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平成18年度 中城湾港泡瀬地区環境保全・創造検討委員会 内閣府沖縄

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平成18年度 中城湾港泡瀬地区環境保全・創造検討委員会 内閣府沖縄
資料-4
平成18年度
中城湾港泡瀬地区環境保全・創造検討委員会
第1回 比屋根湿地・泡瀬地区海岸整備専門部会資料
比屋根湿地環境整備の基本設計の方向性
平成19年2月7日
内閣府沖縄総合事務局開発建設部
沖 縄 県 土 木 建 築 部
沖 縄 市 東 部 海 浜 開 発 局
(財)港湾空間高度化環境研究センター
目
次
1.検討対象範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.比屋根湿地浄化施設設計に向けての事象の集約 ・・・・・・・2
(1)湿地の現況基盤高 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)土質の浸透性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3)降雨の特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(4)雨水幹線流量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(5)地下水の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(6)汚濁負荷量の特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(7)まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
4.比屋根湿地浄化施設の検討 ・・・・・・・・ ・・・・・・・14
(1)浄化施設設計の前提条件・・・・・・・・・・・・・・・14
(2)浄化施設のイメージ・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(3)維持管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
5.モニタリング項目(案)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
(1)基本的考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
(2)モニタリング項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
(3)工事中の監視調査計画・・・・・・・・・・・・・・・・26
(4)住民等との協働・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
6.貴重種の取り扱いについて・・・・・・・・・・・・・・・・30
(1)基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(2)工事が貴重種に及ぼす影響への把握について・・・・・・31
1.検討対象範囲
比屋根湿地の保全と整備に向けては、湿地内を2つのゾーンに区分し、それぞれに保
全整備の目標を設定している。本検討は、水質浄化を目的とした施設整備であることか
ら、「水質浄化ゾーン」のうち、水質浄化を可能とする面積が確保できる箇所を対象に
浄化施設の検討を行うものとする。
浄化施設検討対象範囲
水質浄化促進ゾーン
湿地環境保全ゾーン
<整備目標(浄化効果)>
降水時の流出水を湿地全体に行き渡らせ、
自然の貯留機能の形状を活かし浄化を図
る。
<対応施策>
・浚渫
・導流施設
<対象区域>
・比屋根第1雨水幹線出口の干潟域
<整備目標(浄化効果)>
降雨時に比屋根湿地から海域に流出す
る負荷量(COD)を現状の 30%削減
する。
<対応施策>
・ヒイラギギク等植物の伐採
・表層のシルト・粘土質土砂の浚渫
・覆砂
・浄化施設の整備
<対象区域>
・湿地北側の陸地化域
・中央水路より南側の陸域化進行区域
・中央水路
平成 17 年 12 月 15 日専門部会資料より
-1-
1.比屋根湿地浄化施設設計に向けての事象の整理・集約
(1)湿地の現況基盤高さ
朔望平均満潮位以上は海水の影響が少ない
A
EL1.1m
地盤が高い
B’
EL1.0m
地盤が低い
朔望平均満潮位
EL0.953m
EL0.9m
B
地盤が低く、常時海
地盤が高い
海域側
市
水が流入
A’
街
地
側
小潮水位 EL0.55m
比
屋
根
第
二
雨
水
幹
線
EL0.953
潮
位
EL-1.1m
サンエー側
水路側
小潮水位 EL0.55m
-2-
(2)土質の浸透性
平成 18 年度ボーリング調査結果より、当該地の表層は非常に浸透しにくい土質
(透水係数 10 -3 ~10 -4 )で構成され、B4では1日 0.56m しか浸透できない。流量規
模が大きい出水では浸透されずに海域に流出することが想定される。湿地内は粘
土と砂の2層になっている。
表
試験孔
№
B-3
B-4
B-5
本年度ボーリング調査結果に基づく透水試験結果
試験深度
(m)
1.7~1.9
1.5~1.7
1.8~2.0
20%粒径(mm)
(D20)
0.1
0.07
0.12
透水係数
(㎝/s)
1.75 10 -3
6.50 10 -4
2.60 10 -3
