫の省エネ基準・ラベリング制度構築におけ
る ASEAN に対する現在実施中の日本の各協力事業内容
(EMTIPS(ECCJ 実施)及び IS-INOTEK の事業)の理解と
ASEAN 内で実施中で EU が支援している同分野の協力事業
(ASEAN-SHINE)とのスコープ及び連携内容の確認。
③ASEAN における家庭用機器の省エネ基準及びラベリング制
度の調和に関する小集団討議(SGD)。
 参加者:
ASEAN10 か国から各 2 名,ACE から 1 名(計 21)を想定。参
加者は機器の省エネ基準・ラベリング制度策定の関係者。
 目的:
①日本の Green Building(Sustainable Building)の評価手法で
ある CASBEE の概念及び評価手法について、講義及び討議を通
じて理解を深め、ASEAN の Green Building 表彰制度の評価方
法に反映する。
②ASEAN の省エネ表彰制度(省エネビル(Green Building)及
びエネルギー管理部門)の評価基準・評価方法の改善について協
議する。
③IPEEC TOPTENsプログラムの紹介と同プログラムへの
ASEAN の参加についての協議
 参加者:
ASEAN10 か国から各 2 名,ACE から 1 名(計 21)を想定。参
加者は ASEAN 省エネビル表彰制度の評価委員。
ブルネイより,同国は ASEAN 内で、省エネ法制度の導入面で遅れており,カンボジア・
ラオス・ミャンマーと同様に本年度も ECAP05 に 3 名参加させてほしいとの要請があり、
了承。
2.AJEEP 事業スキーム2の人材育成のための専門家派遣
2014 年度の AJEEP スキーム2事業においては、タイ、インドネシアの産業分野の省エ
ネルギー診断に日本の専門家を派遣して実施した。マレーシアはビル分野の診断を予定して
いたが今年度へ延期となり実施できなかった。
前段でも述べたが、本事業は ASEAN 地域の中で省エネ推進基盤(政策、法制度)が進ん
だ国における省エネビジネス展開のためのプロジェクト形成とその推進人材の育成。2014
度の活動方針は「民間部門の参画による産業とビル分野の省エネプロジェクト形成推進強
化」をテーマに実施した。
更に、本スキームの活動の発展形として、民間部門として JASE-W 及び日本鉄鋼連盟が
ASEAN と共催実施された省エネビジネスマッチングを目的とした会議、セミナーへの支援
も行った。
Ⅳ-12
2.1
タイでの活動概要
2.1.1
概要
(1)出張者
ECCJ 診断技術部長
秋山俊一
ECCJ 国際計画部・技術専門職
JFE テクノリサーチ㈱部長
(加熱炉操業)
小倉豊
(全体総括・エネルギー管理)
S 氏、中外炉工業㈱技師長
U 氏、ニッコー㈱技術営業部
S 氏、また日本工業炉協会から 2 名が自社負担で参加。
長
(2)出張目的
AJEEP (ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership Program)スキーム 2 事業におい
て、タイ国 の電炉圧延工場である Kasemsakdi Trading Co., Ltd.の省エネルギー診断を実
施すると共に、タイ国エネルギー省の DEDE(代替エネルギー開発・効率局)と ACE( ASEAN
Center for Energy)と共催で、鉄鋼産業を対象としたセミナーを開催した。
この Kasemsakdi 社は昨年のタイのスキーム2事業で診断する予定であったものだが、
その際は訪問直前になって工場の事情により訪問できなくなり、急遽、別の企業である The
Siam Construction Steel Co.,Ltd.(SCSC)を選んでもらい訪問したが、今年度の Inception
Workshop にて改めてタイ C/P より Kasemsakdi 社の診断を要望され、訪問することにな
った。
(3)日程と活動概要
日 付
11/ 9(日)
業 務 内 容
(移動)成田→バンコック
(バンコック泊)
11/11(火)
9 時~11 時:(移動)バンコック→ペチャブリ
11 時~午後:Kasemsakdi 社訪問。工場紹介、質疑応答&Walk
Through Survey
(ペチャブリ泊)
Kasemsakdi 社工場にて、電気炉・加熱炉の調査・診断
(ペチャブリ泊)
11/12(水)
Kasemsakdi 社工場にて省エネ診断活動継続
11/13(木)
午前:Kasemsakdi 社幹部他への診断結果報告。
午後、バンコックへ移動
(バンコック泊)
タイ鉄鋼業向け省エネ技術・設備等に関するセミナー(DEDE、
ACE、タイ鉄鋼協会と共催)
(移動)バンコック→
11/10(月)
11/14(金)
11/15(土)
2.1.2
(ペチャブリ泊)
(移動)→成田
診断活動内容
(1)対象工場の概要
対象工場は Kasemsakdi Trading Co.,Ltd.の工場でバンコックよりタイ湾に沿って南
西に車で 2 時間弱のペチャブリ市にある中規模の電炉圧延鉄鋼工場である。従業員数は 300
Ⅳ-13
名で、年産 14 万トンの異形鉄筋やビレットを販売している。
主要設備としては、15T/ch と 20T/ch の電気炉が各 1 基あり、LF(炉外製錬)1 基、3 連
の連続鋳造機が 1 台、再加熱炉 1 基と 30T/hr の圧延機を 1 基保有する。その再加熱炉の加
熱帯には 3 対のリジェネバーナーが 2009 年より設置されている。電気炉は夜間操業で、そ
れにつながる連続鋳造後は再加熱炉を長時間通さない Hot Charge として異形鉄筋を圧延す
るが、昼間の圧延作業では既に冷却した CC ビレットを Cold Charge として再加熱炉にて
1,100℃に加熱して圧延する。
再加熱炉には 2009 年に DEDE の”Advanced Technology Promotional Scheme”予算によ
り、リジェネバーナーがタイで最初に導入され、44%の省エネが図れたと共に、生産性も
15T/hr から 30T/hr に倍加したとの報告があった。
また同社は中規模と言えども、既に ISO9001 と 14001 を取得しており、それなりの安全
管理と品質管理がなされている様子であった。
(2)活動全般
Kasemsakdi 社の加熱炉は台湾メーカーが納めたが、そのリジェネバーナーは中外炉工業
が図面のみを提供したものであった。訪問前に一時、そのリジェネバーナーがうまく稼働し
ていないという情報もあり、事前にその状況を確認もしたが、訪問前には全体の質問への回
答を除き、リジェネバーナーの固有情報は得られなかった。
訪問初日の会社概要説明や工場の Walk Through には、日本からの専門家の他に、DEDE
及びタイ鉄鋼協会のメンバーも多く参画し、多くは翌日からの現地診断にも、更には 13 日
の幹部報告にも積極的に参加してくれた。
加熱炉の操業は昼間も実施していたので立会いは容易であったが、電気炉は電力コスト低
減の目的もあり夜間操業であったが早朝の操業 2 charge に立ち会った。
ISO を取得している工場であったこともあり、操業やエネルギー消費データは事前に回答
を得ており、また現地で追加依頼しても早々に提供してくれて、良好な管理体制が窺われた。
(3)省エネルギー診断活動
省エネルギー診断に当たっては、以下の 3 点を中心に実施した。
(1) エネルギーマネージメント状況
(2) 電気炉における省エネルギー技術の提言
(3) 加熱炉における省エネルギー技術の提言
ただし、加熱炉については省エネルギー技術として最適と考えられるリジェネバーナー
システムが、既に適用されていることから本システムの運用に関する診断に重点を置いた。
またエネルギーマネージメントに関しては ECCJ からの質問に対する工場からの回答並
びにヒアリングを中心に診断を実施する一方、電気炉および加熱炉においては現場調査を中
心として、ヒアリングも並行して実施した。
Ⅳ-14
(1) エネルギーマネージメント状況
A) エネルギー原単位について
提供されたエネルギー消費データを ECCJ でグラフ化して提示した。2011 年~2013 年
(ともに 1 月~12 月)の電気炉と加熱炉のプロセスにおけるエネルギー原単位の推移を示す
と共に、電気炉プロセス+加熱炉プロセスのトータルでの原単位も示して、日本の省エネ
ルギー法の関連でエネルギー原単位のベンチマークのガイドラインの目標値と比較して示
した。(図-1)。その結果、日本の電炉圧延鉄鋼業の目標値に比べて Kasemsakdi 社の電炉
と加熱炉の原単位の合計は良好であった。これは後述するように、連続鋳造後の圧延まで
の Hot Charge 比率が 7 割程度と高いことや、リジェネバーナーの使用による効果が考え
られる。
このように、グラフ化することでエネルギー状況の把握は可能であるが、その
要因についての解析が不足している面が見られ、今後の課題になると考えられる。
図-1
電気炉・圧延合計のエネルギー原単位推移と日本のベンチマーク目標値
B)エネルギーマネージメントの状況
今回の事前調査、現地調査、および現地での質問等に対し、操業上の数値や図面等が迅
速に提供され、今回の診断は効率的に進めることができた。また Kasemsakdi 製鉄所は、
ISO9001、ISO14001 を既に取得し、今後 ISO50001 の取得も目指しており、データや図
面はよく管理されていることが認識できた。また、工場スタッフには ECCJ(省エネルギー
センター)で教育を受けた人間もおり、その成果が十分に垣間見えた。
また、操業改善を進めるに当たり、操業解析や改善を持続するための操業標準といった
ものの整備が不足している面が見られ、今後の改善が期待される。
今後は PDCA サイクルを適用して、操業・設備を改善していくことを提言した。
Ⅳ-15
(2)電気炉における省エネルギー技術の提言
電気炉設備・操業への提言を実施するために、稼働していた No.2 電気炉の現場調
査をした。
A) 電気炉設備(No.2 電気炉)
・設備仕様:Capacity
20 ton
(実際の出鋼量は 23~25ton)
・操業数値抜粋
Electrical Power Consumption 500 kwh/ton
Tapping temperature ≒ 1620 deg.C
Tap to Tap time ≒ 60min
電極原単位:No2(16inch):4.03kg/ton-billet
電気炉は
設備がかなり傷んでいる様子が見られ、設備の改善が望まれる状況であった。
また、電気炉への酸素については従来マニピュレータで炉内に吹き込んでいたが、水冷パ
ネルが傷むという理由から、今年になって撤去したとのことであった。
ヒアリングによる電極原単位は異常に悪く(通常は 1.5 kg/ton-billet 以下)、操業を観察
したところによれば、水冷も実施されており、品質によるところが大きいものと推定され
た。
B)電気炉現場調査
スクラップの量制限により No.2 電気炉のみが稼働中であり、操業時間の関係から朝 6
時からの立会いとなり、2 ヒートの操業を観察した。
スクラップの装入回数は 4 回(平均的に 4 回との事)、スクラップ溶解期(Melting stage)
が続き、最後の 10 分程度が精錬期(Refining Stage)となっている。操業中は電気炉本体か
ら周囲に常時多くのフレームと粉塵が外部に噴出しており、設備的にも環境としてもあま
り良いとはいえない状況であった。
C) 電気炉における課題の抽出と改善の提言
これらの現地調査、その他ヒアリングに基づき、以下のような課題を提示した。
a) 集塵能力の不足
集塵能力が不足しており、エネルギーロス(外部でエネルギーが消費されている)が
生じているとともに、作業環境の悪化につながっている。
b) 排滓口(Slag door)の常時開操業
常時排滓口が開いているために、炉内に空気が侵入しやすくなり、炉内が冷却され
るとともに、集塵能力の低下にもつながっている。
c) 過剰な酸素供給
酸素供給が過剰となっており、鉄の酸化が進む(鉄の歩留まり低下)と同時に、排滓
Ⅳ-16
口を常時開とする原因にもなっている。
d) 樋出鋼
樋による出鋼方式を採用しており、鉄の歩留まり低下、出鋼時間延長等につながっ
ている。
e) 不十分な電極制御
電極の制御が不安定のため、トランス能力を十分に使った電力供給ができておらず、
時間延長につながっている。
これらの課題に対し、図-2 に上記の課題に対する改善技術を提言した。技術の概要につ
いては省略する。
1. Improvement of
dedusting system
And the slag door
Closing Operation
5. Control and Automation
for EAF Optimization
3. Carbon and
Oxygen Injection
System for slag
foaming
Dust
collector
Refining Stage
Melting Stage
4. Eccentric Bottom
Tapping (EBT)
2. Application of Oxyfuel Burners/Lancing
図-2
改善技術の提案内容
D) 改善による省エネルギー期待効果
改善による期待効果を表-1 にまとめる。
表-1
電気炉での省エネルギー期待効果
Items
1. Improvement of dedusting system
& Slag door Revamping or Maintenance
2. Appropriate Oxygen C-Injection Burners/Lancing
3. Carbon and Oxygen Injection System for slag
foaming
4. Eccentric Bottom Tapping
5. Control and Automation for EAF Optimization
6. Operation Improvement
Total
Ⅳ-17
Electricity Saving
(kwh/ton)
(20)
14.3*1)
6*1)
15*1)
6*1)
Α(20)
41.3(61.3)+A(20)
*1) 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 は ”Technology Customized List ver.1.0”
ASEAN-Japan Iron & Steel Initiative の数値を使用。(
Developed by
)内の数値は推定値
全ての改善項目を実施した場合、最大 81.3kwh/ton の電力削減効果が期待できることが
わかる。ただし、操業改善(Operation Improvement)と、集塵能力の増強と排滓口閉止操
業(Improvement of dedusting system& Slag door Revamping or Maintenance)を最優先
として実施することを提言した。
現状 Kasemsakdi 製鉄所の電気炉電力原単位は 500kwh/ton 程度を示しており、これら
の技術を適用することで約 420kwh/ton までの電力原単位が下げられることになる。
電力原単位はトランス容量、酸素や燃料の使用量といったものに影響を受ける。本製鉄
所ではトランス容量は十分であり、電力投入効率の改善、酸素の運用方法の改善と言った
改善により、電力原単位の改善が可能である。ただし現状の操業であれば、酸素投入量は
20~30m3N/ton が適切なレベルであること、炉容量が 20ton と小さく熱放散の割合が高
いこと、スクラップ装入回数が 4 回と多いこと、等から 400kwh/ton 程度が限界であると
考えられる。ただし、今後補助燃料(ガス、油等)等の投入といった設備改善をして、酸素
の有効利用をはかれれば、さらなる電力原単位低下が可能になると考えられる。
(3) 加熱炉における省エネルギー技術の提言
本製鉄所の加熱炉には加熱炉の最先端技術であるリジェネバーナーが設置されている。
本リジェネバーナーはタイ政府 DEDE(Department of Alternative Energy Development
and Efficiency)の補助金を受け、2009 年に設置されたものである。中外炉工業(株)のバー
ナーを台湾の炉メーカが購入し設置したものである。今回の加熱炉の省エネルギー診断は
リジェネバーナーを有する加熱炉に対し、リジェネバーナーの効果・使用方法・運用方法
等に焦点を置いて実施した。
A)加熱炉設備
プッシャー式加熱炉
Capacity :
30ton/h
加熱炉燃料 : CNG、LNG
バーナー:加熱帯
:均熱帯
200 万 kcal/h×3 ペア(リジェネバーナー)
従来型ホットエアバーナー75 万 kcal/h×4 本(燃焼温度 max.400℃)
操業数値
ホットチャージ率
60~70%(700~800℃)
抽出温度:1,100~1,150℃
B)加熱炉現地調査
Ⅳ-18
調査としては加熱炉の操業に関する診断およびリジェネに関する診断の両方を同時に実
施した。調査のために ISIT(タイ鉄鋼協会)より、放射温度計、排ガス温度計、排ガス
O2 測定装置の提供および測定の援助を受け実施した。
調査項目として
操業状況の調査(燃料使用量、炉内温度等)
・
燃焼空気比の調査(熱交換器入口の排ガス O2 濃度調査)
・
炉壁温度調査
・
その他
を実施した。
写真-1
加熱炉計測
炉温は加熱帯が 1,050℃、均熱帯が 1,250℃と後段燃焼型のヒートパターンとなってお
り、省エネルギーを志向した操業となっている。
また、このときの操業状況から算出した熱バランスを表-2 に示す。
表-2
加熱炉調査時の熱バランス
Heat input
MJ/t
Energy of Combustion
Energy of Preheated Air
Heat of Billet(30℃)
1317
523
16
Total
1856
%
Heat output
MJ/t
71 Energy In Billet
28 Flue Gas Loss
1 Other heat loss
100 Total
%
712
776
368
39
42
19
1856
100
このときの加熱炉の燃料原単位は 20ton/h の状態で、1,317MJ/ton(≒314,600kcal/ton)
と言うことになる。
また、右図にこの操業状態における加熱帯(heating zone)
Fuel flow rate(%)
と均熱帯(soaking zone)の燃料投入量(Fuel flow rate)比率を
80
示す。図からわかるようにリジェネバーナーが設置されてい
60
る加熱帯に 80%近い燃料が投入されており、リジェネバーナ
40
20
ーが有効に利用されている。
0
リジェネバーナーを有する加熱炉の操業としては適切な運
用を実施していると言える。
Ⅳ-19
Heating
Zone
Soaking
Zone
C)加熱炉における課題の抽出と改善の提言
これらの現地調査に基づき、以下のような課題を提示した。
a)
空気比の適正化と熱交換器内の予熱空気の漏洩
写真-2 に熱交換器の入出の排ガス O2 を調査した結果を示す。入側の排ガス O2 濃
度が加熱炉出側の排ガス中 O2 濃度と考えられ、この結果から炉に供給される空気
比を計算すると以下のようになり、
空気比=21/(21‐6.54)=1.45
大きな空気比となっていることがわかる。燃料が天然ガスであることから考えると
高い空気比であり、空気比の低減による省エネが期待できる。また、理由は不明で
あったが、加熱帯と均熱帯の空気比設定が異なっていた。ほぼ同一の数値を使用す
べきであり、そのためにはオペレータごとの差をなくすように Manual を作成し、
操業を管理していくことが推奨される。
一方、熱交換器出側の排ガス O2 濃度が 12.05%と入側に比較しはるかに高く、熱
交換器内での燃焼用空気の漏洩が懸念され、熱交換器の効率を上げるためにも、定
修時に点検を行うことを提言した。
Inlet
6.54%
写真-2
b)
Outlet
12.05%
熱交換器の入出排ガス O2 濃度調査結果
炉壁温度の調査
一般的に日本では加熱炉壁温度は炉内温度 1100~1300℃で、側壁で 110℃以下
とするように規定されている。今回の使用した輻射温度計は 200℃以下を測定でき
ないものであったが、各所炉壁温度を測定した結果、高い場所が何箇所か見られた。
その様子を写真-3 に示す。
Ⅳ-20
300℃
700℃
300℃
300℃
Mill side wall
Exhaust gas fan
Charging side wall
写真-3
炉壁温度の調査結果
装入側炉壁(Charging side wall)では、赤熱し、700℃以上になっている部位も見
られた。また、ところどころでペンキが剥げ、300℃以上となっているところも見ら
れた。これらについては定修時に炉内の耐火物を点検し、補修することを提言した。
省エネルギーの面からは、全般的に炉壁温度は高いと推定され、断熱の強化を進め
る必要がある。
c)
ビレット装入改善
ビレット装入側のドアが大きく開いており、侵入空気の防止と、熱ロスの防止のた
めに、できる限り下げることを提言した。2 段となったビレットに対応したものと
推定されるが、設備改善を通して、修正していくべき点である。
d)
予熱空気温度の上昇
本加熱炉はリジェネバーナーを採用している。リジェネバーナーはその特徴とし
てほぼ炉温に近い予熱空気温度を回収することができる。現時点での予熱空気温度
は約 900℃であり、リジェネバーナーが設置されている加熱帯の炉温は約 1,100℃で
あることから切替時間の見直し・調整等により、更なる温度上昇が可能である。
D)加熱炉提言に基づく省エネルギー量の評価
現場調査によって提言された省エネルギー提言を採用した場合の効果を表-3 に示す。
表-3
1
2
3
4
提言された改善による省エネルギー効果
Item of Energyng
Excess air ratio
1.45(O2:6.54%)→1.2(O2:3.5%)
Wall temperature is lowered
(for ex. Av.200℃→Av.150℃)
The height of charging door is lowered.
Preheated air temperature increase ( for
exAv.900℃→Av.950℃)
Total of Energy saving
Ⅳ-21
MJ/t
31.5
%
2.3
56.7
4.3
18.7
35.1
1.4
2.7
142
10.7
a)
燃料燃焼時の空気比が 1.45 と高く、1.2 まで下げることにより 31.5MJ/ton の省エ
ネルギーが期待できる。日本では炉内温度 1100~1300℃の工業炉で、気体燃料使
用時 1.05~1.25 の空気比とするように規定されている。
燃料が天然ガスの場合、さらに空気比を 1.1 以下に下げることが可能であり、こ
れによりさらに省エネルギーを推進することができる。さらには、空気比を低下さ
せることで燃焼後の O2 濃度が下がり、スケールロスの低減といった副次効果も期
待できる。
b)
耐火物の補修および耐火物の改善による断熱強化により 56.7MJ/ton の省エネルギ
ーが期待できる。現状の炉壁の平均温度を 200℃と仮定し、平均 150℃まで断熱強
化した場合の推定値である。
c)
ビレット装入口の開口部を小さくすることにより、18.7MJ/ton の省エネルギーが期
待できる。炉外への輻射熱ロスを防止するとともに、外部空気の侵入を防止するこ
とも可能となる。
d)
リジェネバーナーの予熱空気温度を各種設定等の改善により、現状 900℃からさら
に 950℃にまで上げることで 35.1MJ/ton の省エネルギーが期待できる。
以上 4 項目で、合計で 142MJ/ton(現状の 10.7%)のエネルギー削減が可能となること
を提言した。
E)リジェネバーナーの改善
本加熱炉にはリジェネバーナーが設置され、かつ適切に使用されており、大きな改善効
果を生んでいることが確認できた。しかしながら、一方でさらにリジェネバーナーの能力
を発揮させるための改善点がいくつか見られたこと、およびその効果を持続させるための
項目について以下のような提言を実施した。
a)
空気の適正化のための助言
b)
リジェネバーナーの排ガスバランスの適正化に関する助言
c)
排ガス量の適切なコントロールに関する助言
d)
リジェネバーナーの定期的なメンテナンスの実施
以上のように、Kasemsakdi 製鉄所に導入されたリジェネバーナーはその効果を発揮はし
ているものの、いろいろな改善余地が見られる。リジェネバーナーはハードの設置だけでは
その効果は十分に発揮できず、ソフト的な要素が十分に考慮されなければならず、技術・過
去の知見を多く有する日本メーカーの技術導入が強く望まれる。
2.1.3
鉄鋼向け省エネセミナー開催
(1)省エネセミナーの概要
Ⅳ-22
最終日 5 日目の 11 月 14 日(金)は終日バンコックの Twin Tower Hotel にて、タイ鉄鋼
業を対象とした省エネ推進のための効率的な技術及び優秀事例を紹介するセミナーが 40 名
の参加を得て開催された。このセミナーにはタイ側よりエネルギー省 DEDE を中心にタイ
鉄鋼協会、タイ鉄鋼業関係者(9 社)が、日本より ECCJ 他の AJEEP 事業関係者の他に
METI 鉄鋼課 エネルギー・環境専門職の佐田谷智氏、日本鉄鋼連盟より日鉄住金総研の O
氏、デロイトトーマツより W 氏が参画し発表し、ASEAN 他への鉄鋼業の省エネ・環境支
援策や日本鉄鋼業の取組みの紹介と相互の交流・情報共有を図り、大変有意義なセミナーと
なった。
(2)プログラムと発表概要
日本からの報告事項が多かったために盛り沢山のプログラムとなったが、同時通訳を起用
して効率的・効果的なセミナーが実施出来た。
発表者
Ms.Amaraporn
(挨拶)
所属
DEDE
佐田谷智
(挨拶)
METI
秋山俊一
(挨拶)
ECCJ
Mr. Rio
(挨拶)
ACE
Mr. Rio
小倉豊
ACE
ECCJ
S氏
JFE テノクリサーチ
佐田谷智
METI
W氏
/O 氏
Mr. Hin
デロイトトーマツ
/日本鉄鋼連盟
タイ鉄鋼協会
O氏
日本鉄鋼連盟
佐田谷智
/W 氏
秋山俊一
/S 氏
METI
/デロイトトーマツ
ECCJ
/中外炉
発 表 概 要
タイでは工業セクターは主要なセクターで、中でも鉄鋼サブセ
クターは重要。そこに焦点をあてた今回の事業とセミナー
は大変有意義。
ASEAN-Japan Steel Initiative に触れ、11 月 26 日
の Singapore での全体会議に先んじて主要国のタイ
で、Technologies Customized List や JCM 活動を
紹介できる意義を述べた。
AJEEP 事業の経緯と 3 つのスキームの紹介、スキーム 2 事
業の意義、タイ鉄鋼部門と日本の鉄鋼関係者、
JASE-W や工業炉協会も連携した本 AJEEP 事業の
意義を述べた。
PROMEEC, AJEEP, APAEC の動きを振り返りつ
つ、今回の ASEAN-Japan Iron & Steel Initiative
との乗合の意義と、鉄鋼消費の急増する ASEAN、
タイで本件に取り組む意義を述べた。
AJEEP 事業の全体像を詳しく紹介
昨年のタイの AJEEP Scheme 2 鉄鋼事業を Siam
Construction Steel で行った成果概要を紹介すると
共に、JASE-W の技術集も紹介し CD も配布した。
この週にタイ Kasemsakdi 社で行った電気炉と加熱
炉を中心とした省エネ診断結果を詳しく報告した。
JCM の概念とロードマップ及び各国都の提携状況、
タイとも協議中とも説明。
タイ鉄鋼業との JCM 検討状況を詳しく説明
タイ鉄鋼業での省エネ推進活動を報告。省エネ対策
技術カタログも整備中。
日本鉄鋼業の省エネと環境対策の取組み状況と
ISO14404(CO2 発生量計算法)策定の動向を紹介。
タイ向けに作成した Technologies Customized List
を配布し紹介。
リジェネバーナーの特徴と利用にあたっての留意点
や、リジェネと従来バーナーとの省エネ効果の比較
Ⅳ-23
S氏
ニッコー
K氏
日本工業炉協
会
を各種工業炉にて紹介。
同社の電気炉設計技術と特長・実績を中心に日本の
電気炉技術・設備を紹介。
ISO/TC244-13579 で取り組んでいる工業炉と付随
する設備の熱勘定と熱効率の計算方法に関する概要
を紹介。
写真-4 セミナー発表者
2.1.4
(1)成果
写真-5
セミナー全景
総括
当事業は AJEEP Scheme 2 産業での 3 年目の事業で、2 年目に引き続き 2 年目に実施出
来なかったタイ鉄鋼業で唯一リジェネバーナーを有する Kasemsakdi 社(電炉圧延)での
診断の実施となった。Kasemsakdi 社が得られた主要成果を以下に示す。
①
エネルギー管理手法:エネルギー消費数値の見える化、ベンチマークとの比較、PDCA
サイクルの活用
②
電気炉:電力原単位低減方案と集塵対策の強化
③
加熱炉:リジェネバーナーの効果的・効率的運用方法、空気比管理、炉壁温度管理をベ
ースに更なる省エネの可能性
また同社幹部への報告結果、技術系副社長より今後の工場管理・技術改善に大いに役立つ
情報の提供への謝辞があり、また今後の設備見直し検討時に相談したいともあった。
(2)人材育成
今年度の現地省エネ診断時にも政府関係者(DEDE)5 名、タイ鉄鋼協会 4 名、コンサルタ
ント 1 名の多くが 4 日間通して参加し、タイ鉄鋼協会のメンバーには携帯計測器(温度計と
排ガス分析計)を持参してもらい、日本の専門家の指示により計測協力をしてくれた。エネ
ルギー等のデータ収集と分析には DEDE のメンバーも Kasemsakdi 社スタッフと一緒に取
組んでいた。また DEDE からも現地診断結果総括の報告を Kasemsakdi 社幹部報告時にプ
レゼンするなど、積極的な取り組み姿勢がうかがわれた。
また 14 日にバンコックで行われた鉄鋼向け省エネセミナーでは、タイ鉄鋼協会とタイ鉄
鋼業界の主要 9 社のメンバーが参画して、タイ鉄鋼協会の幹部を中心に活発な質問やコメン
トも出て、日本の鉄鋼業の省エネ取組みや省エネ技術リスト並びにタイ鉄鋼企業での診断結
Ⅳ-24
果概要の情報共有が図れ、非常に効率的で有意義な人材育成の機会となったものと思われる。
(3)考察と今後の展開
昨年は、Kasemsakdi 社の都合により訪問直前で中止となり別の鉄鋼会社を訪問したが、
本年は Kasemsakdi 社訪問診断と共に、タイ鉄鋼業とのセミナーを METI 鉄鋼課や日本鉄
鋼連盟の協力もあり実施することが出来、大変有意義な Scheme 2 産業事業となったものと
思われる。
訪問前は、Kasemsakdi 社のリジェネバーナーは不調であると聞いていたが、同社により
既に修理しており基本的には問題なく稼働していた。連続鋳造から圧延まで熱間でつなぐ
Hot Charge 比率が高いこともあり、またリジェネバーナー使用の効果もあり、電気炉と加
熱炉のエネルギー原単位を総合した値は、日本の電気圧延業のベンチマーク値よりも良い値
であったが、電気炉でも加熱炉でも省エネ改善の余地はまだ多くあり指摘し理解を得た。特
に今回は加熱炉を中心に多くの専門家が参画したこともあり、有益な助言が多く提供できた。
鉄鋼向けの省エネセミナーは、当初は Round Table の形式を考えたが、内容が日本側か
らの盛り沢山の内容となったこともあり、タイ側の提言もありセミナー形式とした。
Kasemsakdi 社並びにセミナー参加の鉄鋼各社との今後の省エネビジネス展開につなが
る可能性は多々あるので、適宜フォローする予定である。
Ⅳ-25
2.2.インドネシアでの活動
2.2.1 活動概要
(1) 出張者
国際計画部・部長 篠原
国際計画部・技術専門職
国際計画部・技術専門職
正秀;リーダー(事業全体の企画及び進行)
川崎 勉;熱設備関連の省エネ診断
國徳 和秀;電気設備関連の省エネ診断
(2)出張目的
(1) 8 月にベトナムホーチミンで開催された Inception workshop にて具体的な提案をし
ているインドネシアも今年度診断の検討候補となった。インドネシアからは食品・飲
料工場における省エネ診断と省エネ技術プロジェクトが提案された。ここでスマトラ
島メダン市にある Pt.Smart 社の食品工場含め 3 社が候補賭して挙げられた。インド
ネシアの Pt.Smart 社はヤシ油を精製する工場をジャワ島に 2 か所、スマトラ島に 2
か所、カリマンタン島の 1 か所有している。今回インドネシア側の調査の結果、最終
的にスマトラ島メダンにある食品工場のエネルギー診断を行うこととなった。
(2) 更に、最終日に現地企業・関連政府機関に対する日本の食品工場の最新省エネ技術紹
介を含むワークショップ(現地の関係者約 55 名出席)を開催。
尚、インドネシア政府としては Ministry of Energy &Mineral Resources(MEMR)
が、ASEAN として ASEAN Center for Energy(ACE)が活動のホストとして協力し
てくれた。
活動内容と各専門家の日程を下記表 1 に示す。
表 2-2-1 省エネ診断の日程表
日付
活
12/6(土)
移動(羽田→シンガポール)
12/7(日)
移動(シンガポール→メダン)
12/8(月)
12/9(火)



・
・
・
動
内
容
挨拶及び工場概要紹介、診断スケジュールの確認
ウォークスルー調査(竣工図、測定器取り付け箇所確認も含む)
省エネ診断 OJT(講義)
測定器取り付け
省エネ診断 OJT(データ収集、解析)
計測器によるデータ収集
 省エネ診断 OJT(データ収集、データ分析)
12/10(水)  計測器取り外し、データ採集、採取データの解析、分析
 工場幹部への提案書作成
12/11(木) ・ 工場幹部への報告
政府関連機関、現地企業を集めた「食品工業分野における日本の省エ
12/12(金) ネ技術及びインドネシアの省エネ技術ニーズ」に関するワークショッ
プ
1/ 18(土)
2.2.2
移動(メダン→羽田)夜
羽田着
省エネ診断調査による省エネプロジェクト形成(食品分野)
Ⅳ-26
今回の現地診断調査に先立って、インドネシア国内の民間コンサルが実施した省エネルギ
ー診断の報告書を FS としてインドネシア政府 MEMR 経由入手し、その内容を精査して本
活動に臨んだ。更に、前もって入手していたエネルギー消費関連情報について、診断に必要
なエネルギーに関する要追加入手データを確認し、穴埋め形式の質問状を発行し診断に必要
な情報入手を試みた。MEMR より4名、PTSmart 社より本社より設備部長が 1 名 Belawan
工場から 15 名が本診断に参加いただいた。
当該施設の関係者全員省エネ推進に非常に熱心であったが、データの提供については工程も多
義に亘っていて、意図するデータを理解してもらうのに時間がかかることがあった。
(1)PT. Smart 社 Belawan 工場の状況
インドネシア スマトラ島メダン市街地より北西に約 30kmの地点にある PT.Smart 社
Belawan 工場で省エネ診断調査と診断結果に基づく省エネ改善提案を行った。
PT.Smart 社の概要は下記に示す。
1) ユーティリティの概要(設備仕様)
写真 2-2-1
PT.Smart 社 Belawan 工場の全景
・電力設備;ガスエンジ 3 基計 3186KW
ディーゼルエンジン 3 基計 3,750KW
PLN(売電)
5,540KW
計 12,476KW
総容量
・熱設備;
石炭ボイラー
ガスボイラー
2 基 20t/h×2
1 基 21t×1
計 61t/h
2)プロセスでのエネルギー消費量
 年間総エネルギー使用量:16,613,285kl
 年間電力消費:39,150,406kWh/year
 年間ガス使用量:2,545,211Nm3/year
 年間ディーゼル使用量:3,903,765kl/year
 年間石炭使用量:14,000t/year
 エネルギー原単位:28.18kl/t(year 2014)(原材料使用量より計算)
(2)最近の原材料使用量の推移
表
2-2-2
最近の原材料使用量の推移
年度
2012 年
2013 年
2014 年(10 月まで)
原材料使用量(t)
414,815
425,033
716,602
2014 年度(本年度)に入り原材料(パームオイルの原料)の使用量が急増しています。
Ⅳ-27
(3)最近のエネルギー使用量の推移
前記のように原材料使用量は毎年増加傾向にありますが電力量原単位は図に示すよう
に改善されています。最近エネルギー効率の良い冷凍設備導入を実施とのコメントがありま
した。また 2014 年度は ISO50001 を取得し省エネ活動の仕組みを構築しています。
図 2-2-1
図 2-2-2
過 3 年間の電気エネルギー原単位の推移
製造量と電気エネルギー原単位の関係
(4)簡易省エネ診断 OJT
MEMR の要請で参加者に対し、PT.Smart 写 Belawan 工場の省エネ診断の OJT を実施
するよう要請を受け、下記のように実施した。
PT.Smart 社
Belawan 工場の熱設備、主にボイラーと冷凍機(冷却塔)のエネルギー管理
の実施状況についてヒアリングし、改善点の検討、また日本における先進技術の紹介を念
頭に、主要設備の診断を実施した。
電気設備についても各種測定機器の使用方法と有効性について説明し、省エネ効果の大き
い冷却水用ポンプのインバータ化に関する、具体的進め方と効果試算を報告した。また空
調の温度設定の変更による省エネ効果についても具体的に提示した。
診断結果のまとめと発表と質疑応答(グループ毎)
Ⅳ-28
(5)省エネ診断結果について
他団体・業者が過去に実施したエネルギー診断結果及び改善提案(FS)の内容を確認し、
ウォークスルーによる現場の確認を行った。まず熱関連設備については、現場エンジニアと
ボイラーと冷凍機(冷却塔)の具体的な操業記録を把握し、対象設備のエネルギー効率を求め
診断技術の移転も実施した。石炭ボイラーについては排ガス酸素量を測定し、現状のエネル
ギー効率を求め、改善策とその効果について検討した。冷凍機についても、現状の操業条件
を確認し、日本の最先端の冷凍技術についても紹介した。
特にボイラー設備に関しては、発生する中圧蒸気を発電に利用することで、電力の省エネ
になることから、蒸気の差圧発電機の導入の検討を提案した。
一方電気設備については冷凍機(冷却塔)で使用している冷却水用ポンプのインバーター化
による省エネ効果を試算し、効果実感のための具体的な試用方法を提案し、速やかな実施に
よる工場での電気の省エネを提案した
具体的な提案内容は下記に示すが、これらの提案が実行に移され、効果に結びつけるには
適切なタイミングでの進捗のフォローアップが必要である。
(6)工場トップマネジメントへの診断結果報告
PTSmart 社から Mr.Robert(本社設備部長)を含む 16 名、MEMR4 名、ACE2 名、ECCJ/
3 名計 17 名。報告は熱チームと電気チームの現地エンジニアが行い、これを補足する形で
ECCJ 専門家が診断結果と省エネ提案について報告した。
①石炭ボイラーのエネルギー効率と現状の 60.2 から空燃比ほかの調整を実施することで
70%まで改善できると判断している。これにより年間 515t の石炭消費を抑えることがで
きる。また石炭ボイラーで発生させている中圧の蒸気はそのほとんどが低圧で使用されて
いると推測されることからこの蒸気を利用した差圧発電機導入の提案を行った。
②メンテナンス性も考慮し、スクリュウタイプの 160KW クラスの差圧発電機(2 台)の提案
を行った。回収年数は約 8 年ではあるが、PLN 電力の停電によるトラブルが多く、ネック
設備での利用の可能性があると判断した。
③原材料使用量から計算したエネルギー原単位を前記図 2-2-1 及び図 2-2-2 のようにグラフ
化し、工場関係者で日々情報共有することで全員参加の改善に繋げる。
④サーモグラフィー(赤外線温度計)を使い、熱設備各部の温度を再確認した。ボイラー排
熱口周辺、高温ポンプ周辺など保温処置がされてない箇所が多くあり、保温によるエネル
ギー放出の防止を提案した。
一方電気関連設備については
⑤電力使用量などの見える化で情報を共有し問題意識を高め改善に繋げることを提案指導
した。電力量など計測方法を安全にかつ分かり易く指導した。
⑥冷却塔の冷却システムの省エネ診断の結果、冷却水ポンプのインバータ化でエネルギー効
率が向上できることを確認した。
⑦会議室の温度設定が日本と比べ肌寒く感じるほど低く、温度設定を段階的に変更しまだま
だ改善の余地があることを実感してもらうと同時に、具体的な省エネ量の数値を提示した。
Ⅳ-29
表 2-2-3 省エネ診断のまとめ(改善提案)
対象
省エネ診断で推奨された改善策
① 省エネ診断を行った石炭ボイラのエネルギー効率
熱
60.2%であることが確認された。空燃比調整などでエ
関
ネルギー効率を 70%まで高めることを推奨した。
連
図 2-2-3 写真 2-2-2
設 ② 安価でかつ入手が容易な石炭を使った既設の石炭ボイ
備
ラーの蒸気を利用した差圧発電機を新規導入し電力コ
ストを抑えることを推奨した。
尚差圧発電機にはメンテナンスが容易なスクリュウタ
イプの発電機(神戸製鋼製 160KW Steam Star)を紹介
した。
図 2-2-4
③
④
⑤
電
気
関
連
設
備
⑥
⑦
期待効果
推定石炭節約量
515t/year
推定電力節約量
684,000KWh/( year・2
基)
インドネシアメダンの電気代
12 円/KWh、設備費
50,000 千円(2 基)で
回収計算すると8年と
なるが、停電の多い中、
ネック設備への電力安定
供給が期待できる。
エネルギー原単位(電力、天然ガス、軽油など)を見え 工場関係者での情報の
る化し、関係者で情報を共有し、改善策を検討実施し、 共有による改善への動
機づけ
改善のための PDCA を回すこを推奨した。
図 2-2-1 及び 2-2-2
抽出工程にある高温ポンプは保温がされていなかった 推定石炭節約量
が、断熱保温を実施することで石炭の消費量が削減で
1.3t/year
きる。
写真 2-2-3
電力データロガーなど電気関連の設備への計測器設置 工場関係者での情報の
で電力量の見える化と共有を進め、改善策に繋げるこ 共有による改善への動
とを推奨した。
機づけ
バルブの開度調整された冷却水循環系統のポンプをイ 推定電力節約量
ンバータ化することで一台当たり 7.9KW(37%)の省 7.9KW(37%)/台
エネが達成されることを報告した。同時にインバータ 対象設備 18 台、投資費
化への具体的進め方について説明した。
用 7,920 千円で回収年
写真 2-2-4 数は 1.2 年
エネルギー診断の報告など行う大会議室のエアコン設 推定電力節約量
9KW(37.5KW の
定を1℃変更することで 6%の省エネが達成されるこ
業務用エアコンの場合)
とを、その根拠含め説明した。
(24%;ΔT=4℃の場合)
今回会議室で実践した事例では20℃から24℃に
4℃上げることで24%の省エネ効果が得られること
を確認した。
以下に①から⑦の詳細を図示する。(③,⑤,⑦は割愛;詳細は専門家報告書を参照)
Ⅳ-30
ボイラーのエネルギー効率改善のために
1)
空燃比を 1.94 から 1.45 に調整
2)
排ガス酸素量を 11.2%より 3.5%まで下げる
図 2-2-3
診断対象の石炭ボイラの操業条件
酸素量の測定センサー設置
写真 2-2-2
酸素量の測定センサー設置
ボイラー排ガス酸素量測定
Ⅳ-31
石炭ボイラーにスクリュウタイプの差圧発電機を新規導入し、安定した電力を発電する仕組み
を提案した。石炭ボイラ―で発生する中圧蒸気のほとんどがこの差圧発電機に利用できると想定
した。
図 2-2-4 既設石炭ボイラーへの差圧発電機導入事例
写真 2-2-3
ボイラー排気口及び配管からの熱の放出
Ⅳ-32
写真 2-2-4 のように冷却塔での冷却水ポンプその流量がバルブ調整されていた。同様の冷
却水ポンプは 12 台総計 18 台ありインバータ化することでの省エネを提案。インバータ化
の省エネ効果は
7.9KW(37%)/台
対象設備;総計 18 台あり
年間省エネ効果;6000,000KWh/年
メダンの電気代;12 円/KWh
投資コスト;7,920,000 円(18 台分)
の条件で
資金回収年数は 1.2 年となる。
写真 2-2-4 バルブ開度による流量調整の
インバーター化
2.2.3
MEMR/ECCJ/ACE 共催の省エネワークショップ
(1)省エネワークショップの概要
最終日の 12 月 12 日(金)、終日メダンの JW Marriott Hotel セミナールームで食品工業
の省エネ技術省エネセミナー・ワークショップが開催された。省エネワークショップのテー
マは「食品分野の最新省エネ技術・設備とその普及促進のための政策」で、MEMR からの 6
名を含めメダン近隣の食品関連会社、ホテル、商業施設の管理責任者、大学、コンサル等か
ら 55 名の参加者があった。又、Ms. Maritje Hutapea(Director, Directory General of New
Renewable Energy and
Energy Conservation, MENR)、ECCJ 代表及び ACE の代表が
冒頭に歓迎・開会の挨拶を行った。
討議された発表内容は下記に述べるが、多くの省エネ政策、省エネ・新エネ技術に関する
情報共有ができ、インドネシアでの日本の最新の省エネ技術を紹介・普及するための本セミ
ナーは当初の目的を達成できたと考える。
発表者と発表内容
発表者と発表内容について下記表 2-2-4 に纏めた
表 2-2-4
ワークショップセミナーでの発表者とその内容
発表者
所属
発
Mr.Rio
ACE
AJEEP 事業の概要説明
Ms. A
EC
Division,
MEMR,
表
概
要
インドネシア政府(MEMR)が計画し実施している国家省
エネルギー政策について、エネルギー消費状況、省エネ・新
エネ対策事業、海外からの支援事業等、省エネビジネス推進
の観点から説明。
Ⅳ-33
篠原正秀
ECCJ
Mr.R
PT.Smart
川崎専門家
ECCJ
國徳専門家
ECCJ
國徳専門家
ECCJ
川崎専門家
ECCJ
篠原正秀
ECCJ
2.2.4
日本のエネルギー事情の現状と最新の省エネ法まについて
報告した。この中でエネルギー管理制度、また業務・民生部
門における省エネ技術の向上のための政府の政策として、ト
ップランナー制度を 2014 年度改訂分含めて紹介した。、
PT.Smart 社各工場の概況及びメダン Belawan 工場のエネ
ルギー使用状況と省エネ活動に関する活動について報告あ
り。
熱診断結果報告
PT.Smart 社の熱関連設備、主にボイラーと冷凍関連設備に
関し省エネ診断を実施しエネルギー効率の現状把握を現地
スタッフと行い、日本の最新の省エネ技術も念頭に改善提案
を行った内容について報告した。
電気診断結果報告
PT.Smart 社の電気関連設備、主に冷却ポンプへのインバー
タ導入、会議室の温度設定見直しによる具体的な省エネ効果
について報告があった。同時に電力関連データの採取と工場
関係者での情報共有が改善加速に役立つことを説明。
インバータの機器への適用に関する現場が主体となりすぐ
にも実施できる具体的な方法を紹介する報告があった。また
エネルギー効率の極めて高い IPM モーターの紹介があっ
た。。
日本の食品産業での最新の省エネ技術、主に乾燥と冷却工程
について報告した。
世界における日本のエネルギー効率の実情及び、エネルギー
消費量の推移と日本の優れた省エネ設備及び機器を
JASE-world の仕組みを通して紹介した。
インドネシアでの活動の成果
(1)診断を通したプロジェクト形成の成果
今回の AJEEP Scheme 2 の事業ではインドネシア PT.Smart 社 Belawan 工場(メダン)
の省エネ診断調査を行い、短期間の診断ではあったが、パーム油から食品油、マーガリンな
どを製造する食品工場の省エネ改善提案を行うことができた。これにより日本の最新の食品
関連の省エネ技術を紹介しその導入への道筋を示すことができた。
本プロジェクト形成での具体的な成果を以下に示す。
①石炭ボイラーの蒸気を利用して発電を行う差圧発電機の導入検討を推奨した。設備投資
を伴うが、今使っている蒸気がそのまま利用できることと、PLN からの電力供給が不安定
な環境であることから、導入検討の働きかけを行った。具体的には日本製の小型(160
KW)差圧発電機を紹介した。
②また冷却水系統のポンプはバルブ調整されており、インバーター化で大きな省エネ効果
が得られることを報告した。回収年数も 1.2 年と短期である。導入のための適切な手順も
説明しインバータ導入の実施を働きかけることができた。
Ⅳ-34
③大きな投資を伴わない改善として石炭ボイラーのエネルギー効率の改善、ポンプ、配管、
ダクトなどの保温による熱放出の低減、各種計測データ及びエネルギー原単位の見える化を提
案した。またこれらエネルギー管理技術の改善、向上による省エネの推進も合わせて提案
した。
(2)人材育成上の成果
省エネ診断人材育成の対象(16 名)
:MEMR のエンジニア 4 名、PT.Smart 社設備部長及
び Belawan 工場のスタッフ及びエンジニア 15 名と、ACE のエンジニア 2 名が省エネ診断
に参加し、日本式省エネ診断技術と手法を習得してもらった。
具体的には熱及び電気設備で以下の内容について学んでもらった。
熱関連設備の省エネ技術(人材育成教育)
・ボイラーの熱効率の測定及び計算方法(現地の設備で教育を実践)
・冷凍機の熱効率の測定及び計算方法(現地の設備で教育を実践)
・コージェネ設備の効果と導入事例の紹介など
・エネルギー原単位の見える化による関係者による情報の共有の重要性について
電気関連設備の省エネ技術(人材育成教育)
・省エネのための携帯式各測定機器の活用
・部屋の温度・湿度計測による省エネ
・電機関連設備のデータ記録とその見える化による省エネの推進について
以上の人材教育を通して診断先 PT.Smart 社の工場関係者、MEMR のエンジニアとも省
エネについて情報交換するための人脈を形成することができた。
(3)ワークショップセミナーの成果
セミナー出席者、特に PT.Smart 社含む食品関連企業、商業施設管理者、ESCO 会社、
コンサルタント等現地の民間企業から多くの参加があり、日本の食品関連分野の最新の省エ
ネルギー技術をインドネシアで展開するため情報共有した。また同時に、診断先の PT.Smart
社だけでなく、セミナ‐に参加したインドネシアの食品関連企業または関係者との人脈を形
成することができた。
(4)考察と今後の展開
インドネシアと2国間での人材育成事業のプロジェクトの手法も取り入れ、日本の省エネ
技術が横展開され省エネが達成できるように、今回提案した改善案件含め今後もフォローし
ていく。
また今回日本の企業の診断への参加は見送られてしまったが、今後も Jase-World 参加企
業中心
にインドネシア食品産業の省エネ技術及び活動状況に関する情報を共有し、ビジネ
スチャンスに繫げられるように活動していく。
Ⅳ-35
写真 2-2-5 活動状況
ウォークスルー調査
測定器(O2 計)の設置
診断調査結果発表会
規則器の設置状況
省エネセミナー参加者
省エネセミナー風景
Ⅳ-36
3.AJEEP 事業スキーム3の人材育成
AJEEP (ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership Program)スキーム 3 事業を日本
の専門家を派遣してカンボジア、ラオス及びミャンマーで実施した。
本事業は ASEAN 地域における省エネ推進基盤(政策や制度整備)の国別格差を縮小する
ための省エネ人材育成事業であり、対象国は昨年度に引き続き、CLM(カンボジア、ラオ
ス、ミャンマー)である。具体的な現地活動としては当該国の国情に合わせた省エネ政策・
法制度・規則の策定に資するワークショップ開催、省エネルギー情報の提供に資するセミナ
ー開催およびエネルギー管理を通じた省エネルギーの推進を広めるためにモデル工場/建物
を利用した省エネ診断・OJT 実施等の人材育成支援活動を行い、下記目的の達成を主眼と
する。
 CLM 各国におけるエネルギー管理システムの導入・推進を始めとする省エネ政策の策定
と省エネ法施行といった各国目標に対して、その具体的実施手段を討議し、実施するため
の人材を育成する事により目標の実現性を高めていく。
 上記プロセスは ASEAN の省エネ推進先行国が既に経験してきているものであり、これら
の先進国の参加と経験の共有を促すことで効果的な実施を目指す。
3.1 カンボジア、ラオス及びミャンマーでの活動概要
3.1.1
項目
実施都市
活動期間
出張者
活動内容
出張者と活動内容
カンボジア
プノンペン、
シェムリアップ
2014 年 12 月 1 日~5 日
(5 日間)
牛尾好孝(全体総括・ビル
の省エネ)
本間奈生美(法整備・普及)
渋谷浩志(政策・法整備)
国徳和秀(電気エネルギー)
1. 省エネ政策・法制度策定
のための 2 日間のワーク
ショップ(実務者レベ
ル)
2. エ ネ ル ギ ー 管 理 セ ミ ナ
ー(エネルギー管理ハン
ドブック等)
3. モデルビル(ホテル)で
の簡易省エネ診断・OJT
3.1.2
ラオス
ミャンマー
ビエンチャン
ヤンゴン
2015 年 1 月 12 日~16 日
(5 日間)
渋谷浩志(全体総括・法
整備)
島村耕市(エネルギー管理)
海原 誠(エアコンの省エネ)
2015 年 1 月 19 日~23 日
(5 日間)
渋谷浩志(全体総括・法整
備)
小川史雄(エネルギー管理)
小坂信二(ビルの省エネ)
国徳和秀(電気エネルギ
ー)
1. 左記に同じ
2. エアコン及び工業炉の
省エネ基準セミナー
3. モデル工場(製鉄)で
の簡易省エネ診断・
OJT
活動日程と業務内容
Ⅳ-37
1. 左記に同じ
2. エネルギー管理セミナ
ー
3. モデルビル(ショッピ
ンッグセンター)での
省エネ診断・OJT
(1)カンボジア
日程
曜日
11 月 30 日
日
12 月 1 日
月
12 月 2 日
火
12 月 3 日
水
12 月 4 日
木
12 月 5 日
金
12 月 6 日
土
業 務 内 容
専門家名
羽田発バンコク経由プノンペン着
牛尾、本間、渋谷
福岡発バンコク経由プノンペン着 (プノンペン泊)
国徳
カンボジア 1 日目: ワークショップ開催(プノンペン泊)
同上
カンボジア 2 日目: ワークショップ継続
プノンペンから空路シェムリアップへ
同上
(シェムリアップ泊)
カンボジア 3 日目:エネルギー管理セミナー
同上
(シェムリアップ泊)
カンボジア 4 日目:ホテルの簡易省エネ診断・OJT
同上
(シェムリアップ泊)
カンボジア 5 日目:ホテルの簡易省エネ診断・OJT
同上
(シェムリアップ泊)
プノンペン発バンコク経由夜行便で翌朝羽田着
牛尾、本間、渋谷
書類整理(次週の scheme2 インドネシアの業務に合流)
国徳
(2)ラオス
日程
1 月 11 日
曜日
日
1 月 12 日
1 月 13 日
月
火
1 月 14 日
水
1 月 15 日
木
1 月 16 日
金
1 月 17 日
土
業 務 内 容
羽田発バンコク経由ビエンチャン着
関空発バンコク経由ビエンチャン着
(ビエンチャン
泊)
ラオス 1 日目: ワークショップ開催 (ビエンチャン泊)
ラオス 2 日目: ワークショップ継続
羽田発バンコク経由ビエンチャン着
(ビエンチャン
泊)
ラオス 3 日目:省エネ基準セミナー
(ビエンチャン泊)
ビエンチャン発バンコク経由夜行便、翌朝成田着
ラオス 4 日目:工場の簡易省エネ診断・OJT
(ビエンチャン泊)
ラオス 5 日目:工場の簡易省エネ診断・OJT 継続
ビエンチャン発バンコク着
(バンコク泊)
ビエンチャン発バンコク経由夜行便で翌朝関空着
ミャンマーの第一次派遣準備
(バンコク泊)
専門家名
渋谷
島村
渋谷、島村
渋谷、島村
海原
渋谷、島村
海原
渋谷、島村
同上
渋谷
島村
渋谷
(3)ミャンマー
日程
曜日
1 月 18 日
日
1 月 19 日
月
1 月 20 日
火
1 月 21 日
水
業 務 内 容
専門家名
バンコク発ヤンゴン着
渋谷
成田発ヤンゴン着
(ヤンゴン
小川、小坂、国徳
泊)
ミャンマー1 日目:ワークショップ開催 (ヤンゴン泊)
同上
ミャンマー2 日目:ワークショップ継続
同上
午後:エネルギー管理セミナー
(ヤンゴン泊)
ミャンマー3 日目:ショッピングセンターの省エネ診
断・OJT
(ヤン
同上
ゴン泊)
Ⅳ-38
1 月 22 日
木
ミャンマー4 日目:省エネ診断 OJT 継続 (ヤンゴン泊)
同上
1 月 23 日
金
ミャンマー5 日目:省エネ診断 OJT 継続 (ヤンゴン泊)
同上
1 月 24 日
土
ヤンゴン発夜行便で翌朝成田着
同上
3.2
活動内容
3.2.1
カンボジア
(1)省エネ政策・法制度整備のためのワークショップ
1)開催日時:第一日
8:30-17:00
第二日
8:45-12:30
2)開催場所:ヒマワリホテル(プノンペン)
3)出席者:
 カンボジア:16 名
内訳は MME (省エネの管轄省):5名、計画、商務、国土管理・都市開発建設、環境、
工業・手工芸、電力規制庁、法律専門家評議会等の関係省庁:7名、
カンボジア電力会社:2 名、カンボジア工科大学:2名、プノンペン市役所:1名
 ASEAN 支援国:2 名(シンガポール、タイ)
 ACE:1 名
 ECCJ:3 名
4)ワークショップでの発表数と内容
日本:4件(カンボジアでのAJEEP-3 事業の実績と計画、日本の最近の省エネ政策・
規制制度、日本における省エネ意識の強化、省エネ法制度策定のための考察/方向性)
カンボジア:1件(カンボジアの省エネルギーの現状、EUの技術支援)
シンガポール(支援国):1件(同国のエネルギー状況、省エネ推進策紹介)
タイ(支援国):1 件(同国の省エネ制度開発過程紹介、カンボジアへの助言・提言)
ACE:1件(Scheme3の仕組み及び 2012-14 の実績及び 2014-15 の実績と計画)
5)ワークショップでの討議

昨年のカンボジアの活動では ASEAN 支援国はすべて欠席であったが、今年はシン
ガポール及びタイの 2 ヶ国の支援国がワークショップに出席した。省エネルギー法
制度を既に施行しているこれら 2 ヶ国の経験に基づく豊富な情報提供もあって、第
1日目のワークショップは大変実りのあるものとなった。カンボジア側の出席者は
MME ( Ministry of Mining and Energy、省エネ担当)をはじめ、関係省庁、大学な
ど幅広い分野からの参加者があり、省エネの法制度化に向けて活発な内部討議が行
われた。時としてカンボジア語での討議にも発展した。また、カンボジアへのさら
なる支援について強く要請があり、日本の人材育成事業への期待感の大きさがうか
がえた。

第2日目のワークショップでは、ECCJ より、省エネ法制度策定のための考察/方向
性を示して Taskforce Working Team の内部討議を行わせた。①産業/ビルチーム、
Ⅳ-39
②政策/法制度チームの 2 グループに分けて、具体的なアクションプランを練らせ、
発表させた。EU の技術支援 (EUEI-PDF: EU Energy Ininiative-Partnership
Dialogue Facility) に基づく 5 つの省エネ優先政策は政府の認可待ちであったと
しても、現時点で取り組めることを考えさせ自主的な取組みを促すことができた。
ワークショップの集合写真
参加者の内部討議
(2)エネルギー管理セミナー
診断先のモデル建物(ホテル)において1日セミナーを開催した。
 出席者:地方政府、大学、ホテル、工場等から45名
 使用した資料:以下に示す日本の発表資料
・ AJEEP (ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership) Program
・ Policy and Measures to Promote EE&C Technologies in Japan
・ Energy Saving in “Buildings” in Japan
・ Introduction of Energy Audit
・ Portable Instruments useful for Energy Conservation Activities
・ Energy Conservation on Air Conditioning
(3)モデル建物(ホテル)でのエネルギー計測診断・OJT
1)実 施 日 :第一日(12 月 4 日)9:00-17:00
第二日(12 月 5 日)9:00-17:00
2)実施サイト :Apsara Angkor Resort & Conference (Siem Leap)
建物規模:4階建て、床面積:11,687m2 、客室数:168
3)出 席 者 :ホテルのエネルギー管理担当者を主体に MME 及び地方政府を加えて総
計 15 名余であった。
4)目
的 :選定されたホテルをモデル建物としてエネルギー管理、診断の視点、携
帯用計測器の使用方法及び診断実施方法を学び、他のビルでの省エネル
ギー推進に広めていくことである
Ⅳ-40
5)活 動 内 容 :ビル診断・OJT は以下のように実施した。
①参加者を2グループに分けて建物のウオークスルー
②参加者を3グループに分けて照明器具の省エネ効果試算、床面
積計算及び温湿度、CO 2 濃度、照度の実測を指導
③グループ作業結果報告、ECCJ専門家診断結果報告
3.2.2
ラオス
(1)省エネ政策・法制度整備のためのワークショップ
1)開催日時:第一日(1 月 12 日)8:30-17:00
第二日(1 月 13 日)9:00-17:00
2)開催場所:メルキュールホテル(ビエンチャン)
3)出席者:
 ラオス:12 名
内訳はエネルギー鉱山省(MEM、省エネの管轄省)DEM:5 名、同省 IREP:3 名、
ラオス国立大学:2 名、及び電力公社:2 名
 ASEAN 支援国:1 名(タイ)
 ACE:1 名
 ECCJ:3 名
 オブザーバーとして日本工業炉製造者協会:3 名
4)ワークショップでの発表数と内容
日本:7件(ラオスでのAJEEP-3 事業の実績と計画、日本の最近の省エネ政策・規制
制度、日本における省エネ意識の強化、省エネ法制度策定のための考察/方向性、産業
における工業炉の利用・高性能工業炉の紹介、モーター/インバーターの省エネルギー、
オフィスビルの省エネルギー)
ラオス:1件(ラオスの省エネルギーの現状、目標達成への課題や障害等)
タイ(支援国):1 件(同国の省エネ制度開発過程紹介、ラオスへの助言・提言)
ACE:1件(Scheme3の仕組み及び 2012-14 の実績及び 2014-15 の実績と計画)
5)ワークショップでの討議
第1日目はラオスの省エネルギーの現状に関して活発な討議があり、今後の国家省エネ
体制や人材教育等について支援国、ACE 及び ECCJ から示唆や助言が与えられた。第
2 日目は ECCJ が発表した省エネ法制度策定のための視点及びチェックリストに基づ
いて、タスクフォースチームの取るべき当面のアクションを討議した。
Ⅳ-41
参加者の内部討議
ワークショップの集合写真
(2)エアコン及び工業炉の省エネ基準セミナー
1)開催日時:1 月 14 日
08:30-17:00
2)開催場所:メルキュールホテル
3)出席者:(ラオス)エネルギー鉱山省を主体に約 10 名、(ACE)1 名、(ECCJ)3 名、
日本工業炉製造者協会:3 名
4)エアコンの省エネ基準の講義:IS-INOTEK の海原専門家より、インバータとノンイン
バータのエアコンの特性、エアコンの測定装置と測定方法、IS-INOTEK 事業
の紹介、新国際規格 ISO16358 による CSPF 評価方法の紹介、世界各国、
ASEAN における CSPF 規格採用の方向性等の講義があった。
5)工業炉の省エネ基準の講義:JIFMA(日本工業炉製造者協会)より ISO に基づく工業
炉の標準化、燃焼炉の省エネ判断基準、エネルギーバランス計算、及び蓄熱バ
ーナーを備えた高効率工業炉紹介に関する講義があった。
(3)モデル工場(製鉄)での簡易省エネルギー診断・OJT
1)実施日:第一日(1 月 15 日)9:00-17:00
第二日(1 月 16 日)9:00-17:00
2)実施サイト:Vientiane Capital Steel Industry(VSI)
工場規模:年産 15 万トンの能力を持つ中国資本の棒鋼圧延会社
3)出席者:MEM スタッフ及び診断先から約 15 名
4)目的:モデル工場を対象としてエネルギー管理、簡易診断の視点及び方法を学び、他産
業のエネルギー使用設備での省エネ推進に広めていくことである
5)活動内容:エネルギー診断の手順や計測機器の説明を行い、全員参加によるウオークス
ルー(危険個所除外)、棒鋼圧延プロセスの理解、及び専門家が進める診断
手順の観察を行った。
3.2.3
ミャンマー
(1)省エネ政策・法制度整備のためのワークショップ
1)開催日時:第一日(1 月 19 日)8:30-17:00
Ⅳ-42
第二日(1 月 20 日)8:45-12:30
2)開催場所:サミットパークヴィユーホテル(ヤンゴン)
3)出席者:
 ミャンマー:33 名
内訳は工業省(省エネの管轄省)を中心に環境保全森林、電力、エネルギー、商務、
科学技術及び教育の各省:15 名、官民団体(エネルギー管理委員会、エンジニアリン
グ協会、産業連盟、再生可能エネルギー協会、建築協会、UNIDO 等)
:9 名、産業セ
クター(鉄鋼、セメント、再生可能エネルギー等)
:6 名、診断先(ショッピングセン
ター):3 名
 ASEAN 支援国:3 名(インドネシア、タイ、ベトナム)
 ACE:1 名
 ECCJ:4 名
4)ワークショップでの発表数と内容
日本:5 件(ミャンマーでのAJEEP-3 事業の実績と計画、日本の最近の省エネ政策・
規制制度、日本における省エネ意識の強化、省エネ法制度策定のための考察/方向性、
日本のHEMS)
ミャンマー:1件(省エネ法制度策定 3 ヶ年計画の進捗状況、今後の計画)
インドネシア(支援国):1件(同国の省エネ政策、省エネ推進策、表彰制度等)
タイ(支援国):1 件(同国の省エネ制度開発過程紹介、ミャンマーへの助言・提言)
ベトナム(支援国):1 件(同国の省エネ法規類の要旨、準備経緯、実施状況等)
ACE:1件(Scheme3の仕組み及び 2012-14 の実績及び 2014-15 の実績と計画)
5)ワークショップでの討議
ミャンマー及び日本からの発表を受けた第一日午前の総合質疑では国家エネルギー開
発委員会や産業連盟のリードで省エネの重要性や当ワークショップの意義について一
部現地語も交えて活発な議論があった。第 2 日目は参加者を3グループに分けて①政
策・法的枠組み、②産業及び建物、及び③意識・教育のテーマ毎に現地語による討議、
英語による結果発表が行われた。
(2)エネルギー管理セミナー(第2日目午後の活動)
 出席者:ワークショップ参加者とほぼ同じメンバー
 講義(ECCJ)
・工場でのエネルギー管理(判断基準)
・省エネ法に基づく定期報告(データ収集)
 セミナーの目的
省エネの法制化を策定する上で参照すべき「工場におけるエネルギー管理の進め方」、
「エネルギーの使用実態を掴むためのデータ収集」、及び「法規則施行のモニタリン
Ⅳ-43
グ」を学ぶために日本の実施事例を紹介してミャンマーの理解の一助とする。
(3)モデル建物(ショッピングセンター)での省エネ診断・OJT
1)実施日:第一日(1 月 21 日)9:00-17:00
第二日(1 月 22 日)9:00-17:00
第三日(1 月 23 日)9:00-17:00
2)実施サイト:Junction Square Shopping Center (Yangon)
建物規模:地上 4 階複合ビル、床面積:26,627m2
3)出席者:診断先のエネルギー管理担当者を主体に工業省担当者を加えて総計 15 名
4)目
的:選定されたショッピングセンターをモデル建物としてエネルギー管理、診断の
視点、携帯用計測器の使用方法及び診断実施方法を学び、他のビルでの省エネ
ルギー推進に広めていくことである
5)活動内容:ビル診断・OJTは以下のように実施した。
①建物の省エネ関連項目のヒアリング
②ウオークスルーによる設備機器の設置場所、稼働状況把握
③参加者を3グループに分けて照明器具の省エネ効果試算、床面積計算及び
温湿度、CO 2 濃度、照度の実測を指導
④グループ作業結果報告、ECCJ専門家診断結果報告
3.3
三カ国での活動の成果
3.3.1
カンボジアでの活動
① ワークショップでは MME ( Ministry of Mining and Energy、省エネ担当)をはじめ、関
係省庁、大学など幅広い分野から代表者が集まり、支援国(シンガポール&タイ)の示唆
や助言も踏まえて省エネの法制度化に向けて活発な内部討議を行った体験を共有できた
ことは今後の法制度案の作成作業推進に大きく寄与するものと思われる。
② 最近の省エネルギー政策として、2013 年 4 月に完了した EU の技術支援(EUEI-PDF)
に
よる省エネルギー政策、戦略及び行動計画スタディに基づき、下記に示す 5 つの優先課
題が挙げられた。これらは政府の承認段階であるが、この方針に沿って省エネ法制度草案
作りを開始することが確認された。
Five Priorities.
1. Energy Efficiency in Industry
2. Energy Efficiency of End-User Products
3. Energy Efficiency in Building
4. Energy Efficiency of Rural Electrification and Distribution
5. Efficient Use of Biomass Resources for Residential and Industrial
Purposes
③ エネルギー管理セミナーはカンボジア政府の要請で、できるだけ多くの参加者にエネル
Ⅳ-44
ギー管理を理解してもらうため開催され、45 名が参加して所期の目的が達成された。
午前は日本の省エネ政策、省エネ技術の紹介、ASEAN エネルギー管理ハンドブックの
使い方、ビルの省エネ診断方法等の講義を行い、午後はより実践的な携帯用計測機器の
使い方、空調機器の省エネ対策等の講義を行った。参加者の英語力が不足しているので
通訳を手配したのが効果的であった。
④ エネルギー管理セミナー内容とこれに続く 2 日間の省エネ診断 OJT の実習項目は整合
しており、これらの活動は効果的なスキル習得に有効であった。特に実習できた項目と、
講習のみで実習できなかった項目には、スキルアンケートで歴然とした差があり、スキ
ル習得のために実習が有効であることが再確認された。省エネ診断 OJT の主目的は選
定されたホテルをモデルケースとして、エネルギー管理、診断の視点及び診断実施方法
を学び、他の産業やビル等のエネルギー使用設備での省エネ推進に広めていくことであ
るが、官民が一同に集まり省エネ診断体験を共有できたことは、今後の省エネ法あるい
は規則を施行する上でも非常に意義深いものであった。
3.3.2
ラオスでの活動
① ワークショップ初日にラオスから発表された "Status and Plans for EE&C, including
Problems and Barriers for achieving Goals" では 2030 年までに 10%の省エネ目標を掲
げる国家省エネ政策(案)、及び省エネの MEM 大臣令(案)等が紹介され、参加者間で
活発な質疑が行われた。また、ASEAN 支援国として参加したタイの発表は言語が共通
しているため、先進国としての経験や省エネ法制度策定への助言等が良く理解され、
AJEEP Scheme3 の事業目的に沿う活動が効果的に行われた。
② 2日目午前の省エネ制度枠組み策定に係る討議は ECCJ の課題提起に係るプレゼンに続
いて2時間ほど行なわれた。現在準備中の Draft of Prime Minister Decree の条分(案)
に基づく首相を議長とし、MEM 大臣を Secretary とする National Energy Conservation
Council の組織化を前提とした 2015 年度の活動についてキーパーソンとなった IREP ソ
ムカム部長を中心にラオ語で真摯な討議が行われた。参加者間で課題が共有されたこと
は今後の活動を具体化する上で非常に有意義であった。
③ 省エネ基準に関するセミナーではエアコンについて、ラオスは現在、中国、日本、タイ、
台湾などからの輸入に頼っており、ラベリングをどのように管理するか悩んでいる。当方
から、各国で貼り付けているラベリングの条件はそれぞれ異なるので、それを整合するの
は殆ど不可能、ラオスは独自のラベリング制度を構築し、追加で貼り付けさせるような規
制を構築することを推奨した。
④ 簡易省エネ診断・OJT ではエネルギー診断の手順や計測機器の説明を行い、既設低周波誘
導溶解炉(480Hz)を高周波(1000Hz)に変更することにより、8%程度の電力原単位低減が
図れることを提案した。官民が集まりビルのエネルギー管理実習を実施したことは、同国
政府が今後、省エネ規則の策定を実施していく上で意義があった。
Ⅳ-45
3.3.3
ミャンマーでの活動
① ワークショップの参加者は初日 33 名、2 日目 25 名と大変盛況であった。省エネ法制度
策定に係る多数の関係者が工業省工業総局・省エネ部の呼び掛けに応じた。例えば、政府
系は工業省を中心に、環境保全森林、電力、エネルギー、商務、科学技術、教育の各省、
団体は国家エネルギー管理委員会委員を始め、再生可能エネルギー協会、エンジニアリン
グ協会、産業協会、建築家協会等、産業はセメント、鉄鋼、再生可能エネ等、また診断先
の Junction Square Shopping Center からも参加した。ASEAN 支援国として予定通り
インドネシア、タイ及びベトナムの代表が各1名参加した。ACE(ASEAN Center for
Energy)代表 1 名及び ECCJ 専門家4名を加えると初日の出席者は総計 40 名を超えた。
② 特に 2013 年 1 月に発足した国家エネルギー管理委員会(NEMC)メンバーの指導に基づ
いて活発な内部討議とグループ討議が行われ、①政策・法的枠組み、②産業及び建物、及
び③意識・教育のテーマ毎に 2015 年度の活動計画が策定された。
③ エネルギー管理セミナーでは省エネ法制化の策定に資するため、「工場におけるエネルギ
ー管理の進め方」、「エネルギーの使用実態を掴むためのデータ収集」、及び「法規則施行
のモニタリング」を学ぶために日本の省エネ法に基づく実施事例を紹介した。
④ エネルギー管理現場実習では自ら省エネ診断を実施することを目標として、省エネ診断の
目的、手順、準備すべき資料、データ収集・解析等について説明し、更に建物設備の省エ
ネ診断を行ったので、ショッピングセンター側の理解が進み、省エネ活動が開始されるこ
とを期待したい。今回の OJT の成果を確認するため「獲得スキルアンケート」とミャン
マー側の要請による「小テスト(15 分)」を行った。「獲得スキルアンケート」は、自己
評価ではあるが、測定器によるデータ収集など実際実習した項目はアンケートでの評価点
の上昇が大きかった。「小テスト」では、インバータ効果の正解率が低かったが、インバ
ータの省エネ効果をよく理解してもらうには、さらに時間を割いて講習及び計算実習を追
加する必要がある。
⑤ ミャンマーは工業省・省エネ部を中心として省エネルギー法制度化や普及活動に積極的で
あり、CLM グループの中で一歩抜け出している。更なるキャパビル推進や省エネビジネ
ス展開を図るために 2 国間支援に移行する時期に来ていると判断する。
Ⅳ-46
4.2014 年度 AJEEP 事業の総括と来年度の基本方針を協議する Summary & Post Workshop
4.1
出張概要
(1) 出 張 者:国際計画部長
国際計画部
牛尾好孝(総括、Scheme 2・リーダー)
部長
及川
孝一(ECAP
担当)
渋谷浩志(Scheme 3
国際計画部・技術専門職
担当)
(2) 出張期間・場所:2015年月2日24日から3月1日(6日間)、尼国・ボゴール
(3) 出張目的:今年度のASEAN AJEEPの活動を終了するにあたり活動内容を総
括するSummary & Post Workshopに出席する。ここではAJEEP
事
業をScheme2、Scheme 3及びECAPの3セッションに分けて協議する。
また来年度以降の計画の討議については、今後の新たなAJEEP事業に対
するASEANのEE&C-SSN(省エネに関するサブネットワーク)のフォ
ーカルポイント(FP)の要望・期待を発表してもらい、その内容を議論し
て、基本的な方向性を確認する。
尚、この Summary & Post Workshop は本事業の 1 年間の活動の成果及び今後の方針を
協議する場であり、毎年度末に開催している。
(4) 業務予定 :以下の予定表の通り
日程
2 月 24 日 (火)
2 月 25 日 (水)
Day 1
2 月 26 日
Day 2
(木)
2 月 27 日
(金)
2 月 28 日
(土)
3月 1日
(日)
4.2
業務内容
Lv. Tokyo, Ar. Jakarta (Indonesia)
9:00-10:00 開会挨拶及び AJEEP 概要・基本方針
10:15-12:30 Summary WS AJEEP Scheme 2
14:00-15:00 Summary WS AJEEP Scheme 2
15:15-17:00 Summary WS AJEEP Scheme 3
9:00-9:45 Summary WS AJEEP Scheme 3
10:00-11:50 Summary Workshop ECAP
11:50-13:00 Post WS:AJEEP 事業に対する ASEAN 各国の FP 及び ACE
の要望・意見等のまとめと、それを受けた総括協議
EMTIPS(機器の省エネ普及促進事業)の Summary & Post Workshop にオ
ブザーバーとして出席。
移動:Bogor →Jakarta
Lv. Jakarta for Tokyo(牛尾、及川、渋谷)
Ar. Tokyo 、
Summary & Post Workshopの概要
(1)4 人からの開会のあいさつ
ホスト国の来賓として新エネ・省エネ部の Ms. Maritje Hutapea から開会と歓迎の挨拶
が あ った 。引 き 続き 、ASEAN EE&C-SSN のコ ー ディ ネー タ であ る Ms. Amaraporn
Achavangkool 、ASEAN Center for Energy(ACE)を代表して新任の Executive Director
である Dr. Sanjayan Velauthan、METI と ECCJ を代表して牛尾が開会の挨拶を行った。
(2)出席は 8 カ国
Ⅳ-47
本セミナー・ワークショップの出席者は下記に示すが、ASEAN10 カ国のうち 8 カ国(シ
ンガポール、ベトナムが欠席)、ACE 及び ECCJ から総勢 15 名が出席した。今年も機器分
野の省エネ普及推進事業である EMTIPS の Summary & Post Workshop と同じ場所で日程
を合わせて実施したため、カンボジア、マレーシアからは 2 名の参加があり、ホスト国から
の複数参加も含め 20 人の出席があった。
主要 ASEAN 出席者:
Ms. Maritje Hutapea, Director, Directory General of New Renewable Energy and
Energy Conservation, MENR
Ms. Amaraporn Achavangkool, ASEAN EE&C-SSN Coordinator, Senior Scientist,
Bureau of Energy Regulation and Conservation, DEDE, Ministry of Energy,
Thailand
Ms. Andriah Feby Misna, Head of EC Division, Directorate General of New
Renewable Energy Conservation, Ministry of Energy and Natural Resources,
Indonesia
Dr. Sanjayan Velauthan , Executive Director of ASEAN Center for
Mr. Christopher Zamora, Acting Executive Director, ACE
2014 年度の事業総括を行う Summary Workshop を 2 月 25 日と 26 日の午前中に、本事
業の将来の方針と具体的な活動内容を協議する Post Workshop を 26 日の午前中から午後に
かけて実施した。。
尚、会議は Hotel の 2 階会議室で実施され、終日、熱心なディスカッションが行われた。
その内容を下記に報告する。
4.3
Summary Workshop:今年度の事業総括
(1)Basic direction and key points for evaluation of AJEEP 2014-2015
初めに ECCJ から、AJEEP 事業の背景、目的、事業内容、今後の方向を説明し、2014
年度の実施内容の概要とその成果について報告した。
本年度も多くの成果があったが、その中で特に下記を強調した。
(1) スキーム2としてはタイでは鉄鋼産業、インドネシアでは食品産業における日本の最
新の省エネ技術・製品情報を提供した。
(2) スキーム3では各国とも省エネ制度構築のためのタスクフォースが組織され、実際に
政策方針や規則の草案の作成がが進んでいる。
(3) ECAPでは日本の省エネ法制度、技術を紹介すると同時に、小集団討議等による
ASEAN各国の省エネ推進政策に関する情報共有の場を与えることができた。更に、
ASEANで実施している省エネ表彰制度(省エネビル、グリーンビル及びエネルギー
管理事例)における評価基準及びガイドラインの改善が図られた。
加えて AJEEP 事業の今後の方向として下記を提案し、ASEAN 各国の了承を得た。
Ⅳ-48
(1) SCHEME 3対象の国については、近い将来にSCHEME2に移行するようプログラムを
進める。4月20ー24日に開催されるEE&C-SSNの会合でECCJより時間軸も考慮した
今後の方針及びアクションプランを提案して欲しい。
(2) スコープを広げる。昨年のSOME-METIの会合でASEAN側より要請があり合意され
た内容であり、特に運輸部門にの内容を含めて欲しい。来年度のInception WSまで
に双方で検討する。
(3) JCM(Joint Creditting Mechanizm)などFinancing Schemeに関する情報も共有する。
JCMは多国間の枠組みの事業ではないので、本AJEEPのスコープではないが、
SCHEME 2においてインドネシアではJCMの成功事例があり、その紹介などで情報
共有することは良い。鉄鋼産業で進めている活動も参考になる。JCM推進事業は同
じMETIでも異なる部署が担当している。
(4) 地球規模での活動、つまりSE4ALLやIPEEC TOP10などのECCJが担当する事業と
の連携または協力に関し、ECCJより更なる情報が必要であるが、IPEEC TOP10へ
のASEANの参加について、2月の上旬に開催されたASEANの会合で本件が提案され、
参加に向けて準備することが了承されたことが報告された。
(2)Summary Workshop:各セッションの総括
1)セッション1:AJEEP Scheme 2
①
事業実施各国からの報告
(a)タイ代表からの報告

