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1943,1996年 日消外会誌 29(10):1938∼ 粘膜下層浸潤 胃癌 における病巣内潰瘍 と リンパ節転移 との関連 についての検討 防衛医科大学校第 1外 科 冨松 聡 一 上藤 和 彦 市 倉 隆 玉 熊 正 悦 石 川 浩 史 陥凹型 また は混 合型 の sm胃 癌 175例を対 象 に,病 巣 内潰瘍 (Ul)と リンパ 節転移 との関連 を検討 し た.Ul合 併例 で は,Uり 卜合併例 (対照群 )に 比 べ若齢 で,組 織型 は未分化型 が 多 く, リ ンパ 管侵襲 が 高度 であった。 リンパ節転移 陽性例 の頻 度 は対 照群 11.4%,Ul‐II群31.4%,Ul‐ III,IV群 47.1%と , 潰瘍 が深 い ほ ど陽性例 が増加 し,Ul‐lII,IV群 で は n2症例 が 多 か った.ま た分化度 にかかわ らず,Ul 合併例 で は リンパ 節転移 が 高率 で あった。一 方,Ulを 肉眼 で正診 で きた症 例割合 は Ul II群で314% と著 し く低 く,Ul―III,IV群 で も76.4%に とどまった。正診例 と見逃 し例 とで リンパ 節転移 の頻 度 に 差 はみ られ なか った。以上 よ り,局 所治療後 に病理組織学 的 に sm浸 潤 が判 明 した場 合,Ulの 有無 は, 追加 治療 の必要性 を決定 す る上 で注 目す べ き因子 の 1つ と考 え られ た。術 前 にお け る Ulの 診 断 につ い て は今後 の検討課題 と思われた。 Key words: ulcerative lesionsin gastric cancer, gastric cancerwith submucosalinvasion, lymph node metastases,diagnosisof ulcerative lesionsin early gastric cancer, conservativeoperation for earll' gastriccancer 言 なわち癌巣 内の粘膜下組織 の線維化 や粘膜筋板 と固有 早期 胃癌 にお ける病巣 内潰場 の存 在 は,粘膜 内癌 (以 筋 層 との癒 合 な どが認 め られた35例 (20.0%)を Ul‐II 群,固 有筋層 よ り深 い Ul,す なわ ち癌 巣 内 に粘膜筋板 緒 下,m癌 と略記 )の 場合,腫 瘍 の大 きさ とともに リン パ 節転移 の リス クフ ァクター と考 え られ てお り,内 視 鏡 的治療 や縮小手術 の適応 を決定 す る際 の重要 な因子 の 1つ とな って い るが ll 0,粘膜下層浸潤 胃癌 (以下, sm胃 癌 と略記 )で は,そ の意義 は明確 で はな く,肉 眼 型,粘 膜下層 (以下,sm層 と略記)浸 潤程度, リ ンパ と固有筋層 との癒 合 や固有筋層 内層 の 断裂 な どを認 め た17例 (9.7%)を Ul‐III,IV群 としのゆ,こ れ らを Ul が認 め られなか った対照群 123例(70,3%)と,腫 瘍径 , 肉眼型,組 織型,リ ンパ 節転移,脈 管侵襲,sm層 浸潤 程度 な どにつ い て比 較 した。 管侵 襲 な どが リンパ 節転 移 の リス ク と考 え られ て い 切 除標本 の 臨床病理 学 的検 討 は 胃癌取 扱 い規 約 りに る。今 回我 々 は,sm胃 癌 にお ける組織学 的病巣 内潰瘍 則 り,さ らに sm層 にお ける浸潤程度 の指標 として,既 また は潰 瘍疲痕 (以下,Ulと 略記)が 持 つ臨床 的意義 について, リ ンパ 節転移 の リス クお よび肉眼診 断 の観 報 の ご と く,sm浸 潤 の深 さについて は,腫 瘍 の浸潤 が sm層 を 2等 分 す る線 よ り浅 い場合 を sm‐shallow,こ 点 か ら検討 したので報告 す る。 対象 および方法 1980年か ら1993年まで に当科 において切 除 された 胃 癌症例 1,230例中,肉眼型 陥凹型 また は混 合型 を呈 す る 初発単発 の sm胃 癌根治切除例 175例を対 象 とした。