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第4章1-5 学校給食の衛生管理原稿案

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第4章1-5 学校給食の衛生管理原稿案
第4章
学校給食の衛生管理
学校給食においては、栄養管理と同様に衛生管理についても万全を期されなければなりません。学校
給食は、施設設備が衛生的でその機能が十分に果たされ、また給食用の食材料が新鮮かつ清潔で、その
取扱いも適切であることが求められます。
学校給食の衛生管理は、非常に多方面であり専門的知識も要求されるため、学校薬剤師等衛生管理の
専門家による指導、協力等を得ることが必要です。
1
衛生管理体制
学校給食に起因する食中毒や感染症など事故発生を防止するためには、学校や共同調理場の実情に応
じた衛生管理体制を整備し、給食の運営に関係する人々がそれぞれ責任を持って与えられた部門の管理
を行い、衛生管理の徹底が図られるようにすることが大切です。
学校給食法第9条第2項及び第3項
2 学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は、学校給食衛生管理基準に照らして適切な衛生
管理に努めるものとする。
3 義務教育諸学校の校長又は共同調理場の長は、学校給食衛生管理基準に照らし、衛生管理上適
正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該
措置を講ずることができないときは、当該義務教育諸学校若しくは共同調理場の設置者に対し、そ
の旨を申し出るものとする。
(1)衛生管理体制図例
教育委員会
学
共同調理場
校
単独調理場(調理室)
校
長
給食運営委員会
校 長・共同調理場の長
(学校保健委員会)
衛生管理責任者
衛生管理責任者
*給食主任、養護教諭等
*栄養教諭・学校栄養職員
いない場合は調理師免許を持つ調理員
共同調理場職員等
教職員
調理従事員代表者
調理従事員
※給食運営委員会(学校保健委員会)構成員例
校長・共同調理場の長・教頭・教務主任・給食主任・栄養教諭・学校栄養職員・調理従事員・
保護者・学校医・学校薬剤師・保健所職員・教育委員会担当者・有識者 等
29
(2)衛生管理に係る体制と役割
学校給食の設置者
【教育委員会等】
HACCPの考えに基づいて、学校給食衛生管理基準に照
施設の管理者
衛生管理上、適正を欠く事項があった場合には、速やかに
【校長・共同調理場の長】
らし、適切な衛生管理に努める。
改善すること。予算等の関係で改善が難しい場合は学校給
食の設置者にその旨を申し出る。
適切な衛生管理に基づいて給食作業が行われているか常
栄養教諭
学校栄養職員
に確認する。
最新の情報を調理従事員に伝え、調理場の衛生管理を改善
する。
調理従事員
適切な衛生管理意識を持って、学校給食業務を行う。
HACCP(ハサップ)とは
Hazard Analysis and Critical Control Point
食品の原料の受け入れから製造・出荷までのすべての工程において、危害の発生を防止するための
重要ポイントを継続的に監視、記録するための衛生管理手法
《学校給食衛生管理基準より抜粋》
(1)衛生管理体制
一
学校給食調理場においては、栄養教諭等を衛生管理責任者として定めること。ただし、栄養教諭等が
現にいない場合は、調理師資格を有する学校給食調理員等を衛生管理責任者として定めること。
二
衛生管理責任者は、施設及び設備の衛生、食品の衛生及び学校給食調理員の衛生の日常管理等に当た
ること。また、調理過程における下処理、調理、配送等の作業工程を分析し、各工程において清潔かつ
迅速に加熱及び冷却調理が適切に行われているかを確認し、その結果を記録すること。
三
校長又は共同調理場の長(以下「校長等」という。)は、学校給食の衛生管理について注意を払い、
学校給食関係者に対し、衛生管理の徹底を図るよう注意を促し、学校給食の安全な実施に配慮すること。
四
校長等は、学校保健委員会等を活用するなどにより、栄養教諭等、保健主事、養護教諭等の教職員、
学校医、学校歯科医、学校薬剤師、保健所長等の専門家及び保護者が連携した学校給食の衛生管理を徹
底するための体制を整備し、その適切な運用を図ること。
五
校長等は、食品の検収等の日常点検の結果、異常の発生が認められる場合、食品の返品、献立の一部
