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建設業法令遵守について 建設業法の目的と 建設業許可について
建設業法令遵守について 平成24年11月28日 近畿地方整備局 建政部 建設産業課 1 建設業法の目的と 建設業許可について 2 1 請負契約と売買契約の違い ■請負とは・・・ 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がそ の仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その 効力を生ずる。 民法第632条 ■売買とは・・・ 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、 相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その 効力を生ずる。 民法第555条 3 建設工事とは・・・ この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一 の上欄に掲げるものをいう。 ◎土木一式工事、◎建築一式工事、◎大工工事、◎左官工事、 ◎とび・土工・コンクリート工事、◎石工事、◎屋根工事、◎電気工事、 ◎管工事、◎タイル・れんが・ブロック工事、◎鋼構造物工事、 ◎鉄筋工事、◎ほ装工事、◎しゅんせつ工事、◎板金工事、 ◎ガラス工事、◎塗装工事、◎防水工事、◎内装仕上工事、 ◎機械器具設置工事、◎熱絶縁工事、◎電気通信工事、 ◎造園工事、◎さく井工事、◎建具工事、◎水道施設工事、 ◎消防施設工事、◎清掃施設工事 建設業法第2条第1項 4 2 建設業とは・・・ この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義を もってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。 建設業法第2条第2項 5 建設業法の目的 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の 適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者 を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉 の増進に寄与することを目的とする。 建設業法第1条 つまり・・・ ルールを守る(法令遵守)ことによって、下請負人が 保護される。その結果、より良い品質を確保した工 作物が築造されることにより、発注者が保護される。 6 3 建設業許可 ■許可とは・・・ 法令に基づき、一般的(誰もが)に禁止されている行為について、特定 の場合又は相手方に限ってその禁止を解除することを意味する。 建設業は許可制である。 ★建設業法第3条第1項に基づき許可を受けたものに対して、 建設業(建設工事の完成を請け負う営業)が許される。 なお、軽微な工事(請負金額が500万円未満(建築一式工事の場合は 1,500万円未満、又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事))の みを請け負うのであれば許可無くても建設業を営むことができる。 ☆建設業を営むにあたっては、ルールを守らなければならない。 そのルールが、「建設業法」である。 7 建設工事を受注したら・・・ 8 4 工事の流れ(業者から見たイメージ)① ①注文者から工事を受注契約 【建設業法第24条】 ②技術者の配置 【建設業法第26条】 ③施工計画の作成 【建設業法第26条の3】 ④下請負人への見積 【建設業法第20条】 ⑤下請負人と契約締結 【建設業法第19条】 ⑥現場着手/現場施工 【建設業法第24条の7など】 ⑦現場竣工/完成検査 【建設業法第24条の4】 ⑧下請負人からの請求 ⑨下請負人への支払 【建設業法第24条の3など】 9 工事の流れ(業者から見たイメージ)② 発注者 ① 元請 ② ③ ⑥ ④ ⑤ ⑦ ⑧ ⑨ 1次下請 ② ③ ⑥ ① 10 5 ①ー1注文者から工事を受注 【建設業法第24条】(請負契約とみなす場合) 委託その他何らの名義をもつてするを問わず、報酬 を得て建設工事の完成を目的として締結する契約 は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規 定を適用する。 11 ①ー2建設工事にあたらないもの ■建設工事にあたらないもの ①草刈り、除雪、路面清掃などの作業 ②建設資材や仮設材などの賃貸 ③保守点検のみの委託契約 ④工作物の設計業務 ⑤地質調査、測量調査などの業務 ⑥警備業務(交通誘導員) ⑦資材等の売買契約 12 6 ②ー1技術者の配置義務① 【建設業法第26条】 (主任技術者及び監理技術者の設置等) 第1項 第2項 第3項 主任技術者の配置義務 監理技術者の配置(発注者から直接建設工事を請け 負った特定建設業者のみ) ※① 主任技術者、監理技術者の専任制 ※② ※①建設業法における技術者制度の概要を参照 ※②監理(主任)技術者の専任についてを参照 13 ②ー1技術者の配置義務② 建設工事を施工するときは、主任技術者又 は監理技術者を配置しなければならない。 なぜか? → それは注文者を保護するためである。 建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、当該建設工 事に関し第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者で、当該工事現場にお ける建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術 者」という。)を置かなければならない。 