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企画・海洋資源利用部 [PDFファイル/6.83MB]

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企画・海洋資源利用部 [PDFファイル/6.83MB]
平 成 15 年 度
1
海洋水産研究センター企画調整事業
坂本
進・高野
事業の目的
英利
研究課題の推進に際し、必要な助言、評価及び検
討を行うことにより、研究レベルの向上と効率化を
大分県水産研究体制整備基本構想に基づき、海洋
水産研究センターの企画調整機能を充実・強化する
ため 、「企画調整 」、「広報広聴」及び「研修」に係
図るため、大分県水産研究推進検討委員会設置要綱
に基づき委員会を運営した。
4)大分県水産研究評価委員会
本県水産業の振興発展に有益な試験研究を進める
る業務を行った。
ため、大分県水産研究評価委員会設置要綱に基づき、
学識経験者、漁業関係者及び流通関係者等の外部委
1.企画調整事業
管理部、企画・海洋資源利用部、栽培漁業部、養
員から構成される委員会を運営した。
殖環境部、浅海研究所及び内水面研究所の4部2所
5)大分県試験研究機関連絡会議
にわたる業務や予算等を調整し、組織の円滑な運営
試験研究機関の総合的かつ有機的な連携を図るこ
と調査・研究の効率的な推進を図る。
また、関連機関との連絡調整、情報交換等を行い、
とを目的として1993年度に設立された大分県試験研
究機関連絡会議(会長:産業科学技術センター長)
研究課題を企画、立案する。
に参加し、共同研究の推進等に取り組んだ。
2.広報広聴事業
2.広報広聴事業
各種のメディアを通じて、調査・研究結果を積極
的に公表・伝達する広報活動と、漁業現場のニーズ
を的確に把握して業務に反映させるための広聴活動
を行い、水産情報基地としての機能の充実に努める。
1)広報
A.発表会
水産研究者の研鑽と資質の向上並びに研究成果の
広報を目的として、大分県水産関係研究者連絡協議
会研究発表会を開催するとともに、大分県漁業協同
組合と共催して第7回水産業総合発表交流大会を開
3.研修事業
国内外からの研修や視察に積極的に対応し、開か
れた研究機関としての機能の強化を図る。
催した。
B.刊行物
a)大分県海洋水産研究センター事業報告
大分県海洋水産研究センター刊行物投稿規約に基
事業の方法
づき、本場、浅海研究所及び内水面研究所ごとに事
業報告書を編集、発行した。
1.企画調整事業
1)大分県水産研究企画調整会議
漁業者ニーズに迅速、的確に対応し、効率的な調
査・研究活動を推進することにより、本県水産業の
振興発展を図るため、大分県水産研究企画調整会議
設置要綱に基づき会議を運営した。
b)大分県海洋水産研究センター調査研究報
告
大分県海洋水産研究センター刊行物投稿規約に基
づき、センター全体の研究報告書を編集、発行した。
c)広報紙
AQUA−NEWS
広く県内外の水産関係者等に研究成果等の情報を
2)海洋水産研究センター費等研究予算調整
発信するため、広報紙AQUA−NEWSを編集、
限られた予算を有効に活用し、効率的な研究・開
発行した。
発を推進するため、4部2所にわたる研究予算等の
調整と運用を行った。
3)大分県水産研究推進検討委員会
C.インターネットによる水産業情報の発信
海洋水産研究センターのホームページ(アドレス
:http://www.mfs.pref.oita.jp/)において、水温情報、
大分県海水研事業報告
2
漁況海況予報、養魚情報等の各種情報の提供を行っ
究の円滑な推進を図った。
た。
2.広報広聴事業
2)広聴
A.水産研究・普及連絡会議
研究者と水産業改良普及員との連携を強化し、漁
1)広報
A.大分県水産関係研究者連絡協議会研究発表
会及び第7回水産業総合発表交流大会
業現場の情報や要望を研究課題に反映させるため、
水産研究・普及連絡会議を開催した。
B.県漁協支店運営委員長・市町村水産担当課
長会議
2004年2月26、27日の両日、大分県マリンカ
ルチャーセンター(蒲江町)において、2003年度の
研究発表会を行った。
センターに対する漁協や市町村の要望や意見を聴
発表は、海洋水産研究センター研究員によるもの
取して研究課題に反映させるとともに、センターの
が12題、水産業改良普及員によるものが5題、大
最新研究情報を伝達するため、県漁協支店運営委員
分県漁業公社から1題の計18題であった(表2−
長・市町村水産担当課長会議を開催した。
1)。
3.研修事業
分市)において第7回水産業総合発表交流大会を開
また、2003年11月21日に大分県水産会館(大
1)視察・研修受入
開かれた研究機関として機能することを目的とし
て、視察、見学者への説明や案内等を行った。
また、必要に応じ、部門ごとの研修、国外からの
現地視察や実習等にも対応した。
催した(表2−2)。
B.刊行物
a)大分県海洋水産研究センター事業報告
本場、浅海研究所及び内水面研究所ごとに、平成
14年度事業報告書を編集、発行した。
b)大分県海洋水産研究センター調査研究報
2)研修
研究員の資質向上、研究機能の強化を目的に新規
研究員を対象とした研修を実施した。
告
センター全体として調査研究報告第4号を編集、
発行した。
c)広報紙
事業の結果
AQUA−NEWS
本年度は、第17号、第18号の2号を編集、発
行し、県内外の関係機関に配布した。
1.企画調整事業
1)大分県水産研究企画調整会議
原則として月に1回開催し、各部所の行事、予算
及び研究課題等の連絡調整を行い、センターとして
の方針を決定した。
2)海洋水産研究センター費等研究予算調整
海洋水産研究センター予算編成方針を定め、これ
に基づき各部所から要求があった試験研究及び施設
整備等の予算を取りまとめ、財政当局と予算折衝を
行った。
3)大分県水産研究推進検討委員会
2003年7月23、25日に委員会による部所別の
ヒアリングを開催し、助言、指導を行った。
4)水産研究評価委員会
C.インターネットによる水産業情報の発信
海洋水産研究センターホームページにおいて、水
温情報、漁況海況速報並びに同予報、養魚情報等の
各種情報の提供を行った。
2)広聴
A.水産研究・普及連絡会議
2003年6月18日に連絡会議を開催した。
普及員から要望が出された事項については、担当
部所において対応した。
B.県漁協支店運営委員長・市町村水産担当課
長会議
2003年7月10日に北郡、7月11日に南郡を対
象として会議を開催した。
表3に会議で報告した研究情報を示す。
2003年9月8日に水産研究評価委員会を開催し、
センターの3年以上継続している4事業、終了4事
3.研修事業
業、新規予定の1課題について研究成果等に対する
1)視察受入
評価を受けた。(表1−1、表1−2)
夏期の小学生の団体見学を中心に、多くの視察、
5)大分県試験研究機関連絡会議
連絡会議副会長として海洋水産研究センター長
見学及び現地実習等に対応した。
表4に受入実績を示す。
が、幹事として企画・海洋資源利用部長が参画した
2)研修受入
ほか、専門部会の運営に関係職員が参加し、共同研
少年水産教室等の依頼研修を実施したほか、赤潮、
魚病、水産加工等各部所ごとのテーマ別研修も実施
平 成 15 年 度
3
・行政施策と試験研究:水産振興課
した。
3)研修
森課長
・研究基本方針、研究実行計画及び実施事業等に
ついて:坂本主幹研究員
本年度、新規に研究職員となった3名(本場2、
浅海研究所1)を対象に下記のカリキュラムによる
・課題設定と調査計画の立て方:尾上副部長
研修を行った。
・事業報告書・研究報告書の書き方:福田主幹研
究員
(カリキュラム)
・研究員としての心構え:平嶋センター長
表1−1
所
大分県水産研究評価委員会名簿
属
役職
大分県漁業協同組合
氏名
代表理事組合長
備考
冨沢
泰一
業界
大分県内水面漁業協同組合連合会
会長
日野
立明
業界
大分県かん水養殖協議会
会長
山本
勇
業界
九州大学大学院農学研究院
教授
松井
誠一
学識
水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所
所長
山田
久
学識
日本栽培漁業協会上浦事業場
場長
有元
操
学識
姫島村
村長
藤本
昭夫
行政
蒲江町
町長
塩月
厚信
行政
大分大学教育福祉科学部
教授
久保加津代
消費
大分中央水産株式会社
社長
本田
流通
表1−2
信雄
大分県水産研究評価委員会に付託した研究課題及び総括評価結果
(継続)
研
究 計
画 研
究 今 後 の
進 捗 度 妥 当 性 成
果 発
課題名
展
総括評価
可 能 性
A:高い、B:やや高い、C:普通、 1:継続
D:やや低い、E:低いの5段階
2:改善
3:中止
4:終了の4段階
地域密着型漁業支援事業
A
A
A
A
1:継続
ブリ種苗生産技術開発事業
B
A
B
A
1:継続
養殖漁場環境調査
A
A
A
A
1:継続
スッポン増養殖技術開発事業
A
A
A
A
1:継続
(終了)
研
究 研究成果 今 後 の
達 成 度 の普及・ 発
課題名
波及性
展
総括評価
可 能 性
A:高い、B:やや高い、
1:十分な成果
C:普通、D:やや低い、
2:成果あり
E:低いの5段階
3:一部成果
4:成果なしの4段階
地域水産加工技術高度化事業
A
B
A
2:ほぼ達成、成果あり
希少水生生物保存対策推進事業
A
B
A
2:ほぼ達成、成果あり
キジハタ放流技術開発事業
C
C
A
2:ほぼ達成、成果あり
アマゴ資源増殖手法開発調査
A
A
A
1:達成、十分な成果
大分県海水研事業報告
4
(新規)
課
題 課
題 計
画 達
成
総括評価
重 要 性 緊 急 性 妥 当 性 可 能 性
課題名
A:高い、B:やや高い、C:普通、 1:課題重要、内容適切
D:やや低い、E:低いの5段階
2:課題重要、内容見直し
必要
3:課題不適切の3段階
マサバ養殖実用化技術開発
A
表2−1
発
表
課
A
A
A
1:課題重要、内容適切
大分県水産関係研究者連絡協議会研究発表会の開催実績
題
名
発
表
者
・水産加工廃棄物から新たな食品開発(養殖ブリの場合)
企画・海洋資源利用部
主幹研究員
猿渡
実
・大分県猪串湾における有毒渦鞭毛藻 Gymnodinium
養殖環境部
研究員
宮村
和良
catenatum 出現期の環境特性
・豊後水道域における水温の長期変動
企画・海洋資源利用部
主任研究員
木村聡一郎
研究員
朝井
栽培漁業部
研究員
岡本久美子
・アコヤガイ大量へい死以降における真珠・真珠母貝養殖 栽培漁業部
研究員
東馬場
・イシガキダイにおけるマダイイリドウイルス病の防除方 養殖環境部
隆元
法の検討
・ヤツデヒトデはアワビ類稚貝の大敵か?
大
の現状
・豊後水道域における流れ藻に随伴する生物について
管理部「豊洋」
技師
薬師寺
・アイナメの種苗生産
漁業公社国東事業場
主任
元兼
豊明
清
・漁業調査船「豊洋」の取り組みと今後
管理部「豊洋」
技師
宇藤
知治
・由来の異なるアサリ稚貝の成長と生残
浅海研究所
研究員
平川
千修
・価格向上を目的とした水産物流通改善の取り組み
西高地方振興局
主査
倉橋賢二郎
・国見沖でイワガキ養殖試験に取り組んで
東国東地方振興局
技師
中附三希子
・メガイアワビの放流効果について
臼津関地方振興局
主任
大石
隆史
佐伯南郡地方振興局
技師
都留
勝徳
・県外共同出荷の普及における経過と課題
西高地方振興局
主査
倉橋賢二郎
・駅館川河口域に生息するニホンウナギに関する知見
内水面研究所
主任研究員
畔地
和久
研究員
平澤
敬一
主任研究員
景平
真明
・ウニはいつまで食べられるか?
∼板ウニ保存試験∼
・中津干潟におけるアサリのグリコーゲン含量と成熟度と 浅海研究所
の関係
・ドジョウ養殖普及への取り組み
内水面研究所
(注)表は発表順である。連名発表は筆頭者のみ記載した。
表2−2
発
表
課
題
第7回水産業総合発表交流大会発表会の開催実績
名
伊予灘・別府湾海域の水温等の長期変動について
大分県豊後水道沿岸域で発生するギムノディニウム
発
養殖環境部
ミキ 養殖環境部
表
者
主任研究員
田村
勇司
研究員
宮村
和良
主幹研究員
井本
有治
研究員
木本
圭輔
中野
昌次
モトイ赤潮の短期発生予察の試み
冷却海水を使用した海水シャワー装置の漁獲物生残率向上 浅海研究所
効果について
アマゴの資源管理方法について
内水面研究所
シマアジの飼付け放流∼シマアジを増やせ∼
独立行政法人 水産総合研究センター 上浦栽培漁業センター
技術開発員
平 成 15 年 度
表3
5
県漁協支店運営委員長・市町村水産担当課長会議の開催実績と報告した最新研究情報
開催日(場所)
対象地域
2003年7月10日
研 究 情 報 ( 報 告 者 )
北海部郡沿岸 カサゴ種苗生産における親魚と仔魚初期生残率の関係
(臼津関地方振興局会議室)
栽培漁業部
研究員
渡邉
新吾
副部長
尾上
静正
安樂
康宏
豊後水道域の藻場消失の現状等
栽培漁業部
2003年7月11日
南海部郡沿岸 豊後水道域のヒラメの年齢と成長及び成熟について
(佐伯南郡地方振興局会議室)
企画・海洋資源利用部
ギムノディニウム
研究員
ミキモトイ赤潮の短期発生予察の試み
養殖環境部
研究員
宮村
和良
副部長
尾上
静正
豊後水道域の藻場消失の現状等
栽培漁業部
表4
区
分
視察等受入実績
件
数
人数(人)
視察・見学
34
589
うち、外国
7
87
(注)文書により依頼があったもので、概数である。
大分 県 海 水 研 事業 報 告
6
地域密着型漁業支援事業−1
まき網漁場調査
木村聡一郎・坂本
調査の目的
進
8月調査(8月25日)の佐伯湾におけるADCP観測結
果について、11m層、21m層及び31m層を図5に示
まき網漁業の主要対象魚である浮魚資源の変動を
した。なお、観測は概ね下げ潮時に行った(図6)。
予測するために必要な漁海況に関する基礎データを
これによると、下げ潮時の佐伯湾の流況は、6月2回
収集することを目的とした。
目調査とほぼ同様の傾向となった。
10月調査(10月30日)については、上げ潮時に佐
調査の方法
調査船「豊洋」(75t)を用い、表1に示したとお
り、2003年6月、8月、10月、11月に計5回調査を実
施した。調査はRD社製のADCP(多層式超音波流向流
速計)による流況観測を中心に行い、その他表層水
温、魚群分布量等のデータを収集した。
得られたADCPデータは、㈱エス・イー・エイ社の
流向流速解析ソフト「MAP EAGLE」を使用し、簡便
な海図上にベクトルの形で作図した。
調査の結果
伯湾で8月調査と同じコースで行ったが、収集したA
DCPデータ不良のため、作図できなかった。これは、
観測開始前に行うGPS−GYRO通信の設定に問題があ
ったためと思われる。
11月調査(11月27日)の豊後水道域におけるADCP
観測結果について、A-B、B-Cラインの11m層を図7
に示した。なお、観測は概ね上げ潮時に行い(図8)、
この期間、豊後水道東部から中央部に暖水波及がみ
られた(図9)。これによると、上げ潮時の豊後水道
域では2ラインとも全般的に北向きの流れとなった。
但し、今回、暖水波及による流況の変化を捉えるこ
とはできなかった。
6月調査(2回観測)の佐伯湾におけるADCP観測結
果について、12m層、20m層及び32m層を図1、図2
にそれぞれ示した。なお、1回目(6月12日)は概ね
上げ潮時に、2回目(6月13日)は概ね下げ潮時に行
った(図3、図4 )。これによると、上げ潮時の佐伯
湾では各層とも全般的に北向きの流れとなったが、
大島北西の海域では湾内に流入する西向きの流れが
みられた。下げ潮時では各層とも全般的に南向きの
流れとなったが、大島北西の海域では湾内から流出
する東向きの流れがみられた。
表1
調査日
6/12
6/13
8/25
10/30
11/27
調査海域
佐伯湾
佐伯湾
佐伯湾
佐伯湾
豊後水道
まき網漁場調査
主な調査項目
流況流速、航走水温、魚群量
流況流速、航走水温、魚群
流況流速、航走水温
流況流速、航走水温
流況流速、航走水温、魚群
備考
上げ潮時
下げ潮時
下げ潮時
上げ潮時
上げ潮時
平 成 15 年 度
図1
ADCP流況流速図(2003/06/12:上げ潮時)
図3
佐伯湾の潮時(2003/06/12)
図2
7
ADCP流況流速図(2003/06/13:下げ潮時)
図4
佐伯湾の潮時(2003/06/13)
大分県海水研事業報告
8
図7
ADCP流況流速図(2003/11/27:上げ潮時)
図8
図5
佐伯湾の潮時(2003/11/27)
ADCP流況流速図(2003/08/25:下げ潮時)
図6
佐伯湾の潮時(2003/08/25)
図9
NOAA/AVHRRの平均表面水温画像
(2003/11/26)
平 成 15
年 度
9
地域密着型漁業支援事業−2
マアジ資源調査
木村聡一郎・坂本
進・安樂康宏
調査の結果
調査の目的
本県水産業において重要魚種と位置づけられるマ
Ⅰ
生物測定
アジは、東シナ海を主産卵場とする太平洋系群と沿
生物測定は37尾について行った。尾叉長は19.3㎝
岸域で産卵する地先群に大別されるが、両者の移動
∼30.1㎝の範囲で、平均24.7㎝、モードは尾叉長24.