又は全部の削除、調理済食品の回収等必要な措置を講じること。
六
校長等は、施設及び設備等の日常点検の結果、改善が必要と認められる場合、必要な応急措置を講じ
ること。また、改善に時間を要する場合、計画的な改善を行うこと。
七
校長等は、栄養教諭等の指導及び助言が円滑に実施されるよう、関係職員の意思疎通等に配慮するこ
と。
30
八
教育委員会等は、栄養教諭等の衛生管理に関する専門性の向上を図るため、新規採用時及び経験年数
に応じた研修その他の研修の機会が確保されるよう努めること。
九
教育委員会等は、学校給食調理員を対象とした研修の機会が確保されるよう努めること。また、非常
勤職員等も含め可能な限り全員が等しく研修を受講できるよう配慮すること。
十
教育委員会等は、設置する学校について、計画を立て、登録検査機関(食品衛生法(昭和二十二年法
律第二百三十三号)第四条第九項に規定する「登録検査機関」をいう。)等に委託するなどにより、定
期的に原材料及び加工食品について、微生物検査、理化学検査を行うこと。
【衛生管理責任者】
栄養教諭・学校栄養職員を衛生管理責任者とする。栄養教諭又は学校栄養職員がいない調理場は、
調理師資格を有する調理従事員等を衛生管理責任者とする。
[衛生管理責任者の職務]
① 施設設備の衛生、食品の衛生及び学校給食調理員の衛生の日常管理に当たる。
② 調理過程における下処理、調理、配送等の作業工程を分析し、各工程で衛生的に作業が行わ
れているかを確認し、結果を記録する。
【校長又は共同調理場の長】※Ⅰ学校給食の組織と運営 p4~5 参照
①学校給食運営委員会(学校保健委員会)等の組織を活用して栄養教諭・学校栄養職員、保健主事、
養護教諭等の教職員、学校医、学校歯科医、学校薬剤師、保健所長等の衛生管理の専門家及び保護
者が連携した学校給食の衛生管理を徹底するための体制を整備する。
②日常点検等において、食品や施設設備に異常があった場合には、適切な措置を行う。
◇食品の異常
→返品、献立変更、給食中止、調理済み食品の回収
など
◇施設設備の異常→必要な応急措置を行うとともに、計画的な改善を行う。
③関係職員間の意思疎通に配慮する。
【教育委員会】
①研修
学校給食関係者(栄養教諭・学校栄養職員・調理従事員*1)に研修の機会が確保されるよう努める。
②食品の検査
設置する学校(調理場)について計画を立て、登録検査機関*2 等に委託するなどして定期的に原材
料及び加工食品について、微生物検査、理化学検査を行う。
*1 臨時職員を含む
*2 厚生労働大臣に登録の申請を行い、食品衛生法に基づいて検査を行うことのできる機関
【共同調理場の受配校の衛生管理体制】
① 学校が共同調理場から給食を受け取る際は、検収をした後、温度、湿度、通風、直射日光などに
ついて配慮した清潔な場所(配膳室)に保管し、出入口の校内側及び校外側ともに鍵をかける。
② パン 、牛乳、デザート類等の納入業者からの直送品は学校で担当者が検収する。
③ 直送品を保管する保冷庫の庫内温度についても毎日確認し、記録を保存する。
④ 給食を受けとった学校では、責任者を定めて児童生徒が食べる30分前までに検食を行う。
※検食について 55~56 ぺージ参照
⑤ 共同調理場と学校間で情報をよく交換する。
31
2
学校給食従事者
給食従事者の健康状態が食中毒や感染症の発生に影響を及ぼすことも考えられるので、日々の健康観
察と定期的な健康診断、検便を必ず実施して十分な注意をすることが大切です。
飲食物に間接的に接触する衣服(白衣、ズボン、帽子又は三角巾、マスク、靴、エプロン等)は、特
に清潔にしなければなりません。清潔な衣服は、清潔感と信頼感を与えるばかりでなく、作業能率にも
影響するので、常に衛生的で、作業に便利なものを着用します。
(1)学校給食従事者の衛生管理
《学校給食衛生管理基準より抜粋》
一
学校給食従事者は、身体、衣服を清潔に保つこと。
二
調理及び配食に当たっては、せき、くしゃみ、髪の毛等が食器、食品等につかないよう専用で清潔
な調理衣、エプロン、マスク、帽子、履物等を着用すること。
三
作業区域用の調理衣等及び履物を着用したまま便所に入らないこと。
四
作業開始前、用便後、汚染作業区域から非汚染作業区域に移動する前、食品に直接触れる作業の開
始直前及び生の食肉類、魚介類、卵、調理前の野菜類等に触れ、他の食品及び器具等に触れる前に、
手指の洗浄及び消毒を行うこと。