建設業法第26条第1項 14 7 ②ー2主任技術者と監理技術者 ■主任技術者と監理技術者の違い 建設業の許可を受けた者が建設工事を施工する場合には、元請・下 請に関係なく、又、請負金額に関係なく、工事現場における工事の施工 の技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を配置しなければな らない。(建設業法第26条第1項) ◇主任技術者 発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請 契約の請負代金の額の合計が3,000万(建築一式工事の場合は4,500 万)円以上となる場合には、特定建設業者の許可が必要になるとともに、 主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければならない。 (建設業法第26条第2項) ◇監理技術者(発注者から直接請け負った元請負人のみ) 15 ②ー3主任(監理)技術者の雇用関係 ■技術者の雇用関係 建設工事の適正な施工を確保するため、主任技術者や監理技術者は、 当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係が必要とされている。 また、特に公共工事において、発注者から直接請け負う建設業者の専 任の監理技術者(主任技術者)については、3ヶ月以上雇用関係にある ことが必要である。【監理技術者制度運用マニュアルより】 以下のような技術者は直接的かつ恒常的な雇用関係と言えない。 ①在籍出向者や派遣(直接的な雇用関係と言えない) ②一つの工事の期間のみ短期雇用(恒常的な雇用関係と言えない) 16 8 ②ー4主任(監理)技術者の資格要件 ■技術者の資格要件 主任技術者や監理技術者は、建設工事の施工の技術的な管理をつか さどるものであるため、工事の規模や難易度等によって資格要件は異な るが、建設工事の適正な施工を確保するため、それなりの技術力を持っ た技術者が必要となる。 また、監理技術者においては、監理技術者資格者証の交付を受けてい る者であって、かつ、監理技術者講習を過去5年以内に受講した者のう ちから選任しなければならない。【建設業法第26条第4項】 17 ②ー5専任と非専任の区別【専任①】 ■専任制度 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しく は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、主 任技術者又は監理技術者は工事現場ごとに、専任の者でなければなら ない。【建設業法第26条第3項】 簡単に表現すると、個人住宅を除くほとんどの工事において、請負金額 が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上であれば、元請・ 下請に関係なく、主任技術者又は監理技術者は専任を求められる。 「専任」とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、専らその工事に係る 職務にのみ従事することを意味する。 18 9 ②ー5専任と非専任の区別【専任②】 ■専任期間(監理技術者制度運用マニュアルより) 【元請の場合】 なお、専任を要する工事であったとしても、部分的に非専任扱いとする ことができる。ただし、発注者と建設業者の間で、設計図書若しくは打ち 合わせ記録簿等の書面で明確となっていることが必要である。 基本原則、契約工期が専任期間となる (例) ①契約後、現場施工に着手するまでの準備期間 ②工事全面中止期間 ③工場製作のみの期間 ④後片付けのみの期間 【下請の場合】 下請工事施工期間が専任期間となる 19 ②ー5専任と非専任の区別【非専任】 ■非専任(専任を求めない)の工事 専任を要する工事の条件は前ページで解説したとおりであるが、専任 を要する工事以外の工事は非専任扱いとなる。 建築一式工事の場合は :請負金額が5,000万円未満 建築一式工事以外の工事:請負金額が2,500万円未満 20 10 建設業法における技術者制度の概要 工事現場に置くべき技 監理技術者 主任技術者 術者 元請工事における下 3,000万円未満 3,000万円以上 請合計金額 (建築一式工事4,500万円以上) (建築一式工事は4,500万円未満) 技術者の資格要件 ●一級国家資格者 ●一級国家資格者 ・1級施工管理技士 ・1級施工管理技士 ・1級建築士 ・1級建築士 ・技術士 ・技術士 ●実務経験者(指定7業種は除く) ●二級国家資格者 ・主任技術者としての要件を満た ・2級施工管理技士等 す者のうち、元請として4,500万円 ●実務経験者 以上の工事に関し2年以上の指導 ・大卒後3年以上の実務経験 監督的な実務経験を有する者 ・高卒後5年以上の実務経験 ●国土交通大臣特別認定者 ・10年以上の実務経験 その他の要件 受注者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設又は工作 物に関する重要な工事で、請負金額が2,500万円(建築一式の場合5,000 万円)以上 →工事現場における技術者の専任が必要 監理技術者資格者証 専任の監理技術者は携帯必要 不要 監理技術者講習 専任の監理技術者は、登録講習 不要 21 の受講義務 ②ー6現場代理人とは・・・ ■現場代理人 現場代理人とは、現場において請負人の任務の代行をする者のことを いう。 現場代理人は建設業法で定められているものではなく、契約書の約款 で定められているため、建設業法上、特に縛りは無い。 契約書の約款において、現場代理人と主任技術者又は監理技術者と は兼務が可能となっている。 現場代理人は契約書の約款より常駐が求められている。 22 11 ②ー7常駐とは・・・ ■常駐とは・・・ 「常駐」とは、現場施工の稼働中、特別の理由(例えば発注者との打合 せなど)がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在している ことを意味している。 「専任」と「常駐」は言葉の意味が違うので注意が必要! 