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表紙~P21(PDF形式:2.93MB)
「融合新産業」の創出に向けて ~スマート・コンバージェンスの下での システム型ビジネス展開~ 産業構造審議会情報経済分科会 中間とりまとめ 平成23年8月 経済産業省 目次 1.基本的考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P2 2.重点分野に対するアクションプラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15 重点分野の政策展開 (融合システム産業フォーラム(仮称)/融合システムの設計・開発・システム輸出の支援 産業革新機構による事業化リスクマネー供給支援/融合領域における戦略的な標準化活動の促進) 分野1:スマートコミュニティの国内外展開の加速化 分野2:スマートヘルスケア産業 分野3:社会システムに組み込まれるロボット 分野4:情報端末化する自動車と交通システム 分野5:スマートアグリシステム 分野6:コンテンツ・クリエイティブビジネス 3.横断的課題に対するアクションプラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P44 横断的課題1:スマート社会のセキュリティ対策 横断的課題2:スマート社会を切り拓く融合人材と教育 横断的課題3:国際的アライアンスによるグローバル展開 横断的課題4:融合領域における新規プレーヤー創出促進 横断的課題5:ビッグデータから価値を生み出す基盤となる技術強化・利活用促進 4.震災復興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P61 柱1 :被災地域における各種プロジェクト等の重点的・先行的実施 柱2 :クラウド活用等による中小企業再生支援等 柱3 :情報発信、リテラシー対応 (参考):民間事業者への期待 1:基本的考え方 2 基本的考え方 1.特定の事業分野・技術・市場への対応だけでは十分に競争力を確保できない時代が到来'市場 の競争構造が変化(。我が国がもつ要素技術の強さを活かしながら、最初からグローバル展開 を前提に、デジタル化・ネットワーク化による産業構造変化に機敏に対応し、IT融合による新たな システム産業創出を目指す。 2.デジタル化・ネットワーク化が進む中で、製品・サービスが多層レイヤー構造化。この変化を前提 に、ネットワーク接続前の「部分最適」ではなく、接続後の「全体最適」を志向した上でシステム全 体のアーキテクチャを描くことが重要。その中で自社・他社領域の最適な設計を行い、競争力の 源泉となる「制御システム」「統合プラットフォーム」「社会システム」等のシステム設計を担い、イ ンテグレーター機能を押さえることが戦略的に重要。 3.そのため、理念から行動へ移行すべく、以下の重点分野及び横断的課題に係る「アクションプラ ン」を策定・実行。融合分野のリアルなビジネスモデル構築を支援。 【重点分野に対するアクションプラン】 '重点分野の政策展開( 融合システム産業フォーラム'仮称(/融合システムの設計・開発・システム輸出の支援 産業革新機構による事業化リスクマネー供給支援/融合領域における戦略的な標準化活動の促進 '具体的重点分野( スマートコミュニティの国内外展開の加速化/スマートヘルスケア産業 社会システムに組み込まれるロボット/情報端末化する自動車と交通システム スマートアグリシステム/コンテンツ・クリエイティブビジネス 【横断的課題解決に対するアクションプラン】 スマート社会のセキュリティ対策/スマート社会を切り拓く融合人材と教育 国際的アライアンスによるグローバル展開/融合領域における新規プレーヤー創出促進 ビッグデータから価値を生み出す基盤となる技術強化・利活用促進 3 基本的視座① 要素技術の強さのみでは勝てない時代に ○日本は、IT・エレクトロニクス分野を中心に要素技術では、情報家電、環境エネルギー関連など大 量の知的財産を創出・蓄積。