【身支度、服装について】
①毎日専用で清潔な白衣(調理衣)、マスク、帽子、履物等を正しく着用する。
②調理場外では、白衣(調理衣)、マスク、帽子は脱ぎ、履物を履き替える。
③爪はいつも短く切っておく。
④指輪、ネックレス、イヤリング、ヘアピン、時計等は必ず外す。
⑤マニキュアはしない。
⑥香水はつけない。
⑦調理場内で喫煙しない。
⑧ポケットの中には何も入れない。
⑨調理作業中、顔や髪の毛、調理衣の下の衣服にむやみに触れない。
⑩毛髪は帽子からはみ出ないようにする。
【手洗いについて】
次のような場合には、必ず手指の洗浄及び消毒を行なうこと。
① 作業開始前及び用便後
② 汚染作業区域から非汚染作業区域に移動する場合
③ 食品に直接触れる作業に当たる直前
④ 生の食肉類、魚介類、卵、調理前の野菜類等に触れた後、他の食
品や器具等に触れる場合
⑤ 次の作業に移るときや汚れたものを触ったときなど手洗いが必要と考えられる場合
※参照:学校給食調理場における手洗いマニュアル
(平成20年3月文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課)
32
(2)健康管理
《学校給食衛生管理基準より抜粋》
一
学校給食従事者については、日常的な健康状態の点検を行うとともに、年1回健康診断を行うこと。
また、当該健康診断を含め年3回定期に健康状態を把握することが望ましい。
二
検便は、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌血清型O157その他必要な細菌等について、
毎月2回以上実施すること。
三
学校給食従事者の下痢、発熱、腹痛、嘔吐、化膿性疾患及び手指等の外傷等の有無等健康状態を、
毎日、個人ごとに把握するとともに、本人若しくは同居人に、感染症予防及び感染症の患者に対する
医療に関する法律(平成十年法律百十四号。以下「感染症予防法」という。)に規定する感染症又は
その疑いがあるかどうか毎日点検し、これらを記録すること。また、下痢、発熱、腹痛、嘔吐をして
おり、感染症予防法に規定する感染症又はその疑いがある場合には、医療機関に受診させ感染性疾患
の有無を確認し、その指示を励行させること。さらに、化膿性疾患が手指にある場合には、調理作業
への従事を禁止すること。
四
ノロウイルスを原因とする感染性疾患による症状と診断された学校給食従事者は、高感度の検便検
査においてノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、食品に直接触れる調理作業を
控えさせるなど適切な処置をとること。また、ノロウイルスにより発症した学校給食従事者と一緒に
食事を喫食する、又は、ノロウイルスによる発症者が家族にいるなど、同一の感染機会があった可能
性がある調理従事者について速やかに高感度の検便検査を実施し、検査の結果ノロウイルスを保有し
ていないことが確認されるまでの間、調理に直接従事することを控えさせる等の手段を講じるよう努
めること。
【検便について】
① 夏休み中の検便
学校給食が実施されない夏休み中であっても通常通り月 2 回の検便を実施する。
[理由]
2学期に健康な状態で学校給食に従事しなければならないため、夏休み中であっても、給食従
事者は、健康管理が必要である。勤務のない日に病原菌に感染し、健康保菌者になることも考
えられるため、月 2 回の検便を行う。夏休み中の検便でも異常があった場合には、医療機関を
受診するなどの対応が必要となる。
②
海外旅行後の検便
海外旅行等で保菌することも考えられるため、旅行後は定期的な検便以外に検便を受けることが
望ましい。
③
検便の結果、健康保菌者が発見された場合
ア
保菌者を調理作業に従事させない。
イ
保健所、学校医等と相談して指示に従う。
33
3
学校給食施設
学校内の調理関係施設及び共同調理場内の各施設は、常に整理整頓し、他の部屋から食中毒菌を持ち
込んだり、ネズミ・衛生害虫等によって汚染されることのないよう注意が必要です。また、全体の作業
の流れにそってそれぞれの施設が、衛生的かつ効率的に機能するよう適切な衛生管理をする必要があり
ます。
施設の不備や故障等があれば、速やかに改善、修理するなどの措置を講じ、毎日の給食が衛生的で安
全に実施できるように努めなければなりません。
《学校給食衛生管理基準より抜粋》
①共通事項
一
