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地 域 I T S の 展 開 に 関 す る 調 査 研 究

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地 域 I T S の 展 開 に 関 す る 調 査 研 究
地域ITSの展開に関する調査研究
∼地域情報通信プラットホームの整備と地域 ITS の展開∼
浦 野
隆
辻 健太郎
Takashi Urano
Kentaro Tsuji
ITS統括研究部
近年、情報化社会が大きく進展するなど社会構造に変化がみられ、新たな視点からの ITS の
展開が望まれている。特に、ITS を実施する上で社会経済全体に目を向けて まちづくりに活用
するなど、地域生活の利便性向上や、地域の活性化に寄与するなど期待が高まってきている。
本研究では、地域 ITS や ITS によるまちづくりの展開に不可欠である地域全体のネットワー
ク化、つまり、地域内の企業や住民が自由に利用できる情報流通環境の整備と、その活用方策
について検討を行った。
1.はじめに
ITS は、交通事故や渋滞、排気ガスによる環境負荷といった「道路整備と自動車の普及による負
の遺産」の解消・解決を目的に取組まれてきたが、社会経済の成熟化や少子・高齢化の進展、IT
革命の進展、環境問題の顕在化など、社会経済環境が大きく変化する中で、新たな視点から ITS
の展開が望まれている。
そこで本調査研究は、平成 15 年度に ITS の現状における施策展開、技術展開、事業展開などの
問題点・課題を分析し、ITS の今後の方向性と展開方策の在り方について検討した。さらに、平
成 16 年度には、地方分権が進行し、地域主導による地域の特色を活かしたまちづくりが活発化し
ている中で、ITS のまちづくりへの展開について検討した。
そして今年度は、地域情報化が進展する状況を踏まえ、現状調査を行い、今後、地域情報化の
進展に不可欠となる地域情報通信プラットホームのあり方および活用等について検討した。さら
に、地域情報通信基盤を活用した、新たなビジネス創出についても検討した。
行政施策環境の変化
構造改革
特別区推進
地方分権
改革
21世紀国土の
グランドデザイン
都市再生
e‐Japan戦略
『ITSの今後の展開方策に関する調査研究』
ITSの当初の目的
道路整備と自動車の
普及の負の遺産の
解消・解決
平成15年度
平成16年度
平成17年度
ITSの今後の方向性
と展開方策の検討
ITSによるまちづくりマス
タープランづくりの検討
地域情報通信基盤を活用
した地域ITSの展開の検討
価値観・生活観
の多様化
IT革命・情報通信
の高度化
グローバル化
ボーダーレス化
経済社会
の成熟化
社会経済環境の変化
図−1
本調査研究の経緯
1
少子・
高齢化
環境問題
の顕在化
2.地域情報化の目的と基本要素
(1)地域情報化の目的
地域情報化とは、
『地域社会を支える住民、地方公共団体、企業・事業者、地域の公共的な機関・
団体、NPO・ボランティアなど多様な主体を情報通信ネットワーク(ユビキタス・ネットワーク)
でつなぐ』ことで、 情報・知識の共有を図り、地域課題の解決を目指す
ことを総称している。
地域情報化のベースとなるのは、「地域に根ざしたコミュニティ活動を実際に行っている人た
ち」である。つまり、情報通信ネットワークの整備自体が地域の情報化を進めるのではなく、地
域の人々による実際の活動が結果的に、また、これからの時代においては必然的に、情報化を推
し進める最も重要な推進力になるといえる。
地域情報化のアプローチは、
「自治体内部の情報化」や「自治体行政の情報化」が従来からの路
線であり、行政サービスの情報化や、住民参加の行政を実現する上では重要なアプローチであっ
た。だが、近年では、地域の住民やNPOなどが主体となった「自治体以外の主体が行う地域の情報
