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英語科 - 山梨県総合教育センター

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英語科 - 山梨県総合教育センター
Ⅱ
教科別調査結果の概要と指導上の改善点
【中学校第3学年
1
英語】
全国の平均到達度との比較
本県及び全国の平均到達度は下表のとおりである。
教科総合
基礎
応用
本県の平均到達度
72.7%
74.4%
64.7%
全国の平均到達度
74.2%
76.4%
64.0%
-1.5
-2.0
0.7
本県と全国との差
○本県は「教科総合」として全国を 1.5 ポイント下回っている。内訳は,「基礎」問題が2ポイント
下回っており,「応用」問題は 0.7 ポイント上回っている。
2 全国の平均通過率との比較
【教科総合】
全問題数
34
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
1
3.0%
23
67.6%
10
29.4%
○「教科総合」として,本県は全問題数の約 30 %の問題で全国の平均通過率を下回っている。
また,全問題のうち1問のみ,全国の平均通過率を上回っているものがある。
【基礎】
全問題数
28
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
0
0.0%
18
64.3%
23
35.7%
【応用】
全問題数
6
3
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
1
16.6%
5
83.4%
0
0.0%
評価の観点別に見た概要
※
評価の観点は次のとおりである。
「理解」:理解する力
「表現」:表現する力
「言知理」:言語や文化の知識・理解
※ 観点の重複については,
・「理解」と「表現」が重複している問題数 ・・・1
・「表現」と「言知理」が重複している問題数・・・5
を含む。
中3英語- 1 -
評価の観点別に見た本県及び全国の平均到達度は下表のとおりである。
教科総合
評価の
観点
対象
基礎
平均到達度
対象
応用
平均到達度
対象
平均到達度
問題数
本県
全国
問題数
本県
全国
問題数
本県
全国
理解
21
76.8%
77.9%
10
79.8%
81.3%
5
67.3%
67.2%
表現
7
61.4%
62.6%
5
67.1%
69.4%
2
47.2%
45.6%
言知理
12
67.3%
70.0%
12
67.3%
70.0%
0
0.0%
0.0%
○教科総合において,「理解」「表現」「言知理」のいずれの評価の観点においても全国の平均到達度
を下回っている。
【教科総合】
評価の 対象
観点 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
理解
21
0
0.0%
16
76.2%
5
23.8%
表現
7
1
14.3%
4
57.1%
2
28.6%
言知理
12
0
0.0%
7
58.3%
5
41.7%
【基礎】
評価の 対象
観点 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
理解
17
0
0.0%
12
70.6%
5
24.4%
表現
5
0
0.0%
3
60.0%
2
40.0%
言知理
12
0
0.0%
7
58.3%
5
41.7%
【応用】
評価の 対象
観点 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
理解
5
0
0.0%
5
100.0%
0
0.0%
表現
2
1
50.0%
0
-
1
50.0%
言知理
0
0
-
0
-
0
-
中3英語- 2 -
4
内容・領域別に見た概要
内容・領域別に見た本県及び全国の平均到達度は下表のとおりである。
教科総合
内容・
領域
平均到達度
対象
応用
平均到達度
対象
平均到達度
本県
全国
問題数
本県
全国
問題数
本県
全国
リスニング
10
79.8%
83.3%
10
85.2%
87.2%
0
0.0%
0.0%
読解
11
66.2%
67.1%
6
70.8%
71.4%
5
69.4%
69.6%
13
64.0%
67.1%
12
67.3%
70.0%
1
51.9%
48.3%
文法・表現
・英作文
○
対象
問題数
基礎
