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2016 - in
アニュアルレポート 2016
Realize Potential,
Sustain Growth
ポテンシャリティを発揮し、
持続的成長を実現
Contents
2 「印刷テクノロジー」
が
可能にするトータルソリューション
4 トッパン-116年にわたる価値の創造
6 セグメント別製品・サービス概要
8 連結財務ハイライト
10 セグメントハイライト
12 株主・投資家の皆さまへ
14 社長メッセージ
22 セグメント別営業概況
印刷テクノロジー
を核に新たな
価値を提供
24 事業セグメント別戦略
24 情報コミュニケーション事業分野
28 生活・産業事業分野
32 エレクトロニクス事業分野
34 トッパンの活動
36 トッパンの企業像
印刷技術は、人類の文化や社会に対し
計り知れない変革をもたらしました。
トッパンは、
この情報インフラとしての
38 取締役および監査役
技術が内包する豊かな可能性に着目し、
42 コーポレートガバナンス
独自のソリューション体系
「印刷テクノロジー」
へと発展させました。
46 社内管理体制
47 トッパンの社会的責任活動
52 主要連結子会社および関連会社
56 海外ネットワーク
現在では、
この印刷テクノロジーを核に
「情報コミュニケーション」
「生活・産業」
「エレクトロニクス」
の
58 事業所一覧
3つの事業分野で従来の印刷の領域を超え、
59 財務セクション
幅広い製品・サービスを提供しています。
76 会社情報および株式の状況
2016年3月末現在、
トッパンは国内外に展開するグループ会社167社を擁し、
総従業員数は46,705名に達し、
2016年3月期の連結売上高は1兆4,747億円となっています。
トッパンは、
これからも変革と挑戦を続け、2000年に制定した
編集方針
2016年版アニュアルレポートは、機関投
資家との対話によって得られた知見を基に、
創業以来、
トッパンが培ってきた強みである
「印刷テクノロジー」
をベースとして、統合的
な視点で当社の活動や成長戦略を報告して
います。また、社会とのかかわりという視点
のもと、CSR
(企業の社会的責任)
に対する考
え方・活動を、ISO26000に沿って紹介して
います。企業活動を通じて社会課題の解決を
めざしている当社へのご理解の一助となり
ましたら幸いです。
なお、財務状況に関するより詳しい情報に
ついては、有価証券報告書をご覧ください。
*本文中の敬称は省略しています。
*本文中の商号および製品・サービス名称は、各社の
商標または登録商標です。
*本文中の書体は、ユニバーサルデザインの観点から
UDフォントを使用しています。
「TOPPAN VISION 21」
の考えに基づき新たな価値を提供し、
成長を続けていきます。
情報
コミュニケーション
ビジネスフォーム
マーケティング
セキュア
コンテンツ
いろど
半導体関連
エレクトロニクス
ち
わざ
彩りの知と技
印刷テクノロジー
ディスプレイ
関連
パッケージ
建装材
生活・産業
高機能・
エネルギー関連
販売促進スタッフ
印刷機オペレーター
トッパンの販売促進スタッフは、企画・提案等を通して、
お客さ
印刷機の操作をするオペレーターは、
印刷物を製造する要の役
研究員
技術開発の中核を担う総合研究所では、新規事業を創出す
まの課題解決に努めています。展示会での製品・サービス紹
割を担っています。技術を継承・研鑽し、
高品質な印刷物を提供
るための研究開発と、既存事業へ新商品を提供するための研
介もその活動の一例です。
しています。
究開発を推進しています。
Toppan Annual Report 2016
1
「印 刷テクノロジー」が 可能にする
トータルソリューション
トッパンの社名の由来となった
「エルヘート凸版法」
はかつて大蔵省紙幣寮
(現・独立行政法人 国立印刷局)
で
紙幣類の印刷に用いられ、その精緻な紋様はきわめて高い偽造防止効果を持っていました。
当社は創業以来、紙幣を含む有価証券類の印刷に強みを発揮し、
高度のセキュリティに支えられた
「情報加工」
技術を蓄積していきます。
また、草創期の経営を支えたパッケージ印刷事業は、後年展開される
「表面加工」
「成型加工」
技術の源流となりました。
戦後、高度経済成長の波に乗って、
トッパンはその事業領域を大きく広げていきます。
製版のエッチング工程からはさまざまな
「微細加工」
技術が分岐し、
すべての顧客接点をカバーするメディア・コーディネートの実績は、
「マーケティング・ソリューション」
を誕生させました。
マーケティング・
ソリューション
トッパンの原点
印刷術
印刷技術
融合
・
進化
5
つのコアテ クノロジ ー
マーケティング
IT
クリエイティブ
情報加工
ポスター
有価証券
教科書
絵葉書
微細加工
製糖用フィルタ
表面加工
煙草包紙
成型加工
紙箱
加工技術
原点
2
Toppan Annual Report 2016
このように、
「印刷技術」
にさまざまな知識・ノウハウと加工技術が融合し、進化することで、
トッパンは独自のリソースとして
「印刷テクノロジー」
を体系化しました。
「情報加工」
「微細加工」
「表面加工」
「成型加工」
および「マーケティング・ソリューション」
これら5つのコアテクノロジーは、それぞれが独自性を持つ技術であると同時に、
複合的に組み合わせることで、新たなソリューションを創出する能力を持っています。
トッパンでは、
この
「印刷テクノロジー」
にお客さま視点を加えることで、
さまざまな課題解決につながる、
「トータルソリューション」
の提供を行っています。
「印刷テクノロジー」
が実現してきたさまざまなソリューション
商品開発支援
Webマーケティング
店頭広告
消費行動調査
ほか
IT活用ソリューション
電子出版
デジタルサイネージ
O2Oプロモーション
書籍・雑誌
ほか
安全・安心ソリューション
BookLive!
Shufoo!
ほか
拡張現実
教育
ヘルスケア
スマートシティ
フォトマスク
ホログラム
エッチング応用製品
カラーフィルタ
リードフレーム ほか
FC-BGAサブストレート ほか
空間デザイン
照明
遺伝子解析
有機EL
電子ペーパー
GL FILM
カートカン
壁紙
反射防止フィルム ほか
情報記録材
ほか
®
環境配慮型建装材
燃料電池
二次電池
バイオマス包材
お 客 さ ま・社 会へ
カタログ
ビジュアルソリューション
「 印 刷 テ ク ノロジ ー 」を 駆 使 し
磁気カード
お 客 さ ま 視 点 に 立った ト ー タルソリュー ション
BPOソリューション ほか
臨床美術
樹脂ボトル
段ボール
ほか
環境関連
EP-PAK
プラスチック成形品
詰め替え容器
ほか
現在
複合容器
…
液体容器
将来
Toppan Annual Report 2016
3
トッパン
—116年にわたる価値の創造
トッパンは、1900年に当時最先端の
「エルヘート凸版法」
を手に創業し、今日に至るまで、新たな技術の開発と新市場の創
出により、着実に発展を遂げてきました。1959年にエレクトロニクス事業へ進出、さらに1961年には企画制作・マーケ
ティング部門を設立するなど、常に社会と人々のニーズを的確に捉え、事業領域を拡大してきました。
リアルとデジタルを融合させた販促企画、高度のセキュリティに裏打ちされたBPO事業、
またバリアフィルムや液晶カラー
フィルタ、電子書籍事業から、教育現場に対するコンテンツやシステムの提供、
さらには遺伝子解析などヘルスケア関連
事業まで。社会の変化の根底にニーズを見いだし、ビジネスのシーズに結びつけることで、
トッパンは、常に新たな価値を
創造し、事業分野の拡大に努めてきました。
証券印刷
1902
(明治35年)
サービスセンター
(現トッパン
アイデアセンター)
設立
1961
(昭和36年)
ビジネスフォーム
1955
(昭和30年)
出版印刷
1907
(明治40年)
コンピュータ組版
(CTS)
実用化
1970
(昭和45年)
商業印刷
1901
(明治34年)
創 業
1900
(明治33年)
紙器
軟包材
1900(明治33年)
1938(昭和13年) 建装材
1956(昭和31年)
エレクトロニクス
1959
(昭和34年)
撮像管用
カラーストライプ
フィルタの開発
メサ型トランジスタ
(昭和46年)
製造用マスクの開発 1971
4
Toppan Annual Report 2016
報
情
コ
ミ
ュ
消費行動
研究室全国展開
1985
(昭和60年)
ICチップインカード開発
1983
(昭和58年)
ニ
ケ
ー
シ
ョ
ン
事
業
分
野
トッパングループ・データセンター稼働
2013
(平成25年)
トータルソリューション提案を
積極的に展開
ITビジネス
1994
(平成6年)
BPO事業への
取り組み強化
電子チラシポータルサイト
「Shufoo!
