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講義1 - SQUARE - UMIN一般公開ホームページサービス用サーバ

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講義1 - SQUARE - UMIN一般公開ホームページサービス用サーバ
図書
嶋崎ひとみ
日本歯科大学生命歯学部図書館
Ⅰ. はじめに
図書館の役割は、利用者への情報提供を通して親機関である大学や病院、研究所等の運
営目標、使命を達成することにある。 そのため図書館は活動目的を明確にすると共に、そ
れに基づく蔵書構築の方針に従い資料収集を行い、利用者の満足度を高める蔵書と有効な
サービスを提供できるように努める必要がある。
情報技術の変化に伴い電子媒体注 1)の導入が進み、従来図書館が主に収集・保存・提供の
対象としてきた書籍情報に大きな変化が訪れているが、紙媒体を中心に図書受入業務につ
いて蔵書構築・目録・分類を中心に紹介する。
Ⅱ. 蔵書構築
蔵書構築の一般的なプロセスは、①計画→②選択→③収集→④整理→⑤蓄積・保管→⑥
評価・再編で遂行され、図書受入業務は、主に 1)選書→2)収集→3)整理→4)管理のプロセ
スによる。このうち整理(目録作成・分類作業)については、Ⅺ、Ⅻ章で概観する。
1. 蔵書構築方針
蔵書構築は、蔵書構成、コレクション形成などともいわれ、蔵書を計画的につくりあげ
るために、蔵書構築方針を作成する。その方針は、図書を蔵書として選び、除籍するまで
の図書館の管理の考え方を具体的に表したものである。成文化された方針は、図書館内に
おいて資料選択、維持、保存、除籍などの決定のマニュアルにもなり、担当者が交代した
際にも一貫性のある業務を行う指針となる。一方、親機関や図書館委員会などに図書館の
目的をはっきりと明示していくものにもなる。蔵書が、図書館の活動目的や運営方針に沿
ったものとして形成されているかを判断するために、できる限り客観的な方法で、蔵書を
評価することが必要である。注2,3)
Ⅲ. 選書
選書(図書選択)は単に図書を選ぶというだけではなく、親機関、図書館の目的・使命
及び利用者のニーズに沿った「蔵書構成」、「蔵書管理」の中に位置づけられている。
選書が主に教員に委ねられている図書館もあるが、選書は予算管理などの様々な実務に
かかわってくるため、やはり図書館員が積極的に選書できる体制が望ましい。
1. 選択者
選択にかかわる職員(選択者)に必要な条件として、①本を知っていること、②利用者
の気持ちを知っていること、③図書館の使命を自覚していることがあげられる。注4)
利用者のニーズについて、常に情報収集していくことが必要である。例えば、日常の利
用者からの要望をはじめ、親機関の発行する年報、新聞、シラバスなどに目を通し、親機
関の動向や教員が学生に何を参考書として推薦しているかなどを理解しておくことが、必
要である。
2. 収集方針・選書基準
選書はそれぞれの図書館の方針・基準などに基づき行われる。一般的に、具体的に何を
収集し、何を収集しないかという図書館の方向性を明確にしたものが収集方針であり、収
集に際し、個々の図書を選択・判断するための実務的な基準を選書基準、選択基準などと
いう。収集方針を除籍なども含めた蔵書構築、蔵書構成などの方針とする場合も多いが
ここでは資料収集の方針とする。
選書基準は、収集方針の中に含まれる場合と、方針とは別に作成される場合があるが、
何れにしても、これらの方針・基準を作ることにより、図書館員以外の人々にも図書館の
蔵書の範囲を明示できることになる。これらの方針・基準は、図書館員が計画、作成し、
図書委員会などに提案して承認してもらい、成文化しておくとよい。
1) 収集方針に取り入れること
①図書館の目的
②対象となる利用者
③蔵書の収集範囲(蔵書構成要素)
・主題の範囲と主題別の内容の深さ
・書かれている言語
・資料の種別(図書、逐次刊行物、点字資料、映像資料など)
・資料のタイプ別(参考図書、専門図書、一般図書など)
2) 選書基準に取り入れること
①実際に資料を判断するときの評価基準や項目
・書誌事項(タイトル、著者、出版社、価格など)
・資料の形態(製本状態、ページ数、大きさなど)
・言語
・内容の適切さ(情報、データの新しさなど)
・その他(同著者による別の著作、以前の版の所蔵の有無など)
②選書のためのツール
・出版社のカタログ・広告
・シラバスの参考書リスト
・二次資料に採録されている資料
・見計らい資料
・相互貸借業務の結果
・利用者の購入希望
・他の図書館の受入状況
・その他
3. 選書に影響する要因
1) 予算
図書予算は、図書館配分予算の削減や外国雑誌など他資料の購入に予算が取られ、減少
傾向にある。単年度会計の場合、計画的な予算執行を図るために、継続図書購入のための
予算、単行書購入のための予算など用途別に配分しておく。
2) 収納場所
図書館の収納場所は限られている。その中で利用者に資料を有効に利用してもらうため
には、収納場所の管理を常に心がけておかなければならない。常に重点的に収集を行う主
題については、収納場所の確保が必要になってくる。日常業務の中で除架、除籍ができる
ような蔵書構築についての方針が必要となる。
4. 図書館相互協力
その資料が、たとえ一般には定評のある専門書であっても、自館における利用頻度や価
格などの理由で選択するかしないか迷うことがある。この場合、相互貸借などによる借用
が可能なら購入を見送ることもできる。図書館は、自館の利用者のニーズに自館の蔵書だ
けで応えることは不可能なので、選書も図書館間相互協力制度を念頭において行う。
5. 資料選択の体制・組織