3つの内容・領域のすべてにおいて,全国の平均到達度を下回っている。 (「文法・表現・英
作文」の応用問題のみ全国の平均到達度を上回っている。)
【教科総合】
内容・ 対象
領域 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
リスニング
10
0
0.0%
5
50.0%
5
50.0%
読解
11
0
0.0%
11
100.0%
0
0.0%
文法・表現
・英作文
13
1
7.7%
7
53.8%
5
38.5%
【基礎】
内容・ 対象
領域 問題数
リスニング
読解
文法・表現
・英作文
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
10
0
0.0%
5
50.0%
5
50.0%
6
0
0.0%
6
100.0%
0
0.0%
12
0
0.0%
7
58.3%
5
41.7%
【応用】
内容・ 対象
領域 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
リスニング
0
-
-
-
-
-
-
読解
5
0
0.0%
5
100.0%
0
0.0%
文法・表現
・英作文
1
0
0.0%
1
100.0%
0
0.0%
中3英語- 3 -
5
問題形式別に見た概要
「選択式」問題の種類
① 会話を聞いて,イラストを選ぶ問題
② 会話を聞いて,空所に適語を選択する問題
③ 適文選択問題(会話表現等)
④ 会話文読解問題における選択式問題
⑤ 英文読解問題における選択式問題
「短答式」問題の種類
① 動詞の語形変化
② 形容詞の語形変化
③ 英文読解問題における短答式問題
例『下線部 them の表す内容を,本文中から 1 語抜き出して書きなさい。』
「記述式」問題の種類
①並べかえ英作文
②英文読解問題における記述式問題
例『ボブがなりたい職業は何か,日本語で答えなさい。』
③会話文読解問題における記述式問題
例『会話中の(1)にふさわしい内容を英文で書きなさい。』
④条件英作文
例『あなたが好きな食べ物について,好きな食べ物の名前と,好きな理由が
わかるように,3文以上の英語で書きなさい。』
問題形式別に見た本県及び全国の平均到達度は下表のとおりである。
教科総合
問題
形式
対象
基礎
平均到達度
対象
応用
平均到達度
対象
平均到達度
問題数
本県
全国
問題数
本県
全国
問題数
本県
全国
選択式
18
82.6%
84.5%
17
82.6%
84.5%
1
83.0%
83.1%
短答式
5
55.1%
58.1%
5
55.7%
58.1%
0
0.0%
0.0%
記述式
11
64.2%
64.9%
6
66.9%
68.9%
5
53.9%
53.2%
○教科総合において、すべての問題形式において、全国の平均到達度を下回っている。基礎・応用
に関しては、「記述式」の応用問題について,全国の平均到達度を上回っている。
【教科総合】
問題 対象
形式 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
選択式
18
0
0.0%
12
66.7%
6
33.3%
短答式
5
0
0.0%
3
60.0%
2
40.0%
記述式
10
1
10.0%
7
70.0%
2
20.0%
中3英語- 4 -
【基礎】
問題 対象
形式 問題数
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
選択式
17
0
0.0%
11
64.7%
6
35.3%
短答式
5
0
0.0%
3
60.0%
2
40.0%
記述式
6
0
0.0%
4
66.6%
2
33.4%
【応用】
問題 対象
形式 問題数
5
全国の平均通過率を
全国の平均通過率と
全国の平均通過率を
有意な差で上回るもの
有意な差がないもの
有意な差で下回るもの
選択式
1
0
0.0%
1
100.0%
0
0.0%
短答式
0
-
-
-
-
-
-
記述式
5
1
20.0%
4
80.0%
0
0.0%
設問別通過率から見た概要
※別表1(本資料10ページ~)の中に,設問項目に対応する具体的な問題例を示した。
別表1
通過率
問題形式
基礎・応用
設問項目
との対応 選択 記述 短答 基礎 応用
山梨
全国
⾼
96.5
96.6 会話を聞いて,イラストを選ぶ
ア
○
○
96.1
97.0 会話を聞いて,イラストを選ぶ
ア
○
○
94.8
96.2 会話を聞いて,イラストを選ぶ
ア
○
○
91.8
