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文部科学省の取り組み - 公益社団法人日本医師会 治験促進センター

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文部科学省の取り組み - 公益社団法人日本医師会 治験促進センター
※冊子から一部修正及び追加あり
平成24年度 治験推進地域連絡会議
文部科学省の取り組み
高等教育局医学教育課
1.医科大学・大学病院の役割
2
大学とは
教育基本法第7条第1項
大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うととも
に、深く真理を探求して新たな知見を創造し、これらの成果を広く
社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
第2項 大学については、自主性、自律性その他の大学における
教育及び研究の特性が尊重されなければならないものとすること。
※平成18年の改正教育基本法制定時に、知識基盤社会における大学の役割の重要性や、
大学の固有の特性にかんがみ、大学の基本的な役割等について新たに規定した。
学校教育法第83条
大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門
の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させる
ことを目的とする。
第2項 大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、そ
の成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するも
のとする。
3
大学医学部・医科大学の使命とは
大学医学部・医科大学の使命は、医学教育の実践の場
として学生の教育と医師の養成を行い、併せて高度先進
医療の研究・開発を目指すことによって、国民の保健・医
療・福祉への貢献を行うものと考える。
『医師養成の検証と改革実現のためのグランドデザイン』
平成23年12月 全国医学部長病院長会議 より
4
大学病院とは
大学設置基準第39条
次の表の上欄に掲げる学部を置き、又は学科を置く大学には、その
学部又は学科の教育研究に必要な施設として、それぞれ下欄に掲げ
る附属施設を置くものとする。
学部又は学科
医学又は歯学に関する学部
附属施設
附属病院
医療法第4条の2
病院であって次に掲げる要件に該当するものは、厚生労働大臣の承
(平成24年4月1日現在)
認を得て、特定機能病院と称することができる。
※94%が大学病院
1 高度の医療を提供する能力を有すること
6.0%
2 高度の医療技術の開発及び評価を行う
(5)
50.0%
(42)
能力を有すること
34.5%
3 高度の医療に関する研修を行わせる能力
(29) 9.5%
を有すること
(8)
国立大学病院
公立大学病院
私立大学病院
その他
5
特定機能病院の要件(詳細・抜粋)
1 高度の医療を提供する能力を有すること
<承認要件>抜粋
注:平成24年3月から、特定機能病院及び
地域医療支援病院のあり方に関する検討
会において、承認要件を含め検討中
○特定機能病院以外の病院では通常提供することが難しい診療の提供を行うこと。
・先進医療の数が2件以上、又は、先進医療の数が1件で、特定疾
患治療研究事業に係る診療を年間500人以上の患者に対して
行っていること。
2 高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること
<承認要件>
○特定機能病院以外の病院では通常提供することが難しい診療に係る技術の研究
及び開発を行うこと。
・病院に所属する医師の行う研究が、国、地方公共団体、特例民法法人、一般社
団・財団法人又は公益社団・財団法人から補助金の交付又は委託を受けたもの
であること。
・病院に所属する医師等が発表した論文の数が年間100件以上で
あること。
○医療技術の有効性及び安全性を適切に評価すること。
6
大学病院における先進医療の実施状況
➀大学病院における先進医療の実施状況(H24.12.1現在)
(1)先進医療A(全66種類)
実施して
いない
3
4.5%
実施医療
機関なし
2
3.0%
(2)先進医療B(全40種類)
実施して
いない
2
5.0%
実施中
61
92.4%
実施中
38
95.0%
➁先進医療のうち、少なくとも、最初に大学病院が適用を受けたもの(H24.12.1現在)
(1)先進医療A(全66種類)
その他の
医療機
関
11
16.7%
大学病
院
53
80.3%
(2)先進医療B(全40種類)
実施医
療
機関なし
2
3.0%
その他の
医療機関
6
15.0%
大学病院
34
85.0%
7
先進医療の保険導入について