こ Fig. 1 /い1casurement of maxilnum dilnension of submucosal spread and subclassiFlcation of depth of submucosal invasion sm-shallow の うち組 織 学的 に癌 病巣 内 に粘膜 下 層 まで の Ul,す <1996年 5月 8日 受理>別 刷請求先 :冨松 聡 一 〒359 所沢市並木 3-2 防 衛医科大学校第 1外 科 D-sm:maximumdimension of submucosal soread 1996年10月 9(1939) れ よ り深 い場合 を sm‐deepと 2群 に亜 分類 し,ま た 胃 (p<0.05)。 また肉限型 で は,手 術 時 にお ける肉眼型が 長軸 方 向最大割面 にお ける切 片 で,sm層 IIctt IIIと 判 定 さ れ て い た 症 例 の 割 合 が,対 照 群 を計測 し,sm浸 での浸 潤径 潤径 (以下,D‐sm値 と略記)と して 114%,Ul― II群314%,Ul III,IV群 76.5%と ,Ul い IIお が深 ほ ど高率 にな り,Ul‐ よび Ul‐III,IV群 と 検 討 した (Fig。1)1い 。 肉RR的病巣 内潰瘍 の有無 についての診 断 は,病 理所 対照群 との間 に有 意差 を認 めた (それ ぞれ p<005, 見 を知 らされて い な い著者 の 1人 が手術標本 ス ライ ド の診 断率,正 診例 と見逃 し例 との違 いについ て検討 し p<0,01).組 織型 で は,未 分化型 が Ul‐II群で62.9%, Ul‐III,IV群 で64.7%と ,対 照群 の30.9%に 比 べ有意 に多 く認 め られた (いずれ も p<0.01).リ ンパ 管侵襲 た。 陽性症例 の割合 は,対 照群,Ul‐II群,Ul,III,IV群 そ を見直 し,Ul‐ II群お よび Ul‐III,IV群 において,そ 2 teSt,Studenぜ st‐ test,Wll‐ 統計学的検定 には,ィ coxon'sU‐testを用 い,p<0.05の 場 合,有 意差 あ りと した。 れぞれ520%,65。 7%,76.5%と ,Ulが 深 い ほ ど高率 で,対 照群 と Ul‐III,IV群 との 間 に有 意 差 を認 めた (p<0.05)が ,静 脈侵襲 には各群 間 の差 を認 めなか っ 1.Ulと 臨床病理学的所見 との関連 た。また間質量 で は Ul・II群で対 照群 に比 べ medullar 一 y typeが少 なか った (p<0,05)。 方,性 別,腫 瘍径, Ulを 有 す る症 例 で は手 術 時平均 年齢 が 低 い傾 向 に 占居部位 には各 群 間 の差 を認 めなか った (Table l). あ り,Ul‐II群 と対 照 群 との 間 に有 意 差 が み られ た Ulと sm層 にお け る浸潤 程 度 との 関連 をみ る と, 成 績 Table I Relationship between presenceof ulcerative lesion in the tumor and clinicopathologicfactors . ︲ U下 Control (n: 123) III,IV Ul‐ (n=17) Sex (male/female) 2 51 2 89 1 83 5 9 7 ±1 1 9 541±126 562±132 3 1 2 ±1 8 1 333±173 345±152 Age(year t) Tumor size(mm t) Location of tumor A 50(407%) 15(429%) 7(412%) M 66(537%) 18(514%) 10(588%) 7(57%) 2(57%) 0( 0%) Classificationof gross appearance IIc 73(593%) 21(600%) IIc+lll 14(114%) 11(314%) IIa*IIc 31(252%) 3(86%) 3(176%) 13(76 5° /。 )'キ 1(59%) Histologic type Differentiated Undifferentiated Lymphatic invasion lvo ly1 3 Venous invaion v0 vl 3 85(691%) 13(371%) 38(309%) 22(629%) 11(647%)わ 6(353%) 59(480%) 12(34 3%) 64(520%) 23(657%) 4(235%) 13(765%)Ⅲ 103(837%) 28(80.0° /6) 7(200%) 15(88 2° /。 ) 2(118%) 6(171%) 23(657%) 5(294%) 20(163%) Stroma med 45(366%) int 56(455%) sci 9(73%) 4(11.4%) t : Meantstandard deviation, -: p(0.05 vs Control group, ** : p<0.01 vs Control group 6(35 3° /。 ) 3(176%) 粘膜下層浸潤 胃癌 にお ける病巣 内潰場 とリンパ節転移 10(1940) Table 2 Relationshipbetweenpresenceof ulcerat ive lesion in the tumor and tumor spread in sub mucosal layer 日消外会誌 29巻 Table 3 Relationshipbetweenpresenceof ulcerative lesion and lymph node invovement in the differentiatedand in the undifferentiatedtumor Differentiated type* I z . a t s . Is s . s t s . o I s.:,ri.o deviation t : Mean+standard U卜II or III,IV (n=19) Control ( n ‐8 3 ) Control (n=37) Lymph node involvement 警陣粘鍬牌樹塔 撚降胎鍬博胎鍬 躍詰 - : p < 0 . 0 5b y 1'test Fig. 2 Relationshipbetween presenceof ulcerative lesion in the tumor and lymph node involvement Nodalstage Undifferentiated type. Table 4 Diagnosis of ulcerative lesion in the tumor with the naked eye No of metastatic tymph nodesヤ 13(765%) Detected 9 Detection of ulcer Control (n=123) ] ]艦モ U卜ll (n=35) U I回 一, N (n=17) r > oV ︲ ︲︲ 3 ︲ ,〓 ︲・︲ . U H< Depthof submucosal infiltration sm-shallow l64(Jcs.z%) JrEG8.4%)| [email protected]%) sm-deep 46(4r.B%) 16$r.6%)| s(66.7%) | infiltration Sizeof submucosal 10号 」 1 . 0 ±1 . 2 」 4 Detection of ulcer scar 4(235%) Undetected Table 5 Relationship between the detection of ulcerative lesion in the tumor with the naked eye and clinicopatholgicfactors ° 皆 『 送V郷“ : :皆 8f貯 鮒献8岩 挙 :濯も と i名 挑'ち Size of tumor(mm f) sm‐deep症 例 の 割 合 は,対 照 群 418%,Ul,II群 366± 163 51.6%,Ul‐ III,IV群 66.7%と 潰瘍 が 深 くな るにつれ 増加 し,ま た D‐sm値 も,対 照群,Ul‐II群,Ul III, Differentiated IV群 の順 に大 き くな る傾 向が 見 られたが ,有意差 はみ Undifferentiated られ なか った (Table 2)。 2.Ulと positive Ulの 有無 による生存 率 の差 は見 られ なか ったが ,リ ンパ 節 転 移 陽 性 例 の頻 度 は,Ul II群 で35例 中 11例 (314%)と ,対 照群 の123例中 14例 (11.4%)に 比較 高頻 度 で あ り (p<0.01),そ の 中 に は ■2陽性 の 2例 (118%)が 含 まれた。 リンパ 節転移イ 回数 の平均 値 につ い て も,Ul‐II群,Ul‐III,IV群 で は対照 群 に比 較 し有 意 に多 か った (それ ぞれ p<0.05,p<0.01)(Fig。 