93.4 会話を聞いて,イラストを選ぶ
ア
○
○
91.3
90.3 会話を聞いて,空所に適語を選択する
イ
○
○
89.9
90.4 英文読解
シ
○
○
89.7
88.3 会話文読解
ス
○
○
89.2
90.0 適文選択(会話表現)
キ ク
○
○
85.9
87.2 会話文読解
ス
○
○
63.2
68.4 並べかえ英作文
キ ク
○
○
58.4
63.3 動詞の語形変化
オ
○
○
58.0
63.3 会話を聞いて,英語の質問の答えを選ぶ
ウ
○
○
57.4
61.2 形容詞の語形変化(比較級)
カ
○
○
57.0
60.0 形容詞の語形変化(最上級)
カ
○
○
56.4
55.2 会話文読解(対話にふさわしい内容を英文で書く)
コ~シ
○
○
54.4
54.4 動詞の語形変化(enjoyの後の動詞の語形 など)
オ
○
○
52.4
58.1 並べかえ英作文(接続詞ifを用いた文) キ ク
○
○
51.9
48.3 条件英作文(テーマに対し3文以上で書く)
ソ
○
○
51.5
51.6 英文読解問題(代名詞の指す内容を1語の英語で抜き出す) コ~シ
○
○
51.2
51.8 会話文読解問題(会話が成り立つよう英文を選ぶ) エの応用 ○
○
低
42.5
42.8 会話文読解問題(会話にふさわしい英文を書く)
コの応用
○
○
○上記の結果から,「英語の語順」「動詞や形容詞の語形変化」「会話のやり取り」「条件英作
文」に関わる問いへの通過率が低い(約60%を下回る)。
中3英語- 5 -
6
今後の指導改善の方向性について
平成 21 ~ 22 年度の移行期を経て,平成 23 年度,小学校で新学習指導要領が全面実施となっ
た。小学校高学年(5年・6年)において,週1単位時間,担任を指導の中心とする外国語活
動の授業がスタートした。年間 35 単位時間(2年間で 70 単位時間)の授業時数ではあるが,
児童が外国語(英語)を聞いたり話したりする機会は以前より増え,外国語活動の授業を通じ
て慣れ親しんだ語(語句)や表現を用いたコミュニケーション活動を経験してから,中学校に
入学してくることとなった。
平成 24 年度から,いよいよ中学校で新学習指導要領が全面実施となる。外国語科においても,
小・中の連携は,不可欠な課題である。小学校教員は移行期からの3年間,校内研究会で外国
語活動について全職員で研究を行ったり,様々な研究会に参加したりして,理論や授業の進め
方等について研究を推進してきている。中学校の英語科教員は,外国語活動の目標や指導内容
を十分理解した上で,各自の授業実践を見つめ直し,改善へつなげていくことが急務である。
児童の外国語(英語)に対する経験値が上がってくること,中学校で新しい学習指導要領が
完全実施となること等を踏まえ,いま中学校英語科教員がすべきことは何か。また,本県の学
力状況調査の結果を踏まえ,どのような点に留意しながら,これから授業改善に取り組んでい
ったらよいのか。本学力調査の結果を踏まえた「指導改善の方向性」を考えるにあたり,以上
のようなことを考慮し,提案したい。
外国語科に関連し,現在小学校で行われているにおける指導について,参考資料として以下
にまとめた。そしてそれらを踏まえ,中学校における指導改善の方向性について表にまとめて
みた。
【小学校における指導】
学年
内容
詳
細
留意点など
3
ローマ字の学習
○国語科で,「日常使われている簡単な単語につ
いて,ロ ー マ 字 で 表 記 さ れ た も の を 読 み ,
また,ローマ字で書くこと」の指導事項があ
る。 ※以降,他の教科等の授業でパソコンを
扱う際に,学習したローマ字を活用する機会を
設けている。
*小学校では「訓
令式」を指導され
る。英語の表記に
近いのは,「ヘボ
ン式」である。
5
外国語活動
①「英語ノート」を教材として扱 う場合,児童
は,2年間で 300 語以上の語(句)と 18 の基
本的な表現に触れ,慣れ親しむ。
②「聞くこと」「話すこと」を中心とした指導で
ある。
③文字に関する指導は,原則行わない。(絵カー
ド等に補助的に文字を扱う場合はある。)
④指導は,他の教科等と同じように学級担任が行
う。
⑤評価は,数値による評価は行わない。授業にお
ける活動や振り返りカードを判断材料に,児童
の良い面を取り上げ,文章表記で評価を行う。
*児童の発達段階
を考慮した指導を
行うことが重要で
ある。
6
外国語活動
中3英語- 6 -
*振り返りカード
を,「授業では見
とることができに
くい評価項目」を
見とる手段として
