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省エネにおける ノウハウ・スキルと計測・検証の標準化
資料5 省エネにおける ノウハウ・スキルと計測・検証の標準化について 平成21年1月20日 資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 省 エ ネ ・ 新 エ ネ 部 目 次 頁 (1)省エネのノウハウ・スキルの標準化 ・・・ 2 ①事業者自らによる省エネのためのノウハウのマニュアル化 ・・・ 2 ②省エネサービスで求められる(又は期待される)スキルの 整理・特定、資格化 (2)計測・検証の標準化 ・・・16 ・・・22 1 (1)省エネのノウハウ・スキルの標準化 ○省エネのノウハウ・スキルの標準化については、 ①事業者自らによる省エネのためのノウハウのマニュアル化、 ②省エネサービスで求められる(又は期待される)スキルの整理・特定、資格化 を分けて考える必要があるのではないか。 ①事業者自らによる省エネのためのノウハウのマニュアル化 ○省エネのノウハウについては、これまでも例えば以下のようなマニュアル等が整備されてきた。 ・省エネ法の判断基準 ・省エネルギー診断技術ハンドブック(省エネルギーセンター) ・省エネルギー実施要領(経済産業省) ・地球温暖化対策管理者ハンドブック(東京都) ・ESUM、BAMS、その他SaaSを活用したソフトウェア提供(省エネルギーセンター、民間企業等) ○どの程度まで詳細にマニュアル化することが可能か、あるいは必要か。また、国によるマニュア ルやソフトウェアの無料配布は、省エネサービスの展開という観点からは、どう考えるべきか。国と しても、事業者にとって分かりやすい省エネのメニューの提示や、省エネ法の執行に役立つマニュ アル・ソフトウェアの提供はむしろ強化すべきではないか。 ○これらをエネルギー管理士試験・研修・講習にも反映していくことが考えられるのではないか。 2 省エネ法の判断基準(※1) ●目的、位置付け: 目的、位置付け: 省エネ法第5条第1項の規定に基づき、工場・事業場でエネルギーを使用する事業者が、 エネルギーの使用の合理化を適切かつ有効に実施するために必要な措置等を経済産業 大臣が定め、公表したもの。 (※1) 「工場又は事業場におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」 平成18年3月29日経済産業省告示第65号 ●概要: (1)エネルギーの使用の合理化の基準(基準部分) エネルギー管理に関して、実施すべき6分野(※2)のそれぞれについて、日常的に 実施すべき4項目(※3)を規定。 (※2) ①燃料の燃焼の合理化、②加熱及び冷却並びに伝熱の合理化、③廃熱の回収利用、 ④熱の動力等への変換の合理化、⑤放射、伝導、抵抗等によるエネルギーの損失の 防止、⑥電気の動力、熱等への変換の合理化 (※3) ①管理、②計測及び記録、③保守及び点検、④設備の新設に当たっての措置 (2)エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置(目標部分) エネルギー管理に関して、工場・事業場全体としてのエネルギー消費原単位を、 技術的かつ経済的に可能な範囲で、中長期的にみて年平均1%以上の改善という 目標を実現するための措置を記載。 ●各事業者は「判断基準」に基づき、エネルギー消費設備ごとに、その運転管理、計測 及び記録、保守及び点検のやり方などについて管理標準を定め、エネルギーの使用の 合理化に努めることとされている。 3 具体例 (空調設備管理における外気冷房活用) ●基準部分 基準部分 2−2 空気調和設備、給湯設備等 (1) 空気調和設備、給湯設備の管理 <抜粋> ② 空気調和設備の熱源設備の管理は、外気条件の季節変動等に応じ、熱源機と ポンプ、冷却塔等の補機とを含めた設備の総合的なエネルギー効率を向上させる ように管理標準を設定して行うこと。 ③ 空気調和設備の熱源設備が複数の同機種の熱源機で構成され、又は使用する エネルギーの種類の異なる複数の熱源機で構成されている場合は、外気条件の 季節変動等に応じ、稼動台数の調整又は稼動機器の選択により熱源設備の総合 的なエネルギー効率を向上させるように管理標準を設定して行うこと。 ●目標部分 1 エネルギー消費設備等に関する事項 (6) 空気調和設備、給湯設備、換気設備、昇降機設備等 <抜粋> 3) 空気調和設備については、CO2センサー等による外気導入量制御又は全熱交換 器等の採用により、外気処理に伴う負荷の削減を検討すること。また、夏期以外の 期間の冷房については、外気による冷房又は冷却塔により冷却された水を利用した 冷房を行う等熱源設備が消費するエネルギーの削減を検討すること。 4 業界向け省エネルギー実施要領 ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・平成19年11月29日、省エネルギー・省資源対策推進会議により「省エネルギー国民 運動の強化について」を決定。 ・飲食料品小売業、一般飲食店、病院、宿泊業、社会福祉・介護事業、学校、各種商品 小売業をはじめとする各産業の所管省庁は、必要に応じ経済産業省の協力を得て、 同年度中に、当該産業について省エネの具体的な実施方法を提示した省エネ推進の ための実施要領を作成し、本実施要領を活用したエネルギー管理の徹底について指導 を行うこととした。 ●概要: ・「省エネルギー国民運動の強化について」を受け、飲食料品小売業、一般飲食店、病院、 宿泊業、社会福祉・介護事業、学校、各種商品小売業について、業界関係者を含む 7つの検討委員会における検討を踏まえ、各業界向けの省エネルギー実施要領を作成。 (平成20年3月31日) ・実施要領は業界ごとに7種類作成。構成内容は、業界毎のエネルギー消費の実態、省エネの ポイント、削減効果について具体例を挙げて解説しているとともに、チェックリストを添付。 経営者やビルオーナー等も省エネに取り組みやすいよう工夫。 ●活用状況: ・本実施要領をインターネット上で公開し、広く周知。 (http://www.meti.go.jp/press/20080331014/20080331014.html) 5 具体例 (空調設備管理における外気冷房活用等) 『病院における省エネルギー実施要領 病院における省エネルギー実施要領』 3.2 設備別省エネ対策のポイント <抜粋> 空調設備 ○ 24 時間空調が必要なゾーンの夜間運転はそれ以外のエリアとの空気出入りを 少なくしましょう ○ 室内空気圧を適正に管理しましょう ○ 手術室、中材等の無菌エリアの夜間(非使用時)は循環風量を清浄度が保てる 最小限まで小さくしましょう ○ 陰圧の必要な感染症病室等は昼と夜での圧力差に注意しましょう ○ 中間期、冬期にも冷房の必要なゾーンにはできるだけ外気冷房を行いましょう 6 省エネルギー診断技術ハンドブック ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・工場・事業場に対して省エネルギー診断を行う者(診断員)を対象に、エネルギーの使用 の合理化を適切かつ有効に実施するため、一定水準以上の診断が行われる よう、診断 のポイントをまとめたもの。 ・省エネルギーセンターが作成(平成19年8月)。 ●概要: ・エネルギー管理(法体系、管理の進め方等)と主要設備(※)等について、「判断基準」と 関連付けて、それぞれの基本的事項と定量的な評価方法を記載。 ・診断員や施設管理担当者等が現場で使うことを想定して、管理、計測及び検証等の 考え方や方法論に加え、具体的かつ定量的なデータや算出方法等も網羅している。 (※)主要設備: ①熱源・熱搬送設備、②空調・換気設備、③給湯、給・排水、冷凍・冷蔵、厨房設備、 ④受変電・電気設備、照明・コンセント設備、⑤建物及び昇降機 ●活用状況: ・省エネルギー対策導入指導事業(省エネルギー診断事業)において、診断員(約480人) が診断に当たって参考とするほか、診断先の工場・事業場(今年度は約1200件)にも 無償配布。 7 具体例 (空調設備管理における外気冷房活用) Ⅲ.空調・換気設備 空調・換気設備 1.空調設備の省エネルギー運転管理 1.3 取入れ外気量の適正化 (P72) <抜粋> ビル空調では室内の空気清浄度を確保するために外気が導入される。建築基準法 では、20㎥/h・人の外気取入れ量を設計基準としている。