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廃止措置終了確認の基本的考え方 の論点について (その2)
資料1−1 廃止措置終了確認の基本的考え方 の論点について (その2) 平成22年10月27日 原子力安全・保安院 放射性廃棄物規制課 独立行政法人原子力安全基盤機構 廃棄物燃料輸送安全部 1 第13回小委の概要 1.国内外における廃止措置終了確認事例の紹介 2.主要な論点6項目についての説明 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 論点1 論点2 論点3 論点4 論点5 論点6 サイト解放の形態 終了確認の判断基準 終了確認の対象範囲 廃止措置終了確認時の記録 終了確認時のベースラインサーベイデータの必要性 廃止措置終了時の具体的な確認方法 3.6項目の論点について、論点1∼3,論点4・5, 論点6と3つのカテゴリーに分けて議論 2 第13回小委でのご指摘事項及び議論の課題 1. 2. 3. 当小委での検討の範囲の確認 終了確認、サイト解放等の定義について 各国のサイト解放の規制に関する情報の追加 i. ii. iii. iv. v. 4. 5. 6. 規制制定の経緯等 評価シナリオについて バックグラウンド、ベースラインに関する考え方 規制の確認測定について 測定・評価手順概要(米国MARSSIM、ドイツの例) 海外の終了確認対象施設の汚染状況 廃止措置終了に有用な記録の事業者の取得状況 終了確認に必要な記録の重要度 3 1. 当小委での検討の範囲の確認 検討対象施設 当小委員会で検討対象とする施設の範囲は、原子力安全・ 保安院が所掌する、実用発電用原子炉、研究開発段階にあ る発電の用に供する原子炉、核燃料加工施設、再処理施設、 放射性廃棄物管理施設及び放射性固体廃棄物埋設施設の 廃止措置対象附属施設のうち、当面の検討対象として、原子 炉施設とする。他の施設についても、この結果を踏まえて必 要に応じて、今後検討を行うものとする。 検討範囲 主な検討範囲として、次ページに示す終了確認基準の2号 及び3号についての検討を行う。 4 2. 終了確認、サイト解放等の定義について 廃止措置終了確認基準*3 実用炉規則:第十九条の十一 他の省令より 1.核燃料物質の譲 渡しが完了*1 主な検討範囲 2.放射線による障害 の防止の措置を必 要としない 3.核燃料物質又は 核燃料物質によつ て汚染された物の 廃棄が終了*1 4.放射線管理記録 の指定する機関へ の引渡しが完了*2 核燃料 IAEA、WS-G-5.1:行為の終了に際し ての規制管理からのサイトの解放*3 敷地に係る土壌 土地 (敷地、地面) 敷地に残存する施設 建屋(建物) サイト* 4 その他の構 他 構 造物 放射性廃棄物 *3:国内の終了確認においては、規制管理からの解放だけでな く、引き続き敷地における原子力規制等が継続される場合も含 まれる。(次ページ参照) *4: IAEA、WS-G-5.1のp1注記2: 「用語「サイト」は、本安全指針中で規制上の管理からの解放の 検討対象となる土地と建屋あるいはその他の構造物を意味して *1 :再処理規則では、使用済燃料、核燃料物質又は いる。 」 原文:”The term ‘site’ as used in this Safety Guide means 使用済燃料から分離された物という言葉が入る。 land together with any buildings or other structures being *2 : 現状は、放射線業務従事者の被ばくの記録の considered for release from regulatory control.” 放射線影響協会への引渡しである。 5 廃止措置終了の形態の場合分け 継続/サイト解放 施設区分の変化 1 原子力関連施設としての 継続的利用 同一施設区分としての 利用 2 〃 〃 3 〃 〃 4 〃 他の施設区分での利用 許認可の一部の (RI施設も含む) 終了 同一事業者/他 事業者 5 〃 周辺監視区域内で継続 許認可の一部の 終了 同一事業者/他 事業者 一部の解放 許認可の一部の 終了 同一事業者/他 事業者 全体の解放 許認可全体の終 了 (同一事業者/ 他事業者) 6 7 一般施設としての利用 (サイト解放) 〃 許認可 許認可全体の終 了 〃 許認可の一部の 終了 再利用先 同一事業者 他の事業者 同一事業者 終了形態は上記のように、大きく分けて二通りである。