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韓国スマートフォンゲーム市場に関する調査結果 2013
2013 年 9 月 10 日 韓国スマートフォンゲーム市場に関する調査結果 2013 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて韓国のスマートフォンゲーム(アプリ)市場に関する調査を実施した。 1. 調査期間:2013 年 1 月~7 月 2. 調査対象:韓国のゲーム開発企業、スマートフォンゲームプラットフォーマー 3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <スマートフォンゲーム市場とは> 本調査におけるスマートフォンゲーム(アプリ)市場は、モバイルゲームのうちスマートフォンゲーム(アプリ)を対 象とし、有料アプリ販売やアイテム課金等のアプリ内課金など、ユーザーへの課金金額で算出した。広告収入は 含まない。 【調査結果サマリー】 2012 年の韓国スマートフォンゲーム(アプリ)市場は 7,600 億ウォン 2012 年 7 月に、韓国最大のユーザーを持つスマートフォンメッセンジャーアプリの「Kakao Talk」がゲ ームサービス(カカオゲーム)をスタートしたことで、市場は飛躍的に拡大した。2012 年のスマートフォン ゲーム(アプリ)市場規模を、前年比 79.4%増の 7,600 億ウォン(事業者売上高ベース)と推計した。 韓国のゲーム業界がスマートフォンゲーム開発のための体制へ カカオゲームのプラットフォームを利用することで、スマートフォンゲーム(アプリ)開発企業は、ベン チャー企業でも単独での展開が可能となった。そのため、大手・中堅のゲーム開発企業は新規ゲーム タイトルの確保が困難になりつつあり、自ら開発子会社を設立したり、開発会社(スタジオ)を買収したり、 スタートアップ向けインキュベータープログラム等を展開するなど、新規ゲームタイトル及び人材確保に 努めている。業界構造は、徐々にスマートフォンゲーム開発のための体制に変わりつつあると考える。 2013 年の韓国スマートフォンゲーム(アプリ)市場を 1 兆 2,500 億ウォンと予測 2013 年もカカオゲームの勢いは止まらず、それ以外にも海外ゲームタイトルなどの人気も高く、さら に市場は活況を呈している。2013 年のスマートフォンゲーム(アプリ)市場規模は、前年比 64.5%増の 1 兆 2,500 億ウォン(事業者売上高ベース)になると予測する。 資料体裁 資料名:「2013 韓国スマートフォンゲーム市場の現状と将来展望」 発刊日:2013 年 8 月 21 日 体 裁:A4 判 343 頁 定 価:105,000 円(本体価格 100,000 円 消費税等 5,000 円) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 営業本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2013 Yano Research Institute Ltd. 2013 年 9 月 10 日 【 調査結果の概要 】 1.韓国のスマートフォンゲーム(アプリ)の市場概況 • 韓国でスマートフォンが発売され普及が進んだ 2010 年頃から既存のモバイルゲーム開発企業がス マートフォン向けゲーム開発の展開を始めた。これをきっかけに、韓国におけるスマートフォンゲーム (アプリ)市場は立ち上がった。 • スマートフォンの急速な普及とともに次世代プラットフォームとして期待されたスマートフォンゲームで あるが、ゲーム事前審議制度による登録審査が行なわれていなかったため、App Store や Android Market(現 Google Play)でのゲーム提供サービスが一時中断された。そのため、韓国内のスマートフ ォンゲームは Android アプリを提供するキャリアマーケット(通信キャリアが運営するアプリストア)にて、 事前審議に受かったゲームタイトルが提供されるだけになり、市場停滞の主要因となった。 • 2011 年に事前審議制度が廃止され、すべてのアプリストアでサービスが再開され、ゲーム開発企業 の本格的な取組みが進んだ。2012 年 7 月に、韓国最大のユーザーを持つスマートフォンメッセンジ ャーアプリの「Kakao Talk」がゲームサービス(カカオゲーム)をスタートしたことで、市場は飛躍的に 拡大した。2012 年のスマートフォンゲーム市場規模を、前年比 79.4%増の 7,600 億ウォン(事業者売 上高ベース)と推計した。 • 2013 年もカカオゲームの勢いは止まらず、それ以外にも海外ゲームタイトルなどの人気も高く、さら に市場は活況を呈している。2013 年のスマートフォンゲーム(アプリ)市場規模は、前年比 64.5%増 の 1 兆 2,500 億ウォン(事業者売上高ベース)になると予測する。 図 1.韓国スマートフォンゲーム(アプリ)市場規模推移と予測 (単位:億ウォン) (単位:%) 15,000 179.4% 164.5% 12,500 133.8% 10,000 100% 7,600 4,236 5,000 3,167 0 0% 2010年 2011年 2012年 2013年 予測 注1:2010~2011年は韓国コンテンツ振興院「2012大韓民国ゲーム白書」より引用、2012~2013年は矢野経済研究所推 計値及び予測値。 