学校給食施設は、衛生的な場所に設置し、食数に適した広さとすること。また、随時施設の点検を
行い、その実態の把握に努めるとともに、施設の新増築、改築、修理その他の必要な措置を講じるこ
と。
二
学校給食施設は、別添の「学校給食施設の区分」に従い区分することとし、調理場(学校給食調理
員が調理又は休憩等を行う場所であって、別添中区分の欄に示す「調理場」をいう。以下同じ。)は、
二次汚染防止の観点から、汚染作業区域、非汚染作業区域及びその他の区域(それぞれ別添中区分の
欄に示す「汚染作業区域」、「非汚染作業区域」及び「その他の区域(事務室等を除く。)」をいう。
以下同じ。)に部屋単位で区分すること。ただし、洗浄室は、使用状況に応じて汚染作業区域又は非
汚染作業区域に区分することが適当であることから、別途区分すること。また、検収、保管、下処理、
調理及び配膳の各作業区域並びに更衣休憩にあてる区域及び前室に区分するよう努めること。
三
ドライシステムを導入するよう努めること。また、ドライシステムを導入していない調理場におい
てもドライ運用を図ること。
四
作業区域(別添中区分の欄に示す「作業区域」をいう。以下同じ。)の外部に開放される箇所には
エアカーテンを備えるよう努めること。
五
学校給食施設は、設計段階において保健所及び学校薬剤師等の助言を受けるとともに、栄養教諭又
は学校栄養職員(以下「栄養教諭等」という。)その他の関係者の意見を取り入れ整備すること。
②作業区域内の施設
一
食品を取り扱う場所(作業区域のうち洗浄室を除く部分をいう。以下同じ。)は、内部の温度及び
湿度管理が適切に行える空調等を備えた構造とするよう努めること。
二
食品の保管室は、専用であること。また、衛生面に配慮した構造とし、食品の搬入及び搬出に当た
って、調理室を経由しない構造及び配置とすること。
三
外部からの汚染を受けないような構造の検収室を設けること。
四
排水溝は、詰まり又は逆流がおきにくく、かつ排水が飛散しない構造及び配置とすること。
五
釜周りの排水が床面に流れない構造とすること。
六
配膳室は、外部からの異物の混入を防ぐため、廊下等と明確に区分すること。また、その出入口に
は、原則として施錠設備を設けること。
③その他の区域の施設
一
廃棄物(調理場内で生じた廃棄物及び返却された残菜をいう。以下同じ。)の保管場所は、調理場
外の適切な場所に設けること。
二
学校給食従事者専用の便所は、食品を取り扱う場所及び洗浄室から直接出入りできない構造とする
こと。また、食品を取り扱う場所及び洗浄室から3m以上離れた場所に設けるよう努めること。さら
に、便所の個室の前に調理衣を着脱できる場所を設けるよう努めること。
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【学校給食施設の区分】
区
分
内 容
検
学
調
校
作
収
室-原材料の鮮度等の確認及び
根菜類等の処理を行う場所
食品の保管室-食品の保管場所
汚 染
作業区域 下 処 理 室-食品の選別、剥皮、洗浄等
を行う場所
返却された食器・食缶等の搬入場
洗浄室(機械、食器具類の洗浄・消毒前)
業
調
給 理
区
理
室
-食品の切裁等を行う場所
-煮る、揚げる、焼く等の加熱調理を行う場所
食
施
域
場
-加熱調理した食品の冷却等を行う場所
非汚染
作業区域
-食品を食缶に配食する場所
配膳室
食品・食缶の搬出場
設
洗浄室(機械、食器具類の洗浄・消毒後)
更衣室、休憩室、調理員専用便所、前室等
そ の 他
事務室等(学校給食調理員が通常、出入りしない
区域)
汚染作業区域
(1)検収室…原材料の鮮度等の確認及び根菜類等の処理を行う場所
・下処理室とは別に、部屋単位で設ける
・納入業者の車が横付けできるなど、物資の搬入が行いやすい場所が望ましい。
・納品された物資の調理場専用の容器への移し替え、品温の測定、保存食の採取等が行えるよう60
㎝以上の高さのある検収台を設ける。
・球根皮むき機は、検収室に本体を設置し、下処理室内に出し口があるとよい。
(2)食品の保管室…食品の保管場所
①食品庫…納品時に使用しない食品を一時的に保管する。
・食品関係の倉庫と雑貨用品倉庫を必ず分けて設ける。
・温・湿度計を設置する。
・食品の搬入・搬出に、調理室を経由しない構造および配置とする。
・食品は納品時のダンボール箱等を取り外し、専用のケース等に保管する。
・専用の履き物を設置し、出入りするときは専用の履き物に履き替える。
