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米国での陶磁器用素地・釉薬の研修 溝上 良博

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米国での陶磁器用素地・釉薬の研修 溝上 良博
米国での陶磁器用素地・釉薬の研修
第7回
九州電力若手工芸家国内外派遣研修制度
研修報告書
溝上 良博
目
次
1
研修にあたって ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1
2
研修日程 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2
3
研修報告 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3∼23
石膏型によるテストピース作成・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3∼18
現地での鉱物採取,粉砕 乾燥
試験体の調合作成・検討
素地の作成
化粧土作成
実用的なオリジナルの釉の作成
ガス窯 築炉制作補助・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19
製品作成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ 20,21
ロクロ成形
焼成テスト
デモンストレーション
施設・美術館・ギャラリー等の視察・見学 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 22∼24
4
研修を終えて ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 25
1 研修にあたって
研修期間
平成14年9月5日∼平成14年12月3日
研修先
ニューメキシコ州立大学
アルバカーキ州立ラクエバ高校
(アメリカ合衆国 ニューメキシコ州アルバカーキ)
研修目的
研修先のニューメキシコ州・アルバカーキは海抜1600mといった高地でもあり,
日本とは全く異なった気候・風土・地層の土地である。私はアメリカの大陸で手に
入る自然原料(鉱物・粘土)を採取して,素地の作成から釉の調合調整を行い,
より安定した釉薬とその焼成の研究をしたいと考えた。
今まで作陶に携わり,取得してきた知識と技術が,アメリカの地でどこまで活か
せるのか,また通用するのかを試してみたいと考えたからである。また,日本の
伝統釉にはない,新しい釉を開発することと,日本とアメリカ,それぞれ陶芸に対
する文化の相違点を見いだしつつ,何か融合できるものはないだろうか,伝統の
中に新しさを取り入れながら表現できないかと模索してみた。
そして,自分を異なる文化環境のもとに置くことで,唐津焼に様々な刺激と
異文化の精神を反映させ,私にしか表現できない唐津焼を作りたいと考えた。
2 研修日程
年月日
滞在先
視察先
9/5
/5
研修内容及び視察目的
備考
出発福岡 成田
ロサンゼルス
BERGAMOT
FRANK LROYD GALLERY 等 視察
個人作家の製作した物や,表現
方法を見て回る
/6
ロサンゼルス
COUNTY
FOLK ART MUSEUM
ピカソ展
Los Angeles County Museum of Art
陶磁器から 彫刻。絵画等見て回る
/7
アルバカーキ
UNM
/8
ニューメキシコ州立大学(UNM) 原料調達
ラクエバ高校での研修開始
東サンディア山に 鉱石採取
10月
UNM
以後 繰返し周辺の山 鉱石採取
中間仕上げ
粉砕 乾燥 調合
中旬
月例報告
出来た素地 釉薬を使い 作品制作
窯焚き
サンタフェ
11月
中旬
周辺の美術館,ギャラリー
視察
ネイティブアメリカの陶芸
鑑賞
月例報告
製作現場 視察
アルバカーキ
仕上げ
帰国準備 掃除 精算
荷造り
発送
12月
/4
月例報告
帰国
3 研修報告
石膏型によるテストピース作成
アルバカーキ周辺の豊富な資源 鉱石を採取して 焼成することで各原料の
特徴を釉性状により把握し,釉薬の調合・調整を試みた。
① 鉱石採取