ただし、国内では、原子力関連施設として の継続的な利用が主であり、実際の一般解放は例外的である。 従って、「条件付」の解放を制度化するのであれば、原子力関連施設としての継続利用を想定した ものとするのが適切。 また、サイクル施設では、全体の終了確認の前に個別施設の解体が実施されることが考えられる。 6 3.i 主要各国の敷地解放の規制制定の経緯等(1/2) 米国 ドイツ ICRPと米国放射線防護測定審議会(NCRP)の示す放射線被ばくに対する 容認できる公衆被ばく量は100mrem/y(1mSv/y)。更に最適化の原則によって 低減する必要性を勧告。このため、NRCは、サイト解放について、 25mrem/y (250μSv/y)+ALARAのレベルを採用。 実際には、米国環境保護庁(EPA)は、15mrem(150μSv/y)の値を主張し たが、汚染がある軍事施設などを含めた広大な原子力施設の敷地解放を行 うために、(除染などの)経済性を試算し、150μSv/yは現実的ではなく、IAE Aの線量拘束値も参考にしつつ、250μSv/yが合理的と判断した。また、個別 の施設において、経済的に合理性があるのであれば、より低い値とすること (ALARA)とした。なお、これは、環境防護基準(40CFR190 )、低レベル放射 性廃棄物処分場(10CFR 61)の線量基準等とも同一の値となっている。 ドイツの敷地の解放基準(線量基準)のベースはクリアランスと同様に 10μSv/yとなっている。 根拠は1998年2月の放射線防護委員会(SSK)勧告でとりまとめられた報告 書「極低レベル放射能を有する物質、建屋、地面を届出・許認可義務ある扱 いからのクリアランス」である。 次に示す、シナリオ評価を実施し、土地の無拘束解放のクリアランス値とし て、例えば、Co-60で0.03Bq/g、Cs-137で0.05Bq/gという値を算定している。 ただし、クリアランスと同じ線量基準を適用した経緯については、継続調査 中である。 詳細については、参考資料1−1を参照 7 3.i 主要各国の敷地解放の規制制定の経緯等(2/2) フランス 基本的にサイト解放の基準を明示したものはない。ゾーニングの考え方(汚 染の可能性があるものは、基本的に放射性廃棄物)あるいは、0.4Bq/cm2の 表面汚染基準または0.4Bq/g、といった基準でケースバイケースで評価が行 われている。(ただし、基本的には施設は再利用される。) イギリス 基本的にサイト解放の基準を明示したものはないため、リスク基準に遡って ケースバイケースで実施している。 (年間の英国人の自然界からの平均被ばくは2mSvでありその死亡確率を 10‐4と推定し、サイト解放の規制解除では死亡確率を10‐6の年間20μSvを許 可解除レベルとしている。また、英国放射線防護局(NRPB) 可解除レ ルとしている。また、英国放射線防護局(NRPB) の勧告によると、 個人の死亡リスク10−5に相当する線量拘束値0.3mSv/y を超えないことであ る。) IAEA WS-G-5.1に考え方が述べられている。 BSSおよび国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告にしたがい、線量拘束値 は、行為の終了後に人の居住環境に残留すると予想される放射性残留物に よる被ばくに対し、前向きに適用されるべきである。 サイトが制限無しで使用される場合、決定グループの構成員の実効線量が、 線量拘束値年300μSv未満に保たれる防護の最適化によって確保されるべ きである。 (なお、「クリアランスされた物質は、広範囲の潜在的な使用に伴って取引されることもあるので、年 10µSvのオーダーのクリアランス規準に従うべき…土地はその場所にとどまり、それ故に土地の潜在的 な利用についての確実性の程度は、物質の規制上の管理からの解放後の利用に係る確実性の程度よ りも高いことから、物質のクリアランスの場合より高くなり得る。」とされている。) 詳細については、参考資料1−1を参照 8 3.ii 主要各国の敷地解放に関する評価シナリオ 米国 ドイツ IAEA 線量基準に基づき、事業者は、DCGL(導出濃 度ガイドラインレベル )等を決定する。これは、 LTP(認可終了計画書)に反映され、NRCの認可 を受ける。 シナリオの事例を以下に示す。 ・定住シナリオ(地面、地下水等) ・工業利用シナリオ ・事務所化シナリオ ・露出スラブシナリオ ・記念品シナリオ 米国DOEが開発したRESRADコードの被ばく経路 約300種の核種について、現実的に起こりうると想定される被ばく経路を抽出し、それをもとに無制限 利用、工業用途利用に関して5つの被ばく経路を設定した上で、全部で67の評価シナリオに分けて、そ れぞれについて被ばく線量評価を実施 被ばく経路 ・ 解放サイトの地面表面下数10cmの表層部からの外部被ばく ・ 解放サイトの地面からの塵埃飛散による核種の直接吸入による被ばく ・ 解放サイトの地面からの土壌の直接摂取による被ばく ・ 解放サイトでの栽培による食物経口摂取による被ばく ・ 河川水又は地下水の飲料や灌漑による食物、家畜などの経口摂取による被ばく この結果に基づき濃度基準を設定し、規制に反映している。 TECDOC-1118(Compliance monitoring for remediated sites)に以下の記述がある。 ・汚染源は大気飛散、土壌浸透、地下水移動及び生息する動植物を介してサイト内及びサイト周辺 に拡散し、作業従事者や将来にわたって生命活動を営む人間にさまざまな被ばくを与える。環境影響評 価を行なうに際して被ばく経路と被ばくシナリオを想定しうる限りモデル化し、公衆に対する被ばく量が 修復基準を満たすか否かを推定する。 ・代表的なシナリオ: −定住シナリオ(サイト内に定住し、農耕生活を行い、生産物による食生活を営むケース) −地下水シナリオ(サイト内で地下水をくみ上げて飲料水として使用する。定住シナリオとの組合せも 想定するケース) −娯楽活動シナリオ(サイト内でのリクリエーション活動や発掘活動を想定するケース) 9 国内における評価手法について JNESからJAEAの委託事業(平成20年度廃止措置基準化調査) において、JAEAが整備した廃止措置終了における基準濃度算 出コードPASCLR−Releaseによって、敷地解放のシナリオ評価 が可能。 想定されるシナリオ 跡地利用シナリオ 地下水移行シナリオ 移行経路 外部被ばく ダスト吸入 ラドンガス吸入 農作物摂取 畜産物摂取 PASCLR-Release移行経路選択及び計算実行画面 10 放射性固体廃棄物埋設地の管理期間終了後における線 量基準について 昭和62年の放射線審議会基本部会報告(1987年)では、放射性固体廃棄 物の浅地中処分において放射線障害防止の観点からの管理を規制除外 する際の判断の規準とすべき線量(規制除外線量)は、 10μSv/y とされ た。 2009年1月からの放射線審議会で、①我が国における放射性固体廃棄物 埋設地の管理期間終了後における放射線防護に関する基本的考え方に ついて検討、②クリアランスの規準についても基本的考え方を整理した。 この結果、「放射性固体廃棄物埋設処分及びクリアランスに係る放射線防 護に関する基本的考え方について(2010.1、 護 関する基本的考え方 ( 、 放射線審議会基本部会)」 放射線審議会基本部会)」が 発行されている。 我が国における放射性固体廃棄物埋設地の管理期間終了後における線 量基準としては、線量拘束値の具体的な値として、我が国でも、1mSv/ 年を担保するための値として300μSv/yを上限とする値を採用することが 妥当とされている。 IAEAの安全要件文書においても、施設の閉鎖後における公衆の線量につ いては、線量拘束値300μSv/yを超えないか、10-5/yオーダーのリスク拘 束値を超えないように設計するべきとなっている。 なお、我が国におけるクリアランスレベル導出に係る個人線量の規準は、 10μSv/yを今後も適用するとされている。 詳細については、参考資料1−5及び1−6を参照 11 3.iii バックグラウンド、ベースラインに関する考え方 米国 MARSSIM(NUREG-1575 Rev.1)*に「現場及び実験室における適切な測定技術 により、バックグラウンドとして存在する放射性核種のレベルと分布、残存汚染の レベルと分布に関して科学的に説明あるいは、弁明できるサイト特性データを取 得すること。」とあり、測定・評価上、考慮することとなっている。 また、同書に、「バックグラウンド参照エリアは、調査するサーベイ単位と物理的、 化学的、放射線学的、そして生物学的に類似な特徴を持ち、サイト放射能によっ て汚染されなかった(すなわち、影響を受けていない)エリアとして定義される。」 * MARSSIM (Multi-Agency Radiation Survey and Site Investigation Manual)は、放射性物質に関する権限と管理を持つ4つの機関、国防総省 (DOD)、エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)と原子力規制委員会(NRC)が協力して作成した多省庁機関の総意文書であり、建物表面や表面 土壌の最終状況放射線サーベイについての設計、実施、評価、文書化に関する情報を提供するガイドラインである。 ドイツ 原子力法第 条 定義されて る施設及びそ 原子力法第7条に定義されている施設及びその一部の廃止、安全密閉及び解 部 廃 、安全密閉及び解 体撤去の手引書(2009年6月26日)に「地面のクリアランスの場合、敷地の施設が 原因で起きた汚染のみを考慮すべきである。天然の放射性核種、核兵器の試験 やチェルノブイル事故から生じた放射性降下物は、クリアランスにおいて考慮すべ きでない(たとえば、施設環境に匹敵するエリアでの測定に基づいて)。」とある。 WS-G-5.1、2.6に、「この線量拘束値は、複数の被ばく経路を考慮に入れるべき であり、バックグラウンドから年300μSvを超えるべきではない。」とある。 WS-G-5.1、2.7に、「施設サイトにおけるバックグラウンド放射線のレベルを定義 づけるために、放射線学的条件の情報入手を含むサイトのベースラインサーベイ が実施されることを確保すべきである。…ベースラインサーベイが実施されなかっ た既存の施設については、この目的のために、類似の、擾乱されていない似た特 性を持つ地域からのデータが用いられるべきである。」とある。 いずれもベースラインデータの必要性を示すとともに、評価上は、何らかの手法でデータを 揃え、バックグラウンドのデータを差し引いて評価すべきとされている。 12 IAEA 3.iv 規制の確認測定について 米国 MARSSIMには「最終状況サーベイの計画には、規制機関との間で、確認 または検証サーベイのための実務作業に関して、初期に話し合う作業を含 める必要がある。確認サーベイ(独立した検証サーベイとも呼ばれる)は、管 轄規制機関が実施することも、独立した第三者が実施することもあり (規制 機関との契約などによる)、この調査によって最終状況サーベイの結果を裏 付けるためのデータを提供する。」とある。 実際の確認サーベイは、ORISE等別の機関に委託 している。 ドイツ 認可書に定められた解除の基準、試料採取・測定方法などが遵守されて いることを検査 を検 記録文書を審査し、事業者の専門能力などを審査 当局による放射線測定の実施、測定結果を確認 実際の確認サーベイは、一部TÜV等、別の機関に委託して実施している。 IAEA WS-G-5.1、5.21に、「規制当局は、規制上の管理からの解放が考慮され るサイトの検査を実施すべきである。これには、浄化およびモニタリング手順 のレビュー、マネジメントシステムのレビュー、サイトの解放規準の遵守に関 する独立したモニタリングおよび解析、あるいはサイトにおける制限の実施の レビューが含まれることになる。」とある。 いずれも客観的な第三者の測定を求めているのではなく、事業者と独立した機関を想 定しているもの。規制機関による直接の測定もありうるが、米国やドイツでは作業量の問 題で、実際の測定を契約機関に委託しているのが実態である。 13 3.v 測定・評価手順概要 米国 ドイツ MARSSIMに従い検認を実施 事前サーベイ:サイト解放の可否を最終的に判断する最終状況サーベイの 計画に必要な情報収集及び汚染レベルによるエリアのクラス分類を段階的 に実施(サイト履歴調査、スコーピングサーベイ、特性評価サーベイ及び修復 活動サーベイから構成) 最終状況サーベイ:事前サーベイによりクラス1∼3に分類されたエリアに 対して、クラス別の手法で残存放射能濃度の測定を行い、基本評価領域 (サーベイユニット)ごとにサイト解放可否の判断を行う。 確認サーベイ:事業者が実施した最終状況サーベイの結果に対して、解放 基準を満たすことの妥当性を評価するため、NRCによる確認サーベイを行う。 2001放射線防護令29条のクリアランスレベルをDIN25457 -7:2008に従 い検認 対象は地面 事前調査:サンプルを測定等を行い、放射能分布や主要核種を確認す る。 カテゴリ分類:1∼3に分類を行い、後続の手法に反映する。 検認測定:直接測定においては、対象に応じて原位置γ線スペクトロメト リおよび大面積比例計数管によるβ線表面汚染測定を行う。試料採取が 必要な場合には、代表試料の測定、測定結果の統計的分析等を行う。 この結果、基準を満たせば解放されるが、条件を満たさなければ、汚染 部分除去、対象見直しによる再検認等が実施される。 