・窓は直射日光を避ける位置とし、片側は網戸とする。また、必ず換気扇を付ける。
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②冷凍・冷蔵庫(冷凍・冷蔵室)
・冷凍・冷蔵室は専用の履物を設置する。
・冷凍・冷蔵庫を設置する際は以下に注意する。
ア 床が丈夫で水平なこと。
イ 風通しの良いところ。
ウ 湿気の少ないところ。
エ 直射日光を避け、釜やボイラーなど発熱体から離れたところ。
オ 下にごみや水が溜らないよう、また、掃除し易いところ。
カ 壁や他の器物に密着させないこと。
※雑品庫…消耗品や使用しない備品等を保管する。
・食料品倉庫と完全に分離独立させる。
・倉庫が1カ所で分離することが不可能な場合は棚を分け、食品と雑品が混在しない配置を工夫す
る。特に薬品類と食品の区分は明確にする。
【倉庫の区分例】
境界に片面にボードを取り
付けたパンラックを設置し、
部屋を区分している。
1つの倉庫を食品庫(手前)と雑品庫(後)に区分けしている例
(3)下処理室…納品された食品の洗浄を行う。
調理室との区分を明確にし、下処理室から調理室へ食品のみが移動することができる
よう境界を工夫する。
(4)洗浄室…食器具、機械器具を洗浄する。
非汚染作業区域
(1)調理室…食品の切裁、加熱、冷却、配食等の調理を行う場所
・調理作業に不必要な物品等を置かない。
・設備機器は作業動線を考慮して配置する。
(2)配膳室
・廊下と明確に区分し、施錠設備を設ける。
・カウンター等の食器具、給食を置く棚は60㎝以上の高さとする。
(3)ワゴンプール・コンテナ室…出来上がった給食、食器具等の保管、受け渡し、返却を行う。
・学校(施設)内、外ともの施錠設備を設ける。
・食器具、給食を置く棚は60㎝以上の高さとする。
(4)洗浄室…食器具、機械器具を洗浄する。
36
その他
(1)更衣室
・個人ごとのロッカーを設置する。
・シャワー室、洗濯場に接続しているとよい。
(2)休憩室
・食品等の搬入搬出口、調理室内が見える構造が望ましい。
(3)調理従事員専用便所
・食品を取り扱う場所及び洗浄室から直接出入りできない構造とする。
・食品を取り扱う場所及び洗浄室から3m 以上離れた場所に設ける。
・防そ・防虫設備を備える。
・便所の個室の前に調理衣を着脱できる場所を設ける。
・専用の履物を備える。
・個室内に手洗い設備を設置する。
(4)前室
・手洗い設備を設置する。
・個人用の爪ブラシを常備する。
【手洗い設備について】
・ひじまで洗える広さと深さがある。
・指を使わずに給水できる。
・温水に対応している。
・アルコールやペーパータオルが設置されている。
【前室の工夫例】
調理室入り口
下処理室入り口
調理室
-下処理室
カーペット
(靴を脱いで歩くスペース)
それぞれの入り口から入る
靴置き場
専用の靴を持って
調理室と下処理室両方に通じる前室内で靴底の相互汚染が起こらないように工夫した例
(5)事務室
37
【作業区域の区分】
① 給食作業中は各エリアのドアを閉める。特に汚染作業区域と非汚染作業区域を区分している扉
やシャッターは必ず閉める。
② 汚染作業区域と非汚染作業区域との境界にカウンターや調理台を置き、食品のみが移動するよ
う工夫する。
食品のみが移動するよう調理
台を境界に置いている。
-下処理室-
-調理室-
-下処理室-
-調理室-
【各室ごとの区分のない調理場の工夫例】
パーテーションの間仕切り
カーテンの間仕切り
38
【ドライ運用のポイント】
(1)調理機器の改善・工夫
①
球根皮むき機(ピーラー)にふたをする。
②
切った野菜のカゴに水受けを使う。
(2)作業面の改善・工夫
①
シンクに野菜を入れ過ぎない。
②
野菜の洗浄はていねいに行う。
③
シンクのふちにまな板を載せて作業を行わない。
④
調理開始前に水まきをしない。
⑤
調理機器に熱湯をかけない。
⑥
調理器具類の洗浄水は床に流さない。
◇◆ なぜ、ドライ運用が必要なのでしょうか。
ドライ運用をすることにより、シンク、ホース、ザル、作業台などからの水の落下や跳
ね水を防止することができ、細菌の増殖防止、跳ね水による二次汚染防止等、安全性の高
い調理環境となります。
また、床が濡れないため、滑りにくく歩行が楽で安全であり、布製のエプロンに短靴の
ような軽装で作業できるので調理従事員の負担が軽減されます。
4 学校給食設備・機器
学校給食用設備・機器等は、献立、食数、作業効率、安全性、耐久性、価格などの要件から、その調