生態等について不明な点が多い。
5∼24.9㎝にあった(図3)。
そこで、マアジの標識放流を行い、その移動・分
また、尾叉長と体重の関係は図4に示したとおり
布状況を把握し、マアジの漁況予測や資源管理に資
であり、体重は84.8g∼306.1gの範囲で、平均192.7
するための基礎的知見の収集を目的とした。
gであった。
図5に雌雄別の尾叉長と GI値の関係を示した。な
お、♂:♀=20:17(尾)であった。
調査の方法
大分県漁協津久見支店所属のまき網漁船で漁獲さ
れ、津久見市深良津地先にて蓄養中の天然マアジを
購入し、2003年4月28日に標識を装着し、同日、同
海域に放流した(図1)。
使用した標識は、スパゲティータグ(「 オオイタ
OT
図2
標識マアジ
-0001∼通し番号」を刻印)標識で、マアジ第1背鰭
中央の基部に装着した(図2)。
8
尾
N=37
7
また、一部個体を当センターに持ち帰り、体長、
6
体重、生殖腺重量等の生物測定を行った。
5
4
3
2
1
27.528.028.529.029.530.0-
24.525.025.526.026.527.0-
23.524.0-
19.019.520.020.521.021.522.022.523.0-
0
尾叉長 ㎝
図3
マアジの体長組成
350
N=37
300
体重 g
250
200
150
y = 20.354x - 310.87
R2 = 0.8952
100
50
0
18
図1
位置図
20
図4
22
24
26
尾叉長 ㎝
28
マアジ体長−体重関係
30
32
大分県海水研事業報告
10
表1
8
♂ N=20
7
6
GI
5
4
3
2
1
0
18
20
22
24
26
尾叉長 ㎝
28
30
32
8
♀ N=17
7
6
GI
5
4
3
2
1
0
18
図5
Ⅱ
20
22
24
26
尾叉長 ㎝
28
30
32
標識マアジの再捕状況
再捕日 経過日数 再捕尾数 再捕場所 再捕漁具
2003/5/1
3
8
A
輪網
2003/5/3
5
2
B
定置網
2003/5/6
8
2
C
刺し網
2003/5/6
8
1
D
輪網
2003/5/7
9
1
E
釣り
2003/5/7
9
1
F
刺し網
2003/5/11
13
1
G
まき網
2003/5/13
15
1
H
まき網
2003/5/15
17
2
I
まき網
2003/5/15
17
1
J
釣り
2003/5/19
21
1
K
釣り
2003/5/23
25
2
L
まき網
2003/5/23
25
1
M
釣り
2003/6/14
47
2
N
まき網
2003/6/21
54
1
O
まき網
2003/6/21
54
1
P
刺し網
2003/6/22
55
1
Q
釣り
2003/6/24
57
1
R
まき網
2003/6/24
57
1
S
釣り
2003/6/26
59
1
T
まき網
2003/6/27
60
5
U
まき網
2003/8/19
113
1
V
まき網
2003/10/3
158
1
W
釣り
マアジ体長別GI値(上図:雄、下図:雌)
標識放流
標識マアジ1,587尾を放流し、現在のところ39尾
の再捕報告があった(再捕率2.5%)。再捕状況の概
要は、表1及び図6-1∼図6-4に示したとおり、標識
魚は放流から3∼158日経過後までの間に再捕され
た。このうち、放流から10日経過後までは放流地点
である津久見湾で、輪網9尾、刺し網3尾、定置網2
尾、釣り1尾の再捕があった。11∼30日経過後まで
は、津久見・臼杵湾を中心に7尾、北は別府湾、南
図6−1
標識マアジの再捕場所
図6−2
標識マアジの再捕場所
は豊後水道南部域で各1尾の再捕があり、漁具別に
はまき網6尾、釣り3尾の再捕となった。31∼60日経
過後までは、津久見・臼杵湾及び周辺漁場(やや南
方沖合域)を中心に11尾、北は別府湾、伊予灘で各
1尾の再捕があり、漁具別にはまき網10尾、釣り2尾、
刺し網1尾の再捕となった。
それ以降の再捕報告は大幅に減り、豊後水道北部
域でのまき網、愛媛県三崎町沖での釣りによる各1
尾の再捕となった。
考察
今回標識放流したマアジは、北郡まき網で主に漁
獲される地先群であり、体長組成から2歳魚主体で
あったと判断される。
また、2003年3月23日に行った前回生物測定調査
結果
1)
における GI値との比較から、今回放流時点
では産卵のピークは既に過ぎていたと推測される。
平 成 15
図6−3
標識マアジの再捕場所
標識マアジの移動については、放流後、時間の経
年 度
11
図6−4
標識マアジの再捕場所
今後の課題としては、最適なマアジ放流手法を検
過とともに、放流地点から徐々に拡散していったが、
討するとともに、標識マアジの放流後の生残や標識
その移動範囲はそれほど大きいものではなく、むし
の脱落等の状況を明らかにしていく必要がある。
ろ放流地点周辺漁場に多く留まっている傾向にあっ
た。放流地点から南北方向への移動については、南
下よりも北上する傾向が比較的強くみられ、最北へ
参考文献
の移動は2003年6月24日に伊予灘において山口県在
住の一般遊漁者(サビキ釣り)からの再捕報告を受
けた。
来年度以降も系群別年齢別のマアジ標識放流を継
続して実施する予定である。
1)木村聡一郎ら:地域密着型漁業支援事業−2
マアジ資源調査.平成14年度大分県海洋水産研
究センター事業報告,9−10(2002)
大分県海水研事業報告
12
地域密着型漁業支援事業−3
豊後水道におけるアマダイ漁業調査
安樂
事業の目的
康宏
の月別取扱量を示した。
豊後水道域におけるアマダイの漁獲動向について
アマダイ類(以下「アマダイ」という)は、マダ
は前年度までに、 11月から翌年 7月の間が多く、 12
イ、ハモ、トラフグと並び県南海域の延縄漁業にお
月と4, 5月にピークがあること、また、漁獲対象を
ける重要魚種である。前年度までに資源動向、漁業
エソ、ハモに変える 8月から 10月の漁獲は少ない傾
実態、価格動向等を本報告で報告したが、近年アマ
向にあることが報告されている。
ダイ漁獲量が低下している実態を受け、継続的にそ
本年の年間取扱量は 5.2トンで、調査を開始した 1
993年以降最低で、最も取扱量が多かった 1995年の
れらを把握する必要性から調査を実施した。
約3分の1と大きく減少した。取扱量が少ない8月と9
月を除いて、全ての月で過去10年間の平均取扱量を
下回った。本年は特に12月の取扱量が極端に少なか
事業の方法
った。
水揚げ量調査には佐伯市公設水産地方卸市場の19
92年 4月から 2004年 3月の資料を用いた。 CPUEの算
定は大分県漁協佐伯支店の延縄漁業者が記帳した20
2.漁獲努力量の動向
標本船日誌の記帳を依頼している延縄漁業者が病
03年 1月∼ 12月の標本船操業日誌の資料を用いた。
気でアマダイ盛漁期における操業状況を記帳できな
また、月に1∼2回佐伯、鶴見各魚市場において水揚
かったので、今年度はアマダイ延縄漁業における C
げされたアマダイの種類、出荷者、全長を記録し、
PUEの算出はできなかった。
漁業種類別水揚げ尾数を把握した。
3.市場調査
表2に市場別漁業種類別の水揚げ尾数を示した。2
003年の市場調査におけるアマダイの総測定尾数は3
事業の結果
24尾であった。佐伯魚市場では延縄の水揚げが最も
多く、鶴見・津久見市場では小型底曳網での水揚げ
1.漁獲動向
大分県のアマダイの集積根拠地である佐伯市魚市
が多かった。図 2に市場調査におけるアマダイの種
場での月別取扱量を表1に示した。また、図1に過去
類別水揚げ尾数を示した。アカアマダイが90%を占
10年間(1993∼2002年)の月別平均取扱量と2003年
め、シロアマダイは10%で、ほとんどがアカアマダ
イであった。
取扱量(t)
2
2003年
過去10年間の平均
1.5
1
0.5
0
1月 2月 3月 4月
図1
5月
6月 7月 8月
9月 10月 11月 12月
佐伯市魚市場の月別アマダイ取扱量
(2003年と過去10年間の平均取扱量)
平 成 15
表1
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
1月
2月
3月
1,610
990
1,430
1,090
1,560
1,463
1,402
1,348
762
807
620
384
3,040
1,240
1,860
670
1,332
1,185
1,310
913
1,136
1,731
720
852
1,750
1,030
2,040
700
1,432
1,095
941
580
873
745
484
404
鶴見
津久見
佐伯
13
佐伯魚市場における月別アマダイ取扱量(kg)
4月
2,460
980
1,510
1,970
865
2,194
807
1,143
675
855
650
416
548
表2
市場
年 度
5月
2,110
890
1,350
2,660
1,048
1,535
741
1,032
1,022
915
974
436
6月
1,490
430
1,190
1,670
818
1,457
898
704
721
773
638
356
7月
1,460
470
770
560
770
568
531
700
417
544
206
308
8月
110
140
450
250
429
355
244
400
271
243
234
294
9月
240
420
440
160
523
650
357
493
642
706
492
506
10月
200
540
860
500
397
610
731
566
743
486
570
418
11月
730
850
1,510
590
1,174
948
1,076
1,521
632
846
480
292
アマダイの市場別、漁業種類別水揚げ尾数
延縄
203
刺網
小型底曳網
不明
計
4
11
3
61
1
7
19
16
10
298
15
シロア
マダイ
10%
アカア
マダイ
90%
図2
アマダイの種類別水揚げ割合
12月
2,620
1,120
2,620
1,490
2,863
1,931
2,853
2,354
1,128
1,249
808
364
計
11,420
12,240
13,960
15,180
11,347
14,572
11,981
12,566
9,092
9,388
8,335
5,214
2,188
大 分県海水研事業報告
14
地域密着型漁業支援事業-4
番匠川河口域のアサリ調査
内海訓弘・木村聡一郎・田村勇司
調査の目的
1.分布調査
1)坪刈り
県南地域では数少ないアサリ漁場である番匠川河
調査は、定点14、15、16、17、18、23、24、25で
口域においてアサリの資源量を把握し、資源管理漁
行った。各定点において、 31×37㎝枠のコドラート
業を推進するため、アサリ等分布調査と底質環境調
を使用して、枠内5∼10㎝の厚さの砂を手スコップ
査を行った。
で取り、これを5㎜目合いのふるいにかけ、アサリ
なお、本調査は、1992年及び1995年以降、継続実
施されている1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)。
及びその他の生物を採集した。1定点2回の坪刈りを
行い、アサリの採集数が10個未満の場合は、さらに、
2回坪刈りを行った。なお、定点別の坪刈り回数を
表1-1に示した。
調査の方法
2)ジョレン曳き
調査は、定点1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
調査は、2003年6月16日(最干潮14時19分、潮位0
12、13で行った。各定点において、曳網距離3mの
㎝)に図1に示す21定点において実施した。各定点
ジョレン曳きを行い、坪刈りと同様の生物を採集し
は前年までの調査と同一場所とした。
た。1定点1回のジョレン曳きを行い、アサリの採集
表1-1
定点
番号
14 31
15 31
16 31
17 31
18 31
23 31
24 31
25 31
計
図1
調査定点
コドラート
cm × 37
cm × 37
cm × 37
cm × 37
cm × 37
cm × 37
cm × 37
cm × 37
坪刈り調査状況
坪刈り ふるい 採集面積
回数 目合い(㎜)
(m2)
cm 4
5
0.46
cm 4
5
0.46
cm 4
5
0.46
cm 4
5
0.46
cm 2
5
0.23
cm 2
5
0.23
cm 4
5
0.46
cm 4
5
0.46
3.21
表1-2 ジョレン曳き調査状況
ジョレン曳き 採集面積
定点 ジョレン
ジョレン
番号 開口部(cm) 目合い(㎜) 距離×回数
(m2)
1
33
13
3 m ×1
0.99
2
33
13
3 m ×1
0.99
3
33
13
3 m ×1
0.99
4
33
13
3 m ×1
0.99
5
33
13
3 m ×1
0.99
6
33
13
3 m ×1
0.99
7
33
13
3 m ×1
0.99
8
33
13
3 m ×1
0.99
9
33
13
3 m ×1
0.99
10
33
13
3 m ×1
0.99
11
33
13
3 m ×1
0.99
12
33
13
3 m ×1
0.99
13
33
13
3 m ×2
1.98
計
13.86
平 成 15 年 度
15
数が10個未満の場合は、さらに、1回ジョレン曳き
調査の結果
を行った。なお、定点別に使用したジョレンの開口
部・網目合いの長さ、曳網距離及び曳網回数は、表
1-2に示すとおりであった。
1.分布調査
2.底質環境調査
結果を表2-1、表2-2に示した。
各定点におけるアサリ及びその他の貝類等の採集
調査は、河口域内の代表点として定点2、3、12、
アサリ以外の貝類では、ハマグリ、ウミニナ類等
15、18、24を選定し、表層下1㎝までの泥を採取し
が採集された。、ウミニナ類は河口域上流部の定点で
た。強熱減量は450℃、2時間の強熱により、全硫化
多く採集された。
物は検知管法により分析した。
表2-1
定点
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
23
24
25
計
アサリ
バカガイ
ハマグリ
生貝 死殻 生貝 死殻 生貝 死殻
57
2
14 104
1
72
1
17
64
30
14
14
7
6
1
3
1
2
21
3
8
10
5
41
3
9
1
2
3
2
1
3
25
21
9
3
5
1
1
5
1
137 429
1
17
9
表2-2
採集された貝類個体数
ホトトギスガイ
生貝 死殻
その他の
二枚貝
生貝 死殻
3
1
1
1
1
14
2
1
1
4
1
ウミニナ科
キサゴ
ツメタガイ
生貝 死殻 生貝 死殻 生貝 死殻
1
16
1
1
4
1
1
3
2
1
その他
の巻貝
生貝 死殻
1
3
3
2
5
1
1
3
1
1
1
12
1
1
4
1
1
1
11
1
1
6
1
55
18
6
5
1
2
1
1
25
63
95
185
2
2
6
2
43
4
1
採集された貝類重量(生貝)
定点
バカガイ
ハマグリ
ホトトギスガイ その他の ウミニナ科
アサリ(g)
番号
(g)
(g)
(g)
二枚貝(g)
(g)
1
2 59.29
3
4
5 315.33
13
6
34.18
7
4.16
8
9
0.23
1.76
10
11
12 27.58
1.95
13
95.3
321.31
14
15
1.57
56.19
16
6.34
0.1
17
2.66
8.73
2.52
0.94
18 78.87
0.2
0.98
23 32.44
64.63
24.6
24 23.12
13.42
11.88
49.83
25 26.96
0.33
15.66
72.76
計 661.78
1.57
93.12
0.33
149.11
キサゴ
(g)
ツメタガイ その他の
(g)
巻貝(g)
75.62
0.16
4.03
1.97
1.97
75.62
1.41
1.48
1.53
0.87
5.15
14.63
3
1
2
5
8
25
1
4
大分県海水研事業報告
16
表4
アサリの分布状況
個体数
アサリの定点別分布状況
図2
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
0.0
14.1
0.0
0.0
64.6
0.0
0.0
0.0
1.0
0.0
0.0
3.0
5.1
0.0
0.0
0.0
2.2
108.7
39.1
10.9
10.9
12.4
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
0.0
0.0
12.0
26.0
180.0
38.0
40.0
9.0
38.1
0.0
796.0
80.8
0.0
21.2
0.0
2.5
575.8
203.0
2.0
61.6
17.7
56.6
2.0
90.0
34.0
178.0
88.0
36.0
78.0
74.0
114.2
0.0
10.4
65.6
8.3
10.4
44.8
3.1
36.5
0.0
1.9
35.2
106.7
54.3
9.0
1.0
37.0
23.0
11.0
34.0
2.0
19.0
24.4
5.6
6.1
23.2
4.0
4.5
0.0
1.9
0.0
0.0
0.0
16.7
10.0
3.3
2.0
1.0
3.0
103.0
21.0
12.0
18.0
224.0
21.9
0.5
41.4
30.6
1.4
86.9
2.5
1.4
0.0
0.0
0.0
5.6
10.5
13.6
0.0
5.0
5.0
20.0
7.0
32.0
1.0
2.0
12.7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.0
16.0
0.0
0.0
0.0
0.9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.0
0.0
0.0
0.0
2.0
0.0
0.0
48.0
180.0
−
−
−
12.8
1995
0.0
0.0
3,037.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1,684.0
400.0
−
−
−
284.5
1992
270.0
320.0
133.0
180.0
222.0
135.0
189.0
25.0
19.0
90.0
129.0
54.0
20.0
9.0
0.0
95.0
21.0
28.0
−
−
−
107.7
アサリ殻長組成(全定点)
35
30
25
20
15
10
5
0
定点5 N=64
<5 <10 <15 <20 <25 <30 <35 <40 <45
殻長(㎜)
12
定点18 N=25
10
個体数
2003
N=137
殻長(㎜)
(個/㎡)
定点
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
23
24
25
平均
60
50
40
30
20
10
0
<5 <10 <15 <20 <25 <30 <35 <40 <45
個体数
表3
個体 数 平 均殻 長 最 大殻 長 最 小殻 長
定点
採集
2
( mm )
番 号 個体 数
( mm )
( mm )
/m
1
0
0. 0
23 .2 3
2 8. 0
2 1. 4
2
1 4 1 4. 1
3
0
0. 0
4
0
0. 0
25 .2 4
3 7. 5
7. 7
5
6 4 6 4. 6
6
0
0. 0
7
0
0. 0
8
0
0. 0
11 .3 0
1 1. 3
1 1. 3
9
1
1. 0
10
0
0. 0
11
0
0. 0
31 .3 7
3 6. 6
2 5. 4
12
3
3. 0
31 .9 7
3 9. 0
2 6. 1
13
10
5. 1
14
0
0. 0
15
0
0. 0
16
0
0. 0
21 .6 0
2 1. 6
2 1. 6
17
1
2. 2
20 .0 1
2 9. 0
1 2. 1
18
2 5 1 0 8. 7
22 .3 0
2 7. 2
1 1. 3
23
9 3 9. 1
21 .5 4
3 1. 9
8. 1
24
5 1 0. 9
26 .8 6
3 6. 6
1 8. 3
25
5 1 0. 9
24 .3 1
計
13 7
8. 3
3 9. 0
7. 7
8
6
4
2
0
<5 <10 <15 <20 <25 <30 <35 <40 <45
殻長(㎜)
図3
アサリについては、8定点で採集された。採集個
体数が多かったのは、採集面積1㎡当たりに換算し
て定点18で 108.7個/㎡、定点5で64.6個/㎡であっ
た(表3)。
2001年、2002年調査と比較して、アサリ個体数が
アサリ殻長組成
組成を図3に示した。定点 5、18の殻長モードは、殻
長20∼25㎜であった。
アサリ死殻は定点17、23を除く各定点で採集され
た。うち、定点15、18、24、 25ではツメタガイの食害
を受けたと考えられる穴あき殻はみられなかった。
増加した定点は定点5だけであった。また、定点23
死殻全体に占める穴あき殻の比率は、全体で39.4%
で採集数が安定していたが、ほとんどの定点で個体
であった(表5)。
数が減少しており、うち、定点15、17、25での減少
が目立った(表4)。
採集された全アサリの殻長組成を図2に示した。
アサリ穴あき殻の大きさは、殻長10.6∼37.7㎜の
範囲で、殻長25∼30㎜にモードがあった。殻長10㎜
以下の個体と殻長40㎜以上の個体は採集されず、殻
アサリの大きさは、殻長7.7∼39.0㎜の範囲で、殻長
長20∼30㎜の個体の占める割合は73.4%であった
20∼25㎜にモードがみられた。殻長20㎜を越える大
(図4)。
型個体の出現頻度は86.1%で、これら大型個体は定
点5、13で多く出現した。
次に、アサリが多く採集された定点5、18の殻長
穴あき殻はアサリの他、バカガイ、カガミガイ、
キサゴ等の死殻でみられ、ツメタガイは定点4、5、
11で採集された(表6、7)。
平 成 15 年 度
定点
うち、穴
死殻数
番号
あき殻数
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
23
24
25
計
57
104
72
17
30
14
14
6
3
2
21
8
5
41
9
3
0
21
0
1
1
429
9
60
27
12
24
2
5
4
1
2
13
5
3
1
0
1
0
0
0
0
0
169
表6
定点
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
23
24
25
計
アサリ
9
60
27
12
24
2
5
4
1
2
13
5
3
1
穴あき殻の採集状況
バカガイ カガミガイ タカノハガイ
2
アサリ死殻の採集状況
穴あき殻
穴なし殻
穴あき殻
の割合 平均殻長 最大殻長 最小殻長 平均殻長 最大殻長 最小殻長
(%)
(㎜)
(㎜)
(㎜)
(㎜)
(㎜)
(㎜)
15.79
18.89
23.5
10.6
14.71
24.8
7.8
57.69
26.03
33.5
15.5
20.65
30.7
10.1
37.50
21.35
29.1
17.5
19.15
34.0
7.9
70.59
27.06
32.6
21.3
30.32
36.5
21.2
80.00
26.97
31.9
20.1
23.60
27.2
18.0
16.00
18.8
13.2
22.2
10.9
14.29
17.59
35.71
25.22
27.8
23.2
16.92
25.8
8.5
66.67
29.18
32.1
26.4