タイの最新のエネルギー関連状況についての説明に続き、11 月 10 日~14 日の 5
日間で実施された AJEEP 事業の活動の概要と成果について報告があった。

バンコックの郊外にある Kasemusakdi
Trading Co., Ltd の工場(鉄鋼工場:建
材(鉄筋)を製造)で省エネプロジェクト提案(主に電気炉技術と工業炉のレジェ
ネバーナー技術)を目的とした省エネ診断を実施。

診断には日本から ECCJ、JFE テクノリサーチ、中外炉工業、ニッコウ、日本工業
炉協会が参加(6 名)、タイ側からは Kasemusakdi
Trading Co., Ltd、エネルギ
ー省(DEDE)、タイ鉄鋼連盟が参加。

診断では質問書に基づくデータ収集、電気炉・工業炉の状態確認、データ測定、デ
ータ解析、診断結果の討議、工場のトップマネージメントへの報告を行った。

提案された改善案による当該工場の省エネポテンシャルは電気炉が
61.3kWh/t-steel で工業炉が 142MJ/t-steel であった。

日本人専門家の省エネ診断に加えて、タイのエネルギー省(DEDE)がタイの省エ
ネ法に基づくエネルギー管理システムの評価(8 段階)を行っており、その結果を
報告。評価は①To be improved、②Fair、③Good の 3 段階で行う。当該工場のエ
ネルギー管理の各プロセスごとの評価は、平均以上ではあるが、更なるエネルギー
Ⅳ-49
管理の改善が必要。

最終日の 11 月 14 日に省エネ技術セミナーを実施、今回の鉄鋼工場での省エネ診断
の結果、日本鉄鋼技術として、リジェネバーナー、電気炉における省エネ技術、工
業炉のエネルギーバランスの測定と評価等の情報提供を実施。

セミナーはタイの鉄鋼企業、タイ鉄鋼連盟、エネルギー省等から、日本側より、上
記の省エネ診断に参加した団体、企業に加えて METI と日本鉄鋼連盟が参加、多く
の情報が共有された。
(b)インドネシア代表からの報告

インドネシアの最新のエネルギー消費状況及び省エネ政策の概要に続き、12 月 8
日~12 日に実施された下記活動の概要とその成果について報告があった。

スマトラ島 Medan にある PT. SMART(Sinamas Resource and Technologies)
Refinary Unit Belawan 工場, (食品工場:パームオイルから食用油、マーガリン等
を生産)における、省エネ診断による省エネ技術プロジェクト提案を実施。

MEMR スタッフ及び PT. SMART グループ及び対象工場のエネルギー管理関係者
に対する省エネルギー診断の OJT(On the Job Training)を実施。省エネ診断 OJT
においては当該工場スタッフ 6 名及び MEMR のエンジニア 4 名が参加し、省エネ
診断に関する一連のプロセス(必要データの測定方法、入手したデータの分析方法、
報告書の作成発表等)を体験した。熱分野は大型ボイラーを電気分野は

最終日の 12 日に、省エネ診断の OJT の結果報告と食品産業分野における省エネ技
術・製品普及促進のための情報共有セミナーの実施

セミナーには 55 人(政府、食品会社、PLM(電力会社)、食品・農業関連団体等)
も出席者があり、多くの省エネ技術情報の提供と活発な質疑応答がなされた。
②
ECCJ からの報告:

AJEEP スキーム2について:出席者全員が当スキームについて十分理解してもら
うため、民間企業・団体の参画による省エネ推進と省エネ技術導入プロジェクトを
形成するための人材育成の 2 つの目的を確認した。加えて、当スキームの下での具
体的な活動内容を詳しく説明した。

2013 年度の各国の活動内容と成果:2013 年度は2カ国で省エネ診断に基づく省エ
ネ技術導入提案活動の内容とその成果について報告した。加えインドネシアで実施
した JASE-W 主催のコンファランスについても簡単に触れた。活動の概要は既に
各国の FP より報告があったため、省エネ診断の結果提案された技術・設備の説明
に重点を置き、当スキームについての理解を深めてもらった。

2015 年度の活動について:スキーム2の活動は 3 カ国で実施。今まで実施してい
ないマレーシア、ベトナムが優先される。省エネプロジェクト提案活動のフォロー
アップ及び発展形(ビジネスマッチングを目的とした活動)として実施された
JASE-W 主催のコンファランスやセミナーのような活動に協力する。更に、最新の
Ⅳ-50
省エネ技術を普及促進するための活動として ASEAN Energy Award について、ス
キーム2の中で支援していくことを確認した。
③
Q&A 及びディスカッション・総括

今回のタイのワークショップでの発表のテーマが多過ぎて、本来の本事業で議論す
べき内容についての討議時間があまり無かったので、この点改善すべきであるとの
コメントがあり、時間も限られる中、テーマをもう少し絞った内容にすべきである。

今回のタイでの 5 日間の活動は日-タイの民間団体が参加し、鉄鋼分野の最新の省
エネ技術に関する情報を共有し、AJEEP Scheme2のテンプレートとなったと考え
る。この活動は ASEAN 内で情報の共有が必要である。

インドネシアは 2012 年度より 3 年連続で AJEEP Scheme2に参加しており、2015
年度もこのスキームに基づく活動を実施したい。

省エネ診断の時間が短すぎため、もう少し時間をかけた診断を行ってほしい。

提案された技術、設備を実際に導入するための具体的な手法、システム(ファイナ
ンス、省エネ推進意識の向上、ESCO 等の新ビジネスの抄出等)に関する内容も加
えてほしい。

来年度の活動実施国は未だ未実施のマレーシアとベトナムに優先権を与える。
2)セッション2:AJEEP Scheme 3
①
各実施国からの報告
(a)カンボジアの報告

2012 から 2014 年度の現地活動実施結果概要を報告
・省エネ政策ワークショップ、エネルギー管理研修:エネルギー管理ハンドブックの研修、
ビル(ホテル)の簡易診断 OJT、工場(ビール工場)の簡易診断 OJT

2012 年度からの ECAP1~7 への参加とその概要報告
・東京で開催された ECAP には初回から今年度の 7 回まで全て参加(15 名)。

Q&A で下記確認
 省エネルギー法制度化 3 ヵ年計画の進捗状況はについて省エネ政策は EU の支援
で作成、2035 年までに 15%の省エネ目標を掲げている。
 省エネに関して優先的に取り組むセクターは建築と産業部門である。
 省エネ規則(案)が作成されたようだが、ASEAN のレビューが必要であろう。
2015 年度の詳細活動タイムラインはできているか。
 水力発電所建設等、国の電化率向上が優先されていて、省エネの取組が遅れてい
る。
(b)ラオスの発表

今年度の AJEEP Scheme 3 現地活動
Ⅳ-51
 省エネ政策ワークショプ(2 日)、エアコン基準等のワークショップ(1 日)、工場(鉄鋼
工場)簡易診断 OJT(2 日)の実施

現地活動の期待、実施結果、達成したこと
 省エネ推進のための諸政策、施策、人材育成、エネルギー多消費産業のエネルギ
ー管理情況の理解等の向上

新年度活動の提案・要望
 AJEEP Scheme3 の現地活動及び日本における研修継続継続

電気機器省エネ基準の規則策定、特にモーターの力率基準に係るワークショップセ
ミナー開催

Q&A で下記確認
 .鉄工場の工場診断 OJT は工場側の準備不足のため不十分であった。原因を究明
して再発防止に努めること。プレゼンされた鉄工場の診断手順は良くまとめられ
ているので OJT 参加者と共有していただきたい。
 産業のエネルギーデータ収集の状況については、まさに開始したところ。フィリ
ピンのデータ収集は自主的プログラムであるが、協力した企業に Award を与えて
データ収集推進を図っている
 ラオスに於いて Scheme3 から Scheme2 へ発展させるのは必要か。まだ、研修が
必要ではないか。工場診断に基づくビジネス展開より政策立案の方が重要と考え
る
(c)ミャンマーの報告

AJEEP Sheme3 の目標と提案した 3 カ年行動計画概要

今年度の AJEEP Sheme3 現地活動(ワークショップ(参加者:40 名)、ビル(シ
ョッピングセンター)の省エネ診断 OJT)

今年度の達成項目(ワークショップ)
・省エネ規制の枠組み策定に貢献
・日本の省エネ法に基づく諸施策を学んだ
・省エネの重要性の意識や小集団討議により行動変革が高まった

今年度の達成項目(工場診断 OJT)
・工業省省エネ部のスタッフやショッピングセンターのエネルギー管理スタッフの
ビル診断関連能力が向上した
・省エネの思考能力が向上した

今後の改善点
・OJT で提案された項目の実施
・公共ビルでの水平展開
・知り得た知識を日頃の省エネ活動へ活用する等

Q&A で下記確認
Ⅳ-52
・ 省エネルギーの推進は強制的に行うべきと考える。
・ ワークショップに財務省の参加がなかったのは?省エネ予算設定や基金設立の
ために財務省の理解と協力は欠かせない。
・ ミャンマーの法制度構築のための取り組みは CLM 他 2 か国に比較して進んでお
り、支日本からの協力も多国間だけでなく 2 国間の枠組みでの協力も考える。
(d)タイ代表からの CLM に対するアドバイス:
タイ国は CLM3 か国の AJEEP Scheme 3 のワークショップにアドバイザーを派遣。

現状認識としてカンボジアは国際協力機関の支援を利用して省エネに取り組んで
いるが政府の支援が十分でない。ラオスは省エネ政策・規則案の準備、省エネチッ
プや省エネ診断ガイドラインの配布等を行っているが、資金不足、関係機関の調整
不足、省エネ人材不足等の課題が見られる。ミャンマーはエネルギーの節約・効率
利用の政令案、省エネ政策・戦略・ロードマップ案及び 3 ヶ年計画が策定され、関
係省庁との調整も進められているが、エネルギー関連のデータ収集、人材育成、資
金不足等の課題が見られる。

省エネ法制度化を立案する前段階としての一般的な推奨策、現状の課題を打開する
ための推奨策を個別に提示し、鍵となる成功因子を以下の通り提案
① 首尾一貫した政策及び活動、政府の先導役割
② 高い省エネ能力&意識を持つ人材の用意、準備
③ 十分な予算および奨励策
④ 対象とするセクターの高い意識と参加協力
(e)インドネシアからの提案:インドネシアはミャンマーでのワークショップにアドバイ
ザーとして参加

被支援国に資するべくインドネシアのエネルギー状況、省エネルギー政策&規則、
国家省エネマスタープラン及び省エネ意識高揚のための省エネコンペや表彰等の
啓蒙活動を紹介した。
②
ECCJ からの報告

2012-2014 に行われた省エネ法制度化 3 か年計画策定に係る現地活動及び日本での
研修(ECAP2&5)を総括

2014-15 の AJEEP Scheme3 事業としてカンボジア、ラオス及びミャンマーで実施
された現地活動の要約と評価。
特筆すべき点として 2 日間の政策 WS ではカンボジア 17 名、ラオス 12 名、ミャ
ンマー33 名の官民ステークホールダーが集まり、熱心な内部討議を行い、タスク
フォースチームの役割を担ったことである。

カンボジアでは ASEAN 支援国としてシンガポール及びタイが参加して 2 日間の政
策 WS を行い、その後エネルギー管理セミナー(45 名参加)及び 2 日間のビル診
Ⅳ-53
断 OJT(ホテル)が成功裏に実施された。

ラオスでは ASEAN 支援国としてタイが参加して 2 日間の政策 WS を行い、その後
エアコン/工業炉の省エネ基準セミナー及び2日間の工場診断 OJT(鉄工所)が成
功裏に実施された。

ミャンマーでは ASEAN 支援国としてインドネシア、タイ及びベトナムが参加して
2 日間の政策 WS を行い、その後 3 日間のビル診断 OJT(ショッピングセンター)
が成功裏に実施された。WS では政策、産業&ビル及び省エネ意識&教育の3タス
クフォースグループが 2015 年度の詳細計画について熱心に討議した。またOJT
では工業省スタッフ及び診断先スタッフ 15 名が参加してビル診断実習を行った。

Q&A で下記確認
・ 工場診断の事前調査票は英文であり、理解できないケースがあるので事前に翻
訳しておきたい(ラオス代表)
・ カンボジアの政策 WS に民間セクターが参加していないが、次回から民間企業
を呼ぶようにしたい(カンボジア代表)
・ AJEEP Scheme3 事業は 3 年間行ってきたので Scheme2 への移行を考慮すべき
時期にきている(ACE)
・
③ 考察
本スキーム事業は既に 3 年間実施し、3 か国それぞれの成果に差が出ている。来年
度は新しいフェーズへの移行の年であり、以下に CLM 各国の状況を考察をして、
来年度の事業計画に生かす。

カンボジア:
策定した「法制度化 3 ヶ年計画」の取組に遅れが見られる。この要因は省エネ所轄
機関である旧 MIME が 2014 年 4 月に MME (Ministry of Mines and Energy)と
MIH (Ministry of Industry and Handicrafts)に 2 分割されたため活動が滞ったこ
とも否めないが、今回の WS で得た情報によると、新たな省エネ所轄機関の MME
が電化率向上のために、省エネ推進策より水力等の発電能力増強策を優先している
ことが大きい。従って、AJEEP 事業では電化率向上には設備増強だけでなく、省
エネの果たす役割も重要であることを再認識させ、更なる人材育成に取り組む必要
がある。

ラオス:
策定した「法制度化 3 ヶ年計画」に基づいて、省エネ所轄機関である MEM (Ministry
of Energy and Mines)を中心に省エネ意識向上策等に取り組んでいる。現地活動で
実施した政策 WS では他の関係省庁の参加がなく、政府関係機関の調整は不十分で
ある。このため国家省エネ委員会の設立を策定中であるが、法制度化には時間がか
かると思わる。AJEEP 事業では引き続きの人材育成支援、省エネ意識向上につな
Ⅳ-54
がるラベリング制度支援、及び省エネ技術情報の提供が必要である。

ミャンマー:
策 定 し た 「 法 制 度 化 3 ヶ 年 計 画 」 に 基 づ い て 、 省 エ ネ 所 轄 機 関 で あ る MOI
(Ministry of Industry)省エネ部を中心に省エネ意識向上策等に取り組んでいる。現
地活動で実施した政策 WS では国家エネルギー管理委員会、関係省庁、民間団体等
官民のステークホルダーが多数参集した。そこで 2015 年度の詳細な活動計画が討
議され、関係者間で共有された。ミャンマーの活動は非常に積極的であり、CLM
グループの中で一歩抜きん出ている。今後、より具体的な活動支援が必要となるが、
2 国間支援の方が効率的であろう。
3)セッション3:AJEEP- ECAP
①
2014 年度に実施した ECAP-5、6、7の総括

ASEA 各国代表より3回のワークショップについてその成果と今後に向けた改善
点についての意見を求めた。

全ての代表から、3 回のワークショップは予想通の有益な内容であったので、2015
年度も 3 回のワークショップを実施してほしいとの要請があった。

各ワークショップの内容について、ASEAN 内で協議し提案したいとの意見が出
された。運輸部門やビル分野の省エネ法制度・省エネ技術に関する内容も取り入
れてほしい。

日本人専門家の講義だけでなく、ASEAN の専門家の講義も含めてはどうかとの
意見が出されたが、これは日本企業向けの場を設けることも考えられる。
②
ACE よりの報告

ACE より 3 回の ECAP の概要と ECAP7で議論された、省エネビル(グリーン
ビルも含む)及びエネルギー管理優秀事例の表彰制度(ASEAN Energy Award)
の評価基準の改善案についての説明があり、ASEAN 内で情報が共有された。
③
ECCJ からの報告
ECCJ から 2014 年度の ECAP 事業の概要とその成果について報告を行った。

ECAP5は BCLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の AJEEP Scheme3 活動
を支援する目的で 10 月 29 日-11 月 5 日に東京で開催され、以下の結果を得た。
・ 被支援の CLM3 カ国及び今回被支援に回ったブルネイから 11 名、支援側の
ASEAN5 カ国(インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)か
ら 5 名及び ACE から 2 名の 18 名が参加して、有益な討議が行われた
・ CLM の省エネ法制度整備に向けた 3 ヵ年活動計画案の実施状況を確認。カンボ
ジア以外は各国とも AJEEP Scheme3 が開始されて以降 2 年間で確実にアクショ
ンプランを遂行している。
・ 支援国2つのグループに分けて、被支援国と集中的なグループ討議を行う場を設
Ⅳ-55
定し、両者間での有意義な意見交換や、支援国側の効果的な助言・示唆の提供に
つながった。

ECAP6は日本の機器の省エネ基準/ラベリングの理解、及び ASEAN 共通/各国の
機器の省エネ基準/ラベリングプログラムの開発を支援する目的で 11 月 20~29
日に東京で開催され、以下の結果を得た。
・ ブルネイ以外の ASEAN 各国から 16 名(各国 2 名でマレーシアとシンガポール
が 1 名)と ACE から 2 名の 18 名参加。
・ 家庭用エアコンの省エネ基準及びラベリング制度の構築に向けて ASEAN に対し
て日本が実 施してい る 支援事業(ECCJ が実施している EMTIPS 事業及び
IS-INOTEK が実施しているエアコンの試験方法と省エネ効率評価基準(CSPF)
に関する理解を深めてもらうための講義及びデスカッション。

