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交流の場づくりによる商業者・市民等のネットワーク形成と 育成に関わる

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交流の場づくりによる商業者・市民等のネットワーク形成と 育成に関わる
指定課題2
都心部地域(四条通、河原町通、御池通及び烏丸通に囲まれた地域及び
周辺地域)での商業者等の交流の場づくりに関する研究
交流の場づくりによる商業者・市民等のネットワーク形成と
育成に関わる実証研究
研究代表者 西村 雅信(京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン学部門 准教授)
共同研究者 谷口 知弘(同志社大学大学院総合政策科学研究科 客員教授)
行場 吉成(京都工芸繊維大学創造連携センター 特任教授)
多田羅景太(京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン学部門 助教)
深川 光耀(京都市文化市民局地域自治推進室 まちづくりアドバイザー)
市担当部署 産業観光局商工部商業振興課
市協力部署 中京区役所地域力推進室
全体概要
近年、京都市都心部地域(京まちなか)の小売業年間販売額が減少傾向にある。今後も
都市間競争が激しくなると予想される中、それに打ち勝つにためは同地域で交流の場を創
出し、商業者・市民等の人的ネットワークの形成を図ることによる京まちなかの活性化が
求められている。そこで、本研究では、京まちなかの商業者等の多彩な個人や団体をつな
ぐ交流の場の創出を試み、京まちなかの人的ネットワーク形成に有効な場のあり方を実証
した。
1.研究概要
1−1.研究の背景・目的
京都市は、2013 年9月から 2014 年3月にかけて、商業者・学識・専門家・消費者等で
構成される「京都市商業集積活性化会議」を設置し、都心部地域がこれからも魅力あふれ
る商業集積であり続けるための方策の検討を行った。この会議での議論の結果、重点的に
取り組むべき4つの提案が挙げられた(表 1 1)。提案の1つが「C.京まちなかネットワ
ーク・カフェの立ち上げ」である。都市間競争に打ち勝つにため、同地域で交流の場を創
出し、商業者を中心とした人的ネットワークの形成を図ることが提案されている。
そこで本研究では、
「C.京まちなかネットワーク・カフェの立ち上げ」の提案を踏まえ、
商業者・市民等の交流の場を創出することを一義的な目的とする。そのうえで、どのよう
な交流の場が京まちなかの人的なネットワーク形成に有効であるかを、①参加のデザイン、
②空間のデザイン、③対話のデザインの3つ視点から検証し、その可能性と課題を明らか
にする。
なお、本研究はアクションリサーチであり、各交流の場(フューチャーセッション注1))
で得られた知見を踏まえて、それぞれのデザインを発展させている。
27
表 1 1 京まちなかエリアの活性化に向けた重点提案
A. 京都らしい不動産活用の検討
B.リーディングプロジェクト「錦にぎわいプロジェクト」
C.京まちなかネットワーク・カフェの立ち上げ
京まちなかエリアに関するイベントや具体的な取組、新規出店サポート、商業者育成など様々な
テーマに合わせた関係者が出会う場として、
「京まちなかネットワーク・カフェ」を立ち上げる。
<テーマ例>
・都心部への出店希望者と都心部百貨店とのマッチング
・ポイントラリーなど回遊性を高めるイベントの実施
・商店街空き店舗と出店希望者のマッチッング
D.都心部地域へのアクセス性の向上
出典:京まちなか(京都まちなかエリア)の活性化に向けた提案 概要版
1−2.対象
本研究は、京まちなかの商業者・市民等を対象とし、それらのネットワークの形成を図
った。
京まちなかとは、四条通、河原町通、御池通、烏丸通に囲ま
。「京まちなか」につ
れた地域とその周辺地域を指す(図 1 1)
いては、京都市商業集積活性化会議がとりまとめた「京まちな
か(京都まちなかエリア)の活性化に向けた提案 都心部地域
の商業集積活性化に向けて
」に詳細が示されている。
図 1 1 京まちなかエリア
2.研究のオリジナリティ
①商業者・市民等の交流の場のブランディング
商業者・市民等の交流を促進するには、魅力ある交流の場の創出が不可欠である。なぜ
なら、交流の場の求心力が高くなければ、商業者・市民等の多様な参加者を集めることが
できないからである。そのため研究では、交流の場に「茶論案庵(サロンアンアン)
」と名
付けることや、シンボリックな対話型「場のツール」
(以下;未来茶室)を開発することに
よって、ブランディングを行い、求心性を高めることを試みた。大別すると、ロゴの作成
(図 2 1)や広報ツールによるブランド認知の向上と対話型「場のツール」によるブラン
ド連想の2つである。
なお、「茶論案庵」の名称は、
「茶を楽しむように論じ、案(アイデア)を出す庵」とい
う意味を有している。また、
「茶論=salon」、「案庵=unanimity(合意、満場一致)
」とい
う意味合いも持つ。
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②政策・まちづくりの専門家とデザイン分野の研究者の協働
一般に、対話の場づくりは、政策・まちづくりの専門家等によって行われることが多い
が、本研究では、政策・まちづくりの専門家とデザイン分野の研究者との協働を図った。
その結果、前述したブランディングや未来茶室の開発などが可能となった。対話のプロ
グラムにおいても、イメージマッピング(語られたキーワードからイメージマップを製作)
やコラージュ、ブレーンストーミングなどのデザイン分野の手法を援用している。
③未来茶室の開発
開発した未来茶室は、実践の場で試行しながら改善を図っていた。参加者からフィード
バックを得ることで、現場に即した実践的な対話型「場のツール」の開発につながった。
この未来茶室は、二畳程度の狭小型茶室に着想し開発した。輸送可能な組み立て式とす
るために、軽量な段ボール(未来茶室タイプ1)や段ボール紙管(未来茶室タイプ2=Neo)
(図 2 2)を主材として開発している(詳細は、4 2 を参照)。参加者同士が協力して製作
することによってアイスブレーキングの効果を生み出すとともに、中に入ることによって、
より豊かな対話を可能とすることが確認された。
図 2 1 茶論案庵のロゴ
図 2 2 開発した未来茶室 Neo
3.研究内容
3−1.研究内容
交流の場を京まちなかの活性化につながる場として機能していくためには、
「京まちなか
にみられる商業者等の多彩なネットワークをつなげていく場」、「商業者等が自分のネット
ワーク内では解決できない課題を明らかにして新たな価値を創造する場」を創出すること
が必要である。
そこで本研究では、大別して2つの交流の場「フューチャーセッション」を試行し、有
効性の検証と持続可能な仕組みを検討した。フューチャーセッション(図 3 1)とは、現
場の多様なステークホルダーに加え、想像力を働かせて「未来のステークホルダー」も招
き入れることで、創造的な関係性を生み出すものである。お互いが尊敬の念をもって傾聴
し合い、未来に向けての「新たな関係性」と「新たなアイデア」を生み出し、その結果、
それぞれのステークホルダーが認識と行動を変化させ、協力してアクションを起こせる状
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況を生み出すものである。
なお、今回の交流の場は価値創造型のプロセスを志向しており、フューチャーセッショ
ンが適していると考え、もちいている。
図 3 1 フューチャーセッションでの対話
図 3 2 実施したフューチャーセッション
3−2.研究のプロセス
計画から実践に至るプロセスを「開発・運営」
「企画・育成」「交流・実践」の3層に分
けて3つの場を段階的に設け(図 3 2)、アクションリサーチの手法を用いて試行と検証・