2). 組織型 を分化型 と未分化型 に分 け,分 化度別 に病巣 内 潰瘍 とリンパ 節転移 との関連 をみ る と,Ul合 併例 の リ 12(429%) 16(571%) 1培胎鍬 Depth of submucosalinfiltration t - 1 0( 5 5 . 6 q " ) sm-shallow | sm-deep 8(44.406) | Size of submucosalinfiltration(mm t) し有意 に高 か った (p<0.01).Ul‐ III,IV群 で は転移 陽性例 は17例中 8例 (47.1%)と 対照群 に比 べ著 し く 8(333%) 16(66 7° /。 ) Lymph node involvement negative リンパ 節転移 との関連 3 1 1 ±1 6 . 6 r j Histologic type | 7.8+5.0 | 18(643%) 10(357%) 9(360%) 16(640%) 98± 49 † :Meanttstandard deviation, ■:p<o 01 by Student's t test メ 3 . U l の 肉 眼判 定 Ul III,IV群において肉眼的 に Ulを 合併す る と正 しく診断で きた症例 は17例中13例 (76.4%)で,Ul,II ンパ 節転移 の頻度 は,分 化型,未 分化型 いずれ におい て も,対 照 群 に比 べ 有 意 に 高 か った (いず れ も p< 群 では35例中11例 (31.4%)と さらに低率 であつた。 Ul合 併 全 体 で は正 診 例 の 頻 度 は462%で あった (Table 4).正診例 と見逃 し例 とを比較する と,リ ンパ 0,05)(Table 3). 節転移 の陽性率,腫 瘍径,組 織型,sm亜 分類,D‐sm値 1996年10月 11(1941) に有意 な差 を認 めなか った (Table 5). 考 察 今 回の検討 で は,sm胃 癌 の20%の 症例 で Ulが み ら れた。過去 の報告 で は sm胃 癌 の病 巣 内潰場合併頻 度 は36%か ら86%ま で大 きな開 きが あ るが 11)1の ,病 巣 内 潰瘍 が 肉眼 的病巣 内潰瘍 なのか組織 学 的 なのか Ulな パ 節転移 が 多 か った ことか ら,潰 瘍性病変 その ものが リンパ 節転移 へ直接 関わ ってい る もの と推測 され る。 Ul‐IIIや IU‐ IVの 場合 には,m癌 で Ul合 併例 にお い て指摘 され て い るの と同様 。1働 ,組 織 修復 が 行 わ れ る 以前 に,腫 瘍 が 固有筋層,あ るい はさ らに深 い層 へ と 浸潤 していた可能性 が あ る。 また消化性潰瘍 の治癒 に のか不 明 な論文 や,Ulの 定義 が 明確 で な い論文 もみ ら 関す る研 究 で は,破 壊 された粘膜 の再生時 には粘膜細 れ る。吉野 らによる全 国集計 に基づ い た試算 で は,早 胞 にお ける transforming growth factor 2の産生元 進 1"がみ られ,間 質細胞 か らはサイ トカイ ンや プ ロ テ アー ゼが産生 され ,問 質 の線維化 や血 管新生 を促進 す 期 胃癌 全体 で病巣 内潰瘍 を合併 す る頻 度 は約 1/6と報 3)。しか し肉眼型 IIc tt III型 につ い 告 され て い る 胃癌 て,太 田 らは近年 (1981年)減少 して い る とし13ち細川 らは1980年以降 は増加 して い る と報告 してい る1りよ う に,年 代 に よ り,病 巣 内潰瘍 の深 さや 治癒 の程度 ,お 21)。 これ らの フ アクター は, る ことが報告 され てい る2の 2カ 腫瘍 内で は癌 細胞 の遊走 に有利 な環境 を作 るた め , Ul‐III,IVの みな らず Ul‐IIの浅 い潰瘍 で も, リ ンパ よび診 断 され る割 合 も変化 して い る可能 性 が あ ろ う。 節転移 に促進的 に働 く可能性 が推測 され る。 近年,多 くの施設 で早期 胃癌,特 に m癌 を対 象 に厳 これ らよ り内視鏡 的粘膜切 除,開 腹 下 あ るい は腹腔 密 な適応 の もと,内 視鏡治療や郭清範 囲 の縮小 が行 わ れ て い る。