平成24年度診療報酬改定において、下記先進医療23技術を保険導入
【参考】先進医療技術数(H24.1.1現在) ・・・第2項先進医療95種類、第3項先進医療(高度医療)37種類
(1) 告示番号 4:インプラント義歯【35】
(2) 告示番号 6:人工括約筋を用いた尿失禁手術【4】
(3) 告示番号 11:CTガイド下気管支鏡検査【2】
(4) 告示番号 13:筋強直性ジストロフィーの遺伝子診断【1】
(5) 告示番号 16:抗悪性腫瘍剤感受性検査(HDRA法又はCD-DST法)【7】
(6) 告示番号 26:腫瘍脊椎骨全摘術【1】
(7) 告示番号 32:腹腔鏡補助下膵体尾部切除又は核出術【6】
当該先進医療(全23種類)のうち、
(8) 告示番号 36:エキシマレーザー冠動脈形成術【5】
最初に大学病院が適用を受けた
(9) 告示番号 39:三次元再構築画像による股関節疾患の診断及び治療【3】
もの
(10) 告示番号 43:隆起性皮膚線維肉腫の遺伝子検査【4】
(11) 告示番号 46:内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術
(12) 告示番号 48:先天性銅代謝異常症の遺伝子診断
その他の
医療機関
(13) 告示番号 49:超音波骨折治療法【21】
3
13.0%
(14) 告示番号 54:色素性乾皮症の遺伝子診断【1】
(15) 告示番号 58:腹腔鏡下直腸固定術【1】
(16) 告示番号 60:肝切除手術における画像支援ナビゲーション【10】
(17) 告示番号 65:内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術【3】
大学病院
(18) 告示番号 67:先天性難聴の遺伝子診断【20】
20
(19) 告示番号 74:マイクロ波子宮内膜アブレーション【2】
87.0%
(20) 告示番号 78:内視鏡的大腸粘膜下層剥離術【23】
(21) 告示番号 85:腹腔鏡下膀胱内手術
(22) 告示番号 86:腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術【3】
(23) 告示番号 88:根治的前立腺全摘除術における内視鏡下手術用ロボット支援【2】
※【 】内の数字は当該先進医療を実施している国立大学病院数(H24.1.1現在)
8
2.医学教育を通じた研究医の養成
9
医学教育の改善・充実への取組
<課題・背景>
<医学教育の改革>
(1)ECFMGからの通告
により、米国の医師国
家試験を受験するには、
世界基準の認証を受け
る必要
①真の診療参加型臨床実
習の実施
・時間数の確保
・内容の充実
(2)日本の臨床実習は
時間数の確保や診療参
加型実習が十分ではな
い
(3)医師国家試験が知
識中心であり、医学部6
年次後半が予備校化
(4)初期臨床研修と卒前
実習の内容の重複が多
い
グロバールスタンダー
ドへの対応による世界
基準の認証評価取得
②CBT、OSCEの合格基準
の統一
③Advanced OSCE(卒業時
OSCE)の実施
<基礎研究医の養成>
④卒前からの研究室配属
大学自らの能力評価
を通じた医師国家試験
の合理化
卒前実習の充実による
基本診療能力向上に基
づく
初期臨床研修の充実
④MD-Ph.Dコースの促進
<達成目標>
グローバルス
タンダードを
超える医師の
養成
優れた研究医
の確保
④卒前・卒後一貫の研究医
養成コース等の設置
(5)医師の臨床志向によ
り基礎研究医が減少
④学生に対する経済的支援
(6)地域医療崩壊による
大学の医療支援に対す
る要望
<地域医療支援システムの構築>
⑤大学と地域医療機関の連
携による地域医療支援
(7)地域からの総合診療
医の養成に関する要望
<効果>
⑥総合診療医の養成
将来の医療の進歩を
担う基礎研究医の養
成
地域が求める
医療人の養成
大学と地域医療機関
の連携による優れた総
合診療医の養成
10
基礎研究医に関する状況①
13ページと分割
・基礎系大学院入学者に占める医師免許取得者(MD)の割合が低下している。
○ 全国医学部大学院入学者においてMDが占める比率の推移
臨床系大学院MD率
基礎系大学院MD率
第4回 今後の医学部
入学定員の在り方等
に関する検討会資料(
東京大学 清水教授
作成)
国立大学医学部長会議2008
11
基礎研究医に関する現状②
追加資料
○我が国の一般基礎医学系教員においてnon-MDが占める率の変化
80%
助教・助手
20年後
講師
10年後
50%
助(准)教授
全体
教授
0%
第4回 今後の医学部入
学定員の在り方等に関
する検討会資料(東京
大学 清水教授作成)
12
研究医養成に関する現状
11ページと分割
・専門医取得への志向に比べ、博士号取得の志向は低調。
◆臨床研修医の専門医志向と、博士号取得志向の状況
3
2
.
9
%
2
5
.