改善を繰り返すプロセスで実践的研究を進めて行った。
第1段階は、
「交流の場」の空間・参加・対話のデザインを行い全体の計画と運営を行う
場として「京のまちなか茶論案庵デザインセッション」を設けた。
第2段階では、自立的かつ継続的に「交流の場」の企画・運営を担う人材や組織を育成
することを視野に「企てる。育てる。フューチャーセッション」を実施した。ここでは、
京のまちなかのビジョン描く対話や京のまちなかを読み解くイメージコラージュの制作、
デザイン思考の方法論の体験等を行い、人と組織のインキュベーションを試みた。
第3段階の「交わる。起こす。フューチャーセッション」は、京のまちなかの新たな価
値創造を実験的に行う場として次の3タイプの交流の場を開催した。
① 商業者・事業者と市民が交わり、つながる「学び」と「ネットワーク形成」の場。
② 作り手と売り手・支え手が交わり、育てる「創発」と「ネットワーク形成」の場。
③ 関心のテーマに未来のステークホルダーが集って、交わり、起こす「文化創造」と「コ
ミュニティ形成」の場。
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3−3.研究のスケジュール
研究のスケジュールと開催したフューチャーセッションは以下のとおりである(図 3 3、
表 3 1)。
図 3 3 研究のスケジュール
表 3 1 実施した交流の場(フューチャーセッション)
日時
名称
2014 年8月 27 日(水)
19 時 21 時 30 分
2014 年 10 月 23 日
(木)
19 時 21 時 30 分
第 1 回 企てる。育てる。
フューチャーセッション
第2回 企てる。育てる。
フューチャーセッション
交わる。起こす。
2014 年 11 月 27 日
(木) フューチャーセッション
19 時 21 時 30 分
第2回中京マチビト Caf
“学びと共鳴編”
第 1 回 商い・文化・まち
2015 年2月5日(木)
交わる。起こす。
19 時 21 時 30 分
フューチャーセッション
2014 年2月 13 日(金)
茶論案庵ミーティング
19 時 21 時 30 分
第2回 商い・文化・まち
2015 年2月 23 日(木)
交わる。起こす。
19 時 21 時 30 分
フューチャーセッション
2015 年3月4日(水) 第3回 企てる。育てる。
19 時 21 時 30 分
フューチャーセッション
テーマ等
会場
参加者数
「京まちなかの未来を語る」
ちおん舎
19 名
「京まちなかのイメージを
見える化する」
oinai
Karasuma
21 名
「マチビト×京まちなかの
商い」
新風館
67 名
「京まちなか×育児中の
お母さん」
誓願寺
14 名
「作り手と売り手・支え手
のネットワークづくり」
新風館
36 名
「京まちなか×育児中の
お母さん」
誓願寺
10 名
「私と京まちなかの商い
ブレーンストーミングで
読み解く 」
ちおん舎
12 名
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4.交流の場のデザイン
4−1.ビジュアルアイデンティティ
多様な主体を交流の場に集めるためには、求心力を高めることによるアイデンティフィ
ケーション(識別)が必要である。視覚的伝達効果が有効であることから、①「茶論案庵
(サロンアンアン)
」という名称を用いたロゴマークの作成(図 4 1)、②未来茶室(シン
ボルグラフィック)から展開した広報ツールの作成を行った(図 4 2)。これにより、場
(コミュニティ)への帰属意識を高めることも期待した。
「茶論案庵」という名称は、
「茶を楽しむように論じ、案(アイデア)を出す庵」という
意味を有している。また、
「茶論=salon」
、「案庵=unanimity(合意、満場一致)」という
意味合いも持つ。
図 4 1 茶論案庵のロゴ(再掲)
図 4 2 広報ツール(コンセプトをグラフィックで表現)
4−2.未来茶室
(1) 未来茶室の開発
近年、オープンイノベーション注2)を目的としたフューチャーセンターが多くみられ
る。フューチャーセンターは、多様性豊かな参加者を招き、社会的課題解決のための仕
組みを考えるとともに、参加者同士のつながりを促進させる場である。本研究でも、そ
れらを期待し、対話型「場のツール」として未来茶室を開発した。一般に、フューチャ
ーセンターは施設であることが多いが、未来茶室は、京まちなかの多様な会場での活用
を目的としているため、軽バンなどの小型車両でも輸送可能であることが特徴である。
この未来茶室のデザインには、京都府大山崎町に現存する国宝茶室「待庵」から着想
を得ている。二畳程度の狭小型茶室でありながら、参加者がリラックスして議論を交わ
すことができる空間づくりを目指した。また、輸送可能な組み立て式とするために、軽
量な段ボール(未来茶室タイプ1)や段ボール紙管(未来茶室タイプ2=Neo)を主材と
して開発している。参加者同士が協力して未来茶室づくり行うことによってアイスブレ
ーキングの効果を生み出すとともに、中に入ることによって、より豊かな対話を可能と
32
することが確認された(図 4 3)
。
図 4 3 開発時のイメージ
図 4 4 未来茶室(タイプ1)
(2) 未来茶室(タイプ1)
未来茶室(タイプ1)は、軽量な段ボールを主材として開発した。段ボール板 12 枚を
テープで貼り合わせることによって、空間を創出する(図 4 4)。
組み立ての手順は、図 4 5 に示したとおりである。対話をはじめる前に、参加者に「手
引き」を配布し、協力して未来茶室をつくってもらった。共同作業により、初対面同士
の参加者の緊張が和らぐといったアイスブレーキングの効果が高いことが確認された
(図 4 6)
。さらに、
「人との距離が近いため、じっくりと人の話をきくことができた。」、
「未来茶室の中の方が、一体感を感じて安心して話し合うことができた。
」という参加者
の感想から、未来茶室には、親密性を高め、より集中して対話できる効果があることが
読み取れる(図 4 7、図 4 8)
。
なお、2015 年 3 月に開催した「第3回 企てる。育てる。フューチャーセッション」
以外は、このタイプ1を用いて、フューチャーセッションを開催している。
図 4 5 未来茶室づくりの手引き(手順)
図 4 6 組み立て
図 4 7 外からみた茶室内
33
図 4 8 茶室内での対話
(3) 未来茶室 Neo(タイプ2)
未来茶室(タイプ1)を踏まえて、軽量な段ボール紙管を主材として開発したものが、
未来茶室 Neo(タイプ2)である。タイプ1よりも耐久性を高めることによって、継続
して使えるものとした。また、採光のために天井にスリッドを入れ、窓も設けた
(図 4 9、図 4 10、図 4 11、図 4 12)。
図 4 9 組み立て
図 4 10 未来茶室 Neo
図 4 11 茶室内
図 4 12 茶室の格子窓
(4) 未来茶室に関する主な意見や感想
<第 1 回
企てる。育てる。フューチャーセッション>
・未来茶室の効果で、和気藹々と話ができてよかった。
・未来茶室の中での話し合いはワクワクした。
・楽しい話し合いができました。未来茶室の中があたたかい。
・遊び感覚のしつらえが重要だと知った。
<茶論案庵ミーティング>
・秘密基地のようで親密になれた。おもしろい。
・集中力がアップした。
・はじめは戸惑ったが、目に入ってくるものがなくなったこともあり、参加者の言葉を
きちんと受け止めることができた。
・薄暗く、人との距離が近いため、じっくりと人の話をきくことができた。
・未来茶室の中の方が、一体感を感じて安心して話し合うことができた。
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5.交流の場の実践
5−1.企てる。育てる。フューチャーセッション
自立的かつ継続的に「交流の場」の企画・運営を担う人材や組織を育成することを視野