理場にふさわしいものを決定します。機能を正確に熟知し正しく使用すること、正しい手入れを行うこ
とにより、安全で衛生的な作業が可能となります。洗浄、消毒(殺菌)を確実に行い、いつも清潔な状
態を保ち、調理設備や器具から汚染が広がらないよう衛生管理については万全を期さなければなりませ
ん。また、目的以外の使用や貸出しは厳禁とし、保管場所は定められたところに整理整頓します。
《学校給食衛生管理基準より抜粋》
(2)学校給食設備
①共通事項
一 機械及び機器については、可動式にするなど、調理過程に合った作業動線となるよう配慮し
た配置であること。
二 全ての移動性の器具及び容器は、衛生的に保管するため、外部から汚染されない構造の保管
設備を設けること。
三 給水給湯設備は、必要な数を使用に便利な位置に設置し、給水栓は、直接手指を触れること
のないよう、肘等で操作できるレバー式等であること。
四 共同調理場においては、調理した食品を調理後2時間以内に給食できるようにするための配
送車を必要台数確保すること。
②調理用の機械、機器、器具及び容器
一 食肉類、魚介類、卵、野菜類、果実類等食品の種類ごとに、それぞれ専用に調理用の器具及
39
び容器を備えること。また、それぞれの調理用の器具及び容器は、下処理用、調理用、加熱調
理済食品用等調理の過程ごとに区別すること。
二 調理用の機械、機器、器具及び容器は、洗浄及び消毒ができる材質、構造であり、衛生的に
保管できるものであること。また、食数に適した大きさと数量を備えること。
三 献立及び調理内容に応じて、調理作業の合理化により衛生管理を充実するため、焼き物機、
揚げ物機、真空冷却機、中心温度管理機能付き調理機等の調理用の機械及び機器を備えるよう
努めること。
③シンク
一 シンクは、食数に応じてゆとりのある大きさ、深さであること。また、下処理室における加
熱調理用食品、非加熱調理用食品及び器具の洗浄に用いるシンクは別々に設置するとともに、
三槽式構造とすること。さらに、調理室においては、食品用及び器具等の洗浄用のシンクを共
用しないこと。あわせて、その他の用途用のシンクについても相互汚染しないよう努めること。
④冷蔵及び冷凍設備
一 冷蔵及び冷凍設備は、食数に応じた広さがあるものを原材料用及び調理用等に整備し、共用
を避けること。
⑤温度計及び湿度計
一 調理場内の適切な温度及び湿度の管理のために、適切な場所に正確な温度計及び湿度計を備
えること。また、冷蔵庫・冷凍庫の内部及び食器消毒庫その他のために、適切な場所に正確な
温度計を備えること。
⑥廃棄物容器等
一 ふた付きの廃棄物専用の容器を廃棄物の保管場所に備えること。
二 調理場には、ふた付きの残菜入れを備えること。
⑦学校給食従事者専用手洗い設備等
一 学校給食従事者の専用手洗い設備は、前室、便所の個室に設置するとともに、作業区分ごと
に使用しやすい位置に設置すること。
二 肘まで洗える大きさの洗面台を設置するとともに、給水栓は、直接手指を触れることのない
よう、肘等で操作できるレバー式、足踏み式又は自動式等の温水に対応した方式であること。
三 学校食堂等に、児童生徒等の手洗い設備を設けること。
(3)学校給食施設及び設備の衛生管理
一 学校給食施設及び設備は、清潔で衛生的であること。
二 冷蔵庫、冷凍庫及び食品の保管室は、整理整頓すること。また、調理室には、調理作業に不
必要な物品等を置かないこと。
三 調理場は、換気を行い、温度は25℃以下、湿度は80%以下に保つよう努めること。また、
調理室及び食品の保管室の温度及び湿度並びに冷蔵庫及び冷凍庫内部の温度を適切に保ち、こ
れらの温度及び湿度は毎日記録すること。
四 調理場内の温度計及び湿度計は、定期的に検査を行うこと。
五 調理場の給水、排水、採光、換気等の状態を適正に保つこと。また、夏期の直射日光を避け
る設備を整備すること。
六 学校給食施設及び設備は、ねずみ及びはえ、ごきぶり等衛生害虫の侵入及び発生を防止する
ため、侵入防止措置を講じること。また、ねずみ及び衛生害虫の発生状況を1ヶ月に1回以上
点検し、発生を確認したときには、その都度駆除をすることとし、必要な場合には、補修、整
理整頓、清掃、清拭、消毒等を行い、その結果を記録すること。なお、殺そ剤又は殺虫剤を使
用する場合は、食品を汚染しないようその取扱いに十分注意すること。さらに、学校給食従事