(中略) 取入れ外気量の負荷は冷房負荷の15∼30%、暖房負荷の20∼50%占めている。 室内環境管理基準が確保できる範囲で外気量を減らせば、外気負荷が小さくなり 省エネルギーとなる。(中略) 室内CO2濃度が基準値1,000ppmに対して環境測定データで700ppmの場合、 (中略)外気CO2濃度350ppmとすると、室内設定値700ppmのときの外気量Q1と 設定値900ppmのときの外気量Q2の比Q2/Q1は下式から0.64となるので、室内 設定値を700ppmから900ppmに変更すれば外気量を36%(=1-64%)低減できる。 Q2/Q1 = (700-350)/(900-350) = 0.64 (※取入れ外気量を減らした場合の定量的な効果に関する図表等を掲載) 8 地球温暖化対策管理者ハンドブック ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・東京都環境確保条例による地球温暖化対策計画書制度の実施にあたり、削減対策 (業務部門編・産業部門編)、推計実績削減量の算定方法、地球温暖化対策計画書の 作成の手引、平成17年度提出計画書の集計結果等をまとめたもの。 ・地球温暖化対策管理者講習会でのテキストとして使用している。 ・東京都環境局作成(平成17年)。 ●概要: ・地球温暖化対策計画書制度についての総論から具体的計画書等の作成方法につい て記載している。特に具体的な対策事項については、業務部門と産業部門に分けて、 点検表、削減対策メニュー、削減対策事例、基本対策の解説を記載している。 ●活用状況: ・点検表は、削減対策の選定にあたり、対象事業所が設備・機器の稼動状況を把握し、 対策余地の有無を把握するためのもの。点検表では、燃焼設備や空気調和設備、受 電設備、照明設備等、すべての事業所に共通する設備・機器を網羅的にとらえ、当該 設備・機器の稼動状況のチェックポイントを記載。 ・削減対策事例集は、対策の削減効果の算出方法や実施方法の参考として作成し たもの。計画書等に添付する削減効果の根拠資料の参考としても利用できるようにし ている。 9 具体例 (空気調和設備、換気設備) 東京都地球温暖化対策 地球温暖化対策点検表 3.空気調和設備、換気設備(抜粋) 10 ESUM(Energy Specific Unit Management tool) ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・ビルの消費エネルギー、省エネルギー量を“見える化”して省エネ計画を立てるための 原単位管理ツール。省エネ法の判断基準においても、このようなシミュレーション・ツールの活用 を慫慂。 ・省エネルギーセンターが作成(平成18年)。 ●概要: ・建物全体及び部門別の空調、照明、給湯など用途別のエネルギー消費量と原単位を把握が できる。 ・室温変更,熱源機器の更新等,各種省エネ対策を行った場合の省エネ効果の定量評価 ができる。 ・気象条件等を補正した原単位管理ができる。 ・多種・複数熱源の特定の日時における熱源切替や、台数制御などの検討ができる。 ・機器の必要容量が自動計算できるため、導入されている機械の容量が評価できる。 ●活用状況: ・省エネルギーセンターのHPから無料でダウンロードできる。 ( http://www.eccj.or.jp/audit/esumt2/index.html ) ・同センターにおいて昨年より本ツールの普及活動を展開中。 ・改正省エネ法により事業者単位の規制が導入されることを背景として、ビルのテナント専有部分 のエネルギー消費量の推計に活用することを検討中。 ・簡易版も作成中。 11 (参考)ESUM出力内容の例 <エネルギー消費構造と原単位> 電気、ガス、地域熱供給などエネル ギーの種類別、消費先別消費量、な らびにエネルギー消費原単位が計算 される。(屋内駐車場を除いた原単位 も算出される) <省エネ対策効果> 各年度毎の計算値と実績値を比較し、 省エネ効果を原単位で比較できる。 1.前年度計算値(営業時間13時間) 2.前年度実績値 3.本年度計算値(営業時間1時間短縮) 4.本年度実績値 (この結果、1時間の営業時間短縮で原 単位が5%削減されることがわかる。) 