「常駐」の考え方として、緊急時に連絡が取れる体制で、すぐに駆けつけ ることが出来る状況であれば、常駐とみなす。 23 ②ー8技術者の違反事例 ■専任を要する監理技術者等が他の工事に従事 専任の監理技術者(主任技術者)は専らその工事にのみ従事しなけ ればならず、他の工事に従事することは建設業法第26条第3項に違反す る。 営業所専任技術者は専ら営業所にて業務に従事する必要がある。 特例を除き、監理技術者等として従事することは、建設業法第7条第2号 若しくは第15条第2号(許可基準)及び第26条第3項に違反する。 ■営業所専任技術者が監理技術者として従事 工事に配置される監理技術者(主任技術者)は、所属建設業者と直接 的かつ恒常的な雇用関係が必要である(監理技術者制度運用マニュア ルより)。直接的かつ恒常的な雇用関係に無い者が監理技術者等として 従事することは監理技術者等の不設置となり、建設業法第26条違反とな る。 ■派遣や協力業者の人を監理技術者等として配置 24 12 ③施工計画の作成 ■【建設業法第26条の3】 (主任技術者及び監理技術者の職務等) 第1項 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正 に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質 管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者 の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。 25 ④ー1下請負人への見積① 【建設業法第20条】(建設工事の見積り等) 第1項 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容 に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明ら かにして、工事の見積りを行うよう努めなければならない。 本条文に基づいて見積り作成を行い見積りを注文者に提出することにより、 後々に発生する可能性のある金額の考え方の相違によるトラブルを回避するこ とが可能になる。 26 13 ④ー1下請負人への見積② 【建設業法第20条】(建設工事の見積り等) 第3項 建設工事の注文者は、( 略 )できる限り具体的な内容を提示し、 かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当 該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を 設けなければならない。 27 ④ー2見積に関する事項 ■見積条件の提示(第20条第3項) (1)望ましくは、下請契約の内容は書面で提示すること、更に作業内容を 明確にすること (2)予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要 ①予定価格が500万円に満たない工事 1日以上 ②予定価格が500万円以上5,000万円に満たない工事 10日以上 ③予定価格が5,000万円以上の工事 15日以上 (ただし、②、③の場合にはやむを得ない事情があるときは、5日以内に 限り短縮することが可能) (3)見積は契約締結前に依頼すること 28 14 ④ー3見積りに関する違反事例 ■見積り依頼が口頭などで不明確 建設業法第20条第3項では工事内容などできる限り具体的な内容を 提示するよう求めている。口頭では具体的な内容を伝えるには十分とは 言い難く、書面にて提示することが望ましい。 建設工事の注文者は、請負人が見積りを行うために必要な一定の期 間(建設業法施行令第6条)を設ける必要がある。予定価格に応じ一定 の見積期間を設けないで見積りを依頼することは、建設業法第20条第3 項に違反する。 ■予定価格に応じ一定の見積期間を設けていない 29 ⑤ー1下請負人と契約締結(当初契約) 【建設業法第19条】 (建設工事の請負契約の内容) 第1項 建設工事の請負契約の当事者は、前条(法第18条)の趣旨に従って、 契約の締結に際して次に掲げる事項(⑤ー3契約に関する事項を参照) を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならな い。 本条文では、「建設工事の請負契約の当事者は」となっており、注文者及び請負 人の両者を指している。また建設業者のみならず、発注者も本条文の適用を受 けている。 本条文を遵守することにより、不払いは回避できる! 30 15 ⑤ー1下請負人と契約締結(変更契約) 【建設業法第19条】 (建設工事の請負契約の内容) 第2項 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項(法第19条第1項)に 掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に 記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 本条文では、当初契約のみならず変更契約においても書面で契約を締結するよ う義務づけている。 本条文を遵守することにより、不払いは回避できる! 