ECAP7は日本のビル省エネやエネルギー管理の表彰制度を理解し、ASEAN の
同制度へ適用される評価基準を討議し、改善する目的で 12 月 15-18 日に東京で
開催され、以下の結果を得た。
・ ブルネイを除く 9 カ国から 17 名及び ACE から 2 名の 19 名が参加した
・ 4 日間のワークショップでは参加者及び日本の専門家間で ASEAN の省エネ普及
促進のために実施されている表彰制度のより一層の普及を図るための評価基準改
善のために、非常に有意義な討議と意見交換が行われた。
・ 特にビル部門で本年度より新たに新設された Green Building 部門の評価基準及
びて定義の明確化のため、日本の CASBEE の内容についての講義を 1 日提供し
熱心な議論が行われた。
・ エネルギー管理優秀事例表彰制度のにおいても推奨される改善点が討議され、そ
の成果が来年度の実施に反映される。
4.4
Post Workshop:次年度の活動へ向けて
上記に述べた各セッションで討議された内容の内、特に下記の点について確認した。尚、
4 月に実施される EE&C-SSN の会合で、ECCJ より今回の Summary &Post Workshop で
協議され、了承された内容をもとに来年度の AJEEP の事業計画について提案し、協議する
ことになった。
(1)Scheme 2 について
各国での活動成果に関する情報を ASEAN 内で共有するため、セミナーでの報告や
WEBSITE を利用した情報発信を行なう。又、来年度の活動実施国は未だ未実施のマレーシ
アとベトナムに優先権を与える。
(2)Scheme 3 について
この Scheme の事業も 3 年がたち、総括すべき、目標年度を迎え CLM 各国とも、具体的
で実質的な成果と今後のアクションプランを作成し、EE&C-SSN の会合で報告する。その
Ⅳ-56
報告をベースにこのスキームでの活動の継続を考える。基本的な方向として、スキーム2へ
の移行を進める。
(3)ECAP について
ワークショップの内容は ASEAN からも提案したい。特に、運輸分野の省エネ法制度やビ
ルの省エネ基準などのテーマを希望する。
Ⅳ-57
Ⅳ-1-2.受入研修
AJEEP に係るワークショップを受入研修として3コース実施した。
即ち、次に示す3コースで、各コースの目的と成果の要点をまとめた
◎第5回 ASEAN 向け省エネルギーワークショップ
(ECAP-5)
(目的)
CLM (カンボジア・ラオス・ミャンマー) の省エネ政策・法制度整備の促進を支援
(成果)
・CLM 各国は省エネルギー法制度構築に向けた3ヵ年計画を効果的に実施するために短期
的な詳細行動計画を策定した。
・被支援国に回ったブルネイはエネルギー白書に基づく省エネルギー政策としてエネルギー
管理制度に係る3ヵ年行動計画を策定した
・CLM の活動を支援する他の ASEAN 諸国が具体的な情報提供や助言を提供した。
◎第6回 ASEAN 向け省エネルギーワークショップ
(ECAP-6)
(目的)
域内の機器 (特にエアコン) のエネルギー効率基準やラベリングの調和に向けた支援
(成果)
・各国の機器のエネルギー効率基準やラベリングに係る効率基準、試験標準を共有した。
・日本の CSPF に関する内容や試験方法と評価基準等や利点の理解を深めた。
◎第7回 ASEAN 向け省エネルギーワークショップ
(ECAP-7)
(目的)
エネルギー管理・省エネビル(グリーンビルも含む)の優秀事例表彰制度の評価基準・募集
要項の改善支援
(成果)
・エネルギー管理優秀事例の表彰制度の評価基準等を見直し改善した。
・省エネビル優秀事例表彰制度の評価基準の大幅な見直し改善を提案。
・グリーンビルの概念や定義の明確化:日本のサステナブルビル(グリーンビル)の評価
基準である CASBEE の理解。
・2015 年度の募集要項案を策定した。
・評価基準の改定案は 2015 年 2 月下旬の AJEEP Summary & Post Workshop で最終化
することを目途に各国評価委員がレビューすることを確認した。
個別のワークショップの内容や結果につき次に示す。
Ⅳ-58
ASEAN向け省エネルギーワークショップ(ECAP-5)実施報告
1.実施概要
実施期間
研修目的
対象者
重点内容
成果
(アウトプット:
活動計画)
平成 26 年 10 月 29 日~11 月 5 日(5 日間)
*内訳:講義(1 日間) 、発表・討議(3 日間)、見学(1 日間)
① AJEEP(ASEAN 日本の省エネパートナーシップ)のスキーム3
に従って、被支援4カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー及びブルネイ)の省
エネルギー政策担当者を招聘して資質向上研修を行う
② 上記被支援国の省エネ法制度構築に向けた3ヵ年行動計画等に
基づくタスクフォースチームの詳細行動計画の策定に関して、
ASEAN 支援 6 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ及
びベトナム)の行う協力を ACE(ASEAN・センター・フォー・エナジー)ととも
に支援することを目的とする。
研修者数:16名(内訳は以下の通り)
① カンボジア、ラオス、ミャンマー及びブルネイの省エネルギー政策担当者:11
名
② ASEAN支援6カ国の代表者:5名(マレーシア不参加)
ECAP5のサポーターとしてACE(ASEAN Center for Energy)から
2名参加
① 日本の省エネルギー政策、対策、普及活動及び意識向上プログラ
ム及び省エネルギー法あるいは規則を施行している ASEAN 支
援 5 カ国の事例学習、並びに討議
② 被支援 4 カ国と支援 5 カ国との自主的な小集団討議
③ 省エネルギー法制度構築に向けた詳細行動計画策定に関して被
支援 4 カ国と支援 5 カ国(含む日本)間の意見交換・助言
④ エネルギー管理優秀工場及びビル(ESCO 事業)の見学
① 省エネルギー法制度構築に向けた3ヵ年行動計画に基づく詳細
行動計画の策定及び発表(カンボジア、ラオス、ミャンマー)
② エネルギー白書に基づく省エネルギー政策としてエネルギー管
理制度に係る3ヵ年行動計画の策定及び発表(ブルネイ)
2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
・カンボジアの省エネルギー政策、過去の省エネルギー活動、3ヵ年
行動計画策定
・ ラオスの省エネルギー政策、3ヵ年行動計画の進捗状況
・ ミャンマーの省エネルギー政策、省エネルギー活動、3ヵ年行動
計画の進捗状況
・ ブルネイの省エネルギー政策、対策、活動計画
・ 支援5カ国の省エネルギー法制度の施行状況、被支援国への助言
等
講義
・ 日本の省エネルギー法制度のレビュー、及び法制度構築の方向性
(基調講演)
・ 日本の省エネルギー啓発、普及推進
討議
・ 日本及びASEAN各国の省エネルギー法制度のキーポイント、施
行上の課題、及び国民の省エネルギー意識高揚対策
Ⅳ-59
見学
小集団
グループ
討議
討議結果
最終報告
・ 被支援4カ国と支援5カ国間の自主的な小集団討議
(夕方や週末のフリータイムに2回実施)
・ 被支援4カ国各国の詳細行動計画の策定討議
・エネルギー管理優良工場事例(日立産機システム習志野事業所)
・ESCO事業導入事例(調布市役所)
① 被支援4カ国と支援5カ国間のグループ討議:
被支援・支援国を夫々2グループに分け、相手を代えて自主的な
小集団討議(意見交換、示唆や助言)を合計 2 回実施
② 被支援4カ国:省エネルギー法制度構築に関わる国別行動計画の
策定検討
③ 支援5カ国:2グループに分けて有益な示唆や助言の討議
各グループの最終報告の要点は次の通りであった。
① 省エネルギー法制度構築に向けた3ヵ年行動計画の実施
【カンボジア】
「省エネルギー法及び関連規則類の構築」の提案
(背景)電力を含む殆どの商業エネルギーを輸入に頼っているが、特
に電気料金が近隣諸国と比べて極めて高く、電化率の向上や経済
発展の足枷となっている。このため電力政策として供給能力強化
を上げ、エネルギー需要緩和策として省エネルギー法制度の構築
が必要と認識している。
(国家省エネルギー目標)2035年までにエネルギー需要20%削減
(省エネルギー政策、活動)AJEEP支援下で省エネ法制度構築に向
けた3ヵ年行動計画を策定して実施中であるが、省エネルギー責
任省庁(Ministry of Mines and Energy)の大臣が交代したため、
活動が停滞し、3ヵ年計画最終年を2016年まで1年延長した。こ
れまでに省エネルギー法のドラフト作業チームが一部編成され、
省エネルギー政策草案が作成された。
(課題)国際協力支援機関の下で種々の省エネルギー活動を実施して
いるが、自発的で具体的な活動に乏しい。今後、3ヵ年行動計画
を実現するには多くの課題があるが、特に省エネルギー意識高
揚、人材の資質向上、資金不足が問題である。
【ラオス】
「2014-2015年の詳細行動計画策定」の提案
(背景)豊富な水力発電能力のおかげで電力を近隣諸国へ輸出してい
るが、石油など化石燃料は全量輸入に依存。電力法は施行されて
いるが、省エネルギー法制度は未整備である。
(国家省エネルギー目標)2030年までにエネルギー需要10%削減
(省エネルギー政策、活動)AJEEP支援下で省エネルギー法制度構
築に向けた3ヵ年行動計画を策定し活動中。これまでに省エネル
ギーの責任省庁(Ministry of Energy and Mines)が決まり、省エ
ネルギー政策&規則の草案作りや省エネルギー意識高揚対策と
して工場、ビル及び家庭向けの省エネルギー手引き書の配布、エ
ネルギー管理ハンドブック発行、工場及び建物のエネルギー診断
指針を準備した。
(計画と課題)2014-2015年計画として対象セクターを産業及びビル
部門としたエネルギー管理制度推進、廉価でエネルギー効率の低
い家庭用電化製品の輸入抑制を目的とした省エネ基準及びラベ
リング制度の構築、人材育成等を提案し、計画の実現に向けて強
い意欲が感じられる報告であったが、3ヵ年行動計画を実現する
Ⅳ-60
には省エネ意識高揚、人材の資質向上、資金不足等多くの課題を
抱えている。
【ミャンマー】
「省エネルギー政策及び法的枠組みの公表化」の提案
(背景)エネルギー分野では電力供給不足、需要の増加(薪等の燃料
転換含む)、原油ガス生産能力低下等が見られ、省エネルギー分
野では国民の意識不足や低効率家庭電化製品の市場への出回り
が問題。2011年から国家改革推進のため産業セクターへの海外投
資受け入れが盛んになった。
(国家省エネルギー目標)2030年までにエネルギー需要20%削減。中
間目標は12% by 2020、16% by 2025としている。
(省エネ ルギー 政策、 活動)2013年 1月に 副 大統領の 下にNEMC
(National Energy Management Committee)が設立されて省
エネルギーの推進を掲げ、省エネの法制度化、責任省庁(工業省)
による取組み、および人材の資質向上実施が計画された。策定さ
れた3ヵ年行動計画は将に国の政策と合致するものである。
(計画と課題)2015年の詳細計画にはASEAN支援国の助言や示唆を
参考として、品質の高いエネルギーデータ収集調査、省エネ実施
機関の設立、省エネルギー規則草案作り、エネルギー管理指針(対
象と指定数量の特定)、省エネルギー意識高揚(利害関係者、政
策決定者の理解促進含む)、表彰制度、省エネルギー技術指針策
定等を意欲的に取り上げたが、これらの実現には国際協力機関の
技術面、人材育成面、金融面での更なる支援が必要と認識してい
る。
【ブルネイ】
「ブルネイのエネルギー管理制度(電気)の開発と実施」
(背景)豊富な石油資源を背景に一人当たりのエネルギー使用量は
ASEANの中で図抜けて高い状況(日本の2.6倍)。特に電気使用量の
伸び率が大きい(4%/y)。エネルギー白書に規定されたゴールのひ
とつに「効率的なエネルギーの供給と需要を確保する」があり、2035
年までに63%のエネルギー原単位削減という野心的な国家目標を掲
げている。この実現のために7つの政策を用意しており、これまでに
3つの政策を実施あるいは着手してきた(2012年に電気料金改革実
施、基準とラベリング及び省エネ・ビルコードは実施中)。
(計画)エネルギー白書の4つ目の政策である「エネルギー管理」の
実施に向けた2015年からの3ヵ年行動計画を策定した。
(課題)策定された3ヵ年行動計画は責任省庁も決まっており(首相
府エネルギー部)、資金力もあるので実現性は高いと思われるが、先
進国の成功事例情報調査、ISO50001との整合性、エネルギー管理者
の 教 育 や 認 証 に 係 る AEMAS(ASEAN Energy Manager
Accreditation Scheme)の活用等が必要と認識している。
②支援グループ
【タイ、ベトナム】被支援4カ国の背景や国家目標を比較分析して課
題や障壁を明確にした上で、それぞれの国が詳細活動計画を策定
するために参考とすべき広範囲な推奨策を提言。
【インドネシア、フィリピン、シンガポール】被支援4カ国について
個別に背景や現状を分析し、今後の詳細な行動計画を策定する上
で参考とすべき広範囲な推奨策を提言。また、支援3カ国の省エネ
Ⅳ-61
成功事例を紹介した。
いづれの支援グループも真摯に小集団討議に参加して、非常に有益
な提言を行った。
Ⅳ-62
ASEAN 向け省エネルギー政策研修(ECAP5)日程表
1
日
目
10
月
29
日
午
前
水
午
後
2
日
目
3
日
目
30
日
31
日
木
5
日
開講式
基調講演
日本の省エネ法制度レビュー、及び省エネ
法制度構築の方向性
発表
カントリーレポート発表(被支援 4 カ国)
討議
・ 共有したカントリーレポートに関わる
質疑
・ グループワーク説明
発表
カントリーレポート発表(支援 5 カ国)
討議
総合質疑、意見交換
見学
午
前
見学
火
工場における省エネルギー
・ エコ工場推進に向けた省エネ対策
・ FEMS、他の取組み事例
ビルにおける ESCO 事業導入
・ 地球温暖化対策の取組み
・ ESCO による空調設備の更新
講義
日本の省エネ啓発、意識高揚推進策
SGD
小集団討議(被支援国 vs.支援国:1 回目)
-
SGD
終
日
SGD
小集団討議(被支援国 vs.支援国:2 回目)
・ 省エネルギー法制度構築 3 ヵ年行動計
画等に基づく詳細行動計画の策定向けた
グループ討議
(被支援4カ国 2 グループ vs.支援国 2 グ
ループ、及び ECCJ 専門家)
・ 発表資料の作成
午
前
5
日
目
-
午
後
午
後
11
月
4
日
オリエンテーション・プログラムガイダン
ス
金
11 月 1-3 日
4
日
目
午
前
-
発表 / 討議
討議
水
午
後
-
対話
各グループによる詳細行動計画の発表
発表内容に関する討議
2014 年度 AJEEP Scheme3 現地活動に関
する討議
閉講式
ワークショップの評価、相互のネットワー
ク形成、フォロ-アップ方案などの自由対
話
Ⅳ-63
ASEAN向け省エネルギーワークショップ(ECAP-6)実施報告
1.実施概要
実施期間
研修目的
対象者
重点内容
成果
(アウトプット:
活動計画)
平成 26 年 11 月 20 日~11 月 28 日(6日間)
*内訳:講義(1日間)、見学・実習(2日間)、発表・討議等(3日間)
(1)S&L に関する現在進行中のさまざまな ASEAN・日本間の国際協力
プログラムについて、理解を深める。
(2)家電製品や設備に関する新技術・新システムを通じて、日本の省エネ
改善アプローチを学ぶ。
(3)小集団討議を通して ASEAN の中での S&L に関する基準調和を進め
る。
研修者数:18 人(民生部門省エネ政策担当者 )
ACE:2 人、各国担当者:16 人
・キーパーソンからの ASEAN・日本間の国際協力プログラムに関する
情報提供(IS-INOTEK・AJ-EMTIPS)
・サイト訪問(創エネハウス・スマートハウス・インバータエアコン)
・日本人専門家も含めた基準調和に関する小集団討議
小集団討議を通して各国の置かれている立場の違いについて相互理解が
進み、下記に示す課題と将来取組むべき事項が整理された。
・ASEAN 省エネラベルのあり方を検討するステアリングコミティの設
立
・試験方法・評価方法の共通化による基準の統合
・共通省エネカタログ作成のための共通データベース構築の検討
・販売店やマスコミを活用した広報・啓蒙活動の活性化
・各国ごとの課題認識に基づき、ASEAN 地域内での情報交換の促進
(特に、活動が他国と比較して遅れている CLM3ケ国に対する支援)
2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
S&L 制度の整備に関する進捗状況は下記の通りである。
①整備が進んでいる地域(タイ・ベトナム・フィリピン・マレーシア・シ
ンガポール・インドネシア)
各国とも制度内容や進捗に差異が存在。タイ、ベトナム、フィリピン、
マレーシアでは MEPS 導入やラベリング制度整備が先行し、日本の
例を参考に運用面での改善が期待される。評価指標については、大半
が EER であるが、タイで SEER(CSPF に相当)、ベトナム、フィリ
ピンでインバーター機種に対する導入を決定している(ベトナムでは
既実施)。マレーシアでは承認機種数が年々増加し順調に発展、シン
ガポールでは評価基準を4段階から5段階に変更し上位機種の販売
比率が着実に上昇、インドネシアでは、2015 年度からエアコンへの
MEPS、ラベリングの導入が決定している。
②整備が遅れている地域(カンボジア・ラオス・ミャンマー)
いずれもタイ・中国・韓国等からエアコンを輸入しており、ラベルや
テストレポートが欠如した状態で輸入されている。輸入品・中古品に
苦慮しカンボジアでは、特定地域でのパイロットプロジェクトや行動
計画の策定等で前進の芽が見受けられる(一部の活動で韓国から支援
を受けている)。なお、ミャンマーも整備に向けて積極的、ラオスも継
続的な日本からの協力を要請。
Ⅳ-64
講義
見学・実習
小集団
グループ
討議
討議結果
最終報告
・基調講演:日本の民生部門における省エネルギー政策と家電製品に
対する基準調和
・ASEAN における機器分野(エアコン)の試験方法および評価指標の
調和に向けた日本の協力支援
・AJ-EMTIPS プログラム 2013-2015 の導入
・インバータエアコンの省エネルギー
・JX 日鉱日石エネルギー(株)での創エネハウスの見学
・トヨタホーム(株)での スマートハウスの見学
・三菱電機(株)での家庭用エアコン「霧ケ峰Zシリーズ」の工場見学
3グループに分かれて、下記のテーマで討議した。
高効率エアコンを普及させるためには?
①高効率エアコンを普及させるための条件は何か?
どのような政策を採用すれば良いか?
②上記の活動を進める上で、課題や障害は何か?
そのような問題点をどのように解決して行くのか?
③基準調和を進める上で、ASEAN及び自国で何をすべきか?
①高効率エアコンを普及させるための条件は何か?
どのような政策を採用すれば良いか?
・インバータ機に対する適切な基準の導入
→インバータ機に対する試験方法・評価方法の確立
・エアコンのエネルギー効率情報の収集と開示
→法規・データベース等の整備、製造メーカ/輸入業者への協力要請
・消費者への正しいエネルギー効率情報の提供
→販売店・マスコミ・学校教育等による啓蒙活動の活性化
・最新技術情報の導入→専門家による支援
②上記の活動を進める上で、課題や障害は何か?
そのような問題点をどのように解決して行くのか?
・省エネルギー法(一部地域のみ)やMVE(全体)の未整備
→ASEAN域内での支援やMVEに対するキャパシティビルディング
・省エネラベル制度の未整備(一部地域のみ)、試験所能力の不足
→ISO評価基準の導入、相互認証制度の促進、先進国からの技術支援
・データベースの整備が不十分
→市場調査やEMTIPSとの連携によるASEAN共通データベースの整備
・エネルギー効率に関する消費者の認識不足、価格問題
→広報・啓蒙活動の活性化および財政支援(補助金・優遇税制等)の検討
・現地製造メーカに対する最新技術情報の導入→専門家による支援
③基準調和を進める上で、ASEAN 及び自国で何をすべきか?
【ASEAN】
・ASEAN 省エネラベルのあり方を検討するステアリングコミティ設立
・試験方法・評価方法の共通化による基準の統合
・共通省エネカタログ作成のための共通データベース構築の検討
・販売店やマスコミを活用した広報・啓蒙活動の活性化
【シンガポール】
・輸入エアコンに関する法規内容の開示(No Testing-No Selling)
【マレーシア】
・省エネカタログ作成のためのデータベースの整備
【タイ】
・SEER の導入、トップランナー制度の研究、CSPF の導入可否検討
【ベトナム】
・CSPF の導入(インバータ機限定)、MEPS および省エネラベル制度の
改良
Ⅳ-65
・トップランアー制度の導入可否検討
【インドネシア】
・省エネルギー法の執行強化、市場でのサーベランス、試験能力向上等
【フィリピン】
・販売店やマスコミを活用した広報・啓蒙活動の活性化
【カンボジア・ラオス・ミャンマー】
・省エネルギー法の制定と適用
・省エネラベル制度の立ち上げ
3.実施評価
研修生代表
研修生
(評価書)
ECCJ
の評価
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
今回の研修はASEAN諸国の省エネ促進に貢献する内容だったと思う。
このような知識や経験は将来確実に利益をもたらすものと考えられる。
特に印象に残ったことは、サイト訪問においてスマートハウスやインバ
ータエアコンの特徴が良く理解できたことであり、これらの技術開発を
通じて日本政府の省エネに対する真摯な取り組み姿勢と絶えざる努力
を感じ取ることができたと思う。
今後もASEAN地域が単一市場として機能するために努力して行きたい
と考えているので、今後とも継続した支援をお願いしたい。
研修内容や実施に関する評価は5点満点中4.8点と大変高い満足度を
得た。また、改善要望として小集団討議のテーマは3グループで別々に
するのが良い、最後の質疑応答の時間が不足した、国ごとのバラツキが
大きいため、ASEANでまとまるには運営が難しい等の意見があった。
小集団討議に対する研修生が真面目に取り組む態度から、ASEAN 代表
として、地域の発展に貢献して行こうという熱意が感じられ、良い研修
だった。
特に訪問サイトの選定について、研修生からかなりの好評価が得られ、
ニーズを満たすことに成功したのは、入念な事前準備と精度の高い構想
立案が功を奏したものと考えられる。当初のねらいは達成できたと考え
る。
①見学先の都合でサイト訪問とグループ討議の順番が入れ替わった。
しかし、2日目にもグループ討議を加えて、継続性ある内容として受
け入れられるように配慮し、影響を最小限にとどめた。
②1日目は9ケ国にカントリーレポートの発表をお願いしたので、時間
配分に無理が生じた。それ以外の日は妥当な時間配分だった。
時間のゆとりが心のゆとりに通じるので、事前検討が重要である。
Ⅳ-66
ASEAN 向け省エネルギーワークショップ(ECAP-6):プログラムと日程
1
日
目
11
月
20
日
午
前
木
午
前
21
日
オリエンテーション・プログラムガイダンス
グループワーク実施要領説明
-
開講式
基調講演
午
後
2
日
目
-
金
午
後
日本の民生部門における省エネルギー政策
と家電製品に対する基準調和
発表
カントリーレポート発表
討議
発表に基づく質疑および討議
講義
ASEAN における機器分野(エアコン)の
試験方法および評価指標の調和に向けた
日本の協力支援
講義
AJ-EMTIPS プログラム 2013-2015 の導入
講義
インバータエアコンの省エネルギー
グループワーク
活動計画策定のための討議
-
22
日
土
-
-
休日
-
23
日
日
-
-
休日
-
24
日
月
-
-
休日
午
前
見学
JX 日鉱日石エネルギー(株)創エネハウス
見学
トヨタホーム(株)スマートハウス
3
日
目
25
日
火
4
日
目
26
日
水
5
日
目
27
日
木
6
日
目
28
日
金
午
後
午
前
午
後
午
前
午
後
午
前
午
後
グループワーク
活動計画策定のための討議
グループワーク
活動計画策定のための討議
ECCJ との協力内容の提案
見学
三菱電機(株)霧ケ峰Zシリーズ
見学
三菱電機(株)霧ケ峰Zシリーズ
発表
グループワーク発表
討議
今後の活動計画
-
閉講式
Ⅳ-67
ASEAN向け省エネワークショップ(ECAP7)実施報告
1.実施概要
実施期間
研修目的
対象者
平成 26 年 12 月 15 日~12 月 18 日(4 日間)
*内訳:講義(1.5 日間)、見学(1.0 日間)、発表・討議等(1.5 日間)
ASEAN で省エネルギー分野の表彰制度として「省エネルギー優秀ビル
表彰」を2000年から、また「エネルギー管理優秀事例表彰」を20
07年より実施し、具体的な事例の収集と普及を通じて地域の省エネに
貢献している。
「省エネルギー優秀ビル表彰」は開始されてすでに15年が経ち、ビル
に対する環境性能向上のための「グリーンビル」の概念の導入や新省エ
ネ技術の採用など、評価基準も変化している。昨年度、新分野(グリー
ンビル分野)の創設を目的とした研究会(ECAP4)を開催し、その協
議結果に基づき、「グリーンビルの分野」が創設されて実施された。し
かし、グリーンビルの概念の理解が応募企業や各国評価委員の間で異な
っており、応募基準及び評価基準の改善が必要になっている。
また、「省エネルギー優秀ビル表彰」「エネルギー管理優秀事例表彰」と
も今後の持続性を考えた場合、応募件数の増加のためのインセンティブ
や資料の作成しやすさなどの対策が必要である。
以上の状況を踏まえ、今年も、昨年に引き続き ASEAN 各国の両表彰制
度の評価委員を集めて2015年以降の表彰制度を改善するためのワ
ークショップを開催した。ワークショップの具体的な目的は下記。
(1) 「2014 年のエネルギー管理優秀事例表彰」及び「2014 年の省エネ
ルギー優秀ビル表彰」の結果を再検討し、今後の評価手法の改善内
容を決定する。
(2) 特に、新部門「Green Building 優秀事例表彰」に関しては、日本の
「ビルの環境性能評価方法」である CASBEE (Comprehensive
Assessment System for Building Environment Efficiency)の内容
に関する講義及び討議を通じて、評価委員が日本の Green Building
(Sustainable Building)の概念及び Green Building(Sustainable
Building)表彰制度における評価手法を理解する。
(3) ASEAN における省エネビル(主に Green Building 優秀事例)及びエ
ネルギー管理優秀事例についての表彰制度に適用する評価手法の改
善について討議し、改善案を提案する。
(4) エネルギー管理表彰制度に関し、IPEEC TOP10 プログラムへの
ASEAN の参加について協議し、参加を促す。
省エネに関するASEANエネルギー表彰制度の新部門(省エネ機器部
門等)を討議する。
研修者数:18名
両表彰制度の ASEAN 各国の評価委員(17名:ブルネイ欠席、ミャンマ
ー1名以外各国から 2 名)と ASEAN の Coordinator (ACE の AJEEP
担当者) から 1 名の18名
ECAP7のロジ関係のサポーターとしてACEから1名参加。
重点内容
• ASEANで実施されている省エネ普及促進のため、Awarenessの向上
のため実施されている上記表彰制度の評価基準・手法の改善
• 日本のグリーンビルの評価基準であるCASBEEに於けるグリーンビ
ル(サステナブルビル)の概念と評価基準と評価方法
Ⅳ-68
成果
(アウトプット:
活動計画)
• 省エネセンターが本年度よりMETIより受託し実施しているIPEEC
TOP10事業。
• 日本の省エネルギー大賞の実施方法と評価システム
下記に示すように多くの改善提案が出された。参加者全員での合意には
至らなかったが、熱心な討議がなされ、ACE がまとめ各国の Focal Point
に示し、来年の EE&C-SSN の会議で議論され、評価基準が改定される。
2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
講義
講義の後の
意見交換及
び討議
見学
各国の発表
• カンボジア:カンボジアの省エネ推進政策
• インドネシア:国独自の省エネ表彰制度と ASEAN Energy Award
の評価・改善提案
• ラオス:エネルギー事情、省エネ推進状況
• マレーシア:マレーシアの AEAN Energy Award への過去の参加
状況。改善提案
• ミャンマー:工業省内に新しく組織された省エネ部とその活動。同
国の ASEAN Energy Award への参加実績と応募における障害。
• フィリピン:国独自で実施している s 表彰制度の評価手順。同国の
過去の ASEAN Energy Award への参加実績と改善提案。
• シンガポール:ASEAN Energy Award(Energy-Efficient Building
Award)の評価基準・方法についての改善案を具体的に提案。New
& Existing Building と Retrofitting Buildings 分野で 5 つの提案
を、Green Building 分野で 3 つの提案。
• タイ:Energy Management 分野の過去の応募件数と受賞件数(分
野、年ごと、国ごと)の纏め。AEA の改善案。
• ベトナム:VEEP(Vietnam Energy Efficiency Program)の内容
と実施状況
インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポー
ル及びタイが両表彰制度の取り組み及び改善案の提示など本ワー
クショップの内容に適合した発表であった。
日本の省エネ表彰制度:省エネ大賞の運営方法と評価基準
IPEEC TOP10プロラムについて
CASBEE の概要と評価方法
以下に関する意見交換や討議がなされた。
(1) 省エネ大賞について
政府からの財政的支援なしの運営方法について(参加費、ロゴの使
用の有料化など)、具体的な評価方法・手順など。
(2) IPEEC TOP10
ASEAN の 参 加 の 形 態 ( ASEAN と し て 又 は 各 国 と し て ) 及 び
ASEANの表彰制度とIPEECとの評価基準の違い。
(3) CASBEE
CASBEEの適用範囲、日本での普及状況、ASEANに導入する場合
の問題点など。
1.訪問先:(株)前川製作所
見学内容:
本社ビル
Ⅳ-69
小集団
グループ
討議
討議結果
最終報告
省エネルギー及び省資源を目指したCASBEEランク「S」のビル。
特に自然冷媒を使った空調システムや外壁層間部の給排気・自然
換気が特徴。建築主が冷凍機製作会社であることから、最新鋭の
冷凍技術に関する講義も提供してもらった。
2.訪問先:大成建設(株)技術センターZEB実証棟
見学内容:
ゼロエネルギービルの実証棟であるため、建築設計面及び設備設計
面で最新の省エネ技術と新エネ技術が導入されたビル。
下記2グループに分かれ実施した。各国それぞれのグループに1名づ
つ割り振って実施した。ミャンマーは1名の参加であったためグルー
プ B に入った。
グループ A:グリーンビル表彰についての討議
グループB:エネルギー管理表彰及び省エネビル表彰についての討議
1.Green Building 部門
• Active Design の評価の基準を詳細に規定
• Renewable Energy については PV だけでなく風力・地熱などの他
のシステムも含む。更に、数量的情報(発電量、投資金額等)の提
出の要請
• Environmental Sustainability についてはサステナブル建設(建設
材料の再利用、リサイクル、環境マネージメントによる建設、建物
の強度・耐久性等)やバリアーフリーを考慮した設計等が評価の対
象とする。
• 室内環境については ASHRAE 基準をベースに評価する。
• 運用・メンテナンス及びその他グリーンに関係する特徴や革新的項
目については評価すべき項目を明確化
2.エネルギー管理及び省エネビル部門
• ECCJ が実施しているように、受賞企業に対し ASEAN Energy
Award の Logo を作成しその使用権利を有料で与える案の検討。
• 募集期間が短いため、応募資料の作成・提出が間に合わない。資料
のページ数 Max17を守る。
• 応募資料のカバーの外観を統一すると言う提案について、1 月まで
に表紙の案をフィリピンより出してもらう。
• その他数件現在の評価基準の改定の提案があったが、協議の結果現
状維持となった。
3.シンガポールの「省エネルギー優秀ビル表彰」評価基準に関する
提案
シンガポールから下記具体的な提案について討議された。
(1) 基準より高効率な場合ボーナスポイントを適用する。
① New & Existing Buildings 及び Retrofitting Building 部門
エネルギー原単位、照明原単位について実施(基準:エネルギー原
単位:Office Building の場合 160kWh/m2、照明エネルギー原単
位:12W/m2(Office)、20W/m2(その他))
② Retrofitting Building 部門
省エネ達成率が基準より大きい場合実施(A/C の改修は 20%、A/C
以外は 10%を基準とする)
(2) 応募の条件として冷凍機の性能を規定する。
(3) Active Design の評価において、各設備の効率・性能に関する基準
を設定。
Ⅳ-70
(4) Part 4 Management & Maintenance Scheme について Green
Guide や竣工後の調査結果や ISO14000 又は 50001 の導入状況な
ども評価の対象とする。
3.実施評価
研修生代表
研修生
(評価書)
ECCJ の
評価
適切な内容のプログラムであった。特に、CASBEEの講義を通して日
本のグリーンビルの概念が理解でき、グリーンビルの評価基準の改定
に役に立った。ASEANの代表からは多くの改善案が出されたが、今
後内容をASEAN内で協議して、2015年度の表彰制度の実施に反
映される。
(1) ASEAN各国の評価委員及び日本人専門家とASEANの省エネルギ
ービル及びエネルギー管理表彰制度の改善について活発な討議が
できて良かった。
(2) 日本の省エネ大賞、IPEEC TOP10及びCASBEEに関する多く
の知識を得ることができた。
(3) ビル見学では大成建設の研究所でZEBに関する多くの情報を得る
ことができた。
(4) 本研究会はASEANにとって重要で有益なプログラムであるため
継続してほしい。
(5) また、改善点として下記の指摘があった。
• ASEANの参加については正式な手続きを経る必要があり、更に
詳しい情報を提供してほしい。
• CASBEEの講義に加え、実際にCASBEEで高い評価を受けたビ
ルを見学しその評価内容を説明して欲しかった。
• 小集団活動の時間がもう少し欲しかった。
4日間で予定していた成果を得た。参加した評価委員や日本人専門家
との間で活発な討議を行い、エネルギー管理分野、省エネビル分野に
於ける表彰制度の評価基準及び評価手法の改善案が多く出され、来年
度の実施に反映されることになった。
(1) 各国の発表
2014年度の5月に開催された評価委員会に参加した委員が多く
参加し、多くの具体的な提案やコメントが出された。自国で独自の表
彰制度を実施している国(タイ、シンガポール、インドネシア、マレ
ーシア、フィリピン)から多くの改善案が出された。しかし、その他
4カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)からは改善案
に関する提案はほとんどなかった。省エネ推進基盤の格差の縮小は重
要である。
(2) 講義の内容:下記のように有益な情報提供ができた。
① 省エネ大賞(エネルギー管理優秀事例・省エネ機器)
省エネ大賞の運営方法、評価基準・評価方法に焦点を絞り講義を
行ったことで多くの質問が出され熱心な討議が行われた。特に自
主事業として運営している点に興味が示され、特に受賞者の省エ
ネ大賞ロゴの使用量を有料としている方法はASEANの制度にも
適用を考えたいとのこと。
② IPEEC TOP10について
当該プロジェクトの概要と7月以来中国、豪州、米国及び日本で
Ⅳ-71
作成した評価基準について説明し、特に優秀事例(BP)について、
ASEANの表彰制度の入賞事例をエントリーできることを説明し
た。評価委員は本件について非常に興味を示しASEANとして前
向き参加を検討することとなった。
③ CASBEEについて
IBECに依頼して、この評価方法の開発を担当された東京都市大
学のB教授とIBECのE研究員に依頼してより専門的な内容の講
義を提供した。1日間では十分ではなかったが、日本のグリーン
ビルの考え方に関する情報を十分提供できた。尤も、シンガポー
ルなど既にグリーンビルに関する評価制度を構築している国に
とっては少し物足りなかったかもしれない。CASBEEランク「S」
のビルを見学してその評価内容についての講義を行えればより
効果的であった。
(3) グリーンビル見学:
前川製作所本社ビル及び大成建設研究所は今回の研究会の見学対象
としては非常に良かった。ただ、時間の関係で、CASBEEランク「S」
の前川製作所本社ビルでCASBEEの表結果に関するディスカッショ
ンができなかったのは残念であった。
(4) 小集団討議と討議結果の発表討議
上記に示したように、両表彰制度の評価方法・評価基準の改善に関す
る多くの提案が出され、今回の研究会で決定された項目もあったが、
多くの項目が、持ち帰ってACEが各国のフォーカルポイントに提案内
容を回覧して結論を出すことになった。今回の研究会の前に各国の提
案を各評価委員が理解した上で討議を行えれば、もっと多くの提案に
ついて結論が出されたと思う。
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
(1) 各国からの発表(カントリーレポート)
本研修は研究会であるため、各国代表は自国の省エネ状況ではなく、
表彰制度への取り組み状況又は将来の導入計画、更にASEANの表彰
制度に応募する場合の問題点及び改善案などの内容を発表すべき点
を徹底する。(カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー)
(2) 講義
CASBEEの講義について、実際のビルの評価方法・結果についての説
明があれば更に理解が深まった。
(3)ビル見学
見学対象は非常に良かったが、午後の見学時間が相手先の事情で早め
に設定されたため、午前中訪問先の前川製作所での滞在時間が短かっ
た。最新の冷凍技術に関する講義で十分な質疑応答ができなかった点
が残念であった。
(4) 小集団討議
2グループに分けて行われ、活発な討議がなされた。今回の研究会で
は多くの具体的な改善案が出されたため、すべての項目について結論
が出されなかった。グループ分けを早めにし、小集団討議にもう少し
時間をかけるべきであった。
Ⅳ-72
ASEAN 向け省エネ
午前
日付
1日
ワークショッププログラム (ECAP 7)
午後
14:00-15:30
発 表(ASEAN代表)
・ASEAN 表彰評価委員代表による現行の状
況、課題及び提案改善手法の紹介
09:00-10:00
オリエンテーション/プログラムガイダンス
12 月
開講式
10:00-11:00
15 日
基調講演 (ECCJ池田氏)
(月)
11:00-12:00
基調講演 (ECCJ田中氏)
15:30-17:00
ディスカッション
・エネルギー管理優秀事例表彰制度に関する評価
手法の討議
12:00-12:30
質疑応答
2日
17:30-19:00
ディスカッション
・IPEEC TOP10 への参加に関する討議
14:00-15:30
講義 (建築環境省エネルギー機構 遠藤氏)
・Assessment Method of CASBEE
09:30-11:30
講義 (東京都市大学 B氏)
・CASBEE の概要
15:30-16:00
質疑応答
16 日
(火)
16:30-19:00
ディスカッション
・省エネルギー優秀ビル(グリーンビル)表彰制度に関
する評価手法改善に関する討議
11:30-12:15
質疑応答
3日
4日
09:00-10:30
訪問:(株)前川製作所 本社ビル
17 日 10:45 会場出発(バス移動)
(水)
12:00-12:45 ランチ(東戸塚駅前ショッピ
ングモール)
13:00-15:00
訪問:大成建設(株) 技術センター
ZEB 実証棟(サステナブルビル)見学
15:30
16:30
会場出発(バス移動)
ホテル到着予定
09:30-12:30
ディスカッション
14:00-16:00
18 日 ・省エネルギー優秀ビル(グリーンビル)及びエネル
総括、閉講式
(木) ギー管理優秀事例の表彰制度における評
価手法改善に関する討議
Ⅳ-73
Ⅳ-2.インドネシア
第Ⅱ章で述べたとおり、エネルギー多消費産業の省エネ推進を目的とした事業を 2013 年度
の終盤から開始し、本格的な事業実施を行った。
この事業は具体的には以下のプログラムから構成され、インドネシアの各プログラムのカウ
ンターパート機関である工業省とエネルギー鉱物資源省を中心とする関係機関と現地に専門家
を派遣しまた日本で事業実施の中核となるリーダーたちを受入れて活動を実施した。
(1)ISO50001 に基づくモデル的エネルギー管理システム構築パイロットプログラム
カウンターパートの工業省、及び鉄鋼やセメント及び製紙等の協会と協力企業が参加。
(2)エネルギー管理とこれに基づく省エネルギー促進のための政策・制度の整備
カウンターパートのエネルギー鉱物資源省に工業省が協力し財務省が参加。
(3)ESCO 導入のための施策整備
カウンターパートの工業省にエネルギー鉱物資源省が協力し ESCO 協会等が参加。
今年度、上記の事業の活動を次のように実行した。
(現地への専門家派遣)
事業の実施計画の協議・最終化と先行する協力工場の活動進捗のフォロー
↓
(現地への専門家派遣)
新規参加の協力工場でのプログラム実施のキックオフと各工場との基本計画協議
・各協力工場による活動実施
・政府等による ESCO パイロットプロジェクト形成の検討と協議
↓
(日本でのワークショップ:BEC ID4)
協力工場での活動や政策・規制に関する課題と対応策の検討と今後の活動計画の
策定
↓
(日本でのワークショップ:BEC ID5)
省エネ規則下のエネルギー管理規制の改善と省エネ促進のための支援制度の設計
↓
(現地への専門家派遣)
各工場や政府機関による活動計画に基づく実施の進捗フォローと個別課題への助言
Ⅳ-74
Ⅳ-2-1.
専門家派遣
現地での活動を以下の通り実施した。
Ⅳ-2-1-1.政策協議と事業計画の策定
鉄鋼及び紙・パルプ部門の 2 工場での ISO 50001 に基づくエネルギー管理体系構築パイロッ
トプログラムの実施のフォローや助言を行い、この継続活動を含む 2014 年度の実施計画を打
合わせ最終化し活動の準備をする。
(1) 工業省と 2014 年度の実施計画を協議し最終化する。
(2) パイロットプログラムの協力工場、PT Ispat Indo (鉄鋼)と PT IKPP (製紙)、での実施状
況のフォローと助言を行う。(2013 年 2 月に活動を開始)
(3) (1)の実施計画の実施準備(パイロットプログラムの他業種での実施に向けての準備や工業
省ビルでの実施可能性のある ESCO パイロットプロジェクト案を策定するための方針の
協議。)
詳細を以下に記す。
出張者
国際人材育成センター
副センター長
吉田和彦
(同行者) (株)日立製作所 インフラシステム社(現地にて参加) KY 氏、MS 氏、KK 氏、KA 氏
目的
(1) 工業省 (MOI) と 2014 年度の実施計画を協議し最終化する。
(2) パイロットプログラムの協力工場、PT Ispat Indo (鉄鋼)と PT IKPP (製紙)、での実施状
況のフォローと助言を行う。(2013 年 2 月に活動を開始)
(3) (1)の実施計画の実施準備(パイロットプログラムの他業種での実施に向けての準備や工業
省ビルでの実施可能性のある ESCO パイロットプロジェクト案を策定するための方針の
協議。)
実施結果・成果のまとめ
以下に示す通り、目的を果たし 2014 年度の事業の活動実施を計画通り開始する事ができ
た。
更に、セメント等他業種にプログラムを拡張するため関係団体や工業省関係者と準備協議
も行い次の活動に進むための準備に着手できる。
目的・目標
1.工業省と 2014 年
度の実施計画を協議
し最終化する。
実施結果と成果
全体
ECCJ が提案する以下のプログラム内容と活動実施の予定が合
意された。
Ⅳ-75
2.鉄鋼や製紙 の協
力工場でのパイロッ
トプログラム実施状
況のフォローと助言
を行う。
3.項目1実施計画
の実施準備
パイロットプログラム計画の要点
(プログラム-1) ISO50001 に基づくエネルギー管理体系の構築
● 鉄鋼と製紙分野の 2 工場 (PT Ispat Indo と PTIKPP) での
活動の継続。
● 上記以外の業種(セメント、石油精製、食品等)の工場に実施を拡
大する。
● MFCA を活用したエネルギー・物質収支-コスト管理デタベース等のツー
ル類の導入。
(プログラム-2) ESCO 導入の為のパイロットプロジェクト検
討
● 工業省ビル省エネ改善をプロジェクト化する。(実務人材育成を目
的。)
● 具体的なプロジェクト案の策定と実現 (工業省の予算等準備手
続きを含む。)
実施活動の予定の確認
● 今回 6 月の出張を含む 3 回目の現地活動(7 月 14 日の週及び
2015 年 1 月)と日本でのワークショップ(9 月 4 日-11 日)を
実施する。
鉄鋼 (PT. Ispat Indo) 進捗が早い。(7 月末にISO50001 認証
取得も目標)
● 工場での活動は進んでおり、4 月の電気代値上げ対策を優先
的に実施する方針を確認した。工場側は更に実施スピードを上
げたい意向。
● ECCJ で策定したエネルギー・物質収支-コスト管理デタベースの内容
と活用方法を詳細に説明指導した。このツールは高く評価され
使用指導の要請あり。
● 日立製作所はコジェネ等の提案 を協議し 6 月末を目途に同社
にプロポーザルを提出する事になった。同社は電気代高騰の対
策として 15 年 3 月にはこの設備を稼働させたいとの目標。
製紙(PT IKPP)
工場訪問は出来なかったが関係者と以下を
確認。
● ECCJ のエネルギー・物質収支-コスト管理デタベースを同業種用に策
定・導入する。
● 日立製作所の提案 (ガスエンジンコジェネ導入等)を協議し検討を進
める。
次回 7 月 14 日の週での現地活動に向け以下の各プログラムの準備
を確認した。
● 工業省はセメント、石油精製、食品(製糖)、繊維から参加企業
を工業省関係部局-業界団体を通じて募る。参加希望工場の実
施準備。
● ECCJ はセメント用や紙パルプ用等のエネルギー・物質収支-コスト管理
デタベースを準
備し、日本側参加希望企業 (日立製作所を含
む) との調整を実施する。
● 工業省ビル対象の ESCO パイロットプロジェクト案を両国で検討し、
工業省は実施に必要な政府内手続きを確認する。
Ⅳ-76
出張日程実績
日程
業務内容
6月2日
6月3日
(月)
(火)
6月4日
(水)
6月5日
(木)
6月6日
(金)
6月7日
(土)
Lv. 東京
Ar. ジャカルタ
AM 工業省訪問 : 討議
2014 年度の基本実施計画
PM 工業省と活動予定の変更に対する調整と準備
工場訪問スケジュール変更に伴う予定の見直しと関係機関
との調整
AM 工業省とセミナー 実施 (以下を共有し今後の取組みを討
議)
ECCJ : 2014 年度の実施計画
エネルギー・物質収支-コスト管理デタベースなど管理ツール
日立製作所 : 提案の省エネプロジェクトとフォローアップの要点
PM PT IKPP の活動や提案等のフォローアップ
他の製紙工場への適用討議
AM インドネシア ESCO 協会及び工業省とのフォローアップと実施準備事
項の確認
ESCO パイロットプロジェクト案の討議
PM 工業省と次回活動の準備事項の確認と工場訪問準備
スラバヤへ移動
PT Ispat Indo 訪問
パイロットプログラムの進捗確認と助言。データベース等の説明、フォロー
アップ調査等実施
ジャカルタ へ移動
Lv. ジャカルタ
Ar. 東京(帰国)
Ⅳ-77
詳細内容
1.工業省との会合
1-1.2014 年度の実施計画の説明と協議(6 月 3 日)
(ECCJ) 吉田
副センター長
(応対者) 産業政策・事業環境・品質査定庁 Mr. Yang Yang Setiawan (Secretary)
グリーン産業・環境査定センター
Ms. Shinta D. Shirait (Deputy Director)
Ms. Yuni H. Harahap
ECCJ により準備した実施計画の内容は、一部の変更を含め工業省側の合意を得た。
新任のMr. Setiawanは、Agro-Industryの担当でエネルギー面でも特にバイオマス始め再生
可能エネルギーの開発や食品工業のCO 2 削減に係る技術の研究開発政策を長く担当してきた経
験とキャリアから現職に抜擢された。彼の管轄下に 22 の研究開発センターがあるとの事。
我々の省エネ事業は工業省にとっても大変重要であり素晴らしいので、意思決定者としてリ
ーダーシップをとっていくと明言した。彼も我々の力強いパートナーになると考える。
実施計画の要点
吉田により、これまでの MIDEC プログラム下で実施した事業の内容や成果など経緯を説明
した上で、以下の事業プログラムと今年度の具体的な活動計画を説明し具体的な協議を行った。
(パイロットプログラムの内容)
(プログラム-1)
ISO50001 に基づくエネルギー管理体系の構築
● 鉄鋼と製紙分野の 2 工場 (PT Ispat Indo と PT IKPP) での活動の継続。
● 上記以外の業種(セメント、石油精製、食品(製糖)、繊維等)の工場に実施を拡大する。
● MFCA を活用したエネルギー・物質収支-コスト管理デタベース等のツール類を活用。
(プログラム-2)
ESCO 導入のためのパイロットプロジェクトの検討
● 工業省のビルの省エネ改善をプロジェクト化する。
● 具体的なプロジェクト案の策定と実現 (工業省による規制・手続き確認や予算準備を含む。)
(実施活動)
上記のプログラムに係る活動を今回の出張を含む 3 回の現地活動(6 月、7 月及び 2015 年 1 月)
と日本でのワークショップ(9 月)を共同で実施する。
協議結果
Mr. Setiawan から以下の提言を含め ECCJ の実施計画案への合意を得た。
(1) パイロットプログラム内容に合意を得た。
プログラム-1 の追加業種については、セメント、石油精製・化学、食品、繊維等を狙う。
食品は製糖産業が良いとの提言を採り入れる。
Ⅳ-78
なお、プログラム-2 の ESCO パイロットプロジェクトには工業省の関係研究開発局のス
タッフと尼の ESCO 協会含む民間企業の参加を考えたい。工業省のビルを対象とすること
にも賛成するが政府内の規制や関係部局の承認も要するのでこれから必要事項をチェック
しその手続きを始める。
(2) 実施活動の計画にも合意。
但し、7 月の活動は大統領選挙(7 月 9 日)の後が適切なので見直し、結局、次回の現地業務
は 7 月 14 日の週で設定した。(他の業種の工場が増えた場合は日程を 2-3 日延長する。)
また、日本でのワークショップは 9 月 4 日から 11 日の実質 6 日間で設定する。
(3) 工業省は、政策面での役割として、エネルギー多消費産業 8 業種のエネルギー管理規制即
ちオンライン報告(省エネ達成状況、CO 2 排出量、生産量など)を義務化する制度を法制化
するよう手続きを進めている。(エネルギー鉱物資源省管轄の省エネ規制を外れるエネル
ギー消費量 6000 toe/y未満の企業をターゲットにする。)
1-2.Wrap-up 会合(6 月 5 日及び 6 日)
(ECCJ) 吉田副センター長
(応対者) グリーン産業・環境査定センター Ms. Shinta D. Shirait (Deputy Director),
Ms. Yuni H. Harahap
前記項目 1-1 の計画打合せに基づき、項目2、3及び4の実施結果に従い、次回以降の活動
に向けての以下の活動の準備事項などを確認した。
具体的な活動
(1) 第 2 回現地活動
(予定は、7 月 14 日
~7 月 18 日。調査
すべき参加工場が
多い場合は 21 日の
週の前半まで。)
(2) 日本でのワーク
ショップ
(予定は、9 月 4 日~
9 月 11 日。)
プログラム-1 の主な活動
①新規の参加業種の工場の募集
とキックオフワークショップの準備を実施。
(MOI)
参加希望日本企業との調整。
(ECCJ)
②新規の参加業種の工場を訪
問、調査の上実施計画案の協
議・助言や省エネ改善提案を行う。
③PT Ispat Indo のフォロー
-データベース利用指導(ECCJ)
-コジェネ等提案書準備(日本企業)
①鉄鋼と紙パ 2 工場での活動結
果と構築しているエネルギー管理シス
テムの中間報告書作成。
②新規の参加業種の工場におけ
る活動計画の策定
Ⅳ-79
プログラム-2 の主な活動
① パイロットプロジェクト案 を 協 議 す
る。
②工業省のビルを簡易診断する。
(事前に質問状でデータ収集)
③工業省 ビルを対象 にす るため
の規制内容や必要な手続きを確
認する。
①パイロットプロジェクトの計画立案。
②工業省による支援政策準備計
画立案。
2.セミナー・ワークショップ(6 月 4 日)-
場所:工業省内会議場
ECCJ(吉田)と日立製作所 インフラシステム社の KY 氏、KK 氏、KA 氏の 3 名が参加し工業省と
共に開催した。
工業省の製造部局やインドネシア鉄鋼協会、インドネシア紙パルプ協会、インドネシアセメ
ント協会やインドネシア ESCO 協会及びこれら団体の会員企業等から 30 名程が参加し熱心な
討議が行われた。
このセミナーの目的は、本パイロットプログラムの内容とこれまでの実施状況及び 2014 年
度の実施計画を関係者間で共有・討議すると同時に、事業内容の理解に基づきセメントなど他
の産業団体の関係者に将来の参加を促すために開催した。
ECCJ 及び日立製作所からのプレゼンの具体的な内容に関する質問も多く出され大変活発な
討議を行え、上記の目的を達成し今後の事業展開に向けて実りあるセミナーになった。
このセミナー・助言ワークショップの最終的なアジェンダを添付資料 Ⅳ-2-1-1(1)に掲
載する。
日本側からプレゼンし討議した主なテーマは以下の通り。
(1)
2014 年度の実施計画 (ECCJ)
(2)
エネルギー・物質収支-コストデータベース等のエネルギー管理ツールの内容と活用方法
(ECCJ)
(3)
ガスエンジンコジェネの有効性 ((株)日立製作所)
ECCJ が開発した MFCA を活用した「エネルギー・物質収支-コスト管理データベース」は
多くの参加者の関心を呼び質疑が集中した。具体的な内容に加え、誰でも利用できるのかどう
したらこのデータベースを使わせてもらえるのか等を含め多くの質問が出された。特にセメン
ト協会の会長から、このようなデータベースがセメント業界にも必要と考えていたものであり、
プログラム-1 に参加する工場を選定するのでこのデータベースを是非使わせてもらいたいと
の希望が示された。工業省とはセメント分野をターゲットにする方針は確認済みなので参加を
歓迎した。
また、日立製作所が PT Ispat Indo や PTIKPP で提案しているコジェネの導入にも多くの質
問が集まった。この提案は、項目5の Ispat Indo との議論にも述べるように、安価な電力を安
定的に得られる点において、同国の産業部門のニーズに合致していると言えよう。
ここで感じた課題は、IKPP の活動は紙パルプ協会が共有しているが Ispat Indo の活動は鉄
鋼協会が把握していない点である。この点から、今回のセミナー・ワークショップは良い機会
となったが、工業団体と協力企業間との情報共有を工業省が音頭を取って随時行う等改善が必
要である。
Ⅳ-80
3.PT IKPPでのプログラム-1の実施のフォロー(6 月 4 日)
(Sinarmas)
Mr. Bernard E. Napitupulu
(Enviroment Affair Consultant)
(ECCJ)
吉田副センター長
(株)日立製作所 インフラシステム社)
KY 氏、MS 氏、KK 氏、KA 氏
4 月に洪水の被害を受けた影響もあってか今回の工場訪問は実現しなかったが、4 月末に日
立製作所は一度現地を訪問しフォロー調査を行っている。
同社の環境・省エネ活動を管轄する Asia Pulp and Paper (APP) グループの環境部門の代表
の Mr. Bernard が参加したので、日立製作所の関係者を中心にガスエンジンコジェネに関する
提案内容の詳細な説明と今後の進め方に関する打合せを行った。
彼は IKPP 社での本プログラムに係る具体的なエネルギー管理の取組みの実施状況につき詳
しい情報を持ってはいなかったが、日立製作所の提案を理解し良いものであるとの評価をして
いる。
一方、工場側の問題として、Pertamina による天然ガス供給の問題があるため本件の投資が
難しい環境があるとの説明があった。つまり、3 年ごとに Pertamina とガスの購入契約を更新
しているが、Pertamina は契約更新の度にガスの供給量を減らしてくるとの事で、よって IKPP
にはこれが天然ガス炊きガスエンジンコジェネの導入の障害になりうるとの懸念を示した。
このように IKPP ではこのような障害があるので、包括的な視点から省エネ診断に基づき省
エネのアプローチと対策の実施を行うよう、既に ISO50001 の認証を取得している IKPP の他
に本プログラムに関心を有し日立製作所の提案の導入が適切と思われる工場をもう 1 箇所 APP
グループから探し、この工場の参加の検討をインドネシアの工業省と共に進めてもらうことを
確認した。
4.インドネシアESCO協会とのプログラム-2に関する打合せ (6 月 5 日)
(ECCJ) 吉田
副センター長
(工業省) グリーン産業・環境査定センター
Ms. Shinta D. Shirait (Deputy Director)
他
(インドネシア ESCO 協会(APKENINDO)) Mr. Banu Anang Priyanto (Secretary General)
PT Tracon Industri
Mr. Feri Lasman (President),Ms.Riris Yuliana
PT Indra Karya
Mr. Gatoto Purwanto
ESCO を導入するためのパイロットプロジェクトの検討に関し討議を行った。今回、期待し
た APKENINDO 側からの具体的な提案は準備されていなかった。
工業省のビルでのプロジェクトに関して、APKENINDO 側から資金や対価の支払など国の
規制に係るいくつかの障害に関する懸念が示されたが、以下の方針で進めていく事を確認した。
(1) 工業省のビルを対象とする省エネプロジェクトの検討
Ⅳ-81
Demonstration Project として政策や事業実務指導者のキャパビルを主たる目的とする。
この省エネプロジェクトは、プログラム-1 の協力工場が有する工場や本社のビルの省エネ
にも将来適用できる内容を優先する。
具体的には以下のように段階的に必要な点を確認しながら実施する。
● APKENINDO 側は具体的な提案があればまとめる。また日本側も、本件に関心を示す
日本企業(Azbil を想定)により提案をまとめ 7 月に紹介する。(提案検討に必要なデータ
は質問状で事前に APKENINDO を通じて収集する。)
● 工業省側は、契約や支払に係る規制を確認したうえで、提案した日本企業と
APKENINDO 等インドネシア側のパートナーをコミットして対価を支払う方法を検討
する。
● 上記提案を 7 月にセミナーで説明し討議する。その後、日本企業と APKENINDO 等が
工業省のビルの簡単な診断調査を行い、日尼関係者でプロジェクト案を協議する。
● 第1段階でプロジェクト案を具体化するための検討が進められそうであれば、8 月以降
必要に応じより詳細な診断調査を行う。
● 上記の結果を 9 月の日本でのワークショップまでにまとめる。
(2) プログラム-1 の協力工場にて実施する省エネプロジェクト
協力工場にて ESCO スキームで実施できそうな省エネ案件が見出された場合は、ビジネ
スベースで企業間で実施する。
翌日訪問した PT Ispat Indo は、早急にいくつかの省エネ対策を実施したいので ESCO
スキームで実施出来る案件があれば是非検討したいとの要望が出されている。(後記を参
照方。)
更に、7 月以降追加される業種の協力工場においてプログラム-1 が開始されるが、この
活動を支援する日本チームに APKENINDO(会員企業含む)も参加してプロジェクトを提
案し案件を形成することも可能。
5.PT. Ispat Indo訪問:プログラム-1の実施のフォロー(場所:Surabaya(6 月 6 日))
(目的)
鉄鋼産業における ISO 50001 に基づくエネルギー管理体系構築プログラムの
実施
支援
(参加者) (ECCJ) 吉田副センター長
(株)日立製作所 インフラシステム社
KY 氏、KK 氏、MS 氏、KA 氏
(応対者) Mr. Agus Barliandi (Deputy GM, Maintenance), Mr. Samsul Nur Hidayat (Deputy
GM, RM) 他
(同行者) 工業省 グリーン産業・環境査定センターMs.Shinta D. Sirait (Deputy Director)
本プログラム全体のこれまでの活動の進捗と今年度の実施計画について吉田から報告と説明
を行った。更に、PT Ispat Indo から工場におけるエネルギー管理システム構築及び省エネプ
Ⅳ-82
ロジェクトの検討の進捗状況に関し報告を受けた。
去る 2 月に説明を受けた計画に沿い、つまり 7 月末迄に ISO 50001 の認証を取得する目標
に向けた具体的な改善を含む活動計画に従い取り組みが進捗していた。彼らによれば ISO
50001 認証審査に向けた整備は 8 割以上終了しているとの事であった。また、本年 4 月に電気
料金が約 65%上昇しこの対策を急いでいる。
よって日立が提案するガスエンジンコジェネは大変有力な対策であると考える。一方、既に
ドイツや中国などのサプライヤーからもガスエンジンやチラーのオファーを受けている。この
対策は 15 年 3 月 1 日には完成し運転開始する目標であり、実施をスピードアップしたいとの
意向が示された。このような電力コスト高騰の事情により他の様々な省エネ対策も着実に実施
していた。
この中で、ECCJ が準備した MFCA の機能を活用したエネルギー・物質収支-コスト管理デ
ータベースは大変有用であり、ECCJ には具体的なデータのインプット方法を更に指導して欲
しい事、また、日立製作所が提案するガスエンジンコジェネ(排熱エネルギーを空調に使用)
の内容は、投資回収期間が 3 年未満で更に改善できる可能性があり魅力的なので、上記工程に
間に合うよう 6 月末ないし 7 月初めまでに提案書を送って欲しいとの結論に至った。
本プログラムの実施については、この工場はインドネシアのエネルギー管理優良工場として
先端を走っており真のモデルにできると考える。
吉田の方から、PT IKPP での活動や ECCJ が開発した「エネルギー・物質収支-コスト管
理データベース」の策定等このプログラムの全体の進捗と 2014 年度の実施計画を説明し、同
工場における活動予定を討議した。
続いて、Ispat Indo 社側から、エネルギー管理体系の構築やこれに基づく省エネ対策に関す
る彼らの取組みについての報告があり、小生の方からその素晴らしい進捗を評価すると共に以
下の点をコメントした。
●ISO50001 の取得まではエネルギー管理体系を作るための最初のサイクルを実行したに
過ぎない。構築したシステムの真の機能の評価は次のサイクルで行われる活動や省エネ
対策の効果とこれに基づくエネルギー管理体系の更なる改善が実現していく事にある。
●多くの省エネ対策を実施・検討していることは素晴らしいが、特に対策を以下の視点で
整理しておくことが大切である。
1) コストや投資を余り必要としない改善 (6 か月ほどで実現可能)、ある程度のコス
ト・投資が必要な改善 (1-2 年で実現可能)、大きな規模の投資が必要な改善 (検討
段階含め 3 年程度で実現可能)
2) SEU (Significant Energy Use)とその影響要因の把握に基づく上記の範疇における
対策の優先順位の決定。これに加えコストの評価も重要なので、ECCJ が開発した
MFCA を組み込んだエネルギー・物質収支-コスト管理データベースが活用できる。
以上のコメントにつき双方で討議した後、吉田からこのプログラムで活用が有効なエネルギ
Ⅳ-83
ー管理ツール、特に、「エネルギー・物質収支-コスト管理データベース」について具体的な設
計と内容の詳細及び使用方法を説明した。PT Ispat Indo は、このデータベースは有効なもの
と評価した。事前に同社にデータベースのテンプレートを送付したが、その使用を試みるも難
しかったそうで、同じデータを双方でインプットし比較してみようということになり、インプ
ットするデータを ECCJ に送ってもらうことにした。同時に、吉田が説明に使用したサンプル
データをインプット済みのデータベースを勉強のために提供した。
次に、日立製作所から去る 2 月の調査時に提案した天然ガス焚きガスエンジンコジェネ (熱
エネルギーは吸収式冷凍機で冷熱として回収し使用する)の具体的な検討結果とこれに基づく
提案内容を説明し討議した。
既にドイツのメーカーも同様のオファーをしているそうであったが、日立の提案の方が発生
電力のコストが安価で 3 年弱で投資回収出来る事、一方、Ispat Indo も天然ガス供給会社と価
格交渉を行っており、日立がもらった試算用ガス価格より安価に購入できそうとの事で、この
事業自体の Feasibility は高いと判断され、日立製作所は早急に提案・見積りを作成し提出する
ように依頼された。実際に発電設備は現在の変電所前の空き地ないし隣接する予備品倉庫を活
用して設置できるスペースがあり現場の調査も行った。
今後日立製作所から示された見積りに必要な仕様と条件を来週 Ispat Indo 社に提出しても
らい、6 月末ないし 7 月初めには Ispat Indo 社に提案書を提出する。
その他、モーターの効率改善の提案に関しては、高効率直流モーターよりインバーター&交流
モーターがコスト的に有利であるとの見解を示し、更なる検討の為 Ispat Indo 社から使用して
いる直流モーターのリストを始め仕様を日立製作所に送ってもらう事とした。
なお、PT Ispat Indo としては、複数の対策を同時にスピード感を以て実施しなければなら
ず自己資金もマンパワーも不足するので、ESCO により実施出来るプロジェクトがあれば是非
ESCO 事業で実施したいとの希望が強い。日立製作所も本件についてアイデアを有しているの
で別途提案するとのこと。一方、他の省エネ案件についても、インドネシアの ESCO 協会
(APKENINDO)とも相談・協議するよう提案した。
Ⅳ-84
添付資料
Ⅳ-2-1-1(1)
Seminar – Workshop (June 4th, 2014) : Agenda
(Purposes)To share progress in the “Pilot Program” and information on actual results
To discuss the implementation plan for FY 2014
(Venue)
Conference Room (19th Floor at Ministry of Industry)
Time
09:00-09:30
09:30-09:45
09:45-11:05
09:45-10:05
10:05-10:35
10:35-11:20
11:20-12:00
11:20-11:30
11:30-11:50
11:50-12:00
Agenda
Opening Remarks (MOI)
Preliminary Implementation Plan of the “Pilot Program” for FY 2014
(ECCJ : Mr. Kazuhiko Yoshida)
Progress in Activities under the Pilor Program
Energy-Cost Management Database for EAF Steel Making
(ECCJ : Mr. Kazuhiko Yoshida)
Points of Proposed EC Improvement / Data & Information to Confirm
through Questionnaire (Hitachi Ltd. : Mr. Yuji Koga, Mr. Kenichi
Kuwabara, Mr. Atsufumi Kiyokuni)
Discussion : Confirmation / Issues and Measures
(Including Q&A Session)
Discussion : Confirmation / Issues and Measures
Confirmation : Preparation for Visits to 2 Factories and for Activities in
FY 2014
Current Issues and Measures
Closing Remarks (MOI)
END
Ⅳ-2-1-2.産業部門エネルギー管理体系構築パイロットプログラム実施支援
(1次)
概要
2014 年 2 月に開始した ISO50001 に基づくエネルギー管理体系 (EnMS) 構築パイロ
ットプログラム実施のフォローや助言を行った。
本プログラムを鉄鋼と紙パルプに加え新規にセメントや繊維等に拡張し活動する準備
を開始した。
出張者
常務理事
谷口裕一
国際人材育成センター
吉田和彦(副センター長)、北川二朗(高度専門技
術員)
アズビル(株)
SK 氏
(株)テイエルブイ インターナショナル MK 氏、GH 氏
Ⅳ-85
現地参加者 (株)日立製作所 インフラシステム社
PT. Azbil Berca Indonesia
KY氏、KK氏、KA氏、MS氏
WT 氏、HK 氏、Mr. TS、Mr. BS、
Mr. YP
TLV PTE LTD
Mr.DL
目的
(1) セメントや繊維などの分野の新規参加協力工場でのプログラム開始キックオフと各工場で
の実施計画の協議や助言を行う。
(2) PT Ispat Indo (鉄鋼) PT IKPP (製紙) の工場でのパイロットプログラム実施状況のフォ
ローと助言を行う。
(3)
工業省ビルでの ESCO パイロットプロジェクト検討のための調査と提案の協議。
実施結果・成果のまとめ
去る 6 月の工業省との打合せで目標とした、セメント・繊維・製紙分野で新規参加の 6 工場
を得て活動を予定通り開始した。(石油精製分野の協力工場の設定は準備期間が短期間の為調整
中。)
また、9 月に予定する日本でのワークショップに向けて基本計画を協議・合意して準備も開
始するなど実りある結果を得た。
目的・目標
1.セメントや繊維な
どの分野の新規参加協
力工場でのプログラム
開始キックオフと各工
場での実施計画の協議
や助言を行う。
実施結果と成果
全体
工業省、新規協力工場の一部及び鉄鋼やセメントなどの産業団体関係者
を始め 40 名以上を集めセミナー・助言ワークショップを工業省で開催し、プロ
グラムの活動方針や計画を確認し新規参加協力工場での活動を開始し
た。また、MFCA を活用したエネルギー・物質収支-コスト管理データベース等の
管理ツールや参加日本企業の関係者による推奨省エネ技術の事例を含め
た紹介を行った。
セメント分野
(協力工場) PT. Semen Indonesia Tuban 工場で決定。
● ISO 50001 取得を目指し活動を実施中で EnMS 構築に積極的。
● エネルギー・物質収支コスト管理データベースを今後利用する事、EnMS 運用
を通じたエネルギー管理実践の一部として実施が有効な具体的な省エネ
案件を提言した。(プロセス外気吸引量削減、排ガス酸素濃度-燃焼空
気量制御、操業条件に応じた機器運転チューニング、圧縮空気系省エネ(圧
縮機運転制御システム、漏れ管理 等)
繊維分野
(協力工場) PT. APAC Inti Corpora (PT. Sinar Pantja Djaja と共同
実施)
● 2014 年 3 月に ISO 50001 を取得し自社の EnMS を構築中。NEDO
や DANIDA 等のプログラムにも協力し省エネに積極的に取組んでい
る。
● 蒸気系統の省エネ (スチームトラップやコンデンサーポンプ等の保守による漏れ
防止やフラッシュ蒸気の再利用等)を提言。
Ⅳ-86
製紙分野
PT. IKPPに加え以下が参加
(協力工場) PT. Pura Baru Tama (PT. Pura Nusa Persada と共同実
施)
● Pura グループとしてエネルギー管理や省エネに熱心。電気節減、ESCO に
関心あり。
●蒸気系統の省エネ (スチームトラップ等の保守による漏れ防止や自家発高圧
蒸気のバイパスラインに背圧タービン導入し電力回収等)を提言。石炭ボイ
ラー更新も検討中。
その他
● 食品分野では、PT. Wilmar Nabati が参加を希望するも都合によ
り工場受入が難しくなり訪問できなかった。(9 月の日本でのワークシ
ョップには招聘可能。)
● 石油精製分野に関しては、企業(Pertamina)側の管轄であるエネルギ
ー鉱物資源省との調整段階との事で未定の状態。
2.PT Ispat Indo (鉄
鋼) PT IKPP (製紙) の
工場でのパイロットプ
ログラム実施状況のフ
ォローと助言を行う。
3.工業省ビルでの
ESCO パイロットプロ
ジェクト検討のための
調査と提案の協議。
(1) PT. IKPP(紙パルプ): セミナー・助言ワークショップにて進捗を報告。
(2) PT. Ispat Indo(鉄鋼):工場を訪問して活動状況をフォローした。
● ISO50001 の最終審査(7/22-7/24 審査機関は台湾の機関)に向け準
備中。
● エネルギー・物質収支コスト管理データベースを試用中。コメントの集約を依頼。
● 日立が提案した案件の商談最終段階。(競合 2 社) 更に、圧縮空気
系統の省エネ (漏れチェックの方法や圧縮機運転最適化システム導入)等を提
言。
● 工業省のビルで省エネ改善策を発掘するための簡易的な調査を実施
した。
● 空調設備の省エネ改善による電力削減の可能性が大きい事が判明し
た。
● チラー冷却水温度測定計装設備の導入からエネルギー使用の見える化を
第 1 段階とし、各階の AHU での負荷による冷水量や外気吸引量
制御改善等に進める。ビルの省エネの進め方の体系とステップを整理す
る必要あり。
● ESCO の実施は政府内規則等制約が大きい。個別調達方式での実
施は可能。
新規参加の工場は技術・資金力を有する各分野の一流企業。製紙工場は紙幣用紙等特殊技術
を要する高級品を製造し、繊維工場もデニム生地等を製造し 7 割以上を輸出するグローバル企
業である。
各工場で提言した改善策は、今後更なる検討のために必要な情報やデータのやり取りを含め
メールなどでフォローし合い、9 月の日本でのワークショップで更に協議する事とした。
出張日程実績
日程
7 月 13 日
7 月 14 日
業務内容
(日)
(月)
Lv. 東京
Ar. ジャカルタ
AM
工業省訪問 : 計画と活動準備確認
PM
工業省ビルの簡易診断
ESCO パイロットプロジェクト案の討議
(アズビル(PT. Azbil Berca Indonesia)が参加)
Ⅳ-87
7 月 15 日
7 月 16 日
(火)
(水)
終日 セミナー・ワークショップ(工業省)
AM セミナー
PM 助言ワークショップ
(日本企業関係者 11 名参加)
ジャカルタ→セマランへの移動 (日本企業同行者 5 名)
協力工場での EnMS 構築パイロットプログラム開始の為の調査と実
施計画に関する助言。
AM PT. Pura Barutama (紙パルプ工場)の訪問
PM PT. APAC Inti Corpra (繊維工場)の訪問
セマラン→ジャカルタへの移動
7 月 17 日
(木)
7 月 18 日
(金)
7 月 19 日
(土)
ジャカルタ→スラバヤ→Tuban への移動
(日本企業同行者 3 名)
協力工場での EnMS 構築パイロットプログラム開始の為の調査と実
施計画に関する助言。
PT. Semen Indonesia Tuban 工場(セメント)の訪問
(Tuban → スラバヤへ移動)
協力工場での EnMS 構築パイロットプログラム活動の実施に関する
フォローと助言。 (日本企業同行者 7 名)
PT. Ispat Indo (鉄鋼工場)の訪問
デンパサールへの移動
Lv. デンパサール
Ar. 東京(帰国)
詳細内容
1.工業省との会合
1-1.今回の活動の計画と準備などの打合せ(7 月 14 日)
(ECCJ) 谷口常務理事、吉田副センター長、北川高度専門技術員
(応対者) 産業政策、ビジネス環境・品質審査庁 Mr. Yang Yang Setiawan (Secretary)
Ms. Shinta D. Shirait (Deputy Director),
グリーン産業・環境査定センター
Ms. Rizka Triwardhani
本事業の計画の確認
(1)
今回の現地業務の予定と準備状況の確認
今回の現地での業務に関して、出発前に確定していなかった工業省のビルの調査の実施と、
訪問する予定の協力工場の準備等を確認した。
訪問を予定する協力工場に関しては、食品分野の候補2工場が我々の訪問日程と都合が合致
しない、あるいは、本社の承認が降りていない等の理由で決定されておらず訪問できなかった。
工業省のビルの調査に関しては、ビル管理を管轄する総務部門に Mr. Setiawan が責任者に
Ⅳ-88
説明し実施を許可してもらった。
この活動は、ESCO パイロットプロジェクトの検討のためで、ESCO 導入に係る政策や実務
関係者の能力向上と工場やビルあるいは金融関係の関係者が ESCO とそのメリットを理解さ
せるための事例作りを目的とする事を再度確認し合った。また、ここで見出され実証されるビ
ルの省エネは、工場にある建物や本社ビルでも適用でき、エネルギー管理システムのカバーす
る範囲に含まれ、ビル分野の省エネとして分離されたものではないとの観点も共有し合った。
一方で工業省側は、省内で ESCO スキームに従う支払い方式が政府の調達方式として認めら
れるかまだ結論は出ていないが規程上もかなり難しいとの認識を示したのでこの点の決着はま
だ時間がかかりそうである。
(2)
今年度の実施計画
今年度の実施計画について、去る 6 月の現地活動実績と今回の現地活動予定を反映した最新
版を使って、確認した。
(3)
日本でのワークショップ (BEC ID4) の計画
9 月 4 日から 11 日の間で計画するワークショップの計画と準備に関して、準備した募集要項
(案)を使って説明した。インドネシア側も我々の基本計画で合意した。
従い、準備の手順とスケジュールを確認し、帰国後正式な募集要項と参加者に記入してもら
う応募書類のフォーム類を ECCJ から工業省に送付するので、確認した日程に従いインドネシ
ア内の募集手続きを進めてもらう事した。
1-2.工業省ビルの省エネ改善策の調査(ESCO パイロットプロジェクト検討)(7 月 14 日)
(ECCJ) 谷口常務理事、吉田副センター長、北川高度専門技術員
(PT. Azbil Berca Indonesia)
Mr. WT (Director)、Mr. YP
(応対者) 産業政策、ビジネス環境・品質審査庁
総務・渉外局
Mr. Yang Yang Setiawan (Secretary)
Mr. Muhdori (Head)、他ビル管理技師
ESCO パイロットプロジェクトの活動として工業省のビルの省エネ調査を実施する事とその
目的が、ESCO 導入に係る政策や実務関係者の能力向上と工場やビルあるいは金融関係の関係
者が ESCO とそのメリットを理解させるための事例作りにあることを、工業省のビル管理部門
を始めとする関係者に理解してもらった。
この上で、まず工業省のビルのエネルギーの使用状況とこれに基づく効果的な省エネ対策を
見出すのが本調査の目的である事を説明した。こうして具体的な省エネ案件を見出せてから具
体的な実施方法を次のステップとして考え、これに基づき ESCO として実施できる案件を検討
する進め方を説明した。
この後具体的な省エネ調査を行った。上記の状況であったので、ECCJ から事前に送付した
質問状への回答は準備されておらず、調査は口頭での質問と現場調査に基づいた。
なお工業省のビルは床面積が 41,000 m2 地上 21 階建てで月間の電力使用量は 450,000 kWh
とのこと。(131.7 kWh/m2)時間的な制約があったため調査はエネルギー(電気)使用量が最
Ⅳ-89
も多い空調システム (Chiller 450RT X 4 基+各階のAHU) に重点をおいた。Chillerは、通常
2 基運転で 1 台スタンバイで 1 台予備として 3 カ月毎に切り替えて運転している。)調査の結果、
冷水の室内温度 (センサーはAHU室に設置)による流量制御が機能しておらず冷水温度も管理
されていなかった。この点を踏まえて以下を改善策として提案した。
● 必要な計装設備(温度計や流量計、電力計等のセンサー)設置と BEMS 導入による見える
化
● AHU コイルの冷水流量の室内温度による制御(温度計の機械室からの位置と制御弁の変更)
● Chiller 入出の温度センサー設置と VWFC の導入
調査終了後ビル管理の責任者である Mr. Muhdori ら関係者に結果を報告した。Mr. Muhdori
は、Mr. Setiawan と同様 ESCO による調達は困難との認識を示す一方、省エネは重要なので
提案された個別省エネ機器等の個別調達は問題なくできるので実施したいとの意向を示した。
なお、この調査結果は、アズビルの現地法人から 15 日のセミナー・ワークショップで発表
し討議を行った。
2.セミナー・助言ワークショップ(7 月 15 日)-
場所:工業省内会議場
関係者 40 名以上が参加して開催した。
プログラムを添付資料
Ⅳ-2-1-2
(1)に示す。
参加者は、インドネシア側が、工業省の各関係部局や鉄鋼協会やセメント協会及び ESCO 協
会等の産業団体及び本プログラムの協力工場(新規参加協力工場を含む)からの代表者が、ま
た、日本側は、ECCJ を始め企業から我々の出張に同行したアズビル(株)と(株)テイエルブイ イ
ンターナショナルの関係者の他、現地参加の PT. Azbil Berca Indonesia、TLV PTE LTD 及び(株)日立
製作所 インフラシステム社の関係者からなる。
セミナーでは、基調講演で谷口常務から本事業の基本方針や方向付けを行い、次に ECCJ が
本事業の目的や方針及び活動計画を説明・共有し、ECCJ が策定したエネルギー・物質収支-
コスト管理データベース等の管理ツール類の内容や活用方法を紹介した。
更に、参加日本企業により対象とする産業分野で導入を推奨する省エネ技術の紹介を行った。
この上で、既に本プログラムに参加して活動を実施している PT. Indah Kiat Pulp and Paper
(紙パルプ、以降 PT. IKPP と略す)からこれまでの活動を報告してもらった。更に、新規に本プ
ログラムに参加した協力工場 3 工場の代表者が参加者から本プログラムに関する各工場の期待
や方針の説明を受けた。
日本側の発表に関する多くの質疑応答を含め活発な討議が行われた。
去る 6 月の工業省との打合せで実施計画を確定してから、わずか 1 か月程度の準備期間であ
りかつラマダン期間中ではあったが、工業省が協力工場の設定などで最大限の努力をしてくれ
たお蔭でここに無事辿り着けた。一方、このため参加企業側の準備が追い付いていなかったの
も事実であるが、協力工場の関係者は強い意欲と期待を持っていることを確認した。
Ⅳ-90
このセミナー・助言ワークショップの最終的なアジェンダを添付資料-1に掲載する。
ラマダンの期間中のため、ワークショップ中の飲食は昼食を含め避けられ 15 時に終了するプ
ログラムとなった。
3.協力工場訪問:活動計画協議(調査や助言の実施) (7 月 16 日-18 日)
新規に本パイロットプログラムに参加する繊維や製紙及びセメント分野の協力工場 3 工場を
訪問し、新たに始める活動の計画を策定するために、現状を把握し提言や助言を行うために工
場を調査し討議を行った。
また、2014 年 2 月から活動が進展している PT. Ispat Indo (鉄鋼)を訪問し進捗状況と課題を
フローすると共に、新たな改善に関する助言を行った。
なお、食品分野に関しスラバヤの候補工場からの参加を予定したが、社内承認が間に合わな
い等の理由で、結局食品分野の工場訪問は今回実現できなかった。
以下に訪問した工場における活動内容と結果を示す。
3-1.PT. Pura Barutama (紙パルプ) の工場訪問
(7 月 16 日)
PT. Pura Nusa Persada と共同活動
(ECCJ)
谷口常務理事、吉田副センター長、北川高度専門技術員
(アズビル)
SK 氏、 (テイエルブイ インターナショナル) MK 氏、GH 氏
(日立製作所 インフラシステム社) KK 氏、KA 氏
(応対者)
Mr. Y. Moeljono (President, Pura Group), Mr. PurnamaSetiawan (Director),
Mr. Bowo, Mr. Liong, Ms. Rina Dwi Harsiwi
●工場概要や省エネに関する計画や課題など
Pura グループ (26 事業部で従業員 8,500 名) の社長自身が挨拶に現れグループ会社を上げ
て本プログラムに協力する姿勢と成果への期待を示した。
調査したのは、このグループの製紙部門の工場で、紙幣や各種証書等高級紙を中心に製造し
ている。工場はパルプ製造工程を有しない抄紙工場。即ち、購入パルプを水で溶解するパルパ
ーから工程は始まる。
紙幣用紙はホログラムや透かし等の特殊加工技術の国際認証を有し、インドネシア紙幣の
40%を供給しネパールやベトナムなど海外にも輸出し、他にも品質規格の厳しい医薬品用の包
装紙等を製造する技術力があると評価される。年間約 350 日稼働で一日当たり 24 時間 3 交代
体制で稼働し年産量は約 10 万トン、従業員 1060 名中 12%を技師が占める。
使用されるエネルギーは、電力と蒸気を介した熱エネルギーである。蒸気は石炭とバイオマ
ス(籾殻等)を燃料とするストーカー式ボイラーを使って生成し排ガスは EP で除塵して排出
している。電気は自家発 (7.5MW X 2 台) を有するが PLN からの購入が主体。抄紙工程の乾
Ⅳ-91
燥ドラム駆動装置(200kW X 7 台) や真空ポンプ (110 – 350 kW) に加えポンプ (200kW X 7
台)で大きな電力を消費する。
この工場も電力などエネルギー価格が上昇しておりまた需要に対しエネルギー供給が見合っ
ておらずエネルギー管理の改善と省エネは大きな課題になっているが、このための従業員の教
育を含む体制づくりを急ぐ。省エネの視点は、蒸気の利用の適正化による省エネや節電が重点
となる。従い、同社では、効率的なボイラーへの更新や進相コンデンサーによる力率改善等の
省エネ対策を計画している。今回、8 基の抄紙工場のうち#10 抄紙工場とボイラープラントを
中心に調査し以下の改善を見出し提言・提案を行った。
●改善可能点
(1) エネルギー管理
見学させてもらった抄紙設備は日本製の中古品であり日本語の運転・保守マニュアルにイン
ドネシア語の翻訳を書き込んで使用している。この実状から標準体系がきっちり整備されてい
るとは思えず、管理標準の整備が有効であろう。また、エネルギー管理に必要なデータを質問
状を通じて直前にもらったが、一旦もらったデータを大幅に修正したり現場で見学したバイオ
マスが含まれていなかったり等不十分と考えられ、ECCJ のエネルギー・物質収支-コスト管
理データベースの活用が有効だと判断した。
熱及び電気エネルギーともに需給バランスを管理し適切なエネルギー供給と使用を行うこと
による省エネの余地は大きいと考える。
(2) 省エネ改善策
蒸気の省エネ
a.
スチームトラップの不良個所のチェックと更新・保守による蒸気漏れ損失の低減
b.
ボイラー~抄紙設備間の配管の保温(バルブ部分を含む)改善による蒸気温度低
下抑制
c.
プレドライヤーのフラッシュ蒸気の活用可能性の検討 (蒸気コンプレッサー活用によ
る)
ボイラーの省エネ
d.
自家発高圧蒸気パイバス(抽気)系統に背圧タービンを設置し電力回収
e.
ストーカー式ボイラーの更新(微粉炭焚きコジェネの検討。天然ガスはパイプラインが
なくガスエンジンコジェネは推奨できず。)
3-2.PT. APAC Inti Corpra (繊維) の工場訪問
(7 月 16 日)
PT. Sinar Pantja Djaja と共同活動
(ECCJ)
谷口常務理事、吉田副センター長、北川高度専門技術員
(アズビル)
SK 氏、
(テイエルブイ インターナショナル)
MK 氏、GH 氏
(日立製作所 インフラシステム社) KK 氏、KA 氏
(応対者)
Mr. Lalu Yayan Zuhran (General Manager, HR&CA), Mr. Carel C. Yahya
Ⅳ-92
(General Manager, Procurement) 他
Mr. Sunaryo (Manager, Utility,
PT. Sinar Pantja Djaja PT. Sinar Pantja
Djaja)
●工場概要や省エネに関する計画や課題など
ヤーンや製糸の製造に加えデニム生地や素材布地を製造し 75%を輸出する大手企業の工場
で、敷地は 100 ヘクタール以上ある。従業員は約 6500 名で、工場は年間 360 日一日 24 時間 3
交代体制で稼働し、年産量は約 86,000 トン。この工場のエネルギーは電気と蒸気による熱エ
ネルギーである。
今年の 3 月に ISO 50001 の認証を取得しており、エネルギー管理者を選任してエネルギー管
理を実施している。また、活動実態は確認できなかったが、5S (インドネシア語の頭文字で 5R)
に Safety の S を加え 6S に基づく現場活動も実施している。
過去に NEDO の調査団がエネルギー診断を実施した省エネ改善を提案したりデンマークの
DANIDA による省エネプログラムをエネルギー鉱物資源省のプログラムの下で実施したこと
もあり、今回の我々のプログラムの真の狙いが工場のトップレベルで必ずしも正確に理解され
ていなかった。この事実と今回日本の企業が参加している関係か、ESCO に対する期待が高く
一部誤解もあった。しかし、今度の工場訪問で説明して本プログラムの目的と意義及び基本計
画を説明し正しく理解してもらえたと考える。
この工場でも、今年電力料金が 40% も値上がりしてコストが上昇しているので、電気の省
エネは大きなテーマとなっている。エネルギー面では熱(蒸気)エネルギー40%で電気(PLN
からの購入)が 60%を占めるがコストは電力コストが 90%を占めるとの事。
これまで実施した省エネ活動を通じて、電力を 8%また石炭使用量を 17%削減したが、省エ
ネはコスト的(経営上)にも大きな課題であり、エネルギー管理に関する取り組みも ISO 50001
の要求に忠実に従って実施している。具体的な改善策としては、計装設備の導入によるきめ細
かなエネルギー使用の管理や高効率モーターの導入及び照明の LED への変更、更にボイラー
の燃焼管理改善や蒸気設備の省エネ改善計画を立て引き続きて実行している。
電力供給に関しては、太陽光発電の導入を含め対策を検討している。
現場の調査時間が時間的制約で短時間となったが、紡績工場とデニム製造工場を中心に調査し
て以下に示す改善可能な点を見出し工場側と共有した。
●改善可能点
(1)エネルギー管理
複数の製糸及びデニムなどの布地製造工場更にボイラーなどエネルギー供給設備に分かれて
いるので、工場全体のエネルギー需給を管理して運転を適正化することで大きな省エネやエネ
ルギーコスト削減を実現できると考えられる。このために、エネルギー管理標準の導入やエネ
ルギー・物資収支-コスト管理データベースの導入が有効と考えられる。後者は特にこの工場
が課題としているベースラインと目標設定に必要なデータ管理にも有効に活用できよう。
Ⅳ-93
(2)省エネ改善策
蒸気の省エネ
a.
蒸気配管やスチームトラップの不良個所のチェックと更新・保守による蒸気漏れ損失の低
減
b.
凝縮水回収のためのコンデンセートポンプの不良個所の修理あるいは更新による放散ロス
低減
c.
布地の乾燥設備立ち上げ時の余熱時間短縮による蒸気使用量の削減可能性の検討
圧縮空気系の省エネ
d.
工場毎にある(再度調査要)圧縮空気供給設備を統合管理と合理的な圧縮機運転の検討。
ボイラーの省エネ
e.
石炭やバイオマス(ヤシの実の殻)の水分管理を含む熱量管理
f.
石炭ボイラーをストーカー式から微粉炭焚きコジェネによる高効率化の検討。(天然
ガス供給がないのでガスエンジンコジェネは推奨できず。)
3-3.PT. Semen Indonesia (セメント) の工場訪問
(7 月 17 日)
(ECCJ)
谷口常務理事、吉田副センター長、北川高度専門技術員
(アズビル)
SK 氏、
(テイエルブイ インターナショナル)
MK
氏、GH 氏
(Indonesia Cement Association)
(応対者)
Ms. Ristantin
Mr. Tri Abdisatorijo (Plant Manager), Mr. Eko Budiono ST. (Section Manager),
Mr. Agus Kuntoro
●工場概要や省エネに関する計画や課題など
工場のある Tuban はスラバヤから車で 4 時間は掛かる遠隔地であった。(最初は 3 時間との
情報)
ポルトランドセメントを製造する工場で、8,000 t/d のキルンを 4 基有し年産約 900 万トン
を製造する。
既に NSP プロセスを導入し、原料や石炭及び製品の粉砕に効率の良い竪型ミルをまたクリ
ンカークーラーはエアビーム式クーラーを設置した最新鋭工場である。
更に、排ガスの廃熱回収発電の検討を JFE エンジニアリングと検討しており、2015 年に導
入する計画がある。(Padang 工場では 2012 年に導入済み。)
エネルギー管理に関しては、ISO 50001 の認証取得を当面の目標とした活動を実施している。
エネルギーは、電力と特に原料の煆焼やクリンカー製造プロセスで使用する石炭を中心とする
燃料による熱エネルギーによる。燃料の特徴として籾殻を年間約 10 万トン(燃料の約 3%)利
用している。
●改善可能点
Ⅳ-94
(1)エネルギー管理
今回 ECCJ が策定したセメント工場用のエネルギー・物質収支-コスト管理データベースを
試用してもらうためにその内容やデータの入力方法に加え活用方法について説明した。具体的
な入力データについての質問も出て今後使ってもらいコメントをもらうこととした。
以下の省エネ対策にも係り、例えば重要な外気の吸引量管理に係り、個別設備だけでなくプ
ロセス全体を管理するためのエネルギー管理標準の整備が有効である。例えば、石炭や籾殻と
いった燃料の水分測定と管理、またダストの堆積が著しく配管系統に多用されているフレキシ
ブルジョイントにおける漏れの管理上問題がある。単にエネルギー使用設備だけでなく、エネ
ルギー消費に影響を与える原燃料の性状や付帯設備を含めた設備管理が個別設備の管理基準に
加えて必要となる。
(2)省エネ改善策
プロセスに係る対策
a.
系の漏れ防止(吸引外気量削減)
:各設備のシール対策や配管系統のフレキシブルジョイン
トを含む設備の保守管理
b.
排ガス酸素濃度管理だけでなく燃焼空気量管理との併合管理
c.
設備の運転条件のチューニング:操業条件による最適な設備運転条件を確認し設定する。
圧縮空気設備の省エネ
d.
排ガス冷却散水霧化用の圧縮空気系統の統合化による最適運転による省エネ。(各キルン
個別に圧縮空気用コンプレッサーが 5 基設置されている。)
e.
空気漏れ検出装置を活用した漏れ管理と対策の実施やドレン排出設備改善による空気漏れ
防止。
ブロワーの省エネ
f.
空気輸送の効率化の観点から(Solid)/(Gas) Ratio の管理を導入しできるだけこの比を高め
る。
3-4.PT. Ispat Indo (鉄鋼) の工場訪問
(7 月 18 日)
フォローアップ
(ECCJ)
谷口常務理事、吉田副センター長、北川高度専門技術員
(アズビル)
SK 氏、 (テイエルブイ インターナショナル)
MK 氏、GH 氏
(日立製作所 インフラシステム社) KY 氏、KK 氏、KA 氏、MS 氏
(応対者)
Mr. V. V. Rao
(Vice President Operation), Mr. Adi Pramuka (Energy
Manager), Mr. Novian Nursareif (Deputy Energy Manager), Mr. Hari
Setiawan 他
本年 2 月から本プログラムに参加し活発に活動している。1 か月前の去る 6 月にも訪問し活
動の進捗をフォローしたが、今回、以下を目的に訪問した。
① 同工場の活動進捗を確認する。
Ⅳ-95
② 6 月に同社に渡したエネルギー・物質収支-コスト管理データベースの試用結果のコメ
ントなどをフォローする。
③ 新たに TLV International や Azbil Corporation が ECCJ チームに参加したこともあ
り、エネルギー管理体系の構築活動の進捗のフォローだけでなく、 圧縮 空気などの用
役系の省エネに関する対策を調査・討議する。
④ 9 月の日本でのワークショップの準備事項を確認する。
当初の計画ではこの日の午前中に食品工場に行く予定であったが工場側の都合で結果的に訪
問できなくなり、急遽 PT. Ispat Indo を午前中から訪問させてもらうべく調整して受け入れて
もらった。
急な変更ではあったが、同社は受入れてくれ実りある活動を実施出来た。工場長の Mr. Rao
