...

新たなデスゲーム〜グランド・コアキャッスル・オンライン〜 ID

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

新たなデスゲーム〜グランド・コアキャッスル・オンライン〜 ID
新たなデスゲーム∼グ
ランド・コアキャッス
ル・オンライン∼
ブラッキー先生もどき
︻注意事項︼
このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので
す。
小説の作者、
﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を
超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。
︻あらすじ︼
作者のブラッキー先生もどきと申します
作品となっています
今回投稿させて貰うのはソードアート・オンライン を題材とした、完全オリジナル
!
人たちにも体感してもらいたいと、SAOに限りなく近いであろうゲームとなってい
発売された。ゲームの製作者、黒鋼智也は、SAO生還者であり、自分の実体験を他の
SAO事件から8年後、新たなゲーム﹁グランド・コアキャッスル・オンライン﹂が
!
この先に待つ新たな物語を見逃すな
!
る。そのゲーム、GCOで繰り広げられるデスゲームに打ち勝ち、青年は生きて帰るこ
とが出来るのか
!!
正直、あまりこういったものは得意ではないのですが、精一杯頑張っていきたいと思
います
!
目 次 GCO編プロローグ
プロローグ │││││││││
第9話 力の見極め ││││
第10話 攻略会議前夜 ││
││
第 1 1 話 攻 略 会 議 と 逃 走 劇 第12話 自由行動⋮
10
4
第19話 キース │││││
乱舞 │││││││││││││
第 1 8 話 黒 と 白 の 剣 舞・紅 と 紫 の
第17話 決断の夜 ││││
第16話 紅の秘密 │││││
第15話 紅の異変 │││││
第14話 奪還へ │││││
119 114 105 99
GCO編
14
第13話 街での騒動 │││
22
第 1 話 終 わ り の 始 ま り、そ し て ⋮
│││││││││││││││
第2話 ボス攻略作戦会議 │
第3話 ボスの罠 │││││
第4話 試練の先にある闇 ││
69 60
83
26
139 128
第5話 闇に潜む見えぬ敵 ││
第6話 黒の剣士との決闘 │
第7話 決着 │││││││
第8話 光輝の方舟 ││││
?
75
38
90
1
45
53
│
第20話 動き出した闇 ││
第21話 闇との対峙 │││
第22話 違和感 │││││
第22話 違和感 │││││
第23話 闇の正体 ││││
168 163 158 152 145
GCO編プロローグ
製作者の黒鋼智哉は﹁多くの人にSAOがどの様なゲームであったかを身をもって体
の部分でSAOが取り入れられている。
で繰り広げられるゲームである。主な世界観はSAOに限りなく近く、スキルなど多く
SAOに登場するアインクラッド城とよく似たコアキャッスルという巨大な城の中
グランド・コアキャッスル・オンライン⋮
しかし、無情にもデスゲームはまた始まってしまった⋮
けない⋮。そう大勢の人々が願っていただろう⋮
あまりに多くの死者が出たという悲しみを感じた。こんなゲームは2度と起きてはい
そのゲームから開放されたという報道が流れ、多くの人々が喜びを感じ、そしてまた
イン、通称SAO⋮
ある日突如デスゲームとなり、多くの犠牲者を出したゲーム、ソードアート・オンラ
∼プロローグ∼
プロローグ
プロローグ
1
2
感してもらい、どれほどの恐怖や絶望を味わっていたのかを知って欲しい﹂と雑誌で
語っていた。彼もSAO生還者の1人である。
そしてこのゲームがデスゲームに変貌するなど知らず、次々とログインをしてきた5
000人のプレイヤー達。
その中の1人、プレイヤー名紅は、はじまりの門の前にいた。
﹁や っ と ⋮ こ こ に 立 つ こ と が で き た ⋮。S A O が ど ん な も の だ っ た の か、β 版 だ け
じゃ分からないことがたくさんあるんだ。﹂
彼はSAO生還者ではないがSAOをプレイしたことがある。β版のSAOをプレ
イしたのだが、正規版はその時購入するだけの額がなく買うことが出来ず、プレイする
ことが出来ないままデスゲームにより永遠にSAOをすることができなくなってし
まったのだ。
だからこそ今回のグランド・コアキャッスル・オンライン、通称GCOにはたくさん
お前早すぎだわ、もう少し相手のことを考えてくれよ∼﹂
の期待を胸にログインしてきたのだった。
﹁やっと追いついた
﹁やっときたかガイ、遅いぞ﹂
!