浸透距離
(m/日)
1.51
0.56
2.25
分布地質
シルト混じり砂
シルト質砂
シルト混じり砂
比屋根湿地の土質
(浸透しにくい)
D
C
A-A’断面
シルト質粘土
A’
A
B’
B-B’断面
砂~シルト質砂
B
粘土~シルト質粘土~シルト質砂
シルト質粘土
C’
D’
砂~礫混じり砂
砂質シルト~粘土
C-C’断面
シルト質粘土
D-D’断面
砂
シルト質砂~礫じり砂
粘土~シルト質粘土
シルト質粘土~シルト質砂~粘土
-3-
(3)降雨の特性
アメダス観測地点である沖縄市胡屋(当該地より 3 ㎞程度の距離)において、
降雨量が1㎜/日以上観測された日とそれ以下の比率は、概ね 1:2( 1976 年~2005
年の 30 年間)である。
100%
90%
80%
百分率
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
1976
1980年 1984年 1988年 1992年 1996年 2000年 2004年
1㎜以上の降雨観測日
年
過去 30 年間において胡屋における最大1時間降水量は 105 ㎜となっており、上
位 10 データの平均は 77.4 ㎜/時である。また、1976 年~2005 年までの1時間最
大降水量の平均は約 58 ㎜である。
最大1時間降水量 ( 統計期間 : 1976/01~2006/12 )
最大1時間降水量
単位
mm/時
年/月/日
1位
105
1988年9月7日
最下段左側の図
2位
101
2001年9月8日
3位
86
1985年8月13日
4位
82
1985年10月29日
5位
73
1990年5月10日
6位
71
1977年8月21日
7位
67
2003年8月7日
8位
64
2000年4月14日
9位
64
1983年9月22日
最下段右側の図
10位
61
2006年8月6日
短時間にピーク降雨が訪れる特性を有している。降雨強度は 10 ㎜/10 分以上と
なることもある。平成 18 年の胡屋のアメダスデータでも 60 ㎜/時を計測してい
る。降雨による比屋根第二雨水幹線からの流入量が大きくなることが把握できる。
降水量(1988/9/7)
降水量(1983/9/22)
70
100
60
50
降 水 量 (㎜ )
降 水 量 (㎜ )
120
80
40
60
30
20
40
10
20
0
0
時 2時 4時 6時 8時 10時 12時 14時 16時 18時 20時 22時 24時
時 2時 4時 6時 8時 10時 12時 14時 16時 18時 20時 22時 24時
時間
時間
出典:気象庁ホームページ
-4-
20
06
/8
/3
0
10
20
:5
06
0
/8
/3
0
13
20
:3
0
06
/9
/3
10
20
:3
0
06
/9
/3
12
:3
20
0
06
/9
/4
1:
20
20
06
/9
/4
10
20
:3
0
06
/9
/4
18
20
:1
0
06
/9
/9
22
20
:0
06
0
/9
/1
6
15
20
:3
06
0
/9
/3
0
19
20
:5
0
06
/1
0/
1
2:
20
00
06
/1
0/
1
20
3:
06
40
/1
0/
15
14
20
:2
06
0
/1
0/
31
2:
10
降雨(㎜/10分)
っている。初期降雨の 4.5 ㎜程度で概ね流出量は降雨調査時で約 6
10
14
8
12
6
10
8
4
6
2
4
2
0
0
雨量(mm/10min)
比屋根第二雨水幹線流量(m3/s)
-5-
流量(m3/s)
・比屋根湿地周辺の降雨特性は短時間(10~20 分)でピーク降雨を迎え、継続降雨
時間は1時間~2時間程度である。
・初期降雨が5㎜以上となると、ピーク雨量を示し、直ちに低下するパターンとな
/s となって
いる。
16
(4)雨水幹線流量
・平成 18 年の降雨時調査時(9 月 4 日)の比屋根第二雨水幹線からの最大流出
量は約 14.55
/s である。
・潮位の変動で海域への流出量は変動するが、これが無視できる前提とした場
合、9 月 4 日では雨水幹線からの流入と海域への流出の差分の約 10
/s が
比屋根湿地内に貯留される。湿地内の全面積を 28000m 2 、高さ 1mと仮定す
ると、約 46 分で満杯となる。
・現状では、第二雨水幹線からの流入量に対して、カルバートから排出される
流量が少なく、湿地内に短時間に貯留される。
・下記、流出状況図は 9 月 4 日の 1 時 40 分と 9 月 9 日 20 時 20 分における各地
点の状況である。
比屋根第二雨水幹線
比屋根第一雨水幹線
1.84
/s / 1.44
14.55
/s
運動公園雨水排水路
0.98
/s / 5.09
約 10
/s / 8.46
道路雨水側溝
/s
/s 貯留 / 約 7
0.22
/s / 0.13
/s
/s 貯留
/s
4.9
/s / 5.29
/s
2.47
/s
中央カルバート
南側カルバート
凡例
9/4 1:40
/
中央カルバート
9/9 20:20
同一時間観測データ
比屋根第二雨水幹線
EL2.7m
EL2.19m
EL0.45m
9/4 潮位 52.9 ㎝
/s / 2.55
9/4 EL94 ㎝
EL0.58m
9/9 潮位 34.9 ㎝
-6-
9/9 EL102 ㎝
1.84
/s
14.55
EL1.35m
EL1.24m
比屋根第一雨水幹線
0.98
/s
比屋根第二雨水幹線
/s
0.22
/s
EL0.85m
EL0.5m
道路雨水側溝
運動公園雨水排水路
9/4
1:40
湿地へ流入
湿地内に約10