1
%
(出典)厚生労働省 平成18年度
「臨床研修に関する調査」報告:
2年次研修医への調査
13
医学教育モデル・コア・カリキュラム(H13.3策定、H19.12、H23.3改訂) (概要)
○学生が卒業時までに身に付けておくべき、必須の実践的診療能力(知識・技能・態度)に関する到達目標を明確化
○履修時間数(単位数)の3分の2程度を目安としたもの (残り3分の1程度は各大学が特色ある独自の選択的なカリキュラムを実施)
○冒頭に「医師として求められる基本的な資質」を記載、患者中心の医療および医療の安全性確保も明記
○医学の基礎となる基礎科学については、別途「準備教育モデル・コア・カリキュラム」として記載
選択的なカリキュラム(学生の履修時間数 (単位数)の3分の1程度)
教養教育
※各大学が理念に照らして設置する独自のもの(学生が自主的に選択できるプログラムを含む)
(学生の履修時間数(単位数)の3分の2程度)
医 師 と し て 求 め ら れ る 基 本 的 な 資 質
C 医学一般
物理現象と
物質の科学
病因と病態
F 診療の基本
E 全身におよぶ
生理的変化、病態、
診断、治療
症状・病態からのアプローチ
基本的診療知識 基本的診療技能
C
C
B
臨B
臨
T
床T
床
知
実知
実
識
習
習識
開
開 ・
始・
始
O
前O
前
S
のS
の
C
「C
「
E
共E
共
用技
技
用
試
能
試能
験
・
験・
」
態
」態
度
度
))
情報の科学
人の行動
と心理
生命現象の科学(再掲) 個体の反応
個体の構成と機能
生命現象
の科学
D 人体各器官の
正常構造と機能、
病態、診断、治療
((
診察の基本
G
臨
床
実
習
診察法
基本的診療手技
診療科臨床実習
(内科系、外科系、救急医療)
地域医療臨床実習
((
人
文
・
社
会
科
学
・
数
学
・
語
学
教
育
な
ど
A 基本事項
医の原則
コミュニケーションとチーム医療
生活習慣と疾病
課題探求・解決と学習の在り方
社会・環境と健康
保健、医療、福祉と介護の制度
地域医療
死と法
))
B 医学・医療と社会
医療における安全性確保
診療情報
医
医
師
師
国
国
家
家
試
試
験
験
疫学と予防医学
臨床研究と医療
14
平成22年度医学教育モデル・コア・カリキュラム改訂のポイント
①基本的診療能力の確実な習得
臨床実習終了時までに到達すべき総合的な診療能力の基礎としての、知識、技能、態度に
関する目標を明確化。
②地域の医療を担う意欲・使命感の向上
地域医療に関して、入学時から段階的・有機的に関連づけて実施することに効果的に体験
を蓄積していくことが必要であることを記載。
③基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養
「A 基本事項」に「医学研究への志向の涵養」に係る項目を新設。
④社会的ニーズへの対応
医療安全(患者および医療従事者の安全性確保)の観点、患者中心のチーム医療(医療分
野における多職種連携)の観点
その他(少子高齢化、男女共同参画の促進)へ対応する観点から、記載を充実。
⑤大学、学会等へ期待する事項
・卒前の研究室配属などの学生時代から医学研究への志向を涵養する教育や、医療関係者
以外の方の声を聴くなどの授業方法の工夫など、各大学における特色ある取組の実施。
・より効果的な医学教育方法の確立に向けた、学会等における具体の教育手法や教材開発。
・基本的臨床能力の習得のため、各大学・大学病院が、臨床実習に参加する学生の適性と質
を保証し、患者の安全とプライバシー保護に十分配慮した上で、診療参加型臨床実習の一層
の充実。
15
医学教育モデル・コア・カリキュラムの記載内容<抜粋>
A 基本事項
3 課題探求・解決と学習の在り方
(3)医学研究への志向の涵養・・・平成22年度改訂により追加
一般目標:
生命科学や医療技術の成果を生涯を通じて学び、病因や病態を解明する等の医学研究への志向を涵養する。
到達目標:
1) 研究は、医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的として行われるべきことを説明できる。
2) 生命科学の講義・実習で得た知識をもとに、診療で経験した病態の解析ができる。
3) 患者や疾患の分析をもとに、教科書・論文等から最新の情報を検索・整理統合し、疾患の理解・診断・治療の
深化につなげることができる。
4) 検索・検出した医学・医療情報から新たな課題・仮説を設定し、解決に向けて科学的研究(臨床研究・疫学研
