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中学校 高等学校

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中学校 高等学校
中学校
高等学校
Ⅰ
.負傷全体の傾向
中学校では、平成 18 年度に災害共済給付金(医療費)が支給された 58,759 件のうち、入院を要
した負傷は 1,035 件(1.8%)であった。
高等学校では、平成 18 年度に災害共済給付金(医療費)が支給された 33,856 件のうち、入院
を要した負傷は 1,631 件(4.8%)であった。
1.発生の場所と場合
高等学校
図1 発生場所別割合
図2 負傷発生の場合別割合
(2)高等学校
発生の場所では体育館・屋内運 動場(学 校内)が 37%で最も多く、運 動場・校 庭(学 校内)が
35%であり、この2か所において負傷全体の約7割が発生していた(図 3)。
発生の場合では、体育的部活動で 56%と半数を占め、保健体育が 24%で、これら2つが主な場合
となっていた(図 4)。
図3 発生場所別割合
図4 負傷発生の場合別割合
20
中学校
(1)中学校
発生の場所では体育館・屋内運 動場(学 校内)が 38%で最も多く、運 動場・校 庭(学 校内)が
31%であり、この2ヶ所において負傷全体の約7割が発生していた ( 図1)。
発生の場合では、体育的部活動で 48%、保健体育で 23%であり、これら2つが主な場合となって
いた(図2)。
中学校
高等学校
2.負傷の部位と種類
(1)中学校
負傷の部位では、下肢部 37%、上肢部 36%、顔部 14%、体幹部 8%、頭部 5%であった(図 5)。
負傷の種別では挫傷・打撲が 36%、骨折 28%、捻挫 26%であり、これら3つにより負傷全体の
9割を占めていた(図 6)。
図 5 負傷部位別割合
図 6 負傷種類別割合
(2)高等学校
負傷の部位では、下肢部 43%、上肢部 29%、顔部 13%、体幹部 10%、頭部 5%であった(図7)。
負傷の種類では挫傷・打撲が 35%、骨折 27%、捻挫 26%であり、これら3つにより負傷全体の
約9割を占めていた(図8)。
図 7 負傷部位別割合
21
図 8 負傷種類別割合
Ⅱ
.入院を要した負傷
1.負傷の種類
中学校、高等学校における負傷の種類別の入
院件数は骨折による入院が 1,347 件で最も多
く、挫 傷・打撲 が 923 件、捻 挫 が 227 件、
脱臼が 109 件でこの4種で全体の 98%を占め
ていた(図9)。
2.運動種目
中学校、高等学校における運動種目別入院件
数はバスケットボールが 406 件で 最も多く、
サッカー 375 件、野球 318 件、柔道が 169
件だった。上位の4種で入院全体の6割を占め
ていた(図 10)。
図10 運動種目別入院件数 入院件数の多い「バスケットボール」「サッカー」「野球」「柔道」の 4 種目について、入院を要した
負傷の発生状況を詳しく紹介する。なお、入院を要した負傷の種類は図9で示されている通り、骨折、
挫傷・打撲、捻挫、脱臼の4種で全体の 98%を占めていることから、以後はこれらの4種類のみ提
示することにする。
22
中学校
高等学校
図9 負傷の種類別入院件数 中学校
高等学校
.運動種目別入院状況
Ⅲ
<バスケットボール>
1.入院を要した負傷件数の割合
(1)負傷の部位
入院を要した負傷の 406 件を校種別、負傷
部位別に分類した(図 11)。
中学 校、高等学 校ともに下肢部が最も多く、
特に高等学校では入院件数の約 4 分の 3 を下
肢部で占めていた。中学校では上肢部の負傷も
多く、入院件数の 4 分の1を占めていた。
図11 校種別部位別の入院を要した負傷件数の割合
(2)負傷の種類
入院を要した負傷の 406 件を校種別負傷の
種類別に分類した(図 12)。
中学校では骨折が最も多く、次いで挫傷・打