化」が、地域の抱える重要な課題の解決に有効に働くようになって生きている。
これからの地域情報化は、上記のとおり地域の住民参加を促すものが必要となる。
ユビキタスネットワークの進展
これからの地域情報化
地域の住民、NPO、地域企業等多様な主
体が、課題解決に向けて自律的・継続的
に取組む
自治体内部
自治体内部
の情報化
の情報化
自治体が行う
自治体が行う
地域の情報化
地域の情報化
これまでの地域情報化
行政主導・基盤整備中心
の情報化
非ネット時代
供給者視点の情報化から利用者視点の情報化へ
自治体以外の主体
自治体以外の主体
が行う地域の情報化
が行う地域の情報化
時間軸
社会の高度化
図−2
地域情報化の動き
地域主体で行っている新しい地域情報化の動きが、全国各地で見られる。ここでは、
「地方自治
体以外の主体による地域情報化の展開」の事例を紹介する。
表−1
新たな地域情報化の事例(1)
事例
概要
インフラ整備
地域医療連携
南房総地域ネットワーク
地域ネットワークオペレーションセンターの設置及び運営等、地域のインターネット
環境の向上に貢献
みあこネット
無線LANを活用した、住民自らによる自由にインターネットを利用できるユビキタ
ス環境の実現に貢献
関西ブロードバンド
過疎地等ブロードバンド・サービスの未提供地域において、行政が保有する情報
通信インフラを活用することで、安価で快適なブロードバンド環境を提供
信州ユニバーサルバンド
サービス
有線放送電話ネットワークを利用し、地域のブロードバンドサービス環境を実現、
にんじんネット
無線LANを活用することで、民間が参入できない条件不利地域においても格安
のインターネット環境を実現
Net4U
地域の医療機関において、医療情報共有システムを構築し、病院、診療所、介護
福祉施設、検査センターによる連携医療システムを実現
わかしお医療ネットワーク
広域電子カルテネットワークを導入し、地域完結型の医療システムを実現
広島県医師会総合医療情
報センター
離島や中山間地域の住民急病に対する自動診断システムを導入、都市・僻地間
の時間的・空間的ハンディキャップを解消、僻地の医療環境の向上に貢献
四国4間電子カルテネット
ワーク連携プロジェクト
広域電子カルテネットワークを導入し、高度な地域医療情報ネットワークを構築
2
表−1
新たな地域情報化の事例(2)
事例
概要
地域企業連携
地域知識生産
地域・
商店街活性化
地域教育情報化の支援
建設市場
専門企業間の情報共有及び建築作業の全体の最適化を図る自律・分散・協調ネッ
トワークを構築し、作業現場の効率化と住宅品質の向上を実現
商談上手
発注者側と受注者側を引き合わせる、ビジネスマッチングサイトを構築し、地域企
業の活性化に貢献
京都試作ネット
「試作に特化したソリューション提供サービス」を実現する専用サイトを構築し、地
域の中小企業の経営革新に貢献
鳳雛塾
インターネットを活用したベンチャー企業のための起業家養成スクールを設置し、
地域経済の活性化に貢献
富山インターネット市民塾
誰でも講師になって講座を開くことができ、誰でも生徒として受講できるeラーニン
グの基礎を構築して、地域コミュニティの活性化に貢献
住民ディレクター
住民がディレクターとなって地域に関する番組を制作、放送するという活動を行う
ことで、地域の魅力を発信し、地域活動のリーダーの育成に貢献
シニアSOHO普及サロン・
三鷹
元気な高齢者がSOHOとしてICT講習を実施する仕組みを構築することで、高齢
者が地域活動に参加する場を提供するとともに、地域のICTのリテラシー向上に
貢献
ささはたドッとこむ
商店街の情報のみでなく、地域の生活情報を併せて提供する地域ポータルサイト
を構築し、商店街の売上向上に貢献
からりネット
特産物直売所と農家を結んだ産直販売支援システムを構築し、新鮮な商品を提
供による売上増加など地域活性化に貢献
彩(いろどり)事業