究・生命科学研究等)に参加することができる。
B 医学・医療と社会
(8)臨床研究と医療・・・平成12年度の初版から記載
一般目標:
医療の発展における臨床研究の重要性について学ぶ。
到達目標:
1) 副作用報告と有害事象報告の違いを説明できる。
*2) 臨床研究、臨床試験、治験と市販後臨床試験の違いを説明できる。
*3) 研究目的での診療行為に要求される倫理性を説明できる。
*4) 研究デザイン(二重盲検法、ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験、観察研究、症例対照研究、コホー
ト研究、メタ研究<メタアナリシス>を概説できる。
*5) 診療ガイドラインの種類と使用上の注意を列挙できる。
*6) 薬物に関する法令と医薬品の適正使用に関する事項を列挙できる。
注1)到達目標:学生が卒業時まで(一部は臨床実習開始前まで)に身に付けておくべき個々の実践的能力
一般目標:到達目標を習得することで達成される目標
注2)*:卒業時までに習得すべきレベルの内容。ただし必要に応じて臨床実習開始前から学習すべき内容も含む。
16
薬学教育モデル・コア・カリキュラムにおける臨床研究・治験に関する記載<抜粋>
C 薬学専門教育
C17 医薬品の開発と生産
一般目標:
将来、医薬品開発と生産に参画できるようになるために、医薬品開発の各プロセスについての基本的知識を修得
し、併せてそれらを実施する上で求められる適切な態度を身に付ける。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)医薬品開発と生産のながれ
一般目標:
医薬品開発と生産の実際を理解するために、医薬品創製と製造の各プロセスに関する基本的知識を修得し、社
会的重要性に目を向ける態度を身に付ける。
【医薬品の承認】
※平成14年3月策定の
到達目標:
本コア・カリは、現在、
△1) 臨床試験の目的と実施概要を説明できる。
改訂に向けて検討中
△2) 医薬品の販売承認申請から、承認までのプロセスを説明できる。
3) 市販後調査の制度とその意義について説明できる。
△4) 医薬品開発における国際的ハーモナイゼーション(ICH)について概説できる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)治験
一般目標:
医薬品開発において治験がどのように行われるかを理解するために、治験に関する基本的知識とそれを実施す
る上で求められる適切な態度を修得する。
【治験の意義と業務】
到達目標:
1) 治験に関してヘルシンキ宣言が意図するところを説明できる。
2) 医薬品創製における治験の役割を説明できる。
3) 治験(第Ⅰ、Ⅱ、およびⅢ相)の内容を説明できる。
△4) 公正な治験の推進を確保するための制度を説明できる。
△5) 治験における被験者の人権の保護と安全性の確保、及び福祉の重要性について討議する。(態度)
△6) 治験業務に携わる各組織の役割と責任を概説できる。
17
薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会
1.目的
薬学系人材養成の在り方に関する検討会の審議を踏まえ、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に関
する恒常的な組織を設置する。
2.役割
4.委員
(1)薬剤師国家試験出題基準の改正や法制度・名称等
の変更に対応した、モデル・コアカリキュラムの改訂
(2)学生への教育効果の検証等、モデル・コアカリキュラ
ムの検証・評価
(3)モデル・コアカリキュラムの改訂に必要な調査研究
(4)モデル・コアカリキュラムの関係機関への周知徹底、
各大学の取組状況の検証等、モデル・コアカリキュラ
ムの活用に必要な事項
(5)その他モデル・コアカリキュラムの改訂に必要な事項
赤池昭紀
井関 健
○市川 厚
伊藤 喬
井上圭三
入江徹美
太田 茂
奥 直人
永田泰造
長野哲雄
中山洋子
奈良信雄
3.開催状況
第1回(23年 9月 2日)
第2回(23年 9月29日)
第3回(23年10月25日)
第4回(23年11月21日)
第5回(24年 1月17日)
第6回(24年 4月16日)
第7回(24年 7月 9日)
第8回(24年 2月 7日)
○ は座長
名古屋大学創薬科学研究科教授
北海道大学病院薬剤部長・教授
武庫川女子大学薬学部長・教授
昭和大学薬学部教授
帝京大学副学長
熊本大学薬学部教授
広島大学薬学部教授
静岡県立大学薬学部教授
