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Untitled - 千代田健康開発事業団

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Untitled - 千代田健康開発事業団
はじめに
一般財団法人千代田健康開発事業団は、「国民の健康を開発するための各種の活
動を推進し、もって国民の保健と福祉に寄与する」ことを目的に昭和 41 年 10 月
に設立され、以来各種の事業を実施しております。
なかでも、「社会厚生事業助成金制度」は、昭和 29 年に設立した「医学研究助
成」と平成 9 年に「チヨダ地域保健推進賞」と名付けスタートした「保健活動助成」
で構成し、お陰様で、この「保健活動助成」は平成 26 年度で第 18 回を迎えるこ
とが出来ました。
「チヨダ地域保健推進賞」は、各地域において広範囲にわたり保健、福祉活動を
通し顕著な成果を挙げられている保健師の方々及びそのグループの皆様に対して、
その努力と功績を称えると共に、取組まれている事業がより発展するよう助成する
ものです。
また、平成 23 年度(第 15 回)以降は、多少なりとも東日本大震災の被災者支援に
つながるのではないかと、従来の応募テーマに「被災者に対する保健師の活動」を
追加拡大し、本年度においては、全国各地から応募を頂戴し、選考の結果 27 名(グ
ループ)が受賞され、創設以来からは延べ 758 名(グループ)の方々が受賞されてい
ます。
本報告集は、平成 26 年度(第 18 回)「チヨダ地域保健推進賞」の入賞者の活動内
容やその成果を取り纏めたものですが、近年、保健師の皆様の使命が多岐にわたり
非常にご多用と聞き及んでおり、地域保健活動に地道にご努力をされている保健師
の皆様に深く敬意を表し、本報告集が地域保健活動に携わっておられる様々な方々
に少しでもお役に立つことができれば幸甚に存じます。
この発行にあたり、日頃よりご指導、ご後援を賜っております厚生労働省・全国
保健所長会・全国保健師長会をはじめ、全国各地の保健所長、都道府県、市町村の
保健福祉関係部門長の皆様のご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。
平成 27 年 2 月
一般財団法人 千代田健康開発事業団
理事長 深 田 幹 雄
目 次
都道府県
応募グループ名称
上富良野町
北海道 保健福祉課
健康推進班
代表者氏名
杉原 直美
代表者勤務先
上富良野町
保健福祉総合センター
かみん
青森県
野辺地町役場
健康づくり課
小野寺 真美 健康づくり課
青森県
藤崎町役場
福祉課
田中 麻里子 福祉課
日立市
介護予防保健師グループ
大森 美恵子 保健福祉部
茨城県
野辺地町役場
活動テーマ
頁
生活習慣改善でがん予防!
「野菜1日350gもっと食べよう!」ポピュレーションア
プローチ
……
1
水中運動リフレッシュ教室でメタボ撃退!
~仲間といっしょに、プールと食事で集中プログラムに
チャレンジ~
……
4
健康推進員の育成、活動支援
……
7
わが市の元気高齢者を増やす取組
~ソーシャルキャピタルの醸成・活用による介護予防を
めざして~
……
10
介護予防事業(2次予防事業)の取り組み
……
13
地区特性を生かした母子保健活動の展開
~合併政令指定都市保健センターの取り組み~
……
16
健口体操を活用した住民との協働による健康なまちづく
り活動
~いちはら歯っぴい8020応援隊と共に~
……
19
藤崎町役場
健康係
日立市役所
健康づくり推進課
土浦市役所
保健福祉部
健康増進課健康支援係
土浦市
茨城県 健康福祉部
健康増進課健康支援係
関 雅美
さいたま市南区役所
埼玉県 健康福祉部
保健センター
清水 奈津子 健康福祉部
市原市役所
千葉県 保健福祉部
保健センター
鈴木 美沙枝 保健福祉部
荒川区保健所
東京都 健康推進課
保健相談担当
伊藤 ふみ
荒川区保健所
健康推進課
保健相談担当
小さく生まれた赤ちゃんの会「ひまわりの会」
~早産・低出生体重児を育てる母親をつなぐ支援~
……
22
さいたま市南区役所
保健センター
市原市役所
保健センター
神奈川県
8020運動推進員・
健康普及員
市川 江子
山北町役場
保険健康課
健康づくり班
口腔の健康づくり・健口体操の普及活動の支援
……
25
神奈川県
小田原市
福祉健康部
健康づくり課
青木 章子
小田原市役所
福祉健康部
健康づくり課
地域診断を行い、地域の健康課題を踏まえた脳血管疾患
予防事業の取組
……
28
山梨県
山梨県中北保健所
健康支援課
飯窪 千恵
山梨県中北保健所
健康支援課
療養者を中心とした在宅医療・在宅療養の推進にむけて
~多職種連携・協働による取り組み~
……
31
富山県
高齢者のあしたを考える
会
浦辻 効英
富山県砺波厚生センター
「認知症になっても安心して暮らせる街づくり」
保健予防課
~誰もが支援者になれる情報発信ガイドの作成~
地域保健班
……
34
あわら市
福井県 市民福祉部
健康長寿課
大代 典子
あわら市役所
市民福祉部
健康長寿課
健康づくリサポーターによる地域づくりへの活動支援
……
37
多治見市
岐阜県 市民健康部保健センター
母子保健グループ
木村 ゆかり 市民健康部
……
40
保健センター
多治見市の妊娠期からの切れ目のない育児支援
~民間の子育て支援団体と連携した産後の子育て支援教
室の取り組み~
椎葉 直子
愛知県衣浦東部保健所
健康支援課
保健所におけるアルコール関連問題への取り組み
~地域ネットワークの構築に向けて~
……
43
豊田市
愛知県 子ども部
子ども家庭課
伊澤 裕子
豊田市役所
子ども部
子ども家庭課
思春期教育Ⅱ「自分の心と体を知る」
~保健体育等の授業の中で、「性」に関する正しい知識を学
習し、また氾濫する性情報や携帯メール等について考える~
……
46
犬山市
愛知県 健康福祉部健康推進課
健康づくり推進担当
犬山市役所
佐々木 理恵 健康福祉部
……
49
健康推進課
継続した生活習慣改善の取り組みを目指して
~糖尿病予防事業参加者の一年後(復習編講座の実施)
~
愛知県
こころの健康推進グルー
プ
多治見市役所
精華町
健康づくりプロジェクト
斉藤 千冬
精華町役場
健康推進課
主体的な健康づくりが生みだす、健康元気の輪
~住民主体の健康プロジェクト~
……
52
丹波地域における性教育
兵庫県 媒体作成ワーキンググ
ループ
西田 利枝
兵庫県丹波県民局
丹波健康福祉事務所
地域保健課
丹波地域における性教育媒体作成事業
……
55
田村 雅代
兵庫県豊岡健康福祉事務所
改正精神保健福祉法を地域精神保健活動の積極的改革に
(保健所)
生かすための新たな保健師活動
地域保健課
……
58
京都府
兵庫県豊岡健康福祉事務所
兵庫県 地域保健課
精神保健グループ
都道府県
応募グループ名称
代表者氏名
代表者勤務先
活動テーマ
頁
兵庫県 姫路市保健所
岩﨑 知子
姫路市保健所
市内すべての中学校における思春期出前授業の実施につ
いて
……
61
水島支所
岡山県 水島保健福祉センター
水島保健推進室
吉田 康子
水島支所
水島保健福祉センター
水島保健推進室
地域が子育て!
~水島の地域特性を生かした子育て支援の場づくり・人
づくり~
……
64
森脇 智秋
徳島文理大学
助産学専攻科
保健・教育の連携による思春期ピアカウンセラー活動定
着への取り組み
~健やかな未来の親づくりを目指して~
……
67
澁田 雄飛
久留米市役所
健康福祉部
保健所健康推進課
久留米市における中学校出前サロン事業
~思春期の生(性)を育む「いのちの教育」の取り組み
について~
……
70
福岡市南区保健福祉センター
発達が気になるお子さんと保護者のためのサロン「みな
みん」の取り組み
……
73
長与町役場
健康保険課
住民と協働で取り組む「健康ながよ21」の歩みと今後の活動につ
……
いて
~いつでも、どこでも健康づくりが出来るまちづくりを目指して~
76
南大東村役場
離島で子育てをするお母さんたちへの支援
~離島で暮らす子どもとお母さんのために保健センター
ができること~
79
徳島県
徳島ピアカウンセラー養
成講座検討会
久留米市保健所
福岡県 健康推進課
母子保健チーム
福岡県
長崎県
福岡市南区保健福祉センター
地域保健福祉課
入澤 由三子 地域保健福祉課
長与町役場
健康保険課
志田 純子
南大東村
沖縄県 福祉民生課
保健センター
向山 千賀子 福祉民生課
保健センター
……
―受賞者(グループ)の
活動成果報告―
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
生活習慣改善でがん予防!
「野菜1日 350gもっと食べよう!」ポピュレーションアプローチ
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
上富良野町保健福祉課健康推進班
代表者:杉原
直美
勤務先:上富良野町保健福祉総合センター
所
属:上富良野町保健福祉課
かみん
健康推進班
所在地:〒071-0567
北海道空知郡上富良野町大町 2 丁目 8 番 4 号
TEL:0167-45-6987
FAX:0167-45-5788
E-Mail:[email protected]
野菜の試食と野菜摂取の実態把握
◇活動方針
上富良野町は平成26年2月、町民総意で「健康づくり推進のまち」宣言をしました。自らの健康は自ら
つくることを基本に、様々な活動を通して町民がともに支え合い、健康長寿のまちをめざしています。
具体的な保健活動は、健康かみふらの21計画(第2次)に基づき推進しています。
特に今年度は、レセプトや健診情報を電子的に活用して、効果的・効率的に保健事業を推進し、住民の健
康寿命を延伸することを目的に「上富良野町保健事業実施計画(データーヘルス計画)」を立案します。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
①がん検診受診率の向上で早期発見・重症化予防
ⅰがん検診受診率
H25.肺がん検診
63.7%(前年 65.7%)
H26 肺がん検診
胃がん検診
13.8% (前年 10.2%)
胃がん検診
大腸がん検診
17.9%(前年 12.3%)
大腸がん検診
18.2%
子宮がん検診
22.3%(前年 14.9%)
子宮がん検診
23.4%
乳がん検診
27.4%(前年 17.7%)
乳がん検診
13.4%
27.5%
目標である、受診者数を伸ばしている状況です。
特に、国においては、「25 年国民生活基礎調査結果」の受診率を参考にしており、その対象群に合わせてみると、
【5 大がんにおける受診率の比較】
胃がん
肺がん
大腸がん
男
45.8%
47.5%
41.4%
女
33.8%
37.4%
34.5%
上
男
44.3%
82.7%
42.2%
富
女
24.1%
75.9%
25.5%
国
乳がん
子宮がん
43.4%
42.1%
31.1%
26.5%
ターゲットにする対象が明確になりました。
ⅱ学習会の開催
平成 27 年 2 月 10 日「健康づくり推進のまち宣言」1 周年記念講演を開催
演題
がんを遠ざける生活習慣~がんにならない生活習慣がわかる
講師
独立行政法人国立がん研究センター
センター長
津金
昌一郎
がん予防・検診研究センター
氏
②生活習慣病改善で発症予防
ⅰタバコ対策
COPD 対策として、健診に肺機能検査を導入(喫煙者に対して無料で実施)334 人に実施し、
有所見
53.3%と疾病の早期発見、重症化予防が図られました。
ⅱ野菜 1 日 350g食べよう
1 年をかけて、「野菜不足」解消のため、町民への PR 活動を継続実施しました。
活 動 成 果 報 告 書
・乾燥野菜の保存方法を普及
・野菜の展示、必要性の学習会を開催
・食生活改善推進委員(きららの会)の学習と普及活動の拡大
・健診会場で野菜料理の試食
・野菜摂取実態把握
・かみふっ子健診の実態から、町内小学校各学年に食育授業を実施。年齢に見合った食事の基準
量を学び教材を使った野菜の大切さを伝える活動を推進しました。
◇今後の計画
①がん検診受診率の向上で早期発見・重症化予防
ⅰ実態から、女性のがん検診受診を延ばす対策を推進します。
訪問で、パソコン(賞金で購入)を使った、学習資料を活用したり、検診履歴の確認や申込、併せ
て対象者の選別を実施します。
ⅱ個人の検診受診履歴票を作成し、自ら検診の必要性を理解できる取り組みを進める。
ⅲ町独自の女性対象者に無料クーポン券を配布し、受診の向上を図る。
②生活習慣病改善で発症予防
ⅰスパイロメーターを購入し、禁煙推進と併せて、COPD の早期発見に努めます。
ⅱ平成 26 年度の野菜実態調査は、約 3 割の方が 1 日350gの野菜を食べていました。しかし、子
どもの野菜嫌いが深刻で、町内小学校での食育授業について、今後は学校栄養教諭と連携を図りな
がら進めていきます。
ⅲ継続した野菜摂取の推進を図ります。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
水中運動リフレッシュ教室でメタボ撃退!
~仲間といっしょに、プールと食事で集中プログラムにチャレンジ~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
野辺地町役場
健康づくり課
代表者:小野寺
真美
勤務先:野辺地町役場
所
属:健康づくり課
所在地:〒039-3164
青森県上北郡野辺地町字前田 5-2
TEL:0175-64-1770
FAX:0175-64-8083
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
当町の健康問題は、死亡原因の約 6 割が生活習慣病に起因していること、特に男性の平均寿命が県平均よ
り低い状況にあること等が挙げられ、健康寿命の延伸にむけて生活習慣改善の取組みが求められている。
平成 20 年度からメタボリック症候群予備群を減少させることを目的とした、特定健診と特定保健指導が
開始した。当町では、健康づくりの 3 要素(栄養・運動・休養)の特に「運動」に焦点を当て、運動習慣の
確立に向けた事業を展開している。平成 17 年度より実施し効果をあげてきた水中運動事業であるが、これ
までの取り組みから運動指導と食生活指導を組み合わせることで、より効果が出ることが分かっている。こ
の取り組みをメタボリック症候群のリスクが複数ある対象者に効果的に実施することで、対象者のみならず
その家族や地域に普及させ、より効果的にメタボリック症候群と予備軍を減らし、もって町民の健康度アッ
プと医療費の削減を図ることを目的として、本事業を実施している。
◇活動内容
平成26年度分
① 目標
○肥満、高血圧、高脂血、高血糖が体に及ぼす害とその改善の必要性を理解する。
○メタボリック症候群の発症因子を減少させる。
活 動 成 果 報 告 書
○健康づくりのための運動の必要性と効果を正しく理解し、食生活改善との相乗効果でメタボリック症
候群関連の改善と予防を図る。(血液データ等でも評価)
○体を動かす楽しさ、心地良さと運動方法を体得する。
○仲間で励ましあい、継続して参加することにより、日常生活の中に運動を習慣づけ、実践につなげるこ
とができる。教室に参加し身につけた知識や技術を家族や地域へ普及させることができる。
② 対象
40 歳から 74 歳までの特定健診受診者で、情報提供レベル階層分けされた者のなかで、メタボリック症候群
のリスク(肥満・血圧・心電図・脂質・肝機能検査で基準値以上)が複数ある者で希望する者等。
③ 実施期間・会場
平成 26 年 11 月~平成 27 年 3 月
開講式、閉講式、栄養指導、室内運動、体力測定:健康増進センター、老人福祉センター
水中運動:サン・ビレッジのへじ(町営室内温水プール)
④ 従事者
水中運動指導者 1 名(健康運動指導士)、コーディネーター1 名(健康運動指導士)、管理栄養士 3 名(内、
臨時 2 名)、保健師 2 名、臨時看護師 1 名、臨時事務 1 名
⑤ 内容
集団健康教育:水中運動 15 回、室内運動 3 回
個別健康教育:栄養指導 2 回、血液検査 1 回、尿中塩分検査 2 回、体力測定 2 回
⑥ 参加者状況
19 名
(女性 13 名、男性 6 名)
⑦ 成果 ※今年度の事業は平成 27 年 3 月で終了のため、以下は平成 25 年度の成果について記載。
【効果性】
今回は男女別に効果を比較した。その結果、女性に比べて男性に血液検査や体重、体脂肪率等に大幅な改善
が見られた。女性は、やや改善または現状維持している者が大半であり、参加率の低い数名においては大幅な
体重増加がみられ、全体の平均値に影響を与えていた。参加率が高ければ効果は表れやすいという傾向がある
ことは例年の傾向から明らかであるが、参加者がモチベーションを維持して継続参加に繋げられるよう、保健
師は十分に個別性に配慮した声掛け等のフォローが必要である。
また、食事分析においては男女ともに副菜(野菜類)の摂取量が増えた。女性の体重の減りが芳しくない群
は、主菜と菓子・嗜好品が過剰である傾向が分かった。男性は主食・副菜・主菜等が少なく、かわりに酒や菓
子類を多く摂取している傾向があったが、2 回目の食事分析では全体的にバランスのとれた内容に改善してい
る。やはり、体重減少と食事内容には大きな相関がみられた。食事指導は前半と後半の 2 回実施されているが、
間に年末年始を挟むことからも食事バランスのとりづらい時期である。保健師は、食事指導後の行動変容を継
続できるよう、参加者の頑張りを称賛するとともに、他の参加者に取り組みを伝えることで全体のモチベーシ
ョンのアップを図ることが重要である。
【継続性】
約 6 割の参加者が、ほぼ休まず最後まで参加できた。やはり、集団での運動は参加者同士の仲間意識を生み、
グループダイナミクスの効果を十分に得ることが出来る。また、指導者(健康運動指導士)や保健師・看護師
活 動 成 果 報 告 書
の声掛けやフォローも運動継続には重要である。
へ
し
事業終了後、水中運動サークル(自主サークル)や減る脂~運動クラブ(当課運動事業)へ申し込んだ者も
数名おり、当事業が運動習慣定着のきっかけとなった。
昨年度に引き続き、運動実施・継続をねらって作成したパンフレット(水中運動用・ストレッチ用)を参加
者へ配布した。パンフレットの内容は好評であり、運動の継続を支えるアイテムとして効果的であったようだ。
【波及性】
事後アンケートでは参加者の満足度が高く、食事のバランスや運動習慣を身につけた者が多くいたことか
ら、今後は参加者の周囲(家族・友人など)へ波及が期待できる。
【経済性】
血液検査や血圧測定等では正常値に戻った者が多くいたことから、今後、個人の将来の医療費抑制が期待で
きる。
また、当事業への参加で終始することなく、他の運動事業やサークルへ移行することで、運動の継続をサポ
ートし、定期的な指導やフォローを行っていく地道な取り組みこそ、個人や周囲の人々への波及効果を生み、
町の将来の医療費削減のためにも重要である。
◇今後の計画
効果を得るためのポイントは食事のバランスと参加率を高めること。2 回の食事指導の効果を得るためには、
保健師等の従事者のよりきめの細かいフォローが必要。運動だけでなく、食事内容を見直さなくては効果が出
づらいことを参加者に訴えていく必要あり。
~生活習慣病の改善には、食生活と運動の双方の介入が有効である。
成果を得るには個人と協議の上の目標や
プログラムの策定と客観的データ、専門スタッフによる指導と励まし、
家族や仲間の支援が重要となる。
楽しく取り組み、成果を実感できれば継続につながる。~
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
健康推進員の育成、活動支援
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
藤崎町役場福祉課
代表者:田中
麻里子
勤務先:藤崎町役場
所
属:福祉課健康係
所在地:〒038-3803
青森県南津軽郡藤崎町大字西豊田1-1
TEL:0172-75-3111
FAX:0172-75-9605
冬のたいそう教室の様子
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
藤崎町では、健康推進員が町の保健予防活動を広く町民に浸透させ、町民の健康づくり・疾病予防・健康
教育などの保健の取り組みに協力し、町民の健康の保持・増進に寄与できるよう組織の育成・支援をしてき
た。今後もまた、健康推進員が常に町の健康課題を共有できるよう業務連絡や役員会をとおし、連絡調整し
やすい体制を整えるなど、組織の育成・支援をしていくものである。
◇活動内容
藤崎町健康推進員は、町の48行政区に各2名~5名配置されており2年の任期となっている。その町健
康推進員からなる自主的組織が「藤崎町健康推進員会」であり、以下のような活動内容を町が支援している
ものである。
項目
会議
内 容
総会、役員会(年3回)
●広報誌「健康推進員だより」の作成
●「ふじさき生き生きけんこう体操」の普及
活動
・ふじさき秋まつり、チャレンジデーへの参加
・「冬のたいそう教室」開催(12月~3月までの計8回)
●研修、親睦会
藤崎町健康推進員会の活動(平成26年度活動計画)
活 動 成 果 報 告 書
<広報誌:健康推進員だより作成活動への支援>
健康推進員の活動を広く町民に浸透させるために、会報誌「健康推進員だより」を平成 18 年度から発行し、
健康推進員の活動をPRしている。会報誌の作成では、健康推進員の自主性を促しながら町民や健康推進員自
身が健康づくりの牽引力になれるよう育成している。
会報誌では、健康推進員が担当地区の町民に発信した
い内容を話し合い、役割分担をして完成させるため、健康推進員自ら町民に読んでほしいとすすめることがで
き、受診勧奨の際の教材としても活用されている(図1)。
図1 平成25年度健康推進員だより
<ふじさき生き生きけんこう体操の普及活動支援>
町の健康課題対策である“ひまわり運動”(肥満予防対策)のひとつ、「ふじさき生き生きけんこう体操」
の普及についての企画とその調整についても健康推進員への支援を行ってきた。
*“ひまわり運動”とは、「ひまん予防の輪づくり」の略
ふじさき生き生きけんこう体操DVD
活 動 成 果 報 告 書
町ではこれまでも「ふじさき生き生きけんこう体操」の普及活動をしてきたが、2年任期である健康推進員
による体操の定着は難しく、町民への普及には至らなかった。そのような状況の中で、健康づくりの学習や普
及活動の積み重ねにより、健康推進員から「冬場の運動不足を解消する機会として、ふじさき生き生きけんこ
う体操を普及する場を設けたらどうか。」という意見が出され、新たに「冬のたいそう教室」の企画に繋げる
ことができた。
町には、既存の育成組織である町ウォーキング教室の参加者からなる自主グループがあり、そのグループの
活動日に「冬のたいそう教室」の開催日を合わせることで、健康推進員以外にも参加できる町民の範囲も広が
り、雪深い冬場でも運動する機会を定期的に確保することができた。
「冬のたいそう教室」は平成25年度の12月~3月までの期間に、町内1カ所(藤崎地区)、計8回開催