「ツマモノ」の販売支援システムを構築し、高齢者の多い生産者にも簡単に使える
専用パソコンを導入することで、高齢者の生産意欲向上と地域活性化に貢献
桐生地域情報ネットワーク
地域情報化に関する提言活動や、地域の伝統文化の掘り起こしと情報発信等の
地域の魅力の発見を行う活動、地域コミュニケーションを促進することで、魅力的
な地域づくりに貢献
きょうろ情報カードシステ
ム
中小商店のクレジット・でビットカードシステムを導入し、地域の中小商店の業務
支援及び売上向上など地域活性化に貢献
はりますマートスクールプ
ロジェクト
地域においてネットデイ活動を展開することで、学校における情報通信インフラの
整備のみではなく、情報教育サポート等、学校を中心とする地域情報化に貢献
筑波オンラインスタディ
地域の小中学校を結ぶネットワークを構築し、地域の先生と児童生徒が参加する
教育システムを実現、地域の教育環境の向上に貢献
佐世保バーチャルカレッジ
市内教育施設のインターネットネットワークを構築し、相互発信し意見交換するこ
とで学習の活性化に貢献
人吉市立東間小学校
地域の公共施設と学校をテレビ会議で結び、地域の専門家や住民と連携した学
習を実現、学校と家庭・地域の連携強化に貢献
(2)地域情報化を進める上で重要な基本要素
地域情報化の活動を有効に機能させるものとして、
「インセンティブ(協働参加への誘因)」、「ト
ラスト(信頼関係)」、「コネクター(関係性をつなぐ人および仕掛け)」の3 つの要素「イ・ト・
コ」が不可欠である。これらは地域の課題を解決するための自律・分散的な地域情報化を推進す
る上で必要な要素であり、地域が保有する社会的な資源である。
表−2 「イ・ト・コ」の概要
必要3要素
概 要
インセンティブ
「地域を変えたい、良くしたい」という強い意志であるとともに、取組みの発端となるも
のであり、例えば、「郷土愛」(抽象的なものでなく、具体的な地域の課題を解決した
いという「インセンティブ」も含まれる)、「やりがい」、「経済的利益」等がその例。また、
「外部の正当な評価」等がその1つになり得る。
トラスト
「インセンティブ」を共有する主体相互間の信頼関係。情報技術を活用した課題解決
が既存の枠組みの再構築を伴うことが多く、新たな枠組みの円滑な構築のためには、
信頼関係の存在が不可欠であること、住民、NPO、企業等必ずしも完全に利害関係
が一致しているわけではない多様な主体間の利害調整が必要であること、ネット社会
が前提としている自律・分散型のフレームワークにおいては、主体間の信頼が失われ
たとき、「ただ乗り」の「インセンティブ」が働きやすいという脆弱性を有していること等
を鑑みると、「トラスト」という要素は不可欠である。
コネクター
地域内外の連携をつかさどる機能。多様な主体が参画して、自発的に取組みを開始
する際に、地域または個々の参画者の有する資源だけでは、取組みを全うするのに
不十分な場合等に、地域の内外において、その資源を補う「連携」機能を担う。また、
取組みを円滑に進める上で必要な総合的な調整機能、すなわち、前述した「インセン
ティブ」や「トラスト」の醸成、持続も含め、一種のプロデューサとして、当該取組みを
円滑に推進していくために必要な機能を総合的に担う。
3
3.地域情報化のあり方
前述したように「地域情報化の目的」は、多様な主体をユビキタス・ネットワークでつなぐこ
とで、情報・知識の共有化を図り、地域課題の解決を目指すことにある。そこで、これまでの行
政主導のサービス提供から、地域住民のニーズを優先した顧客指向に転換していく必要がある。
低廉かつ小規模地域でもグローバルシステムと同様の処理やサービスが行えるICT※1というツ
ールを手に入れることができるため、様々な主体の連携が行われやすい素地が形成されつつあり、
地域の課題を自律的に解決できるようになってきている。
今後、地域に住む人たちが利用する公共サービスは、これまで主に行政が担ってきたが、今後は
