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(有)麻里府商事 木寺康嘉・安田昌明
第18回野生生物保護学会大会(2012年11月17日) 開発者からみた自動撮影装置 (有)麻里府商事 木寺康嘉・安田昌明 2012年11月25日日曜日 目 次 01.自己紹介 0 2 . 呼 称 に つ いて 03.お客様からの声(1) 04.お客様からの声(2) 05.世界的傾向 06.自動撮影法は「サンプリング」である 07.性能に影響する要因1 08.性能に影響する要因2 09.構造の違い(センサー) 10.構造の違い(撮像素子) 1 1 . な ぜ 1 週 間 で ウ ン ピョ ウ が 撮 れ た か 12.センサー感度の比較1 13.センサー感度の比較2 14.市販自動撮影カメラは万能ではない 15.これから求められる情報 16.まとめ:開発者からみた「自動撮影装置にもとめられるもの」 17.情報提供 18.御礼 2012年11月25日日曜日 自己紹介 • NECに勤務 • 光工学で有名な広川先生に師事,光センサーを学ぶ • NEC退職後,プログラマーとして独立 • 今流行の光センサー付き防犯カメラを開発,「先駆的技 術」として専門誌とテレビに紹介 • この事を知った当時の森林総合研究所の研究員の依頼で フィルム式センサーカメラ技術のブラシュアップと製造 を委託され,今に至る センサーカメラの自主開発・製造で12年の実績 1 2012年11月25日日曜日 まず, 呼称について ここでは 弊社製品:センサーカメラフィールドノート® (略称 センサーカメラ) 特許を取得した自主開発技術 他社製品:トレイルカメラ と呼ぶことにします 2 2012年11月25日日曜日 お客さまからの声(1) 2011年度,たまたまR庁の業務で,貸与品の旧版センサーカメラ(麻里府商 事製のフィルムタイプ,デジタルタイプ)とB社製のトレイルカメラを同じ調 査地で使う機会がありました. その結果,センサー感度と信頼性の違いは明らかでした. 貴社製品の前を通過すると,確実に反応していましたが,B社製カメラの前 は何度でも素通りできました. 依頼元への報告書にカメラの機種選定についても書いたのですが,営業妨害 になるということでカットされてしまいました. という個人的な経験もあり,特に中部山岳のシカや外来種の根絶確認のよう な撮りこぼしが許されない調査では貴社製品を推薦することにしています. 3 2012年11月25日日曜日 お客さまからの声(2) 南西諸島で「トレイルカメラ」を使っているが半年で故障した. お客さまからの声(3) 東南アジアで使用し,故障した「トレイルカメラ」を修理 のため送り返したが3ヶ月間何の音沙汰もない. お客さまからの声(4) センサーカメラは高額,もっと安くして欲しい. お客さまからの声(5) センサーカメラは特に太陽光による誤撮影が多いので 感度を下げて欲しい. 4 2012年11月25日日曜日 1.世界的傾向 カタログから見たトレイルカメラの性能 •赤外線画像(不鮮明なモノクロ)が20m先まで撮れる •1年間の連続運用が可能 •全天候性カメラである •赤外線写真撮影,カラー写真撮影機能付きがある •動画撮影(モノクロ)ができる トレイルカメラのメーカーの例 Bushnell Cuddeback Leaf River Moultrie Predator Reconyx Stealth Tasco Trail-Pod Wildview センサーカメラはトレイルカメラに入りません 5 2012年11月25日日曜日 自動撮影法は「サンプリング」である 得られるデータは,機材や設置 方法などの条件によって大きく 変わる可能性がある 『野生動物管理 理論と技術』 (羽山伸一・三浦慎悟・梶 光一・鈴木正嗣 編) 「自動撮影カメラによる調査技術」より 6 2012年11月25日日曜日 2.性能に影響する要因 自動撮影装置に求められるもの 1)サンプリングの精度が高いこと つまり,撮り逃しが(ほとんど)ないこと → 検出精度と撮影速度の向上によって達成可能 >>> 赤外線センサーの構造と信号処理 >>> カメラのタイムラグ(起動→撮影に要する時間) 7 2012年11月25日日曜日 2.