し、延べ164人の参加がみられた。さらに、身近な場所で参加したいという要望を受けて開催場所を拡大(常
盤地区の追加)し、町民への運動習慣を定着させ、町の健康課題である生活習慣病予防への取り組みを進めて
いる。
平成26年度は12月~3月までの期間に、町内2カ所(藤崎地区・常盤地区)、計12回の開催を予定。
「ふじさき秋まつり」(平成26年11月22日・23日)におけるステージイベントへの出演や各町内会に
PRポスターを配布するなどのPR活動も実施。今年度から開催の常盤会場ではPRが課題となっているが、
2年目の藤崎会場はリピーターも多く、地元民放テレビに紹介されたこともあり盛況である。
以上、町の要である健康推進員による活動により、特定健診受診率は44%(平成25年度推計)と伸び悩
んでいるものの、町民の健康づくりへの意識は年々向上している。町の平均寿命については、平成17年度の
厚生労働省の下位30位区市町村ランキングの中で男性7位(女性は入っていなかった)であった。しかし、
平成22年度は下位50位区市町村の中に男女とも入っておらず大幅な改善がみられた。
◇今後の計画
健康推進員の活動は全町民を対象としてはいるが、今まではどちらかといえば成人を中心とした活動であっ
た。今後は、対象を成人だけでなく子ども世代に広げ、将来の生活習慣病を予防するため、母子を対象とした
健やかな子ども達を育む活動もあわせてすすめていきたい。
誕生した子ども達を地域で見守り、声がけしながら家族や地域住民で育てていくといった、子どもの頃から
の生活習慣病予防への意識を高めることができるよう健康推進員の育成と支援をすすめていきたい。
以上
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
わが市の元気高齢者を増やす取組
~ソーシャルキャピタルの醸成・活用による介護予防をめざして~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
日立市介護予防保健師グループ
代表者:大森美恵子
勤務先:日立市役所
所
属:保健福祉部
健康づくり推進課
所在地:〒317-0065
「シルバー広場」風景
茨城県日立市助川町 1-15-15
TEL:0294-21-3300
FAX:0294-27-2112
E-Mail:[email protected]
「水中運動教室」風景
◇
活動方針
行政保健師が、日頃の保健活動を通し、地域の介護予防に係るソーシャルキャピタルの醸成及び活用に
積極的に関わることで、高齢者が身近な場所で継続的に介護予防に取り組む機会を創出し、自ら介護予防
を実践する高齢者を増やして本市の健康寿命の延伸を図る。
活動の背景
本市は、介護保険法に基づき介護予防普及啓発事業を実施している。また、健康増進法に基づく市町村
健康増進計画「ひたち健康づくりプラン21(第2次)」において健康寿命の延伸を図るため、“元気高
齢者の増加”を重点課題に掲げ、介護予防事業を推進している。
年々、高齢者の介護予防に対する関心が高まる一方、高齢者が身近な場所で継続して介護予防を実践す
る場の確保が課題となっており、後期高齢者が増大する「2025 年問題」を見据え、市社会福祉協議会や地
域ボランティアとの協働が不可欠な状況である。
◇ 活動内容とその成果
(1) シルバーリハビリ体操指導士を活用した介護予防
茨城県が介護予防の目的で養成している「シルバーリハビリ体操指導士」の活動は、各自治体に委ねられており、
活 動 成 果 報 告 書
どのように地域でボランティア活動を展開するか試行錯誤の状況下、平成 23 年度に本市介護予防担当保健
師らがシルバーリハビリ指導士会と協議を重ね、平成 24 年度から市内5会場において、シルバーリハビリ
体操指導士による体操教室「シルバー広場」を立ち上げるに至った。平成 26 年度は会場の拡充を検討し、
市内7会場にて実施している。
① 教室名
② 内容
シルバー広場
・「いきいきヘルス体操」「発声練習」「一発体操」「レクリェーション」
・歯科医師、管理栄養士等講師による健康講話
・保健師等による健康相談など
③ 実施回数
市内7会場において、各々、年 24 回実施している
④ 保健師としての関わり
教室運営における相談役として、事業計画、会場や講師の調整、事業周知等に関わっている。また交
流会を計画し、各教室担当者同士の情報交換の場の確保に努めている。
(2) 社会福祉協議会主催事業と連携した介護予防
広く高齢者に介護予防の普及啓発を図るため、市社会福祉協議会と連携し、平成 24 年度から、市内全域
で実施されている「高齢者ふれあいサロン」の場を活用した啓発に取り組んでいる。118 サロンからの依頼
日時や講話内容、地区担当保健師や講師の配置等の調整が重要である。
① 教室名
② 内容
高齢者ふれあいサロン
・各サロンでの趣味活動や介護予防体操
・保健師・栄養士等による出前健康相談と講話「栄養」「歯科」「いきいき脳」「骨」など
③ 実施回数
市内 118 会場において、各サロン、月1~3回実施している
④ 保健師としての関わり
高齢者が集うサロンの全会場において、出前健康相談・講話を通し、広く介護予防の普及啓発を行い、
高齢者の健康状態に応じて地域包括支援センターの相談や申請につなぐ役割をしている。
(3) 介護予防教室の自主グループ化への支援
平成 25 年度に、「介護予防のための水中運動教室」の自主グループ化を試み、腰痛や膝痛のために体操
が困難である高齢者に対し、浮力や水圧を活用した水中運動を継続して実施できる場の創出に心がけ、活
動の展開・運営に対し支援を行っている。平成 26 年度教室修了者からも 9 名の参加が見られている。
① グループ名
水中運動教室「イルカの会」
会員 32 名
② 支援内容
平成 24 年度に、本市は、新規事業として「介護予防のための水中運動教室」を開始し、
2年度目に実施した際に、事業の効果をさらに高めるために、参加者の意向を踏まえ、自
主グループ化を試みた。自主グループの立ち上げについて、代表者の選定、プール施設との
調整、事業計画等の助言を行い、活動開始以降は活動の進捗状況を見守り、会運営の相談役
として関わっている。
③ 活動内容
市民プールを活用し、健康運動指導士による「水中ウォーキング」を中心とした水中運
動を、月2回、自主グループ活動にて実施している。
活 動 成 果 報 告 書
活動の成果
(1) 元気な高齢者の増加
介護予防の実践の場の創出により、高齢者の運動機能の維持・向上は勿論、仲間と共に活動する生きがい
や社会参加につながり、元気な高齢者の増加の一助となっている。実際に「身体の移動が楽になった」「仲
間に会えるのを楽しみに参加している」と元気な高齢者の声が聞かれている。
市開催の介護予防普及啓発事業への参加者数も増えている。
平成 25 年度 5,614 人、平成 24 年度 5,643 人、平成 23 年度 3,209 人
(2) 高齢者の生きがいづくり
高齢者が仲間たちと自主的に活動する姿は、自信に溢れ、創造性に富んだ教室運営に発展しており、さら
に参加者の満足を得て、地域の中で生きがいを見出すことにつながっている。特に教室や会運営において
は、団塊の世代の男性の役割に期待するところが大きいと感じる。
(3) 地域における介護予防の仕組みづくり
行政の限られたマンパワーであるが、地域に広がる介護予防のボランティア組織や関係機関と連携し協
働で取り組むことにより、市内全域における介護予防の仕組みづくりのきっかけとなった。
◇今後の計画
(1) 介護予防ボランティア育成の検討
介護予防のボランティアであるシルバーリハビリ体操指導士の増加及び資質向上を図るため、県の指導・
協力を受けて、シルバーリハビリ体操指導士の養成を計画的に行う。
(2) 民間を含めた介護予防実践の場の増加
介護予防のための水中運動を普及させるためには、今後はプールを保有する施設との連携が必要であり、
市内状況を調査し、民間を含めた実践の場の確保の検討に努める。
(3) 介護予防に取り組む高齢者を称える仕組み
高齢者が介護予防に取組むことを励みとしてさらに継続して活動ができるよう、取組みを認めて褒め称え
る場の創出も有効と思われることから、仕組みの検討が必要である。
特にPRしたいこと
本市の高齢化率は、若者人口流出も影響し、ここ 10 年間で急速に上昇し 27%までに達した。さらに団塊の
世代が後期高齢者に到達する 2025 年問題を踏まえ、今から真剣に元気な高齢者を増やしていく取組が重要で
ある。介護予防事業を担当する部署の保健師として、その仕組みづくりを責務と受け止め、日々の保健師活
動から「見る」「動かす」「つなぐ」の視点をもって、地域の既存事業・組織を活用、また新たな活動を作
り出すソーシャルキャピタルの醸成・その活用に努めていく。その根底には、「市民の健康を守る」という
保健師魂があってからこそのことである。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
介護予防事業(2 次予防事業)の取り組み
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
土浦市保健福祉部健康増進課健康支援係
代表者:関
雅美
勤務先:土浦市役所
所
属:保健福祉部健康増進課健康支援係
所在地:〒300-0812
茨城県土浦市下高津 2-7-27
はつらつ運動教室
脳いきいき教室
の様子
TEL:029-826-3471
FAX:029-821-2935
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
当市は、筑波山を望む景観を有し、わが国第 2 の広さを誇る霞ヶ浦の豊かな自然に恵まれた、茨城県南の
中心都市である。平成 26 年 4 月現在の人口は、145,125 人、高齢者数は 36,098 人であり、高齢化率は 24.87%
となっている。全国の高齢化率(25.6%)や茨城県の高齢化率(25.4%)と比較して、やや低い数値となっ
ている。また、当市の 1 号被保険者に占める介護認定率の割合は、14.2%で、この数値も、全国(17.84%)
や茨城県(14.6%)より低い。ただし、高齢化率の上昇に伴い、介護認定者数は今後増加することが予想さ
れ、より一層、効果的な介護予防の取り組みが求められている。
介護予防事業は、平成 18 年度より実施しているが、主に 2 次予防事業(介護のおそれがある 65 歳以上の
高齢者)は健康増進課が実施している。
事業の展開に当たっては、「笑って仲間と元気に過ごそう」というスローガンを掲げ、高齢福祉課、地域
包括支援センター(市社会福祉協議会)などの関連機関と連携して、積極的に取り組んでいる。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容とその成果
【活動内容】
表1
平成 26 年度
土浦市 2 次予防事業
教室名
事業区分
一覧
内容
トレーニングマシ
はつらつ
運動機能
運動教室
向上
ンを用いた運動
や、椅子やマットで
のストレッチや筋
力トレーニング
運動機能
特別な道具を使わ
向上
ずに、筋力やバラン
お達者教室
ス能力を改善する
認知機能
運動や頭の体操を
低下予防
実施
栄養改善
おいしいな
教室
口腔機能
向上
お口の体操やお手
入れの方法などの
口腔ケアと、栄養バ
ランスのよい食事
指導など
指導者
開催方式・開催頻度
会場
保健師
理学療法士
【6 ヶ月を 1 コース】 土浦市保健
作業療法士
週1回
(5 コースあり)
センター
看護師
保健師
理学療法士
作業療法士
【6 ヶ月を 1 コース】 各中学校地
月2回
など 7 か所
看護師
保健師
【6 回を 1 コース】
土浦市保健
5 月~7 月(全 6 回)
センター
作業療法士
管理栄養士
区公民館
9 月~11 月(全 6 回)
歯科衛生士
1 月~3 月(全 6 回)
新治地区
公民館
1 中地区
公民館
脳いきいき
認知機能
教室
低下予防
軽い運動と楽しい
頭の体操や創作活
動
保健師
【12 回を 1 コース】
理学療法士
5 月~9 月(全 12 回) 土浦市保健
作業療法士
10 月~2 月(全 12 回)
センター
看護師
平成 26 年度実施の 2 次予防事業は表1のとおりである。
運動機能向上、認知機能低下予防、栄養改善、口腔機能向上を目的とし、目的毎に、保健師や専門職(理学療
法士・作業療法士・管理栄養士・歯科衛生士等)により事業が展開されている。おいしいな教室は、栄養改善と
口腔機能向上の複合化した事業として展開している。また、認知症に対する予防法として、運動が注目されてい
ることから、今年度から「お達者教室」を運動機能向上と認知機能低下予防を複合化した事業として、多くの会
場で事業を展開している。
「お達者教室」と「おいしいな教室」では、来所できない対象者のために、訪問指導も実施している。また、
「お達者教室」は、この表の他に、住民が徒歩で通える身近な町内会の公民館を会場とし、1 次予防と 2 次予防
を区別せず誰でも参加できる 6 回程度を1コースとした教室を 4 会場実施している。
活 動 成 果 報 告 書
【その成果】 平成 25 年度の 2 次予防事業実績は表 2 のとおりである。
表2
平成 25 年度
土浦市
事業名
2 次予防事業
事業区分
はつらつ運動教室
運動機能向上
実績
参加実人数
参加延人数
(人)
(人)
91
2,316
評価
多くの参加者は、安全に運動が実施出来ており、
身体能力の維持・向上が見られた者が多かった。
中学校地区公民館以外に、住民に身近な町内会公
お達者教室
運動機能向上
(通所)
96
1,130
民館等でも教室を開催したため、参加者数が増え
た。多くの参加者が、1 次予防対象者となった。
お達者教室
運動機能向上
(訪問)
4
41
参加者個人の運動プログラムを作成し、個人に合
った運動を提供できた。
おいしいな教室
栄養改善・
(通所)
口腔機能向上
口腔ケア事業と栄養改善事業とを複合化し実施
20
86
した。参加者と一緒に設定した目標が、達成され
て終了する者が多く、事業の効果が見られた。
脳いきいき教室
認知機能
低下予防
参加者は減少傾向が見られた。ただし、参加者の
14
96
多くは簡易認知機能テストの結果や意欲・関心、
生活の満足度などが向上した。
合計
225
3,669
平成 25 年度の事業実施上の工夫点:「はつらつ運動教室」と「お達者教室」で 1 次予防対象者の受け入れ
これまで「はつらつ運動教室」と「お達者教室」では、参加により機能が改善し、2 次予防対象者でなくなっ
た者は、教室が「卒業」となり、他の 1 次予防事業や地域の事業を紹介してきた。ただし、これらの事業への移
行は、地域の資源は十分ではないところでは難しく、また心理的な抵抗がある者も多かった。(「卒業させられ
た」と感じるなど。)そのため、社会的側面(一人暮らしなど)、精神面(不安感が強い)、既往面(配慮すべ
き慢性的な疾患を持っている)などの理由がある者に対しては、必要に応じて引き続き「一次予防対象者」とし
て参加を可とした。ただし、その場合でも、参加者の参加や活動の幅が広がるように支援し、「二次」と「一次」
の参加者では指導内容の区別化(自主的な運動を取り入れる等)を行うなどした。
その結果、平成 25 年度茨城県版介護予防事業評価プログラム
報告データでは、2 次予防参加者の参加前後
での「生きがい尺度」・「主観的健康感」・「基本チェックリスト」の点数の改善率が、どの項目も平成 24 年
度と比較して飛躍的に向上が見られた。生きがい尺度(平成 24 年度 33.7%→平成 25 年度 45.3%)、主観的健
康感(20.2%→28.6%)、基本チェックリスト(41.2%→67.1%)
◇今後の計画
「笑って仲間と元気に過ごそう」というスローガンを掲げ、健康増進課や他の課の保健師をはじめとする専門
職が連携して、事業展開をしており、事業の効果も上がっている。今後、介護予防の取り組みは、益々重要とな
るため、内容、開催方法、会場などを見直し、より多くの対象者が参加できる工夫をしたい。また、「介護予防・
日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)の導入に向け、先進事例等を研究し、効果的な事業展開を目指した
い。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
地区特性を生かした母子保健活動の展開
~合併政令都市保健センターの取り組み~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
さいたま市南区役所健康福祉部保健センター
代表者:清水
奈津子
勤務先:さいたま市南区役所
所
属:健康福祉部保健センター
所在地:〒336-8586
埼玉県さいたま市南区別所 7-20-1 サウスピア 7 階
TEL:048-844-7200
FAX:048-844-7279
E-Mail:[email protected]
写真は、地区診断研修のGWの様子です。
◇活動方針
さいたま市は平成 13 年に 3 市合併により誕生し、平成 15 年 4 月全国で 13 番目の政令指定都市に移行した。さらにそ
の 2 年後に 1 市と合併を経て、現在、10 区の行政区で保健センター事業を展開している。合併当初、母子保健事業は、
旧市それぞれ行ってきた事業を、10 区で共通の市民サービスが得られるよう、すり合わせ作業を行い、事業展開を行っ
てきた。しかし、近年ではそれぞれの区の特性(人口の規模、構成、転出入数など)が異なることから、区の特性にあ
った事業展開が必要となっている。
近年、保健センターが関わる事例は、特定妊婦、発達に偏りがある子、育児負担を感じている親、精神疾患を抱えて
いる親、愛情を受けず育ったと感じている親、嗜癖問題のある親、DV、外国人など様々であり、これらの要因を複数抱
えた多問題家族への支援が増えている。このような家族の支援を行う際は、保健センター単独での関わりだけでなく、
他機関の関係者にその親子に起こっている問題を共通認識し、支援を行うための協力体制や支援目標を共有する必要が
ある。しかし、現実的には、親子への直接的支援に加え、上記した他機関との関わりにも非常に多くの労力を要し、時
間も割かれている。年々保健センターの業務が増える中、限られた時間、人員、予算の中で、区の特性に合わせた母子
保健活動をどのように展開していくか見直しを迫られてきた。平成 24 年度には、残念なことに、区内で子ども虐待死亡
事例が発生した。子は保育園に所属していたが、保健センターとの関わりや、所属保育園との連携もなかったため、早
期に親の異変に気付いて、支援ができなかった。これらのことも踏まえ、地区診断を行い、当区保健センターで在るべ
き母子保健事業のありかたを再検討している。
◇活動内容
1)地区診断のはじまり
平成 23 年には、厚生労働省より、『子ども虐待による死亡事例等の検証結果について(第 7 次報告)』にて、妊娠
活 動 成 果 報 告 書
期からの養育支援を必要とする家庭に対する連携体制の整備の促進が提言された。それに伴い、当区保健センターでは、
平成 24 年度に、妊娠期からの支援体制の見直しを模索するため、母親学級と両親学級(以後産前学級とする。)に焦点を
当て、利用者の現状把握を行った。まず、当区保健センターの産前教室の参加者が、出産施設での産前学級の受講歴があ
るか、また予定しているか等を調査した。その結果では、行政の産前教室参加者が、通院している出産施設での産前学級
を受講している割合は、8 割であった。さらに、産前学級の参加者は、産前学級対象者全体の 2 割弱(平成 25 年度)で、
行政の産前教室参加者は出産施設での産前教室に参加している割合が高く、行政の産前教室には一部の妊婦やその夫しか
受講していなかった。
当市は、転入超過数が全国で見ても多い市(平成 23 年度:全国 6 位、平成 22 年度:全国 3 位)で、とりわけ当区は市
内でも転出入の人口異動が最も多い地域である。①市民調査の結果から当区では子育て世代の住民は正規被雇用が多いこ
と、②平成 24 年度の育児学級参加者に対して行った調査では、妊娠中の就労者は全体の 8 割(産休まで仕事を行っている
妊婦が多いということ)であったことから、産前教室に参加しにくいことが考えられた。そのため妊娠期の支援としては、
ポピュレーションアプローチよりも、個別支援として、平成 24 年度より妊娠届出時、妊婦にアンケート記入を実施し、そ
れを基に関わりを開始している。これにより、今まで、一部の病院からの連絡でしか把握できなかった精神疾患既往歴等
のハイリスク妊婦や要支援者について妊娠届出時に把握できるようになった。
2)3-4 か月児すべてが参加できる育児学級開催を目指して
一方、当市は、乳幼児健診・予防接種など、親子と出会う契機となる母子保健事業を、医師会に委託した個別医療機関
受診となっているため、現状の保健センター事業では、保健師が子育て中の全家族と会えないことが課題として残ってい
た。このことについては、上記したとおり、妊娠期の就労者が多く、また、育休取得者も多いため、産前よりも産後で母
親が仕事に復帰する前の時期(3-4 か月)に全員を対象とした事業を設定することが妥当でないかと判断した。
従来の育児学級は、定員枠があり申込制であったため、平成23年度は全対象者の28%のみの参加者で、参加者の区
内居住地区別受講率を確認したところ、地域差があり1番高い地区で40%、まったく参加のない地区もあり、地域差が
あった。保健センターまでの交通の便が比較的よい地区の住民の利用が多く、交通の便が悪い地区の住民は、保健センタ
ー事業をほとんど利用していなかった。
次に、保健センターで行っている乳児期の育児学級(離乳食教室、育児学級)の受講者状況を確認したところ、育児学
級(3-4 か月対象)の利用者は離乳食教室(4-5 か月対象)も受講する人が多くみられた。また、毎月行っている育児相
談の参加者のリピーターが多い状況であった。そのことから保健センター事業を一度利用した人は、その後も保健センタ
ーを利用する傾向があることが予測できた。そして、一度も保健センターを利用したことがない人がいることや、転出入
の多い地域であることから、地域に知り合いが少なく、孤立しやすい育児環境にあることを日頃の保健師活動から感じて
いた。
保健センター以外の子育てを支援する場、子どもの集まる場(児童センター、子育て支援センターなど)そして、一時
保育を行っている保育施設の位置を地図にプロットしたところ、駅周辺に多く、地域差がみられ、支援を受けにくい地域
があることも明らかになった。
以上の事から、当区の地理的環境を考慮に入れ、保健センター内だけでの教室ではなく、地域によっては地域に出向い
て教室を行い、地域の子育て支援を得られる人や場所につなぐ必要性が高いことが分かった。
3)みなみっこクラブの実施
地区診断を実施した結果を基に、既存の 3-4 か月児を対象に実施する『定員制限のある』育児学級を、『対象住民全て
参加できる』教室(みなみっこクラブ)に再編し、平成 26 年度より実施している。それまでは保健センターのみを会場に
活 動 成 果 報 告 書
していたが、保健センターから遠い東部地域のコミュニティセンターを会場に加え、2 か所で開催している。4 月の開催時