31 法令違反等通報件数(近畿地方整備局) ①法令違反等通報件数 件数 800 600 400 200 0 544 476 170 181 H19 435 282 H20 H21 328 284 224 263 H22 H23 駆け込みホットラインに寄せられた情報 ホットライン以外(電話・郵送・来庁等)の情報 H19通報件数内訳 H20通報件数内訳 建設業法違反 他法令違反 不払い その他 21 0 506 187 347 H22通報件数内訳 H21通報件数内訳 建設業法違反 他法令違反 不払い その他 39 6 建設業法違反 他法令違反 不払い その他 310 265 38 1 247 368 H23通報件数内訳 建設業法違反 他法令違反 不払い その他 23 0 建設業法違反 他法令違反 不払い その他 184 19 5 282 339 32 16 減らない不払い相談 • 年々、不払い相談の割合が増加 • 通報内容の半分以上は不払い相談 不払い相談 • 不払い案件のほとんどは 書面契約がなされていない 【ポイント】 ポイント】 • 不払いを受けないためには書面で契約を 締結すること ※書面による契約未締結は建設業法第19条違反 33 ⑤ー2契約に関する事項 ■当初契約(第18条、第19条第1項、第19条の3) (1)契約は下請工事の着工前に書面により行うことが必要 (2)契約書面には建設業法で定める一定の事項を記載することが必要 ①工事内容 ②請負代金の額 ③工事着手・工事完成の時期 ④請負代金の全部又は一部の前払金又は出来 高部分に対する支払の定めをするときは、その 支払の時期及び方法 ⑤当事者の一方から設計変更又は工事着手の延 期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申 出があった場合における工期の変更、請負代金 の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の 算定方法に関する定め ⑥天災その他不可抗力による工期の変更又は損 害の負担及びその額の算定方法に関する定め ⑦価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の 額又は工事内容の変更 ⑧工事の施工により第三者が損害を受けた場合 における賠償金の負担に関する定め ⑨注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建 設機械その他の機械を貸与するときは、その内 容及び方法に関する定め ⑩注文者が工事の全部又は一部の完成を確認す るための検査の時期及び方法並びに引渡しの時 期 ⑪工事完成後における請負代金の支払の時期及 び方法 ⑫工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当 該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の 締結その他の措置に関する定めをするときは、 その内容 ⑬各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の 場合における遅延利息、違約金その他の損害金 ⑭契約に関する紛争の解決方法 34 10 17 ⑤ー3下請負人と契約締結 【建設業法第18条】(建設工事の請負契約の原則) 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場に おける合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠 実にこれを履行しなければならない。 「建設工事の請負契約の当事者は」なので、もちろんのこと発注者を含む 全ての請負契約の当事者が該当する。 35 ⑤ー4契約に関する違反事例① ■口頭契約 民法上、口頭契約も有効となるが、建設工事の請負契約においては 建設業法第19条第1項に基づき書面による契約を締結しなければならな い。建設業は、他の業種と比べると不払い等のトラブルが多いことから、 あえて建設業法で定められ、不払い等のトラブルに巻き込まれないため にも書面にて契約することが重要である。よって建設工事の請負契約に おいて口頭による契約は建設業法第19条第1項違反である。 ■注文書・注文請書のみの交付 注文書と注文請書のみで契約を締結したとしても、建設業法第19条 第1項で定められている契約書に記載すべき14項目が網羅されていない。 注文書・注文請書で契約する場合は、基本契約約款を添付するか、又は 事前に基本契約書を締結し14項目を網羅する必要がある。 よって、注文書・注文請書のみで契約をすることは建設業法第19条第1 項に違反している可能性が非常に高い。 36 18 ⑤ー4契約に関する違反事例② ■契約書記載項目不足 ①個別契約書での契約、②注文書・注文請書+(基本契約書又は基本 契約約款)で契約をしているにも係わらず、契約書に記載すべき14項目 が不足していることが多い状況である。契約書に記載すべき項目が不足 していることは、建設業法第19条第1項に違反する。 ■不当な使用資材等の購入強制の禁止 (建設業法第19条の4) 注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用し て、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機器器具又はこれら の購入先を指定し、これを請負人に購入させて、その利益を害してはなら ない。これに違反することは、建設業法第19条の4に違反するとともに、 独占禁止法第19条及び第20条にも違反する。 37 ⑤ー4契約に関する違反事例③ ■不当に低い請負代金の禁止 (建設業法第19条の3) 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設 工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請 負代金の額とする請負契約を締結してはならない。これに違反すること は、建設業法第19条の3に違反するとともに、独占禁止法第19条及び20 条にも違反する。 ■指値発注 下請負人から見積をもらっても、下請負人と協議することなく一方的に 値切ることは、指値発注となる。 指値発注は、建設業法第19条の3に違反する可能性が非常に高いだけ でなく、建設業法第18条(建設工事の請負契約の原則)に違反する。 38 19 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する 法律(「独占禁止法」) 【独占禁止法第19条(不公正な取引方法の禁止)】 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。 