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鳥獣被害対策等に関する 委員指摘に対する資料
鳥獣被害対策等に関する 委員指摘に対する資料 委員の主な指摘内容 (資料3-4) ・ 海外における害獣駆除や利用の実態についてわかる資料がほしい。 ・ 環境政策だけでは捕獲した後の議論までいかず、鳥獣の適正な管理を進めていくことが難しい。捕獲した獣肉を食文 化施策と結び付けてはどうか。 ・ 鳥獣被害防止のため、森林資源の伐採、利活用にインセンティブを与える政策を進めるべきではないか。 ・ 農作業事故の犠牲者を減らすために、農作業安全対策により事故が減少しているか等を分析し、事故数が減少してい ない作業等については、対策を検討するべきではないか。 目 次 1.諸外国における野生鳥獣対策(捕獲)に関する制度(シカを中心に比較) …1 2.被害防止活動の一環として捕獲した鳥獣の食肉利用 …2 3.捕獲鳥獣の利活用の実態及び取組事例 …3 4.適切な森林整備の取組について …4 5.農作業事故の発生状況及び農作業安全のための取組について …6 1.諸外国における野生鳥獣対策(捕獲)に関する制度(シカを中心に比較) イギリス (イングランド) フランス 日本 アメリカ合衆国 (北東部4州*) 生息動向 分布域拡大・高密度化が 進行中 20世紀後半以降増加、高 い密度水準 分布域拡大・高い密度水 準 分布域拡大・高い密度水 準 農林業被害 有 有 有 有 生態系影響 有 有 有 有 市街地侵入・ 交通事故 有 有 有 有 主要な法律 鳥獣保護法 州の狩猟関連法規 シカに関する法律 環境法典、狩猟法、農村 地域開発法 主要な管理目 的 ・農林業被害軽減及び生 態系影響軽減が優先課 題 ・狩猟資源管理は副次的 ・狩猟資源管理が基本 ・狩猟の枠組みを通じての 生態系影響、農林業被 害の軽減は副次的 ・狩猟資源管理が基本 ・狩猟の枠組みを通じての 生態系影響、農林業被 害の軽減は副次的 ・狩猟資源管理が基本 ・狩猟の枠組みを通じての 生態系影響、農林業被 害の軽減は副次的 被害防除・駆 除等の主体 被害者・公共団体等(明 確ではない) 土地所有者 土地所有者 土地所有者 狩 猟 者 狩猟者数の対 人口比(%) 0.1 4~13 (北東部4州) 0.7 (全英) 1.9 狩猟者数の動 向 著しい減少と高齢化(平 均年齢は60歳代) 漸減傾向で高齢化(平均 年齢は40歳代後半) 大きな変化はないが若干 高齢化 減少傾向 利 用 食肉利活用 (市場) 有(地域的な活用) 無(商業的流通禁止)、 自家消費が原則 有 有 被 害 状 況 基 本 事 項 *コネチカット州、ニュージャージー州、ペンシルバニア州、メリーランド州 (環境省資料をもとに作成) 1 2.被害防止活動の一環として捕獲した鳥獣の食肉利用 ○ 被害防止活動の一環として捕獲した鳥獣を地域資源として有効活用する観点から、農林水産省において、①地域における捕獲鳥 獣の食肉処理加工施設の整備、商品開発、販売・流通経路の確立などの取組を支援するほか、②捕獲鳥獣の食肉利用のためのマ ニュアル作成や研修を実施。 ○ 捕獲鳥獣は専ら埋設、焼却処分等によって処理されており、食肉としての有効利用は一部地域にとどまる状況。食肉の普及に向け て、安全性の確保、安定供給、販路の確保等が課題。 食肉利用 有害捕獲 ※鳥獣保護法第 18条の規定によ り、捕獲鳥獣を 捕獲場所に放置 することを禁止 国 によ る 支 援 埋設 (※)家畜と異なり、と畜場法に基づく処理の義務づけはない 食 品 衛 生 法 食肉利活用における課題 食肉販売 食 肉 処 理 加 工(※) ○食肉処理施設 ・都道府県等の条例で定められた施設基準に適合すること ○食肉処理 ・条例で定められた管理運営基準や調理・保存基準に適合す ること ○安全性の確保 (衛生管理、品質確保等) ○肉の安定供給 (捕獲体制の整備、処理 施設の整備) ○食肉等販売業 ・都道府県等により条例に よって定められた施設基 準に適合すること ○販路確保 (価格、調理法の開発等) 焼却 埋設・焼却処理 ○ 埋設処分(資材・役務) ○ 焼却施設の整備 ○ 民間施設等での焼却処分 (鳥獣被害防止総合対策交付金) 特別交付税措置 ○ 鳥獣被害防止特措法に基 づく被害防止計画の取組に 対して、市町村が処分に要し た経費の8割を手当 食 肉 処 理 加 工 ○ 食肉処理加工施設の整備 ○ 食肉利活用衛生管理マニュアルの作成 ○ 食肉利用のための研修の実施 (鳥獣被害防止総合対策交付金) 食 肉 販 売 ○ 商品開発、販路開拓 ○ 実需者とのマッチング (6次産業化支援事業) いのししカレー シカ肉ハヤシライス 2 3.