スタンパー等の粉砕器具が無かったため,なるべく風化した物をみつけ,含
鉄土石原料の他に 基本原料となる長石 着色のための含鉄原料素地土を
つくるための耐火度のあるもの等を中心に採取を始める。
アルバカーキに着いて2日目,Mt.SANDIA 山麓での鉱石採取(9/8)
Point A
Point B
Point C
Point D
A
Mt.SANDIA
赤
B
南14入り口
グレー
C
マウンテンバイク公園入り口
黄
D
南14 帰り道
白
アルバカーキ150キロ付近 COCHITI LAKE 北西の頂上付近 (9/15)
Point E
Point F・G
Point H
Point I
Point J
E
黒曜石 風化
白グレー
F
道路側面上 荒
オレンジ水分有
G
道路側面下 細
オレンジ水分有
H
道路上
白岩
I
道路上
茶
J
岩下の表面 砂
グレー 少量
堅い
アルバカーキ Mt.SANDIA 山頂の鉱石採取(9/22)
Point K・L
Point M
Point N
K
Mt.SANDIA 山頂 表面
赤茶
L
Mt.SANDIA 山頂 内部
赤
M
登り口側面
白岩
N
登り口側面
茶砂
水分有
水分有
水分有
アルバカーキ 西方 extinct volcano での鉱石採取(10/4)
Point O
O
測道の盛り上がった表面
白
アルバカーキ北方 FW EXIT264 からSANTA FEでの鉱石採取(10/10)
Point P・Q
Point R
Point S
Point T
Point U
Point V
P
LA BAJADA HILL線路脇
黄土
Q
LA BAJADA HILL線路脇
透明石
R
LA BAJADA HILL
白岩
S
LA BAJADA HILL 小川下
黄土
T
SANTA FE スキー場
緑
U
SANTA FEスキー場カーブ
ピンク
V
SANTA FEから北14
粘土
堅い
もろい
もろい
Dixon付近 HARDING MINE鉱山 (10/13)
Point W
Point X
Point Y
Point Z
W
HARDING MINE 鉱山内
白
粉末
X
HARDING MINE 鉱山内
ビンク
堅い
Y
HARDING MINE 鉱山入口
粘土
黒黄
Z
HARDING MINE 鉱山外
オレンジ
② 仮焼テスト
採取した鉱石を乳鉢ですり,荒いふるいにかける。
同量ずつ各々をぐい呑状の容器に入れ,酸化焼成(OF),還元焼成(RF)
の窯に入れて,溶け具合をみた。
上から 原料 OF RF
Point A
Point
B
K
U
C
L
V
W
D
M
X
E
N
Y
F
O
Z
P
G
Q
H
R
I
J
S
T
仮焼テストの結果,鉱石を以下のとおり分類した。
透明に近い
H
半透明
F G I J Z
不透明
R U W X
含鉄原料
黒色
B N T Y
茶色
A C K L P S
薄い茶
E O
溶けない
V
ザクザク
D H M Q
含鉄原料を着色剤に,透明半透明の原料を長石の代用として,溶けない
原料は,素地試験に用いる事とした。
② 試験体の調合テスト1
次回の採取・粉砕等の容易さを考え,仮焼テストより釉性状の変化が似か
よったものを振り分け,,三角座標を用いて以下の調合を行う。
手順として全ての原料をポットミルにて6時間かけて粉砕し,布でこした上,
屋外において天日で2日間ほど完全乾燥させてから調合に用いる事とした。
ボットミル湿式粉砕 6時間
屋外での乾燥
三角座標①
Feldspar-Limestone- A
Feldspar-Limestone- B (OF RF)
Feldspar-Limestone- C
Feldspar-Limestone- O
Feldspar-Limestone- D
(OF RF)
調合テスト1の結果,
・
Feldspar-Limestone- A,C,Oについてはほとんど変化は見られず,似か
よった成分と思われる。
・
Feldspar-Limestone- B は 緑の青磁の色が広範囲に出ている事から マ
グネシウムを含み A,Cに比べ鉄の含有量が少ないようだ。
・
Feldspar-Limestone- D耐火度が有り,他の成分とは異なった。また,ほぼ