25.20
30.2
20.2
33.33
25.40
25.4
25.4
16.20
21.4
11.0
100.00
16.00
18.4
13.6
61.90
27.70
31.3
22.8
20.95
29.9
11.4
62.50
33.70
36.5
28.8
37.33
42.7
26.7
60.00
32.83
37.7
27.6
34.60
36.6
32.6
2.44
11.90
11.9
11.9
10.74
28.4
6.7
0.00
11.94
27.3
7.1
33.33
11.70
11.7
11.7
7.40
7.7
7.1
0.00
0.00
15.80
27.3
6.8
0.00
0.00
25.80
25.8
25.8
0.00
30.10
30.1
30.1
39.39
23.33
37.7
10.6
21.06
42.7
6.7
ムラサキイガイ
アラムシロガイ
1
1
キサゴ
15
1
3
1
1
2
3
3
1
169
4
1
表8
1
1
5
21
計
28
60
27
12
24
2
6
7
2
2
14
5
3
6
3
1
202
2.底質環境調査
N=169
70
60
50
40
30
20
10
0
<5 <10 <15 <20 <25 <30 <35 <40 <45
殻長(㎜)
図4
アサリ穴あき殻殻長組成(全定点)
表7
ツメタガイの分布状況
(個 / ㎡ )
定点
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
23
24
25
平均
底質環境調査結果
定 点 強 熱減 量 全 硫化 物
番号
(% )
( Smg /g )
2
0 .8 6
0. 00 0
3
0 .9 0
0. 00 2
12
0 .9 7
0. 03 1
15
0 .8 7
0. 00 0
18
0 .9 6
0. 00 0
24
1 .3 2
0. 00 1
平均
0 .9 8
0. 00 6
80
個体数
表5
17
2 00 3 2 00 2 2 00 1 2 00 0 1 99 9 1 99 8
1 99 7
1 99 6
0. 0
0. 0
0. 0
1. 0
2. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
1. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 2
0. 0
1. 0
2. 0
0. 0
1. 0
0. 0
0. 0
0. 0
1. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
2. 0
2. 0
3 0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
1. 9
2. 0
0. 0
0. 0 1 2. 0
5. 0
3. 0
0. 0
0. 0
2. 0
2. 0
1. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
2. 0
1. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
3. 0
0. 0
0. 0
0. 0
8. 0
2. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
8. 0
−
−
−
−
−
−
1. 2
1. 6
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
2. 0
0. 0
0. 0
1. 0
0. 0
0. 5
0. 0
1. 0
0. 5
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 2
0. 0
1. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
表9
0. 5
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
1. 7
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 1
0. 0
1. 4
0. 9
0. 0
0. 0
1. 9
0. 0
0. 0
0. 0
0. 6
1. 2
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 0
0. 3
1 99 5
強熱減量
2003
2002
2001
2000
1999
定点
強熱減量 強熱減量 強熱減量 強熱減量 強熱減量
番号
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
2
0.86
−
0.71
1.03
1.208
3
0.90
−
0.72
1.35
1.036
12
0.97
−
1.09
1.22
1.412
15
0.87
1.21
0.97
0.81
1.125
18
0.96
1.38
0.94
1.18
1.369
24
1.32
1.54
0.97
1.11
1.185
平均
0.98
1.38
0.90
1.12
1.223
るが、本調査の値は、いずれの定点も0∼0.031㎎/
強熱減量及び全硫化物量の測定結果を表8に示し
g(乾泥)であり、過去の調査結果(表10)と同じ
た。強熱減量は値が小さいほど良好な環境を示すも
く、生息限界値といわれる 0.20㎎/g(乾泥)より
ので、本調査の値は、0.86∼ 1.32%であり、各定点
著しく低い値であった。
における大きな差は認められなかった。また,過去
これまでの調査結果から、強熱減量及び全硫化物
の調査結果(表9)と比較しても、変化なく同様に
の2項目の値に大きな変化はなく、低い値で推移し
低い値であった。
ていることから判断して、調査定点周辺では漁場の
アサリは硫化水素臭のするような黒色の底質には
生息しないといわれ、また、全硫化物として0.20㎎
/g(乾泥)以下が生息限界の目安ともいわれてい
有機物等による底質汚染の影響は認められなかっ
た。
大分県海水研事業報告
18
表10
定点
番号
2
3
12
15
18
24
平均
全硫化物
2003
2002
2001
2000
1999
全硫化物 全硫化物 全硫化物 全硫化物 全硫化物
(Smg/g) (Smg/g) (Smg/g) (Smg/g) (Smg/g)
0.000
−
0.000
0.000
0.000
0.002
−
0.000
0.000
0.000
0.031
−
0.009
0.000
0.009
0.000
0.000
0.000
0.001
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.001
0.000
0.000
0.000
0.006
0.006
0.000
0.002
0.000
0.003
的な調査によって番匠川河口域のアサリ等資源動向
を見極めていく必要がある。
参考文献
1)大屋寛:番匠川河口域(共第37号)におけるア
サリの分布及び形状調査.平成2・3・4年度水産業
改良普及活動実績報告集,55-59(1995)
2)阿南宏重ら:番匠川河口域のアサリ調査.平成8
考
察
年度大分県海洋水産研究センター事業報告,249
-254(1997)
2003年は調査を行った定点でアサリの増加がみら
れたのは定点5のみで、定点23が2001年、2002年と
同程度、それ以外の定点では2001年、2002年に比べ
ると減少もしくは大幅に減少している。また、21定
3)阿南宏重ら:番匠川河口域のアサリ調査.平成9
年度大分県海洋水産研究センター事業報告,245
-248(1998)
4)木村聡一郎ら:番匠川河口域のアサリ調査.平
点中11定点ではアサリが採集されなかったことか
成10年度大分県海洋水産研究センター事業報告,
ら、番匠川河口域のアサリは分布量、分布域ともに、
235-241(1999)
2001年、2002年と比較すると減少した。
ツメタガイは3定点でしか採集されなかったもの
の、下流域ではツメタガイの食害によると思われる
穴あき殻が出現した。全定点平均のアサリ死殻中に
5)木村聡一郎ら:番匠川河口域のアサリ調査.平
成11年度大分県海洋水産研究センター事業報告,
197-202(2000)
6)木村聡一郎ら:番匠川河口域のアサリ調査.平
占める穴あき殻の比率は39.4%と高い値を示してい
成12年度大分県海洋水産研究センター事業報告,
る。
217-222(2001)
番匠川河口域はアサリの生息できない環境ではな
7)内海訓弘ら:番匠川河口域のアサリ調査.平成
いが、アサリ資源が減少しており、ツメタガイの食
13年度大分県海洋水産研究センター事業報告,
害による穴あき殻も採集数が増加していることか
ら、アサリ漁獲時に混獲されるツメタガイを駆除す
る等の対策が望まれる。
アサリ資源が減少していることから、今後も定期
167-172(2002)
8)内海訓弘ら:地域密着型漁業支援事業4番匠川河
口域のアサリ調査.平成14年度大分県海洋水産
研究センター事業報告,13-16(2003)
平 成 15 年 度
19
地域密着型漁業支援事業−5
豊後水道域における表層水温の変動機構に関する研究
*
安樂
康宏・秋山
事業の目的
秀樹
データ解析は日本財団の助成事業「沖合海洋情報
流通システムの開発」の中で、観測結果の解析ソフ
本研究は「海洋気象衛星( NOAA )利用・情報提
トを作成し、そのシステムを用いて行った。フェリ
供事業」の一環として、豊後水道域における表面水
温の変動を調査し、時間・空間的な変動特性を明ら
ーにより観測された表面航走水温と航海日誌により
かにするとともに、同水道で起こる物理現象の内湾
日別航走水温図を作成し、また、それらから月別水
温コンター図を作成した。
域への影響を明らかにすることを目的としている。
図 1に宿毛−佐伯フェリー航路を示した。図中の各
また、本事業1と関連して、豊後水道への黒潮系暖
測点(図 1の st.1∼ 80)は水温変化の特徴を考慮し、
水の侵入機構の解明や漁海況予測に必要な海況変動
全 80点を佐伯湾(st.1 ∼20 )、豊後水道中央(st.21 ∼
の基礎資料の収集も目的としている。
なお、本研究は中央水産研究所黒潮研究部と共同
40)、同水道東側(st.41 ∼60 )、および宿毛湾(st.61
∼ 80)の 4海域(各20 点)に分割した。
で行った。
事業の方法
愛媛
速吸瀬戸
1. NOAA受信システムの管理
海洋気象衛星 NOAA-12号, 15号, 16 号のHRPT信号
による海面水温情報を seaSpace社製 Terascanシステ
ムにて当センターで直接受信した。
豊後水道
大分
33°N
2. フェリー搭載水温計による表層水温の観測
蒲戸崎
・
20
・・
10
・
30
・
40
佐伯 1
調査の方法は昨年度までと同様である。以下に概
略を記す。豊後水道を横断する宿毛観光汽船㈱所属
の宿毛−佐伯フェリー「ニューあしずり」に水温計
を設置し、表層水温の観測を 1992 年より継続的に行
鶴御崎
・
50
・
・
70 8 0
高茂岬・
60
宿毛湾
宮崎
1 3 2°E
っている。宿毛−佐伯フェリーは片道 3時間で 1 日3
往復を行っている。水温計はフェリー機関部にある
高知
佐伯湾
図1
太平洋
豊後水道と宿毛−佐伯フェリー航路
エンジン冷却用の取水パイプのフィルター内部に設
置した。エンジン冷却水は海面下約 5mの船底から
取水される。使用した水温計は㈱離合社製の RMT
水温計で、測定時間間隔は 1分(フェリー航路上の
空間分解能は約 500m )。また、継続して水温観測を
行うため、 2台の RMT水温計を交互にフェリーに設
置し、毎月 20日頃に佐伯港で交換した。さらに、本
水温記録解析専用の航海日誌の記帳を依頼し、水温
計と同時に同時に回収した。
*(独)水産総合研究センター中央水産研究所高知黒潮研究拠点海洋生産部
宿毛
大分県海水研事業報告
20
事業の結果
察された。
また、 5月 20日頃には水温の急上昇がみられた。
水道東部と宿毛湾から水温の上昇が始まり、徐々に
1. NOAA受信システムの管理
水道西部に水温上昇が波及していくのが観察され
HRPT信号によるカラー水温画像を1 日4 ∼ 6 回作
た 。この水温上昇は黒潮系暖水の侵入と考えられた。
成し、水温動向を見た。2001年度からこのカラー画
像と等温線画像を海洋水産研究センターのホームペ
ージに公開し、毎日更新している。
今後の問題点
2. フェリー搭載水温計による表層水温の観測
図 2-1か ら2-4に解析ソフトにより得られた月別水
昨年度までに、豊後水道域の表層水温場に変動を
温コンター図を示した。冬期( 2月 )、春期(5 月 )、
引き起こす要因として「地形性渦流」と「黒潮系暖
夏期( 8月 )、秋期(11 月)の水温コンター図をそれ
水の侵入」があげられることが報告されている。今
ぞれ示した。図中の等温線は 0.5℃間隔で描いてい
る。横軸は佐伯( st.1)−宿毛(st.80 )間の距離を
後、大分県沿岸域の水温変動の予測をより精度を上
げて行うためには、継続して水温観測を行い、得ら
表している。なお、佐伯( st.1)からの距離は測点
れたデータから黒潮系暖水の侵入の時期・規模を数
番号( 1∼ 80)と一致している。また、縦軸は日付
値化して比較できるようにすること、また、フェリ
を示している。
ー搭載水温計による観測だけではなく豊後水道域の
昨年度までと同様に佐伯湾口(st.20付近)に水温
各地で水温の観測を行うことが必要である。
の勾配が大きい潮汐フロントが形成され、佐伯湾内
しかし、 2004年 1月 25日に宿毛観光汽船㈱が倒産
ではその他の海域に比べて低温になっているのが観
察された。 5月、 8月ではst.20 付近の等温線が混み合
し、宿毛ー佐伯間のフェリーはそれ以降休航となっ
ている。このことから、今後も豊後水道域の表層水
い、水温の勾配が急だが、 2月、 11月では等温線の
温変動の観測やその予測を行うためには、上記を踏
勾配はゆるやかだった。このように、潮汐フロント
まえた代替策を考える必要がある。
は昇温期に形成され、降温期には消滅することが観
25
20
15
10
10
20
30
40
50
60
DISTANCE(Km)
図2-1
水温コンター図(2003年2月)
70
80
平 成 15 年 度
21
30
25
20
15
10
5
10
20
30
40
50
60
70
80
70
80
70
80
DISTANCE(Km)
図2-2
水温コンター図(2003年5月)
30
20
10
10
20
30
40
50
60
DISTANCE(Km)
図2-3
水温コンター図(2003年8月)
30
25
20
15
10
5
10
20
30
40
50
60
DISTANCE(Km)
図2-4 水温コンター図(2003年11月)
大分県海水研事業報告
22
新漁業管理制度推進情報提供事業−1
漁海況予報事業
(国庫補助)
木村聡一郎・坂本
調査の目的
進・安樂康宏
浅海定線調査では、国東半島沖合域及び別府湾内
伊予灘・別府湾及び豊後水道域での海況及び漁況
において図1に示した29定点で、2003年4月∼2004年
3月まで毎月上旬に調査を行った。調査項目は沿岸
の変動を解析し、漁業関係者等に漁海況の予報を提
定線調査の項目に加え、COD、NH4-N、NO2-N、NO3-N、
供する。併せて、浮魚を主とした漁業資源の合理的
PO4-P、DO量とした。なお、水温、塩分についてはS
利用を図るための基礎的知見の収集を目的とした。
TD( アレック電子株式会社製AST-1000)で測定した。
調査に使用した船舶は、いずれの調査も漁業調査
船「豊洋 」(75t)である。
調査の方法
漁獲量調査では、大分県漁協鶴見支店、米水津支
店及び蒲江支店にまき網漁業の水揚げ状況報告を周
沿岸定線調査では、豊後水道海域において図1に
示した22定点で、2003年4月∼2004年3月まで毎月中
年依頼した。また、佐賀関支店についても、釣り等
による漁獲状況の報告を同様に依頼した。
旬に調査を行った。調査項目はCTD(SeaBird社製SB
E9PLUS)による底層までの 1m間隔の水温と塩分(但
調査の結果
し、表層についてはデジタル水温計、鶴見精機社製
電気塩分計による計測 )、透明度、改良型ノルパッ
クネット垂直曳き(水深100 ∼0m)と丸稚ネット水
平曳き(5分間)による卵稚仔魚の採集、気象観測
調査結果の概要は 、「速報」として漁業者と関係
及び計量科学魚探(カイジョウ社製 KFC-3000)によ
機関にファクシミリ及び郵送により通報した。また 、
る魚群分布量とした。
海洋観測結果は、中央水産研究所黒潮研究部及び関
係県試験研究機関等へ伝達した。さらに、6ヶ月ご
とに海況とマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワ
シ、マアジ及びさば類の漁況の見通しを「長期漁海
況予報」として漁業者と関係機関に前記の方法で通
報した。併せて、これらの結果をインターネットの
当センターホームページ上で公開した。
1.水温
浅海定線調査:月別に調査定点平均水温の推移を
図2に、平年偏差の評価を表1に示した。
本年前期は5月の伊予灘・別府湾で「やや低め」
傾向となった他は、期間を通して「平年並」∼「や
や高め」傾向で推移した。また、1月の伊予灘の 50
m層は「 低め 」、3月の別府湾の10-30m層は「 高め 」
となった。
図1 調査地点
後期は9 月の伊予灘・別府湾で「やや低め」傾向
平 成 15 年 度
となった他は、期間を通して「平年並」∼「やや高
め」傾向で推移した。また、12月の別府湾の50m層
23
となった他は、期間を通して「平年並」∼「やや高
め」傾向となった。
は「きわめて高め」となった。
沿岸定線調査:月別に調査定点平均水温の推移を
図4に、平年偏差の評価を表3に示した。
前期の豊後水道では「低め」∼「きわめて高め」
Ⅲ 漁況
漁獲量調査結果について、表5に示した。
1.マイワシ
で推移した。このうち、北部(沿岸定線Sta.1-9)
県漁協鶴見支店以南のまき網漁業による漁獲量
では1-5月は「 平年並」傾向 、6月は「 きわめて高め」
傾向で推移した。中部(同 Sta.10-16)では1-5月は
(以下「まき網漁獲量」という 。)は、1991年以降
「平年並」傾向、6月は「高め」傾向で推移した。
南部(同Sta.17-22)では1-3月は「平年並」傾向、
4-5月は「低め」∼「やや低め」傾向、6月は「きわ
めて高め」傾向で推移した。
後期は「やや低め」∼「きわめて高め」で推移し
た。このうち、北部では7 ・12月は「やや高め」傾
向、8-10月は「平年並」傾向、11月は「高め」傾向
で推移した。中部では9 月に「平年並」となった他
は、期間を通して「やや高め」傾向で推移した。南
部では7・9月は「平年並 」、8・10-11月は「やや高
からの減少・低迷が続いている。2003年は94トンで、
過去最低の前年は大きく上回ったが、1986年から20
02年までの平均漁獲量に対する比(以下「平年比」
という 。)は1%に満たなかった。
2.ウルメイワシ
1997年以降は減少傾向に転じている。2003年のま
き網漁獲量は317トンで、過去最低の前年は大きく
上回ったが、平年比38%となり、平年を大きく下回
った。
め」傾向、12月は「やや高め」∼「きわめて高め」
で推移した。
2.塩分
浅海定線調査:月別に調査定点平均塩分の推移を
図3に、平年偏差の評価を表2に示した。
前期は伊予灘・別府湾では「平年並」∼「きわめ
て高め」で推移したが、期間を通して「やや高め」
∼「高め」傾向となった。
3.カタクチイワシ
1998年以降、比較的高水準を保っていたが、 2002
年以降は減少傾向に転じている。2003年のまき網漁
獲量は1,355 トンで、前年比88%、平年比56%とな
り、前年・平年を下回った。
4.マアジ
2003年のまき網漁獲量は1,893トンで、前年比50
後期は「低め」∼「やや高め」で推移したが、7
%、平年比54%となり、増加傾向に転じた1992年以
月は「やや高め」傾向、8・10-12月は「平年並」傾
降では始めて2,000トン台を割り込み、低迷した。
向、9月は「やや低め」傾向となった。
沿岸定線調査:月別に調査定点平均塩分の推移を
一方、県漁協佐賀関支店に水揚げされる釣り主体
の漁獲量(以下「佐賀関漁獲量」という 。)は、20
図5に、平年偏差の評価を表4に示した。
03年は215トンで、前年比102%、平年比105%(198
前期は豊後水道では「低め」∼「高め」で推移し
8年から2002 年までの平均)となった。
た。このうち、北部では1 月に「高め」となった他
は、期間を通して「平年並」∼「やや高め」傾向と
5.マサバ・ゴマサバ
なった。中部と南部では期間を通して「平年並」∼
「やや高め」傾向となったが、4月の南部の 0-10m
2003年はゴマサバを主体に5,202トンと豊漁に転じ、
層は「低め」となった。
過去最低の前年を大きく上回り、平年比101%とな
後期は「 低め 」∼「 高め 」で推移した 。このうち、
北部では8月に「 やや低め 」傾向 、9月に「 やや低め」
∼「 平年並」となった他は、期間を通して「 平年並」
傾向となった。中部では期間を通して「平年並」∼
「やや高め」傾向となった 。南部では12月に「 高め 」
まき網漁獲量は 2001年 、2002年と大低迷したが、
った。
一方、2003年のマサバの佐賀関漁獲量は261トン
で、前年比177%、平年比165%となり、過去最高の
1992年に次ぐ、豊漁となった。
24
大分県海水研事業報告
図2 伊予灘(Sta.1-18)・別府湾(Sta.19-31)の水温変化(℃)
平 成 15 年 度
海域
伊予灘 Sta.1-18 0m
25
表1
浅海水温の平年偏差の評価
1月
-0.3
-0.1
-0.3
-0.3
-1.9
2月
0.2
0.5
0.4
0.4
-0.3
3月
-0.1
0.2
0.2
0.2
0.2
4月
-0.6
-0.5
-0.6
-0.6
-0.7
5月
-1.0
-0.6
-0.8
-1.0
-1.2
6月
-0.4
-0.2
0.1
0.2
0.3
7月
-1.2
-0.8
-0.5
-0.4
-0.1
8月
-0.2
-0.6
-0.7
-0.5
-0.2
9月
0.6
-0.8
-1.2
-1.1
-1.2
1 0月
#N/A
#N/A
#N/A
#N/A
#N/A
0.5
0.8
0.8
Sta.19-31 30m 0.7
Sta.19-31 50m 0.0
1.0
1.1
1.0
0.7
-0.5
0.6
1.3
1.5
1.5
0.5
-0.6
-0.5
-0.5
-0.6
-0.1
0.5
-0.7
-0.6
-0.6
-0.4
-1.2
-0.6
-0.4
-0.5
0.0
-1.4
-0.2
-0.1
-0.1
0.1
0.2
-0.7
-0.4
-0.4
0.3
1.0
-0.9
-0.9
-0.7
-0.9
0.0
0.3
0.3
0.2
0.0
0.7
0.7
0.6
0.5
0.2
0.5
0.9
0.8
1.0
4.1
0.6
0.8
0.7
0.6
-0.4
0.2
0.8
0.8
0.8
0.2
-0.6
-0.5
-0.5
-0.6
-0.5
-0.3
-0.7
-0.7
-0.8
-1.0
-0.8
-0.4
-0.1
-0.1
0.2
-1.3
-0.4
-0.2
-0.2
0.0
0.0
-0.6
-0.6
-0.5
0.0
0.8
-0.9
-1.0
-0.9
-1.1
0.0
0.3
0.3
0.2
0.0
0.6
0.8
0.8
0.7
0.4