(シュフー)
」
2001
(平成13年)
総合電子書籍ストア
「BookLive!」
オープン
2011
(平成23年)
シンガポール大手印刷会社
SNP社
(現・トッパンリーフォン)
を買収
2008
(平成20年)
業分野
事
業
産
生 活・
機能性フィルムの
生産拠点を新設
群馬センター工場竣工
2009
(平成21年) 2014
(平成26年)
GLフィルム開発
1986
(昭和61年)
透明バリアフィルム
生産拠点
(米国)
竣工
2016
(平成28年)
カートカン®販売開始
1996
(平成8年)
環境配慮型の建装材を開発
1995
(平成7年)
不燃製品を開発
2009
(平成21年)
大型カラーフィルタの製造を開始
2004
(平成16年)
エレ
トッパン フォトマスクス インク設立
2005
(平成17年)
クト
オルタステクノロジーをグループ化
2010
(平成22年)
銅タッチパネルの量産開始
2013
(平成25年)
ロニ
クス
事業
分野
Toppan Annual Report 2016
5
セ グメント別 製 品・サービ ス 概 要
情報コミュニケーション
事業分野
円滑なコミュニケーションを求める
お客さまに対し、
「 情 報の価 値を高
める」
「 情 報を効 果 的 に 届 ける」ソ
セキュア関連
証券類全般、通帳、商品券、ギフト券、各種くじ、ビジネスフォーム、
ICカード、各種カード、ICカード店頭即時発行サービス、
カードプリン
タ、ギフトカードASPサービス、
ネットワークセキュリティシステム、ホ
ログラムなどの偽造防止デバイス、セキュア関連業務の各種アウト
ソーシング受託
(BPO)
、
マニュアル制作、報告書制作 など
ギフトカード
リューションを提供する事業分野
ICカード
マーケティング関連
ポスター、カタログ、パンフレット、チラシ、ダイレクトメール、カレン
ダー、年史、各種コーポレートコミュニケーションツール、POP、ギフ
ト、プレミアム、スペースデザイン、イベント、各種プロモーション企
画・運営、
メディアサービス、映像制作、アプリケーション開発、シス
テム開発・運用、コミュニケー
店頭広告(POP)
ション業務の各種アウトソー
シング受託
(BPO)
など
パンフレット・カタログ
生活・産業
事業分野
快適で安心できる生活環境づくりを
めざし、さまざまな製品とサービス
をグローバルに提供する事業分野
パッケージ関連
軟包装、紙器、
カップ、
プラスチック成形品、液体複合容器、
ラベル、段
ボール、素 材・機 能 性 包 材の開 発・製 造 、材 料・構 造の設 計 、包 装
関 連システム機 械の開 発・製 造 、コントラクト・受 託 充 填 、マーケ
ティング 企画、商品企画、コミュニケーション企画、UDコンサル
ティング など
エアホールドパウチⓇ
GL BARRIER
エレクトロニクス
事業分野
技術開発力をベースに、ディスプレ
ディスプレイ関連
ルマスク、TFT液晶ディスプレイ など
反射防止フィルム
供する事業分野
カラーフィルタ
Toppan Annual Report 2016
蒸できスタンディングパウチ カラーフィルタ、反射防止フィルム、銅タッチパネル、有機EL用メタ
イ関 連 や 、半 導 体 関 連 の 製 品を提
6
BPO関連
TFT液晶
ビジネスフォーム関連
連続フォーム、統一伝票、封筒、
カタログ、パンフレット、チラシ、
カード、
電子メディア関連業務、データ・プリント・サービス
(DPS)
、
ドキュメント
マネジメント、RFIDソリューション、NFC、機器類の販売・保守 など
最先端の偽造防止技術を用いた各国の
パスポート
データ・プリント・サービス
ペーパーレス申込システム
ビジネスフォーム
コンテンツ関連
週刊誌・月刊誌などの雑誌、付録の企画・製造、単行本、美術書、辞書・事典な
どの書籍、コミックス、教科書、CD・DVD・Webなどの電子出版物、電子書
籍関連、出版企画・編集、各種プロモーション企画・運営、広告・アライアン
スビジネス など
電子チラシサービス
「Shufoo!」
総合電子書籍ストア
「BookLive!」
高画質画像(4K)
書籍・雑誌 高機能・エネルギー関連
東京書籍株式会社の手がける教科書
建装材関連
透明バリアフィルム
「GL BARRIER」、エレクトロニ
化粧紙、壁紙、床材、
イン
クス包材、
リチウムイオン二次電池関連部材、プリ
テリア部 材 、エクステリ
ンタ用記録メディア、精密加工・外装加飾部品、機
能紙「FSシリーズ」 など
ア商材、オリジナル商材
「101」
シリーズ など
カートカンⓇ
医療・医薬対応包材 プリンタ用記録メディア
機能紙
「FSシリーズ」
不燃商材
「マテリウムⓇ」
建装材向け化粧シート技術
「Smart NANOⓇ」
不燃アルミ製品
「フォルティナⓇ」
半導体関連
半導体用フォトマスク、FC-BGA基板、
リードフレーム、エッチング応用製品、
オンチップカラーフィルタ など
銅タッチパネル
有機EL用メタルマスク
FC-BGA基板
半導体用フォトマスク
オンチップカラーフィルタ
Toppan Annual Report 2016
7
連 結 財 務 ハイライト
凸版印刷株式会社および子会社
3月31日に終了した会計年度
2012年
2013年
2014年
会計年度
売上高
¥ 1,510,415
¥ 1,502,308
¥ 1,532,043
31,555
32,092
35,722
税金等調整前当期純利益
8,807
38,849
40,735
親会社株主に帰属する当期純利益
3,068
18,562
20,621
総資産当期純利益率
(ROA)
0.2%
1.2%
1.2%
自己資本当期純利益率
(ROE)
0.4%
2.5%
2.7%
営業利益
営業活動によるキャッシュ・フロー
¥
83,457
¥
103,596
¥
118,026
投資活動によるキャッシュ・フロー
(89,031)
(52,139)
(108,648)
財務活動によるキャッシュ・フロー
(89,755)
7,051
15,013
1株当たりデータ
(円)
1株当たり当期純利益
¥
4.77
潜在株式調整後1株当たり当期純利益
1株当たり配当金
研究開発費
¥
¥
28.90
¥
32.12
—
—
31.10
18.00
18.00
18.00
21,496
¥
20,689
¥
19,821
設備投資
66,814
76,827
72,177
減価償却費
80,923
67,965
62,473
総資産
¥ 1,586,823
¥ 1,633,066
¥ 1,712,351
純資産
866,219
888,422
913,108
自己資本比率
46.1%
46.3%
45.7%
有利子負債比率
35.4%
38.9%
42.1%
会計年度末
売 上 高および
営業利益率
1 株当たり配 当 金( D P S )および
1 株当たり純 利 益( E P S )
[十億円]
[%]
2,000
1,500
10.0
1,510.4 1,502.3 1,532.0 1,526.9 1,474.7
1,000
500
0
7.5
5.0
2.1
2.1
2.3
12年
13年
14年
2.7
15年
3.3
2.5
16年
0.0
■■ 売上高
営業利益率
8
Toppan Annual Report 2016
純 資 産および
自己 資 本 当 期 純 利 益 率( R OE)
[円]
[円]
30
60
55.04
25
20
50
18.0
18.0
15
28.90
10
18.0
32.12
18.0
18.0
30
35.67
20
10
5
0
40
4.77
12年
13年
14年
15年
16年
0
■■ 1株当たり配当金
(DPS)
1株当たり純利益
(EPS)
[十億円]
[%]
1,200
900
1,082.8 1,066.9
866.2
600
888.4
913.1
4.5
3.8
2.5
2.7
3.0
2.7
300
0
6.0
1.5
0.4
12年
13年
14年
15年
16年
0.0
■■ 純資産
自己資本当期純利益率
(ROE)
単位:百万円(1株当たりデータ除く)
2016年
2015年
増減率
(%)
2016年
¥ 1,526,915
¥ 1,474,682
-3.4%
40,877
48,532
18.7%
46,405
52,968
14.1%
22,868
35,245
54.1%
1.2%
1.8%
2.7%
3.8%
104,111
¥   101,632
¥
営業利益
1兆 4,747億円 485億円
当期の売上高は前期に比べ3.4%減の1兆4,747億円となりま
した。
事業セグメント別では、情報コミュニケーション事業分野で増収
だったものの、生活・産業事業分野とエレクトロニクス事業分野
営業利益は前期に比べ18.7%増の485億円となりました。エレ
クトロニクス事業分野で減益となったものの、情報コミュニケー
-2.4%
(70,603)
(55,294)
-21.7%
9,876
(89,282)
—
¥      55.04
54.3%
31.96
49.34
54.4%
18.00
18.00
0.0%
19,084
¥     17,975
-5.8%
76,138
63,203
-17.0%
61,176
59,692
-2.4%
¥ 1,994,642
¥ 1,876,575
-5.9%
1,082,844
1,066,852
-1.5%
46.8%
49.8%
38.3%
30.1%
¥
売上高
では、減収となりました。
35.67
¥
経 営 成 績の説 明
ション事業分野と生活・産業事業分野で増益となりました。
1株当たり配当金(DPS)
18 円00 銭
当期の期末配当は、1株当たり9円00銭といたしました。
これに
より中間配当
(1株につき9円00銭)
と合わせて、1株当たり年
間配当金は18円00銭となりました。
財 政 状 態に関する説 明
総資産
純資産
1兆8,766億円 1兆 669億円
当期における総資産は、前期に比べ1,181億円減少し1兆
8,766億円となりました。これは現金及び現金同等物が432億
円、投資有価証券が273億円、受取手形及び売掛金が184億
円、
それぞれ減少したことなどによるものです。
負債は、前期に比べ1,021億円減少し 8,097億円となりまし
た。これは長期借入債務が460億円、1年以内に返済期限の
到来する長期借入債務が309億円、
それぞれ減少したことなど
総 資産および
総 資産当 期 純 利 益 率( R O A )
[十億円]
1,994.6
2,000
1,500
1,586.8 1,633.1
1,712.4
1,876.6
1.8
1.2
純資産は、前期に比べ160億円減少し1兆669億円となりまし
[%]
4.0
3.0
1,000
500
によるものです。
1.2
12年
13年
14年
将来予測表記に関する特記
1.0
いた将来予測表明です。
これらの将来予測表記には、既知、未知のリスクや仮定などが
当アニュアルレポートの記載内容のうち、将来予測表記は、現在入手可能な情報に基づ
1.2
15年
持分が169億円、
その他有価証券評価差額金が120億円減少
したことなどによるものです。
2.0
0.2
0
た。これは利益剰余金が224億円増加したものの、非支配株主
16年
0.0
■■ 総資産
総資産当期純利益率
(ROA)
含まれており、
それらの可変要因やその他のリスク要因によって、
実際の成果や業績など
が、
記載の予測とは大きく異なる可能性があります。
当日本語版アニュアルレポートについて
当日本語版アニュアルレポートは、英語版アニュアルレポートの翻訳であり、掲載する
連結財務諸表もこれに準じております。なお、当日本語版においては、英語版に掲載し