活用する。
【中学校でどのように指導改善を図っていくか(改善プラン)】
学年
1
望まれる指導内容
詳
細
留意点など
小 学 校 「 外 国 語 活 ・小学校で学習した内容は,中学校で英語を学習 *外国語活動と
動」と中学校「英
する上でも役に立つということを指導する。
英語科の違いに
語」の違い
・中学校では,「聞くこと」「話すこと」に,英語 ついて理解させ
を「読むこと」「書くこと」が加わってくるこ る。
とを指導する。
・英語の文としての仕組み(組み立て)も学習す
るということを指導する。
・英語の「正確さ」も大切になってくることを指
導する。
中学校での英語学習 ・「授業のルール」「ノートのとり方」「教科書の *中学校で英語
のしかた
使い方」「家庭学習の内容やしかた」などにつ を学習する上で
いて指導する。
のおおまかなイ
メージをつかま
せる。
文字指導
○アルファベット
・「形」「書き順」などについて指導する。
※大文字には比較的慣れているので,使用頻度
が高い小文字の指導を念入りに行う。
○アルファベットの 〔指導手順〕
音とつづり字の関係 ①「アルファベットの名前」の指導を行う。
(フォニックス)
(エイ,ビー,シー・・・という読み方)
②「それぞれのアルファベットが持つ音」の指導
を行う。(ア,ブ,ク・・・の音)
③「音の足し算」に関する指導を行う。
(単語は,ア,ブ,ク・・・の足し算で読むこと
ができる。単語 pen を例にとると,以下の
ようになる。
p = プッ
e = エ
n = ン
〔p〕+〔e〕+〔n〕
プッ + エ + ン
=〔pe〕+ 〔n〕
= ペ
+ ン
=〔pen〕
= ペ ン
④文字を入れ替えて読む指導を行う。
・penのpをt に換えると〔テン〕になったり,
penのnをt に換えると〔ペットゥ〕になるよ
うな例を示す。
⑤母音(及び子音の一部)は,一つではなく複数
の音をもつことの指導を行う。
⑥子音が2つ重なった場合の読み方の指導を行
う。(-ch や -sh など)
⑨母音が2つ重なった場合の読み方の指導を行
う。( oo や ee など)
※以降,必要に応じ3年間を通じて指導を行う
中3英語- 7 -
*授業において十
分な指導を行って
から,家庭学習と
関連づける。
*教師が尻込み
せずに,フォニ
ックスの指導に
取り組むことが
重要である。
*フォニックス
の利点について
強調する。(応用
が効き,初めて
見る単語もほぼ
読むことができ
るようになると
いうこと。)
*時間をかけて
まとめて指導を
行う部分と,授
業の始めの部分
に少しずつ指導
する部分を工夫
する。
1
○ローマ字との違い ○学校で学習してきたローマ字と異なる表記のし *訓令式,ヘボ
かたをする場合があることを指導する。
ン式の違いにつ
いて指導する。
○教室英語の使用
○「英語ノート」や「英語ノート指導資料」等を *小学校外国語
参考に,小学校で扱ってきている教室英語を積 活動の有用感に
極的に用いる。
つなげる。
○外国語活動を踏ま ○児童が外国語活動を行う際に作成・使用した絵 *小学校外国語
えた活動
などを,中学校の英語の授業でも活用する。
活動の有用感に
つなげる。
○フォニックスに関 ○フォニックスのルールは,折に触れ,繰り返し *3年間を通し
する指導
指導する。
て指導すること
が重要である。
全
学
年
○4技能の総合的な ○「聞いたことを書く(メモにまとめるなど)」
育成と指導
「読んだことについて書く」「(友だちが)書い
たことを読む」「読んだ内容について話す」な
ど,それぞれの技能を統合させた活動を計画の
段階から仕組み,生徒に取り組ませる。
○「習得型」「活用型」「探求型」の学習を単元の
指導計画に意図して位置づけ,既習事項を活用
したコミュニケーション活動や,アウトプット
を創り出す活動を行う。
○「英語の語順」や ○ごく基本的な英文を,ゲ ーム などを活用 しな
「動詞や形容詞の語
がら「何度も聞かせ,何度も言わせる」ことに
形変化」の問題への
より,まず口頭段階での定着を図る。その後,
対応
文字による提示を行い,より定着を図るような
指導を行う。
○「英語の語順」や「動詞や形容詞の語形変化」
を取り入れたコミュニケーション活動を指導計
画に位置づけ,活動の中で繰り返し使用させる
ことにより定着を図る。
*文法を「コミ
ュニケーション
を支えるもの」
としてとらえ,
文法指導と言語
活動を一体的に
行う。
*口頭→文字の
提示という過程
を重視する。
*動詞や形容詞
の語形変化を伴
った英文を用い