0.7
1.1
1.1
1.1
2.0
-+
-+
-+
-+
--
++++-+
-+
++++-
-+
-+
-+
-
-
-+
-+
+++-
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
+-
#N/A
#N/A
#N/A
#N/A
#N/A
++
+
+
+-
+
+
+
+
+
++
+
+
+-
+
+
+
+
-+
+
++
++
++
+-
-+
-+
-+
+-+
-+
-+
-+
-+
+-
--+
-+
-+
+-
+-+
-+
+-
+
-
++++-+
+
+
+
++-
++
+
+
+++
++++--
++
+
+-+
++
+
+
+-
-+
-+
-+
-+
-+
-
-+
-+
-+
+-
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
+
-
++++-+
++
+
+
+-
+
+
+
+
+++
Sta.1-18 10m
Sta.1-18 20m
Sta.1-18 30m
Sta.1-18 50m
別府湾 Sta.19-31 0m
Sta.19-31 10m
Sta.19-31 20m
伊予灘/ Sta.1-31 0m
別府湾 Sta.1-31 10m
0.1
0.4
Sta.1-31 20m 0.2
Sta.1-31 30m 0.2
Sta.1-31 50m -1.4
伊予灘 Sta.1-18 0m
Sta.1-18
Sta.1-18
Sta.1-18
Sta.1-18
10m
20m
30m
50m
別府湾 Sta.19-31 0m
Sta.19-31 10m
Sta.19-31 20m
Sta.19-31 30m
Sta.19-31 50m
伊予灘/ Sta.1-31 0m
別府湾 Sta.1-31 10m
Sta.1-31 20m
Sta.1-31 30m
Sta.1-31 50m
記号は次の評価を示す
記号
----+
++
++
+++
Z
-2以下
-2∼-1.3
-1.3 ∼-0.6
-0.6∼0
0∼0.6
0.6∼1.3
1.3∼2
2以上
評価
きわめて低め
低め
やや低め
平年並(
マイナス基調)
平年並(
プラス基調)
やや高め
高め
きわめて高め
Z=(観測値−平年値)/標準偏差
#N/Aは計算不能
11月 12月
0.5 0.9
0.9 1.2
0.9
1.3
1.0
1.2
0.5
1.1
26
大分県海水研事業報告
図3 伊予灘(Sta.1-18)・別府湾(Sta.19-31)の塩分変化
平 成 15 年 度
表2
海域
27
浅海塩分の平年偏差の評価
1月
1.1
1.4
1.4
1.3
1.0
2月
1.8
2.1
2.2
2.2
2.1
3月
1.6
1.5
1.4
1.5
1.4
4月
1.4
1.8
1.7
1.6
1.6
5月
1.3
1.2
1.3
1.1
0.8
6月
0.8
0.8
0.7
0.6
0.5
7月
0.4
1.1
1.0
1.1
0.9
8月
-0.5
-0.3
0.0
0.0
-0.3
9月 10月 11月
-1.3 #N/A -0.3
-0.8 #N/A -0.3
-0.6 #N/A -0.3
-0.7 #N/A -0.3
-1.5 #N/A -0.6
12月
-0.3
-0.3
-0.3
-0.4
-0.6
1.5
2.0
Sta.19-31 20m 1.9
Sta.19-31 30m 1.9
Sta.19-31 50m 1.8
1.5
1.8
1.8
1.6
1.2
1.1
1.6
1.7
1.8
1.5
0.5
1.4
1.3
1.2
1.3
0.4
1.2
1.3
1.2
0.9
-0.3
0.8
0.9
1.1
0.7
-0.9
1.0
0.8
0.8
0.5
-0.4
-0.5
0.0
0.4
0.4
-0.4
-0.7
-0.7
-0.9
-0.3
-0.2
-0.1
0.0
-0.3
-0.6
-0.2
-0.2
-0.3
-0.4
0.3
-0.9
-1.0
-0.9
-0.8
-0.5
1.3
1.7
1.6
1.6
1.2
1.7
2.0
2.0
1.9
2.0
1.3
1.5
1.6
1.6
1.4
1.0
1.6
1.5
1.4
1.5
0.9
1.2
1.3
1.1
0.8
0.3
0.8
0.8
0.9
0.6
-0.2
1.0
0.9
0.9
0.7
-0.4
-0.4
0.0
0.2
0.0
-0.9
-0.8
-0.6
-0.8
-1.1
-0.2
-0.1
0.0
-0.3
-0.6
-0.2
-0.3
-0.3
-0.3
-0.4
-0.6
-0.6
-0.6
-0.6
-0.6
+
++
++
++
+
++
+++
+++
+++
+++
++
++
++
++
++
++
++
++
++
++
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+-
++
+
+
+
-+
-+
-+
+-+
--
#N/A
#N/A
#N/A
#N/A
#N/A
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-
++
++
++
++
++
++
++
++
++
+
+
++
++
++
++
+++
+
+
+
++
+
+
+
-+
+
+
+
+
+
+
+
+-
-+
-+
+++-
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-
-+
-+
-+
-+
+-
-+
+
++
++
++
+
++
++
+++
++
++
++
++
++
++
++
+
++
++
++
++
+
+
+
+
+
++
+
+
+-
-+
+
+
+
+
-+
-+
++-+
-
-+
-+
-+
-+
-
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
伊予灘 Sta.1-18 0m
Sta.1-18 10m
Sta.1-18 20m
Sta.1-18 30m
Sta.1-18 50m
別府湾 Sta.19-31 0m
Sta.19-31 10m
伊予灘/ Sta.1-31 0m
別府湾 Sta.1-31 10m
Sta.1-31 20m
Sta.1-31 30m
Sta.1-31 50m
伊予灘 Sta.1-18 0m
Sta.1-18 10m
Sta.1-18 20m
Sta.1-18 30m
Sta.1-18 50m
別府湾 Sta.19-31 0m
Sta.19-31
Sta.19-31
Sta.19-31
Sta.19-31
10m
20m
30m
50m
伊予灘/ Sta.1-31 0m
別府湾 Sta.1-31 10m
Sta.1-31 20m
Sta.1-31 30m
Sta.1-31 50m
記号は次の評価を示す
記号
----+
++
++
+++
Z
- 2以下
- 2∼-1.3
-1.3∼-0.6
-0.6∼0
0∼0.6
0.6∼1.3
1.3∼2
2以上
評価
きわめて低い
低め
やや低め
平年並(マイナス基調)
平年並(プラス基調)
やや高め
高め
きわめて高め
Z=(観測値−平年値)
/標準偏差
#N/Aは計算不能
28
大分県海水研事業報告
図4 豊後水道北部(Sta.1-9)・中部(Sta.10-16)・南部(Sta.17-22)の水温変化(℃)
平 成 15 年 度
表3
海域
豊後水道 Sta.1-9 0m
北部
Sta.1-9 10m
29
沿岸水温の平年偏差の評価
1月
-0.1
0.1
0.1
0.0
0.0
-0.2
2月
0.0
0.1
0.1
0.1
0.2
-0.4
3月
-0.4
-0.1
-0.1
-0.1
0.0
-0.9
4月
-0.2
-0.5
-0.5
-0.4
-0.6
-0.8
5月
-0.4
-0.4
-0.4
-0.4
-0.3
-1.2
6月
1.7
2.4
2.3
2.3
2.5
2.6
7月
0.5
1.0
1.0
0.9
1.0
1.0
8月
-0.6
0.1
0.2
0.2
0.5
0.6
9月
0.7
0.4
0.4
0.3
0.0
-0.6
10月 11月 12月
-0.2 0.7 0.5
-0.1 1.3 1.1
0.0
1.3 1.1
0.1
1.4 1.1
0.2
1.3 1.0
0.1
1.4 1.4
豊後水道 Sta.10-16 0m -0.5
中部
Sta.10-16 10m -0.3
Sta.10-16 20m -0.3
Sta.10-16 30m -0.3
Sta.10-16 50m -0.1
Sta.10-16 75m 0.0
-0.4
-0.1
-0.1
-0.1
-0.1
-0.1
-0.5
-0.2
-0.3
-0.3
-0.3
-0.7
-0.5
-0.3
-0.3
-0.2
0.0
0.2
-0.6
-0.4
-0.4
-0.3
-0.3
-0.6
0.9
1.7
1.7
1.9
2.1
1.9
-0.1
0.5
0.6
0.8
0.9
1.1
0.9
1.1
1.1
1.0
0.6
1.1
0.1
0.5
0.3
0.4
0.1
0.5
0.4
0.9
1.0
1.0
1.1
0.4
0.8
1.3
1.2
1.2
1.4
0.6
0.3
0.9
0.9
0.9
1.0
1.1
豊後水道 Sta.17-22 0m 0.3
南部
Sta.17-22 10m 0.5
Sta.17-22 20m 0.5
Sta.17-22 30m 0.5
Sta.17-22 50m 0.4
Sta.17-22 75m -0.3
0.1
0.4
0.4
0.5
0.7
0.5
-0.6
-0.4
-0.4
-0.3
0.1
0.5
-1.4
-1.4
-1.2
-0.9
-0.4
0.0
-1.1
-1.2
-1.3
-1.1
-1.0
-0.9
1.0
1.8
2.3
2.6
2.8
2.3
-0.3
0.0
0.1
0.1
0.0
0.1
0.3
1.3
1.3
1.4
0.9
1.2
-0.2
0.2
0.5
0.5
-0.1
-0.1
0.4
1.0
1.0
0.9
0.9
1.4
0.4
0.9
0.9
0.8
0.9
0.9
0.9
1.6
1.7
1.8
2.0
2.0
-+
++-+
-+
-+
-+
++++-+
-+
-+
-+
-+
+-
-+
-+
-+
-+
-+
-
-+
-+
-+
-+
-+
-
++
+++
+++
+++
+++
+++
++
+
+
+
+
-+
+++++-
+
+++-+
-
-+
-+
++++-
+
++
++
++
++
++
++
+
+
+
++
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-
-+
-+
-+
-+
++-
-+
-+
-+
-+
-+
-
+
++
++
++
+++
++
-+
++
+
+
+
+
+
+
+
+
+
++++++-
++
+
+
+
+-
+
++
+
+
++
+
++
+
+
+
+
+++++-+
+++++
+-
-+
-+
-+
-+
++-
---+
-+
-
+
++
+++
+++
+++
+++
-+
-+
++-+
+-
+++
+
++
+
+
-+
+++-+
-+
++
+
+
+
++
++
+
+
+
+
+
++
++
++
+++
+++
Sta.1-9 20m
Sta.1-9 30m
Sta.1-9 50m
Sta.1-9 75m
豊後水道 Sta.1-9 0m
北部
Sta.1-9 10m
Sta.1-9 20m
Sta.1-9 30m
Sta.1-9 50m
Sta.1-9 75m
豊後水道 Sta.10-16 0m
中部
Sta.10-16 10m
Sta.10-16 20m
Sta.10-16 30m
Sta.10-16 50m
Sta.10-16 75m
豊後水道 Sta.17-22 0m
南部
Sta.17-22 10m
Sta.17-22 20m
Sta.17-22 30m
Sta.17-22 50m
Sta.17-22 75m
記号は次の評価を示す
記号
Z
-2以下
-2∼-1.3
-1.3∼-0.6
-0.6∼0
0∼0.6
0.6∼1.3
1.3∼2
2以上
評価
きわめて低め
低め
やや低め
平年並(
マイナス基調)
平年並(
プラス基調)
やや高め
高め
きわめて高め
Z=(観測値−平年値)/標準偏差
30
大分県海水研事業報告
図5 豊後水道北部(Sta.1-9)・中部(Sta.10-16)・南部(Sta.17-22)の塩分変化
平 成 15 年 度
表4
海域
31
沿岸塩分の平年偏差の評価
1月
1.7
1.5
1.6
1.6
1.6
1.5
2月
1.1
1.0
1.0
1.1
1.1
1.2
3月
1.1
1.1
1.2
1.2
1.4
1.1
4月
0.7
0.2
0.2
0.2
0.1
0.2
5月
0.0
-0.2
-0.1
-0.1
0.0
-0.1
6月
-0.4
0.2
0.1
0.0
-0.1
0.0
7月
0.7
0.4
0.3
0.3
0.1
0.4
8月
-0.8
-0.8
-1.0
-1.0
-1.2
-1.7
9月
-0.4
-0.6
-0.6
-0.7
-0.6
-0.1
10月
0.1
0.0
0.0
0.1
0.1
-0.1
11月
0.5
0.3
0.4
0.4
0.4
0.5
12月
0.1
0.1
0.2
0.1
0.1
0.3
豊後水道 Sta.10-16 0m 0.8
中部
Sta.10-16 10m 0.6
Sta.10-16 20m 0.7
Sta.10-16 30m 0.8
Sta.10-16 50m 0.9
Sta.10-16 75m 0.8
1.0
0.5
0.6
0.5
0.4
0.6
1.2
1.0
0.9
1.0
1.1
0.9
0.1
-0.1
0.1
0.2
0.5
0.8
-0.5
0.0
0.2
0.3
0.3
0.4
-0.8
-0.2
-0.2
-0.4
-0.5
-0.5
0.5
0.4
0.5
0.4
0.1
0.2
0.1
-0.2
-0.5
-0.9
-0.5
0.8
0.3
0.1
-0.2
-0.4
-0.3
-0.5
0.7
0.7
0.7
0.6
0.7
0.0
0.1
0.2
0.1
0.2
0.7
1.1
0.9
0.7
0.6
0.5
0.5
0.3
豊後水道 Sta.17-22 0m 1.1
南部
Sta.17-22 10m 0.6
Sta.17-22 20m 0.7
Sta.17-22 30m 0.8
Sta.17-22 50m 0.6
Sta.17-22 75m 0.3
0.5
0.4
0.5
0.6
0.6
0.7
0.6
0.5
0.6
0.6
0.7
0.7
-1.4
-1.9
-0.9
-0.5
0.1
0.3
-0.1
0.2
0.2
0.2
0.3
0.2
-1.3
-0.3
0.0
-0.2
0.3
-0.1
0.8
0.7
0.7
0.4
0.7
0.4
0.2
0.0
0.2
0.0
-0.3
0.2
-0.1
0.0
-0.1
-0.1
-0.2
0.2
1.0
0.9
0.9
0.7
0.4
-0.2
-0.8
-0.8
-0.4
-0.1
0.0
0.8
1.6
1.5
1.5
1.5
1.6
1.4
++
++
++
++
++
++
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
++
+
+
+++++-
-+
-+
-+
-+
-+
-+
-+
++-+
-+
+-
+
+++++-
--
-+
-+
-+
+-+
+++-+
++++++-
++++++-
+
++
+
+
+
+
+++++-
+
+
+
+
+
+
+-+
++++
-+
+++++-
-+
-+
-+
-+
-+
++++++-
+-+
-+
-+
+
++-+
-+
-+
-+
+
+
+
+
+
+-
+++++
+
+
+
++++-
+
+
+
+
+
+-
++++++
+
+++
+
+
---+
++-
-+
+++++-
--+
-+
-+
+-+
+
+
+
++
+-
++++-+
+-
-+
-+
-+
-+
-+
+-
+
+
+
+
+-+
-+
-+
++
++
++
++
++
++
++
豊後水道 Sta.1-9 0m
北部
Sta.1-9 10m
Sta.1-9
Sta.1-9
Sta.1-9
Sta.1-9
20m
30m
50m
75m
豊後水道 Sta.1-9 0m
北部
Sta.1-9 10m
Sta.1-9
Sta.1-9
Sta.1-9
Sta.1-9
20m
30m
50m
75m
豊後水道 Sta.10-16 0m
中部
Sta.10-16 10m
Sta.10-16 20m
Sta.10-16 30m
Sta.10-16 50m
Sta.10-16 75m
豊後水道 Sta.17-22 0m
南部
Sta.17-22 10m
Sta.17-22 20m
Sta.17-22 30m
Sta.17-22 50m
Sta.17-22 75m
記号は次の評価を示す
記号
----+
++
++
+++
Z
- 2以下
-2∼-1.3
-1.3 ∼-0.6
-0.6∼0
0∼0.6
0.6 ∼1.3
1.3 ∼2
2以上
評価
きわめて低め
低め
やや低め
平年並(
マイナス基調)
平年並(
プラス基調)
やや高め
高め
きわめて高め
Z=(観測値−平年値)/標準偏差
大分県海水研事業報告
32
表5
漁獲量調査結果
単位:トン
マイワシ
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
平年
27,778
36,002
35,342
27,422
31,129
26,124
20,095
17,026
3,027
2,675
2,668
928
619
696
451
1,754
1
94
13,749
まき網漁獲量(
鶴見・
米水津・
蒲江支店)
ウルメイワシ カタクチイワシ
マアジ
191
322
132
367
261
272
513
1,102
1,387
2,046
2,291
1,224
1,704
830
645
1,035
35
317
845
4,218
2,708
2,845
1,453
2,779
772
3,125
1,299
1,816
1,038
2,791
1,175
2,808
5,562
2,068
2,771
1,544
1,355
2,398
3,052
2,671
2,480
1,629
1,016
797
2,443
5,477
4,487
4,315
4,120
6,220
7,498
3,725
3,759
2,269
3,795
1,893
3,515
サバ類
7,293
15,378
3,320
4,676
3,411
1,427
1,528
5,318
5,614
4,856
14,230
12,478
859
2,751
3,747
694
182
5,202
5,162
釣り漁獲量(
佐賀関支店)
マアジ
138
158
182
195
211
225
214
217
232
240
244
248
170
196
210
215
205
マサバ
148
154
144
209
270
242
126
92
201
161
117
124
118
120
147
261
158
平 成 15
年 度
33
新漁業管理制度推進情報提供事業−2
海洋構造変動パターン解析技術開発試験事業
(国庫補助)
木村聡一郎・坂本
調査の目的
進
得られたADCPデータは、㈱エス・イー・エイ社の
流向流速解析ソフト「MAP EAGLE」を用いて、簡便
豊後水道域における魚群分布及び漁場形成と海況
は密接に関連しており、その解明が重要である。そ
な海図上にベクトルの形で作図した。
また、沿岸定線調査により得られたCTDデータ(各
のためには、海況情報の迅速な収集が不可欠であり、
定点の水温、塩分、密度データ)は、NDSシステッ
当該海域の海洋構造等の特性を踏まえた新たな海況
ク㈱の鉛直分布解析ソフトを用いて作図した。
情報収集体制を支援する情報収集システムの構築が
必要である。このため、迅速かつ詳細な海況情報を
調査の結果
得るための海水流動の観測及び解析技術開発を目的
として基礎調査を行った。
ここでは、豊後水道中部域の水深30m付近の流況
について、図2∼5に示した。なお、当海域の観測時
調査の方法
間帯は、概ね8:30∼15:00の間であった。
当海域においては、概ね上げ潮時には北方、下げ
海水流動の観測はRD社製の多層式超音波流向流速
潮時には南方への流れがみられた。
計(以下 、「ADCP」という 。)を用い、毎月1回、豊
豊後水道の海況について、図1の St.3∼ St.20の中
後水道において行われる沿岸定線調査の際に平行し
央ライン(鉛直分布解析)における水温、塩分及び
て行った(図1)。
密度の鉛直分布を図6∼8に示した。なお、3月調査
なお、調査に使用した漁業調査船「豊洋」
(75t)
の観測時における航走速度は約10ノットであった。
では本ライン中のSt.3、St.6が欠測となった。
St.16∼19∼22ライン付近で等値線(水温、塩分
及び密度)に乱れが比較的よくみられ、水深の落差
が St.19から St.22にかけて100m近くある海底地形が
海流に何らかの影響を及ぼしているためと考えられ
た。
今後の問題点
今後は、多層式ADCPの取り扱い及び解析方法をさ
らに熟練させ、継続的なデータ取得計画を策定し、
海水流動に係る海洋構造変動パターンを求めるため
に効率的かつ有効な調査方法をマニュアル化する必
要がある。
また、潮流成分除去による流況特性の検討を行う
とともに、定線調査データやNOAA衛星画像等を利用
した複合的な解析により、詳細な豊後水道域の海洋
構造を明らかにしていきたい。
図1
調査地点(沿岸定線調査)
大分県海水研事業報告
34
図2
ADCP流向流速図(4∼6月)
平 成 15 年 度
図3
ADCP流向流速図(7∼9月)
35
大分県海水研事業報告
36
図4
ADCP流向流速図(10∼12月)
平 成 15 年 度
図5
ADCP流向流速図(1∼3月)
37
大分県海水研事業報告
38
図6
水温・塩分・密度鉛直分布(4∼7月)
平 成 15 年 度
図7
水温・塩分・密度鉛直分布(8∼11月)
39
大分県海水研事業報告
40
図8
水温・塩分・密度鉛直分布(12∼3月)
平 成 15 年 度
41
資源評価調査-1
(国庫委託)
安樂康宏・尾上静正・木村聡一郎
事業の目的
ただし、 BLは被鱗体長 (cm)、 BWは体重 (g)、 GWは
生殖腺重量 (g)を示す。なお、マアジ、サバ類につい
我が国の 200海里漁業水域設定に伴い、当該水域
てはBLは尾叉長(FL)を用いた。
内における漁業資源を科学的根拠に基づいて評価
し、漁業資源の維持培養および高度利用の推進に資
3.
シラス混獲比調査
豊後水道域(佐伯湾)および別府湾(日出町)で
するため、必要な基礎資料を整備することを目的と
操業する機船船曳網の漁獲物について、イワシ類の
する。
なお、この調査は(独)水産総合研究センター瀬
戸内海区水産研究所、同中央水産研究所黒潮研究部
稚仔魚の月別混獲比を調査した。標本はホルマリン
で固定したのち、同定を行った。
および同中央水産研究所海区水産業研究部の委託調
査で、全国規模で実施されている。調査対象魚種は
4.
卵稚仔分布調査
マイワシ、カタクチイワシ 、ウルメイワシ、サバ類、
浅海定線および沿岸定線調査で LNPネット(鉛直
マアジ、マダイ、ヒラメ、サワラ、トラフグである 。
曳き)と稚魚ネット(水平曳き)により魚類卵稚仔を採
集した。採集した標本は、ホルマリンで固定後、卵
と稚仔の同定および計数を行った。
浅海・沿岸各定線の卵稚仔採集位置を図 1に示し
事業の方法
た。また、各定線においてネット種類毎の調査点数
1.
