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本編3(PDF 2,372KB)
2−3 主要企業等の立地状況の現況整理 2−3−1 豊田市内の土地利用等の整理 (1)人口 豊田市の人口は 35.1 万人、世帯数は 10 万世帯であり、この 10 年間の伸び率は 1.06 倍 である。これは愛知県全体の人口の伸び率をわずかに上回っている。 また、豊田市を中心とした7市町村では、この 10 年間では藤岡町の人口伸び率は 1.60 倍でもっとも高く、次いで下山村は 1.17 倍となっている。足助町、小原村、旭町、稲武 町の 4 町村では減少傾向となっている。また、藤岡町、豊田市では高齢者比率は 10%を下 回っているのに対し、旭町、稲武町では 30%を上回っている。 図2−27 豊田市の人口(世帯数)推移 (人) 400,000 350,000 332,336 341,079 125,000 308,111 300,000 250,000 351,101 (世帯数) 150,000 126,815 113,327 118,549 100,000 100,863 200,000 75,000 150,000 人口 世帯数 100,000 50,000 25,000 50,000 0 0 S60 H2 H7 H12 ( 年) 資料:国勢調査 表2−2 人口推移(豊田市及び周辺 6 町村) 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 豊田市 308,111 332,336 341,079 351,101 (指数) 92.7 100.0 102.6 105.6 藤岡町 8,566 11,26 6 15,369 18,005 (指数) 76.0 100.0 136.4 159.8 小原村 4,567 4,484 4,544 4,302 (指数) 101.9 100.0 101.3 95.9 足助町 10,853 10,70 0 10,315 9,852 (指数) 101.4 100.0 96.4 92.1 下山村 4,135 4,556 5,336 5,349 (指数) 90.8 100.0 117.1 117.4 旭 町 4,213 4,005 3,844 3,504 (指数) 105.2 100.0 96.0 87.5 稲武町 3,660 3,511 3,313 3,111 (指数) 104.2 100.0 94.4 88.6 合 計 344,105 370,858 383,800 395,224 (指数) 92.8 100.0 103.5 106.6 愛知県 6,455,172 6,690,603 6,868,336 7 ,043,300 (指数) 96.5 100.0 102.7 105.3 (注)平成2年=100.0とする 資料:国勢調査 51 図2−28 豊田市及び周辺 6 町村の人口構成(平成 12 年) (%) 100 9.9 9.2 90 28.7 29.2 80 70 21.4 32.9 35.6 73.7 60 65 歳 以 上 15 ∼ 64歳 0 ∼ 14 歳 56.8 65.6 50 57.3 55.6 40 53.0 52.6 30 20 10 16.3 25.2 15.1 14.0 21.8 11.8 14.1 旭町 稲武町 0 豊田市 藤岡町 小原村 足助町 下山村 資料:国勢調査(平成 12 年) 豊田市内の地区別にみると、拳母地区居住者が 12 万人で最も多く市全体の 1/3 強を占 めており、次いで高岡地区 7.5 万人、猿投地区 5.9 万人、高橋地区 5.4 万人、上郷地区 3.1 万人、松平地区 1 万人となっている(平成 12 年現在)。 各地区の人口推移(15 年間)をみると、この 10 年間では拳母、高岡、高橋地区の伸び 率が増加傾向で、上郷、松平地区は横這い、猿投地区は減少している。 図2−29 豊田市内6地区別人口推移 (万人 ) 12 10 8 6.0 6.1 2.7 2.9 2.9 2.9 3.1 S60 H2 5.6 5.9 6 4 2 2.9 3.0 3.2 0 H7 高橋 H12 (万人) 12 10 (万人) 12 10.5 11.0 11.6 12.0 5.4 5.7 8 4.8 8 猿投地区 10 5.0 6 5.4 2.6 2.7 2.1 2.5 2.6 2.7 S60 H2 H7 H12 5.0 2.0 6 2 6.3 4 2 5.2 2.5 4.1 4 6.2 5.7 0 6.0 挙母地区 高橋地区 0 S6 0 H2 H7 H12 松平地区 高岡地区 上郷地区 凡 例 (万 人) (万人) 12 14 10 12 12 10 8 (万人) 6.7 6 2.9 7.2 3.1 7.3 3.3 4 2 7.5 3.8 8 10 6 8 4 6 2 4.0 4 0 S60 H2 H7 10 8 H1 2 2 3.2 3.1 3.1 3.1 1.6 1.5 1.5 1.5 1.6 1.6 1.6 1.6 S60 H2 H7 H12 女性 6 3.4 4.1 4.1 12 0.8 0.6 0.3 0 H2 0.5 H7 1.0 0.5 0.5 0.4 0.3 S60 1.0 0.4 0.5 H12 男性 4 2 0 S60 H2 H7 H1 2 0 資料:豊田市統計書 52 (2)工業 豊田市内の工業関係指標をみると、工場数 1,373 軒、従業者数 88,502 人、製造品出荷 額等 83.8 百億円である(平成 12 年現在)。また、この 10 年間では、工場数、従業者数は 減少し、製造品出荷額等は微増であった。 地区別の製造品出荷額等推移をみると、この 10 年間では拳母、上郷地区は減少し、他 の 4 地区は微増している。 図2−30 工場数・従業者数・製造品出荷額等の推移 (人) ((百億円) 100,000 (軒) 2,000 90,770 1,000 88,502 74,691 1,541 80,000 1,500 60,000 400 20,000 200 0 0 S5 5 H2 H12 H12 394 40,000 工場数 従業者数 H2 600 1,000 500 838 800 1,373 1,357 828 0 (年度) S55 資料:豊田市統計書 図2−31 地区別製造品出荷額等 (千 億 円 ) 60 50 40 30 20 10 (千 億 円 ) 0.6 1.9 3 .0 60 S5 5 H2 H1 2 50 0 40 60 ( 千 億 円) 5 3.2 30 猿投地区 51.5 50 20 40 30 10 0 22 .0 20 挙母地区 10 H2 0.7 0 .9 H2 H 12 高橋地区 0 S 55 0. 4 S5 5 H12 松平地区 高岡地区 上郷地区 60 (千億円) 60 (千 億 円) 50 50 ( 千億 円 ) 60 40 30 20 2 1.5 23 .0 1 3.4 40 30 50 20 40 10 10 30 0 S55 H2 H1 2 0 20 10 2.9 5 .2 5.0 S5 5 H2 H 12 0 .01 0 .04 0 .3 S55 H2 H1 2 0 資料:豊田市統計書 53 (3)商業 豊田市の商業は、商店数 2,799 軒、従業者数 25,256 人、年間商品販売額 14,903 億円で ある(平成 14 年現在)。 商店数の推移は、平成3年をピ−クに減少傾向であり、従業者数の推移は、近年は横這 いである。また、年間商品販売額は、平成 3 年以降微増減しており、横這い傾向に推移し ている。 図2−32 商店数、従業者数の推移 (人) 3 0,000 ( 軒) 5,00 0 25,25 6 2 5,000 4,00 0 21,1 04 3,3 05 3,177 2,79 9 3,00 0 2 0,000 16 ,9 81 1 5,000 2,00 0 1 0,000 1,00 0 5,000 0 S60 S63 H3 H6 ( 年度) H9 H1 1 資料:豊田市統計書 0 H14 S60 S63 H3 図2−25 年間商品販売額の推移 (億円) 1 8,000 16 ,2 67 1 6,000 14 ,9 03 1 4,000 1 2,000 1 0,000 7 ,625 8,000 6,000 4,000 2,000 0 S60 S6 3 H3 H6 ( 年度) 資料:豊田市統計書 54 H9 H11 H1 4 H6 (年度) H9 H11 H14 図2−33 豊田市町別年間商品販売額の伸び(H14/H9) データなしor秘匿 ~1 110%以上減少 ~2 25∼10% ~3 減少 30∼5%減少 ~4 40∼5%増加 ~5 55∼10% ~6 増加 610%以上増加 ~7 730%以上増加 ~ 八草町 万博八 草 加納町 西 広瀬町 篠原 篠原町 東広瀬町 保見ケ丘 保見 貝津 東保 見町 御船町 力石 町 亀首町 貝 津町 保 見町 伊保町 中金 町 四郷 四郷町 井上町 浄水町 青 木町 平戸 橋町 上原町 大清水 町 花本町 扶 桑町 花丘 町 京町 越戸町 愛環梅 坪 逢妻町 高原町 百々町 荒井町 東梅坪町 平井 町 梅坪 町 栄生 町 横山 町 岩滝町 丸根 町 陣中町 三軒町 小坂町 広久手町 神田町 小川町 本地町 上野町 京ヶ峰 喜多 町 神明町 西 町 桜町 小坂 本町 挙母 町 元 城町 東新町 渋 谷町 新上 挙母 上挙母 美里 錦町 御 立町 神池町 元宮 町 志 賀町 細谷町 美山町 新 生町 田代 町 金谷町 泉町 野見町 下林町 司町 東山町 広川 町 十塚町 松ケ枝広路町 町 樹 木町 常 盤町 朝日ケ丘 柿本町 市木町 高上 昭和 町 月見 町 竹生 久保 町日之出町 町 若宮町 新豊 田 新町 高橋 町 寺 部町 日南 町 宮上町 宮町 本新町 平芝町 栄町 朝 日町 高崎町 汐見 町 長興寺 野見 山町 田中町 深田 町 下市場町 鴻ノ巣町 聖心町 緑ヶ丘 坂 上町 丸山町 五ヶ丘 前田町 秋葉 町 土 橋町 松 平志賀町 鵜ヶ瀬町 上丘町 清水 町 曙町 寿町 山之 手 平 山町 ト ヨタ 町 三河 豊田 平和 町 堤町 本 田町 堤 本町 本町 竜 神町 御幸本 町 前山町 大林町 西 岡町 明和 町 豊栄町 竹町 高岡町 水 源町 広田 町 宝町 河合町 前林 町 大島町 中町 竹 元町 高丘新町 鴛鴨町 永覚 中 根町 永覚町 生駒町 駒場町 末野 原 渡刈 町 若林西 町 高岡本町 中田町 駒新町 永 覚新町 住吉町 若林東 町 花園町 吉原町 配津町 三河上 郷 上 郷町 和会 町 畝 部西町 畝部東 町 広美町 桝塚西町 福受町 北野 桝塚 55 九久平 町 岩倉町 (4)土地利用構成 豊田市の面積(約 29,000ha)の土地利用構成比は、森林原野 35.7%、農用地 16.3%、 道路・水面・河川等 10.6%、宅地 9.9%、工業用地等 6.4%、その他 21.0%であり、県平 均の土地利用構成と比較的類似し、土地利用が豊かな地域である。また、周辺 6 町村は森 林原野の割合が大きい中山間地域となっている。 図2−34 豊田市の土地利用現況図 56 図2−35 豊田市の土地利用構成比 豊田市 9.9 6 .4 16.3 3 5.7 1 0.6 2 1.0 3.0 藤岡町 2.4 5.0 73.3 4.5 1 1.7 1.1 小原村 3.7 82 .9 4.6 6.9 0 .8 足助町 0 .93.5 86.9 4 .2 0 .2 0.7 下山村 4 .7 85.8 4.7 3.8 0.3 1 .0 旭 町 4.5 82 .1 4.2 8 .7 3.2 0.4 0.9 0.6 稲武町 4.1 87 .9 6 .3 0.3 合 計 3.8 2 .5 愛知県 9.9 0% 8.0 69.0 7.0 16 .7 42.9 2 0% 宅地 7.0 40% 工業用地等 農用地 13.2 6 0% 森林原野 道路・水面・河川等 8 0% 9.8 1 0.3 10 0% その他 資料:愛知県統計年鑑(平成 14 年刊) 57 2−3−2 豊田エリアにおける土地利用等の整理 (1)人口 豊田エリアの人口(平成 12 年国勢調査)は約 111 万人であり、各市とも増加傾向にあ る。また、高齢者人口も増加しており、高齢者人口(65 歳以上人口)の占める割合は 12% である。 表2−3 現況人口 平成7年 平成12年 増加実数 増加率 面積k㎡ 人口密度 春日井市 277,589 287,623 10,034 3.6 92.71 3,102.40 瀬戸市 129,393 131,950 2,257 1.7 111.62 1,179.40 豊田市 341,079 351,101 10,022 2.9 290.11 1,210.20 岡崎市 322,621 336,583 13,962 4.3 226.97 1,482.90 圏域計 1,070,682 1,107,257 36,275 3.3 721.41 1,534.90 (資料:平成12年国勢調査結果) 図2−36 年齢階層別人口の推移 圏域計 (人) 1,3 00, 000 1,2 00, 000 1,1 00, 000 974,592 1,0 00, 000 908,641 9 00, 000 7% 1,106,107 1,070,280 1,031,072 12 % 1 0% 8% 6% 8 00, 000 65歳以上 15∼64歳 15歳未満 7 00, 000 6 00, 000 6 6% 68 % 72% 2 7% 25 % 20% 1 7% 16 % 昭和55年 昭和6 0年 平成2年 平成7 年 平成1 2年 5 00, 000 7 3% 72 % 4 00, 000 3 00, 000 2 00, 000 1 00, 000 0 春日井市 ( 人) ( 人) 3 5 0,0 0 0 1 6 0,0 0 0 3 0 0,0 0 0 2 5 0,0 0 0 277,54 9 24 4,016 5% 256 ,9 34 2 66,292 6% 8% 10 % 287,31 9 1 4 0,0 0 0 13% 1 2 0,0 0 0 12 6,207 129 ,3 92 131,62 6 1 24,591 7% 9% 1 0% 13 % 1 6% 67 % 6 8% 7 2% 72 % 7 0% 26 % 2 3% 1 8% 15 % 1 4% 昭和5 5年 昭和60年 平成2 年 平成7 年 平成12 年 1 20,756 1 0 0,0 0 0 2 0 0,0 0 0 1 5 0,0 0 0 瀬戸市 6 5歳以上 1 5 ∼64 歳 66 % 6 9% 73 % 74 % 72% 8 0,0 0 0 1 5歳未満 6 0,0 0 0 6 5歳以上 1 5∼6 4歳 1 5歳未満 1 0 0,0 0 0 4 0,0 0 0 5 0,0 0 0 28 % 2 5% 19 % 16 % 15% 昭和5 5年 昭和60年 平成2年 平成7 年 平成12 年 2 0,0 0 0 0 0 岡崎市 豊田市 ( 人) (人) 4 0 0,0 0 0 40 0 ,00 0 33 1,786 35 0 ,00 0 308 ,1 03 30 0 ,00 0 281 ,4 99 6% 340,87 6 8% 350,84 7 6% 3 0 0,0 0 0 25 0 ,00 0 67 % 69 % 7 3% 7 4% 74 % 3 22,463 306,78 7 5% 20 0 ,00 0 3 36,315 3 5 0,0 0 0 10 % 65 歳以上 15 ∼6 4歳 15 歳未満 2 5 0,0 0 0 28 4,964 262 ,3 70 9% 11% 13% 71% 70% 8% 8% 2 0 0,0 0 0 15 0 ,00 0 1 5 0,0 0 0 6 7% 7 0% 26 % 2 4% 2 1% 18% 17% 昭和5 5年 昭和60 年 平成2 年 平成7 年 平成12 年 66 % 10 0 ,00 0 1 0 0,0 0 0 5 0 ,00 0 28 % 26 % 2 1% 1 8% 16 % 昭和5 5年 昭和6 0年 平成2 年 平成7 年 平成1 2年 5 0,0 0 0 0 0 58 65歳以上 15 ∼64 歳 15歳未満 第3章 通勤交通マネジメント等先進事例の整理 3−1 通勤交通対策に関する国内外の先進事例の整理 (1)概説 自動車の交通渋滞は、直接ドライバーに時間的ロスや苦痛を与えるだけではなく、地 域生活を支える物流・医療など経済的・文化的にも大変な損失となり社会全体の重大な 問題である。