NPOや企業など民間の主体もその役割を担うことが望まれる。イメージを以下に示す。
地域独自の個性と活力を発揮するための情報の共有・利活用
行政・社会サービス・産業・
個人等多様な情報の生産
情報循環構造の形成
情報循環構造の形成
行政
行政サービスの
行政サービスの
情報化
情報化
企業の 基幹業務
情報流通
情報
報の
の蓄
蓄積
積
情
行政の 基幹業務
情報の生産/複製
情報の生産/複製
産業
家庭
産業活動基盤の
産業活動基盤の
生活環境の情報化 情報化
情報化
在宅活動の情報化
地域内、広域な 情報の収集・分配 多様な情報の蓄積・
検索サービスの提供
情報の流通
情報の流通
多様な情報の 検索・受信・発信 教育・文化・福祉・
教育・文化・福祉・
医療等の情報化
医療等の情報化
社会サービス
情報の消費/活用
情報の消費/活用
各機関の基幹業務
ネットワークの形成
地方公共団体
地方公共団体
地域の情報化政策を総合的に展開
地域の情報化政策を総合的に展開
教育機関
教育機関
ライフインフラ機関
ライフインフラ機関
教育の高度化・人材育成
教育の高度化・人材育成
地域の安全性の向上
地域の安全性の向上
地域住民
地域住民
地元企業
地元企業
NPO・ボランティア
NPO・ボランティア
医療・福祉機関
医療・福祉機関
地域産業
地域産業
地域医療・福祉の充実
地域医療・福祉の充実
ベンチャー育成・雇用の確保
ベンチャー育成・雇用の確保
公共ネットワーク
公共ネットワーク
人と人、組織と組織を結び、
人と人、組織と組織を結び、
新たな付加価値を創出
新たな付加価値を創出
ユビキタス・ネットワーク社会
ICTにより地域の課題を解決
安全・安心で豊かな地域社会の形成
図−3
・教育、医療、防災等 シビルミニマムの向上 ・地域文化の活性化 ・地域経済の活性化 ・広域的な交流・連携推進 など
地域情報化のあり方
※1:ICT「Information and Communication Technology」とは、IT に「Communication」が加わったのが ICT
である。家や会社などに固定されたパソコンを使うだけでなく、携帯電話端末やデジタルテレビなど、さ
まざまな端末を場所・時間・利用者に制限を設けることなく自由に使えることが前提となる。ただし、こ
れらを現実にするにはまだまだ技術的な解決が必要である。
(出所:ビジネスノミカタ NTT Communications)
4
4.地域情報通信プラットフォームの構築展開
地域情報通信プラットフォームとは、地域情報化を実現する際に多様な主体が容易な情報交流
を実現するために、ベースとなる連携基盤のことであり、共通のプラットフォーム上にシステム
を構築すれば、他のシステムとも容易に連携が図れるものを指している。
○○業務向けサービス
○○業務システム
機能A
機能B
Aシステム
Bシステム
Cシステム
機能A
機能B
機能C
接続標準
接続標準
接続標準
機能O
機能
C
連携基盤
地域情報通信プラットフォーム
図−4
地域情報通信プラットフォームのイメージ
地域情報通信プラットフォームの構築目的は、ICT 化により自治体や地域が抱える問題を解決す
るとともに、地域の活性化と持続的な発展を実現し地域ポテンシャルを最大化していくことにあ
る。
地域情報通信プラットフォームを構築するためには、地域運営における各種の業務機能やサー
ビスを提供する情報システム同士が、そのシステムの所管組織・製造元・内部構造によらず、必
要に応じてお互いに連携できるように、地域情報化に係わる各種情報システムの構築・運営環境
として、次の要件を備える必要がある。
① マルチベンダー化(複数ベンダー間の適切な競争環境)が実現できること
② システムの移植性、相互運用性、変更容易性が確保されること
③ システム間の接続が容易であること
④ 組織内外でのシステムの共通化や標準化が図られ、汎用化や共同利用が促進されること