ている連結財務諸表注記ならびに監査報告書については、省略しております。
Toppan Annual Report 2016
9
セ グメントハイライト
注:2015年4月に事業本部を再編し、
「生活・産業事業本部」
および
「エレクトロニクス事業本部」
を設立したことに伴い、当期より報告セグメントの区分を変更しています。
以下の前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後の事業区分に組み替えた数値で比較しています。
情報コミュニケーション事業分野
生活・産業事業分野
エレクトロニクス事業分野
2016年3月期
2016年3月期
2016年3月期
売上高
売上高
売上高
9,386 億円
0.7%増
営業利益
578億円
21.2%増
4,105 億円
2.2%減
営業利益
営業利益
145 億円
31.8%増
セグメント別売上高比率
1,530 億円
24.8%減
34億円
46.5%減
セグメント別営業利益比率
エレクトロニクス事業分野
エレクトロニクス事業分野
10.3%
4.5%
生活・産業事業分野
19.1%
情報コミュニケーション事業分野
生活・産業事業分野
情報コミュニケーション事業分野
62.8%
26.9%
76.4%
※外部顧客に対する売上高で計算しています。
※全社費用調整前の数値で計算しています。
セグメント別外部顧客への売上高およびセグメント別営業利益の推移
情報コミュニケーション事業分野
[十億円]
1,000
生活・産業事業分野
[十億円]
80
925.9
917.4
57.8
750
60
47.7
[十億円]
400
40
200
250
0
20
15年
■ 外部顧客への売上高
10
Toppan Annual Report 2016
[十億円]
500
406.2
396.1
300
500
16年
■ 営業利益
0
エレクトロニクス事業分野
14.5
11.0
15年
■ 外部顧客への売上高 [十億円]
500
25
20
400
20
15
300
15
10
200
100
0
[十億円]
25
16年
■ 営業利益
5
100
0
0
203.2
6.4
10
152.6
3.4
15年
■ 外部顧客への売上高 16年
■ 営業利益
5
0
セグメント別設備投資額比率
設備投資額の推移
■ 情報コミュニケーション事業分野
情報コミュニケーション事業分野
エレクトロニクス事業分野
44.1%
13.3%
■ 生活・産業事業分野
■ エレクトロニクス事業分野
[十億円]
50
40
30.2
30
25.5 24.6
22.4
20
17.0
10
7.7
生活・産業事業分野
42.6%
0
地域別売上高比率
16年
地域別売上高の推移
日本
その他の地域
アジア
15年
3.9%
[十億円]
1,500
10.6%
1,200
1,296.7
1,273.2
1,282.2
1,262.8
1,261.0
12年
13年
14年
15年
16年
900
600
300
日本
85.5%
地域別売上高の推移
0
地域別売上高の推移
アジア
その他の地域
[十億円]
[十億円]
250
100
200
170.3
179.4
193.8
200.6
75
156.9
150
50
100
56.1
63.6
56.9
25
50
0
43.4
49.7
12年
13年
14年
15年
16年
0
12年
13年
14年
15年
16年
Toppan Annual Report 2016
11
株 主・投 資 家の皆さまへ
社会とともに成 長していく企業グループとして
独自の価 値 創造を追求するとともに
社 会 課 題の解 決に貢献してまいります。
印刷業の本質は、
「TOPPAN VISION 21」
に示されて
トッパンは、
「 印刷テクノロジー」
を駆使し、常に新しい価
いるように、
「 情報・文化の担い手として、ふれあい豊かな
値を創出することで、事業を発展させてまいりました。変化
くらしに貢献する」
ことにあります。当社は創業以来、既成
する社会のニーズを着実に取り込み、ビジネスへ転換する
の印刷概念を進化させ、事業領域を拡大・発展させること
トッパンの柔軟かつ革新的なソリューション力は、今後さ
で、経済的側面にとどまらない社会的な
「価値」
を創造し
らにその真価を発揮していくと確信しています。
てきました。文化財のデジタルアーカイブ化、環境に配慮
2016年3月期は、デジタル化やグローバル化の流れを
した容器の提供、
また
「サントリー音楽賞」
に輝いたトッパ
捉え、新たな収益モデルの確立を図りました。さらに、事業
ンホールなど、その例は枚挙にいとまがありません。企業
ポートフォリオの転換をめざし、本格的に舵を切った年でし
には、個人の人格と同様、
“社格”
というものがありますが、
た。既存事業における構造改革を推進する一方で、新たな
トッパンの社格は、社会とのかかわりのなかで、
こうしたた
海外拠点の構築など、今後の成長に向けた種まきを着実
ゆまぬ努力によって形成されてきたものです。
に推進できたと感じています。また、経営面では、ガバナン
トッパンの理念の一端は、従業員に対する姿勢にも表
ス体制の変革を実施いたしました。
れています。当社では
「企業は人なり」
の視点から、人材を
2017年3月期は、新たな経営体制のもと、これからの
「人財」
と捉え、その開発・育成に力を注いできました。ま
トッパンのあるべき姿をしっかりと考え、その実現に向け
た、女性社員の活躍支援にも積極的に取り組み、働きがい
た道筋を描くとともに、成長のための基礎固めを推進いた
のある会社づくりに努めるとともに、従業員の多様な働き
します。まずは、徹底的な構造改革により経営基盤を強化
方を支援してきました。
し、そのうえで成長事業領域における横断的なアプローチ
「社会から信頼され、尊敬され、そのうえで強い企業グ
を通じてさらなる飛躍へとつなげてまいります。
ループ」
たるべく、当社は今後も真摯に事業活動に取り組
今後も、中長期的な経営課題に取り組むことにより、持
んでまいります。株主・投資家の皆さまには、変わらぬご支
続的な成長を図るとともに、社会課題の解決に貢献してま
援のほどお願い申し上げます。
いります。
2016年8月
2016年8月
代表取締役会長
12
Toppan Annual Report 2016
代表取締役社長
代表取締役会長 足立 直樹
代表取締役社長 金子 眞吾
Toppan Annual Report 2016
13
社 長メッセージ
グ ル ープ の 多 彩 なリソースを活 用し、
変 化 する 時 代 の な か で
持 続 的 な 成 長を実 現していきます 。
代表取締役社長 金子
Q
A
眞吾
4期連続の増益達成を
どのように評価しますか?
基調が 続きました。その反面、個人消費の伸び 悩みや、
中国をはじめアジア新興国経済の減速、年明け以降の急
激な円高・株安、原油安など、景気の先行きは引き続き不
厳しい経営環境のもと、
新たな収益モデルの早期確立に
グループ一丸で取り組んだ成果と
認識しています。
透明な状況で推移しています。
印刷業界においては、インターネット広告を中心に企
業の広告宣伝費が 拡大する一方、出版市場は依然とし
て縮小傾向にあります。ペーパーメディア需要の伸び悩
みに加え、業種・業態を超えた競争激化による単価下落
14
2016年3月期の日本経済は、企業収益や雇用・所得
など、全体的には厳しい経営環境となりました。
環境に改善の動きがみられ、全体としては緩やかな回復
こうしたなか、当社では、21世紀の企業像と事業領域
Toppan Annual Report 2016
を定めた
「TOPPAN VISION 21」
に基づき、グループ
ウドサービス、出版コンテンツのライツビジネスなど、デ
一丸となって収益体制の強化に取り組んできました。新
ジタル化を含む多メディア展開を強化しました。これらの
たな収益モデルを早期に確立するべく、既存事業では競
結果、売上高は前期比0.7%増の9,386億円、営業利益
争優位性の確立とコスト削減、新規事業では成長分野へ
は21.2%増の578億円となりました。
の積極的な経営資源投入に注力しました。
生活・産業事業分野においては、環境対応の需要を取
この結果、当期の連結決算は、売上高が前期比3.4%
り込み、パッケージ関連で軟包装材や「GL BARRIER」
減の1兆4,747億円となったものの、利益面では営業利
を採用した各種包装材が拡大しました。紙器は伸び悩ん
益が前期比18.7%増の485億円、親会社株主に帰属す
だ反 面 、紙 製 飲 料 缶「カートカン」は、リサイクル性や容
る当期純利益は前期比54.1%増の352億円で、4期連
器形状の差別化が評価され、順調に推移しました。また、
続の増益となりました。
2015年5月に本格稼働した群馬センター工場では、ク
リーンな生 産 環 境や高 度な品 質 管 理 体 制のもと、医 療
Q
A
各セグメント別の業績については
どのように評価しますか?
医 薬 向けなど高 付 加 価 値 品の生 産を強 化しました。高
機能・エネルギー関連ではリチウムイオン二次電池関連
部材が拡大し、
また建装材関連では、環境配慮型製品の
情報コミュニケーション事業と
生活・産業事業は収益性の向上、
エレクトロニクス事業は構造改革で
着実な成果を上げました。
「トッパンエコシート」、不 燃 化 粧パネル「マテリウム」な
どを積極展開しましたが、一方で国内向けが伸び悩みま
した。これらの結果、売上高は前期比2.2%減の4,105
億円、営業利益は31.8%増の145億円となりました。
エレクトロニクス事業分野においては、中小型液晶パ
情報コミュニケーション事業分野においては、個人情
ネルの生産調整長期化を受けて、ディスプレイ関連のカ
報保護への関心が高まるなか、セキュア関連でICカード
ラーフィルタが伸び悩み、TFT液晶パネルも前年を下回
や、マイナンバー関連業務などのBPO(ビジネスプロセ
りました。半導体関連ではフォトマスクが、半導体市場の
スアウトソーシング )が 拡大しました。ビジネスフォーム
減 速 感が 強まるなか前 年を下 回ったものの、収 益 基 盤
関連のビジネスフォームは、帳票など印刷物の調達・管
強化に向けた構造改革で着実な成果を上げました。高
理の一括受注に努めたものの、電子化に伴う需要減少
密度半導体パッケージ基板の「FC-BGA基板」は、海外
や配送伝票の数量減、簡素化に伴う単価下落などの影
向けが伸び悩みました。これらの結果、売上高は前期比
響で伸び 悩みました。一 方 、データ・プリント・サービス
24.8%減の1,530億円、営業利益は46.5%減の34億
は、政府・自治体や金融機関向けのBPOが堅調に推移し
円となりました。
ました。マーケティング関連では、チラシ、パンフレット・カ
なお、2015年4月に事業本部を再編し、
「 生活・産業事
タログといった一般印刷物が 伸び 悩んだものの、SP関
業本部」
および「エレクトロニクス事業本部」
を設立したこ
連ツールや事務局運営などの業務受託が拡大しました。
とに伴い、当期より報告セグメントの区分を変更してい
このほか、映像制作やオムニチャネル対応、多言語対応
ます。以上の前年との業績比較は、変更後の事業区分に
サービス、
また電子チラシサイト
「Shufoo!(シュフー)」
で
組み替えた数値をもとにしたものです。
のアプリやサービスの拡充など、新たな展開を行いまし
た。コンテンツ関連では、出版市場の縮小傾向を受けて
雑誌・書籍が減少した一方、ハイブリッド出版支援のクラ
Toppan Annual Report 2016
15
Q
A
この結果、既存印刷の当期の生産高は前年を下回ったも
特に重点的に進めた取り組みとして
どのようなものがありますか?
