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小・中学生の社会的・私的生活習慣が心理的 健康及び学業への意識に

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小・中学生の社会的・私的生活習慣が心理的 健康及び学業への意識に
研究論文子ども社会研究12号Joz""α/q/cノ"〃Sr"dy,M).ノ2,J""2,2006:30-43
小・中学生の社会的・私的生活習慣が心理的
健康及び学業への意識に及ぼす影響
角谷詩織
無藤隆
問題・目的
(1)今日の思春期の子どもを取り巻く問題
今日,思春期の子どもたちの引き起こす深刻な事件が大きな問題となっている。また,
教育実践の場では,子どもたちの生活習'│貫の乱れや学習意欲の低下が問題とされている。
Eccles(2004),Eccles,Wigiield,&Schiefele(1998)は,発達段階一環境適合理論の中で,思春期
の子どもの心理的健康の低下は,発達的に不可避ではあるが,彼らを取り巻く環境を適した
ものにすれば,その低下を最小限度のものにとどめることができる可能性を論じている。本
研究では,小学5年生から中学3年生までの思春期の子どもを対象とした大規模な縦断的
調査をもとに,思春期の子どもたちの生活習慣や心理的健康学業への意識を把握し,生活
習│貫が子どもの意識にどのような影響を与えるのかを縦断的に検討することを目的とする。
(2)今日の思舂期の子どもを取り巻く環境一子どもの社会的・私的生活習慣一
Eccled(2004),Ecclesら(1998)のいうところの,思春期の子どもに適した環境には,学校
環境だけではなく,子どもの社会的・私的生活全般にわたる習慣をも含めるべきだろう。な
ぜなら,子どもの生活基盤は学校だけではなく,また,子どもの社会的あるいは私的な生活
習慣もまた学校生活へ影響を与えるからである。そして,子どもの生活習慣は,子どもの心
理的健康や,学校生活,学業への意識に何らかの影響を与える可能性が推測される。
現代の子どもの生活習慣上の大きな変化は,以下の4点に分類できる。それは,朝食を摂
らない,パソコン・携帯電話などのニューメディア機器の日常化,屋外での活動の減少,学
習形態の変容である。
a)朝食の摂取
朝食の摂取に関して,給食が一日の最初の食事である児童・生徒がいるという問題を抱え
ている学校は少なくない。「朝食を食べよう」という学校便りを出す学校も多い。朝食を食べ
ない子どもは,低学年では学校での元気がなく,高学年では意欲が低いという問題が,教育
(すみや.しおり上越教育大学)(むとう.たかし白梅学園大学)
30
小.!''学生の社会的‘私的生活習椚が心理的健康及び学業への意識に及ぼす影響:カ谷・無藤
実践の場から度々出される。
b)パソコン・携帯噛話などのニューメディア機器の1I常化
パソコンの使用に関しては,村上(2005)が,直接体験と電子メディアを通じた間接体験
との違いを,「雰囲気を感じる」ことの差異に注目して論じている。村上は,子どもは直接
体験の積み重ねの中で空気に身体全体が関わることによりく世界感〉を形成していくこと,
電子メディアを通じた雰囲気は,空気に触れないという点で子どもが何らかの物足りなさを
感じる可能性があることを示唆している。また,電子メディアは,実際の世界よりも雰囲気
を効果的に漂わせることができること,実際の世界では出くわすことが無いようなことが経
験できる可能性も認めながらも,それは,あくまでも,身体全体を使った空気の体感ではな
く,視覚と聴覚に限定された雰囲気であるという点を指摘し,子どもの偏った能力の育成が
懸念されている。これは,後述の,屋外での活動の減少や,学習形態の変化とも密接に関連
した生活習慣の変化であり,課題でもある。
携帯電話もまた,メディアに関わる現代の子どもの生活習慣の大きな変化の一つである。
近年,子どもの携帯電話の利用率が大幅に増加している(石井,2003)。2003年2月の時
点で,首都圏の中学1年生の携帯電話所有率は,男子で21%,女子で41%となった(角谷・
無藤2004)。その所有のきっかけや目的は,小学生では,保護者が子どもの安全,塾通い
と関連した夜遅くの外出に備えて,子どものために買い与えるケースもあるが,中学生にな
ると,特に女子では,周囲の友だちが持ち始めることによって自分も欲しくなるという場合
もある。石井(2003)は,青年の携帯電話使用形態が人間関係の構築・維持のために重要な
アイテムとされていることを指摘している。一方で,子ども專用の携帯電話の所有が,社
会的.心理的問題性の高さと関連する可能性も示唆されている(甫谷・無藤,2005)。また,
石井(2003)は,青年の人間関係の特性として「いつも一緒の付き合い」をあげ,その特性が,
携帯電話の普及に伴ってより進化してきたと論じている。そして,「いつも一緒の付き合い」