収集方針・選書基準に基づき、効果的かつ効率的な資料選択を行っていくためには、そ
のための体制・組織が重要となる。
選書は、図書館員だけではなく図書館運営のための委員や利用者との協力によって行う
とよい。委員会は、専門的な知識と情報を持っている人で構成すると、図書の内容評価や
選書の優先順位などの助言を受けることができる。図書館員は、出版に関する情報や知識
などを持っていると同時に、図書館全体の蔵書の動向を把握しながら、予算管理の実務を
行っているため、最終的な選書業務は図書館員が行うことが最良である。
6. その他
図書館によっては、資料の整理部門は利用者と直接結びつくことが少ない場合があり、
直接利用者と接している利用部門とは常に連絡を取り、二次資料や参考図書の選択、利用
者からの要望・意見、紛失図書の補充、複本の必要性、破損、汚損などの情報を入手でき
るように心がけておかなければならない。
Ⅳ. 資料収集
図書館は、収集する図書の大部分を購入により入手している。発注は、選定された図書
を書店等に注文する業務であり、ここでは書誌事項などを確認する作業を事前調査とし、
それ以降の作業を発注作業とする。
1. 事前調査
選定された図書を注文する前にいくつかのチェック項目がある。これは、予算を有効に
使い、書店との行違いを防ぎ、発注後の業務を円滑に行うためのものである。
1) 書誌事項の確認
図書の特定に必要な事項である書名・著者名・版次・出版社・出版年・価格・ISBN など
を調べる。書誌事項はいずれ目録・分類作業で必要になり、発注業務が機械化されている
場合は書誌データと発注関連データが関連しているのが一般的である。
2) 重複調査
既に図書館にあるのではないか、あるいは発注中ではないかを書誌データ・蔵書データ・
発注データなどで調べる。特に、書名がシリーズ物の巻のものと思われる場合は、シリー
ズで継続発注していないか注意する。
3) 予算との照合
資料を購入していき、結果的に予算枠を超えてしまうことは避けなければならない。通
常、和書は価格が特定しやすく支払価格を算出しやすいが、洋書は為替レートや入手経路・
納入業者によって支払価格が変わる。このため、洋書については価格に係わる調査を充分
に行うとよい。また、セットもの、貴重書などの高額な図書や発注後に価格がわかるもの
は、予算に余裕のある時期に発注するなどの工夫をする必要がある。
4) その他
絶版本や非売品、通常の書店では購入できない図書などについては入手方法の検討が必
要になる。慣れてくると書誌事項確認の際に勘が働き、判断できるようになる。
2. 発注
発注作業には、①支出財源の決定・確保、②業者の選択、③発注書類の作成と送付、な
どが含まれる。さらに、これらの発注記録を適切に保管・管理することも重要な業務であ
る。
購入業者の得意分野を見極め、良い書店を選び、図書館との信頼関係を築くことも重要
である。例えば、納期をきちんと守り、事務処理も確実で迅速な業者、図書館にとって有
用な資料を見計らいとして持ち込む業者などは、図書館業務の効率化をもたらすであろう。
発注が確定した後は、その後の重複発注を防ぎ、円滑に発注業者と取引を行うために、
発注データを作っておく。これは書誌に発注日、発注先、冊数、見積価、予算項目などを
付与したもので、業務が機械化されている場合は雛型があり、発注の段階で入力できるこ
とが多い。
発注した図書について発行遅延などがあれば、通常は取引業者より随時連絡があるが、
納品状況については定期的に点検を行い、必要に応じて未納図書について督促を行う。
一般的に発注は、年間を通じて定期的に、または随時行っていく。年度末近くになると、
予算の残高、また、年度内の支払い期限などが関係してくるため、計画立てて発注してい
く必要がある。
3. その他
出版情報などに基づく発注以外には次のような方法がある。
1) 見計らい
見計らいとは、取引業者に主題範囲などを伝え、購入検討用に定期的に持ち込まれる図
書の中から選定する方法である。見計らいには次のような長所がある。
・図書の実物を直接手にとり、内容を確認できる。
・通常の発注から納品までに要する日数が排除される。
・洋書などは納入価格が確定している。
しかし、見計らい図書は取引業者の選択に委ねているので、内容、出版社などに偏りが
ある場合も考えられる。また、指定した主題範囲以外の図書も随時見計らいとして持ち込
まれることが多く、見計らいについては網羅的な出版情報に照らして検討することが望ま
しい。
2) 寄贈
求める資料が非売品であったり、一般に流通していない場合は入手のために寄贈依頼を
することになる。各種団体の報告書、大学紀要、自費出版物、行政資料などがこれにあた
る。しかし、いわゆる「灰色文献」と呼ばれる資料の中には発行部数も少なく、書誌事項
も不十分で入手が困難である場合も多い。
Ⅴ. 受入
受入は、一般的には購入・寄贈などにより入手した資料を蔵書とするために行われる作
業をいうが、ここでは、検収、登録、支払いまでを一連の受入作業とする。
1. 検収
検収は、図書館にさまざまなルートにより入ってくる図書を仕分けることから始まり、
図書の現物について点検・確認を行い、いわば受領を行う業務である。
1) 購入図書
購入図書は、図書その物と会計書類に不備が無いか点検する。不備がある場合は業者に
差し戻すが、業者に速やかに対処してもらうために、検収業務は納品から間をおかずに行
うのが望ましい。
以下に点検項目を挙げておく。
・受領図書は発注したものか、図書と発注データを照合する
・図書の破損・汚損、乱丁、落丁、付録の落ちなどがないか
・会計書類に不備はないか、見積や請求額は打合せどおりか
・外注した分類や装備は適切か
また、見計らい図書の中には取引業者による持ち込み図書以外に郵送で送られてくる場