撲の順だった。一方、高等学校では挫傷・打撲
が最も多く、次いで骨折だった。
図12 校種別負傷種類別の入院を要した負傷件数の割合
(3)負傷の発生状況
負傷の部位別において、負傷件数の多い、下肢部、上肢部の負傷の特徴についてのまとめを示す。
中学校、高等学校、体育的部活動、保健体育を合わせて、下肢部で入院を要した負傷の「発生状況」
欄には「膝」、
「ひねる」、
「転倒」、
「着地」、
「ぶつかる」、
「バランス」、
「崩す」、
「シュート」、
「ジャンプ」、
という言葉が多くみられた。一方、上肢部では「接触」、
「右手」、
「転倒」、
「つく」、
「強打」、
「相手」、
「パス」、
「崩す」、「受ける」、「左手」、「バランス」、「ジャンプ」という言葉が多くみられた。
下肢部の負傷の事例
ドリブルシュートを行ったところ、相手選手が後ろから接触、バランスを崩し膝を捻った。
ディフェンスをしていて全力で走っていた際、急に止まった瞬間、膝に強い負担がかかり左膝を負傷した。
上肢部の負傷の事例
速攻からドリブルシュートを打とうとゴールに進入しジャンプした時、相手チームの選手と接触した。着地時左
手を床に着いたため体重がかかり骨折した。
少し無理な体勢からシュートをして着地した際、バランスを崩して右手を床について転び、怪我をしてしまった。
23
2.入院率と入院リスク
(1)負傷の学校種別
中学校・高等学校を通して場合別の入院率をみたところ、保健体育の場合、中学校では 3 年生が最
も高く 1.0%だった(図 13)。高等学校では1年生が 2.1%で最も高かった。体育的部活動の場合、中
学校では 2 年生の 2.0%が最も高く、高等学校では3年生の 7.5%が最も高かった。
また、保健体育に比べ体育的部活動で負傷した場合、入院リスクは中学校では 2.9 倍であり、高等
学校では、3.9 倍であった(図 14*)。
3 参照
* グラフの見方はP.
図13 校種別場合別の入院率
(2)負傷の部位
部位別の入院率をみたところ、中学校の保健体育では顔部が最も高く 2.0%であった(図 15)。高
等学校では下肢部が 3.6%で最も高かった。体育的部活動では、中学校、高等学校ともに下肢部が最
も高く入院率はそれぞれ 2.5%、9.1%であった。高等学校では保健体育・体育的部活動ともに下肢部
によって入院を要した場合が多くみられた。
図15 校種別場合別にみた部位別の入院率
図16 校種別場合別にみた部位別の入院リスク 中学校の保健体育で上肢部を負傷した場合に比べ顔部を負傷した場合 4.7 倍のリスクで入院となっ
た。高等学校の保健体育では、上肢部を負傷した場合に比べ下肢部を負傷した場合 4.3 倍のリスクで
入院となった(図 16*)。
中学校の体育的部活動で上肢部を負傷した場合に比べ下肢部を負傷した場合 3.0 倍、顔部を負傷し
た場合 2.5 倍のリスクで入院となった。高等学校の体育的部活動では、上肢部を負傷した場合に比べ
下肢部を負傷した場合 7.4 倍、顔部を負傷した場合 5.5 倍のリスクで入院となった。
24
中学校
高等学校
図14 校種別場合別にみた入院リスク 中学校
高等学校
(3)負傷の種類
負傷の種類別に入院率をみたところ、中学校の保健体育では脱臼が最も高く 3.0%だった(図 17)。
高等学校でも脱臼が最も高く 5.1%だった。体育的部活動では中学校・高等学校ともに挫傷・打撲が
最も高く入院率はそれぞれ 2.5 %、12.1%であった。負傷の種類では校種に違いがみられ、中学校で
は脱臼、高等学校では挫傷・打撲で入院を要した割合が高かった。
図 17 校種別場合別にみた負傷種別の入院率
図 18 校種別場合別にみた負傷種別の入院リスク 中学校の保健体育で捻挫の負傷をした場合に比べ脱臼の負傷をした場合 38 倍、骨折の負傷をした
場合 12 倍入院リスクが高くなった(図 18*)。高等学校の保健体育では捻挫の負傷をした場合に比べ