の維持に必要な場として,夜の「コンビニ」の駐車場「カラオケ」等をあげ,青年が学校・
家庭・地域といった場ではなく,街での消費生活に最も適応していると論じている。岩内・
陣内(2005)もまた,若者の社会化の要因に関して,90年代半ばには,消費社会や情報社
会の影響のなかで,学校内での学業主義的地位がもはや主要な要因ではなくなったと論じて
いる。そして,家,学校,地域という既存の枠組みとは別に,サブカルチヤーの接点として
街が,若者にとって重要となっていることを指摘した。このような,携帯電話の所有によっ
てより顕著に社会的に表出されてきた青年の人間関係の特性や,学校・家庭・地域よりも消
費生活へ最も適応しているといった実態は,中学3年生までの義務教育段階で,心理的成
熟が未だ不安定な時期の子どもにまで波及することにより,彼らの携帯電話使用と社会的・
心理的問題性の高まりとの間に,何らかの関連がみられることが推測される。
c)膿外での活動の減少・身体的活動の減少
子どもの屋外での遊びの経験の不足,パソコンやテレビゲームの使用等の増加に伴い,身
体活動の不足が生じることで,子どもの心身の健康に与えるネガティブな影響が懸念されて
いる(上地・竹中・鈴木,2003)。上地ら(2003)は,小学4∼6年生を対象とした身体活
動に対する子どもの意識を検討する中で,身体活動を習│貫的に行うことが,子どもの心理的
。1
ジ ユ
子ども社会研究12号
健康にポジティブな影響を与えることを論じると共に,特に女子において身体的活動を習慣
づける事が困難であることを示している。自然体験は,子どもの認知,情緒的発達にポジ
ティブな影響を与えること(Kellert,2002;増山,2003),特に思春期までの子どもに自然体
験の必要性が大きいこと(Chawla,2002;Kaplan&Kaplan,2002)が示されている。Kaplan&
Kaplan(2002)は,8歳と11歳の低年齢群,15歳の青年期群,大学生と35歳の高年齢群と
の3つの群の自然経験自然への認識を検討し,低年齢群で自然体験を多く経験し自然に
対してポジティブな意識を抱く事が,その後の自然へのポジティブな態度を育成すると論じ
ている。このことからも,思春期における自然体験の重要性が伺える。
d)学習形態の変容
近年の子どもの社会的習│貫の一つに,塾通いがある。自然の中で遊び,遊びを通して無意
識的に新しいものを発見し学習していくという学習形態をもつ余裕が,社会にも,親をはじ
めとする家庭にもなくなっている。その代わり,放課後や休日に塾へ通い,テキストを通し
て学習を進める子どもの姿が一般的になっている。2004年2月時点では,中学2年生の約
60%,小学5年生の約30%が塾通いを経験している(無藤・川浦・角谷,2005)。この現
象の背後には受験があるが,「お受験」の低年齢化とともに,児童・生徒の学習意欲や学力
低下も問題とされている。この状況を,岩内・陣内(2005)は,高度経済成長後の「希望な
き二極化分解」と称し,「皆が乗っている電車から,親も子も降りることができなくなった」
状況とみなしている。しかし,塾へ通う事が,子どもの学習意欲や学業への自信へどのよう
な影響を与えるのかを統計的に検討した研究はほとんどみられない。小針(2002)は,小・
中学生を対象として,学校外学習時間と学業成績との関連を検討し,中学生において,休日
の学校外学習時間が学業成績へ影響を与える可能性を見出した。角谷(2004)は,小学5年
生から中学3年生を対象として,理科の好き嫌いの理由の構造を見出した。その中で,小
学生では,学習内容の物足りなさが,中学生では,学習内容の困難さが理科の嫌いな理由と
して挙げられる割合が高いことを示した。これは,理科に限定されてはいるものの,子ども
の学業に対する得意不得意の意識(学業コンピテンス)に対して,「既に知っている」ある
いは「難しい」という認識が関わっていることを示している。この認識には,学校での授業
の予習や補修の役割を担っているような塾へ通って学習をするという生活習慣とも関連する
だろう。塾通いという,現代の子どもの社会生活習慣は,子どもの学業への意識に何らかの
影響を与えている可能性が考えられる。
さらに,自分で本を読んだり,本で何かを調べるというような学習スタイルもまた,子ど
もの学業への意識に影響を与える可能性が示されている(高橋2001)。すぐに正答を知ら
ないと不安になる子どもが多いことが問題ともなっており,問題解決のプロセスを楽しみ,
その方法に習熟することが必要とされている。その学習プロセスに欠かすことのできないも
のの一つとして,活字情報を通して調べるという活動がある。ニューメディアに馴染んでい
る現代の子どもにとって,書籍や新聞などの印刷された情報を,自らの問題意識に基づいて
選び,読み進める習慣の必要性が見直されている。
上述の子どもの社会的・私的生活習慣の実態を捉えるとともに,それらが,子どもの心理