注2:2012年及び2013年は事業者売上高ベース、モバイルゲームのうちスマートフォンゲーム(アプリ)を対象とし、有料 アプリ販売やアイテム課金等のアプリ内課金など、ユーザーへの課金金額で算出した。広告収入は含まない。 Copyright © 2013 Yano Research Institute Ltd. 2013 年 9 月 10 日 2.注目すべき動向 2-1.Kakao Talk をプラットフォームとしたゲーム(アプリ)の興隆 • 韓国はネットカフェ(PCバン)文化を持つオンラインゲーム大国であるが、ゲーム開発企業は次世代 ゲームプラットフォームとして、モバイルゲームとくにスマートフォンゲーム(アプリ)に注力してきた。 韓国におけるスマートフォンユーザーは急速に拡大しており、ゲーム開発企業は App Store や Android Market(現 Google Play)以外にも、決済手段などに強みを持つキャリアマーケットなどにゲ ームを提供してきた。 • スマートフォンのメッセンジャーアプリである「Kakao Talk」は、2012 年 7 月にゲームサービス(カカオ ゲーム)を開始した。カカオゲームは、韓国最大ユーザーを持つソーシャルグラフ※を背景に、ゲー ムプラットフォームとして圧倒的な成功を収めた。韓国のスマートフォンゲーム市場は、現在、カカオ ゲーム一色となっており、中小ゲーム開発企業だけでなく、独自プラットフォームを展開していた大 手ゲーム開発企業までが、カカオゲームに参入し再展開を始めている。 • カカオゲームの成功事由としては、まず強力なソーシャルグラフが挙げられるが、サービス開始当初 に、パズルやミニゲーム、シューティング、アクションアーケードなどのカジュアルゲーム(簡単な操作 でプレイができるゲーム)を中心にラインアップしたことが功を奏した。これまでにゲームをした経験が 乏しいノンゲーマーや女性が多数参入し、成功に繋がったと考える。 • カカオゲームの 2013 年上半期までの累計提供ゲームタイトル数は 180 本、うちダウンロード数 2,000 万を突破したタイトルは 2 本、1,000 万を突破したタイトルは 6 本となった。特に、パズルゲーム 「ANIPANG」は、累計ダウンロード数 2,500 万、最多 DAU(Daily Active Users)が 1,000 万人を突破 するなど、前例のない記録を達成し、カカオゲーム成功の象徴的な事例と言える。現在においても、 カカオゲームのタイトルは韓国の App Store 及び Google Play の売上ランキングにおいて、事実上独 占と言える絶対的なポジションを獲得している。 ※ソーシャルグラフとは、既知の人間関係をもとにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上に構築されたコミュニテ ィをさす。対義語として、ゲーム上での匿名ユーザー同士のコミュニテイを表すバーチャルグラフがある。 2-2.ゲーム開発企業の展開動向 • • • カカオゲームのプラットフォームを利用することで、スマートフォンゲーム(アプリ)開発企業(デバロッ パー)はゲームをリリースする際、他のゲーム販売企業(パブリッシャー)のプラットフォームやマーケ ティング力に依存せず、単独での展開が可能となった。そのため、ベンチャー企業はカカオゲーム による展開を選択することが多くなっている。 その影響を受け、大手・中堅のゲーム開発企業は新規ゲームタイトルの確保が困難になりつつある。 そのため、自ら開発子会社を設立したり、開発会社(スタジオ)を買収したり、スタートアップ向けイン キュベータープログラム等を展開するなど、新規ゲームタイトル及び人材確保に努める傾向にある。 これまでのオンラインゲーム開発企業を中心とした業界構造が、徐々にスマートフォンゲーム開発の ための体制、ビジネスモデルに変わりつつあると考える。 3.今後の展望 • 大手ゲーム開発企業はカカオゲームで国内売上を確保する一方で、自社内のゲーム開発体制を強 化し、合弁会社設立や資本提携などで海外展開をはかっており、成長余地のある新興国市場への 参入を着実に進めている。 • カカオゲームのゲーム提供タイトル数は増加しており、ゲーム同士の競争が激化、ゲーム開発企業 は収益を上げ難くなっている。今後は、既存タイトルとは異なる、まだ本格的に展開されていないジャ ンル、例えば恋愛シミュレーションや位置を活用したゲーム(位置ゲー)、フルネットワーク RPG (Role-playing Game)など、新たなジャンルのゲーム(アプリ)で先行者利益を獲得していく戦略が有 効と考える。また、一部の企業では、海外ソーシング(発掘)によって解決策を模索しており、2013 年 下半期からは日本や中国で製作されたゲームタイトルも多数リリースされる見込みである。TCG (Trading Card Game)や CCG(Collectable Card Game)など、日本のカードバトル系のゲームが予想 外の人気を得ているため、同ジャンルのタイトルが増加すると予測する。 Copyright © 2013 Yano Research Institute Ltd.