﹁おいおいりょう、それはいくらなんでも自分勝手過ぎるぜ
﹂
﹂
?
門は逃げたりしないから
﹂
そもそも紅なんて呼びずらいんだよね
俺は紅っていうプレイヤー名が⋮﹂
!!
そのほかの何にでもない
﹁はいはい、後リアルの名前で俺を呼ぶな
∼﹂
﹁りょうはりょうだ
﹁っ⋮⋮﹂
﹁ま、いいや∼、さっさと行こうぜ
﹂
﹁まったく、これだからガイは⋮﹂
﹁ほらほら早く早く
﹁わかったから押すなって
!
!
!!
口元が緩んでしまう。
﹂
さあ、この先に広がる世界はどんな感じなんだろう⋮そんなことを考えているだけで
!
?
!
!
俺の⋮俺達の物語の始まりだ
!
﹁さあ行こう
プロローグ
3
GCO編
﹁ふぅぅ⋮はぁっ
!!
こ こ は 第 3 5 層 の 迷 宮 区。そ こ で 1 日 籠 っ て ボ ス 部 屋 捜 索 を 兼 ね た レ ベ ル 上 げ を
る。それによりモンスターのHPが消失し、ポリゴン粒子となり四散した。
ライク︾を発動する。ライトエフェクトがモンスターを貫通し、一直線の光を作り上げ
深く息を吐き、モンスターに突進する。それと共に片手剣単発スキル︽ マッハスト
﹂
ちょっとした業物だ。
本人の敏捷性︵アジリティ︶パラメータも上かっていないと上手く扱うことのできない
この武器はアジリティに優れ、高速でスキルを相手に叩き込むことが出来るが、使用者
全身黒を基調とした装備で武器は刀に似ている片手直剣﹁一虎閃﹂を使用している。
イヤーとモンスターが対峙していた。
静かな部屋に突如金属音が衝突する音が鳴り響いた。その音の発生源を見るとプレ
第1話 終わりの始まり、そして⋮
4
行っていた
紅の現在のレベルは40で、ボス攻略に関しては問題ないくらいのレベルだ。
﹁あと2つ3つくらいレベル上げておきたいかな⋮﹂
﹂
と、独り言を言っていると、道の後方から、
﹁どんな感じだ
?
のモンスターを狩ってても効率が悪いからな∼⋮﹂
﹁とりあえず先に進むか、そういえばガイはどこ行ったんだ
﹁ああ、あいつなら⋮﹂
﹂
﹁まあまあってとこかな、あと2つ3つくらいレベルを上げたいところだけど、ここら
どいろいろなことをレクチャーしてくれた、いわば師匠である。
そのプレイヤーの名前はスバル。紅とガイがログインしたての時に、武器やスキルな
と、声をかけてきたプレイヤーがいた。
?
﹂
!!
﹁はあぁぁぁ
第1話 終わりの始まり、そして…
5
周囲に大声と共に爆散音が響いた。 ﹁ふぃ∼⋮﹂
﹂ ガイは溜息をつきながら剣を鞘に収める。
﹁ガイ、そっちはどんな感じだ
﹁皆同じ意見か⋮﹂
?
そのエクストラスキルとは︽ 二刀流︾。このスキルは36層で取得出来るらしい。
獲得するためだ。
彼らはあることをするためにレベルを上げている。それは、あるエクストラスキルを
﹁しょうがない、先に進もうか。﹂
﹁やっぱそうなるよな∼。﹂
地道にやっていくくらいしか出来そうなことが無いんだよな⋮﹂
﹁ここ以外となると効率的に考えるとち∼とばっかし厳しいかな∼、それかクエストを
﹁他にいい狩り場とか無いのか
﹂
﹁一応目標は達成したけどもう少しレベルが欲しいかな∼。﹂
?
6
第1話 終わりの始まり、そして…
7
なぜ知っているのかというと、二刀流のスキルを手に入れる前には色々とクエストをこ
なさないと、取得することが出来ない。そして最近になって、二刀流を取得するまでの
クエストを全てクリアし、その情報を手に入れたのだ。しかし、スキル取得にはモンス
﹂
ターを倒さなければならず、それがメチャ強らしいのだ⋮。なのでレベル上げをしてい
る訳で。
﹁あれ、ここって⋮。﹂
﹁ボス部屋だな。﹂
﹁ここまで来ちゃったから今回のレベル上げはここまでか
﹁そうだな、宿に戻るか。﹂
﹁明後日くらいにはボス攻略かね∼。﹂
2032年6月10日
強くなりたいと思ったのは⋮
あの時からだ。
と、渋々帰ることとした。途中で出くわすモンスターもしっかり狩りながら⋮
?