を表1に示した。
標本船調査
豊後水道域において、中型まき網( 6統 )、小型機
船底曳網( 2隻 )、機船船曳網( 2隻 )、釣り( 3隻 )、
定置網(7統)およびモジャコまき網(4隻)の各標
本船を対象に操業日誌の記帳を依頼し、漁業種類別、
漁場別漁獲量を調査した。
また、標本船調査を行っている上入津支店の定置
網に水温計を設置し(水深 10m)、水温と主要浮魚
類の漁獲量との関係について調べた。メモリー式水
温計を使用し、10分間隔で水温を観測した。水温計
の回収は3ヶ月ごとに行なった。
2.
生物測定調査
豊後水道域において大中型、中型まき網によって
漁獲され、鶴見町に水揚げされたマイワシ、カタク
チイワシ、ウルメイワシ、マアジ、サバ類を対象に
体長、体重、生殖腺重量を調べた。また、釣りによ
って漁獲され、大分県漁協佐賀関支店に水揚げされ
たサワラを対象に体重と尾叉長を測定した。なお、
マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシの肥満度
(F)、成熟度(GI)は次式により求めた。
3
F={BW/(BL) }×10
3
GI={GW/(BL)3}×104
図1
卵稚仔採集位置
●は浅海定線のLNPネット、■は沿岸定線のLNPネ
ット、○は稚魚ネットの採集位置を示す。
大分県海水研事業報告
42
表1 使用したネットの種類と調査定点数
LNPネット 稚魚ネット
21
3
浅海定線
13
4
沿岸定線
5.
モジャコ資源調査(漁場一斉調査)
イワシ(大羽銘柄)が約 300kg漁獲された。また、
暖水波及で上昇した水温が元に戻った 3月 26日以降
にはウルメイワシ(小羽銘柄)が約 300kg漁獲され
た。これらの突然のカタクチイワシとウルメイワシ
の漁獲は暖水波及に起因することが推定された。
調査船「豊洋」を用い、モジャコ資源調査を豊後
水道域で2003年3月17日、28日、4月7日、9日、17日 、
2.
23日、5月19日、6月9日の計8回実施した。
調査は、流れ藻を三角すくい網ですくい、流れ藻
生物測定調査
2003年 1月から 2003年 12月まで行った市場調査に
おける精密測定の結果を魚種別に表 2に示した。ま
に随伴するモジャコを採捕した。採捕したモジャコ
た、魚種ごとの体長組成を表3∼8に示した。なお、
はホルマリンで固定後、全長、体長、体重を測定し
各魚種の体長測定部位はマイワシ、カタクチイワシ、
た。また、表面水温、潮流等について調査船搭載機
ウルメイワシについては被鱗体長、マアジ、サバ類、
器による観測を実施した。
サワラについては尾叉長である。これらのデータは
中央水産研究所黒潮研究部および中央水産研究所海
6.
マダイ、ヒラメ資源評価調査
(1)
区水産業研究部へ送付した。
市場調査
臼杵、津久見、佐伯、鶴見の各魚市場において、
3.
月に4日前後、出荷されたマダイ(尾叉長)、ヒラメ
(全長)を全数測定するとともに出荷屋号から漁業
シラス混獲比調査
豊後水道域と別府湾において2001年から2003年に
実施したシラス混獲比調査結果を図4に示した。
種類を判定した。
豊後水道域では 2001年 1月にウルメイワシの混獲
がみられたが、それ以外では全てカタクチイワシが
(2)
ヒラメ精密測定調査
占め、マイワシの混獲は無かった。
豊後水道域で底曳網、刺網、定置網によって漁獲
別府湾では、2003年は12月以外欠測となった。20
されたヒラメを買い取り、全長、体重、性別、生殖
01∼2002年の間と2003年12月の全ての月でカタクチ
腺指数( GSI)を調べた。また、耳石を採取し、年
イワシが占めウルメイワシ、マイワシの混獲は無か
齢査定を行った。
った。
さらに、近年天然ヒラメに寄生し、ヒラメネオへ
テロボツリウム症(ヒラメ貧血症)を引き起こし、
4.
特に当歳魚資源に影響を与えている可能性のある
卵稚仔分布調査
卵稚仔調査結果は海洋水産研究センターにおいて
Neoheterobothrium hirameの寄生状況を調べた。
集計し、中央水産研究所黒潮研究部へ送付した。調
精密測定の際、ヒラメの口腔壁、鰓を肉眼観察し、
査結果を表9, 10に示した。なお、2003年1月沿岸定
N.hirameの成虫について寄生数、寄生痕数を調べた。
線の調査は全て欠測となった。
カタクチイワシ卵は、沿岸定線で 5月に 101.8個/
曳と過去最高の出現がみられ、 9月まで出現が続い
事業の結果
たが、10月以降は採集されなかった。浅海定線では
6∼8月の夏期と10月の秋期に多く出現した。
1.
マイワシ、ウルメイワシ、サバ類、マアジの卵仔
標本船調査
各標本船の操業実態は海洋水産研究センターにお
稚は例年どおり若干の出現にとどまった。
いて集計し、中央水産研究所黒潮研究部へ送付した。
定置網水温計調査は2003年7月9日に水温計を設置
5.
モジャコ資源調査(漁場一斉調査)
し、調査を開始した。図 2に 2003年 7月から 2004年 3
2003年3月17日から5月19日までの調査結果は、モ
月までの1日平均水温の推移を示した。8月24日に最
ジャコ情報第 1∼ 7号としてまとめ、漁業者および関
高水温 25.3℃を示し、 3月 3日に最低水温 15.1℃を示
係機関に配布した。また、 6月以降も8月まで流れ藻
した。また、 3月 14日から 16日に水温の急上昇がみ
随伴生物調査として月1回、計3回調査を行った。
られ、黒潮系暖水の波及が観測された。
調査結果を表11-1, 2に示した。
図 3に 2004年 1月から 3月までの主要浮魚類の日別漁
3月中旬・下旬の調査では、モジャコの付着は全く
獲量と 1日平均水温との関係を示した。期間を通し
無く、また 4月上旬の調査においても非常に少なか
てマアジ(ゼンゴ銘柄)の漁獲が継続したが、暖水
った。しかし、 4月中旬以降の調査では多くのモジ
波及のあった直後の 3月 16日から 17日にはカタクチ
ャコが採捕され、 4/23の調査では平均全長 2.8cmの
小型の個体が 1,337尾採捕された。また、 5/19の調
平 成 15 年 度
43
査では平均全長 7.6cmの大型個体のモジャコが 1,332
を占め、次いで刺網 30%、釣り、定置網がそれぞれ
尾採捕された。
2%であった。
これらから、豊後水道域におけるモジャコの分布尾
数の盛期は4月下旬∼5月中旬と推定された。
(2)
ヒラメ精密測定調査
耳石の輪紋数より年齢を調べ、年齢と全長を Bert
6.
マダイ、ヒラメ資源評価調査
alanffyの成長曲線にあてはめ雌雄別成長式を得た。
(1)
市場調査
これまでに年齢査定の終わった個体より得られた成
2003年魚市場調査におけるマダイの年齢別漁業種
長式を以下に示す。なお、基準月は4月とした。
類別個体数を表12に、ヒラメの年齢別別漁業種類別
成長式
♂(N=166):Lt(cm)=59.7(1-e(-0.533(t+0.134))
♀(N= 86):Lt(cm)=90.8(1-e(-0.293(t+0.237))
個体数を表 13に示した。マダイは 15,114尾を調べ、
そのうち 2歳、 3歳、 4歳の占める割合が合わせて 68
%を占めた。漁業種類別には釣りが最も多くて全体
の36%を占め、次いで刺網が28%、底曳網が17%を
また、 N.hirameの寄生状況を調べたところ、 93尾
占めた。ヒラメは合計で 1,138尾を調べた。年齢別
中 40尾( 43%)に寄生がみられ、寄生痕を含めると
では 1歳が最も多く、 0歳、 1歳、 2歳で全体の 80%以
93尾中74尾(80%)と高い寄生率を示した。
上を占めた。漁業種類別では底曳網が最も多く 54%
26
水温(℃)
24
22
20
18
16
14
7月
図2
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
2003年7月から2004年3月までの上入津支店定置網における水温の推移(10m)
400
20
マアジ(ゼンゴ)
ウルメ(小羽)
カタクチ(大羽)
平均水温
18
17
16
100
15
図3
3月26日
3月21日
3月16日
3月11日
3月6日
3月1日
2月25日
2月20日
2月15日
2月10日
2月5日
1月31日
1月26日
1月21日
1月16日
1月11日
14
1月6日
0
2004年1月から3月までの主要浮魚類の日別漁獲量と1日平均水温との関係
水温(℃)
19
200
1月1日
漁獲量(kg)
300
平 成 15 年 度
表3
月
尾数計
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
12.5
13
13.5
14
14.5
15
15.5
16
16.5
17
17.5
18
18.5
19
19.5
20
20.5
21
21.5
22
22.5
23
23.5
24
24.5
25
1月
0
2月
0
3月
44
2003年マイワシ体長組成(被鱗体長cm)
4月
0
5月
0
6月
254
5
31
48
52
41
12
1
1
1
7
17
3
8
2
9
12
8
9
4
45
7月
18
3
6
3
3
1
2
8月
83
2
4
17
25
25
9
1
9月
0
10月
0
11月
0
12月
0
大分県海水研事業報告
46
表4
月
尾数計
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
12.5
13
13.5
14
14.5
15
15.5
16
1月
282
1
5
56
111
47
32
22
8
2月
88
4
5
15
29
23
1
2
2003年カタクチイワシ体長組成(被鱗体長cm)
3月
328
1
1
6
26
52
93
93
44
11
1
4月
0
5月
151
1
4
14
16
25
37
34
19
1
6月
438
2
1
8
23
3
18
18
19
26
27
27
45
63
5
17
21
2
19
2
2
7月
60
1
2
5
11
11
4
9
4
5
3
4
1
8月
294
1
9
14
24
23
4
6
52
38
21
9
2
1
9月
45
2
6
2
3
5
7
1
5
2
3
10月
279
11月
73
5
7
37
66
73
24
19
9
9
11
16
2
1
1
6
5
11
14
18
12
4
1
1
12月
0
平 成 15 年 度
表5
月
1月
尾数計 0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
12.5
13
13.5
14
14.5
15
15.5
16
16.5
17
17.5
18
18.5
19
19.5
20
20.5
21
21.5
22
22.5
23
23.5
24
24.5
25
2月
207
2003年ウルメイワシ体長組成(被鱗体長cm)
3月
222
2
21
46
23
3
4月
132
2
7
32
59
3
2
5月
122
1
1
1
7
1
1
21
47
21
3
6月
107
7月
14
1
3
14
27
29
21
5
5
1
1
4
2
1
3
1
3
23
25
58
39
33
15
3
3
4
1
8月
119
9月
10
10月
0
11月
90
1
1
1
1
4
11
19
19
15
22
13
8
11
2
2
47
7
9
11
15
16
19
13
15
6
5
2
1
1
1
3
1
2
1
1
2
1
1
5
5
11
11
6
14
17
11
6
12月
0
100%
100%
90%
90%
100%
90%
90%
2002年
12月
11月
9月
10月
8月
7月
6月
12月
11月
9月
10月
8月
7月
6月
1月
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
50%
4月
50%
3月
60%
2月
60%
5月
70%
4月
70%
80%
3月
80%
2月
混獲比(尾数)
100%
2002年
100%
90%
90%
マイワシ
図4
カタクチ
ウルメ
その他
2003年
マイワシ
カタクチ
ウルメ
2001年から2003年におけるシラス混獲比調査結果(左 佐伯湾、右 別府湾)
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
1月
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
50%
3月
50%
2月
60%
1月
60%
5月
70%
4月
70%
80%
3月
80%
2月
混獲比(尾数)
100%
2003年
5月
2001年
1月
混獲比(尾数)
1月
12月
11月
9月
10月
8月
7月
6月
5月
4月
50%
3月
50%
2月
60%
1月
60%
2001年
混獲比(尾数)
70%
4月
70%
80%
3月
80%
51
2月
混獲比(尾数)
混獲比(尾数)
平 成 15 年 度
その他
大分県海水研事業報告
52
表9
2003年大分県沿岸の主要魚種卵稚仔採集量(浅海定線)
個/曳
1月
卵
稚仔
カタクチ 卵
稚仔
ウルメ
卵
稚仔
サバ類
卵
稚仔
マアジ
稚仔
調査点数
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月
0.6
0.6
2.9
2.2
18.3 65.7 47.4
2.6 11.9 27.6
6.6
0.1
0.4
0.8
0.2
0.7
15
0.6
18
マイワシ
11
表10
18
18
15
18
18
1.6
18
12.3
10
0.3
0.5
0.6
18
18
2003年大分県沿岸の主要魚種卵稚仔採集量(沿岸定線)
個/曳
1月
卵
稚仔
カタクチ 卵
稚仔
ウルメ
卵
稚仔
サバ類
卵
稚仔
マアジ
稚仔
調査点数
2月
マイワシ
欠
測
0
13
3月
0.8
0.8
0.8
3.2
1.5
0.2
0.8
0.8
13
表11-1
調査日
視認流れ藻数
採取流れ藻数
モジャコ付着数
平均尾数(尾/藻)
平均全長(cm)
4月
0.4
0.8
5月
0.8
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月
101.8 9.7
11.8 15.7
8.0
5.4
1.2
1.8
5.4
0.6
0.4
13
13
13
13
0.8
0.8
0.8
13
13
13
13
13
モジャコ資源調査結果
3月17日 3月28日 4月7日 4月9日 4月17日 4月23日 5月19日 6月9日 7月22日
10
37
18
37
100以上
47
51
45
3
7
11
18
18
25
24
22
15
3
0
0
15
28
337
1,337
1,332
24
0
−
−
−
0.8
1.6
13.5
55.7
60.5
1.6
−
−
−
2.8
3.8
2.4
2.8
7.6
5.0
平 成 15 年 度
表11-2
モジャコ資源調査結果(詳細)
位置
月日
測点
時刻
3月17日
03モ-1-1
03モ-1-2
03モ-1-3
03モ-1-4
03モ-1-5
03モ-1-6
03モ-1-7
03モ-2-1
03モ-2-2
03モ-2-3
03モ-2-4
03モ-2-5
03モ-2-6
03モ-2-7
03モ-2-8
03モ-2-9
03モ-2-10
03モ-2-11
03モ-3-1
03モ-3-2
03モ-3-3
03モ-3-4
03モ-3-5
03モ-3-6
03モ-3-7
03モ-3-8
03モ-3-9
03モ-3-10
03モ-3-11
03モ-3-12
03モ-3-13
03モ-3-14
03モ-3-15
03モ-3-16
03モ-3-17
03モ-3-18
03モ-4-1
03モ-4-2
03モ-4-3
03モ-4-4
03モ-4-5
03モ-4-6
03モ-4-7
03モ-4-8
03モ-4-9
03モ-4-10
03モ-4-11
03モ-4-12
03モ-4-13
03モ-4-14
03モ-4-15
03モ-4-16
03モ-4-17
03モ-4-18
03モ-5-1
03モ-5-2
03モ-5-3
03モ-5-4
03モ-5-5
03モ-5-6
03モ-5-7
03モ-5-8
03モ-5-9
03モ-5-10
03モ-5-11
03モ-5-12
03モ-5-13
03モ-5-14
03モ-5-15
03モ-5-16
03モ-5-17
03モ-5-18
03モ-5-19
03モ-5-20
03モ-5-21
03モ-5-22
03モ-5-23
03モ-5-24
03モ-5-25
13:20
13:38
13:54
14:05
14:21
14:21
14:54
9:26
9:47
9:47
9:47
10:08
10:08
10:40
10:50
12:38
12:38
13:24
10:55
11:45
11:45
11:45
11:45
11:45
11:45
11:45
13:20
13:20
13:20
13:20
13:20
14:03
14:30
14:50
14:50
14:50
9:30
9:30
10:40
11:05
11:15
11:30
11:35
11:35
13:00
13:15
13:30
13:30
13:30
13:30
13:55
13:55
14:40
15:05
9:35
9:45
10:15
10:15
10:50
10:50
11:10
11:10
11:10
11:35
11:57
13:15
13:23
13:43
13:43
13:43
14:00
14:00
14:00
14:23
14:23
14:45
14:45
14:45
14:45
3月28日
4月7日
4月9日
4月17日
N
32.42.073
32.42.691
32.43.296
32.44.181
32.46.715
32.46.715
32.50.153
33.01.293
33.01.198
33.01.198
33.01.198
32.59.345
32.59.345
32.54.181
32.53.171
32.43.283
32.43.283
32.49.187
32.49.119
32.45.373
32.45.373
32.45.373
32.45.373
32.45.373
32.45.373
32.45.373
32.42.640
32.42.640
32.42.640
32.42.640
32.42.640
32.42.306
32.42.168
32.43.934
32.43.934
32.43.934
33.00.477
33.00.477
32.52.197
32.49.154
32.47.154
32.46.727
32.45.398
32.45.398
32.45.671
32.46.857
32.48.538
32.48.538
32.48.538
32.48.538
32.51.559
32.51.559
32.59.331
33.01.426
33.01.959
33.01.876
32.58.208
32.58.208
32.52.222
32.52.222
32.50.630
32.50.630
32.50.630
32.47.333
32.44.125
32.43.822
32.45.005
32.47.195
32.47.195
32.47.195
32.48.450
32.48.450
32.48.450
32.50.686
32.50.686
32.52.911
32.52.911
32.52.911
32.52.911
53
E
表面水温
(℃)
131.53.236
131.53.872
131.54.480
131.54.985
131.58.314
131.58.314
132.01.959
132.06.350
132.09.077
132.09.077
132.09.077
132.10.800
132.10.800
132.10.785
132.10.902
132.00.578
132.00.578
132.01.208
132.13.247
132.10.664
132.10.664
132.10.664
132.10.664
132.10.664
132.10.664
132.10.664
132.07.353
132.07.353
132.07.353
132.07.353
132.07.353
132.02.732
131.58.657
131.57.422
131.57.422
131.57.422
132.05.928
132.05.928
132.18.907
132.20.972
132.21.132
132.21.166
132.21.397
132.21.397
132.09.307
132.09.295
132.09.325
132.09.325
132.09.325
132.09.325
132.09.697
132.09.697
132.10.726
132.08.937
132.08.585
132.10.308
132.10.654
132.10.654
132.10.494
132.10.494
132.10.092
132.10.092
132.10.092
132.09.778
132.09.656
131.57.695
131.57.289
131.59.202
131.59.202
131.59.202
132.00.414
132.00.414
132.00.414
132.02.495