が討議の途中に挨拶をかね顔を出し議論や助言の要点を共有した。
工場の関係者からは、7 月 24 日-26 日に ISO 50001 の最終審査が行われること(審査者は
台湾の認証機関によるとのこと)を伝えられ、この準備に関し意見交換を行った。
一方、省エネ改善も当初の計画に従い着実に実施している。日立製作所が提案し Proposal
を提出したコジェネ案件も同社を含む 3 社から 7 月中に契約企業を決定し、来年 3 月には設備
を稼働させる計画を着実に進めている。
今回、TLV International と Azbil Corp.が参加したので、用役設備具体的には圧縮空気シス
テムと酸素供給設備を調査した。
●改善可能点
(1)エネルギー管理
エネルギー・物質収支-コスト管理データベースの試用結果に関しては担当者がいなかった
ためフォローできなかったのでメールベースでフォローする。
以下で提案された圧縮空気システムの統合制御に関連し、操業条件を踏まえて判断基準によ
る現場での運転の最適化を実現しておく必要がある。この実績に基づき統合制御の基本仕様が
検討できよう。この観点からエネルギー管理標準の整備も重要となる事をコメントした。ISO
50001 で彼らが審査で示す準備書類を示してくれたが、書類自体は形骸的である。
このようなツールの活用を含む運用上の更なる改善が、エネルギー管理体系を実質的に機能
させるためには必要でありまた有効である。
(2)省エネ改善策
圧縮空気設備の省エネ
(1) 製鋼用圧縮空気システム(コンプレッサー4 基(800kW))と圧延設備用圧縮空気システム
(コンプレッサー2 基(310kW))の統合制御)
(実際に配管で接合されているので、制御を統合して最適な運転を行い省エネを実現
できる。)
(2) 超音波式空気漏れ検出装置を活用した漏れ管理対策の実施やドレン排出設備改善による空
Ⅳ-96
気漏れ防止。
(漏れチェックは酸素供給ラインを含む。)
以上を受け、当日出張で不在となっていた本プログラムの責任者である Mr. Agus に、Energy
Manager の Mr. Adi から結果と提案を報告し対応を検討する事になった。
上記に加えて、9 月の日本でのワークショップにおいて、工業省等政府関係者及び新規に参
加した協力工場の関係者や日本の関係者と、同工場において確立しつつあるエネルギー管理体
系とこの下での省エネ改善活動の現状を共有する為に、同社でレポート(カントリーレポート)
を纏めてもらうよう要請し準備を依頼した。
Ⅳ-97
添付資料
Ⅳ-2-1-2
キックオフ
Time
09:00-09:30
09:00-09:15
09:15-12:15
09:15-09:35
09:35-09:45
09:45-10:50
09:45-10:00
10:00-10:20
10:20-10:35
10:35-10:45
10:45-10:55
10:55-11:25
11:25-11:55
11:55-12:25
12:25-12:45
12:45-15:00
12:45-13:00
13:00-13:10
13:10-13:25
13:25-13:35
13:35-13:45
13:45-14:00
14:00-14:10
14:10-14:30
14:30-14:45
(1)
セミナー・助言ワークショップ
のプログラム
Agenda
Opening
Welcome & Opening Remarks by MOI (Mr. Yang Yang Setiawan)
Part – 1 : Seminar
Keynote by ECCJ Dr. Hirokazu Taniguchi
Preliminary Implementation Plan of the “Pilot Program” for FY 2014
(Mr. K. Yoshida, ECCJ)
Progress in Activities under the Pilot Program
Points to Establish Energy Management System Based on ISO 50001
Including “Judgement Standard” and “Energy Management Standard”
(Mr. K. Yoshida, ECCJ)
EM Tool : Energy-Material Balance & Cost Management Database
(Mr. K. Yoshida, ECCJ)
Report : Actual Progress in Implementation of Pilot Program (PT. Ispat
Indo)
Report : Actual Progress in Implementation of Pilot Program (PT. IKPP)
Break
Project Case-1 : Gas Engine Co-generation System & EC Solution
(Hitachi)
Project Case-2 : Efficient Steam System (TLV International)
Project Case-3 : EC by Optimizing Steam System (TLV International)
Project Case-4 : Optimization System of Utility System in Factory
( Azbil)
Project Case-5 : EE&C for Buildings Based on introduction of BEMS
( Azbil)
Long Break
Part – 2 : Advisory Workshop for New Cooperating Factories
Presentation : Draft Plan for Program-1 (PT. Pura Barutama
(Pulp&Paper))
Points of Factory Outline, Current EnMS, Technology and EE&C
Activities Including Issues
Discussion and Advice
Presentation : Draft Plan for Program-1 (PT. Sinar Pantja Djaja
(Textile))
Outline of Factory, Current EnMS, Technology and EE&C Activities
Including Issues
Discussion and Advice
Break
Presentation : Draft Plan for Program-1 (PT Semen Indonesia
(Cement))
Points of Factory Outline, Current EnMS, Technology and EE&C
Activities Including Issues
Discussion and Advice
Discussion : Findings through Brief Survey at MOI Building (PT. Azbil
Berca Indonesia etc.)
Possible Technical Solutions for EC in Buildings to establish ESCO
Pilot Projects
Closing
(Indonesia) MOI / (Japan) ECCJ
Ⅳ-98
Ⅳ-2-1-3.産業部門エネルギー管理体系構築パイロットプログラム実施支援
(2次)
概要
2014 年 2 月に開始した ISO50001 に基づくエネルギー管理体系 (EnMS) 構築パイロットプロ
グラムに関し、本年 9 月の日本でのワークショップ (BEC ID4) で立案した実施計画に基づく
現地関係機関による活動を、エネルギー管理の視点からフォローし必要な助言を行った。
出張者
国際人材育成センター 吉田和彦(副センター長)、小泉 進(高度専門技術員)
目的
(1) 7月に参加した繊維と製紙分野の協力工場でのプログラム実施に係るエネルギー管理体系
構築と管理ツール整備状況のチェックと助言。加えて、新規参加協力工場(食品)での活動を
キックオフするための基本計画に対する助言。
(2) 工業省ビルでの ESCO パイロットプロジェクト検討のフォローと今後の進め方の協議。
(3) 工業省との協力工場による活動のフォロー方案の協議とを含む今後の活動計画の確認。
実施結果・成果のまとめ
結論として、以下に示すように課題の具体化を含め今回の活動の目標をほぼ達成した。
● 本年 7 月から本プログラムに参加した特に製紙及び繊維分野の協力工場が 9 月の日本でのワ
ークショップ(BEC ID4)で策定した活動計画に従い実施している取り組みを、エネルギー管
理の視点からフォローした。いずれの工場も計画に従い活動を実施している事を確認し、そ
れぞれの課題を協議して今後の活動を具体的に方向付けるための助言を行った。
● 繊維部門の1協力工場 (SPD 社)からこの企業グループ会社 10 社 (SRI TEX グループ) にこ
のプログラムを拡張したいとの提案があった。グループ会社間でサプライチェーンが構成さ
れており、本プログラムの展開の視点からもまたビジネス展開の機会が増す可能性の観点か
らも大変良い事例となる提案と考える。この場合、我々は SPD 社を通じた協力となろう。
● 新規に本プログラムに参加した食品工場では、工業省のこの事業に関する説明を工場長が正
確に理解していない問題が現地で顕在化した。この事業の方針や要点そして目標とメリット
を説明して工場長の理解を修正し、この工場での活動開始に向けた準備を行うことが出来た。
原因は工業省が同社の参加を急いで求め工場側が正しく理解するための説明に時間と手間を
掛けなかった点にあると考える。
● 工業省ビルの省エネの ESCO 事業化に関する検討は国の予算立ての課題があり困難なるも、
具体的な省エネ改善を実施し始めていた。
● 上記結果に基づき、工業省と成果や課題の整理を行い今後の活動方針と当面の計画を協議し
た。
Ⅳ-99
① 繊維産業用のエネルギー・物質収支&コスト管理データベースを修正し 2 工場に送付。
② 食品工場のフォローと、PT. Semen Indonesia は機密保持合意書に署名しフォローが必要。
③ 次回現地活動:ECCJ の予算が許せば 2015 年 2 月、遅くとも来年度早々で設定し下記を
実施。
- 工業省、エネルギー鉱物資源省、財務省関係者による政策法制度改善意見交換
会の開催
- 先行協力企業 (PT. Ispat Indo, PT. IKPP) の活動フォローと普及用活動報告書
作成協議
- SPD 社を通じた SRI TEX グループのエネルギー管理システム構築計画の策定
- PT. Semen Indonesia (セメント)と PT. Nissin Biscuit Indonesia (食品) の活動フォロー
と助言。
● 日本企業による下記プロジェクト形成のための活動情報をフォロー
電動モーター効率化等(鉄鋼工場)、発電設備(製紙工場)
圧縮空気設備の最適システム化(セメント工場及び鉄鋼工場)
蒸気システムの省エネ (製紙工場及び繊維工場(有料診断からの実施を提案))
目標と成果の総括
目的・目標
1.7 月に参加した繊
維と製紙分野の協力工
場でのプログラム実施
に係るエネルギー管理
体系構築と管理ツール
整備状況のチェックと
助言。加えて、新規参
加協力工場(食品)での
活動をキックオフする
ための基本計画に対す
る助言を行う。
2.工業省ビルでの
ESCO パイロットプロ
ジェクト検討のフォロ
ーと今後の進め方を協
議する。
実施結果と成果
ISO 50001 に基づくエネルギー管理システムのモデル工場構築支援
① 製紙工場 (PURA Group の 2 工場)と繊維工場 (PT. APAC Inti
Corpura (AIC), PT. Sinar Pantja Djaja (SPD)の 2 工場)での活動
計画に沿った実際の活動進捗を、エネルギー管理の視点からフォローし課
題を具体化して改善策を協議した。
② 製紙及び繊維工場での調査の結果、ボイラーの燃料 (石炭やバイオ
マス) の水分管理など課題も見つかり改善の助言を行った。今後、
この改善策を含めて日本のメーカーと提案できる総合的な燃料及び
燃焼の管理・制御システムを協議したい。
③ SPD 社からグループ会社 (SRI TEX Group) に本事業を拡大 する
提言があり基本的に歓迎する。具体的な基本計画と SPD 社を通
じた支援方案の協議が必要。
④ セメント工場 (PT. Semen Indonesia)から、フォローのための情報やデータ
提供に機密保持協定の署名を求められ応ずる事とした。
新規参加の食品工場 (PT. Nissin Biscuit Indonesia)では、工場
長が本事業の方針等を正確に理解してもらうための説明と議論
を重ねた。従い時間が不足し技術者や管理者を対象にしたセミナーは
一部省略したが実施準備を行った。省略したセミナーの内容を含め
SPD 社に ECCJ に代わり出前でセミナーを実施してもらう事とした。
① 工業省ビルの省エネの ESCO 事業化は予算上の課題があり困難であ
るが、省エネは急ぎたいとの方針で、BEC ID4 の参加者を中心に
高効率トランスへの更新など具体的な改善を始めていた。
② 日本政府や自治体が実施したモデルプロジェクトの予算等方案を研究
する。
③ 項目1で日本企業提案の省エネ対策から ESCO 提案可能案件 を検
Ⅳ-100
3.工業省との協力工
場による活動のフォロ
ー方案の協議とを含む
今後の活動計画を確認
する。
4.政府の政策・制度
整備の検討状況確認
討。
① Semarang 地区の工場を工業省の地方局に食品工場は SPD 社に
フォローを依頼
② 繊維工業用エネルギー・物質収支‐コスト管理データベースの修正版を
ECCJ から後日送付する。食品工業用は PT. Nissin のプロセスを
参考にデータベースの設計を行う。
③ PT. Semen Indonesia の機密保持協定書とエネルギーデータの回収を
工業省がフォロー。
④ 以下の現地活動を 15 年 2 月ないし来年度早々に実施する。
● 政府関係者によるエネルギー管理と省エネ投資促進の制度化に関するワー
クショップ
● 先行協力工場の活動のフォローと普及用報告書作成協議及びセメント工場
における活動のフォロー
● SRI TEX Group による取り組みの基本計画協議等
① エネルギー多消費産業対象のCO 2 排出量のon-line定期報告の省令案
策定
② JCM 促進を目的とする Green Banking の構想を検討中。
出張日程実績
日程
業務内容
12 月 7 日 (日) Lv. 東京
Ar. ジャカルタ
12 月 8 日 (月) AM 工業省訪問 :事業 活動の進捗状況確認と活動準備確認
PM 工業省ビルの ESCO パイロットプロジェクト化に関する
方針協議
Semarang への移動
12 月 9 日 (火) 協力工場訪問
エネルギーバランスやエネルギー管理体系構築状況のチェックと助
言
AM PT. Pura Barutama (製紙工場) 訪問
PM PT. Pura Nusapersada (製紙工場) 訪問
12 月 10 日 (水) 協力工場訪問
エネルギーバランスやエネルギー管理体系構築状況のチェックと助
言
AM PT. APAC Inti Corpora (繊維工場) 訪問
PM PT. Sinar Pantja Djaja (繊維工場) 訪問
12 月 11 日 (木) 新規参加の協力工場(PT. Nissin Biscuit Indonesia (食品工場))訪
問
活動キックオフのための Inception Seminar Workshop の実施
AM 事業の方針や計画に関する説明や協議
PM 討議・助言:パイロットプログラムの基本実施計画
ジャカルタに移動
12 月 12 日 (金) AM 工業省との訪問協力工場での活動実施結果の総括。
全協力工場の活動の課題の協議や今後の活動計画の確認
Lv. Jakarta
12 月 13 日 (土) Ar. 東京(帰国)
詳細内容
Ⅳ-101
1.工業省との会合
1-1.今回の活動の計画と準備などの打合せ(12 月 8 日)
(ECCJ) 吉田 副センター長、小泉 高度専門技術員
(応対者) 産業政策、ビジネス環境・品質審査庁 Dr. Ngakan Timur Antara (Director)
グリーン産業・環境査定センター
Ms. Shinta D. Shirait (Deputy Director),
Ms. Rizka Triwardhani
林産農産工業局
Ms. Setyo Toulousia Ibnusantosa (Head)
総務局
Mr. Firman Isetyoadi
他産業局
および総務局関係者
(1)
今回の現地業務の予定と準備状況の確認
基本計画(最新版)の確認
冒頭に新任の Ngakan 部長に本事業のこれまでの実績を含む基本計画と今回のインドネシア
での活動の計画を説明した。彼は、MIDEC のプログラムで我々の受入研修にオブザーバーと
して参加したことがあるので本事業の基本的な理解は有している。(当時の立場は紙パルプ産
業局の部長)
この説明を通じて現時点の実績と事業計画を確認した。
今回の活動予定と準備状況の確認
今回の現地での業務に関して、出発前に決定していた予定がその通り確定したことを確認し
た 。 我 々 の 出 発 直 前 に 本 プ ロ グ ラ ム の 参 加 が 決 定 し た 食 品 分 野 の PT. Nissin Buiscuit
Indonesia に関しても確認を行った。PT. Nissin には ECCJ から先週送付したセミナー用資料
を、工業省から同工場に回付し事前に関係者が目を通しておくよう依頼してあった。
なお、訪問する工場に事前に送付した質問状の一部の回答が提出されておらず、これらは結
局工場訪問時ないし現地入り直前に入手した。このようなデータや情報を我々も出来るだけ工
場訪問前夜に確認しようとしたが、時間的に非常に限られたので回答の分析が追い付かず今回
の業務の効率に影響したと考える。この点は残念であった。
PT. Semen Indonesiaの件
現地出張前に質問状を送付したところ、データや情報を提供するためには「機密保持の合意
書」を交わす必要があるとの連絡を工業省が受けた。
ECCJ は同合意書に署名するので書類を準備して質問状の回答を提出するよう同社に連絡を
取ってもらうように求めた。
(2)工業省ビルの省エネ案件の ESCO パイロットプロジェクト化検討に関する討議
工業省による検討状況の説明
工業省で財務省含め検討した結果、工業省のビルで ESCO パイロットプロジェクトを実施す
るために次の 2 点の困難な障害があり、現状でこれを回避する良い案はないとの報告があった。
Ⅳ-102
我々から、日本では ESCO 導入当初(1990 年代)に、経済産業省や地方自治体の施設でパ
イロットプロジェクトを実施した実績があるので、日本政府や地方自治体がパイロットプロジ
ェクトをどのように実施したのかこの情報が参考なると考え、当方もこの点を帰国後調査する
こととした。
工業省ビルにおける省エネ実施
上記に係り 7 月にビルを調査して議論した空調設備の省エネと共に、政府ビルでは 10%以上
の省エネを行うことが義務付けられており、この方針に従いエネルギー鉱物資源省を中心に取
り組んでいる。工業省は政府ビルの省エネで第 9 位の成果を上げている。具体的には、日本で
のワークショップが完了後、受配電トランスの更新(1.6 MVA X 3 基を高効率トランスに更新)
やエネルギー・水の効率化ワークショップへの参加などを通じ、7.2%の省エネを達成した。
(3)工業省による政策検討
本事業に係り以下の検討を進めている旨報告を受けた。
○ 二酸化炭素排出量の報告制度(現在工業省の省令案を作成し協議中。)
8 業種を対象とする。将来的に対象を増やす方針。
○ Green Bank System の創設。(財務省‐国営銀行で検討中。)
特に JCM を推進するために FS を実施した案件が 70 件ほどあり、この実現を含めて地球
温暖化防止に使用できる基金を検討。JCM の FS 案件の多くは国営企業を対象に実施。
その他、関連情報として工業省から、UNIDO とボイラーや空気コンプレッサーの省エネを
パイロット工場 36 か所で実施しているとの情報を得た。
1-2.今回の活動結果の Wrap-up と今後の活動計画(12 月 12 日)
(ECCJ) 吉田 副センター長、小泉 高度専門技術員
(応対者) グリーン産業・環境査定センター
Ms. Shinta D. Shirait (Deputy Director),
Ms. Rizka Triwardhani,
Ms. Yuni Pangeran
(1) 今回の活動の総括
今回の活動を総括した。ECCJ 及び工業省で今後フォローすべき点を含む要点は以下の通り。
● インドネシア現地におけるフォロー
工業省がフォローするが、Semarang 地域は中部ジャワ州の地方局のもフォローしてもらう。
● 活動を予定通り実施できなかった PT. Nissin Buiscuit Indonesia の工場での活動のフォロ
ー
現地で協議した方針に従い同社で準備を進めてもらい次のように活動を実施する。
SPD 社の自主的な協力により研修会を開催する。(今回のセミナー資料の電媒は授与済み。
SPD 社内で Mr. Sunaryo を任命するよう許可を得る必要がある。工業省が支援する必要が
あろう。)
技術的な支援は、メールベースで ECCJ が行う。
Ⅳ-103
● 製紙及び繊維工場での活動フォロー
予定通り充実した活動を実施できた。具体的な活動内容は各工場の報告を参照方。
今後の活動は中部ジャワ州の工業省地方局を通じて行う。(今回地方局の担当官が各工場に同
行した。)
繊維分野の 2 工場に関しては、エネルギー・物質収支‐コスト管理データベースのテンプレ
ートを、帰国後 ECCJ が議論した結果を反映し見直してから送付する事とした。
● Semarang 地域の協力工場の関係者の間で密接なネットワークができた。彼らはスラバヤに
ある PT. Ispat Indo 等の関係者とも連絡を取り情報を共有しあっており、本プログラム参加
企業間の連携が強まっていると評価する。
● PT. Semen Indonesia の「機密保持の合意書」
機密保持合意書は同社で作成しているとの事であったが、質問状の回答を含め滞在中に入手
出来なかった。引き続き工業省にフォローしてもらい書類を入手後 ECCJ に送付してもらう
事とした。
(2) 今後の活動計画
上記実施結果に従い、本事業の計画を見直して今後の計画を確認した。
● SPD 社の提案:SRI TEX Group としての取組みの拡張
本事業をグループ会社に拡張したいとの提案が SPD 社の工場訪問時に出された。
この提案は、以下の理由で本事業の方針に合致する良い提案だと考える。
①
SPD 社の製品である紡錘糸やヤーンを織布、染色品及び縫製品に仕上げる工場からな
り、サプライチェーンが形成され一貫した製造工程となっている。
協力対象工場
SPD 社
工場
紡錘糸製品
染色
C 工場
A 工場
織布製品
織布
プリント縫製
B 工場
D 工場
・・ 工場
アパレル製品
② SPD 社始め協力工場で形成・実施される省エネプロジェクトを波及させる範囲が広が
り、ビジネス展開の機会も増し、参加する日本企業の市場も拡げる事ができると考え
る。
Ⅳ-104
日本側の協力に関しては、資金やマンパワーに限りがあるので、あくまでも SPD 社を通じ
た協力とする。機会が合えば共同でセミナーなどを実施する事も可能。
このような考え方で SPD 社と取組み方法を協議する事とした。一方で、工業省や SPD 社を
通じて SRI TEX Group のオーナーの承認も必要となる。
● ESCO パイロットプロジェクト
初日の工業省による説明を考慮して、政府や自治体で実施する方策を検討するために、日本
で同様なパイロットプロジェクトをどのように実施したのか調査しインドネシア側に情報提
供を行う。
一方で、協力工場で実施している本プログラムを通じて見出されるプロジェクトを提案企業
に ESCO 事業化できないかを検討してもらう。日立製作所が PT. Ispat Indo に対して提案し
た事例も参考にできると考えるし同様のプロジェクトが見いだされれば具体的に検討も出来
よう。 この場合、Ispat Indo 社の案件の課題を整理しておく必要がある。
● 政策制度の整備
特に、エネルギー管理に係る規制および省エネ投資支援制度の整備・構築を目的として、関
係省庁の担当部門を集めて意見交換会を行い、今後の方向付けをするワークショップを開催
する提案をした。対象は、工業省、エネルギー鉱物資源省及び財務省と関係政府機関。
● 次回の活動
ECCJ の今年度予算の制約によるが、早くて来年 2 月後半以降あるいは来年度 4-5 月を目
途に現地で以下の活動を実施する。
① 制度整備の意見交換ワークショップ。
② 先行協力工場 (PT. Ispat Indo (鉄鋼), PT IKPP (製紙))の構築モデルに関する報告書まと
め
③ 後行協力工場活動のフォローと助言。SRI TEX グループの活動展開支援。
④ ESCO パイロットプロジェクト方針と計画策定協議
2.協力工場訪問:実施活動のフォローアップ・助言等 (12 月 9 日-11 日)
Semarang 地域に所在し本パイロットプログラムに参加する製紙や繊維分野の協力工場 4 工
場を訪問し、各工場が去る 9 月に策定した活動計画に基づく実際の取り組み状況をフォローし
た。
今回のフォローアップの重点は、エネルギー管理面の整備・改善状況の確認に置いた。特に、
各工場が具体的に計画あるいは実施に向けて準備を進めている省エネ対策の背景や根拠となる
エネルギーバランスや使用実態の不明点の確認や、エネルギー管理システム構築に必要なデー
タベース、管理指針や管理標準等のエネルギー管理ツールの整備、及びエネルギー管理従事者
に必要な教育訓練のカリキュラムの策定整備に関する助言を行った。
具体的には、上記を確認し討議するために事前に 2 種類の質問状を各工場に送付してその回
Ⅳ-105
答を出発前に返送してもらった。具体的には、これまでに入手したエネルギーバランスに関す
るデータや情報に関する疑問点を問う質問状と、エネルギー管理ツールを始めエネルギー管理
システム構築に必要な要素の策定や整備状況及び各工場が計画する省エネ対策案の根拠となる
エネルギー管理データを確認する質問状の 2 種類の回答に基づき、現地で協議した。しかしな
がら、後者の質問状の回答は、回答が難しいとの理由もあり出張前に事前に入手することが出
来なかった。それでも、各工場では必要な説明をしてくれたので、結果的には問題はなかった。
なお、今回時間的な制約で訪問できなかった Tuban に所在するセメント工場 (PT. Semen
Indonesia) にも送付した。特にこの工場は前回 7 月に訪問した際に求めたエネルギー使用状況
に関する質問状の回答も提出していなかったのでこの回答の提出を改めて求めた。(前回訪問
時は質問状で求めた情報やデータは説明してもらった。)しかしながら、情報やデータの提出に
は「機密保持の合意書」を交わす必要があるとの条件を求めて来たので、工業省を通じてこの
手続きを進めてもらうよう依頼し、合わせて質問状の回答を署名のための機密保持の合意書と
共に送付してもらう事とした。
上記に加えて、今回新たに本プログラムへの参加の意思を表明した食品工場 (PT. Nissin
Buiscuit Indonesia) を訪問し、活動のキックオフを行った。この工場では、工場長が本プロ
グラムの方針と目標を正しく理解しておらず、このためにこれらの説明と討議に半日を費やし
工場長が理解するに至った。従い、予定した関係技術者へのセミナーは実施できなかったが、
出席者全員の前で工場長と議論したので本事業に関する理解は深めてもらえたと確信する。
原因は、工業省が特にこの工場長の理解を十分深める事ができないまま本プログラムへの参
加の手続きを急いだためと考えられる。この点は工業省も課題として認識した。結果的には、
本プログラムの活動の準備を始めることが出来た。
以上、具体化した課題もあったが、結論として今回の現地業務を計画通り完了することが出
来た。
2-1. PT. Pura Barutama及びPT. Pura Nusa Persada (紙パルプ) の工場訪
門(12 月 9 日)
(ECCJ)
吉田副センター長、小泉高度専門技術員
(同行者)
工業省 Ms. Shinta Shirait (Deputy Director), Ms. Rizka Triwardhani
西ジャワ州工業局
(応対者)
Ms. Silvia
PT. Pura Barutama : Mr. Bowo (Energy Manager), Mr. Arie Hartono Putro
Tjandra (Assistant Energy Manager)
PT. Pura Nusa Persada : Mr. Teojilus Liong (Factory Manager), Ms. Rina Dwi
Harsiwi
PT. Pura Nusa Persada は今回初めて工場を訪問した。同じ Pura グループの工場である。
PT. Pura Barutama が紙幣用紙を始めとする高級紙や各種事務用紙を製造しているのに対し、
Ⅳ-106
PT. Pura Nusa Persada は、従業員約 500 名で段ボール特にセメント包装袋等を年間約 45000
トンを製造しておりリサイクル用紙を多く利用している。製造ラインは 2 ラインで構成されて
いる。当初 PT. Nusa Bautama の工場の近隣との説明であったが、実際に車で移動した時間か
らは 10km 以上離れていると思われる。
●質問状の回答内容の確認など
エネルギー使用状況等に関する疑問点に対して一部のデータの誤りの修正を含め疑問であっ
たデータや情報は確認できた。また、エネルギー管理体系構築に係る活動の要点や現在実施中
あるいは計画中の省エネ対策に関してのエネルギー管理面の検討過程や根拠を含む進捗に関し
ても説明を受けた。
基本的にこのプログラムの方針を理解して的確に活動を実施している。
Pulper の回転数制御や照明設備の高効率の蛍光管やナトリウムランプへ 2000 本以上を取り
替えるなど具体的な改善が進捗していた。
また、新たな改善策として、リサイクル用紙の利用や紙幣用紙等の製造過程で発生するプラ
スチック廃材を活用することを検討している。プラスチック廃材を燃油として回収する技術が
日本で開発されている事実を知り情報を収集していた。我々は製紙部門で適用されたこの技術
の具体的な情報を持っていなかったが、日本で製鉄やセメント産業で開発過程から利用過程に
おいて経験した課題等に関する意見交換を行った。燃焼過程で生成する可能性のある塩素由来
のダイオキシンなど公害面の懸念についても議論を行った。プラスチック廃材の生成量も小さ
く、商業的には成り立つとは思えないが、我々もこの技術を帰国後調査する。
エネルギー管理ツールなどに関しては、先日供与したエネルギー・物質収支‐コスト管理デ
ータベースは試用過程であったが有用であるとの評価をもらった。日本でのワークショップ
(BEC ID4)でこのデータベースの利用方法として、同じ生産ラインで品種や品種の異なる製品
を製造する工場もあり、この場合の操業方法とデータ管理方案を議論したが、引き続きの課題
としてデータベースに基づくエネルギー管理を行うための計装設備がないといった点が確認で
きた。この点を考慮した改善に基づきデータベースを利用してもらう事が重要である。
また、エネルギー管理標準に関しては、更に検討が進捗するように、日本の判断基準に関す
る更に詳細な情報を提供した。加えて、エネルギー管理に従事する関係者の教育訓練が重要で
あるが社内教育はまだ十分整備されていない状況で、この観点から ECCJ が編集した「エネル
ギー管理テキスト」の主要な内容に関する情報を提供し、これらの点を考慮した教育カリキュ
ラムを検討するよう助言を行った。
●課題と新たな提案・提言など
一方で、討議を通じていくつかの課題も具体的になった。即ち、燃料の管理に関する課題で
Ⅳ-107
ある。
燃料はボイラーで石炭とバイオマスを使用しているが、個々の燃料の水分管理や混合比管理
など性状管理が十分とは言えない。つまり、ボイラーで使用する燃料の発熱量管理が十分でき
ていない。ボイラーの発生蒸気の温度と圧力を管理しているのみである。燃料の性状管理を改
善すれば発生蒸気も更に安定し燃料原単位も低減できると考え、この点の改善を助言した。
後述する PT. APAC Inti Corpra の工場でも同様の課題が見出されており我々としてできる
助言の要点を整理した。
① 定期的な水分測定の実施。赤外線水分計等連続的に測定するためのセンサーを検討する前に
石炭やバイオマス燃料のサンプリングによる絶乾法による測定を推奨。
② 燃焼性を含め燃料の粒度や混合方法の改善
③ 排ガス中の酸素や CO 及び未燃炭素、及びアッシュ中の未燃炭素分析の実施
PLN の電力料金が上昇し続けており、現在 PT. Pura Nusa Barutama でコスト的に見合わ
ないために停止している発電設備を再稼働させる計画を検討している。更に、 PT. Pura Nusa
Persada では、10 MW の発電設備を導入する計画がある。詳細は以下に述べるが、この設備
でも同様に石炭とバイオマスを燃料とする計画となっており、上記のような改善を実現してお
くことが重要である。
本件との関係を含め、上記助言を含めた燃料と燃焼の管理・制御システムを日本のメーカー
と提案出来るのではないかと考えるので本プログラムに協力してくれている日立製作所や
Azbil と相談したいと考える。
10 MWの発電設備の設置計画(PT. Pura Nusa Persada)
本件は同社の活動計画の大きなプロジェクトである。既に Pura グループと日立製作所とが
協議を始めて、ボイラーメーカーに関しては ECCJ にも紹介を依頼されたので、3 者間で訪問
前から協議を続けていた。
現地でこの案件に関する協議を行ったが、結論としてまだ案件の具体化が進んでいなかった。
今回の結果を日立製作所と共有し、具体的には日立製作所にこの発電設備の基本設計を提案し
てもらうように相談したいと考える。日立製作所と日系ボイラーメーカーが共同提案するフォ
ーメーションが出来ないかと考える。
現地訪問前に確認が必要とした点とその確認結果は以下の通りである。
①
10 MW 発電プラントの電力と蒸気の利用とバランス:同工場と近接関連会社の工場で利
用
電気と蒸気
→
PT. Pura Nusa Persada, PT. Pura Coating 及び PT. Pura
Boxindo
電気のみ
→
PT.Pura Engineering 及び PT. Pura Agro
量的なバランスのデータは入手できなかったが、心配していた発生蒸気総和は需要以下で
あるとの事。
Ⅳ-108
②
設置場所など
隣接するサトウキビ畑 (7 ha との事) に設置する案が本案である。
但し、工場の蒸気使用先と発電プラントの距離が 100 – 200 m は離れるので、配管圧損や
放熱の視点から設計上の配慮が必要となるのでこの点の議論を行ったが、既存ボイラーの
設置場所を利用するために製品置場の変更などレイアウト変更を含む設置案の代案が出て
きた。
③
ボイラーの基本仕様
結論としてはっきり決定していない。石炭の循環流動床式に変更するとの説明であったが、
善意を含むバイオマスとの混焼とする場合の燃焼の問題を議論したところバイオマス燃焼
ボイラーを別に設置するとの考え方も出てきた。投資面からどうかと考える。三浦ボイラ
ーなど現地法人を有するボイラーメーカーにも相談するよう助言した。
ECCJ から、蒸気システムと発電設備に関して、参考情報として 3 ケースを紹介した。(単段
と二段タービン及び抽気方式の相違による蒸気システムの基本設計の考え方とエネルギー効率
の差など)この情報提供と議論はこの案件の仕様を考える上で参考になったと考える。
この案件は、日立製作所が Pura グループから提案を求められており、
2-2.
PT. APAC Inti Corpra (繊維) の工場訪問
(ECCJ)
吉田副センター長、小泉高度専門技術員
(同行者)
工業省
Ms. Shinta Shirait (Deputy Director), Ms. Rizka Triwardhani
西ジャワ州工業局
(応対者)
(12 月 10 日)
Ms. Silvia
Mr. Lalu Yayan Zuhran (General Manager, HR&CA), Mr. Deni Kurnia
(Energy Manager), Mr. Aifani Syafran, Mr. Bang Bang
他
●質問状の回答内容の確認など
我々の疑問点に関するデータや情報を確認できた。ISO50001 の認証を既に取得しており、
データ管理はしっかりしていると言えよう。
エネルギー使用については、エネルギ使用量の 80%を Spinning 工場が 11%を織布生地製造
工場そして 9%をデニム製造工場で消費している。
去る 7 月の訪問時に日本側 (TLV 社)から提案された蒸気システムの省エネ改善は、9 月から
10 月にかけ早速スチームトラップの交換を始めており、コンデンセートポンプの更新の計画も
検討に入っている。TLV 社が更なる省エネ診断と更なる蒸気システムの省エネ対策を提案する
業務を同社に提案しているが、先般の提案の中から自分たちでできる改善を始めていることも
ありまだこの提案の具体的な検討が進んでいない。
また、エネルギー鉱物資源省を通じて DANIDA により推奨された改善も、工場の照明を T8
等高効率蛍光灯や LED 照明への取り替えや圧空設備のインバーター導入による効率化も始め
ていた。
Ⅳ-109
エネルギー管理ツールなどに関しては、ECCJ でほほ策定が完了したばかりの繊維工場用の
エネルギー・物質収支‐コスト管理データベースについて、データベースの基本設計とデータ
のインプット方法を含む利用方法を ECCJ 側から説明し具体的な議論を行った。
また、エネルギー管理標準に関しては、製紙工場と同じく、日本の判断基準に関する更に詳
細な情報を提供し、工場の標準化を推進するよう助言した。加えて、エネルギー管理に従事す
る関係者の教育訓練に関しても、社内教育はまだ十分整備されていない状況で、この観点から
この工場に対しても、ECCJ が編集した「エネルギー管理テキスト」の主要な内容に関する情
報を提供し、これらの点を考慮した教育カリキュラムを検討するよう助言を行った。
●課題と新たな提案・提言など
この工場でも、討議を通じて Pura グループと同様、燃料の管理に関する課題を具体的に把
握することが出来た。
この工場でも、燃料はボイラーで石炭とバイオマス(ヤシの実の殻)を使用しているが、個々
の燃料の水分管理や混合比管理など性状管理が十分なされていないため、ボイラーで使用する
燃料の発熱量管理が十分できていない。この工場でも、燃料の性状管理を改善すれば発生蒸気
も更に安定し燃料原単位も低減できると考える。また、排ガスの酸素濃度やアッシュを含む未
燃成分の分析も全く実施しておらず以下の点の改善を助言した。
助言を整理すると、Pura グループの項目にまとめた通りとなる。繊維工場に対しても、日
本側から、ボイラー設備における燃料及び燃焼の管理・制御システムに関する提案を行えると
考える。この点を含め協力してくれている Azbil 社やボイーラーメーカーと提案を相談したい
と考える。
2-3.PT. Sinar Pantja Djaja (繊維) の工場訪問
(ECCJ)
吉田副センター長、小泉高度専門技術員
(同行者) 工業省 Ms. Shinta
西ジャワ州工業局
(応対者)
(12 月 10 日)
Shirait (Deputy Director), Ms. Rizka Triwardhani
Ms. Silvia
Mr. Raja Sekaran (General Manager, Production), Mr. Sunaryo (Manager,
Utility), Mr. Robin (General Manager, Finance)
●工場概要
この工場は初めて訪問した。SRI TEX Group 参加の工場で、ポリエステルやレーヨン及び
綿を素材とする紡錘糸を年間約 34,000 トン製造している。従業員は 2,600 名。製品はユニフ
ォームの生地に加工され、軍服や我々が着用している工場等の作業着や制服に使用されている
との事であった。
工場の操業は、3 交代体制で 24 時間/日年間ラマダンの休暇を除く 360 日間の連続稼働とな
Ⅳ-110
っている。前述したように、同工場の製品を他の SRI TEX Group の工場で加工している。
●質問状の回答内容の確認など
我々の疑問点に関するデータや情報を確認できた。
エネルギー管理者(国家資格保有者)である Mr. Sunaryo が大変優秀な技術者であり、我々
の方針と事業の基本的な実施方案をほぼ完璧に近く理解してくれており、データ管理を始め管
理の整備状況及びこれに基づく省エネ対策の実施を着実に実施していることを確認した。彼は、
本プログラムの活動にも熱心で、先に述べた PT. APAC Inti Corpra や後述する PT. Nissin
Biscuit Indonesia での活動 Mr にも参加してくれた。上司の Mr. Raja にも深く感謝したい。
彼を通じて提案された SRI TEX Group に本プログラムを拡張する案も、具体的には実施方
法を検討しなければならないが、本プログラムの狙いの本質でもあり、鉄鋼分野の PT. Ispat
Indo と同様に一つのモデルにできると考える。
工場は Spinning が最終工程となっている。使用しているエネルギーは電力が主体であり、
値上げが相次ぐ電力料金も背景にあり、先の日本でのワークショップ (BEC ID4)で立案した改
善策の実施を進めていた。即ち、受変電設備の力率改善 (97%以上) や、Ring Frame 機は機
械の効率化を含めたインバーター設置による VSD 化やファン・ポンプの VSD 化に加えて、照
明設備も LED 照明への展開を進めており既に 10000 個の照明のうち約 2000 個を LED 照明に
取り替えていた。この結果 30%の省エネを達成し多大な電力料金の節約を実現していた。
また、更に投資が大きくなるが、圧縮空気の供給設備をコンプレッサー含め効率化する計画
を検討している。
エネルギー管理ツールに関しては、PT. Apac Inti Corpra の工場と同じく ECCJ が策定した
ばかりの繊維工場用のエネルギー・物質収支‐コスト管理データベースについて、データベー
スの基本設計とデータのインプット方法を含む利用方法を ECCJ 側から説明し具体的な議論を
行った。
また、エネルギー管理標準に関してはまだこれから整備を進める状況にあり、他の工場と同
様に日本の判断基準に関する更に詳細な情報を提供し、工場の標準化を推進するよう助言した。
また、エネルギー管理に従事する関係者の教育訓練に関しても、社内教育の整備を推進する
ために、この工場に対しても、ECCJ が編集した「エネルギー管理テキスト」の主要な内容に
関する情報を提供し、これらの点を考慮した教育カリキュラムを検討するよう助言を行った。
●課題と新たな提案・提言など
工場は内部もきれいに整備されており、工場の現場を含め、エネルギー管理面で助言した点
以外は目につく更なる改善が必要な点は特になかった。
Ⅳ-111
なお、同社から提案があった SRI TEX Group に対する本プログラムの拡張に関しては、基
本方針として賛同できる。課題は、我々がパートナーとして支援する SPD 社が Mr. Sunaryo
だけではその活動の中心になり機能できるかを考えると、マンパワー的に難しいと考える。従
い、SRI TEX Group の参加の企業の工場関係者を SPD 社の工場を借りた我々のプログラムに
参加してもらう方式とするのが合理的と考える。この場合、勿論、工場の責任者である Mr. Raja
の承認が必要であり、社内を始めグループ内でオーナーを含め協議して頂く必要がある。
2-4.PT. Nissin Biscuit Indonesia (食品) の工場訪問
(12 月 11 日)
活動のキックオフ
(ECCJ)
吉田副センター長、小泉高度専門技術員
(同行者)
工業省
Ms. Shinta Shirait (Deputy Director), Ms. Rizka Triwardhani
西ジャワ州工業局
(応対者)
Ms. Silvia
Mr. Tjahya Kailani (Managing Director), Mr. Hendardi T.P. (Chief
Engineer) 他
今回新規に協力工場となってくれたので、この活動のキックオフを行った。始めは以下に報
告するように工場長の本プログラムの目的や方針に関する理解が浅く、工業省や我々との行き
違いがあったが最終的に理解して具体的な活動の準備を始めることが出来た。
●工場概要
従業員は 700 名で製品であるビスケットを年間約 31,000 トン生産している。工場を 24 時間
3 交代体制で操業している。
●活動結果
活動をキックオフするためのセミナーワークショップとしては以下に述べる事情で予定通り
実施できなかったが、オブザーバーで参加した SPD 社の Mr. Sunaryo が本プログラムに参加
して実施した改善を含め同工場関係者の研修を後日 ECCJ に代わって実施してくれることにな
り、活動準備は開始することが出来た。なお、セミナー資料は事前に電子データで渡していた
ので、参加者の一部は事前に目を通していたと考える。
冒頭に工業省の Ms. Shinta により訪問の目的と受入れの感謝を述べた時点で、工場長であ
る Mr. Kailani から資料に食品工場の関係のデータベースや管理標準が見当たらないが、これ
らの資料をもらえるのかとの質問が突然出された。従い、吉田の方からこの事業の経緯や性質
及び内容そして方針と基本計画を説明し、その後その説明内容に関連し「この工場も省エネは
相当改善を実施しほぼやり尽した。従い、日本で省エネを達成した省エネ事例を持って来ても
らってその事例を模倣すれば即効的に省エネを実現できる。」との意見を Mr. Kailani が述べた
ので、この誤解を解くために彼の質問に答えながら理解を修正するための議論を延々と 3 時間
Ⅳ-112
続けた。
Mr. Kailani も省エネは大変重要でメリットが大きいとの点は全く同じ見解であり、議論の
末に本事業とプログラムの目的や方針及び内容の要点をようやく理解してもらうことが出来た。
この議論の過程でオブザーバー参加した SPD 社の Mr. Sunaryo が、本プログラムに参加し
て実施した活動とその活動を通じて彼の工場で実現した省エネの事例を具体的に説明し、この
プログラムがいかに有益なものであるかを強調してくれた。彼はまたこの工場の簡単な省エネ
診断を行うことも提案してくれた。この後 Mr. Kailani から Mr. Sunaryo に対して用役部門の
技術者の研修を行ってくれるかとの要請が出され、Mr. Sunaryo は 1 日程度であれば引き受け
ると約束してくれた。
Mr. Kailani が理解を深めるための Mr. Sunaryo の協力の貢献は大きかったと考える。この
事実も、本プログラムの成果と言えよう。
この後、残された時間は短時間であったが午後工場を見学させてもらいながら意見交換や助
言を行えた。
上記の原因は、工業省が急いて本工場のプログラム参加要請をして進めたため、Mr. Kailani
の十分で正確な本プログラムに関する理解を得ない状態で訪問に至ったことにあり、工業省も
この点を認めた。(Ms. Shinta によれば、Mr. Kailani は過去の経験から官僚や役人を信用して
いないとのこと。その背景から本件の内容に関する一切の説明を吉田が行った。Mr. Kailani
の口からも、過去エネルギー鉱物資源省が某社に委託して実施した省エネ診断結果に従い空調
用のチラーを改造したが、多額の投資を行ったのにも関わらず効果が推定通り上がらず無駄な
投資をしたとの不満が漏れたが、このような過去の経緯が原因にあるようだ。)
この工場は一般の顧客に対しても広く工場見学を受け入れており当日も高校生や中学生がバ
スで多数見学に来ていた。同工場の製品の即売会場を兼ねる喫茶室には、工場の縮尺模型とラ
インの模型が飾られていた。これからも同工場が社会に対してオープンだと考える。
●工場の調査結果と助言
1 時間程度の短時間になってしまったが、ビスケット製造工場(原料の混錬→発酵→熟成→
成形機→焼成→仕上げ→冷却→包装)とボイラー設備や水処理設備を見学調査させてもらった。
現場には Mr. Kailani が自ら工場を案内してくれた。
説明の通り、プロセスの設備は新しく効率の良い機械を使用していた。360℃でビスケット
を焼く焼成ラインは、電気加熱から CNG 加熱の装置に一部変更しているとの事でこのために
高価な CNG をタンクローリーで購入していた。電力料金が高くなっていることが背景にある。
ラインに入れてもらい、特に CNG 加熱の焼成窯(ライン:乾燥→昇温→焼成→仕上げ→冷
却)の壁面からの放熱が大きいと肌で感じた。従い、この焼成ラインのエネルギーバランスを
調べたことがあるかどうか確認したらまだそのような事をしたことがないとの事で、逆にどう
すればこのラインのエネルギーバランスを評価できるのかを質問されたので、現場で排気等の
計測の場所や方法等を含めてやり方を助言した。食品を扱うので慎重に判断しなければならな
Ⅳ-113
いが、排ガス循環を導入すればかなりの省エネが出来ると直感した。この案を後日の調査の楽
しみに残しておきたい。
また、ボイラーは蒸気をほとんど使っていないこともあり、工場のバイオマス廃棄物を燃焼
させて熱交換させる簡単なもので 1-2 t/h の設備であった。他の焼却炉は熱交換器も設置され
ずに廃棄物の焼却だけ行っていた。工場には吸収式冷凍機もあり廃棄物燃料とのバランスで更
に蒸気を回収してこの冷凍機に蒸気を利用できないか検討する価値もあろう。
更に、排水は排水処理設備にて処理後工場内で再利用されているが、ここでもブロワー等電
力を消費している。操業条件によってはインバーターによる風量制御の適用もあり得る。
一方、CNG を使用していたので、ガスエンジンコジェネの導入の可能性を提言したところ、
強い関心を示し詳細を質問してきたのでこれに答えながら現場で議論した。CNG はパイプラ
インでなくタンクローリーでの購入なのでの価格が高いと思われ確認が必要だが経済性には疑
問は残る。
以上、工場の現場でいくつかの改善のための助言と意見交換を行ったが、更に診断や調査を
行えばより具体性のある検討と提案が出来そうである。
また、ECCJ のエネルギー・物質収支-コスト管理データベースは使えるツールと認識してく
れており、今後この工場のプロセスを考慮した食品産業のデータベースをどう設計するか検討
する必要がある。
問題は、気の早いまた短気な Mr. Kailani が根気よく改善の持続性を高めるための省エネ指
針やエネルギー管理標準の整備等を忍耐強く技術者にやらせる事ができるか懸念が残るので、
我々の方からのフォローが必要になって来ると考える。
今後のこの工場の動きを見て工業省と共にフォローしていきたい。
3.その他
PT. Semen Indonesia のエネルギー使用状況などに関する質問状の回答を得るに当たり、デ
ータや情報提供に機密保持の合意書を交わす条件が同工場から提示されたことを出発直前に知
らされ、工業省を通じて工場側に我々のインドネシア出張に間に合うよう書類の準備を行うよ
う工場側に要請したが、結局滞在中には間に合わなかった。
既に、7 月の工場訪問時及び日本でのワークショップ(BEC ID4)開催時の議論に基づき、Azbil
社等が改善プロジェクトの提案に係る調査などを2社間でも進めており、この合意書の署名を
して十分フォローできるようにしておきたく、この点を工業省に依頼した。
Ⅳ-114
添付資料
Ⅳ-2-1-3 (1)
協力工場(製紙と繊維)でのフォローアップの標準プログラム
Time
(AM)
08:00-08:10
08:10-08:15
08:15-08:30
08:30-08:50
08:50-09:10
09:10-10:00
10:10-11:10
11:10-11:30
11:30-11:35
Agenda
Welcome Remarks (Cooperating Factory)
Self Introduction
Purpose of Visit (MOI and ECCJ)
Progress in Activities Based on the “Action Plan” (Cooperating Factory)
Confirmation – Discussion : Questionnaire-1 (Including feedbacks on
“Energy-Material Balance & Cost Management Database”)
(Mr. S. Koizumi and Mr. K. Yoshida, ECCJ)
Confirmation – Discussion : Questionnaire-2
(Mr. K. Yoshida and Mr. S. Koizumi, ECCJ)
Explanation : “Energy-Material Balance & Cost Management Database
for Textile” (繊維工場のみ)
Field Survey (If points to confirm in field are found based on the
discussion.)
Otherwise continue discussion
Wrap-up / Confirmation of Future Plan
Closing
食品工場で予定した
Time
08:30-08:40
08:40-08:45
08:45-09:00
09:00-09:20
09:20-09:40
09:40-10:10
10:10-10:30
10:30-11:00
11:00-12:15
12:15-13:30
13:30-13:45
13:45-14:45
14:45-15:00
キックオフ
セミナーワークショップのプログラム
Agenda
Welcome Remarks / Policy for EE&C (PT. Nissin Biscuit )
Self Introduction
Purpose of Visit (MOI and ECCJ)
Introduction of PT. Nissin Biscuit Indonesia and Semarang Factory
(PT. Nissin Biscuit Indonesia)
Implementation Plan of the “Pilot Program” for FY 2014
(Mr. K. Yoshida, ECCJ)
Points to Establish Energy Management System Based on ISO 50001
Including “Judgement Standard” and “Energy Management Standard”
(Mr. K. Yoshida and Mr. S. Koizumi, ECCJ)
EM Tool : Energy-Material Balance & Cost Management Database
(Mr. K. Yoshida, Mr. S. Koizumi, ECCJ)
Confirmation and Discussion : Reply to ECCJ’s Questionnaire
Field Survey
Lunch Break
Overall Question & Answer
Discussion / Advice : Basic Implementation Plan
Closing
END
結果は、午前はプログラム通りではないが本事業の計画の説明と議論を、午後は工場の調
査を行った。終了時間は計画通り 15 時。
Ⅳ-115
Ⅳ-2-2.受入研修
本章の冒頭に述べた進め方に従い、Ⅳ-2-1の専門家による現地業務と連携して日本でワ
ークショップを 2 回開催した。具体的には次の2コースである。
○インドネシアのエネルギー多消費産業の省エネルギー推進 (BEC ID 4)
工業省をカウンターパートにして、関係省庁や対象産業分野の産業団体及びプログラム実
施協力工場の関係者を対象に実施した。
以下のテーマに関する協力工場等による活動の進捗をフォローし課題を明確にして活動計
画を策定する。
(1) ISO50001 に基づくモデル的エネルギー管理システム構築と効果的省エネプロジェクト
の形成
(2) ESCO パイロットプロジェクトの検討
(3) 上記を推進するための規制や支援策の改善に関する検討
協力工場と関係業種の産業団体は項目(1)を、工業省など政府機関とインドネシア ESCO 協
会は項目(2)と(3)に関する活動計画を策定した。
○省エネルギー推進のための 法制度の改善及び支援制度の設計
(BEC ID 5)
エネルギー鉱物資源省をカウンターパートにして、同省の新再生エネルギー省エネルギー
総局と電力総局の省エネ政策担当の中堅担当官を対象に実施した。
以下のテーマに関しインドネシアの省エネ政策や規制及び支援策の現状と課題を明確にし
て、改善に向けた活動計画を策定する。
(1) ISO50001 を考慮した省エネ規則下でのエネルギー管理に関する指針の策定や標準化
(2) 効果的な省エネ技術や省エネ機器を導入し普及する為の支援制度の設計
1. インドネシアのエネルギー多消費産業の省エネ促進ワークショップ (BEC ID4)
カウンターパートは工業省
1-1.実施概要
実施期間
研修目的
平成 26 年 9 月 4 日~9 月 11 日(6 日間)
*内訳:講義(1.0 日間)、見学(2.0 日間)、発表・討議等(3.0 日間)
2012 年度に終了したMIDEC注1 を通じた省エネ協力に基づき、経済産
業省 (METI) と工業省 (MOI) との間で新たなステージで省エネ協力
を行う事が合意され、2014 年 2 月に実施したワークショップ(BP ID3)
で以下のプログラムから成る事業をキックオフし新たな事業を開始し
た。
(1) ISO50001 に基づくエネルギー多消費産業でのモデル的エネルギー
管理システム構築
Ⅳ-116
(2) ESCO パイロットプロジェクトの実施
今年度、鉄鋼・セメント・紙パ・繊維の 7 工場で事業(1)の実施を開始
し、事業(2)はコアとなる政策担当者や実務者の資質向上を目的とした
工業省のビルでの事業検討を開始した。本ワークショップは、事業(1)
に特に本年 7 月から新規に参加した工場等での活動計画を、また事業
(2)は工業省のビルでの事業を始めとする今後の検討に関する活動計画
を、そして政府はその為の政策や法制度の整備に関する活動計画を立
案する事を目的とする。
注 1 : MIDEC (Manufacturing Industry Development Center
Initiative)
2007 年締結の EPA に係り、尼国の産業競争力向上のための製造業の基盤
強化の為、省エネを含む 13 業種で協力を実施した。
研修者数:以下の組織から21人の参加。(団長の直属上司ら2名の自
費によるオブザーバー参加を含む。(最終日含む2日間)。
対象者
① 政府関係者
工業省(MOI)、エネルギー鉱物資源省(MEMR)、財務省(MOF)の政策担
当官
② 産業団体等民間関係者
製紙やセメント分野の協会やプログラムに協力する工場の関係者
重点内容
③ インドネシアESCO協会関係者
(1) エネルギー多消費産業でのエネルギー管理体系構築と管理ツール
(MFCA活用のエネルギー・物質収支-コスト管理データベース、判
断
基準や管理標準等)。
(2) 蒸気システムの省エネ技術を始めとする日本の省エネ技術
(3) 技術導入の為のJCM 注2 の制度整備の進捗と計画。
注2:JCM ( Joint Crediting Mechanism )
成果
(アウトプット:
活動計画)
以下の活動計画が立案された。
① エネルギー多消費産業におけるエネルギー管理システムモデルの
確立
Establishment of Energy Management System in Energy
Intensive Industries
●鉄鋼工場でのエネルギー管理システムの確立
●セメント・繊維・紙パ工場におけるエネルギー管理システムの確
立
② キャパビルのための ESCO 導入のためのパイロットプロジェクト
Establishment of Pilot Project to Introduce ESCO for Capacity
Building
③ 産業分野にエネルギー管理システムと有効な省エネ対策を導入普
及するための政策及び法制度の枠組み構築
Development of Supporting Policy and Legal Framework to
Introduce and Disseminate Energy Management System and
Effective Energy Conservation Measures in Industrial Sector
1-2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
インドネシア側から以下の報告を発表し課題等を討議した。
・産業セクターにおけるエネルギー管理システムの構築・普及と
省エネ推進の為の施策
Ⅳ-117
講義
情報共有・
交流
討議
見学
小集団
グループ
討議
討議結果
最終報告
・エネルギー管理システム構築パイロットプログラムの協力7工
場に
おける進捗と課題
・産業部門におけるESCOパイロットプロジェクト展開に向けた
進捗
次の講義を行って知識や情報を提供した。
・エネルギー管理と関連実施機関によるアクション
・日-尼間の JCM に関する制度構築の進捗と計画
・エネルギー管理システム構築に活用する管理ツール
・蒸気システムの省エネ技術
上記の講義の中で更に参加者から工場における課題を共有し、講師や
専門家と解決に向けた助言や意見交換を行った。
以下の団体とそれらの会員企業との間で情報交換や意見交換を
通じた交流を行った。
1. JASE-World及びその会員との交流
会員企業は13社が参加。JASE-Worldの活動と3社による技術
PRを行
い意見交換や討議を実施。
2. 本事業のプログラムに協力する日本企業関係者との交流会
日本企業3社とインドネシアの協力工場の参加者が3社が提案
した省エネ対策案に関して、提案を深める為の情報交換や協議を
実施。
・グループ討議(活動計画の策定)
以下の省エネ/エネルギー管理優秀事例事例(FEMSの紹介含む)
工場
を訪問し交流した。
① セメントの製造工場(廃棄物リサイクル含む省エネ)
② 石油精製工場
③ 紙パルプ製造工場(再生紙製造)
④ 繊維工場
4グループで下記テーマの解決策や実施策等について討議した。
① エネルギー多消費産業でのエネルギー管理体系構築の活動計画
・先行する鉄鋼工場でのモデルとなるエネルギー管理システム構
築と有効な省エネ改善策
・新規参加の紙パルプ、繊維及びセメント工場でのエネルギー管
理システム構築と省エネ改善策
② ESCO パイロットプロジェクト策定
③ モデルとなるエネルギー管理システム普及の為の政策や法制度
の構築と、有効な省エネ技術や設備導入に向けた政府による支援
策
上記の討議の結果次の活動計画が策定された。
① エネルギー多消費産業でのエネルギー管理システムモデル確立
Establishment of Energy Management System in Energy
Intensive Industries
●鉄鋼工場でのエネルギー管理システムの確立
●セメント・繊維・紙パ工場におけるエネルギー管理システム確
立
Ⅳ-118
②
③
キャパビルのための ESCO 導入のためのパイロットプロジェク
ト
Establishment of Pilot Project to Introduce ESCO for
Capacity Building
産業分野にエネルギー管理システムと有効な省エネ対策を導入
普及するための政策及び法制度の枠組み構築
Development of Supporting Policy and Legal Framework to
Introduce and Disseminate Energy Management System and
Effective Energy Conservation Measures in Industrial Sector
上記の結果に基づき、更に以下の点を協議した。
● 提案された改善策に関する具体的な討議
● 今後の現地での計画
上記の討議に基づき、11月に現地で特に新規に参加した工場での
活動のフォローを重点に活動する事とした。
詳細な日程を含む計画は、今後ECCJと工業省の間で協議する事
とした。
1-3.実施評価
研修生代表
研修生
(評価書)
ECCJ の
評価
今回のワークショップは大変有益であり、日本で得た知識と経験
は全て今後の活動に有用である。
ESCOパイロットプロジェクトのプログラムに関しては、政府側
もまだ検討が必要な課題が多い。一つずつ解決していきたいの
で、ECCJ始め日本の協力をお願いする。
今回のワークショップは今後の活動に向けて大変有用であった。
一方で、課題や要望として以下の点が挙げられた。
① 紙パルプや繊維の専門家に現地活動を含めて参加してもらい
たい。
(ECCJで適切な専門家がこれまで見つかっていない。)
② エネルギー・物質収支-コスト管理データベースは大変有効
であ
る。各業種のデータベースをESCO協会でも使用したいのでこの
た
めの研修会を行って欲しい。
全体として目的を達成できたと考える。
今回のワークショップの工夫点として、各講義の中でそれらのテ
ーマに関する各工場の課題を共有してこれらをどう解決すべき
か討議や助言に時間を割いた点で、これは日尼両方にとって大変
有用であった。
また、本事業に参加する日本企業と具体的な改善策を討議する場
を設定した事も良い企画であったと考える。
特に、MFCAを活用しECCJが開発したデータベースに関して、
先に試用を行っている鉄鋼やセメント工場は具体的なデータの
入力や管理方法に関して、また今回初めて披露した紙パのデータ
ベースは基本設計に関する討議と具体的な使用方法を説明を行
Ⅳ-119
い理解を深めて大変高い評価を受けた。
課題や要望は今後検討すべき点である。対象となる業種のうち紙
パや繊維業で見学できるような工場は最近非常に少なくなって
いる。従い、ECCJもこれらの分野の専門家を探すのが困難とな
っている。
従い、鉄鋼等の業種の技師を使って紙パや繊維分野の共通事項は
対応しているのが現状である。また、データベースもECCJの自
主事業対応を含め検討課題が残った。
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
① ESCOに関しては期待感が非常に強い。これはインドネシア
でも電気料金等のエネルギー価格が急騰しており、企業の経営に
影響が出始めているため、待ったなしの対策実施を迫られ始めて
いる事情による 。一方 で資金調達は大 きな課 題であり、結果
ESCOの期待が更に高まっている事による。
今回、パイロットプロジェクトとして工業省のビルの省エネ
を検討しているが、まだテーマと課題が具体的に見出せなかった
ので、今回のワークショップはこの課題に関する直接的なカリキ
ュラムは含まなかった。今後、これらが具体化する時点でのカリ
キュラムを検討しておく必要がある。
② 参加した業種が多かったが今回はエネルギー管理や蒸気な
どの用役類の省エネ等共通する事項を中心にカリキュラムを組
んだ。
今後事業の進捗に応じて、省エネ技術のビジネス展開の観点から
は、いくつかの特定の業種を対象にしたワークショップの検討が
必要になろう。
③ 項目②の点はJASE-Wとの交流会の設定においても言える。
参加企業は自社の意向とインドネシア市場への関心から多く参
加したが、プレゼンされた技術とインドネシアの参加者の関心が
必ずしも合致していなかったのではないかと危惧する。今後、こ
の方案を改善する必要がある。
④ 省エネ政策や法規制面はエネルギー鉱物資源省が主管であ
るが、これに基づき工業省で産業部門の省エネを推進するための
施策を検討している。これをうまく支援するために、別に開催す
るエネルギー鉱物資源省の省エネ政策担当官の研修で連携出来
るカリキュラムを検討したい。
Ⅳ-120
インドネシア向け省エネワークショップ (BEC ID4) プログラム
Date
午前
午後
オリエンテーション
プログラムガイダンス
09:45 開講式
10:30基調講演 (ECCJ:谷口常務)
パイロットプログラムの実施方針:
エネルギー管理と関係機関のアクショ
ン
14:00講義 (METI:蓮沼課長補佐)
日本-インドネシア間の JCM:概
要と制度整備の実績及び計画
15:15情報共有と討議:
●カントリーレポート発表(研修生代
表)
●意見交換 / 討議
(METI, ECCJ 及び産業団体関係者
と)
09:00
9月 4日
(木)
09:00 講義 (ECCJ:吉田部長)
14:00 講義・実習 (TLV)
●ISO50001 に基づくエネルギー管理シ ●蒸気設備の省エネ技術
ステムの構築における管理ツール活用
(TLV 東京 CES センターにて)
9月 5日
(金)
10:30 助言・討議
協力工場におけるエネルギー管理の課 15:30 助言・討議
題
協力工場における蒸気システムの省
●エネルギー管理ツールの適用(エネル エネ対策の課題
ギー・物質収支-コスト管理データベー
ス、判断基準とエネルギー管理標準)
9月 6日
(土)
9月 7日
(日)
休日
休日
9月 8日
(月)
10:00訪問(デーシーセメント)(神奈
15:00 訪問(出光興産) (千葉)
川)
●エネルギー管理・省エネ技術
●エネルギー管理・省エネ技術
●蒸気の省エネ
●工場内のエネルギー使用の最適化
9月 9日
(火)
09:30 訪問(王子マテリアル) 静岡
●エネルギー管理・省エネ技術
●工場内のエネルギー使用の最適化
9 月 10 日
(水)
09:30 情報共有・交流 (JASE-W等)
14:00 グループ討議(活動計画)
●鉄鋼・セメント・紙パ・繊維・食品・石油精製 (最終発表資料の準備を含む。)
の省エネ技術、コジェネ、廃熱回収、蒸気等
用役系統の省エネ
11:30 助言・意見交換(本事業参加企業)
協力工場の技術導入上の要望や課題
9 月 11 日
(木)
15:00 訪問(クラボウ) 安城
●エネルギー管理・省エネ技術
●節水型染色設備など
14:00 全体討議(次回の活動計画確
認)
プログラム評価
閉講式
09:30-12:30
活動計画の発表と討議
Ⅳ-121
2.インドネシア工業省向け省エネ政策研修
(BEC ID5)
2-1.実施概要
実施期間
研修目的
平成 26 年 11 月 6 日~11 月 12 日(5 日間)
*内訳:講義(1.5 日間)、見学(1.0 日間)、発表・討議等(2.5 日間)
インドネシアエネルギー鉱物資源省 (MEMR)注 1 内に省エネ新エネ総
局 (DGNREEC) 注 2が設置され新たな担当官が配置され、電力総局
(DGE) 注 3を含むこれらの政策担当官の「エネルギー政策の立案・執行能
力向上」を目的とする研修を、過去3カ年3回にわたり実施した。この結
果、参加者が策定した省エネ、新再生エネ、及び電力分野の活動計画に
基づく同国のエネルギー政策の改善に向け実現の努力を重ねつつある。
一段階として実施したこの研修の結果、活動計画の施策テーマも具体化
した。
従い、今年度は、第二段階としてこれまでの成果を礎にして、インド
ネシアにとり優先課題である「省エネルギー政策の整備」に焦点を当て
たワークショップを開催した。
同時に、一方では同国の工業省とはエネルギー多消費産業の省エネ推
進をエネルギー管理体系の構築とこの活動に基づく省エネ対策のプロ
ジェクト化を基軸とする事業を実施している。この成果を持続化する対
策として政府による関連法令や制度整備が必要である。これら法令の整
備は、エネルギー鉱物資源省との連携が必要である。
上記に基づき、中堅政策担当を対象に以下についての活動計画を策定
する事を本ワークショップの目的とした。
(1) ISO50001を考慮した省エネ規則下でのエネルギー管理に関する指
針の策定や標準化
(2) 効果的な省エネ技術や省エネ機器を導入し普及する為の支援制度の
設計
なお、対象となる参加者の職位・権限を考慮し実現可能な計画の策定
を前提とする。
注1:MEMR(Ministry of Energy Mineral Resouces)
注2:DGNREEC(Directorate Genaral of New Renewable Energy and Energy
Coservation)
注3:DGE(Directorate General of Electricity)
対象者
重点内容
研修者数:以下の組織から10人の参加。(セクションヘッドを含む、エ
ネルギー鉱物資源省(MEMR)の中堅クラス)。
① 新再生エネ省エネ総局(DGNREEC):6人
② 電力総局 (DGE)
: 4人
以下の目標を実現する為の活動計画を立案する。
(1)ISO50001 を考慮した省エネ規則下でのエネルギー管理に関する指針
の策定や標準化。
・省エネの基本指針やエネルギー使用設備の管理指針の策定。
(日本の判断基準を参考)
・エネルギー管理指針の設備適用と運用のための標準化。
(日本のエネルギー管理標準を参考)
(2)効果的な省エネ技術や省エネ機器を導入し普及する為の支援制度設
計
・工場等の省エネに有効な技術や設備の同定と導入の指針策定。
(日本の中長期計画指針を参考)
Ⅳ-122
・省エネ技術や設備・機器導入に有用な金融支援策の検討。
・省エネ技術導入実績事例の収集や普及の為の表彰制度等促進策
の検討。
以下の活動計画が立案された。
エネルギーマネージメントシステム( ISO50001 )の政策と実行。
Policy and Implementation of Energy Management System
( ISO50001 )
② 高効率・省エネルギーな技術と機器の導入・普及の為の、支援シス
テムのデザイン。
(スマートストリート照明システムを焦点に)
Design of Support System to Introduced and Disseminate
Technologies and Equipment Effective for Energy Efficiency and
Conservation
( Forcus on Smart Street Lighting System )
①
成果
(アウトプット:
活動計画)
2-2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
講義
インドネシア側から以下の報告を発表し課題等を討議した。
* 尼国のエネルギー事情と計画(2009~2020)
* 省エネルギー政策と規則(大統領令、国家エネルギー政策(草
稿))
* 省エネルギープログラム
・省エネ・ロードマップ(~2050)
2025年時点において、年率1%の省エネルギー原単位の削減、
及びエネルギー弾性率1以下、最終エネルギー消費の17%削
減。
・省エネ開発プログラム
政策・規則、啓蒙、支援(診断etc)、標準化・ラベリング、
ISO50001ベース・省エネマネジメント最適化推進(産業セクタ
ー)国際協力案件、街灯の省エネに関するパイロットプロジェク
ト、住宅部門案件、教育・訓練。
* 省エネ推進上の障壁と必要とされる解決策
・ 障壁(低エネルギー価格、省エネ意識の欠如、省エネ機器の初期
投資額高、財政支援策・ESCOシステムの未成熟、組織間連携の
不足etc)。
・ 必要とされる解決策(エネルギー補助金の排除、資金調達メカニ
ズムと刺激策 < 長期低利貸付、特別融資枠、保障積立準備基金、
回転基金[revolving fund]等や、家電製品消費者の為の割戻金制
度の様な消費刺激策>)。
「研修目的」のテーマの活動計画策定に資するため次の講義を行って
知識や情報を提供した。
(1) 日本における最近の省エネルギー政策・法制度 (METI 沖係長)
・最近の日本のエネルギー事情と課題
・最新の省エネ法改正の要点(エネルギー管理規制とトップランナ
ープログラムに重点)
Ⅳ-123
(2) 日本の ISO50001 エネルギー管理システム[EnMS]導入(パイロ
ットプログラムの経験に基づく EnMS 構築の要点) (ECCJ 吉田
部長)
・日本における ISO 50001 普及促進の Pilot Program の要点
・ISO 50001 に基づく EnMS 構築の要件と実現のための要点
(3) 日本の中長期計画策定指針、技術導入支援制度(補助金等金融支
援制度)、表彰等促進制度(省エネ大賞等)(ECCJ 山中講師)
・省エネ法に従う中長期計画策定の為の省エネ設備や技術の導入指
針
・日本の金融支援制度(補助金、税制優遇、低金利融資)
・省エネ推進促進のための省エネ大賞等の表彰制度
(4) 尼国におけるモデル的エネルギー管理システム構築の為の、パイ
ロットプログラムの要点とツール類 (ECCJ 吉田部長)
・インドネシアのエネルギー多消費産業における EnMS 構築パイ
ロットプログラムの計画と実施状況及び政策課題
・上記で導入する有用なエネルギー管理ツール:エネルギー・物質
収支-コスト管理データーベース、管理標準及び判断基準等
上記の講義の中で、尼国での支援制度構築・EnMS 制度執行の課題に
ついて、講師や専門家と解決に向けた助言・討議・意見交換を行い、
具体的な取り組みのための理解を深める事でより現実的な活動計画
の策定を狙った。
情報共有・
交流
討議
見学
以下の団体とそれらの会員企業との間で情報交換や意見交換を
通じた交流を行った。
1. JASE-World及びその会員との交流
会員企業は7社から8名が参加。JASE-Worldの活動と4社によ
る技術PRを行い意見交換や討議を実施。
日本企業の有する省エネ技術に関する理解を深めると同時に、関
心企業との接点作りに貢献した。
エネルギー鉱物資源省は官庁省エネのモデルとなるべく庁舎の
省エネ化を進めており、断熱窓を始め紹介された技術の導入の検
討を行う契機の提供にもなったと考える。
日本の専門家による各講義、見学や関係機関との交流において、
インドネシアの省エネ事情や課題を背景とした質疑や討議を、
ECCJや訪問先を含む企業の専門家と活発に行った。
これらの討議は具体的な活動計画の策定に資する上で有効であ
った。
以下の省エネ/エネルギー管理優秀事例事例(FEMSの紹介含む)
工場を訪問し交流した。
・訪問先:アズビル(株) 藤沢テクノセンター
・見学内容:ビル/工場のエネルギー管理や省エネ技術事例の紹
介。
同社はインドネシアに現地法人を有し事業を展開しているので、
日本と尼国に於ける事例を紹介し効果的な内容であった。
見学では、BEMS Aggregatorなどハードとソフト支援を統合し
た日本での最新の取組みを紹介した。また、同社の得意な技術や
省エネ診断機器等の紹介を総合的に行い、体系だった見学となっ
Ⅳ-124
た。
2グループで下記テーマの解決策や実施策等について討議した。
小集団
グループ
討議
① エネルギーマネージメントシステム(ISO50001)の政策と実施
推進上の障壁と必要とされる解決策
② エネルギー効率及び省エネに効果的な技術と機器を導入・普及す
る為の支援システムの策定(特にスマート街路灯システムに着目)
支援制度に関しては、実際にインドネシアで取組んでいる施策に基づ
くテーマを設定し、2 つのテーマとも現実的なテーマの選定であっ
た。
上記討議の結果、次の活動計画が策定された。
①エネルギーマネージメントシステム(ISO50001)の政策と実施
Policy and Implementation of Energy Management System
(ISO50001)
●
討議結果
最終報告
活動計画 1 ( ベースロード )
・ 経 営 ト ッ プ レ ベ ル へ の 啓 蒙 (2015 ~ 2016 ; 260 building &
industry)
・行政説明会 [3 回/年] ( 2015~2016;665 building&industry)
・2 日研修
[3 回/年] ( 2015~2016;650 building&industry)
・National Expert の育成 ( 2015~2016;115 人)
・National Expert による指導工場 ( 2015~2016;75 工場)
・人材育成教育( 2015~2016;診断士 80 人、エネ管理士 100 人)
・資格認定( 2015~2016;診断士 30 人、エネ管理士 50 人)
● 活動計画 2 ( 支援策の充実 )
・省エネ規則 ( 補助金・税・低金利関連)制定準備 ( 2015 ~)
・省エネ達成の為の規制基準の設定準備 ( 2015 ~ )
・ESCO 等へのビジネス支援規則の策定準備 ( ~2015 )
・エネルギーマネージメントシステム(ISO50001)標準の設定
( 産業・ビル分野; 2015 ~ )
・BEMS* / HEMS** のパイロットプロジェクトの実施支援
( 産業分野[ 1project ]・ビル分野[1 project]; 2016 )
* : BEMS = Building Energy Management System
**: HEMS = Home Energy Management System
②エネルギー効率及び省エネに効果的な技術と機器を導入・普及する
為の支援システムの策定(スマート街路灯システムに着目して)
Design of Support System to Introduced and Disseminate
Technologies and Equipment Effective for Energy Efficiency and
Conservation
( Focus on Smart Street Lighting System )
以下の施策により、LED によるスマート街灯システムを推進する。
・LED の為の基準及びラベリングの策定。
(エネルギー鉱物資源省の R&D センターで性能試験実施)
・公設街路灯に設置される照明に関するエネルギー効率のガイド
ラインの作成(エネルギー鉱物資源省・規則の制定)。
・省エネ街路灯の為の資金調達メカニズムの策定。
Ⅳ-125
(省エネ街路灯プロジェクトを、政府投資センターの資金調達メ
カニズムの対象案件となる、地方政府のインフラプロジェクト
の一つとして認定する;市中銀行金利より2%低い金利。担保
として政府の一般配分基金を活用。政府投資センターから、
ESCO を介して資金融資される)
・スマート街路灯イニシアチブ(国の GHG 対応緩和施策)の活用
(22 か所のパートナー都市で5年間実施)
上記の結果に基づき、更に以下の点を協議した。
● 提案された改善策に関する具体的な討議及び、工業省プロジ
ェクトとの連携計画の提案。
・インドネシアの省エネ政策改善に関する意見交換
ECCJ、工業省、鉱物資源省、財務省の4者による意見交
換・議論の場を設ける。
● 今後の現地での計画。
詳細な日程を含む計画は、今後ECCJと工業省・鉱物資源省
の間で協議する事とした。
2-3.実施評価
●全体的に大変効果的で有用であり良かった。
●今回のワークショップは大変有益であり、全体的にはすばらし
いワークショップと思います。資料も良い。テーマもすごく興味
深く、また面白い。日本で得た知識と経験は全て今後の活動に非
常に有用である。
●工場見学も実践的で良かった。
研修生代表
研修生
(評価書)
ECCJ の
評価
次回は、色々な制約もあるが、他の絞り込んだテーマ(例えば、
規制に関する作成演習的なものとか、判断基準やエネルギーマネ
ージメントシステムについてより絞り込んだテーマ等)でのプロ
グラムもあればと思う。
レベル的には入門編から上級者までのコースがあればよい。その
ようなプログラムにまた参加できたらと思います。
今後も、METI-ECCJ始め日本の協力をお願いしたい。
●有用性の観点からの評価
全員が大変有用との評価。(レベルは4-5(満点5))
●期待値との比較の観点からの評価
全員が期待以上との評価(レベルは4-5(満点5))
●期間の評価
全員今回程度が丁度良い。
全体として目的を達成できた。
今回のワークショップの工夫点としては、各講義の中でそれらの
テーマに関する各工場の課題を共有してこれらをどう解決すべ
Ⅳ-126
きか討議や助言に時間を割いた点であるが、これは日尼両方にと
って大変有用であったと思われる。
また、企業見学についても1か所で広い分野の技術や取組み事例
をじっくり見学でき、尼国での活動事例の紹介なども入り、研修
生・受け入れ企業ともに十分成果を感じ取った。
課題や要望については、全体として大変満足しているが---、とい
う口上の上で、参加者の背景の多様化を伺わせる提案もあった
(次項で紹介)。
今後の検討課題の一つかと思われる。
①
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
団長の提案については、「研修生代表」の評価のところで紹
介済み。
② 今回が二回目の参加となる研修生からは、熱と電気、別々の
講義も あればとの発言もあった。
③ 又発電分野の関係者からは、発電側での省エネの講義もとの
要望も出た。
より絞り込んだテーマでの講義も受けたいとの要望に対する対
応を検討する必要があるが、優先すべきは工業省と実施している
事業との連携を取る点にある。
彼らの帰国後の活動をフォローしながら検討することとしたい。
Ⅳ-127
インドネシア向け省エネ
Date
11 月
6日
(木)
11 月
7日
(金)
ワークショッププログラム (BEC ID5)
(9:00~12:00)
Morning Session
(14:00~17:00)
Afternoon Session
講義: (ECCJ:吉田部長)
日本の ISO 50001 エネルギー管理シ
ステム(EnMS)導入パイロットプログ
ラムの経験に基づく EnMS 構築の要
点
基調講演 (METI:沖係長)
情報共有:
日本における最近の省エネルギー政
●“カントリーレポート” 発表
策・法制度
(参加者代表)
●意見交換 / 討議
(METI, ECCJ 関係者との).
講義(ECCJ:吉田部長)
講義 (ECCJ:山中専門家)
インドネシアにおけるモデル的エネ
日本の中長期計画策定指針
技術導入支援制度 (補 助金等金融支 ルギー管理システム構築パイロット
プログラムの要点と活用ツール類 (エ
援)
ネルギー・物質収支-コスト管理デー
促進制度(省エネ大賞)
タベース、管理標準及び判断基準等)
助言・討議
助言・討議
インドネシアでの支援制度構築の課 インドネシアの EnMS 制度執行の課
題
題
オリエンテーション
プログラムガイダンス
開講式
11 月
8日
(土)
休日
11 月
9日
(日)
休日
11 月
10 日
(月)
訪問
ビル
アズビル(株)藤沢テクノセンター
エネルギー管理や技術優秀事例
11 月
11 日
(火)
交流
グループ討議(活動計画)
JASE-World 会員企業と意見・情報交
(最終発表資料の準備を含む。)
換
グループ討議(活動計画)
11 月
12 日
(水)
発表・討議
活動計画
訪問
工場
アズビル(株)湘南工場
エネルギー管理や技術優秀事例
全体討議、次回の活動のまとめ。
プログラム評価
閉講式
Ⅳ-128
Ⅳ-3.ベトナム
Ⅳ-3-1.
専門家派遣
1.目的
(1) ハノイに出張し、MOIT を訪問。今年度 11 月開催の受入研修(BECVN 11) の事前打
合せと今後の専門家派遣について具体的内容、スケジュールについての協議。
(2) ホーチミンに出張し、エネルギー診断 OJT の要望のある PetroVietnam を訪問し専門
家派遣事業として適用可能か内容の確認。
2.実施結果・成果のまとめ
以下に示す通り、目的を果たし来年度以降の事業の活動を具体的に方向付ける結果を
得た。
(1)MOIT(ハノイ)では、今年度の受入研修について、打合せ。研修生の派遣承認
が下りておらず、申請状況についてフォローした。秘書を通して情報を得たが、
申請書は大臣の机上にあり、承認を待っている状況とのこと。近々承認されるは
ずだが、いつとは答えられない。承認が下りたら、即 ECCJ に連絡する。
(2)専門家派遣について、以前実施したエネルギー診断の OJT をフォローする形で
継続して実施していくことに賛成。PetroVietnam 社より、診断支援の要請があ
るので実施に向けて検討していく。
(3)PetroVietnam 社を訪問し、今後の診断計画と支援の要望を聞いた。
来年度にかけて 3 つの計画がある。
①Ca Mau 肥料プラント
12 月までに実施。
②Phu My 肥料プラント
来年 5 月までに実施。
③Binh Son 石油精製プラント
来年実施。
①,②が、専門家派遣プログラムで実施できるよう MOIT に要請する。
③は、別途検討を要すると思料。
(4)DOIT、EC センターハノイにて、今後の受入研修内容における要望事項をヒア
リングした。
・もっと人を参加させたい。
・家庭の省エネを普及させたいので、省エネ家電の展示会開催希望。
・ラべリングは、できているので研修は不要。
・指定業者からデータが得られないケースもある。(罰則はあるが、施行された事はな
い)
・従来の診断 OJT は継続して欲しい。
.
Ⅳ-129
3.出張日程実績
日程
業務内容
10 月 20 日
10 月 21 日
(月)
(火)
10 月 22 日
(水)
10 月 23 日
10 月 24 日
(木)
(金)
Ⅳ-3-2.
Lv. 成田
Ar. ホーチミン
AM PetroVietnam 社訪問
省エネ診断支援要請内容の確認と協議
PM DOIT 訪問 受入研修・専門家派遣について要望など意
見交換
移動 ホーチミン-ハノイ
PM MOIT 訪問 受入研修・専門家派遣フォロー
PM ハノイ省エネルギーセンター訪問
Lv.ハノイ
Ar.羽田
受入研修
ベトナム商工省の省エネ政策担当者および地方局の省エネセンター・担当者の人材の資質向
上に資する研修を通じて、参加者が日本のエネルギー管理システムに係わる省エネ関連技術・
製品導入に繋がる適切な政策・制度を整備・実施する事を目指して研修を実施した。
1. ベトナム省エネ研修・BECVN 11 実施報告
(1)実施概要
実施期間
研修目的
対象者
重点内容
成果
(アウトプット:
活動計画)
平成 26 年 11 月 13 日~11 月 20 日(6 日間)
*内訳:講義(2.5 日間)、見学(2.0 日間)、発表・討議等(1.5 日間)
ベトナム商工省の省エネ政策担当者および地方局の省エネセンター・
担当者の人材の資質向上に資する研修を通じて、参加者が日本のエネ
ルギー管理システムに係わる省エネ関連技術・製品導入に繋がる適切
な政策・制度を整備・実施する事を目指す。
研修者数:12 人(対象:商工省の政策立案者、地方局省エネセンター、
大学教授)商工省(MOIT):3 人、地方局:7 人、大学:2 人。
①省エネ促進のための優遇策や促進策の整備:
エネルギー効率の高い設備や技術の同定と導入促進のための補助制度
等の事例を学びベトナムでの実施計画を立案させる。
②業界別事例紹介:
指定された業界での省エネ対策を紹介し、好事例をベトナム国内で実
施に向け具体的に検討させる。
① ベトナム国の省エネルギー中長期計画策定
(Long/Middle term energy conservation plan for Vietnam)
② ベトナム国のエネルギー管理方針と判断基準
(Energy management policy and standard of judgement)
Ⅳ-130
(2)研修内容(要点)
省エネ
状況報告
講義
討議
見学
小集団
グループ
討議
討議結果
最終報告
・ベトナム国における省エネ法実施状況
・ベトナム国における昨年の活動と成果
・ベトナム国における今後数年の方向性
①日本の省エネルギーとエネルギー管理
・日本の判断基準と管理標準
・ベンチマーク策定方法
②日本の省エネルギー推進のための支援制
・優遇税制、金融支援、表彰制度
③交流:JASE-World会員企業と意見・情報交換
(旭硝子・東芝ライテック・日立造船)
・グループ討議(活動計画)
①鉄鋼業エネルギー管理優秀事例(新日鐵住金鹿島事業所)
②省エネルギー研修施設(日鉄住金マネジメント)
③食品業省エネルギー優秀事例(マルハニチロ宇都宮工場)
2グループで下記テーマの解決策や実施策等について討議し活動計
画を立案した。
①ベトナム国の省エネルギー中長期計画策定
②ベトナム国のエネルギー管理方針と判断基準
2016 年からの新国家目標を視野に入れた意欲的な提案、計画となっ
た。
日本で得た知見を多く盛り込んでいるが、項目の優先度やスケジュー
ルが不明確なので、帰国後より具体的な計画にし実行する事を助言し
た。
①ベトナム国の省エネルギー中長期計画策定
・国家目標値についてエネルギー消費量削減率でなくGDP当たり削
減率とすべき。
・包括的計画であるが、実現に向けた実際としては課題が多い。
・現状分析がスタートとなるが、指定工場からのデータ分析ができて
いない。このための人材育成が直近の課題として明確になった。
・ラべリングなど支援制度は良好であり、13項目6000品種を指定。
②ベトナム国のエネルギー管理方針と判断基準
・年次報告はあるが、実施が不十分。
・法令に従った診断を実施。省エネセンターは14か所、地方局担当部
署は43あり、診断を実施。
・トップの参画がないことが問題。ISOのスキームを利用することや、
トップを対象としたセミナー開催なども企画できないか。
・ベンチマーク策定のための教育・人材育成が必要。
Ⅳ-131
(3)実施評価
研修団長
研修生
(評価書)
ECCJ の
評価
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
2004年から研修に参加して多くを学んできた。特に省エネ法制定に
際してはECCJから専門家を派遣して頂き支援を受けてきた。付帯制
度などを整備してきたが、業界・末端での実施が不十分であり、その
評価システムができていない。判断基準やベンチマーク策定が直近の
課題であることを再認識した。今後も引き続き支援をお願いしたい。
研修の役立度に関するアンケートの評価値は、5点満点中5.0と満点
であり、満足度については、4.0とほぼ参加者の期待に添っておりか
つ役に立つものであった。
本研修は、10月実施を予定していたが、先方都合により11月に延期
された。商工省内部の問題ではあるが、さらに大臣の承認を得るため
多くの時間を要し、ビザ取得時間を考慮した場合、開催が危ぶまれる
ほどぎりぎりの日程となった。この点は早めの準備が必要と肝に命ず
る。
研修開始してからは全過程、関係者各位の協力努力の下、円滑かつ
効果的に運営実施された。研修生に有効な情報提供ができたものと思
われる。
講義・工場見学及びJASE-World各企業との意見・情報交換は、
研修生にとって大いに参考になり、且つ、極めて新鮮な情報であった
ようで特に工場見学は印象深かったようであった。
研修を通して、現在の現地担当者が抱える問題が明らかとなり、今
後の研修の方向付けが明確になった。これを基に長期的な育成計画を
立案してMOITとも検討しながら、策定していきたい。
① 経済産業省殿に参加頂き、研修生との意見交換機会を設けたい。
② 工場見学の増加検討。
現場現物を見ることが大変効果的で研修生の印象にも大きく残
ることから、もう1、2か所増やしてもいいかもしれない。
③ 指定工場から上がってきた定期報告書のデータ分析の実際を学
びベンチマーク設定までの流れを研修に加えることを検討する。
④ 基準設定に関連する場合、科学技術省からの参加者も必要。
ベトナムの事情として、全ての科学技術関係の標準の作成は、科
学技術省が行うというシステムになっている為、省エネ法の判断
基準の作成にも関与が必須。
Ⅳ-132
(4)ベトナム向け省エネ研修(BECVN 11):日程とプログラム
1
日
目
1
0
月
1
3
日
1
4
日
3
日
目
1
7
日
4
日
目
1
8
日
5
日
目
6
日
目
1
9
日
2
0
日
-
開講式
基調講演
日本の省エネルギー法体系
発表
カントリーレポート発表
討議
今後の方向性の討議
講義
日本の省エネ法とエネルギー管理システ
ム
午
前
木
午
後
2
日
目
-
オリエンテーション・プログラムガイダン
ス
プログラムガイダンス
グループワーク(小集団活動)実施要領説
明
金
午
前
午
後
月
火
水
省エネ推進支援制度
午
前
見学
省エネ取組紹介(新日鐵住金鹿島製鉄所)
午
後
見学
製鐵所及び研修施設の視察
午
前
見学
水産業界の省エネ
(マルハニチロ宇都宮工場)
午
後
移動
午
前
午
後
午
前
木
講義
午
後
交流会
交流:JASE-World 会員企業と意見情報交
換
(旭硝子、東芝ライテック、日立造
船)
討議
グループワーク
発表 / 討議
研修生による活動計画の発表
討議 / 評価
研修生との研修全体の討議
-
まとめ・閉講式
Ⅳ-133
Ⅳ-4.インド
Ⅳ-4-1.専門家派遣
1.インドにおける省エネ協力事業協議―I
(1)出張者
:国際調査普及部長
須賀井直哉
国際計画部(技術専門家)
苗加
順一
(2)出張期間 :2014年7月7日~7月11日
(3)出張内容:
【目的】インドに対する今年度の人材育成事業計画に基づき、具体的実施について下記機関と
協議調整する。
1)BEEと今年度の事業内容について協議すること
・地方政府の省エネ支援(SDAの能力向上等)に関する受入研修・専門家派遣
・ヒートポンプ普及に関する現地セミナー(AHPNWとの連携事業)に対する協力
2)PCRAと今年度の事業内容について協議し具体的計画を作成すること
・運輸部門における研修(9月実施予定)、および専門家派遣
・産業部門(石油産業)の専門家派遣による現地診断および診断マニュアル作成支援
・MOUの延長について手続き確認
(6月28日付で延長合意)
3)TERIに対して、アジアヒートポンプネットワーク事業に関する連携について、ヒートポ
ンプ蓄熱センターと共に協議すること。
【概要】
1)BEE との今年度事業内容に関する協議について
①PAT スキームの現状およびその実行に関する SDA に対する協力項目について
・PAT の第一期間終了後の 2015 年4月より、各企業(DCs)から提出された報告書を
評価して達成度を確認・評価する予定。
評価にあたっては DENA(指定エネルギー診断者)が実施し、それを SDA が検証
(Verify)することとなっている。