のの、全体の利益率は改善しました。その他の事業につ
いても、精査のうえ必要な対策を実施し、成長分野へ振
3つの経営課題に基づき
り向けるキャッシュを創出していく方針です。
既存事業の構造改革および
第二の経営課題「新事業・新市場の創出」
に関しては、
国内外の成長分野への進出を
情報メディアの多様化やデジタル化が進むなか、情報コ
加速しました。
ミュニケーション事業分野において、紙とデジタルの融
合やICT対応の強化に取り組むとともに、企画力を駆使
2016年3月期は、3つの経営課題に基づき、以下のよ
したトータルソリューションの提案により、さらなる収益
うな取り組みを推進しました。
拡 大を図りました。特にマーケティング 関 連では、金 融
第一の経営課題「グループを含めた構造改革の遂行」
機関向けやキャンペーン関連、事務局業務、ヘルスケア
に関しては、エレクトロニクス事業分野における取り組
を含む政 府・自治体 向けの公 共 案 件など、各 種B P Oが
みを加速し、フォトマスク事業で海外生産拠点の統廃合
順調に伸長しています。また「Shufoo!」については、従
や人員最適化を実施したほか、カラーフィルタ事業で、台
来のコア層である20~40代主婦から中高年男性にま
湾の特定子会社の全保有株式を譲渡しました。またFC-
で利用者を広げ、公共情報の発信ツールとしてメディア
BGA基板事業では、高付加価値品に対応した新潟工場
価値を一段と高めています。さらに、訪日観光客の増加
への生産移管、富山工場の生産体制適正化を進めてい
を背景に高まるインバウンド需要の獲得に向けて、高品
ます。さらに情 報コミュニケーション事 業 分 野において
質な映像制作や多言語対応サービスを拡充しました。セ
は、出版印刷など既存印刷事業で、製造拠点の再構築に
キュア関連では、マイナンバー制度の導入を背景とした
よる設備・人員の最適化や内製化に取り組んでいます。
セキュアBPO需要を取り込むとともに、
「 国際ブランドプ
基本的な考え方
当 社を取り巻く経 営 環 境
ペーパーメディアは緩やかに
減少、デジタル化の進展
内需は堅調に推移するも、
人口減少と連動し市場は横ばい
「包装革命」
を背景に、
世界的なフィルム需要は増加
3つの経 営 課 題
グループを含めた
構造改革の遂行
2016年3月期
営業利益
485億円
ROE
3.8%
グローバルな
事業展開の加速
新事業・新市場の創出
収益体質の強化と
成長分野へのシフトによる
事業構造の転換を図る
2018年3月期
営業利益
700億円
ROE
5.0%
をめざす
16
Toppan Annual Report 2016
社長メッセージ
リペイドカードASPサービス」
など、新たなサービスの開
南米に向けた供給体制の強化を図ります。またフォトマス
発・提供を推進しました。コンテンツ関連では、電子書籍
ク事業では、2015年6月、上海工場の製造ラインを増強
事業の株式会社BookLiveが黒字転換を果たしたほか、
するなど、アジアを足がかりとするグローバル展開を計
紙と電子のハイブリッド出版を支援するクラウドサービ
画しています。
スなど、デジタル化に伴う新たな市場の獲得に注力しま
した。生活・産業事業分野においては、2015年5月、最
今後の経営方針と重点施策について
聞かせてください。
Q
新鋭の設備を備えた国内最大級の軟包装材工場である
「 群 馬センター工 場 」が 本 格 稼 働し、増 産 体 制に入ると
A
ともに、国内外のマザー工場として、グループの軟包装
営業利益700億円・ROE 5%を目標に、
より強固な事業基盤を備えた
材事業の生産性向上に大きく寄与しています。
企業体への変革を加速します。
第 三の経 営 課 題「グローバルな事 業 展 開の加 速 」に
関しては、バリアフィルム事業で北米市場への進出を加
速しました。2 0 1 5 年 6 月、米 国ジョージア州の現 地 法
当社は2016年3月期からの3年間を、
より強固な事業
人TOPPAN USA, INC.がシカゴに事務所を開設した
基盤を備えた企業体へ変革を遂げる
「収益性改善フェー
のに続き、2016年4月には、海外初の生産基地となる
ズ」
と位置づけています。最終年度の2018年3月期には、
ジョージア工場が竣工しました。今後はこの両者を拠点
営業利益を当期の485億円から700億円に、
自己資本当
として、顧客が集中する米国中西部をはじめ、欧州や中
期純利益率
(ROE)
を3.8%から5%に向上させる計画で
3つの経営課題に沿って、着実に施策を実行
2010年4月
グループを
含めた
構造改革の遂行
国内主要製造子会社の再編
企画部門を全国統一組織化
情コミ分野の3事業部を統合
2012年8月
2015年4月
第10世代
カラーフィルタ事業を譲渡
台湾カラーフィルタ事業を譲渡
フォトマスク海外生産
拠点の統廃合
2013年8月
既存印刷の
拠点再編・効率化
プリント配線板事業を譲渡
2010年4月
新事業・
新市場の創出
2015年5月 本格稼働
2014年4月
オルタステクノロジーをグループ化
事業開発センター新設
軟包装材の新工場
「群馬センター工場」竣工
2013年11月
2011年5月
リチウムイオン二次電池用
外装材の新会社を設立
2013年10月
銅タッチパネルの量産開始
グループ・
データセンターを竣工
2013年4月
シンガポール支社設立
グローバルな
事業展開の加速
2016年4月
建装材事業再編→
事業領域の拡大
FC-BGA事業立ち上げ
ASEAN市場の深耕
(欧州、米国、中国、ASEAN
4極体制構築)
2016年4月
バリアフィルムの生産拠点
「TOPPAN USAジョージア工場」竣工
フォトマスクの海外製造ライン増強
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年3月期
Toppan Annual Report 2016
17
す。
これらの目標の達成に向けて、
当社はすべての事業分
注拡大、関連する新規事業の開発などを進めています。
野で、
既存事業の構造改革および新規事業の開発を加速
今年は、全国11番目の拠点として
「BPOスクエア朝霞」
の
していきます。
設立を進めており、
こうした取り組みを今後さらに加速し
ていきます。
情報コミュニケーション事業分野
また、上記の映像表現の技術をベースに、高品質な4K
非印刷の成長分野への取り組みを拡大
映像コンテンツなど、
ビジュアルコミュニケーションの提案
トータルソリューションを軸に受注を促進
力を強化し、顧客企業の販促活動やインバウンド対応を
当社は1世紀 以 上の印刷事業の歴史を通じて、
「 コン
支援していきます。さらに東京五輪に関しては、財界3団
テンツの価値」
の最大化に注力してきました。その過程で
体の主宰する
「オリンピック・パラリンピック等経済界協議
獲得した情報加工技術は今日、
デジタルコンテンツの制
会」
に加盟しており、2020年以降の新たな需要の獲得に
作から各種マーケティング、
さらにはAR
( 拡張現実)
やVR
向けて、
多面的な活動を展開しています。
(仮想現実)
といった最 先 端の映 像 表 現に至るまで、多
メディア関連では、
デジタル化を含む多メディア展開を
彩な事業に受け継がれています。今後は、
こうした技術や
強化していきます。特にBookLiveについては、
これまでの
それを担う人財の力をさらに磨きつつ、外部との積極的
先行投資が実って黒字転換し、
いよいよ新たなステージ
なアライアンスを通じて、新たな事業領域を開拓していき
を迎えつつあります。今後は、
データ分析に基づくより効
ます。その際、単品受注中心のスタイルではなく、課題の
率的な販促施策の実施、
オリジナルコンテンツの開発提
発見から解決施策の立案・実行までを一体的に提案する
供など、
当社ならではの新規事業創出を進めていきます。
「トータルソリューション」
を軸に、大型案件の受注促進を
図ります。
生活・産業事業分野
なかでもBPO事業は、2019年度の国内市場規模が4
透明バリアフィルムでグローバル市場を攻略
兆円を超えると予想される成長分野です。金融機関やヘ
建装材では
「住」
を核として事業領域を拡大
ルスケア関連の需要に加え、
マイナンバー制度導入が大
世界最高水準のバリア性能を誇る
「GL BARRIER」
を軸
きな新規需要を創出しており、当社では官公庁案件の受
に、
バリアフィルム関連事業のグローバルな販売拡大をめ
各事業分野の方針と重点事業
18
方 針
重点事業
情報コミュニケーション
事業分野
紙とデジタルの融合とICT対応力強化により、非印
刷事業の拡大を図るとともに、
トータルソリューショ
ン力を武器に事業機会を獲得する
BPO
×
ソリューション
×
セキュア
生活・産業事業分野
バリアフィルム事業を中心に、生活資材、産業資材
の開発・販売を推進するとともに、
「住」
を核とした新
たな事業を創出し、国内外の事業拡大を図る
バリアフィルム
×
軟包装材
×
環境デザイン
エレクトロニクス事業分野
構造改革の遂行によるコスト競争力の強化と、グ
ローバル対応力の強化により、当社技術力が発揮
できる分野において利益を確保する
FC-BGA
×
タッチパネル
×
オンチップカラーフィルタ
Toppan Annual Report 2016
社長メッセージ
ざすとともに、国内外で供給能力や生産効率のさらなる
向上を図ります。
一連の取り組みの拠点となるのが、グループにおける
軟包装材生産のマザー工場としての機能を担う、群馬セ
ンター工場です。2017年3月期は、
クリーンな生産環境と
高度の品質管理体制を誇る同工場の本格稼働の効果を、
最大限に引き出す諸施策を展開していきます。
製品面では、
医薬品の一次包材、
またレトルト機能パウ
チなどの機能性包材に加えて、
素材加工といった
「川上」
の
事業領域にも進出し、
受注構造の抜本的変革をめざしま
す。製造技術面では、
IoT
(Internet of Things; モノのイ
ンターネット)
を活用した小ロット供給に取り組むと同時に、
最先端の製造ノウハウによって生産現場の効率化を図り、
を通じて、
よりスピーディな事業展開を実現していきます。
その成果をさらに他の工場にも波及させていきます。
また当社は2016年4月、
グループのリソースを最大限
一方、
グローバル戦略としては引き続き、
ビン・缶製品から
に活かすために、株式会社トッパン・コスモの建装材事業
の代替需要の獲得に努めます。
現在、
世界の包装材市場で
を会社分割によって承継し、当社環境デザイン事業部に
は環境対応などの視点から、
ビン・缶をフィルム包材に置き
再編しました。6月には新体制での第一弾の取り組みとし
換える動きが進んでおり、
透明バリアフィルムの市場が大き
て、東京理科大学のナノ化技術を活用した、世界最高水
く成長するチャンスが到来しています。
当社ではグローバル
準の建装材向け化粧シート
「Smart NANO」