に「企てる。育てる。フューチャーセッション」を設けた。ここでは、京のまちなかのビ
ジョン描く対話や京のまちなかを読み解くイメージコラージュの制作、デザイン思考の方
法論の体験等を行い、人と組織のインキュベーションを試みた。
(1) 第1回
企てる。育てる。フューチャーセッション(図 5 1)
■日 時:2014 年8月 27 日(水)19 時 21 時 30 分
■場 所:ちおん舎
■テーマ:
「京まちなかの未来を語る」
■参加者:19 名(研究チームと京都市商業振興課を除く)
①目的
商業者等の京まちなかに対する認識(課題や魅力、将来像)をワールドカフェによる
対話を通じて共有するとともに、対話を通じた参加者の交流を目的とした。
②プログラム/手法
ⅰ)あいさつ/趣旨説明(15 分)
ⅱ)未来茶室づくり(15 分)
ⅲ)フューチャーセッション(95 分 ※席替えなどの時間を含む)
・1ラウンド(20 分) 「最近、気になること、関心のあること」
・2ラウンド(20 分) 「京のまちなかの未来」
・3ラウンド(20 分) 「未来を創るうえで、(京まちなかに)足りないモノ」
ⅳ)全体共有(15 分)
ⅴ)会場とディスカッション(25 分)
・キーワードの抽出/まとめ
・今後のスケジュール
図 5 1 第 1 回 企てる。育てる。フューチャーセッションの様子
35
③語られた内容
●ミクロとモザイクをつなぐ仕組みづくり(魅力ある個店の集積をいかす)
●若手商業者が活躍する場づくり
<グループ1>
・京まちなかには、多くの外国人観光客が訪れる。賑わいができてよいが、一方でマナ
ーの問題も指摘されるようになった。
・京まちなか全体を百貨店のイメージでとらえてはどうか。
<グループ2>
・35 歳から 40 歳ぐらいの若手商業者が集まる場を創る。それを行政が支援する。
・若手をどう育成していくかを考える必要がある。
<グループ3>
・京まちなかの将来像や方向性を示すマスタープランの作成が必要ではないか。
・通りを百貨店のフロアに見立てて、まちなかの回遊性を高めてはどうか。例えば、野
菜通り、ファッションの通りなど。
<グループ4>
・文化ミックスというキーワードが出た。
・独創的な京都らしい店の存在。
・京まちなかは賃料が高いことが、若手の育成の障害になっている。シェアハウスのよ
うなかたちで一人当たりの賃料を下げて出店できる仕組みも必要であろう。
・行政に頼らない、公益性の高い商業者のコミュニティづくりができれば。
・住んでいる人や出店している人たちのセンスがにじみ出ているまちにしていきたい。
<グループ5>
・新京極商店街かいわいにパンのおいしい店がほしい。
・サードプレイス
・面的な視点、取組が大切である。
・京まちなかのビジョンやゴールの共有も重要である。
・100 人にうける店でなく、10 人、1人にうける店を目指す。
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④参加者の感想
・様々な考えをお持ちの方と対話ができて楽しかった。
・未来茶室の効果で、和気藹々と話ができてよかった。
・京まちなかのイメージをリアルにしていきたい。
・様々な業種の方と交流ができ、新しいモノの見方や考え方ができる。
・楽しい話し合いができた。未来茶室の中があたたかい。
・「まちなか×⃝⃝」といったかたちで対話してもおもしろいと思う。
・仕事以外の場で人のつながりができたことがステキである。
・遊び感覚のしつらえが重要だと知った。
・まちに対するビジョンが可視化されるプロセスがおもしろかった。
・京まちなかの問題点をあらゆる角度からきけたことがよかった。
・未来茶室の中での話し合いはワクワクした。
・最初のテーブルに戻ると意見がパワーアップしていた。すごいプログラムである。
・様々な意見があったが、向かいたい方向は近いと感じた。楽しかった。
⑤結果のとりまとめ
第 1 回では、京まちなかの将来像やビジョンの必要性や魅力ある個店の集積の活用、
若手商業者の育成など多くの意見がきかれた。茶論案庵プロジェクトでは、語られた多
くの意見やキーワートをもとにイメージマッピングを行い、京まちなかの位置づけをイ
メージする「京まちなか座標軸」を作成した(図 5 2)。
この「京まちなか座標軸」は縦軸を「京継」と「京心」、横軸を「京展」と「京度」と
した。縦軸の「京継」は、
「KYOTO METABOLISM」、
「京心」は、
「KYOTO PHILOSPHY」を指し、
横軸の「京展」は、
「KYOTO DEVELOPMENT」、「京度」は「KYOTO DEGREE」を指す。
図 5 2 キーワードから作成した「京まちなか座標軸」
37
(2) 第2回
企てる。育てる。フューチャーセッション
■日 時:2014 年 10 月 23 日(木)19 時 21 時 30 分
■場 所:oinai karasuma
■テーマ:
「京まちなかのイメージを見える化する」
■参加者:21 名(研究チームと京都市商業振興課、オブザーバーを除く)
①目的
「第1回 企てる。育てる。フューチャーセッション」で出された参加者の意見を踏ま
え、「京まちなか座標軸」としてまとめた(図 5 3)。第2回では、この座標軸をもとに
参加者に京まちなかのイメージをコラージュによって表現(可視化)することを目的と
した。さらに、コラージュをみながらグループごとに京まちなかにとって大事なアクシ
ョンと場を提案してもらった(図 5 4)
。
②プログラム/手法
ⅰ)あいさつ/趣旨説明(10 分)
ⅱ)第1回企てる。育てる。フューチャーセッションの振り返り(10 分)
ⅲ)未来茶室づくり(10 分)
ⅳ)フューチャーセッション「京まちなかのイメージ共有」(115 分)
●「京まちなかの座標軸」の説明(10 分)
●京まちなかコラージュをつくる(60 分)
図 5 3 京まちなか座標軸
図 5 4 コラージュを踏まえた対話
●「京まちなかに大事な場は?」
(45 分)
・京まちなかの活性化にとって大事なアクション、アイデアを各自出し合う(10 分)
・グループで1つのアクション、アイデアとそれを実現する場を絞る(20 分)
・全体共有(15 分)
ⅴ) まとめと次回以降について(10 分)
38
③完成した京まちなかコラージュ
これら完成したイメージコラージュを眺め、総じて言えることは、作業当初、唐突で
関連性の無い写真も、意味を持つ軸に区切られた象限に位置づけられることにより眺め
るうち、相互に反応し行間を埋めるごとく新たなイメージ、文脈のようなものが読み取
れるようになることである(図 5 5)。
例えば、新陳代謝のところのアンチエイジングイメージが、カラフル感、バラエティ
ー感をもって展開の方へ伸びている。また、哲学的な部分は、派手さは求めず中間色で
構図的にも安定感ある画面となっている。多業種、異なる価値観を有する人々が同じ目
的に向かうためには、これらイメージに昇華された部分での共通認識が心理的に深いつ
ながりとなるため、有効な手法である。
図 5 5 完成した京まちなかコラージュ
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(3) 第3回
企てる。育てる。フューチャーセッション
■日 時:2015 年3月4日(水)19 時 21 時 30 分
■場 所:ちおん舎
■テーマ:
「私と京まちなかの商い ブレーンストーミングで読み解く 」
■参加者:12 名(研究チームと京都市商業振興課等を除く)
①目的
今年度の最後のフューチャーセッションの場で、これまでの茶論案庵プロジェクトの
活動を報告するとともに、小グループに分かれてのブレーンストーミングを通じて「私
×京まちなか」に関する気づきを促すことを目的とした(図 5 6)。
②プログラム/手法
ⅰ)あいさつ
ⅱ)自己紹介
ⅲ)未来茶室 Neo(タイプ2)の紹介
ⅳ)今年度の活動報告
ⅴ)フューチャーセッション「私と京まちなかの商い ブレーンストーミングで読み解く 」
●京まちなかと商いで気になることは?