は、周知も不十分だったこともあり、対象者の 35%の参加人数しかなかったが、周知方法に郵便での個別通知を加えたと
ころ、対象者の 65%前後に増えた。教室には、主任児童委員や愛育会、民生委員(一部地区)にも参加してもらい、参加
者が地域との繋がりを作れるよう工夫している。また、地区担当保健師が顔を見せる機会ともなり、身近な相談者として
の周知にもつながるように意識している。参加者アンケートでは、「地域に支援者がいることが分かった」、「同じくら
いの赤ちゃんに会えてよかった」等の感想が寄せられている。一方、参加しなかった人への支援をどのように行うかは今
後の課題である。
4)地域との連携
当区では、子どもの支援に関わる関係機関が一堂に集まる連絡会等はないため、今までは、支援が必要な児の在籍する
保育園・幼稚園に出向いて、連携を行ってきた。そのため一部の園としか連携できていなかった。そこで、平成 23 年度か
ら区内すべての認可・無認可保育園を訪問し、年に1度は担当保健師が訪ね顔合わせをする機会を設けた。そして、平成
25 年度からは、幼稚園、のびのびルーム(3 歳未満の児童とその保護者の方を対象としたつどいの場・遊びの場)も訪問
先に加え、地域の子育て支援者との協力体制を築きはじめている。その結果、少しずつであるが、連携をとったことがな
かった園からも相談が入るようになり、園から保健師にどのような時に連絡するのかが分かってきたなどの反応が聞かれ
ている。
◇今後の計画
当区は年少人口 14%、生産年齢人口 68%、老年人口 18%で若い世代の多い地域である。現在、保健師 1 人当たり平均 12,700
人の人口を受け持ち、2-4年で地区の担当も変わっている。都内のベットタウンとなっているため、今後も人口増加ととも
に、支援が必要な親子が増えることが予測されている。そのため、地区診断という根拠を基に保健師が変わっても継続して
区の特性を生かした保健事業の展開が必要である。今年度は区内の保育園、幼稚園、のびのびルームの職員を対象にインタ
ビュー調査を行い、保健師の地区活動での気づきも共有しながら地区診断の作業を行っている。
●南区保健センター地区診断研修
対象者:区保健センター職員(保健師・管理栄養士・歯科衛生士)
期間:11 月~2 月
★内容
1回目
全4回
(予定)
1)「地区診断ってなんだろう」(講義)
2)「現場ではこんなことが気になっていた。Part1」職員が日頃の地区活動の中で感じることを、グループワークで話し合いKJ法を用いてまとめる。
2回目
3)「現場ではこんなことが気になっていた。Part2」保育園や幼稚園、のびのびルーム、主任児童委員のインタビュー調査の結果をKJ法でまとめる
4)「コミュニティアズパートナーモデルをつかってみよう」保健福祉分野のみではなく、地域全体を見る視点を持ち、グループワークで必要な情報(す
ぐに分かる情報・分からない情報)について話し合う。
3回目
5)「理想の姿は?」1回目、2回目の作業から、現状の問題を整理し、目ざしたい姿、望ましい母子の状態、期待される結果を話し合います
6)5)の作業を基に、現状と理想のギャップは何か、それを裏付けるための既存の情報の何を調べればよいかを話し合います。
4回目
7)「これがわかった。」調べた情報から地域の現状がどうかを知る。
5回目
8)まとめ
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
健口体操を活用した住民との協働による健康なまちづくり活動
~いちはら歯っぴい8020応援隊と共に~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
市原市役所
保健福祉部
代表者:鈴木
美沙枝
勤務先:市原市役所
所
保健センター
保健福祉部
保健センター
属:保健指導第2係
所在地:〒290-8502
千葉県市原市更級5丁目1番地 27
TEL:0436-23-1187
FAX:0436-23-1295
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
市原市では、市民の健康保持増進及び健康寿命の延伸に寄与することを目的に、平成 25 年「笑顔輝く市原
市民の歯と口腔の健康づくり推進条例」を制定した。市や歯科専門職の責務、関係機関や市民の役割などが
明記され、生涯にわたる歯と口腔の健康づくりの必要性が謳われている。おいしく味わって安全に食べるこ
とや会話を楽しんだり、笑ったり、歌ったり、表情を作るなど、健康で質の
高い生活を送るうえで、「口の健康」は非常に重要な影響を与えている。
しかし、学齢期におけるう蝕罹患率が他の疾患に比べ非常に高いことや、
成人期における歯の喪失の増加や口腔機能の低下など、歯や口の健康状態は、
決して良好とは言えない状況にある。市健康づくり計画「改訂健康いちはら
21」歯と口の健康分野では、「いちはらをかみしめ味わう笑顔の8020
をめざそう」をめざす姿として、住民との協働による歯科保健活動を位置
づけている。
「いちはら歯っぴい8020応援隊(以下「応援隊」)」は、健康づくり
講座卒業生から誕生した自主グループで、健口体操を活用して楽しみながら
健康なまちづくりに取り組んでいる無償ボランティアである。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容とその成果
1.いちはら歯っぴい8020応援隊の誕生
平成 20 年度から開始された「心も体もいきいき講座(現:い
ちはら市民大学専門コース)」は、健康いちはら21を推進する
健康づくりの講座である。それまでの病態別予防教室から健康な
まちづくりを目指す講座として立ち上げたもので、歯と口の健康
分野からは、「お口の体操でスマイルアップ!エレガンスアップ
!-おいしく・楽しく・キレイを目指しましょう!-」と題して
健康運動指導士の原眞奈美氏を講師に招き、同氏が降り付けを担
当した千葉県オリジナルの健口体操「スマイルアップ!ちば体操」
を中心に腹式呼吸や表情筋を動かす体操などを実施した。
講義後のグループワークの中で、大きな声を出したことや健口
体操に対して新鮮な驚きの声が上がった。もっとやってみたい、
夫や友人に教えたい、孫と一緒にやってみたいのでもっと練習し
たいと、次の機会を望む感想が出された。予想以上に自主的な活
動に対する参加者の意識が高まっていった。その後、講座卒業生
の中から、ボランティアグループ参加希望者を対象に育成講座を
2 回開催し、17 名で応援隊を結成した。育成講座の中で、リーダ
ーの選出や今後の活動について検討され、出前講座の実施や年 4
回の定例会の開催、ユニフォーム(ピンクのTシャツ)の作成や
連絡網なども決定された。
2.出前講座「歯つらつ応援教室」の実施
応援隊の主な活動は、子育て会や高齢者の集まりに出向き健口
体操を中心に講座を行っている。発足当初は市の歯科衛生士と同
行することが多かったが、現在は応援隊単独で講座運営すること
も増えてきた。講座の内容は、健口体操の効用を説明し、楽しく
実践してもらえるような工夫をしている。お手玉や全身の体操な
ど、対象者に合わせて組み込んでいる。
一般的に健口体操は、口腔機能向上を目的に、高齢者を対象と
年度
実施回
数(回)
応援隊
参加人
数(人)
対応数
(人)
して行われていることが多いが、応援隊が実施する講座の対象者
21 年度
25
113
656
は、高齢者に限らず幼児や学童など様々な年代としている。
22 年度
40
173
1,326
23 年度
53
210
2,203
補助事業に応募し採択され、その活動費を利用している。
24 年度
55
228
2,564
歯つらつ応援教室は、5 年間で延べ 1 万人を超える参加者があった。
25 年度
76
309
3,924
これらの活動については、平成 23 年度から、市の市民活動支援
21 年度は、25 回実施して 656 人の参加だったが、年々回数も参加者
も増加し、25 年度は、76 回 3,924 人参加であった(表 1)。
表 1 歯つらつ応援教室実施状況
活 動 成 果 報 告 書
3.オリジナル健口体操 DVD 完成記念発表会
健口体操は、継続することが大切である。昨年度、歯つらつ応援教室
を受講後、健口体操を継続してもらうことを目的に、オリジナル DVD を
作成した。これを記念して市民向けに発表会を開催した。このことが、
新聞 2 誌・地域情報誌 1 誌に取り上げられたことで、応援隊の「歯つらつ
応援教室」の申し込みが増加し、新たな施設でも活動を展開している。
4.研修会:災害時の市民活動
自分たちの住んでいる地域の災害のリスク、災害時のために備えなく
てはいけないこと、自分の身を守るための知識、災害時の市民活動に
ついて研修を行った。さらに、災害時の口腔ケアについても学んだが、
まだまだ活動のためには知識も経験も少ないので今後も継続した研修
の機会を持っていきたい。
5.定例会を含む自己研鑽
定例会では「歯つらつ応援教室」のチラシを作成し、周知に
取り組んでいる。また、媒体作成や活動報告も行っている他
住民歯科保健活動として歯科衛生士の学生実習へ協力した。
さらに先進地の視察交流会や研修会への参加、他ボランティア
団体との連携により、自己研鑽を図っている。
◆今後の計画
応援隊の活動は、今年で 6 年目に突入した。発足当初は手探り状態
で、継続について考える余裕すらなかった。昨年度、リーダーを含む
3 人のメンバー(50・60・70 歳代各 1 人)に、半構成的面接を実施した。
そこで明らかになった活動を継続する要因として、「仲間や行政との
信頼関係」「他者からの評価・賞賛」活動に関する「ワクワク感」
などが影響していると考えられた。講師である健康運動指導士
に対する憧れも加わり、少しでも講師に近づきキレイでいたい
という思いと、それを他者にも伝えたいという思いが相乗効果
となって表れているのではないかと思われる。メンバーは、多忙
ながらも充実した日々を送っていて、主観的健康感が高く、その
活動が自信となり生きがいとなっている様子がうかがえた。
具体的な活動として、作製したオリジナル DVD を用いた健口体操の普及
に加え、全国の健口体操普及ボランティアとの交流を図りながら充実した活動を展開していけるよう支援し
ていきたい。今後も健口体操を活用し住民との協働で、笑顔あふれる市民が増え、市原に住んでいてよかっ
たと思える市民がひとりでも多くなるような地域づくり活動を展開していきたい。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
小さく生まれた赤ちゃんの会
「ひまわりの会」
~早産・低出生体重児を育てる母親をつなぐ支援~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
荒川区保健所 健康推進課 保健相談担当
代表者:伊藤 ふみ
勤務先:荒川区保健所
所
属:健康推進課保健相談担当
所在地:〒116‐8507
東京都荒川区荒川 2-11-1 がん予防健康づくりセンター
TEL:03-3802-3111
FAX:03-3806-0364
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
晩婚化や周産期医療の進歩に伴い、近年早産児・低出生体重児の割合が増加している。その予後に関
しては脳性まひなどの肢体不自由、視力・聴力障害、広汎性発達障害などの頻度が一般より高く、育児
不安や児童虐待の発生要因となっている。また、早産児・低出生体重児を持つ母親は「小さく生まれた
から、他の親子と交流しにくい」
「感染症が心配で出かけにくい」などの理由から、外出困難となり、地
域からの孤立を招きやすい実態がある。そのため、荒川区では出生体重が 2000g未満の赤ちゃんと母親
を対象とした「ひまわりの会」を月に 1 回定期開催し、母親たちが安心して交流や情報交換、相談を行
える場を提供している。ひまわりの会での温かな交流を通して、孤立しがちな母親たちが自信を持って地域
に足を踏み出せる後押しとなることを目的に活動を行っている。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容とその成果
・ 住民の声から誕生
ひまわりの会は平成 22 年 1 月、
「小さく生まれた子どもの集まりがほしい」という 1 人の住民の声から発
足した。
・ 赤ちゃんの保育
平成 22 年 4 月よりボランティアによる赤ちゃんの保育を導入した。可能な限り母子分離をはかり、母親
同士がより活発に交流できるように働きかけている。現在は、ボランティアではなく保育士が赤ちゃんの
保育を行っている。交流会の中で保育士が遊びやわらべうたを紹介するコーナーを設け、長期母子分離が
続いた母と子の愛着形成に向けて積極的な働きかけを行っている。
・ 保健師の関わり
保健師はファシリテーターや母親間の仲介役として、交流を促す役割を果たす。また、母親だけでは解決
できない育児相談にその場で対応する。保健師が入らずとも活発に交流しているときは、無理に介入はせ
ずに、母親たちが自由に交流できるように見守り、母親たちの主体的な会になるよう意図的に働きかけて
いる。また、交流会には地区担当の保健師が積極的に参加し、終了後に面接を行うことで、個別の支援に
つなげている。
・ 講座の開催
年 2 回講座を開催している。講師料の予算がない中で、これまで保健所スタッフや区内療育機関・消防署
の協力を得て救急救命や発達支援(発達を促す遊びや体操)
、離乳食、歯の手入れについてなど、母親た
ちのニーズに合わせた様々な講座を開催してきた。講座は毎回好評で、普段気になっていても聞けないこ
と、母親同士では解決できないことを専門家に聞ける貴重な問題解決の場となっている。
・ 赤ちゃん通信の発行
ひまわりの会の通信を年2回(A4、1ページ)発行している。ひまわりの会の活動をより多くの人々に
知ってもらえるよう、通信には活動の様子や講座の内容を掲載している。はじめて通信が発行された平成
22 年度当初は区内の公共施設のみでの配布であったが、現在は区外の療育機関や医療機関に依頼し、通
信を置くことが可能になった。現在の配布場所は、計 32 か所に上り、通信を見た他市区町村の母親から
の参加希望も多く寄せられている。自治体が主体となった交流会の必要性の高さを伺うことができる。
・
参加者の反応
ひまわりの会に参加することで、安心して交流や相談ができる場ができたという声が多く寄せられている。また、少
し大きくなった他児の姿を見て、我が子の成長に見通しを持てる機会となっている。このことから、ひまわりの会は
早産児・低出生体重児を育てる母親たちが自信を獲得し、地域のコミュニティーに一歩足を踏み出すきっかけの場と
なっている。
≪現在までの実績≫
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
参加親子(延組数)
86 組
52 組
59 組
62 組
参加人数(延人数)
164 人
107 人
121 人
127 人
活 動 成 果 報 告 書
◇今後の計画
① 助成金をもとに、チラシ・ポスター・冊子を作成し、ひまわりの会について広く情報発信していく。通
信・チラシ・ポスターの設置に協力してもらえる医療機関もさらに拡大していく。また、通信をさらに
充実させ発行回数や枚数を増やしていく(年3回)。
② ひまわりの会の卒業生を集め同窓会を開催する。小さな赤ちゃんを生んだばかりの母親と、先輩の母親
が交流し、希望や成長の見通しを持てるよう働きかけていく。
③ 助成金を講師料や会場使用料にあて、講座の内容を充実させていく。また、講座の開催回数も増やして
いく。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
口腔の健康づくり・健口体操の普及活動の支援
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
8020運動推進員・健康普及員
代表者:市川
江子
勤務先:山北町役場
所
属:保険健康課健康づくり班
所在地:〒258-0113
神奈川県足柄上郡山北町山北1971-2
TEL:0465-75-0822
FAX:0465-76-4592
E-Mail:hoken-kenkou@town.yamakita.kanagawa.jp
◇活動方針
当町では、町民の健康づくりの一環として、全身の健康と密接に関わる口腔の健康づくりを、町民に普及する事業
として取り組んできた。平成23年3月に「山北町健康増進計画」を策定し、乳幼児から高齢者までの歯の健康づく
りについて活動の基本方針としている。
また、町民の健康づくりを地域に広げ、定着させるために養成している健康普及員に、口腔ケアの健康への影響を
学ぶ研修会などを実施し、県で開催している8020運動推進員養成講座への受講を勧めてきた。現在5名の802
0運動推進員が誕生し、3年前から健康普及員と連携を図りながら、町民への口腔の健康づくり活動を活発に行って
いる。
「活動方針」①口腔の健康づくりの重要性について広く町民に啓発する。
②8020運動推進員・健康普及員の連携を図りながら、地域に根ざした啓発活動を推進する。
③町民が継続して気軽に取り組めるよう健口体操の普及媒体を作成する等、啓発内容の充実に努める。
④研修の機会を積極的に活用し、口腔ケア等の新しい情報の収集に努める。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
「活動内容とその成果」
①活動内容
ア
活動場所・活動回数・活動時間
・介護予防塾
3会場で各年4~6回
1回30分
・町内4地区の福祉関係行事等(福祉の集い・茶話会) 各地区で年1~2回
・町のイベント(福祉ふれあいフェスタ、健康スポーツ大会
・町内の介護保険施設(デイサービス等)月1回
1回40分
・各地域の健康教室 5地域
1回60分
*年間延べ活動回数
イ
各1日)
1回40分
・地域作業所(障害者の通所施設)月1回
各年1回
各年1回
1回60分
平成25年度45回
啓発媒体と資料の作成
・神奈川県歯及び口腔の健康づくり推進条例、神奈川県で実施している8020運動推進員養成講座等の資料等を
活用し、「口腔の機能」「口腔機能低下による身体への影響」「口腔機能維持向上の方法(健口体操)」について、
独自に啓発媒体と資料を作成。
ウ
口腔機能維持向上(健口体操)の啓発内容
*手作りの媒体を使い歌謡曲などに合わせて参加者が楽しくできるように工夫
・顔面体操
・唾液腺マッサージ
・あいうえお体操
・お口の体操 山北バージョン
・パタカラ発声
エ
その他
・研修会への参加
・情報の収集
・定期的な打ち合わせ
平成26年4月~平成27年1月までの活動状況
活 動 場 所・事 業 名
回 数
参 加 者 数(延べ)
活 動 者 数
介護保険施設(2施設)
12回
268人
1回3~6人
地域作業所
10回
108人
1回3~6人
介護予防塾(3か所)
10回
157人
1回3~6人
地域の茶話会
4回
245人
1回10人前後
福祉ふれあいフェスタ
1回
100人
20人
山北町商店街夕市
1回
80人
20人
社会福祉協議会ボランティアのつどい
1回
60人
3人
その他
1回
21人
1人
40回
1039人
合
計
活 動 成 果 報 告 書
・研修会への参加 7回
述べ参加者数64人
・媒体作り、打ち合わせ会
7回
述べ参加者数23人
②成果
ア
活動の場の広がり
・口腔の健康づくり普及活動を始めて今年で3年目になる。最初は町のイベントや地域で高齢者を対象にした行事
等で、年に数回の活動だったが、現在は、介護予防事業、地域作業所、介護保険施設などに活動の場が増え、普及
対象者も拡大している。
イ
健口体操を継続する町民の増加と健口体操の効果
・介護予防塾、地域作業所、介護保険施設で定期的に健口体操の普及活動を行っているので、この事業の参加者は
継続して健口体操を行っている。
・「食事の前、バスを待っている時、テレビを見ながら等、気軽に健口体操をしている。唾液が良く出て、食欲が
でてきた。」などの声が聞かれ、健口体操を継続することで得られる効果を感じることが多々ある。
・健口体操を続けることにより言葉が以前に比べハッキリ言えるようになり、他者への関わりも増え、体の動きが
良くなってきた等の変化がみられる。
・健口体操を3年継続している高齢者から、
「ホウレイ線がなくなり、若返って嬉しい。
」と喜ばれている。
ウ
町民同士の交流の増加
・健口体操の普及活動を通して、幼児から高齢者まで年代を超えて、町民同士の交流の機会が増えている。
・健口体操を普及しながら、参加者から「楽しい、面白い、また来てね。」と声をかけられると、教える側も元気
をもらい、活動意欲がわいてくる。
◇今後の計画
ア
多くの町民に「健口体操」を広める
・いろいろな世代の町民が集う商店街のイベント、地域の行事などで、
「健口体操」を普及する場をさらに広げてい
きたい。
イ「健口体操」を普及する媒体、内容を充実させ、より理解しやすく、継続して日常生活に取り入れやすいよう工夫を
していく。
ウ「健口体操」の効果をまとめて町民に伝え、健康寿命を延ばす取り組みになるよう活動を充実させていきたい。
啓発媒体・啓発場面・啓発媒体作成の様子
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
地区診断を行い、地域の健康課題を踏まえた脳血管疾患予防事業の取組
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
小田原市福祉健康部健康づくり課
代表者:青木 章子
勤務先:小田原市役所
所
属:福祉健康部 健康づくり課
所在地:〒250-0816
神奈川県小田原市酒匂2-32-16
TEL:0465-47-0820
FAX:0465-47-0830
地域に出向いての健康教育、「健康劇」で普及啓発
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
平成22年度から、本市の脳血管疾患で死亡する者の割合が全国平均と比べて高いこと、食事の食塩摂取
量が目標量以上であること、野菜摂取量が目標量に達していないことなどの現状を保健師が共有した。
そこで、『市民が本市の死因の現状(脳血管疾患死亡率など)について理解し、脳血管疾患予防及び高血
圧予防についての取組を進めることで、地域住民が健康への意識を高め、自身の健康管理と地域の健康課題
の解決のために必要な行動がとれる』ことを活動方針として、脳血管疾患予防のための事業を展開してきた。
◇活動内容とその成果
① 地域診断の実施
脳血管疾患に関する統計の整理をすることで地域診断を実施し、地域の健康課題を抽出した。
・本市の死亡原因上位10位の死亡率を昭和55年から平成24年まで国、県と比較した結果、明らかに
脳血管疾患の死亡率が高い(平成24年の脳血管疾患死亡率、国:96.5、県:74.1、
本市:123.4)ことを確認した。
・国民健康保険被保険者の特定健診の結果から、収縮期血圧値の平均値が特定保健指導基準値より2mmHg
高く、血圧に課題がある人が多いことを確認した。
・平成25年度に食事調査(BDHQ)を実施した結果、食塩摂取量は、国の目標量8グラムより多い11.