脱臼の負傷をした場合 13 倍、挫傷・打撲の負傷をした場合 6.9 倍、骨折の負傷をした場合 5.2 倍入
院リスクが高くなった。
中学校の体育的部活動で捻挫の負傷をした場合に比べ挫傷・打撲の負傷をした場合 3 倍、骨折の負
傷をした場合 2.6 倍入院リスクが高くなった。高等学校の体育的部活動では捻挫の負傷をした場合に
比べ挫傷・打撲の負傷をした場合 6.3 倍、脱臼の負傷をした場合 4.1 倍、骨折の負傷をした場合 3.0
倍入院リスクが高くなった。
3.入院を要した負傷の発生状況分析
バスケットの負傷で入院に関連するキーワードは、
「膝」
「転倒」
「着地」
「鼻」
「接触」
「シュート」「試合中」「ディフェンス」。
中学校の保健体育では「接触」、「転倒」に関する言葉がある場合は約3倍入院リスクが高くなって
いた。高等学校の保健体育では「膝」に関する言葉がある場合は約 10 倍、「転倒」、「着地」の場合
は約2倍入院リスクが高かった。中学校の体育的部活動では「膝」に関する言葉がある負傷の場合は
約 11 倍、
「鼻」に関する言葉ある負傷の場合は約 10 倍入院リスクが高かった。また、
「シュート」、
「試
合中」、「ディフェンス」という言葉がある場合も入院リスクが高くなっていた。高等学校の体育的部活
動では「膝」に関する言葉がある場合約 13 倍、「鼻」に関する言葉ある負傷の場合、約8倍入院とな
るリスクが高かった。また、「試合中」、「転倒」という言葉がある場合も入院リスクが高くなっていた。
25
中学校
高等学校
<サッカー>
1.入院を要した負傷件数の割合
(1)負傷の部位
入院を要した負傷の 375 件を校種別負傷部
位別に分類した(図 19)。
中学校では上肢部と下肢部でほぼ同じであっ
たが、高等学校では下肢部が最も多く 5 割以上
を占めていた。その他の頭部、顔部、体幹部で
は中学校と高等学校では大きな違いはみられな
かった。
図19 校種別部位別の入院を要した負傷件数の割合
(2)負傷の種類
入院を要した負傷の 375 件を校種別負傷種
類別に分類した(図 20)。
中学校では骨折が最も多く、全体の 7 割以上
を占めていた。高等学校において骨折が最も多
い負傷ではあるものの、中学校に比べて挫傷・
打撲が約 15%増えていた。
図20 校種別負傷種類別の入院を要した負傷件数の割合
(3)負傷の発生状況
負傷部位別で入院を要した場合を見てみると、上肢部、下肢部の負傷によるものが多くみられた。
そのため、上肢部、下肢部の負傷の特徴についてのまとめを示す。
中学校、高等学校、体育的部活動、保健体育をあわせて、入院を要した負傷における上肢部の負傷
の状況説明文中に「左手」、「相手」、「接触」、「右手」、「バランス」、「ぶつかる」、「崩す」という言葉
が多くみられた。一方、下肢部では、
「捻る」、
「相手」、
「接触」、
「バランス」、
「足」、
「右膝」、
「崩す」、
「左膝」、
「蹴る」という言葉が多くみられた。
上肢部の負傷の事例
相手選手と接触し、転倒した時右手を地面に着き骨折した。
ボールを取り合っていたら、相手に押されて転倒し、地面に手をついて、左手の橈骨と尺骨を骨折した。
下肢部の負傷の事例
ドリブルでボールを運んでいるときに、背後からタックルを受けた。右膝の外側に相手がのりかかる状態で転
倒し、右膝を負傷した。
相手のスライディングが後方から左膝に入り転倒し、左膝を強く捻り負傷した。
27
2.入院率と入院リスク
(1)負傷の学校種別
中学校・高等学校を通して場合別の入院率をみたところ、保健体育の場合、中学校では3年生の 1.9%、
高等学校でも3年生の 3.6%が最も高かった(図 21)。体育的部活動の場合、中学校では3年生の
3.7%が最も高く、高等学校では2年生の 8.2%が最も高かった。
場合別に入院リスクをみたところ、保健体育に比べ体育的部活動で負傷した場合、入院リスクは中学
校では 1.9 倍であり、高等学校では、2.3 倍であった(図 22*)。
図21 校種別場合別の入院率