合がある。収集方針などに則して蔵書にするかどうか検討し、不要の際は速やかに返品す
る。
2) 寄贈図書
寄贈図書は、寄贈依頼によるもの以外の図書は、収集方針などに沿って選択し、検収し
ていく。寄贈は、新刊図書の場合もあるが、古いものが寄贈されることもある。図書の新
旧に係らず、不要なものを入れないためにも、寄贈資料の受入基準などを明確にし、その
原則に則して受入れるとよい。図書その物の点検事項は購入図書と同じで、必要に応じて
寄贈者に礼状を出す。
受入をしない図書を、一時的にブラウジング・コーナーに置いたり、利用者に自由に持
ち帰ってもらうようにして有効な活用を図ってもよい。
2. 登録
登録は、購入・寄贈などで入手し、検収した図書を蔵書にする手続きのことである。一
般的には、図書に登録番号などの固有の番号を与え、台帳に簡単な書誌と固有番号を記録、
あるいはコンピュータに所蔵データを作成する。台帳に会計事項や分類番号などを記入し
たもの、所蔵データにも同様のものを加えて印字したものを、原簿として保管する図書館
もある。
固有番号の付与方法は図書館によって様々であるが、番号が台帳等の記録と一致してい
なければならない。
3. 支払
取引業者から納入される図書の代金支払いは、通常は図書館が所属する親機関の経理、
財務などの部署で行われるが、該当部署での支払いの流れを理解しておくと、図書館と親
機関全体の業務が円滑に進むことにつながる。
会計書類の管理は、必要なときは後ですぐに書類が出るよう該当部署と連携を図ってお
く。例えば、図書館でも書類を複写し保管する、書類に該当部署と同じ番号を付ける、支
払い記録(支払依頼の記録)は請求書と関連づけるなどがある。
Ⅵ. 装備
装備は、登録と分類・目録作成が終わった図書を利用に供する前に、管理・運用するた
めに、図書そのものに様々な処理を施すことである。装備することにより、利用者が資料
を利用しやすくなり、図書館員にとってはその管理が容易になる。また、装備を外注して
いる場合は、仕上がり具合を確認し、図書によっては修正が必要かなどの点検をする。
装備を目的別で分けると以下のようなものがある。
a. 蔵書に関する情報を示すもの
・蔵書印
・固有の番号(登録番号など
・受入日付
・寄贈者印
b. 貸出返却に関するもの (貸出方法によって異なる)
・バーコードラベルまたは OCR ラベル
・ブックカードとブックポケット
・貸出期限票
・磁気テープなど
c. 図書の収納場所、排架位置を示すラベル
・請求記号、大型本など
d. 図書の使用目的を示すラベル
・参考図書、指定図書、貴重書、禁帯出など
e. 図書の内容に関するもの
・正誤表や付録などの貼付、これらを図書とは別にする場合の案内の貼付
f. 図書を保護、補強するもの
・接着透明フィルムなどによる表紙保護
・業者による製本、中性紙保存箱など
g. 不要なものを捨てる
・出版案内などの広告
・表紙を覆っているカバー(ジャケット)、帯、外箱など
Ⅶ. 排架
排架は、利用に供するために図書を書架に並べることであり、大きく移動式排架と固定
式排架のふたつに分けられる。
利用者が自由に書架に入れる開架式で閲覧を行っている図書館では、図書を分類順に並
べる移動式排架によるのが一般的である。この排架法は、分類で排架場所が決まるため、
蔵書が体系化され、利用者が類似図書を探す際に効率的である。反面、新しい図書を該当
の書架に挿入する時に移動の手間がかかり、挿入を見越して書架に余裕を持たせるため書
架の利用効率が悪くなるなどの欠点がある。
固定式排架は、図書の内容にかかわらず、大きさや登録順などで排架場所を分け、順番
に詰めていく排架法である。これは書架の利用効率がとても良いため、閉架書庫や保存書
庫に適している。この場合は、何処に何があるか探し出す検索手段を充分に整備する必要
がある。
ハバード (William J. Hubbard)は「書架が、およそ 75∼85%の詰まり具合になると、
排架の効率は悪くなる。このことから、最大限 86%の収容率を勧める」と主張している。
(ハバード『書庫の管理』勁草書房,1987)
Ⅷ. 書庫管理
1. シェルフ・リーディング
シェルフ・リーディング (shelf reading)とは、資料を排架順(例えば、請求記号順、
あるいは雑誌などはタイトル順・巻号順)に並んでいることを確認し、並んでいない場合
は、正しい順序に並びかえる業務であり、開架書架を維持していくためには必須である。
これにより、利用者が望んだ資料を請求記号に基づいて書架上で探すのが容易になり、利
用者の満足度も向上する。
図書館では一般的に、返却図書と閲覧利用された図書を書架に戻す返却作業(排架作業)
を開館時間前などに図書館員が行っている。この作業を行う時間帯は、図書館によって様々
である。日々の書架の管理はこの時に行い、資料の書架上の乱れを直すと共に、破損・汚
損図書や装備の剥がれたものの発見に努めるようにする。
さらに、週1回、月1回などと定期的に一定時間を割き、なるべく多くの図書館員で書
架の整頓をするとよい。大勢で行うと「複数の目」で点検ができ、気づくことが多く、書
庫の状態や配置について共通の理解が得られると共に、短時間で済むメリットがある。
2. 蔵書点検
蔵書点検の目的は、資料の所在を確認すると共に、財産上の管理状況を明らかにするこ
とである。現実にある図書と所蔵情報(原簿や所蔵データ)を照合し、所在を確認してい
く作業が中心となるが、図書を手にとって作業をしていくため、図書本体の物理的な老朽
状況を確認でき、破損・汚損図書や装備の剥がれた図書などの発見も返却図書の排架作業
時より確実に行うことができる。
点検方法は業務を機械化しているかどうかで異なるが、照合の結果、図書館に無い図書