た言語活動を行
うことにより,
語の活用形に慣
れさせたい。
○ 「 会 話 の や り 取 ○「会話の流れ」を意識させながら,読む活動を *日本語の場合
り」の問題への対応
行う。
を例に出しなが
○一文のレベルから対話文,会話文のレベルへと ら指導する。
引き上げ,日本語を例に出しながら,「このよ
うに尋ねたらどう答えるか」「このように答え
ているが相手はどのように尋ねていると考えら
れるか」といった投げかけを生徒に随時行うこ
とで,発話の流れや応答のしかたについて日頃
から考えさせていく。以下のような例を提
示し,「会話の流れ」について考えさせる。
A: 〔
〕
B: I come to school by bike.
中3英語- 8 -
全
学
年
○「条件英作文」の ○教師が「正確に書く活動(Accuracy, Focus on
問題への対応
form, Practice of grammar の視点をもった活
動)」と「テーマに対しコミュニケーションと
して成り立つように書く活動(Fluency, Focus
on context, Use of grammar の視点をもった
活動)」を区別して,日常の授業に「書く」活
動を取り入れる。
○テーマに対して書かせる場合,「内容の組み立
て方」に関する指導を行うことも重要である。
○辞書で調べなければ分からない単語を,自分が
知っている単語に置き換えて書くといった工夫
について指導する。
全
学
年
○ 「 定 着 度 の 二 極 ○「つまずきを防止するための指導」として,特 *つまずきの原
化」への対応
に中学校入門期の指導改善を図る。
因となる要素を
○「つまずきを早期発見し,対処するため」に, 分析し,授業改
遅くとも1年1学期を終えた時点で,つまずき 善に生かす。
の有無や箇所について把握する。その上で,指
導計画や指導内容,指導方法について見直し,
以後の指導に生かす。
○授業において,一層きめ細やかな指導を行う。
(例)①例文や説明の精選と工夫 ②ドリル練習
→言語活動のステップの連携 ③活動後の定
着問題の実施 ④読解活動と学習活動(音読
など)の連携
○習熟度別指導を活用する。日常の授業でも可能
な対応(ワークシートの工夫など)を取り入れ
る。
○学習形態を工夫して,「学び合い」を行う場面
を設定する。(ペアや小集団を活用する)
○県教委が実施する「つまずき診断テスト」の結
果の活用を図る。
全
学
年
○新学習指導要領へ ○「授業時数の増加」「指導する語数の増加」の
の対応
趣旨は,「身近な事柄について一層幅広いコミ
ュニケーションを図るようにするため」である
ことを踏まえ,指導計画を立てる。
○コミュニケーション能力の基礎となる文法を,
「コミュニケーションを支えるもの」としてと
らえ,文法指導を言語活動と一体的に行うよう
改善を図る。
○評価方法等の工夫改善を行う。
=単元の指導計画において,単元の目標に「言
語活動に関する事項」を上位に位置付け,指導
にあたる。行動観察やノートの点検,ポートフ
ォリオや振り返りカードを十分に活用し,一人
ひとりの生徒にとって,より望ましい評価が行
えるよう改善を図る。
中3英語- 9 -
*生徒に英語で
伸び伸び表現さ
せる機会を設け
る。
*「ALTの先生
に,自分の町を
紹介しよう」と
いうように,対
象や目的を明確
にした上で,活
動に取り組ませ
たい。
*『評価規準の
作成,評価方法
等の工夫改善の
ための参考資料
(平成 23 年7月
国立教育政策研
究所発行』を参
照
全
学
年
○「読解力」のさら ○「読解指導」の改善を行う。テキスト理解のた
なる向上への対応
めの発問の工夫や,読解活動と学習活動(音読
など)の表現活動自体の工夫が効果的である。
○教科書本文にとどまらず,それより量の多い,
まとまった内容の英文の読解に取り組ませる。
○県教委作成資料の活用を行う。
『社会生活にいきる読解力向上をめざして
~読解力向上のための実践事例集』の活用
(平成 23 年3月 山梨県教育委員会発行)
・実践事例をもとに,実際に自分の授業で実践した
り教材開発をしたりして,読解力向上に取り組む。
学習状況調査問題例
別表1
大
問
問
内
容
題
分
題材・ポイント・問題例
類
4 ア ・時刻
・午前,午後の時間帯
・くだものの名前
・数
・誰が誰と何をしたか
・教科名
・曜日
などを扱った英文を聞いて答える問題。
放送される英文
I'm Keiko. I take care of animals at school every day.