17.59
/s
/s 貯留
2.47
4.9
/s
/s
EL0.94m
EL0.91m
南側カルバート
9/4
中央カルバート
1:40
海域へ流出
-7-
7.37
/s
・平常時は比屋根第二雨水幹線から非常に少ない流出であり、降雨時は 14.55m3/s
(平成 18 年 9 月 4 日実測データ)と大きな流出特性となる。
平常時
降雨時
水位
3.8 ㎝
77 ㎝
流速
-
2.67m/S
流量実測値
0.057m3/s
14.55m3/s
計算値
0.073m3/s
10.53m3/s
※平常時:2006/8/15~9/15 の比屋根第二雨水幹線出口の平均値
※降雨時:2006/9/4 の比屋根第二雨水幹線出口の降雨最大時の値
計算値の求め方
Q=A*V
V=1/n*R 2/3* I 1/2
V=1/0.015*(0.647) 2/3 *(1/666) 1/2
Q=5.45*1/0.015*(0.647) 2/3*(1/666) 1/2
・比屋根第二雨水幹線からの降雨5㎜(4.9
/s)の流量で湿地内に流入、大潮時
の満潮時はほぼ湿地内が冠水する。
【比屋根第二雨水幹線からの流入範囲】
【海域からの流入範囲】
(平常時・降雨時)
(小潮時・大潮時)
大潮時
降雨時 9/16 5 ㎜降雨
平常時
小潮時
EL0.55m
大潮時水位 EL 1.15m
降雨時雨水幹線水位 EL1.07m
浸水面積 13085.9m
浸水面積 16387.0m 2
2
-8-
(5)地下水の状況
地下水の状況は、降雨の影響が大きく、湿地内の土質の透水が悪いため、浸透
しにくい。
B3
B2
B5
B4
地下水位(B-2) - 潮位
地下水位(B-3) - 潮位
1.5
1
1
標高 (m)
1.5
標高 (m)
0.5
0
-0.5
0.5
0
-0.5
-1
-1
9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/16 9/17
9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/16 9/17 9/18
日時
日時
地下水位(B-5) - 潮位
1.5
1
1
標高 (m)
標高 (m)
地下水位(B-4) - 潮位
1.5
0.5
0
-0.5
0.5
0
-0.5
-1
-1
9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/15 9/16 9/17 9/18
日時
凡例
地下水
9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/17 9/18
日時
潮位
大潮時満潮 2006/9/8 AM6:30
大潮時干潮 2006/9/8 AM13:00
-9-
(6)汚濁負荷量の特性
流入負荷量は平常時は朝夕にピークを示し、生活雑排水等によるものと考えら
れる。降雨時は非常に大きく、ピーク以外は負荷量は非常に少ない。洪水時は平
常時と比較して非常に高い負荷が短時間に排出している。
<平常時>
<洪水時>
COD負荷量 (平成17年 8/22) 平常時
COD負荷量 (平成17年 12/30)洪水時
家庭排水
100
90
80
単
900
位
800
700
を
60
50
10
40
倍
30
変
20
更
C O D 負 荷 量 (kg/h )
COD 負 荷 量 (kg/h)
70
600
500
400
300
200
100
10
0
0
0:00
12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00 12:00
時間
COD負荷量 (比屋根第二雨水幹線)
COD負荷量 (道路排水側溝)
COD負荷量 (中央カルバート)
3:00
6:00
9:00
SS負荷量 (平成17年 8/22)平常時
0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00
時間
COD負荷量 (比屋根第二雨水幹線)
COD負荷量 (道路排水側溝)
COD負荷量 (中央カルバート)
SS負荷量 (平成17年 12/30)洪水時
家庭排水
500
5000
450
4500
400
4000
350
3500
S S 負 荷 量 (k g / h )
S S 負 荷 量 (kg/ h )
市街地
1000
300
250
200
市街地
3000
2500
2000
150
1500
100
1000
50
500
0
0
0:00
3:00
6:00
9:00
12:00
SS負荷量 (比屋根第二雨水幹線)
15:00
18:00
時間
21:00
SS負荷量 (道路排水側溝)
0:00
3:00
6:00
9:00
12:00
SS負荷量 (中央カルバート)
0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00
時間
SS負荷量 (比屋根第二雨水幹線) SS負荷量 (道路排水側溝) SS負荷量 (中央カルバート)
平常時と降雨時の時系列的負荷の変化( Kg/h 負荷量=水質(実測値) 流量
3600)
また、雨水第二幹線に流入すると思われる一日当たりの負荷量の由来を算出し
た場合、SS については生活系と市街地系がほぼ同量を占めており、上記洪水時の
負荷量も同様の傾向にあると思われる。
kg/日
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
BOD
COD
生活系
SS
市街地系
T-N
T-P
耕作地系
雨水第二幹線への負荷量(原単位)
-10-
