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巨大地震発生帯への掘削 巨大地震発生帯への掘削

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巨大地震発生帯への掘削 巨大地震発生帯への掘削
全地連「技術e-フォーラム2008」高知
2008年10月16日
巨大地震発生帯への掘削
ー 「ちきゅう」の挑戦ー
海洋研究開発機構
理事・地球深部探査センター長
独立行政法人
平 朝彦
独立行政法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)とは
海洋研究開発機構
高知コア
研究所
むつ研究所
横浜研究所
横須賀本部
世界最高レベルの設備を
用いて海洋・地球の
フロンティアを目指した
研究開発を実施
深海巡航探査機
「うらしま」
地球深部探査船
「ちきゅう」
連続航行記録317km
自律型巡航探査機の
世界記録樹立
世界最大・最高性能
科学掘削船
潜水調査船
「しんかい6500」
地球シミュレータ
有人潜水船としての
最大潜航深度
世界第1位
世界トップクラス性能
超並列型スーパー
コンピュータ
2
3
プレート境界の分布
4
プレートテクトニクス
枕状溶岩
花崗岩質層
玄武岩質層
プレート境界
地震発生帯
海溝
中央海嶺
堆積物
大陸地殻
マグマ
(玄武岩質層)
海洋地殻
海洋
プレート
マントル
最上部マントル
大陸プレート
5
四国四万十帯
Taira et al. (1988) より
6
芸西村メランジュの露頭(高知県芸西村)
Taira et al. (1992) より
7
枕状溶岩(高知県芸西村)左上は薄片写真(横幅2mm)
Taira et al. (1992) より
8
ナンノプランクトン石灰岩(高知県須崎)
Taira et al. (1992) より
9
層状放散虫チャート(高知県芸西村)
左上は薄片写真(横幅2mm)
Taira et al. (1992) より
10
多色頁岩(高知県芸西村)左上は薄片写真(横幅2mm)
Aは火山灰層、Bは多色頁岩
B
A
B
Taira et al. (1992) より
11
メランジュマトリクス(高知県芸西村)
Aはチャート、Bはメランジュ基質、 Cは砂岩
A
B
C
Taira et al. (1992) より
12
メランジュマトリクス
(高知県興津)
Aは玄武岩、
Bはメランジュ基質、
Cは砂岩
Taira et al. (1992) より
13
タービダイト
(高知県大山岬)
ダービタイトは
海底の砂質
土石流堆積物
(乱泥流堆積物)
Taira et al. (1992) より
14
高知県甲浦の砂岩層リップルマーク
流れ
15
砂岩岩脈(高知県行当岬)
Taira et al. (1992) より
16
海底すべり堆積物(高知県室戸市黒耳)
Taira et al. (1992) より
17
四万十帯の形成過程と単純化した地層柱状図
3,000kmにおよぶプレートの移動で枕状溶岩やチャートと砂岩・泥岩が
混合し、陸に付け加わった(付加体)。海洋プレートの沈み込みを証明。
18
日本地質構造区分
19
四万十帯(とくに室戸半島)の地質の意義
1. プレート沈み込みによる付加体の世界的な例
2. 砂岩岩脈、海底地すべり、褶曲、メランジュなど
の素晴しい露頭
3. 室戸岬~丸山ハンレイ岩:海溝近辺での火成活動
の珍しい例
4. 室戸岬の海岸段丘−見事な地形
5. 離水ノッチや旧汀線示標(ヤッコカンザシ)によ
る隆起速度−世界的な例
6. 室戸岬と南海トラフ:海底への連続
20
21
地球深部探査船「ちきゅう」
22
「ちきゅう」の主な仕様
掘削能力
主要目
全長
210 m
幅
38 m
深さ
16.2 m
高さ(水面から) 約112 m
喫水(計画満載)
9.2 m
総トン数
約 57,100トン
最大搭載人員
150人
航海速力
約10ノット
2,500
最大稼働水深
( 将来 4,000 m
ドリルストリング長 10,000
( 将来 12,000 m
m
)
m
)
サブシーシステム
2,500 m
21インチライザー
( 将来 4,000 m )
噴出防止装置( BOP )
23
従来のライザーレス掘削
「ちきゅう」ライザー掘削
24
ドリルフロア外観
25
噴出防止装置(BOP)
26
「ちきゅう」船尾に搭載されたライザーパイプ
(外径1.2m、長さ27m)
27
「ちきゅう」のラボ
28
陸上研究環境整備
高知コア研究所・高知大学海洋コア総合研究センター
共同施設としての分析機能
IODPの保管及び1次分析機能
コア・サンプルの 長期保管と配布
(4℃& 及び -170℃)
「ちきゅう」で採取したコア(10年分)を保存可
コアの分析・解析
「ちきゅう」上の研究設備と同等の設備を含む
高知大学と
海洋研究開発機構の運用協力
29
南海トラフの地形(乱泥流は富士川河口から)
30
南海トラフの歴史地震
180年ごとに巨大地震と津波が
発生してきた
31
南海トラフ域の地震活動
小原(2007)
32
プレート境界の地震とアスペリティモデル
33
プレート境界の地震を探る
◆ 断層の強度とアスペリティモデル ⇒ 掘削による試料
◆ ゆっくりすべり対高速すべり
⇒ 掘削孔の観測
◆ リアルタイム地震速報の高度化
⇒ 海底ネットワーク
の掘削孔観測
◆ 地震予知(?)