1グラムで、野菜摂取量は、目標量350グラムより低い262グラムだったことを確認した。
活 動 成 果 報 告 書
・今までに訪問した脳血管疾患罹患者に対してアンケート調査を実施した結果、脳血管疾患の発症時に早期に
医療に繋がらない状況があることがわかったため、消防署に救急搬送の状況を確認したところ、急患搬送の中
の脳血管疾患での搬送割合が、平成22から24年の平均が全国:9.8%、本市:6.6%と、全国より低
いことを確認した。
・保健事業や地区活動を通して、市民が脳血管疾患の死亡率が高いことを理解していない状況があるというこ
とがわかり、市民にこの現状を知ってもらう必要があること確認した。
以上のことを、全庁保健師全員で共有し、事業への取組の必要性を認識したこと(ワールドカフェ形式)で、
目的がはっきりし、保健師の士気が高まり、地区活動を積極的に行うことができた。
②地域へ出向いての普及啓発健康教育の実施
上記のことを市民に理解してもらうため、地区での教育を実施した。
26行政区に担当保健師を配置していることから、1地区につき2回以上、①についての現状について講話
を行う機会を設けることとした。その対象者としては、住民同士の波及効果を狙い、自治会長、民生委員、体
育協会、子供会等、地域の中で役割を担っている団体が打ち合わせ等を行っている機会を捉え実施した。その
ために、地区担当保健師が活動しやすいように、あらかじめ、自治会長会議や民生委員児童委員連絡協議会等
地区の母体団体に対する講話を行い、協力を求めた。
市民からは、「なぜ高いのか」「他地域と比べてどうなのか」「予防するにはどうしたらよいのか」など、
予防方法のだけの教育では聞くことがない質問が積極的に聞かれ、自分の問題として置き変えることができ
た。保健師も、市民の健康課題を伝えることの重要性を再認識した。
③健康おだわら普及員活動との連携
26地区の自治会より推薦され市長の委嘱を受けた健康おだわら普及員の活動目標を、保健師の活動目標
(活動方針)と同様にして、脳血管疾患予防事業に取り組んだ。
健康おだわら普及員への教育として、小田原市の死因の現状の理解、減塩食の必要性、運動の効果等を行い、
それを踏まえて、地域で医師講演会、調理実習、運動実習等の健康教育を保健師と協働で開催した。特に、食
塩摂取については、減塩みそ汁の試飲や、個人で調理したみそ汁の塩分測定を実施する事業を、従来から行っ
ている会場以外で実施できるよう、健康おだわら普及員自らが、新たな開催場所を開拓するなど、積極的に事
業を実施した。
脳血管疾患の死亡の状況を理解したことや、健康おだわら普及員の活動が、市の活動目標と同じである事な
どから、健康おだわら普及員自身の役割が明確になり士気が高まった。その結果、事業に対して創意工夫がみ
られるようになった。
④3歳児健康診査時の大人の血圧測定の実施
脳血管疾患の予防のために、若い時から脳血管疾患や高血圧症に関心を持ってもらうために、若い世代から
の支援が重要であるが、なかなか関わりづらい年齢層である。そこで、受診率95%以上の3歳児健康診査時
に来所した保護者等に対して、血圧測定を実施し、日頃から血圧に関心を持ち、検診を受けるよう指導した。
子どもの健康診査という限られた時間の中で、保護者が自分の検診の必要性を理解し、集団検診を申し込ん
でいくという事もあり、保護者が自分の健康について考える良いきっかけの場になっている。
⑤小学生を対象とした、減塩教育
し
お
若年からの取組のもう一つとして、小学生5、6年生に対して「塩のはたらきを知ろう」をテーマに「SIO
活 動 成 果 報 告 書
博士」「減塩カレーを作ろう」を実施した。普段の食べ物(間食を含む)に食塩が多く含まれていることが実
感でき、考えて食塩を取ることが重要であることが、小学生でも理解できた。
参加した児童や、保護者からは概ね好評を得たが、興味のある児童が参加する形態となっているため、参加
方法については課題がある。
⑥医師会との連携
小田原市の地域診断を医師会とも共有し、脳血管予防事業の普及啓発等について意見交換を実施した。また、
健康おだわら普及員事業の、「医師が地域に出向いて講話をする」事業の協力体制を確認した。さらに、一次
予防の早期発見という観点から、特定健診の受診率の向上などについても話合いを行うことができた。
年3~4回意見交換を実施したことにより、状況の共有ができ、事業への協力を受けやすくなるなど連携が
取りやすくなった。
⑦定期的な健康情報の発信
広報活動として、医師、歯科医師、薬剤師等にポスターの掲示を依頼した。ホームページへは、小田原市の
健康課題の他、脳血管疾患の予防等について掲載し、庁舎内へは、手作りの掲示物を展示した。
あらゆるところに同じ内容を情報発信したことにより、地域で脳血管疾患について話題になる事も多く、市
民から市民へと情報が広がっていった。
◇今後の計画
①「特にPRしたいこと」
・脳血管疾患の死亡率を減少させるため、脳血管疾患の予防を進める体制を、市全体の取組として、医師会、
地区組織、地域等と連携を持って進めた。
・地域診断を行い課題の共有を行ったことにより、保健師間のチームワークが形成され、一貫性、継続性のあ
る事業が提供できている。
・PDCAサイクルを意識した事業展開ができ、事業実施後の評価は、保健師だけではなく医師会や健康おだ
わら普及員等からの意見も参考にして、次の実践(改善)に生かしている。
②今後の計画
・脳血管疾患による死亡者を減少するために啓発活動を実施していく中で、まだアプローチできていない対象
(職域・学校等)やアプローチ方法等を検討し、もっと広がりを持った事業展開を行う。
・一次予防だけでなく、二次予防では重症化対策、三次予防では、再発予防を含む在宅支援等についての事業
を展開していく。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
療養者を中心とした在宅医療・在宅療養の推進にむけて
~多職種連携・協働による取り組み~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
山梨県中北保健所健康支援課
代表者:飯窪
千恵
勤務先:山梨県中北保健所
所
属:健康支援課
所在地:〒400-8543
山梨県甲府市太田町 9-1
TEL:055-237-1380
FAX:055-235-7115
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
国では超高齢社会・多死時代の対応のために社会保障・税一体改革大綱、「在宅医療・介護あんしん 2012」
により在宅医療・介護サービスの充実を含めて住み慣れた場で自分らしい生活を送ることができる環境整備
をはかっている。また、平成 24 年に本県でおこなわれた山梨県県民保健医療意識調査の結果からも在宅医
療に対するニーズが高いことがわかる。そこで中北保健所では安心してその人らしい療養生活を送るための
地域の保健医療等総合的なサービス提供体制整備を目指し、1)医療機関と地域の医療・介護等継続したケア
の推進 2)在宅療養支援者のスキルアップ 3)地域住民・支援関係者への普及啓発と地域の協力体制等の環境づ
くりを柱に在宅療養の医療・在宅療養の推進に取り組む。
◇活動内容
1、在宅療養者支援検討会議の開催と既存ネットワークへの参画等
<内容>
・在宅療養者支援検討会議の開催においては管内の各機関や職種を選定して地区の医師会、歯科医師会、薬
剤師会等出向き、事業の必要性や目的の説明をし、参画していただいた。検討会議では各機関の代表者がそ
れぞれの立場で現状や課題を意見交換し、課題の共有や検討等もおこなっている。
・既存のネットワーク活動に参画し、各地域の課題を把握した。把握した課題は上記の代表者による検討会
議で管内の課題として多職種で共有し検討につなげた。
・検討会議、既存のネットワーク代表者による先進地実施研修として富山県の新川地域の在宅療養支援体制
に関する視察をおこなった。
活 動 成 果 報 告 書
<成果>
・各機関が一堂に会し情報交換や課題を共有して検討を行うことで、それぞれの機関が担うべき役割や連携に
ついて改めてそれぞれの立場で考えるきっかけになった。
・各機関同士の顔の見える連携の一助になった。
・先進地研修では、在宅医療等の支援体制構築について学ぶことができ、管内の在宅医療等支援体制を具体的
にイメージ化し、共有していくことの重要性を学んだ。また、移動時間中にも各専門職種同士で話し意見交換
をすることでさらに相互の理解が深まった。
2、想いのマップ検討会議の開催
<内容>
・医療機関と地域の医療・介護等継続したケアのために幅広い専門職の連携が必要となるため、地域で在宅療
養者の支援をおこなっている多職種の代表者で、在宅で療養する方がその人らしく生活を送るための支援とし
て必要なことについて検討を重ねた。会議の中では療養者の歩みや大切にしてきたこと、今後の生き方などを
療養者が支援者に語ることで療養者の想いを整理共有し寄り添うことができるのではないかと考えた。そし
て、その療養者の想いを中心に支援者が念頭におきながら多職種が連携して支援することで療養する方がその
方らしく生活できると考え、その媒体として“想いのマップ”の作成に取り組んだ。
<成果>
・多職種が日々の支援の中で学び、大切にしていること等を共有し、想いのマップの目的や内容について「療
養者の立場にたって」よりよい支援につなげるきっかけとなるよう検討を重ねた。
1) 療養者の過去、現在、これからの生活について療養者が語りながら記入するマップ(様式)
2)「自分を語ってもらうこと」の意義や大切さ等の理解につながる支援のポイント
3)地域で療養者を支援する多職種からそれぞれの機能や役割を紹介し、療養者が活用できる資源の選択肢の幅
が広がる多職種連携に活かせる情報
の内容により構成された冊子が完成した。
・平成 25 年度に作成した想いのマップを活用し、現在は地域で療養者の想いを中心にした支援の重要性の普及
啓発を図っている。
3、支援関係者のスキルアップ(研修)
<内容>
・療養者の想いを中心に寄り添う支援の向上をはかることを目的に、想いのマップを活用して研修会を開催し
ている。対象は想いのマップのダイジェスト版を送付した保健・医療・介護等の機関で研修希望のあった支援
関係者等で、職種別と多職種合同による研修とし、関係機関等との協働企画により開催している。
<成果>
・想いのマップの普及啓発研修会では、研修希望機関・職種と協働企画することで共通する理念と職種の専門
性を踏まえた研修内容とするとともに在宅医療等の動向や課題について理解を深める機会になった。
・地域包括支援センター職員と介護支援専門員を対象に研修を行うことにより、今後支援関係者がより身近な
地域単位で相談や連携ができるような基盤づくりとした。
活 動 成 果 報 告 書
4、地域住民・支援関係者への普及啓発
<内容>
・地域住民と支援関係者に向けて終末期を考える機会と、想いのマップ(活用目的)の普及啓発をおこなう講演
会をおこなった。当日は 166 名の参加があった。想いのマップについての紹介と写真を用いた講演で在宅での
“あたたかい死”やいのちが受け継がれる看取りの紹介をした。
・地域住民のリーダー(愛育会や食生活改善推進委員)34 名に既存の会議の場を活用して想いのマップや在宅医
療の支援体制について情報提供をおこなった。
〈成果〉
・講演会後には在宅療養に関する気持ちの変化があったと 85%の方が答え、終末期について考える機会になっ
た。また、アンケートの中には地域の力の重要性や看取りに対する想いが多くの方より聞かれた。本人の想い
を中心に家族に寄り添って看取られるあたたかい死を身近に感じ、自らの想いを他者に伝える重要性も感じて
いただく機会にもなった。
・地域住民のリーダーには、地域の中で人生の最期について考える機会、語り合うことの意義等の理解につな
がった。
5、地域保健・地域看護の推進と連動
〈内容〉
・平成 25 年度には継続看護窓口担当者会議、県看護協会中北地区支部支援、地域職域保健、福祉介護分野との
連携等あらゆる機会をとらえて在宅医療や在宅療養推進と連動させて取り組んだ。
・「療養者中心のよりよい看護を提供するために今何が必要か」をテーマに病院、診療所、訪問看護ステーシ
ョン、市町村の看護管理者を対象とした代表者会議をおこなった。
〈成果〉
・看護管理者の代表者会議では、病院と地域での課題を共有し、個人を知るためにそれぞれの背景や患者さん
を取り巻く環境の情報収集、多職種での連携をはかるときに窓口を明確化する必要があることなどを再認識す
る機会になった。
◇今後の計画
・少子高齢化の進展に伴い、地域において緩和や終末期ケアの対象はますます増加することが考えられる。そ
こで、地域でのケアの質を高めるためにも患者と家族の意志決定が重要だと考えられるため、今後も本人の想
いに寄り添う“想いのマップ”の普及啓発や多職種間の連携を強化していくことが重要である。
・今後は想いのマップの普及啓発の研修とともに研修実施後のアンケート結果や地域での想いのマップの活用
状況を把握し、想いのマップの改善や研修方法についての課題を明確化するとともに、在宅療養支援者間での
信頼できる関係づくりやネットワークの構築と仕組みづくりを継続しておこなっていく予定である。
・想いのマップの内容はhttp://www.pref.yamanashi.jp/ch-hokenf/omoinomap.htmlに掲載しています。ぜひご
覧ください。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
「認知症になっても安心して暮らせる街づくり」~誰もが支援者になれる情報発信ガイドの作成~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
高齢者のあしたを考える会
代表者:浦辻
効英
勤務先:富山県砺波厚生センター
所
属:保健予防課
地域保健班
所在地:〒939-1506
富山県南砺市高儀147
TEL:0763-22-3511
FAX:0763-22-7235
E-Mail:[email protected]
◇圏域の状況及び活動方針
砺波市・小矢部市・南砺市の 3 市で構成する砺波圏域
(以下、圏域)は、県の南西部にあり、平野部は水田地
帯に西風や雪から家屋を守る屋敷林が点在する散居村、
山間部には世界遺産に登録されている合掌造りの集落が
ある。また、山間部は積雪が多く、特別豪雪地帯に指定
されている。
圏域は過疎化に伴い少子高齢化である。平成 25 年の圏
域での老年人口割合は 30.7%であるが、33.6%の市もあ
り、県内でも高齢化が著しく進んでいる地域である。
介護保険は、3市共同で介護保険組合を運営して
いる。認定者の特徴は、国、県と比べ中度、重度の
認定者の割合が高く、認定者のうち 75 歳以上が9割
を占めている。
地域包括支援センターは、各市が直営で1カ所設
置している。
市町村数
面積
総人口
65歳以上高齢者数
介護保険認定者数
要支援1~2
要介護1~3
要介護4~5
認定者の75歳以上
地域包括支援
直営
センター設置数
委託
認知症疾患医療センター
富山県
砺波圏域
15
3 カ所
4247.61
929.93 ㎢
1,076,158
132,878 人
28.7
30.7 %
57,781
7,612 人
21.1
17.1 %
53.3
55.7 %
25.6
27.2 %
87.5
90.3 %
10
3 カ所
49
- カ所
3
1 カ所
砺波地方日常生活圏域ニーズ調査結果(H23 年度)
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
また、県は平成 24 年 4 月に圏域にある(独)国
立病院機構北陸病院を認知症疾患医療センターに指
定し、地域の認知症の専門医療の提供体制を強化し
一般高齢者
要支援認定者
要介護認定者
ている。
認知症については、高齢化に伴い年々増加しており、行動障害等の出現により診断されることが多い。
平成 23 年度に圏域で実施された日常生活ニーズ調査では、認知症予防の対象者が一般高齢者で約 4 割、要支
活 動 成 果 報 告 書
援認定者で約 7 割と認知症の予備群が多いことが把握された。このことから、認知症の早期発見、早期受診に
よる認知症の初期からの対応が重要であることが認識された。
圏域では認知症の理解や早期からの支援体制が十分でないこと、高齢者のみ世帯、ひとり暮らし高齢者世帯
の増加などから、「認知症になっても住み慣れた地域で安心して生活が続けられる」地域づくりが課題となっ
ている。
◇活動内容とその成果
平成 24 年度に、県は地域住民や関係者が認知症について関心を持ち、理解するとともに、認知症と疑った場
合、早期に相談や受診につなげるための手段として、連絡シートとケア手帳からなる認知症情報共有ツールを
作成した。この認知症情報共有ツールの普及を図るにあたり、圏域の認知症疾患医療センターを核にし、認知
症に関わる保健・医療・福祉の各関係機関が認知症対策についての共通理念や理解のもとに進めていく必要性
から連絡会等を開催した。
平成 25 年度は、実際に認知症情報共有ツールを普及するために、認知症疾患医療センター、厚生センター(保
健所)、地域包括支援センターで介護支援専門員やサービス事業者等を対象に研修会を行った。
厚生センターでは、保健・医療・福祉の各関係機関の長が集まり、認知症高齢者を取り巻く課題や対応等に
ついて話し合う場にもなる管内精神医療保健福祉機関長等連絡会議を開催している。さらに、圏域内で認知症
対策を進めるために、地域の保健、医療、介護等認知症高齢者の支援に関わる実務者が連携・協働して行う支
援体制構築を構築するため、「高齢者のあしたを考える会」(事務局:砺波厚生センター)を立ち上げた。
メンバーは、認知症疾患医療センター、地域包括支援センター、厚生センター、サービス事業所、居宅介護
支援事業者連絡協議会等から募ったが、関係機関、職種は必要に応じ流動的に招集することとした。
厚生労働省が認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定したことから、初年度は認知症ケアパス
を作成する予定にしていた。しかし、「高齢者のあしたを考える会」で今一番必要なことを検討した結果、認
知症により行動障害が現れてからの相談が多いため、早期発見・早期受診に向けての一般住民向けのリーフレ
ットを作成するこことした。「認知症になっても早期に対応すれば、良い状態のまま自宅で長く過ごせる時代
です」と、認知症に対しポジティブなメッセージを伝えるために、内容やイラストにも暖かい雰囲気がでるよ
う、メンバーで何度も打ち合わせを
行った。左の写真が、作成したリー
フレットで、A4 版 3 枚の両面見開
きにし、見やすく工夫した。配布場
所は、銀行、郵便局、コンビニ、ド
ラックストア等、一般の人が手軽に
手に取れる場所に配置することに
した。また、各市でのイベントにも
配布し、平成 26 年度に増刷を行っ
ている。
高齢者のあしたを考える会を立
ち上げたことで、市の担当者はそれ
ぞれの市の実情を踏まえ、圏域内で
活 動 成 果 報 告 書
の認知症対策を考える場となった。また、リーフレットを作成することで、一般住民にわかりやすく説明でき
理解が得られることを学ぶとともに、作成過程において関係者間の顔が見える関係ができ、それぞれの役割を
理解し連携につながった。
平成 26 年度に、県が富山県認知症高齢者実態調査を行なった。この調査は、県内の認知症高齢者の実態を把
握し、進行に応じたより適時適切かつきめ細やかな認知症ケアを提供するための基礎資料とすることを目的と
している。調査方法は、第一次調査として、65 歳以上人口の 0.5%を対象に本人及び家族から聞き取り調査を
行い、第二次調査では、第一次調査でスクリーニングされた高齢者を精神科医と厚生センター保健師が同行訪
問し認知症の程度を判断し、サービス利用状況等を確認している。
管内の調査状況は、第二次調査対象者は 41 名で、そのうち在宅が 26 名であった。在宅の 26 名中、地域包括
支援センターと関わりがなかった 11 名について、初期集中支援チームの導入準備として、地域包括支援センタ
ーの保健師が第二次調査に同行することにした。
高齢者のあしたを考える会では、平成 27 年度からの地域支援事業の充実のために、認知症ケアパス、認知症
支援ガイド(以下、支援ガイド)の作成と認知症情報共有ツールの連絡シートの見直しを行うことにした。参
加機関は、認知症疾患医療センター、5か所ある公的病院、地域包括支援センター、サービス事業所、居宅介
護支援事業者連絡協議会、厚生センターで、集まった職種は、医師、保健師、看護師、認知症看護認定看護師、
医療ソーシャルワーカー、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士、介護支援専門員、介護福祉士等である。
現在、ワーキンググループで内容について検討しており、次の①~⑤について共通認識を得て作業を行って
いるところである。①地域包括ケアシステム構築の5つの視点(医療・看護、介護・リハ、予防・保健、生活
支援・福祉サービス、住居・住まい方)を重視した認知症ケアパスの概念
たサービス提供やケア等の支援方法
む
⑤MCI(軽度認知症)を最重視
③気づきや生活のしづらさを提示
②認知症の状態(段階)別に応じ
④本人の思い・家族の思いを盛り込
を特徴にする予定である。
◇今後の計画
支援ガイドの作成により、認知症の予防から早期
診断・早期対応を軸とした認知症の状態に応じた適切な支援やサービス提供の流れが確立されると考える。ま
た、高齢者のあしたを考える会での活動が、顔見知りの関係や関係機関との連携を強固にし、これからの介護
予防事業や認知症初期集中支援チーム等の運用に有効に機能していくと思われる。
今後、高齢者のあしたを考える会では、自助・互助・共助・公助の 4 つの支援を意図し、誰もが安心して住
み続けることができるやさしいまちづくりを高齢者や地域住民と共にめざしたい。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
健康づくりサポーターによる地域づくりへの活動支援
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
サポーター活動報告会及び研修会
あわら市市民福祉部健康長寿課
代表者:大代
典子
勤務先:あわら市役所
所
属:市民福祉部健康長寿課
所在地:〒919-0692
福井県あわら市市姫三丁目 1-1
TEL:0776-73-8023
FAX:0776-73-5688
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
あわら市の総人口は、平成7年をピークに年々減少しているが、65 歳以上の高齢者数は年々増加してい
る。平成 25 年 9 月末現在で、高齢化率は 28.13%、75 歳以上の人口割合は 15.07%となっている。
また、市の医療費は年々増加し、県内でも上位となっている。後期高齢者医療保険においては、医療費が
県内最高額である。
医療費の適正化を推進していく上では、「早期発見・早期治療」の必要性を若年層から定着させていくこ
とや、健診(検診)受診者数の増加に努めるなど、生活習慣病予防対策が重要であるが、あわら市の受診率
は、少しずつのびてはきたものの特定健診 27.7%、がん検診 35%(H23~25 年平均)と今だ低率である。
本市には、保健推進員や地区組織活動がない状況であったため、平成 23 年度より、「自分の健康は自分で
守る」という市民の意識の向上および特定健診・がん検診受診率向上を目的として、「健康づくりサポータ
ー」の養成を開始、さらに、サポーターの居住地区を「健康づくりモデル地区・推進地区」として、行政主
体ではなく、地域ぐるみで健康づくりに取り組めるように活動を支援し、今後さらに拡大していく方針であ
る。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
1 事業開始の経緯
平成 16 年度の合併前、旧金津町では「保健推進員」を各地区 1~4 名委嘱し、健診の問診票配布、受診勧奨
などの活動を依頼していたが、あて職・持ち回りの当番制となりがちであった。保健推進員から、「市からの
依頼が負担である」「積極的な活動はしたくない」など苦情があり、推薦者である区長からも「選出が難しい」
「依頼内容を軽減してほしい」などの意見も出ていた。
合併にあたり、旧金津町の課題を抱えたまま旧芦原町で新規に委嘱することは困難と判断し、保健推進員の
委嘱を廃止とした。
しかし、推進員制度の廃止後、健診(検診)の受診率が大幅に低下し、推進員など地区組織の力の必要性
を改めて痛感した。地区組織の再構築を検討した結果、平成 23 年度より健康づくりサポーターを養成するこ
ととなった。
2
ま
事業内容
市民の中から「健康づくりサポーター」を募集し、養成講習会受講後、地域や組織において健康づくりのリ
ーダーとして取り組む制度を整備するとともに、健康づくりサポーターの居住区を健康づくりモデル地区に指
定し、地区民すべてを対象に、健康づくり事業に取り組んでもらった。
また、健康づくりモデル地区として活動した区は、次年度以降「健康づくり推進地区」として、健康づくり
活動に継続して取り組んでもらった。
4◇事業の成果、効果
1 健康づくりサポーターの育成にむけ保健師が取り組んだこと
・地域全体で健康づくりに取り組んでもらえるよう、担当保健師と健康づくりサポーターで、区長への事
業説明、具体的な取組みについての情報提供をし、活発な活動につながるように働きかけを行った。
・公募も行うがサポーターにふさわしい人がいる場合は個別に依頼した。
・地域に事業を丸投げせずに、常にサポーターへの声掛けをし、活動状況の把握と要望を聴取し、出来る
限り対応した。
・地域によって取組みの温度差があるため、情報交換や活動の成果について交流会を年 2 回開催し刺激を
あたえるよう心掛けた。
2 平成 26 年度健康づくりモデル地区・推進地区活動実績
4 月~1 月活動回数:136 回
参加者数:3,538 人
2 月~3 月活動予定回数:68 回
3 事業成果
(1)健康づくりサポーターの意識の変化がみられた。
「あわら市の一人あたりの医療費が高いことや、健診・がん検診の受診率が非常に低いことが分かり、早
期発見・早期治療で重症化予防には、健診を受けることが大切だと実感した」
「教室参加者に、受診状況の確認と未受診者への受診勧奨実施にて受診申込者が増えやりがいを感じた」
「地域の人達から、地域が一丸となって健康づくり活動が出来、継続して実施したいとの感想が出てきて、
世話できて良かった」
(2)地域の人達の意識の変化がみられた。
「健康意識が高められ、楽しく身体を動かすことが出来た。運動への良い動機づけができた」
「区の親睦が図られた。健康づくりの必要性が芽生えている」
「筋力アップが出来た。身体を動かす必要性を感じている。家でも、継続して実施したい」
「在宅ケアについて、大変勉強になった。紙芝居により地区住民の理解と協力の必要性を感じた」
「自分の健康や家族の健康づくりのための食生活について見直すきっかけとなった」
(3)サポーターの受診勧奨により健診受診率が微増した。
各種健診の受診率は、健康づくりサポーター事業を開始したH23 年度は特定健診並びにがん検診の受診
活 動 成 果 報 告 書
率はどちらも伸びた。健康づくりモデル地区でも、8 地区/12 地区が特定健診受診率が前年度よりアップし
ており、20%以上伸びた地区が 2 地区見られた。平成 24・25 年度の受診率の伸びの平均では、サポーター
のいる地区は 2.3%といない地区と比較して高率であった。
◇今後の計画
1 特にPRしたいこと
地区組織としての活動の広がりと他機関との連携が出来てきている。最初は「健診の受診率向上」が大きな
ねらいであったが、熱心なサポーターの影響を受けて、「どのような教室をしているか一度見たい」とか「そ
んないい先生がいるなら、自分の地域でもやりたい」と見学に行くサポーターも出てきている。
また、健康づくり以外にもJAや社協等と連携して、介護予防教室や閉じこもり予防教室を開催するなど、
活動の輪が広がっている。地域活動の広がりが出来たことをきっかけに、区民どうしのコミュニケーションが
増え、支えあいに発展してきている。
2
今後の計画
・プロセスからアウトカム評価までの指標について検討する。
・健康づくりサポーターと共に効果的な受診勧奨方法について検討し、住民の声を施策に反映する。
・健康づくりサポーターの新たな人材確保のための情報収集(JA、商工会、社協、庁内他課 等)
・現サポーターの養成講習会及び情報交換会の開催(11 月、2 月予定)
・健康づくり推進区が継続して活動を推進するための支援
(活動がみられない区に対し、出前講座を 1 回計画する)
・地域で健康づくりを広げていくために連携できる組織はないかを常に把握する。
・健康づくり活動を積極的に取り組んでいる地区の発表の機会を提供し、表彰する。
○ 健康づくりサポーター講習会及び情報交換会
(第一回目)
日時:平成 26 年 11 月 11 日(火)13:30~15:30
場所:あわら市保健センター
内容:ロコモ予防教室
県理学療法士会
柴田先生
活動状況中間報告・特定健診受診状況
おばあちゃんの味アレンジ版試食会
妻川保健師
角谷管理栄養士
参加者:12 名
(第二回目)
日時:平成 27 年 2 月 24 日(火)
場所:あわら市食育スタジオ
内容: 活動報告
大代課長補佐
生活習慣病について、調理実習
参加者:17 名予定
角谷管理栄養士
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
多治見市の妊娠期からの切れ目のない育児支援
~民間の子育て支援団体と連携した産後の子育て支援教室の取り組み~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
多治見市市民健康部保健センター母子保健グループ
代表者:木村
ゆかり
勤務先:多治見市
所
属:市民健康部保健センター