【独占禁止法第20条(排除措置)】 前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第8章 第2節〔手続〕に規定する手続きに従い、当該行為の差止め、契約条項 の削除その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができ る。 39 ⑤ー4契約に関する違反事例④ ■変更契約未締結 当初契約内容から変更が生じた場合は、変更契約を書面で契約する必 要がある。金額の増減が無く工期延期だけの変更であったとしても変更 契約を書面で締結する必要がある。変更契約を書面で締結していないこ とは、建設業法第19条第2項に違反する。 ■契約前着工 ついつい「契約ぐらい」と考えてしまう契約担当者も多いようですが、契 約前着工で取り返しのつかなくなることもある。現場で一番怖いことは事 故であり、もしも未契約の状況で工事に着手して事故が起きたらどうなる か考えたことはあるでしょうか? 安易に考えることは危険です。 また、契約書に記載すべき14項目で工事着手の時期及び工事完成の 時期の明示を求めており、着手後に契約を締結することは、建設業法第 19条第1項に違反する。 40 20 ⑤ー4契約に関する違反事例⑤ ■無許可業者との契約 建設業法第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設 業を営む者と下請契約を締結(無許可業者との契約)することは建設業 法違反です。無許可業者と下請契約を締結した建設業者は、建設業法 第28条第1項第6号に基づき、営業停止等の処分となる。 なお、勿論のことながら、無許可で営業することは論外である。 41 参考:無許可業者との契約の事例 当初契約時は500万円未満であったことから軽微な工事扱いとなる ため、許可を持たないA社と契約を締結した。追加が色々発生したた め、結果的にA社と500万円を超える契約を締結してしまった。 例1)変更で500万円を超えてしまった 下請負契約:450万円(手間のみ) 材料支給品:100万円相当(市場価格) 450万円+100万円>500万円となり許可がいる。 例2)支給品を加味すると500万円を超えていた 無許可業者との契約 又は 一括下請 例3)下請業者が一式工事業しか持っていない 42 21 一式工事とは・・・ ■一式工事とは 土木一式工事や建築一式工事は、総合的なマネジメントを行う業種で あり、一式工事の許可で専門工事を行うものではない。 よって、一式工事は原則元請のみである。 ※ もしも下請が総合的なマネジメントをしていたのであれば、元請としてマネジメン トを行っていたとは言えず、一括下請となる。 「原則」としているのは、民間工事(共同住宅の新築工事は除く)において施主 の承諾があれば一括下請が可能となるためである。 43 ⑥ー1現場着手と現場施工 ■下請負人と請負契約締結後に現場着手 ■発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業 者は、総額3,000万円(建築一式は4,500万円)以 上の下請負契約を行った場合は、施工体制台帳及 び施工体系図を作成しなければならない。 ■一括下請負の禁止 ■下請負人に対する特定建設業者の指導等 44 22 ⑥ー2現場着手と現場施工 【建設業法第24条の7】 (施工体制台帳及び施工体系図の作成等) 第1項 施工体制台帳の作成及び現場への備え付け 第2項 再下請負通知書の作成及び通知 第4項 施工体系図の作成及び現場への掲示 ※施工体制台帳及び施工体系図は公共、民間問わず作成 ※施工体制台帳の保存期間は5年間(建設業法施行規則第28条) ※施工体系図の保存期間は10年間(建設業法施行規則第26条第5項) 45 ⑥ー3現場着手と現場施工 ①発注者との契約書の写し ②下請負人との契約書の写し ③監理技術者証の写し ④専門技術者を配置した場合は資格を証明できるものの写し ⑤監理技術者の雇用関係を証明できるものの写し ■施工体制台帳等の添付資料 ○再下請負人との契約書の写し ■再下請負通知書の添付資料 ※公共工事においては、請負代金の額が記載されていなければならない。 46 23 現行制度における施工体制の適正化のための仕組み 契約前 契約以降 公 共 工 事 見積書提出 ・施工体制台帳の現場へ備え置く義務 ・発注者へ施工体制台帳の写しの提出 ・発注者による施工体制の点検を拒んでは ならない ・施工体系図の工事関係者及び公衆が見や すい場所への掲示 施工体制 台帳・施 (下線部分は、入札契約適正化法による義務づけ) 工体系図 の作成 民 ・施工体制台帳の現場へ備え置く義務 間 ・発注者からの請求がある場合、施工体制 工 を閲覧に供する義務 事 ・施工体系図の工事現場の見やすい場所 への掲示 施工体制台帳・施工体系図の作成義務なし 発注者から直 接工事を請け 負った特定建 設業者で、総額 3,000万円 (建築一式は4, 500万円)以上 の下請契約を 締結した者 上記以外の工 事 47 ⑥ー2現場着手と現場施工 【建設業法第22条】(一括下請負の禁止) 第1項 第2項 第3項 建設業者は、建設工事を一括して他人に請け負わせて はならない。 建設業を営む者は、建設業者から建設工事を一括して 請け負ってはならない。 第1項又は第2項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作 物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの(共同住宅を新築 する建設工事)以外の建設工事である場合において、当該工事の 元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これ らの規定は適用しません。 