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【生産・調達段階における論点】 再生可能エネルギーの拡大

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【生産・調達段階における論点】 再生可能エネルギーの拡大
参考2-2
総合資源エネルギー調査会
総合部会 第4回会合
資料2
【生産・調達段階における論点】
再生可能エネルギーの拡大
平成25年6月27日
資源エネルギー庁
1.我が国の再生可能エネルギーの導入状況
我が国の再生可能エネルギー(水力除く)の総発電電力量に占める割合は、1%前後で推移。
2009年11月の太陽光の余剰電力買取制度の開始、2012年7月の固定価格買取制度の施行によ
り、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーは着実に導入が拡大。
2012年度の再生可能エネルギーの割合は1.6%に達する。
【我が国の再生可能エネルギー導入割合】
(億kWh)
18,000,000,000
180
(総発電電力量に占める割合)
2.0%
160
16,000,000,000
1.6%
140
14,000,000,000
0.4%
1.4%
0.2%
12,000,000,000
120
0.1%
0.1%1.1%
10,000,000,000
100
0.1%
8,000,000,000
80
6,000,000,000
60
40
4,000,000,000
2,000,000,000
20
1.5%
0.0%
0.0%
0.0%0.7%
0.3%
0.6%
0.1%
0.8%
0.3%
0.9%
0.1%
0.2%
0.2%
0.2%
0.3%
0.9% 1.0%
0.3%
0.3%
0.2%
0.3%
0.3%
0.3%
1.0%
2004
2005
2006
0.5%
再生可能エネルギー合計(水力除く)
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.4%
0.3%
0.5%
0.4%
0.5%
2007
2008
2009
2010
2011
余剰電力買取制度
RPS制度
風力
バイオマス
0.5%
0.5%
0
2003
太陽光
地熱
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.1%
1.2%
2012
0.0%
(年度)
固定価格買取制度
※電力調査統計、RPSデータ、固定価格買取制度の買取実績等より、資源エネルギー庁作成
1
2.我が国の再生可能エネルギー導入拡大施策の変遷
我が国の再生可能エネルギーの導入拡大施策は、①補助金による支援、②電気事業者に
対する再生可能エネルギー由来電気の調達についての義務量の枠付け(RPS制度)に
よる支援から、③電気事業者に、固定価格で購入することを義務づける固定価格買取制
度(FIT)へとシフト。
日本
①補助金による支援(1997年~)
新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(「新エネ法」)制定
新エネルギーの導入事業を行う民間事業者に対し、費用の一部を補助。また、金融機関からの
借入に対する債務保証を実施。
新エネルギーの導入事業を行う地方公共団体に対し、費用を補助。
②義務量の枠付け(RPS制度)による支援(2003年~2012年)
2003年 RPS制度開始
電気事業者に、一定量の再生可能エネルギー電気の調達を義務づけ(価格は固定せず)。
③固定価格での買取りによる支援(投資回収の見通付与)(2009年~)
2009年 余剰電力買取制度開始
500kW未満の太陽光(家庭用)について、電気事業者に、国が定めた調達価格・調達期間で
の、再生可能エネルギー電気の調達を義務づけ。
2012年 固定価格買取制度(FIT)開始
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスについて、電気事業者に、国が定めた調達価格・調達期
間での、再生可能エネルギー電気の調達を義務づけ。
2
3.固定価格買取制度の開始後の状況(再生可能エネルギー発電設備の導入状況)
固定価格買取制度が開始された2012年度において、新たに運転開始した設備は166
万kW(2013年2月末時点)。
一般的に、①建設工事に要する期間が短く、②立地に際して支障となる規制も少ない太
陽光発電の導入拡大が急速に進んでいる。
【再生可能エネルギー発電設備の導入状況】
太陽光
(住宅)
2012年4月~2013年2月に運転開始