(出所:総務省「地域における情報化の推進に関する検討会」最終報告書 2005 年 3 月)
図−5
地域情報通信プラットフォームのコンセプト
5
技術仕様については、 インターネットやWebサービス技術を用いることを基本
とする。ただ
し、メッセージ交換・トランザクション管理・システム監視・セキュリティといった様々な機能
については、それぞれ似たような手段があるため、性能要件の検討を併せて技術開発を行い、標
準化文書やガイドラインとして示すことが必要となる。これにより、ICTサービスを連携するプロ
セスの自動化、多数の情報システムの一元的な管理、サービスレベルの設定などが可能となる。
展開にあたっては、a.地域情報通信基盤のガイドライン提示、b.サービス全体の構築展開イ
メージの共有、c.導入にかかわるコンサルティング、ナレッジ化、などが必要となる。
5.地域情報化ビジネスモデル
地域情報化が目指すものは、少子・高齢化、地域産業の弱体化と地域雇用の悪化、環境問題へ
の対処など、様々な地域課題を解決することであり、さらに、地域のポテンシャルを向上させ、
魅力的な地域を創出することである
その推進においては、地域社会を支える住民、地方公共団体、企業・事業者、NPO・ボランティ
アなど多様な主体をユビキタス・ネットワークでつなぐことで、情報・知識の共有を図り、参加
した主体が生み出す情報が、地域を再発見することにもつながり、ビジネスチャンスが拡大する。
これらをうまく活用することが、地域情報化ビジネスモデル成功の鍵となる。
停滞した地域
再評価
活用できる
活用できる
資源
資源
洗出し
漠然とした
問題・課題
抽出された
抽出された
問題・課題
問題・課題
動機づけ
人材の不足
意欲ある
意欲ある
人材
人材
地域情報化ビジネスモデル
眠っている
資源
地域力のアップ
活性化した地域
地域資源を活かした
まちづくり
地域生活に
地域生活に
影響を与える
影響を与える
モノ・サービス
モノ・サービス
個性のある豊かな
地域社会
生きがい働きがい
のある生活者
地域情報化
(キーパースン・知恵・ノウハウの利活用)
図−6
地域情報化ビジネスの事業化フロー
6.地域情報通信プラットフォームを活用した地域 ITS の展開
まちづくりにおける課題としては、都心へのアクセス機能の向上や都心の回遊機能の創造、地
方では生活交通の向上や自然と共生する交通の創造など、モビリティの向上・創造に関するテー
マも多く、広い分野での ITS の展開が期待されるため、
「5. 地域情報化ビジネスモデル」で整理
した事業化フローを参考に、地域情報通信プラットフォームを活用した地域 ITS の展開メニュー
を検討する。
昨年度検討した、地域課題と ITS の展開メニューの対応を以下に示す。
6
表−3
まちづくりの地域課題と ITS 展開メニュー(1)
市民活動
土地利用調整
環境
まちづくりのテーマ
自治体等の地域課題
ITSの展開メニュー
住民、NPO、企業、行政、大学
等の連携によるまちづくり
・市民、企業、行政、大学等の連携によるまちづくり
・市民参加型の公共交通サーポート運動の低唱と
実践行政
・ITSまちづくり支援組織を構築し、まちづくりのデータ・情報・ノウハウ
や人材情報等を提供
・まちづくりプラットフォームへの参加
・ITS活動の地域NPO化
産・官・学・民の地域情報プラッ
トフォーム構築
・産・官・学・民の地域情報プラットフォーム構築
・地域情報流通基盤の構築への参加
賑わいづくり交流拠点整備
・大都市再生のための賑わい空間創り
・メインストリートをゆとりと賑わいを持った都市空 間として再生
・都市交通環境の整備(都心へのアクセス機能の向上、都心内の回 遊機能の向上)
・公共交通利用促進による自動車利用の抑制・適正化
駅周辺の魅力的なまちづくり
・駅前地区の再生及びイメージアップの促進
・地方中小都市として相応しい駅を中心とした整備