132.02.495
132.03.617
132.03.617
132.03.617
132.03.617
16.7
16.9
17.1
17.1
16.8
16.8
16.9
15.6
15.8
15.8
15.8
16.1
16.1
16.8
16.7
16.9
16.9
16.7
17.2
17.5
17.5
17.5
17.5
17.5
17.5
17.5
17.8
17.8
17.8
17.8
17.8
17.2
17.1
16.7
16.7
16.7
15.0
15.0
17.0
16.9
17.1
17.2
17.2
17.2
17.2
17.2
16.8
16.8
16.8
16.8
16.7
16.7
16.9
16.5
17.2
16.5
17.2
17.2
17.6
17.6
17.6
17.6
17.6
17.6
18.0
18.2
17.0
16.5
16.5
16.5
16.0
16.0
16.0
16.7
16.7
15.3
15.3
15.3
15.3
流れ藻及び付着生物の状況
視認流れ藻
大きさ
重量
数
(cm×cm)
(kg)
15×15
0.2
計10個
30×30
0.8
30×30
0.7
30×30
0.5
15×15
0.2
20×20
0.5
50×50
6.0
30×30
0.5
計37個
30×30
0.4
30×30
0.7
30×30
1.2
40×40
2.2
30×30
1.7
−
−
30×30
1.2
30×30
1.2
40×40
1.3
150×150
1.6
15×15
0.2
計18個
50×50
3.0
50×50
3.0
30×30
1.4
50×50
2.7
50×50
3.0
30×30
0.7
20×20
0.4
15×15
0.7
20×20
0.3
30×30
0.5
20×20
0.3
30×30
0.5
30×30
1.0
採集できず
50×50
3.0
30×30
1.2
20×20
0.7
50×50
2.5
計37個
50×50
2.5
20×20
0.5
20×20
0.4
70×70
2.2
100×100
7.0
50×50
3.7
30×30
1.5
30×30
1.1
50×50
2.5
40×40
2.3
50×50
3.2
30×30
0.8
30×30
0.7
100×100
10.0
45×45
2.5
20×20
0.3
30×30
1.3
25×25
0.4
計100個以上
50×50
4.0
50×50
4.2
30×30
1.4
80×80
3.5
50×50
2.0
20×20
0.5
50×50
1.3
20×20
0.5
30×30
0.6
70×70
6.0
30×30
0.5
25×25
0.9
40×40
1.5
40×40
2.5
30×30
0.9
30×30
1.5
60×60
2.3
50×50
2.3
150×150
−
70×70
4.5
20×20
−
−
−
40×40
2.7
50×50
5.0
付着
モジャコ尾数
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
2
2
2
1
1
2
1
1
−
0
0
0
0
0
0
0
2
1
4
0
1
2
1
9
0
3
0
1
3
1
0
7
6
7
12
32
7
13
15
6
1
0
1
0
5
0
0
0
1
5
6
3
8
8
194
大分県海水研事業報告
54
表11-2
続き
4月23日
5月19日
6月9日
7月22日
03モ-6-1
03モ-6-2
03モ-6-3
03モ-6-4
03モ-6-5
03モ-6-6
03モ-6-7
03モ-6-8
03モ-6-9
03モ-6-10
03モ-6-11
03モ-6-12
03モ-6-13
03モ-6-14
03モ-6-15
03モ-6-16
03モ-6-17
03モ-6-18
03モ-6-19
03モ-6-20
03モ-6-21
03モ-6-22
03モ-6-23
03モ-6-24
03モ-7-1
03モ-7-2
03モ-7-3
03モ-7-4
03モ-7-5
03モ-7-6
03モ-7-7
03モ-7-8
03モ-7-9
03モ-7-10
03モ-7-11
03モ-7-12
03モ-7-13
03モ-7-14
03モ-7-15
03モ-7-16
03モ-7-17
03モ-7-18
03モ-7-19
03モ-7-20
03モ-7-21
03モ-7-22
03モ-8-1
03モ-8-2
03モ-8-3
03モ-8-4
03モ-8-5
03モ-8-6
03モ-8-7
03モ-8-8
03モ-8-9
03モ-8-10
03モ-8-11
03モ-8-12
03モ-8-13
03モ-8-14
03モ-8-15
03モ-9-1
03モ-9-2
03モ-9-3
9:46
9:46
9:46
10:30
11:30
11:43
11:50
12:38
12:38
12:38
13:00
13:06
13:40
14:00
14:00
14:00
14:00
15:10
15:10
15:10
15:10
15:42
15:42
15:42
9:40
9:56
10:08
10:08
10:33
10:58
10:58
11:06
11:20
11:20
13:06
13:27
13:40
13:40
13:57
13:57
14:30
14:30
14:30
15:05
15:05
15:43
10:17
10:17
10:17
10:17
10:38
10:38
10:50
10:50
11:11
11:11
11:42
11:58
11:58
13:32
13:32
9:40
9:40
12:30
32.59.931
32.59.931
32.59.931
32.57.573
32.46.825
32.44.779
32.44.779
32.42.364
32.42.364
32.42.364
32.42.342
32.42.342
32.42.370
32.43.268
32.43.268
32.43.268
32.43.268
32.52.109
32.52.109
32.52.109
32.52.109
32.54.772
32.54.772
32.54.772
33.01.245
32.59.749
32.57.930
32.57.930
32.54.957
32.50.558
32.50.558
32.50.558
32.47.784
32.47.784
32.43.106
32.43.194
32.43.365
32.43.365
32.43.599
32.43.599
32.48.361
32.48.361
32.48.361
32.52.398
32.52.398
32.56.222
33.05.175
33.05.175
33.05.175
33.05.175
33.06.882
33.06.882
33.08.517
33.08.517
33.09.347
33.09.347
33.14.516
33.16.447
33.16.447
33.12.218
33.12.218
33.03.499
33.03.499
32.43.784
132.08.040
132.08.040
132.08.040
132.10.798
132.10.472
132.10.460
132.10.460
132.10.367
132.10.367
132.10.367
132.07.655
132.07.655
132.00.866
131.57.933
131.57.933
131.57.933
131.57.933
132.03.243
132.03.243
132.03.243
132.03.243
132.04.939
132.04.939
132.04.939
132.08.881
132.10.326
132.10.318
132.10.318
132.10.369
132.10.412
132.10.412
132.10.412
132.10.512
132.10.512
132.06.055
132.02.100
131.59.641
131.59.641
131.57.743
131.57.743
132.00.621
132.00.621
132.00.621
132.03.651
132.03.651
132.05.372
132.05.390
132.05.390
132.05.390
132.05.390
132.03.583
132.03.583
132.02.922
132.02.922
132.02.472
132.02.472
132.03.300
132.03.826
132.03.826
131.53.366
131.53.366
132.08.417
132.08.417
132.01.455
16.7
16.7
16.7
17.2
18.1
18.3
18.2
18.2
18.2
18.2
18.2
18.2
18.3
17.8
17.8
17.8
17.8
16.5
16.5
16.5
16.5
16.2
16.2
16.2
18.7
19.1
19.8
19.8
20.3
20.7
20.7
20.6
20.8
20.8
23.4
22.3
20.7
20.7
21.2
21.2
18.5
18.5
18.5
17.1
17.1
16.8
20.9
20.9
20.9
20.9
19.9
19.9
20.2
20.2
20.1
20.1
18.8
18.9
18.9
20.1
20.1
22.2
22.2
27.2
40×40
50×50
40×40
30×30
30×30
30×30
30×30
30×30
50×50
50×50
40×40
30×30
50×50
40×40
40×40
150×150
50×50
30×30
30×30
30×30
40×40
30×30
80×80
−
30×30
40×40
50×50
100×100
100×100
30×30
20×20
150×150
50×50
50×50
100×100
40×40
40×40
30×30
40×40
40×40
40×40
30×30
40×40
50×50
20×20
100×100
50×50
30×30
30×30
30×30
30×30
50×50
30×30
−
−
−
150×150
30×30
300×300
40×40
−
30×30
50×50
250×250
2.5
3.7
2.6
1.2
0.9
2.0
1.2
0.4
2.3
2.8
2.0
1.2
1.7
2.0
2.0
−
4.0
0.6
2.0
2.0
3.2
0.9
5.9
−
1.2
1.5
8.5
10.0
8.5
0.7
0.2
8.0
3.5
4.5
4.2
1.3
2.5
2.0
1.5
2.3
3.5
2.0
4.5
5.5
1.1
7.0
3.0
2.2
1.3
1.4
1.4
2.9
1.2
−
6.5
−
−
−
−
3.5
−
2.3
2.0
33.0
計47個
計51個
計45個
計3個
7
26
0
45
76
64
13
85
9
87
84
37
170
30
21
139
27
11
9
13
52
110
222
0
7
26
110
5
27
8
3
25
121
532
356
3
6
62
1
5
14
4
5
4
2
6
1
1
0
0
0
0
4
6
0
0
11
1
0
0
0
0
0
0
平 成 15 年 度
表12
年齢
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10歳以上
合計
釣り
刺網
55
魚市場調査によるマダイの年齢別漁業種類別個体数
定置網
底曳網
延縄
船曳網
まき網
その他
不明
合計
69
576
1,381
1,169
1
434
2,249
741
289
1
12
25
26
261
1,293
475
215
2
38
54
60
46
389
74
34
23
81
71
32
3
21
38
30
83
406
289
160
1
922
5,065
3,148
2,015
516
438
248
232
93
688
153
90
42
37
16
134
16
7
9
8
1
23
70
67
30
30
17
105
30
46
14
17
4
92
4
7
2
11
1
24
17
19
10
12
7
63
12
12
3
4
2
6
126
106
41
35
14
152
944
792
399
386
155
1,287
5,410
4,186
128
2,563
357
592
335
131
1,412
15,114
表13
年齢
0
1
2
3
4
5
6
7
8+
合計
魚市場調査によるヒラメの年齢別漁業種類別個体数
底曳網
63
251
175
68
25
9
4
1
18
614
刺網
11
149
127
29
13
0
2
1
9
341
釣り
0
7
12
0
2
0
0
2
3
26
定置網
0
3
11
2
2
0
0
1
3
22
その他
0
8
4
0
3
0
0
0
0
15
不明
2
55
42
11
2
4
1
0
3
120
合計
76
473
371
110
47
13
7
5
36
1138
大分県海水研事業報告
56
資源評価調査事業−2
流れ藻生物調査
(国庫委託)
薬師寺清・青木逸男・松下泰隆・肥後寿男・藤澤芳宏・宇藤知治
・久保 隆・田口敏丸・安樂康宏
事業の結果
事業の目的
流れ藻は、様々な生物の生息場や餌場、また、産
図1に流れ藻採取位置を示した。6月の調査では豊
卵場として利用され、海洋生態系の重要な役割を担
後水道北部海域 7地点において計 14個の流れ藻を採
っている。そこでは、食う食われるの関係をも有し
集した(表1)。採集した流れ藻には合計で魚類22種
ながら、小さな社会が形成され、生物多様性が育ま
447尾、エビ類 5個体、カニ類 195個体を採集した。
れている。
7月の調査では、豊後水道南部海域 2地点で計 3個
これまで当センターが行ってきたモジャコ調査で
は、流れ藻に随伴するモジャコの量や大きさに主眼
をおいていた。また、他海域においても流れ藻に係
る研究報告はあるものの、養殖用種苗として利用さ
れる幼稚魚に主眼がおかれており、生物多様性から
の流れ藻を採集した(表 1)。魚類 13種 304尾、エビ
類52個体、カニ類24個体を採集した。
8月の調査では、全く流れ藻を発見することはで
きなかった。
表2に採集した魚類を示した。6月はメバル、メダ
の知見は少ない。
イ、カワハギ、ブリが多く、7月はイシダイ、カワハ
そこで、流れ藻における生物多様性について研究す
ギ、アミメハギが多く採集された。
ることを目的に、それに随伴する生物相について調
st.6-6
査を行った。
関崎
st.6-5
事業の方法
st.6-7
st.6-4
st.6-3
調査はモジャコ調査の一環として、モジャコ漁期
st.6-2
終了後の2003年 6月から同年8月にかけ月1回、計3回
st.6-1
行った。天候の影響もあり、 6月は豊後水道北部海
域を調査し、7月と8月は豊後水道南部海域を調査し
津久見
st.7-1
蒲戸崎
た。
水の子島
豊後水道域において、豊洋を航走させながら流れ
藻を発見しだい船首右舷に取り付けた船曳網を使用
し、流れ藻ごとに随伴する生物を採集した。同時に、
佐伯
鶴御崎
流れ藻採取地点ごとにバケツ採水により、表面水温
を測定した。
採取した流れ藻は船上で構成種を調べ、湿重量を
測定し、海面を浮遊していた大きさを目視観測した。
芹崎
蒲江
不明な流れ藻はセンターに持ち帰り同定を行った。
6月:○
7月:▲
8月:無し
採集した生物は船上でホルマリン固定を行い、セ
ンターに持ち帰り、魚類、エビ類、カニ類等に分類
深島
st.7-2
し、種の同定を行い、魚類は全長、体重を測定し、
エビ類とカニ類は体長と体重を測定した。
図1
流れ藻採集位置
平 成 15 年 度
57
本年度の調査は 8月に全く流れ藻を発見できなかっ
域の流れ藻浮遊量は春期と異なり、 8月の調査では
たので、これ以降の調査を実施しなかった。次年度
全く発見できないほど少なかった。このため、今後
以降は、流れ藻の多い春から調査を始め、秋まで月1
は流れ藻に随伴する生物相だけではなく、流れ藻の
回の調査を行う予定である。
分布時期及び分布量についても期間を拡大して調査
する必要があると考えられる。
なお、採集した流れ藻、エビ類、カニ類の種の同
また、本調査は、豊後水道域の随伴生物量や随伴
定は本年度を含め次年度以降行う。
生物相の変化をとらえ、同海域の海洋環境をモニタ
リングしていくことを目的としているため、今後も
今後の問題点
同時期・同海域で調査を行い、データの継続的蓄積
が必要であり、さらに流れ藻、エビ類、カニ類等の
水産動物についての同定技術の向上が必要である。
本年度調査はモジャコ漁期終了後の夏期(6月、7
月、 8月)に行った。しかし、この時期の豊後水道
表1
月
6月
調査点No.
緯度
st.6-1
33.05.175
st.6-2
33.06.882
st.6-3
33.08.517
st.6-4
33.09.347
st.6-5
st.6-6
33.14.516
33.16.447
st.6-7
st.7-1
33.12.218
33.03.499
st.7-2
32.43.784
採取した流れ藻
採取した流れ藻
2
大きさ(m )
湿重量(kg)
132.05.390
0.25
3
0.09
2.2
0.09
1.3
0.09
1.4
132.03.583
0.09
1.4
0.25
2.9
132.02.922
0.09
1.2
132.02.472
6.5
132.03.300
2.25
132.03.826
0.09
9
131.53.366
0.16
3.5
132.08.417
0.09
2.3
0.25
2
132.01.455
6.25
33
採取なし
経度
7月
8月
水温(℃)
20.94
19.92
20.21
20.07
18.77
18.94
20.08
21.19
27.21
−は未測定
表2
7月
8月
合計
イ
シ
ダ
イ
イ
ス
ズ
ミ
イ
ソ
ギ
ン
ポ
7
2
1
12
6
2
1
2
37
31
89
12
イ
ソ
ギ
ン
ポ
科
5
1
1
2
11
1
1
3
96
8
12
チ
1
1
5
オ
ヤ
ビ
1
1
2
94
ウ
ス
バ
ハ
ギ
ャ
6月
st.6-1
st.6-2
st.6-3
st.6-4
st.6-5
st.6-6
st.6-7
st.7-1
st.7-2
イ
シ
ガ
キ
ダ
イ
ッ
ア
ミ
採集月 調査点No. メ
ハ
ギ
7
1
ウ
マ
ズ
ラ
ハ
ギ
1
5
5
1
17
1
採集した魚類
カ
ワ
ハ
ギ
6
1
1
35
2
8
3
35
44
135
ク
カ
ギ ク ロ
ン
ン ジ メ
パ
ポ メ ジ
チ
ナ
ス
ジ
ハ
ナ
ビ
ラ
ウ
オ
ニ
ジ
ギ
ン
ポ
1
4
1
1
11
1
5
1
1
1
2
ハ
ナ
オ
コ
ゼ
5
採集なし
3 1 6 2
2
1
1
16
6
2
24
ハ
リ
セ
ン
ボ
ン
ヒ
メ
ジ
科
1
ブ
リ
マ
ア
ジ
メ
ジ
ナ
2
1
1
1
6
1
11
1
1
メ
ダ
イ
1
1
3
67
メ
バ
ル
属
メ
バ
ル
4
2
25
29
131
1
11
191
12
1
5
4
31
1
1
15
1
1
1
10
73
計
28
5
6
103
50
249
6
111
193
751
大分県海水研事業報告
58
*
多元的な資源管理型漁業の推進事業
(国庫補助)
安樂康宏
事業の目的
付き)に全量収容し、帰港後、プラスチック製のカ
ゴ(縦52×横35×高さ27㎝)に移し、当センターの
本事業はこれまで資源管理関連事業で行ってきた
陸上水槽(5t)にて生残試験(無給餌)を行った。
資源管理に、効率的操業や漁業経費の削減、魚価対
なお、収容密度は15尾以下/カゴとし、陸上水槽の
策など質的管理を取り込み、持続可能な漁業の振興
換水は約 1回転/時間で、適度のエアレーションを
を行うことを目的としている。
施した。生残の確認は、陸上水槽収容時( 0時間)
今年度は豊後水道海域で小型底曳網漁業を対象に
した漁具改良試験とイサキを対象にした資源管理に
及び6、12、18、32、56、80時間後に行った。また、
生残の確認時に併せて水温測定を行った。
かかる基礎的知見収集のため、小型魚の標識放流調
査を行った。また、伊予灘・別府湾海域では小型底
2.改良網による小型魚介類の分離及び改良網と通
常網の比較
曳網漁業の混獲調査として、小型タチウオの混獲調
査を行った。
試験操業は小型底曳網漁船 2隻が同時に並走して
行い、1隻は改良網、もう 1隻は通常網を曳網して行
事業の方法
った。操業海域は佐伯湾で、平成 16年 3月 8、 9日の
計2回行った。日没後に投網を開始し、曳網時間は4
Ⅰ
標本船日誌調査
時間/回で通常の操業とほぼ同じ条件で行った。
小型底曳網漁業を営む大分県漁業協同組合臼杵、
先に行った生残にかかる試験結果から、試験操業
佐伯、米水津支店所属の計 6経営体に標本船日誌(4
の 1回目は試験網のウインドウ部の目合いを 4節、 2
月∼ 3月)の記帳を依頼し、漁獲・操業実態等を把
回目を 5節に拡大した。また、同じくウインドウか
握した。
ら逃避する魚介類を採集するため、試験網のウイン
ドウ部には10節の目合いのカバーネットを装着した。
Ⅱ
小型底曳網改良漁具試験
2000年度に制作した小型底曳網改良網を用いて試
Ⅲ
大分県漁協蒲江、下入津支店の小型定置網に入網
験を行った。
1.