所在地:〒507-8787
岐阜県多治見市音羽町1-71-1
TEL:0572-23-6187
FAX:0572-25-8866
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
多治見市ではハイリスク妊婦への妊娠期からの支援を行っている。日頃の母子保健事業から、人との関わ
りを苦手と感じ地域の母親達の集まりになじめない母親や、育児に自信がなく不安のある母親など、子育て
の大変さを感じる母親が増えている現状がみられる。また、妊婦の高齢化に伴う様々なリスクの増加、未婚、
未入籍、経済的に不安定などの家庭環境に問題を抱えた妊婦の増加、不安の強い妊婦の増加は産後の育児不
安につながり乳幼児期の支援が欠かせない状況である。子どもが健康に育つために、また親が子どもの発達
成長過程を知り、子ども自身の育ちを支える力をつけていく為に、妊娠期から出産、育児期に至るまでの連
続した支援が必要となっている。
平成 24 年度からは、「たじみ子ども未来プラン」及び「親育ち4・3・6・3たじみプラン」により、妊
娠期から乳幼児期の子育て支援や親育ちのための事業に力を入れ、民間の子育て支援団体と共同しプラン推
進に取り組んできた。「親育ち・子育て」を行政のみで完結せず、連携を図り地域につなげていくことで、
継続した育児支援体制づくりを進め、子育てに不安を抱え孤立する母親の育児を支援していくことを目指し
ている。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容とその成果
平成 14 年度より、仲間づくり・絆づくり・学びを目的に、生後 1~4 カ月頃の第 1 子とその母親を対象とし
た産後の子育て支援教室「すくすく教室」を実施している。母親同士の交流を中心として、保健師、栄養士の
他、母子保健推進員、保育士、民間の子育て支援団体が参加して行っている。平成 23 年度から、マタニティセ
ミナー参加の妊婦との交流会を開始、平成 24 年度からは、産後の育児不安が高まる 2~3 カ月頃に出来る限り
多くの対象者が参加できるよう、教室を毎月開催出来る体制を整えた。平成 25 年度には、民間の子育て支援団
体が実施する子育てプログラム「親子の絆づくりプログラム」(市補助事業)と連携を図り、育児支援を地域
につなぐ取り組みを行ってきたので、その活動内容を評価検討した。
【平成 25 年度すくすく教室】
全 2 回コース
年間 12 クール開催(毎月開催)
内容
仲間づくり・保育士による赤ちゃんとスキンシップ・
第 1 回目
目的
赤ちゃんとの生活を知り、子育て不安が軽減する
子育てに関する情報交換・先輩ママとの交流
第 2 回目
骨密度測定と結果説明・栄養講話・絵本の読み聞かせ
母自身の健康づくりの意識づけ
マタニティセミナーの妊婦との交流(隔月開催)
母としての成長を実感し自信がもてる
① 事業目標
・第 1 子の 5 割以上が参加する(教室参加率:H23=50%、H24=59.2%)
・教室参加者が、安心して育児することができている
② 対象と対象者数
概ね生後 1~4 カ月児(原則第 1 子)とその保護者(母親)
年間対象者約 350 名
うち参加申し込みのあった親子
「成果と今後の計画」
産後、はじめてのお出かけの場として保健センターで実施する「すくすく教室」に多くの第 1 子母子が参加
できることが、産後の不安軽減や前向きな育児につながると仮定し、第 1 子赤ちゃん訪問での教室参加の声か
けや対象者への教室案内チラシの郵送配布、広報やホームページを利用して参加勧奨を行った。特に妊娠期か
らのハイリスク者には、今後の育児支援も含め丁寧に関わることを心がけた。
① 平成 25 年度すくすく教室実績
開催クール
実参加者数
延参加者数
第 1 子教室参加率
12回
182組
341組
56.2%
② 参加者アンケートの結果(集計対象者 33 名、教室参加者 14 名、うち妊娠中からのハイリスク者 3 名)
すくすく教室参加者の教室参加効果を評価する為に、赤ちゃんがいる生活が始まってからの育児観を、健診
の問診票アンケートを利用し実施した。教室参加群(14 名)と未参加群(19 名)を比較し、4 カ月児健診~10
カ月児健診に渡り経時的に集計評価した結果、下記の通り課題が整理できた。
1. ハイリスク者は教室参加自体が育児支援であり、教室後も引き続き継続した支援が必要である。
2. 育児支援者がいない母は、母自身の体調に何らかの症状(疲れやすい、イライラしやすい)があった。
3. 教室参加群は、月齢が進むにつれて「心配なことが多くて不安」割合が上昇した。
4. 教室未参加群は、月齢が進むにつれて「安心して育児できている」割合が増えていた。
活 動 成 果 報 告 書
【教室参加者と未参加者の、育児に対する気持ちの変化】
(4 カ月児健診時と 10 カ月児健診時の育児観の比較)
4 カ月児健診
(14 名)
(19 名)
教室参加者に、育児が不安と答えている者が若干多い。
③ 考察
10 カ月児健診
(14 名)
(19 名)
教室参加者に、育児が不安と答えている者が増加した。
未参加者は、安心して子育て出来ている者が増えた。
すくすく教室は、保健師が教室参加を積極的に働きかけた妊娠中からのハイリスク者が多く参加している
為、教室参加群に心配や不安が多い割合が高くなっていることが考えられる。このことにより、育児のハイリ
スク者に対し、出来る限り早期から関わりを持ち、育児期への継続した支援が必要と考えられる。
④ 成果
1. 民間の子育て支援団体が教室に参加することで、参加者と顔の見える関係を築き、社会資源及び身近な相談
場所の提供ができ育児不安の解消につながった。
2. 教室参加者を、民間の子育て支援団体が行っている「親子の絆づくりプログラム」につなぐことで、母親同
士の交流や体験・学びが深まった。また、子育てに不安を抱え孤立する母親の育児を継続支援していくこと
が可能となった。
◇今後の計画
【民間の子育て支援団体と連携した育児支援の取り組み】
保健センターでは「すくすく教室」を通し、産後の育児支援を行ってきた。事業開始当初より、民間の子育
て支援団体の活用により、時代と共に変化する母子の問題点や育児ニーズを共通の認識としてとらえることが
出来ている。また、民間の「親子の絆づくりプログラム」に、保健師が実際に関わっていたことで「すくすく
教室」の目的と一致していることや、その機能及び効果についても把握し、評価することが出来た。
平成 25 年度の事業評価により、今後の保健活動の優先課題は、育児支援教室に参加出来ない育児のハイリス
ク者への支援であると考えた。その為には、妊娠中からのより丁寧な関わりが重要である。そのような活動に
シフトしていくために、平成 26 年度から育児支援教室の運営を民間の子育て支援団体に移行した。保健師の活
動としては、最近増加しているパニック障害やうつ病等、こころの病気を抱えている母親への「妊娠期から育
児期までの継続した個別支援」に重点を置いた取り組みが必要と考え、以下のように事業の在り方を検討した。
① 平成 26 年度から導入している地区担当制による保健活動で、妊娠期から育児期に渡り、母親が安心して子
育てができ、親子の良好な関係が築ける為の母親支援及び、ハイリスク者への地域への継続支援体制を築く。
② 地域の子育て支援団体と連携して育児支援に取り組むことで、母子を中心としたネットワークづくりを目指
す。
以上
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
保健所におけるアルコール関連問題への取り組み
~地域ネットワークの構築に向けて~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
啓発用ポスター
こころの健康推進グループ
代表者:椎葉 直子
勤務先:愛知県衣浦東部保健所
所
属:健康支援課 こころの健康推進グループ
所在地:〒448-0857
愛知県刈谷市大手町1丁目 12
TEL:0566-21-4778
FAX:0566-25-1470
E-Mail:[email protected]
1活動方針
当保健所のこころの健康推進グループでは、自殺対策の一環として、平成 23 年度より自殺と関係性の高いアルコール
関連問題に取り組んでいる。
平成 24 年度当保健所管内の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第 23 条に基づく警察官からの通報(以下第 23
条通報)は、アルコールに関連する事例への対応が増加した。一方で精神科病院では、飲酒状態での診察は受け入れられ
ないことが多く、素面の状態での診察、本人の治療意志による入院が原則となっており、警察や救急隊、救急病院スタッ
フからは不満の声が出されていた。
また、アルコール問題を持つ事例への対応は、夜間の事が多く、23 条通報に対応するこころの健康推進グループのス
タッフにおいても、対応はするもののアルコールが抜けるのを待つしかなく、疲労感のみが残っていた。
そこで、保健所は関係者に呼び掛けてアルコール関連問題地域推進研究会を立ち上げ、救急医療現場での実態把握をす
ることへの了解を得て、救急隊及び救急病院スタッフへのアンケート調査を実施した。アンケート結果から、飲酒患者の
存在が救急医療の現場に負担となっている現状が明らかになった。
その為、一般住民へのアルコール関連問題への知識の普及・啓発、関係職員の相談技術の向上、救急医療現場と精神科
病院との連携を含めた多機関連携マニュアルの作成等を通して、関係者間のネットワークの構築及び相互理解と協力関係
の確立を目指した。
活 動 成 果 報 告 書
2活動内容と成果
1)活動内容
(1)アルコール健康障害対策地域推進研究会の開催
構成機関:精神科病院・2次3次救急病院・医師会・消防署・警察署・断酒会・地域包括支援センター・各市地域保健
担当課及び障害福祉担当課・衣浦東部保健所
①第 1 回:平成 26 年 7 月 4 日(金)午後 2 時から午後 4 時
議題:「アルコール健康障害緊急医療連携マニュアル」の説明および講話「アルコール健康障害対策基本法」を学ぶ
②第2回:平成 26 年 11 月 21 日(金)午後 2 時から午後 4 時
議題:アルコール関連問題啓発状況及び事例検討実施状況の報告、マニュアルの改訂に向けて意見交換
③第3回:平成 27 年 2 月 27 日(金)午後 2 時から午後 4 時 予定
議題:講話「アルコール健康障害対策基本法と関係機関の役割」及び、来年度の取り組み方針について
(2)アルコール関連問題連絡票を活用した事例検討会の開催
管内救急病院を会場とし、MSWと連絡をとり、困難事例の事例検討会を4回開催した。
事例に関わった関係者及び救急外来や消化器内科・外科等の医師や看護師が参加した。
日時 会場
内容
平成 26 年 8 月 25 日(月) 事例1関係機関の協力を得て受診及び治療につ
A救急病院
参加機関
A救急病院(医師 1 名、MSW1 名)
、ARP病院(医師 1
ながった事例への今後の支援
名、PSW2 名)、民生委員 1 名、地区代表 1 名、社会福祉協
事例2毎日飲酒し転倒や感情失禁のある一人暮
議会(3 名)
、警察署 1 名、市 1 名、保健所 3 名 計 15 名
らし男性への受診支援
平成 26 年 10 月 8 日(水) 事例1救急車をタクシー代わりに頻回受診する
B精神科病院
事例への対応
D救急病院(医師 1 名、看護師 1 名、MSW1 名)
、ARP
病院(医師 1 名、PSW1 名)、地域生活定着支援センター1
名、障がい者支援センター2 名、市 1 名、グループホーム 2
名、保健所 2 名
平成 26 年 11 月 6 日(木) 事例1断酒の意志がなく暴言・暴力を受けている
C救急病院
妻への支援について
計 13 名
C救急病院(医師 3 名+α、研修医 3 名、薬剤師 1 名、看
護師 10 名、MSW4 名)、ARP病院(医師 1 名、PSW2 名)
、
市 1 名、警察署 1 名、保健所 3 名
平成 27 年 1 月 14 日(水) 事例1断酒継続中であるが、別居中の妻との同居
D救急病院
計 37 名
D救急病院(医師 2 名、看護師2名、MSW1 名)
、ARP
に向けて
病院(医師 1 名、PSW2名)、市 3 名、包括支援センター1
事例2アルコールによる肝障害の死亡事例より
名、保健所 3 名
計 15 名
事例3要支援で訪問介護を利用し、ヘルパーにお
酒の購入を強要する人への対応
(3)アルコール健康障害救急医療連携マニュアル検討会議の開催
構成機関: 地域包括支援センター・各市保健担当課・アルコール専門病院・衣浦東部保健所
アルコール健康障害救急医療連携マニュアルの改訂にあたり、かかりつけ医・地域保健担当課・障害福祉担当課・地域
包括支援センターの役割を新たに追加し、見直しをした。
(4)アルコール健康障害の啓発活動
①アルコール健康障害啓発ポスター5100 枚作成し、食品関係業者・事業所・医療機関等の関係機関に、アルコール関連問
題啓発週間に合わせて周知した。
②アルコール健康障害への取り組みを、啓発するため新聞に記事を掲載した。
③働く世代へのアルコール健康障害の啓発のため、労働基準協会報に記事を掲載した。(H26.11.12 中日新聞朝刊)
(5)医師会との連携の推進
活 動 成 果 報 告 書
潜在しているアルコール健康障害者を早期発見し、飲酒行動の改善に繋げるため、研究会への参加協力を得た。また、マ
ニュル改訂にあたり、かかりつけ医の役割の記載等了解を得た。
(6)包括支援センター等との連携の推進
高齢者のアルコール健康障害への相談対応の整備のため、研究会や事例検討会・マニュアル検討会への参加協力を得た。
2)成果
(1)救急病院でのアルコール関連問題事例について、救急病院を会場に事例検討会を実施し、医師、看護師、MSWの参加
があり、アルコール依存症の理解と、専門病院への繋げ方の周知ができた。また、事例検討会の開催にあたり、MSWと
の連携が強まった。
(2)事例検討は高齢者のアルコール関連問題事例が多く、包括支援センター職員が参加し、連携の推進に繋がった。
(3)マニュアルの改訂内容として、新たに、かかりつけ医、保健機関、介護高齢者機関、障害福祉機関等の役割について、
追加することができた。
(4)啓発媒体として、作成したポスターをアルコール関連問題啓発週間に合わせ、新聞に掲載したところ、電話相談に繋が
った。
(5)ネットワークの機関として医師会の了解が得られた。
(6)当保健所のアルコール相談件数が増加し、関係機関との連携により、本人が受診・断酒・節酒等の行動変容が見られた。
(7)救急病院との連携が増加した。
アルコール相談対応件数(年次別)
140
電話
120
面接
17
[年齢]
20
12
65
32
0
36
30 代 4 件
上 11 件
75
7 件)
病院 4 件 警察 9 件
児童相談センター1 件
包括支援センター1 件
15
6
5
本人または家族 15 件
市福祉課1件
18
31
60
31 件(アルコール関連問題連絡票使用
[相談者・連絡者]
21
40
[実件数]
訪問
100
80
アルコール相談対応状況(H26.4 月~12 月)
[性別]
男性 26 件
40 代 7 件
50 代 4 件
60 代 5 件 70 代以
定年後の酒量増加事例が多い。
女性 5 件
[困りごと]
暴力・暴言 14 件
衰弱・栄養状態悪化 5 件
[支援結果]
アルコール治療プログラム医療機関受診 4 件
断酒中 6 件
3今後の計画
1)「アルコール健康障害緊急医療連携マニュアル」改訂版の印刷及び配布により、事例検討会や研修会等で関係者に周知と
活用を呼びかけていく。
2) アルコール健康障害地域連携推進会議を開催(年1回)し、当地域のネットワーク体制を構築していく。
3) 事例検討会を開催し、関係機関の対応力を高め、ネットワークを広げる。
4) 人材育成研修会を開催し、相談機関の対応力を高める。
5) 啓発活動として、記事の掲載や媒体の作成により、アルコール関連問題啓発週間に合わせて周知する。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
思春期Ⅱ「自分の心と体を知る」
~保健体育等の授業の中で、「性」に関する正しい知識を学習し、また氾濫する性情報や携帯メール等について考える~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
豊田市
子ども部
代表者:伊澤
子ども家庭課
裕子
勤務先:豊田市役所
所
属:子ども部
子ども家庭課
所在地:〒471-8501
愛知県豊田市西町3丁目60番地
TEL:0565-34-6636
FAX:0565-32-2098
E-Mai:[email protected]
◇活動方針
中学生が自分の体と心の変化についてメカニズムを知り、男女の「性」について正しく理解をする。
また、命の尊さを知り、自分の存在や恋愛、結婚を肯定的に捉え、人が互いに尊重し合う心を育成する
ことを目的に、「生と性の教育」を中学校等に出向き授業を行う。
◇活動に至った背景
豊田市は、親元を離れて両親2人での子育て家庭が多く、世代間で子育ての知恵や工夫が伝承されに
くい状況である。
つまり、妊娠出産・子育てについて知識がない状態で親になり、子育ての不安感の高い人や、養育支
援の必要になる家庭が増えているのが現状である。また、自身の妊娠にまったく気づかずに、出産に至
るケースがこの数年で数件あり、自分の体や月経の仕組みについて、理解していない人が意外に多いこ
とがわかった。
そこで、平成23年度から、本事業である思春期教育Ⅱ「自分の心と体を知る」事業を始めた。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
本事業は、教育委員会の協力を得て、校長会や保健体育教師・養護教諭の研修会にて、事業紹介を行い、
希望する中学校の主に3年生を対象に、1~2クラス毎に保健体育等の授業を利用し実施している。
中学校 3 年生用指導内容 (1年・3年の保健体育の教科書の内容に沿って2時間実施)
時 間
指
導
内
容
指 導 者
1 時限目 ① 保健師の仕事内容を知り、健康生活のアドバイザーとして認識する。
保健師
(45 分)
② 思春期の体の変化について、教科書の内容を確認しながら、自分自身の
変化として捉えられるように学習する。
・ 男子の変化・・腋毛や性器周辺の毛が生える・精通がある・親との
関係の変化等
・ マスターベーションについての正しい知識と衛生
・ 女子の変化・・胸が膨らむ・腋毛や性器周辺の毛が生える・月経が
始まる等
補助・教師
③ 体の変化(精通・月経のはじまり)を通して、命をつなぐ意味を理解す
る。
保健師
・ 胎児の成長を学ぶ中で、赤ちゃんを産み育てる意味、父親母親にな
る意味を考える。
④ 課題を考える。
・ メル友に二人きりで会おうと誘われました。あなたなら、どうす
る?
・ 大好きな子から「Hしない?」と誘われました。あなたなら、どう
する?
2 限目
⑤「性感染症」を、教科書の内容を確認しながら、種類や予防についての 保健師
(45 分)
知識を学ぶ。
⑥「セクシャルネットワーク」について、人間関係相関図を完成させてい
く活動を通して、人は一人ではなく、様々なところで繋がっていること
を実感する。
⑦10 代の妊娠と出産の社会問題を提示し、再度親になることの責任や意味
を考える。
⑧アンケート(授業感想・質問等)を記入する。
◇成果
【平成26年度実績】
16中学校/27校
生徒数
小学校:2校(315名)
2,172人
実施回数
保護者講座:1回(29名)
83回
大学生:1年生(164名)
【アンケート結果】(平成26年度の中学3年生の学習後アンケートに回答した生徒1327名より)
① 「自分が妊娠する体・妊娠させることができる体に変化してきたということを理解した」96.1%
②
「卵子・精子の老化について理解できた」90.7%
③
「性感染症の予防について理解できた」83.6%
④
「自分や相手を大切にすることについて」71.8%
⑤
その他の感想等
「小学校の時に同じような授業を受けたが、受け取り方が全然違っていた」
「子宮さんが出てきて生理の仕組みが良くわかった」
活 動 成 果 報 告 書
「親になるべき時期を考えたい」
上記のような回答であり、受講した生徒の多くは、こちらが期待している内容を理解している結果
が得られ、効果を確信している。
本年度は中学生の保護者を対象に、同じ授業を「模擬授業」として実施し、「是非自分の子ども
の中学校で実施してほしい」等の意見をいただいた。
また、中学生時代に正しい知識を伝えられなかった大学生の世代へのアプローチを検討し、今年度より
大学と連携し、大学生向けの講義も試行した。不妊予防の知識の普及もめざすとともに、中学生の頃に
どんなことを学びたかったか等、情報を収集する機会としても活用した。大学生からは「中学生だと、
男子も女子もいる中で性に関する授業を受けるというのは恥ずかしいと思う。しかし今日のような
楽しい授業であれば、生徒も楽しく授業を受けられ理解を深めることができると思った。」等、肯
定的な意見が多かった。
◇今後の計画やPRしたいこと
【PRしたいこと】
・縦割り行政の中、教育委員会と連携し授業を運営することができ、また年を重ねるたびに、教育の現場
に理解者を増やすことができている。
・豊田市の総合計画の重点施策として取り組むことができている。
・計画当初は、中学3年生を対象に、指導案も2時間授業であった。しかし最近では、対象を中学2年生
で行ったり、授業形態を学校の都合に合わせて行ったり、それぞれの学校の状況に合わせ柔軟に対応す
ることで実施校を確実に増やしている。
・中学生を対象に考えているが、スタッフのスキルアップが進み、小学校でのニーズに対応できるように
なり、希望に沿えるようになった。(基本の指導内容を、小学生版も改定作成した)
・受講した親子間で共通の話題にでき、事業対象である中学生とその親世代に同じ情報を提供し、2つの
世代から、またその間の世代にも「生と性に関する正しい情報」が伝達されていくことを狙っている。
【今後の計画】
・平成30年度までに、豊田市内全中学校(27校)で、実施できるよう学校の要望を考慮しながら実
施する。
・「保護者向け講座」を保護者が更に参加しやすい時期に開催し、受講者数を増やしたいと考えている。
・大学と連携を図り大学生向け講座「性に関する正しい教育」を実施し、不妊予防の知識普及もめざす
とともに、性教育を十分受けていない世代の隙間を埋める。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
継続した生活習慣改善の取り組みを目指して
~糖尿病予防事業参加者の一年後(復習編講座の実施)~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
犬山市健康福祉部健康推進課健康づくり推進担当
代表者:佐々木
理恵
勤務先:犬山市役所
所
属:犬山市健康福祉部健康推進課
所在地:〒484-0061
愛知県犬山市大字前原字橋爪山15-2
TEL:0568-63-3800
FAX:0568-65-3080
E-Mail:[email protected]
【活動方針】
平成 20 年度から始まった特定保健指導も5年が経過し、非肥満者に対する保健指導の重要性や健診データ
や医療費データ等にもとづいて健康課題を分析し、生活習慣病対策を展開していく旨が、第 2 期特定健診等
実施計画において示された。犬山市では、生活習慣病は症状の重症化が治療費用の高額化につながることと、
特定健康診査受診者の健診データを踏まえて、平成 23 年度から肥満・非肥満者、治療の有無に関わらず、特
定健康診査の結果を活用して HbA1c と空腹時血糖値に基づき、糖尿病及び予備群を対象に生活習慣病の重症
化予防として、糖尿病予防事業テーマ別講座(医師編、保健師編、栄養編、運動編)を実施している。3 年間、
同講座を継続してきて、糖尿病重症化予防の重要性の認識は徐々に広まってきているところであるが、過去
に何回か参加している人と初めて参加する人が出てくるため、事業の実施形態の見直しが課題となってきた。
そこで、平成 26 年度は昨年度に糖尿病予防事業に参加したグループと参加していないグループに分けてテー
マ別講座を開催することとし、昨年度参加したグループを対象に糖尿病予防の復習編講座を新規で設けるこ
とを検討した。
【活動内容とその成果】
1.対象:163 人
活 動 成 果 報 告 書
※平成 25 年度特定健康診査受診者(6,287 人)で HbA1c(NGSP)6.0%以上または空腹時血糖値 126mg/dl
以上の人 1,594 人に糖尿病予防事業の個別案内通知を実施するところ、昨年度に講座に参加している人
163 人には復習編講座を案内、それ以外の人には継続実施しているテーマ別講座を案内。
2.周知方法:対象者へ個別案内通知
(案内通知文、アンケート、糖尿病
パンフレットを同封)
※アンケートの返信により出欠確認
(個別案内通知文の一部抜粋)
3.実施日時:平成 26 年 7 月 28 日(金)
13:50~15:50
4.講座内容:パワーポイントを用いた講義形式
☆対象者は昨年参加している人になるので、
復習にはなるが、参加者の理解度に合わせた
※「糖尿病について知っていること、正しいと思う
ことに○をつけてください(複数回答可)」
①糖尿病予備群の症状
内容にするため、個別案内通知時アンケート
で糖尿病についての知識を問う項目(※)を設
け、その結果をもとに、保健師からは糖尿病
の病態や合併症等についてと、体重管理や運
動、禁煙、睡眠等の生活習慣の振り返りを行
い、管理栄養士からは食生活で気をつけたい
ポイントの再確認を行った。
②合併症
5.実績:個別案内通知〈163 人〉
③血糖値に影響する栄養素
返信率(アンケート回収率)〈76.7%〉
出席人数〈55 人〉
6.アンケート評価:
平成 23 年度から実施してきた糖尿病予防事業におけるテーマ別講座では、参加したことによりその後行動変
容につながったか、また参加者自身が体や心の面での変化を実感できているかといった後追い調査の実施はでき
ていなかったが、糖尿病予防事業テーマ別講座に新規で復習編講座を設け、アンケート内容を昨年度参加したこ
とを踏まえたものにしたことで、参加してから一年後の状況についても把握することができた。
今後については、事後アンケートを回収できた 51 人中「年に一度、知識の復習や生活習慣の振り返りのため、
講座があれば参加したい」思いの人が 47 人、「自身で取り組めるため、講座はなくてもよい」は 1 人、無記入
活 動 成 果 報 告 書
が 3 人であった。また、「講座初回と復習編と分けての開催は非常に良いと思う」「毎年開催してください」等
の意見があった。一度に保健師と管理栄養士からの話が聞けて、糖尿病全体の復習と 1 年間の生活習慣の振り返
りが出来る講座としたことが参加者にとって有意義な時間となったのではないかと考える。しかし、「知識は得
られ頭ではわかっているが、実行するのが難しい」という意見もあり、生活の中で実践できるところまで参加者
がイメージできる講座になるよう工夫をする必要がある。
〈現在実施していること(個別案内通知時アンケート集計結果より)〉
・ウォーキング(散歩を含む)
69 人
・からだを動かすようにしている
・野菜から食べる
14 人
29 人
・ラジオ体操
15 人
・体操(自宅及び教室)
13 人
・野菜を多く摂る 29 人
・腹八分目 12 人
・炭水化物に注意する 12 人
他
〈前回講座に参加してからの変化(事後アンケート集計結果より)〉
・食生活が改善した
22 人
・運動習慣ができた
・血圧の値が改善した 14 人
・糖尿病の値が改善した 6 人
21 人
・適正体重に近づいた
・前向きになった 15 人
13 人
・特になし 8 人
・色んなことに積極的に取組むようになった 5 人
〈講座に参加して、新たに取り組もうと思うこと(事後アンケート集計結果より)〉
・食生活改善 30 人
・現在取り組んでいることを続ける 21 人
・体重管理 19 人
・運動
17 人
・睡眠 10 人
・節酒 4 人
・禁煙
2人
【特にPRしたいこと及び今後の計画】
平成 23 年度に糖尿病予防事業としてテーマ別講座を実施し、平成 24 年度は当事業を拡充し、シンポジウムと
少人数じっくりコース(1グループ 10 人で半年間かけて保健師とともに HbA1c と生活習慣改善を目指すコース)
を追加して実施しており、いずれも予想以上の参加であった。平成 25 年度もポピュレーションアプローチとし
てシンポジウムとテーマ別講座、ハイリスクアプローチとして少人数じっくりコースを実施し、さらに少人数じ
っくりコース修了者の有志による自主グループが結成され、月に 1 回集まる中で、生活習慣を振り返りながら情
報交換をし、刺激を与え合う場となっている。平成 26 年度においては、復習編を設定した以外に、特定保健指
導や糖尿病予防事業で対象となる人以外の新たな層への生活習慣病予防の働きかけを実施したい思いもあり、テ
ーマ別講座の中に慢性腎臓病予備群の人を対象とした、医師編、保健師編、栄養編を新規に追加をして実施をし
た。今後も、健診や医療費、その他統計データ、市民からの声をもとに犬山市としての優先課題を分析し、事業
を展開していく中で、健康診査を受けることは当然大切なことだが、その結果を活用し、生活習慣の改善につな
げることに健診の価値があるということを伝え、健康は自身で守るという健康意識の機運が高まるよう保健師と
して支援していきたい。
〈平成 26 年度テーマ別講座実績 ※復習編を除く〉
医師編
保健師編
栄養編
糖尿病予防講座(1,431 人に個別案内通知)
54 人
52 人
48 人
慢性腎臓病予防講座(946 人に個別案内)
182 人
136 人
103 人
運動編
95 人
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
主体的な健康づくりが生みだす、健康元気の輪