12 BAMS(Building-energy Appraisement Management System) ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・業務部門の省エネを推進するため、業務用ビル(事務所ビル)の省エネルギー状況を評価する ものさしとして開発されたもの。 ・(社)日本ビルエネルギー総合管理技術協会が作成(平成13年) 。 ●概要: ・ エネルギー消費原単位(年間エネルギー消費量/延床面積)を評価の基本とし、 建物の構 造・仕様、導入設備、エネルギー源の選択、建設設備の運用管理等の要因に基づいたエネル ギー消費の状況を確認・評価できるシステム。 ・建物用途別に(現状では事務所ビルのみ)、地域特性や建物の使用状況等を補正したエネル ギー消費量を比較・評価できるように工夫されている。 ・米国のEnergy Star Label for Buildingsに用いられているベンチマーキングツールをモデルとし ている。米国では既にいくつかの建物用途向けに開発されており、これらのツールを用いた制 度も運用されている。 ●活用状況: ・ (社)日本ビルエネルギー総合管理技術協会のHPから無料でダウンロードできる。 (http://www.kanrisien.jp/) ・同協会が実施する、ビルの省エネルギー推進表彰制度・登録制に活用。 13 (参考)BAMSの評価方法 エネルギー消費原単位から建物規模、地域性及び「利用者側起因による要因」(建物使用状況、OA化レベル)を取り除き、 「ビル側起因による要因」(建物の構造・仕様、建物設備、エネルギー源の選択、建物設備の運用管理)によって優劣を判定。 エ ネルギー消費原単位とBAMSの関係 エネルギ ー 消費原単位 単純原単位 ︿ 実 当該ビル個別の利用状況による 影響を実測値から差し 引いた原単位 特殊設備補正 サーバ補正 店舗補正 屋内駐車場補正 エネルギー消費量 測 延 床面積 暫定補正 エネルギー 消費原単位 業務 延床面 積 補正後 エネルギー 消費原単位 BAMS 値 ﹀ 住宅面積除去 (共用分込) 空室除去 倉庫除去 屋内駐車場除去 LAN補正 差分比率 補正後エネルギー 消費原単位 統計データ より 求めた係数を 利用した計算 共通的な利用者側 要因 に基づき計算 される当該ビルの 標準となる原単位 利用者側 起因による要因 ︿ 計 算 値 オーナー側 起因による要因 ・建物規模 (延床面積) ・地域差 (CDD+HDD) ・建物使用状況 (在館人員数) (ビ ルの稼働時 間) (空調運転時間) ・OA化レベル (パソコン台数) 標準エネルギー 消費原単位 = 標準エネルギ ー消費原単位 標準 エネルギー 消費原単位 ﹀ ・建物の構造・仕様 ・建物設備 ・エネルギー源の選択 ・建物施設の運用管理 (出所)日本ビルエネルギー総合管理技術協会資料 14 その他SaaSを活用したソフトウェアの提供 ・ SaaS(Software as a Service)とは、ベンダー(プロバイダ)側がサーバ上でソフトウェアを動 作させ、そのソフトウェアの機能をインターネットを経由してユーザーが活用する仕組み。ユー ザー側での、システム投資やソフトウェアの更新管理等メンテナンスも不要。 ・省エネを支援するソフトウェアについては、 SaaSを活用して、民間企業において、省エネ診断、 エネルギー使用量の見える化、省エネ法に基づく中長期計画や管理標準の作成支援、エネル ギー消費原単位の評価支援、熱源設備の最適設計・運用解析などのソフトウェアがすでに提供 されている。 ・年間利用料は数万円∼100万円弱程度。主にサブコンなどが省エネコンサルティングのため に利用している。 ・このほか、 SaaSを活用した省エネ・CO2削減サービスの提供を開始する企業が見られる。 ・今後、中堅・中小企業の利用を拡大していくためには、安価に利用できるソフトウェアの充実が 必要ではないか。 15 ②省エネサービスで求められる(又は期待される)スキルの整理・特定、資格化 ○我が国ではサービスの対価に対する意識が希薄だが、省エネサービスの産業化に当たって は、「サービス・情報はタダ」状態を払拭する必要がある。省エネサービスや情報提供に付加価 値を認め、適正な価格形成が行われることが不可欠ではないか。