●私のテーマと多様な視点
ⅵ)茶論案庵の未来
●今日のフューチャーセッションの感想
●交流の場「茶論案庵」の評価
・
「魅力」と「課題」
・今後の可能性や活用の仕方
図 5 6 ブレーンストーミング等の様子
40
③「茶論案庵」の評価
<魅力>
・様々な人と出会うことができる。
・様々な業種の方々と交流できることが魅力である。
・様々な人と出会い、つながることができることが魅力ある。
・新しい出会いやつながりができることが魅力である。
・京都市商業振興課の職員と直接対話できるのがよい。
・普段、あまり接点のない方々と話し合いができることがうれしい。
・仕事外の交流
・知恵の交流
・新たな発見
・ブレーンストーミングが頭の体操になった。
<課題>
・参加者はもっと多い方がよい。
・もう少し多くの人が集まればうれしい。
・茶論案庵がどういったものかすぐにわかるような説明、ビジュアルがあればよい。
・途中参加の方にもう少し全体像がわかるように進行してほしい。
・意見が出るまで時間がかかる。
・取り留めなくひろがっていく話をどのあたりで収束していくかが難しい。
・議論の行き先がみえないため、難しい。
・フワっとしている。
・到達点が見えない。
・フューチャーセッションのグループでいっしょになった時だけの出会いで終わって
しまうことがある。対話以外にも、交流の場・時間を割いてほしい。
5−2.交わる。起こす。フューチャーセッション
(1) 商業者・事業者と市民が交わり、つながる「学び」と「ネットワーク形成」の場
■日 時:2014 年 11 月 27 日(水)19 時 21 時 30 分
■場 所:新風館(Re-Cue Hall & Caf Salon)
■テーマ:
「中京マチビト Caf
学びと共鳴編『マチビト×京まちなかの商い』」
■参加者:67 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課を除く)
①目的
中京区内でまちづくりに取り組む人々と京まちなか商い人の人的ネットワーク形成を
目的として、中京区役所が実施しているマチビト(まちづくりに取り組む方々)の出会
いと交流の場「中京マチビト Caf 」と「茶論案庵」が協働してフューチャーセッション
を開催した(図 5 7)
。
41
②プログラム/手法
ⅰ)オープニング(10 分)@Re-Cue Hall
・あいさつ(中京区長)
・未来茶室の紹介茶室の紹介
ⅱ)「学び」
(10 分)@Caf Salon
・京まちなかの商いの現状(京都市商業振興課)
・自己紹介
ⅲ)「共鳴(対話)
」
(120 分)
・対話の進め方の説明(5 分)
・テーマ出し・発表(10 分)
・茶論案庵プロジェクトメンバーから話題提供とテーブルわけ(30 分)
・意見交流(2ラウンド)
(45 分)
ⅳ)共有(20 分)
・テーブル共有
・全体共有
ⅴ)振り返りシート、アンケート(10 分)
図 5 7 ステージでの未来茶室の紹介とフューチャーセッションの様子
42
③語られた内容(参加者から提案された対話のテーマ)
1.京都の情報サイトを充実させたい!
京都の情報サイト「KYOSTYLE」を約 10 年前に立ち上げた A さん。京都を一緒に盛り上げるためにサ
イトをより良くしていくアイデアを募集。
2.フードロスをテーマにファーマーズマーケット
「フードロスをなくしたい。
」という想いで活動されている B さん。フードロス問題を楽しく解決できる
ようなイベントを企画中。問題意識はみんな持っていることを改めて実感。
3.喋れたら得するやん!
新京極でお土産物を販売されている C さんは「外国からの観光客が増えているが、まだまだ外国人にと
っては不便なところがある。
」と考え、おもてなし向上を目指し、外国人観光客と会話するための英会話
教室を作るため活動中。
4.学区カルタをつくろう!
群馬県出身の D さんは、地元の「上毛かるた」をヒントに、京都の「学区カルタ」を提案。地元の人に
元学区のことを知ってもらいたい、という想いで活動している。どういうジャンルにするのか、どこの
学区でするのかなどを話し合い、様々な意見が出された。
5.お米と塩から考える食の暮らし
「もっと食事を大事にしてほしいという想いから様々な活動をされている E さん。日本人の食の基本で
ある「米と塩」について、じっくり考えられるようなワークショップを企画。次回は、12 月におにぎり
を作って食べるワークショップを開催予定。
6.若者×高齢者のつながりを各地で
若者と高齢者のつながりをつくる活動されている F さん。今回は、
「若者と高齢者のつながりの場を出張
形式で行いたい」という想いで提案。
7.若者×高齢者のつながりを各地で
「店舗がなくて活動している方々に場所を提案できないか。空き家や既存の店舗を活用できないか。
」そ
んな想いで、アイデアを求めて参加された G さん。場所、環境、人をつなぐためには、情熱だけではな
く、金銭面のサポートも必要であることから、金銭面でのサポートや企業の巻き込み方について今後考
えを深めていきたいと意気込みを語った。
8.京都のよいイメージの向上にむけて
京都のまちなかを歩いていて、ベンチが少ない、ゴミが落ちている、駅に時計が少ない、などイメージ
が低下する光景に衝撃を受けた。しかし、この場で色々な方の意見を聞いて、京都という土地柄の特徴
や、現在行われている取組を学んだ。
9.京まちなかの横断的なエリアマネジメントをする NPO の設立!
「京まちなかにエリアマネージャーが必要。
」という H さん。行政からも市民からも必要とされる NPO
法人の設立を目指して活動中。ワークショップを通して、行政の取組の受け皿だけではなく、市民の取
組をサポートする事業も必要だということを実感。
10.まちなかの全ての人に情報を浸透させるためには?
「会社の新事業として、一般投稿からなるニュースメディアを立ち上げる。
」という I さん。多くのサイ
トが消えていく中で、どのように人々に浸透させていくか、アイデアを募集した。
「ユーザーが体験でき
るモノ作りで口コミを増やす。
」
、
「今ある財産、人材を有効活用する。
」
、
「人とのコミュニケーションを
増やし、ターゲットごとに媒体を変える。
」など、具体的な案が出た。
11.若い世代が学び次世代へつなぐ『京育』講座&『リトル KYOTO』の開催
子どもたちを中心に考えるまちづくりが必要と考える J さん。子どもたちが、京都の文化、商い、お行儀、
まちのつくりを 1 日で体験できる学びの場「小さな京都」を企画中。実現に向けて、京都の良さを伝え
る「かっこいい大人」を集め、海外を含め、他の地域に向けて京都を発信していく予定。
12.みつばちから商い道は?ブランド化・環境?
区役所の屋上で養蜂を行い、区内に広める活動をされている K さん。みつばちを商いにつなげていく可
能性について、色々な立場からの意見を募集。商業化、ブランド化、環境の取り組みなど、様々な視点
で意見が集められた。みつばちの巣箱を市内に 1000 箱!設置することが目標。
13.若手のつくり手支援
ものづくりの支援をされている商業振興課の L さんは、
「京都でものづくりをしている人をどのように支
援し、京都ブランドを発信していくか。
」について、アイデアを募集。
「作り手が地域とのつながりを持
つように支援すること」
、
「今後は行政の持ち味を出し、継続性のある事業をしていくこと」が求められ
ていると実感。
※中京区役所地域力推進室の「開催報告」をもとに作成
43
(2) 作り手と売り手・支え手が交わり、育てる「創発」と「ネットワーク形成」の場
「茶論案庵ミーティング」
■日 時:2015 年2月 13 日(金)19 時 21 時 30 分
■場 所:新風館(アメリカンダイニング SAKURA HOUSE)
■テーマ:
「作り手と売り手・支え手のネットワークづくり」
■参加者:36 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課を除く)
①目的
京都でものづくり活動等を行っている作り手と、売り手・支え手(フォロワー)が
つながり、交流を深めることを目的とした。ここでいう作り手は、雑貨や衣料品、飲食
品など主として消費者を対象とする商品を作っている方、または作ろうとしている方を
指す。本フューチャーセッションでは、作り手(25 名)や参加者を公募によって集めた。
②プログラム/手法
商品等の作り手に、自身の取組や直面している課題について発表してもらい
(図5 8、図5 9)その取組の発展や課題解決に必要なことについて、参加者・ゲスト
とともにディスカッションを行った(図5-10)。
ⅰ)進め方と主旨について(8分)
ⅱ)ゲストの紹介(2分)
ⅲ)未来茶室づくり(10 分)
ⅳ)関心の「作り手」に集ってフューチャーセッション(60 分)
●「作り手」プレゼンテーション[3分×6人(18 分)]
・西紗苗氏[naeclose]
・小川文子氏
・北村記世実氏[パレスチナ・アマル]
・駒井元竜氏[アトリエとも]
・江口美奈氏
・中島佑太郎氏[株式会社 YOKOITO]
図 5 8 「作り手」によるプレゼン