公益社団法人日本薬剤師会常務理事
東京大学薬学部教授
福島県立医科大学看護学部教授
東京医科歯科大学
医歯学教育システム研究センター長
平井みどり 神戸大学病院薬剤部長・教授
吉富博則 福山大学薬学部長・教授
松原和夫 京都大学医学部附属病院薬剤部長・教授
18
薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に向けた考え
-基本的な資質に基づいたコアカリキュラムの改訂-
薬剤師として求められる基本的な資質(案)
①薬剤師としての心構え ⑥薬物療法における実践的能力
②患者・生活者本位の視点 ⑦地域の保健・医療における実践的能力
③コミュニケーション能力 ⑧研究能力
④チーム医療への参画
⑨自己研鑽
⑤基礎的な科学力
⑩教育能力
薬学教育と実務実習モデル・コアカリキュラムの一本化
薬学教育モデル・コアカリキュラムの大項目
F 薬学臨床教育
C 薬学基礎教育
G 薬学研究
D 衛生薬学教育
※冊子から赤文字部修正
E 医療薬学教育
薬学教育モデル・コアカリキュラムの中項目
A 基本事項
B 薬学と社会
GIO
SBOs
・・・・・・
・・・・・・
・・・
GIO
GIO
SBOs
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・・・・
SBOs
・・・・・
・・・・・
・・・・・
19
薬剤師として求められる基本的な資質(案)
豊かな人間性と医療人としての高い使命感を有し、生命の尊さを深く認識し、生涯にわたって薬の専門家としての責任を
持ち、人の命と健康な生活を守ることを通して社会に貢献する。
6年卒業時に必要とされている資質は以下の通りである。
(薬剤師としての心構え)
薬の専門家として、豊かな人間性と生命の尊厳について深い認識をもち、薬剤師の義務及び法令を遵守するとともに、人の命と健康な生
活を守る使命感・責任感及び倫理観を有する。
(患者・生活者本位の視点)
患者の人権を尊重し、患者及びその家族の秘密を守り、常に患者・生活者の立場に立って、これらの人々の安全と利益を最優先する。
(コミュニケーション能力)
患者・生活者、他職種から情報を適切に収集し、これらの人々に有益な情報を提供するためのコミュニケーション能力を有する。
(チーム医療への参画)
医療機関や地域における医療チームに積極的に参画し、相互の尊重のもとに薬剤師に求められる行動を適切にとる。
(基礎的な科学力)
生体及び環境に対する医薬品・化学物質等の影響を理解するために必要な科学に関する基本的知識・技能・態度を有する。
(薬物療法における実践的能力)
薬物療法を総合的に評価し、安全で有効な医薬品の使用を推進するために、医薬品を供給し、調剤、服薬指導、処方設計の提案等の薬
学的管理を実践する能力を有する。
(地域の保健・医療における実践的能力)
地域の保健、医療、福祉、介護及び行政等に参画・連携して、地域における人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献する能力を有する。
(研究能力)
薬学・医療の進歩と改善に資するために、研究を遂行する意欲と問題発見・解決能力を有する。
(自己研鑽)
薬学・医療の進歩に対応するために、医療と医薬品を巡る社会的動向を把握し、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。
(教育能力)
次世代を担う人材を育成する意欲と態度を有する。
20
薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(2013年2月7日暫定版)
における臨床研究・治験に関する記載<抜粋>
追加資料
B 薬学と社会
B1 薬剤師と医薬品等に係る法規範
GIO 調剤、医薬品等(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器)の供給、その他
薬事衛生に係る任務を薬剤師として適正に遂行するために必要な法規範に
ついて学ぶ。
(2)医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に係る法規範
1.薬事法の目的及び医薬品等(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器)の定義を
説明できる。
2.医薬品の開発から承認までのプロセスと法規範を概説できる。
3.医薬品の治験について概説できる。