●上げ潮、下げ潮時ともに市街地からの影響を受け、降雨時に湿地内における一時貯留
から負荷が残留する。
2500
下げ潮
上げ潮
H17/12/30
冬季
夏季
2000
kg/日
COD
1500
1000
H17/9/15
500
H18/9/16
0
大潮
中潮
小潮
100000
夏季
下げ潮
上げ潮
10000
降雨時
大潮
中潮
小潮
降雨時
冬季
H17/9/15
H17/12/30
H18/9/16
SS
kg/日
降雨時
1000
100
10
1
大潮
中潮
小潮
降雨時
降雨時
大潮
中潮
小潮
降雨時
●COD 及び SS は、降雨時に高濃度の負荷が湿地に流入する。
<COD>
<SS>
雨量 - COD (平成18年 9/16)
雨量 - SS (平成18年 9/16)
10
20
12
700
10
600
6
10
500
8
雨量 (mm)
15
COD (mg/L)
400
6
300
4
4
5
2
0
0
9/16 12
雨量
9/16 15
9/16 18
9/16 21
時間
COD (比屋根第二雨水幹線)
9/17 0
9/17 3
200
2
100
0
9/17 6
0
9/16 12
9/16 15
9/16 21
9/17 0
9/17 3
COD (中央カルバート)
雨量
SS (比屋根第二雨水幹線)
潮位 - COD (平成18年 9/16)
SS (道路排水側溝)
SS (中央カルバート)
潮位 - SS (平成18年 9/16)
25
2.00
1.80
700
1.80
1.60
20
600
1.60
1.40
500
1.00
0.80
10
0.60
潮位 (m)
15
COD (mg/L)
1.40
1.20
1.20
400
1.00
300
0.80
0.60
0.40
5
200
0.40
0.20
100
0.20
0.00
9/16 0
潮位(小潮)
9/16 4
9/16 8
9/16 12 9/16 16 9/16 20
時間
COD (比屋根第二雨水幹線)
9/17 6
時間
COD (道路排水側溝)
2.00
潮位 (m)
9/16 18
9/17 0
9/17 4
COD (道路排水側溝)
9/17 8
SS (mg/L)
雨量 (mm)
8
SS (mg/L)
25
12
0
9/17 12
0.00
9/16 0
COD (中央カルバート)
潮位(小潮)
9/16 4
SS (比屋根第二雨水幹線)
降雨と潮位における水質負荷変化
-11-
9/16 8 9/16 12 9/16 16 9/16 20
時間
9/17 0
9/17 4
SS (道路排水側溝)
9/17 8
0
9/17 12
SS (中央カルバート)
(7)まとめ
①朔望平均満潮位では湿地面積の半分程度が海水で浸水する。
②非常に浸透しにくい表層土質で構成され、流量規模が大きい出水では、流水は
浸透されずに海域に流出する。地点によっては1日 0.56mしか浸透されない。
③1 ㎜以上の降雨とそれ以外の比率は 1:2 であり、過去 30 年の1時間最大降雨量
は 105 ㎜である。降雨強度は 60 ㎜/hr(10 ㎜/10 分)以上となることもある。
④比屋根湿地周辺の降雨特性は、短時間(10~20 分)でピーク降雨を迎え、継続
時間は1時間~2時間程度である。
⑤比屋根第二雨水幹線からの平常時は非常に少ない流出量である。一方、降雨時
は比屋根第二雨水幹線からは 14.55m3/s(平成 18 年 9 月 4 日)と大きな流出特
性となる。本流量が流入した際の湿地内の水収支では全湿地内に約 10
/s が
貯留され、湿地全体は約 46 分で満杯となる。
⑥COD 及び SS は、降雨時に高濃度の負荷が湿地に流入する。
⑦流入負荷量は平常時は朝夕にピークを示し、生活雑排水等によるものと考えら
れる。一方、洪水時は平常時と比較して非常に高い負荷が短時間に流入してい
る。負荷発生量は初期降雨時と雨量のピーク時である。
⑧上げ潮、下げ潮時ともに市街地からの影響を受け、降雨時に湿地内における一
時貯留から負荷が残留する。
-12-
3.基本方針
前述でとりまとめた比屋根湿地の特性把握から、基本方針を以下のように設定する。
<比屋根湿地特性集約>
(1)平常時は、比屋根第二雨水幹線から湿地への流入量は非常に少ない。一方、
降雨時には短時間に湿地への流入量が増大するが、カルバートからは汚濁水が
抜けにくい。そのため、湿地内に一時貯留される高濃度の負荷が湿地内に残留
される。(③、④、⑤、⑥)
(2)非常に浸透しにくい表層土質であることから、これら高濃度の負荷の貯留は
洪水時毎に徐々に堆積量を増している状況と考える。(②、⑥、⑧)
(3)3日に1度の降雨が観測される。降雨時の汚濁負荷は、初期降雨時と雨量の
ピーク時に増大する。(③、⑦)
※上記○数字は
前頁まとめの
番号を明記
(浄化容量)
課題
(1)短時間に急激な降雨によりピーク流量が大きく、湿地内に一時貯留される全
量を浄化することは困難である。
(2)現状では湿地内の表層土質は浸透しにくく、河川水の浄化効果は少ない。
(3)洪水時並びに平常時の3日に1度発生する降雨時には、その初期降雨時に比
屋根第二雨水幹線から湿地へ高濃度負荷が流入・貯留されるため、湿地環境保
全の観点から対策が必要である。
<水質浄化促進ゾーン>
降雨時に比屋根湿地から
目
標
基本方針
海域に流出する負荷量(C
OD)を現状の 30%削減す
る。
(平成 17 年 12 月 15 日
専門部会資料再掲)
●平常時の初期降雨を恒常的に浄化する機能を確保した施設を整備
する。
具体的には、
