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電 子 光 理 学 研 究 セ ン タ ー(旧 核理研) 電子ライナック・STB共同利用
受付番号 電 子 3. 連 絡 責 任 者 (所属・職名) 4. 実 験 参 加 者 (氏名・所属・職名) 放射線作業従事者で ない者を○で囲む 5. 分 野 出 年 月 日 受 理 年 月 日 光 理 学 研 究 セ ン タ ー(旧 核理研) 電子ライナック・STB共同利用申込書 新 規 継 続 再提出 (いずれかに○) (Web 公開: □ 可 □ 否) NKS2 実験のための光子ビームの調整 1. 研 究 課 題 名 (半角 80 字以内) 2. 研 究 代 表 者 (所属・職名) 提 (センター内世話人: 神田浩樹 (東北大学・理・物理・助教) Tel: 022-795-7742 Fax: 022-795-7746 e-Mail: [email protected] 神田浩樹 (東北大学・理・物理・助教) Tel: 022-795-7742 Fax: 022-795-7746 e-Mail: [email protected] 前田和茂(東北大・教授)、中村哲(東北大・准教授)、金田雅司、神田浩樹(東北大・ 助教)、木村千草、藤井隆穂、山本郁也、尾関啓一、佐々木貴之(東北大・大学院生) 他 NKS2 Collaboration 核物理 ・ R I ・ 加速器 ・ 放射光 ・ その他( 6. 使 用 実 験 室 第 2 実験室 7. ビーム条件 ) 本実験 ・ テスト実験 エネルギー( 1300 パルス 8. 希 望 マシンタイム シフト数・時期 ) MeV)、電流( ・ 5 mA) 連 続 12 シフト (ビームコースの調整(4シフト)は 2013 年 12 月に希望) 10. 実験の目的、及び意義(必要がある場合には、本申請書に加え、実験目的と意義についての詳しい説明書を添付して下さ い。) 電子光研究センターにて実施してきた NKS2 を用いた陽子・重陽子標的における中間子生成反応の測定を、こ れまでより広いエネルギー範囲にて継続して実施するため、BST BM4 に設置した光子標識化装置 STB Tagger により供給される光子ビームの調整を行う。目標とするビーム条件の概要は以下の通りである。 光子ビームが NKS2 の標的の中心を通過すること 強度(STB Tagger のヒットレート)が 3 MHz 程度で、スピルを通して一様であること 標識化効率が十分に高く、光子エネルギー依存性(Tagger の検出器依存性)が小さいこと 震災による被害からの復旧の過程において、BST の電磁石、電磁石電源の更新と整備が行われた。このため、 加速器内を周回する電子ビームの軌道は震災以前とは異なっていると考えられ、同等の光子ビームが得られる とは限らない。したがって、この調整においては加速器グループによる加速器の調整と、実験グループによる光 子ビームのモニターとフィードバック、また、輻射標的の移動パラメーターの調整を繰り返すことでどちらも満足で きる条件を探り、NKS2 での物理ランの遂行に使用し得る光子ビームの実現を目指す。 また、同じく震災により被害を受けた光子標識化装置 STB Tagger のアップグレードを行ってきたが、今年度中の インストールと検出器数を絞った運用を目指している。この申請では、ビームの調整と新しい光子標識化装置の ビームを用いた整備を加速器を用いて行うことを目的とする。 11. 実験方法、要求マシンタイムの根拠(必要がある場合には、本申請書に加え、本項目及び必要経費についての詳しい説明 書を添付して下さい。) ビームの調整は2回に分けて行う。1 回目のビーム調整はビーム方向の確認と調整で、2 回目はビーム強度の測 定と標識化効率の測定を含んだ詳細な調整である。2 回目のビーム調整には光子標識化装置と、光子を検出する 鉛ガラス測定器の使用するため、前もって新しい光子標識化装置の導入と整備、また、データ収集系の整備を行 う必要がある。これらの装置の整備のために 1 回目のビーム調整と 2 回目のビーム調整の間に、専用のビームタ イムを設ける。