そのためには、省エネサービ スのスキルの整理・特定、資格化を進めることが有効ではないか。 ○省エネサービスに必要なスキルとしては、現在のエネルギー管理士試験で求められている現 場の省エネに関する知識に加え、例えば、 −省エネ投資の分析(ファイナンス、費用対効果、投資回収年数など) −地球温暖化問題(カーボンクレジット等) −省エネルギー効果の計測・検証 −企業全体のエネルギー管理の最適化(物流効率化も含む) −法令、自治体の条例に関する知識 等が重要ではないか。 (注)情報サービスや経理等の事業支援サービスについては、経済産業省が、それぞれ「ITスキ ル標準」、「経理・財務サービス・スキルスタンダード」を策定しており、前者については国家資 格試験、後者については民間能力検定でも活用されている。 ○これらのスキルについては、「特級」又は「第一種」エネルギー管理士として、国家資格試験に つなげていくべきではないか。 16 ITスキル標準 ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・ITプロフェッショナルの育成やITサービスの質の向上のため、情報サービスの提供に必要な実務能力を明確 化、体系化し、IT人材の職種やレベルの基準を統一した指標。産学におけるITプロフェッショナルの教育訓練 などIT人材育成の「ものさし」となるもの。 ・具体的には、各種ITサービスの提供に必要なスキルを要素分解し、客観的な観察可能性や、教育・訓練での 活用可能性の観点から整理。 ・平成14年度に作成(経済産業省)。 ●概要: ・情報サービス産業を対象とするが、ユーザー企業でも応用が可能。 ・ビジネス成果の視点からは、職種を11に分類し、更に35専門分野を細分化し、個人の能力や実績に基づく 7段階のレベルを規定(キャリアフレームワーク)。 ・レベルは経験と実績の達成度指標で評価される。 ・能力の視点からは、職種と専門分野に必要な実務能力を、教育・訓練に活用する観点から要素分解した 「スキル項目」とそれを細分化した「知識項目」、それらの習熟の度合いを示す「スキル熟達度」を定義。 ●活用状況: ・従業員規模1000名以上のIT企業において60%強、300名から1000名未満の企業においても40%強活用され ている(IT人材市場動向予備調査より(2008/2公開))。 ・ITに係る人材の客観的な評価メカニズムの構築を目的に、レベル評価の手段として情報処理技術者試験(※) を活用できるようにしている(レベル1∼4。レベル4の評価には試験の合格と、業績の双方から評価。)。 ※情報処理技術者の育成のため、基礎的な原理や技能、専門的技能について総合的 レベルを測る、「情報処理の促進に関する法律」に基づいた国家試験。 17 (参考)ITスキル標準の具体的記載例 ITスキル標準V3 ITスキル標準 V3 2008 第3部スキル編 スキル領域とスキル熟達度・知識項目(職種別) プロジェクトマネジメント 専門分野: システム開発 プロジェクトマネジメントのスキル熟達度・知識項目 スキル項目と知識項目 【職種共通スキル項目】 ●プロジェクト・タイム・マネジメント スキル熟達度 レベル7 ピーク時の要員数500 人以上、ま たは年間契約金額10億円以上規模のプロ ジェクト責任者として、アクティビティ定義、アクティビティ順序設定、アクティビティ 資源見積り、アクティビティ所要期間見積り、スケジュール作成、スケジュール・コ ントロールを実施し、プロジェクトを成功裡に遂行することができる。 【知識項目】 −アクティビティ定義 −アク ティビティ順序設 定 −アク ティビティ資源見 積り −アク ティビティ所要期 間見積り −スケジュール作成 −スケジ ュ ー ル・コ ント ロール レベル6 レベル5 レベル4 レベル3 ピーク時の要員数50人以上500人未満、または年間契約金額5億円以上規模 のプロジェクト責任者として、アク ティビテ ィ定義、ア クティビテ ィ順序設定、アク ティビティ資源見積り、アクテ ィビティ所要期間見積り、スケジュール作成、スケ ジュール・コントロールを実施し、プロジェクトを成功裡に遂行することができる。 