者専用の便所については、特に衛生害虫に注意すること。
40
七 学校給食従事者専用の便所には、専用の履物を備えること。また、定期的に清掃及び消毒を
行うこと。
八 学校給食従事者専用の手洗い設備は、衛生的に管理するとともに、石けん液、消毒用アルコ
ール及びペーパータオル等衛生器具を常備すること。また、布タオルの使用は避けること。さ
らに、前室の手洗い設備には個人用爪ブラシを常備すること。
九 食器具、容器及び調理用の器具は、使用後、でん粉及び脂肪等が残留しないよう、確実に洗
浄するとともに、損傷がないように確認し、熱風保管庫等により適切に保管すること。また、
フードカッター、野菜切り機等調理用の機械及び機器は、使用後に分解して洗浄及び消毒した
後、乾燥させること。さらに、下処理室及び調理室内における機械、容器等の使用後の洗浄及
び消毒は、全ての食品が下処理室及び調理室から搬出された後に行うよう努めること。
十 天井の水滴を防ぐとともに、かびの発生の防止に努めること。
十一 床は破損箇所がないよう管理すること。
十二 清掃用具は、整理整頓し、所定の場所に保管すること。また、汚染作業区域と非汚染作業
区域の共用を避けること。
【学校給食設備・機器の注意事項】
(1)下処理用、調理用の区別
① 容器、包丁、まな板、洗浄用ブラシ、スポンジ等は、下処理用、調理済用等に分ける。
② シンクは下処理用、調理用、食器用に分ける。
③ カゴ等は色分けする等して使用目的ごとに区分し、下処理用の器具類を調理室内に持ち込まない。
④ 洗浄、消毒は使用目的別に行う。
(2)専用器具の使用(肉類用、魚介類用、生食する野菜、果物用等)
① 包丁やまな板、容器等はそれぞれ専用とし、使用区別を厳守する。
② 他の食品を二次汚染しないように、洗浄用具等にも注意し他の物と混用しない。
③ 器具は色分けや油性マジックで用途名を書くなどして区別する。
*粘着テープによる用途分けは、テープ部分に微生物や汚れが付着することがあるため行わない。
(3)適切な洗浄、消毒(殺菌)
① 下処理室で使用した包丁、まな板、カゴ等は下処理室で洗浄する。
② 調理室で使用した調理器具は洗浄室で洗浄する。(下処理室に戻さない。)
③ 汚染作業用と非汚染作業用はそれぞれ専用のシンクで洗浄するが、やむを得ず共通のシンクで洗
浄する場合は非汚染作業用から洗浄する。
④ 調理室内に洗浄場所のある調理場では、調理品を調理室から搬出した後に調理器具類の洗浄を行
う。
⑤ 機械は部品を取りはずして洗浄する。
⑥ 作業終了後は洗浄した後、用途に応じて消毒(殺菌)し、十分に乾燥させる。
※参照
調理場における洗浄・消毒マニュアル PartⅠ、PartⅡ
【生肉・生魚・生卵用の調理器具】
汚染度が高いので一番最後に洗浄する。
・使用後は、ドリップ、汚れ等をペーパーでぬぐい取る。使ったペーパーは確実に廃棄する。
・専用のスポンジやたわしでしっかり洗浄し消毒する。
(食器洗浄機に流すだけの洗浄は絶対禁止)
・使用したシンク等も洗剤で洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム溶液 200ppm5分又は 100ppm10分
オーバーフロー部まで満たし、浸漬して消毒する。
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(4)衛生的な保管
① 洗浄、消毒(殺菌)した調理器具等は、保管中に二次汚染することのないよう管理する。
(5)点検保守
① 故障、損耗、破損、不足が発見されたら直ちに修理、補充する。
(6)主な設備・機器の留意点
① 調理台・作業台
・60㎝以上の高さとする。
・ドライ対応型で可動式のものが望ましい。
② 包丁まな板殺菌庫
・殺菌灯の取り替え時期を機械本体に表示する。
・作業中は電源を切り、作業終了時にスイッチを入れる。
※作業中は扉の開閉があるため、殺菌効果が期待できない。
・紫外線が照射している部分のみ殺菌効果が得られるため、確実に洗浄して水気を取り除いた後に
調理器具の間隔を開けて保管する。
③ 調理器具
・木製品の調理器具は、木目に汚れや細菌が染みこむことから衛生状態の保持が困難であるため、
樹脂製、金属製等の材質のものが望ましい。
・金属製のものであっても継ぎ目の部分は洗浄不足になりやすいため注意する。
④ 球根皮むき機
・使用時には汚水の飛散を防ぐため、『ふた』をする。
⑤ 蒸気釜