~住民主体の健康プロジェクト~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
いちご☆体操プロジェクト
精華町健康づくりプロジェクト
代表者:斉藤
千冬
勤務先:精華町役場
所
属:健康推進課
所在地:〒619-0285
京都府相楽郡精華町南稲八妻北尻70番地
せいか食育劇団もぐもぐ
TEL:0774-95-1905
FAX:0774-95-3974
E-Mail:[email protected]
「活動方針」
健康づくりを進めるためには、行政だけでは、マンパワーや財政的な問題等のため限られたものになる。
しかし住民と協働で取組むことができれば、その力は計り知れない。また、住民が自分の取組みたい健康づ
くりとその輪を広げるためにはどうすればいいのか自ら考え、行動することにより、町全体への波及効果は
行政の力だけではなしえない大きなものである。健康は、食や運動など病気予防と合わせ、人と人とのつな
がり、生きがいなどの元気増進も必要不可欠である。住民主体の健康づくり活動は、様々な活動を展開する
ことができ病気予防、元気増進など幅広い活動が期待できることから、この住民主体の健康づくり活動の立
ち上げと実施を支援している。
健康づくりにおける住民参加参画を促進するため、「健康づくりプロジェクト」を立ち上げ、住民主体の
行政との協働による健康づくり活動を展開してきた。第 2 次健康日本21での新たな理念、発想の転換とし
て「一病息災で相当に生きられるアプローチ」や個人の健康設計における「こうすべき型」から「こうあり
たい型」への転換などをあげている。この健康プロジェクトでは、自分たちがこうしたいという思いを大切
にして参加者自らが考え行動し、かつ、さらに病気予防と元気増進の双方から各自でバランスが取
れている状態を健康と捉え、生活習慣の改善に関する活動から社会参加の機会の増加、人と人との
つながりなどソーシャルキャピタルの醸成など、主体的な健康行動が健康寿命の延伸につながるよ
う活動を推進している。
活 動 成 果 報 告 書
「活動内容とその成果」
◇活動内容
個人・企業団体・行政の協働による健康づくり活動を展開する。健康づくりは、食や運動などの取組
みによる「病気予防」と生きがい、人と人とのつながりなどの「元気増進」の 2 つが大切であること
を念頭に、参画者自らが健康づくりに取組みたい内容や自らできるものを考えながら、活動を通じ健
康と元気の輪を広められることを実施条件にして生まれた住
民との協働の健康づくり活動。
プロジェクトの立ち上げの際の条件は、
1.町の健康増進計画に関係していること
2.自分が健康・元気になれること
3.地域が健康・元気になれること
4.自分が関わってできること
さあ!これから塾
また、実施にあたる経費等は、軽微な事務用品などの現物給付に限ることも条件となっている。
上記の条件の提示をもとに、個人・企業団体・行政のグループで取り組みアイデアを出し合い、健康
づくりのプロジェクトが発足。平成 19 年にリーディングのプロジェクトを実施し、平成 20 年度から
は本格的に健康プロジェクトを実施し、これまでに 10 のプロジェクトが展開され、現在は、5つのプ
ロジェクトが稼働している。
(プロジェクト内容)
①「さあ!これから塾」
心も体も元気であることがトータルな健康につながるという趣旨のもと、メンバーが毎回企画運営
し、50~70 代の定年前後の生きがいやつながりづくりの活動を実施している。H25 年度は 16 回実施し、
延べ 311 名の参加があった。平成 26 年は、12 月末現在 16 回実施し延べ 361 人の参加があった。
②「いきいき健康ウォーク」
“歩く”ことを続けられる仕掛けづくりをテーマに、データを読み
いきいき健康ウォーク
取りグラフ化することをできる歩数計を活用し、励ましや集いに活
用。また、ウォーキングイベントを企画から実施までメンバーで行
っている。平成 25 年度からは、歩数の累積距離を集計して、「四
国八十八か所めぐり」の地図を作成し、累積に応じて進んでいくこ
とで歩く楽しみを増やす取組を実施している。イベントは、12月
末までに3回実施し、延べ 158 名の参加があった。町の健康教室ともタイアップして、歩数計の取り
込み等を実施している。歩数計の取り込みは、毎月2回実施している。
③「せいか食育劇団もぐもぐ」
子供と保護者に健康的な食生活を見つめなおしてもらうことを趣旨として、毎年企画を変えた食育劇
で食育の普及啓発を実施している。平成 25 年度は「食べたら歯みがき、朝、昼、晩」と題しての劇を
実施。保育所・幼稚園で劇を実施し、延べ 2,189 名に実施。平成 26 年度は、「みんなで食べたら楽し
いね」と題して劇を実施し、12 月末までに延べ 1311 名に実施した。また、町イベントの子ども祭り
では、食育の普及啓発を図る取組をしている。
活 動 成 果 報 告 書
④「いちご☆体操プロジェクト」
町のご当地健康体操として「いちご☆体操」「いちご☆ファミリー体操」の作成と普及啓発を実施。
子供からお年寄りまで、いつでもどこでも取り組んでもらえる体操を広げることを目的に、各種イベ
ントでの体操の実施や DVD を作成し、図書館他各種団体へ配るなどの普及活動を実施している。平成
25 年度から取り組んでいた DVD 作成が平成 26 年 5 月に完成した。また、役場職員に対して、健康づ
くり運動の一環と住民への健康づくりの広告塔として 1 回/月のペースで、メンバーが指導などを行
いながら、就業前に体操を実施している。平成 25 年度は延べ 2,184 人、平成 26 年度は 12 月末現在延
べ 7,163 人に実践指導を行った。
⑤「わくわく健康里山の会」
里山保全活動による心身リフレッシュ等を図る活動を実施。町イベントの「せいか祭り」では、里山
で集めた材料を利用し、子供たちに木工体験などを実施してい
る。年間 12 回の里山での活動と合わせ、町の最大イベントでも
わくわく健康里山の会
あるせいか祭りでは、木工体験コーナーをしており、平成 25 年
度 250 名、平成 26 年度は、300 名が集まった。里山活動と合わ
せ平成 25 年度は 422 人、平成 26 年 12 月末現在 476 人の参加が
あった。
◇成果
平成20年度における5つの健康プロジェクトは、参画者56人、参加者延べ6,426人からスタ
ートし、以後6年間で10の健康プロジェクトが展開され、参画者541人、参加者延べ52,16
6人に達し、この6年間で開始当初の10倍近くの住民参画を得ている。
この健康プロジェクト活動は、年々広がりを見せており、行政の活動とのタイアップや全町の健康づ
くり運動との連携など新たな段階にきていると考えている。各健康プロジェクトの活動費は、当初よ
り町からの資金はなくても活動できることを基本としており、参画者自身が様々な知恵を出し合い、
工夫を凝らし、公共・民間の各種助成事業などを活用して実施している。
◇今後の計画
「特に PR したいこと及び今後の計画」
行政主導ではなく、個人、団体などの参画者と行政が一丸となって取り組める活動をめざし、行政が
決めた内容ではなく、住民自ら、健康につながることは何かを考え、その実現のために企画から実施、
活動報告書作成などの評価に至るまで主体的に健康づくり活動を展開している。学校や各種団体、企
業との新たな協働の輪も広がり、大きな波及効果を生んでいる。また、行政からの補助金がなく、自
ら民間等の補助金の活用や知恵を出し合いながら、各自が持っているノウハウ(能力)を発揮され、運
営していることも大きな特徴である。何より、参加している一人ひとりがいきいきと活動され、健康
増進による元気づくりが実践されている。
今後については、活動内容の啓発、企画の充実に加え、新たなプロジェクトの設立を図っていく予定。
また、町が昨年から実施中の健康づくり運動とも連携し、協働した取り組みとしていく。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
丹波地域における性教育媒体作成事業
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
丹波地域における性教育媒体作成ワーキンググループ
代表者:西田
利枝
勤務先:兵庫県丹波県民局
所
属:丹波健康福祉事務所
地域保健課
ワーキンググループ会議の状況
所在地:〒669-3309
兵庫県丹波市柏原町柏原 688
TEL:0795-73-3767
FAX:0795-73-0259
E-Mail:[email protected]
中学生用教育媒体の例
高校生用教育媒体の例
◇活動方針
丹波地域において、学校、医療機関、地域保健関係者が連携して小・中学校、高等学校の授業等で活
用できる性教育媒体及び保護者への啓発資料を作成し、子どもたちの成長過程を通して継続的に、自分
自身や他者を思いやることの重要性、望まない妊娠の予防、健康の保持・増進について普及啓発する。
◇活動内容とその成果
1
活動内容
(1)今までの活動
丹波地域では、「10 代の人工死産率」及び「母の年齢 10 代の出生率」が高値であり、その課題解決
に向けて、平成 16 年度から「思春期保健連絡会」を開催し、思春期の子どもたちに関わる学校、医療
機関、地域保健の代表者が一堂に会し検討を行ってきた。
この連絡会の取組みの一環として、17年度からは中高生と同世代の地元看護専門学校の学生等をピア
(=仲間)カウンセラーとして養成し、管内の中学校、高等学校において思春期ピアカウンセリング事
業を実施してきた。この事業は、兵庫県における先駆的事業、丹波地域の特徴的取り組みとして
9年間継続したが、看護専門学校の県から市への移管に伴い、平成24度をもって一旦休止してい
る。
活 動 成 果 報 告 書
思春期ピアカウンセリング事業は、中高生が性の課題を身近に感じることができ、知識の普及に効果
が上がったが、一方でピアカウンセラーである看護学生が活動できる時間と、中学校、高等学校の授業
時間の調整等に課題があり、地域全体に取組みを拡充するには限界もあった。
(2)今回の事業内容
思春期ピアカウンセリング事業の課題を補完しながら、良かった点を引き継ぐ視点で、担任等教諭が
授業で使え、子どもたちの感性に働きかけられる媒体を作成する。
①ワーキンググループ会議の開催
ワーキンググループを設置し、下表のとおり媒体等の内容検討を行っている。
開催日
検討内容
1 ワーキンググループの設置と進め方について
第1回
平成 26 年 10 月 20 日
2 小・中学生の教育媒体案について
1 小・中学生の教育媒体修正案について
第2回
平成 26 年 12 月 18 日
2 高校生の教育媒体案について
1 小・中学生・高校生の教育媒体修正案について
第3回
平成 27 年 1 月 22 日 2 保護者への啓発リーフレット案について
3 配布、活用方法について
【助 言 者】
神戸市看護大学
健康支援看護学領域ウィメンズヘスル看護学専攻
/助産学専攻科
【メンバー】
教授
高田
昌代
氏
丹波健康福祉事務所保健師、管内市保健師、医療機関助産師
小・中学校、高等学校の代表養護教諭
(15 名)
②性教育媒体及び保護者用啓発リーフレットの作成・配布
2
成果
(1)小・中学校、高等学校向けの性教育媒体作成により丹波地域の小・中学校、高等学校において一貫し
た教育が実施でき、地域全体の性に対する意識が向上する。
(2)各学校への媒体の配布により限られた時間内に効果のある健康教育ができる。
(3)子どもの性行動の背景に自己肯定感の低さが関係していることがあり、保護者向けリーフレットの作
成により子どもの自己肯定感を高める関わり方について普及啓発できる。
(4)丹波地域の母の年齢 10 代の出生及び望まない妊娠・出産の減少につながる
(5)学校、医療機関、地域保健の連携の強化につながる
◇今後の計画
今回作成する性教育媒体及び保護者用啓発リーフレットは、この 10 年間の取組みの成果物として作成
し、再開が検討されている「思春期ピアカウンセリング事業」と両輪になって、丹波地域の子どもたち
の心に届く性教育が展開できることを期待している。
今後、作成した性教育媒体及び保護者用啓発リーフレットが有効に活用されるよう、思春期保健連絡
会を継続し、周知と活用方法を検討する予定としている。
活 動 成 果 報 告 書
〔特にPRしたいこと〕
丹波地域における性教育媒体は、以下4つの視点で作成を進めている。
(1)キーワード:「自他を大切にする」「自己決定」「人との違いを認める」
「NOと言える」「自分の人生を考える」
(2)子どもたち自身が考えることができる参加型プログラムである。
(3)ワーク、レクチャー、感性に働きかける内容の組合せとする。
(4)授業だけなくホームルームなど短時間でも活用できるよう、編集可能な媒体とする。
〔参考資料〕
1
保健統計
表1
母の年齢 10 代の人工死産率の推移
16 年
丹
波
兵庫県
18 年
20 年
22 年
24 年
人工死産数
7人
4人
2人
1人
1人
人工死産率
259.3
285.7
117.6
71.4
83.3
人工死産数
157 人
99 人
109 人
103 人
106 人
人工死産率
166.5
113.3
126.1
133.6
172.6
※資料:人口動態調査
丹波地域の母の年齢 10 代の人工死産率は、平成 20 年度以降全県値よりも低率に転じ減少しているが、
ゼロには至っていない。
表2
母の年齢 10 代の出生率の推移(※丹波地域は参考値)
16 年
丹
波
18 年
20 年
22 年
24 年
出生数
19 人
10 人
15 人
13 人
11 人
出生率
7.26
3.82
5.73
4.97
4.20
兵庫県
出生率
5.27
5.35
5.54
4.94
4.08
全
出生率
5.64
5.2
5.2
4.6
4.4
国
※資料:人口動態調査(10 代女子人口は平成 22 年国勢調査報告を使用)
全県・全国値は「国立社会保障・人口問題研究所:人口統計資料集」
母の年齢 10 代の出生率も、減少しているものの、全県値よりも高率に推移している。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
改正精神保健福祉法を地域精神保健活動の積極的改革に生かすための新たな保健師活動
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
兵庫県豊岡健康福祉事務所地域保健課精神保健グループ
代表者:田村
雅代
勤務先:兵庫県豊岡健康福祉事務所(保健所)
所
属:地域保健課
所在地:〒668-0025
兵庫県豊岡市幸町 7-11
TEL:0796-26-3672
FAX:0796-24-4410
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
当兵庫県但馬地域は面積 2,133.5k ㎡と、東京都に匹敵する広大な土地に、人口 175,508 人と過疎化が進ん
でいる地域である。また、高齢化(高齢化率 31.5%)も進む地域である。精神科病床を有する病院は 3 機関
あり、519 人の精神障害者が入院している。その中でも 20 年以上の入院者が 13.7%を占め、兵庫県の平均
9.9%と比較し高い状況にある。(※2
平成 25 年度精神保健福祉資料)
兵庫県では精神障害者が精神科病院から退院し住みなれた地域で生活することを支援する「地域移行・地
域定着事業」を推進している。
但馬地域においては平成 24 年度から相談支援事業所「生活支援センターほおずき」が事業受託し、精神
科病院、地域の相談支援事業所、市町、県が構成員の協議会の開催、精神障害者ピアサポーター(以下ピア
サポーター)の養成、住民向けの普及啓発等に県健康福祉事務所と協働して取り組んでいる。しかし、平成
24 年 4 月~平成 26 年 3 月までの地域移行支援給付決定者は0名と具体的な成果に結びついていない。地域
移行を推進するにあたり、協議会の構成員である精神科病院との連携、協力体制が不十分な状況であった事
は否めない。平成 26 年 4 月の精神保健福祉法の改正に伴い医療保護入院者の退院支援委員会の実施等今後は
長期入院者を作らないシステムが法で整備された。また、法改正までに入院している精神障害者についても
人権擁護の観点から地域移行を利用し退院を促進していくことが必要とされている。
活 動 成 果 報 告 書
精神障害者ピアサポーターは「生活支援センターほおずき」が養成し、25 年までに 13 名が登録し住民や関係
者向けの研修会でのスピーカーとして活動しているが、上記の法改正に伴い精神障害者の地域移行の活動にお
いて個別支援活動ができるピアサポーターの養成と活動支援が特に必要となった。今年度は健康福祉事務所の
協力体制を強化して個別支援活動ができるピアサポーターの養成を行うとともに、精神科病院と地域が円滑に
連携できる取り組みを行い、地域移行を推進していく体制をとり、今年度中には 10 名の地域移行者が生まれる
ことを目標に取り組んでいる。
◇活動内容
1)医療保護入院者の退院状況の把握
2)退院支援委員会への積極的参加
3)精神障害者地域移行・地域定着推進協議会・・・病院、市町、相談支援事業所、健康福祉事務所等の関
係機関による協議会
4)精神障害者地域移行・地域定着戦略会議・・・病院、相談支援事業所、健康福祉事務所によるより具体
的な検討の場
5)ピアサポーターによる院内報告会・・・ピアサポーターが病院に出向き、入院患者や家族・関係者等に
地域での生活を語る場
6)ピアサポーターの養成、フォローアップ・・・個別支援ができるピアサポーターの養成と資質の向上。
7)先進地のピアサポーターや、相談支援事業所から学ぶため交流会や研修会の実施。
◇これらの成果
1)2)医療保護入院者の把握、退院支援委員会へ参加している。(13 回参加。16 事例について検討)医療
保護入院者が入院期間が長期化しないような働きかけが出来ている。
3)地域の関係者の精神障害者の地域移行についての理解が深まりネットワークができつつある。
4)月1回定例的に実施することで、タイムリーに具体的な検討が可能となった。平成 26 年 8 月~平成 27
年 1 月に 5 回実施し、34 事例について検討した。また、相談支援事業所の参加も得られるようになって
きた。
5)入院患者が退院後の生活をより具体的にイメージすることができ、精神障害者自身やその家族の退院し
たい、退院させたいという意欲の高まりや、病院職員の退院にむけて取り組む意識の向上につながって
いる。全医療機関で毎月 1 回定例的な実施を働きかけ、平成 26 年 9 月以降 2 医療機関で 6 回実施し、延
べ 63 人の参加者があった。また、1医療機関では病院職員向けにピアサポーターによる説明会を実施し、
14 名の参加があり、ピアサポーター活動への理解が促進できた。
6)平成 24 年度以降養成を行っている。当初は0人だったピアサポーターが現在では 10 人となり、住民向
け研修を実施し効果を上げている。今年は入院患者の個別支援が行えるピアサポーターの養成を実施
し、現在 4 名を養成した。8 月以降月 1 回定例的にフォローを行っている。
7)先進地の取り組みを学ぶため、平成 26 年「精神障害者ピアサポーター研修会・交流会」を実施した。地
域の関係者や当事者 69 名が参加した。先進地である淡路地域で活動しているピアサポーターと相談支援
事業所の障害者相談支援専門員、保健所関係者を招き、日ごろの活動の状況の報告や、交流会をするこ
とにより、今後の活動の参考にすることができた。また、地域関係者については精神障害者の地域移行
や地域定着、ピアサポーターについての理解を得る機会となった。
活 動 成 果 報 告 書
8)精神障害者地域移行申請事例は平成 27 年 1 月現在で 2 事例であるが、それ以外に6事例の長期入院の退
院につながった。
◇今後の計画
これまでの活動に加え、下記を予定している。
1)ピアサポーターの養成研修会、フォローアップ研修会
・現在活動しているピアサポーターは但馬地域の北部に居住している人のみであるため、南部において
もピアサポーターを養成するために講座を実施する。
・これまでのピアサポーターの活動内容については、地域や病院内において入院患者や家族・関係者等
に地域での生活を語るという活動のみであったが、個別支援ができるようスキルアップを図るための
研修会を行う。
2)高齢者施設関係者への研修会
・精神科病院の高齢入院患者が高齢者施設へスムーズに入所が行えるよう、高齢者施設関係者の理解促
進のための研修会を実施する。
3)民生委員を対象とした普及啓発の研修会
・精神科病院の長期入院患者が地域で暮らしていくことに対しての理解を得るために、民生委員を対象
に精神障害や地域移行についての研修会を実施する。
当地域は精神科の長期入院者が多く地域移行が立ち遅れた状況であるが、これまでの活動により少しずつ退
院が促進されている。これまでの地域移行の活動が契機となり、ある医療機関では病院における訪問看護を開
始するなど地域関係機関の動きも出てきた。ピアサポーターの活動と共に地域関係者や医療機関との連携強
化、地域住民の理解を得ながらこれまで以上に精神障害者の地域移行を推進していく。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
市内すべての中学校における思春期出前授業の実施について
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
姫路市保健所
代表者:岩﨑
知子
勤務先:姫路市保健所
所
属:姫路市保健所
所在地:〒670-8530
兵庫県姫路市坂田町3番地
TEL:079-289-1641
FAX:079-289-0210
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
思春期は成長過程として非常に重要な時期であるが、子どもを取り巻く環境は大きく変化し、多くの問題
が存在している。当市においては、各関係機関が様々な取り組みを行っているが、個々の取り組みになって
いる面もあり、横のつながりの弱さや、予防的に関与することができず、何か起こってからの後追いの関わ
りとなってしまう状況があった。また、出生数が減少傾向にある一方、10 代での妊娠・出産、性感染症等は
増加または横ばいの傾向である。
そこで平成 22 年度より、思春期におけるネットワークづくりを行う中で連携を強化し、必要な対策を市全
体で検討することを目的に、保健所が中心となって思春期保健担当者連絡会議を開催。教育委員会や小中学
校養護教諭・性教育担当教諭、医療機関関係者、保健所等関係機関が出席し、互いの取り組みや役割につい
ての情報交換を行い、思春期のめざすべき姿は「思春期の子どもたちが自尊感情をもち自分を大切にできる。
まわりの人も大切にできる。」という共通認識を確認した。その後も、支援者向けの講演会の企画等を行い、
継続開催している。
また、HPVワクチンの公費助成導入を良い機会ととらえ、平成 23 年度から市内全中学校(公立、私立、
特別支援学校含む)の1・3年生を対象に、医師や保健師による性教育を中心とした出前授業を導入。学校
教育との協働で、次世代を担う子どもたちが自分や周りの人を大切にし、健康や性行動についての正しい知
識や考えをもつことで、心身ともに健康な大人になれるよう支援することを活動方針としている。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
1)開始に向けての取り組み経過
H22年12月 教育委員会に性教育の実施について依頼、承諾を得る
H23年 1月 中学校校長会にて出前授業の実施依頼
授業内容の均一化を図るため、性教育媒体作成チームで、授業
H23年 2月 の内容やシナリオ、また共通して使用できる媒体を作成
H23年 2月 各中学校に実施要領と実施時期の調査票配布
H23年 3月 養護教諭研究会にて出前授業の説明
H23年 4月 保健師のスキルアップを図るため、助産師による職員研修を開催
H23年 5月 中学校性教育担当者会にて出前授業の説明
-出前授業風景-
教育委員会・中学校への申し入れ
出前授業導入以前は、保健所としてすべての中学校へ介入する機会はなく、個別ケースに対しての相談対応
や、手上げ方式で希望のある学校へ出向く健康教育等にとどまっていた。出前授業は本来であれば必要性の声
をあげ、思春期保健担当者連絡会議等を通じてボトムアップにより実施につなげたいところであったが、ボト
ムアップでは話が進みにくかったため、最終的に保健所長から教育委員会へ直接申し入れ、中学校校長会にて
一斉に実施を依頼するという形となった。結果的に、そのことが早い段階での市内統一した実施につながった。
各中学校と担当保健師(医師)との連携
学校・保健所ともに、手探りで始めた事業だったため、学校側の受け入れ体制は大きく異なっていた。しか
し、担当者が直接学校に出向き、内容や使用する語句について話し合いを重ね、個々の学校や生徒の実情に合
わせて実施したことで、徐々に学校側から良い評価が得られるようになってきた。その積み重ねにより、3年
を経過した現在は大きなトラブルもなく、市内すべての中学校でのスムーズな実施へとつながっている。
2)出前授業の概要
①対象:市内中学校(市立 35、私立3、特別支援学校3)の1年生と3年生
②授業形式:学年単位、50 分授業(学校の希望により調整)
③目的・内容
目的
内容
1年生
こころとからだの変化を理解し、 こころとからだの変化 命のつながり
自分を大切にすることができる 自分を大切にするということ
3年生
健康や性行動、性感染症につ
いて正しい知識を身につける
性感染症・望まない妊娠について
(予防方法)
自己決定について
※授業後に、授業内容や相談先をまとめたリーフレットを配布→
④評価方法:授業後評価
-生徒アンケート、学校アンケート(どちらも全校共通)
アウトカム評価-若年の中絶件数や性感染症罹患率等(今後経年的に)
◇活動成果
1)学校の評価
学校アンケートでは、「有意義だった」とした学校が95%近くあった。生徒の理解度や反応が良かった
との意見のほか、「性の話を保健師からの違った視点でしてもらえたことがよかった」「教師自身にも参考
になった」という感想も聞かれた。保健所からの出前授業は時間に限りがあるが、それが単発に終わらず日々
の授業・学校生活の中で、取り組んでいく形が望ましく、出前授業は性教育への取り組みの必要性を再認識
するきっかけになっていると思われる。
活 動 成 果 報 告 書
2)授業の波及効果
出前授業をきっかけに、2年生及び教師に対しての授業の依頼があったり、出前授業の前後での補足授業
や地域の乳幼児を招いての授業の開催、学校の「保健だより」で保護者に報告をする等、学校内での広がり
が見られた。今後も出前授業の定着とともに、学校と協働した取り組みが進んでいくよう期待している。
3)生徒への支援
授業について「参考になった」と回答した生徒が50~70%であり、内容は概ね適したものであったと
いえる。また、姫路市の現状や相談先の紹介については70%以上が「参考になった」としており、姫路市
の現状を知ることで、性の問題がより身近なものとして捉えられたとともに、保健所の存在を匿名性が保て
る身近な相談先として知ってもらう機会にもなったといえる。アンケートによると、性に関する情報につい
ては友達や雑誌、インターネット等から得ている子どもが多く、相談相手も学年が上がるほどに友達の割合
が増加していた。子どもたちだけで問題を解決しようとすると知識や内容が偏り、望ましくない性行動に結
びつくリスクが高まるため、正しい知識や相談先を伝える機会として意義があったと考える。
4)保健師の意識の変化
これまで思春期保健への関わりが少なく、当初は不安の声が多く聞かれたが、授業実施後には自信度が 10
段階で平均2程度上がっており、思春期保健に対する保健師のスキルアップや意識の向上につながっている。
◇今後の計画
この出前授業については、市立、私立、特別支援学校(県立含む)問わず、すべての中学校で基本を同じく
する授業が行えていることや.授業を通じた教育委員会、学校との連携のみではなく、思春期保健担当者連絡
会議におけるネットワークづくりの両輪で取り組んでいくことが重要であると考えられる。今後も、下記の課
題を念頭におき、性感染症や人工妊娠中絶の減少などのアウトカム評価につながるよう、事業を推進していく。
1.学校の中において出前授業が他授業とつながりがもてるものへ
学校の中には出前授業の前後に補習授業を行う学校もあり、出前授業を単発で終わらせず、他授業と一連
のつながりのある性教育として位置づけることで、生徒の知識や意識の向上につながっていくと考えられる。
引き続き思春期保健教育に対する学校・教職員の関心を高め、共に取り組む姿勢がもてるよう、連携を深め
る必要がある。
2.子どもたちに関わる支援者に対する支援について
出前授業は定着しつつあるが、学校の教職員の中でも思春期保健に対する認識はまだまだばらつきがある。
子どもたちを支援する機関がさらに連携を深め、互いに共通の目的・認識をもって関わることができるよう
に、支援者向けの研修会の継続や事例検討会の実施など、さらに取り組む必要がある。
3.保護者・地域に対するアプローチについて
生徒に対する授業にとどまらず、子どもたちの性意識や性行動の形成に影響を与える可能性の高い家族や
子どもたちを取り巻く親世代に対しての働きかけも重要である。授業に保護者の参加を呼びかけるなど、保
護者や地域の人にも正しい知識の啓発と意識の向上を図るためのアプローチが必要である。
平成 25 年度から、出前講座として思春期の子どもをもつ保護者向けの講座を追加、出前授業と合わせてP
TAの会報誌に掲載するなどしてPRを行っている。
4.今後の思春期保健担当者連絡会議について
思春期の子どもたちを取り巻く関係機関は学校や医療機関、保健所以外にも多くあり、参加機関の拡大を
含め、より充実した会議となるよう検討を重ねていく必要がある。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
地域が子育て!