ピーク時の要員数10人以上50人未満、または年間契約金額1億円以上のプロ ジェクト責任者として、アクティビティ定義、アクティビティ順序設定、アクティビティ 資源見積り、アクティビティ所要期間見積り、スケジュール作成、スケジュール・コ ントロールを実施することができる。 ピーク時の要員数10人未満、または年間契約金額1億円未満のプロジェクト責 任者として、アクティビティ定義、アクティビティ順序設定、アクティビティ資源見積 り、アクテ ィビティ所要期間見積り、スケジュール作成、スケジュール・コントロー ルを実施することができる。 プロジェクトメンバとして、プロジェクトマネジャー(または、リーダ)のもとでアクティ ビティ定義、アクティビティ順序設定、アクティビティ資源見積り、アクティビティ所 要期間見積り、スケジ ュール作成、スケジュール・コントロールを実施することが できる。 18 経理・財務サービス・スキルスタンダード ●目的、位置付け: 目的、位置付け: ・サービス産業の振興の一環として、製造業において内製化されていたサービス部門のアウトソーシングの 受け皿となる事業支援サービス市場の構築を目的。 ・経済・財務部門の業務手順(プロセス)をフローチャートで表示するとともに、各業務に求められるスキルを 機能別・網羅的に整理。 ・平成15年度に作成(経済産業省)。 ・作成当時は、企業の管理部門業務の外部化が進む中、企業内における長期的な人材育成に代替する メカニズムが必要となっていた。また、会社法改正や金融商品取引法(J-SOX法)の施行を受け、平成 19年度、内部統制管理のスキルまでを含めた経理・財務サービス・スキルスタンダード2.0が開発された。 ●概要: ・企業の経理・財務部門担当者を対象。 ・経理・財務業務を売掛債権管理や在庫管理など機能別に36項目に分類し、さらに与信管理など企業の機能、 限度額設定など経理・財務が果たす機能等に応じて更に細分化(業務マップ)。 ・経理・財務サービス・スキルスタンダード2.0においては、それぞれの業務について、リスクとそのコントロール のあり方を4つの領域に分けたスキル標準を整備。 ●活用状況: ・レベル評価手段として経理・財務スキル検定を活用。 「経理・財務サービス・スキルスタンダード」に掲載された36業務のうち、定型業務として標準化された24業務 を対象とした日本CFO協会による民間検定。 19 (参考)経理・財務サービス・スキルスタンダードの具体的記載例 経理・財務サービス・スキルスタンダード2.0 【1】売掛債権管理(業務マップ) 会社 機能 1 .1 与信管理 経理・ 財務機 能 (業務プロセス 経 理・財 務機能 の内容 区 分) 1 .1.1 視点 【新規】限度 新規の取引先に対し財務情報 安全性 設定 等より取引限度額や取引条件を 設定する リ スク コントロ ール コントロール 頻度 スキル標準 領 域A 領域B 領域C 領域 D 新規取引先に対し、 恣 意的に与信限度額が 設定されるリスク を低 減す るためのコント ロー ルを特定できる 新規取引先に対す る 恣意的な与信限度額 の設定を回避するコ ン トロールが、そのリスク を十分に低減してい る か評価できる 新規取引先に対する 恣意的な与信限度額 の設定を回避するコン ト ロールが、意図され たとおり実施され機能 しているか評価できる 組織目標の達成を阻 害する、新規取引先に 対して恣意的に与信限 度額が設定されるリス クを特定し、こ のリスク を低減するためのコ ン トロー ルを業務に合わ せて組み込むこ とがで きる 新規取引先に関する定量情報 担当者は、新規取引先の財務数値 限度額設定時 の把握を誤り、誤っ た与信限度 等の定量情報を確認し、自社で定 額を設定する める与信基準の算定フォ ーマットに 適切に反映されていることを確認す る 新規取引先に関する 定量情報の把握を誤る リスクを低減するため のコ ントロールを特定 できる 新規取引先に関す る 定量情報の把握の誤り を回避す るコントロー ルが、そのリスクを十 分に低減してい るか評 価できる 新規取引先に関する 定量情報の把握の誤り を回避するコ ント ロー ルが、 意図されたとお り実施され機能してい るか評価できる 組織目標の達成を阻 害する、新規取引先に 関する定量情報の把 握を誤るリスクを特定 