的健康にどのような影響をもたらすのかを,以下の仮説をたて縦断的調査を通し検討するこ
32
小・中学生の社会的・私的生活習慣が心理的健康及び学業への意識に及ぼす影響:角谷・無藤
とを本研究の目的とする。
(3)仮説
本研究では,まず,小学5年生から中学3年生の児童・生徒の社会的・私的生活習慣(朝
食摂取,スポーツ,自然を使った遊び,塾,読書パソコン使用,携帯電話使用の頻度),
心理的健康・学業への意識(抑うつ傾向,学校生活満足感,学習観,学業コンピテンス)の
様相を捉える。その上で,子どもの社会的・私的生活習慣が心理的健康や学業への意識へ与
える影響について,以下の仮説に基づいて検証する。
a)朝食摂取の頻度が高いほど,心理的健康度が高まるだろう。
b)パソコン,携帯電話などの電子メディアの使用頻度は,学業コンピテンスを高めるが,
心理的健康の程度を低くするだろう。
c)外でスポーツをしたり,自然の中で遊ぶ頻度が高いほど,心理的健康の程度は高まるだ
ろう。この影響関係は,特に小学生において顕著にみられるだろう。
d)塾へ行く頻度は,学業コンピテンスを高めるが,学習観や学校生活への満足度を高める
ことはないだろう。
e)読書頻度の高さは,学業コンピテンスを高めるだろう。
方法
調査方法:学校への郵送による質問紙調査。各学級での集団実施を依頼した。
調査時期:2004年7月(第1回調査:TI),2005年2月(第2回調査:T2)。
分析対象:第1回,2回の調査とも有効回答者となった,地方および首都圏の小学5年生か
ら中学3年生4,625名(表l)。
調査内容:フェイス・シートの他,以下の項目を使用した。
(1)社会的・私的生活習慣
朝ご飯を食べる頻度,一週間当たりのパソコン・携帯電話の使用
遊ぶ頻度,自然の中で遊ぶ頻度塾に行く頻度本を読んだり本
頻度,外でスポーツをして遊ぶ頻度,自然(
階尺度で尋ねた。これらは,得点が高いほど,その頻度が高いこ
で何かを調べる頻度を5段階尺度で尋ねた。
とを示す。
(2)心理的健康学業への意識
抑うつ傾向(「何もやる気がしない」等4項目)(角谷・無
燕(「学祐は楽しい,等5項目)(角谷.2005).ポジティブ
藤2003),学校生活への満足感(「学校は楽しい」等5項目)(角谷,2005),
藝年一応一埜理些些計
のかわからない[反]」等4項目)(角
女a
男a
な学習観(「なんのために勉強している
学
トの点はいいほうだ」等5項目)(角谷,
2001;2005)に関する項目を4段階尺度
によって尋ねた。これらは,得点が高い
ほど,各々の傾向が強いことを示す。な
342188
子詔詔印認印鐙
谷,2001),学業コンピテンス(「テス
O79657
子詔詔師鎚帥詔
表1分析対象者内訳(人)
クミワnnllJ学幸一T、ノ芦手、/アイ「、千冤
計
563
581
1,251
1,217
1,013
4,625
お,各尺度は,それぞれl因子性が確
33
子ども社会研究12号
認されているものを使用した。
結果と考察
社会的・私的生活習慣については,項目変数レベルで,心理的健康学業への意識につ
いては,合成変数レベルでの分析を行った。各変数の平均値(M)と標準偏差(SD)を表2,3
に記す。
(1)社会的・私的生活習慣の学年・性別比較
社会的・私的生活習慣に関する7項目について,時期(Tl,T2)×性別×学年の三元分散分
析を行った。平均値のグラフを図1,2に記す。
a)朝食の摂取
分析の結果,「朝ごはんを食べる」について,有意な三元の交互作用がみられた
(F(4.4563)=2.61,p<.05)。′│生別による下位検定の結果女子では,学年の有意な主効果がみら
れ(F(4,2212)=6.08,p<.0()l),学年と共に朝食を摂る頻度は低下した。男子では,中2と中3
で時期の主効果がみられ(中2;F(,,63,)=3.94,p<.05,中3;F(1,496)=8.80,p<.01),Tlから
T2にかけて,朝食頻度は低下した。
b)パソコン・携帯電荊などのニューメディア機器との接触
「パソコンを使う」について,有意な三元の交互作用がみられた(F(4、4445)=2.43,p<.05)。
性別による下位検定の結果男子では,時期(FI!,2287)=33.14,p<.001),学年(F(4,2287)=3.90,
p<、01)の主効果がみられ,学年と共に使用頻度は低下するが,TIからT2にかけて使用頻
T2
外で自然をつかって遊ぶTl
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塾 に 行 < 「 1 , 1
′
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2
本を読んだり、本で何かを調べるTl
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外でスポー、ソをして遊ぶTl