シリーズを
企業への拡販や日系企業の海外展開サポートを通じて、
お
発売しています。建装材事業では今後、
こうした高機能製
客さまと一体となってシェア拡大をめざしていく方針です。
品を軸に産業へのアプローチを強化し、
住宅分野にとどま
また、
フィルム包材だけでなく複合容器への置き換えも提
らず、
より幅広い事業を展開していきます。
案し、
市場全体の需要を着実に取り込んでいきます。
特に、上記の代替需要が大きいと考えられる北米地域
エレクトロニクス事業分野
では、
シカゴ事務所とジョージア工場を拠点に、供給体制
既存事業で先を見据えた構造改革を徹底
のいっそうの強化を図ります。
また、経済成長めざましい
技術の強みを活かして新規事業を育成
ASEAN地域では、
タイとインドネシアを拠点に、
現地有力
既存事業の損益改善を徹底し、
収益性の低い事業につ
企業とのアライアンスも視野に入れつつ、積極的な投資
いては縮小や転換も視野に、引き続き大胆な構造改革を
セグメント別設備投資額
[単位:百万円]
2015年3月期
2016年3月期
2017年3月期
(予想)
情 報コミュニケーション事業分野
16,993
25,460
32,900
生 活・産 業 事 業 分野
30,162
24,616
21,300
エレクトロニクス事業分野
22 ,435
7,702
10,600
6,548
5,425
7,200
76 ,138
63,203
72,000
調 整 額( 消 去 又は全社)
設備投資額
Toppan Annual Report 2016
19
実施していきます。
で構造改革および収益性の向上に取り組んでいきます。
カラーフィルタ事業では、
モバイル向けの高付加価値品
株主還元については、
投資家の皆さまへの機動的な利
の拡販に努める一方、
市場動向を踏まえて、製品サイズご
益還元、
そして企業としての持続的成長を両立させるた
とに生産体制の最適化を進めていきます。
め、
各期の連結業績、
配当性向、
手元資金の状況、
内部留
フォトマスク事業でも、市場の変化に柔軟に対応し、国
保、
今後の投資計画などを総合的に勘案しながら実施す
内外で先を見据えた改革を継続していきます。国内や欧
る方針です。具体的には、
連結配当性向30%以上をめど
米については、市場規模に合わせた再編を進めつつ、成
に、
配当水準の向上に努めていきます。
こうした方針に基
長市場の中国では上海の生産拠点を拡張し、積極的に
づき、
2016年3月期の1株当たり配当金は、
中間・期末各9
シェア拡大を狙います。
円、
合計年間18円とさせていただきました。2017年3月期
その他、FC-BGA基板、銅タッチパネル、
オンチップカ
については、
4期連続で増益の実績を踏まえ、
中間・期末各
ラーフィルタといった成長分野では、
トッパンの技術力を
10円、
年間20円への増配を予定しています。
活かして
「ニッチトップ」
の獲得をめざします。
こうした取り組みにより、2017年3月期については、売
1株当たりの配当金
上高1兆5,100億円
(当期比2.4%増)
、
営業利益505億円
[円]
25
(同4.1%増)
、
また親会社株主に帰属する当期純利益は
20
240億円
(同31.9%減)
を見込んでいます。
Q
A
当社の財務戦略の基本方針は、安定資金の確保およ
び財務基盤の強化を通じて、より安定的な経営と株主還
18.00
18.00
18.00
12年
13年
14年
15年
16年
20.00
5
キャッシュバランスを保ちつつ
配当水準の向上に努めます。
18.00
10
0
連結配当性向30%以上をめどに
18.00
15
財務戦略と株主還元の方針に
ついて聞かせてください。
成長分野への積極的投資を行います。
■■ 1株当たり配当金
Q
A
17年
(予)
コーポレート・ガバナンスの方針
について教えてください。
持続的な成長と企業価値の向上
をめざして、透明性のある
ガバナンスを構築していきます。
元を実現し、企業価値・事業価値を高めていくことです。
20
非 効 率 資 産の見 直しや運 転 資 金 圧 縮を通じて、2 0 1 3
当社では、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏
年3月期から2016年3月期までに計849億円の内部資
まえ、透明性のあるガバナンス体制の構築に、継続的に
金を確保し、
「 5年間で約600億円」
の当初計画を前倒し
取り組んでいます。
で達成しました。また2013年12月には、転換社債で計
取締役会については、付議基準を改定し、意思決定の
800億円を調達しており、これらを原資として、今後5年
迅速化および監督機能の強化に向けて、さまざまな検討
間で約1,250億円を、通常の設備投資以外の成長投資
を行っています。同様の観点から、取締役の員数を従来
に充てる予定です。すでに純有利子負債はマイナスに転
の26名から19名に変更するとともに、従来2名の社外
じており、この状況を今後とも維持しつつ、グループ全体
取締役を、独立役員2名を含む3名に増員しました。監査
Toppan Annual Report 2016
社長メッセージ
役は現在5名で、うち社外監査役は独立役員2名を含む
般には、
こうした現状から
「成熟産業」
とみられることも多
3名です。また、業務執行の権限・責任を明確化するべく、
い印刷業界ですが、
私はむしろ逆の捉え方をしています。
今期より新たに執行役員制度を導入しています。
「印刷テクノロジー」
の進化とともに、内部にさまざまな
当社は、グループ内における独自性や経営の自由度を
リソースを蓄えてきたトッパングループにとっては、
社会の
最大限に高めるため、親子上場の形態を取っています。
ニーズの多様化、物事の変化のスピードは、
そのままビジ
グループ経営のあり方については、経営環境の変化や経
ネスチャンスに直結します。当社は幅広い業界に強固な顧
営戦略を踏まえ、現在の方式のメリット・デメリット、再編
客基盤を持ち、
マーケティング・IT・クリエイティブに精通し
負荷、
リスクなどを、総合的に検討していく方針です。政
たスタッフが、各社の動向を把握できる体制を構築してい
策保有株式については、取引関係や事業連携の強化と
ます。そして、一貫して顧客視点に立った高品質なトータ
いう観点から保有しており、継続保有に際しては、その合
ルソリューションの提供により、
お客さまの高い評価を頂
理性を定期的に検討しています。
戴しています。
これらの取り組みを通じて、当社は持続的な成長、なら
お客さまの課題解決の先には、社会的課題への取り組
びに中長期的な企業価値向上をめざしてまいります。
みがあります。当社はまさに、
このステージに進めるポジ
ションにある、数少ない会社の一つです。
この先、
IoTやAI
Q
A
( 人工知能)
の普及に伴い、社会の大きな変化が 予想さ
トッパングループは今後どのような
企業集団になっていくのですか?
れますが、
こうした環境下でも当社は、多様な収益モデル
を構築しつつ、
ビジネスを通じて課題の解決に貢献してい
お客さまや社会の抱える課題の
くことが可能です。
解決に貢献しつつ、
トッパングループはこれまでも、時代の流れに柔軟に対
持続的な成長を実現していきます。
応し、変化をチャンスに変えることで成長を続けてきまし
た。今後とも私たちは、絶えざる自己変革と新たな領域へ
印刷産業の現状は、主力のペーパーメディアの規模縮
の挑戦を続け、グループ一丸となって企業価値の向上に
小が 続き、印刷製品の出荷額も年々減少しています。一
取り組んでいきます。
トッパンの強み〜トータルソリューション
生活者
お客さま
●ニーズ把握
●モノ・サービスへの落とし込み
●マーケティング、IT、
クリエイティブの人財
●全国/グローバル拠点
●モノつくり力
トータルソリューションの提供
営業
企画
ICT
製造
研究・開発
印刷テクノロジー
Toppan Annual Report 2016
21
セ グメント別 営 業 概 況
2016年3月期は、情報コミュニケーション事業分
マスク事業の構造改革で着実な成果を上げました。
野が3期連続の増収増益を達成し、前期に続き利益
なお、2015年4月の事業本部再編に伴い、当期よ
率が大幅に向上しました。生活・産業事業分野は、売
り報告セグメントの区分を変更しています。以下の
上高は微減となりましたが 、群馬センター工場の本
対前年比較は、前期の数値を変更後の事業区分に
格稼働が貢献し、大幅な増益となりました。エレクト
組み替えたうえで行ったものです。
ロニクス事業分野は減収減益となったものの、フォト
(単位:百万円)
2 0 1 5 年 3月期
2 0 1 6 年 3月期
前年同期増減
売上高
前年同期増減
1,526,915
△ 5,128
1,474,682
△ 52,233
営業利益
40,877
5,155
48,532
7,655
経常利益
45,245
7,528
51,854
6,609
当期純利益
22,868
2,247
35,245
12,377
情報コミュニケーション
932,479
-
938,641
6,162
47,692
-
57,823
10,131
419,596
-
410,509
△ 9,087
11,004
-
14,502
3,498
203,573
-
153,007
△ 50,566
6,355
-
3,398
△ 2,957
売上高
△ 28,734
-
△ 27,476
1,258
営業利益
△ 24,175
-
△ 27,192
△ 3,017
売上高
営業利益
売上高
生 活・産 業
営業利益
エレクトロニクス
調 整 額( 消 去 又は全社)
売上高
営業利益
情報コミュニケーション事業分野
売上高
9,386億円
前期比
0.7%増
578億円
2016年3月期の売上高は前期比0.7%増の9,386億円、営
サービスは、官公庁・自治体や金融機関を中心にBPO受託が堅
業利益は同21.2%増の578億円となりました。
調に増加し、前年を上回りました。
当期、情報コミュニケーション事業分野では、第一の経営課題
マーケティング関連においては、チラシやパンフレット・カタロ
「グループを含めた構造改革の遂行」
に基づき、出版市場の規
グといった一般印刷物は減少したものの、SP関連ツールや販促
模に合わせた既存印刷事業の体制最適化を進める一方、第二
支援・事務局運営・ヘルスケア関連などのマーケティングBPOが
の経営課題に掲げた
「新事業・新市場の創出」
を加速し、紙とデ
伸長しました。さらに、高品質な映像制作や多言語対応サービス
ジタルの融合、ICT対応力やトータルソリューション提案力の強
を拡充し、訪日観光客の増加を背景に高まるインバウンド需要
化に取り組みました。これらの結果、利益率は前期に比べて大幅
を取り込みました。電子チラシサイト
「Shufoo!」
についても、広
に向上しています。
告機能の強化に加え、公共インフラ企業向けのアプリ提供や、訪