いわば『要素技術の宝庫』。 ○他方、グローバル市場では、要素技術を駆使した日本製品は、短期間でシェア下落。一定のシェ ア・利益を確保できる期間はどんどん短くなっており、期待される電池をはじめとした環境・エネル ギー分野でも同じ轍を踏むおそれ。 ○他方、主要米国企業は、デジタル化・ネットワーク化を踏まえつつ、複製コストゼロのソフトウェア を機軸にグローバルで他社技術・事業も組み合わせて『システム全体の中で利益を得る』戦略へ。 日本の工業所有権'液晶関連( 日本製品の世界市場シェアの推移 環境・エネルギー 技術(イメージ) 日本の環境特許技術 ・・・・・ '東京大学 小川紘一特任教授のデータに基づき経済産業省作成( 特許技術のほとんどを握っても、「競争構造の変化」に的確に対応できてい ないため、基礎研究の果実'グローバルマーケット(を摘み取れていない。 ○製品導入からシェア下落までの期間はます ます短期化 '平成20年度 特許出願技術動向調査報告書( 4 基本的視座② 『日本市場発』から『最初からグローバル』へ ○日本市場が世界市場の約2割を占めていた時代には、日本市場で技術を磨いてから世界に展開する流れ に合理性。しかし、2030年には日本市場は世界市場の約6%のみであり、今後の成長のためには最初か らグローバル市場を見据えた事業展開が重要。 ○最初からグローバル展開するためには、市場、競合他社の分析をしつつ、自社・他社の領域設定、戦略的 提携や買収などを通じたグローバルアライアンスが重要に。 世界と日本のGDP 推移 1995年'シェア最大( 18% '2009年、日本のGDPは4.9兆円、シェアは8.8%( 2030年'見込み( 約6% 世界'除日本( 100.8 兆ドル 世界'除日本( 24.0 日本 日本 5.3 兆ドル 兆ドル 6.2 兆ドル 内閣府「世界経済の潮流」等より経済産業省作成 5 基本的視座③ 『デジタル化』『ネットワーク化』→『 IOC・IOT』による産業構造変化 デジタル化 ○文字・音声・映像等の多種多様なアナログ情報を、デジタル情報に変換す ることで、低容量の同種の情報として扱うことが可能に。デジタル情報はソ フトウェアによる制御が可能に。 ○書籍・音楽・映画等のコンテンツのデジタル化が次々に進展したほか、ス マートフォンやセンサーネットワークの普及によって、交通、都市空間、モノ の位置、人間行動等に係る「リアル情報」もデジタル化の対象に。 ネットワーク化 ○各種のデジタル情報は、パソコン、携帯電話、テレビ、ゲーム機を始め 様々な機器がインターネットに接続することによって、瞬時に、安価に、世 界中で共有可能に。 情報通信コストの劇的低下 '1985年比100万分の1以下( ネット接続端末が現在の50億台から 2020年までに500億台に急増 IOC'Internet of Computers(からIOT(Internet of Things)へ ○パソコンを中心に相互にインターネッ トで接続されたシステム内を限定的な デジタル情報が流通する世界 'Internet of Computers(。 ○コンテンツのデジタル化とともにネット ワーク接続のPC、携帯端末、テレビ 等の競争優位の源泉が激変。 出典:喜連川 優 東京大学生産技術研究所 教授 ○デジタルコンテンツだけでなく、世界の あらゆる情報がデジタル化されインター ネット・センサーネットワークを通じて広 く流通する世界へ'「モノのインターネッ ト」Internet of Things(。 ○スマートグリッドを始め、多分野におい て今後、競争優位のポイントが激変。 6 基本的視座④ レイヤー構造化・全体最適化を通じた事業アーキテクチャの設計 ○デジタル化、ネットワーク化を前提とした産業構造の変化を考える際には、多層レイヤー構造で捉えるのが 一つの見方。 ○あらゆるモノがネットワークにつながる以前の『部分最適』からネットワークにつながった後の『全 体最適』化を通じて、競争優位の源泉がシフト。 ○グローバル市場は巨大であり、自社経営資源が限定的である以上、システム全体のアーキテクチャを描 き、その中で自社領域を設定し、競争優位を確保するグローバルアライアンスの形成が重要に。 グローバル市場 グローバル市場での 消費者の根源的ニーズ ・TVが欲しい訳ではなくコン テンツが視聴したい ・自動車ではなく移動手段・体 験が欲しい グローバル市場を俯瞰し、 最適な事業アーキテクチャを自ら設計 要素技術・ コンテンツ等 自社の描くアーキテクチャ 要素技術B 要素技術A コンテンツA コンテンツ (アプリケーション) コンテンツC コンテンツB コンテンツC デジタル化・ネットワー ク化による既存製品・ サービスの再定義や新 サービス創出 短期間にグローバルレベル での製品投入が可能な供給 体制の整備 ネットワークA プラットフォーム (コンテンツストア) ネットワーク (通信インフラ) 自社で提供 ネットワーク事業者A OS 消費者による瞬時・ グローバルな共有と参画 (動画共有サイト、SNS等) ハード (OS/端末) ハードウェア A 必要な要素技術・ コンテンツ等を最 適に組み合わせ 要素技術C ハードウェアA ハードウェア B ハードウェアB ネットワークB 人材B ハードウェアC '参考(スマート社会の新社会システム創出のプロセス 〜 抽象化 〜 ○抽象化:デジタル化・ネットワーク化が進むと、ネットワーク上'※(では、あらゆるモノやシステムは抽象化された ネットワークを構成する結節点'以下「ノード」(とそのノード間のつながり'以下「リンク」(として認識される。 ※インターネットは、個別のノードにIPアドレスを割り振り、ノード間で相互にデータを通信し合うネットワーク。 ○抽象化されたノードとリンクは、抽象化前のモノ'PC、家電等(やシステム'電力システム、交通システム等(固 有の特徴とは無関係に新たなつながりを見いだすことが可能。 ○特に、スマート社会では、インターネット上に、新たなノードとリンクが大量に発生'ビッグデータの発生(するた め、これらの新たなノードとリンクをどのように再構成して新たなシステムを作り上げるかが重要に。 現実世界 実社会 実社会における各ノードや システム固有の事情は捨 象 抽象化した世界 192.168.0.04 192.168.0.01 192.168.0.03 192.168.0.02 192.168.0.05 192.168.0.09 192.168.0.08 医療システム 192.168.0.06 192.168.0.07 医療機器 'MRI( 病院A 192.168.0.16 医療機器 '画像診断( 被介護者 192.168.0.10 病院B 介護ロ ボット 192.168.0.11 192.168.0.13 エネルギーマネジメントシステム 表層的には相互に 独立したシステム 192.168.0.15 エアコン TV ビル 蓄電池 EV スマートメーター ヒートポンプ ・燃料電池 電気事業者 加工 交通システム 信号機 ETC 192.168.0.14 192.168.0.12 蓄積 データベース インターネット上では人もクル マもPCもIPアドレスを割り振ら れたノードとして等価。 抽象化された世界において、 相互に連結したシステムとして、 新たなつながりを見いだすこと が可能に。 カーナビ 8 '参考(スマート社会の新社会システム創出のプロセス 〜 組み替え 〜 ○抽象化されたノードとリンクの存在それ自体は、実社会では意味を持たない。実社会での付加価値を生み出 すには、ノードとリンクを組み替えることにより新社会システムとしての意味づけ'=新たな経済価値の創出(を 見いだすことが必要。 ○そのためには、既存の産業・システムの体系にのみ依存するのではなく、異なる産業、技術、事業、システム、 地域との融合が生まれる場や機会の創出が必要。 