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朝ごはんを食べるTl
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中
表2各変数の平均値(M)および標準偏差(SD)男子
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0,62
0.64
小・中学生の社会的・私的生活習慣が心理的健康及び学業への意識に及ぼす影響:角谷・無藤
表3各変数の平均値(M)および標準偏差(SD)女子
本を読んだり、本で何かを調べる
1
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2
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…
一朝ごはん軽食べるT1
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・・・◆‘‘”朝ご臆.ん寵食べるT2
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−←識…使うT!:!
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−外でスポーツをK,で避
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2.00
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‐‐暑・・茎に行くTZ
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−←本篭読ん捻り、本で何
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か径鋼べ畠Tを
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かを撰べるT2
1.00
1.00
小5小6中1中を中3
小5小6中I中2中3
度は上昇した。女子では,有意な時期×学年の交互作用がみられ(F(4,2518)=3.23,p<.05),小5,
6,中lでは,TlからT2にかけてその頻度は上昇した。
「携帯電話を使う」について,時期×学年の交互作用がみられた(F(4.4525)=5.59,p<.001)。
また,性別の有意な主効果もみられ(F(1,4525)=304.77,p<,001),女子のほうが使用頻度が高
かった。学年別による下位検定の結果小6,中1,2,3で時期の有意な主効果がみられ
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TIからT2にかけて使用頻度が上昇した。
35
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22−33−33−22
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朝ごはんを食べる
1,5
子ども社会研究12号
c)屋外での活動・身体的活動
「外でスポーツをして遊ぶ」について,時期×学年の交互作用がみられた(F(4,4538)=3.04,
p<.05)。また,性別の有意な主効果もみられ(F(4,4538)=452.40,p<.001),男子のほうが頻度
が高かった。学年別による下位検定の結果いずれの学年も時期の有意な主効果がみられ
(
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中
2;F(,,,20,)=60.36,p<.001,中3;F(,、1000)=85.51,p<.001),中3で,TlからT2への低下の
程度が大きかった。
「外で自然をつかって遊ぶ」について,有意な三元の交互作用がみられた(F(4、4505)=2.73,
p<.05)。性別による下位検定の結果男子では,時期(FI!,2317)=38.76,p<.001),学年
(F(4,2317)=66.95,p<.001)の主効果がみられ,学年と共に,また,TlからT2にかけて「外で
自然をつかって遊ぶ」頻度は低下した。女子では,小5,6,中1,2で時期の有意な主効果
がみられ(小5;F(1,276)=10.10,p<.01,小6;F(1,286)=16.13,p<、001,中l;F11,553)=16.92,
p<.001,中3;F(L50,)=24.71,p<.001),TlからT2にかけて,「外で自然をつかって遊ぶ」
頻度は低下した。
d)学習形態
「塾に行く」について,有意な三元の交互作用がみられた(F(4.45,9)=2.91,p<.05)。下位