選択肢
①
②
③
④
数
1
(リスニング問題)
放送された
会話の内容に
合っている絵
を,示された
絵の中から1
つずつ選ぶ問
題。
2
3 イ ・誰が誰と何をしたか
放送された
・出身地がどこか
などについて尋ねる問題。
英文を聞い
て,英文の内
放送される英文
容に合う日本
Tomorrow is Sunday. Nancy will watch a movie with Midori tomorrow.
語の文になる
問 題
ように,示さ
ナンシーは明日,みどりさんと(
)予定である。
れた日本語の
選択肢
(
)内に
①テニスをする ②買い物に行く ③映画を見る ④図書館に行く
入る語を選ぶ
問題。
3 (リスニング問題) 3 ウ ・内容について5W1Hを用いた質問をされ,答える問題。
放送される
放送される英文
会話を聞き,
そのあとでそ
Hideki: Hello, Nancy.
(リスニング問題)
中3英語- 10 -
の会話に関わ
る3つの質問
がされる。そ
の答えとして
最も適切なも
のを,選択肢
からそれぞれ
1つずつ選ぶ
問題。
Nancy:
Hideki:
Nancy:
Hideki:
Nancy:
Hideki:
Nancy:
Hideki:
Nancy:
Hideki:
Hello, Hideki. What time did you come here?
I came here at nine in the morning.
Oh, really? What kind of books are you reading now?
There are many books here, but I came here to study
for a test.
When do you have the test?
We'll have a math test next week.
Then you'll be busy this weekend, right?
Yes, that's right. How about you? What are you going
to do this weekend?
I'm going to go shopping with my friends.
That's nice!
質 問
What is Nancy going to do this weekend?
選択肢
① She will go to a movie. ② She will go to her friend's house.
③ She will go to school.
④ She will go shopping.
4
絵を参考に 3 エ ・定型の会話表現を中心に扱っている問題。
し,対話のや
・「どのように尋ねたら,こう答えるか(こう尋ねたら,どう答えるか)」
り取りについ
など,対話のやり取りについて問うことが多い。
て考え,選択
〔バスの中で〕
肢から選ぶ。
(
(1)
)
I'm reading a book about animals.
選択肢
① How are you?
② Do you like books?
③ What kind of book are you reading?
④ How many books do you have?
5
英文が正し 4
・文の中で動詞や形容詞を正しい形に直して書くことができるか。
くなるよう
に,文中の
オ
She ( teach ) me how to play the piano yesterday.
(
)内の
語を1語で適
切な形に直
カ
My father is ( tall ) than my brother.
し,文を完成
させる問題。
Noboru can run the ( fast ) in his class.
中3英語- 11 -
6
会話が成り 5
・SVO, SVC, SVOO, SVOC などの文型を理解しているか。
立つように,
キ (1) A: Will you ( pictures / me / these / show ) ?
( )内の語
B: Sure.
を並びかえて
ク (2) A: ( fine / be / if / will / it ) next Sunday, will you
英文を完成さ
go to the park with me?