日本の地方都市における大企業の工場・事務所が集積した地区で朝夕の出 退勤時の交通集中による渋滞問題が表面化している。 一方、地球規模の環境問題としての側面としては、2005 年2月の京都議定書発効を受 け、自動車の過度な利用に対して警鐘がならされている。地球温暖化防止のためにも自 動車通勤から徒歩、自転車、公共交通機関、バイクなど環境にやさしい通勤手段への転 換が求められている。 ここでは、既存資料を用いて、地方都市において企業城下町を形成していると思われ る企業の通勤交通環境や通勤交通対策(企業のTDM施策)の事例を比較整理する。 対象とする事例は次ページの表のとおりであるが、非公表となっている内容を一部含 む関係上、各社とも横並びで企業名称を記載していない。 なお、各種資料は、「企業の通勤渋滞対策の事例について<企業TDMの事例>」(瀬 尾・大場、2005 年第 32 回土木計画学研究・講演集)に基づく。 71 表3−1 企業の通勤対策事例の一覧 表1 企 業 の 通 勤 対 策 事 例 比 較 表 ( T D M 施 策 比 較 ) B社・本社 C社・本社 D社・本社 E社・本社 所 在 地 愛知県豊田市 静岡県磐田市 静岡県浜松市 愛知県刈谷市 大阪府池田市 ドイツ・ミュンヘン 都 市 デ 人 口 3 91,000人 165,000人 578,000人 134,000人 99,00 0人 約1,300,00 0人 約250,000人 人口密度 42 6人/k㎡ 1,010人/k㎡ 2,253人/k㎡ 2,664人/k㎡ 4,493人/k㎡ 4 ,19 3人/k㎡ 166人/k㎡ タ 製造品出荷額等 9 8,466億円 21,550億円 19,314億円 1 4,309億円 2,445億円 ― ― 乗用車保有(世帯当) 1.78台 1.74台 1.48台 1.55台 0.78台 ― ― 33 ,000人 6,000人 5,200人 14,000人 6,000 人 3 4,0 00人 45,000人 ①従業員駐車場対策 1 拠点集 中、立体化 管 理職ゾーン指定 有料化 、分散化 ゾーン指 定 分散 化 分散化 ゾーン指 定 有料 化(1, 050円 /月) 分 散化(3 拠点分 散)、一部立 体化 5階建 立体化 ゾーン指定、2 拠点分 散 空 き情報の 駐車場 案内板 守衛所 付近に大規 模駐車 場 ②マ イカーからの通勤 手段転換策 社員へ協力依頼 (02年2月∼) 2㌔未満マイカ ー禁止 2㌔未満マイカ ー禁止 2㌔未満マイカー禁止 2㌔未満マイ カー禁止 ③徒歩通勤手当施策 ×(支給な し) ○(1千円/月) ○(支給) ④P&R駐車場手当施策 ○(上限1万円/月) ○(2千円/月) ― ー A社・本社 従業員数(社外応援者含) 72 T D M 施 策 の 実 施 項 目 エコ通勤奨 励 電車通 勤奨励 ×(支給なし) ― F社・本社 イントラネ ットの交通情報サービス ライプチヒ工 場で相乗促 進展開 G社・本社 ドイツ・ヴォルフスブ ルク 朝の通勤では相乗通勤者多い 分散的に出勤 ×(支給なし ) ―(従業員約10%が徒歩自転車通勤) ― ○(半額支給) ―(市内鉄道駅にP&R駐車場多数あり― ⑤周辺企業と連携し た × 稼動時間の調整 ○ × ○ × ― ― ⑥事務所の分散 × × × × ○(2拠点に分散) ○(3拠点に分散) × ⑦会社通勤バス 運行 ○ ○ (18路線運行) × ○ × ○ (11路線運行) (公共バス17路線を活用) ⑧総合的な 対策 (行政等と連携) ○ ( 愛環複線化計画) ○ 【 会社通 勤バ ス】 ・ 豊田市 駅⇔本 社間 02年2 月∼運行 開始 (1日延べ :約1 千人) ・ 寮社宅⇔ 本社間 (1日延べ :約2 千人) 【エコ通勤 奨励制 度】 ・徒歩 自転車P&R 転換者 の他、2輪 電動自 転車転 換者 へもインセンティブ有 特記事項 ― ― (磐田 バイパス 無料化 ) 【会社 通勤バス】 ・公共 交通空 白地区 【行政と の連携】 ・ 企業と行政 が協力 し を中 心に会社 バス 従業員 が公共 交通 を運 行している。 へ転換し、行 政が鉄 現在 18路 線でサ ー 道の複 線化により ビスを展 開 利便性を向上させ 【周辺企 業との協力】 ・D社 及びグループ 各社は刈 谷地 区に 集積しており、出勤 の集中 を避けるた め企業 毎に稼動 時間をずらして調整 している。 注)都市データについては、「都市データパック 2005 年版」(東洋経済新報社)による ○ (行政と多 数の企業 が参加 した ○(市 内でダイアル・ア・ハ ゙スの 交通プロジェクトに積極的 参加) システム導 入支援) 【行 政、他 企業との協 働】 ・渋 滞問 題の解 決に向け、市 及び 多数の 企業が 参加しているプロ ジェクトに積極 的に参加 【交 通情 報提供】 ・F社では社 内イントラネットを活用 し、道 路渋 滞情報だけでなく、 全ての交通 機関の 最新情 報を 全社員へ 提供 ⇒結果、 公共交 通利用 促進 (2)従業員駐車場対策に関する考察 ほとんどの企業において駐車場は平面式で分散配置されているため駐車場周辺で激し い渋滞は起こっていない。しかし、3万人以上の社員が本社に集中し、立体駐車場を設 置している場合、駐車場周辺道路で渋滞が発生する可能性がある。さらに、駐車場所の 指定がない又は駐車場空台数情報の掲示などがない場合、駐車場内で場所探しのための 無駄な移動が発生する可能性もでてくる。 図3−1はA社の従業員駐車場配置図である。国内最大規模の3万3千人が働いてお り、4千台以上収容可能な立体駐車場も設置されている。本社事務所につながっている 国道、県道では朝の通勤時間帯には渋滞が発生している。 図3−1 A社本社地区における駐車場配置図 本社地区 駐車場配置図 【ゲート設置場所】 出入口: 入口 : 出口 : 6 .神社前 (1 25 0) 1 .テ ニスコー ト跡 (1 09) 2. グランド 跡 ( 2 7 0) 3. 丸山 (3 10 ) 7 .第 3立体 (1 68 2) 8. 北B (50 4) 18 .外 山 (46 0) 4.第 2立体 (3 2 20) 1 2. 本社グランド (0) 1 4.南 (4 35 4) 5 .病院 跡 (8 00) 15 .前 山 (72 7) 1 3. 第1・4立体 (2 36 6) 17 .平山 ( 2 7 0) 9. 豊栄 (22 3) 10 .明和 西 (23 2) 16 .前山南 (1 86 ) 11 .豊栄 第 3 (82 ) ’ 04.6現在 73 また、4万5千人が働く敷地面積約8㎢の世界最大の本社工場であるG社の従業員駐 車場配置図(図3−2)をみると、ゲート付近に従業員駐車場が設置されており、特に 中央ゲート前、東ゲート前には立体駐車場が設置されている。G社本社は大規模工場で あるがゆえに結果的に駐車場は分散的に設置されている。工場周辺には連邦高速道路(ア ウトバーン)、連邦道などの幹線道路が整備されているが、これらの道路では特に激しい 渋滞が発生しているという報告はない。 図3−2 G社本社地区における駐車場配置図 工場全長:約7キロメートル 南東ゲート 北ゲート 従業員数 ・45,000人 工場面積 ・8k㎡ 生産車種 ・Golf, Golf Plus,Bora, A4 Variant, Bor a Vari ant 東ゲート 中央ゲート 貨物車両ゲート 西ゲート 従業員駐車場 17番ゲート 畑ゲート 6番 ゲート 74 ヴォルフスブルク 中央駅 図3−3はC社の従業員駐車場配置図である。従業員5千人が勤めるC社はJR東海 道線駅から徒歩 12 分程度の場所に立地している。C社正社員の内、60%弱が自動車通勤 である。駐車場を分散立地させることで通勤渋滞の緩和を図っている。 D社はグループ各社が集積した地区に立地している。本社正門までは東海道本線及び 名鉄線の鉄道駅から約 500mの距離にあるため正社員の約 40%は公共交通を利用してい る。しかし、残りの 50%は自動車通勤である。図3−4はD社の従業員駐車場配置図で ある。渋滞対策としての取り組みは「分散化」と「ゾーン指定」である。50∼100 台程度 の収容能力のある駐車場を分散させ、駐車場所は全て番号を決めて個々の車両に駐車場 番号シールを貼付させてゾーン指定を行っている。 図3−3 C社における本社駐車場配置図 図3−4 D社における本社駐車場配置図 75 (3)自動車からの通勤手段転換施策に関する考察 B社では、地球環境問題の意識の高まりの中で 2004 年 12 月から、 「エコ通勤」活動を 独自に展開している。B社の「エコ通勤」はパンフレットを通じて、社員へ展開されて いる。 その概要は、「自動車から徒歩・自転車へ転換した社員に対する転換奨励金の支給」、 「パーク&ライドによる乗継通勤に協力する社員への転換奨励金の支給」、「バイク通勤 転換に協力する社員へのB社製バイク購入代金の一部のキャッシュバック施策」などで あり、環境問題を背景として積極的に交通手段の転換策を講じている。 図3−5 B社の通勤手段転換啓発パンフレット A社では、2003 年2月から通勤手段の転換を呼びかける「渋滞緩和〝足〟進キャンペ ーン」と銘打ったTDM施策を展開している。キャンペーン展開前は、A社本社地区に 働く約3万人の内約2万2千がマイカー通勤であったが、約2千人が電車や通勤バスに 転換した。 76 図3−6 A社の通勤手段転換啓発チラシ F社では社内のイントラネットを活用して最新の交通情報を社員へ提供することで、 自動車からの転換、本社周辺の渋滞対策を展開している。公共交通だけの情報を提供す るのではなく、ある目的地まで最適な条件で旅行するには全ての交通手段が選択できる ように設定しておかなければならない。道路渋滞情報、短距離鉄道、長距離鉄道、地下 鉄、航空機、タクシー、パーク&ライド駐車場情報、レンタル自転車情報などあらゆる 交通機関の情報をイントラネットで最新情報が入手可能である。F社が他の交通事業者、 関係事業者との良好な協力関係により交通情報の提供が実現した。 図3−7 F社イントラネットでの通勤交通情報提供 77 またF社のライプチヒ工場では自動車通勤を転換させるため相乗りプロジェクトを展 開させている。“Zusammen fahren,Geld Sparen”(相乗りしてお金を節約しよう!)を スローガンにして、イントラネットを活用して相乗りの相手をコンピュータでマッチン グさせる仕組みを導入している。これによりこの工場では全従業員の約 60%が利用して いる 図3−8 F 社イントラネットでの相乗りシステム画面 78 (4)通勤バスの運行施策に関する考察 A社では、本社への最寄り鉄道である愛知環状鉄道の輸送能力に限界があるため、補 完するため 2003 年2月から愛知環状鉄道の中心市街地鉄道駅⇔本社地区間で通勤シャト ルバスサービスを開始している。現在の路線は図3−9の通りである。現在では寮・社 宅∼本社地区間の路線、五ヶ丘地区∼本社地区間も増便し、通勤バスの利用者は1日に 延べ3千名に達していることから、2005 年の3月末よりさらに各路線で増便させサービ スを向上している。 図3−9 A社の通勤シャトルバス路線図 豊田市 通勤シ ャトルバス運行ルー ト ( 05 .4 .1 現 在) 五ヶ丘 平 山 豊 田市 駅 出 勤時 豊 田市 駅 退 勤時 五 ヶ丘 出 勤時 五 ヶ丘 退 勤時 永 覚 出 勤時 永 覚 退 勤時 平 山 出 勤時 平 山 退 勤時 【補 足】 < 豊田 市駅> ・出 勤時 (6: 40∼9 :00 発)は 、5 分ピ ッチ ( 一部 10 分 ピッ チあ り) ・退 勤 時(1 7:20 ∼22 :15 発)は 、1 5 分ピ ッチ ( 一部 10 分 ピッ チあ り) < 五ヶ 丘・永 覚> ・出 勤時 (6: 40∼ 9:0 0発) は、 10 分ピ ッチ ・退 勤 時(1 7:20 ∼22 :20 発)は 、1 5 分ピ ッチ は、 乗降 場所 永 覚 B社は最寄鉄道駅から約4km付近に立地している。公共バスの利便性が低く、通勤 バスを運行しなければ通勤は困難である。B社の会社バス路線図は図3−10 の通りであ る。 公共交通の空白地域に在住している従業員へのバス運行サービスの提供がB社での会 社バス運行の方針である(特に、浜松市からのバス通勤者がほとんどを占めている)。天 竜川を渡る橋梁がボトルネックとなり激しい渋滞が発生しているが、B社での会社バス の運行は渋滞緩和にある程度貢献していると考えられる。現在 18 路線で通勤バスを運行 しているが、一企業で 18 路線も木目細かな運行サービスを提供しているケースは他に例 を見ない。 79 図3−10 B社の通勤シャトルバス路線図 B社 B社 F社は 11 路線で1日当り 70 台の会社バスを運行しているが、B社と同様、公共交通 サービスのない地区、即ち市近郊の北地区、東地区を中心にバスの運行サービスを提供 している。会社バスの利用者数は、本社工場地区の従業員で市近郊に在住している4千 3百人のほぼ半数の従業員が利用している。 80 (5)事業所の分散に関する考察 A社、F社、G社は3万人以上の大規模事業所である。A社、G社では本社管理部門、 研究開発部門及び本社工場を含め本社機能の中枢が集中している。A社は結果として朝 の通勤渋滞が発生しているが、G社については本社拠点が大規模であったため駐車場が 分散されているので渋滞は発生していない。F社は大規模事業所であるが、本社3拠点 が2∼3km離れて分散的に立地している。第1地区に本社管理部門・本社工場の従業 員1万3千人、第2地区に研究開発センターの従業員1万7千人、第3地区にその他本 社部門の従業員4千人が勤務しているが、それぞれの拠点は2∼4km離れた場所に立 地しており渋滞緩和の観点では理想的配置の1パターンと考えられる。 図3−11 F社の本社地区配置図 ドイツ鉄道(S-bahn) 公共バス ②研究開発センター( FIZ) 17,000人 地下鉄 (U-bahn) ( 約4k) (約2k ) ①管理部門・本社工場 13,000人 81 ③そ の他事業所 4,000人 (6)通勤手当による通勤交通誘導施策に関する考察 ① パークアンドライド駐車場手当施策 A社では、パークアンドライド駐車場手当の支給条件を緩和し、社員が利用しやすい 制度に充実させている(パークアンドライド駐車場手当の補助限度額を実質増額とした)。 B社では、2005 年1月から自宅側最寄駅駐車場(実走行距離2km以上)に限り、費 用の補助として月額 2,000 円を支給し、会社側最寄駅についても同様に月額 2,000 円を 支給する施策を展開している。 E社では、乗継通勤に転換・協力した場合、駐車場費用の半額を支給する施策を展開 している(自宅側、会社側、距離に関する条件などはない)。 ② 徒歩通勤手当施策 B社では、2005 年1月から徒歩通勤者・自転車通勤者に対して、勤務地からの直線距 離2km以上を条件に月額 1,000 円の手当を支給する施策を展開している。 C社では、以前から直線距離2km以上未満に関係なく徒歩通勤者に対して月額 500 円の手当を支給する施策を実施し、徒歩通勤を奨励している。 82 (7)その他の施策に関する考察 ① 国内企業における周辺企業との連携方策 B社では、朝の通勤時間時間帯にマイカー通勤が集中しないように本社周辺に立地し ている同等規模の事業所と積極的に協議の場をもち、始業時間を調整して朝の通勤時間 帯の混雑を調整している。 D社はグループ企業として刈谷地区に集積している。この地区には3社以外にも多く のグループ企業が集積しているため、グループ連絡会を開催し、通勤渋滞問題、交通安 全対策など各社共通する課題について協議している。