●1㎜以上の降雨とそれ以外の降雨の比率が 1:2 を前提に、この頻繁に起こる降
雨を対象に恒常的対策を行う。
●質的には降雨の時の市街地からの流入負荷が大きいため、平常時の初期降雨時
の負荷を恒常的に削減させ、湿地及び海域環境を改善させる。
-13-
4.比屋根湿地浄化施設の検討
ここでは、以下のような項目にて浄化施設の検討を行う。
(1)浄化施設設計の前提条件
(2)浄化施設のイメージ
(3)維持管理
これらについて以下に詳述する。
(1)浄化施設設計の前提条件
比屋根湿地浄化施設の設計に当たっては、前述の基本方針を基に、以下の3項
目の前提条件を設定し、施設設計を行っていくものとする。
・洪水時の考え方
・水質浄化の考え方
・施設配置の考え方
次頁以降に前提となる考え方を示す。
-14-
1)洪水時の考え方
比屋根湿地に流入する洪水流量は、湿地の容量に対して非常に大きいため、
これらの流量規模が浄化施設に流入しても、浄化できずに海域へ排出される。
そのため、浄化可能な流量を対象に検討する。
具体的には、初期降雨時の流入量を浄化対象流量とする。
普段の流量の約 200 倍の
洪水時の流量のほと
流量が湿地に流入
んどは直接水路を通
して海域へ排出
普 段 の 平 均 的 な 流 量
(0.057m3/s)
初期降雨時の流入量を対象
比屋根雨水第二幹線から湿地側を望む
比屋根雨水第二幹線から上流側を望む
(2006.9.19 撮影)
比屋根雨水第二幹線から湿地側を望む
比屋根雨水第二幹線から上流側を望む
(2006.12.7 撮影)
-15-
2)水質浄化の考え方
比屋根湿地における水質浄化については、平常時の初期降雨を対象に浄化を行う
こととし、以下のような浄化に向けた検討を行う。
検討項目
【浄化手法】
検討方針
・前回委員会より、砂と礫層による自然濾過、礫間接触浄化、土壌浄化
を組み合わせた浄化を原則とし、施設内における潜在植生による植生
浄化機能をも併せたものとする。
【 計 画 流 入 水 ・計画処理水質は、既往事例等から除去率 70%を計画上の水質と考える。
質、計画処理水 ※SS の除去率は、既往の礫間接触(エアレーション無し)、濾過浸透浄
質】
化施設においておおよそ 70%以上となっている。
(出典:「河川直接浄
化の手引き」平成 13 年 7 月国土交通省河川局河川環境課、「水質浄化
対策に関する資料」平成 6 年 4 月財団法人リバーフロント整備センタ
ー)
【計画導水量】 ・初期降雨時 4.5 ㎜/時の降雨による流量を想定する。
比屋根第二雨水幹線流量:(1/3.6)
・浄化量は、初期降雨時の流量のうち、約6
0.7
1.18
27=6.2
/s
/s 程度を計画上の流入浄
化量と想定する。
・施設設計においては、過去 30 年の1時間最大降水量である 105 ㎜を対
象とし、設計流速とする。
比屋根第二雨水幹線流量:(1/3.6)
【容量規模】
0.7
1.18
105=24.1
/s
・初期降雨時 4.5 ㎜を基本に、湿地内でカルバートの河床高と堰高の平
均以上を確保した容量規模とする。ただし、洪水時は施設全体が湛水
する規模となる。
【浄化時間】
・浄化時間は、通常、滞留時間が長いほど、SS の沈降・濾過効果が大き
い。
・浄化時間は礫間接触浄化(エアレーション無し)、濾過浸透浄化の既往
施設の事例から、計画上は1~2時間である。
【浸透量】
・浸透量は、既往事例に基づき浸透係数1
10 - 2 ~1
10(㎝/sec)を計
画上の係数として採用した浸透量を想定する。
【 土 質 ( 浄 化 ・現状の表層土質は浸透しにくい土質であるとともに、永年に亘って汚
材)】
濁負荷が蓄積されていることから、浄化材として適切ではない。その
ため、浚渫し、新たな土砂を置換・覆砂する。
・泡瀬地区の浚渫土砂等を活用した浸透しやすい土砂として、既往の浄
化施設の事例等を基に、浸透係数1*10 - 2 程度の良好な土砂を導入す
る。
・砂層と礫層の二層とし、砂層で水中の SS を沈降濾過し、礫層から浄化
通水させる。
【 新 規 設 置 の ・洪水の初期流量の流入を容易とし、洪水全量の越流及び満潮時の潮の
井堰の堰高】
流入を勘案して、上流側の堰高は 1.1m、中央部の堰高は 1.0m、下流
部の堰高は 0.7mを想定する。
-16-
3)施設配置の考え方
施設配置については、以下のような前提のもとに検討していくものとする。
①施設の考え方
・浄化エリア内に、比屋根第二雨水幹線と中央カルバートの比高差が 13 ㎝しか
なく、この一定勾配以上しか流れが生じないいため、この地盤高以上を浄化機
能施設とする。
・初期流量は水位が低く、越流による浄化エリアの擾乱防止から初期は下流側か
ら流入させる浄化施設とする。
・浸透濾過が確保できる層厚とし、浄化に必要な浸透・濾過時間を確保できる浸
透層や池を確保した浄化施設とする。
・平常時は比屋根第二雨水幹線から少量の流水が、今回整備予定の井堰を通して、
湿地内に流入させ浄化させる施設とする。
・底生生物等の生息環境に考慮した施設とする。
②導入施設について
浄化施設へ導入する施設は、以下の施設とする。
導入施設
施設内容
【 浄 化 エ リ ア ( 浚 ・砂、礫による浄化濾過を確保する。各層厚は既往事例等に基づき設
渫・覆砂置換工法)】
定する。ただし、礫層は汚泥沈殿を考慮し必要な厚さを確保する。
【井堰「片法枠浄化 ・護岸自体に透過性を持たせ、枠内には礫・栗石を充填、浄化エリア
護岸」(隔壁兼通水
濾過)】
側に不織布を設置し、エリア内からの SS を濾過する。
・小潮等の海水流入を少なくし、初期降雨から徐々に越流できる高さ
とする。上流井堰高 EL1.1m~下流井堰高 EL0.7m程度を想定する。