・交通情報、観光情報等の提供機能の多様化・高度化
・高齢化社会の主交通として、高齢者等の安全なモビリティ環境の形
成
都市基盤の整備と併せた商業
等の活性化
・歩行者に楽しい商店街への脱皮
・回遊性をもった商業地域の形成
・商業施設への交流促進機能の導入
・街並み情報等の回遊情報の提供
・回遊機能をもつ循環バスやコミュニティバスの導入
・商業施設とパークアンドライドの連携
ゴミゼロ型都市への再構築
・広域連携の下に高度処理を行う廃棄物・リサイク
ル関連施設の複合的整備
・地域廃棄物搬送システムの構築
・リサイクル物流システムの構築
環境とエネルギーに配慮した
環境共生コミュニティの形成
・資源循環型の暮らしの展開
・産官学民協働による環境とエネルギーに配慮した
環境共生コミュニティの形成
・環境負荷の小さい青脈物流システムの構築
・公共交通利用促進による自動車使用の抑制
・環境型コミュニティバスの導入
都心部の慢性的な渋滞による
沿道環境悪化等の大幅な解消
・企業連携による共同輸送化の推進
・緑地環境保全に対するカーシェアリング普及
・カーシェアリング・大型交通効率活用
・都心交通情報提供による無目的な都心通過交通の抑制
・環境ロードプライシングの導入
・マルチモーダルな輸送システムの構築
・共同荷捌き・配送システムの導入
自治体等の地域課題
ITSの展開メニュー
・歴史的景観の維持保全、景観軸整備、観光資源
への遊歩道整備
・歩行者観光周遊ルート整備による観光スポットの
拡大
・海峡景観や歴史的建造物等の連携した滞在型観
光への移行
・移動支援情報提供による回遊性の向上
・地域資源交通ネットワークの形成(観光デマンドバス、路線バスのフ
リー乗降等)
コミュニティ空間の景観性向上
・住民協働によるコミュニティ空間の景観性向上
・多様な主体参加による都市景観改善
・都市の中の潤い空間の創出
・コミュニティバスやデマンドバスの運行による地域モビリティの向上
・移動支援情報提供による回遊性の向上
・歩くまちの創造、まち情報の提供
安心・安全に暮らせるまちの実
現
・住民による防犯ボランティア組織結成
・パトロール、通学路見直し等推進
・観光客等の歩行者の安全確保
・地域情報基盤の構築による組織活動の連携強化
・ICタグ、携帯電話等による子供等の所在確認環境の形成
・安全情報、避難情報の提供
広域防災拠点の整備と防災ネ
ットワークの構築
・水上輸送等と連携した基幹的広域防災拠点を臨
海部に整備
・防災環境軸整備
・災害時の物流対応のための水上交通ネットワー クの構築
・防災用水ネットワークの整備
・地域特性を活かしたマルチモーダルな防災輸送システムの構築
・災害発生時に即時的・即場的な避難経路あるいは避難誘導情報の
提供(自動車、歩行者等)
密集市街地の防災まちづくり
・密集市街地の防災まちづくり
・避難路計画・避難路整備
・災害発生時に即時的・即場的な避難経路あるいは避難誘導情報の
提供(自動車、歩行者等)
高齢者、子育て等の日常生活
を支援する仕組みづくり
・高齢者等の日常生活を住民組織が支援する相互
扶助の仕組みづくり
・高齢者等のスペシャル・トランジット・サービスの拡充
医療福祉施設を核としたまち
づくり
・医療施設併設の自然体験施設整備による地域振
興・ユニバーサル都市構造
・総合病院を核としたまちづくり
・地域施設(居住、福祉、保健、医療等)移動ネットワークの形成(循環
バス、デマンドバス等)
高齢者等でも安全に移動でき
る仕組みの構築
・高齢者等でも安全に移動できる仕組みの構築
・タウンサイクルやタウンモビリティを通したまちづく
り
・高齢者等の安全モビリティ環境の形成(経路案内、危険情報提供)
・ICタグ、携帯電話等による高齢者等の所在確認環境の形成
景観
まちづくりのテーマ
観光スポットネットワーク化とそ
の景観性向上
安全・
安心
健康・福祉・教育
情報
地域資産活用
まちづくりのテーマ
自治体等の地域課題
ITSの展開メニュー