現実世界 実社会 抽象化した世界 192.168.0.04 192.168.0.01 192.168.0.03 192.168.0.02 192.168.0.05 新システムを基にした 革新的サービス '例(スマートコミュニティ 192.168.0.09 192.168.0.08 医療システム 192.168.0.06 192.168.0.07 医療機器 'MRI( 病院A 192.168.0.16 医療機器 '画像診断( 被介護者 192.168.0.10 病院B 介護ロ ボット 192.168.0.11 192.168.0.13 192.168.0.14 192.168.0.12 エネルギーマネジメントシステム 192.168.0.15 エアコン TV ビル 蓄電池 EV スマートメーター 電気事業者 加工 交通システム 信号機 表層的には別々のシステムに見える機器・ システムが融合。新たな意味づけが与えら れ、革新的サービスが誕生。 ヒートポンプ ・燃料電池 ETC 蓄積 抽象化されたノード とリンクを組み替え データベース カーナビ 9 '参考(スマート社会の新社会システム創出のプロセス ~全体プロセス~ ○スマート社会において、ITによって生み出される既存産業・事業を超える本質的な変化のプロセスは以下のよ うな段階から構成されるというのが一つの見方ではないか。 ◎デジタル化・ネットワーク化による「抽象化」 デジタル化とネットワーク化することで、あらゆるモノや人はネットワークを構成するノードとして等価に認識さ れる'インターネット上では人もクルマもPCも同じIPアドレスを割り振られたノードとして等価(。 ◎ノード・リンクの組み替えによる新社会システムの創出 抽象化されたノードとリンクの集合を組み替えることで、実社会において、新たな経済的価値を生み出すこと が可能となる新社会システムを創出することが可能に。 抽 象 化 世 界 実 社 会 ノードとリンクの集合 '実社会での意味は捨象( 新たなつながり ノード・リンクの組み替え 抽 象 化 交通・渋滞システム エネルギーシステム IOT化によってあらゆる モノ・人・システムが 抽象化可能に IT融合による 新たな価値創出 医療サービスシステム 情報形式 データ 意味づけされていないデジタル信号や数値等 情報・知識 解釈・価値観が反映された情報 10 IT融合による新社会システムの創出に向けた日本の課題 ○日本は、製品・システム・サービスのデジタル化・ネットワーク化を生み出すITインフラの整備は世界最先端。 今後、IT融合による新事業創出のためには、抽象化されたシステムを再構成することができる企業・事業・技 術の融合が極めて重要に。 <日本の優位>デジタル化・ネットワーク化による「抽象化」のインフラ ○モバイル端末等のインターネット接続端末の普及やブロードバンドネットワークやセンサーネットワーク等の インフラ整備によって対応可能。 → 日本はインターネット接続端末の普及率やブロードバンドネットワークの整備等では世界最先端。 <日本の課題>組み替えによる新社会システムの創出 ○組み替えによって新たなシステムを構想・分析・再構成するためには、異業種・異分野の人材の育成・抜擢 や異業種・異分野のコラボレーションが必要ではないか。 → 日本では、抽象的なシステム構想・分析能力の基礎となる数学、物理、コンピュータ・サイエンス等の バックグラウンドを有した人材が不足。また、異業種・異分野・ベンチャー・大企業等のコラボレーション も活発になされているとは言い難い。 ○産学官問わず分野を横断した人材の流動化が進む米国では、異業種・異分野の融合が自然と生まれており、 様々な観点・立場から組み換えがなされ、新たなシステムの創出につながっているのではないか。 → 日本では、産官学のいずれも分野を横断した人材の流動化は停滞。中長期的課題としての人材流動 化は重要であるものの、短期的には、デジタル化・ネットワーク化の変化を共有しつつ、異分野・異業種 の産官学が集い、分野を超えた新たなシステムの検討を行う場が重要に。 