図 5 9 対話したい内容、課題の発表
44
● 関心の「作り手」を育てる対話[20 分×2ラウンド(40 分)]
図 5 10 グループごとに対話
ⅴ)関心の「売り手・支え手」に集ってフューチャーセッション(50 分)
● 「売り手・支え手」プレゼンテーション [売り手 2 分×2 人(4分) 支え手 5 分×5 人(25 分)](図 5 11)
・小屋弘幸氏[京都マルイ]
・羽賀義晃氏[アンジェ(ANGERS)
]
・ムラタ・チアキ氏「株式会社ハーズ実験計画研究所、京都造形芸術大学教授」
・石川秀和氏[株式会社HLC(つくるビル)]
・益田健太郎氏[株式会社エイトワン]
・吉田亮太氏[WALLTZ]
・日下部淑世氏[株式会社めい]
● 関心の「売り手・支え手」と未来の対話[20 分×1ラウンド(20 分)]
ⅵ)交流(20 分) ※閉会後 30 分は自由に交流、閉場は 22:00
図 5 11 「売り手・支え手」のプレゼンテーション
45
(3) 関心のテーマに未来のステークホルダーが集って、交わり、起こす「文化創造」と
「コミュニティ形成」の場
第1回 商い・文化・まち交わる。起こす。フューチャーセッション
■日 時:2015 年2月5日(木)19 時 21 時 30 分
■場 所:誓願寺
■テーマ:「京まちなか×育児中のお母さん」
■参加者:14 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課等を除く)
①目的
企てる。育てる。フューチャーセッション参加者からの発案で、
「子育て世代に優しい
京まちなか」をテーマとしたフューチャーセッションを開催した(図 5 12)。具体的に
は、「買い物したい、食べたい、観たい。」というニーズを持つ子育て世代が訪れやすい
京まちなか(商店街)を実現するために、課題の抽出とアイデア出しを行った。
②プログラム/手法
ⅰ)あいさつ/趣旨説明(5分)
ⅱ)自己紹介(20 分)
ⅲ)子育て中のお母さんの買い物時の困りごと共有(10 分)
安田有佳里氏(Happy Mother's Factory)
柴田浩子氏(HARU おやこのきずなカレッジ)
ⅳ)未来茶室づくり(10 分)
ⅲ)フューチャーセッション(105 分)
「『買い物したい、食べたい、観たい。』しかし…育児中のお母さんをハッピーに!」
●1ラウンド
「京まちなかは育児中のお母さんに優しいまちですか?」
●2ラウンド
「京まちなかでできるお母さんを Happy にする取り組みは?」
●全体共有
「どのようにしたら(誰が関われば)
、これが実現できるか?」
図 5 12 第1回 商い・文化・まち交わる。起こす。フューチャーセッションの様子
46
③語られた内容(図 5 13)
ⅰ)買い物等をしやすい京まちなかを目指した、託児サービスの実施
・1ヵ月に1回程度、誓願寺の会館を会場に託児サービスを実施してはどうか。
ⅱ)商店街などで親子の集いの広場の開催
・まずは、やってみることから。商店街などで「赤ちゃん広場(仮)
」といったような
親子の集いの広場を実施してはどうか。
ⅲ)商店街や百貨店が連携しての子育て支援サービス
・商店街や百貨店が連携して、ベビーカーの貸し出しや託児割引券など実施すること
によって、京まちなか全体の取り組みにひろげていってはどうか。
ⅳ)京まちなかへのアクセス向上
・子育て中の方に市バス割引
・まちなかの駐車場に子育て優先駐車スペースの設置
・駐車場でのベビーカーの貸し出しサービスの実施
図 5 13 語られた内容の記録(ファシリテーション・グラフィック:石橋智晴氏)
第2回 商い・文化・まち交わる。起こす。フューチャーセッション
■日 時:2015 年2月 23 日(木)19 時 21 時 30 分
■場 所:誓願寺
■テーマ:「京まちなか×育児中のお母さん」
■参加者:10 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課等を除く)
①目的
第1回で語られたアイデアの実現にむけ、ゲストを招いて託児サービスの事例を学ぶ
とともに、保育園関係者や子育て支援団体などを交えて話し合いを行った(図 5 14)。
47
②プログラム/手法
ⅰ)あいさつ
ⅱ)自己紹介
ⅲ)未来茶室づくり
ⅳ)フューチャーセッション
●「洛西ニュータウンの商業施設で実施されている託児サービスの事例紹介」
ゲスト:村下恒雄氏(NPO 法人らくさいライフスタイル 代表)
●「新京極商店街から始める子育て世代に優しい取り組みの検討」
●「京まちなかにひろげていくためには?」
図 5 14 第 2 回 商い・文化・まち交わる。起こす。フューチャーセッションの様子
③語られた内容(図 5 15)
新京極商店街において下記の子育て世代支援事業を 2015 年5月 10 日に開催すること
となった。
日時:2015 年5月 10 日(日)12 時 20 時
場所:新京極六角周辺(華舞台・誓願寺ホール他)
内容:①誓願寺ホール2階大広間における託児サービス(2 6歳)
②誓願寺ホール1階会議室における子育て世代を対象としたワークショップの開催
③新京極六角特設ブースで、ベビーカーレンタル(10 台程度)
図 5 15 語られた内容の記録
48
6.交流の場のデザインと実践に対する考察
本章では、交流の場のデザインと交流の場の実践に対する考察する。
考察にあたっては、
「KPT 法」を用いて、取り組みの要素を「Keep」
「Problem」
「Try」の
3つに分けて整理する。Keep は、
「何が良かったのか、今後続けたいもの」、Problem は、
「何が問題だったのか」
、Try は「次回やってみたいこと、挑戦したいこと」を表す。
(1) 創造的な対話の場をつくるための「環境」・「装置」・「方法論」の研究・実験・開発
①環境・装置
②方法論
●Keep
・既成概念から解放する「未来茶室づく
・デザイン分野で活用される方法論の実践
指導・実施
り」プロセス
・結果を求める実践的な方法論の活用
・対話が深まる。関係が深まる。二畳の
閉じた空間
●Problem
・設置スペース、資材の準備など制約条
・スタッフ側の方法論・技法の十分な理解
件が多い
と実践経験
●Try
・
「茶室」のカタチに込められた空間性能 ・まちづくり分野、デザイン分野で活用されて
の現代への転用
いる方法論の組み合わせ、精査、修得
・
「茶室」のカタチにとらわれない創造的 ・結果・成果を具体的にイメージした方法
対話空間の開発
論の選択と実施
(2) 企てる。育てる。フューチャーセッション
「交流・対話の場づくり」のあり方や京まちなかの姿を議論し「企てる」
自立的かつ継続的に事業展開を行う人やマネジメント組織を「育てる」
●Keep
・個店、商店街、百貨店など多様な事業形態が集う場
・時代を読み解き次のエリアや事業展開を議論する「場」と「方法論」の提供
●Problem
・「場」の目的を明確に提示できず、参加者を十分得られなかった
●Try
・自立的な運営を担える関係者の掘り起こし
・問題解決及び未来創造するために感度の高い参加者の確保
・未来のステークホルダーをキャスティング
・対話を深める。関係を深める。対話の場
・気軽に集える。楽しい。
「パーティ」のような対話の場
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(3) 交わる。起こす。フューチャーセッション
①商業者・事業者と市民が交わり、つながる「学び」と「ネットワーク形成」の場
●Keep
・「商い人」
、
「マチビト」双方にとって新たな出会い、学びを得る場
・商業者(特に経営者)がユーザーの声に耳を傾ける場
・会議(対話)の新しいカタチ「プロアクションカフェ」
●Problem
・商業者の参加が十分得られなかった。
→「場」から生み出されるメリットを明確に伝えられなかった。
●Try
・分野を越えて集うことで新たな事業展開のヒントや関係者を得る機会
→気軽に集える「パーティ」のような対話の場
②作り手と売り手・支え手が交わり、育てる「創発」と「ネットワーク形成」の場
●Keep
・「作り手」
、参加者の満足度は高い。→学びと人脈形成の場
・第一線で活躍するゲスト(売り手、支え手)
・会議(対話)の新しいカタチ「プロアクションカフェ」
●Problem
・「作り手」分野や目指す方向、レベルにばらつきがあった
→ゲストにとっては、物足りない場となった
●Try
・ブランドの立ち上げや、百貨店での催事など、次にステージを準備しての「作り手」
募集、フューチャーセッション
③関心のテーマに未来のステークホルダーが集って交わり、起こす「文化創造」と「コミュニティ形成」の場
●Keep
・事業実施を見込んだ参加者(担い手)のキャスティング
・事業実施に関連する会場の手配(誓願寺)
・会議(対話)の新しいカタチ「ワールドカフェ」
●Problem
・テーマの提示・広報→未来のステークホルダーを集めるには至らなかった
・茶論案庵への過度の期待→場づくりと事業づくり
●Try
・面での事業展開→多様な主体が関われるテーマの設定
・シンプルな究極の目標設定→例)「商い」を通して「幸せな社会をつくる」