対称的な釉性状であるため カオリンか石灰かと悩んだが,同時期に行っ
た素地試験で 別の成分が加わる事で溶解する性質である事がわかり,石
灰系原料として次回テストに用いることとした。
③ 試験体の調合テスト2(長石の代用)
PointEとUについて,仮焼テストで良く溶けていた為,長石の代用を考えた。
PointE,UとLimestoneとPointAの調合を試みる事とした。
三角座標②
E -Limestone- A
(OF RF)
U -Limestone- A
調合テスト2の結果,Feldspar-Limestone- Aとの釉性状の変化は,ほとんど
見られない。
これは Point Eが 長石に近い成分を含んでいると考えて,以後の試験に
使用する事とした。
④ 試験体の調合テスト3(石灰の代用)
ここでは,石灰をPointDと置き換えることで,前回までに得られた原料を再
検討して,まずアルバカーキ周辺の鉱石全てを用いて釉となることを確認して
みた。
三角座標③
F-D-C
(OF)
( RF)
調合テスト3の結果,目標としていた現地での原料をすべて用いて,釉薬を
作る事が出来た。次は,大合わせをしてみることとした。
⑤ 試験体の調合テスト4(酸化銅を利用したトルコ青釉の調合)
HARDIND MINE(ぺグマタイト鉱床)で採取した Point W,X,Zについては,
鉱山の資料よりすべてリチウムを含む鉱物と考えて,トルコ青の試験を行うこと
とした。
Petalite:
LiO2 Al2O3 8SiO2
Spodumene:
LiO2 Al2O34SiO2
Lepidolite:
LiKAl2F2Si3O9
フッ素を含む鉱物
Point W,Xは とても硬い鉱石だったため,できるだけ細かな鉱物だけをボ
ールミルにて3日間擦り,他の原料と同じ手順で乾燥させ,調合に用いた。
三角座標④
Feldspar-BaCO3- W
(OF RF)
調合テスト4の結果,バリウムを多く含み長石の少ないところで青から緑色
の発色がみられる。
⑥ 試験体の調合テスト5(青釉-2)
良好なポイント(Step1−8番)付近の細かな調合を試みた。
三角座標⑤
Feldspar-BaCO3- W
(OF RF)
調合テスト5の結果,バリウムの多いポイントでは黒ずみがみられたが,長
石を必要としないBaCO3- PointWでもよい結果が得られた。
アドバイス・資料提供
京都市工業試験場 産業工芸部 窯業技術研究室
横山 直範 先生
⑦ 素地テスト1
現地で購入したBlend土とPointC・Dを使って 調整してみる
三角座標⑥
Blend土 - C - D
(OF RF)
素地テスト1の結果,7番以降はほとんどが溶融してしまい,役にたたない。
この結果,Dが耐火度がある物と考えていたが 媒熔材原料と置き換え次の
釉薬試験にいかすこととした。
初期のテストではなかなか 粘土質成分を見つける事が出来なかった。
⑧ 素地テスト2
Point P・S・Vを粘土として 調整してみる事とした。
素地試験のやり方を変え,先ず泥奬にしてから1日置き,ハンドミキサーをか
けてから荒いふるいでこし,布で乾燥させて粘土を作ることとした。
No.
Point Clay
WH8 Clay
1
2
100 90
0
10
3
4
5
6
7
80
70
60
50
40
20
30
40
50
60
8
30
70
⑨ 灰のテスト
アルバカーキの北Dixonに住む陶芸家 BESTYさんより分けていただいた灰
(ASH a,ASH b,ASH c)3種類の試験を行った。
比較できるよう仮焼テストで使用した三角座標①を利用して量にかぎりがある
ため以下のポイントを調合した。
OF RF
Test Number
ASH a (APPLE)
5
7
8
9
11
12
ASH b (PINON MIX)
ASH c (CORNSTALK)
5
7
8 9
8 9
11
12
ASH by BETSY
(Dixon)
灰のテストの結果,少量の灰であったため 最高6種類の調合となったが,
灰の性質を知る上で貴重なものとなる。aは媒溶剤として,bも媒溶剤ではある
が鉄分を多く含む。 cは珪酸質原料といった仕分けが出来る。
⑩ 白化粧の作成
今回制作した土が鉄分を含み有色であったため,白化粧を作成した。
No.