~水島の地区特性を生かした子育て支援の場づくり・人づくり~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
水島支所 水島保健福祉センター 水島保健推進室
各学区のプチ子育て
Caf・ の様子
代表者:吉田 康子
勤務先:水島支所 水島保健福祉センター
所 属:水島保健推進室
所在地:〒712-8565
岡山県倉敷市水島北幸町 1-1
TEL:086-446-1115
FAX:086-446-1153
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
倉敷市は「子育てするなら倉敷でといわれるまち」の実現をめざしており、水島地区においても親子が安
心して子育てできる環境づくりに積極的に取り組んでいる。
水島地区は、約 60 年前から企業誘致を行い発展してきたまちであり、石油コンビナート・工業地帯として
40 箇所以上の大企業の事業所が立地している。近郊の住宅地には転勤の多い企業労働者やその家族が入居し
やすい賃貸形式の住居が多く立ち並んでおり、労働に伴い転出入をする世帯にとって比較的都合のよい環境
であると言える。
一方、大正期以降に廃川地を順次干拓・埋め立てて造成された新しいまちでもあるため、長年居住してい
る地域住民と転入者との関係が築きにくいという特徴があり、市内の他地区に比べて町内会などのコミュニ
ティ組織が弱いという背景がある。身近な生活圏内でコミュニティ形成が難しいため、子育て中の親子を取
り巻く問題も複雑かつ深刻化しやすく、虐待にいたるケースも市内の他地区に比べて多い現状がある。
このような水島地区の特性から来る現状を改善するため、“親子が生活の中で自然(当たり前)に見守ら
.
れる地域”を目指し、“地域が子育て”していると言えるようなまちづくりを展開していくこととする。
そのために、水島地区における子育ての現状と課題を地域住民と共有し、子育て支援者を増やしていく必要
がある。
◇活動内容
1) 場づくり(地域住民が主体となって運営する社会資源の充実)(H14~H22 年度)
目的:水島地区は長年居住している地域住民と転入者との関係が築きにくい地域の特性がある。そのため
より身近な地域住民同士を“つなぐ場”としての効果が期待できる「子育てサロン*1」の充実が必
要であると考え、一般住民や子育てキーパーソンへの働きかけや支援を実施する。
内容:① 子育てサロン活動の活性化・地域への定着を目的とした既存の子育てサロンへの働きかけ
② 愛育委員*2が水島地区の現状を知り、自分たちができる子育て支援の実践に結びつけることを
目的とした愛育委員への働きかけ
活 動 成 果 報 告 書
成果:既存の子育てサロンは自主組織としての成熟度があがり、現在 13 学区中 9 箇所の子育てサロンが自主
的に活動できるようになった。愛育委員も子育てサロンの立ち上げに携わり、地域への普及活動に意
欲的になっている姿があった。実際に、H24 年度に実施した子育てサロンを利用している利用者へのア
ンケート調査では、「参加してほっとした気持ちになった」の項目が 98.7%、「仲間づくりの場にな
った」の項目が 91.9%等と満足度が高くなっている。また子育てサロン利用者のうち居住年数が3年
以下の親子が 48.8%を占めており、「地域住民と転入者がつながる場」としてねらった対象者が実際
に利用してくれているということがわかった。
*1 子育てサロン:地域住民が主体となって運営し、子育て中の親子が自由に集い、交流や仲間づくりを行う場。
*2 愛育委員:保健福祉行政への協力や自主活動を行う生涯にわたる健康づくりを推進する地域の健康ボランティア。
2)人づくり(地域の子育て支援者同士の交流や情報交換を通して行う人材育成)(H14~H26 年度 )
(1)「子育てサロン」の運営者をエンパワメントした取り組み(H14~H21 年度)
目的:子育てサロンの運営者が、円滑に運営を行い、地域にも目を向けて子育て支援に取り組んでいけるよ
う人材育成を行う。
内容:① 子育てサロンの立ち上げ当初から、保健師が運営者に対する相談やアドバイスを継続
② 子育てサロン交流会を実施し、運営者同士による情報交換を促進
成果: この取り組みを通して運営者の「意識の向上」「活動を継続するためのモチベーションアップ」が図
れた。子育てサロンの参加者からは「声をかけてくれると安心する」などの反応があり、母親にとっ
て安心感を与える支援が自然とできるようになってきている。また、子育てサロンの中で気になる親
子がいれば、保健師に情報提供するなど、子育て支援者として成長してきている。子育てサロン運営
者から、「やりがいを感じている反面いつまで継続できるか不安」「一緒にサロンをしてくれる人が
ほしい」と人材不足に関する不安の声があがったことから、子育てサロンの継続と地域定着だけでな
く、新たな支援者を開拓する必要性の気づきにもつながった。
(2)子育て関係機関・団体同士をつなげる(ネットワークづくり)取り組み「子育て cafe」(H21~25 年度)
目的:水島地区全体の関係機関*3、団体*4を対象とした、関係者間の交流やネットワークづくり
内容:「子育て Café」と称して互いの活動内容の情報交換やテーマに沿ったグループワークを実施
成果:子育て関係機関・団体同士が一同に会することで、顔の見える関係づくりにつながった。他団体の活
動を知ることにより、子育て支援者が情報提供できる幅を広げることにつながり、結果的に子育て資
源利用者の増加にもつながった。また、子育て資源を利用していない親子が全体の 50%もいる(H25 年
度倉敷市子ども・子育て支援制度に関するアンケート調査より)という結果を受けて、「子育て資源を利用していな
い親子への取り組みが必要」など、地域全体にも目を向けた発言が子育て支援者から聞かれるように
なってきた。さらに子育て支援者から「より身近なレベルでの話し合いがしたい」という発言もあり、
地区全体を対象に実施した「子育て cafe」が、より地域に密着した形で新たな子育て支援者を増やし
ていく取組みの足がかりとなった。
*3 関係機関:子育て支援センター、子育て広場(幼稚園の園庭開放)、つどいの広場(親子で集える遊びの場)。
*4 団体:子育てサロン運営者、主任児童委員、愛育委員、栄養委員、親子クラブ(就園前の親子が集まる自主的なグループ)
活 動 成 果 報 告 書
(3)新たな子育て支援者を増やしていく取り組み「プチ子育て Cafe」(H26 年度)
目的:子育て資源を利用しなくても“親子が生活の場で自然(あたり前)に見守られる地域”を目指し、新た
な子育て支援者を増やしていく。
内容:親子により密着した生活圏での開催をねらい、概ね中学校区の地域住民を対象とした「プチ子育て
Cafe」を開催した。開催に向けての企画及び参加者募集の声かけは、今までの活動を通じて成長して
きた子育て支援者と協働で行った。
成果:子育て支援者による口コミ戦略の効果で、新たな子育て支援者となる可能性のある参加者が多く集ま
った。参加者から、「声かけや挨拶等の支援が大切」「自分にできることからやってみる」など前向
きな意見が聞かれている。また、地元密着型の小さな単位で地域の特性に合わせた子育て支援の体験
に取り組むことで、身近な子育て支援へのきっかけになるとともに子育て支援に対する不安が払拭さ
れ、自信や楽しみへと変化した。これは「プチ子育て Cafe」参加者を対象としたアンケートで参加者
中 86.1%が「子育て支援をやっている・やりたい」と回答していることからも、明らかであり今後も
新たな子育て支援者による子育て支援活動が期待できる。
生活圏の近い住民同士が集まることで、より具体的かつ実践的な話し合いや体験に繋がっている。
子育て cafe とプチ子育て Cafe の
実施回数・内容・参加者数 (H26 年 12 月末)
話し合い
子育て cafe
内 容
話し合い
回数
1回
プチ子育て
Cafe
話し合い
体験
11 回
8回
246 人
187 人
計
19 回
433 人
体験 (運動会)
参加者数
53 人
◇特にPRしたいこと及び今後の計画
1)特に PR したいこと
より身近な場で子育て支援について話し合える場「プチ子育て Cafe」が、水島地区における子育ての現状と課
題を生活圏の近い住民同士で共有できる場、地域密着型で新たな子育て支援者を発掘するための場としての機能
を発揮し始めている。従来の子育て支援者が、きらりと光る新たな支援者へ声をかけるしくみを意識的に実践し
たことで、能動的に動くことのできる人材が自然と数多く集まってきている。また住民主体を意識しつつ、保健
師も積極的に活動に参加することで、従来からの子育て支援者、新たな子育て支援者になりうる人材と保健師と
の関係も確実に強化されてきている。これらの取り組みと成果は、“親子が生活の中で自然(当たり前)に見守
られる地域”“地域が子育て”の土台となり、今後更なる発展が期待できると考えている。
2)今後の計画
(1)新たな子育て支援者を増やしていく取り組み「プチ子育て Cafe」の継続
新たな子育て支援者を増やし育成していく「プチ子育て Cafe」の取り組みは、取り組み始めて間もないが確実
に成果が現れている。関係機関・関係課とその成果を話し合い共有した結果、H27 年度以降も予算化して事業を
継続していく道筋となった。今後も今まで成長してきた子育て支援者と共に、新たな人材発掘・育成を長期継続
.
的に積み重ねていき、誰もが“地域が子育て”していると言えるような地域へと醸成していきたい。
(2)近い世代の母親の支援者の発掘・育成及び直近世代の母親同士がつながる仕組みづくり
「プチ子育て Cafe」の取り組みで発掘・育成してきた子育て支援者は、50・60 歳以上が占める割合が多い。これ
らの支援者が行うあたたかい声かけや見守りは、「周囲の人に支えてもらって安心して子育てができる」という
母親の育児の安心感に繋がることで、母親の育児の孤立対策となる期待は大きい。しかし子育て中の母親は「最
近の育児を経験した先輩ママからの具体的な子育て情報やアドバイスがほしい」というニーズも持っている。こ
のニーズに応えていくために、次のステップとして、母親と近い世代の子育て支援者の発掘・育成及び母親同士
がつながれる仕組みづくりを展開していきたい。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
保健・教育の連携による思春期ピアカウンセラー活動定着への取り組み
~健やかな未来の親づくりを目指して~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
●高校・大学文化祭でのピア活動
徳島ピアカウンセラー養成講座検討会
代表者:森脇 智秋
勤務先:徳島文理大学
所
属:助産学専攻科
所在地:〒770-0047
徳島県徳島市名東町 1 丁目 98-4
TEL:088-602-8157
FAX:088-602-8146
E-Mail:[email protected]
●ブラッシュアップ研修
◇活動方針
県内の保健・教育関係者等の支援体制整備を図り,思春期ピアカウンセラーの活動支援をすることによ
り,自主的・継続的活動の定着を目指す。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容とその成果
少子化の進行等により現代の子どもたちは,成長過程で身近に子育てを体験したり,乳幼児とふれあう機
会が減少し,子育てに対するイメージや関心を持てず,子どもを産むことの選択や育児不安を持つ母親の増
加等に影響していると言われている。加えて徳島県は,乳児死亡率や新生児死亡率が高く推移しているため,
未来の社会を担う若者への支援が課題となっている。そこで保健所では,平成20年度より「未来の親づく
り事業」として,高校文化祭において「子育て出前講座」を実施し始めた。そして,平成21年度からは,
高校での子育て出前講座に加え,より未来の親に近い大学生を対象に事業を実施するために,大学関係者と
『未来の親づくり事業検討会』を設置し,若者に向けた子育てや健康づくりに関する効果的な啓発方法につ
いて協議し,大学においては「学生の学生によるプレパパ・プレママ体験イベント」として実施することとな
った。高校や大学での事業スタッフは,保健所保健師や管理栄養士,歯科衛生士等,思春期の子どもたちの親
世代が携わっていたが,4年間の事業の結果,思春期の子どもたちが健やかに成長するために必要な,自己決
定能力・自己肯定感を育むためには,思春期ピアカウンセリング活動を取り入れた健康教育が効果的であると
言われており,県内でも実施できるよう取り組むこととになった。
そこで,平成25年度に保健所保健師が中心となり,ピアカウンセリング入門セミナーを企画し,ピアサポ
ーターを養成した。そして,県内の高校や大学8校の文化祭でピアカウンセリングを用いた健康教育を実施し
た結果,若者に対する教育において好評で効果的であった。また,セミナー受講者自身の自己決定能力や自己
肯定感が高まり「自己成長に繋がった。」という声が聞かれた。同年度に開催した保健・教育関係者による「徳
島ピアカウンセラー養成講座検討会(前:未来の親づくり事業検討会)」においても,ピアサポーターによる
健康教育の効果やピアサポーター自身の成長が評価され,今後の継続した活動や養成の必要性を共通認識する
とともに,ピア活動を支える体制整備に向けて検討することとなった。「徳島ピアカウンセラー養成講座検討
会」では,養成講座認定講師を代表とし,事務局や活動場所,内容,予算等について検討するとともに,関係
機関の支援体制等について協議を始めた。
これまでの評価を基に,平成26年度は,県内初のピアカウンセラーを養成しピアカウンセラーによる活動
(以下「ピア活動」という)が県内に継続・定着することを目指し,思春期ピアカウンセラー養成講座(日本
ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会認定)を開催し,36名のピアカウンセラーと14名のピ
アサポーターを養成した。受講生の受講前と受講後の「自尊感情尺度」及び「一般セルフ・エフィカシィ」の
比較では,9割以上がアップし自己肯定感の高まりが認められた。また,カウンセリングの基本や技術を習得
することで,受講初日と4日目では相手との接し方に違いが見られ,県内でのピア活動に意欲的な姿勢が感じ
られた。
そして,秋からは県内高校と大学等9校の文化祭でピア活動を実践した。参加した学生のアンケートでは「知
識を得ることができた」「参加して楽しかった」「内容に関心や興味が持てた」学生が 95%あり,大学生等
のピアが高校生に対し,楽しく知識の普及啓発ができ,ピアの目的が達成されたと思う。また,ピア活動実践
後のブラッシュアップ講座では,活動の共有を図るとともに,今後の活動について話し合った結果,「みんな
で集まれる場が欲しい」「もっといろいろな所で活動したい」等,前向きな意見が聴かれた。
そこで,「徳島ピアカウンセラー養成講座検討会」において活動評価を行った結果,関係者からも同様に,
「ピア活動が学生に好評で今後も継続して欲しい」「文化祭以外でも活動して欲しい」「いつでも相談できる
場所があれば良い」等の声が聴かれた。
活 動 成 果 報 告 書
≪平成 26 年度実施内容≫
・ピアカウンセラー養成講座(4日間)
平成 26 年 8 月 2 日~5 日
・高校等文化祭事前オリエンテーション(半日間)
平成 26 年 8 月 21 日
・高校,大学祭でのピア活動(8日間)
日時
学校別
参加者
ピア活動者
平成 26 年 9 月 6 日
高校
70
5
平成 26 年 9 月 6 日
高校
60
2
平成 26 年 9 月 7 日
中高校
180
13
平成 26 年 9 月 10 日
高校
60
8
平成 26 年 10 月 9 日
高校
50
4
平成 26 年 10 月 17 日
大学
50
9
平成 26 年 11 月 9 日
大学
50
14
平成 26 年 11 月 29 日
高校
70
9
計
8校
590
64
・徳島ピアカウンセラー養成講座検討会(前:未来の親づくり事業検討会)
平成 26 年 12 月 24 日
検討内容:①事業評価,今後のピアカウンセラー養成について(予算措置等)
②県内でのピア活動の継続・定着に向けた支援体制のあり方
・ピアカウンセラーブラッシュアップ講座(半日間)
平成 26 年 12 月 26 日
○成果等
・ピアカウンセラーによるピア活動が若者の健康教育において好評で効果的であることが関係者からも聞か
れ,文化祭以外の場所での活動を実践する機会が増えた。
・また,保健・教育関係者等を対象にピアカウンセラーをコーディネートする人材を育成することとなった。
・「徳島ピアカウンセラー養成講座検討会」メンバーの協力を得て,ピアカウンセラーの活動拠点となる場所
を検討し,関係機関に働きかける等,定着に向けた取り組みをスタートできた。
◇今後の計画
・引き続きピアカウンセラーを養成し,活動できるピアを増やす。
・ピアカウンセラーコーディネータの協力を得ながら,様々な機会にピア活動が行えるようにする。
・ピア活動の拠点となる場所を確保し,ピア同士が交流,学習できる機会を増やす。
・ピアカウンセラーによる定例相談日を設け,中高生対象に相談活動を行う。
・「徳島ピアカウンセラー養成講座検討会」を中心に県内のピア活動が継続・定着する体制整備を目指す。
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平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
久留米市における中学校出前サロン事業
~思春期の生(性)を育む「いのちの教育」の取り組みについて~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
久留米市保健所健康推進課母子保健チーム
代表者:澁田 雄飛
勤務先:久留米市役所
所
属:健康福祉部保健所健康推進課
所在地:〒830-0022
福岡県久留米市城南町 15-5 久留米商工会館 4 階
TEL:0942-30-9731
FAX:0942-30-9833
E-Mail:[email protected]
◇活動の背景
久留米市は、安全に安心して暮らせるまちづくりを市民と協働して推進していくために、「セーフコミュ
ニティ」に取り組むことを平成 23 年 7 月に宣言し、セーフコミュニティ推進協議会において重点取り組み分
野(6 分野)、重点取り組み項目(10 項目)を設定した。
重点取り組み項目の一つである「児童虐待の防止」に関しては、地域や家庭からの孤立や子育てに不安を
感じている保護者が多いこと等の課題を踏まえ、児童虐待防止対策委員会を中心として①乳幼児家庭訪問事
業の地域連携②中学校への出前サロン事業③子どもによるオレンジリボン作成、を主要な事業として取り組
んでいる。
以下、「中学校への出前サロン事業」に関して平成 25 年度、平成 26 年度に取り組んだ内容を報告する。
なお、久留米市は平成 25 年 12 月 21 日にセーフコミュニティの国際認証を受け、国内で 9 番目、九州では
初の国際認証都市となった。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動方針
少子化・地域コミュニティの希薄化等の影響を受け、子どもの頃から赤ちゃんと触れ合う機会が少なくなって
いる。そこで、子育てしやすい地域を目指すために、民生委員・児童委員、地域のボランティア等によって構成
された「すくすく子育て委員会」が、コミュニティセンター等で行っている子育てサロン事業を中学校で開催し、
以下の 2 項目を目標として、中学生と子育て中の親子、地域の支援者との交流体験授業を実施した。
・ 生と性に関する講話とふれあい体験学習を通して、命の大切さや相手を思いやる気持ちを育む
・ 子どもの成長を見守る親の喜び・責任等を実感することにより、自分自身の成長を振り返り、親への感謝の
気持ちや思いやりの心を持つことの大切さ、男女ともに協力し家庭を築いていくことの意義を学ぶ
◇活動内容
○実施内容(平成 25 年度)
実施日:平成 26 年 2 月 13 日
対
象:A中学校 3 年生の 1 クラス(約 30 名)
対象中学校は「子ども見守り地域ネットワーク(※)」のモデル地区にあるA中学校を指定
(※子育て支援・児童虐待防止に向けて、より効果的な取り組みを行うための校区を単位とした関
係団体のネットワーク)
内
容:第一部(30 分)講話:保健師からの話「いのちと性について」
第二部(20 分)体験談:母からの話「いのちの大切さ、子育記について」
○実施内容(平成 26 年度)
実施日:平成 26 年 6 月 12 日・13 日
対
象:A中学校 3 年生全 5 クラス(約 150 名)
内
容:第一部(50 分)
講話:テーマ「いのちと性について」
・二次性徴や性感染症について
・思春期での男女交際において大切なコミュニケーション
【講話スライドの一部】
・いのちの誕生とその尊さ、親になるということ
第二部(50 分)
体験学習(①赤ちゃんふれあい体験②妊婦体験③沐浴体験)○実施に向けた関係機関の関わり
①セーフコミュニティ児童虐待対策委員会事務局にて、A中学校と日程調整を行った。
②事務局、児童委員・民生委員及び子育て支援部局等を中心として、子育てサロンに参加している親子に対し、
中学校出前サロン事業への参加の呼びかけを行った。
③保健師は、中学生の習熟度にあわせた性教育講話を実施できるよう事前に学校と打合せを行った。
◇取り組みにおける課題と成果について
平成 25 年度については、①学校教育とのカリキュラム調整や講話内容の打合せ等に時間を要したこと、②開
催時期が 2 月であったため、感染症等の影響でふれあい体験に参加する親子が少なかったこと③1 時限授業(50
分)の中で講話とふれあい体験を実施するスケジュールでは、生徒が本事業の目標を習熟するためには時間が短
活 動 成 果 報 告 書
すぎたこと、といった課題が挙げられた。
平成 26 年度では上記①、②、③の課題を踏まえ、事前に学校とカリキュラム調整を行い、開催時期を 6 月に
設定し、学習形態は学年全体の一斉教育ではなくクラス単位での学習とし、時間数も 2 時限確保した。
その結果、親子が参加しやすい時期でもあったことから、親子の参加が多く、生徒と親子が触れ合う機会を十
分確保することができた。子どもと触れ合っているときの生徒は、緊張した様子ではあったが、「普段の学校生
活では見せないほど表情豊かだった」と教職員が話されたように、こころとこころが触れ合っているような印象
であった。保健師講話では、「いのちの尊さ」を生徒が実感できるよう、話だけでなく胎児のエコー動画や写真
等を用いて視覚・聴覚的なアプローチにより、習熟度を高めることができるようなプログラム構成とした。
また、親子のアンケート結果からは「中学生と触れ合う我が子をみて、より愛おしく感じた」「自分が育った
校区でふれあい体験ができてよかった」、「中学生と赤ちゃんが触れ合う機会があまりないので、今後もこの取
り組みが広がってほしい」など好意的な回答が多く、生徒だけでなく、親にとっても、いのちの大切さや地域で
のつながりを改めて考える機会となった。さらに、民生委員・児童委員等当日従事した関係者からも「行政と学
校と地域がうまくタイアップして取り組めた事業だった。今後も地域に広がってほしい」などの意見が寄せられ
た。
【写真:体験学習の様子】
◇今後の計画
(1)思春期保健対策の推進
妊娠の低年齢化や、10 代での人工妊娠中絶数が増加傾向にあり、母子を取り巻く環境は複雑化・多様化し、母