詳細については、参考資料1−1、1−2及び1−3を参照 14 4. 海外の終了確認対象施設の汚染状況 実際の解放等を実施した米国、ドイツ、英国の商用施設の実 績(サイクル施設を含む)を見ると、解放基準を超えた汚染が 事業者のサーベイで発見されている。 汚染核種として、原子力発電所では、トリチウム、Cs-137、 Co-60、Mn-54など施設由来のものである。燃料施設では、 ウランなどの核種の他、α核種についても検出されている。 汚染の原因は、燃料プールや埋設配管の漏えい、予期され 汚染 原因 、燃料 や埋設配管 漏 、予期され ない放出などである。また、地下水が汚染されている例もあ る。 事業者のサーベイ、規制の確認サーベイにおいて、地表面 の汚染は、放射線検出器で比較的容易に確認が可能である が、地下の土壌の汚染、地下水の汚染については、ボーリン グや地下水調査を実施して確認する必要がある。 詳細については、参考資料1−4を参照 15 5. 廃止措置終了に有用な記録の事業者の取得状況 終了確認においては、事業者の録取した記録の確 認が重要な要件となる。 対象となる施設について、検討の対象となった記録 類、現在の取得状況等について、表1に示す。 事業者は、終了確認を想定して、これ以外の記録を 取得し は な また 法令 定められ る記録 取得してはいない。また、法令で定められている記録 について、事業者は定められた保存期間を超えてい る場合には、廃棄している事例も見られる。 表1で示した記録は、終了確認で必要となる可能性 のあるものをほぼ網羅していると考えられる。 16 6. 終了確認に必要な記録の重要度 検討の結果、必ずしも全ての記録が終了確認で必要とは限ら ず、その重要度についても軽重がある。 廃止措置工事における施設及び作業環境の汚染状況、廃 棄物の処理・処分等の記録について保存しておく必要が ある。 運転中における事故等による環境放出、建家内の汚染等 の記録についても保存しておくことが重要である。 記録 も保存 おく 重要 ある。 ただし、終了確認においては、これらの記録がなくてもより詳 細な調査や測定を行うことによって評価を実施することは可 能である。事業者はこの検討結果に基づき、今後、運転中の 施設を含め、必要な記録を終了確認まで保存しておくことが 望ましいと考えられる。 17 表1 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(1/4) 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(1/4) № 取得すべき 記録 省令等の記録事項 省令等の記録すべき場 合と保存期間 現状の取得状況 (媒体、処理、報告等) 現状の保存状況、保 存期間、廃棄状況 1 排気筒から の放出放射 能の記録( ダストモニ タ、ガスモ ニタ) 放射性廃棄物の排気口 又は排気監視設備及び 排水口又は排水監視設 備における放射性物質 の一日間及び三月間に ついての平均濃度 記録すべき場合:一日 間の平均濃度にあつて は毎日一回、三月間の 平均濃度にあつては三 月ごとに一回 保存期間:10年間 媒体:紙(報告書、チャート ) 処理:計算機処理 報告等:国等へ報告 保存状況:紙媒体(報 告書、チャート) 保存期間:10年間 廃棄状況:保存期間 経過後、破棄(一部事 業者では、永久保存 又は現時点で破棄し ていない) 事故等によ る環境放出 等 原子炉施設等の事故記 録 (事故の発生及び復旧 の日時、事故の状況及 び事故に際して採つた 処置 事故の原因 事 処置、事故の原因、事 故後の処置) 記録すべき場合:その都 度 保存期間:終了確認ま で 媒体:紙(事故・故障に対 する報告書) 処理:― 報告等:国等へ報告 保存状況:紙媒体(事 故・故障に対する報告 書) 保存期間:終了確認 まで 廃棄状況 廃棄状況:− 気象記録 気象記録(風向及び風 速、降雨量、大気温度) 記録すべき場合:連続し て 保存期間:10年間 媒体:紙(チャート、報告書 ) 処理:一部計算機処理 報告等:自治体へ報告 保存状況:紙媒体(チ ャート、報告書) 保存期間:10年間 廃棄状況:保存期間 が過ぎれば廃棄され る。(一部事業者では 、永久保存又は現時 点で破棄していない) 中 放射性物質による汚染 の広がりの防止及び除 去を行つた場合には、そ の状況及び担当者の氏 名 記録すべき場合:広がり の防止及び除去の都度 保存期間:1年間 媒体:紙(報告書(除染作 業実施記録等)) 処理:― 報告等:国等へ報告 保存状況:紙媒体(報 告書(除染作業実施 記録等)) 保存期間:1年間(5 年間、10年間の事業 者あり、2.