50
7.京都市への実践的な提言
本章では、研究の結果を踏まえて、京まちなかの競争力の向上にどのようなものが求め
られているか、また、商業者・市民等のネットワークをどのようにして形成していくべき
かについて、京都市に提言する。
(1) 交流の場の必要性
茶論案庵プロジェクトの参加者の意見においても、京まちなかに集積する魅力ある個
店の集積をいかすミクロとモザイクをつなぐ仕組みづくりや文化集積を活かすといった
意見が提案された。
また、そのための方策として若い人材が活躍する場が求められるということが指摘さ
れている。京まちなかの魅力を高め競争力を向上させるために、地元商業者に限らず多
様な分野の専門家や研究者、行政など未来のステークホルダーとなり得る人的ネットワ
ークを形成する交流の場が求められている。
(2) 交流の場のイメージ
①商店街などの組織の枠をこえた交流や活動を生み出す場
今回のプロジェクトでも商店街、大型店、事業者、市民活動団体など様々なステーク
ホルダーが参加した。その中で、一つの施設や一つの商店街での活動では限界があり、
組織の枠をこえてネットワークをひろげる場への期待が伺われた。
また、参加者から、一つの商店街という限定された範囲での取組よりもまちなか全体
のための取組の方が協力しやすいといった声もあり、多彩な参加者が交流する場が望ま
しい。
②フューチャーセンターディレクターやコーディネーターの存在
交流の場をフューチャーセンターとして機能させ、参加者の志向性をまとめて具体的
な活動につなげていくためには、多くの関係者が共感できる交流の場のテーマの設定や、
そのテーマに合った参加者を集めることが重要である。
そのためには、幅広いネットワークと場の運営に関する専門性を備えたフューチャー
センターディレクターやコーディネーターが重要である。加えて、幅広いネットワーク
を担保するため、複数名を配置し、人的ネットワークを補完し合うかたちが望ましい。
③京まちなかの多様な場での開催
茶論案庵プロジェクトでは、町家、コワーキングスペース、寺院など多様な会場での
交流を行った。その理由としては、参加者やテーマに適した場で開催することと、その
場を普段使用するコミュニティ集団や組織が持つネットワークの巻き込みも考えたから
である。今後も、交流の場を一カ所に固定するのではなく、京まちなかの多様な場での
開催を期待したい。
ただし、会場を移したとしても参加者に集ってもらえるよう、
「茶論案庵」のブランド
51
イメージの定着を図り、求心性をさらに高めていくことが不可欠である。
④未来茶室による場づくり
前述した京まちなかの多様な会場で開催するにあたって、対話を深める際に有効で
あったのが未来茶室である。参加者が共同作業で組み立てることによるアイスブレーキ
ング効果や、室内に入ることによる親密性や対話の深まりが確認された。
このように、会議室などを含む既存の場に未来茶室を持ち込み対話の場づくりを行っ
たことが茶論案庵プロジェクトの特徴であり、この輸送可能な組み立て式フューチャー
センターの市政への活用を期待したい。
8.今後の研究課題
本研究では、
「C.京まちなかネットワーク・カフェの立ち上げ」の提案を踏まえ、商業
者・市民等の交流の場を創出するために「茶論案庵プロジェクト」に取り組んだ。本章で
は、京まちなかにおける交流の場のあり方を述べつつ、今後の研究課題を整理する。
(1) 多様な参加者(商業者・市民等)を集める仕組みづくり
茶論案庵プロジェクトでは、全7回のフューチャーセッションを通して計 179 名の参
加者を集めた。集客に際しては、茶論案庵プロジェクトメンバーの人的ネットワークだ
けでなく、京都市商業振興課の持つ商業者・事業者のネットワークの活用、中京区地域
力推進室の持つまちづくり関係者のネットワーク(中京マチビト Caf )の活用などによ
って多様な参加者を集めることを可能とした。
「普段出会うことがない多様な参加者と交
流することができることが魅力。
(第3回企てる。育てる。フューチャーセッション)」
というように、参加者も評価している。
ただ一方で、継続しての参加や、この場の参加者が新たな参加者を連れてくるといっ
た参加の輪のひろがりがあまりみられなかったという課題があることから、そこに集う
参加者の人的ネットワークの活用も視野にいれながら、多様な参加者を集める仕組みを
どう構築していくかを追究する必要がある。
(2) 参加者のアクションや課題解決に至るプロセスの分析
アクションの実行や課題解決に至った参加
者が、フューチャーセッションの場でどのよ
うにして人と出会い、どう場を活用したのか
の詳細を追うことによって、対話の手法や参
加者の選定、未来茶室や広報ツール等の修練
を図っていく。さらに、ネットワークが形成
されるかたち(図 8 1)を抽出し、類型化を
試みたい。
図 8 1 ネットワークの扇イメージ
52
(3) 未来茶室の効果の検証と軽量化によるモバイル性の向上
未来茶室が交流や対話の促進に対してどうような効果を持つのかを、参加者の感想だけ
でなく、身体的距離感や閉鎖性等の視点で検証を進めていく。
それと並行して、京まちなかのコワーキングスペースや寺院など多様な場で開催できる
よう、設置や持ち運びの制約条件をはずしていきながら軽量化を図り、モバイル性を向上
させていく。最終的には、未来茶室を持ち込むことによって既存の場の対話と交流を促進
することができる輸送可能な組み立て式フューチャーセンターの完成を目指す。
(4) 交流の場「茶論案庵」のブランドイメージの向上
本研究では、交流の場や活動に「茶論案庵」と名付けることや、シンボリックな未来茶
室を開発することによって、ブランディングを行い、求心性を高めることを試みた。
茶論案庵は、恒常的に1つの場所で開催するのではなく、京まちなかでの多様な場所で
の開催を志向している。そのため、前述したように多様な参加者を集められるよう、ブラ
ンティングによって求心力を高めることを継続して努めていく。
(5) 京まちなかにあるコミュニティ集団や組織が持つネットワークの活用
茶論案庵では、京まちなかの町家やコワーキングスペース、寺院を会場にフューチャー
セッションを開催した。これら場に未来茶室を持ち込み開催することで、多様な場所に交
流の場を創出することを試行した。それにより、開催場所自体の場としての可能性を広げ
ることができたと推測される。今後は、それらの場を使用するコミュニティ集団や組織が
持つネットワークを活用していくかたちが求められる。
(6) 参加者の継続的なネットワーク形成の仕組みづくりと互助関係の構築
参加者は、フューチャーセッションを通じて出会い、交流を深めるが、それ以降もさら
なる関係性を構築していくことは難しい。それを補完するためにも、Facebook などのソー
シャルネットワークを活用した継続的なネットワークの形成やフューチャーセッションと
は別に気軽に集える親睦会やパーティのような場の創出が求められる。それらによって、
茶論案庵参加者が互いに協力・連携できるような互助関係の構築も検討すべき課題である。
(7) 茶論案庵プロジェクトの果たす機能の明確化
「7.京都市への実践的な提言」で述べたとおり、茶論案庵プロジェクトは交流の場の
創出が一義的な目的である。商業者・市民等の多様な参加者を集めることや、課題やテー
マに応じて参加者を選定してマッチングを行い、課題解決や取り組みを生み出していくこ
とを役割として認識している。
一方で、参加者からは、取り組みに関する相談などコンサルティングや、エリアマネジ
メントのような機能を求める意見もきかれている。今後も交流の場の創出と参加者との意
見交換を通じて、茶論案庵プロジェクトの果たすべき機能や役割を明確化していくことも
重要な課題である。
53
■
注釈
注1)フューチャーセッション
フューチャーセッションとは、現場の多様なステークホルダーに加え、想像力を働かせ
て「未来のステークホルダー」も招き入れることで、創造的な関係性を生み出すものであ
る。お互いが尊敬の念をもって傾聴し合い、未来に向けての「新たな関係性」と「新たな
アイデア」を生み出し、その結果、それぞれのステークホルダーが認識と行動を変化させ、
協力してアクションを起こせる状況を生み出すものである。
注2)オープンイノベーション
イノベーションを促進する概念。一般には、企業による通常の製品開発プロセスを可視
化し、社内外を問わず広く技術やアイデアを集め、今までには不可能だったイノベーショ
ンを実現していくものであり、まちづくり等の分野でも用いられはじめている。
■引用・参考文献
・京都市商業集積活性化会議「京まちなか(京都まちなかエリア)の活性化に向けた提案
都心部地域の商業集積活性化に向けて 」2013 年3月
・野村恭彦「フューチャーセンターをつくろう 対話をイノベーションにつなげる仕組み」
プレジデント社
2012 年
・クリストファー・エレキサンダー「パタン・ランゲージ―環境設計の手引」鹿島出版会 1984 年
・苅宿俊文 他 「ワークショップと学び1 まなびを学ぶ」東京大学出版会 2012 年