検定の結果,小5,6では,有意差がみられなかった。中lでは,時期の主効果が有意
で,TlからT2にかけてその頻度が上昇した(F(1.│208)=10.38,p<.01)。中2では,時期
(F(,,,20,)=46.25,p<.001),性別(F(1,,20,)=8.56,p<.01)の主効果が有意で,TlからT2にかけ
てその頻度は上昇し,男子の方が頻度が高かった。中3では,時期×性別の交互作用が有意
であり(F(,,998)=4.48,p<.05),女子の方が,TlからT2にかけてその頻度の上昇率が大きか
った。
「本を読んだり,本を使って何かを調べる」について,時期×学年の交互作用がみられた
(F(4,4515)=4.92,p<.01)。また,性別の有意な主効果もみられ(F(l、4515)=20.93,p<、001),女子
のほうが,その頻度が高かった。学年別による下位検定の結果,小5,6で時期の有意な主
効果がみられ(小5;F(,、545)=5.44,p<.05,小6;F(,,566)=11.36,p<.01),TlからT2にかけ
てその頻度が低下した。
(2)心理的健康学業への意識の学年.性別比較
心理的健康学業への意識に関する4変数について,時期×性別×学年の三元分散分析を
行った。平均値のグラフを図3,4に記す。
「抑うつ傾向」について,時期×学年の交互作用がみられた(F(4,4558)=5.81,p<.001)。ま
た,性別の有意な主効果もみられ(F(1,4558)=310.46,p<.001),女子のほうが抑うつ傾向が高
かった。学年別による下位検定の結果,小5’中lで時期の有意な主効果がみられ(小5;
F(1,554)=5.62,p<.05,中l;F(1,1224)=18.59,p<、001),小5ではTlからT2にかけて抑うつ
傾向が低下し,中lでは,TIからT2にかけて抑うつ傾向が上昇した。
「学校生活満足感」について,時期×性別(F(1,4542)=6.46,p<.05),時期×学年
(F(4,4542)=21.74,p<、001)の交互作用が有意であった。性別による下位検定の結果,男女とも,
36
小・!1:!学生の社会的・私的生活習慣が心理的健康及び学業への意識に及ぼす影響:角谷・無藤
4.00
4
.
0
〔
〕
−抑うつ傾向Tl
−抑うつ傾向TI
,’・◆,,抑うつ蟻│鋤γ2
・・・◆-‐・抑うつ鎮廊T2
−学校生活泌足懲
3.00
−学校生湛浅薄落
3.00
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..・▲・・・学綴批湛競蹄・螺
..¥▲一・・学校生潟・瀧疑感
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−号=学習顎T1
−←学啓瓢T1
#
..−日・・・学潜醗T2
2,OQ
...日--・学鷲製.T2
2、gD
−学蕊.コンビテンス
−−学頚コンピテンス
Tl
71
、..◆・・学蟻.コンピテンス
'・'令.'‘掌・蕊.コンピテンス
・了少
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小5小6中1中2中3
中I中2中3
時期×学年の交互作用が有意であった(男子;F(4,2348)=7.44,p<.001,女子;F(4,2194)=14.63,
p<.001)。男子では小6,中’において’女子では,中lにおいて,TlからT2にかけて「学
校生活満足感」の低下がみられた。
「学習観」について’有意な三元の交互作用がみられた(F(4,4452)=3.58,p<.01)。性別によ
る下位検定の結果,男女とも’時期×学年の交互作用が有意だった(男子;F14,2295)=3.34,
p<.05,女子;F(4,2157)=20.69,p<.001)。中lにおいて,TlからT2への低下が顕著であり,
その程度は女子でより大きかった。
「学業コンピテンス」について,時期×学年の交互作用が有意であった(F(4,4505)=15.19,
p<.001)。また’有意な性別の主効果がみられ(F(1,4505)=73.37,p<.001),男子の方が「学業
コンピテンス」が高かった。学年による下位検定の結果,小5(F(,,54,)=13.09,p<.001),中l
(FIL1210)=88.63,p<.001)において時期の主効果がみられ,TlからT2にかけて「学業コンピ
テンス」が低下した。
心理的健康,学業への意識は,中l以降,時期,学年とともにネガティブになる傾向がみ
られ,TIからT2へのネガティブな変化の程度は中,において特に顕著だった。一方,小
5では,TlからT2にかけてポジティブな変化を呈する面もあり,小学生では,必ずしも時
期とともにネガティブな変化は示さなかった。
(3)社会的・私的生活習慣が心理的健康・学業への意識に及ぼす影響
子どもの社会的・私的生活習慣が心理的健康や学業への意識に及ぼす影響を検討するため,