せる問題。
B: That's a good idea.
7
対話文を読 4 ケ ・前後の内容から考えて,対話が成り立つような英文を選択肢から選ぶ。
んで,その内
コ ・内容に関する問いに対して,3語以上の英語で答える。
容に関する問
サ ・内容について正しく述べているものを,選択肢(日本語)から選ぶ。
いに答える問
題 。( 対 話 文
(問題例 略)
の語数:約90
語)
8 (長文問題) 5 シ ・代名詞 it や them などが示す内容を,選択肢(日本語)から選ぶ。
まとまった
ス ・登場人物が話した内容に関し,なぜそのように言ったかなど,日本語で
内容の英文を
答える。
読んで,語法
セ ・英文にふさわしいタイトルを,選択肢から選ぶ。
や内容に関す
る問いに答え
(問題例 略)
る 問 題 。( 長
文の語数:約
140語)
9 与 え ら れ た 1 ソ (例)
テーマに対し
て,指定され
あなたは英語の授業で,「好きな食べ物」についてスピーチを行う
た数以上の英
ことになりました。好きな食べ物と,好きな理由が分かるよう
語で書く問
に,3 文 以 上の英語で書きなさい。
題。
10 (長文問題) 3 コ ・語法や読んだ文章の内容について問う。
対話文を読
サ ・代名詞が示す内容が何かについて問う。
んで質問に答
シ ・対話として成り立つような内容を考えて答える。
える問題。
(文章の語数
Nancy: Hello, Ken.
:約140語)
Ken:
Hello, Nancy. How are you?
Nancy: (1)I'm very happy.
Ken:
Why?
Nancy: I met an old friend yesterday.
Ken:
That's nice.
Nancy: Her name is Ann, and we were in the same club.
Ken:
What club were you in?
Nancy: I was in the computer club.
Ken:
I didn't know that. Then you're good at computer,
right?
(2)
Nancy: Yes.
Ken:
Great!
(以下略)
中3英語- 12 -
問題
ア
イ
下線部(1)の理由を日本語で答えなさい。
下線部(2)のthat の内容として最も適切なものを次の①~④の
中から選び,記号で答えなさい。
①ナンシーが幸せな気持ちだということ。
②ナンシーが昨日,昔の友だちに会ったということ。
③ナンシーがコンピュータ部に入っていたこと。
④ナンシーがコンピュータに詳しいということ。
ウ 本文の内容に合っているものを,次のア~エの中から1つ選び,
記号で答えなさい。
※選択肢は,ア~エまで英文で示されている。(例は略)
注)
年度によって,設問数や問題形式等が異なる。
中3英語- 13 -
⼀単元の中における4技能の総合的な育成を⽬指した単元計画と指導例
題材
Program6 「シアトルでの1⽇」 Sunshine English Course 1(開隆堂)
時数計画
指導手順
主な学習
内容・言
語活動
◎中心技能
○関連技能
備
考
① 題 材 ・ ト ピ ッ ク へ の コミュニカティブな 導 入
*シアトルマリナーズの球団旗,イチローの写真を見せ,ど
この国の何という都市に関係があるか尋ねる(ワシ
ントン州シアトル市)。
*富士山の写真を見せて名前を確認した後,Mt.Ranier
の写真を見せ,名前を知っているか尋ねる(Mt.Ranier
はシア トルの 南東約 100km に あ る,富士山に形が
良く似ている山である。)
*場所や人口,日本とのつながり等について,地図や
数字を書いたカード等用いながら,生徒とやりとり
をしながらシアトルに関する知識・理解を深める。
語(句)
プリン
ト使用
◎ Listening
◎ Speaking
習
得
型
②本文,新出文法,新出語句のコンテクストの中での提示
*プログラム6の本文・新出文法・新出語句をまとめ
たものを生徒に配付する。
*教師が§1から§3までを読む。各セクションごと,
新 出 文 法 は 文 法 プ リ ン ト を , 新 出 語 句 は Semantic
map を用いて,文法と語彙を提示する。
文法理
解,ド
リル学
習,音
読等練
習
◎ Listening
習
得
型
・
活
用
型
③リスニングによる理解(セクションごと)
*○×式で手を挙げさせる,答えられる質問には日本
語(英語)で答える,などの方法で行う。
(例えば,
§1…山の名前,野球場の名前
§2…ユキのお
父さんが好きなスポーツは何か,ユキのお母さんが
好きな食べ物は何か §3…この観光スポットが人気
がある理由 など。)
内容
理解
◎ Listening
○ Speaking
習
得
型
・
活
用
型
④リーディングによる理解
*セクションごとに黙読によるリーディングを行う。
その後,Listening Comprehension の ためのタスクを
提示し,さらに細かい内容について理解する。
*理解の程度により,英語による質問も行う。
内容
理解
◎ Reading
○ Listening
○ Speaking