Porcelain
powder
Kaolin
powder
WH8
powder
1
2
50
50
50
25
25
時間の関係で基本的な2ポイントになってしまったが,特に青磁を掛けた
ものは良好な結果が得られた。
化粧掛けしたテストピース
⑪
実用的なオリジナル釉の作成
クラスでのアンケートの結果を踏まえ 以下の調合を行いオリジナル釉を作
成した。
青磁のマット釉
(RF)
金色の釉
(RF)
Point Eを利用した4番の調合
Point Cを利用した6番の調合
Point E
50
Feldsper
50
Limestone
40
Point A
50
Point A
10
青磁
(RF)
全てアルバカーキの原料で青磁釉
Point F
70
Point D
15
Point C
15
青マット釉
緑釉
(OF)
Point W13番を利用した調合
BaCO3
30
Point W
70
(OF)
Point W 7番を利用した調合
Feldsper
10
BaCO3
60
Point W
30
ガス窯築炉制作補助
ラクエバ高校の校舎から離れたところに移築する事になり築炉に臨む。
スタイルとしては バナー4本の到炎型のガス窯でUNMの屋外にある
ガス窯をモデルとして行う。モルタル等メジうめはなく煉瓦を積む作業を
繰返していった。
10/22
アメリカンスタイルと言うべきか,屋根,バーナーの設置まで業者に頼
まずに行うと聞かされ,正直ビックリした。学校側の検査を受けてガスの
配管の許可がでる。
製品作成
① ロクロ成形
粉 砕 す るた めの 乳 鉢 , 乳 棒 の 作 成 か ら 始 め る 。 大 学 の ク ラ ス は , 磁 器
土中心のクラスであったため,陶器用のWH8土 Blend土を購入し還元,
酸化焼成のための素地作り ロクロ成形をする事となる。
アルバカーキはとても乾燥した土地であることと,室内空調の関係で
小物であれば 午前中にロクロびきすれば,夕方には削れるほど素地
乾燥の管理が大変だった。
昼までにロクロひきし,縁の乾燥しかけたところで 新聞紙をかけて,
ビニールで覆い,帰宅しその翌日に削りをするといった手順をふんだ。
②
焼成テスト
・ 酸化焼成
ラクエバ高校で 電気窯 22時間焼成 にて30分保持
Oxidation Fire
Electric-Kiln
22hrs
SK 7±
・ 還元焼成
UNMの屋外に設置してあるガス窯にて14時間焼成SK11±
Reduction Fire
Gas-Kiln
14hrs
SK11±
③ デモンストレーション
ニューメキシコ州立大学・ラ クエバ高校・私立アカデミー高校での
実演を頼まれ,用意していたスライド40枚,ロクロ成形,叩き技法,板
作り,絵付け等を行う。
高校生の反応は特に良く,すぐに真似をして作品に反映させてくれた。
面白い作品が多数出来あがり 帰国が迫り仕上がりまで見られないのが,
惜しい気がした。
陶磁器に関心のある生徒の多いこと 各学校にセラミックの教室,授
業があり,年度末には推薦,奨学金をかけ競っているとのことで設備も
広さもあり恵まれている。
どちらかというと陶芸家を育てるのではなく,個性重視の教育現場を
みることが出来た。
視察,見学
乗 り継 ぎ の 為 立 ち 寄 っ た ,ロ サン ゼ ル ス で 入 国 審 査 を 受 け ,現 代 作 家
の絵画を中心としたロサンゼルス・美術館,博物館を見て回り,その後
滞在地であるアルバカーキ・サンタフェを中心とした美術館,博物館の
見学を行った。
FRANK LLOYD GALLERY (9/5)
多くのギャラリー群のなかに有り,新しい現代的アート
CRAFT & FOLK ART MUSEUM (9/6)
陶磁器を中心としたピカソ展,刺繍,木工製品等の作品と多くのアメリカンクラフト
L.A COUNTY MUSEUM (9/6)
4つの建物からなり 日本の古典芸術など アメリカの地で見る日本の良さを再認
識
UNM Art Gallery (9/11)
昨年9月11日の飛行機事故を追悼して 「花」をテーマに作品展示
CAMINO REAL DE TIERRE ADENTRO
写真展
Museum of FIne Arts (10/1)
サンタフェPLAZAにあるアメリカ現代絵画・彫刻・織物等の展示。先住民
の素顔を描いたもの等あり,ニューメキシコの自然と人間の関わりを考え
させられる。
Museum of Indian Art & Culture
(10/1)
各地区のインディアンの工芸品(陶器・皮の衣類・バスケット・ジュエ
リー)等の色使いや形,モチーフの相違がわかる比較展示。また,現代感
覚でのネイチブアメリカ陶芸家の作品を展示
The Albuquerque Museum of Art & History