を「貸出中」、「行方不明」などに区分し、行方不明になって一定期間を経たものは除籍を
検討する。また、点検で見つかった破損・汚損図書の簡単な修理や業者による修理製本、
装備の補修、目録や請求記号の訂正なども蔵書点検の際に発生する作業である。
Ⅸ. 蔵書評価
収集、除籍などにより、図書館の目的や方針に沿った蔵書が形成されていっているかど
うかを判断するためには、蔵書を定期的に評価していくことが必要である。評価の結果を
選書、除架などに活かし、必要があれば収集や除籍の方針・基準を修正する。蔵書を評価
するときは、設定した目標にあわせ、できるだけ客観的な結果が得られる方法を採用する
ことも必要である。
蔵書構成を総合的に評価し、合理的で確かな評価を行なうためには、各種の方法を組み
合わせて判断することが必要である。
『ALA 蔵書の管理と構成のためのガイドブック』注5)は、蔵書の評価法を2種類に分けて
その長所、短所を示している。
① 蔵書中心の評価法
蔵書の全体あるいは一部について、その大きさ、幅、深さなどを明らかにする方法。
チェックリスト法、直接観察法、比較統計分析法、蔵書基準適用法がある。
② 利用中心の評価法
蔵書がどの程度利用されているのか、どの部分が利用されているのか、だれに利用さ
れているかなどを明らかにする方法。
貸出調査法、館内利用調査法、利用者意見調査法、書架上での入手可能性調査、シミ
ュレーション利用調査法がある。
Ⅹ. 除架・除籍・廃棄−蔵書更新
1. 除架
除架とは、開架図書から一定の基準に従って、不要な資料を除くことをいう。除架を実
施することで新しいスペースを確保することができ、蔵書の新鮮さを保つことは重要であ
る。不要資料の基準として一般的に用いられるものは、次のような点である。
・内容や情報が古い、または旧版であるもの
・物理的に損傷・劣化が激しいもの
・他にすぐれた版が入手できる資料か
・親機関の関心やプログラムの変化により必要性の失われた資料か(主題内容や言語)
・利用されていない、または利用頻度がきわめて低いもの
・不要となった複本
2. 除籍
除籍は、除架などの後、不要となった資料、紛失などの亡失で利用不可能なもの、行方
不明となって一定期間を経たものを蔵書から取り除き、資産台帳や所蔵情報などの図書館
の記録から削除することである。保存書庫などがない図書館では、不要資料は除架を経ず
に除籍することになる。そのため、これらの作業をする場合は、十分な計画と注意深い選
択が必要であり、図書館としての方針・基準などを作成しておいたほうがよい。蔵書が経
理の上で資産である場合は、物品管理に関する規定に沿った手続と処理も行う。
一般的に、除籍の認定は図書館長や親機関の長が行い、そのために除籍予定図書の簡単
な書誌、資産価格、除籍理由などのリストを作成し認可を得る。認可後、資産台帳から記
述を削除し除籍簿を作成する。なお、除籍資料に関する様々なデータの削除と訂正は速や
かに行い、利用の混乱を招かないようにする。
資料その物は除籍したことが判断できるように、除籍を証明する印を押印するなどの処
理をする。
3. 廃棄
除籍資料を実際に処分する作業が廃棄であり、処分方法には、ゴミとして捨てる、売却、
寄贈(利用者に無償提供)などがある。廃棄量や処分方法よってはお金の授受や書類手続
が必要となり、除籍するかどうかを検討する時に併せて処分方法も考えるとよい。
以上のように蔵書構築は、①選択・収集→②蔵書評価→③除架・除籍・廃棄→④蔵書評
価のサイクルによって計画的に実行される。蔵書更新は、所蔵資料の新陳代謝を促進させ、
次のような効果が生まれる。
①古ぼけた資料が減って新鮮な資料が充実するので、魅力的な蔵書構成が実現し利用が
増える。
②内容が古くなった資料が除かれることによって、蔵書全体に対する利用者からの信頼
感が増す。
③不要な資料を書架に維持していくための、余分な労力や経費が節約できる。
Ⅺ. 目録
目録とは、一定の目録規則により対象となる図書資料の記述した書誌に、その資料の所
在指示例えば請求記号を与え所蔵を示したものである。目録を使用して目的の図書のある
場所を探すことができ、それとともに自分がさがしている図書が本当に正しいのかを識別
するための道具でもある。
書誌情報とは、タイトルとタイトル関連情報・著者・版・出版社等その図書資料本体の
記述をし、件名・分類記号等の標目を与え、一定の順序に排列・編成して、図書資料の性
質を示し他の資料と識別するための記述である。所蔵は該当資料の所在場所を示し、コン
ピュータ化された図書目録いわゆる OPAC(Online Public Access Catalog=利用者用オン
ライン目録)では、その該当資料が書架にあるのかあるいは貸出中かといった資料の状態
をも示し得る。
1. 目録規則
目録規則は図書館の目録を作成する際の基準(指針)であり、資料を目録に記入する際の
形式を整備し一貫した目録作成ができるように、書誌事項と標目を定める基準(指針)であ
る。各目録規則は国際的統一を図るため国際標準書誌記述(ISBD)での記載を採用してお
り、コンピュータに対応した書誌データの記載方法(例えば NACSIS-CAT システムにおける
「目録情報の基準」と「コーディングマニュアル」)が準備されている。
日本の図書館で採用されている目録規則は日本目録規則と英米目録規則である。個々の
図書館ではこれら標準目録規則を基準とした上で、その図書館の資料収集の傾向や事情に
より各館の方針を定めて運用されていることが普通である。
1) 日本目録規則 (NCR:Nippon Cataloging Rules)
現行の NCR、は「日本目録規則 1987 年版改訂 3 版」で日本図書館協会から 2006 年に