(2)負傷の部位
部位別の入院率をみたところ、中学校の保健体育では上肢部が最も高く 1.9%であった。高等学校
では体幹部が 7.0%で最も高かった(図 23)。体育的部活動の場合は、中学校・高等学校ともに体幹
部が最も高く、それぞれ 5.6%と 9.6%であった。
図23 校種別場合別にみた部位別の入院率
図24 校種別場合別にみた部位別の入院リスク 部位別に入院リスクをみたところ、上肢部を負傷した場合と頭部、顔部、体幹部、下肢部を負傷し
た場合の入院リスクに有意な差は見られなかった(図 24*)。
28
中学校
高等学校
図22 校種別場合別にみた入院リスク 中学校
高等学校
(3)負傷の種類
負傷の種類別に入院率をみたところ、中学校の保健体育では骨折が最も高く 4.5%だった(図 25)。
高等学校では脱臼が最も高く 6.1%だった。体育的部活動では中学校・高等学校ともに骨折が最も高く
それぞれ 5.4 %と12.0%であった。
図26 校種別場合別にみた負傷種別の入院リスク 図25 校種別場合別にみた負傷種別入院率
高等学校の保健体育では捻挫の負傷をした場合に比べ脱臼の負傷をした場合 12 倍、骨折の負傷を
した場合 10 倍、挫傷・打撲の負傷をした場合 6.7 倍入院リスクが高くなった(図 26*)。
中学校の体育的部活動で捻挫の負傷をした場合に比べ骨折の負傷をした場合 6.4 倍入院リスクが高
くなった。高等学校の体育的部活動では捻挫の負傷をした場合に比べ、骨折の負傷をした場合 4.0 倍、
脱臼の負傷をした場合 3.1 倍、挫傷・打撲の負傷をした場合 2.0 倍入院リスクが高くなった。
3.入院を要した負傷の発生状況分析
サッカーの負傷で入院に関連するキーワードは、「転倒」。
転倒と関連するキーワードは「相手」
「接触」
「バランス」
「崩す」
「地面」
「骨折」。
中学校、高等学校、保健体育、体育的部活動のいずれも共通の傾向がみられた。
分析の結果、
「転倒」に関する言葉がある状況で負傷すると1.8 倍入院リスクが高くなった。一方、
「捻る」、
「接触」という言葉がある場合、入院リスクは低くなる傾向がみられた。また、保健体育に比べ体育的
部活動の場合は 2.2 倍入院リスクが高くなった。中学1年生に比べ学年が上がるにつれて入院リスクが
高くなった。特に高校2年生が最も高く負傷した場合、中学1年生に比べ 2.8 倍入院リスクが高くなった。
サッカーにおいては、
「転倒」することがより入院を要する負傷となることが示された。そこでさらに、
入院を要した負傷のうち「転倒」に関する言葉を含む 158 件の負傷についてテキストマイニングを行っ
た。その結果、「相手」、「地面」、「接触」、「バランス」、「骨折」、「崩す」に関する6つの言葉の出現頻
度が高かった。
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中学校
高等学校
<野 球>
1.入院を要した負傷件数の割合
(1)負傷の部位
入院を要した負傷の 318 件を校種別部位別
に分類した(図 27)。
中学校では下肢部が最も多く、次いで上肢部、
顔部の順だった。一方、高等学校では顔部が最
も多く 4 割以上を占めていた。次いで下肢部、
上肢部の順に多かった。
図27 校種別部位別の入院を要した負傷件数の割合
(2)負傷の種類
入院を要した負傷の 318 件を校種別負傷種
類別に分類した(図 28)。
中学校、高等学校ともに骨折が最も多く 6 割
以 上を占めていた。次いで挫 傷・打撲 が 多く、
この 2 種類で全体の約 9 割以上を占めていた。
図28 校種別負傷種類別の入院を要した負傷件数の割合
(3)負傷の発生状況
負傷部位別で入院を要した場合を見てみると、中学校では下肢部が多くみられた。状況説明文中に
多くみられた言葉は「ベース」、
「スライディング」、
「滑り込む」、
「捻る」、
「つく」、
「走塁」であった。一方、