セキュア関連においては、個人情報保護への関心が高まるな
日外国人向けなど新たなサービス展開によって、媒体価値の向
か、人財の専門性や強固なセキュリティ環境を活用し、保険業界
上を図りました。
向けなど、
マイナンバー関連のセキュアBPO需要を取り込みまし
コンテンツ関連においては、出版市場が縮小傾向で推移する
た。また、
「国際ブランドプリペイドカードASPサービス」
といった
なか、雑誌や書籍が減少したものの、電子書籍事業の株式会社
新サービスの開発・提供に注力したICカードが伸長しました。
BookLiveが黒字転換したほか、紙と電子のハイブリッド出版の
ビジネスフォーム関連においては、ビジネスフォームが、電子
支援サービス、出版コンテンツのライツビジネスなど、デジタル
化による需要の減少や配送伝票の数量減、
また簡素化に伴う
化に対応した多メディア展開を強化しました。
単価下落を受けて、前年を下回りました。一方、データ・プリント・
22
営業利益
前期比
21.2%増
Toppan Annual Report 2016
生活・産業事業分野
売上高
4,105億円
前期比
2.2%減
2016年3月期の売上高は前期比2.2%減の4,105億円、
また
営業利益
145億円
前期比
31.8%増
「第39回 木下賞」
などを受賞しました。
営業利益は、群馬センター工場の本格稼働によりパッケージ関
建装材関連においては、環境配慮型製品の
「トッパンエコシー
連の生産効率が大きく向上したことから、同31.8%増の145億
ト」
や、機能性・意匠性に優れた不燃化粧パネル
「マテリウム」
の
円となりました。
販売に注力しましたが、国内向けの減少が響き、前年を下回りま
パッケージ 関 連においては、包 装 材の減 量 化や脱アルミ
した。
のニーズが 高まるなか、軟包装材や透明バリアフィルム「GL
なお、パッケージ関連では、軟包装材製造のマザー工場であ
BARRIER」
を活用した各種包材の売上などが拡大しました。ま
る群馬センター工場が、2015年5月に本格稼働を開始しまし
た、
エンジンオイル缶のパウチへの置き換えなど、環境配慮を切
た。クリーンな生産環境、高度な品質管理体制のもと、医療・医
り口に、主力の食品・トイレタリー分野以外への展開も強化して
薬向け包材など高付加価値品の生産を強化するとともに、最先
います。紙器は減少したものの、環境配慮型製品の紙製飲料缶
端の製造ノウハウを導入し、その成果を水平展開することで、グ
「カートカン」
は、
リサイクル性の高さや、他容器との形状差別化
ループ全体の生産性向上に貢献しています。
などが評価され、順調に推移しました。
一方、海外では、第三の経営課題
「グローバルな事業展開の
高機能・エネルギー関連においては、
リチウムイオン二次電池
加速」
に基づき、北米地域での体制整備を進めています。2016
用外装材など、
クリーンエネルギー分野の取り組みを強化してい
年4月には、透明バリアフィルムの海外初の生産拠点である
ます。また、古河電池株式会社と共同開発した非常用マグネシ
ジョージア工場を竣工、
また2015年6月には、シカゴ事務所を
ウム空気電池
「MgBOX」
が、同じく当社の電子レンジ調理機能
開設し、販売活動を強化しました。さらにASEANでも、設備の拡
付きパウチ
「スマデリバッグ」
などとともに、日本包装技術協会の
充など、現地需要の獲得に向けた施策を推進しています。
エレクトロニクス事業分野
売上高
1,530億円
前期比
24.8%減
営業利益
34億円
前期比
46.5%減
2016年3月期の売上高は前期比24.8%減の1,530億円、営
発揮できる分野での新事業創出を推進しました。
業利益は同46.5%減の34億円となりました。
ディスプレイ関連のカラーフィルタ事業では、台湾の特定子会
ディスプレイ関連においては、中小型液晶パネルの生産調整
社の譲渡など、市場や顧客メーカーの動向を踏まえた生産体制
が長期化した影響で、
カラーフィルタが前年を下回りました。産
再構築を進めつつ、収益の安定化を図りました。また、TFT液晶
業機器向けを中心に展開したTFT液晶パネルも、やはり厳しい
パネル事業での産業機器向けの展開、銅タッチパネル事業にお
事業環境下、前年を下回りました。
ける銅の特性を活かした製品開発など、
「ニッチトップ」
をめざす
半導体関連においては、半導体市場全体の減速感が強まるな
取り組みを継続しました。
か、
フォトマスクが売上面で前年を下回ったものの、先端品需要
半導体関連のフォトマスク事業では、グローバルな地域別戦
を取り込むとともに、収益基盤の強化に向けた構造改革で着実
略を推進し、収益性の改善に努めました。欧米の事業拠点の統
な成果を上げました。一方、高密度半導体パッケージ基板のFC-
廃合や人員最適化など、徹底的な構造改革を行う一方、成長め
BGA基板は、海外向けが減少し、前年を下回りました。
ざましいアジア市場では、上海工場の製造ラインを増強するな
エレクトロニクス事業分野では、薄型テレビや半導体の国内
ど、生産・販売体制を強化しています。また、半導体の高性能化
市場が縮小するとともに、世界全体でも中国経済の減速を背景
の流れを見据えて、最先端の次世代フォトマスクの開発に取り組
に液晶ディスプレイ市場は伸び悩み、
また業界再編や内製化の
んでいます。さらにFC-BGA基板事業でも、富山工場の体制を
動きが活発化するなど、厳しい事業環境が続いています。こうし
適正化し、高付加価値品に対応できる新潟工場への生産移管を
たなか、当社は3つの経営課題に基づき、既存事業の構造改革
進めています。
を徹底しつつ、グローバル市場への対応強化、当社の技術力が
Toppan Annual Report 2016
23
事業セグメント別戦略
情報コミュニケーション事業分野
顧客のニーズを捉えた効果的な
トータルソリューションの提供を通じて
新たなビジネスを創出していきます
専務取締役 新井
誠
情報コミュニケーション事業本部長
ビジネスチャンスの拡がり
情報コミュニケーション事業本部は、セキュア、
マーケ
ティング、
コンテンツの各事業が連携し、多岐にわたるビ
ジネスを展開しています。
メーカー、流通、金融、
出版など、
デザインと専門性を切り口に
現在、
これまでも大切にしてきた
「デザイン」
を起点とし
たビジネス創出をめざしています。
第 一 線のクリエイターを国内 外より招 聘し、ポスター
幅広い業界に対応しており、長年かけて築き上げた良好
制作を通じてさまざまな印刷表現に挑戦してもらう
「グラ
なパートナーシップがトッパンの強みのひとつです。
フィックトライアル」
も、
そうした試みの一例です。一方、近
国内市場においては、特にマーケティング 事業は領域
年では、当社クリエイターが制作したデザインが、
「カンヌ
が広く、店頭プロモーションからデジタルマーケティング
ライオンズ」
や
「クリオヘルスケア」
といった世界的な広告
まで、
幅広い事業機会を有しています。
また、
現在
「ICT&メ
賞に入選や受賞を果たすなど、
トッパンのデザイン力は国
ディア」
や
「健康・医療」
「 教育」
「 観光」
などの成長分野を設
際的にも高く評価されています。
定し、
新たなビジネスチャンスを追求しています。
こうした
“デザインの力”
を前面に打ち出すことで、
アジ
アを始めとする海外市場においてトッパンブランドの認知
トッパンの強み「トータルソリューション」
トッパンは受注型からソリューション型へといち早くビ
ジネススタイルの転換を進めており、顧客目線でトータル
新たな事業への展開
な課題解決を実現しています。営業スタッフは、常にアン
技術革新が今までになく速いスピードで進むなか、
AIの
テナをめぐらせて顧客の悩みや隠れた課題をいち早く察
活用やIoTなどにも積極的に取り組んでいく方針です。現
知し、企画部門と緊密に協力することで、適切なタイミン
在、
シリコンバレーに人財を派遣するなど、国内外のベン
グで的確な施策提案を可能にしています。現在、従来から
チャーや研究室との連携を強化し、新たな技術の獲得・活
の強みである
「モノつくり力」
「マーケティング力」
「クリエイ
用を加速しています。
また、今後は専門的知見を備えたス
ティブ力」
に加え、
ICTと運用ノウハウを重ねることで、
トー
タッフを増員し、技術的な側面からもお客さまの課題解決
タルソリューションのさらなる進化を図っています。その意
に取り組んでいく方針です。
味では、
すでに印刷業界の枠を超えているともいえ、競合
また、
製造面では、
ペーパーメディアの減少にあわせ、
引
も広告代理店、SIer、
コンサルティング会社や物流会社な
き続き拠点の集約と設備の最適化を進め、利益体質のさ
ど多岐にわたっています。
らなる強化をめざします。
広い領域で多彩な人財が 活躍しており、新しいことに
今後も、
ソフトとハードの両方を兼ね備えたポジション
挑戦するスピリットが強い点も大きな強みです。組織全体
の強みを活かし、既存得意先の深耕を推進するとともに、
においても、一人ひとりが新しい物事にチャレンジする進
中長期の視点に立った新領域へのアプローチにより新た
取の気風が形成されています。そのため、
扱う品種も情報
なビジネスの創出を図っていきます。
系に限定せず、他の事業本部や企業と連携しながらあら
ゆる可能性を取り込み、柔軟な発想でビジネスの幅を広
げています。
24
度を高め、
ビジネス展開を加速していきます。
Toppan Annual Report 2016
情報コミュニケーション事業分野
重点戦略
トッパンには約2万5千社に及ぶ、強固で幅広い顧客基盤があります。
これらの企業がコミュニケーションやマーケティ
ングに関して抱える課題は、
すべて当事業分野のビジネスの対象といえるでしょう。
媒体のデジタル/ハイブリッド化、Webサイトやデータベースの活用、
ビジュアル表現の可能性の拡がりなど、
コミュ
ニケーションの手段が多様化するなか、
トッパンは専門的な人財や高度のノウハウ、
システム構築力などのリソースを組
み合わせ、得意先の課題解決に向けた最適なソリューションを、
よりトータルな形で提供していきます。
主な
取り組み
インバウンド需要の獲得
訪日外国人の数が年々増加するなか、
トッパンは
「旅道
(たびどう)
」
という統一的コンセプトのもと、
インバウンド
訳システムの研究開発をスタートするなど、官民連携によ
る取り組みを強化しています。
需要の獲得に向けた取り組みを続けています。
このほか、
「 Shufoo!」
での訪日外国人向けサービス展
いわゆるMICE 分野での大型案件の獲得に加え、
多言
開、観光ガイドアプリの提供、デジタルサイネージによる
語対応に関しては、翻訳支援システム
「SupporTra」
を開
店頭購買促進、免税制度への対応など、多岐にわたる活
発・提供し、業績は順調に拡大しています。
また、総務省の
動を展開しています。
*