朝の通勤時間帯が集中しないよう、 刈谷地区各企業でも始業時間の調整を実施している。 ② 海外企業における総合交通施策 国内企業各社では抜本的な渋滞問題、交通問題の解決に向けた対策を進めている事例 は見られなかった。いずれも、ある区間における鉄道の複線化計画であったり、隣接す る周辺企業との稼動時間を調整するなど部分的な協力関係に終わっている。 ドイツF社は、国内企業とは違う総合的対策を進めている。F社本社所在地であるミ ュンヘン市では、自動車による中心市街地への流入を制限し、並行して市内近郊の鉄道 駅にパーク&ライド駐車場を整備した。この整備計画は、F社自らの協力により市民の 賛同を得ながら実現された。 図3−12 ミュンヘン中心市街地の自動車流入抑制区域 Marienplatz駅 市役所 中央駅 環状道路(旧城郭跡) 83 図3−13 ミュンヘンのパーク&ライド駐車場設置駅 このように、F社では自社の通勤渋滞対策も推進するが、総合的な渋滞対策について も並行して推進し、抜本的に通勤渋滞問題を解決している。最近では、ミュンヘン市と 関連企業と連携したタスクフォースを結成し(MOBINETプロジェクト)、都市計画 を含めた交通体系全体を視野にいれた交通計画の将来構想を研究する活動を進めている。 84 3−2 モビリティ・マネジメント事例の整理 3−2−1 諸外国における先進事例の整理 (1)英国事例の概要 英国では、リオ地球サミット(1992)や京都議定書(1997)等の国際的な動きと歩調 を合わせつつ、また、英国交通白書(1998)や ISO14001 等の国内の行政的文脈を踏まえ つつ、Workplace Travel Plan と呼ばれる「組織的プログラム」を政府の政策として全国 的に展開しており、その中のサブプログラムの一つとして、職員ひとり一人に詳細な公 共交通等の個別情報を提供する個人的プログラムが実施されている。 例えば、オールダム市では上記政策の枠組みのもと、市内の代表的な大企業と公的機 関(市役所と病院)の協力を求め、各組織の職員の交通行動の転換を促すために、ひと り一人の 職員に個別的情報を提 供するプロジェクトP TP(Personalized Travel Planning)を 2003 年に実施した。このプロジェクトもまた定義上TFPに分類されるが、 このTFPの特徴はひとり一人に個別情報を提供するコミュニケーションが全て特定の 一人の職員(Project Coordinator:PC)に任せられ、その一人のPCが 14 ヶ月の間、 約 1,000 人前後の様々な職員と個別的な接触を図るという体制を採用している点にある (なお、このPCは英国最大の交通事業者の顧客対応部署の一職員であった)。なお、以 上の取り組みを通じて、PCが接触した約半数の職員がより公共交通を利用するように なったという結果が報告されている。 表3−2 英国におけるPJP実験プロジェクト(2003∼2004 年)の概要 85 (2)オールダム市のTFP事例 職場対象PTPの代表例として、以下ではオールダム市の取り組みを紹介することと する。ここでは、「英国における個人対象モビリティ・マネジメントの現状とわが国へ の示唆」(谷口・藤井、2005 年第 32 回土木計画学研修・公演集)に基づき整理する。 このプロジェクトでは、オールダム州が主体となり、実行組織をつくっており、その 中に、プロジェクトコーディネータとして交通事業者の担当者(顧客対応部署における 専門職員一名)と、PTP対象企業の窓口担当者が参加している。参加企業は、このよ うなプロジェクトへの意識が高く、かつ、公共交通の便の良い場所に立地している7つ の企業であった。 企業が参加する動機は、概ね①参加会社を新聞で紹介すること等が企業の参加意欲を 高めるために一役買っていること、②通勤自動車削減計画の策定が政府の方針で義務づ けられていること、等が考えられる。なお、最初に企業にコンタクトして協力依頼をす るものの、実際のプロジェクトは、個々の職員とプロジェクトコーディネータが直接や りとりし、企業は関与しない。 プロジェクトの手順は、以下の通りである。 ① ターゲット 企業の通勤交通における自動車利用を減らすことが目標である。参加者は、企業の職 員のみを対象としているが、家族割引チケットの紹介などは行っている。対象者は計 22,500 人(全人口の 4.2%に該当)で、参加者は 1,149 人、約 15%であった(オールダ ム市の人口は約 25 万人)。 ② リクルート ポスター、e-mail、社内ニューズレター、インターネット、新聞、リーフレット、車 内広告等を用いて、2,000 人を目標に対象組織の従業員の参加を呼びかけた。最も効果の あったリクルート方法は、プロジェクトコーディネータ自身がそれぞれの会社に出向い て説明する計 20 回開催したミーティングであった(ミーティング前に、その会社の役員 等よりトップダウンで参加募集中の旨を伝達済み)。参加のインセンティブとして、公 共交通無料券/自転車と関連部品のディスカウント/その人用にカスタマイズした Personal Journey Plan(PJP)/自転車とヘルメットが抽選で当たる申込用紙/自転 車利用者のための無料の朝食、の5つを提示している。 ここでPJPとは、この取り組みで唯一、被験者毎にカスタマイズされた情報提供で あり、事前調査でリクエストのあったトリップ、または、事前調査での代表トリップを 持続可能な交通モードで行う際の経路、時刻、地図等を紙媒体で作成し、提供するもの である。情報はWEBでも閲覧可能であるが、自動車ユーザーにその労をとってもらう ことは困難であるため、紙媒体の方が見てもらえる、との配慮があった。 また、配布物のデザインは、全てオールダム市のデザイン部門がデザインしたものを 使用しており、3種類のデザインの中から1つをプロジェクトコーディネータが選んだ とのことであった。 86 ③ 事前調査 参加表明した人に、電話または直接会いに行き、交通行動調査アンケート票を郵送か 手渡しして記入してもらう。事前調査は、交通行動調査(目的別代表トリップの代表交 通手段、クルマ利用実態と理由、バス・電車とクルマの所要コスト)と公共交通に関す る意識調査、リクエスト調査が含まれている。 ④ 情報提供 バスマップ、無料チケット、ジャーニーズ・パッケージ(紙製の専用フォルダに、公 共交通無料お試し券、PJP、プロジェクト名を記したペン、その他)をその人の希望 に添って提供している。 ⑤ 事後調査 全ての参加者に対し、2004 年2月に事後アンケート調査票を送付した。回収率は 27% であった。 ⑥ 効果 この事例のみでは、正確に自動車利用等の増減を客観的に評価することはが難しいが、 47%の参加者が公共交通を利用するようになったと回答しており、97%の参加者が自動 車交通を削減するような施策が必要だということに同意しているとの結果であった。 なお、プロジェクトのコストは、トータルで4万2千ポンド(約 900 万円)であり、 約7割が人件費とのことであった。 (参考) ※モビリティ・マネジメント(Mobility Management:MM)とは、ひとり一人のモビリティ (移動)が、社会にも個人にも望ましい方向注)に自発的に変化することを促す、コミュニケ ーションを中心とした交通政策 注 )「過度」な自動車利用から公共交通・自転車等を適切に利用する方向 87 3−2−2 国内における先進事例の整理 (1)職場におけるMMの事例概要 職場MMの中でも「個人的プログラム」は、組織的な改編を伴う「組織的プログラム」 よりも各企業が主体的に実施すべき事項が相対的に少ないという特徴がある。それ故産 業界と交通行政との間の協力体制が十分に構築されているとは言い難い状況においても、 比較的実施することが容易なプログラムであるといえる。 ① 大阪府の職場MMの事例 例えば、大阪府では 2003 年度より大阪府下のいくつかの事業所に協力を求め、職員ひ とり一人の交通行動の変容を促す「個人的プログラム」を実施し、移動に伴うCO2排出 量が 1∼2 割程度削減するという実績をあげている。大阪府で採用されたプログラムは、 「行動プラン法」と呼ばれるコミュニケーション技術を導入したTFPを基本としたも のであり、それをWEBにて実施するという点に特徴がある。 ② 山陽電鉄沿線MMの事例 大阪府の事例は生活交通全般を対象とするものであるが、いうまでもなく、職場MM を実施することの最大の意義は「通勤交通」を対象としたMMを展開できるところにあ る。この問題意識から、特に職員の通勤交通行動の変容に焦点をあてたTFPが実施さ れている。このTFPは、職場から最寄り駅までのアクセス情報を記載したチラシと、 通勤についての簡単な質問項目と「もし、通勤で公共交通を利用するとしたら、どの様 な経路を使いますか?」という趣旨の質問とで構成される A4 表裏の調査票一枚を、自動 車からの転換を促す動機付け冊子と共に配布するというものである。これもまた、行動 プラン法と呼ばれる交通行動変容技術を援用するものであり、事業所によっては自動車 通勤者の2割が自動車通勤を取りやめ、他手段での通勤へ転換したという結果が報告さ れている。この取り組みの重要な特徴は、MM実施者が各事業所に依頼するのは「職員 にアンケート調査を答えてもらう」というだけのものであるという点にある。それ故、 様々な個人的プログラムの中でも、より高い参加率が期待できる点に特徴がある。 この事例については以下で詳述する。 なお、各種資料は、「職場における通勤行動を対象としたMMの効果分析」(谷ロ・藤 井、2005 年第 32 回土木計画学研究・講演集)に基づく。 88 (2)山陽電鉄沿線企業への働きかけ ① 山陽電鉄沿線企業へのMMの概要 山陽電鉄の利用者数は、ここ5年間で 3.2%ずつ減少しており、特に通勤定期利用者 が2割以上減少しているという深刻な状況にある。一方、山陽電鉄沿線には、海岸部の 埋立地に事業所が多数立地しており、近年、それらの事業所では、環境に対する取り組 みを重視する傾向にある。このような背景から、本プロジェクトは、山陽電鉄沿線の職 場におけるMM の可能性を検証するとともに、通勤行動を対象とした山陽電鉄の利用促 進をも目的として、2004 年9月∼12 月にかけて実施された。 MM プロジェクトの全体フローを以下に示す。この図に示したように、今回のMMプ ロジェクトは、通勤対象(通勤MM)と世帯対象(世帯MM)の二つから構成されてい る。ただし、通勤MM と世帯MMの事前アンケート(wave1 調査票)、そして両MMの 事後アンケート(wave2 調査票)は、それぞれ同じ封筒に入れて同時に配布する形として いる。ここに、wave 1 と wave2 は対象企業に勤務する従業員に行ったが、世帯MMのコ ミュニケーションアンケートは山陽電鉄沿線に居住する従業員に対してのみ実施した。 なお、これらの各調査票の配布は、参加企業を介して従業員へ、従業員からそれぞれの 世帯に持ち帰るかたちで配布し、回収も同様の経路で実施された。 図3−14 プロジェクトの全体フロー (a)通勤MM 通勤MMでは、事前の行動測定とコミュニケーションアンケートを兼ねた wave1 調査 票を配布し、その約2ヶ月後に wave2 アンケートを実施している。 コミュニケーションアンケートでは、まず現状の通勤交通について尋ね、自動車通勤 者を特定した上で、その自動車通勤者に対して、自動車以外の通勤の可能性を考える機 会を提供する調査票項目(行動プランを自らが検討する項目)を設けている。この通勤 用行動プランの特徴は、通勤行動の行動プランを二段階に分けて策定することにある。 89 第一段階として、勤務先と山陽電鉄の最寄り駅の間の行動プラン策定を行い、第二段階 として自宅と山陽電鉄の勤務先最寄駅の間の行動プラン策定を行う。このように、行動 プラン策定手順を二段階に分けることで、より精緻な行動プランを容易に作成してもら うことを期待している。なお、この行動プラン策定を支援するため、勤務先から山陽電 鉄最寄駅の間の交通情報を、地図等を用い詳細に説明した資料を添付した。この資料は、 各勤務地毎に異なるものを個別的に用意したものである。 通勤 wave2 アンケートでは、通勤 wave1 アンケートから行動プラン策定部分を除いた 調査票を用い、効果計測を行っている。 (b)世帯MM 世帯MMでは、世帯全体の交通行動等を計測する wave1 アンケートを行った後、その 結果に基づいて被験者をPT、NPT、NIの3つのグループ(図3−14 参照)に分類 した。これはMMの効果を分析するためのものである。 世帯MMコミュニケーションアンケートは、それぞれのグループごとにメニューを選 択して実施されており、動機付け冊子と公共交通情報を配布し、それを参考に従来型の 行動プラン策定を要請(一部には山陽電鉄の無料チケットを配布)している。動機付け 冊子には、自動車のデメリットに関するメッセージ(健康や環境問題についての情報) と山陽電鉄は沿線住民の生活に不可欠な公共財であるにもかかわらず、その存続が危ぶ まれている旨を記している。 そして、世帯 wave2 アンケートでは、wave1 アンケートと同様に交通行動等の計測を 行った。 ② 対象企業 対象とした企業は、沿線事業所に対し行政からのプログラムへの参加・協力依頼を行 い、承諾いただいた企業である。今回は、明石市役所(以下、明石市)、川崎重工(株) 播磨工場(以下、川崎重工)、キッコーマン(株)高砂工場(キッコーマン)の 3 事業所 の協力を得て実施されている。 対象企業の立地条件等は以下の通りである。明石市の最寄り駅は山陽明石駅で、駅か らのアクセスは徒歩 10 分、自転車5分、路線バス5分である。川崎重工の最寄り駅は播 磨町駅で、駅からのアクセスは徒歩 30 分、自転車 10 分、路線バス 10 分である。川崎重 工は山陽播磨町駅から自社送迎バスが運行されており、会社までの所要時間は 10 分であ る。キッコーマンは山陽荒井駅と伊保駅のほぼ中間に位置する工場で、駅からのアクセ スは徒歩 10 分、自転車5分である。 ③ 効果の概要 実験手続きの効果計測調査結果を以下に整理する。なお、ここでは、特に通勤行動の 変容に着目し、通勤MMの効果分析を報告するが、世帯MMについても、自動車利用削 減、公共交通利用増進の効果がみられていることが報告されている。 90 (a)車通勤者全体の傾向 全体の平均値の比較では、自動車通勤頻度が平均約 0.4 回/週(8.4%)削減する一方、 ほぼその分だけ自転車等のその他の通勤頻度が向上しており、通勤MMによって約8∼ 9%程度の自動車通勤が他手段に転換したと考えられている。 (b)自動車通勤の変更可能性別の傾向 自動車通勤の変更可能性別には、この欄に記入のあった 88 名の中で、 「できると思う」 と回答した人々の電車利用回数が有意に増加していることが示されたが、それ以外の明 示的効果は見られなかった。ただし、この質問に「未記入」であった被験者において、 自動車通勤が削減するという結果が得られた(未記入者の中で自動車から転換した人々 はいずれも「自転車」に転換している)。 (c)企業別の傾向 企業別には、川崎重工では明確な変化が見られなかったが、明石市役所・キッコーマ ンでは、自動車通勤が有意に減少する一方、その他の手段での通勤が増加しており、明 石市で 12%、キッコーマンで 19%の自動車通勤者が他手段への通勤に切り替えたことが わかる。一方で、川崎重工では、自動車通勤を取りやめた職員が存在していたものの、 その数は1名(2%)にとどまっている。 さらに転換後の通勤手段に着目すると、明石市では転換者全員が山陽電鉄に転換し、 キッコーマンでは、転換者は自転車かバイクに転換しており、これは企業の立地条件(公 共交通へのアクセス条件)が関係しているものと考えられる。 