子保健と学校教育の連携はますます重要性を増している。このような課題を解決するためには、思春期からのい
のちと性に関する取り組みが不可欠であり、今後も学校長や養護教諭、教育委員会等関係機関との連携及び意見
交換を行いながら、取り組みを推進していきたい。
(2)関係機関と協働した取り組みの推進
中学校出前サロン事業は、生徒に対するいのちの教育の場の提供にとどまらず、民生委員や児童委員等の地域
の支援者や子育て支援機関・団体を巻き込んだ地域づくりである。今回、民生委員・児童委員、児童センターの
職員等、地域づくりの担い手である支援者にも関わってもらったことで、中学校出前サロン事業に初めて参加し
た親子の不安を軽減することができ、また生徒に対しては、親子の関わり方や子育て支援に関する地域での取り
組み等の話をしてもらうなど、行政と地域がお互いを補完し協働して取り組むことができた。平成 26 年度はモ
デル校区でのみの取り組みであったが、今後は取り組み校区の拡大を図り、自分が育ったまちで子育てしやすい
地域づくりを実現していくため、教育機関や民生委員・児童委員及び地域団体等と更なる協働を図り、効果的な
取り組みを展開していきたい。
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平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
発達が気になるお子さんと保護者のためのサロン「みなみん」の取り組み
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
福岡市南区保健福祉センター
代表者:入澤
地域保健福祉課
由三子
勤務先:福岡市南区保健福祉センター
所
属:地域保健福祉課
所在地:〒815-0032
福岡県福岡市南区塩原 3 丁目 25 番 3 号
TEL:092-559-5133
FAX:092-512-8811
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
【区の概況】
福岡市南区は,福岡市の南部に位置し,総人口 248,830 人(平成 25 年 9 月末現在),出生数 2174 人(平成
24 年),閑静な住宅街や大規模団地を含む転出入の多い住宅地域である。
【事業目的】
発達障がいの診断を受けたり,発達が気になる子どもを持つ保護者は,子育ての悩みや将来の不安等を抱
え,公民館等で開催されている子育てサロン・育児サークル・こどもプラザでは,他児との発達の違いから
孤立しやすく参加しづらい状況に陥りやすく,療育通園以外に行き場がないのが現状であり,実際に子ども
の療育に悩む母親から「南区に発達障がいの子どもと保護者が集える場所を作ってほしい」という相談を受
けた。また,福岡市では平成 24 年度より,発達障がいや虐待早期発見のために乳幼児健診の問診票の変更
を行っていたが,診断されないまでも心配と感じる保護者の受け皿がなかった。
同じ悩みを持つ保護者同士が気軽に集い,情報交換や専門スタッフに相談することができる場を提供する
ことにより,育児不安の軽減や虐待防止を図ることを目的とした。また,交通の利便性を考慮し,福祉や諸
手続き等の窓口も利用できるよう保健福祉センターでサロンを開催。保健福祉センターは区役所とも隣接し
ており区民の利用が多いため,この取り組みが区民にも周知され対象者へのPR効果に加え,発達障がいへ
の理解者を増やすことも目的としている。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
25 年 5 月より,月 1 回開催。保健福祉センターの保健師2名を担当とし,保護者の専門的な相談に対応する
ために臨床心理士1名を,また,遊びや見守りを充実させるために療育経験のある保育士2名を配置した。臨
床心理士と保育士については区内大学の心理学科より紹介を受け,心理学科の学生をボランティアとして3名
派遣してもらっている。
また,運営委員会を設置し,大学教授,区内の児童発達支援センター所長,区社会福祉協議会事務局長,民
生委員児童委員協議会主任児童委員代表,他区サロンの社会福祉士・臨床心理士,保健福祉センター所長,保
健福祉センター関係課で委員を構成し,担当課とサロン従事スタッフ(臨床心理士,保育士)を事務局として
いる。運営委員会では,運営に関する助言をもらい,意見交換を行っている。
◇平成25年度実施内容
●大学との打ち合わせ:大学にて2回実施し,随時,教授とメール・電話にて連絡
(運営についての協力依頼,スタッフの紹介,運営についての助言等)
●サロン
対象者:発達が気になる,または発達障がいのある市内に居住する就学前の子どもと保護者
開催回数:1回/月,10:00~12:00(時間内 入退室自由)
場
所:南区保健福祉センター
担当者:保健師2名,臨床心理士1名,保育士2名,大学生ボランティア3名
内
容:自由遊び,個別相談,終了アンケート
・初回参加者は受付票(子どもの気になること,療育通所の有無,スタッフに気を付けてもらいたい
こと,これまでの経過等)を記入
・個別相談希望者は受付にて相談票を記入・提出
・サロン終了後は毎回簡易なアンケートを実施(参加しての感想や意見を記入)
●運営委員会:3回開催(平成 25 年 4 月,8 月,平成 26 年 2 月)
●成
果:終了時アンケートから,「遊びに行ける場所がないためありがたい。」,「子どもの行動も気にせ
ずに伸び伸び過ごせた。」,「相談して気持ちが楽になった。」,「親同士で交流できた。」等の感
想が91%を占め,親子の居場所づくりとしての役割を果たし,ニーズに合致した事業であることが
わかった。また,学識経験者や療育に携わる人材を委員とした運営委員会を実施することで,サロン
の内容や会場の安全管理,運営についてのアドバイスをもらいサロンに反映することができた。
◇平成26年度実施内容
●サロン
対象者,開催回数,担当者は変更なし
内容:26 年度より,保護者に遊びを通して子どもとの接し方を学んでもらうことを目的に,担当保育士による
親子遊びを毎回実施した。
●運営委員会
●みなみんプチ講座:7 月と 9 月の2回実施
対象者:これまでにサロンに参加したことがある保護者
活 動 成 果 報 告 書
場
所:南区保健福祉センター
内
容:担当臨床心理士による座談会風の講座
・毎回希望者に臨床心理士の個別相談を実施しているが,相談の多い事項を臨床心理士と担当保健師
が整理しテーマを決定
1回目「就学年齢までのこどもの発達と関わり方」
2回目「就園・就学に向けての準備」
※ 講座開催時は担当保育士,大学生ボランティアによる託児を実施
●アンケート調査
目
的:①発達が気になる,または発達障がいのある子どもを持つ保護者にとって当サロンがより身近で役立
つ場であるために,内容や運営についての意見を把握する。
②発達が気になる,または発達障がいのある子どもを持つ保護者の悩みや困りごとを把握し,今後ど
のような取り組みが必要であるかを検討する。
対
象:平成 25 年 5 月の開設時から,サロンに1回でも参加したことがある保護者全てとする。
調査項目:保護者自身の体調,必要とする支援,発達障がいの診断の有無・周囲の理解,
サロン参加のきっかけ等
調査方法:郵送調査法
回収率:54.8%
●成果
①26 年度より取り入れた親子遊びでは「こどもが楽しそうにしているので嬉しい」「こどもとの遊び方を知る
ことができた」とおおむね好評であった。
②プチ講座は,座談会風としたことで参加者が経験談を多く語って頂いた。参加者同士,思いの共有ができ,
今後の就園活動の参考になったようだった。
③アンケート調査からは,発達障がいが周囲で理解されていないと感じている方が多いことや必要としている
支援の内容がわかった。
☆発達の遅れや障害についての周囲の理解
☆必要とする支援(複数回答)
◇今後の計画
・好評である保育士による親子遊びを継続していく予定である。また,アンケート調査で「必要とする支援」
の上位であるペアレント・トレーニング的な要素を取り入れたプチ講座を 27 年度に実施する計画を立てている。
・発達の遅れや障がいを持つ子と保護者が生活しやすい社会を目指し,啓蒙活動にも取り組んでいきたい。
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平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
住民と協働で取り組む「健康ながよ21」の歩みと今後の活動について
~いつでも、どこでも健康づくりが出来るまちづくりを目指して~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
長与町役場健康保険課
代表者:志田純子
勤務先:長与町役場
所
属:健康保険課
所在地:〒851-2128
長崎県西彼杵郡長与町嬉里郷 659 番地 1
TEL:095-883-1111
FAX:095-883-2061
E-Mail:[email protected]
◇活動方針
全ての住民が健康で明るく、元気に生き生きと生活できる活力ある町の実現を目指して、住民と協働で健
康づくりができる環境づくりに取り組む。
活 動 成 果 報 告 書
◇活動内容
当町では、平成 17 年度に「健康ながよ21」健康づくり計画を策定し、平成 18 年度から推進してきた。そ
して、平成 24 年度には新たに「第2次健康ながよ21」を策定し、平成 25 年度からの 10 か年計画として推進
している。計画の推進は、当初より「健康ながよ21推進専門委員会」と行政が協働で行ってきた。そこで、
これまでの活動と成果、今後の活動について報告する。
始めに「健康ながよ21推進専門委員」とは「健康ながよ21」計画を推進するためにボランティアで活動
する住民の団体であり、町より委嘱を行っている。(以下「推進委員」という。
)現在 59 名で活動しているが、
年齢も20歳~80歳までと幅広く、地元の大学生や主婦、会社を退職後の男性、民生委員、看護師、大学の
教諭等様々な方が在籍している。
「健康ながよ21」は、ヘルスプロモーションの概念をもとに5つの世代別(乳幼児期・児童生徒期・青年期・
壮年期・高齢期)で取り組む項目と目標値を決め、各ライフステージの推進委員と担当保健師で具体的に事業
の計画、準備、運営を行ってきた。しかしながら、平成 24 年度からは、ステージごとの活動を改め、会全体で
事業に取り組むことになった。その際、取り組む事業を「健康まつり」、
「ヘルシーウォーキング大会」に絞り、
これまでの各ステージの事業はサブメニューと位置づけ、その都度取り組むか協議し、取り組みが決定したも
のは参加メンバーで計画、準備、実施している。また、月1回の定例会は事前に運営委員会を開催することで
内容が精査され、定例会当日は委員長を中心に司会、議事等全て推進委員で運営している。具体的活動は以下
の通りである。
<主な活動>
1.健康まつり
6月…テーマ決定する。
7月…まつり全体の構成等について検討し、その後各コーナー(短劇班・運動班・健康相談班・健診班)で開
催に向け準備する。
8月…共催者である食生活改善推進員、健康づくり推進員、母子保健推進員で役員会を開催する。
9月…各団体でチラシ配布等の PR を行い来客数の増加を図る。
10 月…毎年 1,200 名余りの住民が参加し、骨密度測定、体組成測定、頸動脈測定、体力測定等を行い自身の健
康状態を知り、健康づくりのきっかけ作りを行っている。また、運動・食・健康相談コーナーでは個別
相談や試食、実技を通して改善方法を提案している。
2.ヘルシーウォーキング大会
健康づくり推進員協議会と協働で毎年、6月・11 月・3月
の合計3回開催している。「長与町民総歩き」を合言葉にチ
ラシの配布やご近所、知人への声かけ等で参加につなげてきた。
その他、日曜開催や子供コース、個人の体力に合わせたコース
の設定等も推進委員のアイディアを取り入れてきた。コースの
選定は、何度もためし歩きを行い、安全面のチェックや季節ご
との景観等を考慮し、参加者が少しでも楽しんで歩けるよう準
備をしている。近年の参加者は 700~800 名に達している。
活 動 成 果 報 告 書
長 与 町 ヘ ル シー ウ ォー キ ン グ 大 会 の 推 移
人
400
350
300
250
200
150
100
50
0
第 14回 第 15回 第 16回 第 17回 第 18回 第 19回 第 20回 第 21回 第 22回 第 23回 第 24回 第 25回 第 26回 第 27回 第 28回 第 29回 第 30回 第 32回
<その他の活動>
1.町内小学校での歯科健康教育
平成 22 年度から町内1小学校の4年生を対象に歯科衛生士、推進委員、町で虫歯予防を目的に講話とブラッ
シング指導を行っている。今年度は延べ 30 名の推進委員が3校・8クラス/238 名の児童を対象に実施した。専
門的な部分は歯科衛生士が担うが、推進委員はワセリンや染め出し液の塗布、磨き残し子が多い子のチェック
などを行い、歯科衛生士や担任の教諭につなげる大切な役目を担っている。現在この活動は養護教諭部会や町
内校長会で話題となり、徐々に参加校が増えている。この事業をきっかけに、子どもたちの歯の健康への意識
向上はもちろん、今まで健康づくりで関わりがなかった学校現場との連携が図られるようになったことは、大
きな成果だと考える。この事業をきっかけに、子どもたちの歯の健康への意識向上はもちろん、今まで健康づ
くりで関わりがなかった学校現場との連携が図られるようになったことは、大きな成果だと考える。
2.地元県立高校文化祭での健康相談コーナーの開設
毎年、地元県立高校の文化祭で「健康相談コーナー」を開設している。“もうすぐオ・ト・ナ
応援ブース”
と題し、近い将来の一人暮らしに向けて、食生活や性、歯科、睡眠、骨に関すること等テーマを決め、パンフ
レットや媒体の作成等の準備から、当日は展示物の説明やクイズ、体組成や骨密度、血圧測定を行っている。
毎年 500 名余りの参加があり、生徒からは「自分の体を知ることができた」
、「食事は大事だと改めて思った」
など、多くの反響を得ている。学校側からは「これまで地域の方が参加する行事はなかった。生徒にとって非
常に貴重な体験である。」との意見も出ている。
3.成人式でのアルコールパッチテストの実施
毎年、成人式にアルコールパッチテストを行っている。自分の体質を知ってもらい、飲酒について考えても
らうきっかけづくりを行っている。毎年 100 名前後の方が受けているが、今年は 124 名と多くの若者が参加し
た。
◇今後の計画
推進委員(住民)と協働で事業を行うことで、どの年代にも切れ間なく健康づくりを支援する体制を作るこ
とが出来た。また、学校、自治会、コミュニティ等との連携もスムーズになり、そこからさらに活動が広がっ
ている。これからも乳児から高齢者まで一つひとつの点が線に、線が面になり、長与町全体が健康で元気にな
るよう健康づくりの環境整備に取り組んでいきたいと考えている。
活 動 成 果 報 告 書
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞」
活動テーマ
離島で子育てをするお母さんたちへの支援
~離島で暮らす子どもとお母さんのために保健センターができること~
応募グループ名称及び氏名(グループの場合は代表者名)
南大東村福祉民生課保健センター
代表者:向山
千賀子
勤務先:南大東村役場
所
属:福祉民生課
保健センター
所在地:〒901-3804
沖縄県島尻郡南大東村字南 144-1
TEL:09802-2-2116
FAX:09802-2-2813
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◇活動方針
南大東村は沖縄本島の東方海上約 360km に位置する孤島で、農業と水産業を中心に人々の生活が営ま
れている小規模な島です。島の人口は 1,305 人(平成 26 年 4 月)、島で暮らす 15 歳以下の子どもの数
は 191 人です(平成 26 年 8 月)。島の風景は、公共機関や民家が集合する一部の地域を除けば、広大
なさとうきび畑と島の固有種であるダイトウビロウ、防風林となってくれるリュウキュウマツやフクギ
などによる豊かな緑の広がりです。島の外周は珊瑚礁の堆積によって出来た岩場に囲まれ、その一歩先
に深碧の美しい海が広がります。
島と沖縄本島を結ぶ交通手段は小型機もしくは長距離船です。本島までは飛行機で約 1 時間、船で約
12 時間を要します。
島の子どもたちは3歳で保育園に入所し、4歳になると村立の幼小中一貫校に進みます。少人数なた
め幼稚園生から中学校まで全員が親しいスクールメイトであり、ともに中学卒業までの学校生活を送り
ます。村には高校がなく、子どもたちは高校進学と同時に生まれ育った島を出て、親元を離れて本島で
独立生活を始めます。
活 動 成 果 報 告 書
南大東島の子育ては、あわただしい現代社会の子育て事情とは一線を画し、雄大な自然と温かい地域社
会に見守られながら、ゆっくりとした時間の流れとともにあります。しかしその一方で、離島であるが故
に乳幼児の育児や保健に関するサービスに携わる専門職の絶対数が少なく、母親へのきめ細かな育児支援
サービスが届きにくい側面があります。
南大東島では、子どもの両親が就業する場合は1歳3か月児から保育園への入園が認められますが、1
歳3か月児未満の子どもを育児する母親は基本的に自宅で育児をすることになります。島のお母さんたち
の中には、結婚を機に島に移住してきた女性や、夫の転勤に伴い島に滞在している女性など、離島という
隔離された生活環境に慣れる間もなく育児をしているお母さんがいます。核家族や母子世帯で複数名の子
どもを育てているお母さんもいます。島外から来て第一子を育てているお母さんは、初めての妊娠や出産、
それに続く初めての子育てに迷い戸惑いながら奮闘しています。離島という環境では、子どもを保育園に
入園させるまでの間、子どもを遊ばせる場所やほかの母親と接点を持つ場所も少なく、育児をするお母さ
んが自分のために時間を過ごす場や機会がなかなか得られません。島にある限られた商店で、子育てに必
要な物が全てすぐに揃うというわけにもいきません。
また、子どもの成長発達や自身の育児ストレスなどについて相談する場も少なく、子どもの社会性や成
長過程の特徴を確認し、子どもの成長を見つめ、日ごろの育児を肯定的に捉えるなどの機会も多く持つこ
とができません。閉塞された社会であるが故に気軽に相談できなかったり、子育ての方法に行き詰まった
り、正しい知識が広く周知される機会がないまま少人数の中で子どもの成長を比較してしまったりと、育
児をする母親がときに孤立感を深めてしまう場合もあります。
◇活動内容とその成果
このような状況を踏まえ、南大東村保健センターでは、これまで外の離島町村に先駆けて臨床心理士や
発達支援専門相談員等を積極的に招聘して育児カウンセリングを行ってきました。また実際に地域で子育
てをしている現役の母親に、母子保健推進員として保健センターに常駐してもらい、平成 25 年度から母子
保健推進員を中心とした育児サークル「すくすく広場」を保健センターにて開始しました。毎回のサーク
ルは母子保健推進員のアイデアによって親子で楽しめるイベントや工作などのプログラムが行われ、保健
センターは「敷居の高い場所」から、徐々に「お母さんと子どもが集まれる場所」として浸透し、今では
サークルへの参加者の数も増えました。サークル実施日に保健事業を乗せることで、育児カウンセリング
や身体計測などの利用率も高くなりました。当初は「相談」「カウンセリング」などの言葉に躊躇し利用
を戸惑っていたお母さんたちも、今では「誰でも利用できるもの」という雰囲気が広まり気軽に利用して
くれるようになりました。
また、サークルの開始と同時に月刊誌を発行するようになり、妊娠中~小学校入学前の子どもがいるお
母さんたち全員に毎月手配りで配布するようになりました。月刊誌では、サークルや予防接種や保健事業、
幼稚園の園庭開放日や島の行事、保健センターに届けられたリサイクル品の情報などについても周知を行
い、お母さん同士の情報交換に役立ててもらえるようになりました。
活 動 成 果 報 告 書
◇今後の計画
今後、南大東村保健センターでは、①参加者のニーズに合わせてサークル活動の質的充実をはかること、
②子どもの発達上の問題や母親の心理的なストレスの兆候を見逃さないこと、③子どもや親の健康問題に
サークルを通して介入すること、④保育園、幼稚園、学校教育委員会や診療所、外部の専門化と適切に連
携すること、を目指して活動していきます。具体的な活動目標を次に掲げます。
(1) 「すくすく広場」の充実
現在は毎月8回のサークルを実施しています。今は母親同士が交流する場となり、参加者は季節の行事
や親子遊びなどを楽しみ、保健センターからは保健事業の周知や、同日に育児カウンセリングの開催など
をしています。今後はこのサークルの質的充実をはかって人をさらに多く集め、そこに歯科相談や母親教
室などこれまで以上に多くの保健事業を盛り込むことで、サークルを通じて育児サービスや保健サービス
が提供できるようなシステム作りを行います。
(2) 子どもと保護者の健康問題への介入率を高める
乳幼児健康診査の結果や島診療所医師との情報交換により、農業活動に伴う小児の喘息発作や、齲歯率
の高さ、保護者のアルコールやタバコなど、島の子どもならではの疾病特性や島の健康問題の傾向が明ら
かになってきています。そこで、平成 26 年 9 月から、診療所医師との共同研究で、子どもたちの喘息発作
に関するコホート調査を行い喘息予防に取り組みます。調査のための情報収集や結果によって得られた喘
息予防のための周知にも育児サークルを活用する予定です。
また島は3歳の齲歯率が高いため、サークルイベントの一環として歯科衛生士による歯磨き指導を組み
込みます。その後は、保護者への飲酒喫煙や生活習慣病、生活リズムなど徐々に範囲を拡大し子どもと保
護者両方の健康問題に介入を進めます。
上記の活動により、離島という特殊な環境下で育児をしている母親のニーズに応える育児支援の内容が
拡大されます。また、定期的に保健事業を便乗させることで子どもと保護者への健康上の問題に介入する
機会が得られます。育児カウンセリングなどこれまで島になかった事業でもサークルを通すことで母親が
気軽に利用できるようになります。診療所や島内外の専門職と協力することで正確な情報収集と共有、支
援方向の決定ができるようになります。対象となる子どもや母親の数が少ないために量的評価は不可能と
なりますが高い質的評価が得られることを確信しています。
このプログラムでは、離島という特殊な環境下にいる母親が求めるニーズに応え、育児にかかるストレ
スや閉塞感を軽減し、本島とかわらないサービスを受けながら育児ができるようになることを目標に支援
を行うプログラムです。小さな島であることの利点を生かし、母子保健推進員から島の医療機関、教育委
員会、島外の専門職種まで多彩な領域を巻き込んで離島での育児を多角的に支援していきます。
平成26年度(第18回)「チヨダ地域保健推進賞成果報告集」
平成 27 年 2 月発行
編集・発行/一般財団法人 千代田健康開発事業団
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FAX:03-5228-3352
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印刷・製本/株式会社 ビルケアビジネス
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