「グローバルコミュニケーション開発推進協議会」
に設立
*企 業 の 会 議( M e e t i n g )や 報 奨・研 修 旅 行( I n c e n t i v e )、国 際 会 議
発起人として参画し、
自治体の窓口業務のための音声翻
(Convention)
、
展示会やイベント
(Exhibition/Event)
などの総称
サイネージによる店頭購買促進の事例
スペース的に、売り場に多 言 語
で記載された詳しい商品情報等の
POPを設置することは難しく、
また
多言語対応した店舗スタッフを手配
タッチパネル式サイネージ
お客さまが自由に必要な情報を
閲 覧 できます 。利 用 時 以 外 は
CM等の動画を再生します。
することも難しい。そんな時に最適
なのが、
このサイネージです。詳しい
バーコード読み取り口
商品情報や利用方法等を載せられ
商品バーコードをかざすと簡単
るため、購入者はより安心して商品
を購入できます。また自分が 知りた
に商品情報が表示されます。
商品情報シート出力
翻訳された商品情報や利用方
法等が記載されたシート
(紙)
を
出力します。
い情報を詳しく見ることができるた
商品に記載・貼付できない、多
め、店舗スタッフの接客対応負荷を
トで補完します。
言語での商品説明等をこのシー
軽減することができます。
旅道 ®バーコードサイネージ
(マルチ対応モデル)
Toppan Annual Report 2016
25
BPO事業の成長を加速
企業や公的機関の定型業務を受託するBPO
(ビジネス
管理などBPO事業のあらゆる機能と人員が 集う
「コミュ
プロセスアウトソーシング)
の国内市場は、
年平均2.4%で
ニケーションの場」
として、
お客さまに利用していただくこ
成長し、2019年度には4兆円を超える見通しです*。特に
とをめざします。
また、
IoTやウェアラブル端末など先端技
足元では、
マイナンバー制度導入に加え、医療・ヘルスケ
術の活用により、効率的なBPOソリューションを提供し、
アや環境・エネルギー分野で環境変化が相次ぎ、
これらに
従来の5割増となる1日で10万件の業務処理が可能とな
対応した新規事業立ち上げに伴う業務委託の増大が見
ります。今後、
「 BPOスクエア朝霞」
での技術とノウハウを
込まれています。
全国11拠点に展開するとともに、全国でこれまで以上に
トッパンBPOの最大の特長は、他社の追随を許さない
ハイレベルなセキュリティと運用ノウハウが求められる業
総合力にあります。別掲の6つの機能を組み合わせ、
「バッ
務への対応を強化していきます。
クオフィス」
「 顧客コンタクト」
「オペレーション支援」
の3つ
さらに、海外では本年5月、ベトナムのIT最大手、FPT
の領域にわたり、顧客ニーズに最適化したワンストップの
コーポレーションとの間で協業に関する覚書を締結しまし
サービスを提供しています。
た。IoTやビッグデータを活用したBPOサービスの開発に
本年7月には、事業の中核を担う新拠点として、朝霞工
加え、将来的には、BPO運用拠点の共同構築なども検討
場内の
「BPOスクエア朝霞」
を本格稼働しました。業務設
していきます。
計、
コンタクトセンター、
事務センター、
システム開発、
品質
*矢野経済研究所
「BPO
(ビジネスプロセスアウトソーシング)
市場に関する調査結
果 2015」
より
6つの機能の組み合わせで、企業ニーズに最適化したソリューションを提供
1
コンタクトセンター
●マルチコンタクト機能
(電話・FAX・メール・Web)
●CTI機能
(オペレーターが画面で顧客情報を参照)
●IVR機能
(自動音声応答装置)
●メールマガジン機能 ●スーパーバイザー・オペレーターなどの人的資産
6
システム開発
2
●申請書受付処理 ●データ入力業務
●事務局運用に伴う各種管理ツール開発
●スキャニング業務 ●各種報告業務
●データベース構築
●データエントリーシステム
5
トッパンBPO
6つの機能
DMセンター
●親展DM・パーソナライズDMなど、多種
データ運用センター
●顧客データベースの運用
●データ集計・分析業務
DM周辺業務をサポート
4
ロジスティックセンター
●梱包・配送などの流通加工
●保管・在庫管理機能
●配送状況の管理
Toppan Annual Report 2016
3
●データクレンジング・メンテナンス業務
多様な用途に対応
●返戻処理・顧客情報のメンテナンスまで、
26
事務センター
セキュア事業の拡販に注力
トッパンは、創業からのセキュリティ印刷技術をグローバ
さらに、
フィンテックを活用したサービスへの取り組みと
ルに展開すると同時に、
情報セキュリティの備えを万全とした
して、
多くの金融機関に採用されているペーパーレス申込
関連サービスなど幅広いソリューションを提供しています。
システム
「SpeedEntry plus」
に口座振替設定をタブレッ
2015年11月には、
国際ブランドプリペイドカードの残
ト端末内で完結させる
「モバイル口座振替サービス」
の提
高などを管理するASPサービスの提供を開始しました。
供を開始しました。
また、
スマートフォンによる口座開設アプ
MasterCard、
VISA両ブランドでのサービスを国内で初
リや、
即時カード発行機など、
利便性の高いさまざまなサー
めて同時に立上げ、
金融機関や旅行業界に展開していま
ビスを提供しています。
す。今後は流通・サービス業界や訪日外国人向けなど、
用
今後は、
RFIDを活用したIoTなど、
セキュリティの成長分
途の拡大を図ります。
野にも積極的に取り組んでいく方針です。
ビジュアルコミュニケーションの追求
インターネットでの動画配信や携帯端末の進化など、
■企業や自治体向けにも多用途で展開
ネットワークの大容量化は、
コミュニケーションのあり方に
消費者ニーズの多様化を受けて、企業の製品にも豊富
劇的な変容をもたらしています。
トッパンは、得意先の製
なバリエーションが設定されるようになり、
こうした多様な
品・サービスの魅力をより効果的に訴求するべく、
さまざま
スペックを、消費者にいかに効果的にわかりやすく伝える
な手法を駆使して、臨場感あふれる映像表現を追求して
かが、
各社にとって大きな課題となっています。
います。
こうした状況を踏まえ、
トッパンは、膨大な商品情報を
クラウドで一括管理し、3D映像の形で消費者に提供する
■文化財アーカイブのVR化
「T-VSS
( TOPPAN Virtual Simulation Service)
」
シ
トッパンは、文 化 財のデジタルアーカイブを公 開する
ステムを開発しました。企業はこれにより、消費者の求め
手段として、VR
( Virtual Reality)
の活用に取り組み、
に応じて、
自動車のカラーやオプションパーツを変更した
1997年以来、国内外の著名な文化財をテーマに、50本
り、住宅設備が配置された室内空間をシミュレーションす
の作品を制作しています。2007年には、
いち早く4Kの超
るなど、
よりリアルな情報提供が可能になります。
高精細VRに挑戦したほか、近年は12KやHMD対応の次
こうしたセールスプロモーション領域以外でも、
トッパン
世代型VRの開発を進めています。また、中国・故宮博物
のVR技術は、全国の街角をバーチャルな博物館に変貌さ
院や東京国立博物館など、
国内外の22の文化・観光施設
せる
「ストリートミュージアム構想」
、
あるいは工場その他の
に、
VRシアターなどを設けています。
教育・訓練用シミュレータなどに幅広く活用されています。
見えない情報を
「可視化」
するトッパンの技術は、
現代の企
業や組織において、
さまざまなコミュニケーションのあり方
を提案し、
表現の可能性を拡げていきます。
トッパン VR シアター
VR作品
『故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》』
製作・著作:故宮博物館/凸版印刷株式会社
T-VSS活用事例
Toppan Annual Report 2016
27
事業セグメント別戦略
生活・産業事業分野
事 業を通してくらしや 産 業 に 貢 献し、
先 進 的 なモノづくりによって
国 内 外 でより高 い 成 長 ステージを
め ざします
専務取締役 松田
生活・産業事業本部長
直行
社会課題への対応による差別化
竣工するなど、
供給体制の強化を進めています。
生活・産業事業本部は、
2015年4月の組織再編で高機
またASEANなども、生活水準の向上に伴い市場が拡
能・エネルギー関連、建装材関連をパッケージ関連と統合
大しています。
こうした地域では、現地の有力企業や現地
する形で発足しました。バリアフィルムを中心に幅広い生
に進出した商社など、最適なパートナーとのアライアンス
活・産業資材を取り扱い、国内外に多くの成長分野を擁し
を通じて、
よりスピーディーにシェア拡大を図ります。
ています。
当社の展開するビジネスは、社会のさまざまな課題に
先進的なモノづくりを実践
向き合い、事業を通じてその解決をめざすものです。一方
軟包材のマザー工場として昨年5月に本格稼働した群
で顧客メーカーに対しては、絶えず新たな付加価値の提
馬センター工場では、製造利益率が着実に改善を続けて
供と差別化が求められます。これら両者のニーズは基本
います。一新された生産設備、
人や物の動線に配慮した設
的には表裏一体のものと考え、新たな挑戦を通じてこの
計など、数々の先進的な取り組みについては、全国のパッ
ニーズに対応しています。
ケージ工場へ水平展開を行い、
プラスの波及効果をもた
たとえば 、国内においては食生活の変化に対応して、
らしています。
パッケージの使用方法についても提案を行っています。
製品開発面では、
当事業本部のビジネスイノベーション
パッケージ関連では、こうした世の中の変化の流れを的
センターが、各事業の戦略を統括しています。同センター
確につかんだ製品開発力を武器に、特にバリアフィルム
ではまた、2030年の社会的ニーズを想定した製品・サー
のラインアップ拡充に注力しており、食品関連に加え、医
ビスを調査・研究するなど、
より長期的な視点から、
新たな
療・医薬関連や環境配慮型製品への用途拡大をめざして
事業モデルの創出に努めています。
います。
また建装材関連については、本年4月、株式会社トッパ
より高い成長ステージへ
ン・コスモの事業を承継し、当社環境デザイン事業部とし
生活・産業資材の分野において、
トッパンほど多品種の
て再スタートしました。
「 住」
に密着した製品提供を軸とし
製造に対応できる企業集団は、世界的にも数が少ないで
つつ、
まちづくりに至るまで、
多彩なビジネスを展開してい
しょう。
また近年では、情報コミュニケーション事業との連
く方針です。
携によるパッケージを核とした販促提案など、
従来の事業
の枠を超えた
「トータルソリューション」
を強化しています。