Tlの社会的・私的生活習│貫に関する7変数とT2の心理的健康・学業への意識4変数との
偏相関を検討した(表4,5)。T2の心理的健康・学業への意識に関する変数それぞれに対
応するTlの変数を制御変数とした。縦断的な偏相関をとることにより,社会的・私的生活
習慣の,ある程度持続的な影響の方向を検討することが出来る。
分析の結果,以下の結果が得られた。本文中のカッコ内に偏相関係数r及びp値を記す。
a)朝食の摂取の影響
「朝ごはんを食べる(Tl)」と「抑うつ傾向(T2)」間では,小5男子(r=-.27,p<.001),
中2男子(r=-.07,p<.l)において有意な負の相関が見られた。男子の他の学年,また,女子
37
子ども社会研究12号
では有意な相関はみられなかったが,いずれも偏相関係数は負の値を示した。また,「学校
生活満足感(T2)」との関連では,小5男子(r=.15,p<.05),中l男子(r=、09,p<.01),小
5女子(r=、12,p<.l),中3女子(r=.13,p<.01)で有意な正の偏相関がみられた。更に,「学
業コンピテンス(T2)」との関連では,中l女子において有意な偏相関がみられた(r=.18,
p
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0
1
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。
朝食を食べる習慣があることは,子どもの心理的な健康を高めることを示す結果となった。
それは,男子では抑うつ傾向の低さ,女子では,学校生活満足感の高さという形で現れた。
さらに,女子では学業へのポジテイブな影響もみられる可能性が考えられる。
b)パソコン・携帯電話などのニューメディア機器の影響
「パソコンを使う(Tl)」と正の関連のみられたものは,「学校生活満足感(T2)」(小6男
子;r=.20,p<.01,中l女子;r=.09,p<、05),「学業コンピテンス(T2)」(小5男子;r=.13,
p<.1,中l男子;r=.12,p<.01)だった。
パソコンの使用頻度の高さが学業コンピテンスを高める可能性が示唆された。
「携帯電話を使う(TI)」は,女子においてネガティブな影響がみられた。つまり,「抑う
つ傾向(T2)」と正の相関がみられた(小6女子;r=.17,p<.01,中l女子;r=.11,p<.01,
中2女子;r=.11,p<.01)。また,中3女子では「学習観(T2)」と負の相関がみられた
(r=-.09,p<.05)。さらに,中2女子において「学業コンピテンス(T2)」と負の相関がみら
れた(r=-.08,p<.5)。一方,小学生男子では,「学業コンピテンス(T2)」と正の相関がみら
れた(小5男子;r=.15,p<.01,小6男子;r=.12,p<.01,)。
携帯電話の使用頻度は,男子では学業面へのポジティブな影響,女子では,特に心理的健
康面へのネガティブな影響がみられた。
c)屋外での活動・身体的活動の影響
「外でスポーツをして遊ぶ(Tl)」と「抑うつ傾向(T2)」間では,小5男子(r=-.16,
p<.05),小5女子(r=-.12,p<.l),小6女子(r=-.15,p<.05)において有意な負の相関が見
られた。「学校生活満足感(T2)」との関連では,小5男子(r=.18,p<.01),中l男子(r=.10,
p<、01)で有意な正の偏相関がみられた。
外でスポーツをして遊ぶことは,特に小学5,6年生において,心理的な健康を高めること,
男子で学校生活満足感を高めることが示唆された。
「外で自然をつかって遊ぶ(Tl)」と正の相関のみられたものは,中3男子の「学校生活
満足感(T2)」(r=.10,p<.05),小6女子の「学業コンピテンス」(r=.15,p<.05)であった。
他は有意な関連はみられなかったが,学校生活満足感との偏相関係数は正の値を取った(中
3女子を除く)。一方,中2男子(r=-.12,p<.01),中3男子(-r=.08,p<.l)では,「学業コ
ンピテンス」と負の相関がみられた。
外で自然の中で遊ぶことは,中学3年生の学校生活満足感の高さに影響を与えることが
示された。しかし,中学生では,学業コンピテンスの低さを誘引する要因ともなった。
d)学習形態の影響
「塾に行く(Tl)」と「学業コンピテンス(T2)」間で正の相関が見られたのは,小5女子
(r=.22,p<.01),中2男子(r=・13,p<.01)だった。小5女子では,「学習観(T2)」とも正
38
表4T1からT2への影響:T1の抑うつ傾向学校生活満足感学習観学業コンピテンスを各々制御したときの偏相関係数(男子)
学業コンピテンス(T2)
.02、03、07
.()9,12**、03
本
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制御変数