・しかし、この SDA が報告書を検証する為には、ベースラインの算定、修正、運転状
況の変化などの評価をはじめ、設備、運転管理などに関する各対象業種毎の技術的知
識が必要である。
報告書は一定の書式に基づいて提出されるが、現在の SDA には
その評価能力が無いことが危惧されており、SDA に対する対象各業種の技術的知識
の向上が必要である。
この点から、SDA の訓練が必須であり、日本からの支援が得られることが期待され
ている。
Ⅳ-134
<対応>SDA の能力向上のための研修は、日印エネルギー対話に沿って実施すること
を検討したい。
研修内容としては、SDA が不足している知見や技術をより具体的に確認して
研修内容を決める必要があり今後、BEE と ECCJ 間で意見交換し、具体的な
内容が決まれば実施に向けて検討を進めることとした。
②ESCert(省エネ証書)に関する情報
・PAT の目標達成評価結果に基づく ESCert のトレーディングは 2015 年 11 月から
開始予定。ESCert の価格は
1万 IRP/TOE(約 19,000 円/TOE)程度となる見
込み。
2)PCRA との今年度事業内容に関する協議について
①受入研修(運輸部門の研修)について
・時期は9月16日―26日の実質8日間とする事を確認した。
・内容は運輸部門,特に燃費規制、EV,HEV の最新技術、エコドライブ実習とする。
・7月末までに研修生名簿(15名)を提出してもらう。
・インドにおけるエコドライブ制度構築を直接指導するよう要請があったが、本研修は
Trainers
Training であり本研修参加者がインドにおける制度構築を担うべきであ
ることを確認した。
・燃料計測装置に関心があり紹介を要望された。
②専門家派遣について
・テーマとしては次期 PAT 対象となる石油精製業とする。
・1日の WS として、PAT 制度自体の説明は PCRA が行い、ECCJ 側は、PAT 目標達
成のための方法、企業による新技術紹介などを主題として講義や事例紹介を行う。
・時期は 2014 年 10~12 月頃を予定し、企業の意志決定者を含む 200 人規模とす
る。
③その他
・MOU の延長については日本側から署名して送付済み。PCRA 署名まち。
・今後のテーマとして、クリーンコールテクノロジなど火力発電の要望があった。
3)ヒートポンプ普及促進のためのワークショップ開催準備について
本ワークショップはアジアヒートポンプネットワーク(AHPNW)事業との連携によ
り実施するもので、実施主体となる TERI、支援要請する BEE、技術紹介をを依頼する
ダイキン・インドを訪問し協力を依頼した。
Ⅳ-135
①TERI 訪問
・TERI に対して AHPNW の概要および、今年度からの ECCJ の本事業への参画に
ついて説明の後、TERI の参加を改めて要請し、参画を確認した。
○STEP1として中国で開催されるセミナーには TERI よりインドにおける HP
の現状や普及課題などのプレゼンを行う。
○STEP2としてインドで開催される WS は、ECCJ がホストとなり TERI が
開催実務を担うこと及び実施概要を確認した。
・STEP2のWSの内容については、
a.1日の WS で50人規模を想定。時期は TERI のイベントに合わせて、
b.2月4日との提案があった。
c.HP の技術にフォーカスする。
d.ビル等の診断は既にインドで行われており、改めて実施する必要はない。
e.対象分野は乳製品、食品などの産業分野やビルについては病院、ホテルなど潜
在需要は大きいことが確認された。家庭用については、暖房需要の開拓も含め
て今後の課題。
f.今回は HP の各種適用事例(アプリケーション)を中心に多方面からのプレゼ
ンを行う。さらに TERI からはピーク対策としての蓄熱槽の活用事例紹介の要
請があった。
また、紹介だけでなく実際の導入につなげていく。
g.今後のステップに繋げるため、メーカーや設備導入決定者(設計者、建築?)
を講師に加える。
②BEE訪問
・BEE
MR.Diddi に対して、今回の HP 普及に関するプロジェクト概要を説明。喜
ん で コ ラ ボ し た い と の 意 向 が 示 さ れ た 。 BEE と し て の HP 普 及 推 進 は 、
Dr.Mathur(DG)の了解が取れれば可能であるとのことであり、BEE 内部検討のため、
ECCJ より BEE の DG に対して協力要請を出すこととした。
・HP 市場性については以下の見解が示された。
a.家庭用は、インドでは冷専エアコンのみ。
り、暖房を HP エアコンで行うことはまれ。
暖房もほぼ北部地域に限られてお
温水器としても電気式に比べる
と価格が高く、普及は難しそうだが潜在需要はある。
b.ビルは温水需要もあり、可能性がある。建築基準に取り込んでいくことは考え
られる。
c.産業用は、業種毎にニーズが異なるためカスタマイズが必要で、対応が難しい
のではないか。
Ⅳ-136
③ダイキン/インド訪問
ダイキン/インドに対して HP 市場に関する情報収集と普及方策に関する議論を
行った。
・HP 市場について
a.家庭用についてはまず冷専のみ。暖冷房型 HP については理解されていない。
暖房は無いところも多く、あっても電気か石油ヒーターであるが、冬場は、
北部州では-10~-5 度、デリーでも最低気温は4度くらいであり生活が向
上すれば暖房需要や給湯需要はあるはず。特に暖冷房型の理解が進めば、市
場性はあると考える。
b.ホテル、高層ビルなどはビルマルが中心。
c.蓄熱システムについては、電力対策として使われているという例は聞かない。
・HP 普及への道筋
a.Awareness=
All Weather Air conditioner の利便性、高効率性、環境性、ま
た、運転費用の削減による投資差額の早期回収について啓発活動が必要。
b.暖房システムの追加需要の発掘。北部地方を中心として暖房の潜在需要は大き
い。暖房導入時の HP 暖冷房機の採用を図る。
c.来年予定される HP の WS にメーカーとして、適用事例、定量的効果分析につ
いてプレゼンを行うことを要請、了解された。
2.インドとの省エネ協力事業に関する協議―II
(1)出張者
:国際調査普及部長
国際計画部
技術専門職
須賀井直哉
苗加
順一
(2)出張期間:2015 年 1 月 7 日~1 月 10 日
(3)出張内容:
【目的】インドに対する人材育成事業計画に基づき、今年度の具体的実施及び今後の取組につ
いて下記機関と協議調整する。
1)ヒートポンプとワークショップ準備打合せ
・2 月 4 日開催予定のヒートポンプワークショップの実施を委託している TERI とその
準備のための調整・協議を行う。
・ダイキン/インドにワークショップでの講演を依頼する。
2)BEE と今後の事業内容について協議
・PAT 制度の現状把握と今後の人材育成事業としての地方政府の省エネ支援(SDA の能
力向上等)に関する受入研修・専門家派遣等
Ⅳ-137
3)PCRA と今年度の事業内容について協議
・運輸部門における研修(9 月実施済み)のフォローアップ
・産業部門(石油精製産業)の専門家派遣によるセミナー開催(検討)
・今後の事業に向けての意見交換
【概要】
1)ヒートポンプとワークショップ準備打合せ
①2 月 4 日に実施予定のヒートポンプワークショップへの専門家派遣事業の詳細を調整す
るため TERI を訪問した。
・WS の内容、講演者、参加者などについて ECCJ としての意向を伝え、現地における
具体的な実施を TERI に要請した。
TERI はこのような WS 開催については習熟しており、日本側の意向も良く理解し
ていることから、ECCJ としての要望も十分理解された。
・TERI は 2 月 5 日から環境関係の大きな イベント(DSDS=Delhi Sustainable
Development Summit )の開催を予定しており、本 WS もこれに連動して行うこと
により幅広い分野から多くの参加者を得ることが期待される。
一方で TERI とし
ても日本とのコラボレーションを宣伝することが出来るメリットがあると考えてい
る。
②ダイキン/インド社を訪問し同 WS への参加を要請
・同社もインドにおける HP の市場性を期待しており、理解を進め販売を推進したいと
の意向であり、業務用、産業用に加え家庭用についても理解推進のためのプレゼンを
行うこととなった。
2)BEE 訪問
①ヒートポンプワークショップにて開会挨拶を依頼した DG/Dr. Ajay Mathur に対するお
礼と WS の趣旨説明および、今後の BEE との協力事業について意見交換すること、また
PAT プログラムの現状と今後の取り組みに関する情報収集を行うため BEE を訪問した。
・Dr.Mathur が急遽不在となったため Mr.Asthana 氏に WS 説明資料を渡して伝言を
依頼した。
・PAT の現状について PAT プログラムの推進者である Mr.Asthana より情報収集を行
った。
②PAT の現状と今後について
<現状>
・PAT の計算方法に関するガイドラインは、設定時以降の環境変化のため修正され、
Ⅳ-138
各社は修正版に基づいて計算中。
・PAT 対象工場数は当初 8 業種全体で 478 であったが、その後指定を強化して約 400
工場を追加し約 900 工場の報告書が提出される。
<今後のスケジュール>
・各社 2015 年 3 月までの実績に基づき報告書を作成し、4~6 月に BEE に提出。
・BEE は、7~9 月の間に報告書の Verification を指定された事業者に委託。
・BEE は Verification の結果をチェック。必要に応じて工場立ち入りを実施。
・ 事業者は Verification の実施とともに、省エネ対策のリコメンデーションを検討。
・報告書を verify する事業者は Accredited Energy Auditor(AEA)を 1 名と
Certified EA を 3 名以上からなるが、AEA や CEA に対する PAT の計算手法訓
練については BEE が 20 回以上のワークショップを実施予定。
・2016 年 4 月から 2nd サイクルに入る。
・Mr.Asthana の感じでは、60~70%の工場は目標を達成しそうとのこと。
<将来計画>
・確定ではないが、対象業種として石油精製業、配電業、鉄道業の 3 業種を検討して
いる。(検討中なので口外無用とのこと)
・業種指定のためには、ベースラインの設定やターゲットの決定のためにデータ収集お
よび解析が必要であり、また計算方法のガイドライン作成などの準備期間を要する。
<所感>
・PAT プログラムの実行に関しては BEE は相当注力して実施中であり、ECCJ が支援
する余地はない。
・むしろ、報告書の Verification とともに行われるであろう省エネ対策のリコメンデー
ションの実行において支援する機会があると思われる。
③その他の情報
・モディ首相に政権交代後「Planning Commission(PC)」はあまり成果を上げていな
か っ た と の 判 断 で 解 体 さ れ 、 つ い 最 近 新 た な 組 織 と し て 「 Policy Making
Department」<NITI AYOGYO(ヒンズー語)>が設立された。
組織の位置づけは PC と同じで首相直轄であり、役割も PC と同じ。
・日印対話のエネルギーWG の所管については、「設立の発表があった直後でわからな
い」との回答であった。
3)PCRA 訪問
①MOU の延長に関する合意
・2015 年 6 月 27 日に契約が切れる MOU について、これまでの成果に鑑み同様のス
コープで 1 年間の延長を行う方向で合意。
Ⅳ-139
②2014 年度事業のフォローアップ
<運輸の省エネ>
・2013 年度実施の乗用車によるエコドライブ実習に引き続き、2014 年度は大型車によ
るエコドライブ実習を 9 月に 13 名の研修生を招聘して実施した。
☛PCRA は、上記研修で学んだエコドライブ方法をエコドラインストラクターのワー
クショップを実施済。
・より効果的な OBD システムによるエコドライブ研修を推奨し、その導入に関する資
料を提供した。
☛OBD を実際に導入する場合の課題(メンテナンス、適合性等)について引き続き情
報提供は行うこととした。
<紙パルププロセスの省エネ診断マニュアルの作成支援>
・PCRA が石油天然ガス省(石天省)の要請により紙パプロセスの診断マニュアルを
作成し、これに対して ECCJ がマニュアルの構成や内容についてコメントした。
・コメントに基づく最終版は製本され 2015 年 1 月 16 日から始まる「省エネ旬間」の
イベント中に石天省に提出する予定。
③2015 年度の事業計画
<受入研修の要請(PCRA よりの新規提案)>
・ED/Mr.Bakre から以下の条件で受入研修の要請があった。
対象:14~17 歳の学生 14 名。(絵画コンクールなどのイベントの優秀者で省エ
ネの知識を持ち普及に貢献)
日程:5 月下旬~6 月上旬に 4 日間程度
内容:トップランナー制度、ミニプラント見学、スマートシティやソーラーシス
テム見学、等
☛本件は人材育成事業の対象にはならないと回答したが、PCRA から「研修生はこれ
から省エネを推進する際のプロモーターになる世代であり、是非日本の省エネの
実態を教えてほしい。必要なら石油天然ガス省から METI へ正式要請のレターを
出したい。」と重ねて要請された。
☛これに対して、「ECCJ が PCRA からの研修要請書(上記研修の趣旨や内容を記載
したレター)を METI に説明してみるが、了解が取れない場合はインド側から
METI へ直接要請(ECCJ の仲介も可)してもらうこととした。
<専門家派遣>
・ワークショップの開催
Ⅳ-140
内容:石油精製プロセスの省エネ対策及び廃熱回収対策の事例紹介
日程:未定
☛PAT プログラムの 2nd サイクルでは石油精製が対象になることは決まっており、
省エネ対策の技術支援は喫緊の課題ととらえ上記内容でワークショップを計画。
2014 年 2 月には製油所の高効率制御システム導入による省エネ対策にフォーカス
してワークショップを実施したが、今回はプロセス改善や廃熱回収などにフォー
カスする。
☛ワークショップの具体的な内容は今後 ECCJ/PCRA で検討する。
④総括
・HP に関する WS については TERI の理解と準備により円滑に進んでいる。参加者も
開催趣旨を踏まえ適切な関係者を招くことに配慮していることが分かった。
講演
時間が短いが、インドにおける集中力を加味すると長い講演は好まれないとの説明
があったため現地事情を尊重することとした。
・BEE はアポ捕りをしたにもかかわらず対面が叶わないなど、厳しい状況が続いてい
るが、DG による開会挨拶参加や、BEE の協力を示すロゴ使用等協力的な面もある。
エネルギー対話については相変わらず見通しが立たない中で、BEE とは今後これら
の関係を生かしてより確実な関係を築く必要がある。
・PCRA については積極的で、今年度の成果を確実に実行に移している。さらに新た
に石天省の意向により子供向けのプログラムを提案してきたが、これについては人
材育成事業に馴染むか否か METI の判断を仰ぐこととした。 石油精製部門への技
術提供の意向も強く、引き続き日本との協力事業に対する強い意欲が感じられた。
3.インド・ヒートポンプワークショップ開催、関係機関との協議
(1)出張者
:ECCJ
HPTCJ
常務
祖川二郎、専門家
苗加順一
廣瀬之信
東芝キャリアー
現地参加:東芝キャリアー
M氏
S氏
ダイキン・インディア
T 氏、G 氏
(2)出張期間:2015 年 2 月 2 日(月)~7 日(土)
(3)出張内容:
【目的】
産業およびビルの省エネにおいて有効な省エネ機器であるヒートポンプの普及推進
のためワークショップを開催し、ヒートポンプの効率性の解説、導入事例紹介、新技
術紹介などを通じてヒートポンプへの理解を深め、普及を支援する。我が国からは専
Ⅳ-141
門家を派遣してインドにおけるヒートポンプの理解と普及推進をはかる。日本の協力
事業として実施しているヒートポンプ導入工場を日本の専門家が視察し、その効果な
どについて意見交換する。
併せて、人材育成事業を実施している BEE(Dr.Mathur 局長)及び PCRA との今
後の協力事業について意見交換する。
【概要】
1)ヒートポンプワークショップの開催(2 月 4 日)
・インドにおける人材育成事業として 2 月 4 日にニューデリーで開催した。本ワークショ
ップはヒートポンプ蓄熱センター(HPTCJ)との連携で実施した。
・ワークショップは約 60 名の参加があり、ECCJ・祖川常務の開会挨拶、日本大使館から
の 挨 拶 文 の 披 露 、 MOP ( BEE)/Dr.Mathur 局 長 の 挨 拶 、 MNRE/Mr.Grish
Kumar(Director)及び PCRA(MOPNG 傘下)/A.Bakre(Executive Director)の技術セッ
ションの議長総括、発表者からの興味ある技術情報や事例紹介があり、活発な質疑応答
を通じてヒートポンプへの関心の高さがうかがえた。
・JICA/IGES/TERI のインドでの HP プロジェクト関連の発表もあり日本人関係者も参加。
・BEE/Dr.Mathur は、HP への期待は大きいとしながらも普及のためにはコストダウンが
必要と重ねて訴えていた。
MOP:Ministry of Power
MNRE:Ministry of New and Renewable Energy
PCRA:Petroleum Conservation Research Center
MOPNG:Ministry of Petroleum and Natural Gas
IGES:Institute for Global Environmental Strategies(地球環境戦略研究機関)
TERI:The Energy and Resources Institute
来賓挨拶
BEE/DG・Dr.A.Mathur
会場風景
2)TERI におけるワークショップ事前打ち合わせ(2 月 3 日)
・ワークショップ前日(2 月 3 日)には、ワークショップの委託先の TERI 関係者と事前
打ち合わせを実施。
Ⅳ-142
3)駐印日本大使館・寺本恒昌参事官
往訪(2 月 3 日)
・ワークショップの来賓あいさつをお願いしていたため、表敬訪問。
・ワークショップへの出席は急な用事でキャンセルとなったため、挨拶文を受領しワーク
ショップで代読により披露することとした。
・人材育成事業の実施状況について概要を説明し、今後は実務的な内容の事業を検討する
にあたり、実行面において大使館の協力を要請した。
4)BEE・Dr.Mathur 局長との協力事業の協議(2 月 3 日)
ワークショップの来賓あいさつをお願いしていたため、表敬訪問。
これまでの 10 年間の BEE との協力事業について資料により説明。主として BEE や
SDA の育成を中心に実施してきたが、今後は実務的な内容の事業を検討することで一致。
Dr.Mathur から以下を聴取。
・PAT プログラムの検証にあたり、エネルギー管理に関し日本からの協力に期待した
い。
・従来の日印エネルギー対話のインド側主体であった Policy Commission が昨年解体
され新たに NITI AYO GYO (Policy Making Department)が 1 月に設立された。機能
的には変更はないが、Modi 首相の意向で構成メンバーは中央政府だけでなく地方政
府も参画することになった。
・日印エネ対話は重要であり今後も継続されるだろう。現在、インド側は MOP と
Ministry of External Affairs、日本側は METI と外務省の対話を検討中であるが、い
つやるかは未定とのこと。
5)PCRA・Mr.R.K.Arya、Mr.S.Kumar、Mr.Srivastava との協力事業の協議(2 月 5 日)
前回訪問時の打ち合わせ結果のフォローアップを実施
①学生の受け入れ要請への対応について
・石天省 Joint Secretary からの要請状の METI の宛名を ECCJ から PCRA へ連絡
し、石天省から送付してもらうこととした。
・本件は、石天省からの受託事業として PCRA が実施した「学生の省エネ意識向上
のための全国規模のコンテストで優秀賞を受賞した学生への褒美として設定さ
れたもの。石天省自身が力を入れており、日本への視察旅行を実現したいと期待。
②前回打ち合わせ時(1 月 9 日)の会議議事録案について修正箇所を確認。
③紙パルプ産業の省エネ診断マニュアルの受領
④2015 年度の協力事業に関する意見交換
6)ヒートポンプ導入事例サイト視察(2 月 5 日)
Ⅳ-143
・ TERI からの招聘要請を踏まえ、JICA(国際協力機構)、JST(科学技術振興機構)資
金を活用して TERI、IGES(地球環境戦略研究機関)が中心となって導入した EHP(電
気式ヒートポンプ)の運用状況等を含めて現地視察。
・インドの乳製品(含牛乳)の生産量は世界最大規模を誇り、今後とも乳製品の需要拡大
が予想されるが、インドの乳製品工場はエネルギー効率が悪い設備を使用していること
から、将来に向けての問題点もある。そうした点を踏まえ、IGES Japan とパートナー
シップを締結している TERI が、チャンディガール(パンジャーブ州)にある The Verka
Dairy(乳製品工場)に EHP を導入して、実証試験を行った。今回当該工場を訪問し
EHP の現場視察及び工場長との面談を実施した。。
*チャンディガール:ニューデリーより 260km 離れたインド北東部の町。ニューデリー
からは電車(高速鉄道)で 3 時間 30 分の移動。
Ⅳ-144
4.日印省エネルギー会合出席及び EMAK ワークショップ参加、他
(1)出張者
:国際調査普及部長
須賀井直哉
(2)出張期間 :2015 年 2 月 24 日(月)~
2 月 28 日(金)
(3)出張内容:
【目的】インドに対する今年度の人材育成事業計画および METI からの日印省エネルギー会合
出席要請に基づき、以下を実施する。
1)デリーで開催される日印省エネルギー会合に出席し、ヒートポンプに関するWS
の結果報告および今後の省エネ協力事業に関する協議に参加すること
2)BEEと今後の事業内容について検討すること
・PAT 制度における地方政府の省エネ支援(SDA の能力向上等)に関する受入
研修・専門家派遣等
3)デリーにて開催される EMAK ワークショップに参加すること。
4)2 月 4 日に実施したヒートポンプに関するワークショップ結果について、実施に
関する再委託先である TERI と実施結果を確認し報告書を作成する。
【概要】
1)日印省エネルギー会合への出席について
(2 月 27 日)
BEE と METI の間で省エネルギー会合が開催され、2014 年度の協力事業実績について確認し
た。 本会合は、2013 年以来滞っている日印政府間エネルギー対話の再開を目指すための準備
でもあり、本年度の活動について報告を行った。
<主な成果(ECCJ 関連部分)>
①
インバータエアコンに関するS&Lについては、BEEによりインバータを適切に評価でき
るような指標(ISO 13568 をもととしたISEER)を採用する作業が進められ、2017 年までに
強制的に導入されることとなったことが確認された。本件は成功例として日印の協力実績成果
と評価・確認されることとなった。
本件については、2013 年度に ECCJ が事業を受託し、BEE と会合を重ね技術的、制度的支援
を行ってきた成果であり、今後のインド市場において我が国メーカーが優位的な地位を持つイ
ンバータエアコンの普及支援につながるものである。
②
ヒートポンプの普及に関するワークショップを BEE はじめ各政府関係者の協力を得て
2 月 4 日にデリーにて開催し、成功裏に終了したことを報告するとともに BEE の協力に対し
謝意を示した。
BEE からはヒートポンプについては、産業、ビル両分野において普及可能性が大いにあること
Ⅳ-145
に同意が示された。
ヒートポンプ普及に向けて、TERIが酪農産業におけるパイロットプロジェクトなどで得たイ
ンドにおけるコストとベネフィットに関するデータを提供することとし、このデータを踏まえ
てBEEとしても支援政策の検討をすることとなった。
③
PAT について
・PAT スキームの現状=第1フェーズの評価と 2016 年からの次期フェーズに向けての検討中。
500事業所が対象とされデータのエントリーは終了し60-70%の企業は目標値を達成し
た。
肥料やセメントは世界一の効率と言える。鉄鋼、紙パ、繊維がだめだ。
その原因を調
査中。 フェーズ2では、 鉄道、電力、石油精製を加えるとともに対象企業を増やす。
鉄
鋼の成績が悪いがどうしたらよいか・・・
(METI)鉄鋼では技術リストもあるが、METI において(鉄鋼課等とも相談し)どのよう
な方法があるか、何ができるか考えてみる。
④
廃熱回収について
廃熱回収については、日本企業としてインドのローカル企業を使うことはできるのか?
より安くし競争できることが重要であることが示された。
Non-TAX,
中国
排熱回収技術導入のため、TAX,
規制などの有効な推進方策を教えてもらいたいとの要請があった。
当面セメントと鉄鋼を中心に対象とするが、如何にローカライゼーションできるかが重要であ
るため、日本企業をインドに呼んで直接話し、メーカーの意向を確認したいとの要請があった。
2)BEE との事業協力に関する打合せ
①
(2 月 26 日)
インバータエアコンの S&L に関する経過と現状の確認
「テクニカルコミティ(TC)での議論がまとまり、ISEER(Indian Seasonal Energy Efficiency
Rate)を策定した。これは CSPF と同じであり ISO とも同じもの。まずはボランタリーで実
施し、2017 年 1 月定速機も同基準にて扱うこととするとともに義務化する予定。
・ラベリングやスターレーティングの問題は Diddi 氏はあまり関与していないためか、他の事
業体が関わっているためか、分からないが、「基準策定とは別の問題であり、自分の役割として
はインバータの件は終了したと考えている」とのことであった。
②
DG
Dr.Mathur 氏との会談を踏まえ今後の協力テーマに関して、Saura Diddi 氏との
意見交換。
・PAT の実施においては SDA がカギと考える。特にモニタリング能力が課題。2 月の DG、
Dr.Matuhr との会談において要請があったように、日本には、専門家を産業工場に派遣しても
らいモニタリングを指導してもらいたい。その後、インドから派遣して実地を研修させてもら
Ⅳ-146
いたい。
・今まで SDA については協力してきたといわれるが、省エネ技術とエネルギー管理技術に焦
点を合わせていた。
実際にモニタリングシステムがどうなっているか。どう評価するかにつ
いてはまったく違うものと考える。
省エネ技術そのものではなく、モニタリングメカニズム
を確立することで PAT をどう運用し、省エネ技術をどう適用していくかを知りたい。
3)EMAK への出席
(2 月 25 日)
日時
:
2015 年 2 月 25 日
場所
:
Taj
Palace
10 時~18 時 30 分
Hotel
テーマ:
インドにおける中小企業における省エネ推進と排熱回収技術について
参加者:
約 50 名程度。
ECCJ からは北川専門家が発表者として参加。
挨拶
○
:
BEE:
Secretary
Mr.Sarma
インド産業の半数を占める中小企業に対する、政府・自治体の財政的・非財政的支援、お
よび規制など政策支援に関する検討、提言。特に地方政府の支援について。
○
省エネポテンシャルの試算の紹介
○
廃熱回収に関する技術紹介、導入事例、推進方策の検討
閉会
:
経済産業省
省新部国際室
久森課長補佐
4)ヒートポンプワークショップの報告書確認および今後の方向性に関する TERI との議論
(2
月 26 日)
○ 2 月 4 日に開催したヒートポンプ・ワークショップの成果報告書について、TERI 案に対し
て ECCJ よりコメントを付し早々に完成させるよう依頼した。
○ 今後のヒートポンプに対する取り組みについて TERI のコメント
・まずはデモンストレーションプロジェクトをやることが有効。特に産業用については TERI
が良いパートナーと経験を持っているので実行できることを期待している。
地方と関係の関係も重要で、SDA なら TERI もコネクションがあるので動かすことが出来る。
Ⅳ-147
Ⅳ-4-2.受入研修
1.インド PCRA 向け受入研修(BECIN 10)について
(1)実施概要
実施期間
研修目的
対象者
重点内容
成果
(アウトプット:
活動計画)
平成 26 年 9 月 16 日~9 月 26 日(8日間)
*内訳:講義(3 日間)、実習・視察(2.5 日間)、発表・討議等(2.5 日間)
ECCJ と PCRA の間の MOU に基づき、インドにおいてエネルギー
消費量が増加している運輸部門を対象として研修を実施した。
インドにおいては運輸部門の省エネに関する省庁横断の国家プロジ
ェクトが立ち上がり、PCRA も政策提言が求められている。そこで、
特に要望が強いトップランナー制度による燃費規制や省エネ法に基づ
く運輸部門の省エネ推進施策、HEV/EV の最新技術に関する情報提供
を行う。
さらに、喫緊の課題である大型車(トラック/バス)における燃費向上を
図ために、エコドライブ研修制度の構築・推進を計画をしており、実
習を通じてインドに適した制度の確立、及び指導者の養成を通じた推
進体制の確立を支援する。
研修者数:13 人(運輸部門省エネ政策担当者およびエコドライブ研修実務
者)
PCRA:9 人、地方交通局:2 人、石油会社:2 人
・運輸部門の省エネ方策の実際と課題解決(燃費規制の作成支援等)
・最新省エネ技術の紹介(ハイブリッド車・電気自動車等に関する技術)
・インドにおけるエコドライブ研修定着のための人材育成
インドにおける運輸部門の省エネ促進及びその有力な手段のエコドラ
イブ研修を今後下記のように取り組む。(詳細は討議結果を参照)
・モーダルシフト、自動車への S&L 制度導入、省燃費車の開発促進
(PCRA)
・エコドライブ研修制度の構築と免許更新時の受講義務づけ(PCRA)
・3日間/1日間のエコドライブ研修プログラムの具体化(PCRA)
Ⅳ-148
(2)研修内容(要点)
省エネ
状況報告
講義
討議
実習・視察
小集団
グループ
討議
・エネルギー消費の内訳は産業部門が 46%、運輸部門が 24%、民生
部門が 15%、農業部門が 5%、その他が 10%である。
・燃料消費量の内訳は運輸部門が 74%、非運輸部門が 26%、そのう
ち、大型車(トラック/バス)が 41%を占めている。
・大気汚染が厳しい状況にあるため、デリーでは CNG 車への置換が
進んでいる。四輪車に対して 2010 年からユーロ4が導入されてお
り、2020 年からユーロ5に置き換える予定である。
・燃費向上対策としては高効率ディーゼルエンジンの開発、HEV/EV
の 開発、CNG/LPG 車への置換、バイオフューエルの普及等を進め
ている。
・HEV/EV 開発は国家プロジェクト(NEMMP2020)として進めてい
る。
2001 年に REVA がバンガロールで発売、約 1500 台が普及してい
る。
近年では、タタやマルチスズキからデモ車両が提供されている。
・燃費改善目標は 2021 年までに▲10%、その後▲30%に挑戦する。
CO2 排出量では、142g/km@2010-2011→129.8g/km@2021-2022→
113g/km@2022 を目標として掲げ、排出量低減に取り組んで行く。
・基調講演:日本の運輸部門における省エネルギー政策
・運輸部門の省エネ法の体系
荷主に対する規制及び政策
・輸送事業者に対する規制及び政策
トップランナー制度の取組内容と成果
日本におけるエコドライブ推進体制
・燃料計測方法の種類とエコドライブ教習の仕方
・EV の普及施策と普及状況
HEV・EV の変速機構とバッテリ技術
欧州 CO2 排出量規制の動向
・グリーン経営認証とエコドライブ
大型車エコドライブ認定制度の展開
・燃料流量計の概要と使用方法
・走行データ記録装置(EMS)の概要と使用方法
・エコドライブ教習レビュー
・エコドライブ実習では乗用車と大型車(トラック/バス)の構造差に
よる相違を認識し、排気ブレーキやエンジンブレーキの活用が重要
であることを学んだ。その結果、大型車(トラック/バス)の方が乗用
車より、より大きな省燃費効果が期待できることを認識した。
・日野自動車(株)での実車を用いてのトラックのエコドライブ実習
エコドライブ運転方法の習得およびその燃費改善効果を把握
一定速走行、エンジンブレーキ活用などの運転操作による燃料消費量
の違いを計測
・日産自動車(株)での電気自動車の普及対策と充電設備・V2H(Vehicle
to Home)・チョイモビ(超小型 EV)実証試験状況の見学
3グループに分かれて、下記のテーマで討議した。
①運輸部門の省エネにおけるPCRAの今後の活動計画
②エコドライブ普及のための制度構築
③エコドライブ研修の教習方法の構築
Ⅳ-149
討議結果
最終報告
インド国内の施策状況
【需要増加への対応策】
・物流手段をトラックによる陸送主体から鉄道及び海運主体とする。
・同時に、道路網ネットワークの拡大と近代化にも取り組む。
・HEV/EV普及のため、補助金を継続する。
・エタノール5%混合ガソリンを20州で採用する。
【運輸部門に対する戦略】
・モーダルシフト、自動車へのS&L制度導入、省燃費車の開発促進、
急速充電設備の導入、自転車通路の確保、長寿命車の代替促進等
上記の施策を踏まえてPCRAの活動を検討
①運輸部門の省エネにおける PCRA の今後の活動計画
・エコドライブの推進を運輸部門の省エネの重点施策のひとつと位置
づけ、3つの道筋で普及の展開を図る
・ PCRA の 関 係 組 織 を 通 じ て 、 PCRA SRO(30)→OMC
OFFICER(1000)→Fleet Drivers にエコドライブ訓練を実施。2015
年 3 月末までに Fleet Officers まで展開する
・州の交通行政官を通じて、運転免許更新時などにエコドライブ講習
を実施する。2015 年 2 月末までに RTO(Regional Transport
officers)まで展開する。
・GOI Heavy Industries Dep.と連携して、カテゴリー別にトラック
の燃費や年毎の燃費改善率などを把握し、国営企業ではエコドライ
ブなど省エネを推進している輸送業者を利用を推奨する。2016 年
3 月初には実施開始する。
②エコドライブ普及のための制度構築
・既に存在しているドライバー訓練プログラムを基に、レベルを引き
上げてエコドライブインストラクターを養成し、エコドライブ訓練
プログラムを構築する
・パイロット段階(フェーズ0)として、既存のドライブインストラ
クターのレベルアップ、エコドライブ教習ツールの作成、評価リス
トの高度化を行う。デリー・ムンバイ・コルカタ・チェンナイの中
の 1 都市を選択し、トライアルを実施する。(2015 年をターゲット)
・トライアル結果を基に、主な対象を地方交通局・石油会社・物流会
社等を想定し、主要4都市→他の中核都市でも実施していく。実施
の拡大とともに、計測・評価の高度化、エコドライブ教習方法の確
立、教習実施対象組織の拡大を図る
・エコドライブ教習プログラムの成功事例をまとめ、マスコミへの展
開、成功事例集の作成、エコドライブデイなどのイベントの実施で、
エコドライブ意識の向上を国民に浸透させる
・最終ゴールとしては、政府主導のグリーン経営制度を導入する。地
域の実情を加味したマニュアルの作成、認定制度の整備などを考え
る。(2017 年の立ち上げをターゲット)
③エコドライブ研修の教習方法の構築
・当初は燃料流量計による計測を前提とする。
・下記のようなエコドライブ研修プログラムを具体化する。
3日間コース(対象者:15~20人)
1日間コース(対象者:5~7人)
・教えるエコドライブ項目を、より具体的にし、項目数を減らす。
また、車のメカニズムを理解し、なぜその操作が燃料消費削減に寄与
するのかを教える
Ⅳ-150
・実車で教える内容、講義で教える内容を整理し、エコドライブ教習
カリキュラムを構築する。
(3)実施評価
研修生
代表
研修生
(評価書)
ECCJ
の評価
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
本研修は大変有意義であった。
・省エネ法の構成・実施フォローの方法、グリーン経営制度など、イ
ンドでの運輸部門の省エネ推進の具体策構築に非常に役に立った。
・インドでは大型車の燃料消費の削減が大きな課題となっている。
エコドライブ推進は経費的な面(人件費に対し燃料費の比率が高い)
からも企業に受け入れられやすいので、今後重点的に取り組んで
いきたい。
・今回の研修では、実際にトラックでエコドライブ運転を体験し、
エコドライブの効果を実感できたことは、今後の推進活動の大きな
原動力になると思う。そのような機会を与えてくれた日野自動車の
方々にも感謝したい。
研修内容や実施に関する評価は5点満点中4.9点と大変高い満足度
を得た。特に、大型車のエコドライブ教習は絶賛された。
今回の研修では、講義内容、実習内容とも、受講者の期待にマッチし
たものだったと判断できる。
・受講者からの質問、受講意欲などからは、受講者がインドにおける
省エネ方法をどのようにしていくべきかを切実に考えていること
が伺われた。
・また、実車でのエコドライブ体験は受け入れ側としては非常に手間
がかったが、受講者にとってかなりインパクトがあったようであ
り、インドにおける運輸部門の省エネやエコドライブの推進が加速
されることが期待される。
①当初は7月の開催を予定しており、10日間の研修を想定していた。
しかしながら、インドでの総選挙の影響により9月に延期されたた
め、8日間でこなした。その結果、欧州CO2排出量規制の動向等、一
部情報は説明時間が取れないため、書面での提供にとどまった。
②カントリーレポートが近来まれに見る膨大で充実した内容だった
が、その反面、論点がぼけてしまった面も否めない。相手の対応に
よるところが大きいが、事前に内容を送付してもらい、論点を絞り
込んで質疑や討議に臨めることが望ましいと感じた。
Ⅳ-151
(4)インド PCRA 向け受入研修(BECIN 10)日程とプログラム
1
日
目
9
月
16
日
午
前
午
前
17
日
水
開講式
-
オリエンテーション・プログラムガイダン
ス
日本の運輸部門における省エネルギー政
策
基調講演
火
午
後
2
日
目
-
午
後
発表
カントリーレポート発表
討議
発表に基づく質疑および討議
-
グループワーク実施要領説明
講義
講義
移動
-
3
日
目
18
日
午
前
木
午
後
4
日
目
-
午
前
19
日
20
日
21
日
金
午
後
-
22
日
23
日
田町→羽村
オリエンテーション
エコドライブ教習について
実習
運転実習1(通常運転)
講義
大型車のエコドライブ操作
実習
運転実習2(運転操作ごとの燃費計測)
討議
運転操作ごとの燃費計測結果のレビュー
講義
エコドライブ走行のレビュー確認
実習
運転実習3(エコドライブ運転)
討議
エコドライブ走行のレビュー
講義
OBD 信号による燃料計測方法
移動
羽村→田町
土
-
-
休日
日
-
-
休日
移動
5
日
目
運輸部門の省エネ法の体系
荷主に対する規制及び政策
輸送事業者に対する規制及び政策
トップランナー制度の取組内容と成果
日本におけるエコドライブ推進体制
午
前
月
火
講義
講義
午
後
見学
-
-
田町→横浜
燃料計測方法の種類とエコドライブ教習
の仕方
EV の普及施策と普及状況
HEV・EV の変速機構とバッテリ技術
欧州 CO2 排出量規制の動向
電気自動車の普及と充電設備
V2H 設備
チョイモビの概要&システム構成
休日
Ⅳ-152
6
日
目
7
日
目
8
日
目
24
日
25
日
26
日
午
前
水
木
金
講義
グリーン経営認証とエコドライブ
大型車エコドライブ認定制度の展開
講義
燃料流量計の概要と使用方法
講義
フューエルコンパスの概要
走行データ記録装置(EMS)の使用方法
講義
エコドライブ教習レビュー
グループワーク
活動計画策定のための討議
ECCJ との協力内容の提案
午
後
午
前
午
後
午
前
午
後
発表
グループワーク発表
討議
今後の活動計画
-
閉講式
(5)研修風景
集合写真
見学(日産本社)
集合写真(エコドライブ教習)
エコドライブ教習・受講証明書
Ⅳ-153
Ⅳ-5.中国
Ⅳ-5-1.専門家派遣
1.中国省エネ協力事業協議(四川省成都市・北京市訪問)
1.1
出張概要
(1)出張者
:
(2)出張期間 :
国際計画部長
牛尾好孝
2014 年 11 月 24 日から 11 月 28 日(5 日間)
(3)出張目的:
APECでの日中首脳会談実現の影響もあり、調整中であった「日中省エネ環境総合フォー
ラム」の2年ぶりの開催(12月28日(日))が決定され、また、中国国家節能中心からも、
今後の協力について協議したいとの要請も来ている。
そのため、METIの指示により、中国に対する今年度の人材育成事業計画に基づく具体的
事業の実施及び今後の協力内容について関連機関と協議調整を行う。
(Ⅰ)四川省と来年2月に計画している省エネ技術セミナーについて協議
・地方政府の省エネ支援に関する専門家派遣
・日中省エネ環境総合エネフォーラム事業との連携(フォーラムに提案・申請され
る協力事業の発掘)
・日中経済協会が協力(現地のロジ担当)
(Ⅱ)国家節能中心と今後の協力内容について協議
・省エネ協力のテーマについての協議
(4)業務予定 :
以下の予定表の通り
日程
業務内容
11月23日
(日)
移動: 成田→四川省
11月24日
(月)
四川省政府関連機関訪問(2月に実施するセミナーへの協力依頼)
11月25日
(火)
四川省経済和信息化委員会環境和資源综合利用处
移動:成都 →北京
11月26日
(水)
ヒートポンプ蓄熱センター主催のワークショップに出席(別途報告)
11月27日
(木)
中国・国際省エネ環保技術設備展示交易会のフォーラム出席
11月28日
(金)
国家節能中心訪問
同行者
応対者
成都 (中国)
Ar.
管处長と打ち合わせ
成田
日中経済協会(成都のみ): 中島部長(事業開発部)何氏(成都事務所)
現地通訳(成都のみ):蔣さん
四川省経済和信息化委員会 管永琳处長(環境和資源综合利用处)
国家節能中心
贾复生主任、尹小兰 处長(国際合作处)
Ⅳ-154
(Ⅰ)四川省と来年2月に計画している省エネ技術セミナーの協力要請(11月24日-25日)
ECCJ が 2 月上旬に計画している「省エネ技術セミナー」と同時期に日中経協が計画している
岡本理事長の四川省訪問の両イベントに対する協力要請のために下記4部署を訪問した。
(1)四川省商務庁の訪問
出席者:四川省商務庁:劉欣副庁長、
鄭戈处長(商務庁外国投資促進処)
日中経協:中島部長、横山所長、何怡代表
ECCJ:牛尾部長
【会談内容】
(1) 中島部長より訪問の理由等下記を説明。
 日中経協創立の当時の背景と現在までの活動実績。
 来年 2 月初日中経協岡本理事長の四川省黄晓翔副省長の誘いに応えた四川省を訪問す
る
 理事長訪問に合わせて、ECCJ 主催の日中省エネ技術セミナーを行う計画である。
 これらイベント実施への協力要請。
(2) 劉欣副庁長より、日中経協と ECCJ 一行への歓迎の挨拶があり、日中省エネなどの交
流も積極的に支持・協力したいとの返答があった。
(3) 又、鄭戈職員より中国とフランスが瀋陽と成都にて進めている双方環境保護交流合作
プロジェクトである生態工業園(モデル区)建設事業の紹介があり、日中交流がこの
プロジェクトを参考できるのではないかとのアドバイスがあった。
(4) ECCJ より日中省エネ協力の歴史と 2 月実施予定のセミナーについて説明。
(2)四川省投資促進局の訪問
出席者:四川省投資促進局:呉燕翔副局長(機関党委書記:女性)
秦天主任(信息服務中心)
日中経協:中島部長、横山所長、何怡代表
ECC:牛尾部長
【会談内容】
(1) 日中経協及び ECCJ より上記の商務庁で行ったと同じ説明を行った。
(2) 機関党委書記である呉燕翔女史より下記返答があった。
 投資促進局から 12 月 28 日の北京日中省エネフォーラムに参加者を出す。
 来年 2 月初の日中経協理事長訪問と省エネセミナーの開催に対して協力する。必要で
Ⅳ-155
あれば、四川省企業への出席要請等の前準備仕事にも協力できる。
(3) 又、秦天主任の話より四川省自動車数は約 300 万台で北京の次であること、2011 年
東日本大地震の一か月後、張谷局長が援助のため代表団を導いて日本を訪問したこと
等が紹介された。
(3)四川省外事オフィスの訪問
出席者:四川省外事オフィス:張涛副主任(女)、龙処長、苗荣华副処長
日経協:中島部長、横山所長、何怡代表
ECCJ:牛尾部長
【会談内容】
(1) 日中経協及び ECCJ より上記の商務庁で行ったとものと同じ説明を行った。
(2) 張涛副主任より
 日中経協と ECCJ 一行の訪問を歓迎する。
 日中経協の理事長の訪問に関し、外事オフィスが窓口になりリードするかに関しては、
上司に説明し、指示が明確になれば連絡する。
 ECCJ 主催の日中省エネセミナーなど交流については引続きも積極的に支持と協力す
る。
(4)四川省貿易促進会四川省国際商会
出席者:李力副会長、邹继欧国際合作部部長、杨雯怡女史
日中経協:中島部長、横山所長、何怡代表
ECCJ:牛尾部長
【会談内容】
(1) 日中経協及び ECCJ より商務庁で行ったと同じ説明を行った。
(2) 李力副会長より下記コメントがあった。
 日中経協とは長い付き合いであり、2 月初の理事長の訪問と四川省日中省エネ技術講
座には全力尽くして協力する。
 実施に向けての手続きに関して、先ずは、関係部門のトップに話をして合意を得るこ
とが重要で,その後、下の関係部門に伝えてれば、実務的な手続きは全て確実に進め
ることができる。
(5)四川省経済信息委員会(11 月 25 日
10:30-12:00)
出席者:四川省経済信息委員会:李萍巡査員
四川省経済信息委員会環境資源総合利用处:
管永林处長、彭文盛副处長、文世恩副处長、晁浏宏处員、李鹏处員
四川省経済信息委員会対外経済合作处:饶初阳副处長;
Ⅳ-156
工業信息化部省エネ司省エネ处:尤勇处長(北京から成都出張にて、全国省エネ
監察中心会議に出席)
【会談内容】
(1) ECCJ より、2006 年以降の日中省エネ人材育成協力の成果と 2 月上旬に計画している
産業の省エネ技術セミナーの概要について説明し、同委員会に協力を要請した。
(2) 日中経協より、同協会の概要と 2 月のセミナーについては ECCJ との共催であり、成
都での準備・窓口は同成都事務所が担当することを説明。又、セミナーに合わせて同
協会の岡本理事長が成都を訪問することを通知した。
(3) 管永林処長より日中省エネセミナーの開催に対して、下記コメントがあった。
・ 非常に良い事でもあり、日中省エネ再開を成都にして光栄であり、国家レベル(管轄
中央省庁)の合意を得た上で実施したい。(発展改革委員会や工業信息化部)
・ セミナー内容について、①日本最新省エネの進展、②大気、水汚染問題(成都も中国
4大汚染地区の一つ)③地域エネルギーシステム構築(天然ガス利用、ヒートポンプ
技術、コジェネレーション技術等、④高エネルギー消耗産業の改造(鉄鋼業、セメン
ト、石炭等等の排熱利用)等、四川省に特有の省エネ環境保護の実際情況に合う活動
を行いたい。
・ これまで構築してきた四川省と日本の省エネ交流・協力基盤に基づき、今後さらに省
エネ・環境政策等の分野で長期的な合作を進めたい。
(4) 李巡視員及び対外経済合作处の饶初阳副处長からも、セミナーに対し協力するとの確
認が得られた。
(5) その他情報:
・ 全国に省エネ監察員研修機構が四箇所設立され、成都はその一つで、その監察員の研
修が成都で開催されており、中央政府(工業信息化部)より幹部が参加。
・ 中国の工業の管理については、2008 年全国工業信息化部門の統合管理がスタートする
ことで進んだ。現在、管理能力の育成、法整備(省エネ環境保護法に基づく管理レベ
ルの向上)、産業構造の改革等が今後展開する重点内容。
・ 中国経済発展に伴い、省エネ環境保護の情勢はますます厳しくなってきて、中国と日
本双方が各分野の交流合作を深く広げて行けるかと発言でした。
(6)成果及び所感
(1) 2 月の初旬に ECCJ と日中経協が共催し、四川省(成都市等)で開催予定の省エネ技
術セミナーへの協力を四川省政府にお願いできた。
(2) 四川省政府の省エネ推進機関である経済信息化委員会と 2 月のセミナーのテーマにつ
いての協議ができ、現在予定している「大気汚染対策のための省エネ技術」をテーマ
にすることが確認できた。
(Ⅱ)
中国国家節能中心
訪問
(11 月 28 日
9:15-11:00)
Ⅳ-157
出席者:中国国家節能中心
主任
Jia Fusheng(贾复生)
国際合作 副处長
Zhang Yu(张宇)
節能管理处
ECCJ 国際計画部
牛尾、
Yin Xiaoian(尹小兰)((女性)
総合業務处副处長
Shi Xijie(时希杰)、
国際合作处
Zhou Yannan(周雅男)(女性)
国際調査普及部
須賀井
【会談内容】
○2012 年来途絶えている人材育成事業の再開を目指すため、中国国家節能中心を訪ねて両国の
現状、今後の事業方針などについて意見交換を行った。
概要以下の通り。
(ECCJ)
〇先日、APEC でも首脳対話が行われるなどやっと日中間の動きが出てきており、年末には日
中省エネ環境フォーラム再開が決まった。
NECC とは 2009 年に協力覚え書きを締結して
おり、今後どのような形で再開出来るか意見交換をしたい。
(NECC)
〇ECCJ、そして牛尾さんが中日両国の省エネ推進について努力し、また中日で多方面に渡り
協力してきたことに感謝。
近年政治面で緊張があったが、今後も協力して中日省エネ協
力事業を推進したい。最近、多少緩和されたことは両センターにとって好ましいことであ
り、この機会を大切にしてこれまでの協力の継続に加えて新しい協力関係を作っていきた
い。
NECC は設立してまだ 5 年。
一方 ECCJ は設立以来 30 年以上であり、近代化建設に
関して大きく貢献した組織だと思っている。又、中国は世界各国から進んだ技術やシステ
ムを勉強してきたが、日本の技術と比べてまだ遅れている。NECC としては今後とも勉強
していきたい。
〇今後の両センターの協力について。
2012 年以前は、中日発展改革委員会とMETIで協力関係を結び、省エネフォーラム
と人材育成事業(エネルギー管理士制度構築等)をやってきた。この2つについて異論
がなければ継続し、両国政府の関係を背景とした具体的担当機関として協力していきた
い。
さらに、以前の協力案件の継続だけではなく、更に下記3 つの協力を提案したい。
①省エネ法改正の計画が中国にもあり、この面での協力を行いたい。(法改正)
中国の省エネ法について諸制度を整備中であり今年も法改正の計画があるが、法改正に
あたり日本の修正方法、仕事のやり方などに学ぶポイントがある。
WGを作って互い
に省エネ法改正に関する情報を定期的に共有して法改正を円滑に進めたい。
Ⅳ-158
②従来の専門家派遣による指導をより深くして継続したい。
この形が中国の省エネ実務担当者が勉強しやすく、より広い分野の人が参加できる。 中
国側のニーズに応じた日本からの専門家派遣、特に地方省、市の勉強会開催を期待する。
③省エネの比較・研究をテーマを決めて組織的にやりたい。
・両国から省エネ法、政策、具体的状況について比較しながら推進策を検討する。
・研究グループを作って具体的に相談したい、
・中日での比較研究は両国のみならず、世界でも有意義なものとなろう。今後は中独、
中米などとも段階的にやっていきたい。
(ECCJ)
具体的な提案を頂いたが、ほぼ自分の意見と同様。
〇これまでの努力を続け、よりよく 2 つのセンターが世界の省エネに貢献できることを目標
として頑張って行きたい。又、新たな協力の具体的提案について感謝したい。
①省エネ改正のテーマについて今後の状況についてもワークショップや受入研修を通じて
情報提供したい。
②専門家の地方派遣について、地方の管理者に対して知識、情報を提供する事は従来も行っ
てきたが、今後も一層その知識を深くしてやっていきたい。
時期としては、春節は 2 月 19 日、春節前又は後あたりか?
今年は新たな協力の出発と言うことで(2012 年に西部博への参加が中止となった)四川
省で地方との勉強会をやりたいと考え、METI・日中経協と共に話を進めているところ。
四川省の経済促進委員会からは、中央での認識が必要=NECC と話をして了解を得るこ
とを求められた。
・地方政府のニーズに合った省エネ技術に焦点を当てさらに進んだ日本の省エネ技術も紹
介したい。
③日中比較研究について
・大変良いことと考える。具体的にどう進めるか検討したい。
・ TOP-TENS 事業は BAT,BP について世界のトップテンを選ぼうというものであり、
その中で各国の比較を行い世界の省エネ技術を発信していく予定。
このようなも
のを含めて比較すれば、より一層発展的な協力内容が出来ると考える。
⇒
<合意事項>
〇「省エネルギー法改正検討会」については具体的内容は別途検討するが、方針として
・自国の省エネ施策の現状、改正ポイントをそれぞれ紹介する。
・まずは政策や、法律を全体的に相互に理解し、そのうえで今後の修正を検討する。
・場所・時間は別途検討。
〇 中国は、日本からの専門家派遣は 2-3 月頃を要望する。中国側は具体的実行場所などに
Ⅳ-159
ついて協力をする。
(中国側要望事項)
専門家派遣に際しては、各省、県、市それぞれのレベルに ECC があ
り体系的に広く関係者を集めることができる。内容は事前に調整することとし、NECC
は全面的に協力したい。中国のニーズがある分野について、ゆっくり深くやっていきた
い。一般的なものではなく継続的に地方にとって重要な講座を開きたい。
⇒最初は、日本がすでに調整している成都での開催とする。テーマについては NECC か
ら別途コメントする。
〇 日中省エネルギー比較研究を是非やってもらいたい。3 月までに実施できないか?
2 月に四川省の成都で地方政府・企業向けのセミナーを計画しており、これを必ず実現し
たい。上記①及び③については、本年度中である 3 月までの実施は難しく、来年度早い時
期に実施したい。
2.アジアヒートポンプネットワーク会議への専門家派遣
2.1
出張概要
(1)出張者
:
国際調査普及部長
須賀井直哉
国際計画部長
牛尾好孝(11月26日のみ)
(2)出張期間
:
2014年11月25日(火)から11月28日(金)(4日間)
(3)訪問先
:
中国(北京)
(4)出張目的
・我が国が優位的に技術・製品を保有する高効率機器であるヒートポンプシステムの省
エネ性の理解および普及促進のため、11月26-27日、北京にてアジアヒートポンプネッ
トワークのセミナー(主催:中国
建築科学研究院)が開催された。今回はヒートポンプ
蓄熱センターと連携して上記アジアヒートポンプネットワーク・セミナーに参加し、省
エネルギーセンターの国際協力活動紹介と共にアジア各国におけるヒートポンプに対
する理解を進め普及を推進するための案件形成のための活動を行った。
・ここ数年途絶えていた日中間の協力事業の再開に向けて、現状を双方の認識を確認し
今後の可能性を探るため、中国国家節能中心を訪問して意見交換を行った。
(5)業務日程:
日程
11月25日
(火)
業務内容
羽田
→
北京
11月26日
(水)
アジアヒートポンプネットワーク出席
*牛尾部長に同行
(北京:中国建築科学研究所)
11月27日
(木)
アジアヒートポンプネットワーク出席
(北京:中国建築科学研究所)
Ⅳ-160
11月28日
(金)
国家節能中心 訪問
市訪問)で報告
(1.日中省エネ協力事業協議(四川省成都市・北京
北京 → 羽田
(CABR:China Academy of Building Research.)
訪問先:①中国建築科学研究所
北京市北三环东路 30 号
②国家节能中心 国际合作处
(Beijing. 30# Bei San Huan Dong Lu. ) 100013
(National Energy Conservation Center of China)
北京市西城区三里河北街 12 号
国家节能中心
注)*11 月 26 日と 28 日は牛尾部長に同行
2.2
アジアヒートポンプネットワーク会合の概要
(1)日時:
2014 年 11 月 26-27 日
(2)場所:
中国建築科学研究院会議室
(3)出席者:
日本:
ヒートポンプ蓄熱センター:林専務理事、刈谷事務局長
廣瀬国際部長
寺尾課長
日本冷凍空調工業会
ECCJ
牛尾
中国:中国建築科学研究院
院長
北京工業大学
松田憲児
国際計画部長、
技術部長
須賀井
国際調査普及部長
建築環境エネルギー研究院
Prof. Xu WEI (徐 伟)他
Prof. Wang Wei(王伟)
韓国:Prof. Jun Young CHOI ( Korea Testing Laboratory)
インド:Prof. Pradeep Kumar (The Energy and Resource Institute (TERI))
タイ: Dr. Amornrat Kaewpradap (King Mongkut’s University of Technology)
ベトナム:Assistant Prfessor; Dr.LAI Ngoc Anh
(Hanoi University of Science and
Technology)
*アジアヒートポンプネットワーク(AHPNW)は、高効率機器であるヒートポンプ
および蓄熱システムの普及と技術開発を目指して(一財)ヒートポンプ蓄熱センタ
ーの呼びかけの下で 2011 年に組織されたネットワークである。現在は日、中、韓、
ベトナム、インド、タイが参加し今回が 4 回目の NW 開催。
我が国が優位的に技術・製品を保有する高効率機器であるヒートポンプシステムの省エ
ネ性の理解および普及推進のため、ヒートポンプ蓄熱センターと連携してアジアヒートポ
Ⅳ-161
ンプネットワーク・セミナーに参加した。この中で、省エネルギーセンターの国際協力活
動を紹介すると共に、今後アジア各国におけるヒートポンプに対する理解を進め普及を推
進するための案件形成のための活動を行った。
2.2
4回アジアヒートポンプ蓄熱ネットワーク会議内容の概要
○各国における HP に関する技術開発や普及活動などの現状についての発表と質疑応答が行わ
れた。
・ECCJ からは、省エネ人材育成事業の紹介およびベトナム、インドネシアにおけるビル省
エネ診断を通じた HP 普及理解活動の具体的実例により HP の効率性を示すと共に、アジ
ア各国に対して技術支援及び普及理解活動の実際を提示した。
・日本から参加した日冷工からは、日本における HP の普及と高効率化を支える諸制度およ
び技術の紹介があり、INOTEK が推進中である機器を正しく検証・試験し、認証していく
為の制度作り、特に試験方法の標準化について各国に提案していきたいとの発表があった。
・ECCJからも CSPF の有用性及びASEANでのハーモナイゼーションのための活動状
況について説明、時間はかかるが STEP
BY
STEP でやっていくことを報告した。
・各国からは、各国の気象条件、使用実態に応じた技術開発状況を中心に発表が行われた。
インド:空調によるエネルギー需要増加が著しく省エネポテンシャルも大きいこと、特
にビルマルHPや家庭用高効率ACに期待している。業務用の検証および日本
の支援による産業用デモプロの紹介。
韓国:
家庭用HP温水器の導入と標準化について、地中熱利用、冷凍サイクル二重化
による高効率のための技術開発などの説明。HP温水器については国際標準が
ないため、韓国がISOに標準化を提案。標準化されることが認められ、現在
標準化に向けた提案内容を審査中。(ICA との事業)
ベトナム:ベトナムにおける空調機器に関するラベリング等の規制制度の説明および太
陽熱と HP を組み合わせた実証試験や代替冷媒に関する評価報告。
タイ:
今後、温水や暖房需要への HP 普及が予想されるが、DEDE は KMUTT に委
託し高効率 HP の基準および政府規制を検討中。 KMUTT は実機テストによ
り基準設定値を検討し政府に提案することとした。
その他:中国建築科学研究院による地中熱源 HP の研究や建築科学研究院の建物におけ
るガス HP を利用した Nearly Zero Energy ビルの紹介
○ 総括
(Zhang Shi Cong :中国建築科学研究院
戦略中心
副主任)
・HPの適用事例は広がっており、特に温水はSPAや店舗など多方面で需要があり HP によ
る温水供給の将来に期待したい。
・Nearly Zero Energy ビル構築のため HP を活用した統合システムのアプローチに期待した
Ⅳ-162
い。
・中国、韓国では寒冷地における HP 高効率化、地中熱利用による効率化や温水利用の技術開
発。
・普及拡大のためには、基準や標準が重要。
また試験法やラベリングの統一も重要であるが
ハーモナイズには時間がかかることを認識した。
・今後 HP は、家庭用ではよりシンプルに、業務用・産業用ではより複合的になっていくので
はないか?それぞれに対応するため2つのテクニカルロードマップが必要であろう。
・新たな市場を作っていくためにもパイロットプロジェクトの成功が重要。
<重要なポイントとして>
・制度・標準策定のための政府の強力な支援
・トップランナー制度や補助金制度による企業の支援
・ECCJ が実施してきたような国際協力プログラム。特に財政支援。
AHPNW
2.3
専門家会議概要
本会議は、メンバーによる AHPNW 運営のための会議であり、ヒートポンプ蓄熱セン
ターが議事進行を努め、ECCJ としてはオブザーバーとして参加した。
ECCJ からは、メンバーから要請があった我が国の「人材育成事業」について目的、手法、
実例などについて説明を行い、国際協力の有効な形であることの理解を得た。
○概要
・(運営問題について)
この NW はサステナブルであるべきで、次回以降は各国の参加費は自国でまかなうこと
が原則。またホスト国は持ち回りとして開催費用を負担することとするとの提案があった。
これに対して、タイ、ベトナム、インドからは、政府支援は難しく、研究費用から捻出
するか、認証されたものであるか、具体的成果を求めるものでないと参加できない、などの
意見が出された。
→
この NW は各国の財政負担を減らす為、具体的成果を求めず緩やかな NW として発
足した経緯があり、それぞれのメンバーは資金を得るべく自国で努力すると共に、有効な方
法として各国で開催される国際会議の場に合わせて本NWを実施することを検討する事を
確認した。
・(NW 拡大について)
新メンバーとして、インドネシア、マレーシアへの呼びかけを検討する。
・(人材育成について)
ECCJ より説明。
ECCJ の人材育成事業の目的、対象、期待される成果、ビジネスとの連携などについて
説明した。このような人材を育成することにより、各国において継続的に省エネ政策を実行
し理解、定着させる事が可能となる点について理解を得た。
Ⅳ-163
2.4
その他、今後に向けての成果
・ 今回は、タイおよびインドの代表と個別に調整を行い、ECCJ の人材育成事業としての事業
を進めることで合意した。
インドでは、デリーにおいて2月に実施するHPに関するセミナーにおける参加者、講演者
などついて打合せを行った。
タイについては、DEDE がカウンターパートとなる事で、了解。まずは ECCJ から DEE
に対してレターを出して日本での受入研修の早期実施に向けて進めることとした。 今回参
加した KUMTT も DEDE と一体となって事業を行っていることから、実施にあたり協力し
てもらうこととした。
・ 中国の張氏、韓国の Jun Choi 氏など日本の状況にも理解があり、今後も学術面だけでなく
政策、実務面も含めて情報交換をすることとした。
・ いずれも AHPNW という場を通じての案件形成であり、ECCJ にとってもあらたなネット
ワーク作りという点で有意義であった。
・ 中国におけるエアコンのエネルギー効率の評価基準(APF)が日本の協力により構築され
ているが、HPにおいても同種の基準構築のための協力要請が中国側から出されており、当
活動を通して構築されたネットワークを活用した新たな協力事業が将来考えられる。
○所感
・ 今回の NW は 4 回目。主に技術開発の報告を中心とした情報交換の場として各参加者の意
識は統一されていた。しかしながら、単なる NW 故に情報交換の場に過ぎないことから、
運営費用や各参加者の参加費用など財政的困難に直面している。今後各国において本 NW
を認識させて維持していくためには何らかの直接目に見える成果が求められる段階に来て
いる
・
ECCJ の国際協力の実態を説明し、多くの賛同を得ることができた。
まさに AJEEP に
おいて現在実施していることがアジア各国に求められていることが改めて確認され、その
方針は歓迎された。
期待も大きいが、ECCJ としては日本の裨益になることを念頭に置いた事業であり、単な
る技術開発支援や個別支援となるべきではない。
AJEEP では INTEK 事業とも連携が取れており、日本企業とも協力した活動として認知さ
れつつある。
各国の参加者に本事業を紹介することにより、各国内においても理解が深
まり一層各方面の協力を得ることができることを期待したい。
・
技術開発は、まさに各国の地域性、ニーズ、実情を反映したものとなっており、これを捉
えていけば、各国における協力案件の形成、さらには製品普及のための市場開拓のヒント
とすることが出来ると思われる。
・ 今回の参加者は大学などの技術研究者が主体であることから、「人材育成」についての理解
Ⅳ-164
が不足しているように思われた。しかし、ECCJ が行っている人材育成事業について、そ
の趣旨、効果について改めて紹介を行うことにより、各国における制度構築、政策支援へ
のアプローチとしての有用性を認識させることが出来た。
3.第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラム参加報
3.1
出張概要
(1)出張日時:2014 年 12 月 28~29 日
(2)出張先
:中国・北京
(3)出張者
:祖川常務理事・牛尾国際計画部長・田中国際調査普及部部長
(4)出張目的:第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラム(全体会議及び、エネルギー
管理システム・LED 分科会)への参加
3.2
フォーラム全体概要
・12 月 28 日(日)北京にて、第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラムが開催された。
全体会合(場所:遼寧大厦)においては、日本側から高木陽介経済産業副大臣、上田隆之資
源エネルギー庁長官、渡文明日中経済協会副会長等が参加、中国側からは、解振華国家発展
改革委員会副主任、高燕商務部副部長、王小康人民政治協商会議全国委員会委員他が出席し
た。会議開催の正式決定から殆ど日がなかったにも関わらず、日中、官民関係者合わせて約
500 名を超える参加があり、大変な盛況となった。
・午前中の全体会議では、上記 6 名による挨拶と、王毅中国科学院政策所所長、天野名古屋大
学大学院教授の特別講演が行われた。
・その後、41 件の両国間協力案件に関する調印式が行われ、全体会議は成功裏に終了した。
・午後からの分科会では、上記の全体会議を受けて、国家発展改革委員会及び、遼寧大厦にお
いて 6 つの分科会が開催され、日中双方からの発表に基づいて活発な意見交換がなされた。
・ECCJ 代表団は、METI 参加者とともに、エネルギー管理・LED 分科会に参加した。エネル
ギー管理においては、牛尾部長が「省エネ目標値算定ツールを用いた業務用ビルのエネルギ
ー管理」と題した講演を行った。LEDに関しては、田中部長が「省エネ大賞を受賞した
LED 技術」と題した講演を行った。
3.3
フォーラムの内容
(1)全体プログラム(別紙1)
2014 年 12 月 28 日(日)
09:00~11:40 全体会議(場所:遼寧大厦 8 階遼寧庁)
11:40~13:30 昼食会(場所:遼寧大厦 1 階、形式:ビュッフェ)
13:00~13:30 遼寧大厦から国家発展改革委員会へ移動(第一分科会のみ)
13:30~17:30 分科会(場所:第一分科会以外は遼寧大厦)
Ⅳ-165
(2)全体会議
1)来賓スピーチ
① 解振華国家発展改革委員会副主任
② 高木陽介経済産業副大臣
③ 高燕商務部副部長
④ 渡文明日中経済協会副会長
⑤ 王小康人民政治協商会議全国委員会委員
⑥ 上田隆之資源エネルギー庁長官
2)特別講演
① 王毅中国科学院政策所所長
② 天野浩名古屋大学大学院教授
3)調印プロジェクト文書交換式
・日中双方の参加者名簿(別紙2)
・協力案件リスト及び概要(別紙3)
(3)分科会
1)分科会の分野(アジェンダは別紙4)
下記の 6 分科会が同時に開催され、各分科会とも 30~40 人程度の参加者があった。
① エネルギー管理・LED分科会
② 石炭火力発電(クリーンコールテクノロジー)分科会
③ 大気汚染対策分科会
④ 循環経済分科会
⑤ 次世代自動車分科会
⑥ 長期貿易(LT)分科会
2)エネルギー管理・LED分科会の概要
(アジェンダ:別紙5、出席者:別紙6、資料集:別紙7)
本分科会では、国家発展開発委員会・環境資源節約利用司節能処王静波副処長及び
経済産業省エネ庁政策課貴田室長のあいさつの後、下記の 10 件(中国側 5 件、日本
側 5 件)の発表がなされた。
① 国家発展開発委員会・環境資源節約利用司副処長
王雲紅
「中国のエネルギー管理システム政策とその進展」
② 経済産業省エネ庁政策課係長
鈴木
望
「日本のエネルギーマネジメント政策について」
③ 国家節能中心処長
桂華
「中国 12・5 計画重点エネルギー利用事業者・省エネ管理政策とその効果」
④ 一般財団法人
省エネルギーセンター国際計画部長
牛尾好孝
「省エネ目標値算定ツールを用いた業務用ビルのエネルギー管理」
Ⅳ-166
⑤ 棗荘中聯水泥有限公司総経理
劉金柱
「エネルギー管理システム構築の実践」
⑥ 横河電機(中国)有限公司工業営業本部部長
王東
「工場のエネルギーマネジメントソリューション(EMS)」
⑦ 国家半導体照明工程研究産業連盟秘書長
呉玲
「中国LED照明産業の現状」
⑧ 特定非営利活動法人
LED照明推進協議会技術委員会委員長
安田剛規
「日本のLED市場の状況と今後の取組について」
⑨ 国家電光源品質監督検験中心半導体研究室主任
張偉
「中国LED照明基準と品質規制」
⑩ 一般財団法人
省エネルギーセンター国際調査協力部部長
田中
靖
「省エネ大賞を受賞したLED技術の紹介」
4.中国四川省での省エネ技術セミナーの実施
4.1
出張概要
(1)出張者:国際協力本部国際計画部
部長
牛尾好孝
国際協力本部調査普及部
部長
田中靖
国際協力本部国際計画部
技術専門職
峯岸俊行
グンゼ上海:M氏(現地合流)、
川崎重工業:I氏/S氏、
三浦工業:W氏(現地合流)
(2)出張期間
:
2015年2月1日(火)から2月7日(土)(7日間)
(3)訪問先
:
中国(成都市、徳陽市)
(4)背景と目的
日中関係は、2014 年 11 月に実現した首脳間協議以降、改善しつつある。その結果、2014
年 12 月 28 日には、日中省エネ・環境総合フォーラムが日中関係者の絶大なる努力の結果、2
年ぶりに開催され、成功裏に終了した。エネルギー管理及び省エネルギー技術の分野における
日中間の交流も暫時途絶えていたが、上記の動きを受けて、今後研修生の受け入れ、専門家の
派遣等による両国間の省エネ協力の再活性化が予想されている。
今回、中国国家節能中心からの同意も得て、2009 年から日中省エネ協力事業の専門家派遣に
おいて、地方政府の中で日本人専門家の派遣回数が最も多かった四川省において、日中省エネ
人材育成事業の再開第一号となる省エネルギー技術セミナーを開催することになった。さらに、
本セミナーの成果をベースに、他地方政府との間にも本活動を拡大して行く計画である。
なお、四川省は大気汚染が比較的顕著な都市の一つであることから「大気汚染対策に資する省
エネ技術の紹介」をテーマとしたセミナーとした。
Ⅳ-167
(5)出張日程
月
日
業
務
内
容
2月1日
日
成田→北京→成都
2日
月
四川省鐘勉副省長との会見、セミナー準備
3日
火
日中省エネルギー技術セミナー(成都市)
4日
水
移動(成都→徳陽)
5日
木
企業訪問後、日中省エネルギー技術セミナー(徳陽市)
6日
金
移動(徳陽→成都)、出張まとめ
7日
土
成都→北京→成田
中国側の現地での主な対応者は下記の通り。
成都市:四川省節能協会・劉挺軍会長、兰婷副秘書長、罗奇副秘書長
セミナー参加者約 200 名(添付資料1参照)
徳陽市:四川省経済和信息化委員会・彭文胜副処長、四川省節能協会・劉挺軍会長、
徳陽市経済和信息化委員会・李世琪副主任、セミナー参加者 21 名(添付資料2参照)
4.2
日中省エネルギー技術セミナー(成都)
(1)主催者の挨拶
 日中経済協会:岡本巌理事長
今回の四川省訪問の目的は2つある。1つは魏宏省長と昨年秋に東京で会い、四川省訪問を
約束したこと、もう一つは本日の省エネ技術セミナー。熱心な聴講と質疑を期待。
 省エネルギーセンター:牛尾好孝部長
2006 年から日中省エネ人材育成協力を開始、今まで最も熱心に取り組んだ四川省から再開す
ることになった。大気汚染防止に貢献する省エネ技術を提供したい。
 四川省経済和信息委員会:李萍副巡視員
十二五計画は二年前倒しで達成の目処がついたが、すぐに新しい五ケ年計画が始まる。
節能減排の一層の深化、大気汚染問題への対応等、指標からの乖離は依然として大きい。
 四川省節能協会:劉挺軍会長
本日は日本のエネルギー管理手法や先進技術等を学ぶ絶好のチャンスであり、今後日中省エ
ネ協力を進める中で、四川省節能協会が「政府と企業のかけ橋」の役割を果たしたい。
 四川省新エネルギー促進会:劉錦超会長
Ⅳ-168
四川省新エネルギー促進会は八十余社の企業と百数名の個人会員で構成される主体的な業界
組織。発展方向は工業スモッグの予防、自動車の排気ガス清浄化、再生エネルギーの開発の
3 項目。技術交流を発展させて、諸問題の解決により日中協力を加速させて行きたい。
(2)日本の専門家の講義の内容
 「日本の省エネルギー政策について」(講師:経済産業省・中村係長)
省エネ政策の今後の重点領域として①電力需給バランスを意識した対策②業務・家庭部門の
対策強化③無駄のない賢い使い方による省エネの 3 項目に力を入れて行く。
 「日中省エネ人材育成協力の歴史と背景」(講師:ECCJ 牛尾部長)
2006 年から受入研修を開始して、688 名の人材を育成。2009 年から専門家派遣を開始して、
3197 名の人材を育成。今後は従来の枠組みに省エネ診断に関する人材育成を加え、NECC(中
国国家節能中心)との連携を強化して行く。
 「日本の推奨可能な最新省エネルギー技術について」(講師:ECCJ 田中部長)
今後の工場省エネ推進上のポイントは技術の高度化・多様化。推奨可能な技術は6分野あり、
IPEEC トップテンでも取り上げた。今日は大気汚染防止に資する 3 分野を紹介する。
 「グンゼ省エネ診断のご紹介」(講師:グンゼ上海・M総経理)
日本政府・グンゼの省エネ診断への取り組みと ESCO 事業の実績を示した後、省エネ改善事
例として具体的に成果を挙げた 4 つの案件を紹介した。
 「紹介3技術の選定理由」(講師:ECCJ 峯岸技術専門職)
四川省では天然ガス入手が容易なことを生かして、電気の作り方としてガスタービンコジェ
ネ、電気の使い方として産業用ヒートポンプ、燃料の使い方として小型高効率ボイラを紹介
する。「産業用 HP を活用した工場のエネルギー管理」(講師:ECCJ 峯岸技術専門職)…添付
資料8産業用ヒートポンプ技術の発展により、高温蒸気の代替や冷熱/温熱同時利用が進んで
来た。低温排熱回収等によりエネルギー使用量ベースで▲25%程度の効果が期待される。
 「ガスタービンコジェネの紹介」(講師:川崎重工業・I部長/S課長)
1つのエネルギー源(燃料)から複数のエネルギー(熱・電気)を生み出してエネルギーの有効活
用を図るシステムであり、東日本大震災時の停電後も 100%に近い起動率で高い信頼性を示
した。
 「ボイラと省エネ・環保技術」(講師:三浦工業蘇州西部分社・W総経理)
中国では大型ボイラが主体であるため、小型ボイラと多缶設置のメリットを説明し、あわせ
て NOx 低減技術の内容を解説して、省エネ・環保の両立が可能であることを示した。また、
普及促進を図る上で、補助金の支給により天然ガス価格との乖離をカバーできたことを PR
した。
 「セミナーの総括と質疑応答」(講師:ECCJ 峯岸技術専門職)
省エネ推進により CO2 排出量の削減だけにとどまらず、NOx・SOx 等の排出量も同時に低
減され、それが二次的に生成される PM2.5 の発生を防止することが期待される。
Ⅳ-169
(3)全体の総括
今回は開催通知の発行から実際の開催まで準備期間がきわめて短かったにもかかわらず、四
川省節能協会、四川省新エネルギー促進会のご尽力により、200 名を越える参加者に集まって
いただき、研修再開後の第1回目に対する期待の高さがうかがえた。
また、進行の不手際により、終了時間が 18 時以降になったにもかかわらず、最後まで熱心
に聴講していただいた方が多数いた。これも日本の省エネ技術に対する期待の高さの一つの現
れと考えられる。
4.3
日中省エネルギー技術セミナー(徳陽)
(1)工場視察
 维达紙业有限公司(製紙会社)
中国で有名なティシュペーパー・トイレットペーパー等を生産する会社の造紙機 2 台を中
心に、パルプから紙の大径ロールに巻き取る工程を見学させていただいた。大型ボイラが 3
台あり、三浦工業・和田講師が個別にスペックを調査した。また、生産棟をまたがり、温水・
冷水の配管が行き交っているため、配管ロスが大きいことを節能協会に説明した。
エネルギー使用量の詳細が不明なため、断定的には言えないが、産業用ヒートポンプの適
用によっても改善の可能性が高いと思われる。
排水処理については COD を 40mg/l 以下に管理しており、中水利用として芝生に処理水
を散布している。中国内ではまずまずのレベルと言える。
 特変電工有限公司(電線会社)
発電所からの送電線を作るために、3相交流用に芯線をよじって電線を製作する工程を見
学させていただいた。日本の昭和電工との技術交流をしているとのことだったが、特別にエ
ネルギー消費が大きい工程がある訳でもなく、改善点を指摘するには至らなかった。
(2)座談会
成都での省エネルギー技術セミナーのうち、技術面を取り出して下記 4 項目を解説した。
 「グンゼ省エネ診断のご紹介」(講師:グンゼ上海・M総経理)
日本政府・グンゼの省エネ診断への取り組みと ESCO 事業の実績を示した後、省エネ改善事
例として具体的に成果を挙げた 4 つの案件を紹介した。
 「三浦ボイラと三浦の省エネ・環保技術」(講師:三浦工業蘇州西部分社・W総経理)
中国では大型ボイラが主体であるため、小型ボイラと多缶設置のメリットを説明し、あわせ
て NOx 低減技術の内容を解説して、省エネ・環保の両立が可能であることを示した。また、
普及促進を図る上で、補助金の支給により天然ガス価格との乖離をカバーできたことを PR
した。
Ⅳ-170
 「ガスタービンコジェネレーションのご紹介」(講師:川崎重工業・I部長/S課長)
1つのエネルギー源(燃料)から複数のエネルギー(熱・電気)を生み出してエネルギーの有効活
用を図るシステムであり、東日本大震災時の停電後も 100%に近い起動率で高い信頼性を示
した。
 「産業用ヒートポンプを活用した工場のエネルギー管理」(講師:ECCJ 峯岸技術専門職)
産業用ヒートポンプ技術の発展により、高温蒸気の代替や冷熱/温熱同時利用が進んで来た。
低温排熱回収等によりエネルギー使用量ベースで▲25%程度の効果が期待される。
4.4
全体の総括
座談会において特に質問等は出されなかったが、四川省経済和信息化委員会・彭文胜副
処長、四川省節能協会・劉挺軍会長、徳陽市経済和信息化委員会・李世琪副主任をはじめ、
セミナー参加者 21 名には熱心に聴講していただいた。今後、何らかの質問がある場合には、
徳陽市経済和信息化委員会経由で問い合わせをしていただくこととした。
4.5
反省点と今後の課題
(1)反省点
1)中国側関係機関への根回しの重要性
昨年 11 月に四川省及び、北京において、中国側のセミナー関係者に対し、2015 年 2 月初
めをめどにセミナー開催手配を依頼した。中国に於いては、省エネルギー機関の監督官庁
は工業信息化部系統と、国家発展改革委員会(国家節能中心)系統の二種類がある。その
ため、当方窓口である国家節能中心へのアプローチに合わせて、国家工業信息化部に対し
ても事前根回しが必要であった。そうすることでより一層の中国側からの協力が得られた
と考える。特に、参加に前向きであった国家節能中心のメンバーの参加は得られなかった
のは、国家発展改革委員会傘下の組織であるため、工業信息化部に配慮した結果とのこと
である。
2)余裕のあるスケジュール調整
また、多くの組織が関係し、各種申請認可手続きに時間がかかる中国で、十分な準備期間
がなかったことも 1 つの反省点である。最後的には、当初主催者となる予定であった経済
信息化委員会の指示で中国側の主催者となった半民間機関である四川省省エネ協会の尽
力で、成都市で 200 名超、徳陽市で約 30 人とまずまずの出席者で成功裏に実施すること
ができた。今後は、現地サイドの省エネ関連機関が上部機関との調整を十分行える日程で
スケジュール調整を行っていく。
(2)ワークショップの成果と対中国専門家派遣の課題
1)日中省エネ人材育成事業のモデルケース
今回、成都市にて日中関係改善後初めて、省エネ人材育成事業としての省エネプロジェク
Ⅳ-171
ト形成を目的とした省エネ技術交流ワークショップを開催できた。2006 年より 2011 年度
まで実施した中国発展改革委員会と METI との合意に基づく専門家派遣及び受入れ研修
による協力事業に最も熱心であった四川省から再開し、今後の対中国への省エネ協力事業
の1つのモデルケースとなった。
2)中国側のカウンターパート(国家節能中心)の決定
従来の経緯を踏まえ、国家発展改革委員会傘下の国家節能中心を ECCJ の中国側のカウン
ターパートとして覚書を結ぶことが必要である。これにより中国側の日中省エネ協力に対
する明確なニーズ情報を入手でき、また、今回経験したような中国側の窓口の調整に関す
る問題も解決できる。又、過去の受け入れ研修・専門家派遣で構築された地方政府の関連
部門とのネットワークも利用し、ワークショップのレベルアップを図る。
3)日本の関係諸機関との情報共有と、省エネ技術普及支援におけるビジネス環境整備
特に中国への省エネ人材育成事業では省エネプロジェクトを発掘し、省エネビジネス環境
を整備することが主目的となる。そのため、従来通り METI の指示に従い、JASE-W に加
え日中経済協会、JETRO 等の関係機関や民間企業との情報共有及び、連携・協力を推進
していく。
4)研修内容の深化・拡大
研修内容をさらに中国側のニーズに適合させ、日本側のシーズを提供していく。今回のワ
ークショップを通し、低炭素社会の実現とそれを通じた大気汚染の改善は中国社会の喫緊
の課題であることが再認識でき、日本が得意とする高度で多様な省エネ技術の紹介により、
民間企業の中国での省エネビジネス展開に貢献できる。
5)受入研修事業の検討
中国側から、受入研修の再開を要請する声が多かった。日本に招へいし、日本の制度や技
術におけるベストプラクティスを実際に見聞してもらうことは、中国の更なる省エネ推進
及び中国での省エネビジネスの進展に有効であると考える。しかし、今後は、METI 予算
制約等も踏まえ、研修効果に見合った応分の費用負担を、中国者側に求めていく方向性と
したい。
注)中国政府エネルギー関連の主要機関
国家発展改革委員会
・中国国務院直下の 25 省庁の一つ。経済と社会の政策の研究、経済のマクロ調整などを行
う。経済政策を一手に握る職務的重要性から小国務院とも呼ばれる。主任は徐紹史、副主
任は解振華。傘下に資源節約及び総合利用等の推進を行う資源節約和環境保護司(司長:
何炳光)、CDMを含む気候変動対策を管轄する応対気候変化司(司長:蘇偉)等を有す
Ⅳ-172
る。
工業信息化部
・2008 年、設立された部で、以下の部署を統合した省庁。部長は苗圩。
国家発展改革委員会の工業部門、国家国防科学技術工業局の核電力以外の業務、情報産業
部郵政事業など一部を除く職務、国務院情報化工作弁公室の職務 。
5.中国国家節能中心との協議
5.1
出張概要
(1)出張期間: 2015 年 3 月 5 日(木)~7 日(土)
(2)場所
: 中国
(3)出張者
: 国際協力担当常務
祖川二郎
国際計画部長
牛尾好孝
国際調査普及部部長
田中
北京
靖
(4)出張目的:
2014 年 12 月 28 日に北京で開催された「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を契機
に、日中省エネ協力事業が再開された。再開後の第一回目として、2015 年 3 月 18 日 2 月上旬
に日中経協との共催により四川省成都市及び徳陽市で省エネ技術セミナーを開催した。今回は、
日中省エネ協力事業の再開に当たり、2 年前に中断する前のカウンターパートで、当時 ECCJ
と協力の覚書を交わしていた中国国家節能中心(NECC)と今後の協力方針について協議する
ため出張した。
尚、今回の出張は NECC の贾复生主任より ECCJ の奥村専務にあてた、当該協力方針に関
する書簡(2015 年 1 月付け)への回答も兼ねている。
(5)業務予定
:以下の予定表の通り
日程
3月5日
(木)
3月6日
(金)
3月7日
(土)
5.2
業務内容
祖川、牛尾 (田中は他事業での出張業務終了後合
Lv. 東京(成田) Ar.北京
流)
午前9:00-10:00:日中経協(北京)訪問
15:00-18:00国家節能中心(NECC)との協議(賈主任)
Lv. 北京
Ar. 東京(成田)
中国国家節能中心との協議
5.2.1
会議出席者
中国側(NECC) :贾复生主任(Mr.Jia)、尹小兰副处长(Ms. Yin) 张宇处长(Mr. Zhang),
时希杰副处长(Mr.Shi),陈宇(Mr. Chen)
日本側(ECCJ):祖川二郎常務、牛尾好孝計画部長、田中部長
Ⅳ-173
5.2.2
議事概要
奥村専務から賈主任へのレターを手交するとともに、贾复生主任からの 3 項目の提案に関す
る具体的な意見交換を行った。
日本側としては、
(1) 近々中国で計画されている省エネ法の修正事業への日本からの情報提供
<中国側説明>
(1) 実行希望時期:2015 年 4~5 月に日本へミッション派遣を希望
(2) ミッションメンバー構成案:10 人程度、以下のメンバーを含む。
・全人代財務経済委員会委員
・NDRC
1名
・NECC
1名
・専門家
数人
(3) 日本側メンバーへの希望:省エネ法の専門家、法制の専門家
(4) 内容:
・日本における省エネ法改正の歴史・改正内容・重点項目等を深く知りたい。
・中国省エネ法の特徴、日本省エネ法との相違点と中国省エネ法の実行面の評価を
踏まえ、改正の基本方向を提案してほしい。
・省エネ成績の良い企業・工場の訪問も行いたい。
(5) 交流時の経費負担方式:日本側が、航空チケット、宿泊費の負担を検討してくれ
ないか、との要望があった。
(6) 省エネ法の改正に関しては背景に習主席からの猛烈なプッシュがある模様。
<日本側の回答>
(1)METI からの「省エネルギー人材育成事業」の委託事業の受託が前提であるが、4
月頃に年間計画関連で両者間で調整し、当面 6 月をめどとする開催案を検討する。
(2) 地方における省エネ技術・エネルギー管理の向上を目指した現地省エネセミナー開催
<中国側説明>
(1)キャラバン方式を希望
具体的には、一回、五か所を二日間ずつ連続的に回り、トータル2週間程度の期間とする
案。第一回分として、既に以下の案が浮上している。可能ならば 7~8 月には実施して
ほしい。
・天津市⇒陝西省⇒重慶市⇒山西省⇒新疆ウイグル自治区
(2)期間は、3 年間で、各年 2 回ずつで、年間 10 か所、計 30 か所を訪問してほしい。
(3)規模は、四川省で先日開催されたものより大きいものを希望。
(4)内容は、各地域別に詳細内容はヒアリング中だが、基本は一日目が政策・法体系、
Ⅳ-174
省エネ技術・省エネ管理のノウハウ、二日目がエネルギー多消費産業(鉄鋼・セメント・
電力等)のニーズに合わせた省エネ技術の紹介セッションのイメージ。後者は大気汚染
のテーマにもつながるもの。第一回目の計画の思いは、大工業都市で正に大気汚染の典
型例としての天津市と、発展中の西部各地域では、大気汚染発生前に何が出来るかを模
索したい。
<日本側コメント>
(1)検討はするが 3 年間で 30 か所は困難。優先順位をつけて逐次対応としたい。
(2)毎回5か所回るとなると、対応者は交代制となるかもしれない。また、地域によっ
てはニーズが異なるので場所別に異なった企業(又は同一企業でも異なる部門)の
対応が必要となるかもしれない。
(3)経費の分担については現地の交通、場所・聴衆の確保は中方、専門家関連費用(通
訳費含む)資料作成、宿泊費・航空運賃は日方負担というのが原則案だ。
(3) 省エネ政策・技術に関する比較研究会
<中国側説明>
(1) 省エネ状況に関する比較研究だが、可能な限り徹底的・全面的な検討会としたい。
当面の初歩的な構想は以下の 5 分野における交流である。
① 省エネ管理制度と政策の比較
② 重点エネルギー消費分野の省エネ措置・対策に関する典型的な研究、対策・効果の評
価(分野:工業・建築・交通運輸業・業務部門(家庭・商業関係他)
③ 省エネ産業の発展状況(研究開発・モデル都市・企業の設定、普及策等)について
④ エネルギー効率レベルの比較(全国レベル及び重点エネルギー消費企業のエネルギー
効率及びそれぞれの省エネルギーポテンシャル)
⑤ 将来の省エネ政策と発展(日本の技術の中国における適用可能性、中国式で日本に役
立つもの等々)
(2) 具体的な方法については、それぞれが希望の研究内容に関し整理し、その内容を擦り
合わせ、研究の大筋に合意可能ならば、4 月以降研究グループを作り、6 月末頃まで
にレポートを作成する。内容が良ければ出版も考慮したい。
<日本側コメント>
(1) 非常にタイトスケジュールであり、METI と相談してスケジュールも含め、検討させ
てほしい。
5.2.3
今後の対応(案)
(1) MOU 草案の検討及び締結の推進
① 双方の希望、現実的な対応案を擦り合わせたうえで、できること、できないことに
し合意し、後者の項目をまとめる。
② 上記をベースに、MOU(Memorandum Of Agreement)を作成、協議のうえ、合意
Ⅳ-175
関
③ MOU 締結
④ 日中フォーラムにおいて、MOU の実施要項的な内容で「交換公文を」かわす
(2) 日本側として対応可能な項目と、実施シナリオを検討し、人材育成事業枠の中で予算取りを行
い、事業展開へと進む。
Ⅳ-176
Ⅳ-6. サウジアラビア
省エネに関する協力の方針とテーマを具体化するために METI – SEEP 間で協議が実施され
た。この協議は、現地における協議とウェビナー方式とで行われた。これらの協議に参加し、
サウジ側の関心事項に関する情報を提供し具体的なニーズを把握し日本側の提案を協議して、
協力テーマを「エネルギー管理士認証制度の構築」に固めた。以下の特に現地での協議につい
て報告する。
Ⅳ-6-1.専門家派遣
サウジアラビアについては、METI と SEEP(サウジアラビア省エネルギープログラム)の間
で行われている省エネルギー協力事業の一環として、各分野の省エネ推進方策を進めるため具
体的な支援を行っている。今年度はサウジ側からの要望に応じて「産業分野のエネルギー管理
制度」をテーマに協力支援を行った。
本年度は2回の専門家派遣により、エネルギー管理制度構築に向けての支援を行った。
なお、1回目の派遣による検討の後、サウジ側の都合によりしばらく事業が中断されたこと、
内容の見直しを求められたことから日程が計画より大幅に遅れ、今年度に予定していた受入研
修は実施することが出来なかった。
1.第1回
専門家派遣
2014/8/16-21
産業分野におけるエネルギー管理制度構築を支援することにより同国の省エネを推
進すべく、制度構築方法を提案し具体的進め方について提案・検討を行った。
2.第2回
専門家派遣
2015/1/18-22
サウジ側からのニーズに応じ、エネルギー管理制度における認定(Qulification)、
認証(Certification )にテーマを絞り、サウジに適した方法を確立するための具体的方法
について提案を行った。
1.第1回専門家派遣
【出張目的】
○サウジアラビアに対する省エネ協力事業実施に向けて、サウジの省エネ担当機関である
SEEP との会議に出席して以下を行った。
・サウジの省エネルギー政策推進状況の確認、課題、情報を共有し今後の協力事業実施方針に
ついて協議する。
・ECCJ からは、本年度の事業として、「産業部門におけるエネルギー管理制度実施に対する支
Ⅳ-177
援、エネルギー管理のための人材育成事業」を提案する。
○UAE における省エネルギー事情をヒアリングし、今後の案件発掘に関する情報を収集する。
1)サウジアラビアに対する省エネルギー人材育成事業提案について
○サウジ省エネルギーセンター(SEEC)を訪問し、サウジ省エネプログラム(SEEP)
のプログラムコーディネータであるザハラニ氏に対して、ECCJ が提案する「エネル
ギー管理システム実施推進のための人材育成事業」について説明した。
○また翌日改めて SEEP 産業チームに対しても本提案について別途説明を行い、詳細
について討議を行い理解を深めた。
サウジは多くの分野で同時並行的に省エネ推進をする中で、同国において弱い部分につ
いて他国に支援を求めようとしている。(すでに多くの国、機関が関わっており、特定の国・
機関にすべてを放置的に任せるつもりはないとのこと。)
その点で ECCJ が提案する本案は、サウジにおいて弱点でありかつ日本の経験が生かさ
れた強みに関する協力事業であると理解され、エクセレントであるとの評価を得た。
今後、産業チームの責任者であるナイフ氏にレビューさせたのち、ザハラニ氏から SEEP
の総責任者であるアブドゥラアジズ・ビン・サルマン石油鉱物資源省副大臣に話をあげ、
GO サインが出たら METI と SEEP の間でレターエクスチェンジをしたのち実施に移すこ
ととなった。
実施部隊である産業チームにおいても同提案の詳細説明と討議を通じて本提案について
目的、意図を伝え趣旨、内容ともに有益であると好評価を得ることができた。サウジ側の
協力姿勢も見て取ることができ、方法論としても賛同を得ることができた。
2)サウジアラビアにおける省エネその他事情の情報収集
○サウジにおける日系組織を訪問しサウジ・中東の現状について各分野にわたり情報を収集
した。
・アブダビにおいてはエネルギー省が 10 年前から UAE のビル規制を作っているが、SEEP
ザハラニ氏によるとこれを以前から参考にしているとのべるなど、UAE とサウジ両国は密
接な情報交換をしている模様。なお、アブダビには産業がないことから、エネルギー管理
制度は考えていないと思われる。
・サウジでは新築ビルへの断熱義務付けが始まった模様。SEC に検収させ、合格しないと通
電させないという条例を作ろうとしている。人手がないので SEC に検収させるという枠
組みは以前からあった。
・SEEC と SEEP の関係が今一つクリアでない。SEEC は国王令で作られたのだが、
Ⅳ-178
SEEP は法的根拠がない。
・原子力は政治的要素が強すぎアラムコも距離を置いており不透明。政治問題と言える。
3)UAE におけるエネルギーをめぐる状況について
○UAEに対する省エネ協力の可能性を探るため、省エネに関する意識、企業からの見方を
ヒアリングし、状況を調査した。
○UAE 連邦におけるエネルギー事情について
(UAE連邦資料より)
・UAE においてはサウジほどの切迫感はないものの、環境問題としてのグリーン化を謳って
エネルギー計画を設定している。供給サイドとしては、天然ガスを中心として再生可能エ
ネルギーの導入、長期的には原子力導入により安定化を図る計画。需要サイドでは、連邦、
各首長国、地方自治体が連携して省エネルギー法の策定に参画している。対象は全分野に
及ぶが、中でもエネルギー需要の 80%近くを占めるビル、住宅、政府建物が省エネの中心
を担うため、ビル建築基準、断熱基準、家電製品の基準作りを計画的に進めている。
○電力事情について(企業ヒアリング結果より)
ドバイからいえば、アブダビの原子力を買うということが前提。ドバイの電力需要の伸
びが 2 ケタから 4%程度になり当面は何とかなっている状況。
アブダビの原子力はこれから作るが、完成したころにちょうど需要が出てくる感じか。
それ以外の新規電源の話もなく、今後も IWPP、原子力も遅れていくのではないか。
UAE 連邦内では系統連系しており、北部首長国にも送っているが、電源はほとんどアブ
ダビから。ガスのコンバインドサイクルが主体。さらに GCC グリッドもあるので広範囲
な融通が可能となっている。
一方、ドバイでは新規電源として石炭焚きの入札があり、2030 年の電源計画はガス
70、石炭 30 としており、今後石炭を導入していく計画となっている。
アブダビにエネルギー省を作るという話もあり今後の動向が注目される。
○エネルギー価格が低いサウジにおいて、如何にエネルギー管理制度を魅力的なものにする
か、企業にとって取り組む動機付けをどのようにしたらよいかが、最大の課題という認識
をしている。
今回のプロジェクトではエネルギー価格戦略は含まないこととしているが、何故日本企業
がエネルギー管理に推進したのか、法的規制以外の動機付けについても高い関心を持って
いるため、受入研修時などにおいて、直接我が国エネルギー管理者(関係者)の意見を聞
く機会を設定することが有意義と考える。
○UAEにおいては、エネルギー需要の伸びが鈍化し、現段階では需給が逼迫しているとは
言えないとのこと。長期的にはアブダビの原子力に依存する前提で計画されている。省エ
ネについては、連邦、各首長国、地方自治体が係わって制度制定に向けて作業中であるが、
Ⅳ-179
地域によって進捗度合いは異なる。またエネルギー需要は80%が民生用であることから、
ビル建築基準、家電製品基準などを中心に進めている。
ラベリング制度はあるが、アブダビにおいては貼付率が低い上、店員も意図を良く理解し
ていなかった。
我が国から人材育成協力をするとすれば、ビル省エネが最も喫緊の課題といえるため、ビ
ルのエネルギー管理手法の指導などをテーマとすることが考えられる。