従って、12 シフトの配分は次の通りとする 2013 年 12 月上旬から下旬にかけて(ビーム方向等の調整) 4 シフト 2014 年3月以降(標識化装置の調整) 6 シフト 標識化装置、DAQ 整備後(標識化効率等の測定を含む調整) 2 シフト 加速器の運転パラメーターの大幅な設定変更が必要な場合や、ビームコースの問題で NKS2 の移動が必要な場 合などに、日を改めた調整を行う。いずれの調整期間においても電子ビームの調整には加速器グループの全面 的な協力が必須である。加速器グループの日出准教授には協力をいただける旨連絡いただいている。 光子標識化装置の調整に要する時間は、データ収集系の調整(1 シフト)、トリガーの調整とテスト(1 シフト)、電子 検出器の調整とテスト(3シフト)、オーバーヘッド(1 シフト)で合わせて 6 シフトである。 ビーム調整の詳細については別紙を参照していただきたい。 12. 本研究に関連した従来の研究(申込者の発表論文を含む)及び、本研究に関連して本センター(核理研)で実施した実験の 課題番号、題目、実験結果、核理研報告の提出の有無(既に採択された実験と重複して申請する場合には、実験課題相互 の関係、優先度に関する考え、既採択実験の進行状況、終了までの予定を必要がある場合には、別紙に説明して下さい。) #2552, #2565 Photoproduction of neutral kaons on deuterium target near threshold region 核理研報告有 [1] #2591 550<Eγ<950MeV 領域における重水素原子核標的での 2π 光生成反応の研究 核理研報告有 [2] #2633 NKS2 バーテックス・チェンバーのテスト 電子光報告有 [3] #2635 NKS2 の改良に伴う回路・データ収集系の整備 電子光報告有 [3] #2638 Study of Neutral Kaon Photoproduction on Deuterium Target by NKS2 電子光報告有 [3] #2658 NKS2 バーテックス・チェンバーのテスト 電子光報告有 [3] #2660 550<Eγ<950MeV 領域における重水素原子核標的での 2π 光生成反応の研究 核理研報告有 [2],[4] #2676 NKS2 実験のための CDC と STB BM4 Tagger のスタディ 核理研報告有 [2] #2691 STB 820MeV 運転でのビームスタディ 核理研報告有 [2] #2713 γp→π0p 反応、γp→π+n 反応を用いた STB 1200 MeV 運転における BM4 ガンマビームのエネルギー測定 核理研報告無 #2716 Study of Neutral Kaon Photoproduction on Deuterium Target by NKS2 電子光報告有 [3] #2731 Photo-production of a Neutral Kaon and/or a Lambda Hyperon on a deuteron near the threshold 電子光報告有 [3] [1] 核理研報告 Vol.40, Study of Neutral Kaon Photo-Production at LNS-Tohoku [2] 核理研報告 Vol.44, Test of the STB Tagger with the electron beam energies of 820 MeV and 1000 MeV [3] 電 子 光 報 告 Vol.1, Report on strangeness photoproduction experiments performed with the Neutral Kaon Spectrometer 2 [4] 核理研報告 Vol.44, Double pion photoproduction on the deuteron in the energy region of 0.67<Eγ < 0.92 GeV 13. 第三実験室、計算機等施設設備の使用予定 いずれも使用予定無し。 14. 