捕獲鳥獣の利活用の実態及び取組事例 ○ 鳥獣害防止総合対策事業等において、被害防止活動の一環として捕獲した鳥獣の処理加工施設を整備。 ○ 全国の処理加工施設は、平成20年度の42施設から平成26年度には146施設に増加。 北海道上川郡鷹栖町 【主な獣種】 エゾシカ ・ 平成20年10月から施設が稼働。 エゾシカの缶詰 平成20年度は400頭程度のエゾシカを受入。 ・ 加工処理したシカ肉は、主に缶詰・生ハム・ペットフード等へ商品化するほか、動物園へ動物の餌として販売。 ・ 平成21年度は約350頭、22年度は約350頭、23年度は約340頭、24年度は約500頭のシカを 処理しており、今後も安定的な供給・販路の確保が課題。 エゾシカの生ハム 島根県江津市 【主な獣種】 ・ ・ ・ ・ イノシシ 既存施設に併設して平成21年3月から稼働。 毎年県外イベントに参加 加工処理したイノシシ肉は、コロッケや精肉として販売。 平成21年度は38頭、22年度は37頭、23年度は60頭、24年度は33頭のイノシシを処理。 積極的な新商品開発と県内外での販売活動を継続。 平成22年度開発新商品 「ピロシシ」 (ピロシキ+イノシシ) 長野県茅野市 【主な獣種】 イノシシ、シカ、キジほか ・ジビエや野菜等地元食材にこだわったオーベルジュ(宿泊施設を伴うレストラン)を経営。 ・オーナーシェフは長野県内各地で地域食材を活用したメニュー作りや料理講習会を多く手がける。 × ジェイアール東日本フードビジネス株式会社 【主な獣種】 シカ ・長野県産鹿肉のパティを使用した、本格的なハンバーガー。 ・平成25年11月1ヶ月限定販売し、約1万食を販売。 ※好評のため、1月持たず販売を終了。 ・地元社会福祉法人に鹿肉加工を委託することで、地域の雇用創出にも貢献。 多くの反響を得た「鹿肉バーガー」 ※委託に当たっては衛生指導を実施。 ・農林水産省は、平成26年3月、 優良外食産業表彰の地域社会貢献・環境配慮部門において大臣賞を授与。 社会福祉法人への衛生指導 3 4.適切な森林整備の取組について 我が国の人工林が利用期を迎える中、集約化や路網整備を進め、林業の採算性を高 めることにより、適切な森林整備を進め、山村地域の雇用・経済を活性化させていく ことが重要。 一方、林業的な取り組みで対応できない森林や、急傾斜の森林など条件不利 森林等を対象として、公的な関与による森林整備を強化することにより、森林 全体の公益的機能を確保。 このため、それぞれの森林整備に対して支援を実施。 支援対象となる森林整備の例 : 地拵え、植栽、下刈、除伐、間伐、更新伐、森林作業道整備 付帯施設等整備(鳥獣害防止施設等の整備) 路網が十分ではな く、当面は保育間伐 針広混交林 路網整備を支援 奥地は、針広混交林等 へ誘導 集約化と利用間伐の推進 ・ ・ ・ 面的なまとまりをもって計画的な間伐等を行うため、森林経営計画を作成 その森林を対象に、路網整備や利用間伐を支援 事業の低コスト化を推進することで林業の採算性を向上 公的な関与による森林整備の強化(セーフティネット) ・ ・ → 森林所有者との協定等に基づき市町村等が行う森林整備を支援 森林の多面的機能を損なうことなく、広葉樹林、針広混交林などへ誘導 野生鳥獣の生息しやすい環境の整備に寄与 水源涵養機能を 維持発揮 森林経営計画が直ち に作成されない 条件不利地等への 対策を補完的に実施 森林経営計画の 作成を支援 伐採→新植地 林業の採算性を高め、 適切な森林整備を推進 水辺林 トドマツ・カラマツ林 林道 里山林 森林作業道など、簡易で丈夫な道づくりを推進 スギ人工林 4 【参考】木材需要の拡大について ○ 各分野での木材需要の拡大に取り組むことで、適切な森林整備の推進に寄与。 新たな製品・技術の開発 ・中高層建築物での利用が期待されるCLT 等新たな製品・技術の開発・実証を支援 ・・・・・ ※ CLT・・・ひき板を繊維方向が直交するように積層 接着した重厚なパネルで、欧州では既にマンション や商業施設等に用いられている。日本では、高知県 でCLTを利用した社員寮が、今年3月に竣工。 CLT 公共建築物や住宅等での木造化・内装木質化 「木づかい」で 森を元気に! ・木造公共建築物の整備に対する補助や、 設計段階での専門家派遣等の技術支援 ・地域材を利用した木造住宅の新築や、木 材製品などの購入等に「木材利用ポイント」 を付与、地域の農林水産物品等との交換が 可能 (平成26年9月末着工分までが対象。) 木質バイオマス利用の推進 木材利用の意義や良さの普及啓発 ・木質バイオマス関連施 設整備への支援 ・各種媒体を活用し、木 づかいの良さを広くPR ・全国的な相談・サポー ト体制の確立への支援 ・平成17年度から国民 運動として「木づかい運 動」を展開するととも に、「木育」を推進 5 5.