11 '参考(スマート社会においては融合領域の創出が競争優位確保の決定的要素に ○Tesla Motors CEOの イーロン・マスク氏は異業種で次々とベンチャーを創業。ハードウェアを抽象化した世界 においては、あらゆるものがノードとして制御対象となり、実社会での枠組みを超えて、ITというツールを用い、 容易に異分野融合領域を創り出すという好例。 ○アップルのiPhoneはアプリケーション搭載により機能を拡張し、デジタルカメラ、電子辞書、カーナビ、電子書籍 端末等、携帯電話機に留まらない融合領域を次々と創出。 Tesla Motors CEO イーロン・マスク氏経歴 機能追加により次々と融合領域を創出 カーナビ IT × コンテンツ オンライン出版ソフトを提供する Zip2社を起業。 IT × 金融 オンライン金融サービスと電子メールによる支払 サービスを行うX.com社'Paypalの前身(を設立。 デジタルカメラ 電子辞書 IT × ロケット 宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発するス ペースX社を起業。 デジタル ビデオカメラ IT × 自動車 テスラモーターズ社に投資し同社の会長兼CEOに 就任。 電子書籍端末 単純に機能を追加するだけではなく、画像・映 像加工、位置情報連携、ソーシャルネットワー クサービス等、様々な外部アプリケーションとも 連携し、新たな付加価値を創出。 12 '参考(IT融合による新たなシステム創出に向けた日本企業の取組例 ○日本においても、融合領域において新システムの創出がなされた例が複数あり。何れも実現に際しては複数 業種のプレーヤーの連携により実現。 '例(おサイフケータイ : 携帯、金融、交通、小売事業者の連携 ○さらに、グローバル市場で競争優位を確保するには、国内プレーヤー間の連携だけでなく、各分野で国際競 争力、先進技術を持つプレーヤーと連携する必要があり。 '例(トヨタフレンズ : トヨタとクラウドサービス世界最大手のセールスフォース社が提携 「おサイフケータイ」の事例 「トヨタフレンズ」の事例 携帯キャリア・交通機関・小売店・金融機関等との融合 自動車メーカー・米クラウドサービス事業者等との融合 抽象化された世界 ○ ○ ○ 融合後の世界 ・・・ 抽象化された世界 融合後の世界 ○ ○ ○・・・ 実社会 実社会 都市空間において、クーポン、鍵、 小銭、乗車券を利用して行われて いた「移動」、「支払い」、「認証」等 の行為を抽象化。認証・課金基盤 であるICチップを活用し、ワンストッ プサービスとして提供。 自動車を抽象化し、自動 車を「都市交通におけるコ ミュニケーション主体」とし て再定義。クルマが自ら つぶやき、人とコミュニ ケーションを行う。 13 デジタル化、ネットワーク化の浸透度合いに応じた各産業の位置付け ○デジタル化、ネットワーク化を前提とした産業構造の変化は、携帯電話やゲーム機等だけでなく、より幅広い 分野へ波及。既に変化が始まっているスマートグリッド/コミュニティや、ネットワーク化の進展が今後見込ま れる自動車、ロボット、医療・健康や、情報のデジタル化の進展が今後見込まれる農業等は、ITによる産業構 造の変化と新規ビジネス創出の大きな機会が見込まれる。 ○さらに、デジタル化・ネットワーク化が浸透したIOT社会における産業構造変化を見据える必要あり。 フロンティア領域 ②ネットワーク化 IOT社会の实現 ①デジタル化 競争激化領域 ロボット 未デジタル化領域 2035年:9.6兆円 (世界) スマート グリッド/コ ミュニティ 2020年:180兆円 2020年:180兆円 (世界) (世界) 農業 2010年:527兆円 2010年:527兆円 (世界) (世界) 医療・健康 2020年:78兆円 2020年:78兆円 (国内だけで) (国内だけで) 未デジタル化領域のデジタル化 従来IT化されていなかった、暗黙知等のアナ ログ情報・技術がデジタル化される。 