⇒ 総合的アプローチ
34
南海トラフ地震発生帯掘削計画
Nankai Trough Seismogenic Zone Experiment
略称 南海掘削
NanTroSEIZE(なんとろさいず)
統合国際深海掘削計画
IODPの一環として実施
新宮市
新宮市から南東沖60km~140km
35
平成19年度「ちきゅう」の南海掘削
共同首席研究者
#314
H19年度 “南海掘削” Stage-1
乗船研究者所属機関国別分布 (3行動総計)
・乗船研究者はIODPのMOUに基づき、基本的に分担金に
応じた乗船研究者数で構成される。
・IODP参加国からの推薦を受け、科学目的を達成するべき
最善の人選、次世代研究者の育成などを念頭に選考。
#315
#316
それぞれの研究行動における日本人研究者
36
南海トラフ熊野灘沖での三次元反射法地震波探査
(ハワイ大学と共同)
海底地形図
三次元地下構造
Science(2007)に発表
37
南海掘削実施計画
●ステージ1(H19年度)
○複数の掘削同時検層(LWD)による
付加体断面の孔内地層各種物
理データの取得。
○初期ライザー掘削
○付加体前縁部のライザーレス掘削
●ステージ2(H20年度予定)
分岐断層のライザー掘削(3,500m程度)
●ステージ3
プレート境界深部掘削(6,000m程度)
●ステージ4
長期孔内計測装置の設置・観測
Science(2007)に発表
38
「ちきゅう」船上の研究風景
Science(2007)に発表
39
ボアホールブレイクアウトと応力場
LWD(掘削同時検層)
による比抵抗イメージ
伸張の方向に孔が破砕し
黒い帯としてイメージされる
40
海底下1–1.5kmの応力場
掘削サイトにおける水平最大圧縮場
および伸張場の方向。
C0001、C0004、C0006では
北西南東方向に圧縮、
C0002では伸張であることが分かった。
黄色:フィリピン海プレートが本州に沈み込む方向。
41
採取されたコア試料
“ベイン構造”
(地震時の排水構造)
CTスキャン画像
正断層
コア
CTスキャン
断層帯
42
熊野海盆のメタンハイドレート(C0002サイト)
海底下400mより上の
白い部分(矢印)が
ハイドレートを多く
含む地層。
数字は海底からの深度(m)。
地震探査の断面と
掘削孔C0002の位置
43
南海掘削ステージ1:まとめ
伸 張 領 域
圧 縮 領 域
津波の発生
砂層中に
メタンハイドレート存在
C0002
分岐断層
境界試料採取
プレート境界断層
試料採取
C0001 C0004
C0006
BSR(メタンハイドレート
の下限反射面)
巨大分岐断層
<主要データ>
三次元地下構造イメージング
前部デコルマ面
広域応力場
プレート
沈み込み
メタンハイドレート
44
プレート境界地震と津波のリアルタイム観測
海洋プレートの沈み込み境界における巨大地震
発生帯を直接掘削する。掘削試料の分析と観測
により地震発生のメカニズムを研究する。
45
「ちきゅう」プロジェクトの意義
1.
地震発生メカニズムの解明・
防災対策(リアルタイム地震通報)の高度化
2.
地下生命圏の解明・新しい自然観・
バイオテクノロジー
3.
大水深掘削技術・資源探査
4.
国際大型プロジェクトでのリーダーシップ
5.
未踏のフロンティア探査(フロンティア・スピリット)
46
「ちきゅう」号をよろしく
参考図書
平 朝彦
他著
「地球の内部で
何が起こっているのか?」
光文社新書、2004
47
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