表3−3 自動車通勤を完全に取りやめた通勤者の内訳 自動車のみの通勤者 他手段併用の 自動車通勤者 転換後の通勤 キッコーマン N=31 6人(19%) 川崎重工 N=43 1人(2%) 明石市 N=25 1人(4 %) 合計 N=99 8人(8%) 0人(0%) 0人(0%) 2人(8%) 2人(2%) 5名が自転車 1名がバイク 1名が自転車 3名とも山陽 電鉄 − (d)その他の傾向 通勤MMの事前に自動車で通勤せずに「その他の手段」だけで利用していた 43 名に着 目したところ、通勤MM 後に完全に電車通勤へと転換していた被験者が5名(全体の 12%:うち川崎重工2名、明石市・キッコーマン各1名ずつ)いたことが分かった。こ れは、今回の公共交通の情報を提供し、その通勤の行動プランの策定を要請する通勤M Mは、自動車から非自動車への転換を促す効果を持つばかりではなく、自転車・バイクか ら公共交通への転換を促す効果を持つ可能性を示唆していると考えられる。 91 第4章 マイカー通勤転換実験の実施状況把握と効果分析 4−1 TDM社会実験の概要 4−1−1 実験の目的と概要 (1)TDM社会実験の概要 ① TDM社会実験の目的 豊田市においては、平成16年度に市内従業者約6,000人の参加によるTDM社会実験を 実施し、通勤時の道路交通円滑化の効果を検証してきた。平成17年度はこの取り組みを 受け、自動車交通削減の有効性に対する通勤者の意識向上を図ることを目的として、通 勤交通を対象としたTDM社会実験を昨年度と同様に実施し、その効果の検証を行う。 また、実験を契機とした参加者の交通行動変化を、より効果的なものとするために、 主にウェブサイトを用いたトラベル・フィードバック・プログラム(TFP)を実施す る。 ② 実験期間 平成17年11月14日(月)から18日(金)にわたる5日間とする。 ③ 実施主体 実施主体は以下の3団体である。 ・ 豊田市TDM研究会 ・ 豊田市通勤時交通需要マネジメント部会 ・ 中部圏における通勤交通マネジメントの推進による地球環境改善に関する検討会 (豊田(愛環沿線)エリア調査ワーキング) ④ 実施内容 (a)チャレンジECO通勤 TDM研究会会員事業所および公共交通機関による通勤が可能な事業所に協力を呼び かけ、マイカー通勤者の通勤手段を「公共交通機関」 「徒歩・二輪車」に転換あるいは「時 差出勤」を実施してもらい、これを契機としたMMによりエコ通勤の普及を試みる。 (b)豊田市停車場線バス路線導入実験 矢作川東部方面から中心市街地に向かう自動車交通による混雑緩和を図るために、豊 田市停車場線(東山6丁目∼豊田大橋∼豊田市駅)に実験バス路線を導入する。また同 実験バスの発着地である東山6丁目付近にパーク&バスライド(P&BR)駐車場を仮 設し、バス利用の利便性を図る。 (c)パーク&ライド(P&R)駐車場情報提供 豊田環状線(外環状線)より内側に目的地を持つ自動車交通の鉄道転換を促進するた めに、みちナビとよたのポータルサイトでパーク&ライド(P&R)の情報提供をおこ なう。 93 (2)TDM社会実験「チャレンジECO通勤」実施の流れ 「チャレンジECO通勤」の実施の流れは以下のとおりである。 図4−1 チャレンジECO通勤の実施の流れ 参加者の登録依頼 ・ 事務局から再度、実験に関する詳細説明 ・ 参加可能な従業員のメールアドレスを登録 メールによる登録者個人への依頼 ・ 事務局から登録者にメールにて Web 上のシ ステムへの登録を依頼 Web によるTFPシステムへの登録 ・ 実験参加者ひとり一人が現状の交通行動パ ターンを登録 ・ 社会実験時の交通行動プランを登録 社会実験の実施 ・ 実施期間 11 月 14 日(月)∼18 日(金) ・ 通勤手段転換 ・ 時差出勤 Web によるTFPの実施 実施 ・ 社会実験時における交通行動変化の実績を 登録 ・ 実験後の継続実態を登録 道路交通状況の実態調査 ・ 旅行速度調査 ・ 混雑状況の変化 ・ 公共交通機関利用状況 社会実験の効果分析 ・ 道路交通実態からの評価 ・ TFP の効果 94 また、特にWebによるTFPの流れを整理すると以下のとおりである。 図4−2 TFPの実施の流れ 豊田市におけるWEBによるTFP実験 実施プラン(案) 11/14∼11/18(5日間)を取り組み期間として設定した「①調査→②計画→③実践→④評価→⑤ 継続」のためのアクションプランを下図に示す。 参加者との密なコミュニケーション実現のためにWEBとメールを活用し、参加者の行動変化に対して都度評価をフィードバックし、また参加者全体としての 評価レポートと併せてフォローすることで、継続的な取り組みを促すことを目標とする。 募 集開始 募集〆切、実施開始 実 施終了 入力〆切 10/末 11/14 11/18 11/30 実施期間 準備期間 フォロー 継続 参加募集期間 入力期間 みちナビ とよたの活用 3 実施 1 参加登録(現況入力) 参加者 アクション 2 行動計画入力 全体集計 集計レポート 掲 載 入 手 実験参加に よる現実の CO2 削減量 行動計画 によるC O2 削減量 入 力 再 入力 依 頼 入力時点での 効果を算出 メー ル送 信 4 取り組み評価 登 録 事務局 アクション 4 取り組み評価 応 答 入 力 計画実施による 効果予測 現況のCO 2 排出量 メールアドレス (事前入手) 5 継続状況を入力 3 (実施→取り組み結果入力)×N回 応 答 現況診断 入 力 応 答 入 力 登 録 依 頼 メ ー ル送 信 システム アクション 取り組み結果入力 または レポートの作成 効果測定 参加依頼チラシ配布 エコシール エコポイント 95 実験全体の 渋滞緩和、C O2 削減効果 (3)効果測定の考え方 ① 主要道路の走行時間変化(旅行速度調査・MOCS データ) 主要路線(昨年度実験時に計測した路線等)について、20分毎に調査対象区間の両端 から同時に車両を出発させ、調査車両の実走行による旅行速度の計測を行う。また、愛 知県警のMOCS車載器を搭載したプローブカーデータを補足的に用いる。 ② 主要道路の渋滞状況の変化(VICS データ等活用) 道路交通情報センター(JARTIC)提供のWeb交通情報を整理し、渋滞状況の変化を把握 する。 図4−3 Web交通情報の例 岡 崎 市 内 豊 田 市 内 ③ 公共交通機関の利用状況変化 愛知環状鉄道、名古屋鉄道三河線および豊田線等の乗降客数に関するデータについて、 TDM研究会会員である交通事業者に提供を依頼する。 表4−1 調査・データ収集日時 TDM社会実験期間 調査項目 14 日 (月 ) 15 日 (火 ) 9 日 (水 ) 10 日 (木 ) (予) ● (予) (予) ● (予) 16 日 (水 ) 17 日 (木 ) 旅行時間計測調査 ● 公共交通機関利用状況 ● JARTIC 情報等による渋滞状況 96 平 常 時 18 日 (金 ) 7 日 (月 ) 8 日 (火 ) 11 日 (金 ) (4) 「チャレンジECO通勤」参加者への特典付与 岡崎市および豊田市では、買物袋の持参などのエコ活動に対して、加盟店での買い物 やエコ製品との交換などに利用できる「エコシール」を配付する「エコシール制度」が 制定されており、 「チャレンジECO通勤」参加者特典として、削減されたCO2量に応じた「エ コシール」配付を予定している。 図4−4 エコシール制度のしくみ 岡崎市エコシール制度のしくみ(岡崎市エコシールパンフレットより) 豊田市共通シール(エコシール)制度のしくみ(豊田市共通シール制度実施要領より) 97 (5)チャレンジECO通勤参加事業所の募集 商工会議所からのアドバイスのもとに、商工会議所会員名簿および事業所統計調査等 を用いて市内の鉄道駅から1km以内に立地する事業所(従業員100人以上が目安)を選 定し、「通勤手段の転換等に関する調査」を沿線4市で実施した。調査項目は以下のとお りである。 問1 事業所概要 ① 事業所名・所在地 ② 業種 ③ 事業所の主な形態 ④ 従業員数(正社員・パート) ⑤ 最寄りの鉄道駅とバス停およびそこまでの徒歩所要時間 ⑥ 通勤時間帯(常勤・交代制・時差出勤・フレックスタイム制) 問2 事業所の通勤実態および通勤対策 (1) 従業員の通勤実態 ① 従業員の主たる通勤手段別の概略人数 ② マイカー通勤者の駐車場確保の実態および駐車場料金負担実態 ③ 通勤手当の支給基準内容 (2) 従業員の自動車通勤対策 ① マイカー通勤に対する事業所の方針 ② マイカー通勤を認めている理由 ③ 今後のマイカー通勤に対する方針 ④ マイカー通勤を削減したい理由 ⑤ マイカー通勤を削減するために有効と考えられる通勤交通対策 ⑥ 通勤対策の実施状況(ノーマイカーデー・公共交通利用の日・P&R 奨励・通勤送 迎バス・時差出勤・自転車や徒歩奨励) 問3 TDM研究会およびTDM社会実験への参加意向 ① TDM研究会への参加意向(豊田市内の事業所のみ) ② 社会実験への参加意向 ③ 社会実験への参加可能従業員数 上記内容のアンケート調査を豊田市内においては、TDM研究会参加事業所約40事業 所及び未参加事業所約150事業所に配付した。その内、未参加事業所の集計結果の一部を 以下に示す。 98 ① TDMの取り組みへの参加意向 TDM研究会に「参加してもよい」と答えた事業所は6事業所、TDM社会実験に「参 加できる従業員がいる」のは4事業所であったが、「詳しい説明が聞きたい」という回答 がそれぞれ10件、11件あった。TDM研究会または、TDM社会実験に「参加してもよ い(参加できる従業員が居る)」「詳しい話を聞きたい」と回答している事業所は合計で 18件あり、これらを「参加の可能性がある事業所」と捉えることができる。 図4−5 TDMの取り組みに対する意向 TDM社会実験への参加意向 TDM研究会への参加意向 無回答, 12, 14% 参加してもよ い, 6, 7% 詳しい説明が 聞きたい, 10, 12% 参加できる従 業員がいる, 4, 5% 詳しい説明が 聞きたい, 11, 13% 無回答, 14, 17% 参加しない, 55, 67% 参加できる従 業員はいな い, 54, 65% ② 参加意向別にみた事業所特性 TDM研究会およびTDM社会実験への参加意向で、両方あるいはどちらか一方に「参 加してもよい(参加できる従業員がいる)」「詳しい話を聞きたい」と回答している18事 業所とその他の事業所を分け、事業所特性を集計した。 参加の可能性がある事業所は、従業員規模が100∼999人の割合が高くなっており、小 規模な事業所ほど参加意志を示していないことがみうけられる。特に50人未満の事業所 はすべて「参加の可能性なし」に分類されている。 図4−6 参加意向別にみた事業所の従業員規模 事業所の従業員規模 0% 10% 20% 30% 40% 5.6% 参加の可能性あり 0.0% (N=18) 参加の可能性なし (N=65) 50% 60% 70% 80% 83.3% 23.1% 18.5% ∼49人 99 100% 11.1% 50.8% 50∼99人 90% 100∼999人 1000人∼ 7.7% ③ 参加意志のない事業所の参加可能性 TDM研究会への参加意向について「参加しない」と答え、かつTDM社会実験への 参加意向についても「参加できる従業員はいない」と答えた事業所の中にも、何らかの 通勤対策に対して「現在は実施していないが今後検討したい」という回答がみられる。 また、マイカー通勤の削減についても「できるだけ/ある程度削減したい」という回答 が31%存在する。さらに最寄り鉄道駅までの所要時間が20分未満や最寄りバス停までの所 要時間が10分未満という事業所が少なからずみうけられる。これらの条件にあてはまる 事業所については、TDM研究会および社会実験への参加を促すことが可能であると考 えられる。 図4−7 参加意思のない事業所に関する分析 「参加可能性なし」事業所の通勤対策実施状況( 再掲) 自転車・徒歩の奨励 4.6% 80.0% 時差出勤等の実施 26.2% 63.1% 20.0% 従業員用送迎バス運行 実施している 20 % 実施していない 3 0% 40% 9.2% 6.2% 9.2% 93.8% 10 % 9.2% 9.2% 4.6% 76.9% ノーマイカーデー等 0.0% 0% 0.0% 81.5% 7.7% 7.7% 1.5% 70.8% パーク&ライドの奨励 4.6% 公共交通利用の奨励 7.7% 1.5% 50 % 60 % 7 0% 8 0% 現在は実施していないが今後検討したい 90 % 4.6% 1 00 % 無回答 「参加可能性なし」事業所の今後のマイカー通勤に対する方針(再掲) 0% 10 % 参加の可能性なし 3.1% ( N=65) 20% 40 % 27.7% できるだけ削減したい 事業所数 30 % 5 0% 60 % 7 0% 33.8% ある程度削減したい 8 0% 9 0% 30.8% 削減は考えていない 10 0% 4.6% 特に方針はない 無回答 「参加可能性なし」事業所の最寄り鉄道駅・バス停までの徒歩時間の度数分布 20 18 16 最寄り鉄道駅 最寄りバス停 14 12 10 8 6 4 2 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 階級下限値 (分) 100 図4−8 TDM社会実験「チャレンジECO通勤」参加依頼チラシ(1) 101 図4−9 TDM社会実験「チャレンジECO通勤」参加依頼チラシ(2) 102 (6)豊田市停車場線バス路線導入実験 豊田市では、矢作川東側にある居住地から中心市街地へ向かう自家用車が多く、矢作 川渡河部がボトルネックとなり交通渋滞が発生している。そこで、これらの自家用車交 通を削減するために、豊田市停車場線(東山6丁目∼豊田大橋∼豊田市駅)に実験バス を運行するとともに、東山6丁目付近にパーク&バスライド(P&BR)駐車場を仮設 する。 図4−10 バス路線導入実験の概要 実験バス時刻表︵案︶ 東山発 ↓ 豊田市着 豊田市発 ↓ 東山着 1号車 2号車 1号車 3号車 4号車 2号車 5号車 1号車 3号車 4号車 2号車 1号車 2号車 6:40 7:00 7:20 7:30 7:40 7:50 8:00 8:10 8:20 8:30 8:40 9:00 9:30 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 6:55 7:20 7:40 7:50 8:00 8:10 8:20 8:30 8:40 8:50 9:50 9:15 9:45 7:00 7:25 7:45 7:55 8:05 8:15 8:25 8:35 8:45 8:55 9:00 9:20 9:50 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 7:20 7:45 8:05 8:15 8:25 8:35 8:45 8:55 9:05 9:15 9:15 9:35 10:05 東山発 ↓ 豊田市着 豊田市発 ↓ 東山着 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 10:15 10:45 11:15 11:45 12:15 12:45 13:15 13:45 14:15 14:45 15:15 15:45 16:15 10:20 10:50 11:20 11:50 12:20 12:50 13:20 13:50 14:20 14:50 15:20 15:50 16:20 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 10:35 11:05 11:35 12:05 12:35 13:05 13:35 14:05 14:35 15:05 15:35 16:05 16:35 東山発 ↓ 豊田市着 豊田市発 ↓ 東山着 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 1号車 2号車 16:30 17:00 17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 16:45 17:15 17:45 18:15 18:45 19:15 19:45 20:15 20:45 21:15 21:45 16:50 17:20 17:50 18:20 18:50 19:20 19:50 20:20 20:50 21:20 21:50 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 17:05 17:35 18:05 18:35 19:05 19:35 20:05 20:35 21:05 21:35 22:05 103 (7)パーク&ライド(P&R)駐車場の情報提供 豊田環状線(外環状)より外側から中心部に通勤するマイカー通勤者を対象に、P& Rによって鉄道通勤転換を促進するために、鉄道駅周辺にある既存民間駐車場の空スペ ースの情報を「みちナビとよた」ポータルサイトで提供する。 