し、このリスクを低減す るためのコントロール を業務に合わせて組み 込むこ とができる 新規取引先の定性情報の把 担当者は、新規取引先の窓口と 限度額設定時 握を誤り、誤った与信限度額を なっている社内部門に対し当該取 設定する 引先に関する定性情報を問い合わ せると共に、信用調査機関に信用 調査を依頼し、確認する 新規取引先に関する 定性情報の把握を誤る リスクを低減するため のコ ントロールを特定 できる 新規取引先に関す る 定性情報の把握の誤り を回避す るコントロー ルが、そのリスクを十 分に低減してい るか評 価できる 新規取引先に関する 定性情報の把握の誤り を回避するコ ント ロー ルが、 意図されたとお り実施され機能してい るか評価できる 組織目標の達成を阻 害する、新規取引先に 関する定性情報の把 握を誤るリスクを特定 し、このリスクを低減す るためのコントロール を業務に合わせて組み 込むこ とができる 新規取引先に対し、 適切でな い決済方法(現金・ 銀行振込・ 小切手・手形等)を設定する 担当者は、新規取引先の個別の信 限度額設定時 用状況や業界慣行を確認し、社内 で規定されている基準に則って決 済方法が決定されているこ とを確認 する 新規取引先に対して適 切でない決済方法を設 定するリスクを低減す るためのコントロール を特定できる 新規取引先に対す る 適切でない決済方法 の設定を回避するコ ン トロールが、そのリスク を十分に低減してい る か評価できる 新規取引先に対する 適切でない決済方法 の設定を回避するコン ト ロールが、意図され たとおり実施され機能 しているか評価できる 組織目標の達成を阻 害する、新規取引先に 対する適切でない決済 方法を設定するリスク を特定し、このリスク を 低減す るためのコント ロールを業務に合わせ て組み込むことができ る 新規取引先に対し、 適切でな い支払サイトを設定する 担当者は、新規取引先の個別の信 限度額設定時 用状況や業界慣行を確認し、社内 で規定されている基準に則って支 払サイトが決定されていることを確 認する 新規取引先に対して適 切でない支払サイト を 設定するリスク を低減 するためのコ ント ロー ルを特定できる 新規取引先に対す る 適切でない支払サイト の設定を回避するコ ン トロールが、そのリスク を十分に低減してい る か評価できる 新規取引先に対する 適切でない支払サイト の設定を回避するコン ト ロールが、意図され たとおり実施され機能 しているか評価できる 組織目標の達成を阻 害する、新規取引先に 対する適切でない支払 サイト を設定するリスク を特定し、このリスク を 低減す るためのコント ロールを業務に合わせ て組み込むことができ る 新規取引先に対し、恣意的に 与信限度額が設定される 与信を設定する部門とは異なる管 限度額設定時 理部門(経理部門等)の担当者は、 社内で規定されている与信基準に 則って与信限度額が設定されてい るこ とを確認する 20 (参考)技術士業務報酬の手引き ・技術士とは、技術士法に基づく国家資格。科学技術の高度な専門応用能力を必要とする事 項について,計画・研究・設計・分析・試験・評価,またはこれらに関する指導業務を行う。 ・(社)日本技術士協会では、「技術士業務報酬の手引き」において、推奨報酬額を参考として 示している。 平成19年度技術士報酬に関する手引き(抄) (総則) 社団法人日本技術士会員(以下受託者という)が技術士業 務を行う場合の報酬は、この手引きを参考に算出すること が推奨される。なお、消費税は別途計上するものとする。 (報酬の取り決め方) 1. 技術士業務に対する報酬の取りきめ方は、次の方式 又はこれらの組合せによる。 (1) 日ぎめ、月ぎめ又は年ぎめ方式 (2) 定額積算方式(注:直接人件費、諸経費、技術料、業 務の遂行に直接必要な経費の積み上げによる) (3) プロジェクト金額の歩合による方式 (4) 一括方式 平成19年度技術士報酬に関する参考資料 1. 日ぎめ方式の場合の一日当りの報酬額 143,000円 (注) 旅費宿泊費、交通費は別途実費 2. 定額積算方式の場合の直接人件費 名称 一日当たり 一時間当たり 技術士 68,100円 9,730円 技術士補 30,000円 4,280円 3. 