48 24 一括下請負の禁止について ○ 次に掲げる場合で、元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与 次に掲げる場合で、元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与していると認められない 実質的に関与していると認められない 場合、一括下請負に該当。 → 請負った建設工事の全部又はその主たる部分を他の業者に請け負わせる場合。 → 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する 工作物の工事を一括して他の業者に請け負わせる場合。 下請工事への実質的な関与とは その他の禁止事項 ○自社の技術者が下請工事の 公共工事については全面禁止 公共工事については全面禁止、民 全面禁止、民 ①施工計画の作成 ②工程管理 間工事も原則禁止 原則禁止 間工事も ③出来高・品質管理 ④完成検査 ⑤安全管理 ⑥下請負業者への 「一括下請負の責任」は注文者も 指導監督 請負者も対象 等について、主体的な役割を現場で果たしてい ることが必要 「親会社と子会社間」での下請負 ○発注者から工事を直接請け負った者につい についても適用 ては、加えて ⑦発注者との協議 ⑧住民への説明 「複数の下請を使っていた」場合で ⑨官公庁等への届出等 ⑩近隣工事との も実質的関与が必要 調整 等について、主体的な役割を果たすことが必要 「一括下請負」には、監督処分(営 「一括下請負」には、監督処分(営 業停止)による対処 業停止)による対処 49 一括下請負の禁止(関係法令) 建設業法 (一括下請負の禁止) 第二十二条 建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一 括して他人に請け負わせてはならない。 2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負つては ならない。 3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定 めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書 面による承諾を得たときは、 これらの規定は、適用しない。 (以下略) 建設業法施行令 (一括下請負の禁止の対象となる多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事) 第六条の三 法第二十二条第三項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する建設工 事とする。 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 (一括下請負の禁止) 第十二条 公共工事については、建設業法第二十二条第三項の規定は、適用しない。 50 25 参考:一括下請の落とし穴 ◇建設業法第22条第3項により一括下請が可能となる場合 がある。 ただし、 公共工事は入札契約適正化法第12条により、 共同住宅を新築する建設工事は建設業法施行令 第6条の3 で禁止されている。 ◇現場施工の一括下請は認められることがあるが、技術者 の一括下請は認められていない。 51 事例:一括下請の落とし穴 民間工事(共同住宅を新築する建設工事以外)において、 元請業者は発注者から一括下請の承諾書を書面でもらって いた。 よって、本事例では一括下請で処分されることはない。 しかしながら、本事例では元請業者の監理技術者(専任) が別工事に従事していた。 これにより元請業者は、監理技術者の専任義務違反となっ た。 52 26 ⑥ー5元請の指導義務 【建設業法第24条の6】 (下請負人に対する特定建設業者の指導等) 第1項 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者 は、当該建 設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この 法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の 使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下 請負人の指導に努めるものとする。 注) 特定建設業者は、下請負業者が違反したことなので知らないでは済まされない。 53 ⑥ー6施工体制に関する違反事例① ■施工体制台帳記入ミス ケアレスミスであれば特に問題にはしないが、建設業法を理解せずに 施工体制台帳を作成していれば、知らないうちに建設業法違反となって いる場合もある。監理技術者等の専任・非専任の区別、専門技術者につ いて理解しておく必要がある。 ■施工体制台帳等添付資料の不足 下請負人との契約書の写しを添付していないなど、施工体制台帳(再 下請負通知書)に添付すべき資料が不足している事例が多い。これは、 建設業法違反第24条の7に違反する。 また、下請負人の状況を把握していないことから、下請負人が無許可 業者と契約していた場合などでも指導することが困難になってしまう。 この場合、特定建設業者は建設業法第24条の6違反を問われる可能性 がある。 54 27 ⑥ー6施工体制に関する違反事例② ■施工体制台帳・施工体系図の不作成 公共工事においては、発注者が監督員を配置してチェックをしているこ とから比較的施工体制台帳及び施工体系図は作成されている。しかしな がら、民間工事では発注者が厳しくチェックしている状況でもないことから 施工体制台帳や施工体系図が不作成となっている事例がある。これは 建設業法第24条の7違反となり、施工体制台帳等を作成しなかった特定 建設業者は、建設業法第28条第1項に基づき営業停止等の処分となる。 ■施工体制台帳等の虚偽報告 常識では考えられないが、公共工事において、一括下請負を隠すため 下請負人との契約書を偽造するとともに施工体制台帳及び施工体系図 を偽造していた。この事例は、建設業法第22条及び同法第24条の7、同 法第26条に違反するとともに、有印私文書偽造の疑いもある。 