4.医薬品等の製造販売及び製造に係る法規範について説明できる。
5.製造販売後調査制度について説明できる。
6.薬局、医薬品販売業及び医療機器販売業に係る法規範について説明できる。
7.医薬品等の取扱いに関する薬事法の規定について説明できる。
8.生物由来製品の取扱いと血液供給体制に係る法規範について説明できる。
9.健康被害救済制度について説明できる。
※薬学研究全般については、G薬学研究の中で明記。
21
これまでの医学部(医学科)入学定員の推移
追加資料
○昭和57年閣議決定に基づき、医師過剰の懸念から医学部定員の抑制を開始。
○平成18年財務、総務、文科、厚労4大臣合意以後、地域の医師確保の必要性から偏在解消策と組み
合わせた医学部定員増(地域枠)を開始。(H20→H25の6年で1,416人増)
(人)
10,000
S59→H15
9,000
S56年
最後の医学部新設
8,280人
(S56~S59年)
△655人減
H19→H25
9,041人
H25年
(予定)
1,416人増
7,625人
(H15~19年)
8,000
平成20年度
7,000
定員増開始
6,000
5,000
4,000
2,840人
(S37年)
3,000
2,000
S48年 閣議決定
「無医大県解消構想」
S57年 閣議決定
に基づき定員抑制
開始
H9年 S57閣議
決定の方針継続を
再度閣議決定
H18年 4大臣合意
新医師確保総合対
策
1,000
0
昭
和
36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25
平成
22
研究医枠の状況
○平成22~25年度定員において、優れた研究医養成に取り組むため定員増を認可
●平成22年度
(合計35名)
●平成23年度
都道府県
区分
大学名
宮城県
東京都
東京都
愛知県
京都府
大阪府
山口県
長崎県
東京都
東京都
東京都
国立
国立
国立
国立
国立
国立
国立
国立
私立
私立
私立
東北大学
東京大学
東京医科歯科大学
名古屋大学
京都大学
大阪大学
山口大学
長崎大学
慶應義塾大学
順天堂大学
帝京大学
H22入学定員
119人
110人
100人
112人
107人
110人
114人
120人
112人
119人
112人
うち研究医枠
募集人員
2人
2人
1人
2人
2人
2人
1人
1人
2人
1人
1人
都道府県
区分
大学名
茨城県
滋賀県
山口県
福岡県
東京都
国立
国立
国立
国立
私立
筑波大学
滋賀医科大学
山口大学
九州大学
順天堂大学
H23入学定員
113人
117人
117人
111人
120人
うち研究医枠
募集人員
1人
2人
1人
1人
1人
●平成24年度
都道府県
区分
奈良県
公立
東京都
私立
H24入学定
員
うち研究医
枠募集人
員
奈良県立医科大学
115人
2人
順天堂大学
121人
1人
大学名
●平成25年度(計画)
大学名
H25入学定
員
うち研究医
枠募集人員
都道府県
区分
千葉県
国立
千葉大学
122人
2人
東京都
国立
東京医科歯科大学
115人
1人
埼玉県
私立
埼玉医科大学
121人
1人
東京都
私立
順天堂大学
124人
3人
大阪府
私立
関西医科大学
112人
2人
23
各大学の研究医養成コースの設置状況(例)
近年、各大学では、医学部学生のころから研究に触れる様々なプログラムを構築する
等により、研究医の養成に向けた取り組みを強化している。
大学名
コース名
設定年度
募集定員
概要
Ph.D.-M.D.コース
平成13年度
10名程度
医学部進学後2年(M2)または3年間(M3)の基礎医学の教育を受けた者を対象に、医
学博士課程に進み医学博士号(Ph.D.)を取得し、その後医学部へ戻って医学学士
(M.D.)を取得できる。
M.D.研究者育成プログラム
平成20年度
数名程度
M1の時期から基礎研究室の一員として研究に参加し、実験方法や研究姿勢を習得す
ると同時に英語での論文作成やディスカッション・スキルの訓練などを通して、基礎医
学者としての姿勢を体得する。
MD研究者育成プログラム
平成21年度
各学年10名
1・2年次は希望者を対象とした研究紹介や基礎医学研究の体験実習を行い、3年次
以降は基礎医学教室へ配属し、本格的な研究を行う。
平成22年度
法医学・病理学等の基盤的分野の研究医育成を行うSCEAコース(高度学術医育成
SCEAコース:4名
特別プログラム)と、基礎・臨床を問わず研究マインドのある医師・医学者を育成する
AMRAコース:若