第1層﹁はじまりの街﹂にある闘技場に5000人全プレイヤーが強制転移させられ、
黒鋼智哉により、ログアウトボタンを消去され、デスゲームと化した。
脱出するにはゲームクリアのみ。SAOと全く同じ条件であった。
﹁あ、知らぬ間に片手剣の熟練度コンプリートしてる。﹂
アイテムの確認、補充などなど。
紅、ガイ、スバルの3人はボス攻略に向けて、準備を行っていた。装備のチェックや
れだ。
ヤーが死んでいる。この人数に対して意外と少ないと思うか多いと思うかは人それぞ
けるまでに至っている。この時点で、死者は248人と全体の約20分の1のプレイ
デスゲームが始まって3ヶ月が経ち、34層までクリアし、35層のボス部屋を見つ
こうして、死のゲームが始まったのである。
﹁身をもって味わってくれ、死の恐怖からの脱出ゲームを。﹂
8
第1話 終わりの始まり、そして…
9
﹁随分と早いな、俺はあと250くらいだから、今回のボスのところでコンプかな
そう言いながら寝ることにした。
﹁あーい。﹂
﹁さてと、明日は攻略会議で明後日ボス攻略か。気を引き締めて行こう。﹂
スキルを獲得する。
﹂
紅がスキルの確認をし、コンプリートしていることを確認、スキルポイントで最後の
?
第2話 ボス攻略作戦会議
﹂
朝早くから35層の中央広場は騒がしかった。
﹁時間だ、始めよう
﹂
?
﹁ボスの他にMobは出現しないのか
﹂
?
る人はいますか
入ったらすぐに射程外へ移動して下さい。以上が偵察隊からの報告ですが、何か質問あ
更に、前方方向に氷結ブレスをちょくちょく使ってくるので、ブレスのモーションに
5万、使用武器は刀で、スキルは主に旋車と虚空を使って来るということだそうです。
﹁指揮補佐役のクリスです。今回のボスのですが、偵察隊の情報によるとHPは18
﹁今回のボス攻略全体の指揮をとることになったファガンだ、以後よろしく頼む。﹂
1人の男性プレイヤーが周囲に呼びかけると、静かになりその男に皆注目した。
!
10
スバルが質問を投げかける。それにクリスが応答する。
﹂
無いなら今日は解散だ。攻略の日程は明日の午前10時だ。各
﹂
﹁もちろんレベル上げだろ。スバル、いい狩り場かクエストはありそうか
﹁この後はどうする
﹂
クリスの忠告とファガンの一言で攻略会議は終わった。
自装備などの準備を済ませ、明日に備えてくれ。以上
?
?
﹂
?
度も上げられるし一石二鳥だろ。﹂
﹁モンスター狩りとアイテム精製か⋮まあ問題ないだろ。モンスター狩りの方は熟練
るやつがあったんだけどどうだ
﹁さっき、モンスター狩りとアイテム精製クエストを見つけてな、報酬で経験値が貰え
?
!
﹁他に質問はあるか
ポップも警戒して下さい。﹂
起きる可能性も考えられるので、HPゲージが1本半辺りになったら他のモンスターの
にHPゲージがラスト1本になったら他のモンスターを呼び出すなどといったことが
﹁一応そういった情報は無いですが、可能性は十分考えられますね。32層の時のよう
第2話 ボス攻略作戦会議
11
12
﹁じゃっ決まりだな、行こう﹂
紅、スバル、ガイの3人はクエストに向かった。
モンスター狩りの方は3人全員が片手剣熟練度もコンプリートする事ができ、アイテ
﹂
ム精製クエストの方はポーション作りのための素材収集と作成で、こちらでも近くにい
たモンスターを狩って経験値を稼いだ。
結果、紅のレベルは48、ガイとスバルは47となった
﹁これでやっと⋮。﹂
﹁挑戦の権利を獲得した訳だ。﹂
﹁35層のボスもさっさと倒してクエストクリアしちゃいましょ∼
﹁まあ、そう簡単にいかないのがゲームなんすわ。﹂
﹁そうなんだよね∼。まずレベル上げにも手間かかったし。﹂
3人でこれまでのことを振り返って、愚痴や今回学んだことなどを語りあった。
きたわ⋮。﹂
﹁レベル上げがこんなにも大変だとは⋮。改めてレベル上げの大切さを知ることがで
!