55 ⑥ー6施工体制に関する違反事例③ ■施工体制台帳等の虚偽報告の事例 ◇実際の契約の流れ 元請A 次B 次C 3 次D 1次下請B社と2次下請C社は親子関係であり元請に無理矢理頼まれて一括下請 負をしていた。A社とB社、B社とC社との間で下請負契約が締結されていた。 B社は主任技術者を配置していない。 1 2 ◇自治体に提出していた体系図及び現場の施工体系 元請A 1 次C 2 次D 施工体制台帳及び体系図にはB社の記載は無く、施工体制台帳の添付資料には 存在しないA社とC社間の契約書が添付されていた。 56 28 【参考】JV(共同企業体)の施工体制 ■JVの構成員に下請で出すことは出来ない (甲型) JV 社 元請 A 1次下請 C 社 B 社 C × 社 構成員C社がC社と契約することは自己契約となり、自己契約は民法 第 条で禁じられている。 社がするためにはJVの出資比率の割合を変えれば下請契約しなくても 元請の立場で施工が可能。 JV 108 C 57 ⑦ー1現場竣工と完成検査 【建設業法第24条の4】(検査及び引渡し) 第1項 元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した 旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から二十日以内 で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための 検査を完了しなければならない。 第2項 元請負人は、前項の検査によって建設工事の完成を確認した後、 下請負人が申し出たときは、直ちに、当該建設工事の目的物の 引渡しを受けなければならない。ただし、下請契約において定め られた工事完成の時期から二十日を経過した日以前の一定の 日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合には、この限り でない。 58 29 ⑨ー1下請負人への支払 【建設業法第24条の3】(下請代金の支払い) 第1項 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完 成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設 工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受け た金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出 来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月 以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。 59 ⑨ー2下請負人への支払 【建設業法第24条の5】 (特定建設業者の下請代金の支払期日等) 第1項 特定建設業者が注文者となった下請契約(下請契約における請 負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額(4,000万 円)以上の法人である者を除く、以下この条において同じ。)におけ る下請代金の支払期日は、前条(同法第24条の4)第2項の申出の 日(同項ただし書きの場合にあっては、その一定の日。以下この条 において同じ。)から起算して50日を経過する日以前において、か つ、できる限り短い期間内において定められなければならない。 60 30 ⑨ー3支払に関する違反事例① ■支払の申し出日より60日後の支払 建設業法第24条の5第1項では、特定建設業者は下請代金の支払期 日を支払申出の日から50日以内と定められており、60日後の支払は、 建設業法第24条の5第1項違反となる。 ■手形サイトが120日以上 元請負人が手形期間120日を超える長期手形を交付した場合は、「割 引を受けることが困難である手形の交付」と認められる場合があり、その 場合には建設業法第24条の5第3項に違反する。 61 ⑨ー3支払に関する違反事例② ■赤伝処理 赤伝処理とは、元請負人が下請代金の支払い時に差し引く(相殺する) 行為であり、赤伝処理を行う場合は、元請負人と下請負人の双方の協 議・合意が必要である。 しかしながら、協議を行わず一方的に相殺している事例が多い。 ★現場事務所の電気代 ★現場事務所の駐車場代 ★安全協力会費 ★建設廃棄物の処理費用の負担 62 31 参考:赤伝処理に関する違反事例 ■建設廃棄物の処理費用の負担 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の一部を改正す る法律が平成22年5月19日に改正公布され、発注者から直接建設工事 を請け負った元請業者を「事業者」とした。 (廃棄物処理法第21条の3第1項) 赤伝処理の違反事例として、発注者から請け負った請負金額の中に廃 棄物の処理費用が含まれているにも係わらず、下請業者に対して「下請 工事で発生した廃棄物だから処理用を頂く」との理由で廃棄物処理費用 を下請代金から相殺している事例があった。 元請は、発注者及び下請業者から二重で廃棄物処理費用を徴収してい ることとなり、赤伝処理となる。 63 ⑩ー1工事完成後(帳簿の整備) 【建設業法第40条の3】(帳簿の備付け等) 建設業者は、国土交通省令で定めるところにより(施工規則第26条第2 項~第5項及び第27条、第28条)、その営業所ごとに、その営業に関す る事項で国土交通省令で定めるもの(施工規則第26条第1項)を記載し た帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業所に関する図書で国土交 通省令で定めるものを保存しなければならない。 ※平成18年12月法律第114号により改正され、平成20年11月28日から 施行されている。 64 32 ⑩ー2建設業法に基づく帳簿の記載事項① ■帳簿の記載事項 1.