図4−11 P&R駐車場情報提供のイメージ 1 「みちナビとよた」メニューから「パーク&ライド駐車場情報」を選択 パーク &ラ イド駐車場情報 への入り口 2 3 広域(駅選択)画面 駅周辺(駐車場選択)画面 一覧から駅を選択 一覧から駐車場を選択 地図から駅周辺を選択 4 104 駐車場詳細画面 詳細情報を確認 4−2 TDM社会実験の実施状況とTFPの分析 4−2−1 WEBによるTFP実施システム 多数の参加者に対して、効率的にTFPを実施するために、Webによるシステムを 構築し、本実験に導入した。プログラムの流れは以下のとおりである。 【Step1】参加登録と現行の通勤交通行動の入力 評価(登録している場合) トップページ 現行の通勤情報を登録す るま では、計画・実施の管理ページ へ移動できない 現行の通勤行動を入力 通勤計画へのリンクができます。 マイカーによる通勤行動に限定 しています 〔参加者へフィードバックされる情報〕 ・ 現行の通勤交通行動における CO2 排出量 【Step2】ECO通勤プランづくり トッ プページ 現行の通勤情報を登録後は、計画・ 実施の管理ページへ移動できる (実施の管理ペ ージへは14日まで は移動できない) 時差出勤を登録 評価(登録していない場合) 現行の通勤行動のから時間を求めて いる 現行の通勤行動の評価も一緒に表示 して比べても らいます。 〔参加者へフィードバックされる情報〕 ・ 最適な公共交通機関ルート情報(みち ナビとよたポータルサイト活用) ・ 計画したプランの CO2 排出量 交通手段変更を登録 『 自動車・オ ートバイ』、『 鉄道』、『バ ス』 、『自転車』、『徒歩』 のそれぞれを 入力しても らいます 。(通勤に 使用しな いも のはデフ ォルトのまま) 105 評価( 登録している場合) 同様の操作で5つ までプランを作 成できます。 【Step3】ECO通勤の実施記録 時差 出勤を登録 トップページ 現行の通勤情報を登録後は、 計画・ 実施の管理ページへ移動でき る (実施の管理ページへは1 4日まで は移動できない) 通常 通り出 勤を登録 評価 (登録していない場合) 現行の通勤行動の評価も一緒に表示 して比べ てもらいます。 出勤なしを登録 評価(登 録している場 合) 交通 手段変更 を登録 〔参加者へフィードバックされる情報〕 ・ 1日毎の通勤交通行動における CO2 排出量と削減量 【Step4】アンケート調査による意見収集 〔参加者へフィードバックされる情報〕 ・ 実験期間 5 日間トータルの CO2 排出量 と削減量 トップページ 現行の通勤情報を登録後は、計画・ 実施の管理ページへ移動できる (実施の管理ページへは14日まで は移動できな い) アンケー ト回答 エコ通勤を 実施した感想を入力する 106 【Step5】実験結果報告と事後アンケート 今後のECO通勤実施を促すために、TFPの最終ステップとして、チャレンジECO通 勤の結果を参加者に報告し、参加特典であるエコシールプレゼントの案内をするとともに実 験後のECO通勤実施について、アンケート調査を行った。 107 〔参加者へフィードバックされる情報〕 ・ 実験結果(参加実績) ・ CO2 削減効果(削減量とその効果) ・ 道路交通の変化からみた効果 ・ アンケート結果 ・ 獲得したエコシール枚数 108 4−2−2 TDM社会実験「チャレンジECO通勤」の参加状況 (1)チャレンジECO通勤の参加登録者 インターネットとプリント記録表あわせて 1,660 人の参加登録があった。居住地別お よび勤務地別の参加登録者数は下表とグラフに示すように、居住地、勤務地ともに豊田 市、岡崎市が多くを占めている。 表4−2 チャレンジECO通勤参加登録者数 インターネットでの参加者 1,454人 プリント記録表での参加者 206人 合 計 1,660人 表4−3 参加者の居住地 岡崎市 437 瀬戸市 30 春日井 16 豊田市 887 三好町 54 名古屋 62 その他 145 合 計 1,631 (無回答・不明) 図4−12 参加者の居住地 名古屋 3.8% 三好町 3.3% 岡崎市 26.8% 瀬戸市 1.8% 春日井 1.0% 豊田市 54.4% (29) (N=1,631) 表4−4 参加者の勤務地 岡崎市 494 瀬戸市 43 春日井 11 豊田市 1037 三好町 58 その他 17 合計 その他 8.9% 図4−13 参加者の勤務地 三好町 3.5% その他 1.0% 岡崎市 29.8% 豊田市 62.5% 1,660 瀬戸市 2.6% 春日井 0.7% (N=1,660) 109 参加者の居住地と勤務地のODは表4−4のとおりである。居住地・勤務地ともに豊 田市内である参加者が最も多く、全体の約5割を占めている。次いで、居住地・勤務地 ともに岡崎市内である参加者が全体の 2.5 割程度であった。 表4−5 参加者の居住地と勤務地のOD表 ︵ 対 額象 田地 を 域 含 む三 好 ・ ︶ 名 古 屋 尾 張 東 ・ 北 西 三 河 東 三 河 知 多 居住地 岡崎市 (額田町) 瀬戸市 春日井市 豊田市 三好町 名古屋北 名古屋東 名古屋南 名古屋西 豊明市 長久手町 東郷町 日進市 尾張旭 小牧市 安城市 刈谷市 幸田町 高浜市 西尾市 知立市 幡豆郡 碧南市 蒲郡市 新城市 宝飯郡 豊橋市 豊川市 大府市 東海市 半田市 武豊町 県 外 不 明 総 計 勤務地 岡崎市 瀬戸市 春日井市 豊田市 三好町 その他 390 43 2 2 7 21 3 6 8 5 3 21 2 809 42 13 47 7 4 1 9 1 2 22 2 3 15 3 6 1 1 10 1 12 3 1 19 11 1 1 5 7 7 2 1 3 1 1 3 9 1 2 1 1 3 1 1 4 1 1 1 3 1 2 2 1 1 1 1 3 16 2 1 10 494 43 11 1037 58 17 総計 437 7 30 16 887 54 15 26 18 3 7 1 10 13 3 1 32 12 9 1 5 13 3 1 3 2 4 3 4 2 2 2 1 4 29 1660 ※ 居住地区分の「名古屋北、東、南、西」は、それぞれ以下の区で分類した。 名古屋北:東区、北区、西区、守山区 名古屋東:千種区、昭和区、瑞穂区、名東区、天白区 名古屋南:港区、南区、緑区 名古屋西:中村区、中区、熱田区、中川区 ※ 額田町は平成 18 年 1 月に岡崎市と合併したことから、岡崎市と並べて整理した。 ※ 三好町は豊田市との流動の結びつきが強く、また勤務地の多くが豊田市 TDM 研究会会員 企業の事業所であるため、豊田市と並べて整理した。 110 全体の参加者の年齢構成は、40 代が 29.4%と最も多いが、20∼50 代がほぼ均等となってい る。性別では男性が 81.0%であり、大幅な差がみられる。 図4−14 参加者の性別構成割合 参加者の性別(勤務地別) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 岡崎市 (N=494) 80.2% 19.8% 瀬戸市 (N=42) 81.0% 19.0% 春日井市 (N=11) 90.9% 豊田市 (N=1036) 9.1% 80.4% 19.6% 三好町 (N=58) 94.8% その他 (N=17) 5.2% 88.2% 総 計 (N=1658) 100% 11.8% 81.0% 19.0% 男性 女性 図4−15 参加者の年齢階層別構成割合 参加者の年齢構成(勤務地別) 0% 10% 岡崎市 (N=494) 瀬戸市 (N=42) 春日井市 (N=11) 豊田市 (N=1037) 三好町 (N=58) 17.2% 7.1% 20% 30% 40% 50% 25.3% 14.3% 60% 70% 25.1% その他 (N=17) 17.6% 総 計 (N=1658) 17.0% 18.2% 26.1% 27.6% 30.5% 39.7% 23.5% 3.4% 52.9% 25.9% 29.4% 20代 30代 111 40代 9.1% 24.3% 29.3% 10代 100% 42.9% 63.6% 16.8% 90% 30.8% 33.3% 9.1% 80% 5.9% 25.7% 50代 60代 (2)勤務地別参加者の通勤の現状 勤務地別(岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊田市)に参加者の通勤実態を集計した結果 を示す。なお、豊田市には三好町内の事業所も含まれている。 ① 参加者の通勤距離 参加者の通常時の通勤距離を、5km 階級ごとの度数で集計した。どの地区も 15km 未 満が約 80%を占めている。15km 未満のうちわけを見ると、自転車通勤が十分に可能であ ると考えられる2km 以下でも、約6%程度の人が通常はマイカーで通勤している実態が うかがえる。 図4−16 地区別通勤距離 実測度数__ 累積相対度数 4地区合計 (人) 600 120% 500 100% 400 サンプル数:1632 平均値:9.74km 最大値:70km 最小値:0.5km 300 200 100 通勤距離15km未満のうちわけ 累積数(人) 80% 1km未満 2km未満 60% 40% (2km以下) 5km未満 20% 0 10km未満 15km未満 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 (km) 岡崎市 (人) 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 100% サンプル数:491 平均値:7.99km 最大値:55km 最小値:0.5km 80% 60% 40% 20% 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 (km) (人) 4.5 4 3.5 3 2.5 10 15 20% 0% 5 10 15 20 25 (km) サンプル数:42 平均値:7.86km 最大値:25km 最小値:1.4km 豊田市(三好町含む) 300 100% 80% 250 0% 5 40% 100% 20% 0 60% 120% 200 40% 0.5 0 80% 350 150 1 100% 120% 60% 2 1.5 120% 0 春日井市 (人) 0.2% 2.0% 5.8% 30.1% 61.5% 81.1% 瀬戸市 (人) 120% 累積割合 3 33 95 491 1,004 1,324 100 サンプル数:11 平均値:8.93km 最大値:18km 最小値:2.2km (km) 112 サンプル数:1088 平均値:10.61km 最大値:70km 最小値:0.5km 80% 60% 40% 50 20% 0 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 (km) ② 参加者の通勤所要時間 参加者の通常時の通勤所要時間を、5分階級ごとの度数で集計した。4地区全体では、 30 分未満が 72%、40 分未満で 85%を占めている。各地区の平均値を比較すると、豊田 市が最も長く 29.8 分、瀬戸市が最も短く 20.1 分であった。比較的参加者の多い岡崎市、 豊田市の分布は4地区合計の分布を反映する形となっているが、瀬戸市では 20 分未満の 割合が高いこと、春日井市はサンプル数が少ない中で、さまざまな階級のサンプルの参 加があったことなどが特徴的である。 図4−17 地区別通勤所要時間 4地区合計 (人) 350 120% 300 100% 250 実測度数__ 累積相対度数 80% 200 サンプル数:1639 平均値:27.7分 最大値:100分 最小値: 2分 150 100 60% 40% 20% 50 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 0 (分) 岡崎市 (人) ( 人) 120 120% 100 100% 80 80% サンプル数:494 平均値:23.5分 最大値:90分 最小値: 5分 60 40 60% 40% 20 20% 0 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 (分) 120% 3 100% 2.5 80% 2 60% 1.5 40% 1 20% 0.5 0 0 0% 5 10 15 20 25 30 35 40 45 ( 分) サンプル数 :11 平均 値:26. 4分 最大 値:45分 最小 値:10分 100% 80% 60% 40% サンプル数: 41 20% 平均値: 20.1 分 0% 最大値: 60分 最小値: 5分 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 豊田市(三好町含む) 120% 100% 80% サンプル数 :1093 平均値 :29. 8分 最大値 :100分 最小値 : 2分 60% 40% 20% 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 3.5 120% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 ( 分) (人 ) 春日井市 (人 ) 瀬戸市 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 (分) 113 ③ 通勤時の平均速度 参加者の通常通勤時の平均速度を、5km/h 階級ごとの度数で集計した。4地区全体で は、20km/h 未満で約 80%に達している。前掲の表4−5に示したように通勤距離が比較 的長い参加者の存在している岡崎市および豊田市では、平均速度の最大値が大きくなっ ている。 図4−18 地区別平均速度 (人) 4地区合計 450 400 120% 350 300 80% 250 200 サンプル数:1639 平均値:19.9km/h 最大値:73.5km/h 最小値:3km/h 150 100 50 0 (人) 岡崎市 140 120% 120 20% サンプル数:494 平均値:19.5km/h 最大値:68km/h 最小値:5.1km/h 60 40 12 0 0% 80% 10 60% 8 40% 20% 100% 14 60% 20 120% 16 80% 80 6 40% サンプル数:41 平均値:23.0km/h 20% 最大値:48km/h 最小値:7.2km/h 4 2 0 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 (km/h) (人) 春日井市 (人) 9 8 7 6 5 3 120% 100% 250 100% 80% 200 20% 1 0 150 100 サンプル数:11 平均値:19.5km/h 最大値:24km/h 最小値:9.6km/h 50 0 0% 15 20 豊田市(三好町含む) 300 40% 2 0% 5 10 15 20 25 30 35 40 45 (km/h) 120% 60% 4 10 40% 瀬戸市 18 100% 100 5 60% 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 (km/h) (人) 0 実測度数__ 累積相対度数 100% (km/h) 80% サンプル数:1093 平均値:20.0km/h 最大値:73.5km/h 最小値:3.0km/h 60% 40% 20% 0% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 (k m/h) ※ 図中に示されている速度の「平均値」は、各参加者個人の平均速度を一つの指 標として捉えた場合の単純平均であり、地区の全走行距離を全所要時間で除し たものではない。 