鑑定に関する業務の出廷料と文書料 名 称 金 額 出廷料(1回当り) 100,000円 文書料(1件当り) 50,000円 (注)文書が20頁程度を上回る場合には文書料を割増すことができる。 4. 技術に関する指導料・相談料 名 称 金 額 指導料(1回当り) 90,000円 相談料(1時間当り) 25,000円 21 (2)計測・検証の標準化 ・省エネ効果の計測・検証についても標準化を進めることにより、省エネサービスへの市場の信 頼を高めるとともに、計測・検証のコストを低減できるのではないか。また、「ESCOは手間がか かる」というESCOユーザーの認識を変える一助にもなるのではないか。 ・我が国のESCO事業者は、米国のIPMVPおよび省エネセンター作成のガイドラインを足がかり に独自のノウハウを積み上げてきているが、本ガイドラインは、2002年以降見直しが行われ ていないことから、アップデートしてはどうか。 『省エネルギー効果の計測・検証手法ガイドライン 省エネルギー効果の計測・検証手法ガイドライン』(2002/3 2002/3 省エネセンター作成) ○日本においてESCO事業が導入・発展する過程において計測・検証に関するトラブルの 発生を防ぎ、省エネルギー効果を確実に実現するとともに、委託事業者およびESCO事 業者の利益保護を目的として、2002年にIPMVP*(国際性能計測・検証議定書)をもと にして策定。 IPMVPではESCO事業者と事業委託者のトラブルを回避するための計測・検証手法を オプションAからDに4つに分類し、その考え方と適用例を示しているが、その具体的 手順は示されていないため、本ガイドラインでは各オプションについて計測・検証の 基本的な考え方及び手順を示している。 *IPMVP:International Performance Measurement & Verification Protocol ESCO事業の成果としての省エネルギー量を客観的かつ科学的に評価し、事業を円滑に進めるために 米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)が作成。この省エネルギー量を求める行為を計測・検証 (M&V:Measurement & Verification)と呼んでいる。 22 IPMVPにおける計測・検証のオプション オプ ションA (簡易的手法) 計測・検証の対象 ベースラインの設定 改修後の消費量の把 握 適用技術の例 オプ ションB (長期計測による手法) オプ ションC (統計的処理 による手法) オプ ションD (シ ミュレーション による手法) ・導入した省エネ手法毎 のデータから評価する ・システムの負荷変動 が小さい ・システムの運転時間 が一定である ・導入した省エネ手法毎の データから評価する ・システムの負荷変動 が大きい ・システムの運転時間 が変動する ・省エネ効果をシステム 又は建物全体のデータ から評価する ・省エネ効果をシステム 又は建物全体のデータ から評価する ・カタログデータあるいは 短期計測結果に稼働時 間を乗じて求める ・短期計測結果より求める。 (必要に応じ変動要因との 関係を数式化) ・改修前の実績データ (3年間程度)より推計式 を開発する(変動要因と の関係を統計解析によっ てモデル化) ・オプションCと同様の 手法を用いる、あるい は、実績値を再現する ようにシミュレーターの 係数を調整 ・カタログデータあるいは 短期計測結果に稼働時 間を乗じて求める ・機器別消費量を長期計測 ・変動要因については、 ベースラインを調整し、 実績値で評価 ・変動要因を統計解析結 果に反映させ、改修前の 条件に合わせたエネ消 費量を推計 ・コンピューターシミュ レーション ・高効率蛍光器具 ・電球型蛍光灯 ・人感センサーによる照 明制御 ・ポンプ・ファンのイン バーター化 ・配電用変圧器 ・BEMS ・コージェネレーション ・冷温水供給系統の改善 ・空調制御 ・断熱フィルムの貼り付 け ・BEMS ・外気のCO2制御 ・空調制御 ・熱源機制御 ・空調システムの変更 (出所)村越千春「我が国におけるESCO事業の発展経緯と事業特性に関する研究」(2008年) 23