に関するも のを除く) 廃棄状況:保存期間 が過ぎれば廃棄され る。 大 2 3 4 事故等によ る建屋内の 汚染 記録の重要度(大中小) とその根拠 小 排気筒からの放出実績 は有意なものではなく、 また、広い範囲に拡散 するため、敷地の汚染 には寄与しない 大 事故における放出記録 等は、サイト汚染の推定 のため重要な記録であ る。 1の理由で、平常時の記 録の必要性は小さいが 、事故時の記録は残し ておく必要がある。 事故・事象における汚染 記録は、サイト汚染の評 価のため重要な記録で ある。 18 表1 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(2/4) 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(2/4) № 取得すべき 記録 省令等の記録事項 省令等の記録すべき場 合と保存期間 現状の取得状況 (媒体、処理、報告等) 5 運転時の必 要な記録 (運転時の諸記録) 例:原子炉施設の保守 管理記録(巡視点検記 録等)その他:運転記録 、定期検査や改造作業 など諸作業時の放射線 管理記録 【巡視点検記録】 記録すべき場合: 運転時:1日1回 廃止措置時:1週1回 保存期間:巡視又は点 検を実施した施設又は 設備を廃棄した後5年間 媒体:紙(巡視点検記録) 処理:― 報告等:特になし。 保存状況:紙媒体 保存期間:巡視又は 点検を実施した施設 又は設備を廃棄した 後5年間 廃棄状況:保存期間 が過ぎれば廃棄され る。 ※平成15年の実用 炉則改正後、上記保 存期間で運用 【管理区域内における線 量当量率、空気中放射 性物質濃度 表面密度 性物質濃度、表面密度 の定期放射線測定記録 】 頻度:1週1回 保存期間:10年間 媒体:紙 処理:― 報告等 特になし 報告等:特になし。 保存状況:紙媒体 保存期間:10年間 廃棄状況 保存期間 廃棄状況:保存期間 が過ぎれば廃棄され る。(一部事業者では 、現時点で破棄してい ない) 6 7 現状の保存状況、保 存期間、廃棄状況 記録の重要度(大中小) とその根拠 中 上記の事故・事象に関 連する記録として、ある いは、作業時の作業環 境の汚染状況を推定す るために必要。 解体時の記 録 廃止措置に係る工事の 方法、時期及び対象と なる原子炉施設の設備 の名称 記録すべき場合:廃止 措置計画に記載された 工事の各工程の終了の 都度 保存期間:終了確認ま で (東海発電所、浜岡発電所 、ふげんのみ) 媒体:紙 処理:− 報告等:特になし (東海発電所、浜岡発 電所、ふげんのみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:終了確認 まで 廃棄状況:― 大 解体時の作 業箇所周辺 の建屋内の 環境測定記 録、汚染調 査の結果 なし なし (東海発電所、ふげんのみ ) 媒体:紙(測定結果工事開 始前、工事完了後の工事 場所の線量当量率・表面 汚染密度測定結果) 処理:− 報告等:特になし (東海発電所、ふげん のみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:5年間 廃棄状況:保存期間 が過ぎれば廃棄され る。 中 作業時の作業環境の汚 染状況を推定するため に必要。 作業時の作業環境の汚 染状況を推定するため に必要。 19 表1 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(3/4) 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(3/4) № 取得すべき 記録 省令等の記録事項 8 解体物の汚 染 工事の対象となる原子 炉施設の設備のうち管 理区域内の設備から当 該工事に伴い生じる物 の表面における放射性 物質の密度及び当該物 に含まれる放射性物質 の数量の測定結果、測 定方法、測定日及び測 定をした者の氏名 記録すべき場合:測定 の都度 保存期間:終了確認ま で (東海発電所のみ) 媒体:紙(NR念のための 測定記録) 処理:− 報告等:特になし (東海発電所のみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:終了確認 まで 廃棄状況:― 中 環境モニタ リングデー タ(線量率、 ダストモニ タ、ガスモ ニタ) (モニタリング指針により 、線量率、ダスト等の測 定の他、環境試料の測 定が実施される ) 定が実施される。) 