(10/2)
アメリカ絵画 彫刻等,タイ・インドネシア等の彫刻 絵画 ニューメ
キシコの歴史
この地区のスペインの植民地時代からの400年の歴史を古地図や戦いの
ための武器等を交え,色々な角度から紹介している。
The New Mexico Museum of Natural History & Science (10/2)
氷河・火山・鉱物の地球の歴史と科学についてと 微生物から恐竜・化
石等の自然史に関すること。付近の鉱石の展示は興味深かった。
The National Atomic Museum (10/2)
原子力科学に関する歴史と開発。ロスアラモスでの原子爆弾の製造や長
崎原爆投下の資料 現在の利用法など紹介。付近の鉱石は被爆のおそれが有
るとのことで今回の鉱物採取で行かないよう位置を確認。
ACAMA
Sky City (10/8)
水道・ガス・電気・電話もない古い生活をそのまま残した自然都市。
国立歴史遺産の指定で 色々と規制があった。
現地の作家さんと会える。キャロリン・コンチェさんのスタジオ見学
Betsy Williams 工房
(10/13)
唐津(佐賀県)で4年修行し,2年前からこの地で 自作で薪窯を築き,
作陶中の女流陶芸家。
私立アカデミー中・高校 (10/16)
公立の学校と比べ,屋外には大きなガス窯まであり,とても恵まれた設
備,施設を所有。
Museum of international
Folk
Art (10/22)
世界100ヵ国の民芸品・織物・服を集め展示し,各国の生活をジオラマ等
を通じて感じる事が出来る。日本は こけしや着物などちょっと古い文化
の紹介となっていた。
The Maxwell Museum of Anthropolory (10/24)
大学内にありアメリカ南西部地域に住むインディアンの文化・芸術を
対 象 に した 所 , 地 下収 蔵 庫 で 色 々 な プ エブ ロ 族の 焼 き 物を 見 るこ と が で き
た。200枚余りの写真を撮らせていただいた事に感謝する。
INDIAN PUEBLO CULTURAL CENTER (10/27)
ニューメキシコに住む19のプエブロインディアンの歴史文化・工芸
風習を紹介してある。
PETROGLYPH 自然公園 (10/27)
もっとも古い岩絵は 2000年から3000年も昔で,狩猟や採集生活を営んでいた
古代人の岩絵
Canyon
Road
(11/5)
Morning Star Gallery・Off the Wall・Wazlander Gallery・Allene Lapides
Gallery・Running Ridge Gallery 等アメリカのアートセンターといわれるほどギ
ャラリー・美術館の数が多いところ
The Georgia O'Keeffe Museum
(12/29)
世界的に有名な女流画家ジョージア・オキーフ(1910-1970)のニュー
メキシコの荒野を描いた風景画,動物の骸骨,花,抽象画など代表作を
展示している。
4 研修を終えて
渡米する前に,私の研究目的と内容は十分伝えていたつもりだった。しかし、実際
には小さなアクシデントの連続でもあった。まず,研究に必要な
設備と道具がアメリカにはそろっていなかったり,はたまた原材料そのもの
を探すため,東奔西走したり・・・。しかし,そのことが,私にとっていい
刺激にもなった。(なんと,私がアメリカで初めて作ったものは,粉砕用の
乳鉢と乳棒だったのだ。)
日本とは全く違う環境のなかで,こんなにも有意義に研究できたのは,協
力してくれたすべての人のおかげだと深く感謝している。言葉と文化の壁を
越えるために,私は「焼き物」という方法で多くの人々と交流をすることが
できた。異国の地での焼き物作りは,不安がなかったと言ったら嘘になる。
研究成果以外の目に見えない何かをも,ここでは学ばせてもらった。
アメリカでの研究は,短い期間だったが私なりに納得のいく成果が出せた。
アメリカで作成できたテストピースは,今後,高校・大学の研究の役に立
てれば,私はこれ以上嬉しいことはない。また,私の研究に協力してくれた
学生が後を引き継いで研究してくれたならば,私のこの三ヶ月はまだまだ終
わってはいないような気がする。
ラクエバ高校の個性的で元気な生徒たちや,UNMでの様々な世代の学生たち
との毎日は,とても楽しく,しかも協力的だった。感謝の言葉は一言では言
い尽くせない。
お世話になったKyacy Cymanさん,Jinさん,留学中の日本人の方々,本当
にありがとうございました。
今回,海外研修のチャンスを与え,多大な援助をしてくださった九州電力
株式会社には心からお礼を申し上げます。ならびに日本で,またアメリカで
協力してくださった皆様に心より感謝致します。
平成15年5月
溝上 良博
Fly UP