放射線安全管理に関する事項(試料名、核種(数量、密封/非密封の別)、取扱方法及びビーム照射後のターゲットの取扱 いについて図等を用いて具体的に明示のこと。) 無し 15. 標的の放射線以外の安全管理に関する事項(有害化学物質、爆発性ガス等) 無し (別紙) 課題: NKS2 実験のための光子ビームの調整 11. 実験方法 の詳細 加速器の調整: 加速器グループが是とするパラメーターで 1300 MeV 電子ビームのストレージを行っていただく。周回電子の電 流は STB における経験から 2 mA とし、フラットトップにおける光子ビーム発生期間を 20 秒とする。 輻射標的の調整 (0.5 シフト): 可動式輻射標的の移動パラメーターと電子ビームの軌道を交互に調整しながら、20 秒の光子ビーム発生期間 に加速器の周回電流が一様な割合で減少するよう調整する。ポラロイドフィルムを用いて、光子ビームが標的 方向に放出されていることを確認する。 シンチレーティングファイバー式ビームプロファイルモニターの調整(2 シフト): 光子ビームの通過位置にシンチレーティングファイバー式ビームプロファイルモニターを移動し、モニター装置 を構成するシンチレーション検出器、電子回路、データ収集系の調整を行う。 ビーム方向の調整 (0.5 シフト): シンチレーティングファイバー式ビームプロファイルモニターとポラロイドフィルムを用いて、光子ビームが NKS2 の中心の標的位置を通過する条件を探る。1 シフト程度で終了することを見込んでいるが、困難である場合は 日を改めてさらに 1 シフトかけて調整を行う。加速器の調整のみではビーム方向が合わない場合には、最終的 な手段として NKS2 自身の移動を検討する。 予定している手順は次のとおりである。 1. 2. 3. セットアップの下流部に配置したシンチレーションファイバー式ビームプロファイルモニターを使用して光子 ビームの位置をスキャンする。この方法で光子ビームが NKS2 の中心を通過し、かつ、DCCT モニターによ って光子ビームの強度が一定となるように加速器の調整と可動式輻射標的の移動パラメーターの調整を 繰り返す (3 時間) ポラロイドフィルムを用いて NKS2 セットアップの最上流における光子ビームの位置を測定し、鉛コリメータ ーの位置を調整する (2 時間) ポラロイドフィルムを用いて NKS2 の 680 電磁石の上流と下流における光子ビームの位置を確認し、光子 ビームが NKS2 の中心を通過していることを確認する (1時間) 予定している時間の合計は 6 時間で、ビームタイム当日の午前中に加速器の調整が終了すれば、夜までには 作業が終了すると考えている。ただし、加速器の運転パラメーターの大幅な設定変更が必要な場合や、ビーム コースの問題で NKS2 の移動が必要な場合には、日を改めて調整を行う。その際には、ビーム方向の調整に必 要な 0.5 シフトを要する。 ビーム方向の調整を完了した後の BST 運転休止期間に、(NKS2 の移動の有無に関わらず)NKS2 と BST の相 対位置の測量を行う。この位置が今後の NKS2 配置の基準となる。電子光センター嘱託技術職員の高橋重伸 氏には測量に協力をいただける旨了解を頂いている。 ビーム強度、標識化効率の調整 (1 シフト): このビーム調整の前までに、NKS2 の検出器とデータ収集システム(DAQ)、また光子標識化装置の調整のた めのビームタイムを確保していただき、調整をあらかじめ終えておく。このビームタイムでは、NKS2 の DAQ を用 いて光子標識化装置の電子検出器と、光子ビームモニター用の鉛ガラス検出器の信号を収集し、標識化効率 とビーム強度の時間変動を測定する。光子標識化装置の検出器チャンネルによらない一様な標識化効率が得 られ、かつ短い時間での強度変動が無いよう、可動式輻射標的の移動パラメーターと加速器の調整を繰り返 す。また、この調整では、加速器の周回電流を最小の状態(光子標識化装置のヒットレートとして 1 kHz 程度) として標識化効率の測定を行い、ビーム強度の測定では 1 mA から 5 mA の範囲で 1mA 毎に周回電流を 変えて、強度の測定と調整を行う。 