イサキ標識放流調査
ウインドウ部から逃避する小型魚介類の生残
した天然イサキの当歳魚を用いて標識放流を行っ
状況について
た。2003年6, 7月に、イサキに標識を装着し、計2,8
02尾を放流した。使用した標識は、黄色のスパゲティー
試験操業は2003年6月25日に小型底曳網漁船1隻を
使用し、佐伯湾内で行った。曳網時間は1時間と2時
タグ(オオイタ 4桁の通し番号)で、放流魚の第一背鰭
基部に装着した。
間で計2回行った。ウインドウ部は6節とし、また、
ウインドウから逃避する小型魚介類を採集するた
め、ウインドウ部には10節の目合いのカバーネット
を装着した。
Ⅳ
タチウオ小型魚の混獲調査
大分県漁協別府支店の小型底曳網漁船 1隻を標本
船に選定し、イボダイを主対象に操業する7月から1
このカバーネットにより採集した魚介類は揚網後
0月の間、小型タチウオを多く混獲した操業時の投
直ちに海水の入ったスチロール箱(エアレーション
棄物を調べた。調査期間中、操業ごとの投棄物を計
*詳細は平成16年度多元的な資源管理型漁業の推進事業報告書に記載した。
平 成 15
10回調査した。また、併せて操業日誌の記帳を依頼
年 度
59
2)試験網と通常網の比較
し、操業ごとの操業位置等を把握した。
出荷物重量は 2回の試験の合計で、試験網は通常
網の 131%と多かったが、投棄物重量も同様に通常
網の109%と多かった。しかし 、有用小型魚介類(大
事業の結果
きなサイズは出荷されるもの)の混獲は改良網は通
常網に比べ、重量比で75%、尾数比で83%と少なか
詳細は2003年度多元的な資源管理型事業の推進事
業報告書に記載しており、ここでは概略を報告する。
った。また、試験網では重量比で出荷物の92%が上
魚捕部に、投棄物の70%が下魚捕部に入網し、出荷
物と投棄物を良く分離できることがわかった。
Ⅰ
標本船日誌調査
年間の出荷金額から見た主要魚種は以下のとおり
Ⅲ
イサキ標識放流調査
2004年4月1日現在で計19尾の再捕報告があり、合
であった。臼杵、米水津の 2経営体はデータのない
計の再捕率は 0.68%であった。 6月 17日に蒲江港内
月があるためここでは除いた。
で放流した299尾は1尾が再捕され、同日、高山地先
臼杵: 1.クマエビ
2.コウイカ
佐伯A: 1.コウイカ
2.マダイ
佐伯B: 1.アカエビ
2.コウイカ
米水津: 1.クルマエビ
2.コウイカ
3.クルマエビ
で放流した 1,511尾は 7尾が再捕された。 6月 23日に
3.カワハギ
元猿港内で放流した 300尾は 10尾が再捕された。し
3.マダイ
かし、7月2日に大島港内で放流した692尾はまだ1尾
3.ヒラメ
も再捕されていない。また、スパゲティータグのチューブの
部分がとれており、放流場所や放流日がわからない
Ⅱ
小型底曳網改良漁具試験
イサキも1尾再捕された。
再捕魚は放流してから 1ヶ月以内に再捕されたも
1.ウインドウ部から逃避する小型魚介類の生残
状況について
のがほとんどであった。しかし、 6月 17日に蒲江港
採集から 18時間後までの生残率が 100%の種はア
内と高山地先で放流した 2尾のイサキが 248日後の 2
カエビ類、ハモ 、イザリウオ、トビササウシノシタ、
月20日に深島の定置網によって再捕されたケースも
オニゴチの 5種であった。採集から 18時間後までの
あった。また、長距離移動した例では 6月 17日に高
生残率が33∼67%の種はキツネアナゴ、ハチ、クロ
山地先で放流したイサキが、7月4日に宮崎県島野浦
イシモチの 3種であった。採集から 18時間後までの
の定置網で再捕されている。またタグのチューブの部分
生残率が 0%の種はタマガンゾウビラメ、ヤセオコ
が取れてしまっているので、どの場所で放流したか
ゼ、アカシタビラメ、ヒメジ、トゲカナガシラの 5
不明なイサキが、2004年4月1日に愛媛県西海町沖の
種であった。このうちタマガンゾウビラメ、ヤセオ
磯で釣りによって再捕されている。
現在までの再捕結果から推定すると、イサキの当
コゼ、アカシタビラメは採集から 6時間後には全数
が死亡していた。
なお、生残試験中の陸上水槽の水温は 20.8∼ 22.0
℃の範囲であった。
歳魚は、 1ヶ月間で宮崎県島野浦まで移動した例は
あるものの、放流して 3ヶ月程度は放流した近辺の
海域に滞留し、あまり大規模な回遊を行わないと考
えられる。
2.改良網による小型魚介類の分離及び改良網と通
常網の比較
Ⅳ
タチウオ小型魚の混獲調査
調査期間中、標本船の漁場は別府湾口部から伊予
1)魚介類のウインドウ部からの逃避状況
4節にしたウインドウ部のカバーネットからは 17
種 51個体、計 1.8kgの水産動物が採集され、そのう
灘西部で、昼間2∼4回投網(1操業約2時間)してい
た。小型タチウオが多く入網したのは別府湾口部内
側の海域であった。
ち有用種はコウイカ、メイタガレイ、ヒメジ、マエ
1操業あたりの投棄物重量は 30∼ 81kg、タチウオ
ソ等であった。 5節のウインドウでは 12種 36個体で
の占める割合が多かった時期は9月で、1操業あたり
計0.7kgが採集され 、有用種はクルマエビ、マエソ、
9∼41kg(93∼580尾)が投棄されていた。投棄され
オキヒイラギ、マトウダイ、ヒメジ等であった。
た魚体の肛門長の範囲は 4.7∼ 24.7cmで肛門長 10cm
ウインドウから逃避した個体は、コウイカ、マエソ
以下の個体も見られた。
については出荷しないサイズであったが、クルマエ
ビとヒメジは出荷できるサイズであった。
大分県海水研事業報告
60
人工礁の原単位把握のための調査
(国庫委託 )
内海訓弘
海洋水産研究センターのデータ読出装置とデータ解
調査の目的
析ソフトで構成される。漁船のシステムの電源を入
GPS搭載標本船のデータから、魚礁利用実態、漁
れると GPS 受信機で漁船の現在の緯度・経度と船速
獲状況等を把握し、魚礁の原単位を推定する手法に
を算出し、一定間隔の緯度・経度・船速・時刻のデ
ついて検討する。
ータを記録するので電源を切るまでの全航跡がコン
パクトフラッシュカードに記録される。一本釣りの
調査の方法
場合、操業中は移動中に比べて低速になるため、低
速状態が継続した場合を操業中と判断することがで
豊後水道で操業する一本釣り漁業者 3名に操業日
きる。解析ソフトでは操業中と判断する船速と継続
誌の記帳を依頼するとともに、漁船に GPSデータ記
時間を任意で指定できるので操業位置別の操業時間
録装置を搭載し操業位置を把握する精度を高め、魚
を集計することができ、日誌から得られる操業場所
礁の利用、漁獲状況を礁単位で解析する。 GPS解析
システムは、漁船に搭載する GPSデータ記録装置、
別の漁獲情報と照合することで魚礁別の利用及び漁
図1
獲状況を解析することが可能になる。
魚礁設置位置及び標本船航跡の一例
平 成 15 年 度
表1
表2
豊後水道地区におけるGPS搭載標本船のデータ収集結果
漁業
種類
釣り
釣り
釣り
標本船①
標本船②
標本船③
データ収集期間
2001/8 ∼2003/9
2001/8 ∼2003/8
2001/8∼2003/12
標本船①の操業結果
出漁日数(A)
出漁時間(B)
操業時間(C)
魚礁利用時間(D)
漁獲量(E)
操業時間割合
(C/B)
魚礁利用時間割
合(D/C)
1日当たり出漁時
間(B/A)
1日当たり操業時
間(C/A)
1日当たり魚礁利
用時間(D/A)
1日あたり漁獲量
(E/A)
203
994.7
363.6
95.9
2,128.2
データ収
集日数
203
86
351
操業時間
363.6
143.2
851.6
魚礁利用
時間
95.9
15.7
31.3
表3 標本船②の操業結果
(日)
(時間)
(時間)
(時間)
(kg)
36.6
(%)
26.4
(%)
4.9
(時間)
1.8
(時間)
0.5
(時間)
10.5
61
(kg)
出漁日数(A)
出漁時間(B)
操業時間(C)
魚礁利用時間(D)
漁獲量 (E)
操業時間割合
(C/B)
魚礁利用時間割
合(D/C)
1日当たり出漁時
間(B/A)
1日当たり操業時
間(C/A)
1日当たり魚礁利
用時間(D/A)
1日あたり漁獲量
(E/A)
86
395.6
143.2
15.7
254.1
表4 標本船③の操業結果
(日)
(時間)
(時間)
(時間)
(kg)
36.2
(%)
11.0
(%)
魚礁利用
割合(%)
26.4
11.0
3.7
4.6
(時間)
1.7
(時間)
0.2
(時間)
3.0
(kg)
出漁日数(A)
出漁時間(B)
操業時間(C)
魚礁利用時間(D)
漁獲量(E)
操業時間割合
(C/B)
魚礁利用時間割
合(D/C)
1日当たり出漁時
間(B/A)
1日当たり操業時
間(C/A)
1日当たり魚礁利
用時間(D/A)
1日あたり漁獲量
(E/A)
351
2,562.3
851.6
31.3
3,905.2
(日)
(時間)
(時間)
(時間)
(kg)
33.2
(%)
3.7
(%)
7.3
(時間)
2.4
(時間)
0.1
(時間)
11.1
(kg)
表5 標本船①の魚礁ごとの操業状況
番号
並型魚礁
大型魚礁
沈船魚礁
1
2
1
2
1
2
3
4
5
6
設置年度
H3
S62
S63
H1
H1
H2
H2
H7
計
調査の結果
操業
日数
40
21
24
2
2
74
6
75
23
4
271
操業時間
5.6
75.0
5.4
0.7
0.1
34.3
1.2
36.6
4.4
0.1
163.4
漁獲量
(kg)
31.3
27.9
40.6
4.1
1.2
219.1
5.4
264.2
24.3
1.0
618.9
時間当たり漁獲
量(kg/時間)
5.6
0.4
7.5
5.8
11.6
6.4
4.5
7.2
5.5
10.2
3.8
ったが、ここでは天然礁の操業状況は解析から除外
した。
魚礁の設置状況とそれぞれの標本船の航跡例を図
標本船①は魚礁利用時間割合が26.4%で、豊後水
1に示した。また、GPS登載標本船3 隻のデータ収集
道地区の他の標本船に比べるとよく魚礁を利用して
結果を、表 1に示した。機械が不調等の原因があり
いた。魚礁別の操業状況を表 5に示したが操業時間
当初に計画したデータは集められていないが、 3隻
の標本船についてそれぞれ解析を行った。
を魚礁別にみると、標本船①は大型魚礁の利用が少
なく沈船魚礁と並型魚礁を同程度利用していたが、
3隻の標本船の漁業種類は一本釣りで、それぞれ
個々の魚礁では並型魚礁の No.2の利用割合が高かっ
の操業結果と操業状況を表 2、3、4 に示した。船速
た。魚礁での漁獲量の83.2%を沈船魚礁で漁獲して
が 2ノット以下の状態が1 分以上続いた状態を操業中
おり、年間を通して沈船魚礁でマダイを漁獲してい
とみなし、人工礁及び大型魚礁は魚礁中心から漁場
た。
造成面積をカバーする半径の円内で、並型魚礁及び
標本船②は他の 2隻に比べるとデータ収集数が少
その他の魚礁は魚礁中心から半径300mの円内で操
業した場合を魚礁を利用していると見なした(以下
ないが、魚礁別の操業状況を表 6に示した。標本船
同じ)。また 、天然礁での操業が各標本船ともに多か
②の魚礁利用時間割合は11% で、魚礁操業時間の85
%を昭和51 年設置のその他の魚礁に費やしている。
魚礁での漁獲量もこの魚礁で 84%を漁獲している。
大分県海水研事業報告
62
この標本船はマアジ・マサバを中心に操業している
が、この魚礁では夏場にカサゴを漁獲していた。
日の操業地点を示し、操業地点別に漁場の種類、操
業時間、魚種別漁獲量、その地点での操業隻数を記
標本船③は魚礁利用時間割合が3.7% と 3隻の中で
入してもらう様式になっている。正確に操業位置を
は一番魚礁の利用時間割合が少なかった。標本船③
日誌に記帳すれば、ある程度日誌からも魚礁毎の漁
の魚礁別操業状況を表7に示したが、ほぼ周年、特
獲量が把握できるが、1日にごく近接した魚礁を何
定の天然礁で微妙に位置を変えながらマダイ、イサ
カ所か利用している場合などは、日誌の地図上には
キを中心に操業しており、魚礁はほとんど利用して
同一操業地点として記入しがちで、そういった判断
いない。
この 3隻の操業日誌は、図2 のように地図上にその
しにくい部分の解析をGPS システムは補完してくれ
る。
表6 標本船②の魚礁ごとの操業状況
番号
並型魚礁
その他の魚礁
沈船魚礁
1
2
3
1
2
3
4
5
1
2
設置年度
S52-S55
S56-S58
S58
S51
S59-S60
S60
S61
S62
H4
H9
計
操業
日数
3
1
1
35
3
2
1
1
1
3
51
操業時
間
0.5
0.0
0.0
13.5
0.6
0.2
0.0
0.1
0.1
0.8
15.9
漁獲量
(kg)
0.7
0.0
0.0
21.4
1.0
0.3
0.0
0.1
0.1
1.8
25.4
時間当たり漁獲
量(kg/時間)
1.3
1.8
1.8
1.6
1.7
1.4
1.8
0.6
1.2
2.3
1.6
表7 標本船③の魚礁ごとの操業状況
番号
並型魚礁
大型魚礁
人工礁
その他の魚礁
計
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
1
2
3
4
5
1
1
2
設置年度
S31
S36S57
S37
S37
S41S46
S41S43
S42
S46
S51
S60
S61
S62
S64
S46S48S51
S54
H2
H3
S59-S63
H12
S59
操業
日数
1
2
2
2
1
9
3
1
20
4
2
1
8
6
1
1
3
2
3
21
2
95
操業時
間
0.2
0.1
0.1
0.1
0.4
3.4
0.7
0.0
7.3
0.9
0.2
0.1
0.7
2.1
0.0
0.0
2.2
0.1
0.3
12.3
0.1
31.4
漁獲量
(kg)
2.0
0.7
0.4
0.6
1.4
12.5
2.3
0.1
29.6
7.5
1.5
0.7
2.8
8.5
0.1
0.1
8.6
0.3
1.2
47.5
0.1
128.4
時間当たり漁獲
量(kg/時間)
10.2
7.4
4.4
6.4
3.4
3.7
3.2
6.6
4.1
8.4
7.4
6.8
4.0
4.0
4.8
2.7
3.9
2.8
4.1
3.9
0.6
4.1
平 成 15 年 度
図2
標本船日誌様式
表8 H12その他の魚礁での操業状況
操業日
操業時間 魚種
イサキ
3.3
マダイ
2002/10/8
2.8 イサキ
イサキ
2002/10/9
3.3
マダイ
2002/10/10
5.3 イサキ
2002/10/11
5.0 イサキ
イサキ
2002/10/23
1.7 マダイ
ブリ
計
21.5
平均
3.6
2002/10/7
63
漁獲量(kg)操業隻数
9.0
4
1.0
13.0
4
13.0
4
1.0
1.0
6
4.0
4
1.0
4
8.5
2.0
53.5
26
5.35
4.33
平成14 年10月のデータを基に平成12 年設置の魚礁に
ついて原単位を求めた。対象とした魚礁での標本船
③の操業状況を表 8に示したが、10 月の操業日数 27
日のうち対象魚礁で 6日操業していた。対象魚礁で
の平均漁獲量は 5.35kg/日、平均魚礁利用隻数は4.33
隻日、平成
/
14 年の年間操業日数が246日であったか
ら、10月の利用率でこの魚礁を年間を通して利用し
たとすると、魚礁での年間の漁獲量は 5.35kg/ 日×4.
33隻/日 ×246 日/年 ×6日 ÷27 日=1,261.6kgと推定さ
3
れた。対象とした魚礁が1,080.74空m の単体の魚礁
であることから、この魚礁の原単位は、 1,261.6kg÷
3
3
1,080.74空 m = 1.17kg/空 m と推定された。この魚礁
年間を通して一つの魚礁を利用するといった操業
ではイサキが主に漁獲されていることから、イサキ
形態を今回の標本船はとっていないことから、日誌
の盛期の操業状況が把握できれば、もう少し違った
の記帳が正確な標本船③が魚礁を多く利用していた
推定値になったのではないかと思われる。
大分県海水研事業報告
64
水産基盤整備調査
(国庫補助)
内海訓弘
調査の目的
沖側の2定点については調査船「豊洋」を用いて、
透明度、STD(アレック電子株式会社製AST-1000)に
藻場・干潟域及びそれに連続する水域は魚介類の
より表層から底層までの1m間隔の水温と塩分を測
産卵場や幼稚魚の育成場等の機能を有していること
定するとともに、表層、水深5m、10m、及び20m層
から、これらの水域の漁場環境と魚介類の卵稚仔出
で採水し、溶存酸素(DO)、溶存無機三態窒素(DIN)、
現状況を把握し、水産基盤整備事業計画の策定に役
リン酸態リン(PO4-P)、クロロフィルaを分析した。
地先の定点については用船により、透明度を測定
立てることを目的とした。
し、表層、水深5m、10mで採水し水温と塩分を測
定するとともに、溶存酸素 (DO)、溶存無機三態窒
素(DIN)、リン酸態リン(PO4-P)、クロロフィルaを分
調査の方法
析した。また、魚探で水深を確認しながら、水深5
図1に示す佐伯湾内の4定点において、2003年8月、
mライン及び 10mラインの海底をそれぞれ200m程度
ソリネットで曳網して稚仔魚を採集した。
9月、11月、2004年2月に調査を行った。
図1
調査定点
平 成 15 年 度
表1
水質調査結果
7月
定点番号
調査日
水深(m)
透明度(m)
0m
5m
10m
20m
0m
5m
塩分
10m
20m
0m
5m
DO
(mg/l) 10m
20m
0m
DIN
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
PO 4-P
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
5m
クロロフィルa
(μg/l) 10m
20m
水温
(℃)
9月
蒲戸地先
蒲戸沖
苦木地先
苦木沖
2003/7/9 2003/7/25 2003/7/10 2003/7/25
10.0
61.1
10.0
28.8
7.0
8.0
3.0
7.0
24.1
22.1
27.1
23.2
21.6
22.9
22.8
21.4
22.5
21.6
20.8
21.1
33.96
33.72
31.58
32.45
33.69
33.74
33.14
33.81
33.93
33.63
33.58
33.63
7.92
7.28
8.24
7.81
7.32
8.45
7.48
7.20
7.97
7.13
7.11
6.72
1.05
3.59
6.16
5.04
3.75
1.06
3.76
3.51
1.86
1.83
4.30
3.96
0.05
0.05
0.01
0.01
0.05
0.00
0.00
0.04
0.03
0.00
0.05
0.04
1.16
1.97
2.13
2.23
1.35
1.68
1.60
1.52
3.72
2.15
0.76
0.53
定点番号
調査日
水深(m)
透明度(m)
蒲戸地先
蒲戸沖
苦木地先
苦木沖
2003/11/14 2003/11/25 2003/11/12 2003/11/25
10.0
61.2
10.0
28.2
7.5
13.0
4.0
8.0
21.4
20.8
21.1
20.2
21.8
20.7
21.8
20.0
21.8
20.7
21.6
20.1
20.7
20.1
33.55
34.06
31.95
33.48
33.94
34.09
33.53
33.90
34.05
34.08
33.76
33.91
34.17
33.93
7.06
6.93
7.01
7.13
6.93
6.93
6.98
7.10
7.07
7.00
7.29
7.14
7.01
7.15
8.37
5.81
8.61
9.20
6.74
4.48
6.36
5.02
6.09
3.26
7.78
5.50
4.77
5.17
0.81
0.05
0.43
0.03
0.33
0.20
0.32
0.23
0.35
0.16
0.64
0.29
0.21
0.19
0.59
0.52
0.92
1.44
0.44
0.68
1.22
1.25
0.31
0.54
1.22
1.52
0.72
1.25
定点番号
調査日
水深(m)
透明度(m)
11月
定点番号
調査日
水深(m)
透明度(m)
0m
5m
10m
20m
0m
5m
塩分
10m
20m
0m
5m
DO
(mg/l) 10m
20m
0m
DIN
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
PO 4-P
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
5m
クロロフィルa
(μg/l) 10m
20m
水温
(℃)
65
0m
5m
10m
20m
0m
5m
塩分
10m
20m
0m
5m
DO
(mg/l) 10m
20m
0m
DIN
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
PO 4-P
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
5m
クロロフィルa
(μg/l) 10m
20m
水温
(℃)
蒲戸地先
2003/9/17
10.0
7.5
24.4
24.3
24.3
33.47
33.45
33.48
6.75
6.71
6.78
3.61
2.14
2.91
0.15
0.68
0.20
1.97
2.18
2.13
-
蒲戸沖
苦木地先
2003/9/9 2003/9/19
61.6
10.0
13.5
5.0
24.2
25.6
24.1
24.7
23.7
24.3
23.5
33.26
32.67
33.35
33.31
33.35
32.97
33.37
6.67
7.76
6.59
7.01
6.51
6.59
6.51
4.17
2.10
3.32
1.05
3.53
4.57
3.72
0.09
0.06
0.26
0.08
0.26
0.33
0.32
0.35
2.98
0.47
2.69
0.57
5.37
0.44
-
苦木沖
2003/9/9
25.9
5.0
25.8
25.2
24.5
24.0
31.69
33.31
33.44
33.33
7.14
6.83
6.78
6.74
6.32
2.71
2.12
3.97
0.08
0.24
0.09
0.21
2.26
0.93
0.66
1.22
2月
調査の結果
0m
5m
10m
20m
0m
5m
塩分
10m
20m
0m