した設備
2013年2月末までに設備認定を受け、
まだ運転開始していない設備
太陽光
(非住宅)
風力
中小水力
バイオマス
地熱
合計
約114万kW
約42万kW
約6.3万kW
約0.3万kW
約3.6万kW
0.1万kW
約166万kW
約41万kW
約1059万kW
約56万kW
約2.7万kW
約12万kW
約0.3万kW
約1171万kW
3
4.各国の太陽光発電の導入量の実績と見通し
2012年の導入実績では、日本は200万kWで世界第5位。
2013年には、日本市場が世界1位になるという、民間調査会社の予測レポート(アメ
リカ調査会社IHS、Bloomberg)が存在。
【各国の太陽光発電の導入量の実績と見通し】
(万kW)
1000
940
900
2012年実績(IEA)
930
800
2013年Bloomberg
見通しの下限
760
690
700
630
2013年Bloomberg
見通しの上限
600
2012年実績(IEA)
500
430
400
350
370
330
300
200
330
290
200
330
2013年見通し(Bloomberg)
1位 ドイツ
760万kW
日本
690万~940万kW
2位 中国
350万kW
中国
630万~930万kW
250
3位 イタリア 330万kW
アメリカ
370万~430万kW
150
4位 アメリカ
330万kW
ドイツ
290万~330万kW
5位 日本
200万kW
イタリア
150万~250万kW
100
0
日本
中国
アメリカ
ドイツ
イタリア
(出典)2012年実績:IEA-PVPS(速報値) 2013年見通し:Bloomberg
4
5.我が国の太陽光発電の市場動向
固定価格買取制度の開始前は、住宅用が市場の大宗を占めていた。
制度開始後は、制度開始前には数少なかったメガソーラー(1000kW以上)の導入が見
られるなど、徐々に事業用の市場も拡大。
制度開始後
制度開始前
(2010年導入量)
事業用
住宅用
19%
81%
99万
kW
住宅用
81%
(2012年4月~2013年2月末までに
運転を開始した設備容量)
事業用
1,000kW以上
7%
事業用 (メガソーラー)
10~999kW
20%
155.2万
kW
10kW以下
(住宅用)
73%
5
6.各国の再生可能エネルギーの導入状況
再生可能エネルギー(水力除く)の電源構成に占める割合は、2010年時点で、ドイツ
で14.7%、スペインで18.5%、イギリスで6.2%、アメリカで4.4%。
我が国の再生可能エネルギー導入状況(水力除く)は、2012年度時点で1.6%と他国に
比して未だ低水準。
(電源構成に占める割合)
原子力
100%
1.7%
80%
天然ガス
42.5%
60%
石油 18.3%
30%
20%
10%
0%
水力 8.4%
再エネ(水力除く)
1.6%
日本(2012年度)
石炭
8.7%
再エネ
19.0%
再エネ
10.0%
天然ガス
45.9%
水力 15.0%
再エネ
33.5%
石油 1.3%
ドイツ(2010年)
再エネ(水力除く)
18.5%
スペイン(2010年)
石炭
45.5%
石炭
28.5%
水力 4.3%
再エネ(水力除く)
14.7%
石油 1.1%
石油 5.5%
石炭
43.5%
40%
天然ガス
23.2%
天然ガス
31.9%
石油 1.3%
石炭
27.6%
原子力 19.3%
天然ガス
13.8%
70%
50%
原子力
16.3%
原子力
20.5%
原子力
22.3%
90%
再エネ
10.9%
再エネ
8.0%
水力 1.8%
水力 6.5%
再エネ(水力除く)
6.2%
再エネ(水力除く)
4.4%
イギリス(2010年)
アメリカ(2010年)
【出所】日本:電源別発電電力量構成比(電事連)、その他: IEA/Energy Balances of OECD/NON-IOECD 2012
6
7.各国の再生可能エネルギー導入拡大施策
世界各国では、固定価格買取制度(FIT)と、再生可能エネルギー電気の一定量の調
達を電力会社に義務づけるRPS(価格は固定せず)などにより、導入を促進。
ドイツ
2000年より、FITによる支援を実施。再生可能エネルギー比率は6.2%(2000年)から
19.0%(2010年)まで増加。
スペイン
1994年より、FITによる支援を実施。再生可能エネルギー比率は16.1%(1995年)から
33.5%(2010年)まで増加。
買取費用を十分転嫁できない制度であったため、送配電会社に赤字が累積(2011年
時点で240億ユーロ(約3兆円))。2012年に新規案件について買取りを停止。
イギリス