114 ④ 参加者の使用車種と CO2 排出量 参加者が普段の通勤で使用している車種は、4地区全体では普通自動車が 92%、軽自 動車が 6.2%、オートバイが 1.8%であった。地区別では、豊田市で普通自動車の割合が 高いことがうかがえる。 また、参加者の通常通勤時の CO2 排出量を、500g 階級ごとの度数で集計した。4地区 全体では1人あたりの平均排出量は 1,992g で、最も大きい値を示しているのは豊田市で あり、2,175g となっている。 図4−19 参加者の使用車種と通勤時の CO2 排出量 実測度数__ 累積相対度数 参加 者の使用車 種(勤務 地別) 0% 2 0% 4 0% 60 % 80 % (人) 100% 4地区合計 400 岡崎市 4.7% (N =494 ) 7.3% 88.1% 120% 350 100% 300 瀬戸市 4.8% 11.9% (N=4 2) 83. 3% 春日井市 9.1% 0.0% (N=11 ) 80% 250 200 90.9% サンプル数:1643 平均値:1992.0g 最大値:9165.9g 最小値:106.8g 150 豊田市 0.4% 5.5% (N= 1037 ) 100 94.1% 92.0% (人) オートバイ 軽自動車 0 普通自動車 (人) 岡崎市 140 120% 120 100% 100 8 6 4 60% 60 サンプル数:494 平均値: 1634 .0g 最大値: 8778 .4g 最小値: 106. 8g 40 40% 20% 20 0% (人) 春日井市 120% 3 2.5 2 1.5 80% 100% 80% サンプ ル数:42 平均値:1461.1g 最大値:4899.1g 最小値:274.9g 60% 40% 20% 0% 0 00 00 00 00 00 00 00 00 00 5 10 15 20 25 30 35 40 45 (g-CO2) 4.5 4 3.5 120% 2 0 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000 8500 0 瀬戸市 16 14 12 10 80% 80 (g-CO2) 豊田市(三好町含む) 250 100% 120% 100% 200 80% 150 60% 40% 1 0.5 0 20% 100 サンプル数:11 平均値:1898.7g 最大値:3607.3g 最小値:509.9g 60% 40% 50 0% 0 00 0 0 0 0 00 0 0 0 0 00 5 10 1 5 2 0 25 3 0 3 5 サンプル数:1095 平均値:2175.1g 最大値:9165.9g 最小値:166.0g 20% 0 0% 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000 8500 9000 (人) 0% 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000 8500 9000 ※ 豊田市は三 好町を含む (g-CO2) (g-CO2) ※ CO2 排出量の計算方法は、3−(1)に後述するとおりである。 115 40% 20% 50 4地区合計 1.8% 6.2% (N=1 638) 60% (g-CO2) (3)ECO通勤の実施状況 実験期間の5日間のうち、ECO通勤(交通手段の変更または時差出勤)を実施した 登録者が最も多かったのは 15 日(火)で、1,119 人であった。日々約 1,000 人程度がE CO通勤を実施し、5日間でのべ 5,336 人が実施した。ECO通勤メニューとしては、 交通手段の変更が約 65%、時差出勤が約 35%という結果であった。登録者に対する実施 者の割合(ECO通勤実施率)は、60∼67%程度であり5日間の平均は 64.3%であった。 また、記録者数を見ると実験日の経過と共に徐々に減少(すなわち未記入者が増加) している状況がうかがえる。 表4−6 日別ECO通勤実施者及び実践しなかった方の総数(人) 14 日 15 日 16 日 17 日 18 日 総 計 交通手段の変更 698 720 719 689 646 3,472 時差出勤 380 399 359 380 346 1,864 1,078 1,119 1,078 1,069 992 5,336 出勤無し 104 87 104 85 136 516 通常通り出勤 299 268 278 292 293 1,430 1,481 1,474 1,460 1,446 1,421 7,282 179 186 200 214 239 1,018 登録者数 1,660 1,660 1,660 1,660 1,660 6,640 ECO通勤実施率 64.9% 67.4% 64.9% 64.4% 59.8% 64.3% ECO通勤実施者 記録者総計 (未記入者) ※ ※ECO通勤実施率は、ECO通勤実施者数を登録者数で除したもの 図4−209 日別ECO通勤実施者数 1200 1000 380 399 698 14日 359 380 720 719 689 646 15日 16日 17日 18日 交通手段の変更 時差出勤 800 346 600 400 200 0 勤務地区(4都市)別に同様の集計をしたものを表4−5に示す。ECO通勤実施率 を見ると、岡崎市が比較的高い値を示している。 116 表4−7 地区別の日別ECO通勤実施者(人) 岡崎市 通勤方法 交通手段の変更 時差出勤 ECO通勤実施者 出勤無し 通常通り出勤 記録者総計 (未記入者) 登録者数 ECO通勤実施率 瀬戸市 通勤方法 交通手段の変更 時差出勤 ECO通勤実施者 出勤無し 通常通り出勤 記録者総計 (未記入者) 登録者数 ECO通勤実施率 春日井市 通勤方法 交通手段の変更 時差出勤 ECO通勤実施者 出勤無し 通常通り出勤 記録者総計 (未記入者) 登録者数 ECO通勤実施率 14日 15日 289 36 325 36 114 475 19 494 65.8% 14日 16日 308 38 346 28 99 473 21 494 70.0% 15日 23 1 24 4 12 40 3 43 55.8% 14日 8 3 11 72.7% 301 37 338 32 98 468 26 494 68.4% 16日 27 4 31 3 6 40 3 43 72.1% 15日 7 1 8 17日 298 40 338 25 103 466 28 494 68.4% 17日 28 2 30 2 8 40 3 43 69.8% 16日 5 1 6 1 1 8 3 11 54.5% 18日 4 2 2 8 3 11 36.4% 267 38 305 48 103 456 38 494 61.7% 18日 27 3 30 2 8 40 3 43 69.8% 17日 4 総計 1,463 189 1,652 169 517 2,338 132 2,470 66.9% 総計 20 4 24 1 13 38 5 43 55.8% 18日 125 14 139 12 47 198 17 215 64.7% 総計 5 1 6 7 1 8 2 8 3 11 54.5% 8 3 11 72.7% 28 4 32 3 5 40 15 55 58.2% 豊田市(三好町含む) 通勤方法 14日 15日 16日 17日 18日 総計 交通手段の変更 375 376 383 357 348 1,839 時差出勤 338 352 317 331 301 1,639 ECO通勤実施者 713 728 700 688 649 3,478 出勤無し 61 54 64 56 86 321 通常通り出勤 171 159 169 177 174 850 記録者総計 945 941 933 921 909 4,649 (未記入者) 150 154 162 174 186 826 登録者数 1,095 1,095 1,095 1,095 1,095 5,475 ECO通勤実施率 65.1% 66.5% 63.9% 62.8% 59.3% 63.5% 117 4−2−3 「チャレンジECO通勤」の効果 (1)チャレンジECO通勤のCO2 排出量算出方法 本実験では、交通手段変更に加えて時差出勤もECO通勤メニューとしたため、時差 出勤によるCO2削減効果も算出することを考慮し、以下の方法でCO2排出量の算出を 行った。 原単位算出方法 普通車 軽自動車 オートバイ 鉄 道 バ ス 原単位の算出式 =1864.3/(平均速度)-2.3201*(平均速度) 平均速度から算出(EST「運輸局様式3 -0」による) +0.02007 *(平均速度)^2+166.85 車種別原単位の比で補正 = (普通車の原単位)*84/ 173 車種別原単位の比で補正 = (普通車の原単位)*80/ 173 一律18 .0を使用 一律55 .0を使用 【CO 2排出原単位算出方法メモ】 ・時差出勤による通勤時間短縮効果を出すため、平均速度により変動する原単位を使用。 ・普通車の算 出式は、運輸局が ESTモデル事業の評価の ために構築したシステム「 環境的に持続可能な 交通(EST)のための二酸化炭素排出削減量簡易推計システム」の様式3−0による。 ・軽自動車、 については、固定された原 単位(「環境的に持続可能な交通(EST )のための二酸化炭 素排出削減量簡易推計システム」の様式7−0の表(下表)による)の乗用車と軽自動車の比(84.5 / 173)を普通車の原単位算出式に乗じた。 ・バイクについては、名古屋大学加藤博和助教授講演資料(交通関係エネルギー要覧、自動車輸送統計 年報等から算出)より、乗用車との比( 84.5/ 173)を普通車の原単位算出式に乗じた。 ・鉄道、バス については、固定された原 単位(「環境的に持続可能な交通(EST )のための二酸化炭 素排出削減量簡易推計システム」の様式7−0の表(下表)による)を用いた。 【排出量の算出方法メモ】 ・自家用車類(普通車、軽自動車、バイク)は 、参加者が申告した走行距離に上記原単位を乗じて算出。 ・走行距離、走行時間ともに未記入の場合は、出発時刻と到着時刻の記入があれば、その差を走行時間 として下記「走行時間のみ記入の場合」と同様に算出し、記入がなければエラー扱いとした。 ・走行距離のみ記入の場合は、左表の固定原単位に距離を乗じて算出。 ・走行時間のみ記入の場合は、平均速度 31.5km/hとして距離を算出し、原単位を乗じて算出。 ・鉄道、バスは乗車距離を参加者に申告させることは困難であるため、乗車時間を入力させ、平均時速 を鉄道 40km/h、バス 15km/hとして距離を算出し、左表の原単位を乗じた。 種類番号 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 交通手段種類 自家用自動車 自家用軽自動車 営業用乗用車 営業用乗合バス 営業用貸切バス 自家用バス 鉄道 地下鉄 路面電車 新交通システム 自転車・徒歩 その他 118 二酸化炭素 排出原単位 g −CO2/km/人 173.0 84.5 404.0 55.0 18.3 47.0 18.0 15.0 29.0 26.0 0.0 (2)チャレンジECO通勤のCO2 削減効果 参加者全員が 5 日間通常通りのマイカー通勤を行った場合、出勤時には合計で 13,418,587 g のCO2が排出されている。実験期間中のECO通勤実施により、出勤時 の排出量は 7,968,536 g に減少した。割合にして、40.6% のCO2を削減したことにな る。 今回の「チャレンジECO通勤」の取り組みを 1 年間(50 週)継続した場合には、帰 宅時の削減量も合わせれば、約 550 t のCO2を削減することが可能だと考えられる。 これは、一般的な家庭において 1 年間に交通以外で排出するCO2の、約 160 世帯分に 相当する。また、この効果をヒノキのCO2吸収量に換算すると、約 2,200 本分に相当し、 約 2,700 坪の植林効果と同程度、ということになる。 表4−8 日別のCO2削減状況 14日 15日 16日 17日 18日 計 平均 通常の通勤方法による CO2 排出量(gCO2) 2,709,454 2,753,413 2,681,806 2,704,919 2,568,995 13,418,587 2,683,717 チャレンジECO通勤 時の CO2 排出量(gCO2) 1,637,617 1,618,577 1,560,535 1,610,190 1,541,618 7,968,536 1,593,707 CO2 削減量(gCO2) 1,071,838 1,134,836 1,121,272 1,094,729 1,027,377 5,450,051 1,090,010 CO2 削減率(%) 39.6% 41.2% 41.8% 40.5% 40.0% 参加記録記入者数(人) 1,481 1,474 1,460 1,446 1,421 7,282 1,456 〔ECO通勤実施者数 (人)〕 1,078 1,119 1,078 1,069 992 5,336 1,067 実施者一人あたり平均 CO2 削減量(gCO2) 994 1,014 1,040 1,024 1,036 40.6% 1,021 図4−21 日別のCO2削減状況 4,000,000 3,500,000 3,000,000 45.0% 41.8% 41.2% 39.6% 40.5% 40.0% 40.0% 2,709,454 2,753,413 2,681,806 2,704,919 2,568,995 2,500,000 2,000,000 35.0% 1,637,617 1,618,577 1,560,535 1,610,190 1,541,618 1,500,000 1,000,000 30.0% 25.0% 500,000 0 20.0% 14日 15日 通常の通勤方法による CO2排出量(g-CO2) 16日 17日 チャレンジECO通勤時の CO2排出量(g-CO2) 119 18日 CO2削減率(%) 勤務地区(4都市)別のCO2削減効果は、以下の表4−2に示すとおりであった。春 日井市は参加者数が少なかったが、削減率としては最も高い値を示している。その一方 で、参加者数の最も多かった豊田市の削減率が比較的低くなっている。 