5m
DO
(mg/l) 10m
20m
0m
DIN
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
PO 4-P
5m
(μg-at/l) 10m
20m
0m
5m
クロロフィルa
(μg/l) 10m
20m
水温
(℃)
蒲戸地先
蒲戸沖
苦木地先
苦木沖
2004/2/12 2004/2/12 2004/2/13 2004/2/13
10.0
26.0
10.0
29.0
10.0
12.5
6.0
9.5
15.8
16.0
14.8
14.9
15.8
15.8
14.7
14.9
15.8
15.8
14.6
14.9
15.8
15.1
34.00
34.65
34.56
34.32
34.65
34.66
34.61
34.51
34.61
34.66
34.62
34.23
34.62
34.67
8.82
7.79
8.65
8.65
8.06
8.23
8.73
8.60
8.19
8.53
9.24
8.59
8.48
8.40
10.51
6.34
5.79
3.34
4.53
3.39
3.03
3.36
5.88
2.84
1.78
4.17
2.77
5.28
0.37
0.20
0.15
0.03
0.25
0.09
0.17
0.12
0.40
0.08
0.17
0.09
0.10
0.23
0.28
0.32
1.14
1.12
0.39
0.34
1.84
1.09
0.31
0.41
1.62
2.45
0.37
1.17
すると、蒲戸、苦木ともに沖側の定点が高かった。
水温
水質調査の結果を表1に示した。
透明度
蒲戸と苦木を比較すると沖、地先の定点ともにい
ずれの月も蒲戸が高かった。沖と地先の定点を比較
7月、9月の表層水温は蒲戸と苦木を比較すると苦
木が高かった。11月、2月は逆に蒲戸が高かった。
塩分
どの定点も2月の塩分が他の月に比べて高かった。
2月には蒲戸と苦木で塩分にほとんど差はないがそ
大分県海水研事業報告
66
の他の月では蒲戸の方が沖、地先の定点ともに苦木
った。苦木では、11月に高い値を示した。
よりも高かった。
PO4−P
溶存酸素
蒲戸、苦木ともいずれの月も0.81μg-at/l以下であ
蒲戸、苦木ともいずれの月も6.5mg/l以上であっ
った。
クロロフィルa
たが、2月に高い値を示した。
DIN
蒲戸と苦木を比較すると沖、地先の定点ともにい
蒲戸では、7月、9月、11月、2月と徐々に高くな
表2
蒲戸地先(水深5m)
採集日
2003/7/9
魚種
個体数 重量(g)
アカササノハベラ
アナハゼ
5 37.08
アミメハギ
オキエソ
2 120.32
オハグロベラ
1 42.55
キタマクラ
クロイシモチ
コウライヨロイメバル
ネズミゴチ
ハオコゼ
ベラギンポ
ホンベラ
計
8 199.95
出現種数
3
蒲戸地先(水深10m)
採集日
2003/7/9
魚種
個体数 重量(g)
アナハゼ
1
0.58
アミメハギ
オキエソ
1
0.24
オニゴチ
キタマクラ
ダルマガレイ
トゲダルマガレイ
2 23.87
ネズミゴチ
ハオコゼ
1
1.83
ヒメジ
1
0.63
計
6 27.15
出現種数
5
苦木地先(水深5m)
採集日
2003/7/10
魚種
個体数 重量(g)
アナハゼ
アミメハギ
アラメガレイ
カスリハゼ
ガンゾウビラメ
クロイシモチ
サビハゼ
8
シマイサキ
シロギス
15.14
スジハゼ
18
3.2
ダルマガレイ
1
テッポウエビ
9.6
テンジクダイ
1
トカゲゴチ
3.27
ネズミゴチ
ハチ
ヒメジ
1
0.43
ヒラメ
マコガレイ
マゴチ
ワニエソ
計
29 31.64
出現種数
5
ずれの月も苦木が高かった。
稚仔魚採集結果
2003/9/17
個体数 重量(g)
2
33.55
2
1
1
0.71
0.55
2.07
6
36.88
4
2003/9/17
個体数 重量(g)
1
0.23
1
0.53
2003/11/14
個体数 重量(g)
1
2.43
1
21.95
1
3
11.12
35.5
2004/2/12
個体数 重量(g)
1 10.85
2
2.3
4
2.34
1
17.44
1
1.05
2
2.12
11
36.1
3
6
2003/11/14
個体数 重量(g)
2004/2/12
個体数 重量(g)
1
3.15
1
1
1
19.98
17.25
0.38
3
1.14
1
3.15
2
37.23
3
1
2
2003/9/19
個体数 重量(g)
2003/11/12
個体数 重量(g)
2004/2/13
個体数 重量(g)
1
1.45
5
2.13
2
1
6
9
1
5
29
3.54
9.82
3.11
99.73
10.2
16.15
3
4.51
1
3.66
0.88
1
23
5
11.75
1.39
7
1.92
5.3
1
0.98
0.46
1
22.3
6
5
7
1
48.42
5.65
2.86
7.64
1
51.94
1
83.5
3
2.55
82 351.75
15
10
39
19.32
4
14
30.77
6
計
個体数 重量(g)
1 10.85
7 39.38
4
2.34
3 122.75
1 42.55
2 39.39
2 33.55
1
1.05
2
0.71
3
2.67
1
2.07
1 11.12
28 308.43
12
計
個体数 重量(g)
1
0.58
2
3.38
1
0.24
1
0.53
1 19.98
1 17.25
2 23.87
1
0.38
1
1.83
1
0.63
12 68.67
10
計
個体数 重量(g)
1
1.45
5
2.13
3
3.66
2
3.54
1
9.82
7
3.99
18 99.73
1
10.2
5 44.96
77
4.59
6
4.51
6
9.6
1 48.42
5
9.9
18
8.62
1
7.64
1
0.43
1 51.94
1
22.3
1
83.5
3
2.55
164 433.48
21
平 成 15 年 度
表2
蒲戸地先(水深5m)
採集日
2003/7/9
魚種
個体数 重量(g)
アカササノハベラ
アナハゼ
5 37.08
アミメハギ
オキエソ
2 120.32
オハグロベラ
1 42.55
キタマクラ
クロイシモチ
コウライヨロイメバル
ネズミゴチ
ハオコゼ
ベラギンポ
ホンベラ
計
8 199.95
出現種数
3
67
稚仔魚採集結果(続き)
2003/9/17
個体数 重量(g)
2
33.55
2
1
1
0.71
0.55
2.07
6
36.88
4
ソリネットによる稚仔魚採集の結果を表2に示し
2003/11/14
個体数 重量(g)
1
2.43
1
21.95
1
3
11.12
35.5
3
2004/2/12
個体数 重量(g)
1 10.85
2
2.3
4
2.34
1
17.44
1
1.05
2
2.12
11
36.1
6
計
個体数 重量(g)
1 10.85
7 39.38
4
2.34
3 122.75
1 42.55
2 39.39
2 33.55
1
1.05
2
0.71
3
2.67
1
2.07
1 11.12
28 308.43
12
苦木地先の水深5mの定点では、4回の調査で計21魚
た。
種が確認された。採集個体数が多かったのはスジハ
蒲戸地先の水深5mの定点では、4回の調査で計12魚
ゼ(77尾)、サビハゼ(18尾)、ネズミゴチ(18尾 )等であ
種が確認された。採集個体数が多かったのはアナハ
った。
ゼ(7尾)、アミメハギ(4尾)、オキエソ(3尾)、ハオコ
水深10mの定点では、4回の調査で計10魚種が確認
ゼ(3尾)等であった。
された。採集個体数が多かったのはスジハゼ(27尾)、
水深10mの定点では4回の調査で計10魚種が確認さ
サビハゼ(6尾)、ネズミゴチ(4尾)等であった。
れた。いずれの魚種も採集個体数は1、2尾と少なか
った。
大分県海水研事業報告
68
水産物加工指導研究事業
猿渡
実・内海訓弘
事業の目的
津久見市、佐伯市、鶴見町、蒲江町等の加工業者お
よび地域グループを対象にのべ10回の巡回指導を
水産物の付加価値の向上、高度利用を図るため、
低・未利用資源、安価な水産物、地域特産水産物を
用いた加工品の開発・改良研究、加工原料及び加工
行った。
5)品質分析
加工業者から7件の分析依頼があり、一般成分等
の分析を行った。(表4)
品の品質検査等を行った。
また、水産加工を行う沿岸漁業者や漁村の女性グ
ループ等の資質の向上のため、加工研修、巡回指導
6)新製品の開発・改良研究
次の調味加工品、練製品、燻製品等について試作
した。
を実施した。
①調味加工品:味付けアワビ(図1)
、ドジョウ鍋(図
2)
②練製品:タチウオ中骨入り天ぷら
事業の内容および結果
③燻製品:タイラギ貝柱の燻製(図3)
④その他:ブリ魚醤油、ブリ中骨入りかりんとう
1)一般加工研修
漁協、沿岸漁業者等を対象に2回実施した。
(表1 )
表3
2)随時受け入れ研修
加工相談等施設の利用状況
加工相談*
当センター内の加工施設を開放し、加工研修を実
項目
加工研修
視
察
施した。 51回、のべ 127名を受け入れ、雑魚のすり
件数
37
51
93
身天ぷら、焼きタコ、アジの開き(梅酢味)の製造 、
人数
74
127
242
*:電話相談は含まない、来所分のみ。
塩蔵ミズクラゲの加工等を行った。(表2)
3)加工相談等施設の利用状況
表4
加工相談を含めた施設の利用状況は表3のとおり
分析試料
である。
マイワシ、アジ
4)巡回指導
中津市、豊後高田市、杵築市、佐賀関町、臼杵市 、
表1
開催時期
内
依頼分析
分析検体数 (項目数)
34(15)
分析内容
一般成分、塩分
サバ、ブリ、
K値、VBN
チリメン
色度等
一般加工研修
容
対
象
者
12月 1日 地元水産物の簡易加工 JFおおいた中津支店
人数
7
組合員、職員
1月27日 水産の鮮度保持
表2
研修回数
加工材料
JFおおいた職員
15
随時受け入れ研修
51回、127名
アジ、アナゴ、エソ、ボラ、タチウオ
ブリ、サバ、タコ、コウイカ、アワビ、
タイラギガイ、ドジョウ等
研修内容
調味加工品、塩蔵加工品、レトルト食品
等の製造
図1
味付けアワビ
平 成 15 年 度
図2
ドジョウ鍋(レトルト)
69
図3
タイラギ貝柱の燻製
大分県海水研事業報告
70
高品質加工品技術開発事業
水産加工廃棄物からの機能性成分の抽出利用と食品開発(養殖ブリ)
(国庫補助)
猿渡
実
表1
事業の目的
大分県のブリ養殖生産量は約11,000トン(2002年 )
で最近の魚価の低迷から、業界ではフィレーやブロ
酵素
A
B
C
D
魚醤油製造に使用した酵素
由 来
pH範囲(至適) 温度範囲(至適)
Aspergillus.melleus
7∼9(8) 35∼50℃(45℃)
A.oryzae
6∼8(7) 40∼55℃(45∼50℃)
A.oryzae
5∼8(7) 45∼60℃(50℃)
A.oryzae
3∼6(4.5) 45∼60℃(50℃)
ックに加工し、付加価値を付けて販売しようとして
いる。年間の養殖ブリ加工量は 2,000∼ 3,000トン程
度で、この加工の際に生じる残滓(原材料の約40%)
のほとんどが廃棄物として処理されている。従って、
県内では年間に 1,000トン程度のブリ加工残滓が未
利用資源になっていると推定される。このため、廃
棄物(ゴミ)の減量の観点からもブリ加工残滓の資
未利用部位
工廃棄物の減量化とブリ養殖および加工業の振興を
食塩(20%)および酵素(0.2%)添加
もろみ原料
発酵(30℃、12週間)
(時々攪拌)
もろみ
源化が求められている。本事業は、地元の企業でも
実施できるブリ加工残滓の有効利用法を開発し、加
水洗い、チョッパー
ミンチ
ふるいでろ過
火入れ
ろ紙でろ過
魚醤油
図ることを目的とした。
図1
魚醤油の製造工程
事業の方法
みを行った。仕込み後、30℃に設定した恒温室に保
1)養殖ブリ加工残滓の部位別割合
当センターの網生け簀で飼育していたブリを4月2
存し、最初の 3日間は毎日攪拌したが、その後は毎
週1回の攪拌とした。
1日、7月1日、1月14日に取り上げ、フィレーに加工
仕込み 12週間後、もろみは 1mm目のふるいでろ
した。未利用部は鱗、頭部、鰓、内臓、および背骨
過後、ろ液を85℃で25分間加熱し、火入れをした。
部(骨周辺の肉 、いわゆる中落ちも含まれる。以下、
これを 2日間静置した後、ろ紙(東洋ろ紙 No.1)で
「背骨」という 。)に分け、その割合を求めた。ま
ろ過し、オリ等を除去したものを魚醤油試料とした。
た、フィレーに解体後、さらに、かま、皮(皮剥ぎ
もろみからの重量比を魚醤油の回収率とした。
機で処理)の割合も求めた。
2)加工未利用部の機能性成分とその利用
フィレー、ブロック加工の際に生じる未利用部の
うち、頭部、背骨、鰓、鱗、皮の成分を調べた。
また、その有用成分を利用した食品(菓子)を試
また、仕込み前に 90∼ 100℃で 15分間蒸煮したも
の(加熱処理 )、添加食塩を 15%に減量したもの、
および仕込み期間を20週にしたものについても同様
の処理を行い、比較検討した。
各項目の測定、成分分析は表2の方法で行った。
作した。
3)加工食品開発
ブリの加工未利用部を使用し、魚醤油を試作した。
事業の結果
頭部、背骨、鰓をそれぞれ、 10mm目のチョッパー
で砕いたものを原料とした。この原料に対して、20
1)養殖ブリ加工残滓の部位別割合
%の食塩と市販のタンパク質分解酵素(A、B、C、
表3にフィレー加工後の各部位の重量比を示し
D:いずれも麹菌由来、表1)を 0.2%加え、仕込
た。ブリの魚体重は約 3kgで、加工の際のフィレー
歩留まりは 59.0∼ 64.7%であった。未利用部は重量
平 成 15
表2
成
分
水
分
分
析
方
法
常圧加熱乾燥法(105℃、3時間)
ケルダール法
粗脂肪
クロロホルム・メタノール抽出法
分
直接灰化法
炭水化物
差し引き法
塩
分
モール法
EPA・DHA
ガスクロマトグラフ法
カルシウム
キレート滴定法
遊離アミノ酸
アミノ酸自動分析
ペプチド量
71
一般成分等の分析方法
粗蛋白、全窒素
灰
年 度
表3
フィレー加工残滓の部位別割合
時 期
4月下旬
平均魚体重(kg)
3.02
使用尾数(尾)
15
部位別割合(%) 鱗
0.4
頭部
12.5
鰓
3.9
背骨
12.8
内蔵
8.2
フィレー
61.1
かま
12.1
皮
2.0
7月上旬
3.07
43
1月中旬
3.03
20
0.2
14.8
4.8
12.0
4.6
59.0
11.2
2.3
0.2
12.4
4.4
10.6
7.8
64.7
−
−
Lowry-Folin法
比で頭部、背骨、内臓、鰓、鱗の順となった。各部
背骨
チョッパー(10mm目、2mm目)
水晒し
脱水
の割合は、鱗 0.2∼ 0.4%、頭部 12.4∼ 14.8%、鰓 3.9
∼ 4.8%、背骨 10.6∼ 12.8%、内臓 4.6∼ 8.2%の範囲
ミンチ肉
小麦粉、砂糖
卵、バター、塩
であった。季節的には夏場に痩せ(肥満度 15.8)、
フィレー歩留まりは低く、冬場には魚体は太り(肥
生地
型抜き
油で揚げる
満度 16.9)、歩留まりが高まる傾向がみられた。ま
た、フィレー加工後のかま、皮の割合は、それぞれ
黒ごまを加え細断
油で揚げる
砂糖でりんかけ
ドーナツ
かりんとう
11.2∼12.1%、2.0∼2.3%であった。
2)加工未利用部位の機能性成分とその利用
表4に頭部、背骨、鰓、鱗、皮の各部位の水分、
図2
試作品の製造工程
図3 ブリ背骨部から作ったドーナツとかりんとう
脂質、タンパク質、灰分、炭水化物、およびカルシ
ウム含量等を示した。脂質は頭部、背骨に多く存在
し、EPA・DHAも脂質と同様に、頭部>背骨>
鰓の順で豊富に含まれていた。カルシウム量は鱗で
7.3%と高く、頭部、背骨にも多かった。ヒドロキ
シプロリンは鱗、皮に多く、この部分にコラーゲン
が多く存在すると考えられた。
加工未利用部の有用成分のうち、含量が高いカル
シウムに着目し、それを利用した菓子(ドーナツ、
率」という )、p H、塩分量、全窒素量、遊離アミ
かりんとう)を試作した。使用部位は、加工残滓の
ノ酸のうちのグルタミン酸量、およびペプチド量(分
約1/3を占め 、頭部に比べ加工が容易な背骨とした。
子量 5,000以下)を表4に示した。また、市販の国
背骨部を細粉するため、3回のチョッパー処理
産(原料:イワシ)およびベトナム産(原料:アジ
( 10mm× 1回、 2mm×2回)を行った。得られた
類)魚醤油と比較した。
ものは水晒しを 1回行い、加圧脱水後、加工原料の
使用酵素剤による差は、頭部で大きく、酵素 Dの
ミンチ肉とした。これに小麦粉等を混ぜ合わせ、ド
回収率が低かったが、酵素 A、 B、 Cに大きな差は
ーナツ、かりんとうを試作した。(図2)
みられなかった。
試作品(図3)はブリの骨粒が若干気になるもの
次に酵素 Aで作った試料について、添加塩分量等
の、概ね好評であった。また、肉を水晒しすること
による差をみた。添加塩分量は20%から15%に低減
で、カルシウム量が約20%減少するものの、いやな
することで回収率が向上した。
臭いがなくなり、食べ易くなり、子供にも抵抗なく
ブリの加工残滓には脂質、灰分が多く、対水塩分
受け入れられた。試作品 100gあたりのカルシウム
濃度が高くなり、 20%の塩分添加では発酵が遅れる
量はドーナツが 1.05g(熱量 463kcal)、かりんとう
と考えられた。
は0.77g(同551kcal)であった。
1)加工食品開発
各試料のもろみからの魚醤油回収率(以下「回収
部位別には、鰓の回収率が高く、12週間の発酵で
40%近くになった。
大分県海水研事業報告
72
表4
部位
水分
頭部
背骨
鰓
鱗
皮
60.5
66.9
75.9
53.5
70.0
加工未利用部の一般成分と有用成分(%)
ヒドロキシ
脂質 タンパク質 灰分 炭水化物 EPA DHA カルシウム プロリン
17.7
15.6
5.9
0.2
1.1
2.0
2.0
0.6
11.2
18.2
3.6
0.1
0.5
1.0
1.8
0.6
6.1
12.9
4.7
0.5
0.3
0.7
1.4
0.6
2.4
29.2
14.8
0.1
−
−
7.3
1.7
9.4
18.9
1.4
0.2
−
−
0.4
1.7
表5
No
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
魚醤油試料の分析結果
添加塩
発酵期 回収率
分量 加熱
pH
間
(%)
(%)
酵素A
頭部 20
○ 12週間 17.2 6.14
酵素D
頭部 20
○
〃
12.9 5.96
酵素B
頭部 20
○
〃
19.2 6.14
酵素C
頭部 20
○
〃
21.6 6.29
酵素A
頭部 15
○
〃
31.1 6.20
酵素A
頭部 20
×
〃
42.9 6.15
酵素A
背骨 20
○
〃
16.3 5.92
酵素D
背骨 20
○
〃
15.1 5.83
酵素B
背骨 20
○
〃
18.2 5.99
酵素C
背骨 20
○
〃
17.7 5.92
酵素A
背骨 20
×
〃
52.1 5.85
酵素A
鰓
○
20
〃
38.7 5.89
酵素A
鰓
×
20
〃
41.0 5.58
酵素A
頭部 20
× 20週間 47.3 5.75
酵素B
頭部 20
×
〃
43.9 5.83
酵素C
頭部 20
×
〃
44.1 5.81
酵素A
鰓
×
20
〃
53.7 5.84
酵素B
鰓
×
20
〃
43.8 6.01
国産魚醤油 (イワシ)
5.46
使用酵素
等
ベトナム産
20 魚醤油
部位
(アジ類)
遊離グル
塩 分 全窒素 タミン酸 ペプチド 官能
評価
(%) (%) (g/100ml) (g/100ml)
25.3
22.5
22.4
22.9
19.2
22.6
20.6
22.3
22.4
21.7
21.1
20.2
19.9
22.9
22.6
23.3
20.0
20.0
16.1
2.49
2.45
2.50
2.27
2.62
2.24
2.23
2.16
2.39
2.31
2.28
1.93
2.32
2.17
2.01
2.14
1.78
1.61
1.97
0.49
0.64
0.23
0.57
0.63
0.69
0.60
0.87
0.37
0.75
0.97
0.48
0.88
0.81
0.71
0.95
0.55
0.62
1.35
2.22
1.78
2.07
2.10
2.15
1.95
2.63
2.06
2.58
2.27
2.43
2.22
1.98
2.29
2.49
2.26
2.20
1.98
2.77
2
3
2
2
3
2
3
4
2
2
3
3
3
2
2
3
3
2
2
6.33 19.1
2.08
3.65
3.80
2
注1) 回収率=(魚醤油/もろみ)×100(%)
注2) 官能評価:良い5,やや良い4、ふつう3,やや悪い2,悪い1
頭部、背骨で加熱処理を行わなかったものの方が、
次に、パネル4名による魚醤油試料の香り、味の
発酵が進み、回収率が大きく上昇した。加熱処理が
点での嗜好性の官能評価を行った。試作魚醤油は、
発酵の妨げになる要因は、加熱処理をすると各部位
香り、味が薄いが、市販の魚醤油に比べ評価は劣ら
で水分量が 5∼ 10%低下し、対水塩分濃度が上昇す
ず、むしろ嗜好性が高いのものが多かった。
(表5)
ることにあると思われる。
発酵期間では、20週間発酵で頭部、鰓ともに回収
率が高くなるが、顕著な差ではなかった。
市販の魚醤油と比べると、試作魚醤油は15%食塩
添加区( No5)を除いて塩分量が全体的に高く、ほ
以上のことから、酵素 Aを使う場合は、原料は加
熱処理を行わず、15%の食塩添加が望ましいと考え
られた。通常 、魚醤油製造には1年以上を要するが、
市販の酵素剤を使うことでその期間を3∼5ヶ月程
度に短縮できると思われる。
とんどが20%を超えていた。
試料中の遊離グルタミン酸量は 0.23∼ 0.97g/100ml
で、今回分析に供した市販魚醤油には及ばないもの
今後の課題
の、 1g/100ml近く存在するものもみられ、市販のし
1)魚醤油製造のよりよい条件の検討と短期間で製
ょっつる、いしると遜色ない値を示した。また、加
造できる調味料の開発する。
熱処理をしていないものの方が高い傾向であった。
2)加工廃棄物に含まれる機能性成分を活用した食
ペプチド量は 1.78∼ 2.63g/100mlで試料間で大きな差
品の開発。
はみられなかった。
3)魚醤油製造等の際のろ過物(骨など)の再利用 。
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