AMRAコース(高度学術医育成一般プログラム)の2コースを設置。希望者は、学部4
干名
年次から通常の授業に加えて大学院の授業を受講できる。
平成22年度
6名
東京大学
大阪大学
山口大学
高度学術医育成コース
順天堂大学 基礎医学研究者養成プラン
基礎医学を志す意欲のある学生について、4年次から基礎系研究室に配属し、若手教
員や大学院生の指導のもと研究を行うことができる。学生は研究成果を学会等で発表
したり、短期海外留学の支援を受ける。
24
医学・医療の高度化の基盤を担う基礎研究医の養成
平成25年度予定額:1.8億円概算要求額 3.5億円(10件×2千万円、5件×3千万円)(平成24年度予算額:2億円)
※冊子から赤文字部追加
基礎系に進学する医師(基礎系MD)は極めて少なく、基礎医
学は崩壊の危機。(MD:医師免許を持つ者)
対応
<取組例>※あくまでも例です。
魅力ある基礎研究医養成プログラム構築等の教育改革が必要
②ユニット型教育システムの構築
①医学生の研究マインドをシームレスに大学院につなげる教育プ
ログラムの実施
◇研究の空白期間を作らず、学部・大学院を一貫した教育プログラムを
実施
◇学部教育段階で研究室配属、大学院講義履修等、基礎研究への動
機付け
学部
従来の
学年進行1
1
2
3
4
1
2
3
4
ポスドク・助教
卒後臨床研修 博士課程
5
6
1
2 D1 D2 D3 D4
研究の空白期間
学部
従来の
学年進行2
5
6
1
2
研究テーマ①
博士課程
後期研修 D1
D2 D3 D4
研究の空白期間
博士課程
学部
プログラム
例1
1
2
3
学部 卒後臨床研修
4 D1 D2 D3 D4 5
6
1
1
2
3
4
6
1
2
D1 D2 D3 D4
1
2
3
4
5
6
1 2
D1 D2 D3 D4
研究への動機付け
研究テーマ③
◇ポスドク・助教等若手研究者を雇用し、研究テーマ毎にユニットを構成
し、学部生・大学院生に対するきめ細かい教育・研究指導を実施。
◇ポスドク等の雇用はコース修了者の受け皿となるほか研究リーダーと
しての若手育成が期待でき、キャリアパスの構築に貢献。さらには、
テニュアトラック制の導入を視野。
・優秀な学生に対して海外の先進的な大学への短期留学による研究活動
の実施 によりモチベーションアップ。
・休職中の女性医師を基礎医学へ誘導するためのプログラム。
・学部在席時から学会発表や論文発表の必修化。
・入学者選抜時における基礎研究志望者の確保。
・臨床系大学院との連携による基礎系への転向・回帰を誘導。
・製薬会社等民間企業との連携・協力。
・出前講義、シンポジウム等による学生や社会への基礎研究の魅力の
普及啓発。
研究への動機付け
博士課程
卒後臨床研修
学部
プログラム
例3
研究テーマ②
③その他
卒後臨床研修
5
学部生・
大学院
生
2
▲個別の入学資格審査
学部
プログラム
例2
教授・准教授
ユニット
博士課程
成果
基礎医学教育者の増加
優れた基礎研究医
の増加
基礎研究・橋渡し研究・臨床研究・
創薬・医療機器産業の活性化
25
「医学・医療の高度化の基盤を担う基礎研究医の養成」選定結果一覧
大学名
国公
私
プログラム名称
養成する専門分野
1
東北大学
国立
世界で競い合うMD研究者育成プログラム
基礎医学及び社会医学全般
2
群馬大学
国立
卒前・卒後一貫MD-PhDコース
解剖学、生理学、生化学、薬理学、細菌・ウィルス・寄生虫
学、衛生・公衆衛生学、病理学、法医学
3
東京医科歯科
大学
国立
シームレスな次世代研究者養成プログラム
基礎医学全般
4
山梨大学
国立
リエゾンアカデミー研究医養成プログラム
社会医学を含む基礎医学/生命科学全般
5
滋賀医科大学
国立
産学協働支援による学生主体の研究医養成
解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理、法医学、公衆衛
生学全般
6
神戸大学
国立
基礎・臨床融合による基礎医学研究医の養成
基礎医学分野全般
7
愛媛大学
国立
医学科大学院からの基礎研究医養成コース
基礎医学全般
8
熊本大学
国立
柴三郎プログラム:熊本発 基礎研究医養成
発生学、再生医学、組織・解剖学、エイズ学、ウイルス学、
細菌学、免疫学、病理学、代謝・循環基礎医学、生理学、
生化学、薬理学
9
札幌医科大学
公立
死後画像診断力のある死因究明医養成プラン
法医学、診断病理学、放射線診断学
10
順天堂大学
私立
基礎研究医養成のための順天堂型教育改革
解剖学、生理学、生化学、細菌学、寄生虫病学、免疫学、