しかし、連邦の国民は電力、水料金については無償であること(80%以上にのぼる外国
人が負担している)もあり、政府から国民への直接の働きかけや動機付けを行わない限り、
なかなか意識を浸透・定着させるのは困難かとも思われた。
2.第2回専門家派遣
・出張者
・出張期間
:
:
国際調査普及部長
須賀井直哉
2015年1月18日から1月22日(5日間)
・出張目的
サウジに対する今年度の人材育成事業計画に基づき、具体的実施について下記機関と協
議調整する。
1)経済産業省とサウジ省エネルギープログラム(SEEP)との間では2013年から省
エネルギー協力プロジェクトを実施しており、ECCJは本プロジェクトの下でエネルギ
ー管理システムの構築支援を計画している。今回は、昨年8月の提案とその後のテレ
ビ会議による協議に基づき、サウジ側から要望があったエネルギー管理士の認証に係
る制度構築について支援することを提案したうえで詳細の協議を行い、今後の事業案
を確定する。
2)サウジ電子機器・家電研修所(SEHAI)はMETIの補助金により中東協力センター
がサウジに開設した家電製品修理技術者養成などを目的とした組織であり、日本企業と
のつながりも強い。エネ研は2月に同所において家庭部門の省エネに関するセミナー開
催を予定していることから、今回はエネ研と共にSEHAIと情報交換を行い、サウジに
おいて今後の重要方策である家庭部門の省エネについて人材育成事業案件としての可
能性を検討する。
3)帰途、アブダビで開催されているWorld
Future Summit(Jase- W 出展)を視
察し、UAEを中心とする中東諸国のエネルギー事情について情報を収集する。
Ⅳ-180
1)SEEP 訪問
(目的)
○METI とサウジ政府間の合意に基づき METI が推進している対サウジ省エネ協力事業の一つ
として、ECCJ が提案している、「エネルギー管理システムの構築支援」について、昨年8月の
提案につづき修正提案と議論を行った。
昨年 8 月に人材育成事業としてエネルギー管理制度全体の構築支援を提案したが、サウジ側
からはエネルギー管理者の検定と認証制度に絞ったものとしてもらいたいとの要請があったこ
とから、この度修正提案を行ったもの。この提案は METI とサウジ政府 SEEP の間で確認され
た事業協力支援の一部として行われるため、METI の SEEP 訪問に合わせて訪問したものであ
る。
提案ポイント1:サウジにおけるエネルギー管理制度、管理者の現状の把握について
提案ポイント2:エネルギー管理者の認定、認証制度の構築について(日本の経験を参考とし
て)
(討議内容)
①
提案内容概要について
・本提案はサウジの希望と合致していることを確認。
・サウジもエネルギー管理システムを導入しようとしているところ。今回はエネルギー管理者
の Accredit、Qualification.
Certification にフォーカスした協力事業を期待しており、日
本の経験や知見を導入してきたい。
・サウジの現状を踏まえて、日本側が今までの経験を反映したサウジに適合した内容を提案し
て、同国の参考にしてもらう形をとる。
②
サウジのエネルギー管理の現状について
・各企業と政府が削減目標などについて合意し official
letter を送ってコンタクトパーソンを
決める。あとは企業が努力することになるが、サウジのエネルギー管理制度は企業によって
大きく異なるのが現状。
・石油化学では、新たなポジションとしてエネルギー管理チームを設定している。
一方でセ
メントでは工場規模も小さく、人材不足でエネルギー管理者というポジションはないが、
Operation や Maintenance のエンジニアがアドバイスをしている。
SABIC などの大企業にはエクセエレンスセンターを設置しマネジメントチームがあり常に
管理しているがこれは例外。小さな企業においては全く管理されていない。
サウジのエネルギー管理制度については、
・エネルギー管理についてはゼロからのスタート。
Ⅳ-181
・石油、鉄鋼、セメントの3分野におけるエネルギー管理制度構築のため必要となる工場の
データ収集と評価を始めたところ。
これらのデータやサウジ側で考えるエネルギー管理士の役割と準備状況についてサウジ側が
整理して日本に送ることとする。(2週間程度)
その後、これをもとに内容を確認した上で、日本側で事業のスケジュール、計画を策定送付
することとした。
③
サウジが考えるエネルギー管理者について
・エネルギー消費改善計画については、
データ収集
目標値の設定、と要求項目の決定
現行設備と改善、改修、新規設備導入計画の設定
コミッショニング
といったステップがあるが、各段階において、エネルギー管理者が助言していくことを期待
している。
エネルギー管理者がオペレーションを100%知る必要はなく“ファシリテーター”である。
設備デザイン、データ収集、分析にも関わっていくし、新たな技術要素も入れていくことを
提案することも期待される。
④
今後の進め方について
・サウジのエネルギー管理の現状については、SEEP が整理して日本に送付する。
・スケジュールと今後の進め方についてはサウジからの現状報告を受けて内容を検討し、数週
間以内に、日本から提示する。
・サウジにおけるエネルギー管理者の育成・資格認定計画については、日本と協力して 6 月末
を目途にまとめる。
・Qualification のためのクライテリアを作っていきたい。
・メールや TV 会議により進め、スケジュールも STEP
by
STEP で進めていく。
・やり取りは提示された資料、データに基づき双方向でやっていくことにする。
⑤
所感
・今回の修正提案は、前回の提案以降電話会議などに於いて先方から要請があった、
Qualification や Certification にフォーカスしたものとしており、先方のニーズには合致し
ていることが確認された。
・しかし、エネルギー管理者の認証認定はエネルギー管理の現状を踏まえてニーズや要求資質
を決めて行くものであり日本のクライテリアをそのまま導入することは出来ない。
今回の訪問では、まずサウジのエネルギー管理および管理者の役割などの現状について情報
Ⅳ-182
提供を求めそれに基づいて日本側がサウジに適した制度を提案することとした。
・サウジは一方的な指導、押しつけは忌避している一方で、日本の経験を重視しており協力し
てサウジに適したものを作り上げていきたいという意向である。
この点を配慮しながら、双方向で情報共有をしつつ一定の成果をあげるためのプログラムと
して事業を進めることとした。
・期限は6月頃を目途にしており、年度を跨ることから METI の意向に基づき進めることとす
る。
○日本エネルギー経済研究所からは、サウジアラビアに対する政策共同研究事業として提案と
議論が行われた。
(提案内容)
①ベストプラクティスのデータベースの提供(EMAK 等で収集した事例紹介)によるエネルギ
ー管理の支援について
②2040 年までのサウジ政府が実施する省エネ政策の定量的な効果分析とシナリオ作成による
省エネ計画立案支援
①についてはいくつかのサンプルを提供することとなった。
サウジ側は、鉄、セメント、石化にフォーカスしたい意向。さらに政府ビルのレトロフィット
も検討していることから情報を求めている。
②についてはデータの提供に関して SEEP 側トップレベルの許可が必要であることなどから保
留された。
また、エネ研が同事業として2月に実施予定の SEHAI におけるセミナーへの参加も要請し、
アジェンダ案をエネ研が作成・送付することとした。
2)
SEHAI 訪問
(2015/1/20)
(目的)
○SEHAI においてエネ研が実施予定の家庭分野の省エネセミナーについて詳細の検討をおこ
なうと共に ECCJ として家庭分野の省エネをテーマとした今後の事業協力の可能性について
意見交換を行うため訪問した。
ECCJ としては、セミナーには関与せず今後の方向性の確認のみ。
①
SEHAI の概要について
Ⅳ-183
サウジの家電製品販売代理店が発起人となり両国政府と日本企業の協力で開始した事業であ
り、サウジ人の若手のための家電製品修理保守技術研修施設。
METI の補助金により中東協力センターおよび日本工学院が実施している。
目的:脱石油のための産業多角化、人材育成、若手雇用促進のための職業訓練。
現在までの卒業生
3500 人、(定員 300 名、教員 27 名)全員男性。
2008 年の事業開始より設立支援、自律運営支援を実施。
2015 年 9 月からは省エネをテーマとした 2 年計画を策定予定。SEEP の動きと歩調を合わ
せ、家電、ビル設備も含めた人材育成支援を検討中。
(参考)
ECCJ は 2014 年 11 月のファハド所長及び教員 3 名の訪日研修時に、日本の省エネ政策お
よび家庭分野の省エネ方策などについて講義実施済。=METI および中東協力センターか
らの要請による。
②
エネ研の政策共同研究事業として 2 月 24,25 日又は翌週に省エネセミナーを開催予定
(ファハド所長より)
・両者のベネフィットを追求したい。Prestagious なものとして大々的に開催したい。
・地方政府、商工会議所関係、SEEP を含め参加者を募る。
アジェンダ案をエネ研が用意して提示することとした。
3) WEFS 視察
(2015/2/21)
○アブダビでのトランジットを利用し WEFS を視察した。
・JASE-W が出展中の日本ブースについて
日本企業が一つのエリアを構成して出展し、展示を行っていた。その中で JASE-W と JCCME
の出展は各企業紹介への入り口となっており、省エネに取り組む日本企業群を代表して日本の
取り組みを示す良い位置づけとなっていた。ブース内で行われたプレゼンに続き、ブース内に
ある商談コーナーにて個別に意見交換を行う姿が続き、効果的な出展方法と思われた。
韓国、中国なども一定エリアに固まっていたが日本ブース(エリア)は表示、誘導など目立
つ展示となっており、一体感を感じられた。
日本での展示会に比べ欧州勢の参加がかなり目
立ち、アジア、米国の存在感は低く感じた。
・マスダールについて
アブダビの環境・エネルギーに関するパイロットプロジェクトとして、マスダール地区にて
行われている実験について、大々的な展示が行われていた。PV,WP 等の新エネ、スマートグリ
Ⅳ-184
ッドなどの実証試験に加え、省エネビルなどが 700 ヘクタールの敷地に展開されている。
IRENA(国際再生可能エネルギー機関)の本部も置かれており、本年は日本が IRENA 議長
国となることから多くの関係者が訪問したとのことであった。
マスダールには研究施設も置かれ、エネルギー関係の研究、教育も行われている。
担当者
の話によると資金的に厳しくなっており、設備建設については今後も計画通り進んでいくかど
うかについては、余り自信がなさそうであった。
Ⅳ-185
Ⅳ-6-2.受入研修
サウジアラビアに対しては、専門家派遣等を通じて協力の具体的なテーマを絞ってきた。
しかし、今年度は、サウジアラビア側の都合により一時期協議が中断したため、計画が当初
より遅れ、受入研修は実施できなかった。
今後、現在提案しているエネルギー管理者制度
における認証制度構築支援の中で実施することを検討すべきと思われる。
Ⅳ-186
Ⅳ-7.中東資源外交重点国
METI より現地大使館を通じて参加を呼び掛けたところバーレン、エジプト、イラク、イラ
ン、モロッコ、チュニジア、カタールの参加を得ることができ、同地域で最も関心が高く喫緊
の課題となっているビル分野の省エネルギー対策に絞って受入研修を実施した。
対象は主に政府関係者とし、省エネ推進計画を策定するなど、実務的な研修を実施した。
今後は今回の実績を橋頭堡として、各国のニーズを反映しつつ、二国間の形で研修実施
を計画することとしたい。
Ⅳ-7-1.受入研修
1.実施概要
実施期間
研修目的
平成 26 年 12 月 16 日~12 月 22 日(5 日間)
*内訳:講義(1.0 日間)、見学(1.0 日間)、発表・討議等(3.0 日間)
中東及び北アフリカ諸国においては、エネルギー需要が急増する中
で、産油国とはいえ外貨獲得のための石油輸出量の確保を図るため、
運輸部門およびビル部門の省エネ、特に冷房需要の増加に対する省エ
ネ方策等が喫緊となっている。このため各国においては、省エネ関連
法の整備をはじめとした政府による省エネルギー政策が推進されつつ
ある。
特にエネルギー需要の伸びが大きいビル部門の省エネについては、
高効率機器の導入・エネルギー管理による省エネ推進、一般向けの
Awareness の推進などについて、日本の経験、情報が有益と考えられ
る。
本年は昨年に引き続き中東・北アフリカ地域に対するビル部門の省
エネ研修を実施し、各国の課題の確認とエネルギー管理、最新技術、
省エネ手法について講義する。
同時に同地域に対して日本の経験を通して各国に適した省エネ推進
方策を議論し、各国の省エネ推進に向けての制度確立、実施に向けて
の実行計画作成の支援を行う。
併せて日本の経験、最新技術・製品を紹介し、ハード面からも各国
の省エネ実践・推進に資する情報を提供する。
1.ビル部門におけるエネルギー管理・省エネ手法の紹介
2.高効率省エネビルの省エネ管理・診断。特に ECCJ がもつビル
管理手法(ESUM,ECTT など)や診断手法等の説明。
3.日本の最新省エネ機器、技術を紹介し導入の動機付けをすると
共に、ビジネスマッチングの機会を設ける。
4.同地域において関心の高い地域冷房について見学を含め実態を
紹介し理解を深める。
対象者
政府及び関連機関の省エネルギー政策に従事する担当者。
研修者数:以下の政府組織より12人の参加。
① 参加政府
Ⅳ-187
バーレン(1)、エジプト(2)、イラク(2)、イラン(1)、モロッコ(2)、
チュニジア(2)、カタール(2)
重点内容
成果
(アウトプット:
活動計画)
① ビル部門の省エネ推進の課題抽出と日本の管理手法・ツール、診断
手法の紹介
・中東北アフリカ諸国におけるビル部門の省エネ課題の報告
・ビル部門については、エネルギー管理の体系構築とこの運用のた
め ECCJ がもつビル管理手法・ツール(ESUM,ECTT など)を紹
介し具体的な活用法について指導する。
・JASE-W と連携し、インバーターエアコンを始め優れた省エネル
ギー機器、技術の紹介を行い、日本企業とのビジネスマッチング
につなげる。
② ビルおよび省エネ施設の視察
・地域冷暖房システムなど最新の省エネビルや施設の視察、および
省エネ設備の見学
以下の活動計画が立案された。
① 国立省エネルギーセンターの設立
Establishment of National Energy Conservation Center
② 政府ビルにおける省エネルギー推進
Promote of EC in Governmental Building
③ 家庭ビルと照明設備の省エネプログラムの実施
Implementation of Energy Efficiency Program for Residential
Building and Improving Lighting Equipment
Ⅳ-188
2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
講義
情報共有・
交流
討議
見学
小集団
グループ
討議
参加国(7カ国)から各国別に以下の報告を発表し課題等を討議した。
・各国のエネルギー供給・消費状況およびエネルギー政策戦略
・各国の省エネ推進施策
・各国の省エネ推進における進捗と課題
次の講義を行って知識や情報を提供した。
・最近の日本の省エネルギー政策動向
省エネルギー法の改正動向および Top runner 方式等
・ビルにおける最新省エネルギー技術の紹介
エネルギー管理体系とこの運用のため ECCJ がもつビル管理手
法・ツール(ESUM,ECTT など)
最新のビル適用省エネルギー技術
・日本における省エネ法に基づく新築省ビルの設計基準
上記の講義の中で参加者から課題を共有し、講師や専門家と解決に向
けた助言や意見交換を行った。
以下の団体とそれらの会員企業との間で情報交換や意見交換を通じ
た交流を行った。
1. JASE-World及びその会員との交流
会員企業は2社が参加。JASE-Worldの活動と2社による技術PRを行い
意見交換や討議を実施。
・グループ討議(活動計画の策定)
以下の省エネ管理優秀事例ビルを訪問し交流した。
①日本における最新省エネルギービル
汐留のビルの最新省エネ技術展開ビルについての視察・質疑
②最新省エネルギー地域熱供給設備
負荷平準化を志向した大規模蓄熱槽および最新冷凍機の視察・質疑
3グループで下記テーマの解決策や実施策等について討議した。
① 国立省エネルギーセンターの設立
② 政府ビルにおける省エネルギー推進
③ 家庭ビルと照明設備の省エネプログラムの実施
上記の討議の結果次の活動計画が策定された。
提案された改善策に関する具体的な討議を実施した。
各提案はそれぞれの国に適用するよう改善するとしている。
討議結果
最終報告
①国立省エネルギーセンターの設立
Establishment of National Energy Conservation Center
②政府ビルにおける省エネルギー推進
Promote of EC in Governmental Building
③家庭ビルと照明設備の省エネプログラムの実施
Implementation of Energy Efficiency Program for Residential
Building and Improving Lighting Equipment
Ⅳ-189
3.実施評価
研修生代表
今回のワークショップで日本にて得た知識と経験は、今後の活動に有
用である。帰国後に関係機関との研修内容の情報共有をするととも
に、政策立案の参考とする。
今回のワークショップは今後の活動に向けて大変有用であった。
一方で、以下の課題や要望が挙げられた。
研修生
(評価書)
・研修期間を拡大しさらに詳細な情報提供を貰いたい。
研修期間は5日間であり、見学・発表・討議もあり実質の講義時間は2
日程度であり、十分な講義項目を提供することが出来ない。
詳細な省エネ設備の試験機関訪問への要求や、省エネ計算手法の紹介
等の要望が研修生から寄せられた。
MENA全体としては第1回目の研修であった。
連絡相手国が多く招聘業務に関しては煩雑さがあったが最終的に12
カ国(24名)に参加を募り結果として7カ国(12名)が参加した。
ECCJ の
評価
研修実施内容に関しては全体として目的は達成できたと考えている。
ビルの省エネルギーをテーマとするワークショップであったが、各国
のエネルギー全般についても議論を実施することが出来た。
7カ国あり1カ国別に議論したが、議論が完了するには規定時間を超え
て時間が必要であった。さらに時間があったらと十分な議論が出来た
と感じた。
短期間のなかでプログラムを構成したが、最終的な成果を示すグルー
プワーク作業によるファイナルレポートは3グループに別れ作成した
が、各グループよく省エネルギー活動の本質を捉えた発表内容であっ
た。
省エネルギー政策のあり方について各国の研修生は知識については
十分と考えられる。包括的にやるべき項目のリストアップおよび全体
構成についてはよくファイナルレポートに表現されていると思う。
今後のカリキュラムは総論の考え方、あるいは省エネルギーの在るべ
き政策に加え、これを具体的に政策または法律または規則にまで展開
する方法論に関する行政手法までの指導カリキュラムを検討するこ
とも必要であると感じた。
本研修は今後の継続を考慮すると、エネルギー政策およびエネルギー
事情は各国各様であり共通テーマ設定は厳しい面があった気がする。
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
MENAから各国が集合するのであれば、MENAに間違いなく重要な共通テ
ーマでないと議論が分散する可能性があると感じた。
今回は共通的なテーマとしてビルの省エネルギーを設定したが、一つ
の問題定義としてMENA全体でワークショップを行うより、さらに重点
を絞り、二国間研修に展開することがより有効ではないかと感じた。
Ⅳ-190
二国間研修が問題の明確化および課題の解決に向けた議論がフォー
カスを会わせやすく深い議論が期待できると考えられる。
上記の視点で再度、相手国選定および研修展開を考慮することも一考
の価値があると考えた。
Ⅳ-191
中東北アフリカ諸国省エネワークショップ (MEC MENA1) プログラム
Ⅳ-192
Ⅳ-8.トルコ
Ⅳ-8-1.受入研修
トルコに対して第 1 回目の受入研修を実施した。
トルコは近年経済発展によりエネルギー需要が堅調に増加している。
トルコ政府は、経済発展に必要なエネルギーを環境負荷を抑えながら安定的に供給する為、
発電から消費の段階で効率的にエネルギーを使用する省エネルギー推進を優先度の高い政策
課題としている。すでにトルコでは 2007 年に省エネルギー法が制定されている。
ECCJ は 2000-2005 年 JICA のプロジェクトタイプ技術協力を通じてトルコ国立省エネルギ
ーセンター(NECC)の設立およびエネルギー管理者の人材育成に協力した経緯がある。
またトルコはビル部門のエネルギー消費が多く、省エネの取組みが積極的に進められている。
今回、日本のビル部門の省エネルギー取組みを紹介する目的でワークショプを開催した。
1.実施概要
実施期間
平成 27 年 2 月 4 日~2 月 10 日(5 日間)
*内訳:講義(2.0 日間)、見学(1.0 日間)、発表・討議等(2.0 日間)
(1)研修テーマ:ビルディングにおける省エネルギー
研修目的
(2)トルコにおける省エネビルのニーズ
トルコ政府は、省エネの具体的数値目標として、エネルギー消費効率を 2015
年に対し 2008 年比 10%の削減、2023 年に同 20%を削減に掲げている。公共
建物に関わるエネルギー消費効率改善目標としても上記と同じ目標が掲げら
れている。また、新設された環境都市整備省等を中心に省エネビル普及に関わ
るロードマップを作成中である。
トルコでは産業の省エネルギーに関して一定の成果を挙げつつある中で、ビル
部門のエネルギー消費が多く、省エネに向けた取り組みが積極的に進められて
いる。日本としても空調機器をはじめとする省エネ技術・機器等でビジネス機
会の拡大が期待される。
(3)研修目的
トルコ側に日本側の強みを適合した研修内容を提供することが出来る。
・省エネ施策:省エネビル普及に向けた日本の施策等の紹介
・省エネ技術:空調・照明・再生可能エネルギー等の省エネビル技術事例紹介
研修者数:以下の組織から10人の参加。
対象者
①政府関係者
エネルギー天然資源省・再生可能エネルギー局 (GDRE)の政策担当官
②産業団体等民間関係者
建設資材協会、トルコESCO協会関係者
重点内容
③大学関係者
(1) ビルの省エネルギー対策の政策・規制
(日本のビル省エネルギー規制、判断基準や管理標準、CASBEE等)。
(2) 省エネビル向けの日本の省エネ技術
Ⅳ-193
(3) 省エネルギー実施事例の視察
成果
(アウトプット:
活動計画)
以下の活動計画が立案された。
①トルコにおけるビル省エネルギー分野における現状の問題点と改善点
Current situation,Deficiencies and requirements in Building Sector
②トルコ・日本の省エネルギーに関する将来の協力案の検討
To establish a possible Future Cooperation on EE/C In building
Ⅳ-194
2.研修内容(要点)
省エネ
状況報告
講義
情報共有・
交流
討議
見学
小集団
グループ
討議
トルコ側からは以下の報告が行われた、それに関し課題等を討議し
た。
・トルコにおけるエネルギー供給状況および省エネルギー国家目標
・省エネルギー展開に向けた戦略案および政策課題
・省エネルギービル評価システムの状況と省エネ推進の為の施策
次に示す項目に関する知識・情報を提供した。
・日本におけるビル省エネルギー政策動向
・ビルにおける最新省エネルギー対策技術の紹介
・省エネビルの新築設計基準・ESCO による既設ビル改修事例の紹介
・環境性を考慮したビル評価法(CASBEE)
上記の講義の中で更に参加者と課題を共有し、助言や意見交換を行っ
た。
以下の団体と会員企業との間で情報交換や意見交換を通じた交流を
行った。
1. JASE-World及びその会員との交流
会員企業は2社が参加。
JASE-Worldの活動と2社による技術PRを行い意見交換や討議を実施。
日建設計:ビル省エネシュミレーション技術
日立製作所:コジェネ技術
・グループ討議(活動計画の策定)
以下のエネルギー管理優秀事例を訪問し交流した。
・東京スカイツリー熱供給プラント
大型蓄熱槽活用による負荷平準化運転による省エネルギー推進事
例
・東京都庁ビル
大型ビル省エネルギー改善運転実施推進状況の情報取得
2グループで下記テーマの解決策や実施策等について討議した。
①トルコにおけるビル省エネ上の問題点とその対策
②省エネルギーに関する将来的な協力プログラム計画の検討
上記の討議の結果次の活動計画が策定された。
討議結果
最終報告
①トルコのビルの省エネルギー現状の問題点と改善点
Current situation , Deficiencies and requirements in Building
Sector
トルコに新設・既設ビルの省エネ改修が必要、現在ビルの省エネ度
の検査証書の発行を行っている。順次改修したいが ESCO 業者改
善能力・改修資金の調達が課題。
②トルコ・日本の省エネルギーに関する将来協力計画の立案
To establish a possible Future Cooperation on EE/C In building
トルコにおける新しい省エネビルの評価基準や法制度構築が必要、
エネルギーマネジメントや関連組織の能力底上げも必要、日本との
協力関係により考えたい。
Ⅳ-195
上記の結果に基づき、更に以下の点を協議した。
● 提案された改善策に関する具体的な討議
今後の活動計画については情報交換を行ない、具体的活動計画を策定
する事とした。
詳細な日程を含む計画は、今後ECCJとDGREの間で協議する事とした。
3.実施評価
研修生代表
研修生
(評価書)
今回のワークショップは大変有益であり、日本で得た知識と経験は今
後の活動に有用である。
トルコのビル省エネルギー政策実施に関しては、さらに日本の経験と
指導を必要としている。
ビル省エネの規制・制度面の再構築、ESCO企業を含めた組織能力の向
上、各ビルのエネルギーマネジメント能力向上等に関し、日本の今後
の引き続きの協力をお願いしたい。
今回のワークショップは今後の活動に向けて大変有用であった。
一方で、課題や要望として以下の点が挙げられた。
・研修期間が短いので拡大することを期待する。
現状の研修体系では研修内容を充実する事により可能となるが、
せいぜい1,2日である。
・最先端技術が使われている省エネビル見学を増やしてほしい。
先端技術が使われている省エネビルの見学は日本でのみ可能である
ケースもあるので、限度はあるが今後増やす計画を検討したい。
・全体としてビル省エネルギーに関し日本の状況提供およびトルコの
取り組み状況の共有化等、所期の目的を達成できたと考えられる、研
修生の評価表からもそれが伺える。
ECCJ の
評価
・今回のワークショップはトルコを迎えての第1回目であり、ビル省
エネに関し講義・見学とも十分配慮したつもりである。しかしながら、
結果として総花的になった感が否めない。
・漏れの無いプログラムを組んだので一応の全体的なイメージを持っ
てもらえたと思うが、インパクトのないプログラムになった様であ
る。
次回以降に実施が可能であればトルコ側との意見・意向を反映した計
画としたい。
・トルコ側は特にビル省エネに関する法制度・整備に関し、日本的な
運用を参考にしながら、新しい体系を構築したいとの要望であった。
Ⅳ-196
具体的にどの項目に着目すべきか、テーマを絞りその内容を深めた研
修プログラムの実施が考えられる。お互いにテーマを絞り込む情報交
換作業後に具体的研修計画の立案が望ましいと感じた。
・今回のワークショップにてトルコ側との政策決定権のあるキーパー
ソンとの関係構築が出来たので、今後は十分な情報交換しながら計画
をたてて行きたい。
・具体化したニーズに対応したプログラム形成
今後はワークショップテーマの専門具体化が必要と感じた。
テーマを絞り専門性を高めたプログラム構成を強化する必要がある
と考えられる。たとえば新築ビルの省エネ基準についての方針および
その適用範囲等のように設定すると日本における関係機関や考え方
についてさらに詳細な情報提供が可能になる。
そのためにもトルコ側との事前調整が必要になる。同時にトルコ側招
聘者もそのテーマに沿った人選が必要になると考えられる。
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
・今後のトルコ市場を意識したプロジェクト思考のプログラム形成
トルコには、現在多くの日本企業も進出しており、ビジネス形成も盛
んに行われている現状である。
ビル省エネであれば、設計・建設関係企業と連携することによりトル
コのビル省エネニーズをビジネスに結びつけることも十分に考えら
れる。JASE-Wとの連携が考えられるが、今回は日建設計、日立製作所
がプレゼンを行った。
相手方のニーズを事前に把握すればそれに対応した企業のプレゼン
が考えられる。今後はそこをさらに拡大したい。
・専門家派遣と関係したプログラム検討
トルコ側との調整によると思うが、ビル分野のadhoc的なテーマに関
しては現地にてワークショップの開催や、専門家派遣が考えられる。
・ビル関係以外のプログラム検討
産業分野、輸送分野に関しても重要分野であり省エネルギー推進検討
ニーズがあるとトルコ側からの説明があった。それに関してはすぐに
は対応することが出来ないが、中長期的には対応すべきテーマである
と考えられる。
あるいは個別に専門家派遣を先行し、テーマが絞れたら日本における
ワークショップも考えられる。
Ⅳ-197
トルコ向け省エネワークショップ (BEC TR1) プログラム
日
数
午前/
午後
時
間
講
分
類
1
2
3 火
2
4 水
午
前
午
後
2
2
5 木
午
前
午後
3
2
6 金
午
前
午
後
4
8:30
来
日
~ 9:15 - - オリエンテーション(HIDA・有賀)
9:15
~ 9:45
9:45
~10:15 -
-
10:30 ~12:30 講
義
14:00 ~17:00 発
表
- プログラムガイダンス(川口・藤堂)
- 開講式
記念写真(*午前の講義後)
政 日本におけるビルへの省エネルギー取組について
策
カントリーレポート:
研修生による自国のビル省エネの現状と課題発表/
質疑
討 小集団討議(SGD)実施要領
議
17:00 ~17:30 S
G
D
9:00 ~12:00 講
ビルの省エネ計算ツール、省エネ手法について
義
14:00 ~16:30 見 見 最新地域冷暖房
学 学
9:00
~11:00 講
義
11:00 ~12:00 S
G
D
14:30 ~16:30 見
学
ビルの省エネ設計基準
既設ビルの改修事例(ESCO)
討 小集団討議(SGD)
議
見 最新省エネルギービルと設備・都庁舎ビルの省エネ
学
7 土
休日
2
8 日
休日
2
9 月
午
前
2 10 火
2 11 水
午
前
午
後
名
9:30
~12:00 交
流
会
14:00 ~17:30 S
G
D
9:30 ~12:00 講
義
14:00 ~15:00
15:00 ~15:30
講
師
or
発表者
所属
科目
2
午
後
5
義
有賀 佑樹
(HIDA)
川口 義博
(ECCJ)
石原 明
(ECCJ)
北村 修一
(ECCJ)
研修生、 及びECCJ
川口 義博
(ECCJ)
原田 光朗
(ECCJ)
O氏(日建設計)/
M氏(東武エネルギーマネ
ジメント)
Y氏
(JFS:日本ファシリテ
ィ・ソリューション)
研修生
東京都
討 JASE-W会員企業と意見・情報交換
議 スマートビル実現の省エネ技術・製品紹介
ECCJ
JASE-W
企業関係者
討 小集団討議(SGD)/グループワーク発表
議
研修生
建築物の環境性能評価(CASBEE)
研修国からの要望・意見交換・次年度計画
閉講式
小坂 信二
(ECCJ)
研修生/ECCJ
研修生/ECCJ/HIDA
離
日
Ⅳ-198
Ⅳ-9. ブラジル
前述したとおり以下のように段階的に適切な活動をブラジルあるいは日本で実施して事業
を立ち上げた。その結果、各段階の目標を達成し事業を効果的に進めている。
(STEP-1) 具体的な事業計画の協議と決定:専門家派遣(2014年5月)など
(STEP-2) 実施開始準備と実施計画の最終化と活動の実施開始:専門家派遣(2014年10月)
(STEP-3) 実施計画に従う政府及び産業団体による活動実施 (2015年1月)
具体的なそれぞれの活動を以下に述べる。
Ⅳ-9-1.専門家派遣
Ⅳ-9-1-1.経済産業省-開発商工省セミナーでの事業計画案の発表と関係者協議
(2014 年 5 月 5 日-5 月 7 日)
全体概要
(詳細は別紙―1:詳細内容を参照方)
出張者
国際人材育成センター
(同行者)
(1) METI
副センター長 吉田和彦
松島副大臣率いる訪伯ミッションの以下メンバー
・省エネルギー新エネルギー部 国際室
米倉係長、中村係長
・中南米室
田村室長、兵藤室長補佐
(2) JASE-W 中南米サブ WG
木瀬
チームリーダー
(現地参加者) 日本大使館(小林参事官、下司書記官他)、
戸田建設、NEC、TOSHIBA 等の関係者
目的
スマートコミュニティーWG のワークショップでの講演と事業計画に関する関係者との打合せ。
(1) METI と開発商工省が開催するワークショップに参加して省エネ分野の協力につき発表す
る。
(2)
ブラジル関係省庁関係者との事業計画に関する協議
結果概要
日本の省エネ技術や製品の導入普及とそのための制度整備を目的に松島副大臣がリードする
ワークショップに、現地で事業を展開する前川製作所・戸田建設・NEC・TOSHIBA と共に参
加した。H25 年度に ECCJ が実施した日本でのワークショップ(BPBR3)の結果まとめられた日
伯間の協力可能項目に基づき、各社が自社技術の導入等を提案した。ECCJ は省エネ人材育成
Ⅳ-199
事業を通じたエネルギー管理体系の構築とこれに基づく高効率機器や技術導入及びこのための
制度整備を提案し、H26 年度に「節電・ピークカット」をテーマにした具体的な事業を実施す
る計画を提案した。
この上で、副大臣が表明した「今後日伯でスマコミの世界標準を確立し普及する」との方針
の実現に向けた協力の政府間 MOU の本年 9 月締結と、スマコミ WG を通じた協力の方向性が
確認された。ECCJ の提案は政府間による制度整備に係る協力として位置付け実施するとの方
針を、企業のマッチングリストを作成し今後企業間交流のワークショップ等を設定する方針と
併せて確認した。
出張の目的や目標
1.METI と MDIC が開催
するワークショップに参
加し、日本の経験に基づく
可能な協力と具体的な今
年度の事業提案を発表す
る。
2.ブラジル関係省庁関係
者と H26 年度の事業実施
計画に関し協議する。
実施結果の要点
講演要旨
スマコミ WG の省エネ分野の協力として、制度整備に
資する省エネ人材育成事業を通じた可能な協力と H26 年
度の「節電・ピークカット」に係る具体的な協力事業のプ
ログラムと受入研修等を通じた実施計画を提案した。
協力方針の確認
政策制度整 備のため の 政府間協力 として、 提 案した
H26 年度プログラム案を実施するとの方針が確認され
た。
開発商工省(MDIC)やブラジル産業開発庁(ABDI)との打
合
ワークショップに先立ち要点を説明した。結果としてワ
ークショップでとりまとめの通り提案に従う事業実施を
確認した。
科学技術省との打合
同省の関心事項が高エネルギー効率の機器や産業設備
の導入とそのための S&L およびベンチマークの法制化と
省エネ実施機関の設立にあることを確認。この点も反映す
るよう実施計画を考慮する。
課題
本提案のカウンターパートと考えられる鉱山エネルギ
ー省との打合せが実施できなかった。(渇水による水力発
電供給不足対応で追われているとの理由。(むしろ、急な
訪伯による打合せ設定要請のため日程調整ができなかっ
た事情の影響がむしろ大きかったようである。))
今後正式なカウンターパートである ABDI を通じて実
施計画の確認と調整を行う。
以上、予定した業務を殆ど完了したが、今後、鉱山エネルギー省とは別途実施計画を打ち合
わせ調整し、今年度の具体的な活動を開始する。(事前に正式窓口の MDIC-ABDI との調整も
必要。)
Ⅳ-200
出張日程実績
日程
5月
5月
5月
3日
4日
5日
業務内容
(土)
(日)
(月)
5月
6日
(火)
5月
7日
(水)
5月
8日
(木)
5月
10 日
(土)
Lv. 東京
Ar. ブラジリア
METI 米倉係長・中村係長と同行動
(1) 日本大使館訪問
ワークショップ準備事前打合せ
(2) 開発商工省 (MDIC)及びブラジル工業開発庁(ABDI) 訪問
ワークショップアジェンダ・内容や協力方針取りまとめの協議
MDIC - METI ワークショップに参加(場所:MDIC 会議室)
松島副大臣のミッションと合流
科学技術省との打合せ
2 月ワークショップ後の活動フォロー
H26 事業計画の説明と今後の協力
Lv. ブラジリア
(5 月 9 日 機
中)
Ar. 東京(帰国)
Ⅳ-201
別紙―1
詳細内容
1.METI-MDIC ワークショップ(5 月 6 日)
松島経済産業副大臣と Mr. Nelson Fujimoto (National Secretary)が参加し、スマートコミ
ュニティーWG のワークショップとして MDIC で開催された。アジェンダは添付-1に示す。
かなり急に設定されたためか参加者は 30 名程度で、Mr. Frees 等から去る 2 月の日本でのワ
ークショップ(BPBR3)参加者に総動員を掛けたがビデオ会議を含め半分程度の参加に留まっ
た。
1-1.開会の挨拶(松島副大臣の発言の要点など)
● 日本の技術の地デジを伯と協力して普及したように、スマコミの分野も協力し合い我々
の技術を世界標準にして普及していきたい。このためにも是非本年 9 月の東京での会合
時に MOU を正式に交わしたい。
● 発電量世界1のイタイプー水力発電所を見学しブラジルの主軸である再生可能エネルギ
ーを水力が支えている事を実感し感動した。風力発電にも力を入れている。日本も違い
はあるが東日本大震災の影響で主軸であった原子力発電を停止する状況になり新・再生
可能エネルギーの導入に力を入れている。降雨不足で主軸の水力発電が影響されている
そうだが、資源エネルギー計画は大切であり日本が協力できる。
● これらで発電した電気を ONS (民間 140 社が参加する非営利組織)がブラジル全土に配送
電している制御室も見学した。大都市等消費地の近くで発電し供給するのが合理的。
Smart City のシステム構築で協力し世界に広げたい。
Nelson Fujimoto局長(上記を受け)
過去 3 回訪日(うち 1 回は ECCJ の研修)し、横浜市の見学の機会等もあり Smart
Community で日伯の良い協力ができると考える。省エネの協力含め Win-Win の協力とした
い。METI と話し合い是非 MOU 締結を急ぎたい。
日本企業との協力をベースに世界に通用する技術としたい。このための両国の企業間交流
を行いたい。また、クリチバで実施しているブラジルのパイロットプロジェクトを見てブラ
ジルの状況も知って欲しい。5 月 7 日-9 日にセミナーを開催するので日本側からも参加し
て欲しい。ブラジルの持続的発展に向けた技術開発を行いたい。
1-2.ワークショップ
これまでの活動結果(田村室長)
日伯間のこれまでの協議と特に 2013 年にスマコミ協力に合意し、去る 2 月の日本でのワ
ークショップ (BPBR3) で具体的な協力可能項目が整理された。これに基づき今回 4 項目に
ついて日本側から実現に向けて具体的な技術紹介や政策面での協力に関する提案を行い、今
後の進め方を協議したい。
Ⅳ-202
日本企業からのプレゼン(要点のみ)
● 前川製作所(K部長)
最新の空調・冷凍設備の技術を紹介。加えて、ブラジルで最新技術や設備を導入するた
めの ESCO の有用性と ESCO 促進の支援制度等の政策整備を提言。
● NEC(Mr. T)
Cyber Security に関する技術をブラジルでの実績を含めて紹介。
● 戸田建設(Mr. F)
省エネビルの技術と埼玉の医療地域の Smart Energy Network プロジェクトの紹介。(ブ
ラジルでの実績含む)ベンチマークと省エネモデルビルの構築やインセンティブの必要性
を提案。
● TOSHIBA(M課長)
日本でのスマグリ(宮古島の例)とスマートシティー(横浜の例)の実績を紹介。ブラ
ジルでのスマコミプロジェクト参画のために協議したい点も説明。
● ECCJ(吉田)
省エネ分野で協力できるエネルギー管理体系の構築や省エネ技術導入及び S&L の制度整
備を説明。具体的な協力とし節電・ピークカットをテーマにした事業と実施基本計画を
提案。
今後の可能な協力と次のステップ
● ブラジルでのスマグリ・スマコミと企業間マッチング
(Mr. Frees (ABDI))
62 億レアルの予算でプロジェクトを実施。10 か国の協力で行っているが日本との協力が
進んでいる。ビジネスモデル、政策・法規制、標準化、セキュリティー、消費者の意識
向上、官民の人材育成等 10 のアクションに基づきマッピングを行っている。これに対応
して現在国際的なサプライヤー546 社を分野ごとにグルーピングしマッチングを図ろう
としている。
日本企業は重要である。
● ブラジル側からの質問と意見交換
日本側の発表について MDIC の Mr. Fernndo から 2 点の質問があり、これに対するコメ
ント・意見交換を行った。
Q1 各協力可能事項に対応する日本企業はどれか。欲しい技術を導入するために何が必
要か、ファイナンスなのか
→ ①今回の 4 項目に関し企業間の情報交換の場を設定し、関心企業を見出し
たい。
②ファイナンスは重要。政策的に制度を整える事が重要と考える。
(ANEEL から現在の電力収益の 0.5%を省エネ改善に利用できる制度を日本
Ⅳ-203
企業も活用して欲しいとのコメントが加えられた。)
ワークショップにはブラジル ESCO 協会(ABESTO)と BNDES を招いて欲
しい。
Q2 Smart City に関して、町側のニーズは何か。日本はインフラが整っている点が異な
る。スマートさのレベルはどう評価するのか。
→ ①送配電、電力の安定的・効率的な供給の面からのニーズが高いのではな
いか。
②スマートさのレベル評価は個々のビルなどの単位で行えるだろう。
③マッピングされた単一の技術項目や政策項目等の要素毎に横浜等とクリ
チバを比較分析すればより具体的なレベル評価ができよう。
● まとめ
田村室長が最終的に議論の結果を以下のように総括した。
(1)
企業間のマッチングは、配送電・電力供給を重点にマッチングリストをまとめては
どうか。
(2) 政策・法制度も重要。ECCJ が提案した政府関係者を中心にした具体的な制度や技術等
の優れた事例を始め情報交換等の活動を、引き続き日本でのワークショップ等を通じて
行いたい。
(3) 去る 2 月の BPBR で伯側にまとめた協力可能項目の 14 項目のうち、残る 10 項目は日本
側でどのような協力が可能か更に査定を行っている。
2.関係機関との会合(5 月 5 日および 5 月 7 日)
2-1.MDIC との会合(5 月 5 日)
(目的)
MDIC-METI ワークショップの準備確認と今後の協力に関する取りまとめ内容の討議
(応対者) Mr. Fernando Lourenco Nunes Neto (Foreign Trade Analyst, Secretary of
Innovation)
(訪問者) METI
省エネルギー新エネルギー部 国際室 米倉係長、中村係長
中南米室
日本大使館
小林参事官
ECCJ
吉田
兵藤室長補佐
通訳
Mr. Arnaldo Massato Oka
(内容)
米倉係長から 5 月 6 日のワークショップに関し以下の説明を行った。
(1) アジェンダ
① これまでのスマートコミュニティーの協力に関するこれまでの日伯間の協議結果と日
本でのワークショップ(BPBR3)の結果を田村室長が説明する。
Ⅳ-204
② BPBR3 でブラジルの参加者がまとめた協力可能として挙げられた 14 項目のうち 4 項
目に日本が具体的な協力ができると判断し、日本の企業が具体的に提供できる技術と
政策制度整備に関する協力案を ECCJ と現地で事業を行っている 4 社合計 5 社から紹
介する。(各社の発表内容の要点について米倉係長が説明)
③ 協力可能な分野と 9 月の第 1 回スマコミ WG 会合に向けた具体的な活動をブラジル側
のリードでまとめて欲しいと考えている。日本側のプレゼンに対しニーズなどがあれ
ば現在考えていることがあればコメントや意見を聞かせて欲しい。
(2) 進め方
① 上記項目(1)の流れで進める。なお、松島副大臣はロボン鉱山エネルギー大臣との会談
の為中座する。
② 協力に関するまとめのセッションは Mr. Frees にお願いする。
③ 最後の取りまとめの要約を田村室長が行う。
上記に対し、Mr. Fernando からアジェンダと進め方について合意を得た。また今後の協力に
関して次のようなコメントがあった。
● 日本側の提案内容は今のブラジルの課題の解決に向けて時期を得たものだ。(南部の水不
足の影響で電力供給能力が低下し安定供給に問題が生じている。)
● 日伯の企業間のマッチングを行うために現在省エネやスマートグリッドの技術や設備の供
給企業リストを作成している。9 月の WG 会合でこれらの企業間の情報交換の場を設けて
はどうか。
● ECCJ の提案は前川製作所の ESCO に関する提案と合わせて鉱山エネルギー省(MME)と
「Wholesale Energy Market」という機関が中心に実施するのが適切である。提案内容を
これらの機関に説明しておいて欲しい。(←
吉田から Mr. Frees を通じて 7 日に打合せを
要請しているがまだ設定が確認されていないので Mr. Fernando にも会合設定の調整をお
願いした。)
● 政府間の制度構築協力に関しては難しい点がある。関係する省庁や政府機関が大変多くあ
り省庁間調整が大変である点、および行政体系が連邦制なので実際の執行は州の法律によ
る点である。
● (MOU の署名者を MME・MDIC の連名にする案 (METI 側の打診)に対し、) その案が効
果的か否か即断は難しい。
また Mr. Fernando から、中小企業間のマッチングができないかと考えているので日本側の意
見を聞かせて欲しいとの要望に従い意見交換を行った。
2-2.ABDI との会合 (5 月 5 日)
(目的)
MDIC-METI ワークショップの準備確認と今後の協力に関する取りまとめ内容の討議
(応対者) Mr. Carlos Venicius Frees (Project Leader, ICT), Ms. Isabela
Ⅳ-205
(訪問者) METI
省エネルギー新エネルギー部 国際室 米倉係長、中村係長
中南米室
兵藤室長補佐
日本大使館
小林参事官
ECCJ
吉田
通訳
Mr. Arnaldo Massato Oka
(内容)
米倉係長が前記の MDIC に対する説明と同じ説明を行った。
上記に対し、Mr. Frees からもまたアジェンダと進め方について合意を得た。また今後の協
力に関して次のようなコメントがあった。
● セッション4の今後の協力に関する取りまとめは自分 (Mr. Frees) がリードする。
● 日伯の企業間のマッチングを行うために現在省エネやスマートグリッドの技術や設備の供
給企業リストを作成している。9 月の WG 会合でこれらの企業間の情報交換の場を設けて
はどうか。
● ABDI はスマートグリッド・スマートコミュニティー構築のための国際企業のマッピング
を行っている。対象は日本を含め 10 か国を対象にしている。このためのアンケート等を行
いたいので協力をお願いしたい。これが整った時点(10 月から 11 月頃)で国際ワークシ
ョップを開催したいと考えている。
● セッション4では各日本の企業がプレゼンした内容や紹介された技術などがブラジルにど
う適用できそうかコメントしたい。Intelligent Building に関して研究開発のため 10 のプ
ロジェクトが実施されている。
● 鉱山エネルギー省(MME)にワークショップに参加するよう伝えたが参加が困難のようだ。
MME は、南部の水不足の影響による電力供給能力が低下した。この解決に関係者が走り回
っている。
2-3.科学技術省 (MCTI)との打合せ(5 月 7 日)
(目的)
BPBR3 後の活動のフォローと、事業実施計画案の説明・協議及び情報交換
(応対者) Mr. Eduardo Soriano Lousada (General Coordinator, Energy and Mineral
Resources)
Mr. Dante Luiz Da Ros Hollanda, Mr. Alessandro Augusto Nunes Campos (両名と
も BPBR3 参加者)
(訪問者) ECCJ
吉田
(内容)
今回打合せに参加した 3 名は 6 日のワークショップに参加していた。
(1) 冒頭に MCTI 関係者から以下の質問を受けたので答えた。
Ⅳ-206
以下の点であるが日本が支援する省エネ事業について、METI-ECCJ が実施する事業と
JICA が実施する事業との関係が判り難いようである。
・
ECCJ の組織や活動について。
・JICA の組織と活動について。
JICA と ECCJ の組織上の関係と各々が実施する省エネ事業の関係。
(2) H26 年度の「節電・ピークカット」をテーマにした事業実施計画案の説明を行った。
(3) MCTI が実施する省エネに関する施策
本来省エネは鉱山エネルギー省(MME)が所管するが、MCTI も省エネは重要で特に強い
関心を持って取り組んでいる。特に、機器(ビルや家庭用の機器及び工業用設備)のエネ
ルギー効率基準やラべリング、主要産業のベンチマークと省エネ技術や設備の開発を施策
の重点としており、法律による規制の整備を進める方針であるとの事。
Mr. Soriano によれば、鉱山エネルギー省は(エネルギー)問題の解決に追われてばかり
で実効的な施策の執行を行っていない。また、日本始め海外の関係者との協力も行ってい
るが、議論に終始して結論を決定しないため実施に至らず結果が全く得られていない。省
エネは MME と共に活動せざるを得ないが仕事が進まない。
MCTI はやる以上は必ず結論を出して結果を得ることを目標としている。是非 ECCJ に
は MCTI の政策面で協力をしてもらいたい。このように政府内の不満と ECCJ への期待を
示した。
(4) 重点施策と課題
MCTI としては省エネの施策を実施する ECCJ のような中核機関を創設し 2015 年を目
標に立ち上げたいが資金等課題が多い。この点を含め、特に以下の施策の実施に関して
ECCJ の協力を得たいとの強い希望を表明した。
A.機器のエネルギー効率基準及び産業の省エネベンチマーク
ブラジルには電気製品のエネルギー効率指標に関する委員会(GIEE)があり MCTI からも
委員を出している。この委員会に諮ってブラジルと日本の機器製造に関する工業団体間の
交流を行えないか。この委員会を通じて MME とも協議したい。
まず近く日伯間で Meeting を行い合わせてワークショップを開き双方の相違点や類似点
を共有したい。ワークショップで吉田が説明したトップランナープログラムや主要産業の
ベンチマークに関して ECCJ から講演してくれないか。ブラジル側からの参加と発表は
PROCEL 及び電気製品製造業や工業用機械製造業の工業団体があるのでこれらを動かせ
ると考える。
(吉田から)
→ ①協力は可能。しかし、伯側の CP である Mr. Frees と調整願いたい。
②説明を受けた提案の要点を 1-2 ページにまとめて送付願いたい。
③現地セミナー含む打合せは 6-7 月頃を目途にブラジリアで実施。
④テーマが関連する 9 月の日本でのワークショップにも繋がる内容で。
B.省エネ技術の研究開発
Ⅳ-207
産業部門の省エネ技術を始め研究開発も MCTI の重要な役割である。現在 R&D センタ
ーの設立をしたいと考えている。ECCJ はこの分野に係る組織ではないと思うが、この件
の協力で相談できる日本の適切な機関を紹介して欲しい。
(吉田から)
→ ①NEDO 等が適切と考える。
① 帰国したら近く NEDO の関係者との打合せの機会に相談してみる。
=======================================
添付資料-1
アジェンダ:METI-MDIC
スマートコミュニティーに関するワークショップ
①開会挨拶
- 日本
松島経済産業副大臣
- ブラジル
Nelson Fujimori 局長(Secretariat of Innovation
開発商工省)
②これまでの議論の総括(10分)
-日本リード
田村中南米室長
③日本企業から技術的ソリューションの紹介(60分)
- 前川製作所
K氏
- NEC
T氏
- 戸田建設
F氏
- 東芝
M氏
- 省エネルギーセンター
吉田
国際人材育成センター
副センター長
- 質疑応答
④協力の可能性と第一回日伯スマコミ作業部会に向けた準備について(30分)
- ブラジルリード
Mr. Carlos Venicium Frees (Project Leader, ABDI)
⑤閉会(本日の議論のまとめ)(10分)
- 日本リード
田村中南米室長
Ⅳ-9-1-2.実施計画の最終化を含む活動のキックオフ (2014 年 10 月 20 日-25 日)
全体概要
(詳細:別紙-1
詳細内容を参照方)
Ⅳ-208
出張者
国際人材育成センター
センター長
祖川二郎
副センター長
吉田和彦
部長
川口義博
目的
9 月のスマコミ WG で合意した省エネ事業 「節電・ピークカット推進プログラム」の事業計
画を最終化し活動をキックオフする。このため以下の活動を実施する。
(1)
関係省庁との事業計画に関する討議と最終化及び事業実施準備。
(2)
関係産業団体との情報交換と事業内容の討議(事業への参加と協力の依頼)
(3)
スマートグリッド国際セミナー「Smart Grid Brasil 2014」に参加
(協力事業の紹介等発表)
結果概要
ブラジル政府関係者にとっては、10 月 26 日に大統領選の決選投票を控え Sensitive な時期(政
権の方針が大きく変わる可能性が高まっている)であり、この時に政府関係者は方針を決定する
会議は避けたいとの事情もあり、鉱山エネルギー省 (MME) や電力規制庁 (ANEEL)等との会
合を結局設定できませんでしたが、開発商工省 (MDIC)とは「省エネは政権に関わらず国家の
重要課題」との関係者の認識で協力の方針やプログラムの基本計画を確認し合えた。
更に、この計画に沿ってブラジルエネルギー多消費産業協会(ABRACE)を始めとする産業団
体にも本事業のプログラムを説明し会員企業の参加を要請した。特に、ブラジルの産業界のト
ップ企業を会員に有する ABRACE は産業部門のエネルギー価格が高騰しており、我々の事業
はブラジルの産業界の課題解決に向け適合しており、自費負担してでも我々のプログラムによ
り多くの会員企業関係者を参加させたい等との要望も出た。この点を含め事業計画に一部を見
直すと共に来年 1 月下旬の日本でのワークショップの具体的な計画を確認しブラジル側でも人
選等準備を始めてもらう。
このように、次の活動に向けての準備を含め事業の可能な活動の準備を開始することが出来
た。
一方、スマートグリッド国際セミナーは、14 か国の参加を得て 250 名以上の参加者が発表
と活発な討議も交わされ、我々も特にブラジルの電力事情を含め参考になる情報を得ることが
出来た。
海外からの参加は主に EU 諸国で欧州との繋がりの強さを感じた。
海外からの発表は自国のスマートグリッドに対する取組みと技術 PR に終始したのに対し、
我々は ECCJ の役割と具体的なブラジルとの協力内容を重点に紹介したので、本セミナーの目
的を最も具体的に示した事例であったと考える。従い、ブラジルの参加者にとっては判り易か
Ⅳ-209
ったのではないかと考える。主催者のブラジル産業開発庁(ABDI)始めブラジル政府関係者
からは、我々のプログラムはブラジルの現状に適合した協力であるとの評価をもらった。
選挙結果により実施時期に影響を受けるかも知れぬが、現計画に従い事業の活動や準備を進
める。
結果の総括
出張の目的や目標
実施結果の要点
1.関係省庁との事業計画 カウンターパートの MDIC とは下記項目2の結果も反映
に 関 す る 討 議 と 最 終 化 及 し次の点を確認し、具体的な事業活動を開始した。
び事業実施の準備をする。 (1) 日本でのワークショップ:2015 年 1 月下旬実施
以下の関係機関から 18 名程が参加 (日側負担 15 名)
・ 政 府 : MDIC, ADBI, MME, ANEEL, MCI,
INMETRO
・民間:ABRACE と会員企業の協力予定工場等
(2) ブラジルにおける活動 ((1)の活動の後)
(3) ブラジル側の提案を考慮した新たな活動の方針検討
・国会議員や政府高官向け高官ワークショップ開催
2.関係産業団体との情報 (1) ABRACE は以下において事業に協力する。
交換と事業内容の討議(事 ・モデル的エネルギー管理システム構築プログラムに協力
業への参加と協力を依頼
する工場の推薦。
する)。
・モデル工場で確立した成果の国内関係企業への普及
(2)ブラジルエネルギー取引協会(ABRACEEL)からエネ
ギー市場を理解するための情報を収集した。
3.スマートグリッド国際
セ ミ ナ ー 「 Smart Grid
Brasil 2014」に参加し協力
事業の内容などを紹介す
る。
(1) ブラジル政府のスマートグリッドに対する取組みと、
特に欧州連合と欧州諸国による顕密な協力の実態を
把握できた。
(2) METI-ECCJ によるスマートコミュニティワーキング
下の省エネ分野の協力と具体的な協力事業の内容を
発信できた。
課題
大統領選挙決選投票の直前で以下の影響を受けた。
(1) 省エネ協力実施の当事者機関である鉱山エネルギー
省と協議をできず政策面の協力内容を深める事が出
来ず。
(2) 選挙結果によっては日本でのワークショップ等の活
動実施時期が 1 か月ほど遅くなる可能性がある。
Ⅳ-210
出張日程実績
日程
業務内容
10 月 18 日 (土) Lv. 東京(出国)
10 月 19 日 (日) Ar. ブラジリア
10 月 20 日 (月) スマートグリッド国際セミナーに参加:
国内及び国際技術マッピング等
10 月 21 日 (火) スマートグリッド国際セミナーに参加:
国際機関との協力。省エネ分野の協力事業に関する発表等
10 月 22 日 (水) スマートグリッド国際セミナーに参加:
標準・基準と国内・国際団体間のマッチング
在ブラジル日本大使館への中間報告
10 月 23 日 (木) 事業計画の協議と最終化
開発商工省(MDIC) 及びブラジル産業開発庁(ABDI)との協議
10 月 24 日 (金) 関係産業団体との事業協力打合せ
ブラジルエネルギー多消費産業協会(ABRACE)との打合せ・協議
ブラジルエネルギー取引協会 (ABRACEEL))との打合せ
在ブラジル日本大使館への結果報告
10 月 25 日 (土) MDIC とのまとめ及び次回の日本でのワークショップに向けた準
備事項確認
Lv. ブラジリア
10 月 26 日 (日) 機中泊
10 月 27 日 (月) Ar. 東京(帰国)
Ⅳ-211
別紙-1
詳細内容
1.MDIC との協議(10 月 23 日及び 10 月 25 日)
10 月 23 日に Director の Mr. Comin を始めとする関係者と具体的な事業内容の説明と協議
を行った。さらに、24 日に ABRACE(ブラジルエネルギー多消費者協会:)及び ABRACEEL
(ブラジルエネルギー取引者協会:)と行った会合の結果を踏まえて、結果の総括と次の活動
の計画を確認するための Wrap-up を MDIC の Fernando 氏らと行った。(Wrap-up 会合は 24
日夕方に予定していたが、Fernando 氏が急遽大臣に呼び出されたため 10 月 25 日の朝我々が
ブラジリアを発つ前に行った。)
1-1.MDIC などのスマートコミュニティワーキング主要関係者との会合 (10 月 23 日)
(目的)
事業内容の説明と実施計画の協議
(応対者)
MDIC
Mr. Alexandre Comin (Director, Dept. of Industrial Competitiveness)
Mr. Fernando Lourenco Nunes Neto (Assesor, Secretary of Innovation)
Mr. Luciano Cunha de Sousa, Mr. Mateus Carvalho Branco Silva
ABDI
Ms. Isabela Gaya
(訪問者)
ECCJ
国際人材育成センター 祖川センター長(常務理事)
吉田副センター長、川口部長
(内容)
日伯貿易投資合同委員会の MDIC 側のカウンターパートである Mr. Comin に、我々が提案
する事業内容に関して事業の基本計画書を使って説明を行った。
我々としては、事業内容の協議を踏まえて合意をもらい具体的に実施可能な活動を開始しよ
うとの目的で会議に臨んだ。Mr. Comin は以下のコメントに示すように実質的には我々の事業
内容に同意を示したが、大統領選挙の結果が不透明な状況を鑑み、「METI-ECCJ の提案を理
解した。」との最終的な結論の表現に留めた。
この結論を受け、Mr. Comin が次の会議予定のため席を外した後、残る MDIC と ABDI の
関係者で協議を続け、基本的に提案した事業の内容は実質合意されたとの認識を確認し合い次
の点を確認した。
● MDIC と ABDI は、当日会合を持てなかった MME 等の関係省庁への説明と調整を行う。
● 政府の体制に実質的に影響しない協力工場等でのモデル的エネルギー管理体系構築プログ
ラムは、24 日に会合を予定した ABRACE 等の関係機関に事業の説明を行い事業への協力
を依頼する。
Ⅳ-212
Mr. Cominによる提案事業に関するコメント
(1) ブラジルにおいては干ばつの影響で水力発電出力が低下しているために電力料金が高騰し
ており、政府は MME-ANEEL が価格上昇を抑えるための対応を行っている。
(2) 一方、既に産業部門はエネルギーコストも上昇し看過できない影響も現れている。従い、
省エネはブラジルにとって優先度の高い対策と考え、METI-ECCJ が提案する「節電・ピ
ークカット」に係る事業はブラジルの現在の課題に対応するものと考える。
(3) 「節電・ピークカット」に係る事業の 3 つのプログラム(*)に関して、ブラジルで実際
に実施されているのは、電化製品のエネルギー効率基準とラベリングのみで、あとは実質
的に実施されていない。ただ、提案された政策・法制度の整備となると多くの省庁が係り
大統領選挙の結果が不透明である現状を考慮すると、現実にはかなり難しいと考える。
(4) 大統領選挙後の予定として、新大統領就任とこれに伴う政府体制や大臣と各省庁の高官の
決定と異動が 2015 年 1 月に行われ、各省庁の業務安定するのは 2 月となろう。日程的に来
年 1 月下旬に予定する日本でのワークショップ (BEC BR4)は実施に影響を受ける可能性
がある。
(*)
節電・ピークカットに資する 3 つのプログラム
プログラム-1 省エネ推進のための政策や法制度の整備
・規制:エネルギー管理や機器のエネルギー効率設定とラベリングに関する規制
・支援制度:省エネ技術や設備導入のための投資促進
プログラム-2 ISO50001 に基づくエネルギー管理体系の導入・構築
・協力工場等におけるモデル的エネルギー管理体系構築
・活動を通じ見出される具体的な省エネ対策から省エネプロジェクトを形成する
プログラム-3 節電・ピークカットのためのガイドブック作成とそれらを使う教育を含む普
及
1-2.Wrap-Up 会合 (10 月 25 日)
(目的)
各機関との協議・交流結果のまとめと次回の活動の予定の協議と確認
(応対者)
MDIC
Mr. Fernando Lourenco Nunes Neto (Assesor, Secretary of Innovation)
Mr. Mateus Carvalho Branco Silva (Foreign Trade Analyst)
(訪問者)
ECCJ
国際人材育成センター
祖川センター長(常務理事)
吉田副センター長、川口部長
(内容)
Ⅳ-213
次回の活動(日本でのワークショップ)の計画
● ECCJ の計画に従い準備を進める。
① 12 月 15 日目標にブラジル側の参加者を人選し ECCJ に参加者の書類をリストと共に送付
する。
ブラジルのクリスマス休暇と日本の年末年始休暇が 12 月 16 日頃から 1 月始めとなる事を
考慮。
この手続きを進めるために、ECCJ から MDIC にワークショップの招待状を募集要項と共
に送付する。
② ABRACE との打合せで自費参加を希望する企業の可能性を考慮し参加者は 18 名程度とす
る。
③ 参加者を送り出す組織。(政府関係者が中心となる。)
政府関係機関 :MDIC、ABDI、MME、ANEEL、科学技術省(MCTI)、INMETRO
民間機関
:ABRACE 及び協力を予定する工場の企業関係者(2-3 社)や
ABESCO 等
④ 帰国後 1 週間以内に ECCJ から募集要項を招聘状と共に MDIC に送付する。
● ブラジルの大統領選挙の結果が影響し実施を遅らせる必要が出てきた場合の日程
カーニバルが 2 月 16 日からでこの週は休みとなる。従い、2 月下旬で日程を設定する。
関係機関の要望や提案に対する対応
ABRACE から出された要望や考え方また Mr. Fernando から提案された点について以下のよう
に整理した。
● ABRACE の要望:日本に企業のグループを自費で派遣したいので受け入れて欲しい。
次の 2 段階で進める。
(段階-1)2015 年 1 月の日本でのワークショップ
ABRACE の関係者と協力予定工場の企業(2-3 社)を政府関係者含む全 18-
20 名の枠内で受け入れる。
(段階-2)来年度以降に設定する日本でのワークショップ
実際に本事業のプログラムに協力してくれ活動を実施している工場の企業関係
者を中心に、プログラムに係る具体的なテーマを設定して実施する。
● MDIC の Mr. Fernando の提案:日本でのワークショップに立法機関の関係議員を参加さ
せる。
2015 年 1 月の日本でのワークショップへの招聘は適切でない。
ECCJ から METI にブラジルの関係国会議員と政府高官を対象にしたワークショップの開
催を提案し相談する。
Ⅳ-214
2.関係機関との会合(10 月 23 日)
ABRACE とは本事業のプログラムのうち「ISO 50001 に基づくエネルギー管理システム構
築モデル工場」に協力してもらうこと特に協力工場を推薦してもらうよう依頼した。また、
ABRACEEL には、現在のブラジルにおけるエネルギー取引市場の実状と価格設定メカニズム
を理解するための情報を提供してもらった。
2-1.ABRACE (Associação Brasileira de Grandes Condumidores Industrais de Energia
e de
Cosumidores Livres) との会合
(目的)
事業説明と事業協力の依頼
(応対者)
Mr. Paulo Pedrosa (President), Helder Sousa (Electrical Engineering)
Mr. Victor Hugo Iocca (Electrical Engineering)
(訪問者)
ECCJ
国際人材育成センター
祖川センター長(常務理事)、
吉田副センター長、川口部長
(同行者)
MDIC
Mr. Fernando Lourenco Nunes Neto (Assesor, Secretary of Innovation)
Mr. Mateus Carvalho Branco Silva (Foreign Trade Analyst)
(内容)
エネルギー多消費産業部門の主要企業が会員であり、会員企業だけでブラジルの産業部門の
エネルギー消費の 40%を占め、ブラジルの産業界を取りまとめている。
我々の方からは、ブラジル政府との省エネ協力事業の内容と基本計画を説明し、特に、プロ
グラム-2 の協力工場における ISO50001 に基づくモデル的なエネルギー管理システム構築に
向けて、協力工場の推薦と確立された成果の普及を始めとする実施における協力を依頼した。
これに対し、ABRACE としても、次に述べる理由により、省エネに対する業界としての取
り組みが重要だと考え、我々の事業への参加に関心がある事を確認した。
即ち、現在、以下に記すエネルギー事情の変化を背景に、エネルギー多消費産業のコストに
占めるエネルギーコストが平均で 40%(最も高い産業では 70%)となり、エネルギーコスト
の上昇やエネルギーの安定供給のリスク上昇がエネルギー多消費産業の企業の死活問題となっ
ているためである。
(1) 電力価格が上がったが、大統領選挙を控え本年 1 月から小規模なエネルギー消費者(家庭)
を保護するために大規模なエネルギー消費企業の価格が家庭用の価格の約 16 倍となった。
(2) 燃料に関しても、近年原油価格がバレルあたり 80 US$レベルまで値下がりしており、海底
油田やガス田での石油や天然ガス採掘あるいはエタノール製造がコスト的に厳しくなって
おり、また、石炭も品質が劣るなどの国内エネルギー供給環境も良いとは言えない。
Ⅳ-215
(3) 特に、ブラジル北部は鉱山やアルミ精錬など電力多消費産業がある一方、エネルギー供給
が厳しい。従い価格も 2000 R$/MWh (約 1000 US$/MWh)と高い。(一つの対策として、ブ
ラジル政府はマナウスの住民を対象に補助金を付けて白熱灯を CFL に切り替えるプロジェ
クトを実施した。)
この省エネに向けた取り組みを進めるに当たり ABRACE 側は次の考え方は次の通りである。
つまり、各産業部門の省エネ技術に関する情報を共有することも重要であるが、省エネに関
するサービスの参加が促進されるような制度・システム (Institutional System)を作ることが
重要である。このようなことを通じて省エネ投資の Feasibility を高めたい。
現在 CNE が世銀の融資を得てこのプロジェクトを実施している。
上記の議論や意見交換に基づき、ECCJ から以下の協力を依頼した。
● ISO50001 に基づくモデル的エネルギー管理システム構築プログラムに対する協力工場の
推薦
実施を通じて見出される省エネプロジェクトに対するある程度の投資のコミットを得れる
企業が条件。
● 成果の普及を含む実施支援
一方、ABRACE 側から以下の提案や要望が出されこれらは 2015 年 1 月に予定する日本での
ワークショップで方針を議論することにした。このために、来年 1 月のワークショップには
ABRACE の代表と 2 社ほどの協力企業候補の代表の参加を ECCJ から提言した。詳細は MDIC
と調整してもらう。
○会員企業を含む視察団を自費で日本に派遣したいので受入れて欲しい。
○ Institutional System の構築を進める為、ECCJ から専門家を 1 か月ほど派遣して欲しい。
2-2.ABRACEEL(Associação Brasileira dos Comercializadores de Energia)との会合
(応対者)
Mr. Alexandre Lopes (Director, Techcical), Mr. Maurício de Castro Corrêa
(Director, Institutional Relation)
(訪問者)
ECCJ
国際人材育成センター 祖川センター長(常務理事)
吉田副センター長、川口部長
(同行者)
MDIC
Mr. Fernando Lourenco Nunes Neto (Foreign Trade Analyst, Secretary of
Innovation)
Mr. Mateus Carvalho Branco Silva (Foreign Trade Analyst)
(内容)
Ⅳ-216
ABRACEEL はブラジルの電力自由化市場の取引事業者組合であり、市場構造と自由化市場の
現状について説明を受けた。ECCJ からはブラジルとの省エネ分野における協力事業の内容を
説明した。
なお、この機関はブラジルにおける電力価格の実状を実際の市場状況と取引方法を理解する
ために訪問した。従い、我々が事業を行うために有用な情報を得るために活用できるが、直接
事業の実施に関与する団体ではない。
ABRACEEL の事業とブラジルにおける電力取引の仕組みに関する説明の要点は以下の通り
である。
(1) ブラジルでは 1995 年から電力市場の自由化がスタート、現状は全電力量の中で 25%が自
由化市場残りは規制市場
(2) ブラジルの電力量の年間成長率は約 20 年間で 4.4%である。現状の供給内訳は、水力を含
む再生可能エネルギーによる供給が 84.52%。長期的には水力比率は低下する見通しである。
(2012(71%)→2017(67%)→2022(65%))
(3) 自由化市場で契約電力 3MW 以上の顧客はどの電源からも購入可能、500kW 以上の顧客は
小水力、バイオマス、風力から購入が可能である。50MW 以下の再生可能エネルギー電源
からの電力購入は政府から電力託送費の補助がある。
現状電力料金の 10%は送配電託送コスト。(明確に理解できず。確認要。)
(4) 電力のスポット市場は近年渇水により水力発電の供給力ダウンにより上昇、2014 年 1 月~
3月
期は 360US$/Mwh(約 36 円/kWh)、プライス CAP は ANEEL から指示が出る。ブ
ラジルでの自由化市場では 153 の電力取引業者が存在するがその内 64 業者が ABRACEEL
の会員となっている。この加盟企業で総契約額の 98%を占めている。
(5) ANEEL により発送電の収入の 1%をエネルギー効率化の R&D や省エネプロジェクトに投
資に利用することが出来る。この原資は年間 4 億 US$に対し投資実績は(1998~2011)間で
3 billion US$以上。
(6) 国家の体制は MME が政策と運用の監視を行っている。MME には CNPE (National
Energy Policy Council)と短期的な視点での監視・調査を実施する委員会である CMSE や
長期的な視点での供給 Security を監督する EPE がある。一方、実際の運用と規制を ANEEL
が管轄し管理しており、運転を ONS が電力価格のトレーダーからの総合的な情報収集と監
視を CCEE などが取り纏めて行っている。
3.スマートグリッドセミナー
(Smart Grid Brasil 2014) (10 月 20 日-10 月 22 日)
このセミナーは、ブラジル外務省により、ブラジル科学技術省 (MCTI)と EU との協力事業
(Sectorial Dialogue Project)と英国大使館の資金的な支援を得て開催された。
実質的には、ABDI と MCTI がセミナーの運営と進行を担当した。
参加者は、ブラジルの関係省庁や国内企業に加え、海外特に EU 諸国を中心に日本・米国・
Ⅳ-217
中国・韓国・台湾の 14 か国から合計 250 名以上が参加した。米中韓は現地法人からの代表参
加であった。このセミナーの大きな目的は、ブラジル政府が主導して進めるスマートグリッド
プロジェクトを推進するために、このプロジェクトを知ってもらい市場を海外にも広く開き、
海外の関係機関や企業からの技術や資金を呼びこもうとの狙いがあり、このためのブラジル企
業とのマッチングの機会創出も狙いにある。連日熱心な関係機関からの発表と参加者との討議
が行われ、終了時間が 1 時間以上も延び 19 時過ぎまでセミナーが続いた。
EU との協力は、2001 年から継続されており、現在 Phase-3 の協力を進めている。この事実
を認識することでこのセミナーの参加者や内容を理解する事ができた。
一方で、「スマートグリッドの定義」に関して議論され、そのシステム概念やスコープ及び技
術レベル等につき共通の認識つくりを行っている状態であった。理解するところでは、ブラジ
ルのスマートグリッドの現状はそれ程高いレベルのシステムではない。
ABDIによるマッピング
スマートグリッドを構築するために必要な技術や資金などの要素を ABDI が分析・抽出し、
ブラジル国内の企業や機関でそれらの要素をどの程度どのように提供できるかを国内マッピン
グとして、また、日本を含む海外の企業や機関でどの程度どのように提供できるかを国際マッ
ピングとして整理した。
要素は、電力や再生可能エネルギー等のエネルギー供給や管理、エネルギー効率化、制御、
ICT、資金、研究開発等多岐にわたる。既にブラジルではパラナ州を始め 200 を超すスマート
グリッドのプロジェクトを実施しており、古河電工や東芝及び戸田建設などの日本企業も参画
し貢献しているが、圧倒的に欧州の企業の参画が多く活発であり欧州とブラジルの繋がりが強
い事がセミナーを通じて理解できた。同時に、ブラジル側の期待は大きいにも係らず日本の参
画が少なくプレゼンスが薄いと感じた。
ブラジル政府は、本件に関係する省庁が多く、各省が独自の政策や法規制を行っているため
に、これらの政策や法制度を査定したうえで一貫した政策 (Vertical Policy)を確立する必要が
あるとの認識を示した。
各国の発表:各国のスマートグリッド構築への取組みとブラジルとの可能な協力
ブラジルの関係 8 省庁と電力やエネルギーの取引に係る 4 つの産業団体等からそれぞれの取
組みを発表しまた意見交換のためのラウンドテーブルも行われた。
欧州諸国と日本を始め米・中・韓が発表した。
欧 州 側 の 発 表 は 、 EU の ブ ラ ジ ル と の Sectorial Dialogue Project に 関 し JRC (Joint
Research Center)により実績や今後の協力の方向性の報告に始まり、英、デンマーク、独、蘭、
スエーデン、フィンランド、仏、伊及びポルトガルの欧州各国から、それぞれの国におけるス
マートグリッドの取組みとブラジルのプロジェクトに対する協力の提案や提言を発表した。欧
州には、デンマークや独仏を中心に 459 のプロジェクトがあり 90%が国家プロジェクトであ
る。性質は、45%が研究開発で 55%がモデル実証事業との構成となっている。欧州の特徴とし
Ⅳ-218
て、太陽光や風力による電力等の再生可能エネルギーの取り込みを大きな要素とする低炭素化
を方針としたものと言えよう。
米州とアジア諸国は、米国、中国、韓国、台湾及び日本が発表した。日本以外はほぼ欧州と
同様の内容であった。この中で中国はアマゾン地域に建設される大型水力発電所からサンパウ
ロなど南部地域への送電線の建設を行っている。
日本は ECCJ から発表を行った。要旨は以下の通り。
① ブラジルの現状を鑑みても「省エネ」が原則であり日本はこの原則を確実に実行し世界に
冠たる効率水準を実現した実績があり、これをベースにしたスマートコミュニティーの実
証を 4 か所で実施しているほか民間レベルでの商業レベルの事業も始めている。
② 上記に基づきブラジルの実情とニーズに適合した「節電・ピークカット」を協力のテーマ
として提案しブラジル政府と事業を進めようとしている。この事業は、「エネルギー管理制
度や支援制度といった政策・法制度の整備」、「協力工場における ISO50001 に基づくエネ
ルギー管理体系のモデル構築と普及」及び「国民や中小事業者のための節電マニュアル等
アクションガイドの作成と協力」の 3 つのプログラムからなる。この事業は日本企業の参
加を得て省エネプロジェクトの形成も狙っており、日伯企業のマッチングも目指す。この
活動を今月から開始する。
③ 日本は、省エネに関する効果的な技術を多くの企業が確立し適用して実績を上げている。
これらの技術を世界に広く官民で普及するために JASE-W が設立され活動をブラジル含め
世界中で実施している。会員企業の技術は技術集にまとめられ英語・ポルトガル語等複数
の言語に翻訳されているので、ブラジル企業も導入の検討に使用できる。また、スマコミ
の視点からも要素技術がまとめられており、スマートグリッドのプロジェクトにも参考に
なろう。
本来のプログラムによれば、各国の発表に基づき公開の討議も予定されていたが、時間が不
足したこともあり、発表だけに終始した。
日本の発表は、ブラジルとの省エネ分野における具体的な協力を紹介したもので、これに比
べ他国は、具体的なブラジルとの協力事業の内容は殆ど触れていなかった。
この観点からであろうが、我々の発表はブラジルの参加者にとって判り易くブラジルの状況
に適合できる事業であるとの評価を、ブラジル政府の関係者からもらった。
スマートグリッド構築のための標準化マッピング
機器やシステムに係る多くの技術の標準化や基準設定が課題である。ABDI はこのために必
要な標準や基準の把握と国際標準等を調査分析し技術標準や基準に関する規則化の方針を検討
している。このための協議を、IEC, IEEEC, ISO, ANSI といった国際機関や NIST, ABNT と
いった国内機関とこれらに係る ANEEL, INMETRO などの政府機関と協議している。EU は規
制面の取組みも先行しており、ブラジルの参考モデルと見なされている。
これらの活動に関して、各機関から取組みと検討の現状が報告された。IEC や IEEEC 等の
Ⅳ-219
国際機関の現地出先を中心に 2011 年ころからスマートグリッドに構築に必要な標準化を検討
している。具体的には、MDIC 傘下で標準化を担当する INMETRO を中心にブラジルの関係
機関がスマートメーター、システム、イーサネット、PLC 等分野別に検討を行っている。
この審査と運営は、COBEI (Brazilian Committee of Electricity, Electronics, Illumination
and Telecommunication)が行い、上記分野に対応し 150 の技術委員会を組織して検討を進めて
いる。
Ⅳ-220
添付資料―1
Smart Grid Brasil 2014 のプログラム
10 月 20 日
Ⅳ-221
10 月 21 日
Ⅳ-222
10 月 22 日
Ⅳ-223
Ⅳ-9-2.受入研修
2014 年 10 月のブラジリアで最終化した実施計画に従い、事業の各プログラムを官民の関係
団体が実施するための活動計画を策定する事を目標として、政府機関と関係する産業団体から
高官や代表者を始めとする 11 名を招聘して実施した。詳細を以下に記す。
1.概要
実施期間
研修目的
平成 27 年 1 月 22 日~1 月 30 日(7 日間)
*内訳:講義・交流(2.5 日間)、見学(2.0 日間)、発表・討議等(2.5 日間)
昨年 10 月に開催された日伯貿易投資合同委員会に於いて、日本の経
済産業省 (以降 METI と称す)とブラジルの開発商工省 (以降 MDIC と
称す)との協議に基づき、スマートコミュニティーワーキンググループ
(以降スマコミ WG と称す)が設定され、この下で省エネ分野の協力を
進めて行くことが合意された。
この合意に従い、2014 年 2 月に実施したワークショップ (BP BR3)
で両国の協力可能テーマの抽出と協力の方向性が把握された。今年度、
この結果に基づく、具体的な協力事業を検討・協議して「節電・ピーク
カット」をテーマとする官民のパイロットプログラムからなる事業を実
施する事を合意した。
本ワークショップは、これらのプログラムを実施するために以下の活
動計画を策定する事を目的とする。
(1) エネルギー多消費産業における以下のモデル工場の構築
・ISO50001 に基づくエネルギー管理体系の構築
・エネルギー管理実践に基づく効果的な省エネプロジェクト形成
(2) エネルギー管理規制や機器の省エネ標準・ラベリング制度及び有効
な機器や技術を導入するための支援制度等の整備
(3) 国民や事業者向けの節電・ピークカット促進ツール(ガイドライン
マニュアル等)の策定
以下に示す官民の6 機関・団体から11名が参加した。
MDIC (Ministry of Development, Industry and Foreign Trade)
ARSESP (São Paulo Estate Regulatory Agency)
ABRACE (Large Industrial Energy Consumers Brazilian
Association)
対象者
重点内容
3名
1名
3名
CNI (Brazilian National Confederation of Industries)
1名
ABRAVA (Brazilian Association of Refrigeration, Air Conditioner,
Ventilation and Heating)
1名
ABESCO (Brazilian Association for Energy Conservation
Companies)
2名
(1) カントリーレポートによるブラジル側の取り組みや課題の共有
(2) 講義
Ⅳ-224
本事業の推進に必要あるいは参考となる情報や知識・データを提供。
1) 日本の最近のエネルギー事情と省エネ政策
東日本大震災後の状況や課題及び新エネ導入促進策や省エネ対策
(規制や技術開発など)
2) 改正省エネ法
東日本大震災の影響と節電・電力使用平準化対策に基づく改正内容
3) 節電・ピークカット対策(考え方や指針)と具体的な実施内容と状
況
4) ISO 50001に基づくエネルギー管理体系構築のポイント
(3) 見学及び訪問先の関係者等との交流
1) 節電・ピークカット取組みや技術エネルギー管理の優秀事例
2) 最新技術:スマートコミュ二ティー、ENEX
3) JASE-World 及び会員企業との情報、意見交換
(4) 上記討議を通じた日本側専門家との見解の交換を含む活動計画の策
定
成果
(アウトプット:
活動計画)
目的とする活動計画が策定された。
(1) Policy Group
(2) Industry Group
2.研修内容(要点)
ブラジル側から本事業の目的に沿い以下の報告があった。
省エネ
状況報告
(1) 省エネ政策や促進プログラム (MDIC)
●省エネ法とブラジルラベリングプログラム
●省エネの支援制度や優遇策
●参考資料:省エネに係る関連法や規則
参加できなかった鉱山エネルギー省から「ブラジルの省エネ政策とプロ
グラム」に関して資料が提出された
(2) サンパウロ州における電力や用水に係る規制と取組み (ARSESP)
(3) エネルギー多消費産業業界の活動と省エネの取組み (ABRACE)
(4) ブラジル工業連盟の政策提言を含む活動 (CNI)
(5) ブラジルにおけるESCOの状況とESCO協会の取組み (ABESCO)
(ラテンアメリカスマートグリッドフォーラムの紹介を含む。)
(6) ABRAVAによる冷凍・空調分野における効率化推進 (ABRAVA)
日本側の講義は以下。各講師によるブラジル側の課題に関する討議や
助言も含む。
講義
(1) 基調講演 :日本のエネルギー事情と省エネ政策(METI : 出脇係長)
エネルギー事情(東日本大震災後の状況や課題を含む)
上記に対応したエネルギー政策(第4次戦略的エネルギー計画)
新再生エネルギー事情と普及促進策
省エネルギー事情と政策(改正省エネルギー法、スマートコミュニ
ティー実証事業等)
Ⅳ-225
(2) 日本の改正省エネ法 (ECCJ : 川口部長)
省エネ法概要と節電・ピークカットに係る改正内容
トップランナープログラムによる機器の効率化推進
エネルギー管理規制の要点
(3) 日本での節電・ピークカットのための対策の実施 (ECCJ : 山田講師)
節電・ピークカットのための指針
工場や家庭における具体的な対策や効果など
(4)ISO 50001 に基くエネルギー管理システム構築のポイント
(ECCJ : 吉田部長)
要求事項とステップ及び重要な要素のポイントと実現方法
有用なエネルギー管理ツール (データベースや管理標準を始め)
情報共有・
交流
討議
(1) JASE-World及びその会員との交流
会員企業4社が参加。JASE-Worldの活動と4社による技術PRを行い意見
交換や討議を実施。
(2) その他
ワークショップの時間外であるがMOUを締結しているJASE-Worldと
ABESCOの参加者が具体的な活動につき打合せる機会を提供した。
活動計画策定のための討議を行った。
テーマは「研修目的」に示す以下の3つのパイロットプログラムに関する
活動計画である。
① エネルギー多消費産業における以下のモデル工場の構築
・ISO50001 に基づくエネルギー管理体系の構築
・エネルギー管理実践に基づく効果的な省エネプロジェクト形成
② エネルギー管理規制や機器の省エネ標準・ラベリング制度及び有効
な機器や技術を導入するための支援制度等の整備
③ 国民や事業者向けの節電・ピークカット促進ツール(ガイドライン
マ
ニュアル等)の策定
最初にECCJ側で計画策定のための方針と内容の要点をガイドした。
これを受け、参加者全体で計画を討議し「政策グループ」と「産業グル
ープ」で各分野で担当すべき内容と活動の計画を討議した。
我々ECCJの専門家も交えて活発で建設的な討議が行われた。
見学
小集団
グループ
討議
以下の節電・ピークカットに対する対策取組みの優秀事例 (デマンドレ
スポンス含め)としての省エネ/エネルギー管優良事業所やSmart System
の見学、及び日本の最新の省エネ・新エネ技術や設備を展示会で視察、
並びに関係団体などと情報交換を実施した。
(1) ソニー株式会社 本社ビル (ビル)
(2) 株式会社 日立産機システム 習志野事業所(工場、産業用機械)
(3) 三井不動産 株式会社 柏の葉スマートシティー
(4) 地球環境とエネルギーの調和展 (ENEX)
討議時間が少なかったが、3 テーマに関して政策グループと産業グル
ープの 2 グループで活動計画を討議した。ブラジル側の方案を尊重し、
最初は全体で討議した後 2 グループに分かれて内容をそれぞれ具体化し
Ⅳ-226
て、プレゼンテーション用の資料を作成した。
活動計画の発表と討議 (9:00 ~11:30)
政策グループ
●パイロットプログラムの関係民間機関との進め方
●PDCA に基づく政策評価
●エネルギー管理と省エネ投資促進策の検討の要点と進め方(規制と支
援策(金融面と技術面)の
産業グループ
●モデル工場決定のための決定方法・目標:当面 2 工場を選定し開始
業種(食品、繊維) 、企業は大規模よりは中規模企業を狙う。
エネルギー多消費共通設備(電気・熱設備)を有する。
各協会の役割と対応を決める。
ECCJ から事業に要す情報やデータを要求する質問状を送付する。
●協力工場等工場のエネルギー管理者の教育訓練を実施
●技術ニーズと日本の省エネ技術のマッチングセミナーを開催
(JASE-World と CNI が開催。事前に CNI が事前にニーズ調査)
政策グループと産業グループから討議結果とこれに基づく活動計画を
発表してもらいこれらの内容の詳細に関して討議を行った。
政策グループ
●事業全体を管理・調整する Sterring Group 設置
→ 必要あり。メンバーは現在参加している参加者。
エネルギー鉱山省 (MME) のメンバーも加える。
●政策の評価・改善検討の PDCA 方案を明確にする。
●MME に対する今回のワークショップ結果の報告 (MDIC)
産業グループ
●協議した方針に基づき協力工場の選定に入る。
討議結果
最終報告
発表内容の中ではマイルストーンとスケジュールが明示されていな
い。午前中の時間的制約もあり、発表会の後午前中の討議に基づき、午
後に更に詳細に次の活動の基本計画を含めて確認や協議を行い、当面の
方針や計画を決定した。
(1) 政策の評価・改善検討フロー
ECCJ 側で、特に今回の事業を前提として関係する政策や規則、支
援策の評価し必要な改善点を把握して検討し、必要な改正などを提
案するためのフロー案を提示し課題を協議した。
基本的にこのフローに基づき事業を実施する事とした。
(2) 今後の計画
参加者が策定した活動計画に基づき、ECCJ 側から当面の活動内容と
スケジュールを提示しこの計画を協議した。
●パイロットプログラム開始のためのブラジル側の準備(4-5 月)
- Steering Taskforce の組織
- 協力工場の選定と決定。(2 工場で始め徐々に参加工場を拡大)
●協力工場で活動をキックオフする。Inception Workshop (5-6 月)
- ワークショップ後協力工場の調査と実施基本計画の協議
- 政府機関 (MDIC, MME 等)との実施基本計画の協議
- 関係産業団体 (CNI, ABRACE, ABESCO 等)との実施計画協議
(3) 上記の計画をドキュメント化する。 (ECCJ)
(4) 活動のフォロー
ブラジル側は MDIC を通じて定期的に(原則月次)進捗を ECCJ に
Ⅳ-227
報告する。
上記の通り、活発な討議に基づき関係機関が事業の基本計画を共有し
て具体的な直近の予定を含めて具体的な活動計画が立案された。
この計画に従い、ブラジル側でもそれぞれの機関が準備作業に入る。
3.実施評価
研修団長
研修生
(評価書)
ECCJ の
評価
全てのインプットが役に立った。
日本側経済産業省、省エネルギーセンターに改めて感謝したい。
このワークショップで得た知見や知識及び情報を活用して事業を進め
たい。
今回参加すべきエネルギー鉱山省の担当が参加できなかった点は残念
であるが、帰国後このワークショップの内容と結果は報告して共有して
おくようにする。
●有用性の観点からの評価
全員が「大変有用」との評価、(レベルは5点満点中4.9の高評価。)
●期待値との比較との観点からの評価
全員が「期待値以上」との評価 (レベルは4-5(満点は5))
●期間の評価
全員が「ちょうど良い」の評価
(コメントの集約)
全てのカリキュラムは関心に合致していたばかりか程度が高くプロと
しての質も高かった。
ブラジルの様々な事情に基づく質問や討議にも事情を理解してもらい
的確なコメントや助言に応じてくれ有用であった。
「節電・ピークカット」のテーマの事業に関する明確なビジョンとこの
点に於けるブラジルの現状や課題を共有した上で、具体的な活動計画を
策定し、直ちにやるべきことを明確にできた。従い、参加者それぞれが
直ちに取るべきアクションを把握できたと理解する。
この意味で、このワークショップの目標や目的を確かに達成して、その
結果この事業を一歩前進させることができたと評価する。
ブラジルの総選挙が2014年10月に実施され政府機関のハイレベルを始
めとする人事異動が行われたが、MDICの努力のお蔭でこのワークショッ
プの実施に対する影響を殆ど受けなかった。
カリキュラ
ム上の課題
及び、今後
の改善点
昨年度のワークショップの結果に基づき以下の点の改善を図ったので、
大きな課題はなかったと理解する。
●テーマとする事業内容が具体化されコンテンツも対応を取った。
●単なる講義ではなくある程度意見交換や助言の時間を確保した
●上記を実現するために期間を前回より1日多くしたが冗長感はなし。
今回残念な点や十分でないは以下にあるが、ブラジル側の事情もあり
Ⅳ-228
●本事業の重要なカウンターパートとなる鉱山エネルギー省が不参加
●活動計画を討議に時間を掛けたので発表資料を作成する時間が不足。
Ⅳ-229
ブラジル向け省エネ
日程
午前
ワークショッププログラム (BECBR4)
(9:30-12:30)
午後
(14:00-17:00)
オリエンテーション
プログラムガイダンス
開校式
情報共有 (カントリーレポート)
1 月 22 日
基調講演 (METI:出脇係長)
● プレゼンテーション(参加者代表)
(木)
日本のエネルギー事情と省エネ政策
● 討議 / 意見交換
(ス マ ー ト コ ミ ュ ニ テ ィ ー 構 築 政 策 含
む)
講義 (ECCJ:吉田部長)
講義 (ECCJ:川口部長)
ISO 50001 に基づくエネルギー管理
日本の省エネ法:節電等に係る改正
体系構築の要点と有用なエネルギー
- 機器の効率基準・ラベリング
管理ツール
1 月 23 日
(Top Runner Program)
- 節電・ピークカットのためのエネルギ
(金)
-管理
助言討議
助言討議
ブラジルでのエネルギー管理上の課
ブラジルでの法制度整備上の課題
題
1 月 24 日
休日 (土曜日)
1 月 25 日
休日 (日曜日)
講義 (ECCJ:山田専門家)
見学 (関東地区) スマートシステム
日本における節電・ピークカットの取組
1 月 26 日
柏の葉スマートシティー
助言討議
(月)
ブラジルの節電・ピークカット対策の課
題
見学 (関東地区) 工場
見学 (関東地区) ビル
(株) 日立産機システム 習志野事業
1 月 27 日 ソニー(株)本社ビル
所
(火)
節電・ピークカット対策実施優秀事例
節電・ピークカット対策実施優秀事例
(エネルギー管理・省エネ技術)
(エネルギー管理・省エネ技術と機械)
交流 (JASE-W会員企業)
見学(関東地区)
1 月 28 日
日本の省エネ技術と普及活動(JASE-W) ENEX, Smart Energy Japan 2015
(水)
情報交換と意見交換
1 月 29 日 グループ討議:活動計画
(木)
グループ討議:活動計画
プレゼンテーション準備を含む
1 月 30 日
活動計画の発表と討議
(金)
討議結果の総括:今後の活動計画
閉講式
Ⅳ-230
Ⅳ-10.SE4ALL
Ⅳ-10-1.専門家派遣
2014 年 9 月 23 日に「国連気候サミット」が国連で開催された際、別途 SE4ALL 会合も開
催された。その際に、特にアジアを中心とした省エネルギー政策・制度構築等に関する人材育
成の知見を SE4ALL の活動にも活かすべく、ECCJ が SE4ALL における「エネルギー効率を
促進する国際的なハブ」とする提案を行い、ECCJ の祖川常務理事が、ユムケラーSE4ALL 担
当国連事務総長特別代表に対して、ECCJ が国際的なハブを担う旨の書簡(LOI)を手交しするべ
く、また、合わせて出席者とのネットワーク構築のために、下記の通りニューヨークに出張し
た。
1.出張者
国際協力本部
祖川
二郎
2.出張行程
9/21
成田発
9/22
High-level Event: Implement Sustainable Energy for All