高等学校では顔面部の負傷によるものが多くみられた。状況説明文中に多くみられた言葉は「ノック」、
「打球」、「打つ」、「イレギュラー」、「跳ね返り」、「ファウルチップ」であった。
中学校における下肢部の負傷の事例
2塁ベースにスライディングをしたら地面に左足のスパイクがひっかかり、滑りきれずに瞬時にストップしてしまった。
スライディングした時、上手く滑ることができず、いつもとちがう方向に足が引っかかったままベースに着いて
しまった。立ち上がれなかった。
高等学校における顔面部の負傷の事例
外野からの返球がイレギュラーし、鼻を打ち鼻骨折してしまった。
ノックを受けていた時、イレギュラーしたボールが誤って顔面にあたり、鼻骨を骨折した。
31
2.入院率と入院リスク
(1)負傷の学校種別
中学校・高等学校を通して場合別の入院率を
みたところ、保健体育は中学校・高等学校とも
入院を要した負傷がなかったため、体育的部活
動のみを分析した。中学校では 3 年生が最も高
く 3 .6%、高等学校では 2 年生の 8.1%が最も
高かった(図 29)。
(2)負傷の部位
部位別の入院率をみたところ、中学校では下
肢部が最も高く 4.0%だった(図 30)。高等学
校では顔部が高く 10.8%で、次いで体幹部の
8.8 %、下肢部の 7.8% だった。
図30 校種別場合別にみた部位別の入院率
中学 校 の 体育的部活動で上 肢 部を負傷した
場合に比べ下肢部を負傷した場合 1.7 倍、高等
学 校 の 体育的 部活 動では、上 肢 部を負傷した
場合に比べ、顔部を負傷した場合 3.0 倍、体
幹部を負傷した場合 2.5 倍、下肢部を負傷し
た場合 2.1 倍のリスクで入院となった(図 31*)。
図31 校種別場合別にみた部位別の入院リスク 32
中学校
高等学校
図29 校種別場合別の入院率
中学校
高等学校
(3)負傷の種類
負傷の種類別に入院率をみたところ、中学校で
は骨折が最も高く 6.2 % であった(図 32)
。高
等学校でも骨折が最も高く 13.6%で、次いで脱
臼の 6.0%、挫傷・打撲の 4.7% であった。
図32 校種別場合別にみた負傷種の入院率 中学校の体育的部活動で捻挫の負傷をした場
合に比べ骨折の負傷をした場合 11 倍入院リスク
が高くなった。高等学校の体育的部活動では捻
挫の負傷をした場合に比べ、骨折の負傷をした
場合 5.1 倍入院リスクが高くなった(図 33*)。
図33 校種別場合別にみた負傷種別の入院リスク
3.入院を要した負傷の発生状況分析
野球の負傷で入院に関連するキーワードは、中学校では「顔面」
「足」
「滑り込む」
「投げる」「守備」、高等学校では「鼻」「顔面」。
中学校では「顔面」という言葉があると 2.8 倍、「足」に関する言葉がある場合、入院リスクは 2.4
倍となった。「滑り込む」2.2 倍、「投げる」2.0 倍、「守備」1.9 倍、負傷した状況にそれぞれの言葉
がある場合に入院リスクが高くなった。高等学校では「鼻」という言葉があると 3.5 倍、「顔面」に関
する言葉がある場合、入院リスクは 2.0 倍となった。
33
中学校
高等学校
<柔 道>
1.入院を要した負傷件数の割合
(1)負傷の部位
入院を要した負傷の 169 件を校種別部位別に分類した(図 34)。
中学校では、体育的部活動、保健体育共に上肢部の負傷も多かった。高等学校の体育的部活動以外
の場合上肢部の負傷が最も多いものの、高等学校の体育的部活動では下肢部が最も多くなっていた。
図34 校種別部位別の入院を要した負傷件数の割合
(2)負傷の種類
入院を要した負傷の 169 件を校種別負傷種類別に分類した(図 35)。
高等学校の体育的部活動以外では骨折が最も多いものの、高等学校の体育的部活動では挫傷・打撲
が最も多くなっていた。
図35 校種別負傷種類別の入院を要した負傷件数の割合
(3)負傷の発生状況
負傷種類別で入院を要した場合を見てみると、骨折と挫傷・打撲が多くみられた。