【水路(礫河床(河 ・上流5°拡幅、下流端 26°急縮により水路に流入する流れの乱れ
床は浚渫・置換))】
を少なくする。
・河床勾配は、上記の比屋根第二雨水幹線の低水路高から一定勾配で
中央カルバートにすりつける。
・河床に礫を敷き詰め、この礫河床による少量の比屋根第二雨水幹線
からの流入の浄化や、景観的な配慮を行う。
【浄化池】
・湿地を保持するとともに、湛水長期化による浄化処理水量の確保を
図る。また、生物の餌場を確保する。
【中州】
・中州による生物の生息場を確保する。
【抽水植物】
・ヨシ等の抽水植物による植生浄化も期待する。
【拡幅盛土】
・浄化エリアで浚渫した粘性土をマングローブ側に盛土し、片法枠護
岸より若干高くし、浄化エリア内への流入水の疎通を良くする。
・マングローブ側並びに湿地内の盛土によって、底生生物の生息場を
確保する。
【汚泥層】
・汚泥は浄化エリア下層部に沈降させる。
-17-
(2)浄化施設のイメージ
本浄化施設は、以下のような機能を持たせた施設とする。
次頁以降に
・平常時
・初期降雨時
・洪水時
のイメージを示す。
【マングローブ側】
・水路 掘削 土砂に よる 盛 土、浄 化施設 側
に流 量を 入り やす くさ せ ると とも に、
生物 の生 息環 境を 維持 を 図る 。ま た、
既存マングローブは残す。
【水路】
・水路拡幅による降雨時の流速低減を図り、安全に流下
させる。
・平常時は流水を湿地内に流入浄化させる。
・ピーク降雨時は運動公園側のカルバートからも排水さ
せる。
・水路は洪水のスムーズな流下、景観等に配慮した施設
とする。
・DO改善にも寄与できる施設とする。
【浄化施設】
・恒常的浄化、雨水と流入してくる海水の双方を浄化させ、
湿地環境の向上に寄与する。
・洪水時の初期流量を流入させた後、水路の水位上昇に伴
い、徐々に上流に向かって越流させ、最終的には湛水浄
化の機能を確保する。
・ピーク洪水流量時は上流側井堰からも越流させ施設全域
の湛水化による浄化とする。
・湛水後、徐々に浸透濾過により下流側へ浄化された水を
排出する。
・浄化施設から井堰を通して浄化水を排出させる。洪水時
の水路流下の汚濁水については、井堰への沈降による浄
化機能を持たせる。
・施設の構造等はメンテナンスフリーとする。
-18-
-19-
-20-
-21-
【工法事例:砂と礫を活用した循環浄化工法(休耕田で実験中:千葉県)】
-22-
(3)維持管理
・原則としてメンテナンスフリーとする。ただし、日常の維持管理が容易で、効
率的かつ効果的な施設管理を行う。
・地域住民によるアダプト(里親制度)も視野に入れた施設とする。住民参加に
よる環境美化運動(ゴミの清掃)や水質モニタリング、環境学習等を実施する。
・住民等の方々が比屋根湿地の環境向上に協働可能な植生浄化(抽水植物の栽培
による浄化等)については、地域ボランティアやNPOが主体的に実施し、行
政はその支援を行うことが望ましい。
【事例】
(土浦ビオパーク
(浜名湖
抽水植物による水質浄化)
抽水植物による水質浄化)
(石川御祓川
抽水植物による水質浄化)
-23-
4.モニタリング項目(案)
(1)基本的考え方
比屋根湿地浄化施設の整備によって、当該地の水環境の改善状況や生物環境へ
の影響、及び施設整備による効果を検証するためにモニタリングを行う。
(2)モニタリング項目
1)行政によるモニタリング
①水量・水質等
水量・水質は、施設整備における浄化効果を測定・検証し、環境改善の進捗
状況を把握するとともに、施設の維持管理に活用していくものとする。
モニタリング
測定項目
COD
SS
T-N
水質
T-P
透視度
降雨
・比屋根第二雨水幹線(潮位の影響を
受けない地点)
・比屋根第二雨水幹線(湿地入口)
・比屋根第一雨水幹線(湿地入口)
・運動公園側雨水排水路(湿地入口)
・浄化施設内(池)
・中央カルバート
・南側カルバート
塩分
・浄化施設内(底質調査地点)
・マングローブ側(底質調査地点)
降雨
・胡屋、比屋根第二雨水幹線
・比屋根第二雨水幹線(潮位の影響を
受けない地点)
・比屋根第二雨水幹線(湿地入口)
・比屋根第一雨水幹線(湿地入口)
・運動公園側雨水排水路(湿地入口)
・中央カルバート
・南側カルバート
・浄化施設内4地点
・マングローブ側1地点
水位
流量
(河川水)
流速
底質
測定地点
粒度
潮位の影響を受けない地点で観測
雨水幹線
中央カルバート
調査地点(案)
-24-
②生物モニタリング
・浄化施設に伴う現湿地環境の改変に伴う生物の生息状況を定期的にモニタリン
グする。
・工事中は、状況把握調査を実施する。
・整備後は、マングローブ域の生物生息状況の変化の有無を確認するとともに、
浄化池周辺に創出された新たな生態系の形成過程についてモニタリング調査を
行う。
・調査方法は、平成 17~18 年度に実施した方法を概ね踏襲するものとするが、
専門家の意見を参考に追加・修正を検討する。
モニタリング
水域生物
測定項目
測定地点
魚類
個体数、種数、 湿地内全域
底生生物
生息基盤
抽水植物
爬虫類・両生類・ほ乳類
陸域生物
測定内容
昆虫
植物
鳥類
-25-
(3)工事中の監視調査計画
1)調査目的
工事中に発生することが予想される濁りの影響を監視することを目的とする。
2)指標項目
濁りの指標項目として濁度と SS があげられる。濁りの監視には濁度が用いられ、
SS 換算して整理されることが多い。濁度と SS はその地域に支配的な懸濁粒子特性
によって換算係数が異なるため、地域ごとに濁度と SS の相関関係を求める必要が
ある。したがって、ここでは事前に濁度と SS の相関関係を確認した後、濁度によ