空間放射線について連 続測定、緊急時には強 化。 保存期間 指針に規定 保存期間:指針に規定 はない 媒体:紙(チャート、四半期 報、年報等) 処理:― 報告等 自治体 報告 報告等:自治体へ報告 保存状況:紙媒体(チ ャート、四半期報、年 報等)) 保存期間 (各社毎設 保存期間:(各社毎設 定:5年間、10年間、 永久) 廃棄状況:(各社で異 なる) 中 解体物の履 歴、追跡管 理に関する 記録 放射性廃棄物を容器に 封入し、又は容器に固 型化した場合には、その 方法(その他、廃棄確認 においては、放射能濃 度等を示すための履歴 記録が必要) 記録すべき場合:封入 又は固型化の都度 保存期間:終了確認ま で 廃棄確認時に必要 (東海発電所、ふげんのみ ) 媒体:紙(固体廃棄物保存 報告書) 処理:― 報告等:特になし (東海発電所、ふげん のみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:終了確認 まで 廃棄状況:― 大 クリアランス に関する記 録 工場又は事業所におい て用いた資材その他の 物に含まれる放射性物 質の放射能濃度につい て法第六十一条の二第 一項の規定に基づく確 認を受けようとするもの の記録 記録すべき場合:基本 的にその都度保存期間 :工場又は事業所から 搬出された後10年間 (東海発電所のみ) 媒体:紙(放射能濃度確認 対象物及び評価報告書) 処理:― 報告等:特になし (東海発電所のみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:搬出された 後10年間 廃棄状況:これまでに 廃棄したことはない。 小 9 10 11 省令等の記録すべき場 合と保存期間 現状の取得状況 (媒体、処理、報告等) 現状の保存状況、保 存期間、廃棄状況 記録の重要度(大中小) とその根拠 作業時の作業環境の汚 染状況を推定するため に必要。 特に土壌の測定記録に ついては、ベースライン サーベイデータの一つと して用いることができる 。 終了確認の基準三号に 係るもの。廃棄確認時 の記録としても必要。 終了確認の基準三号に 係るが、既に検認が終 了しており、クリアランス の制度の中で考慮可能。 20 表1 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(4/4) 終了確認に必要とされる取得すべき記録のまとめ(4/4) № 取得すべき 記録 省令等の記録事項 省令等の記録すべき場 合と保存期間 現状の取得状況 (媒体、処理、報告等) 現状の保存状況、保 存期間、廃棄状況 12 使用済燃料 の譲渡しに 関する記録 、追跡管理 に関する記 録 使用済燃料の種類別の 払出量、その取出しから 払出しまでの期間及び その放射能の量 記録すべき場合:払出し の都度 保存期間:10年間 媒体:紙(計量管理記録) 処理:− 報告等:払出の都度、国へ 報告 保存状況:紙媒体 保存期間:10年間 廃棄状況:保存期間 が過ぎれば廃棄又( 一部事業者では、永 久保存又は現時点で 破棄していない) 中 ベースライ ンサーベイ 等に関する 記録 ― ― (一部事業者のみ) 環境モニタリングとして、操業 前、操業後のサイトの土壌 、指標植物(松葉)、降下 物に関する放射能濃度を 測定。 媒体 紙(環境放射線モ タ 媒体:紙(環境放射線モニタ リング月報) 処理:― 報告:自治体へ報告 (一部事業者のみ) 保存状況:環境放射 線モニタリング月報は、燃 料装荷の2年前より保 存。 保存期間:10年間 廃棄状況 (各社で異 廃棄状況:(各社で異 なる) 中 (その他の 記録) 環境放射能 測定データ 放水口沖の 海洋水、環 境空気中ダ スト・トリチ ウム等、環 境試料(海 産物、松葉 等植物等) 放射能測定 ― 媒体:紙(四半期報、年報 等) 処理:― 報告等:自治体へ報告 保存状況:紙媒体(四 半期報、年報等)) 保存期間:(各社毎設 定:5年間、10年間、 永久) 廃棄状況:(各社で異 なる) 13 14 ― 記録の重要度(大中小) とその根拠 終了確認の基準一号に 係るもので、確認が必要 。 ベースラインサーベイデ ータとして用いることが できる。 中 環境放射能データは汚 染が拡散していないこと の傍証となる。 21