高齢者等支援のための情報提
供サービス
・IT活用による高齢化に対応した地域コミュニティ の形成
・ICタグや携帯電話等による高齢者等の所在確認、経路案内等、高 齢者の安全なモビリティ環境の形成
住民参加型の地域情報サイト
構築
・ケーブルテレビ等を活用したまちの活性化
・元気・感動・安心・便利を実感できるIT環境の実現
・多角的情報発信による地域産業や生涯学習の振
興
・地域情報流通基盤の構築とその利活用
地域情報・観光情報・防災情
報等の広域発信
・GISを活用した地域情報システム
・観光と自然環境保護の新たな取り組みの情報発
信
・市民との意見交換を通して再発見したまちづくり の資産「まちのお宝」の情報発信
・インターネット・携帯電話等の利用(自動車、歩行者)
・地域情報流通基盤の構築とその利活用
・ITSによる地域交通まちづくりの立案・展開
地場産業を活かしたまちづくり
・地域ブランド活用にyる観光を軸としたまちづくり
・自立循環地域経済システムの構築
・地域資源利用交通ネットワークの形成(観光デマンドバス、路線バス
のフリー乗降等)
・インターモーダルなシームレスアクセスできる地域交通システムの構
築
観光振興まちづくり
・観光振興まちづくり
・地域資源利用交通ネットワークの形成(観光デマンドバス、路線バス
のフリー乗降等)
企業家、市民団体、NPO等へ
の活動支援
・企業家、市民団体、NPO等への活動支援
・ITベンチャーの支援・育成
・ITSまちづくり支援組織を構築し、まちづくりのデータ・情報・ノウハウ
や人材情報等を提供
7
表−3
まちづくりの地域課題と ITS 展開メニュー(2)
・歩行者が安全に通行できる交通環境
・歩いて楽しめる環境づくり
・歩いて暮らせる都心形成
・街並み形成軸と歩行者・自転車ネットワーク
・歩くまちの創造、まち情報の提供
・移動支援情報提供による回遊性の向上
・TDM等による歩行者を重視したモビリティ環境の形成
・携帯電話等を利用した駐輪場案内システムの導入
観光拠点間及び中心市街地と
の回遊性の強化
・観光地から中心市街地への人の流れの誘導
・歩行者観光周遊ルート整備による観光スポットの
拡大
・観光拠点間の回遊性の強化
・エコツーリズムによる都市と中山間地域の交流促
進
・都心アクセス機能の向上(地下鉄、鉄道、バス等の連携による総合 公共交通情報の提供、移動に伴うシームレスな情報提供等)
・地域資源交通ネットワークの形成(観光デマンドバス、路線バスのフ
リー乗降等)
・移動支援情報提供による回遊性の向上
・都市部と中山間地域間の移動環境の向上(バスロケーションシステ ムの導入、デマンドバスの導入等)
観光客が欲しい情報を至る所
で簡単に取得し楽しめる環境
づくり
・観光客が欲しい情報を至る所で簡単に取得し楽し
める環境づくり
・ITを活用した総合交通情報システム
・移動支援情報提供等による回遊環境の形成
・地下鉄、鉄道、バス等の連携による総合公共交通情報の提供
公共交通を利用者本位の分か
りやすい利用しやすい移動手
段への改善、利用促進
・コミュニティバス運行による誰もが安心で快適な 都市生活を実現するための展開施策
・マイバスと連携したタウンモビリティ導入
・分かりやすい公共交通・観光資源の案内標識
・お買物循環バス運営による商業等活性化
・都市構造の転換による公共交通機関の利用促進
・ITSによる都市交通まちづくりマスタープランの立案・展開
・デマンドバス、循環バス等の導入によるモビリティ環境の形成
・バスロケーションシステムの導入、バス停ではバスの案内とともに観
光資源の情報提供
・公共交通の利便性向上(地下鉄、鉄道、バス等の連携による総合 公共交通情報の提供、移動に伴うシームレスな情報提供等)
交通不便地区でのコミュニティ
バス運行
・高齢者等の生活の足の確保
・タウン・サイクルやタモビリティを通したまちづくり
・市民の交通手段の確保
・ITSによる都市交通まちづくりマスタープランの立案・展開