営業所の代表者の氏名及びその就任日 2.注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項 (1)請け負った建設工事の名称、工事現場の所在地 (2)注文者との契約日 (3)注文者の商号・名称、住所、許可番号 (4)「注文者から受けた完成検査」の年月日 (5)「工事目的物を注文者に引き渡した」年月日 65 ⑩ー2建設業法に基づく帳簿の記載事項② ■帳簿の記載事項 3.発注者と締結した住宅の新築工事の請負契約に関する事項 (1)当該住宅の床面積 (2)建設業者の建設瑕疵負担割合 (3)発注者に交付している住宅瑕疵担保責任保険法人 4.下請契約に関する事項 (1)下請負人に請け負わせた建設工事の名称、工事現場の所在地 (2)下請負人との契約日 (3)下請負人の商号・名称、住所、許可番号 (4)下請工事の完成を確認するために「自社が行った検査」の年月日 (5)下請工事の目的物について「下請業者から引き渡しを受けた」 年月日 66 33 ⑩ー2建設業法に基づく帳簿の記載事項③ ■帳簿の記載事項 5.特定建設業の許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない)と なって一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く)に建 設工事を下請負した場合には以下に関する事項も必要 (1)支払った下請代金の額、支払った年月日及び支払手段 (2)支払手形を交付したときは、その手形の金額、交付年月日、手形の 満期 (3)代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の支払残額 (4)遅延利息を支払ったときは、遅延利息の額・支払日 ※ 帳簿の記載事項1.~5.については、電磁的記録でも可能 67 ⑩ー3建設業法に基づく帳簿の添付書類① ■帳簿の添付書類 1.契約書又はその写し 2.特定建設業の許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない)と なって、一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く) に建設工事を下請負した場合には、下請代金の支払済額、支払った 年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)又は写し 68 34 ⑩ー3建設業法に基づく帳簿の添付書類② ■帳簿の添付書類 3.特定建設業の許可を受けている者が注文者(元請工事に限る)となっ て、3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円。一次下請業者へ の下請代金の総額で判断)以上の下請契約を締結した場合には、工 事現場に備え付ける施工体制台帳の以下の部分を添付 (1)当該工事に関し、実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名、有 する監理技術者資格 (2)監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、そ の者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格 (3)下請負人(末端までの全業者。以下同じ。)の商号、許可番号 (4)下請負人に請け負わせた建設工事の内容、工期 (5)下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名、資格 (6)下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者 の氏名、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技 術者資格 69 ⑩ー4建設業法に基づく帳簿の保存期間 ■帳簿の保存期間 建設業法第40条の3では、建設業者は営業所ごとに、営業に関する 事項を記録した帳簿を備え、5年間(平成21年10月1日以降については、 発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあっては、10年 間)保存しなければならない。 70 35 ⑩ー5その他(10年間保存義務があるもの) ■営業に関する図書の保存期間 発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、以下の 営業に関する図書を当該建設工事の目的物の引渡をしたときから10年 間保存しなければならないとされている。 (1)完成図(建設業者が作成した場合又は発注者から受領した場合の み) (2)工事内容に関する発注者との打合せ記録(相互に交付したものに 限る) (3)施工体系図(発注者から直接請け負った建設工事について、3,000 万円(建築一式工事の場合は4,500万円。一次下請負人への下請 代金の総額で判断)以上の下請契約を締結した特定建設業者の場 合のみ) ※ 電磁的記録も可能 71 重大違反事項 • • • • • 一括下請け 主任技術者・監理技術者の不設置 施工体制台帳・体系図の不作成 無許可業者との契約 虚偽申請(許可・経審・発注者に提出 する書類など) 違反すると 営業停止処分 となるよ 72 36 主な法令違反① ■指摘を受けた業者割合 100% 90% 80% 70% 60% 62% 55% 50% 48% 40% 30% 20% 11% 10% 0% 見積 8% 5% 11% 15% 契約 施工体制 技術者 支払い その他 指摘無し 発注者問題 平成22年度・23年度近畿地方整備局立入調査結果より 73 主な法令違反② その他, 2% ■指摘事項内容の比率 支払い, 4% 技術者, 5% 施工体制, 26% 平成22年度・23年度近畿地方整備局立入調査結果より 見積, 31% 契約, 32% 74 37