RPS(2002年開始)と、FIT(2010年開始。小規模発電のみを対象)の併用。
アメリカ
30の州及びワシントンDCで、RPSを採用。5つの州(カリフォルニア州・ハワイ州・ルイ
ジアナ州・オレゴン州・バーモント州)で、FITを採用。
7
8.電源間の発電コスト比較
再生可能エネルギーといっても、発電コストに相違あり。
風力・地熱発電については、石炭火力や一般水力と比較しても遜色ない水準。
(出典)コスト等検証委員会
8
9.風力発電の状況(陸上風力)
風力発電のコストは、火力・水力等の電源と比べても遜色ない水準。再生可能エネルギー
の中で相対的にコストが低く、今後の再生可能エネルギー導入拡大のカギを握る一つ。た
だし、規模の利益が働くことに注意。
事業採算性が確保可能とされる風速6.5m/秒を超える地域の66%が、北海道(45%
)と東北(21%)に集中。
風力発電の適地(北海道、東北の一部地域)での送電網整備、規制の合理化がなされるこ
とが、導入拡大に向けての課題。
【風力発電の規模別発電コストの一試算】(NEDOによる)
【風力発電の適地(北海道、東北の一部地域)】
(円/kWh)
30
25
24.0
20
15
18.0
14.0
10
10.0
5
0
(出典)「NEDO再生可能エネルギー技術白書」
9
10.地熱発電の状況
地熱発電は、再生可能エネルギーの中でも設備利用率が高い(7割)ことから、長期固
定電源として期待。
我が国は、世界第3位の地熱資源量(2,340万kW)を保有しているが、現在の設備容
量は52万kWに過ぎない。
地熱資源の賦存量が高く、かつ、より低コストで発電が可能な地域が集中している国
立・国定公園内の開発について一部規制緩和(平成24年3月)。現在、北海道、東北、
九州で進捗。
なお、地熱発電用のタービンでは、我が国のメーカー3社(三菱重工、東芝、富士電
機)が世界シェアの7割を占める。
世界の地熱資源量
世界の地熱資源量
国名
アメリカ合衆国
インドネシア
日本
フィリピン
メキシコ
アイスランド
ニュージーランド
イタリア
地熱資源量 地熱発電設備容量
(万kW)
(万kW)
3,000
309.3
2,779
119.7
52.0
2,347
53.6
600
190.4
600
95.8
580
57.5
365
62.8
327
84.3
我が国の地熱資源の賦存量
地熱発電用タービンシェア(世界)
Others
10%
Toshiba
25%
イスラエル
Ormat
11%
約2340万kW
イタリア
Ansaldo
12%
累積 =1060万kW
Total
10.6GW
Mitsubishi
23%
Fuji
19%
日本(7割)
<出典>(独)産業総合技術研究所(2007) 資料等
<出典>産業技術総合研究所 (2011)
<出典>Bloomberg
10
11.規制・制度改革
再生可能エネルギーの導入促進を図るためには、風力・地熱発電についての環境アセス
メントの迅速化などの規制・制度改革を進めることが重要な課題。
規制改革事項の例:風力・地熱発電に係る環境アセスメントの迅速化
風力・
地熱
発電所着工
評価書
手続
準備書
手続
(
事業者による)
現地調査等
方法書
手続
配慮書
手続
事業計画
【現行の風力・地熱発電に係る環境アセスメント手続フロー】
約3~4年程度
【見直しの方向性】
○平成25年6月に閣議決定
された「日本再興戦略」では、
「環境アセスメントの迅速化
(3、4年程度かかるとされる
手続期間の半減を目指す)」
との方向性が示されている。
・住民や自治体の意見を聴き、国の審査(方法書手続。約6ヶ月)を経て、環境
影響評価の調査方法を詰めた上で、現地調査等を実施(約1年半~2年半)。
○今後、こうした閣議決定で
示された方針に基づき、
・現地調査等の結果を踏まえ、環境影響の予測・評価や保全措置が適切か住
民や自治体の意見を聴き、国の審査(準備書手続。約9ヶ月)を経て、最終的
な環境への影響評価をとりまとめ(評価書手続。約2ヶ月)。
①国による審査期間の短縮化
②自治体による審査期間の
短縮に向けた取組の促進
③約1年半から2年半の期間
を要する現地調査等の前倒
し、国・自治体による審査な
どとの並行実施
等
【事業者の声】
○環境との調和を図りつつ開発を行うことは重要だが、とても時間がかかるた
め、事業の予見可能性が下がり、ファイナンスに悪影響。
○また、長期に渡りアセスメントを実施するために、1億円以上の費用が発生
することもあり、事業の採算性にも大きな影響。
の取組を進め、アセス手続の
迅速化を図る。
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