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表5T1からT2への影響:T1の抑うつ傾向,学校生活満足感学習観学業コンピテンスを各々制御したときの偏相関係数(女子)
小5
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外で自然をつかって遊ぶ(TI)
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外でスポー、ソをして遊ぶ(TI)
戸nJへくJウI戸nJ︵川U,刎柴ハⅢ︶
パソコンを使う(Tl)
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.04、07’04
学業コンピテンス(TI)
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T2(従属変数)
今・丑椎時s洋恥雪・鉾毒時萌咽顕強己隠雪露悪淘呉牲維,s艸聲汽淳頭寺認噸︾二噸・浦需
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外で自然をつかって遊ぶ(TI)
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学習観(T2)
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学校生活満足感(T2)
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抑うつ傾向(T2)
子ども社会研究12号
の相関がみられた(r=.18,p<.01)。
塾へ通うことは,学業コンピテンスの高さを誘引する学年もあるが,安定しているとはい
えない。
「本を読んだり,本で何かを調べる(Tl)」と顕著な正の相関がみられたのは,小5の「学
業コンピテンス(T2)」だった(男子;r=.19,p<.01,女子;r=.11,p<.05)。
小学5年生では,読耆,書籍を用いた学習が学業コンピテンスを直接高める事が示された。
総合的考察
(1)今日の思春期の子どもを取り巻く環境一社会的・私的生活習慣の変化一
本研究結果から,小学5年生から中学2年生にかけて,外でスポーツをしたり,自然の
中で遊ぶ頻度が減少し,塾へ行く頻度が高まった。これは,高校受験が現実的な問題となっ
てくる中学生の社会的・私的生活習慣の代表的な変化とみなすことができる。現代の思春期
の子どもは,部活動で身体を動かしてはいても,自由に自然の中で身体を動かして活動する
ことから急激に遠ざかり,椅子に座っての勉強へ打ち込むような生活へと変化せざるを得な
い状況にある。
同時に,どの学年でも,TlからT2にかけて,携帯電話やパソコンという電子メディア
の使用頻度が高まり,電子メディアの急激な普及の波が,より低学年へ波及していることが
示された。子どもの間での電子メディアの急激な普及(無藤・川浦・角谷,2005)が今もな
お継続していると捉えられる。
このような社会的背景の下,思春期の子どもは,心理的健康面,学業への意識面におい
て,ネガティブな変化を示した。しかし,小学5,6年生や中学2,3年生では,その低下
は顕著ではなく,むしろ,小学5年生ではTlからT2へポジティブな変化をみせた。ただし,
中学1年生におけるネガティブな変化の程度は大きく,特に,女子で顕著であった。中学1
年生は,前述したような,急激な社会的・私的生活習慣の変化に適応しなければならず,ま
た,小学校から中学校への入学という大きな環境の変化にも対応しなければならない。思
春期における心理的,学業的困難は,多くの先行研究において示されている(Eccles,2004;
Eccleseta1.,1998;Susman&Rogol,2004)が,それは,中学1年生において特に顕著であり,
子どもの社会的・私的生活習慣の変化の背景となる,教育実践の場や家庭,地域も含めた日
本の社会において中学1年生への配盧が必要だと思われる。
(2)社会的・私的生活習慣が心理的健康学業への意識に与える影響
本研究では,縦断的な因果モデルをたて,自己相関を考慮したうえでの関連をみたため,
大きな相関係数を得ることはなかった。しかし,相関係数が小さくなる傾向の強い縦断的な
モデルにおいてもなお,意味のある関連を見出すことにより,以下の仮説が指示されたと推
察できる。
a)朝食摂取の頻度が高いほど,心理的健康度が高まるだろう。
これは,特に小学5年生の男子で顕著であった。しかし,他の学年や女子においても,こ
40
小・中学生の社会的・私的生活習慣が心理的健康及び学業への意識に及ぼす影響:角谷・無藤
の関連がみられる傾向が得られたため,思春期の子どもの発達には,朝食摂取は重要な要因
であることが推測できる。この背後には,一日のエネルギー源として朝食を摂るという,生