出席
および LOI 手交式
9/23 Climate Summit 2014 Policy Session “SE4ALL Global Energy Efficiency
Accelerator Platform”出席
9/24
ニューヨーク発(9/25
成田着)
3.議事概要
1) 9/22
(1)High-level Event: Implement Sustainable Energy for All
のうち“Investing Energy
Efficiency”のセッションにパネラーとして参加し、意見として以下のように述べた。
(日本での省エネについて)省エネセンターは日本で省エネを推進するコア機関であり、
日本の省エネに貢献してきた。また日本は、エネルギー輸入国でそのコストが高く、外国の
影響を受けるので、企業が省エネするインセンティブが働きやすい背景もある。
今後、都市レベルの省エネが重要であり、今回東京に SE4ALL の Energy Efficiency
Facilitating Hub を設立し、SE4ALL の Platform cities から専門家を招待した Workshop
を開催する予定である。
(省エネ設備投資の促進について)省エネによる経費節減費用を原資に設備投資を促す、
ESCO スキームが有効ではないか。エネルギー費用単価が比較的高い日本では、多く ESCO
事業が成立している。
Ⅳ-231
なお、他のパネラーの意見趣旨は以下のとおり。
‐Ignacio Santelices
(チリ、エネルギー省、省エネ局長)
今後、小規模(micro sector)の省エネルギー促進が重要、そのための finance support
が必要。また、省エネルギーと経済成長の両立をめざすことが重要。
-Dr. Leena Srivastava (インド、TERI 大学
副学長)
省エネルギー促進のためには、capacity-building とあわせて、finance support が重要。
そのためにも、銀行の理解が必要。
ESCO スキームも有用である。
-Lars Tveen(ダンフォス社の地域エネルギー室のトップ)
ダンフォス社は、地域熱供給をはじめ多様な省エネソリューションを世界で提供している。
今後、省エネを促進する都市間の情報共有が重要ではないか。
-Sheila Watson(国際自動車連盟 FIA の環境部署の Director)
全世界的に自動車の燃費向上に向け活動。 2030 までに新車の燃料消費量を半減する目標
を唱えている。ODA による Transportation 関係の投資が重要。
-Harry Verhaar(フィリップス社の広報担当部署のトップ)
マーケットの transformation が重要。 照明、空調、変圧器などの高効率化製品がマーケ
ットを支配するよう誘導すべき。
-Clay Nesler(ジョンソンコントロールズ社のグローバルエネルギーおよびサスティナビリテ
ィ担当副社長)
今後、ビルでのエネルギー消費削減を世界的に促進していく。 そのために city や region
との collaboration が必要であり、そのようなプロジェクトに力を入れていきたい。
(2)Energy Efficiency Facilitating Hub として SE4ALL の活動に貢献したい旨記した LOI を
SE4ALL 代表 Kandeh Yumkella 氏に手交。
2) 9/23
(1)Climate Summit 2014 Policy Session “SE4ALL Global Energy Efficiency
Accelerator
Platform” に出席し、SE4ALL の Platform City の状況について情報収集。
各 Platform City からの説明概要は以下のとおり。
-Mexico city (Mexico) : Tanya Muller Garcia(環境大臣)
Transportation とビルの省エネが重要。 ビルの建設が増加しておりビルの省エネが今後
の大きな課題。 経済発展と省エネ促進の両立が必要で、そのためにもビルの省エネが重要。
-富山市 : 森市長
富山は、日本唯一の SE4ALL-platform city。
交通機関への誘導を図っている。
交通は自家用車に頼ることが多く、公共
小水力発電も手掛けており、アジアの農村地域で参考に
Ⅳ-232
なるのでは?
富山の取組が世界の参考になればと思っている。
-Warsaw (Poland) : Hanna Gronkiewicz-Waltz(ワルシャワ市長)
SE4ALL の活動に賛同、貢献していきたい。運輸部門の省エネが重要で電気自動車等の導
入促進を図っている。
ビル分野からの CO2 排出も問題で、コージェネによる地域熱併給
や街灯の高効率化による省エネを進めている。
-Cetinje (Montenegro) : Aleksandar Bogdanovic(ツェティニェ市長)
これからの EE-project は、小規模なエリアでの実施を促進すべき。
体の役割が重要。
そのため、自治
ツェティニェ市では、ビルの改修工事に伴う省エネ化が課題。
国
連、SE4ALL のサポートのもと、EE-project を進めていきたい。
-Iskandar (Malaysia) : Dato’Khaled Nordin(イスカンダル開発局長)
都市開発には、環境保全と経済成長のバランスが必要。
マートシティを目指す。
イスカンダルは低炭素なス
そのために、バイオエネルギー、小水力、PV 等の再生可能エ
ネルギーの導入や、公共交通機関での HV 導入等を促進していく。
-Thimphu(Bhutan) : Kinlay Dorjee(ティンプー市長)
ブータンは、小さい国であり省エネ量で世界に貢献することはできないが、省エネの
アイデアであったり、国民へのインセンティブ付与等は参考になると考える。
山岳地
域での小水力、PV 導入、街灯の高効率化、公共バスの高効率化等を促進していきたい。
4.関係者意見(SE4ALL のハブについて)
1)METI 貴田室長:ワークショップは来年度でいいのではないか?
が必要。
その前に HP の立ち上げ
今年度の活動については、新たな予算で入札して他業者が入ってきても困るので、
現人材育成予算で実施してほしい。(これについては、内容によりけりで、少なくとも人材育成
対象国以外の活動には使えないこと、予算枠に限界があることを指摘した。)
2)MOFA 堀江大使:来年前半のうちにワークショップを開催して欲しい。
1 泊以上で現地視
察を含めて欲しい。(千葉の柏市等はどうか?) ワーショップの概要は 10 月中に固めて欲し
い。
ECCJ の活動に期待しており、一度表敬訪問したい。
3)UN(SE4ALL 窓口)高田氏:コペンハーゲンの EE-Hub および、ウィーンの SE4ALL 本部と
の調整が必要。
調整の上、早い段階で東京 Hub のお披露目(プレス?)をしたい。
5.所感
会場となった Dag Hammarskjold Auditorium は、160 名程度収容可能で、セッションにも
よるが、7~8割程度の入りであり、それなりに熱気はあった。
省エネを技術的にいかに促進するか、またいかにマネジメントすべきか等の議論は少なく、
民間投資や公的資金サポートの必要性を訴える議論が多かった。(逆に言うと、技術面やマネジ
メント面で ECCJ がサポートする意味があるとも言える。)
今回の会合で、コペンハーゲンの EE-Hub の存在感はあまり感じられなかった。(あまりこ
Ⅳ-233
れといった活動ができていないのではないか?)
また、当初予定されていた、アスタナ(カ
ザフスタン)やマニラ(フィリピン)の出席がなく、SE4ALL プラットフォームシティについ
ての意義やその選定基準が曖昧であると感じた。
ECCJ に対して、SE4ALL の東京 Hub としての期待(特に MOFA は国際的なアピールとし
て)が感じられ、弊センターとしても METI と適宜調整しながら、予算や体制の確保が急務で
あると感じた。
以上
High-level Event: Implement Sustainable Energy for All の様子
ユムケラー氏(SE4ALL 代表)への LOI の手交
Ⅳ-234
Ⅴ. 実施結果に基づく政策制度構築や技術導入とその人材ニーズ、これらに基づく事業
企画案
2 国間協力の一部の国(タイ等)においては具体的に計画した活動を実施できなかったが、基本
的には各国別・各地域別に設定した人材目標が適切であり、これらの活動を通じてこれらの目標に
沿った人材を育成することができたと言える。
これらの人材育成の成果は、各国でこれらの人材が政策や法制度等を更に整備し、また省エネの
推進に必要なエネルギー管理の体系化と実践が定着し、省エネ改善に必要なより効率の高い技術や
設備が導入され易い仕組みや環境が出来る事である。そして、これにより日本の省エネ技術・製品
が普及しやすくなる。これら育成された人材がさらに新たな現地人材を教育・訓練し具体的な活動
をリードする仕組みやプログラムが具体的にできて波及する。これによって省エネルギー効果が顕
在化し成果を確認出来ることに繋がっていく。この結果として、真の成果と効果の評価がなされる
と考える。この観点における評価および各国のカウンターパートを含む関係機関に対する活動のフ
ォローを行った結果、以下の具体的な人材ニーズが新たに把握された。
このような観点から各国において今後どのような人材ニーズがあるかそのためにどのような取組
みが必要になるのかを以下の対象グループの範疇での視点から具体的に述べる。
(1)政府関係者
(2)官・民関係者
(3)民間団体企業関係者
V-1. 多国間協力:各地域におけるニーズと事業企画案
V-1-1. ASEAN 地域
2011 年度までは PROMEEC プロジェクトの活動を通じて、2012 年度からは新しく生まれ変わ
った AJEEP プロジェクトを通して、これまでに確立した成果を活用し、新たなスキームのもとで
各分野の人材を育成してきている。
このプロジェクトは、ASEAN 各国のエネルギー関係省で省エネルギー政策を担当する担当者を
中心に、各国実施機関の関係者や産業団体の関係者、更に活動の場と人材を提供して協力してくれ
る工場やビルの所属企業関係者が参加するプロジェクトである。
人材育成の対象としては、情報共有や将来の成果の普及の観点から効果が大きく利害関係がない
政府関係者や実施機関関係者などが中心となる。しかしながら、成果を実証し普及するネットワー
クを構築するとの観点から民間企業関係者の参加が有効である。更に、民間企業が高効率省エネ機
器を導入することで省エネビジネスが発展し、省エネが推進されるとの観点からも、より一層の民
間部門の参加が要求されるプロジェクト活動となっている。
Ⅴ-1
ASEAN では APAEC(ASEAN Plan of Action for Energy Cooperation)といった協力プログラム
があり、その中で省エネルギーも取り組んでいる。現在 2010 年から 2015 年までの計画となってお
り、2015 年までに ASEAN 地域で 8%(2005 年比)のエネルギー使用量を低減する目標を含む。
現在のところ ASEAN としての政策や法制度が存在しないが、政策面は各国の政策や法制度の情
報を共有しながら各国独自の政策・法制度の下で ASEAN の活動と協調した活動が求められている。
しかし政策や法制度構築の面での国間格差はここ数年で拡大し、上記目標を達成するためにはこの
格差の縮小が必要になっている。
以上に述べた観点より、2000 年から 2012 年度まで実施されてきた PROMEEC プロジェクトや
先に述べた下記 3 つのスキームから成る AJEEP プロジェクトの過去 3 年間の実施経験から得た
ASEAN 各国のニーズとその対応について下記に述べる。
(1) AJEEP スキーム1:ASEAN 自身による PROMEEC の成果に基づく持続的活動
(2) AJEEP スキーム2:ASEAN 地域の中で省エネ推進基盤(政策、法制度)が進んだ国におけ
る省エネビジネス展開のためのプロジェクト形成とその推進人材の育成。
(3) AJEEP スキーム3:ASEAN 地域における省エネ推進基盤(政策や制度整備)の国別格差を
縮小するための省エネ人材育成。具体的には CLM(カンボジア、ラオス、ミヤンマー)を対
象として実施。
V-1-1-1. 省エネ技術・設備導入のプロジェクト形成
ASEAN 各国では最近の急速な経済発展に伴いエネルギー需要が伸びており、最近はエネルギー
価格の下落こそあるが、これまでのエネルギー価格の高止まりや、経済発展に伴う生活水準の向上
によるエネルギー消費量の急激な増加に伴うエネルギー供給不足などにより、省エネに対する意識
がより一層高まっている。そこで、省エネ政策やその法整備が比較的 ASEAN の中で先行している
国においては、高効率機器の導入等の省エネプロジェクトの形成により ESCO 事業も含む省エネビ
ジネスが進展し、民間の主導による省エネが政府の政策の実施との相乗効果により推進されること
が省エネ推進における目標である。
本年度はこの目標を達成するための AJEEP スキーム2の活動を産業部門の活動としてタイ及び
インドネシアで実施した。業務部門(ビル)の活動はマレーシアで予定ししていたが、延期となり
今年度は実施できなかった。又、日本と ASEAN の政府及び民間団体が中心になってして実施され
た日本の省エネ技術普及促進会議や ASEAN 地域に適した省エネ技術を普及するためのセミナーへ
の協力を行った。その結果を元に下記に人材のニーズについて述べる。
(1)政府関係者: 政策・法制度の立案・執行能力向上
省エネプロジェクトの形成には高効率な機器・設備の導入を促進するための下記に示す政
Ⅴ-2
策・法制度の立案執行能力を有する人材が要求される。
① 省エネ投資を行う財政支援制度(補助金、優遇税制、低金利融資等)
② 二国間オフセットクレジット(ASEAN ではインドネシア、ラオス、カンボジアが契約締
結)等の国際的な財政支援制度の活用
③ 機器・設備の効率基準・ラベリング制度(ASEAN 内で共通の最低基準の策定・試験基準
共通化等に向けた活動も提案されているが、まずは各国が自国の実情に合った基準・規
則の作成が必要との観点から実施)
④ 省エネプロジェクトを提案できる技術者(エネルギー管理士・診断士)の育成及びシステ
ム
⑤ ESCO 普及促進のための法制度(業者認証、人材育成システム等)
(2)官・民関係者: 省エネ機器導入を実践する人材の育成能力の向上
上記の政府が策定した政策・法制度の執行を支援し、民間企業の高効率機器導入を促進さ
せるエネルギー診断士も含むエネルギー管理技術者の指導者の育成ニーズがある。例えば省
エネ診断やエネルギー管理の教育・訓練機関の設置・レベルアップ、エネルギー管理士認定
システム構築、効率基準・ラベリング制度を推進するための試験機関の設置・レベルアップ
のための人材ニーズである。
(3)民間企業関係者:エネルギー管理実践と省エネプロジェクト提案・実施能力向上
省エネプロジェクトへの投資を決定する企業のトップに対し説得力のある提案を行う人
材のニーズがある。つまり高度な省エネ診断能力(正確で効率的な測定能力、改善策を創造
する分析能力(投資コスト、運転コスト等の把握ができ、設備・機器の技術にも精通した能
力等)
、見える化技術を含む説明能力等を有する人材のニーズである。更にこの人材には高
効率機器及びファイナンスシステム(政府の財政優遇制度、JCM、ESCO 等)に関する豊富
な知見を有することが要求される。
以上に基づき以下に資する人材の育成が提案される。
(1)-1 省エネ機器導入プロジェクトの実施が促進されるために必要な法制度の改善・整備
エネルギー管理制度:管理基準・指針の策定や整備
支援制度:効果的な省エネに対する金融面の支援制度の整備
機器分野の省エネ基準・ラベリング制度:省エネ機器を正当に評価する基準・制度
(1)-2 省エネ機器が導入するために必要な施策の整備(ESCO、JCM 等)
(2)-1 ESCO 導入のための実務者に対する指導、教育訓練システムの整備
(3)-1 省エネ機器導入プロジェクトの形成と実施のための下記能力向上
計測・分析能力、省エネ改善提案能力、省エネ機器のメンテナンス含めた知識、財政
面の支援制度・ESCO・JCM 等のファイナンス面の知見等
Ⅴ-3
次に、具体的な人材育成方法として下記を提案する。
① 省エネ技術や機器が正当に評価される省エネ基準やラベリング制度、工場・ビルの省エネ判断
基準・管理基準、表彰制度における省エネビル・グリーンビ部門やエネルギー管理部門の評価
基準などにおいて、日本の機器・設備が導入されやすい基準・制度に誘導する。
② 財政上の優遇制度、JCM のような国際的なファイナンススキーム等に関し、受け入れ研修や
専門家派遣による現地のワークショップで、関連情報の供与を行う。
③ この活動の成果は省エネプロジェクトが実際に形成されることである。そのためには提案した
プロジェクトに実現性と実効性があることである。そのためには、実際に改修や新設備の導入
を検討している工場やビルを対象に、効率的で正確な計測と計測した情報の解析・分析を行い、
ファイナンス面も含めた提案をすることが求められる。そのための専門家の確保が必要となる。
④ 省エネ機器・設備が導入先で安心して使用できるように、必要なメンテナンスサービスを検討
し確保する。ESCO もこの重要な役割を担うことになる。
⑤ このスキームの人材育成には多くの民間企業の参加が必須である。そのため、JASE-W や日本
鉄鋼連盟等の民間団体との連携を強化し、お互いの活動内容のレベルアップと、スコープの拡
大を図り、シナジー効果を高める。
⑥ 経済産業省や JICA 等のこのスキームと類似する目的を有する事業、例えば、ECCJ が受託し
た「機器分野の省エネルギー及促進事業」等、との連携を図り、本事業の実効性を高める。
V-1-1-2. 省エネ政策・制度状況の国間格差縮小
先にも述べたが、ASEAN では APAEC 協力プログラムの中で、2015 年までに ASEAN 地域で
2005 年をベースに 8%のエネルギー使用効率(単位 GDP 当り)を改善する目標を立てている。現
在のところ ASEAN としての政策や法制度が存在しないが、政策面は各国の政策や法制度の情報を
共有しながら各国独自の政策・法制度の下で ASEAN の活動と協調した活動が求められている。そ
のためこの目標を達成するためには、先ずは政策で省エネ推進能力において遅れている地域がその
能力を向上させ、省エネ先行国との能力格差を縮小することが課題となっている。
この観点から、遅れている各国政策策定及び実施の政府担当者が省エネ政策や制度構築の面で先
行している国の経験情報を共有し、更にエネルギー管理や産業・ビル分野の基本的な省エネルギー
技術を理解して自国の政策や法制度の合理的な策定や改善を行う能力を有する人材の育成が要求さ
れている。このニーズにこたえるため省エネ政策・法制度が遅れている国である CLM 各国(カン
ボジア、ラオス、ミヤンマー)で本スキームを実施し、過去 3 年間の活動で CLM 各国において、
省エネ法制度構築のための 3 年間アクションプランの作成や草案作成のためのタスクフォースが組
織され、省エネ政策や法制度の構築のための基準や規則の草案が作成されつつある。そして、その
成果を元に下記に人材のニーズについて述べる。
Ⅴ-4
(1)政府関係者:政策・法制度の立案・執行能力向上
AJEEP の事業を通し、CLM 諸国の政府の関係者は他国の政策や法制度に関する理解を深
め、省エネ法や規則の草案作成が進めている。そのため、早急にその省エネ法や規則が自国
の実情に合ったものであることを確認することが重要であり、政府、実施機関および民間関
係者との密接な交流を通じて法規則に基づく省エネ推進の実務上の課題を把握すると共に、
前述の APAEC で決定された ASEAN の省エネルギー協力の方向性を理解し、自国の実効性
のある政策や法制度(エネルギー管理制度、機器の効率基準・ラベリング制度等)を改善あ
るいは策定し、これらを執行できる人材ニーズがある。
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践する人材の育成能力の向上
(1)で述べた人材が育成され、法制度の策定が行われ、執行段階に早急に進展すること
が必要となる。そのため、法制度執行前に、執行基盤の形成が重要である。法制度(規則や
基準)に従うエネルギー診断を含むエネルギー管理をできる人材を育成する機関の設置が必
要であり、その育成を担当する指導者の育成ニーズがある。
(3)民間企業関係者:省エネ推進のための基本的な技術・機器類の導入・運用能力向上
省エネ法制度が執行された場合に、スムースに実施に移されるように、工場やビルにおい
て、現場でエネルギー管理を実施する人材の育成が必要になる。この人材は省エネ診断を実
施できる能力(データ収集、測定技術、データ分析、改善案発掘等)を有する人材の育成の
ニーズがある。又、工場やビルでエネルギー管理システムを構築し、職員に対する教育の実
施を含め、省エネルギーを持続的に推進できる基盤を作り、具体的な改善を実施できる人材
の育成ニーズがある。
以上のニーズは、ASEAN 各国の省エネルギーに関する取り組み状況や政策上の方針によって優
先度や重点が異なる。CLM 各国では省エネ政策・法制度構築の策定が始まっており近い将来、法
制度が実施の段階になる。円滑な実施ができるように、省エネ推進基盤の整備が開始されるべきで
ある。当然、先ず(1)のニーズが優先されるが、
(2)及び(3)も同時に進めていくべきである。
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1 省エネ法及び付帯制度の策定と構築
(1)-2 機器分野の省エネ基準・ラベリング制度の策定と構築
(1)-3 省エネ普及促進のための国民意識の向上
(2)-1 省エネ法制度を国民全体に普及するための指導・教育訓練システムの整備
(3)-1 省エネ法制度の普及を目的とした、民間企業の省エネ意識の向上
省エネ診断実習やエネルギー管理講習等による省エネ意識の向上
Ⅴ-5
次に、具体的な人材育成方法として下記を提案する。
①
先に述べたように省エネ法制度構築のための国家省エネ政策や基準・規則等の草案作りが開始
されており、これら作業を進める上で生じた問題解決のためのワークショップを専門家派遣と
受け入れ研修で引き続き行う。このワークショップには法制度構築で先行している ASEAN 諸
国からアドバイザーを参加してもらい、彼らの経験・知見を提供してもらうことで ASEAN 地
域特有の問題とその対策に関する情報を得ることができる。
(あと 1 年を目途)
②
法制度を実施する上では民間団体・企業の協力が必須であり、彼らの省エネ推進関する意識向
上が重要である。ASEAN で作成したエネルギー管理ハンドブックを使ったエネルギー管理講
習、工場やビルの現場での省エネ診断実習及び情報共有の場となるワークショップ(パネルデ
ィスカッション、小集団討議等)等が実効性のある人材育成方法である。
③
法制度構築が遅れていても、CLM 各国は急激な経済発展を遂げており、省エネ機器の導入促
進による省エネビジネス展開が不可能なわけではない。特に、エネルギー価格が高い、又は電
力供給不足の国では、省エネビジネスの可能性もある。そのため、CLM 各国においてもスキ
ーム 2 に基づく人材育成を実施し、各国で省エネ機器・設備が導入され易いビジネス環境づく
りを目指す必要がある。
Ⅴ-2. 二国間協力:各国におけるニーズと事業企画案
政策や法制度の整備の観点からは、
多くの国で整備や改善が進みつつあると評価出来る。
これは、
特に近年の国際的な取組である地球温暖化防止に係る温室効果ガス排出量削減に向け、各国のエネ
ルギー事情に基づく省エネ目標を立てて国際的にコミットする国も途上国の中で増えて来たことも
挙げられよう。
また、インドでは民間の省エネを加速するために規制の中で市場取引の原理を取りこんだ PAT
(Perform, Achieve and Trade)という仕組みを取り入れて実施している。
このような制度の整備に、省エネルギー人材育成事業を通じて育成された人材が直接・間接に貢献
してきていると言えよう。
昨年の一つの変化として、Joint Crediting Mechanism (JCM) が日本とインドネシアやベトナム
等との間で合意された。これは日本の企業が有する省エネ技術や省エネ設備がこれらの国で普及す
る枠組みでる。
一方で、このような進展に伴い、より具体的で新たな課題も顕在化しているのも事実である。
即ち、政策や省エネ法のような包括的な枠組みが出来ても、それらを実際に実現する為の具体的
な制度や仕組みあるいは基準・指針の整備が遅れ、実効がなかなか上がらない点である。これが今
の段階の大きな課題と言えよう。
よって、政府関係の政策人材に関しては、今後、これらの課題を解決し、政策や法律を実行して
いくための具体的な制度等を策定し執行していく人材ニーズがあるといえる。
Ⅴ-6
一方、これらの国で実際に省エネを推進すべき民間団体や企業においても、省エネを推進する人
材が多く育成され、省エネ法がある国ではその規制を受ける事を含めエネルギー管理の導入と実践
が広がり省エネ技術の理解も深まり、一部の企業では確かに素晴らしい省エネの取組みを行って効
果を上げているのも事実である。
しかしながら、このような国においてさえも、多くの企業は省エネの重要性や利益に関する理解
や意識が企業の経営者ですら薄く、また具体的にどう取り組んだらエネルギー管理を行い省エネの
改善が出来るのかが判る人材が少ない、加えて、そのための情報やツールが手に入らない等の事態
が多く観察される等課題が見出せる。
つまり、国の市場条件(エネルギー価格が補助されて安価である等)による省エネのインセンテ
ィブが低く支援策もないといったことに起因するだけでなく、気候変動や公害といった環境保護の
視点を含めて省エネの意義を本当に理解する国民がまだ少ないことにより省エネの動機付けが弱い
という根本的な問題にも起因している。しかしながら、一部の国ではエネルギー価格の補助が削減
されエネルギー価格が上昇し企業経営に影響を及ぼすため省エネを優先せざるを得ない事実も確認
されている。この動向は、国際的なエネルギー価格の変動にも関連し広がりつつあり、これらの国
では省エネニーズが高まっておりこのような変化も生じている。
。
これらの問題解決と、制度面や実務上の管理面及び技術面の課題の解決は並行して実施する必要
があろう。
これらの取組みは官民で協力して行う必要があり、活動の結果を常にフィードバックして改善を
体系的に進めなければ、政府の政策や法制度の執行もうまくいかないであろう。
Ⅴ-2-1.
インドネシア
2009 年 12 月に施行された省エネルギー規則の下で、年間 6000 TOE 以上のエネルギー消費工場
でのエネルギー管理の規制や機器のエネルギー効率・ラべリングなどは既に執行され進展がみられ
る。従い、既にエネルギー管理士やエネルギー診断士の認証制度も実際に機能しているもののまだ
認証者は十分とは言えず、これらの資格者が要求される義務を果たすための具体的な指針やこれら
に基づく管理業務の標準化は十分とは言えない。また、省エネ投資に対する支援制度の整備もこれ
からであり、省エネ規則が効果を上げていくための課題となっている。
更に、COP で 2020 年度までに自国の努力で 26%の二酸化炭素の削減をコミットしており、省
エネ推進の取組みを一層強化する必要に迫られている。特に、2013 年に Joint Crediting
Mechanism (JCM) が日本との間で合意されその運用制度の準備を進めており、鉄鋼やセメントな
どエネルギー多消費産業で二酸化炭素削減に有効な先端的な省エネ技術を日本から導入したいとの
方針が鮮明に打ち出されている。
このように、日本の省エネ技術や設備を導入し易い政策的・制度的枠組みが整いつつある。
一方、政府補助によりエネルギー価格は安価に抑えられており省エネのインセンティブ面で課題
Ⅴ-7
は残るが、特に昨年から電力等エネルギー価格の補助が大幅に削減され電気代などエネルギー価格
が急激に上昇し企業経営を圧迫している。
(地区によるが産業部門では年間 50-60%の上昇率)よ
って、エネルギーを多く使用する民間企業においてはコストダウンの観点からも省エネルギー推進
が企業の緊急の対策として求められており、国家としても省エネの重要性が更に増していると言え
よう。
このような実状の下で省エネを推進するために、投資による省エネ技術や設備導入のための資金
対策は企業にとって重要課題である。このために、これまでインドネシア政府が政策的に推進して
いる ESCO の導入に対する期待も高まっている。しかしながら、その為の施策構築や実務指導を行
う人材は限られ、加えてまだ金融関係者や企業経営者を含め ESCO に関する理解が深まっていない
との課題がある。
従い、民間の産業団体・企業の関係者を含め、これらの有効な省エネ技術を理解しエネルギー管
理を体系だって実施しつつ、この運用で省エネ技術や設備の導入も含めた取組みを通じて省エネを
推進していくニーズは一層高まっている。
このような状況下で、次に点が同国の省エネ推進の鍵になると考えられる。
● 企業におけるエネルギー管理体系の構築と実践、この下での体系化された省エネ対策の同定と
確実な実施。
● 政府による特にエネルギー管理規制の効果的運用のための指針策定や標準化推進を始めとする
個別の制度整備と ESCO 導入推進を含む具体的な省エネ投資支援策の整備。
上記に基づき、インドネシアにおける人材ニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者:
政策・法制度の整備・執行能力向上
① 産業分野のエネルギー管理体系構築を始め省エネ技術や省エネ設備の導入を促進するための
施策の策定と、産業団体との調整を含む産業施策を実行出来る人材
② 電力分野の政策を含め連携の取れた省エネ政策、またエネルギーを含め国民の省エネ意識向
上の為の施策を検討・策定出来る人材。
③ 省庁間の調整を含む省エネの規制と支援に関する法制度の改善・整備、執行の為の具体的な
指針や標準の整備と執行を行える人材。
(州政府における条例整備指導を含む)
。
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
① 省エネ規則で規定されたエネルギー管理制度に従いエネルギー管理を適切で確実に実践する
官民の人材
② 省エネに有効な省エネ技術や設備の民間企業による導入のための指針や施策を策定する人材
③ ESCO を導入していく為の具体的施策を検討し具体化する人材
(3)民間団体関係者:省エネ推進のためのエネルギー管理と基本的な技術・機器類の
導入・運用能力向上
① ISO 50001 に基づくエネルギー管理システムを構築し、この下で体系的なエネルギー管理と
省エネ対策を具体化して実践できる人材。
Ⅴ-8
② 省エネ技術(熱や電気エネルギーの効率改善など基本技術とプロセスに係る省エネ技術)を
理解し、エネルギー診断の実施に基づき具体的な改善策を見出せる人材
③ エネルギー管理の実践の結果具体化された改善策を実現するためのプロジェクトの形成と実
施を行える人材。
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1 省エネ規則に付帯するエネルギー管理制度等の制度整備
エネルギー管理制度:管理の指針策定や管理標準の整備
支援制度:効果的な省エネ技術導入に対する金融面と技術面での支援
(1)-2
エネルギー多消費産業におけるエネルギー管理体系導入や省エネ技術の導入に必要
な施策の整備 (JCM の活用を含む)
(1)-3
国民の省エネ意識を向上させるための教育カリキュラムや教材整備
(2)-1
ESCO 導入の為の施策検討と実務者の指導や教育訓練
(3)-1
エネルギー管理システム構築とエネルギー管理のツール整備と体系的な実践、及び省
エネ技術や設備の導入に資するプロジェクト形成と実施
Ⅴ-2-2. ベトナム
2006 年に制定された 2006 年-2015 年の国家省エネルギープログラムに従い、省エネルギー法
が 2011 年 1 月に施行された。省エネ法の執行に際しての現在の課題は、法律で規定された事項を
執行するための付帯制度を完成させ、省エネ法を着実に実行し効果を確実にすることである。
制度整備の面は進みつつあるが、省エネ支援制度やエネルギー管理制度を着実に執行する為の指
針や基準類の整備が更に必要となっている。
一方、2013 年に日本との間で Joint Crediting Mechanism (JCM) が合意され、具体的な制度の
整備が進んでいる。この事で日本の省エネ技術や設備が導入され易い枠組みが整った。
これまでの省エネ法策定や制度整備の成果に基づき、JICA がプロジェクトタイプ技術協力とし
て「省エネルギー研修センターの設立」を 2013 年 7 月に開始し、2016 年からこの施設を利用した
研修を通じて資質の高いエネルギー管理士やエネルギー診断士が育成される予定である。
このような中で、法律の執行およびエネルギー管理やエネルギー診断を含む省エネの実務を行う
人材の育成へのニーズも明確になってきた。
以上に基づき、今後以下の人材育成ニーズがある点を確認した。
(1)政府関係者:政策・法制度の立案・執行能力向上
Ⅴ-9
① エネルギー管理制度の運用の為の指針(判断基準に相当)やエネルギー管理標準導入の施
策を実施できる人材。
② ラベリング制度を通じた省エネ機器の普及や工場等での省エネ設備導入の為の投資を支援
する制度を整備する人材。
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
①
上記の規則を運用するための実施施設と施設運営機関の企画と計画できる人材。
② エネルギー管理士やエネルギー診断士を訓練する人材。
③ 指定工場から報告されたデータを解析し、対策案を策定できる人材。
④ ラベリング制度実行に際し、性能試験設備を使用し試験する人材。
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1
エネルギー管理の指針(判断基準)の策定。エネルギー管理標準の整備と執行。
(1)-2
高効率の機器・製品を普及させるための指針及び優遇措置等の支援制度の制定。
(2)-1 エネルギー管理(特にデータ解析)やエネルギー診断の指導。
(2)-2 省エネ技術や設備の導入プロジェクト形成。
Ⅴ-2-3. インド
インドでは 2002 年 3 月の省エネ法が施行され、産業、商業、運輸の分野の省エネ及び機器の省
エネを対象として、指定事業所制度、エネルギー管理者制度、機器の省エネ基準やラベリング制度
などが導入されている。これに基づいて政策を打ち出しその実施に必要な制度や体制を整備してい
く過程において、本人材育成事業を通じて政策立案・実施部署である電力省/エネルギー効率局
(BEE)及び省エネ対策実施機関である石油節約調査協会(PCRA)に対して制度構築並びに技術
移転などを効果的に実施してきた。
インドでは 2010 年の省エネ法改正によって、産業分野に PAT (Perform, Achieve and Trade)ス
キームが導入され、
またビル部門についても対象ビルの拡大を図るなど、
省エネ推進が強化された。
また、経済成長に伴う石油消費の増大を受け運輸分野においてもジーゼル等の燃料消費削減が喫緊
の課題となっている。
このような状況を踏まえ、2014 年度は産業分野では PAT スキーム推進、運輸分野ではエコドラ
イブ制度構築などに寄与する支援、産業およびビル分野における高効率機器としてのヒートポンプ
導入促進のための支援を実施したが、これらの継続の必要性について、インド側と確認した。
以下に具体的な提案を示す。
〇産業分野ではPATの効果的な運用と、これを通じて省エネ技術や設備導入が進み、エネルギー効
率を改善していく事が重要である。
Ⅴ-10
本年は BEE と再三会合を重ね、PAT の実施状況や課題の確認、および今後に向けての支援項目
の検討等を行った。
本年は PAT の第一フェーズ最終年度であり、
各企業の実績報告が行われており、
今後 1 年かけて分析、評価、が行われるが一部業種においては目標値未達成となっており、今後の
対策が必要との事である。
その後第一フェーズの課題も踏まえ業種や対象事業所の拡大をはかり第 2 フェーズに向けての改
善検討が実施されることになっている。
また、ヒアリングにより各企業における設備導入を含む取組が進み効果的な省エネが推進されて
いることが明らかになったが、一方で、制度運用の面では実際にモニタリングを行う州政府関係機
関(SDA)の役割が大きく、制度運用のための人材育成が重要であることが指摘された。
さらに、BEE の幹部からは PAT の評価実施にあたって特に SDA のモニタリング、評価能力向
上について ECCJ の支援を求める具体的な要請があった。
今後 PAT がさらに対象業種を拡大し、効果を広げていくためには以下の人材育成が重要と考える。
(1)政府関係者: 政策・法制度の立案・執行能力向上
① 執行の中心組織である地方政府(SDA)の PAT 運用能力向上
ベースライン、目標設定、モニタリング、実績の評価などの標準や基準を改善あるいは見直し、更
に運用システムが適切である事を検証する人材ニーズがあろう。上記のごとく BEE 幹部もその必
要性を強く認識している。
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
① エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
これまでの活動結果により、中小企業での TEM(Total Energy Management)の導入・普及が行われ
ており、これらを通じた省エネ・エネルギー管理の人材育成ニーズがあり、今後、中規模以上の企
業へのニーズも確認された。
また、大規模企業である指定消費者(DC: Designated Consumers)は省エネ法の規定により原単位
の目標があり管理されているので、エネルギー管理に基づく体系的な改善が行われる必要があり、
この人材ニーズがあろう。
② 実施機関の省エネ改善実施能力向上
実施機関として ECCJ が覚書を交わして協力関係を樹立している石油節約調査協会(PCRA)には、
PAT の枠組みで産業部門の省エネを関係企業と共に推進する役割が期待されている。
今年度は、既に ECCJ の指導により作成された繊維産業用の省エネルギー診断マニュアルを参考
として紙・パルプ産業用のマニュアルが PCRA の手により作成された。さらに今後石油精製、石油
化学等についてもマニュアルを策定し、普及させる仕組みを構築するニーズがあることが確認され
た。 加えて、これを活用し省エネを実現する為には、改善に必要で有効な省エネルギー技術及び
設備の理解を深めそれらの導入に向けた能力を取得することも必要となろう。
③ ヒートポンプ等高効率機器・技術への理解
今年度は、政府機関関係者、企業、研究者などを対象として、高効率機器であるヒートポンプの
Ⅴ-11
効率性と導入事例、最新技術の紹介など理解活動を行うことにより、各分野におけるヒートポンプ
の導入に向けての支援を行った。
今後、このような機器を的確に導入・活用していくため、技術に対する理解を含め、適切な用途
に適切に設置し高効率を達成するための知識を持ち率先して導入を推進する人材を育成する必要が
ある。
〇運輸部門では、規制による車両の燃費向上および効率的な運転方法による省エネルギーの推進
が重要な課題となっており、石油天然ガス省および傘下の PCRA を中心に燃費基準の検討およびエ
コドライブの普及が進められている。今年度、ECCJ では昨年度に続きエコドライブ、特に大型車
のエコドライブのインストラクター養成に向けての実地教習や我が国の燃費規制についての研修な
どを行った。これらにより下記に示す人材ニーズは育成されたと考えられ、今後は PCRA により自
らの体制で運転者の意識付けを含めた啓発活動とエコドライブの推進体制の構築をしていくことが
必要である。
〇ビル分野においては、本年度はエネルギー管理手法の紹介や実務演習を主体とした研修により
エネルギー管理の具体的方法について、人材育成を行った。特にエネルギー需要増が著しいビル分
野においては、PAT とのような目標管理制度はないため、各企業やビル所有者が担い手となって産
業部門と同様のエネルギー管理手法による的確な運用が必要であり、ビルエネルギー管理者の診断
能力、運用能力の向上が必要である。
また、ヒートポンプなどの高効率機器の適切な導入のため、機器の省エネ性、特性等 技術的理
解を図ることが必要である。
以上に基づき、次の項目に資する人材の育成が提案される。
(1)-1 地方政府を含む政府関係者に対し、モニタリングや評価方法を中心とした PAT の円滑
な推進のための技術および、PAT 評価に基づく各企業における省エネ推進、次フェー
ズ導入への課題解決などを的確に実施できる人材。
(2)-1 エネルギー管理者の実務運用能力向上
-2 官民関係者によるエネルギー管理の的確な運用と省エネ技術・設備導入
(3)-1 産業分野およびビル分野におけるヒートポンプなどの高効率機器の適切な導入のため
の技術理解と普及推進のための制度整備に資する人材
Ⅴ-2-4. 中国
今年度は専門家派遣の一部しか具体的な活動は実施できなかったが、過去の実績に
基づき、次のような人材育成ニーズがあると考えられる。
Ⅴ-12
すなわち、第 12 次5カ年計画で目指しているさらなる省エネ目標の達成のため、法制度に関し
ては、2008 年に施行された改正省エネ法の効果的な執行、特にエネルギー管理制度とエネルギー管
理者育成・認証制度の構築課程にあり、これら法制度の構築や実際の実施機関や企業でのエネルギ
ー管理を実践できる人材の育成を地方レベルも含めて急いで進める必要がある。また、民間におい
ては、国の方針に従い、企業内においてあるいは ESCO 事業者として省エネ診断やエネルギー管理
の実践を通じて、より効果的な省エネ技術や省エネ設備の導入を進める人材が今後必要となって来
る。
加えて、第 12 次5カ年計画で目指しているもう1つの目標である「低炭素社会づくり」に向か
って、制度構築改善や新しい技術・設備あるいはスマートコミュニティ等の導入のための技術的理
解を深め、貢献できる官民の人材の育成が必要となって来る。このためには、企業や家庭レベルで
省エネを十分理解し、
エネルギー管理体系を構築し、
具体的な省エネ活動が実践されていなければ、
スマートコミュニティを構築する効果も薄れよう。
したがって、中国における人材育成ニーズを以下のように整理した。
(1) 政府関係者:政策。法制度の立案・執行能力向上
① エネルギー管理制度とこれに係るエネルギー管理者制度の確立・執行能力向上本事業の実
施を通じて、省エネ法の下で確立すべきエネルギー管理制度構築・執行能力の強化(特に、
エネルギー管理士育成認証制度構築)、監察能力向上(特に、工場調査)を進め、進展してい
るが、このニーズは引き続き求められている。対象は、中国国家節能中心を始めとする中
央政府関係者、地方の政府関係者と節能監察中心等の関係者。
② 低炭素社会構築にむけた政策構築のための能力開発
(2) 官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
① エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
本事業の実施を通じて、(1)で構築されるべきエネルギー管理制度に従い、特に産業部門に
おいて現場管理者の省エネ診断を含むエネルギー管理能力の強化ニーズも求められている。
② 効果的な省エネ技術や設備の導入と運用の能力
①に伴う改善に係り、導入が必要な新技術を含む技術的理解の向上
新エネ技術やスマートコミュニティの理解を含め、低炭素社会づくりにも必要
以上に基づき、次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1 エネルギー管理士育成と制度化
(1)-2 実施機関の中核としての中国国家節能中心の機能向上と運営
(1)-3 エネルギー管理システム構築と省エネ技術や設備導入による省エネ推進
なお、中国の省エネ技術に関する日本への具体的な期待を以下の表にまとめた。
Ⅴ-13
表Ⅴ-4-1.日本への要望・関心が高い省エネ技術
分野
熱分野
電気分野
主な省エネ技術
廃/排熱回収技術
(低温廃/排熱)
蓄熱技術
電気エネルギーを機械エネルギー
に変換する技術
可変周波数回転技術
発電技術
建築物分野
(発電所向け)
(工場/自家発電)
低炭素社会
建築物
主な製品
コジェネレーションシステム
(ガスエンジン/ガスタービン)
ヒートポンプ
ヒートポンプ空調機
(ガスヒートポンプエアコン)
エコキュート
電動機:高効率モータ
エアコンプレッサ(空気圧縮機)
インバータ(高圧・低圧)
モータ・発電機・照明・空調等
石炭火力発電(既存整備、新鋭)
天然ガス火力発電
(コンバインドサイクル発電)
スマートコミュニティ
最新の省エネビル(ZEB)
V-2-5. サウジアラビア
サウジアラビアは、近年の国内エネルギー需要の増加を背景に原油輸出能力維持の為、政府が主
導的に省エネを推進しており、2012年からは省庁間横断の組織:SEEP(サウジ省エネ推進プ
ログラム)をつくり各分野にわたる省エネルギー推進のために精力的に活動している。しかしながら
低廉なエネルギー価格を享受している中で、国民の省エネ意識を向上させることは極めて困難であ
り、大きな課題となっている。さらに国民の理解・意識が低いこともあり政府主導の諸方策も強権
的となる傾向がある。
省エネ法については各国の支援もあり相当程度必要性を理解し、制定を進めているが、現段階で
は体系的に整理されたという情報は入っていない。しかしながら、産業、ビル、運輸、家庭それぞ
れの分野で具体的な規制、制度の制定を進めており、その効果は既に現れている。
例として、産業分野では、政府が各企業と個別にMOUを結びベンチマークにより達成目標を制
定させている。またエネルギー管理制度の構築にも取り組んでおり、エネルギー管理者の育成を含
めた体系的な取り組みを進めている。この中で、エネルギー管理者の認定、認証(Certification と
Qualification)の構築についてはECCJに対して支援要請が来ており、我が国の経験を踏まえて導
入を支援することとしている。
またエアコン、洗濯機などの家電製品の効率や自動車の燃費については輸入品も含めて厳しい規
制をサウジ規制局(SASO)が制定しており、当地での製品販売にも影響が出ていると言われて
いる。
さらに住宅の断熱についても本年1月より導入され、新築住宅については一定の断熱性能を保有
しないものについては、電気の送電を認めないなどの強権的な方策も実施されていると言われてい
Ⅴ-14
る。
このようにサウジは各国の支援を得ながらも独自で法制度、管理制度、規制制度の構築をすでに
進めており我が国からの支援が求められる人材ニーズは限定されている。
しかしながら、制度運用については未経験であり、既に MOU を結んだ産業界からは、省エネ方
策が行き詰まり海外に推進方策を求める動きもあると言われている。
これらを踏まえて、我が国が支援すべき人材ニーズとしては、
(1) 政府関係者
① 制度を的確に運用するため、実施状況を的確に把握し状況に応じて制度策定などの
対応を行う能力
② 省エネ意識向上のための啓発活動に関する方策立案に関する能力
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく設備形成・運用改善の実施能力向上
① 特にエネルギー多消費産業およびビル部門におけるエネルギー管理について、エネ
ルギー診断能力
② 効率向上のための方策の検討、実践判断能力
(3)民間関係者:省エネ推進のための技術・機器類の導入・運用能力向上
① 産業団体関係者や企業経営者における省エネの有用性や有効性の理解
② エネルギー管理の必要性および省エネ技術や製品の有用性理解能力
③ 産業・ビル部門に関する最新技術の導入を推進する人材
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
・ 制度運用のための支援および運用に関する能力向上
・ 消費者の省エネ意識向上のための啓発活動の推進支援
・ 産業・ビル部門のエネルギー管理:診断を含む管理者の実務能力向上
Ⅴ-2-6. 中東資源外交重点国
資源国はエネルギー価格の観点からは省エネインセンティブは決して強くない市場状況下であり、
将来の石油や天然ガスの輸出ビジネス等経済の考え方にも違いがあり、省エネに関する政策や法制
度と市場の基盤状況が国毎に大きく違っている。従い、具体的な人材育成ニーズは各国状況によっ
て大きな相違がある。
しかしながら、これらの各国に共通して言える点は、省エネに関する政策や法制度の整備がまだ
余り進捗していない点である。
その中で、サウジアラビアやイランなどは省エネ法の策定を進めており、法制度に関してある程
Ⅴ-15
度理解され政府が省エネ促進を主導して取り組んでいる国である。
特にサウジアラビアは、省エネを推進する機関としてサウジアラビア省エネルギーセンター
(SEEC)を設立し活動を実施してきたが、さらに 2012 年からは省庁横断の組織(SEEP)が中心と
なり各部門の省エネを実施推進している。
この中で、
制度の整備と制度を執行運用する実施機関の機能構築と人材を育成するニーズがある。
また、イランにおいては、ビル分野におけるエネルギー管理研修センターが設置され体系的な研
修が行われており、省エネに資する最新技術や建材などに対する関心が高い。
同じくエジプトでは、省エネ意識の向上のための啓発活動や省エネのための地域センター設立に
対する支援ニーズがある。
従い、中東地域における人材ニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者:
政策・法制度の立案・執行能力向上
① 省エネルギーに関する政策や法制度の構築を行う人材ニーズがある。
② 省エネ意識向上のための啓発活動に関する方策立案
(2)官・民関係者:
エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
① エネルギー多消費産業およびビル部門におけるエネルギー管理について、エネルギー診断
を含む技術指導と実務者の実務能力
(3)民間関係者: 省エネ推進のための基本的な技術・機器類の導入・運用能力向上
① 産業団体関係者と企業経営者の省エネの有用性や有効性が理解できる人材ニーズ
② エネルギー管理および省エネ技術や製品に関し理解できる人材ニーズ
③ ビル部門に関する最新技術の導入推進に関する人材ニーズ
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1
省エネ法の策定と付帯制度の整備
(1)-2
消費者の省エネ意識向上のための啓発活動の推進支援
(2)-1
産業部門のエネルギー管理:診断を含む技術指導と実務能力
(3)-1
ビルのエネルギー管理実務能力
Ⅴ-2-7. トルコ
トルコはすでに省エネルギー法(2007年)を発行している。
日本の省エネルギー法と同様に、一定規模以上の工場、ビルについて毎年のエネルギー使用量の
報告義務を課している。また日本のエネルギー管理者制度と類似のエネルギー管理士の認定制度
がありすでに 6000 名程度が指名されている。
Ⅴ-16
国立省エネルギーセンターを設置し、国内のエネルギー管理者の人材育成に関し、10 年前から
積極的に取り組みを実施している。
また近隣の第 3 国に対し省エネルギーを指導できる人材養成を目的とし省エネルギー研修を行
う ODA 的な支援活動も実施している。
省エネルギーに関し基本的な法制度等に関しては整備されつつある。
更にその制度を十分に運用し、制度を進化させていくレベルにあると考えられる。日本等と比
較するとその運用および省エネルギーを実際に実施する人材層の厚みおよびその質の向上、すな
はち人材確保およびその能力向上が必要と考えられる。
今年度の研修において、日本のビル省エネルギー政策と実行体制に関し情報提供を行った。ト
ルコ側からは、日本と比較して現在のトルコのビルに関する設計基準や申請認可に関する運用手
続に関し、今後さらに改善する必要があるとの意見が有った。
さらなる制度整備とそれ以上に執行運用する実施機関の機能強化の為の人材育成するニーズが
あると考えられる。特に日本に対しその法整備支援に関しても協力を求めている。
ビル分野においては省エネに資する最新技術や建材などに対する技術的関心も高い。
従い、トルコにおける人材ニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者:
政策・法制度の立案・執行能力向上
① ビル省エネルギーに関する基準・規制等構築の支援ニーズがある。
② 政策立案関係者への情報提供による能力向上
(2)民間関係者: 省エネ推進のための基本的な技術・機器類の導入・運用能力向上
① 産業・ビル部門におけるエネルギーマネジメント体制の確立
② ビル部門におけるエネルギー管理について、エスコ企業を中止にエネルギー診断を含む技
術指導による実務能力向上
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)ビル省エネに関する規制・基準等の整備
(2)エネルギー管理:診断を含む技術指導と実務能力
Ⅴ-2-8.ブラジル
ブラジルにおいては、ブラジル沖大西洋の海底に豊富な石油資源が見つかったこともあり、エネル
ギーの自給率は非常に高く、しかも一次エネルギー供給の42%を新再生可能エネルギーが占める資源
大国でもある。これを背景に電力供給の76%を水力が占めている。しかしながら、前述のように干ば
つ等気候変動で水力発電の出力が影響を受け電力不足の危機を経験している。この状況はブラジルの
経済や市民生活にも影響を及ぼしてしており、先に述べたように「節電・ピークカットを最優先の対
Ⅴ-17
策とした省エネ」が重要となっている。
この対応のためには官民が一体で取り組むための枠組みも大変重要となる。個別には、機器の省エ
ネ基準やラ べリング等の規制及び PROCEL (National Electricity Conservation Program) や
CONPET (National Program for the Rationalization of the Use of Oil and Natural Gas
Derivatives)のようなプログラムは用意され実施されているが、省エネを体系的に推進していくため
のエネルギー管理制度や省エネ投資を促進するための支援制度は整っておらず、既存を含めた法制度
の体系化を含めこれらの整備を急ぐ必要がある。
並行して、民間企業においてもしっかりしたエネルギー管理システムを構築し、確実で体系だった
管理活動の実践とこれに基づく効果的な省エネ対策を実施するためのプロジェクトを形成し実施し
ていく必要がある。
上記に応える人材ニーズがブラジルにある。ブラジルおけるニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者:政策・法制度の立案・執行能力向上
① 工場やビルがISO50001に基づきエネルギー管理体系を導入し構築するための施策を策定執
行する人材
② 省エネ等の先進技術を導入する為の開発・実証を含む技術指針や導入・普及の為の支援制度
を整備する人材
③ 地 域 や 工 場 地 帯 等 で 統 合 さ れ た エ ネ ル ギ ー 管 理 シ ス テ ム と DSM 含 む 運 用 の 施
策を策定し執行する人材
(2)官民関係者:企業の技術・資金ニーズを理解して政策の提案協議能力
① 該当政策を評価・分析するために必要な企業のエネルギーデータやプロジェクト情報を収集
し企業ニーズを把握するためのデータベースを整備できる人材
②
上記に基づき政策改善や整備が必要な場合具体案を提言し協議できる人材
(3)民間団体関係者:省エネ推進の為の基本的な技術・機器類の導入・運用能力向上
① エネルギー管理体系を構築し、現場でのエネルギー管理の実務の実践を行い具体的な改善策
を策定できる人材
② 改善策を実現する為の省エネ技術や設備を理解し導入をおこなうためのプロジェクトを形
成出来る人材
V-2-9.その他二国間活動
V-2-9-1.マレーシア
2009 年にグリーン技術政策が発表され、環境・省エネに係る産業を将来の基幹産業とする方針の
下で 2020 年までの期間で達成すべき施策と目標を定めた「国家省エネルギーマスタープラン
Ⅴ-18
(NEEMP)」が策定され、この方針に従い 2011 年末から包括的な省エネ法の草案作りを開始し 2012
年秋に第 1 草案が策定された。しかし、2012 年 11 月以降マレーシア政府の事情で、NEEMP が見
直されよって省エネ法の策定が中断されている状況が継続している。
現在の法制度としては、2008 年 12 月に施行された「電気エネルギーの効率的管理に関する規則」
が執行されている。同規則では、6 ヶ月の電力使用量が 300 万 kWh 以上の事業所を対象に、電気
エネルギー管理者を選任し、エネルギー診断による電力使用量を把握と管理すると共に、改善策を
見出してこれらの改善を実施する。電力使用量などの報告書を定期的に提出することが義務付けら
れている。電気エネルギー管理者の資格と認証の指針は同規則で定められ現在 1500 名以上の電気
エネルギー管理者が認証されている。
しかしながら、
この規則は電気エネルギーの管理に限定され、
熱エネルギーを包含する総合的なエネルギー管理には不十分であり、中断されている包括的な省エ
ネ法の策定が再開される事が待たれる。
NEEMP は前記したマレーシア政府の事情に関係して見直され、国家省エネルギー行動計画
(NEEAP) として策定し直されている。この変化の過程においても省エネを強化する必要性は高ま
っており、機器類の効率基準・ラベリング制度が強制化される等、必要な政策対応は制約条件の下
でも実現されつつある。これは、2013 年に行ったエネルギー・グリーン技術・水省(MEGTW)等の
同国政府高官と経済産業省の対話を通じて、包括的省エネ法の策定が遅れるとしても、エネルギー
管理や機器類の効率基準・ラベリング等の具体的な取組みを優先的に行いたいとの方針は継続され
ていると理解する。
従い、2014 年度に事業目標としていたエネルギー管理やエネルギー診断を実施して省エネを実現
する人材(管理者や技術者)の資質向上は、引き続き優先度の高いテーマと考える。
加えて、省エネ対策を導出し適切で効果的な省エネ設備や技術を導入していくためのプロジェク
トを形成し、実施する人材と、効果が実証されたプロジェクトを普及するための政策や制度を整備
する人材のニーズがある。
従い、マレーシアにおける人材ニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者:政策・法制度の立案・執行能力向上
① 包括的に省エネルギーを推進するための制度整備と電気エネルギーの効率的管理に関する
規則を含む法を執行する人材(主管省と関係省庁の関係者)
② 民間のエネルギー管理やエネルギー診断を実践する管理者や技術者を育成するためのプロ
グラムや施策を策定する人材
③ 実証された省エネに有効な技術や設備の企業への導入・普及を促進するための規則や支援
策を策定する人材
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
① エネルギー管理者及びエネルギー診断技術者を教育訓練する人材
(3)民間団体関係者:省エネ推進の為の基本的な技術・機器類の導入・運用能力向上
Ⅴ-19
① エネルギー管理システムを構築し運用できる人材
② エネルギー管理の実践により体系的な対策の提案と実現のためのプロジェクト
を形成し実施する事が出来る人材
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1
エネルギー管理制度等の制度整備の改善(エネルギー管理者やエネルギー診断技術者
の育成・認証制度を含む。
)
(1)-2 機器の省エネ基準・ラベリング制度の確立、ビルの省エネ基準の策定
(1)-3 効果的な省エネ技術や設備を導入するための規制や支援制度の策定
(2)-1 エネルギー管理者やエネルギー診断技術者の研修プログラムの策定・実施
(3)-1
エネルギー管理システムの構築と運用、及びこれに基づく省エネ対策のプロジェクト
形成と実施
V-2-9-2.タイ
完成度を高めた改正省エネルギー促進法が 2008 年 6 月に施行され一層の省エネの推進が期待さ
れる。
2030 年までの「省エネルギー展開 20 年計画」が打ち出されており、法的規制を適切に強化する
事はこの中に施策として含まれ、法規制を省エネ促進ファンドの活用と合わせ更に有効に運用する
事が求められている。
法制度が整い制度が着実に運用されている一方、規制対象外の中小企業やビル等業務分野の省エ
ネの推進と、またある程度省エネが進んでいる産業部門等の企業でも、一層のエネルギー管理の強
化と同時に、新たなより効果的な省エネ技術や設備導入のニーズがある。
従い、タイにおける人材ニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者: 政策・法制度の立案・執行能力向上
① 有効な省エネ技術や省エネ設備導入に資する判断基準や金融的、技術的支援の施策を適切
に改善・執行する人材。
② 中小企業を含む業務分野のエネルギー管理と省エネ推進能力を高める施策を策定し執行す
る人材。
(3)民間団体関係者:省エネ推進の基本的な技術・機器類の導入・運用能力向上
① 判断基準に従ったエネルギー管理標準の整備と運用実践を含むより効果的なエネルギー管
理システムの構築を通じた省エネ改善を行える人材
② 上記に基づく有効な省エネ技術や省エネ設備の導入のための改善プロジェクトを形成し実
行できる人材(業務部門や中小企業)
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
Ⅴ-20
(1)-1 省エネ促進法の下でのエネルギー管理のための指針や基準、標準の整備
(1)-2 有効な省エネ技術や設備の導入を促進する金融支援策の改善
(3)-1
判断基準を適切に運用し実効的な対策の標準化を含む持続化を実現できるエネルギ
ー管理システムの構築(産業・業務部門)
(3)-2
体系だったエネルギー管理の実践の結果具体的な対策を提案し、対策を実現するため
の効果的な省エネ技術や設備の適用に基づく省エネプロジェクトの形成と実行
V-2-10.国際連携による多国間活動(IPEEC の下でのプログラム参加地域)等
G8 の下で設置された IPEEC が、そのプログラムを国際的に協調して実施している。
日本は EMAK のイニシアチブを取りイタリア政府がイニシアチブを取る WEACT には協力する立
場で参加している。
今年度は、インドで開催された EMAK のワークショップに他事業の要請で参加し、インドにお
ける中小企業の省エネ推進方策の検討、特に廃熱回収技術の導入基盤整備に関する議論を行った。
EMAK においてはエネルギー管理普及推進に資する政策担当者および工場のエネルギー管理実
務者レベルのネットワーク構築と、エネルギー管理システム構築及びエネルギー管理士システムの
運用に基づく省エネ改善の優秀事例を共有する仕組みを作り運用するための人材を育成するニーズ
がある。
以上に基づき、IPEEC の活動に係る人材ニーズを以下に整理した。
(1)政府関係者:政策・法制度の立案・執行能力向上
① 国際協調の下で実施されている取組みを理解し、自国の事情に適合する省エネルギーに関す
る政策や法制度の枠組みの構築や整備を行う人材。
(2)官・民関係者:エネルギー管理実践とこれに基づく省エネ改善実施能力向上
① 省エネ政策を理解し政策を実現するプログラムを具体化し実行できる人材
② エネルギー管理の有効性を理解し、エネルギー管理システムを構築し実践できる人材
以上に基づき次に資する人材の育成が提案される。
(1)-1
国際的取り組みと協調した政策や制度の改善や構築と国際的な場での政策情報の交
換
(2)-1
政 策 あ る い は 法 制 度 で 規 定 さ れ た エ ネ ル ギ ー 管 理 や ISO50001 Energy
Management System の導入を含め合理的で有効なエネルギー管理体系を構築し、こ
の運用に基づく省エネの推進
Ⅴ-21
Ⅵ.
結び
本年度事業は、ASEAN を中核とするアジア諸国、インド、中東等資源外交重点国などにつ
いて当初計画された事業を着実に実施すべく取り組み、一部は強化・追加した活動を含めて専
門家派遣
71 人回、受入研修生数
10 コース 140 人を実施した。
しかしながら、従来主要
対象国であったタイ、マレーシアにおいてはエネルギー政策の変更等に影響され、今年度計画
した活動を断念せざるを得ないこととなった。
事業実施にあたっては新たな取り組みを推進した結果、インドでは BEE との協力でヒート
ポンプ技術普及に関するセミナーを現地で開催した。またインドネシアではエネルギー多消費
産業等の ESCO 導入を含む施策を検討する核となる人材が育成され、鉄鋼産業、紙パ産業及び
セメント産業に加えて繊維産業や食品産業の 5 業種において、具体的な省エネ設備導入のため
のプロジェクトの形成に向けた取り組みが始まった。中国においては、年末に「日中省エネル
ギー・環境総合フォーラム」が北京で開催され、日中間の省エネ協力事業が再開され、専門家
派遣による技術セミナーを開催し、空気汚染対策に有効な日本の省エネ技術情報を共有した。
ブラジルについては省エネ協力のテーマが確定し、より実効性のある協力が開始された。更に、
中東・北アフリカ地域においては、昨年参加のイラン、エジプト、カタールに加えてバーレー
ン、イラク、モロッコ、チュニジアを招聘しビル分野の省エネ推進に関する広範囲の協力が実
施できた。又、新たにトルコに対してもビルの省エネをテーマに受け入れ研修を実施し、制度
構築や省エネ技術等の面での具体的ニーズを把握することが出来た。
一方、ASEAN 地域においては、これまでに築いた成果の持続的な活用を含めて、加盟国の
現実的なニーズに合致した協力スキーム (AJEEP) の活動が 3 年目となり、民間団体・企業と
の連携による事業内容のレベルアップ化や CLM 各国の省エネ法・制度構築に向けた取り組み
が進む等、順調に実施することが出来た。
アジア省エネルギー協力センターの活動も円滑に運営でき、この活動を通じて、上記の専門
家派遣や研修のカウンターパートを併せてより大きく機能的な組織間のネットワークを確立・
拡充し、活動結果のフォローアップやニーズ調査に活用している。
上記の成果も含め、アジア諸国を中心に省エネルギーの政策や法制度の整備は徐々に進展し
つつあり、育成した人材がそれぞれの分野や立場で政策・法制度構築やエネルギー管理システ
ムの構築や普及を通じた省エネルギー推進基盤を整備し、多くの国や地域で省エネに貢献して
いる点は特筆でき、本事業の貢献は大きいと言えよう。又、構築・強化されたカウンターパー
ト等とのネットワークを活用し、フォローアップを実施・継続しており、各国や各地域におけ
る将来の人材育成ニーズも確認した。
事業は、一般財団法人省エネルギーセンターの国際協力本部のメンバーを主体に、関係部署
Ⅵ-1
の支援メンバーを含め約 60 名を投入した。即ち、省エネルギーセンターの有する人材と蓄積
した経験や情報およびノウハウを十分に活用して効果的に実施する事が出来た。
最後に本紙面を借りて、本事業の実施に際し並々ならぬ御指導と御協力を頂いた経済産業省
資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部
政策課
国際室の関係者を始めとする経
済産業省の関係者の方々また在外日本大使館始め海外の日本政府や関係機関の海外事務所等の
関係者の方々に深く感謝申し上げます。
また同時に、事業の実施に多大な御協力を頂きました海外のカウンターパート機関や協力機関
の関係者の皆様方、日本国内の関係機関及び関係団体の皆様方にも感謝申し上げます。
Ⅵ-2
Ⅵ-3
添 付 資 料
添付資料
各国省エネルギー取組実施状況一覧表
日本
面積(千 k ㎡)
経済
規模
(‘12)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価格※2012 年
度より変更)
GDP(U$)/人
一次エネ
ルギー
(‘12)
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
確認可採埋蔵量の世
界シェア(%)と R/P 比
(年)
<2012 年末>
378
128
最終
エネル
ギー
(‘12)
4,694
36,672
452
96
3.54
6
石油 46, NG23, 石炭
24, 原子力 1, 水力 1
―
石油
NG
―
石炭
世界シェア:
<0.05%, R/P
比:288 年
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E
消費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・
農業/他)
産業部門の業種別 E
消費比率
309
66
79
26
27/24/37/13
鉄鋼:25 化学:19,
非鉄 2,セメント:10 機
械:10 食品・タバコ:6
紙パ:9、建設 5、
他:14
法律/規則:
省エネルギー関連の政府計画・法 エネルギーの使用の合理化に関する法律(1979 施行、83、93、
省 エ ネ 整備
98、2002、 05、08、13 年改正)
ルギー
関 連 *出典:EE&C goals of EAS
省エネ目標:
状況 countries submitted to EMM8
2030 年ま で にエ ネ ル キ ゙ー原 単 位 (TPES/GDP)を 30%改 善
(2014 Edition)
(2003 年比)*
EMM:Energy Ministry Meeting
エネルギー管理者制度
有り(省エネルギー法で規定)
。
管理者資格認定:試験制度あり。
機器のエネルギー効率基準・ラベ トップランナープログラム(強制:99 年開始。29 品目指定。近年、
リング制度
直接エネルギーを消費しない機器(例:断熱材)にも拡大。
)
省エネラベリングプログラム(任意:00 年開始)
エネルギー効率格付(5 段階)ラベリング(任意:06 年開始)
省エネルギーに関連する財政的 省エネ機器や設備の導入に関して、グリーン投資減税、低金利
支援
融資、補助金などの財政的支援措置がある。
エネルギー価格及び政策(※)
横浜:
○電力(産業用):15 -16 \/kWh
○電力(一般用):20- 30¥/kWh
○レギュラーガソリン:154¥/L
省エネルギー関連管轄の政府機 経済産業省(METI)資源エネルギー庁(ANRE)
関
省エネルギー関連推進機関
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
省エネルギーセンター(ECCJ)
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
1
タイ
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005
価格※2012 年度より
変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
確認可採埋蔵量の世
界シェア(%)と R/P 比
(年)
<2012 年末>
513【137%】
67【53%】
224【5%】
最終エネ
ルギー
(‘12)
3,343【9.2%】
127【28%】
567【591%】
1.89【53%】
60【1000%】
石油 39, NG28,石炭
14,RE19
石油
世界シェ
ア:<0.05%, R/P
比:2.5 年
NG
世界シェア:0.2%,
R/P 比:6.8 年
石炭
世界シェア:0.1%,
R/P 比:69 年
E 消費量(Mtoe)
92【30%】
E 消費量(toe)/
411【622%】
GDP(M$)
電 力 消 費 量
14【18%】
(Mtoe)
電力化率%
15【58%】
(電力消費/最終
E消費)
E 消費比率
32/24/24/21
(産業/運輸/民
生・農業/他)
産業部門の業種別 鉄鋼:5、化学:6、
E 消費比率
セメント:30、機械:6、
食品・タバコ:24、
紙パルプ 4、繊
維:3、他:21
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の政 国家戦略/方針:
府計画・法整備
・国家エネルギー政策会議(NEPC)の省エネルギー戦略計画(02-11 年)。
省エネル
・エネルギー効率改善のための 20 年計画(11-30 年)
・第 11 次国家経済社会開発 5 ヵ年計画
ギー
(12
– 16 年)。
関連状
・タイのエネルギー戦略:安定供給・代替エネルギー、エネルギー効率・適正で安定し
況
たエネルギー価格、環境保護を主軸として推進。
*出典:EE&C goals
of EAS countries
submitted to EMM8
(2014 Edition)
法律/規則:
・省エネルギー促進法(92 年 4 月公布・施行)
・改正省エネルギー法(07 年 12 月公布、08 年 6 月施行)
・その他業務/産業部門に対する政令等
省エネ目標:
・2030 年までにエネルギー原単位(TPES/GDP)を 2010 年比 25%改善*
エネルギー管理者制度 有り(改正省エネルギー法で規定)
。
管理者資格認定:試験制度あり。
機器のエネルギー効率 MEPS 強制プログラム/HEPS 任意プログラム
基準・ラベリング制度 エネルギー効率格付(5 段階)ラベリング・プログラム(任意:94 年開始)
、MEPS
強制ラベルあり。
エネルギーラベルを担当する EGAT のウェブサイトにて最高 5 評価の製品モデルの情
報を公開している。
省エネルギーに関連す 政府の省エネルギー促進基金(ENCON 基金)による助成制度(補助金、利
る財政的支援
子補給)があり、リボリビング基金プログラム、ESCO 基金プログラム等に活用
2
エネルギー価格及び政 バンコク:
○電力(産業用)
:6-15 ¥/kWh
策 (※)
○電力(一般用)
:8-13 ¥/kWh
○レギュラーガソリン:120 ¥/L
省エネルギー関連管轄 エネルギー省(Ministry of Energy):
の政府機関
エネルギー省代替エネルギー開発効率局(DEDE):エネルギー資源の供給・開発・
管理に関する政策・計画を策定・執行。
省エネルギー関連推進 タイ国省エネルギーセンター(ECCT):
機関
85 年に DEDP とタイ工業連盟の協力で設立された独立採算法人で、
ENCON 基金活用事業を中心に省エネ事業を推進。
日本からの省エネル METI/ECCJ:専門家派遣、受入研修
ギー関連協力
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
産業横断型省エネマニュアル(TEM ハンドブック)等の作成と工
場への適用支援(03-10 年)
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ 01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12 年-)
JICA:受入研修・専門家派遣
・JICA/DEDE 間プロ技協力事業としてエネルギー管理士制度の確立・徹底
の為のエネルギー責任者(PRE)の人材の数及び能力の向上を主目的
とする「エネルギー管理者訓練センタープロジェクト」を実施して研修&試験制
度のフレーム構築 (02.4- 05.4)
JETRO-JEXSA/SME 支援、
NEDO モデル事業(6 件)
他国からの主要な ASEAN、EU、APEC など
省エネルギー関連協力
省エネ普及推進支援 2030 年に向けて引き続きエネ需要が増加の見通し。
の為の重要なポイ 既にさまざまな施策が導入されているが、いまもタイ政府自らが省エネ推進
ント
上の課題として、予算・インセンティブ不足、政府の主導力の改善、主要ターゲ
ット(産業/運輸/中小企業/住宅用ビルなど)の参加強化などを挙げている(タ
イカントリーレポートより)
。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
3
マレイシア
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価格※2012
年度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/
人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
確認可採埋蔵量の
世界シェア(%)と
R/P 比(年)
<2012 年末>
330【87%】
29【23%】
198【4%】
最終
エ ネ ル
ギー
(‘12)
6,828【19%】
81【18%】
409【426%】
2.78【79%】
109【1817%】
石油 35,NG40,石炭 19,水力
1, RE4
石油
世界シェア:0.2%,
R/P 比:15.3 年
NG
世界シェア:0.6%,
R/P 比:15.8 年
石炭
E 消費量(Mtoe)
E 消 費 量 ( toe ) /
GDP(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E
消費)
E 消費比率
(産業/運輸/民
生・農業/他)
産業部門の業種別 E
消費比率
49【16%】
247【374%】
10【13%】
20【77%】
30/30/18/
22
その他 100(産
業 別エネルギー統
計データ無し)
。
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の政 国家戦略/方針:第 10 次マレイシア計画(11-15 年)
府計画・法整備
法律/規則:
省エネル
・電気エネルギー効率規則(08 年 12 月施行)
ギー
・省エネ法(包括的な法律)策定中
関連状
主な省エネ対策(国家エネルギー効率アクションプラン):
況
・産業:省エネ診断、ベストプラクティスのガイドライン、金融インセンティブ、省エネ
意識向上のための施策
*出典:EE&C goals ・ビル:ビルのエネ効率に関する強制コード(MS1525)、エネルギー性能契約
of EAS countries
(EPC)、金融インセンティブ、省エネ意識向上のための施策
submitted to EMM8
・機器:ラベリング、MEPS 基準、金融インセンティブ、省エネ意識向上のた
(2014 Edition)
めの施策
省エネ目標:2020 年までに最終 E 消費量を BAU 比 8.6%削減*
エネルギー管理者制度 ・2008 年の電気の効率的な管理規則により登録エネ管理者の任命が
義務化されている。
エネルギー委員会が発行する電気技術者等の能力認定書があり、電気
エネルギー管理者はこの認定書を有することが条件に指定されている
機器のエネルギー効率 MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(5 段階)ラベリングプログラム(13
基準・ラベリング制度 年電気規則により義務化)(任意:05 年開始)
省エネルギーに関連す 工業開発庁(MIDA)の投資優遇措置(パイオニア・ステータス、投資税額
る財政的支援
控除、再投資控除)制度(04)。エネルギー委員会の省エネ特定機器・システ
ム導入に関する優遇税制度。グリーン技術融資支援スキーム(10 年)
。
エネルギー価格及び政 クアラルンプール:
策 (※)
○電力(産業用):10¥/kWh
○電力(一般用):7 - 18 ¥/ kWh
○レギュラーガソリン:67¥/L
省エネルギー関連管轄 首相府経済計画局(EPU):エネルギー政策の最高意思決定機関。
の政府機関
エネルギー委員会(EC):エネルギー・グリーン技術・水省(MEGTW)傘下の
電気と低圧ガスに関する政府立案を担当。
4
省エネルギー関連推進 Green Tech Malaysia:
機関
MEGTW 傘下の旧 PTM(マレイシア・エネルギーセンター)を組織改正して 10
年に設立、国家グリーン技術政策に基づくプロジェクト実施機関。
日 本 か ら の 省 エ ネ ル METI/ECCJ:専門家派遣、受入研修
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
ギー関連協力
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ
01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12 年-)
JICA:受入研修・専門家派遣
JETRO:JEXSA 省エネガイドライン策定支援(06-08)
NEDO モデル事業(2 件)
他国からの主要な UN/GEF による支援の産業省エネルギー改善プロジェクト(MIEEIP)実
省エネ関連協力
施(00-08)
省エネ普及推進支援 主力産業(電気電子機器、化学工業等)は多国籍企業が多く、第
の為の重要なポイ 三者主導の省エネ推進は困難。むしろ地場産業(パーム油、ゴム、木製
ント
品、繊維&食品産業等)の中小企業の省エネに重点を置くことで競
争力強化及び国益に貢献。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
5
フィリピン
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価格※2012
年度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/
人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
300【79%】
97【76%】
145【3%】
最
終エ
ネ ル
ギー
(‘12
)
1,495【4.1%】
43【10%】
297【309%】
0.44【13%】
57【950%】
石油 32, NG8,石炭 21,
水力 2,地熱 21, RE17
【】内数字は対日本比
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E消
費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・農
業/他)
産業部門の業種別 E 消
費比率
24【8%】
166【252%】
5【6%】
21【81%】
27/35/38/1
鉄鋼:9、化学:4、セ
メント 28、機械:8、食
品・タバコ:36、紙パ
ルプ 3, 建設 2、繊
維:2、他:3
省エネルギー関連の 国家戦略/方針:
政府計画・法整備 ・フィリピン・エネルギー計画 PEP2006 Update(07-14 年)の中のエネルギー効率化
省エネル
プログラムにより主要部門に対する省エネ政策を展開
・政府エネルギー管理プログラム(08 年 5 月発布)
ギー
・04 年の国家エネ効率・省エネプログラム(NEECP)に基づきフィリピンでは「省エネ
関 連
を生活の一部」とする方針を掲げる(主な目標は石油製品と電気価格高
状況
騰の影響の軽減、生産性を下げずに燃料と電気節約を推進、環境保護の
推進)
法律/規則:80 年代に省エネ法が制定されたが現在失効
省エネ目標:
・省エネロードマップ(2012
年-2030 年)に基づく省エネ目標:対象部門で最終エネル
*出典:EE&C
ギー消費量を
10%削減)*
goals of EAS
今後の計画(14 年 6 月時点):
countries
・省エネ法の成立
submitted to
・製造・ビル部門のエネルギーベンチマーク策定
EMM8 (2014
・大規模な船の省エネとデータモニタリング
Edition)
・基準ラベリングの拡大(扇風機、大型冷凍冷蔵庫)、軽自動車・軽貨物車
燃費)
・エネ管理者・省エネオフィサー、診断士の認証制度
・認定プログラム(ESCO、基準ラベルのための試験ラボ)
・普及啓発の強化(グリーンビル評価スキーム、指定省エネプロジェクトに対する金融
支援)
エネルギー管理者制 無し。
度
機器のエネルギー効 MEPS プログラムおよびエネルギー効率ラベリングプログラム(段階ラベル計画中)
(強
率基準・ラベリング 制:92 年開始)
。最高を 5★とする多段階評価ラベルのデザインおよび評価基
制度
準が決定し、現在は内部の正式承認待ちの状況。
省エネルギーに関連 ・政府通達に基づく ESCO 認証制度あり
する財政的支援
・USAID 出資による DOE の省エネ設備機器の投資促進・資金融資制度
(TTEM-DLF)。
オムニバス投資法に基づく投資優先計画(IPP)に於けるエネルギー効率プロジェク
ト。
エネルギー規制委員会(ERC)の DSM フレームワークによる省エネプログラム。
6
エネルギー価格及び
政策(※)
マニラ:
○電力(産業用)
:20¥/kWh
○電力(一般用)
:30¥/kWh
○レギュラーガソリン:124 ¥/L
省エネルギー関連管 エネルギー省(DOE):総合的エネルギー政策を策定・施行。
轄の政府機関
エネルギー規制委員会(ERC)
:省エネ政策に関する需要サイドの消費効率向上計
画(DSM プログラム)の基準設定とプログラムの管轄。
省エネルギー関連推 フィリピン・エネルギー効率専門家協会(ENPAP):
進機関
エネルギー診断、エネルギー管理士研修等を実施
日本からの省エネル METI/ECCJ:専門家派遣、受入研修
ギー関連協力
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ 01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12 年-)
他 国 か ら の 主 要 米国:国務省国際開発庁(USAID)による省エネ設備投資のための融資制
な省エネルギー関連 度導入(TTEM-DLF)等
協力
国連:UNIDO/GEF の支援の「産業の省エネ(エネルギー管理基準の導入等)
」
省 エ ネ 普 及 推 進 支 ・2030 年に向けて引き続きエネ需要増加の見込み。2016 年までのエネルギー
援 の 為 の 重 要 な 政策では、安定供給、適正なエネルギー価格の設定、持続可能性を配慮した
ポイント
政策を主眼とするものとした。
・既にさまざまな施策が導入されているが、いまも省エネ推進上の課題と
して、省エネセンターのような機関の設置や人材育成の必要性、一層の具体的
な支援の導入、産業部門については先進国資本が余り導入されていない
食品工業等に対する支援が必要であるなどの指摘が挙げられている。
・国家目標で、2030 年までに E 消費量を 10%削減するとしているが具
体的な支援措置が必要。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@\104/$)
7
インドネシア
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価 格 ※ 2012
年度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/
人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
確認可採埋蔵量の
世界シェア(%)と R/P
比(年)
<2012 年末>
1,919【508%】
247【193%】
427【9%】
最 終
エ ネ ル
ギー
(‘12)
1,729【4.8%】
214【47%】
501【522%】
0.87【25%】
206【3433%】
石油 36, NG16, 石炭
14, 地熱 8, RE25
石
世界シェア:0.2%,
油
R/P 比:11.6 年
N
世界シェア:1.6%,
G
R/P 比:41.6 年
石
世界シェア:3.1%,
R/P 比:67 年
炭
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電 力消費/ 最終E
消費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・
農業/他)
産業部門の業種別 E
消費比率
160【52%】
375【568%】
15【19%】
9【35%】
23/28/42/7
鉄 鋼 :3, 化 学 :9, セ メ ン
ト:11,鉱業:3,食品・タバ
コ:2, 紙パルプ:1, 建設
1, 繊維:3, 他:67
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の政府 国家戦略/方針:
計画・法整備
・ 省 エ ネ 政 策 は 2006 年 の 国 家 エ ネ ル キ ゙ ー 政 策 に 関 す る 大 統 領 規 則
省エネル
(No.5/2006)と現在草案の国家エネルギー政策に基づく。
ギー
・エネルギー政策:国内資源(石油・ガス)生産増、新・再生エネルギー開発
関連状
の推進、省エネ・エネ効率の促進を主軸として推進。
況
・主な省エネ対策(2006 年のエネルギー管理に関するブループリントのなかで
掲示)
:省エネ政策・規則の策定、インセンティブ・ディスインセンティブ、省エネの認
知度向上、省エネパートナーシッププログラム、エネルギー管理者・診断士、基準ラ
ベリング、国際協力、パイロットプロジェクト、情報クリアリングハウス開発など。
法律/規則:
・07 年 8 月にエネルギー法制定し、省エネ条項に基づき省エネ規則の MEMR
省令(09 年 11月発効)
。
・11 年:省エネ・節水に関する大統領勧告
・13 年:省エネ・節水に関する規則
省エネ目標:
・国家省エネマスタープランに基づく省エネ目標:エネルギー原単位(TPES/GDP)
を毎年 1%改善(2020 年) *
*出典:EE&C goals ・部門別のエネルギー節減ポテンシャルを 2011 年の国家マスタープランで規定:産
of EAS countries
業:10-30%、業務用ビル:10-30%、運輸:15-35%、家庭部門:15-30%。
submitted to EMM8
・最終エネ消費を 17%削減(2025 年まで)
(2014 )
・CO 2 排出量を 26%削減 (2020 年迄)
エネルギー管理者制度
有り (省エネルギー規則で規定)
エネ管理士・エネ診断士資格(MEMR 省令 No.13 で規定)。
機器のエネルギー効率基 強制エネルギー効率格付(4 段階)ラベリングプログラムが CLF に対して施行
準・ラベリング制度
中(任意:08 年開始)
。現在は、CFL、エアコン、冷蔵庫に対する強制
MEPS 基準、およびエアコン、冷蔵庫に対するエネルギー効率格付け(4 段
階)が策定中であり、間もなく施行される予定。
省エネルギーに関連する 07 年制定のエネルギー法で、省エネ実施に対するインセンティブ&ディスインセンティブ
財政的支援
規定がある。但し、現実的には罰則のみ規定したが支援の具体策は
整備されていない。
8
エネルギー価格及び政策 ジャカルタ:
○電力(産業用)
:10¥/kWh(政府統制)
(※)
省エネルギー関連管轄の
政府機関
省エネルギー関連推進機
関
日本からの省エネルギー
関連協力
他国からの主要な省エ
ネルギー関連協力
省 エ ネ 普及 推進 支援 の
為の重要なポイント
○電力(一般用)
:8¥/kWh(政府統制)
○レギュラーガソリン:55-94¥/L(政府統制)
○エネルギー鉱物資源省(MEMR):
エネルギーの供給側管理と法制化機能。
○工業省(MOI)
:産業部門の以下の協力
エネルギーの需要側管理と CO2 排出量削減管理、及び ESCO 導入促進
を担当。
○国家エネルギー審議会:エネルギー法に基づく大統領を議長とする国家エネ
ルギー政策に関する最高機関。
○EMI (Energy Management Indonesia):政府省エネルギー・プログラム
の実施公営機関として 07 年に設立。
○HAKE: エネ管理士・診断士の資格認証を行う機関
○METI/ECCJ:専門家派遣、受入研修
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ 01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12 年-)
○JETRO-JEXSA/東ジャワ州省エネ推進
○NEDO モデル事業(6 件)
○ドイツ・GTZ が環境省に対してキャパシティビル活動を実施中。
○デンマーク DANCED の Clearing House 整備協力(08 年-)
○その他、国連、韓国、ICA など
・インドネシアの一次エネ供給は伝統的バイオマスを除くと化石燃料が最大。経
済成長・人口増加を受けて今後も増加継続の見通し。現状化石燃料
の純輸入国となっており化石燃料への依存(特に石油)減が大きな
課題。
・インドネシアでも既にさまざまな施策が整備されつつあるが、省エネ推進
上の課題として、省エネ意識/知識がまだ弱く不足、省エネ投資の価格が
高い上にさ、金融支援制度が整備されておらず投資環境が整ってい
ない。加えて、省エネ事業に対するインセンティブ不足など重要な課題が残
る。このため、政府関連機関の連携強化、ESCO 導入促進のための
枠組み構築の不足、政府の省エネ機器調達政策等を含む対策の必要性
などを挙げている(インドネシアカントリーレポートより)
。
・省エネ普及上の障害とされているエネルギー補助金は新政権のもと大幅
な削減が進みつつある。
・特に産業部門のエネルギー価格の上昇幅と速度が大きく、企業経営へ
の影響も大きくなっており、エネルギー多消費産業では待ったなしの省
エネが必要になっている工場も増えている。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
9
ベトナム
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価格※2012 年
度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
確認可採埋蔵量の世
界シェア(%)と R/P 比
(年)
<2012 年末>
331【88%】
89【70%】
88【1.9%】
最終エネ
ルギー
(‘12)
989【2.7%】
65【14%】
739【770%】
0.73【21%】
107【1783%】
石油 32,NG13,石炭
26,
水力 7,RE23
石
世界シェア:0.3%,
油
R/P 比 34.5 年
N
世界シェア:0.3%,
G
R/P 比:63.3 年
石
世界シェ
炭
ア:<0.05%, R/P
比:4 年
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E消
費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・
農業/他)
産業部門の業種別 E 消
費比率
54【18%】
614【930%】
9【11%】
17【65%】
38/21/36/5
鉄鋼2、化学3、
他 95
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の 国家戦略・方針:
政府計画・法整備 ・MOSTE 策定の省エネマスタープラン(00)(オランダの支援に基づく)
省エネ
・06 年 4 月に国家省エネプログラム(VEEP)(06 年-15 年)公布
エネルギー政策:適切で効率的な国内資源の探鉱により資源の多様化を目指
ルギー
す、輸出入を適正に実行、既存のプロジェクトを改善更新するとともに新規プ
関連
ロジェクトも実行、環境と資源保護の観点に配慮しつつエネルギー開発を目指す、
状況
競争力のあるエネルギー市場を醸成し、国内のエネルギー部門への投資を促進す
る、特に内地の農村地域のエネルギープログラムの改善とエネルギー需要に対する再
生エネルギーの活用、包括的でありかつ効率的な方法で国際支援を取り入れな
がら国内電力を推進するとともにエネルギーセクターを育成開発する。
法律/規則:
03 年 9 月に「政府省エネ議定書(Decree)」制定
04 年 7 月に省エネ・ガイドライン公布(工業省)。
05 年 7 月に省エネを含む「電力法」制定。
10 年 6 月に「省エネ法」制定(11 年 1 月発効)
。
省エネ目標:
*出典:EE&C
・2015 年までに最終 E 消費を BAU 比 5-8%削減*
goals of EAS
・エネ多消費産業(鉄鋼業、セメント、繊維)のエネ原単位削減を 2011 年対
countries
比、2015 年で 10%以上とする(2012 年 10 月施行、首相令(Decision)
submitted to
EMM7 (2013 )
エネルギー管理者制 有り(省エネルギー法で規定)
。
度
管理者資格認定:経歴で認定。
エネルギー診断士も管理士同様に規定している。
機器のエネルギー効率 MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(5 段階)ラベリングプログラム(強制に
基準・ラベリング制度 移行済み)
。
省エネルギーに関連 「政府議定書(Decree)」には省エネ促進助成措置がある(税優遇、輸入税減
する財政的支援
免、支払い猶予付ローン、国営企業の報奨制度)。
10 年制定の省エネ法で、省エネ推進プロジェクトに対する国家財政支援を規定。
10
エネルギー価格及び ハノイ:
○電力(産業用)
:4-18 ¥/kWh(政府統制)
政策(※)
○電力(一般用)
:5-13¥/kWh(政府統制)
○レギュラーガソリン:120¥/L(政府統制)
省エネルギー関連管 ・商工省(MOIT):‘06 年 4 月に科学技術(STD)局内にエネルギー効率・省
轄の政府機関
エネ室(EE&CO)設置し、法律に基づく省エネ活動の管理・育成を担当。
13/03 MOIT 内にエネンルギー総経局を設置、その下部組織の科学技術 EE 部
が EC 担当
・科学技術省(MOST):省エネ機器の基準策定。
省エネルギー関連推 地域各省の省エネ推進担当部署は 43 あり、省エネセンターは、ホーチミン、ハノイなど 14
進機関
ヵ所がある。JICA 支援により、ホーチミンに省エネ研修センターを設立。2015 年 6
月開所式予定。
日 本 か ら の 省 エ ネ METI/ECCJ:専門家派遣(含、長期専門家)、受入研修
関連協力
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ 01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12 年-)
JETRO/ESCAP/AOTS セミナー、JICA 研修・専門家派遣、JICA 省エネ MP 調
査(08-09)
JICA/MOIT 間 で 「 エ ネ ル ギ ー 管 理研 修 セ ン ター 設立 事業 /EMTC PJ」 開 始