自動車・交通 2020年: 2010年比30%増 (世界) 個別技術領域の確立 ハードウェア、ソフトウェア、通信規格 等、個別の技術領域で有力プレーヤーの 登場、デファクト技術の創出が起こる。 出展:農業:韓国ロッテ社市場調査より抜粋 ロボット:経済産業省「ロボットの将来市場規模」(H22年4月) 自動車:みずほコーポレート銀行「次世代パワートレーン社の需要見通しとEVの展望」(H22年1月) 医療・健康:「新成長戦略」(H22年6月) スマートコミュニティ:日経BP社「世界スマートシティ総覧」(H22年) 携帯電話 書籍 テレビ ゲーム SNS あらゆるものが ネットにつながる IOT(Internet of Things):モ ノのインターネッ トの世界へ。 レイヤー構造化 最適な社会システムに則した、各技術を 横串にするプラットフォームが生まれ、 各技術領域は階層に分類される。また、 個別技術領域の価値はネットワークの中 で再定義される。 14 2:重点分野に対する アクションプラン 15 【重点分野の政策展開①】 融合システム産業フォーラム'仮称( ○融合分野の新たなシステム創出に際しては、異なる分野の産官学が集い、分野を超えた価値体系を作り上げ る場が重要。 ○融合システム構築に向け、多種多様なプレーヤーから構成される「融合システム産業フォーラム'仮称(」を組成 し、異業種間連携を促進。フォーラムにおいて、社会システム像の抽出・整理、事業アーキテクチャの検討、必 要な情報開示や関連規制の見直し等について整理する。 融合システム産業フォーラム'仮称( 産業界・研究機関・学界・グローバル企業など多種多様なプレーヤーから構成。 分野ごとに官民の役割分担を整理しつつ、検討を推進。 A社 分野例 検討課題例 スマートヘルスケア産業 B社 社会システム像の整理 社会システムに組み込まれ るロボット 事業アーキテクチャの検 討 情報端末化する自動車と交 通システム 必要な情報開示・規制の 見直し スマートアグリシステム C社 コンテンツ・クリエイティブビジネス 等 ・ ・ 参加メンバー 消費者・ユーザーも含めた幅広い参画を呼びかけ 電機 コンテンツ ベンチャー 電力 ロボット 外国 企業 大学 自動車 農家 情報 通信 ガス 病院 研究 機関 海外 大学 A省 B省 C庁 関係府省とも連携しつつ、必要な制度改正の見直しも含めたオープンな姿勢で支援 16 【重点分野の政策展開②】 融合システムの設計・開発・システム輸出の支援 ○企業コンソーシアムが融合システム全体のアーキテクチャを描き、関係企業を巻き込みながら必要な要素技術 やコンテンツを集めて全体のシステム開発・実証を行う取組を支援。 ○このために、FS調査(海外市場・先端技術動向調査)、現地企業も含んだ企業コンソーシアムの組成促進、海 外ニーズを踏まえたシステム設計・開発・輸出を支援していくことが重要。 ○また、事業化フェーズでのリスクマネー供給についても、トータルパッケージの支援を検討。 <企業コンソーシアムによるシステム設計・開発・輸出を推進> グローバル市場 IT化による既存製 品・サービスの再定義 短期間に製品投入が 能な供給体制の整備 消費者による瞬時の 共有と参画 グローバル市場を対象に、 グローバル市場を対象に、 企業コンソーシアムがアーキテクチャを 日本企業コンソーシアムがアーキテクチャを 設計、システム開発・実証 設計、システム開発・実証 【分野例】 要素技術・ コンテンツ等 企業コンソーシアムが描く 日本企業コンソーシアムが描く アーキテクチャ アーキテクチャ コンテンツ/アプリ プラットフォーム ネットワーク ハード(OS/端末) コンテンツA コンテンツB 人材 必要な要素技術・コン テンツ等を最適に組み 合わせ 要素技術A 大学 分野例②社会システムに組み込ま れるロボット (進出先例:アジア、南米等) 分野例①スマートヘルスケア産業 (進出先例:欧州、アジア等) 医療・健康機器・シス テムのネットワーク化 により、最適な医療・ 健康サービスと効率 的な医療業務を実現 するシステムを開発。 