標識化効率 光子標識化装置における制動放射後電子の検出数と標的への照射光子数の比であり、これまでの経験によ れば光子ビームライン上の物質(コリメーター、空気、検出器の窓など)による光の吸収や Mφller 散乱によって 発生した光子放出を伴わない散乱電子、反跳電子の誤検出によって低下することが知られている。それ以外 に、輻射標的から放出されたとはいえないバックグラウンド的な電子の影響が顕著となり、加速器の調整が必 要となる場合があった。2007 年に行われた STB 1000 MeV モードでの光子ビーム調整では、標識化効率が低 く、かつ光子標識化装置の検出器チャンネルによって大きく変化する様子が見られた。このときは、検出器チャ ンネル毎の計数率も大きく変化していた。図 1 に、STB 1000 MeV モードで測定された標識化効率を示す。この 図では横軸が検出器チャンネル、縦軸が標識化効率を示している。図中の黒丸とそれらを結ぶ黒線は STB 1200 MeV モードで測定された標識化効率でチャンネル依存性が小さい様子が分かる。赤丸とそれらを結ぶ赤 線は、1000 MeV モードで測定された標識化効率で、青丸とそれらを結ぶ青線は検出器のバックグラウンド計 数率に着目して、バックグラウンドを差し引いて導出した 1000 MeV モードにおける標識化効率である。この図 から分かるように、1200 MeV モードとバックグラウンドを差し引いた 1000 MeV モードの標識化効率は近い値を 持つ物の、バックグラウンドを差し引かない 1000 MeV モードの標識化効率は低い値で、かつ、特徴的な分布 をしめしている。 図 1 標識化効率の標識化チャンネル依存性。黒丸と黒線は 1200 MeV モードにおける測定値、赤丸と 赤線は 1000 MeV モードにおける測定値、青丸と青線は 1000 MeV モードにおける測定結果でバック グラウンドの寄与を差し引いて求めた測定値である 2007 年のビーム調整では、最初のビーム調整の翌月に再度ビーム調整を行い、なめらかな標識化効率を持 つ光子ビームを得ることができた。加速器再調整後の標識化効率を図 2 の青丸と青線で示す。再調整後の標 識化効率は図 1 のバックグラウンドを差し引いた 1000 MeV モードにおける標識化効率では無く、1200 MeV モ ードにおける標識化効率と似たなめらかな分布を持っていることが分かる。今回のビーム調整では、1200 MeV モードにおける標識化効率に近いなめらかな値が得られるように調整を行う 図 2 標識化効率の標識化チャンネル依存性。黒丸と黒線は 1200 MeV モードにおける測定値、赤丸と 赤線は 1000 MeV モードにおける測定値、青丸と青線は加速器再調整後の 1000 MeV モードにおける 測定値である。 ビーム強度 光子ビームの強度は、第 1 回目のビーム調整では周回電流の DCCT モニターが 20 秒間のビーム取り出し期 間に一様に減少することで一様であると確認したが、このビーム調整ではさらに細かいビーム構造についても DCCT による周回電流および光子標識化装置の電子検出器のヒットレートをモニターして調整する。STB 1000 MeV モードにおける標識化光子ビームは、周回電子の電流が 4 mV を超えた場合に、強度が約 100 Hz で振 動するという問題を抱えていた。DCCT による周回電子電流のモニター結果と、標識化装置の出力信号を図 3 に示す。この問題については原因が特定されず、解決されなかったが、この申請におけるビーム調整ではこ のような短い周期での強度の振動が無いように調整することも課題である。 図 3 左の図は加速器の周回電流の DCCT モニター出力をオシロスコープで観測した様子、右の図は 光子標識化装置の信号をオシロスコープで観測した様子。強度が短い時間で変動している様子がわかる。 加速器の調整が必要な調整には 0.5 シフトを要し、調整後に 0.5 シフトかけて詳細な標識化効率の測定を行う。 この調整においても、加速器の運転パラメーターの大幅な設定変更が必要な場合には、日を改めて調整を行 う。その際には、調整と測定にいずれも 0.5 シフトを要する。