表4−9 地区別のCO2削減状況 現行の通勤方法で計算した場合の排出量(g-CO2) 14日 15日 16日 岡崎市 692,557 716,927 706,109 瀬戸市 50,919 53,304 54,183 春日井市 17,494 14,379 13,176 豊田市(三好含む) 1,916,858 1,927,011 1,878,929 4地区計 2,677,828 2,711,620 2,652,397 17日 720,892 50,740 17,494 1,881,052 2,670,178 18日 669,693 52,856 17,494 1,803,763 2,543,806 合計 3,506,177 262,002 80,037 9,407,613 13,255,830 チャレンジECO通勤期間中の排出量実績(g-CO2) 14日 15日 16日 岡崎市 341,489 344,428 329,086 瀬戸市 29,987 24,164 23,700 春日井市 2,650 5,446 4,798 豊田市(三好含む) 1,234,045 1,212,414 1,179,406 4地区計 1,608,172 1,586,451 1,536,989 17日 342,344 20,419 5,396 1,207,243 1,575,402 18日 338,018 26,732 2,696 1,147,770 1,515,216 合計 1,695,364 125,002 20,985 5,980,879 7,822,230 CO2排出削減量(g-CO2) 14日 岡崎市 351,068 瀬戸市 20,932 春日井市 14,844 豊田市(三好含む) 682,813 4地区計 1,069,657 15日 372,499 29,140 8,933 714,597 1,125,170 16日 377,023 30,484 8,379 699,523 1,115,408 17日 378,548 30,321 12,098 673,809 1,094,776 18日 331,675 26,124 14,798 655,992 1,028,589 合計 1,810,813 137,001 59,052 3,426,734 5,433,599 15日 52.0% 54.7% 62.1% 37.1% 41.5% 16日 53.4% 56.3% 63.6% 37.2% 42.1% 17日 52.5% 59.8% 69.2% 35.8% 41.0% 18日 49.5% 49.4% 84.6% 36.4% 40.4% 合計 51.6% 52.3% 73.8% 36.4% 41.0% CO2排出量削減率(%) 岡崎市 瀬戸市 春日井市 豊田市(三好含む) 4地区計 14日 50.7% 41.1% 84.9% 35.6% 39.9% 図4−22 地区別に見た日ごとのCO2削減状況 地区別にみたCO2削減量 800,000 90.0% 700,000 80.0% 70.0% 600,000 60.0% 500,000 50.0% 400,000 40.0% 300,000 30.0% 200,000 20.0% 100,000 10.0% 0 0.0% 14日 15日 16日 17日 120 18日 岡崎市(削減量) 瀬戸市(削減量) 春日井市(削減量) 豊田市(削減量) 岡崎市(削減量) 瀬戸市(削減量) 春日井市(削減量) 豊田市(削減量) 4−2−4 参加者アンケートの結果 (1)通勤時の渋滞について 参加者が普段の通勤時に感じている道路渋滞は、 「やや渋滞している」が最も多く、半 数以上を占め、その渋滞は「我慢できない」という回答が8割を越えている。また、渋 滞を激しいと感じている人ほど、その渋滞は「我慢できない」と答える割合が高くなっ ている。 図4−23 通勤時の渋滞に関する意識 あまり渋滞 していない 19.3% あまり渋滞 していない とても渋滞 している 27.3% 117 198 やや渋滞 している 713 とても渋滞 している やや渋滞 している 53.4% 173 30 423 0% 20% 40% 我慢できない (N=1,659) 60% 80% 100% 我 慢できる範囲 勤務地区(4都市)別に集計してみると、図4−2に示すように岡崎市で「とても渋 滞している」と回答する参加者の割合が高くなっており、瀬戸市では「あまり渋滞して いない」という回答の割合が他地区と比べて高くなっている。図4−3でも同様に、岡 崎市では「我慢できない」という回答の割合が高く、瀬戸市では「我慢できる範囲」と いう回答の割合が高くなっている。豊田市はその中間的な位置にある。 図4−24 地区別にみた通勤時の渋滞に関する意識 Q:普段の出勤時の渋滞はどうですか? 0% 10% 岡崎市 (N=494) 20% 30% 40% 50% 60% 70% 41.7% 瀬戸市 (N=43) 20.9% 春日井市 (N=11) 27.3% 豊田市 (N=1094) 21.3% 80% 90% 49.2% 41.9% 100% 9.1% 37.2% 72.7% 55.8% 0.0% 22.9% ※豊田市は三好町を含む とても渋滞している やや渋滞している 121 あまり渋滞していない 図4−25 地区別にみた通勤時の渋滞に関する意識 Q:その渋滞は我慢できますか? 0% 10% 20% 30% 40% 岡崎市 (N =494) 50% 60% 70% 80% 90% 83.4% 瀬戸市 (N=41) 100% 16.6% 36.6% 63.4% 春日井市 (N=11) 100.0% 豊田市 (N=1091) 0.0% 74.2% 25.8% ※豊田市は三好町を含む 我慢できない 我慢できる範囲 (2)チャレンジECO通勤の取り組みの意義と継続意志について ① エコ通勤の取り組みの必要性 「チャレンジECO通勤」のような、CO2排出量削減に向けた一人ひとりの取り組み をどう思うか、実験登録時(ECO通勤実施前)に質問したところ、約 75%が「非常に重 要である」、約 23%が「まあ重要である」と回答した。 図4−26 「チャレンジECO通勤」の必要性に対する意識 あまり重要で はない 1.8% まあ重要であ る 23.3% 非常に重要で ある 74.9% (N=1,659) 図4−27 地区別にみた「チャレンジECO通勤」の必要性に対する意識 Q:CO2削減のための一人ひとりの取り 組みをどう思うか? 0% 10% 岡崎市 (N=494) 瀬戸市 (N=43) 20% 30% 40% 60% 70% 80% 70.9% 90% 26.7% 60.5% 39.5% 春日井市 (N=11) 豊田市 (N=1094) 50% 0.0% 21.4% ※豊田市は三好町を含む 非常に重要である まあ重要である 122 2.4% 0.0% 100.0% 77.0% 100% あまり重要でない 1.6% 勤務地区(4都市)別に集計してみると、利用者意識からみた渋滞の深刻さが比較的 低いと考えられた瀬戸市では、図4−5に示すように「非常に重要である」という回答 の割合が低くなっている。サンプルの少ない春日井市では、全員が「非常に重要である」 と答えている。 次に、時差出勤および交通手段変更それぞれについて、実験期間中に実施した参加者 に、今後の継続意志と継続するための条件について質問した結果を以下に示す。 ② 時差出勤の継続実施について 時差出勤実施者では、「今後も継続する」という回答が 34.0%、「条件が良くなれば継続す る」という回答が 43.6%であった。継続する条件としては、「フレックスタイムなど、時差出 勤が可能な勤務制度が導入される」の選択率が高く 71.6%が条件として選んでおり、時差出 勤の普及拡大には事業所側の対応が重要であることがうかがえる。 図4−28 時差出勤についての継続的取り組み意識 13.9% 34.0% 8.5% 1.継続する 2.条件が良くなれば継 続する 3.継続しない 4.わからない 43.6% (N=647) 時差出勤の継続条件(選択率) 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 1 .フレックス タイム等制度導入 2.時間活用できる施設整備 71.6% 9.9% 18.4% 3 .勤務先駐車場の 自由な利用 4 .家庭の都合か ら解放 80.0% 7.1% (N=282) 5.その他 9.9% 勤務地区(4都市)別に集計した結果を図4−7に示す。時差出勤を実施した 647 人 のうち、541 人(約 84%)が豊田市内(三好町含む)勤務の参加者であり、同地区の回 答の構成は全体のものに近い。 「条件が良くなれば継続する」と答えた参加者の選んだ条 件項目について、参加者の多い豊田市と岡崎市のみ集計したところ、豊田市では「勤務 123 先駐車場の自由な利用」という条件の選択率が岡崎市に比べて高くなっていること、岡 崎市では「家庭の都合から解放される」という条件が比較的高い選択率を示しているの に対して、豊田市では選択率が低いこと、などの特徴がみうけられた。 図4−29 時差出勤についての継続的取り組み意識(地区別) 今後の時差出勤の継続意志は? 0% 10% 20% 岡崎市 (N=88) 30% 40% 50% 38.6% 瀬戸市 (N=10) 30.0% 30.0% 春日井市 (N=1) 60% 70% 80% 34.1% 13.6% 0.0% 40.0% 90% 13.6% 100.0% 豊田市 (N=541) 33.1% 100% 0.0% 7.6% 46.0% 13.3% ※豊田市は三好町を含む 継続する 条件が良くなれば継続する 継続しない わからない 時差出勤継続の条件(回答率) 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 70.0% 13.3% 10.0% 岡崎市 (N=30) 26.7% 6.7% 72.3% 9.2% 豊田市 (N=249) 19.7% 4.4% 10.4% 1.フレックスタイム等制度導入 4.家庭の都合から解放 2.時間活用できる施設整備 5.その他 3.勤務先駐車場の自由な利用 時差出勤の継続条件として、具体的に記されていた自由記述内容を、表4−10に整理した。 表4−10 時差出勤の継続条件(自由記述より) 分 類 内 容 時間制約的な制度 朝礼の廃止、ミーティング時間の変更、昼休憩時間固定、朝遅い時 間帯へのシフトが可能なら 経費面の制度 通勤費用の自己負担が軽くなるのであれば 駐車場利用の自由度 勤務地駐車場近くの開門時間を早く、駐車場容量拡大 渋 滞 シフトした時間帯の渋滞が無ければ、通勤時間を短縮できるなら 不確定な業務制約 社内外の人に迷惑が掛からなければ、残業がなければ 124 ③ 交通手段変更の継続実施について 交通手段変更実施者では、「今後も継続する」という回答が 32.8%、「条件が良くなれば継 続する」という回答が 38.7%であり、時差出勤よりも若干低い結果であった。継続する条件 としては、 「鉄道・バスの運行便数が増える」、 「自宅の近くに駅やバス停ができる」といった 公共交通機関のサービス水準向上や「クルマよりも通勤時間が短くなる」 、「クルマよりも通 勤費用が安くなる」といった、マイカーと比較して有利となる条件の選択率が高い。また、 「早朝・深夜勤務、残業が無くなる」 「徒歩や自転車に対して通勤手当が支給される」といっ た事業所の仕組みに関わる条件についても、比較的高い選択率であった。 図4−30 交通手段変更についての継続的取り組み意識 12.2% 1.継続する 32.8% 16.3% 2.条件が変われば継 続する 3.継続しない 4.わからない 38.7% (N=884) 交通手段変更の継続条件(選択率) (N=342) 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 1.クルマよりも 通勤時間が短くなる 29.2% 26.9% 2.クルマよりも通勤費用が安くなる 26.0% 3.自宅の近くに駅やバス停ができ る 4.会社の近くに駅やバス停ができ る 5.公共交通の運行情報が 気軽に入手できる 10.8% 5.8% 24.3% 6.早朝勤務・深夜勤務・残業がなくなる 7.通勤車を仕事で 利用する必要がなくなる 8.自宅側の鉄道駅に パーク・アンド・ライド駐車場ができ る 7.0% 11.7% 40.6% 9.鉄道・バスの運行便数が増える 10.公共交通の途中の 乗り換えが便利になる 11.鉄道・バスの 車内混雑が緩和される 12.バスが遅れず に 運行されるようになる 15.5% 14.3% 15.8% 13.徒歩や自転車に対して 通勤手当が支給される 14.パーク・アンド ・ライド 駐車場の 料金を勤め 先が支給してくれる 15. その他 125 20.5% 10.5% 19.9% 勤務地区(4都市)別に集計した結果を図4−9に示す。 「継続する」という回答の割 合は豊田市が最も高く、35.6%であった。春日井市は、実施した7人すべてが「継続す る」と回答している。 「条件が変われば継続する」と答えた参加者の選んだ条件項目につ いて、参加者の多い豊田市と岡崎市のみ集計したところ、両地区とも運行便数や所要時 間など、クルマと比較したサービスレベルの向上に関する条件の選択率が高い。特徴的 なこととして、「早朝深夜勤務・残業が無くなる」「徒歩・自転車に通勤手当支給」など で、両地区に差が見られる。 図4−31 交通手段変更についての継続的取り組み意識(地区別) 今後の通勤手段変更の継続意志は? 0% 10% 20% 岡崎市 (N=353) 28.3% 瀬戸市 (N=28) 28.6% 30% 50% 60% 70% 35.4% 80% 90% 19.3% 17.9% 春日井市 (N=7) 豊田市 (N=492) 40% 100% 17.0% 25.0% 28.6% 100.0% 0.0% 35.6% 8.1% 13.8% 42.5% ※豊田市は三好町を含む 継続する 条件が変われば継続する 継続しない わからない 交通手段の変更継続の条件(回答率) 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 23.2% 1.ク ルマよりも 通勤時間が短くなる 4.会社の近くに駅やバス停ができる 5. 公共交通の運行情報が 気軽に入手できる 8.6% 33.0% 岡崎 27.2% 23.9% 豊田 15.2% 6.4% 5.7% 6 .早朝勤務・深夜勤務・残業がなくなる 20.6% 7.通勤車を仕事で 利用する必要がなくなる 6.4% 7.2% 8 .自宅側の鉄道駅に パーク ・アンド・ライド駐車場ができる 7.2% 30.4% 13.9% 36.8% 9 .鉄道・バスの運行便数が増える 10.公共交通の途中の 乗り換えが便利に なる 12.4% 11. 鉄道・バスの 車内混雑が緩和される 20.8% 13.6% 14.8% 12.バスが遅れずに 運行されるようになる 17.6% 15.3% 13.徒歩や自転車に対して 通勤手当が支給される 14.パーク・アンド・ライド駐車場の 料金を勤め先が支給してくれる 50.0% 26.4% 27.8% 2 .クルマよりも 通勤費用が安くなる 3.自宅の近くに駅やバス停ができる 40.0% 14.4% 8.0% 12.0% 16.0% 15. その他 126 24.4% 22.0% 42.6% 通勤手段の変更の継続条件として、具体的に記されていた自由記述内容を、表4−2に整 理した。今回の実験は出勤時を主な対象としているが、自由記述に見られるように手段変更 を継続するためには帰宅時の条件も重要であることがうかがえる。 表4−11 交通手段変更の継続条件(自由記述より) 分 類 内 容 安全・防犯 夜間の治安向上、街路灯設置、自転車の安全な保管場所整備 気候・天候 暖かい季節ならば、雨が降らなければ 健 康 自分の健康に必要だと思えば、電車の車内の衛生が保たれるように なれば、体調が良ければ 相乗りマッチング 相乗りの相手が了解してくれれば 車利用担保 雨天や車が必要なときに車で通勤できれば(制度上または駐車場確 保の面で) 車利用の制限 駐車場が確保されないのなら、自由に利用できる車が無くなれば 勤務時間 早朝出勤が無くなれば、始業時間が遅くなれば、時差出勤やフレッ クスタイムが認められれば 費用負担 交通費負担が軽くなれば、P&R利用可能距離が短くなれば、現状 の通勤手当との差分を事業所が負担してくれれば、有料駐輪場の費 用を事業所が負担してくれれば 徒歩・自転車の環境 自転車が安心して通行できる道路整備、歩行者・自転車にやさしい 道路整備、通行空間の確保 沿道・沿線施設 駅やバス停周辺の商業施設整備、徒歩・自転車の通勤路の施設整備 運行ダイヤ バスの終便が遅くなれば、公共交通機関が夜遅くまで動いていれば、 発車時刻があえば 定時性・速達性 乗車時間の短縮、バス優先走行、時刻表どおりに運行されていれば 乗換利便性 乗換がなければ、名鉄と愛環の相互乗り入れ・乗換連絡のダイヤの ズレ解消、名鉄とJRのアクセス 127 交通手段変更を実施しなかった参加者および今後は継続しないという参加者に対して、 その理由を選択させたところ、「クルマの方が自由に行動できる」「クルマの方が早い」 といった、マイカーの優位性による理由の選択率が高い結果となった。 