企業 要素技術B 分野例③情報端末化する自動 車と交通システム (進出先例:欧州、アジア等) システム開発フェイズ FS調査 システム開発・ 実証 リスクマネーフェイズ 事業化・ システム輸出 交通のスマート化 に留まらず、電力 インフラとしてコミュ ニティ全体と連携 するスマートなEV インフラシステムを 開発。 センサーと連携して、 都市空間の中で多 様なアプリケーショ ンをもとに生活支援 をするロボティクス の活用システムを 設計・開発。 分野例④スマートアグリシステム (進出先例:アジア、中東等) 暗黙知化している農 業技術・ノウハウを データ化し、ITを活 用したスマートアグ リシステムを設計・ 開発・輸出。 17 【重点領域の政策展開③】 産業革新機構による事業化リスクマネー供給支援 ○IT融合システムの事業化にあたっては、関係する企業が事業化の目標と情報を共有し、機動的かつ戦略的に 事業構築する体制が不可欠。産業革新機構'INCJ(等によるリスクマネー供給を通じ中核企業等形成を支援。 <具体的に支援が考えられる例> ①個別の技術・システムを持つ企業群が、全体をインテグレートする事業会社を共同設立 ②IT融合のキーとなる情報制御システムを強みとする企業等の買収を核としたコンソーシアムの形成 例1(個別技術・システムをインテグレートする 事業会社の共同設立を支援 重電 メーカー 家電 メーカー 自動車 メーカー 情報 通信 ユーティ リティ 現地 企業 ・・ ・ ・・ ・ 産業革新機構 'INCJ( 支援'出資( 例2(情報制御システムを強みとする企業の買収 等を核としたコンソーシアムの形成を支援 重電 メーカー 買収 家電 メーカー 情報 通信 自動車 メーカー ・・ 'INCJより株式買い取り( 設立 買収支援 共同 事業会社 情報制御 システム企業 産業革新機構 'INCJ( IT融合プロジェクト 相手のニーズに応じ、スマートコミュニティ、スマートヘルスケアシステム、次世代交通システム等を実施 18 【重点分野の政策展開④】 融合領域における戦略的な標準化活動の促進 ○重点分野を中心に、システム開発と並行して競争優位確保の観点から、①標準化すべき領域と標準すべきで ない領域を特定し、②それを踏まえて戦略的な標準化を支援。 '注(スマートコミュニティ分野では26の技術分野を特定して、システム連携のための「インターフェース」の標 準化等を推進中。 ○スマートグリッド分野の標準化重要26アイテム 研究会にて特定された26の重要アイテム 1 送電系統広域監視制御システム 14 定置用蓄電システム 2 系統用蓄電池最適制御 15 蓄電池モジュール 3 配電用蓄電池の最適制御 16 車載用蓄電池の残存価値評価方法 4 ビル・地域内の電池の最適制御 17 EV用急速充電器・車両間通信 5 蓄電池用高効率パワコン 18 EV用急速充電器用コネクタ 6 配電自動化システム 19 EV用急速充電器本体設計 7 分散型電源用パワコン 20 車載用リチウムイオン電池安全性試 験 8 配電用パワエレ機器 21 車両・普通充電インフラ間通信 9 デマンドレスポンスネットワーク 22 インフラ側からのEV用普通充電制御 10 HEMS 23 メーター用広域アクセス通信 11 BEMS 24 メーター用近距離アクセス通信 12 FEMS 25 AMIシステム用ガス計量部 13 CEMS 26 メーター通信部と上位システムとの認 証方式 ○スマートグリッド標準化の全体ロードマップ 2011 2010 2013 2012 ○標準化の推進 ○地域エネルギーマネジメントシステムや蓄電池等について、共通仕 様を作成し、4地域で導入する機器・システムへ実装 ○また、4地域での実証実験等を通じて実データの収集を行い、標準 化規格原案を作成したうえで、IEC等の国際標準化機関へ提案予 定 共通IF a サービス 提供者 共通IF b 地域エネル ギーマネー ジメントシ ステム 共通IF c ゲート ウェイ 機 器 19 【分野1】スマートコミュニティの国内外展開の加速化 現状の課題 アクションプラン 厳しい電力需給下での需要側の省エネ・節電 対応の必要性 ○当面の電力需給に対応し、かつ、中長期的に省 エネ型の経済社会構造を実現するためには、産 業分野にとどまらず、小口の需要家、家庭等の需 要側の省エネ・節電に向けた政策展開の加速化 が不可欠。 