農作業事故の発生状況及び農作業安全のための取組について① ⃝ 農業就業人口が減少する中、農作業死亡事故件数は年間400件前後で推移。平成22年度以降、農作業中の死亡事故件 数は減少しているが、依然として多くの農業者が亡くなっており、事故防止の取組を進める必要。 ⃝ 農作業中の事故については、農業機械作業に係る死亡事故が約7割を占めているとの調査結果を踏まえ、都道府県職員 や農協等の地域リーダーを対象に、農作業安全研修(農林水産研修所つくば館)を実施するともに、 (独)生研センター(※) と民間が連携し、農作業事故を未然に防止するための機械開発を実施。 ⃝ 農作業安全研修については、受講者のアンケートや事故情報を分析し、効果の高い内容に見直しを行っている。 ⃝ さらに、65歳以上の高齢農業者が死亡事故の約8割を占めていることから、高齢者にもわかりやすいDVD等による効果 的な安全指導を行っている。 農作業死亡事故の内訳(平成24年度) 農作業死亡事故件数の推移 件数 (人) 450 400 350 396 384 398 413 395 391 397 374 408 398 366 350 72.2 80 97 86 111 78 110 93 103 116 250 150 100 50 305 286 296 295 297 298 286 291 79.4 84 77 85 72 300 200 90 (%) 324 321 70 60 281 278 39.4 20 (121) (134) (121) (138) 0 350件 40 30 農業用施設作業 19件(5.4%) その他 38件(10.9%) 歩行型トラクター 40件(11.4%) 農用運搬車 40件(11.4%) 10 動力防除機 7件(2.0%) 0 乗用型トラクター 106件(30.3%) H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 65歳未満 65歳以上のうち80歳以上 80歳以上の割合 動力刈払機 8件(2.3%) 65歳以上 65歳以上の割合 (出典)農作業死亡事故調査(農林水産省生産局技術普及課調べ) 農業機械作業 256件(73.1%) 366 50 14.9 (93) (94) (106) (59) (71) (77) (76) (80) 機械・施設以外の作業 (ほ場、道路からの転落13 件、熱中症21件 等) 75件(21.4%) 自脱コンバイン 17件(4.9%) 農作業死亡事故の 内訳(平成24年) (出典)農作業死亡事故調査(農林水産省生産局技術普及課調べ) ※ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター 6 5.農作業事故の発生状況及び農作業安全のための取組について② 農作業安全研修の実施 安全な農業機械の開発 1 危険性を体感できる 研修を実施 3 片ブレーキ 農作業安全研修の開催実績数及び受講者数 23年度 開催実績 (回) 24年度 2 25年度 受講者数 開催実績 受講者数 開催実績 受講者数 (人) (回) (人) (回) (人) 地域リーダー向け研修 26 369 35 480 36 478 都道府職員向け研修 18 79 30 214 25 192 座学のみならず、乗用型トラクターの傾斜地における横転疑似体験や 歩行型トラクターの挟まれ体験等の危険性も体感できる研修を実施。 研修計画の見直し 研修計画 見直し 事故情報の 分析 ① 連結解除ペダルロックレ バーを引き、 ② 連結解除ペダルを踏み、 ③ ②のペダルを踏みながら 使用した場合だけ、片ブ レーキ使用可能。 ④ ②のペダルを離すと自動 的に連結される。 農業機械の誤操作による農作業死亡事故を減らすため、乗用型トラ クターのブレーキ操作の誤りを防ぐ片ブレーキ防止装置等の研究開 発を平成23年度から実施。平成25年度に完成。 農作業安全の啓発 研修計画 作成 具体例: (平成22年度→23年度) 事故件数が多いトラクター 傾斜面横転疑似体験研修 を増やした。 13コース→31コース 研修実施 アンケート実施 研修計画の作成においては、事故情報の分析を実施し、効果の高い 内容に見直し。また、研修実施後、研修生からのアンケート結果を研 修計画の見直しに反映。 65歳以上の高齢農業者が死亡事故の約8割を占めていることから、平成24 年度から、高齢者にもわかりやすいDVD等による効果的な安全指導を実 施。DVDは都道府県や農協等に配布しているほか、動画をHPに掲載。 7