(ECCJ/2013/7~2015/12)EMTC は HCMC に設置
NEDO モデル事業(2 件)
他 国 か ら の 省 エ ネ デンマーク DANIDA:EM&EA 研修テキスト作成支援(09 年~)
関連協力
オーストリア:ラベリング制度支援等検討中(12 年~)
省 エ ネ 普 及 推 進 支 ・ガソリンなど石油製品の多くを輸入に依存しており輸入石油の削減はエネルギ
援 の 為 の 重 要 な ー補助金による財政圧迫の軽減化の観点からも重要。
ポイント
・民間の省エネ意識はまだまだ低いが、ベトナムでも既にさまざまな施策が導
入されており、特に、2013 年には TV で省エネ広報やアワードを実施し改善に
取り組んでいるいるが、いまも政府自らが、省エネ推進上の課題として、省
エネセンターの人材育成、エネ管理士の訓練、省エネ法の執行面改善、省エネセンターのネ
ットワーク拡大、一層の省エネ広報、産業用ベンチマーク開発、企業省エネ投資に対する
支援継続などを挙げている(ベトナムカントリーレポートより)
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
11
中国
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005
価格※2012 年度より
変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
9,597【2,539%】
1,351【1,056%】
4,522【96%】
3,347【9.2%】
2,894【640%】
640【667%】
2.14【61%】
87【1450%】
石油 16 NG4, 石炭 68, 水
力 3, 原子 1, RE8
確認可採埋蔵量の世界 石
世界シェア:1.1%,
R/P 比:11.9 年
シェア(%)と R/P 比(年) 油
<2012 年末>
N
世界シェア:1.8%,
G
R/P 比:28.0 年
石
世界シェア:12.8%,
炭
R/P 比:31 年
最終エネ
ルギー
(‘12)
E 消 費 量
1,702【551%】
(Mtoe)
E 消費量(toe)
376【570%】
/GDP(M$)
電 力 消 費 量
355【449%】
(Mtoe)
電力化率%
21【81%】
(電力消費/
最終E消費)
E 消費比率
48/14/28/11
(産業/運輸
/民生・農業/
他)
産 業 部 門 の 業 鉄鋼:28、化学:15、
種別 E 消費比 非鉄:6、セメント:20:、
率
機械:6、食品・タバ
コ:4、紙パ:3, 繊維
4, 他:8
【】内数字は対日本比
※確認可採埋蔵量の世界シェア(%)と R/P 比(年)はデータ無し
国家戦略/方針:・第 12 次 5 ヵ年計画(11-15 年)
法律/規則:・省エネ法(98 年 1 月施行)、改正省エネ法(08 年 4 月施行)
。
省エ
省エネ目標:・エネルギー原単位(TPES/GDP)19.1%改善(06-10 実績)
・エネルギー原単位(TPES/GDP)16%改善目標*
ネ ル *出典:EE&C goals of
(第 12 次 5 ヵ年計画(11-15 年)目標)
ギー EAS countries
省エネルギー関連の政府
計画・法整備
関
連
状
況
submitted to EMM8
(2014 )
エネルギー管理者制度
有り(改正省エネルギー法で規定)
。
管理者資格認定:地方レベルで実施中。
機器のエネルギー効率基 MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(5 段階および 3 段階)ラベリング
準・ラベリング制度
プログラム(強制:’05 年開始)
省エネルギーに関連する 第 12 次 5 ヶ年規画の省エネ目標達成のための財政支援実施。
財政的支援
省エネ家電機器の普及促進の優遇制度の実施(07 年)
エネルギー価格及び政策 北京:
○電力(産業用)
:14 ¥/kWh(政府統制)
(※)
○電力(一般用)
:8 ¥/kWh(政府統制)
○レギュラーガソリン:134¥/L(政府統制)
省エネルギー関連管轄の 国家発展改革委員会(NDRC):03.3 の行政組織改革で設立。
政府機関
国家エネルギー局:08 年 8 月の政府機構改革で設立。
国家エネルギー委員会:10 年 1 月に国家エネルギー局の組織下に設立。国家
最高レベルのエネルギー担当機関。
省エネルギー関連推進機 国家省エネルギーセンター(NECC)
:08 年 10 月設立の NDRC 直属の省エネ事
関
業推進機関。
地方政府(省、市)レベルの省エネル関連機関(省エネセンター、省エネ監察センター、
省エネ監測センター、省エネ服務センター)が数多く存在。
日本からの省エネルギー METI/ECCJ:専門家派遣、受入研修
関連協力
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
JICA、JETRO、ESCAP、AOTS 等の支援
NEDO モデル事業(19 件)
12
他国からの主要な省エ 世銀/GEF 支援の省エネ ESCO 推進プロジェクト(98-06 年、03-09 年)
。
ネルギー関連協力
省エネ普及推進支援の 中国の省エネ化達成方針(実態ベース)
:
為の重要なポイント
・発電を含む産業部門の非効率工場の閉鎖またはスクラップ&ビルド、及
び産業構造改革(重工業→軽工業・サービス産業)
・エネルギー多消費産業・大規模千事業所の省エネ化投資
省エネ普及推進の為の重点課題:
・国有企業を主体とする旧式非効率工場は淘汰していく政府方針。但
し、失業問題が大きな障壁。
・エネルギー価格への補助金の廃止、政府の省エネ奨励資金システムを確立。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
13
インド
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価格※2012 年
度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
確認可採埋蔵量の
世界シェア(%)と R/P
比(年)
<2012 年末>
省エネルギー関連の政
府計画・法整備
省エ
ネ ル
ギー
関
連
状
エネルギー管理者制度
況
機器のエネルギー効率
基準・ラベリング制度
省エネルギーに関連す
る財政的支援
エネルギー価格及び政
策 (※)
省エネルギー関連管轄
の政府機関
省エネルギー関連推進
機関
3,288【870%】
1,237【966%】
1,389【30%】
最終エネ
ルギー
(‘12)
1,123【3.1%】
788【174%】
567【591%】
0.64【18%】
69【1150%】
石油 23, NG6, 石炭
45, 水力 1, 原子 1,
RE24
石
世界シェア:0.3%,
油
R/P 比:17.5 年
NG
世界シェア:0.7%,
R/P 比:40.2 年
石
世界シェア:6.8%,
炭
R/P 比:100 年
E 消費量(Mtoe)
512【166%】
E 消費量(toe)/
369【559%】
GDP(M$)
電力消費量(Mtoe)
75【95%】
電力化率%
15【58%】
(電力消費/最終E
消費)
E 消費比率
33/14/44/9
(産業/運輸/民
生・農業/他)
産業部門の業種別 E 鉄鋼:22、化学:4、
セメント:14、繊維:1、
消費比率
鉱山:1、紙パ 1、
他:57
【】内数字は対日本比
国家戦略/方針:
・第 12 次 5 ヵ年計画(13-17 年)
・国家実行計画(NMEEE)
:
「気候変動に関する国家行動計画」
:“エネルギ
ー効率改善の為の国家事業として開始(09 年 8 月)
。その一環として PAT
制度開始(12 年 3 月)。
法律/規則:・省エネ法 2001(02 年 3 月施行)
・改正省エネ法(10 年 8 月施行)。
省エネ目標:エネルギー効率を 20%向上(18.3 迄) (第 12 次 5 ヵ年計画)
有り(省エネルギー法で規定)
。
管理士・診断士資格認定:試験制度あり。
MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(5 段階および 3 段階)ラベリングプ
ログラム(任意:’06 年開始、一部品目は強制:’10 年開始)
省エネ法 2001 に、州政府に省エネ促進の為の基金の設置を規定。
再生可能エネルギー省の管轄下の金融機関であるインド再生可能型エネルギー開発
庁(IREDA)による省エネ推進の財政支援措置制度。
ニューデリー:
○電力(産業用)
:9-12 ¥/kWh(政府統制)
○電力(一般用)
:5-12 ¥/kWh(政府統制)
○レギュラーガソリン:121 ¥/L(政府統制)
・2015 年 1 月 エネルギー政策も統括する計画委員会(Planning Commission)
改組され NITI AYOGYO(Policy Making Department:仮訳)を設立
・電力省(MOP):インドの省エネ推進の中心。
・省エネルギー局(BEE):政府の省エネ推進実施機関。省エネ法に基づき電力
省の下に設置。
・州指定機関(SDA):各州政府の省エネ推進組織。
・石油天然ガス省(MOPNG)
・新・再生可能エネルギー省(MNRE)
PCRA:石油天然ガス省傘下の省エネ推進実施 NPO
FICCI:インド商工会議所連盟
TERI:エネルギー・資源研究所
14
日本からの省エネルギ METI/ECCJ:専門家派遣(含、長期専門家)、受け入れ研修
ー関連協力
:二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
NEDO モデル事業(4 件)
METI/ECCJ:エアコンの効率基準策定における BEE 支援(13 年)
他 国 か ら の 主 要 な 米国 US AID の省エネプロジェクト。
省エネルギー関連協力
インド/ドイツ・エネルギー・プログラム(IGEN, 03-06 年)
:GTZ によるキャパビル
活中。
省 エ ネ 普 及 推 進 支援 ・少数のトップレベル企業では、既に先進国並みの省エネ技術を導入し高度な
の 為 の 重 要 な ポ イ エネルギー管理を実施。一方、大部分を占める中小企業では省エネ投資に係わ
ント
る多くのバリアー(資金、人材、知識等の不足)で、平均的な省エネレベルはか
なり低い。中小・零細企業及び農業部門への省エネ推進支援が重要。
・PAT 運用のための SDA キャパビルが課題
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
15
カンボジア
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005
価格※2012 年度より
変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
181【48%】
15【12%】
10【0.3%】
最終エ
ネルギー
(‘12)
667【1.9%】
5.5【1.3%】
550【573%】
0.37【11%】
72【1,200%】
石油 26,電力 3,
RE71
E 消費量(Mtoe)
4.7【2%】
E 消費量(toe)/GDP(M$)
470【712%】
電力消費量(Mtoe)
0.3【0.4%】
電力化率%
6【23%】
(電力消費/最終E消費)
E 消費比率
21/15/64/1
(産業/運輸/民生・農業
/他)
産業部門の業種別 E 消費比 その他 100
率
【】内数字は対日本比
※確認可採埋蔵量の世界シェア(%)と R/P 比(年)はデータ無し
省エネルギー関連の政府 国家戦略/方針:省エネの 3 年計画(15 年まで): 計画期間中に次の対策
計画・法整備
に取り組み中(省エネ政策・目標の策定、人材育成、エネ管理者の構築、
省エ
機器の S&L など)
・環境・安定供給を考慮したエネルギー政策、電力安定供給による外国投
ネ ル
資促進
ギー
エネルギー政策:適正であり入手可能な価格に基づくエネルギー供給、安定的
関
な電気供給(これによりカンボジアへの投資促進と経済開発促進)
、エネルギ
連
ー資源の生産と環境面・社会面でも受け入れられる開発を推進、エネルギー
状
の効率利用とエネルギー供給と消費の両面での環境負荷を最小とする。
況
省エネルギー政策:5つの優先政策(Five Priorities.)承認待:
*出典:EE&C goals 1.産業の省エネ、2.エンドユーザー製品の省エネ、3.ビルの省エネ、4.地
方の電化とエネ供給における省エネ、5.バイオマス資源の家庭と産業による
of EAS countries
有効利用
submitted to EMM8
省エネ目標:2035
年までに最終 E 消費量を BAU 比 15%削減 *
(2014 Edition)
(EUEI-PDF に基づく)
エネルギー管理者制度
カンボジアにエネ管理制度はまだないが省エネ 3 年計画のなかでは今後制度
構築に取り組むものとされている。
機器のエネルギー効率基 制度構築準備中
準・ラベリング制度
省エネルギーに関連する 無し。
財政的支援
エネルギー価格及び政策 プノンペン:
○電力(産業用)
:20-21¥/kWh
(※)
○電力(家庭用)
:16 - 22¥/kWh
○レギュラーガソリン:140 ¥/L
16
省エネルギー関連管轄の 鉱物エネルギー省(MME):
政府機関
・93 年に旧工業省を改組して MIME 設立。エネルギー政策の企画・策定
を担当。
・14 年 4 月に MIME が MME と MIH (Ministry of Industry &
Handicrafts)に分割
カンボジア国家石油庁(CNPA):
・首相直轄組織で石油・天然ガスを管轄。
カンボジア電力庁(EAC):
・01 年公布の電力法に基づいて MINE から独立して設立。電力の規制
面を管轄。
農林水産省(MAFF):
・MIME と共に木質エネルギーを管轄。
日本からの省エネルギー METI/ECCJ:
関連協力
・PROMEEC: ASEAN エネルギー管理基盤整備(2001 年-2012 年)
・多国間枠組み:ASEAN 地域の国別格差を縮小するための省エネ人材
育成を AJEEP スキーム-3 として実施(12 年-)
NEDO 実証事業 (1 件)
他国からの主要な省エ ACMECS(イアラワジ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略)に基づくタイによる支援
ネルギー関連協力
省エネプロジェクト(06 年 -)
UNDP-GEF (2005 年)
世界銀行(World bank) (1997 年): 縫製産業・照明の省エネ、省エネワー
クショップ
欧 州 連 合 ( EU ): 途 上 国 支 援 フ ゚ ロ シ ゙ ェ ク ト ( EU Energy Initiative
Partnership Dialogue Facility (EUEI-PDF))):
国家計画・省エネ目標を含む戦略の策定、アクションプラン策定支援(11 -13 年):
重点分野:産業、製品、ビルの省エネ推進、地域電化・配電、バイオマス効率
利用
省 エ ネ 普 及推 進 の為 の ・エネ供給は伝統的バイオマスが占める比率が最も大きいが商業エネルギーでは
重要なポイント
石油比率が大きい。電気需要はプノンペンを中心に増加傾向が続く見通
し。発電は輸入石油が全体の 6 割を占める。電気はタイ・ベトナム・ラオスか
らの輸入分も大きい。石油や天然ガスなどの資源が豊富にあるとされる
ものの内戦の影響もあり生産がなく石油は全量輸入。石油消費節減、
伝統的なバイオマス消費の節減、現状 24%の電化率の改善などが目標と課
題にある。
・省エネはこれまでは日本や ASEAN などから省エネ支援を通じた取組み
が中心。省エネ 3 年計画が作成されたことで今後の進展が期待されてい
る。東南アジアでフィリピンと同程度と最も高いといわれる電気料金の調整
も計画にある(カンボジアカントリーレポート’14 より)
。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
17
ラオス
経済
規模
(‘06)
一次エネ
ルギー
(‘06)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005
価格※2012 年度より
変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
236【62%】
6.3【5%】
7.8【0.2%】
最終エ
ネルギー
(‘06)
1,238【3.5%】
4【1%】
513【200%】
0.07【1.8%】
137【721%】
石油 8, 石炭 14,
水力 3, RE75
E 消費量(Mtoe)
E 消 費量( toe)/ GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E消費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・農業
/他)※13 年データ
na
na
0.06【0.1%】
na
9/23/53/15
【】内数字は対日本比
※確 認可採埋 蔵量の世界 シェア(%)と R/P 比 (年 )は データ無 し
※データは 2006 年度のもの
国家戦略/方針:省エネ法制度化 3 ヶ年計画実施中(- 15 年) これまで
に国家省エネ政策・規則のドラフト作りが完了している。
省エ
ラオスのエネルギー政策:持続性に優れてかつ安定的な電気供給の拡大を通じ
た国家の経済発展、輸出向け電力のための発電の強化、法規制の枠組
ネ ル
みの開発と強化を通じた電気の開発、行政機能の合理化などによる執
ギー
行体制の強化。
関
省エネ対策(2014
年 6 月時点):
連
・対象セクター:産業、エンドユーザー製品、ビル、運輸
状
・民生・ビル・産業セクターのための省エネガイドラインが‘13 年に JICA 支援で
況
作成された。
・エネルギー省の改編が 2011 年に実施され、電気局(Department of
Electricity)が廃止されて二つの新しい局(エネルギー政策計画局および、
*出典:EE&C goals 省エネ政策を所管するエネルギー管理局(DEM: Department of Energy
Management)と再生エネルギー推進研究所(Institute for the Promotion
of EAS countries
submitted to EMM8 of Renewable Energy)が設立された。
省エネ目標:省エネアクションプランによる省エネ目標:2020 年までにエネルギー原単
(2014 Edition)
位と温室効果ガス排出、および産業部門のエネルギー消費を 10%下げる目標
*
エネルギー管理者制度
エネ管理制度はまだなく計画中とされている。工場の省エネガイド/エネ管理ハ
ンドブック/診断ガイドなどが作成されておりこれらの技術の普及が図られ
ている
エネルギー価格及び政策 ビエンチャン:
○電力(産業用)
:8¥/kWh
(※)
○電力(家庭用)
:4 - 13 ¥/kWh
○レギュラーガソリン:129 ¥/L
省エネルギー関連の政府
計画・法整備
18
省エネルギー関連管轄の エネルギー・鉱業省(MEM)エネ管理部:
政府機関
・06 年に旧工業・手工業省(MIH)を改組して設立。エネルギー/鉱業分
野を所管。
ラオスエネルギー国家委員会(LNCE):
・ラオスのエネルギーと電力の開発に関する戦略的計画を効果的に実行する為
に、国内全域の電力の開発と市場取引の管理を目的し、権威ある政府
機関としての役割担当。
ラオス電力公社(EDL)
:
・MEM 管轄下の国営企業で、ラオス国内の主要系統の発電・配送電業務
を一貫担当
日本からの省エネルギー METI/ECCJ:
関連協力
・PROMEEC: ASEAN エネルギー管理基盤整備(2001-2012 年)
・多国間枠組み:ASEAN 地域の国別格差を縮小するための省エネ人材
育成を AJEEP スキーム-3 として実施(12 年-)
NEDO 実証事業 (4 件)
他国からの主要な省エ ACMECS(イアラワジ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略)に基づくタイによる支援
ネルギー関連協力
省エネプロジェクト(06 年 -)
アジア開発銀行(ADB): 省エネ政策・戦略、法的枠組みスタディ及びキャパビ
ル (12-14 年)
世界銀行(World bank): ラオ電力局支援(白熱球 40 万個→CFL、ビ
ルの T8 蛍光灯→T5 等)
DSM/EE Phase I (07-10 年)
DSM/EE Phase II (10-15 年)
KEMCO:3工場のエネ診断キャパビル
省エネ普及推進支援の ・エネ供給は伝統的バイオマスが最大であるが商業エネルギーでは石油や電気が
為の重要なポイント
多い。石油は輸入メインであり、発電にも使われている。輸入石油の 10%
を削減する国家目標のもと、輸出目的もある水力発電推進、農業から
の廃棄物利用のバオイマス発電推進などがが実施されている(ラオスカントリーレポ
ートほか)
。
・ラオス政府自らが省エネ面で改善すべき点として、低い省エネ認知度の改善、
石油節約、省エネ人材・制度・資金不足の解消などを挙げている(ラオスカン
トリーレポート 2014 より)
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
19
ミャンマー
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価格※2012 年
度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
一次エネ GDP(M$)
ルギー
E 消費量(toe)/人
(‘12)
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
経済
規模
(‘12)
676【179%】
53【41%】
23【0.5%】
434【1.2%】
15【3.4%】
652【679%】
0.29【8.2%】
147【2450%】
石油 14, NG8,石炭 3,
水力 4,RE70
―
確 認 可 採 埋 蔵 量 の 石油
世界シェア(%)と R/P NG
世界シェア:0.2%,
比(年)
R/P 比:21.6 年
<2010 年末>
―
石炭
省 エネ ルキ ゙ー関 連の政
府計画・法整備
省エネル
ギー
関 連
状況
*出典:EE&C
goals of EAS
countries
submitted to
EMM8 (2014
Edition)
エネルギー管理者制度
エ ネ ルキ ゙ー価格 及び政
策 (※)
最終エネ
ルギー
(‘12)
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)
/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E
消費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・
農業/他)
産業部門の業種別 E
消費比率
14【5%】
609【923%】
0.7【0.9%】
5【19%】
12/7/75/5
セメント:13、
その他 87
【】内数字は対日本比
国家戦略/方針:
2013 年 1 月に副大統領の下に NEMC (National Energy Management
Committee)が設立されて省エネ推進を掲げ、法制度化、責任省庁(工
業省)による取組み、および人材の資質向上実施が計画された。
省エネ法制度化 3 ヶ年計画実施中(- 15 年)
国家エネルギー政策:ミャンマーのエネルギー政策は自給率の維持、新・再生エネルギー
の拡大利用と促進、省エネとエネ効率の推進、家庭での代替燃料利用の推
進(SOME 会合報告より)
。2015 年 1 月に NEMC から公表されたエネ
ルギー政策9項目中、省エネ関係では第3項「国内エネルギー需給統計データま
とめ」及び第6項「省エネルギーの推進」がある。
法律/規則:電気法(84 年)、電気規則(85 年)、石油法(34 年)などがある。
省エネ目標:2030 年までに E 消費量を BAU 比 20%削減 *
主な省エネ対策:工業省省エネ部の指導下でアセアンエネルギー管理ハンドブック普及、
冷蔵庫&空調の省エネチップ配布、省内研修等、省エネ意識 高揚策を推進
中。その他、SOME 会合にて省エネ対策として以下が計画中または実行
中にあることが発表されている:
・産業:旧型設備から効率型設備への取替え促進・廃棄、生産面での
エネルギー原単位の削減、公共セクターおよび私企業でのすべての活動の省エネ
・運輸:バイオ燃料や天然ガスへの燃料代替の促進、陸路・水路などの効
率的な交通ネットワークによる省エネの推進
・家庭・業務:公共用および私的使用の既築ビルの省エネと代替エネルギー
使用の促進、こう効率型機器の使用推進、地域でのバオイディーゼル使用の
促進など
ミャンマーにエネ管理制度はまだないが制度構築は準備中とされている。
ヤンゴン:
○電力(産業用)
:13¥/kWh
○電力(家庭用)
:13¥/kWh
注)外国人用料金
○レギュラーガソリン(政府配給価格):98¥/L
20
工業省(MOI)
:工業総局省エネ部。2013 年 1 月に設立した NEMC の下
でエネルギーの管轄が明確化
国家エネルギー管理委員会(NEMC)設立(13 年 1 月-)
省エネは工業相、石油、ガス(従来は省エネ)はエネルギー省、電気は、電
力省、石炭は鉱物省
日本からの省エネルギ METI/ECCJ:
ー関連協力
・PROMEEC: ASEAN エネルギー管理基盤整備(2001 年-2012 年)
・多国間枠組み:ASEAN 地域の国別格差を縮小するための省エネ人材
育成を AJEEP スキーム-3 として実施(12 年-)
他 国 か ら の 主 要 な ACMECS(イアラワジ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略)に基づくタイ支援省エネプ
省エネルギー関連協力
ロジェクト(06 年-)
省エネアクションプラン策定支援(アジア開発銀行 (ADB))
:エネルギーセクターに関す
る政策状況の評価(Energy Sector Initial Assessment Report)(2012
年)
省エネ政策、戦略、ロードマップに係る Workshop (2014 年 9 月)
国連、ASEAN など
省 エ ネ 普 及 推 進 支 援 ・エネルギー政策は、豊富な天然ガス・水力や原油などの国内資源の生産・
の 為 の 重 要 な ポ イ 輸出強化(現状発電は水力が 7 割、天然ガスが 2 割)、森林伐採に繋が
ント
るとの懸念がある伝統的なバイオマス消費の節減、現状低い電化率の改善
などが目標と課題にある(ミャンマーカントリーレポート 2014 ほか)。
・ミャンマー政府自らが省エネ面で改善すべき点として挙げている内容には、
省エネに関わるあらゆる部門の人材育成・優遇税制などの検討の必要性、
省エネ意識の強化改善などがある(ミャンマーカントリーレポート 2014 より)
。
省 エネ ルキ ゙ー関 連管轄
の政府機関
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
21
ブルネイ
経済
規模
(‘12)
一次エ
ネルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
5.8【1.5%】
人口(100 万人)
0.4【0.4%】
GDP(10 億 U$、2005
10【0.3%】
価格※2012 年度より変
更)
GDP(U$)/人
25,000【68%】
E 消費量(Mtoe)
3.9【0.9%】
E 消費量(toe)/GDP
390【406%】
(M$)
E 消費量(toe)/人
9.38【265%】
E 自給率(%)
479【7,983%】
燃料別比率(%)
石油 19, NG81
確認可採埋蔵量の世界シ 石
世界シェア:0.1%,
ェア(%)と R/P 比(年) 油
R/P 比:22.3 年
<2010 年末>
N
世界シェア:0.2%,
G
R/P 比:23.6 年
最終エ
ネルギー
(‘12)
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E消
費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・農
業/他)
産業部門の業種別 E 消
費比率
1.9【0.7%】
190【288%】
0.2【0.3%】
11【42%】
11/24/16/
50
化学 16、他 85
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の政府計
画・法整備
国家戦略/方針:
ブルネイエネルギー白書(14 年 3 月発行)。省エネの主要施策は以下の 7 分野。
省エ
・電気価格制度の改正、
・機器の基準ラベリング、
・ビル規制
・エネルギー管理、
・燃費規制、金融等のインセンティブ、
・省エネ意識の普及改善
ネ ル
*出典:EE&C
goals
・産業部門の省エネロードマップ(-35
年)、
・機器
S&L(エアコン、照明)準備
ギー
of EAS countries
中
関
submitted to EMM8
法律/規則:省エネに関わる法令はないが上記エネ白書で法策定に取組む
連
(2014 Edition)
省エネ目標:エネルギー原単位(TPES/GDP)を 2035 年までに 2005 年比で
状
45%改善*
況
エネルギー管理者制度
エネ管理制度はまだないがエネ白書では今後 ISO50001 に準拠した制度
構築に取り組む
機 器 の エ ネ ル キ ゙ ー 効 率 基 エアコンに対する MEPS 基準およびラベリング制度(5 段階評価)の策定を
準・ラベリング制度
進めており、間もなく施行予定。
省エネルギーに関連する財 無し。
政的支援
エネルギー価格及び政策
ブルネイ(2008 年)
:
電力(産業用)
:4 - 4 ¥/kWh
電力(家庭用)
:6 -10 ¥/kWh
出典:海外諸国の電気事業 第 2 編 2010 版、海外電力調査会編
省エネルギー関連管轄の政 ブルネイ石油・天然ガス省(BOGA):
府機関
・93 年に設立され、石油・天然ガスの探鉱・開発から生産、輸送、精製
さらには省エネルギーなどブルネイの石油・天然ガスの事業活動全ての段階
における計画・立案と監督の責任を負っている。
05 年 5 月には政府主導のエネルギー政策推進のため、総理府内にエネルギー
大臣職を設置・任命、新設されたエネルギー部が省エネプログラムを策定。
省エネルギー関連推進機関 無し。
日本からの省エネルギー関
連協力
METI/ECCJ:
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ 01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12-)
22
省エネ普及推進支援の為
の重要なポイント
・石油と天然ガスの国内資源が豊富にありエネ供給の 100%を石油と天
然ガスで占めている。電力は天然ガス発電が 100%。電力需要は今後も
増加継続の見通しであり、ブルネイのエネルギー白書では 2035 年には電力
供給の再生可能エネルギーの比率を 10%とするとしている。国内大産業
である石油・天然ガスの効率的探鉱・開発・生産が課題。電化率はほ
ぼ 100%(ブルネイカントリーレポート’14 より)
・ブルネイ政府は化石燃料資源が豊富であるが、APEC の共通目標や世
界的な温暖化対策への取組みと足並みを揃え、省エネを推進するものと
している。エネルギー白書では省エネを最優先課題の一つに位置づけ、今後、
機器 S&L、ビルガイドライン、エネ管理、燃費規制、金融措置、意識向上な
どの枠組み作りを行うものとしている。
23
シンガポール
経済
規模
(‘12)
一次エネ
ルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、
2005 価 格※ 2012
年度より変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/
GDP(M$)
E 消費量(toe)/
人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
0.7【0.2%】
5.3【4%】
183【4%】
最 終
エ ネ ル
ギー
(‘12)
34,528【94%】
25【5.6%】
137【143%】
4.72【133%】
2【33%】
石油 68, NG29,RE2
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E消
費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・農
業/他)
産業部門の業種別 E 消
費比率
16【5%】
87【132%】
4【5.1%】
25【96%】
32/16/14/38
化学:41、他:59
【】内数字は対日本比
※確認可採埋蔵量の世界シェア(%)と R/P 比(年)はデータ無し
省エネルギー関連の政 国家戦略/方針:
府計画・法整備
・サステイナブルブループリントによる省エネ目標と対策(省エネ意識向上、R&D 支援、
省エ
省エネ目標達成のための人材育成)および国家気候変動ブループリントによる
CO2 目標と対策(エネ効率が主軸対策のひとつであり、目標値は 2020
ネ ル
年比で 7%~11%の CO2 削減。具体的な施策としては、人材育成、環
ギー
境を意識した成長促進、気候変動対策のパートナーシップ育成が含まれる)
関
・エネルギー効率プログラムオフィス(E2PO)による国家環境庁(NEA)を中心
連
とした省庁間連携による省エネの推進
状
法律/規則:
況
・08 年 環境保護管理法(MEPS ラベリング制度を規定)
・13 年 省エネルギー法施行(13 年 4 月)
主な省エネ対策:
13 年施行の省エネ法により以下が義務化:
・54TJ 以上のエネ消費する企業に対して認定エネ管理者( Singapore
Certified Energy Manager (SCEM) Program)08 年開始による資格保
持者)の専任、年間のエネ消費量の定期報告、年間エネ効率計画の作成と報
告
・ビル管理規則(ビル外皮の熱交換値を規定)
・新築・既築ビル(延べ床面積 2,000m2 以上)に対する強制グリーンマーク
・冷蔵庫・エアコン・洗濯乾燥機の強制ラベル
・乗用車と軽貨物車の強制燃費ラベル
ビル所有者による省エネ改築に対する銀行ローンパイロットプログラム(Building
* 出 典 : EE&C
Energy Efficiency Financing BREEF)(11 年)
goals
of
EAS
ナショナルパートナーシッププログラム(EENP):企業レベルで省エネ・廃棄物削減が進
countries
submitted
to むように支援するプログラム。省エネ診断や省エネ改善・研修等に対する支援
EMM8
(2014 がある。
省エネ目標:サステイナブルブループリントによる省エネ目標(2030 年までに 2005 年
Edition)
比でエネ原単位(TPES/GDP)を 35%改善)*
エネルギー管理者制度
13 年施行の省エネ法により義務化
機器のエネルギー効率 MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(4 段階)ラベリングプログラム(強制)
基準・ラベリング制度 を施行していたが、2014 年 9 月に多段階評価基準の見直しが行われ、
評価 1=MEPS 値、評価 5=最高評価に改正された。
省エネルギーに関連す 省エネ・新エネ技術導入支援基金(01 年制定)
、建築物省エネ支援スキーム(05.4
る財政的支援
-)、建築物 BCA グリーンマーク推奨スキーム(05.1 -)、建築物効率設計スキーム(08
-)、産業エネルギー診断スキーム(02.6 -)、産業省エネ設備投資優遇税スキーム
24
エネルギー価格及び政 シンガポール(2014 年)
:
策 (※)
○電力(産業用)
:13-21 ¥/kWh
○電力(家庭用)
:22¥/kWh
○レギュラーガソリン:177-181¥/L
省エネルギー関連管轄 通商産業省(MTI):
の政府機関
エネルギー政策の立案・実行機関で、経営資源部が国内インフラの整備、電力・
ガスを含むエネルギーの安定供給の確保等を担当。2001 年、MTI 内にエネルギ
ー市場監督庁委(EMA)が設置され、エネルギー政策の策定を担当。
国家気候変動問題委員会(NCCC):
1998 年創設のエネルギー効率に関する省庁間委員会(IACEE)が機能拡大
し、省エネに関する各種プログラムを策定する。
省エネルギー関連推進 国家環境庁(NEA):環境・水資源省(MEWR)管轄下で省エネに関す
機関
る具体的行動計画を策定・実施。
日本からの省エネルギ METI/ECCJ:
ー関連協力
・二国間協力:エネルギー管理制度構築及び省エネ推進支援
・多国間枠組み:日-ASEAN 協力
PROMEEC(産業ビル等の省エネ 01-11 年)
AJEEP スキーム-2 として実施(12-)
省 エ ネ 普 及 推 進 支 援 ・原油・天然ガスのほぼ全量を輸入に依存(原油は半分以上が中東)
。発
の 為 の 重 要 な ポ イ 電は石油が大半であったが近年は天然ガスが増えている。コジェネ、トリジェ
ント
ネ(発電+熱供給+水冷却)
、廃棄物ゴミ発電やガス複合サイクル発電(CCGT)
も推進。環境マインドの強い国柄に加え化石燃料節減の施策として省エネが
取り組まれている。
・シンガポール政府は既に各種の省エネ施策を実行しているものの、政府自ら、
省エネ推進上の課題として、適切なエネ管理がまだ完全には普及していない
こと、省エネの情報/認識が完全に普及していないこと、省エネ投資の初期
費用の高いことなどを挙げている(カントリーレポート’14 より)
。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
25
韓国
経済
規模
(‘12)
一次エ
ネルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005
価格※2012 年度より
変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
100【26%】
50【39%】
1,078【23%】
最終エ
ネルギー
(‘12)
21,560【59%】
263【58%】
244【254%】
5.26【147%】
18【300%】
石油 37, NG17,石炭
29,原子力 15, RE2
―
確認可採埋蔵量の世界 石油
シェア(%)と R/P 比(年) NG
―
<2012 年末>
石炭
世界シェ
ア:0.05%, R/P
比:69 年
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
電力消費量(Mtoe)
電力化率%
(電力消費/最終E
消費)
E 消費比率
(産業/運輸/民生・
農業/他)
産業部門の業種別 E
消費比率
166【54%】
154【233%】
41【52%】
25【96%】
29/18/26/27
鉄 鋼 :23 、 化
学:18、セメント:12、
輸送機器 7、機
械 :15、食品 タ バ
コ:4、紙パ 4、繊
維 5、他:8
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の政 国家戦略/方針:
府計画・法整備
・08 年 8 月 第 1 次国家エネルギー基本計画(08-30 年)採択
省エ
法律/規則:
ネ ル
・79 年 エネルギー利用合理化法公布
ギー *出典:EE&C
・92 年 特定機器のエネルギー効率ラベリングプログラム(強制)施行
goals of EAS
関
・00 年 電力事業法制定
countries
連
・06 年 エネルギー基本法施行
submitted to
状
省エネ目標:30 年までにエネルギー原単位(TPES/GDP)を 06 年比 46.7%
EMM8 (2014
況
改善*
Edition)
エネルギー管理者特定講習(省エネ法第 32 条)KEMCO が講習実施
MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(5 段階)ラベリングプログラム(強
制プログラム:92 年開始)
自発的合意プログラム:
98 年開始の産業部門の省エネ推進の為の政府プログラムで、
MKE が管轄
し KEMCO が実施担当する。財政支援(低利融資、優遇税制等)や
技術支援が締結事業者に提供される。
エネルギー価格及び政 ソウル:
策 (※)
○電力(産業用):7 ¥/kWh
○電力(家庭用):9¥/kWh
○レギュラーガソリン:218 ¥/L
省エネルギー関連管轄 知識資源部(MKE、旧 MOCIE)
:
の政府機関
エネルギー資源政策局がエネルギー需給に係る包括的計画・施策の立案と実
行を担当。
韓国エネルギー経済研究院(KEEI)
:
86 年設立の首相直轄機関で、エネルギー全般の情報収集・分析、中長期
エネルギー需給予測等を担当。
省エネルギー委員会(NCEC)
:
GHG 削減・省エネ政策推進の為 97 年に創設された官民メンバー構成の
組織。
エネルギー管理者制度
機器のエネルギー効率
基準・ラベリング制度
省エネルギーに関連す
る財政的支援
26
省エネルギー関連推進 韓国エネルギー管理公団(KEMCO)
:
機関
合理的エネルギー利用法に基づいて、80 年に旧 MOCIE が設立した公益
法人で、政府のエネルギー政策・プログラムの実施を担当。
他国からの主要な KEMCO によりスリランカなどへの省エネ支援を実施したことがある。
省エネルギー関連協力
省エネ普及推進支援 省エネ政策は省エネ法によるエネ管理制度や機器分野などもあり比較的充
の為の重要なポイ 実。
<消費機器の 3 つの E 効率プログラム>
ント
・基準・ラベリング(強制:92 年開始)、5 段階のエネルギー基準格付ラベル
・待機時消費電力プログラム(任意:99 年開始、強制:08 年開始)
・効率機器認定プログラム(任意:96 年開始)
<自発的合意プログラム:>
産業部門&建築物の省エネ推進の為の政府プログラム。
注)日本からの省エネルギー関連協力、他国からの主要な省エネルギー関連協力は無し。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
27
オーストラリア
経
済
規
模
(‘12
)
一
次 エ
ネ ル
ギー
(‘12
)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005 価
格※2012 年度より変更)
GDP(U$)/人
7,692【2035%】
23【18%】
925【20%】
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
128【28%】
138【144%】
確認可採埋蔵量の世界シェ
ア(%)と R/P 比(年)
<2012 年末>
40,217【110%】
5.54【156%】
247【4,117%】
石油 35, 石炭 37,
NG23,水力 1, RE4
石油 世界シェア:0.2%,
R/P 比:26.1 年
NG
世界シェア:2.0%,
R/P 比:85.8 年
石炭 世界シェア:8.6%,
R/P 比:160 年
最終
エネル
ギー
(‘12)
E 消費量(Mtoe)
79【26%】
E 消費量(toe)/
85【129%】
GDP(M$)
電 力 消 費 量
18【23%】
(Mtoe)
電力化率%
23【89%】
(電力消費/最終
E消費)
E 消費比率
30/39/25/6
(産業/運輸/民
生・農業/他)
産業部門の業種別 鉄鋼:8、化学:9、非
E 消費比率
鉄:32、セメント:10、機
械 1、鉱山:14、食品
タバコ:14、紙パ:5、
建設 2
【】内数字は対日本比
省エネルギー関連の政府 国家戦略/方針:
計画・法整備
・92 年 家電製品のエネルギー効率ラベリング制度(強制)開始
省エ
・04 年 国家エネルギー効率フレームワーク(NFEE):
ネ ル
オーストラリアのエネルギー需要側のエネルギー効率向上を目的とする政
ギー
策・プログラム(EEO、MEPS 等)の推進及び実施を後押し
関
する為の対策実施
連
法律/規則:
状
・06 年 エネルギー効率機会法に基づくエネルギー管理規制(EEO)施行
況
・12 年 温室効果ガス・エネルギー最低基準法(Greenhouse and
Energy Minimum Standards (GEMS))制定
*出典:EE&C goals
省エネ目標:20 年までに 00 年比で 5%の炭素削減*
of EAS countries
submitted to EMM8 主な省エネ政策:エネルギー効率機会法に基づく省エネプログラム(06 年より
実施、10 年に結果レビュー)
:年間 0.5PJ 以上のエネ消費のある企業に
(2014 Edition)
省エネ機会の査定と結果公表を義務付け(産業のエネルギー消費の約
60%に相当)、但し査定結果の実施は任意。
家電&エネルギー機器の E3 プログラム:99 年開始の NZ と連携の強制ラベ
リングプログラム
エネルギー管理者制度
無し(大学や職業訓練で講習あり)
機器のエネルギー効率基 MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(6 段階)
(強制 P:99 年開
準・ラベリング制度
始)
省エネルギーに関連する 国家 GHG 低排出石炭イニシアティブ(NLECI):
財政的支援
石炭使用に係る GHG 排出量削減の為の技術開発における研究・デ
モンストレーション・展開に対する財政的支援(8 年間、5 億ドル)
地域省エネ補助金 (CEEP)など
エネルギー価格及び政策 シドニー:
(※)
○電力(産業用):¥13 - 46 /kWh
○電力(家庭用):¥13- 49/kWh
注)時間帯により異なる
○レギュラーガソリン:¥140/L
28
省エネルギー関連管轄の 資源・エネルギー・観光省(DRET)
:
政府機関
資源・エネルギーに係る連邦政府の政策立案、法制度の整備・管理、気
候変動等の取組みを担当(家庭、商業、産業部門)し、NFEE 枠
組みで州政府と連携を行なう。
持続可能・環境・水・人口・コミュニティ省(DSEWPC)
:
NFEE 枠組みの家庭・運輸部門のプログラムを担当。
気候変動・エネルギー効率省(DCCEE)
:
気候変動/EE に関する政策・プログラム担当。
省エネルギー関連推進機 NFEE プログラムの推進実行委員会(関係省庁の横断的組織)を分野
関
(ビル、商業、工業、家電&エネルギー機器、政府系等)毎に設置。
他国からの主要な省 ・ ア シ ゙ ア 開 発 銀 行 ( Asian Development Bank) Clean Energy
エネルギー関連協力
Financing Partnership Facility への参加(700 万豪ドル拠出)
。
・ベトナムの S&L などの支援を行った。14 年にブルネイの原油・天然
ガス生産強化方針に伴う専門家送り出しのポテンシャルにに注視してい
る。
省エネ普及推進支援の 石 炭 を は じ め と す る 資 源 国 で あ り 一 次 エ ネ 供 給 は 発 電 用 燃 料
為の重要なポイント (68.6%)とともに石炭比率が最も大きい。省エネ国家戦略もあり大
企業に対するエネ診断実施や家電の強制S&Lなどの義務的制度が
ある。エネ管理制度はない。
注)日本からの省エネルギー関連協力、他国からの主要な省エネルギー関連協力は無し。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
29
ニュージーランド
経済
規模
(‘12)
一次エ
ネルギー
(‘12)
面積(千 k ㎡)
人口(100 万人)
GDP(10 億 U$、2005
価格※2012 年度より
変更)
GDP(U$)/人
E 消費量(Mtoe)
E 消費量(toe)/GDP
(M$)
E 消費量(toe)/人
E 自給率(%)
燃料別比率(%)
268【71%】
4.4【4%】
126【2.7%】
最終エ
ネルギー
(‘12)
28,636【78%】
19【4.2%】
151【157%】
4.14【117%】
85【1417%】
石油 34, 石炭
8, ,NG20, 水力 10, 地
熱 21, RE6
確認可採埋蔵量の世界 石油
シェア(%)と R/P 比(年) NG
<2012 年末>
石炭
世界シェア:0.1%,
R/P 比:126 年
省エネルギー関連の政府
計画・法整備
E 消費量(Mtoe)
13【4%】
E 消費量(toe)/
103【156%】
GDP(M$)
電力消費量(Mtoe)
3.3【4.2%】
電力化率%
25【96%】
(電力消費/最終E
消費)
E 消費比率
31/36/25/8
(産業/運輸/民
生・農業/他)
産業部門の業種別 E 鉄 鋼 :6 、 化 学 12
非鉄:11、鉱山 3、
消費比率
紙パ 10、木材:28、
食品タバコ:19、建設
3、他:6
【】内数字は対日本比
国家戦略/方針:
・01 年 国家エネルギー効率・省エネ戦略(NZEECS)2001 の制定
省エ
・07 年 新国家エネルギー効率・省エネ戦略(NZNEECS)2007 の制定
・11 年 新国家エネルギー効率・省エネ戦略(-21 年)
ネ ル
ギー *出典:EE&C goals 法律/規則:
of EAS countries
・00 年エネルギー効率・省エネ法の制定
関
submitted to EMM8 ・01 年エネルギー効率規制(エネルギー消費機器)の制定
連
(2014 Edition)
省エネ目標:エネルギー原単位(TPES/GDP)を毎年 1.3%改善(11-16 年)*
状
エネルギー管理者制度
無し(政府と大学協力による産業用モーター・プロセス熱のエネルギー管理講習あ
況
り)
機器のエネルギー効率基 MEPS プログラムおよびエネルギー効率格付(6 段階)
(強制 P:02 年開始)
準・ラベリング制度
省エネルギーに関連する ・低所得者向け断熱材導入補助金
財政的支援
・事業者向け省エネ診断補助金など
エネルギー価格及び政策 オークランド(2013 年)
(※)
○電力(産業用)
:¥20 /kWh
○電力(家庭用)
:¥14 /kWh
○レギュラーガソリン:¥214 -226/L
省エネルギー関連管轄の 経済開発省(MED):
政府機関
・エネルギー政策を担当。EECA を管轄。
電力委員会(EC):
・電力産業及び電力市場の管理と規制
・電気エネの効率化と省エネの推進
・照明、モーター、商業ビル、家庭用冷蔵庫の開発プログラム
省エネルギー関連推進機 エネルギー効率化・省エネルギー委員会(EECA):
関
MED 管轄下で政府政策に基づく事業実施
・エネ効率向上、省エネ
・再生可能エネルギー開発
・MEPS & ラベリングプログラムの推進
30
省エネ普及推進支援の
為の重要なポイント
エネルギー政策の基本原則は市場メカニズムを通じて全ユーザーが満足するエネルギ
ーサービスの実現で
①環境保護の一層の強化、
②エネルギー利用の効率化、
③再生可能エネルギーの導入、
④環境コストを含めての低コスト・低価格化、
⑤安定供給の確保
注)日本からの省エネルギー関連協力、他国からの主要な省エネルギー関連協力は無し。
(※)出典:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(14 年 5 月 JETRO)
2014 年 1 月時点価格(@¥104/$)
31
英 語 表 記 略 語 集
A
AC: Accredit Consultant
タイ ENCON 法において工場に義務つけている提出書類・報告書の評価を DEDP に代行して行なっ
ている DEDP の信任評価作業下請コンサルタント会社
ACE: ASEAN Center for Energy
ADB: Asian Development Bank アジア開発銀行
ADEME: Agency for the Environment and Energy Resources フランス環境エネルギー資源庁
AF: Availability Factor 稼働率
AHU: Air Handling Unit 空調機
AIJ: Activities Implemented Jointly 共同実施活動
AJEEP: ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership 省エネ人材育成協力
ALGAS: Asia Least-cost Greenhouse Gas Abatement Strategy
アジア最小コスト温室ガス排出削減戦略(アジア開発銀行のイニシアティブによるアジア12カ
国の温室効果ガス排出状況および対策プロジェクトの国別プロジェクト)
Alliance: The Alliance to Save Energy
AMEN:ASEAN Minister of Energy Meeting(アセアン大臣会合)
ANEEL: Wire-Charge on Utilities Revenue for Energy Efficiency and R&D(/ブラジル)
ANR: Argonne National Laboratory 米国アルゴンヌ国立研究所
ANRE: Agency for Natural Resources and Energy 資源エネルギー庁
AOTS: The Association for Overseas Technical Scholarship (財)海外技術者研修協会
APAEC: ASEAN Plan of Action for Energy Cooperation
ASEAN の多国間枠組みでの省エネルギー協力事業
APBF: Asia Pacific Business Forum アジア太平洋ビジネスフォーラム
APEC: Asia Pacific Economic Cooperation アジア太平洋経済協力
APERC: Asia Pacific Energy Research Center アジア太平洋エネルギー研究センター
APF: Annual Performance Factor 通年エネルギー消費効率
APLAC: Asia Pacific Laboratory Accreditation Cooperation
アジア太平洋試験所認定協力機構
APO: Asian Productivity Organization アジア生産性機構
ASEAN: Association of Southeast Asian Nations アセアン、東南アジア諸国連合
ASEM: Asia-Europe Meeting アジア欧州会合
AWP: Annual Working Plan
B
BAC: Budget and Administrative Committee 行財政委員会(APEC)
bbl.: barrel
BECS: Building Energy Consumption Simulator
BEE: The Bureau of Energy Efficiency インドエネルギー効率局
BEE: Building Environmental Efficiency
BEEG: Baltic Energy Efficiency Group バルト地域エネルギー効率グループ
BEMS: Buildings Energy Management System
BEST: Building Energy Simulation Tool
BM: Bench Marking
C
CAC: Command and Control(主として行政機関による規制基準の設定と規則の監視活動)
CADDET: Center for Analysis and Dissemination of Demonstration Energy Technologies
実証済みエネルギー技術の分析及び普及の為の情報センター(OECD/IEA 組織)
32
CAFÉ: Corporate Average Fuel Economy
Cap: capita
CC: Central Control 中央制御
cc: Cubic Centimeter
CCPC: Czech Cleaner Production Centre チェッコ CP センター
CCS: Carbon Capture Storage 二酸化炭素回収・貯留
CCT: Clean Coal Technology 石炭液化/ガス化技術
CDG: Carl Duisberg Gesellschaft e.V.? CDC: Carl Duisberg Centren gemeinnützige GmbH
ドイツの能力開発機関
CDI: Capacity Development Initiative
GEF と UNDP による再生可能エネルギー普及に関するキャパシティ・ビルディングのプロジェク
ト
CDM: Clean Development Mechanism クリーン開発メカニズム
CDQ: Coke Dry Quenching コークス乾式冷却設備
CEC: Commission of European Communities 欧州委員会
CEC: Coefficient of Energy Consumption 建築設備に係わるエネルギーの効率的利用性能を評価
CEE: Central and Eastern Europe
CELMC: China Energy Label Management Center(中国エネルギーラベル管理センター)
CER: Certified Emission Reduction CDM で発生するカーボン・クレジット
CFL: Compact Fluorescent Lamp
CHP: Combined Heat and Power コジェネレーション (Cogeneration)
CICC: Center of the Informational Cooperation for Computerization
(財)国際情報化協力センター
CIF: Cost, Insurance and Freight
CII: Confederation of India Industry インド産業連盟
CNIS: China National Institute of Standardization(中国標準化機関)
CIPURE: Rational Use of Energy Center 省エネルギー研究開発センター(亜国 INTI 組織)
CLASP: Collaborative Labeling and Appliance Standards Program
途上国・遷移国の機器のエネルギー効率化を推進するために 1999 年に設立された米国機関
(LBNL、The Alliance、IIEC)
Cmd: cubic meters per day
CNG: Compressed Natural Gas
CNPC: China National Petroleum Corporation 中国石油天然ガス総公司
COP: Conference of Parities 気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止会議)
COP: Coefficient of Performance 機器性能係数
COR: Cost of Remediation 環境回復のためのコスト
CP: Cleaner Production
CPG: Combined Power Generation 複合発電 (Hybrid Power System)
CREST: Center for Renewable Energy and Sustainable Technology
再生可能エネルギー/持続可能技術センター(米国の再生可能エネルギー業界団体)
CRT: Cathode-Ray Tube 陰極線管、ブラウン管
CRW: Combustible Renewable and Waste
CT: Cleaner Technology
CTI: Committee on Trade and Investment 貿易投資委員会(APEC)
CTI: Climate Technology Initiative
地球温暖化防止途上国支援活動(日米欧先進国による支援活動)
CTIC: Cleaner Technology Information Center(タイの TEI に所属)
CASBEE: Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency
建築環境総合性能評価システム
CSR: Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任
CSR: Compressive Stress Relaxation 圧縮応力緩和
33
D
DAC: Development Assistance Committee OECD 開発援助委員会
DANCED: Danish Cooperation for Environment and Development(デンマーク環境開発協力事業団)
DB: Data Base
DBJ: Development Bank of Japan 日本政策投資銀行(旧;日本開発銀行)
DBP: Development Bank of the Philippines フィリッピン開発銀行
DEDE: Department of Alternative Energy Development and Efficiency
代替エネルギー開発省エネ局(タイ)
DEMFs: Designated Energy Management Factories
指定エネルギー管理工場
DHC: Distributed Heating and Cooling 地域冷暖房(熱供給)
DIW: Department of Industrial Works: タイ工業省工場局
DNA: Deoxyribonucleic Acid デオキシリボ核酸
DO: Dissolved Oxygen 溶存 (溶解)酸素
DOE: Department of Energy 米国エネルギー省
DOE: Designated Operational Entity 指定運営組織
DPS: Dispersed-type Power Source 分散型電源(= On-site Power Source)
DSM: Demand Side Management エネルギー需要最適化マネジメント
DVD: Digital Video Disc (Versatile Disc) ディーブイディー、デジタル多用途ディスク
E
EAES: Environmentally Adapted Energy System 環境適応型エネルギーシステム(スウェーデン)
EAF: Electric Arc Furnace
EAc: East Asia community
EAS: East Asia Summit
EAST: Energy data Analysis Support Tool
EAVG: East Asia Vision Group
EB Act: Electricity Business Act 電気事業法
EBRD: European Bank for Reconstruction and Development 欧州復興開発銀行
EC; Energy Conservation 省エネルギー
EC Act; the Act on the Rational Use of Energy 省エネルギー法
EC: Economic Committee 経済委員会(APEC)
EC: European Commission 欧州委員会
EC: European Community 欧州共同体
ECAP: Energy Conservation Workshop under ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership
ECCJ: The Energy Conservation Center, Japan 省エネルギーセンター
ECCP: European Climate Change Program 欧州気候変動プログラム
ECCT: Energy Conservation Center, Thailand タイ国省エネルギーセンター
ECD: Extended Cooling Degree days 冷房用拡張デグリーデー
ECFA: Engineering and Consulting Firms Association, Japan
(社)海外コンサルティング企業協会
ECTT: Energy Conservation Target Tool (ECCJ が開発したビルのエネルギー管理ツール)
EEA: European Environment Agency 欧州環境庁
EE&C: Energy Efficiency and Conservation
EECA: Energy Efficiency Conservation Authority
EE&C-SSN: Energy Efficiency and Conservation Sub-sector Network(アセアンのエネルギー効率・
保全に関するサブセクター・ネットワーク)
EEERF: Energy Efficiency and Emission Reduction Fund EBRD によるカーボン・ファンド
EETIC: Energy and Environmental Technologies Information Centers
エネルギー環境技術情報センター(IEA 組織)
EEWP: Energy Efficiency Working Party エネルギー効率作業部会(IEA)
EFL: Electricity Feed Law
34
電力供給法(再生可能エネルギーによる発電の高値買い付け義務制度)
EFH: Equivalent/Estimated Full-loading Hours 全負荷相当運転時間(法)
EDMC; The Energy Data and Modeling Center 日本エネルギー経済研究所 計量分析ユニット
EGAT: Energy Generation Authority of Thailand タイ電力公社
EGEE&C: Expert Group on Energy Efficiency and Conservation 省エネ専門家会議(APEC)
EGNRET: Expert Group on New and Renewable Energy Technologies(APEC)
EHD: Extended Heating Degree days 暖房用拡張デグリーデー
EMAK: Energy Management Action Network (led by Japan)
EMs: Energy Managers
EMS: Energy Management System エネルギー管理システム
EMTIPS: Energy Efficiency Market Transformation with Information Provision Scheme (ECCJ の機
器分野の省エネ普及促進事業)
EMWG: Energy Management Working Group
EMM: Energy Ministerial Meeting(APEC)
EMS: Environmental Management System 環境管理システム
ENCON: Energy Conservation Act B.E. 2523 1992 年タイ国・国会で通過した省エネ法案
ENEX: Energy and Environment Exhibition
EOP: End of Pipe(排水処理施設のように汚染物質が系外に排出されるポイントで処理を行なうこと)
EPA: Environmental Protection Agency (USA) 米国環境保護局
EP3: Environmental Pollution Prevention Project(USAID によるプロジェクト)
EPG: Eminent Persons Group 賢人会議(APEC)
Cf. ダボスでの賢人会議 World Economic Forum in Davos
EPDC: Electric Power Development Corporation 電源開発
EPT: Environmental Protection Technology 環境保全技術
ERS: Electricity Rate System 電気料金制度
ERU: Emission Reduction Units 共同実施で発生するカーボン・クレジット
ESCAP: Economic and Social Commission for Asia and the Pacific 国連アジア太平洋経済社会委員会
ESCO: Energy Service Company 省エネ請負コンサルティング会社(= Energy Management Company)
ESCP: Energy for Sustainable Communities Program(APEC)
ESMAP: Energy Sector Management Assistance Program 世界銀行のエネルギー分野管理援助プログラム
ESUM: Energy Specific Unit Management Tool
ET: Emission Trading 排出権取引
ETC: Electronic Toll Collection ノンストップ自動料金支払いシステム
EU: European Union 欧州連合
EUWP: End Use Working Party 最終用途作業部会(IEA)
EWG: Energy Working Group(APEC)
F
FCs: Fuel Cells 燃料電池
FCCC: Framework Convention on Climate Change
気候変動枠組み条約(1992 年に採択された温暖化に関する初めての国連の国際条約)
FDI: Foreign Direct Investment 海外直接投資
FEPC: The Federation of Electric Power Companies of Japan 電気事業連合会
FICCI: Federation of India Chambers of Commerce and Industry インド商工会議所
FOB: Free on Board 本船渡し
FP: Focal Point(アセアン各国の省エネ担当の窓口)
FTI: Federation of Thai Industries タイ産業連盟
FTPI: Foundation of Thailand Productivity Institute タイ生産性研究所
G
GAP: Green Aid Plan エネルギー環境国際協力
GCC: Gulf Co-operation Council
35
GDP: Gross Domestic Product 国内総生産
GEF: Global Environment Facility
地球環境ファシリティー(世界銀行等による地球環境問題に関わる途上国援助スキーム)
GHG: Greenhouse Gas 温室効果ガス
GISPRI: Global Industrial and Social Progress Research Institute
(財)地球産業文化研究所
GNP: Gross National Product 国民総生産
GP: Green Productivity
GPP: Green Partnership Program
GREENTIE: Greenhouse Gas Technology Information Exchange
OECD/IEA による温室効果ガス排出削減技術の技術データベース
GTCC: Gas Turbine Combined Cycle ガスタービン複合発電
GTZ: Deutsche Gesellschaft für Technische Zusammenarbeit GmbH ( German Technical
Corporation)
ドイツの技術協力(有)(JICA に相当)
H
HASP: Heating, Air-conditioning and Sanitary engineering Program
HEMS: Home Energy Management System
HEPS: 最高エネルギー消費効率基準
Hf: High-frequency
HID: High Intensity Discharge
HIDA:The Overseas Human Resources and Industry Development Association
(一財)海外産業人材育成協会
HAPUA: Heads of Asean Power Utilities Authorities
HVAC: Heating, Ventilation and Air Conditioning 換気設備・空気調和
I
IBEC: Institute for Building Environment and Energy Conservation
(財)建築環境・省エネルギー機構
IBRD: International Bank for Reconstruction and Development 国際復興開発銀行(世界銀行)
ICA:International Cupper Association(国際銅協会)
ICETT: International Center for Environmental Technology Transfer
(財) 国際環境技術移転研究センター
ICT: Information and Communication Technology 情報通信技術
IDA: International Development Association 国際開発協会(世界銀行)
IDCJ: International Development Center, Japan 国際開発センター
IE: Industrial Engineering 生産工学
IE: Industrial Ecology 産業生態学
IEA: International Energy Agency 国際エネルギー機関(OECD の下部組織)
IEs: Industrial Engineers 生産技術者
IEC: International Electrotechnical Commission 国際電気標準会議
IEEJ: The Institute of Energy Economics, Japan 日本エネルギー経済研究所
IEEE: The Institute of Electrical and Electronics Engineers 電気電子技術者協会
IFC: International Finance Corporation 国際金融公社(世界銀行)
IGCC: Integrated Gasification Combined Cycle 石炭ガス化複合発電
IGES: Institute for Global Environmental Strategies (財)地球環境戦略研究機関
IIEC: International Institute for Energy Conservation 米国の省エネルギーセンター
IIIEE: International Institute for Industrial Environmental Economics at Lund University
スェーデン Lund 大学の研究機関
IIP: Indices of Industrial Production 鉱工業生産指数(消費エネルギー・カロリー/生産金額)
IMF: International Monetary Fund 国際通貨基金
36
INTI: National Institute of Industrial Technology 国立工業技術院(亜国)
IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change
気候変動に関する政府間パネル(UNEP 国連環境計画と WMO 世界気象機構の共催で’88 年に発
足)
IPEEC: International Partnership for Energy Efficiency Cooperation
IPP: Independent Power Producer 独立系発電事業者
IREDA: Indian Renewable Energy Development Agency インド再生可能エネルギー開発庁
ISD: Initiatives for Sustainable Development
環境開発支援構想 (GAP 事業に基づく環境 ODA の拡充)
ISDN: Integrated Services Digital Network 総合デジタル通信網
IS-INOTEK: International Standard Innovation Technology Research Association(基準認証イノベー
ション技術研究組合)
ISO: International Organization for Standardization 国際標準化機構
ITS: Intelligent Transport System 高度道路交通システム
ITRI: Industrial Technology Research Institute 工業技術研究院(台湾)
IWTI: Industrial Water Technology Institute(タイ DIW の一部門)
J
JABIA: Japan Auto-Body Industries Association inc. (社) 日本自動車車体工業会
JAIDO: Japan International Development Organization Ltd. (株)日本国際協力機構
JAMA: Japan Automobile Manufacturers Association, Inc. (社) 日本自動車工業会
JBIC: Japan Bank for International Cooperation 国際協力銀行(日本輸出入銀行と OECF の合併)
JCA: Japan Cement Association 日本セメント協会
JCI: Japan Consulting Institute 日本プラント協会
JCIA: Japan Chemical Industry Association 日本化学工業会
JCOAL: Japan Coal Energy Center (財)石炭エネルギーセンター
JEC: Japan Environment Corporation 環境事業団
JEMAI: Japan Environment Management Association for Industry (社)産業環境管理協会
JEPIC: Japan Electric Power Information Center, Inc. (社)海外電力調査会
JETRO: Japan External Trade Organization 日本貿易振興会
JFC: Japan Finance Corporation 日本政策金融公庫
JFEO: Japan Federation of Economic Organizations (社)日本経済団体連合会(経団連)
JGA: The Japan Gas Association 日本ガス協会
JI: Joint Implementation 共同実施
JICA: Japan International Cooperation Agency 国際協力事業団
JICE: Japan International Cooperation Center (財)日本国際協力センター
JIS: Japan Industrial Standards 日本工業規格
JISF: The Japan Iron and Steel Federation 鉄鋼連盟
JIT: Just in Time
JMF: The Japan Machinery Federation (社)日本機械工業連合(日機連)
JOCV: Japan Overseas Cooperation Volunteers 青年海外協力隊
JODC: Japan Overseas Development Corporation (財)海外貿易開発協会
K
KEMCO: Korea Energy Management Corporation 韓国エネルギー管理公団
L
LBNL: Lawrence Berkeley National Laboratory 米国ローレンスバークレー国立研究所
LCA: Life Cycle Assessments
LCD TV: Liquid Crystal Display Television
LED: Light Emitting Diode 発光ダイオード
LNG: Liquefied (Liquid) Natural Gas 液化天然ガス
37
LPG: Liquefied (Liquid) Petroleum Gas 液化石油ガス
M
MCFC: Molten Carbonate type Fuel Cell 溶融炭酸塩型燃料電池
MEGTW: Ministry of Energy Green Technology and Water(?)(マレーシアのエネルギー省)
MEPS: Minimum Energy Performance Standards(最低エネルギー消費効率基準)
MEXT: Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology 文部科学省
METI: Ministry of Economy, Trade and Industry 経済産業省
MFCA: Material Flow Cost Accounting(マテリアルフローコスト会計)
MHLW: Ministry of Health, Labour and Welfare 厚生労働省
MIDEC: Manufacturing Industry Development Center
MM: Meeting of Minister 閣僚会議(APEC)
MLIT: Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 国土交通省
MLSS: Mixed Liquor Suspended Solid 活性汚泥浮遊物
MOE: Ministry of the Environment 環境省
MOI: Ministry of Industry 工業省
MOIT: (ベトナムのエネルギー省)
MOSTE: Ministry of Science, Technology and Environment 科学技術環境省
MOU: Memorandum of Understanding(覚書)
MTPEC: Multi-Training Program for Energy Conservation(ECCJ がアセアンに対して実施していた
研修プログラム)
N
NCPC: National Cleaner Production Centre(各国の CP センター)
NECC: National Energy Conservation Center(国家節能中心(中国省エネセンター)
)
NEDO: The New Energy and Industrial Technology Development Organization
新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEF: New Energy Foundation 新エネルギー財団
NFFO: Non-Fossil Fuel Obligation 再生可能エネルギーによる発電の買い上げ制度
NGL: Natural Gas Liquid 天然ガス液体
NGO: Non-governmental Organization 民間非政府団体
NIRE: National Institute for Resources and Environment 資源環境技術総合研究所
NPC: National Productivity Council 国家生産性協議会
NPO: Non Profit Organization 民間非営利団体
NPT: The Nuclear Non-Proliferation Treaty 核不拡散条約
NPV: Net Present Value 純(正味)現在価値
O
OAS: Organization of American States 米州機構
ODA: Official Development Assistance 海外開発援助
OE: Operational Entity 運営組織(CDM、JI の外部審査機関)
OECD: Organization for Economic Cooperation and Development 経済協力開発機構
OECF: Overseas Economic Cooperation Fund 海外経済協力基金(99 年に JBIC に統一)
OGCS: Oxygen Converters Gas Recovery Process
OJT: On the Job Training
OOF: Other Official Flow ODA 以外の公的資金の途上国へのフロー
OPEC: Organization for Petroleum Exporting Countries 石油輸出国機構
ORNL: Oak Ridge National Laboratory 米国オークリッジ国立研究所
ORP: Oxidation-Reduction Potential 酸化還元電位
P
PAFC: Phosphoric-Acid type Fuel Cell リン酸型燃料電池
38
PAJ: Petroleum Association of Japan 石油連盟
PAL: Perimeter Annual Load 建物外皮(外壁・窓)等からの熱損失の防止性能を評価する
PASC: Pacific Asia Standards Congress
PAT: Perform, Achieve and Trade(PAT 制度/インド)
PBE: Brazilian Labeling Program(ブラジルラベリング制度)
PCB: Poly-Chlorinated Biphenyl ポリ塩化ビフェニル
PCB: Power Circuit Breaker 電力回路遮断器
PCF: Prototype Carbon Fund 世界銀行のカーボン・ファンド
PCM: Project Cycle Management
PCRA: Petroleum Conservation Research Association 省石油研究協会
PDM: Project Design Matrix
PEC: Petroleum Energy Center
PEFC: Polymer Electrolyte type Fuel Cell 固体高分子型燃料電池
PF: Power Factor 力率
PID: Proportional-Integral-Derivative controller PID 制御器
PNEf: National Energy-Efficiency Plan(国家エネルギー効率計画/ブラジル)
PO: Plan of Operation
PPP: Purchasing Power Parity 購買力平価
PPP: Public-Private Partnership 官民協働
PPS: Power Producer and Supplier
PROCEL: National Electricity Conservation Program(国家省電力プログラム/ブラジル)
PROMEEC: Promotion for Energy Efficiency and Conservation
PRTR: Pollutant Release and Transfer Register 環境汚染物質排出・移動登録制度
PTM: Pusat Tenaga Malaysia (Malaysia Energy Center) マレーシア国エネルギーセンター
PV: Photo Voltaic 太陽光発電 (パネル)
PWM type: Pulse Width Modulation type Inverter
R
RC: Registered Consultant
タイ ENCON 法において工場に義務つけているエネルギー使用状況の省エネ診断・検証の施行を
DEDP に代行して行なう DEDP の登録下請コンサルタント会社
RD: Record of Discussion 討議議事録
RDF: Refuse Derived Fuel 固形燃料(廃棄物リサイクル燃料)
REA: Russia Energy Agency(ロシアエネルギー庁)
REEC: The Regional Energy Efficiency Centre 地方省エネルギーセンター(インド)
REEEP: Renewable Energy and Energy Efficiency Partnership
再生可能エネルギー及びエネルギー効率パートナーシップ
REEF: Renewable Energy and Energy Efficiency Fund
世界銀行/国際金融公社による再生可能エネルギー/エネルギー効率改善基金
RITE: Research Institute of Innovative Technology for the Earth
(財) 地球環境産業技術研究機構
RPS: Renewable Energy Portfolio Standard 再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準
3R: Reduce, Reuse and Recycle
4R: Reduce, Reuse, Recycle and Recovery
S
SBC: Surcharge-Funded Production Incentive グリーン電力料金
SBN: Sustainable Building Network led by Germany
SCORE: Supporting the Cooperation Organization of Rational Energy Use
SCSC: Sub Committee on Standard and Conformance (APEC)
SCW: Super Critical Water 超臨界水
SDA: State Designated Agencies 州特定地方局(インド)
39
SDC: Swiss Agency for Development and Cooperation (スイス)
SE4ALL:Sustainable Energy for All (国連の活動)
SEAD: The Super-Efficient Equipment and Appliance Deployment(超効率機器の設置に係る活動
/IPEEC)
SGA; Small Group Activities 小集団活動
SGES: Steering Group on Energy Standards エネルギー基準運営グループ(APEC)
SINOPEC: China Petroleum Corporation 中国石油化工総公司
SLT: Standing Group on Long-Term Cooperation 長期協力問題常設部会(IEA)
SSN: Sub Sector Network
SOFC: Solid Oxide type Fuel Cell 固体電解質型 (酸化物) 燃料電池
SOE: Senior Officials on Energy
SOME: Senior Officials Meeting on Energy 高級事務レベル会合(APEC)
SMEs: Small and Medium Enterprises 中小企業
SMEs: Small and Micro Enterprises 小規模零細企業
SPEC: Symposium on Pacific Energy Cooperation 太平洋エネルギー協力会議
SPM: Suspended Particle Materials 粒子状降下物(喘息等の原因となる大気汚染物質)
SPPs: Small Power Producers 小規模発電事業者
T
TAC: Treaty of Amity and Cooperation in Southeast Asia
TACIS: Technology Assistance to Commonwealth Independent States
欧州先進国による対 CIS 諸国援助スキーム
TBT: Technical Barriers to Trade
TCAPP: Technology Cooperation Agreement Pilot Program
米国の地球温暖化対策技術移転スキーム
TCE: Tons of Coal Equivalent
TCP: Technical Corporation Program
TDM: Transportation Demand Management 交通需要管理
TERI: The Energy and Resources Institute (インドのエネルギーと資源の研究機関)
TFC: Total Final Consumption of Energy
TILF: Trade and Investment Liberalization and Facilitation Special Account
TOE: Tons of Crude Oil Equivalent 原油換算トン
TRP: Top Runner Program
TOR: Terms of Reference
TPES: Total Primary Energy Supply
TPM: Total Productive Maintenance 全社的生産保全
TPM: Total Plant Maintenance 総合生産性維持
TPM: Technical Performance Measurement 技術管理・技術的パフォーマンス測定
TQC: Total Quality Control
TQM: Total Quality Management
TRT: Top-pressure Recovery Turbine 炉頂圧力回収タービン
TSI: Tentative Schedule of Implementation 実行計画案
TSL: Two Step Loan
TSP: Total Suspended Particles
粒子状降下物(喘息などの原因となる大気汚染物質、粒径が小さいものが PM10)
TuBE: Tuning of Building System for Energy Conservation
U
UN: United Nations 国際連合
UNES: United Energy Systems (Russian Utility)
UNCED: United Nations Conference on Environment and Development
国連環境開発会議(通称、地球サミット、1992 年)
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UNDP: United Nations Development Program 国連開発計画
UNECE: United Nations Economic Commission for Europe 国連欧州経済委員会
UNEP: United Nations Environment Program 国連環境計画
UNFCC: FCCC(国連気候変動枠組条約)に同じ
UNIDO: United Nations Industrial Development Organization 国連工業開発機構
UPS: Uninterruptible Power Supply System 無停電電源装置
USAEP: US-Asia Environment Partnership 米国による対アジア環境保全技術移転スキーム
USAID: US Agency for International Development 米国国際開発庁
USCSP: US Country Study Program 米国地球温暖化対策国別研究プログラム
USEPA: United States Environmental Protection Agency 米国環境保護局
USIJI: US Initiative on Joint Implementation 米国共同実施イニシアティブ
V
VAT: Value- Added Tax 付加価値税
VICS: Vehicle Information and Communication System 道路交通情報通信システム
VSD: Variable Speed Drive 可変速駆動
VVVF: Variable Voltage and Variable Frequency 可変電圧可変周波数(Inverter)
W
WB: World Bank 世界銀行
WBCSD: World Business Council for Sustainable Development 世界経済人会議
WEACT: Worldwide Energy Efficiency Action through Capacity Building and Training (led by Italy)
WEC: World Energy Council 世界エネルギー会議
WEEA: World Energy Efficiency Association 世界省エネルギー協会
WHO: World Health Organization 世界保健機構
WMO: World Meteorological Organization 世界気象機構
WSSD: World Summit on Sustainable Development
持続可能な開発に関する「環境開発サミット」、2002 年 8 月/ヨハネスブルグ
WTO: World Trade Organization 世界貿易機関
Z
ZERI: Zero Emission Research Institute
ZEB: Zero Energy Buildings
ZEH: Zero Energy Houses
ZD: Zero Defects 不良品
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