薬理学、病理学、衛生学、公衆衛生学、法医学
【選定されたプログラムの主な取組内容】
◆学部・大学院を一貫した切れ目ないコース設定、研究指導体制の充実(ポスドク、助教の雇用)、積極的な海外研修・論文発表、コース修了
者を特任助教として雇用、等
・(山梨大)教員と研究医を志す医学科学生組織の代表者が定期的に連携協議会を開催し、協議内容をプログラム運営に反映
・(神戸大)「基礎臨床融合特命助教」ポストの設定(基礎研究を行いながら臨床業務も兼務)
・(愛媛大)学生研究員制度により、医学生をそのレベルに応じて選抜認定していく富士山型の研究医養成
・(熊本大)基礎研究医を志す女性のための特別コース
26
医学教育改善・充実の方向性
○ 基本的な診療能力の確実な習得とそれらの評価
○ 各大学の設立の理念や特色に応じた診療参加型
臨床実習の充実
○ 地域で求められる医療人材の養成(総合的な診療
能力の養成、院外実習など地域と連携した医学教育)
○ 研究医養成のための教育プログラムの充実
○ 国際的な質保証の要請への対応
平成23年12月の全国医学部長病院長会議
「医師養成の検証と改革実現のためのグランド
デザイン」に示された課題、提言の方向性と
一致
27
未来医療研究人材養成拠点形成事業
追加資料
平成25年度予定額:23億円(1.1億円×20件) ※先進的医療イノベーション人材養成事業の一部
課題
○日本経済再生のため、医療関連分野におけるイノベーションの推進が求められ
ている。
○超高齢社会への移行による疾病構造や人口動態の変化と、それに伴う医療
ニーズの変化に対応するため、新たな医療提供システムの構築が求められている。
対応
○地方自治体、公的研究機関、地域医療機関・医師会、他大
学、民間企業等と連携の上、地域・社会の将来の医療状況を
見通した、長期的視野に立った人材養成システムを構築
※10年、20年先を見据えた人材養成
大学・大学病院
●リサーチマインドを持った総合診療医の養成
●メディカル・イノベーション人材の養成
◇大学病院における診療業務の増加等に伴い、日本の医学研究の国際競争
力が低下
◇研究開発の実践の場(大学病院、公的研究機関、民間企業、海外機関等)の
活用等による研究指導システムの構築により、新たな治療法や医薬品、医療機
器の開発を担うグローバルなメディカル・イノベーション人材を養成
<研究開発の実践の場を活用>
医学部
研究の動機付け・導入教育
医学以外の学部
(工学、農学、情報、経済等)
医科学
修士
医学博士
◇複数の疾患や問題を抱えている高齢者に対して効率的な医療を提
供するため、臓器別・領域別ではなく、患者を幅広い視点で診ることが
できる総合診療医の必要性が指摘されている。
しかし、高度医療を担う大学病院では、一般的な症例や診断前の患
者を経験することが困難。
◇地域の医療機関等と連携し、高齢社会の医療を担う優れた医療人
養成システムや医療機関間・多職種間の情報共有システムを構築
〈 大学病院 〉
臨床研究、治験、国際共同治験
医学部
臨床実習
〈 民間企業 〉
実用化に向けた開発研究
医学博士
〈 海外の医療関連機関 〉
先進的な研究、海外治験
◇地域発のイノベーション創出(地域の医療特性を踏まえた研究等)を担う地域
基盤型イノベーション人材の養成
◇海外武者修行等による国際的に活躍できるグローバル型イノベーション人材
の養成
◇境界領域の革新的な研究を担う分野融合型イノベーション人材の養成 等
●人材養成を強力に推進するための指導体制強化
・若手医師や女性医師、地域医療人、外部機関の活用 等
初期研修
後期研修
◇地域医療機関と連携した多様な患者(高齢者、初診患者等)の診察
(地域基盤型教育)
◇問診や身体所見、カンファレンス等を繰り返し実践し総合的な臨床
推論能力・診断能力(認知症の早期診断を含む)を涵養
◇高齢社会に伴う医療ニーズや行政的課題の解決に向けたリサーチ
マインドを持った人材養成
◇多職種協働実習等により、地域包括ケアのリーダーシップがとれる
能力を涵養
◇定型的な対応でなく、真に患者・家族を理解・尊重した全人的医療
ができる能力を涵養
◇総合診療、在宅医療(在宅看取りを含む)、全人的医療を教育でき
る優れた指導医の養成 等
地域医療人材養成のための事業運営協議会
他大学
地方自治体
地域医療機関・医師会等
成果
〇我が国の医療水準の維持向上
〇大学の地域医療・社会への貢献による将来の医療不安等の解消
28
ご清聴ありがとうございました。
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