発行された。書誌的事項ごとに ISBD 区切り記号法によって区切られており、一定の MARC
フォーマットに基づいて機械可読形に変換することが可能である。
2) 英米目録規則(AACR2:Anglo-American Cataloging Rules 2)
AACR2 の前身 AACR は 1967 年に北米版と英国版の二形態で刊行された。 AACR2 は 1978
年に米国図書館協会・米国議会図書館・英国図書館・英国図書館協会・カナダ目録委員
会によって AACR 第 2 版(AACR2)として刊行され、1988 年に改訂版 (AACR2)が刊行さ
れた。ISBD に準拠した記載方法を定め、著者を標目とする基本記入方式を採用している。
2. 目録を記述するための規則
1) 国際標準書誌記述(International Standard Bibliographic Description
ISBD)
ISBD は、書誌情報の標準化と互換性の確立を目的として制定されたもので、書誌情報
中の各事項の前に特定の記号を用いて、言語が異なっても、記号の後ろに記載された書
誌事項を識別できることになっている。
2) NACSIS-CAT 目録情報の基準とコーディングマニュアル
国立情報学研究所(NII:旧 NACSIS 文部省学術情報センター)は目録情報の基準
(http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/MAN/KIJUN/kijun4.html)を定めている。その中では
総合目録データベースの概要・構造・運用方法と、目録情報の作成方法、データの記述
法が定められている。目録所在情報作成マニュアルは目録システムコーディングマニュ
アル(http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/MAN2/CM/mokuji.html) と呼ばれ、NACSIS-CAT
総合目録データベースのそれぞれのファイルにレコードを登録する際のデータ記入の具
体的方法を解説している。
3. 目録の種類
従来は目録を形態別例えばカード目録、冊子体目録、機械化目録(OPAC や CD-ROM など)
や、目的別に利用者用目録、事務用目録と捉えてきた。現在の目録作業はコンピュータへ
のデータベース登録作業であり、必要とする目録はその都度出力することになる。紙に出
力すれば冊子体目録、新着図書案内、主題別目録等を作成でき、磁気媒体にも同様の記録
を作れる。OPAC サーバーを建てればネットワークを介して利用できる機械化目録となるわ
けである。
4. 目録作成
目録作業の中で、目録規則に従って資料の属性を記述し、検索キーを付与する作業を記
述目録作業と呼び、資料の内容分析し分類標目や件名標目を付与する作業を主題目録作業
と呼ぶ。
目録作成は記述対象資料に表示されているままに記録することが基本原則である。
単行書の主な情報源は、洋書・和書ともタイトルページ(標題紙)である。
出版情報は、洋書はタイトルページ裏にあり、
LC の CIP DATA
(Cataloging-in-Publication
Data)をはじめとして、出版年又は著作権表示年、ISBN 等の書誌情報が記載されている。
和書の出版情報は、主に奥付にある。
5. 目録作成時の参考ツール(書誌ユーティリティ)
書誌ユーティリティとは、書誌情報の提供だけでなく、図書館業務のネットワーク化で
ある。つまり書誌ユーティリティを核として、相互貸借、参考業務、分担収集などを組織
化できる。
1) NACSIS-CAT システム
NII の前身は東京大学情報図書館研究センターに遡る。その後、文部省学術情報センタ
ー (NACSIS)に改変され、2000 年 4 月に現在の国立情報学研究所(NII:National Institute
of Informatics)となった。NII は図書館間の支援サービスとして、書誌・所蔵システム
(NACSIS-CAT:国立情報学研究所目録所在情報サービス)と ILL システム(NACSIS-ILL)
とを提供している。またデータベース作成のための参照ファイルとして、JPMARC・USMARC・
UKMARC・DNMARC・GPO・TRC MARC・KOR MARC・CH MARC 等を提供している。 NACSIS-CAT シス
テムは総合目録データベースでありその概要は、全国の大学図書館等が所蔵する図書、逐
次刊行物等についての目録所在情報をデータベース化したもの(目録所在情報データベー
ス)である。
総合目録データベース形成の目的は以下の 2 点である。
・書誌情報の共有を行い、大学図書館等における目録業務の負担を軽減すること
・形成された目録所在情報によって、資料の共用を促進すること
総合目録データベースの形成方法は以下の 4 点である。
・データ入力は、各大学図書館等が共同分担方式で行うこと
・書誌情報は、各大学図書館等で共有すること
・各国の全国書誌 MARC 等を導入し、データ入力に利用すること
・総合目録データベースの形成が、同時に大学図書館等の目録データベースの構築につ
ながること
従って共同分担入力の主体は、学術情報ネットワークに加入する大学図書館等にある。
NACSIS-CAT の目録は参加各機関が作成した書誌所蔵情報によって成り立ち、成果として
Webcat が提供されている。参加各機関は総合目録データベースへのデータ入力に先立ち、
目録情報の基準、目録規則、コーディングマニュアル、システム操作法等を十分に理解し、
データベースの品質保持に努めなければならない。
2) OCLC(Ohio College Library Center)