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北米・ASEANの供給体制を強化
国内外の強固な顧客基盤や、
そのニーズ深耕により、新
海外展開に関しては、
当事業本部の海外統括本部が本
事業を創出するサイクルは、
トッパンならではの強みです。
社と連携しつつ、
各事業の戦略を統括しています。
3年間の
「収益性改善フェーズ」
の初年度は、個々の事
欧米では、生活様式の変化や環境意識の高まりから、
業の体質強化で着実な成果を上げました。今期は、
この取
電子レンジに対応し、環境にも配慮した当社バリアフィル
り組みをさらに徹底しつつ、全体最適の視点から経営ビ
ムの需要が拡大しています。特に北米ではビン・缶からの
ジョンに沿って、各事業のベクトルを連動させ、
より高い成
大きな代替需要が見込まれ、本年4月にジョージア工場を
長ステージを実現していきます。
Toppan Annual Report 2016
生活・産業事業分野
重点戦略
現在、市場においては、地球規模での環境保全や高機能化・グローバル化への対応、
フードロス対応などが、大きな
社会課題として取り上げられています。生活・産業事業分野では、環境やユニバーサルデザインに対応した包装材や建
装材などの生活資材・産業資材の開発・販売を通じて、安心・安全で快適なくらしを支えるビジネスをグローバル規模で
展開し、事業の拡大を図っています。
主な
取り組み
パッケージ事業における取り組み
パッケージ事業では、
トッパンの幅広い機能やノウハウをベースに、
調査分析から開発、
生産、
販売、
プロモーションまで
をトータルにサポートし、
社会的価値と顧客価値の最大化をもたらすソリューションを提供しています。
トッパンパッケージングトータルソリューション
調査・分析・商品企画
■商品企画コンサルティング
■ユニバーサルデザイン
コンサルティング
■効果測定サービス
パッケージ開発
販売・プロモーション・CRM
■コラボレーション企画
■キャンペーン事務局運営
■チャネル開発
■スペースデザイン
■素材・機能性包材の開発
■食品保存・安全衛生の研究
■クリーン化技術
■材料・構造の設計
■充填包装システム機械開発
お客さまの
成長戦略実現を
サポート
充填・BPO
■受託充填事業
■コントラクトサービス
■ロジスティックサービス
生産
■軟包装
■段ボール
■紙器
■応用分野
■液体複合容器 ■機械
■カップ
■プラスチック成形品
群馬センター工場の先進性
価値化を図ります。全社の包装材生産拠点のマザー工場
軟包材や透明バリアフィルム
「GL BARRIER」
を活用し
である同工場には、
4つの大きな先進性があります。
た各種包装材に関しては、
2015年5月に本格稼働した群
第一に、
クリーンな生産環境です。国際的な認証である
馬センター工場を中心に、
さらなる生産性向上と高付加
FSSC 22000*1に準拠し、
パレット自動交換装置の導入、
Toppan Annual Report 2016
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生産エリア別の衛生対策などを推進しているほか、最先
グループ全体の生産性向上
端の検査機器やトレーサビリティの強化などにより、高度
こうした群馬センター工場の能力を最大限に活用しつ
な品質管理を実現しています。
つ、
その成果を他の工場に水平展開することで、
グループ
第二に、高い生産性と開発機能です。最新の製造設備
全体の生産性を抜本的に向上させていきます。
やFAシステムの導入、
動線に配慮した設計などにより、
生
具体的には、医薬品包材や、
レトルト機能パウチなど機
産能力が大幅に向上しました。
また、
素材や商品の開発か
能性包材の拡充を進め、
受注構造の転換をめざします。
ま
ら生産まで、
一貫したパッケージビジネスの展開が可能に
た、生産面では、継続的な投資を行い、IoTを活用した受
なりました。
発注体制の構築や材料の仕様統一などにより、生産性の
第三に、高セキュリティ管理の徹底です。ICカードや静
さらなる向上を図っていきます。
脈認証での入退場管理に加え、
入場者別・エリア別のレベ
ル管理を実施するとともに、生産エリアなど各所に監視カ
メラを設置しています。
そして最後に、持続型社会への貢献です。都市ガスや
VOC
(揮発性有機化合物)
を燃料とするコージェネレー
ションシステムは、
「2015年度 コージェネ大賞」
産業用部
門で最優秀賞を受賞しました。また、敷地内の緑化計画
などが 評価され、
メーカー工場では初めて
「都市開発版
SEGES*2」
に認定されています。
*1 FSSC 22000 : 国際食品安全イニシアチブ
(GFSI)
の推奨する食品安全管理
手法
群馬センター工場
*2 都市開発版SEGES : 公益財団法人 都市緑化機構が認定した、緑の保全・創
出により社会・環境に貢献する開発事業
「サステナブルパッケージ」の追求
環境・社会・経済の3つの面における持続可能性の担保
は、今やビジネスの長期的成功に不可欠な要素です。
トッ
パンのパッケージ事業は、
こうした視点を踏まえ、従来型
製品に代替するような
「サステナブルパッケージ」
の開発・
VOC循環システム
コーター
持続可能な社会
サステナブルパッケージへ置き換え
中身
メーカー
流 通
トッパン
社 会
次世代
ユニバーサルデザイン
原材料
メーカー
生活者
バリューチェーンサポート
BPOソリューション
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Toppan Annual Report 2016
環 境
環境配慮型
パッケージ
経 済
機能性
パッケージ
提供を推進しています。
に組み込み、得意先の製品開発においても構造面におけ
環境面については、製品ライフサイクルを考慮したパッ
る提案により、
使いやすい製品を実現しています。今後も、
ケージの最適化設計や、定量的手法による環境負荷の評
生活者目線で
「使いやすい」
「 ずっと使いたい」
パッケージ
価・削減に取り組んでいます。
また、社会的配慮として、障
を提案し、得意先の商品ブランド価値、
そして社会的価値
がいを持った方や高齢者だけでなく、
すべての人々にとっ
の最大化に貢献していきます。
て使いやすい
「次世代ユニバーサルデザイン」
を設計思想
建装材事業
本年4月、株式会社トッパン・コスモの建装材事業を承
能を付加する技術
「Smart NANO ®」
シリーズを開発しま
継し、当社
「環境デザイン事業部」
に再編しました。同事業
した。
これは、
東京理科大学の研究グループが開発したナ
部では、高機能・高意匠な化粧シートの開発、量産化とと
ノカプセル生成技術を世界で初めて建装材分野に展開し
もに、既存市場のさらなる深耕と不燃製品を中心とした
たもので、硬さや傷・汚れの防止機能が、従来の製品に比
非住宅市場向けのラインアップ拡充を図ります。
また、グ
べ、
飛躍的に向上しています。その技術を用いた製品の第
ループのリソースを最大限に活用し、
「住」
を核とした生活
一弾として、
まずは住宅向けの床用化粧シートを本年8月
関連から、
モビリティ、環境・エネルギー、ヘルスケア、
まち
より販売を開始しました。
づくりまで、多彩なソリューションを提供することで、生活
今後、本シリーズを国内外で内装・外装・エクステリアな
者の快適なくらしの創造に貢献していきます。
ど幅広い用途向けに拡販し、2021年3月期には、関連受
注も含め、約500億円の売上をめざします。また、
ライン
ナノ化技術を活用した化粧シート
アップの拡充を進め、CO 2 削減や不燃性、屋外での耐久
こうした戦略の一環として、化粧シートにさまざまな機
性など、
多彩な機能を持つ製品を開発していきます。
海外エリア戦略
海外展開に関しては、
エリアごとの戦略設定に基づき、
欧州市場では、建装材、バリアフィルム両事業とも、既
積極的に事業拡大を進めていきます。
存分野の拡大に向けて、販売体制を強化します。バリア
北米市場では、
2015年6月のシカゴ事務所開設に続
フィルム事業は環境意識の高い欧州において、脱アルミ
き、
本年4月、
国内の深谷、
福岡工場と並ぶバリアフィルム
需要へのアプローチをさらに強化していきます。
生産拠点となるジョージア工場を竣工しました。
ビン・缶置
成長著しいASEANでは、既存拠点をベースに、最適な
換えや脱アルミ需要など、
透明バリアフィルムの市場拡大
パートナーとのアライアンスも検討しつつ、
インドネシアで
に向け、
事業を牽引していきます。一方、
建装材事業につい
は軟包材、
タイでは紙器のシェア拡大を図ります。
また中
ては、
生産設備増強・ラインアップ拡充による既存事業拡
国では、産業資材など高付加価値品の受注獲得を促進し
大、
現地販売代理店との連携強化などによる非住宅市場
ます。
でのシェア拡大をめざします。
北米
ジョージア工場を核にバリアフィルムの新市場開拓
建装材事業の基盤強化による既存事業の拡大と新事業創出
欧州
建装材とバリアフィルムの販売体制再構築
ASEAN
中国
既存軟包材事業の拡大による市場の取り込み
(インドネシア)
紙器事業拡大
(タイ)
先端市場での高付加価値品受注拡大
Toppan Annual Report 2016
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事業セグメント別戦略
エレクトロニクス事業分野
攻 め の「ソリューションビ ジ ネス 」に
事 業 モデ ルを転 換し、
収 益 性 の 向 上をめ ざします
取締役 植木
哲朗
エレクトロニクス事業本部長
事業ポートフォリオの最適化
とのアライアンスも視野に、効率的でスピーディな立ち上
エレクトロニクス事業本部は、
旧
「マテリアルソリューショ
げをめざしています。その一例が本年5月にスタートした、
ン事業分野」
のディスプレイ関連、半導体関連を引き継い
九 州ナノテック光 学 株 式 会 社との提 携による液晶調光
で発足しました。厳しい経営環境が続くなか、経営課題の
フィルム事業です。
これは、電源操作で光の透過率を調節
一つに掲げる構造改革を全力で推進しており、2016年3
し、
「 透明」
「 白濁」
のモードを切り替えられる製品ですが、
月期は、
フォトマスク事業の収益改善で一定の成果があり
自動車などの交通機関向けはもちろん、
オフィスや公共施
ました。今期も引き続きこの方向性を堅持するとともに新
設の設備、あるいはスクリーンやサイネージなどの広告・
規事業の創出に取り組み、
ビジネスモデルの変革を進め
プロモーション用途など、事業本部間で連携した販売促
ていきます。
進を展開する計画です。引き続き、
マーケティング視点に
今後の市場見通しとしては、半導体工場の建設が中国
立って新たな技術を活用した製
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