一 方,sm胃 癌 で は D2郭 清 を伴 う標準的根治 鏡下 の局所切除後 に,病 理組織 学 的 に sm浸 潤 が判 明 した場 合,smの 浸潤程 度 や リンパ 管侵襲 な ど と とも 手術 が 妥 当 と考 え られ て い るが,第 65回 胃癌 研 究 会 に Ulの 有無 は,リ ンパ 節転移 の可能 性 を考 える上 で, sm胃 癌 の臨床病理」 が主題 「 に取 り上 げ られた 際 に,sm胃 癌 の一 部 に も縮小 手術 す なわ ち追加治療 の必要性 を決定す る上 で考慮 す るべ を適応 しうる可能 性 を示唆 す る演題 も散見 された。Ul 肉眼的病巣 内潰場 の検 討 に関 して は,本 来術 前 の 胃 透視 や 胃内視鏡所見 か ら検討 され るべ きで あるが,内 (1995年6月 ,東 京)で の有無 が m癌 にお け る リンパ 節転 移 の リス ク フ ァク ター であ る ことは コンセ ンサスが得 られて い る と思 わ れ るが,sm胃 癌 において Ulの 有無 とリンパ 節転移 の 関連 を詳細 に検討 した報告 は少 な い。今 回の検討 で は sm胃 癌 において,Ul合 併例 が Uり 卜合併例 に比 ベ リン パ 節転移 陽性症例 が 有意 に多 く,し か も Ulが 深 い ほ どその割合 が増 し,か つ n2例が 多 い傾 向 にあった.過 去 の報告 をみ る と,西 らは陥凹性 sm胃 癌 において 1", 北村 らは全 sm胃 癌 お い て Ulの 有 無 に よる リンパ 節 転移 の有意 な差 はなか った とし11ち慶 田 らは m癌 で は Ul合 併例 で リンパ 節転移 が 多 いが,sm癌 で は逆 に少 なか った としてお り10,施設 によ り本 目違 が見 られ る。西 き点 と思 われ る。 視 鏡 や X線 フ ィル ム の撮 影 条件 が症 例 ご とに必 ず し も同一 で な い た め,今 回 の retrospectiveな 検討では い い 手術標本 写真 を用 ,Ulの 有 無 につ て 見直 しを し た。 Ul合 併例 中 にお い て Ulを 正診 で きた割 合 は46% と低 率 で,特 に Ul IIの潰 瘍疲痕 を肉眼 で正 診 す る こ とは非常 に困難 であ った.見 逃 し例 の リンパ 節転移 は 正診 例 と差 が なか った こ とか ら,Ulの 術 前診 断 は重要 な課題 で あ る。 高周波数 の細径超音波 内視鏡 の導入 な ど診 断技術 の向上 に よ り,早 期癌 か進 行癌 かの鑑別 は 90%以 上可 能 とされ るが 23),ul合併例 での診 断率 はな お70%以 下 で あ る2つ 。sm癌 にお ける Ul IIの潰瘍娘痕 らは1946年か ら1984年 まで の,廣 田 ら は1962年か ら の有無 を正診 す る こ とはさ らに難 しいで あ ろう。超音 1981年まで と,そ れ ぞれか な り古 い時期 の症例 が含 ま 波 内視 鏡像 の エ コー レベ ル の差 の ヒス トグ ラム化 が Ulの 診 断 に有用 との報 告 もあ り2D,今 後様 々 な手段 の れ てお り,Ul合 併頻度 が70%前 後 と非常 に高 いた め, これ ら と我 々の 結 果 を単 純 に比 較 はで きな いで あ ろ 開発 に よ りsm浸 潤 の程 度 に加 えて Ulの 有 無 が正 確 う,sm胃 癌 にお ける Ul合 併 の頻 度 が我 々の検討 と類 に診 断 で きるよ うになれ ば,sm胃 似 していた報告 の 内,西 田 らは分化 型 sm癌 にお いて Ul合 併例 は リンパ 節転 移 が 有 意 に形 か った と報 告 し て い る1つ . 療 の適 応 を決 め る上 で 有 用 な指標 とな る と考 え られ Ul合 併例 で は未分化型組織型 の頻 度 が 高 か ったが , 組織型別 に検討 した ところ,分 化型,未 分化型 のいず れ にお い て も Ul合 併例 の方 が Uり 卜合 併 例 よ リ リン 癌 にお ける縮 小 治 る。 文 献 1)市 倉 隆 ,冨松聡一,大草 康 :早期胃癌治療の進 歩 (6)縮小手術.臨 床内科 10:129-138,1995 2)伊 藤英人,市倉 隆 ,玉熊正悦 :早期胃癌 に対する 12(1942) 粘膜下層浸潤胃癌 における病巣内潰瘍 とリンパ節転移 合理的 リンパ 節郭清 ―早期 胃癌 の リンパ 節陽性例 お よび再発例 の検討.