1967 年 7 月にオハイオ州立大学の中に Ohio College Library Center として設立された。
発足時には大学研究者に情報を提供することによる将来の教育の改善と、各図書館におけ
る重複した業務を減らすことにより図書館の経費を削減することを提唱している。そのた
めにコンピュータによる総合目録を作成し、大学間オンライン共同目録や逐次刊行物処理、
そして情報検索システムの開発等を目指した。以降大学図書館以外の参加や州外へも広が
り、1981 年に OCLC:Online Computer Library Center, INC と改称された。
OCLC は非営利・会員制の独立採算の組織であり、参加会員館の会費やデータベース接続料
で賄われている。
3)
国立国会図書館総合目録ネットワーク
NACSIS-CAT が大学図書館を中心とした学術情報の書誌ユーティリティであるのに対し
て、都道府県立及び政令指定都市立図書館をメンバーとした総合目録データベースの構築
を目指したものである。さらには 2001 年 10 月からは市区町村立図書館もネットワークに
加え、公共図書館の図書館資料資源の共有化を図り、公共図書館における書誌サービスの
標準化と効率的利用を図るとともに、公共図書館の全国的な図書館相互貸借等を支援する
ことを主な目的としている。なお収録対象とする書誌データは、原則として和図書データ
となっている。
Ⅻ. 分類・件名作業
分類作業と件名作業に共通するのは「図書 (資料)の主題あるいは出版・叙述形式を把握
する」という点であり、相違点はその作業の結果が、分類の場合は記号によって表現され
るが、件名の場合は言葉(件名標目)によって表現される。
また、分類作業の結果は、主題検索だけでなく、図書の排架 (分類排架)などに利用され
るが、件名作業の結果は、一般的に図書の排架に利用されない。
1. 分類法・分類表
1) 分類法の意義
図書館における分類法とは、資料を主に主題に従って体系的に排列し、主題間の関連性
を明示、あるいは知識全体を体系化し、主題検索を容易にするものであり、図書館では何
らかの分類法に基づく分類表が図書館必須のツールとして使用されている。開架式書架が
中心となっている図書館においては、主題別に図書資料が並んでいる方が利用者にとって
は便利であるし図書館員にとっても管理がしやすい。
2) 主な分類表
① 日本十進分類法 (NDC:Nippon Decimal Classification)
日本における標準的な図書分類法。デューイ十進分類法 (DDC:Dewey Decimal
Classification) に用いられた十進分類記号法を取り入れ、分類体系はカッターの展開
分類(EC:Expansive Classification) を参考にしている。
NDC の最新版は日本図書館協会が改訂編集した 1995 年 8 月刊行の新訂 9 版であり、本
表編と一般補助表・相関索引編から成る。
② 国立国会図書館分類表(NDLC:National Diet Library Classification)注 6)
国立国会図書館独自の分類表でアルファベット 1 文字ないし 2 文字と1∼999 の整数
を組み合わせる混合記号法を取っている。 1987 年に本表と総索引の 2 冊からなる改訂版
が刊行された。JAPAN MARC に採用されているので目にする機会は多い。
③ 米国議会図書館分類法(LCC:Library of Congress Classification)
米国議会図書館(LC)の作成した分類表。分類記号はアルファベットと数字の組み合
わせになっている。 LCC は本来 LCC のために考案されたが、USMARC に採用されたため、
アメリカやカナダの多くの図書館で採用されている。目録規則の改訂作業も継続的に行
われている。
④ 米国国立医学図書館分類法 (NLMC:National Library of Medicine Classification)
米国国立医学図書館(NLM)の作成した分類法で、医学とその関連分野を網羅している。
米国議会図書館分類法から削除された分類番号 QS∼QZ(基礎医学部門)と W (臨床医学
と関連分野)を使用し、算用数字との組み合わせによる分類。MeSH(Medical Subject
Headings ) 用 語 で 索 引 が 作 成 さ れ て い る 。
NLMC
は
Web
(http://wwwcf.nlm.nih.gov/class/)で公開され、毎年更新される。
3) 分類作業
個々の図書館資料に対してその主題を分析し、所定の分類表に従って分類記号に変換し、
図書記号を付与する一連の作業を「分類作業」という。この作業によって決定された分類
記号は、その図書の排架に利用したり、分類目録や MARC(機械可読目録)による書誌レコ
ードの主題検索などに利用される。
① 主題分析
一般的には、以下の点に注目して主題を把握する。
・タイトル(書名)とその関連情報:多くの場合主題を表現しているが、必ずしもその
限りではない。
・著者:過去の著作や研究分野が手がかりとなりうる。
・序文、後書き:著者の執筆意図や観点が分かる。
・目次:資料内容を全体的に把握し、大筋が理解できる。
・解説や書評、オビの宣伝文:著作の用紙が簡明に述べられている場合がある。
② 分類記号への変換
主題が把握できたら、分類表索引を利用してその主題がどの分類位置にあるか調べる。
主題の用語が見つからないときには、同義語や関連語また上位の概念を想定する必要が
あるし、新主題の場合は、その主題ともっとも密接な関係がある主題を考察し、その分
類項目におさめる。索引で指示されて分類番号をそのまま直ぐには使用せず、本表でそ