性能に影響する要因 自動撮影装置に求められるもの 2)よりよい画像を得ること 個体識別から生息数の推定へ >>> レンズの材質,組み合わせ (色収差やひずみ収差の除去) >>> 撮像素子と画像処理技術 3)高い耐候性 防水・防塵は必須 8 2012年11月25日日曜日 3.構造の違い 赤外線センサー センサーカメラ クワッドセンサーと複眼フレネルレンズ (世界最高級) 赤外線の受光感度が高い サンプリング間隔が短い トレイルカメラ ツインセンサーと単眼フレネルレンズ 赤外線の受光感度が低い サンプリング間隔が長い 9 2012年11月25日日曜日 3.構造の違い 撮像部品の性能の違い (左) センサーカメラ (右) トレイルカメラ 組み合わせレンズ (市販のデジタルレンズ) 単眼レンズ (玩具のカメラ用のレンズ) 例:10枚11群 画像の質は二の次 画像の質を追求 ひずみ除去 >>> カメラレンズの常識 10 2012年11月25日日曜日 なぜ1週間でウンピョウが撮れたか 機材:センサーカメラフィールドノート(デジタル) 場所:インドネシアの熱帯雨林,調査期間:1週間 2012年11月25日日曜日 11 4.センサー感度の比較 性能の比較実験をしてみました 方法 結果 待機時間 (秒) 感知成績 (%) センサーカメラ 10 100 センサーカメラ 30 100 トレイルカメラ(1回目) 30 55 トレイルカメラ(2回目) 30 10 機種 センサーカメラの感知成績は100%であった. トレイルカメラの感知成績は10∼55%であった.しかも,試験2回目は1回目より感知 成績が大きく低下した.この不安定性の原因は不明である. 12 2012年11月25日日曜日 4.センサー感度の比較 性能の比較実験をしてみました 方法 結果 待機時間 (秒) 感知成績 (%) センサーカメラ 10 100 センサーカメラ 30 100 トレイルカメラ(1回目) 30 55 トレイルカメラ(2回目) 30 10 機種 10∼55%しか検知できないということは 1.8∼5倍の調査努力量が必要ということ 調査の前に機材の性能の確認をおすすめします 13 2012年11月25日日曜日 5.市販自動撮影カメラは万能ではない ●「全天候性・・・」って本当ですか? ・野外における長期連続運用は雨水の侵入・結露の防止が困難 1カ月に1回以上の見回りをすることで,よりよいデータがとれるのでは ●トリガータイムではなく,タイムラグが大事 ・トリガータイム(例えば1/4秒):カメラが撮影可能状態になってから撮影までの時間 ・タイムラグ(例えば0.5秒以下):センサーが動物を感知してから撮影までの時間 ●センサーの違いは結果の違い ・ 高感度:多くの種(小型∼大型)が写る(太陽光のちらつきを誤検出することも) ・ 低感度:取り逃がしの恐れがある.小型種が写り難い. ●電池の違いは結果の違い ・アルカリ電池: +5℃∼45℃ (寒い時期には使えません) ・エネループ: 5℃∼50℃ (繰り返し使えて経済的;電圧1.2Vに注意) ・リチウム乾電池: 40℃∼60℃ (低温下/長期運用に有利) 14 2012年11月25日日曜日 これから求められる情報 15 2012年11月25日日曜日 まとめ:開発者からみた 「自動撮影装置に求められるもの」 •高い信頼性! ✴ 検出感度(多様な対象動物を高確率で) ✴ 耐候性(湿気や結露,温度変化に強い) ✴ 鮮明な画像 ✴ アフターケア 16 2012年11月25日日曜日 情報提供 セ ン サ ーカ メ ラ フィ ール ドノ ー ト D U O は 「環境省モニタリング1000里地調査」や 「環境省南西諸島のマングース駆除事業」等 にも採用されています. 17 2012年11月25日日曜日 おかげさまでFieldnoteシリーズは 12年間で1万2千台以上のご愛好をいただきました。 ありがとうございます。 ・・・・ともに在るこの地球を大切に・・・・ 学術センサーカメラの(有)麻里府商事 http://www.marif.co.jp 18 2012年11月25日日曜日