日 臨外医会誌 52:25662572, 1991 吉野肇一,松井英男,曾澤健 一郎 ほか :早 期 胃癌 に 対 す る縮 小 手 術 の 合 理 性 と妥 当性.癌 と化 療 18:939--943, 1991 岩永 岡J,古 河 洋 ,平 塚正弘 :早 期 胃癌の治療. 日消外会誌 29巻 10号 西 満 正 ,中 島聴総,大 田博俊 :胃 癌の病理 ・ 病態 と治療の選択.癌 と化療 13:180-191,1986 度 田映五,山 道 昇 ,板 橋正幸 ほか :sm胃 癌 の病 理,特 に 肉眼所 見 と組織 形 態 との対 比.胃 と腸 17:497--508, 1982 西 田寿郎,日 中信治,春 間 賢 ほか :胃 分化型 sm 癌 にお ける リンパ節転移危険因子 の検討.日 消病 消化器癌 2:361-370,1992 笹子 三津留,木下 平 ,丸山圭一 ほか :早 期 胃癌 に 対 す る局所切 除。 日消外会誌 23:2191-2195, 1990 手塚秀夫,鈴木博孝,喜 多村 陽一 ほか :早 期 胃癌再 会誌 91:1399-1406,1991 大森幸夫,本 田一郎 :胃 癌の進行度 と手術術式 一 発死亡例 の検討.日 消外会誌 23:2202-2208, 1990 安 田 昭 ,鈴 木武松 :III.病理.吉 利 和 編.内 科 シ リー ズ No 2胃 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They were divided into three groups: those with an ulcer or ulcer scar (Ul) limited to the submucosa in the tumor (UI-II group), those with Ul beyond the submucosa (UI-III, IV group) and those without any Ul (control group). The presence of the Ul in the tumor was significantly correlated with younger age, undifferentiated tumor and lymphatic invasion. There were more patients with nodal involvement in the U1-[ or UI-III, IV groups than in the control group irrespective of the histologic type of the tumor (p<0.05). Lymph node involvement 1996年10月 13(1943) was observedin Ll (31.4%) of the 35 patients in the UI-II group, 8 (47.I%) of the 17 patients in the Ul-[I, IV group and 1l .4% in the control group (p < 0 . 01). However,the Uls of resectedspecimenswere detected with the naked eye in only 31.4%oof.the Ul-il group and 76.4% of.the UI-III, IV group. In conclusion,the presenceof a Ul in the tumor can be a useful indicator for further treatment by lymphadenectomy when histologic examination reveals submucosalinvasion after localized excision. Progress in preoperative diagnosisof the Ul is mandatory for conservativetreatment of gastric cancer invading the submucosa. Reprint requests: Soichi Tomimatsu First Department of Surgery, National DefenseMedical College 3-2 Namiki, Tokorozawa, 359 JAPAN