の主題が適切な位置にあるか確認することが必要である。また補助表の利用も必要であ
り、確認した分類番号に形式的な区分や、地理、言語区分等が必要か否か調べる。その
上で漸く分類番号を決定するが、その際には既出の主題と同じ分類であるか、所蔵目録
や書架をチェックする必要がある。また、NACSIS-CAT を利用して類似する図書資料の分
類の確認や、同一分類表を使用している他の図書館の分類実績も参考になる。
③ 所在記号の付与
決定した「分類記号」に「図書記号」
(同一分類内の図書を個別化し順序づけるための
記号)を付し、併せて「所在記号」を決め図書の書架上の位置を決める。図書記号の付
与基準には、受入順、出版年順、著者名音順等があり、蔵書数や開架書架の割合等によ
って完全個別化をかるか、またおおまかにするかは各館の決定にゆだねられる。
2. 件名(件名標目)
「件名標目表」とは、件名目録(カード目録)を作成したり、OPAC で件名標目によるア
クセスを保障するために書誌レコードの件名フィールドに件名標目を記録したりする際に
使用されるツールである。
「件名標目」とは資料の内容などを表現するための語であり、主
題アクセスに用いられる語(つまり索引語(検索語)となる語)である。また、コンピュ
ータが図書館の世界に入ってきてからキーワード検索という方法がはやってきたが、これ
は件名検索とは異なる。
最近では件名標目表がシソーラス化してきている。
1) 主な件名標目表
① 基本件名標目表(BSH:Basic Subject Healdings)
日本図書館協会件名標目委員会の編集による件名標目表。MARC の普及、書誌ユーテ
ィリティの拡大、OPAC や図書館のネットワーク化が進む中で件名標目の活用や主題検
索の重要性が再認識されてきた。最新版である第 4 版は 1999 年 7 月に刊行された。こ
の版は「音順標目表」「分類記号順標目表」「階層構造標目表」からなる。時代に即し
た件名標目を増加し、階層構造を明確にした改訂が行なわれ、同時に標準フォーマッ
トに準拠した機械可読ファイルでの提供もなされている。
② 国立国会図書館件名標目表(NDLSH:National Diet Library List of Subject Headings)
国立国会図書館が収集・整理した図書に付与した件名標目の一覧表。1991 年には第
5 版が発行され、2004 年に Web 上で 2004 年版が公開され、現在にいたっている。注7)
③ 国立医学図書館件名標目表(MeSH:Medical Subject Healdings)
米国の国立医学図書館は MeSH を図書、逐次刊行物、視聴覚資料の目録作業に採用し
ている。MEDLINE データベースのシソーラスとして利用されるようになり、毎年改
訂される。また、Web 上で MeSH に接続できる。注8)
④ 米国議会図書館件名標目表(LCSH:Library of Congress Subject Headings)
米国議会図書館が採用している件名標目で、2007 年には第 30 版が 5 冊本で刊行さ
れている(原則として毎年改訂)。 Web 上からも LCSH に接続できる。 LC MARC に件与
されるため、洋図書主題検索の重要なアイテムとなって来た。
3. シソーラス
「シソーラス(thesaurus)」は、件名標目表と同じく統制語彙表であり、それに収録さ
れている語彙と語彙との階層的関係あるいは同義語・類義語などの関連も含めて、語彙を
組織化し、それを明示したもの。件名標目表の「件名標目」に該当する語を、シソーラス
では、一般に「ディスクリプタ」と呼んでいる。
① JICST(JST)科学技術用語シソーラス
独立行政法人科学技術振興機構(JST:Japan Science and Technology Agency)が
提供している「JDream Ⅱ」
という主に科学技術系のデータベースに使用されているシソーラスである。
② 医学用語シソーラス
医学中央雑誌刊行会が提供している医中誌 Web の索引および検索に使用する、医
学・歯学・薬学・看護学・獣医学・公衆衛生学等の関連用語を体系的に関連付けたキ
ーワード集。
1983 年の第 1 版刊行以来、数次の改訂を経て、2007 年発行の第 6 版医学用語シソー
ラスでは、収録総用語数 55,232 語(ディスクリプタ 25,317 語、非ディスクリプタ
29,915 語)を収録。
共同目録作業や外部機関作成の MARC の利用で、目録・分類・件名作業が軽減されるよう
になった。しかし、図書館員が目録作業や分類の目的、機能及び手順を明確に理解してお
くことは大切である。なぜなら、図書館員は目録を使ってレファレンス・サービスを行え
るし、商業ベースの目録作業情報源の最良のものを評価し、選択することができ、図書館
の目録を正確に維持するからである。
XⅢ. おわりに
図書館機能は、利用者に資料を提供することを主要な目的としている直接サービスと、
その目的のための手段として考えられる収集、整理、保存といったコレクションの構築・
維持にかかわる間接サービスの二大機能に分かれる。すなわち、後者のコレクション構築
機能は、前者の提供機能の目的を達成するためにある。
受入業務(図書の選択、発注、受入、目録作業、除籍に関することなど)の迅速化や合理
化は、図書館利用者の時間を節約するためや資料提供サービスの効率的な運営に生かすこ
とができるかということにある。
まさに図書館学者ランガナタンの法則の 1 つである「図書館は成長する有機体」として
時代状況の変化に適応した機能を果たすことである。
参考文献
1) Wakeley PJ, May RS 編(菅利信ほか訳). ヘルスサイエンス図書館員の基礎知識. 東京:
日外アソシエーツ;1986.