図4−32 交通手段を変更できない、または継続できない理由(選択率) 交通手段を変更できない、または継続できない理由(選択率) (N=533) 0.0% 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 % % % % % % 52.9% 1.クルマの方が時間が早いから 21.0% 2.クルマの方が費用が安いから 44.3% 3.自宅から駅やバス停が遠いから 4.会社の近くに駅やバス停が無いから 18.0% 5.公共交通でのルートをよく知らないから 17.8% 6.早朝勤務があるから 1.9% 29.1% 7.深夜勤務・残業があるから 16.5% 8.通勤車を仕事でも利用するから 9.鉄道駅に自動車の駐車場が無いから 7.1% 27.4% 10.鉄道・バスの運行便数が少ないから 11.途中の乗り換えが面倒だから 12.鉄道・バスの車内が混雑するから 13.バスが遅れるから 16.3% 8.3% 9.9% 32.3% 14.クルマの方が身体的に楽だから 53.1% 15.クルマの方が自由に行動できるから 16.その他 128 12.0% (3)環境問題への関心と今後の取り組み意志について ① 環境への関心 ECO通勤の実施を踏まえて、アンケートの最後に環境問題への関心と今後の取り組 み意志をたずねた。まず、環境問題への関心については、 「非常に関心がある」が 35.8%、 「少し関心がある」が 56.7%であり、関心を持つ人の多いことが見受けられた。 図4−33 環境問題への関心 0.5% 6.8% 0.1% 非常に関心がある 少し関心がある どちらともいえない あまり関心がない まったく関心がない 35.8% 56.7% (N=1,406) 勤務地区(4都市)別に集計してみると、図4−11 に示すように、サンプル数の多い 豊田市では「非常に関心がある」という回答の割合が比較的高い一方で、 「あまり関心が ない」「まったく関心がない」という回答が数件存在している。 図4−34 地区別にみた環境問題への関心 Q:環境問題に関心があるか? 0% 岡崎市 (N=423) 瀬戸市 (N=41) 春日井市 (N=8) 10% 20% 30% 40% 50% 60% 29.6% 61.2% 22.0% 80% 90% 100% 9.2% 65.9% 25.0% 豊田市 (N=923) 70% 12.2% 75.0% 39.7% 0.0% 53.8% ※豊田市は三好町を含む 非常に関心がある あまり関心がない 少し関心がある まったく関心がない 129 どちらとも言えない 5.5% 0.8% 0.2% ② ECO通勤への今後の取り組み意志 ECO通勤への今後の取り組み意志は、 「大いに取り組みたい」と「できるだけ取り組 みたい」を合わせると約 80%となり、多くの参加者がECO通勤への取り組みに対して肯 定的な意見を持っていることがうかがえる。しかしながら、前掲の「環境問題への関心」 と比較して「大いに」「できるだけ」というアクティブな回答割合が少なくなっている。 これらのことから、ECO通勤の普及促進に対して今後も取り組みを行っていくことが 重要であると考えられる。 図4−35 ECO通勤への今後の取り組み意志 0.5% 2.9% 17.6% 1.大いに取り組みたい 2.できるだけ取り組み たい 3.どちらともいえない 14.7% 4.あまり取り組みたい と思わない 5.まったく取り組みた いと思わない 64.3% (N=1,411 ) 勤務地区(4都市)別に集計してみても、図4−13 に示すように、環境問題への関心 では「関心がない」という回答が見られなかった岡崎市でも、 「取り組みたいと思わない」 という回答が現れている。 図4−36 ECO通勤への今後の取り組み意志 Q:ECO通勤に取り組みたいと思うか? 0% 岡崎市 (N=423) 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 4.0% 9.0% 61.0% 瀬戸市 4.9% (N=41) 61.0% 春日井市 (N=9) 22.2% 豊田市 (N=927) 17.7% 0.9% 25.1% 34.1% 66.7% 65.8% 11.1% 13.6% 2.6% 0.3% ※豊田市は三好町を含む 大いに取り組みたい どちらともいえない まったく取り組みたいと思わない 130 できるだけ取り組みたい あまり取り組みたいと思わない ③ TFPによる意識の変化 チャレンジECO通勤登録時(ECO通勤実施前)に、 「地球温暖化防止のために、CO2 の排出を少なくする必要がありますが、 『チャレンジECO通勤』のような一人ひとりの 取り組みをどう思いますか?」という質問をし、実施後に「環境問題について、どの程 度関心がありますか?」および「『ECO通勤』について、どうお考えになりますか?」 という設問を設けた。これらの回答をクロス集計した結果が図4−14 と図4−15 である。 図4−14 に示すように、事前に環境対策としてのECO通勤を「あまり重要でない」 と答えていた参加者でも、事後の調査では約 72%が環境問題への関心を持っている。こ の結果がTFPによる意識変化によるものであるとは断言できないが、図 415 では事前 に「あまり重要でない」と回答した参加者のうち 19%が事後に「できるだけ取り組みた い」と回答していることから、TFPによりECO通勤に対する意識の変化が得られた と考えられる。 図4−37 事前のECO通勤の重要性意識と事後の環境への関心 事前のECO通勤の重要性意識と事後の環境への関心 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 4.5% 非常に重要である (N=1045) 42.8% まあ重要である (N=339) 15.3% あまり重要でない (N=21) 13.6% 0.3% 0.0% 70.8% 19.0% 非常に関心がある 52.4% 少し関心がある 0.5% 0.0% 52.2% 14.3% どちらともいえない あまり関心がない 4.8% 9.5% まったく関心がない 図4−38 事前のECO通勤の重要性意識と事後の取り組み意志 事前のECO通勤の重要性意識と事後の取り組み意志 0% 非常に重要である (N=1045) 10% 20% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 11.5% 18.9% まあ重要である 2.9% (N=339) あまり重要でない 0.0% (N=21) 30% 67.8% 56.0% 19.0% 大いに取り組みたい あまり取り組みたいと思わない 5.9% 34.9% 42.9% できるだけ取り組みたい まったく取り組みたいと思わない 131 19.0% 19.0% どちらともいえない 1.6% 0.2% 0.3% (4)フォローアップアンケート(Step.5)の結果 TFPの最終ステップとして、チャレンジECO通勤の結果を参加者に報告し参加特 典であるエコシールプレゼントの案内をするとともに、実験後のECO通勤実施状況を 確認し、WebによるTFP実施システムの評価をおこなう目的で、Web参加者に対 してアンケート調査を行った。 ① アンケート回答者数 表4−3は、フォローアップアンケートの回答者数と回答率であるが、全体的に低い 結果となった。このアンケート回答により参加者への特典である「エコシール」の送付 手続きを行うことができる仕組みとなっていたが、エコシール事業を実施している自治 体である豊田市と岡崎市の2地区については比較的高い回答率となっている。 表4−12 Step.5 アンケート回答者数 Web参加者数 Step.5 回答者数 回答率 岡崎市 435 114 26.2% 瀬戸市 15 2 13.3% 春日井市 11 0 0.0% 豊田市 982 286 29.1% その他 11 5 45.5% 1454 407 28.0% 総計 以下、アンケートの集計結果を示す。なお、地区別の集計は比較的回答数の多い岡崎 市および豊田市のみについて提示する。 ② 社会実験後のECO通勤実施状況 実験後のECO通勤実施状況は、図4−14 に示すように全体で8割程度の参加者が「実 施したことがある」と答えている。また、豊田市の方が若干その割合が高くなっている。 図4−39 実験後のECO通勤実施有無 Q実験後、ECO通勤を実施したことがあるか? 0% 10% 岡崎市 (N=114) 豊田市 (N=286) 総計 (N=407) 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 77.2% 90% 22.8% 80.8% 19.2% 80.1% 19.9% ※豊田市は三好町を含む 1. 実施したことがある 132 2. 実施したことはない 100% さらに、実施したことがある人のECO通勤実施頻度は、全体では約 24%が「毎日実 施」と答えており、 「週に1∼2回」以上の実施者は全体の約 65%にのぼる。地区別に見 ると、豊田市勤務の参加者の方が実施頻度は高くなっている。 図4−40 実験後のECO通勤実施頻度 ECO通勤実施の頻度は? 0% 10% 20% 岡崎市 (N=88) 豊田市 (N=231) 総計 (N=326) 30% 40% 37.5% 23.4% 50% 9.1% 5.2% 27.6% 月に1∼2回 70% 80% 28.4% 19.9% 6.4% 60% 13.6% 22.1% 22.4% 月に1回未満 90% 100% 11.4% 29.4% 19.6% 週に1∼2回 23.9% 週に3∼4回 毎日 実施したECO通勤の方法は、全体では 66%の参加者が交通手段の変更をおこなって いる。時差出勤はその半分程度、相乗りは1割程度である。地区別の比較をすると、岡 崎市は「交通手段の変更」実施者の割合が約 74%と豊田市より多い反面、 「時差出勤」実 施者の割合は 13%程度にとどまっている。 図4−41 実験後に実施しているECO通勤方法 どんなECO通勤を実施したか? 総計 (N=326) 豊田市 (N=231) 9.5% 33.1% 66.0% 7.4% 63.2% 15.9% 12.5% 岡崎市 (N=88) 0.0% 相乗り 時差出勤 交通手段の変更 40.7% 73.9% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 133 60.0% 70.0% 80.0% ③ 今後の継続意志 実験後にECO通勤を実施した参加者に対して今後の継続意志を、ECO通勤を実施 していない参加者に対しては、今後実施する意向の有無をたずねた。 実施している人では、全体で約 87%が継続の意志を持っており、特に豊田市では 90% を越えている。 図4−42 実験後のECO通勤実施有無 実験後ECO通勤実施者の今後の継続意志は? 0% 10% 20% 30% 岡崎市 (N=88) 40% 50% 60% 70% 80% 75.0% 豊田市 (N=231) 0.0% 7.8% 86.5% はい 100% 25.0% 91.3% 総計 (N=326) 90% 0.9% 12.9% わから ない 0.6% いいえ 一方、実施していない人の今後の実施意向は、全体で約 51%が実施する予定であると 答えている。また、岡崎市では「わからない」という回答の割合が高くなっている。 図4−43 実験後のECO通勤実施有無 実験後ECO通勤を実施していない人の今後の実施意向は? 0% 岡崎市 (N=26) 豊田市 (N=55) 総計 (N=81) 10% 20% 30% 40% 50% 34.6% 60% 70% 57.7% 30.9% 39.5% はい わからない 134 90% 100% 7.7% 58.2% 50.6% 80% いいえ 10.9% 9.9% 4−2−5 WebによるTFP実施システムの評価と課題 (1)TFP実施システムの利用者評価 TFPの最終ステップ時に、本実験で使用したWeb上のシステムについて、質問項 目を設けた。 まず、TFPの各ステップにおいて提供した情報が、ECO通勤などの環境行動に役 立つか、という質問では、約 94%が「とても役に立つ」「役に立つ」と答えている。 次に、このようなパソコンを使ったWeb上のシステムにより、ECO通勤への取り 組みがしやすくなるか、という質問では、「とても取り組みやすい」「取り組みやすい」 という回答が 87%を占めている。しかしながら、システムの使いやすさでは、 「とても使 いやすかった」「使いやすかった」という回答が 68%にとどまっている。 これらのことから、情報を適宜フィードバックしながら実験を進めるTFPの仕組み は高く評価されたが、運用システムの使いやすさには改善の余地がある、という課題が 残されたといえる。 図4−44 TFP実施システムの利用者評価 0% 1 0% 提供した情報の貢献は? 20% 30% 40 % 50 % 17.9% 60% 70% 80 % 90 % 76.4% 1 00% 5.7% (N=407) とても役に立つ 0% 1 0% 取組支援となるか? 役に立つ 20% 30 % あまり役に立たない 40% 50% 22.9% 60 % 7 0% 80% 64.1% 90% 1 00% 13.0% (N=407) とても取り組みやすい 0% 1 0% 取り組みやすい 20% 3 0% 40% あまり変わらない 50 % 60% 70 % 8 0% 90% 1 00% 5.2% システムの使いやすさは? 59.5% 8.4% 26.0% (N=407) とても使いやすかった 使いやすかった どちらでもない 135 使いにくかった 1.0% とても使いにくかった (2)TFP実施システム運用の課題 今回実施したTFP実施システムの問題・課題・反省点を、以下に整理した。 段 階 項 目 CO2算出方法 ・ 時差出勤の効果を反映させるために、平均速度に応じた 原単位を用いる必要が生じたことなどの理由から、交通 手段別に統一した原単位算出方法を用いることができ なかった。 交通行動入力方法 ・ 公共交通機関の乗車駅やバス停を入力させることで、通 勤実態把握の精度が上がるが、即座に CO2 排出量情報を フィードバックする必要があったため、手段別の距離あ るいは所要時間を入力する形式とした。このため、入力 情報の精度が低下した。 フィードバック情報 ・ 公共交通機関情報の提供は、みちナビとよたポータルサ イトを活用したため、参加者のパソコン使用スキルによ って情報取得の差違があったと考えられる。 セキュリティ ・ 個人情報保護の観点から、システムサーバを物理的に高 セキュリティ環境に置く必要があり、実験としては高額 な費用が生じた。 対象者の設定 ・ 事業所の集まりである「豊田市TDM研究会」を主体と しながらも、対象は企業単位ではなく個人単位の募集形 式をとった。このため、事業所ごとの集計が不可能とな った。 メールアドレス ・ メールアドレスを持たない職員に対して、印刷物による プログラムを実施する必要が生じた。 ・ 当初はメールアドレスを事業所で取りまとめて提供頂 き、事務局から参加を呼びかける手順を予定していた が、個人情報保護の観点から事業所でのとりまとめが不 可能なケースが発生した。 メールアドレス ・ 事業所内で同一メールを複数参加者が共有するケース が多々あり、参加者との直接的なコミュニケーションが 困難であった。 ・ 参加者のアドレス入力ミス等から不達メールが多発し、 事務局からの情報を全く得ていない参加者が存在する。 ・ 携帯電話のアドレスを登録し、かつPCからのメールを 着信拒否設定していると考えられる参加者も多数存在 し、事務局からのフィードバックが不達となった。 フィードバックのタ イミング ・ 印刷物による調査データの入力、精査、集計に時間を要 したため、実験終了後の Step.5(最終結果の報告とエコ シール獲得情報)の実施時期が若干遅かった。 システム 設 計 参加募集 運 問題点・課題・反省点 用 136