理的・身体的要因と共に,朝食を摂ることのできる家庭的,また,心理的な余裕の要因も関
連しているだろう。
b)パソコン,携帯電話などの電子メディアの使用頻度は,学業コンピテンスを高めるが,心理
的健康の程度を低くするだろう。
パソコンの使用頻度が高いことは,学業コンピテンスの高さを予測した。本研究では,「パ
ソコンを使って知りたいことを調べる」や「パソコンを使って学校の勉強を調べる」頻度を
尋ねたために,実際の世界では遭遇できないようなことや知的素材の提供(村上,2005)の
側面をより顕著に抽出したのかもしれない。子どもたちが,電子メディアをどのように利用
するのか,その利用目的が重要であり(Roberts,Henriksen,&Foehr,2004),その目的を建設的
な学習と関連したものとすれば,電子メディアを通した学習の意義が発揮される可能性が示
唆された。
しかし,携帯電話の使用頻度は,特に女子において,心理的健康面へのネガティブな影響
が現れた。このことは,思春期において,閉ざされたコミュニケーション手段である携帯電
話の使用には,何らかの配慮が必要であることを示唆している。また,青年の新たな適応の
場が街となる今日(石井,2003;岩内・陣内,2005),街に適応すること自体が,彼らの心
理的状態をネガティブにするのであれば,街に適応する思春期の子どもへ配盧した社会的な
環境が必要となるだろう。
c)外でスポーツをしたり,自然の中で遊ぶ頻度が高いほど,心理的健康の程度は高まるだろう。
この影響関係は,特に小学生において顕著にみられるだろう。
スポーツをする頻度と心理的健康との関連は,特に小学生において顕著に見られた。これ
は,小学生において,身体的活動が重要であるという,上地ら(2003)の見解と一致している‘
中学生では,その関連はみられなかったが,それは,中学生全体として,自由にスポーツを
して遊ぶだけの十分な自由時間が少なくなる(岩内・陣内,2005)ことが背景にあると思わ
れる。自然の中で遊ぶことは,学校生活満足感を高めたり,学業コンピテンスを高める結果
が得られ,その重要性も示唆されたが,中2,3男子では,学業コンピテンスの低さを予測
する要因ともなり,一概にポジティブな影響だけとはいえない。この,ネガティブな影響を
呈した学年が中学2,3年生であることから,それより低い学年での自然体験が重要なのか
もしれない。Kaplan&Kaplan(2002)は,青年期群が,他の時期と比較して,自然に対する
ポジティブな認識が低いことを示していることからも,青年期に入って自然に親しむ子ども
は,何らかの特異性があるのかもしれない。
本研究からは,塾へ通う頻度の高さ,読書頻度の高さは,子どもの学業への意識にポジテ
ィブな影響を与える可能性が示唆されたが,安定した結果は得られなかった。「塾へ行けば勉
強ができるようになるだろう」という認識がまったく根拠の無いことではないことを示す
結果となった。小学5年生では,読耆が男女とも学業コンピテンスの高さを予測したため,
小学生においては,外から要求されずに,自発的な興味に沿った学習や,あるいは,読書そ
41
子ども社会研究12号
のものの意義が大きいと考えられ,高橋(2001)の示唆と一貫した結果となった
まとめと今後の課題
本研究では,思春期の子どもの社会的・私的生活習慣と,心理的健康学業への意識の変
化を把握した。。ただし,本研究においては,塾の特性を詳細に分類した上での分析を行っ
ていない。受験を主たる目的とした塾と,学校での学習の補習を主たる目的とした塾の違い
などにより,その影響が異なることも考えられるため,今後のより詳細な分析が必要となる
だろう。その中で,中学1年生における急激な社会的・私的生活習慣の変化とネガティブ
な心理的変化が示され,中学1年生への配盧の必要性が示唆された。本研究では,各学年
ごとに検討したが,その結果,中学1年生における大きな変化が見出されたことから,小
学生と中学生の特性の違いに特に注目した分析も必要であろう。また,些細に受け取られが
ちな,現代の子どもの日常的な生活習慣が,彼らの心理的健康や学業への意識に与える影響
は,各要因の自己相関を考慮して長期的に検討したときにも無視できないものであることが
確認された。
しかし,その関連が安定しているとはいえない面もあり,特に,読書や塾へ通うこととの
関連は不安定であった。また,電子メディアの使用状況との関連では,その使用目的の重要
性も推測された。今後,生活習│貫に関わる変数を,項目レベルから因子レベルにあげて要因
自体を安定させると共に,生活習慣の量的側面だけではなく,その目的や,主体的なものか
どうか等の生活習慣の質的側面を捉えた分析が求められるだろう。
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した。
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