・苅宿俊文 他 「ワークショップと学び2 場としての学び 」東京大学出版会 2012 年
・苅宿俊文 他 「ワークショップと学び3 まなびほぐしのデザイン」東京大学出版会 2012 年
・森時彦/ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱−組織の問題解決
に使えるパワーツール 49」 ダイヤモンド社 2008 年
・佐藤郁哉
「質的分析方法―原理・方法・実践」 新曜社 2008 年
54
■参考資料
参1.京まちなか座標軸
55
参2.フューチャーセッションの参加者一覧
(1) 企てる。育てる。フューチャーセッション
①第1回
企てる。育てる。フューチャーセッション
■日 時:2014 年8月 27 日(水)19 時 21 時 30 分
■場 所:ちおん舎
■テーマ:
「京まちなかの未来を語る」
■参加者:19 名(研究チームと京都市商業振興課を除く)
<参加者>
氏名
所属等
池側
隆之
京都工芸繊維大学 准教授
井上
恭宏
新京極商店街振興組合 理事長
井本
修
Find You Digital(京まちなか映画祭)
大島
祥子
一級建築士事務所 スーク創生事務所
春日
智志
髙島屋宣伝部 京都店販売促進室担当課長
小島
敬史
杉本
恭子
フリーランスライター
鈴木
秀信
株式会社 ヱビスデザイン (京まちなかバル)
土井
麻未
大丸京都店 営業推進部
西村
吉右衛門
ちおん舎 舎主
人見
毅
藤原
奈那
oinai karasuma マネージャー
細田
光範
株式会社 リーフ・パブリケーションズ
水田
哲生
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
安田
有佳里
Happy Mother's Factory
矢野
裕史
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
山本
建太郎
京都工芸繊維大学 教授
米田
香苗
oinai karasuma
渡辺
宏紀
NTT 都市開発株式会社 営業担当マネージャー
新京極商店街振興組合 理事
(有)Rebirth
京都中小企業家同友会中京支部 副支部長
人見建設株式会社 代表取締役社長
56
②第2回
企てる。育てる。フューチャーセッション
■日 時:2014 年 10 月 23 日(木)19 時 21 時 30 分
■場 所:oinai karasuma
■テーマ:
「京まちなかのイメージを見える化する」
■参加者:21 名(研究チームと京都市商業振興課、オブザーバーを除く)
<参加者>
氏名
所属等
赤井
明子
京都市中京区役所地域力推進室
井上
恭宏
新京極商店街振興組合 理事長
井本
修
Find You Digital(京まちなか音楽映画祭)
岩渕
友里
株式会社 HLC(つくるビル)
扇沢
友樹
株式会社 めい
日下部 淑世
株式会社 めい
小島
敬史
新京極商店街振興組合 理事/(有)Rebirth
鈴木
愛子
oinai karasuma
西村
花織
ランドブレイン株式会社
西村
吉右衛門
ちおん舎 舎主
西村
祐一
京の三条まちづくり協議会/西村吉象堂
人見
毅
京都中小企業家同友会中京支部 副支部長
人見建設株式会社 代表取締役社長
長谷川 健一
京都市中京区役所地域力推進室
藤原
奈那
oinai karasuma
洞本
昌哉
株式会社 ふたば書房
水田
哲生
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
矢野
裕史
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
山中
源兵衛
清課堂 当主
米倉
大輔
京都マルイ お客様ニーズ・販売促進担当
米田
渡辺
香苗
宏紀
oinai karasuma
NTT 都市開発株式会社 商業事業推進部
<オブザーバー>
久保
友美
一般財団法人 地域公共人材開発機構
杉岡
秀紀
京都府立大学 講師
57
③第3回 企てる。育てる。フューチャーセッション
■日 時:2015 年3月4日(水)19 時 21 時 30 分
■場 所:ちおん舎
■テーマ:
「私と京まちなかの商い ブレーンストーミングで読み解く 」
■参加者:12 名(研究チームと京都市商業振興課等を除く)
<参加者>
氏名
所属等
井本
修
Find You Digital(京まちなか音楽映画祭)
太田
小百合
いつまでも世界は...
奥田
聡
株式会社 長谷本社
北風
俊郎
京都中央信用金庫
鮫島
綾子
地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
鈴木
秀信
株式会社 ヱビスデザイン(京まちなかバル)
長屋
博久
有限会社 村田堂
西
紗苗
Naeclose
西村
吉右衛門
ちおん舎 舎主
益田
健太郎
株式会社 エイトワン
矢野
裕史
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
渡辺
宏紀
NTT 都市開発株式会社 商業事業推進部
58
(2) 交わり。起こす。フューチャーセッション
①茶論案庵ミーティング
■日 時:2015 年2月 13 日(金)19 時 21 時 30 分
■場 所:新風館(アメリカンダイニング SAKURA HOUSE)
■テーマ:
「作り手と売り手・支え手のネットワークづくり」
■参加者:36 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課を除く)
氏名
小屋 弘幸
羽賀 義晃
ムラタ・チアキ
石川 秀和
益田 健太郎
吉田 亮太
日下部 淑世
氏名
あおき よしえ
井上 朝子
岡元 麻有
小川 文子
川勝 美智子
北村 記世実
江口 美奈
小林 れい
駒井 元竜
齊藤 尚子
鮫島 綾子
科野 克雄
清水 博之
城田 香菜子
鈴木 愛子
高橋 順子
高松 一理
田中 礼士
玉井 恵里子
中島 佑太郎
西
紗苗
則武 千鶴
馬場 友恵
北條 倫子
桝田 憲一
松尾 友喜子
三柳 直美
村下 恒雄
湯浅 香織
三柳 タツヤ
所属等
京都マルイ
アンジェ(ANGERS)
株式会社 ハーズ実験デザイン研究所/京都造形芸術大学 教授
株式会社 HLC(つくるビル)
株式会社 エイトワン
WALLTZ
株式会社 めい
所属等
京ものグループ「ひといろ」
Art Gallery & Rental Space be 京都
公益財団法人 京都高度技術研究所
パレスチナ・アマル
株式会社 クリエイティブコバコ
アトリエとも
地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
合同会社 たすネットワークス
アートスペースあけぼの/株式会社 tagaya
oinai karasuma
item-s design
株式会社 YOKOITO
Ierib
株式会社タピエ/京都工芸繊維大学大学院
株式会社 YOKOITO
Naeclose
立生株式会社
キョウ ノ ヨリミチ∼日常を豊かにする Select Shop∼
スギシタ有限会社
株式会社 松尾商店
ミツバキ
NPO 法人 らくさいライフスタイル
popy-k(ポピー・ケー)
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②第1回 商い・文化・まち交わる。起こす。フューチャーセッション
■日 時:2015 年2月5日(木)19 時 21 時 30 分
■場 所:誓願寺
■テーマ:「京まちなか×育児中のお母さん」
■参加者:14 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課等を除く)
氏名
所属等
井上
恭宏
新京極商店街振興組合 理事長
井本
修
Find You Digital(京まちなか音楽映画祭)
春日
智志
髙島屋宣伝部 京都店販売促進室 担当課長
佐藤
友一
京都市まちづくりアドバイザー/京都(^0^)/にこわく
鈴木
秀信
株式会社 ヱビスデザイン(京都まちなかバル)
西島
衛
ミュージシャン
長谷川 健一
京都市中京区役所地域力推進室
藤本
美子
京みやげ きくや(新京極商店街)
水田
哲生
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
安田
有佳里
Happy Mother's Factory
楊井
利恵
中京子ども支援センター
矢野
裕史
公益財団法人 大学コンソーシアム京都
山中
源兵衛
清課堂 当主
柴田
浩子
HARU おやこのきずなカレッジ 代表
③第2回 商い・文化・まち交わる。起こす。フューチャーセッション
■日 時:2015 年2月 23 日(木)19 時 21 時 30 分
■場 所:誓願寺
■テーマ:「京まちなか×育児中のお母さん」
■参加者:10 名(研究チームと中京区役所、京都市商業振興課等を除く)
氏名
所属等
井上
恭宏
新京極商店街振興組合 理事長
井本
修
Find You Digital(京まちなか音楽映画祭)
太田
小百合
いつまでも世界は...