中央集中型から分散型含めた最適なエネルギ ーマネジメントシステムの確立 ○分散型で災害に強く、再生可能エネルギー導 入拡大の基盤となるスマートコミュニティの 導入加速化が必要。 【民生部門のピーク需要抑制ポテンシャル】'東電管内( 業務部門 '約290~470万kw( 家庭部門 '約250~310万kw( ○照明:172~295万kw ○照明:16~36万kW ○冷房:45~94万kw ○OA機器:36万kw ○冷房:64万kW/℃ フィルター掃除で22~44万kw ○エレベータ・エスカレータ ○家事の朝晩シフト:43万kW :17~28万kw ○AV機器の待機電力:38万kw ○冷蔵庫:37万kW'設定温度上げ、 庫内のものを減らす( '出所(財団法人日本エネルギー経済研究所「夏期における家庭の節電対策と消費電力抑制効果について」 '平成23年 4月11日(、「夏期におけるオフィス・商業ビル等の節電対策と消費電力抑制効果について」 '平成23年5月13日( (短期的取組) ○スマートメーターの導入加速化。 (オープン、相互互換、標準化等) ○ピークシフト・カットの需要家の取組を促す時 間帯別料金(ダイナミック・プライシング、ク リティカルピークプライシング(CPP))等 のインセンティブ導入。 ○スマートハウス・ビルの核となるHEMS、B EMS等の導入加速化。 (「スマートポイント(仮称)」等の導入促進策 の検討、エネルギー利用情報アグリゲーターの 創出等) ○系統側と協調しつつ再生可能エネルギーを最大 限活用して分散型の需給管理を行う地域エネル ギーマネジメントシステム(CEMS)の实 証・標準化。 ○地域エネルギーマネジメント事業を可能とする 制度環境の整備、市場に於ける競争主体形成支 援。 (中長期的取組) ○社会全体での省エネ、CO2削減、経済性等を 最適化する投資行動を促すエネルギー供給体制 の整備。 20 【分野1】スマートコミュニティの国内外展開の加速化 現状の課題 社会システムとしての電池・制御システム (インフラバッテリー)の確立と競争力確保 ○グローバル市場で環境・エネルギー分野での競 争が激化。リチウムイオン電池でも、韓国勢・中国 勢が急迫。 ○電池自体の性能向上に加え、制御システムも含 め、自動車用、家庭用、地域用など複数用途を見 据えた競争力確保が重要に。 アジア等新興国含めたスマートコミュニティ 市場の競争激化と中核企業の必要性 ○スマートコミュニティ関連市場において欧米系、中 国、韓国企業との競争が激化。日本企業コンソー シアムによる早期の事業化と横展開が課題。 ○スマートコミュニティの事業化に当たっては、IT、 電気・電子、通信、自動車、都市設計等の異なる 技術・事業を融合・統合してビジネスモデルを描く インテグレーター機能が不可欠。 アクションプラン (短期的取組) ○インフラバッテリーの確立のための国内・海外で の技術実証・標準化等の推進。 ○スマートコミュニティ海外展開プロジェクト支援と 成功モデル創出。 ・インド、中国、東南アジア、中東、欧州、米国等での日 本企業コンソーシアムによる事業展開のための二国間 協力、FS・実証支援、リスクマネー支援等による成功 モデルの創出 ○国内外でスマートコミュニティ事業を実施する「中 核企業」の組成・育成(産業革新機構等によ るリスクマネー供給の支援、企業の優良資産 の組替えを通じた、真に競争力を有する企業 の形成支援など)。 (中長期的取組) ○電力・ガス・石油・新エネ産業等による合従連衡も 含めて、グローバルで競争力ある中核企業群の 競争力強化を促進。 21