2) 馬場敏明編著. 図書館資料論新訂版. 新訂版 (JLA 図書館情報学テキストシリーズ;
7). 東京:日本図書館協会;2004.
3) 三浦逸雄, 根本彰共著. コレクション形成と管理. (講座図書館の理論と実際;第 2 巻).
東京:雄山閣出版;1993.
4) William A. Wortman (松戸保子ほか訳). 蔵書管理:背景と原則. 東京:勁草書房;1994.
5) 平野英俊ほか. 図書館資料論. 改訂. (新・図書館学シリーズ;7). 東京:樹村房;2006.
6) 田窪直規ほか. 資料組織概説. 三訂. (新・図書館学シリーズ;9). 東京:樹村房;2007.
7) 岡田
靖ほか. 資料組織演習. 三訂. (新・図書館学シリーズ;10). 東京:樹村房;2007.
8) 千賀正之. 図書分類の実務とその基礎:データ作成と主題検索へのアプローチ. 改訂版.
東京:日本図書館協会;1997.
9) 特集:スキルアップ・レベルアップ〈身につけよう!医学図書館員の基礎知識〉. 医学
図書館 2001; 48(1): 34-87.
引用文献
1) 山本千津子. 図書 1. 図書の収集・受入, 蔵書構築. 第 9 回医学図書館員基礎研修会テ
キスト. 2002; p.9-18.
2) 澤木直子. 図書 1. 図書資料の流れ. 第 11 回医学図書館員基礎研修会テキスト. 2004;
p.7-16.
3) 伊藤芳幸. 図書 1:選書・受入, 蔵書構築. 第 12 回医学図書館員基礎研修会テキスト.
2005.
4) 宮本高行. 講義 2:図書 2:目録, 分類ほか. 第 12 回医学図書館員基礎研修会テキスト.
2005.
5) 押田いく子. 基礎講義 2:蔵書構築. 第 13 回医学図書館員基礎研修会テキスト. 2006.
注
1) 特集:電子ブック. 医学図書館. 2006; 53(4): 357-84 参照
2) 米国国立医学図書館の Collection Development Manual of the National library of
Medicine(4th ed.)の原文がインターネットで公開されている。
3) アメリカ図書館協会図書館蔵書・整理業務部会編(青木良一ほか訳). ALA 蔵書の管理と
構成のためのガイドブック. 東京:日本図書館協会; 1995. p.61-87.
4) 前川恒雄. われらの図書館. 東京:筑摩書房;1987.
5) 前掲注3). p.35-59
6) 国立国会図書館分類表[internet].
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/ndl_ndlc.html#a [accessed2007-06-05].
7) 嶋田真智恵. 国立国会図書館件名標目表(NDLSH) の改定作業と今後について. 情報の
科学と技術. 2007; 57(2): 73-8.
8) 阿部信一, 奥出麻里. 図解 PubMed の使い方:インターネットで医学文献を探す. 東
京:日本医学図書館協; 2006. p.54-66
付録:選書・書誌情報ツール
・日本医書出版会(JMPA) http://www.medbooks.or.jp/
医学関連領域の専門出版社 26 社の書籍、雑誌ならびに電子メディア出版物約 17 ,000
件が収録されている。
・Books.or.jp(日本書籍出版協会)
http://www.jbpa.or.jp/
国内で発行され、現在入手可能な書籍を収録する書籍検索サイト。出版社へのリンクが
ある。
・Webcat Plus http://webcatplus.nii.ac.jp/
連想検索機能があり、類似した内容の図書の検索ができる。また、1986 年以降の発行分
については、目次情報などがあり内容の確認ができる。
・紀伊國屋書店 BookWeb http://bookweb.kinokuniya.co.jp/
・Books in Print 年刊
その時点で入手可能なリスト。略称 BIP
・NLM Catalog
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=nlmcatalog
・NLM LocatorPlus http://130.14.16.150/locatorplus.html
(このテキストは、第 14 回医学図書館員基礎研修会の講義1:図書で使用された広島大学
図書館医学分館の花川久美恵氏のテキストを、
「付録:選書・書誌情報ツール」を一部修
正した以外は、そのまま利用させてもらいました。)
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