るモニタリング調査を実施することを提案する。
注:SS は単位水体積当たりに懸濁している物質の重量であり、他の地域で測定される値と比
較することができる。しかし、採水・分析後に値が得られるため、施工中の監視項目と
しては適当ではない。濁度は現場測定器で計測するため、施工中の濁度値は観測時に得
られるので施工中の監視項目としては適当である。しかし、仮想物質の濁りの程度を示
す値であるため、他の地域で測定された値と比較することはできない。
3)調査方法
【濁度と SS の相関確認調査】
1.事前調査
対象地域周辺で 15 地点程度の採水と濁度観測を実施する。調査地点は濁度の
高い場所から低い場所までを網羅するように設定する。試水は分析室に持ち帰
り SS 分析を行う。
2.室内実験
事前調査とは別に、濁り発生工事施工場所周辺で採取した底質試料を用いて
高濁度水をつくり、粒子が沈降しないように攪拌しながら濁度計を用いて濁度
を測定するとともに、SS 分析に供する試料を採取する。高濁度水を希釈しなが
ら濁度測定と SS 分析試料採取を繰り返し行う(5 段階程度)。試水は SS 分析を
行う。
以上の事前調査および室内実験の結果をもとに濁度-SS の相関図を作成し、
濁度が SS に換算するための準備を行う。
【濁度による工事中の濁りのモニタリング調査】
施工中に濁度計を用いた濁りのモニタリング調査を行う。
調査地点:比屋根第一・第二雨水幹線で工事の影響のない地点(A)3 点、汚濁
防止膜の外側(B:工事監視点)4 点、工事の影響が想定されない
沖側の地点(C)4 点とする。
頻度:影響監視点の調査頻度は1日に2回程度下げ潮時に実施する。濁りの
観測層は表層(海面下 0.5m)とし、観測した水深と濁度を記録する。
判断基準:判断基準は、沖縄県赤土等流出防止条例に基づき、工事により排
出される濁水からの SS が 200mg/l 以下とする。
-26-
調査地点A
調査地点B
調査地点C
調査地点(案)
-27-
(4)住民等との協働
・比屋根湿地を地域の共有財産として維持していくために、地元住民との協働
による維持管理を行うことが望ましい。
・毎月1回、水質についてはパックテスト等による調査を実施し、地元の方々
に湿地環境の状況を把握してもらう。また、生物及び感覚指標(臭い・ゴミ
など)についても同時に実施する。
・これらの測定結果を湿地の健康度として公表することにより、広く地域の方々
への啓発材料とする。
例)
比屋根湿地チェック 調査票
(パックテストでは、検査結果の数字がわからない場合は比色の色又は番号を色の欄に書いてください。)
(川の様子では、当日の観察で感じたところに○印を付けてください。また、気づいたことを書いてください。)
9 調査者・団体名( )代表者名(団体のみ)( )
調査地番号
調査年月日
河川名
調査時間
②が8mg/Lを越える場合は別配布
調査地点
ッ
パ
水
質
調
査
結
果
18 年 5月 7 日 (日 )
ク
テ
ス
ト
現
地
測
定
午前10時 00 分
天候雨
区市町 字 (北浦橋 )
①pH:水素イオン濃度
(6.7 )pH
(うす緑 )色
②COD:化学的酸素要求量
(
(
)mg/リットル
気づいたこと
)色
②が8mg/Lを越える場合は別配
(16 )mg/リットル ( )色
布の高濃度用COD結果
③DO:溶存酸素
( 2.5 )mg/リットル
④透視度
(33 )㎝
⑤気温
(19.5 )℃
⑥水温
(17.8 )℃
(うす青 )色
水の透明感(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください。)
・顔を水につけることができる、・川の中に入って遊びやすい、・川に近づきやすい、
・川に近づきにくい、・魅力がない、・その他( )
水の色(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください)
・無色、・若干色がある、・色がついている、・白色、・どす黒い、・その他(
)
水の量(右蘭に気づいたことや発見したことを記入してください)
川
・非常に豊か、・多い、・流れがある、・少ない、・よどんでいる、・その他(
の
)
様
子 川底(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください)
・川底が見える、・たまに見える、・ゴミがある、・ほとんど見えない、・見えない、
・その他( )
川の中のゴミ(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください)
・ゴミがない、・草木がある、・カンやビンなどのゴミがある、・自転車などがある、
・油が浮いている、・その他( )
におい(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください)
・無臭、・気にならない、・少し臭いがする、・逃げたくなる、・近寄れない、
・その他( )
生き物(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください:どんな生き物等)
・非常にきれいな水に住む、・きれいな水に住む生き物がいる、
・少し汚れた水に住む生き物がいる、・汚れた水に住む生き物がいる、
・ひどく汚れた水に住む生き物がいる、・その他( なし )
水辺の利用(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください)
・水遊び、・船遊び、・散策、・釣りやサイクリング、・何もしていない、