習
得
型
・
活
用
型
第5時
第6時
Practice
⑤語彙の発音練習~文型練習~音読
*語彙の発音練習は,できればその時間の始め等に毎
時間行うことが望ましい。(フラッシュカード,
Semantic map を用いる)
*文法を再度説明・確認し,文型練習を行う。
*指さし一語読み,チャンク読み,Back-up Technique,
起立読み,シャドーイング,適語補充読み(『読み
プリ』…テキストを(
)で虫食い状態にしたも
のを用いた音読活動)等を行う。
音読練
習,文
型練習
◎ Reading
○ Listening
○ Speaking
第7時
Production
⑥指導・要約法(guided summarizing)
* キ ー ワ ー ト ゙ に よ っ て 本 文 概 要 を 表 し た concept map
(semantic map)を用いて,本文内容を要約する。
*内容に関する自分の考え,感想などを加える(plus
one summary)
要約
練習
◎ Writing
○ Speaking
第1時
Presentation
第2時
Presentation
第3時
Comprehension
第4時
Comprehension
主な学習内容
習
得
型
・
活
用
型
活
用
型
・
探
求
型
※基礎・基本の確実な習得及び4技能の総合的な育成を行うために,「習得型」「活用型」「探
求型」の学習を単元に計画的に位置付けることが重要である。
中3英語- 14 -
4技能を総合的に育成するために,インプットの活動(listening や reading)からアウトプッ
トの活動(speaking や writing)へつなげるための production の活動が大変重要である。ここでは,
「指導・要約法(guided summarizing)」を利用した活動例を取り上げる。
※
題材
指導・要約法(guided summarizing)
=キーワードよって本文概要を表したconcept map(semantic map)を用いて,本文内容を要
約する方法。
Program 8 「Clean Energy」 Sunshine English Course 1( 開隆堂)
8-1
大介が自分のおじさんのことをクラスに紹介しています。
Daisuke: Look at this picture. This is my uncle's house.
Yuki: It has a lot of solar panels.
Daisuke: That's right. He gets a lot of energy from the sun.
Yuki: He likes clean energy, right?
Daisuke: Right.
Mr.Brouwn: It's good for the earth.
8-2 大介がおもちゃのソーラーカーを見せています。
Daisuke: Take a look at this. It's a solar car.
Takeshi: A solar car?
Daisuke: That's right. It uses solar energy.
Takeshi: Is it fast?
Daisuke: Yes, very fast.
Takeshi: Whose car is it?
Daisuke: It's mine, of course. It's a present from my uncle.
8-3 由紀や武史が大介に質問します。
Takeshi: Did your uncle make that car?
Daisuke: Yes. His name is Komazawa Jun.
Yuki: Oh, I watched him on TV yesterday.
Daisuke: Did you?
Yuki: He talked about solar energy.
Daisuke: Yes. He knows a lot about clean energy. I really respect him.
(注)concept mapに記されている語(句)をアンダーラインで表している。
【上記英文の concept map】
Daisuke
uncle
Komazawa Jun
solar panels
sun
energy
solar car
respect
uncle
solar
energy
good for the earth
his
【指導・要約法によって作成された英文の例】
Clean Energy
Daisuke has an uncle. His house has many solar panels. He gets energy from the
It is good for the earth. His uncle's name is Komazawa Jun. He made a solar car.
It uses solar energy. Daisuke respects his uncle.
中3英語- 15 -
sun.
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