佐藤
友一
京都市まちづくりアドバイザー/京都(^0^)/にこわく
土岐
和則
ゼスト御池
西島
衛
ミュージシャン
長谷川 健一
京都市中京区役所地域力推進室
村下
恒雄
NPO 法人 らくさいライフスタイル
安田
有佳里
Happy Mother's Factory
伊藤
文
京都市 聚楽保育所 拠点担当
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参3.茶論案庵ミーティングアンケート結果
開催日時:2015 年2月 13 日
回答人数:11 名
1.今回のイベントに参加して、新たに気づいたことや感じたことはありましたか?
・課題を抱えておられる方々の業種が申込時に分からなかったため、当社とあまりにもか
け離れた業種でアドバイスするのが大変だった。
(申込時に業種や課題を提示してもらえ
るとありがたい。また、業種に統一性があってもよいと思う)。
・作り手について…もう少し夢が聞きたかった。
(時間が短い)
・売り手について…販売サポートもあるが、売り手側にも「こんな商品が売りたい」とい
うプレゼンが必要。
・販売支援は販路開拓だけではない。
・作り手のプレゼンは短時間のため、事前のサポートが必要。(資料作り等)
・当日発表者以外も、プレゼンを会場に張り出す掲示板が欲しい。
・事前に作り手・売り手の具体的な要求情報が欲しい。(当日発表者できる人以外も)
・もう少し広い場所がよい。
・立食でのドリンクパーティー形式は良い。ビジネスとネットワークはこの時間で決まる
ことが多くこのマネジメントは大切である。
(ただし、若い方がこの時間の使い方を知ら
ないので、ホスト役の活躍が必要。
)
・作家は販路の開拓方法やネットワークの作り方など苦労しているので今回の様な場は意
見交換もできとても有意義だった。
・イベントや手づくり市などに参加すると、作り手の方と知り合うチャンスはあるが、支
え手の方とはあまりチャンスがないので、とてもいい機会だと思った。
・様々なジャンルの方とお話できて勉強になった。今回発表をしなかったので自身の問題
解決の回答は頂けなかったが、同じ悩みを持つ方と情報共有ができたり、異業種の方と
お話できたり新しい業界のことを知るきっかけとなった。
・京都という小さなコミュニティの中で周りにどういった物作りをされているかを知るチ
ャンスができた。
・以前から類似イベントへの参加を希望していたが、参加の仕方が分からなかった。
・初めてだったという事もあるが、改善点もたくさんあった。
・これからも意欲的にイベントには参加したい。今回は意見交換やどんな方がどんな活動
をされているかなど色んな事が知れて良かった。
・
(支え手側のメンバーとして参加)支え手として、デパートのバイヤーやクリエイターと
のマッチングを行っている方々や起業家の方々がおられ、ダイレクトに実務に反映でき
る有効な人脈づくりの場になっていると感じた。
・作り手の存在を身近に感じた。色んな方のアイデアやアドバイスを聞くことができ、ヒ
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アリングの仕方や伝え方についても勉強になった。
・作り手の方は違う分野でも同じような悩みがあって自分にとってためになることもた
くさん聞けた。
・売り手の方々のお話から、もっとプロ意識を高くもたないといけないのだということ
を感じた。
・いろいろな方の御意見をお聞かせいただいて参考になりました。自由に発言をいただ
いたのでとてもよかった。
2.イベントの内容について、以下の項目について御意見をお聞かせください
ア.参加者の人数について
① 多い…0
② 適当…11 ③ 少ない…0
イ.発表者の人数について
① 多い…1
② 適当…9 ③ 少ない…1
ウ.ゲストの人数について
① 多い…0
② 適当…11 ③少ない…0
エ.その他、今回のイベントの内容や参加者、時間配分などについて御希望や御意見があ
ればお教えください。
・発表時間が短く、課題の詳細が伝わりにくかった。
・発表5分は短い。商品のラインアップを机に広げる場所が欲しい。
(海外の展示会の
ように、商品プレゼンテーションが大切)
・発表者以外の参加者の方々も、ご自身の活動内容を話したい方が多く、発表者の方
のお話の時間が少し短くなってしまった。
・ちょうど良い長さで集中して聞けた。もし可能であればゲストの方のプレゼンをも
う少しゆっくり聞きたかった。
・時間配分、イベント内容共に短時間に凝縮されていて途中からでも把握し易かった
です。
(途中参加)
・すごく充実した時間を過ごせた。時間が押したとのことだったが、もう少し飲食の
時間があればもっとたくさんの方々と深く交流できたと思う。
・どこかで自己紹介の時間があると更に交流しやすいと思う。
・売り手・支え手プレゼンテーションの時間と、各作り手の方とのグループ対話の時
間が短く感じた。また、成功されている作り手の方との対話やアドバイスや経験談
なども聞ける機会があればよい。
・発表者の人数をもう少し増やして、短い時間で少数でのワークショップをもう少
し回数を増やして行うのもいいかと思いました。
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3.茶論案庵では、今後も、まちなかの商業者等がネットワークを広げていく場を作っ
ていきたいと思っております。
今後、
「こんな場があれば参加したい」や、
「こんな場についてニーズがあるのではな
いか」等の御意見やアイデアがあればお教えください。
・和食が世界遺産に登録されたのをきっかけに、京菓子等の新たな展開を考える勉強会
等があってもおもしろい。
(和菓子と洋菓子のコラボ等も)
・Beams、Arrows、AHfrance、FlanFlan の高島さんなどまだまだ。中川政七商店はよい。
・今回のような売り手と買い手が交流できるような場があれば嬉しい。今回このような機
会に参加させて頂いたのは初めて。楽しい機会なのでメール等でご案内頂ければ大変助
かる。
・新しいことに挑戦する意欲のある工場、または作り手の方などと知り合えるとさらに面
白いのかなと感じた。また、コラボではないが京都内で得意分野を協力し合い、京都市
が場を作り展示会等することでも新しいことができるのではないかと思った。
・今回のようなイベントにはぜひ参加したい。色々な立場の方と意見交換が出来る場は
すごく貴重。内容は似ていても少人数のみのイベントや、逆にたくさんの大人数のイベ
ントがあってもよい。
・新商品についてのモニタリングや地域活性化のための座談会。
・アーティストの交流の場があるとうれしい。
・作り手としては、売り手の方の情報がいろいろあるとうれしいと思いました。
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