・その他( )
川岸のゴミ(右欄に気づいたことや発見したことを記入してください)
・ゴミがない、・紙くずがある、・カンやびん等がある、・油が漏れている、
・ゴミ捨て場になっている、・その他(なし )
その他気づいたこと(本日の調査を通して感じたこと等
雨のなかの調査で、流量は多かったです。色はついていましたが、透視度が先月より改善されていました。
結構ゴミが流れていたのが目につきました。
-28-
(指標の公表例)
下図は、国内の河川において最も汚濁が大きいとされている埼玉県と東京都を流下
する「綾瀬川」で、行政によるモニタリングと地域住民によるモニタリング結果を「川
の健康診断」としてまとめた例である。地域の方々の参加による結果を公表し、環境
学習や地元啓発の材料としている。
-29-
6.貴重種の取り扱いについて
(1)基本的な考え方
比屋根湿地及びその周辺には、過去の調査成果及び平成 17 年度の生物調査によ
り、狭い区域の湿地であるが、多様な生物相が確認され、特に干潟を利用する鳥
類(主に冬季)や、魚類、貝類、エビカニ類等の生息場として重要であることが
確認されている。
この中で、国及び沖縄県の天然記念物あるいはレッドデータブック掲載種(以
下希少種と呼ぶ)としては、植物2種、貝類13種、エビカニ類14種、魚類2
種、鳥類4種、哺乳類2種の合計37種の希少種が確認されている。
これらの希少種については、個々の生物毎に対応策を検討するのではなく、こ
れら希少種を含む比屋根湿地全体の生物相保全の中で、これらの希少種の保護を
図っていくことを基本とする。ただし、その中でも特に湿地の特定環境との関係
が強く、また、希少性のランクの高い、シオマネキについては、当該地区の代表
生物として、特に生息環境条件の保全に留意し、個体群への影響を最小化するも
のとする。
代表的な希少種の生息地環境条件
種名
シオマネキ
生息地の条件(沖縄県レッドデータブックより転載)
メヒルギが生育する礫混じりの 泥干潟に生息する。中城湾の生息地は、同
湾における潮位表の基準面から 1.6~2.1mの高さに位置する(小潮時の平
均高潮面から大潮時の最大高潮面の間に相当する)。なお、本土産のシオマ
ネキは、高潮線付近のヨシが生育するような泥干潟に生息する。
上記希少種については、現在生息環境となっている干潟の環境条件(シオマネキ
の場合はマングローブ林の比較的地盤が高い部分及び中央水路の両側付近)につい
て土壌調査等を行って環境条件を明確化し、これらの環境条件を再生することによ
り、生息地が引き続き比屋根湿地内に形成されるよう考慮するものとする。また、
工事完了後においても必要なモニタリングを実施し、これら希少種の生息が継続で
きているかどうかを検証し、問題がある場合は必要な追加対策を実施するものとす
る。
なお、これら希少種の調査方法、保全方法については専門家の意見を伺いながら
実施することとする。
・整備時は、整備区域内の貴重種等を影響のない箇所へ可能な限り移動させる。
-30-
(2)工事が貴重種に及ぼす影響への把握について
1)調査目的
工事の実施に当たっては、対象域に分布する貴重種(トカゲハゼやシオマネ
キ等)に及ぼす影響を把握し、必要に応じて対策を検討・実施する。
2)指標項目
指標項目は、対象とする貴重種の種としての存在、個体群としての存在とす
る。関連情報として底質の性状についても対象とする。
3)調査方法
①生活史の整理と調査時期の設定
モニタリング調査は各指標項目の値について事前調査結果と施工中、施工後
の状況を比較して評価する。貴重種について影響を評価するためには、指標項
目であるそれら生物の存在が最も確認しやすい時期を設定し、同じ条件で同様
の調査を継続する必要がある。そのため、対象地域における貴重種(トカゲハ
ゼやシオマネキ等)の生活史を整理する。
一例としてトカゲハゼの生活史を以下に示す。これによるとトカゲハゼの成
魚は 8 月以降に見られ、求愛行動は 3~5 月に見ることができる。したがって、
トカゲハゼの現況把握をするのは秋季(9 月頃)および春季(4~5 月)が適当
と考えられる。
図
トカゲハゼの生活史
②施工前の事前調査
対象地区周辺で貴重種(トカゲハゼやシオマネキ等)が存在すると考えられる
区域を対象とした調査を行う。トカゲハゼを例にして調査項目を示す。
・ 成魚の個体数:双眼鏡を用いた目視観察
・ 稚魚の個体数:双眼鏡を用いた目視観察
・ 生息面積:双眼鏡を用いた目視観察
・ 底質(粒度組成、クロロフィル a):採泥と分析
-31-
③施工中のモニタリング調査
施工前の事前調査と同様の調査内容(地域、方法、時期)を実施する。
④施工後のモニタリング調査
施工前の事前調査と同様の調査内容(地域、方法、時期)を実施する。施工後
には新たに造成した地域に想定している貴重種が存在する可能性もあることから、
調査地域に新たな造成区域を追加することが望ましい。
なお、トカゲハゼの寿命は 2 年程度であることから、個体群変動をみるために
は 3 年以上の調査が必要である。
⑤評価と対策
施工前の状況と比較して、各指標項目の値を比較する。目標レベルの一例を以
下に示す。番号が大きくなるほど高次の目標であることを示す。評価の結果は、
底質の粒度組成とクロロフィルa量の変化と比較することで変化のメカニズムを
考察し、必要に応じて対策の検討を行う。
1)施工前に分布が確認された場所で対象種が確認できる。
2)施工前に分布が確認された場所で対象種の個体群が確認できる。
3)施工前と同程度の個体数が確認できる。
4)対象種が繁殖し、施工前と同程度以上の個体群が維持されている。
-32-
Fly UP