骨折となった場合の状況説明文中に多くみられた言葉は「投げる」、「練習中」、「倒れる」、「かける」、
「肩」、「乱取り」、「足」、「練習試合」、「受け身」、「落ちる」、「試合中」、「腕」であった。
挫傷・打撲となった場合の状況説明文中に多くみられた言葉は「かける」、
「投げる」、
「右膝」、
「乱取り」、
「打つ」、「ひねる」、「強打」、「膝」、「かかる」、「後頭部」、「左膝」、「倒れる」、「踏ん張る」であった。
骨折の事例
投げられた時に右肩から勢いよく畳に落ち、右鎖骨を骨折した。
寝技の練習をしていたところ、相手にかけられた技を返そうとしたときに、左腕に無理がかかり、負傷した。
挫傷・打撲の事例
乱取りをしているとき、相手の技を受けて右膝を外側から内側に捻り負傷した。
乱取りの練習中、技を掛けにいったところ逆に相手に足を掛けられ、膝をひねり負傷した。
35
2.入院率と入院リスク
(1)負傷の学校種別
中学校・高等学校を通して場合別学年別の入
院率をみたところ、保健体育の場合、中学校で
は 3 年生が最も高く 2.2%だった。高等学校で
は3年生が最も高く 7.2%だった(図 36)。体
育的部活動の場合、中学校では3年生の 5.6%
が最も高く、高等学校では2年生の 12.0%が
最も高かった。
保 健体 育に比べ体 育 的 部活 動で 負傷した場
合、入院リスクは中学校では 3.7 倍であり、高
等学校では、3.0 倍であった(図 37*)。
図37 校種別場合別にみた入院リスク (2)負傷の部位
部位別の入院率をみたところ、中学校の保健体育では上肢部が最も高く 2.8%であった(図 38)。
高等学校でも上肢部が最も高く 6.7%であった。体育的部活動の場合は、中学校・高等学校ともに頭
部が最も高くそれぞれ 10.9%と17.4%だった。
図38 校種別場合別にみた部位別の入院率
図39 校種別場合別にみた部位別の入院リスク 上肢部を負傷した場合と頭部、顔部、体幹部、下肢部を負傷した場合の入院リスクに有意な差は見
られなかった(図 39*)。
36
中学校
高等学校
図36 校種別場合別の入院率
中学校
高等学校
(3)負傷の種類
負傷の種類別に入院率をみたところ、中学校
の 保 健 体 育 では骨 折 が 最も高く 3.1%だった
(図 40)。高等学校では脱臼が最も高く 9.5%
だった。体育的部活動でも、中学校は骨折が最
も多く、高等学校では脱臼が最も多かった。
図40 校種別場合別にみた負傷種別の入院率
高等学校の保健体育では捻挫の負傷をした場
合に比べ脱臼の負傷をした場合 12 倍、骨折の
負傷をした場合 8.1 倍入院リスクが高くなった
(図 41*)。
中学校の体育的部活動で捻挫の負傷をした場
合に比べ骨折の負傷をした場合 9.1 倍入院リス
クが高くなった。高等学校の体育的部活動では
捻挫の負傷をした場合に比べ脱臼の負傷をした
場合 7.6 倍、骨折の負傷をした場合 6.3 倍、挫傷・
打撲の負傷をした場合 6.1 倍入院リスクが高く
なった。
図41 校種別場合別にみた負傷種別の入院リスク 3.入院を要した負傷の発生状況分析
柔道の負傷で入院に関連するキーワードは、
「肩」「崩す」「練習中」「打つ」「膝」
「倒れる」「落ちる」。
中学校の保健体育では「崩す」に関する言葉がある場合約 11 倍入院リスクが高くなっていた。また、
「膝」に関する言葉がある場合約4倍入院を要した負傷となっていた。
高等学校の保健体育では、「肩」に関する言葉がある場合は約 5 倍、「倒れる」、「練習中」に関する
言葉ある場合は約2倍から3倍入院リスクが高かった。
中学校の体育的部活動では、「打つ」に関する言葉がある場合、約2倍入院リスクが高かった。
高等学校の体育的部活動では、「膝」に関する言葉がある場合、約3倍、「倒れる」、「落ちる」に関
する言葉ある場合、約2倍から3倍入院リスクが高かった。
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