・生活交通の確保・充実(コミュニティバス、デマンドバス等の導入)
円滑な移動確保のための交通
結節点整備
・交通結節点整備等による地域活性化
・循環型道路整備推進による交通結節点機能強化
・ターミナル機能の充実(地下鉄、鉄道、バス等の連携による総合 公共交通情報の提供等)
総合交通情報システム・TDM
施策等による主要拠点の活性
化
・総合交通情報システム・TDM施策等による主要 拠点の活性化
・ITSによる都市交通まちづくりマスタープランの立案・展開
交通ネットワークの強化・充実
・幹線道路網とのアクセス性向上
・都心環状線整備に向けた新しいまちづくり
・既存ストックを有効活用した都心交通の円滑化
・ITSによる都心交通まちづくりマスタープランの立案・展開
災害時の物流対応のための交
通ネットワークの構築
・災害時の物流対応のための水上交通ネットワー クの構築
・地域特性を活かしたマルチモーダルな防災輸送システムの構築
青脈物流システムの構築
・水運等を活用した青脈物流システムの構築
・マルチモーダルな青脈物流システムの構築
都心部の慢性的な渋滞の大幅
な解消
・都心部の慢性的な渋滞の大幅な解消
・カーシェアリング・大型交通効率活用
・ITSによる都心交通まちづくりマスタープランの立案・展開
交通
歩行者・自転車にやさしい安全
・安心のみちづくり
ITS展開メニュー
地域課題
‘都市空間の再生
yゆとり或る賑わい空間の実現
y便利な交通結節点機能の充実
y回遊性を持つ商業地域の形成
y潤い空間の創出
‘都心の回遊性機能の向上
地域情報通信プラットホームを
地域情報通信基盤を y循環バス・コミュニティバスの運行
y町並み情報等の提供
活用した地域ITSの展開
活用した地域
ITS の展開
‘地域交通機能の向上
y運行情報提供等による乗継
の円滑化
y交通情報・観光情報等の
提供機能の多様化・高度化
y観光デマンドバス・路線バス
のフリー乗降等
‘安全・安心の暮らしの実現
y防犯、防災環境の充実
y日常生活の支援づくり
y歩いて楽しめる環境づくり
y公共交通機関の利用促進
y市民の生活交通の確保
y交通渋滞の解消
”インターモーダルなシームレス
”インターモーダルなシームレス
アクセス交通基盤の構築
アクセス交通基盤の構築
”誰もが自由に利用できる
”誰もが自由に利用できる
モビリティ環境の形成
モビリティ環境の形成
‘環境共生コミュニティの形成
”安心・安全な生活移動環境の
”安心・安全な生活移動環境の
形成
形成
y資源循環型の暮らしの展開
y沿道環境の改善
”環境負荷の少ない循環物流
”環境負荷の少ない循環物流
基盤の構築
基盤の構築
‘地域資源の活用
y自立循環地域経済システムの構築
y観光振興まちづくり
y地域ブランドの活用
‘安全・安心な環境の構築
y防犯情報・災害情報等の提供
y移動支援情報の提供
y総合公共交通情報の提供
y環境ロードプライシングの実施
y所在確認システム
‘小負荷物流システムの構築
y地域廃棄物輸送システム
yリサイクル物流システム
y静脈物流システム
図−7
地域課題への ITS の展開(物流・交通面)
7.今後の課題
本研究では、急速に進展する情報化社会の状況と、活発化する住民参加や社会経済環境の変
化に着目し、 まちづくり でのITS活用方法策について研究を行った。その結果、ITSの1つの
メニューである「情報通信技術」を活用することで、地域住民が様々な形でコミュニケーショ
ンが図れ、更に地域の問題解決や利便性向上に寄与する可能性が高いことが分かった。また、
行政主導のサービス提供から地域住民のニーズにあったサービス提供が可能となり、ビジネス
としても成り立つ可能性が高いことが分かった。今後、更なる展開を図るには、多くの方が自
由に利用できる地域情報通信プラットホームの普及展開が不可欠である。
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