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インバータとコンバータ1
パワーエレクトロニクス講義資料 第 13 回 13.インバータとコンバータの設計(シミュレータ演習5) 13.1 インバータとコンバータ(復習) インバータとは、直流電力から交流電力を電気的に生成する(逆変換する)電源回路、またはその 回路を持つ電力変換装置のことで、逆変換回路、逆変換装置などとも呼ばれている。このインバータ は、制御装置と組み合わせることなどにより、省エネルギー効果をもたらすこともでき、近年、利用分 野が拡大している。また、インバータと逆の機能を持つ回路を一般にコンバータ(整流器、順変換器) と呼ばれている。 (1)インバータの主回路方式 インバータの主回路方式としては、電圧型インバータと電流型インバータがある。図1(a)は電圧型 インバータの基本回路を示したもので、S1~S4 は半導体スイッチング素子(これに使用する半導体ス イッチとしてはパワートランジスタ、MOSFET、GTO、最近ではほとんど IGBT が用いられる)、V1 は直 流電源、Zは負荷である。電圧型は電圧源(コンデンサ C を直流電源と並列に接続するため電源が 低インピーダンスとなり、電圧源として動作する)の直流から交流に変換するインバータであり、スイッ チS1 とS4 及びS2 とS3 を交互にオン・オフさせることにより、負荷の両端には方形波の電圧 v2 が得られ ます。なお、D1~D4 はフライホイールダイオードで、負荷が誘導性の場合、スイッチング時に発生す る誘導電流を環流させる働きをする。 一方、図1(b)は電流型インバータの基本回路を示したものである。電流型は電流源(インダクタン ス L を直流電源と直列に接続するため電源が高インピーダンスとなり、電流源として動作する)の直 流から交流に変換する方式であり、S1 とS4 及びS2 とS3 を交互にオン・オフさせることにより、負荷Zに は方形波の電流 i2 が流れる。なお、C は転流(電流の経路が移動すること、及びその動作)をスムー ズに行わせる働きをする。(動作の詳細については専門書を参照のこと) L S1 V1 S2 D1 D2 S1 v2 C Z S3 C V1 S4 S3 D3 S2 D4 (a)電圧型インバータ i2 Z S4 (b)電流型インバータ 図1 インバータの主回路方式 (2)インバータの応用分野 インバータの応用面を大きく分けると、モーター制御、DC-ACインバータ、DC-DCコンバータ、 放電ランプ用安定器、その他になる。 ①モーター制御: エレベータ、ポンプ、ファン、電車、電気自動車、エアコン、冷蔵庫などに使用される交流電動機(誘 導電動機・同期電動機)の可変速・可変トルク制御。 ②電源装置: 無停電電源装置(UPS)、工場などで使用される機器類、サーバー、PCのバックアップ電源装置、車 載用インバータ、太陽光発電におけるパワーコンディショナーなど。 ③放電灯安定器: 蛍光灯の高周波点灯(数十 kHz)、照明器具や液晶ディスプレイのバックライトに使用される冷陰極 -1- 管の点灯など。 ④その他: 誘導加熱(IH)調理器、電子レンジなど。 (3)PWMインバータの原理 PWMとは Pulse Width Modulation の略である。図2は、PWM波を発生させるための原理的なブロ ック図を示したもので、各部の電圧波形の概略を図3に示す。信号電圧 vi と三角波電圧 vs(周期を vi よりも短い)を、それぞれ、たとえばオペアンプの非反転入力端子と反転入力端子に加えて電圧を比 較すると、オペアンプ出力端子には、周期が三角波電圧に等しく、信号電圧の振幅値に比例してパ ルス幅が変化(たとえば信号電圧の正の振幅値が大きくなると、出力電圧の正のパルス幅が負に比 べて拡大する)するPWM電圧 vp が得られる。このPWM波をパルス増幅(たとえば図1(a)の電圧型 インバータにおいてスイッチング素子のオン・オフのタイミングをPWM波に同期させる)し、LC回路 で積分すれば、信号電圧が増幅された出力電圧 vo が得られる。このとき、パルス増幅回路の直流電 源 V1 から出力電圧 vo を見ると、直流電力から交流電力を電気的に生成しているため、PWM方式に よるインバータと見なすことができ、このようなインバータをPWMインバータという。 vi (a)信号+三角波 vs V1 vp vp vi (b)PWM出力 vo C vs 三角波 発生回路 L 負荷 パルス 増幅回路 vo PWM波 図2 PWMインバータ原理のブロック図 図3 PWMインバータの各部の電圧波形例 13.2 課題演習 図4に示すPWMインバータ原理回路のSPICEシミュレーション(過渡解析)を行い、その回路図 (SPICE で作成した回路図)及び各部の電圧波形(vi, vs, vp, vo)を印刷して提出せよ。ただし、オペ アンプとしては LT1001(ライブラリにある)を使用すること。 (ヒント) 1. 三角波発生回路としては、前回設計したマルチバイブレータの出力(コンデンサ両端の電圧)を 利用する。この場合、信号電圧 vi 及び三角波電圧 vs の周波数を低く設定すること。 2. 三角波発生の方法としては、上記1の方法以外に、電圧源で[Function]をパルス波に設定し三 角波となるように工夫しても良い。 3. 積分回路のLC値は、上記2を考慮して適当な値に設定すること。なお、出力抵抗 R の値を、十 分大きくすること。 vp vi vs L vo C 三角波 発生回路 図4 PWMインバータ原理回路(課題) -2- R