・調理中に蒸気を抜くときは、釜のふたを閉め、食品や食器具が周囲にないか確認してから行う。
⑥ 食器洗浄機
・作業終了後、残菜カゴ、取り外し可能な部品、出入り口のカーテンを洗浄する。
5 食品の選定
学校給食用食品は衛生的に生産、流通しているものでなければなりません。十分な衛生知識を持った
信用のおける業者を選定し、食品を購入する必要があります。
《学校給食衛生管理基準より抜粋》
①共通事項
一
学校給食用食品(以下「食品」という。)の購入に当たっては、食品選定のための委員会等を設け
る等により、栄養教諭等、保護者その他の関係者の意見を尊重すること。また、必要に応じて衛生管
理に関する専門家の助言及び協力を受けられるような仕組みを整えること。
二
食品の製造を委託する場合には、衛生上信用のおける製造業者を選定すること。また、製造業者の
有する設備、人員等から見た能力に応じた委託とすることとし、委託者において、随時点検を行い、
記録を残し、事故発生の防止に努めること。
②食品納入業者
一
保健所等の協力を得て、施設の衛生面及び食品の取扱いが良好で衛生上信用のおける食品納入業者
を選定すること。
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二
食品納入業者又は納入業者の団体等との間に連絡会を設け、学校給食の意義、役割及び衛生管理の
在り方について定期的な意見交換を行う等により、食品納入業者の衛生管理の啓発に努めること。
三
売買契約に当たって、衛生管理に関する事項を取り決める等により、業者の検便、衛生環境の整備
等について、食品納入業者に自主的な取組を促すこと。
四
必要に応じて、食品納入業者の衛生管理の状況を確認すること。
五
原材料及び加工食品について、製造業者若しくは食品納入業者等が定期的に実施する微生物及び理
化学検査の結果、又は生産履歴等を提出させること。また、検査等の結果については、保健所等への
相談等により、原材料として不適と判断した場合には、食品納入業者の変更等適切な措置を講じるこ
と。さらに、検査結果を保管すること。
③食品の選定
一
食品は、過度に加工したものは避け、鮮度の良い衛生的なものを選定するよう配慮すること。また、
有害なもの又はその疑いのあるものは避けること。
二
有害若しくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤その他の食品添加物が添加された食品、又
は内容表示、消費期限及び賞味期限並びに製造業者、販売業者等の名称及び所在地、使用原材料及び
保存方法が明らかでない食品については使用しないこと。また、可能な限り、使用原材料の原産国に
ついての記述がある食品を選定すること。
三
保健所等から情報提供を受け、地域における感染症、食中毒の発生状況に応じて、食品の購入を考
慮すること。
(1)学校給食用物資選定に係る委員会
※Ⅰ学校給食の組織と運営3ページ参照
(2)学校給食用納入物資
① 信用のおける業者を選定する。
ア 店舗における設備の衛生管理や従業員の健康管理が良好である。
イ 学校給食衛生管理基準に基づいた物資の納入が可能である。
ウ 納入食品の品質や取扱いについて、十分な知識、経験がある。
エ 処理・加工施設が食品衛生法に定められた基準を満たしている。
オ 食品衛生の知識が十分に有り、食品が衛生的に取扱われている。
カ 食品・食材または材料の入手経路を明確にできる。
キ 食品・食材の品揃えが要求どおりに対応できる。
ク 食品・食材の正確で信用できる内容証明を提出できる。
ケ 保健所による監視指導を受けている。
コ 納品や代金請求が正確に対応できる。
サ 学校給食に対する理解がある。
②
安全で衛生的な食品を選定する。
ア 生鮮食品は新鮮である。
イ 原材料及び加工食品については、製造業者若しくは食品納入業者に定期的に実施する微生物及
び理化学検査の結果、又は生産履歴等について提出を求め、安全が確認できたものとする。
ウ 不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤などの食品添加物が添加されていない。
エ
以下について明らかである。
○内容表示
○消費期限又は賞味期限 ○製造業者、販売業者の名称及び所在地
○使用原材料 ○保存方法
オ
可能な限り、使用原材料の原産国について記述がある。
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