第2話 ボス攻略作戦会議
13
﹂
﹁さあ、明日はボス攻略だ。ここがクリア出来なきゃエクストラスキル取得なんて到
底出来ない。﹂
﹂
﹁二刀流⋮。何としてでも手に入れたいものだな。﹂
﹁取得出来れば色々と攻撃パターンも増えるしな
さ、明日に備えて寝ましょ寝ましょ。﹂
﹁おいおい、先のことばっか言ってないで今のことに集中しろよ
﹁分かってるって
?
!
でも完全な勝利をしたいと思いながら眠る3人であった⋮
明日のボス戦での状態で、その後のクエストがどうなるかも見定められる。何として
!
第3話 ボスの罠
﹁指揮をとる役として一言言わせてもらう。ボス攻略では本当に何が起こるか分から
!
ない。戦っている時でも、最大の注意を払ってくれ。そして⋮全員が無事36層の地面
を踏むことが出来ることを祈る
﹂
﹂﹂﹂
では行くぞ
﹁﹁﹁おぉう
!!
﹂
!!
ファガンの指示が飛ぶ。
ろ
﹁全員、一つの場所に固まらず、ボスモンスターを囲むように散りながら攻撃を展開し
一気にボス部屋に侵入する。
ボス部屋への扉が開かれ、指揮官ファガンと補佐役のクリスを先頭にプレイヤー達が
35層迷宮区の中に、気合を入れる声が響き渡った。いよいよボス攻略である。
!!
14
第3話 ボスの罠
15
﹂
﹁俺達も仕掛けるぞ
﹁了解した
﹂
﹁いっちょ派手に行きますか
!
﹁はあぁぁぁ
!!
﹂
﹁うおぉぉぉ
﹁やあぁぁ
!!
﹂
の10連撃を浴びせ、HPを大幅に削っていくという活躍を見せていた。
ガイも片手剣スキル﹁サイクロンクロー﹂の8連撃、スバルは刀奥義スキル﹁桜吹雪﹂
﹂
撃全てをボスに浴びせた所で、HPが半分を切った。
紅は先日習得した片手剣奥義スキル﹁ノヴァ・アセンション﹂を発動させる。10連
﹂
3人もスバルを中心に連携をしながらボスに攻撃をしていく。
!!
!
!
16
﹁⋮⋮﹂
﹁どうしたスバル
﹂
何かおかしいんだ
﹁おかしい﹂
﹁ん
﹂
?
?
ローゾーンに入るギリギリ手前くらいだ。﹂
﹁それは俺らの実力が上がったって考えても問題ないだろ。﹂
﹁それはそうなんだが⋮やっぱり何かある気がするんだ⋮﹂
スバルは攻略が余りにも順調過ぎることが気にかかっているらしい。
そうこうしている間にボスのHPがレッドゾーンに突入した。
全員Mobのポップに警戒しろ
!!
﹁ボスのHPがレッドゾーンに入った
!
様に消滅した。
ファガンが警戒するよう指示を出した直後、ボスが唸り声を上げだし、自爆するかの
﹂
﹁余 り に も 順 調 過 ぎ る ん だ。攻 略 組 全 員 の 残 り H P を 見 て も ど ん な に 低 く て も イ エ
?
第3話 ボスの罠
17
﹁なんだ
自分から死んでったぞあいつ⋮﹂
﹁な∼んだ、今回のボス攻略は結構楽勝だったな
まだこの戦いは終わっていない
﹂
モンスターがポップするぞ
﹂
!!
﹁待て
!!
周りのプレイヤー達は、攻略が達成したと思い、それぞれ歓喜の声を上げていた。
!
?
現した。
!?
﹂
?
部屋全体に不穏な空気が漂う。
﹁こんなやつ倒せんのか
﹁今度の奴はなんかやばそうな雰囲気出してんだけど⋮﹂
﹁嘘だろ⋮まだやるのか
﹂
スバルの一言にどよめきがあったが、その直後、部屋の中心に新たなモンスターが出
!
18
﹂
﹁大丈夫です
願いします
僕達ならどんなモンスターでも倒せる筈です
!
﹂﹂
﹁さ、もうひと頑張りいくぞ
﹁﹁おう
﹂
﹁これでもくらえ
﹁ふんっ
﹁はあっ
﹂
﹂
﹂
戦法は先程と同じでお
!!
削れない。
華﹂、片手剣スキル﹁アトミックフレイム﹂を打ち出すが、HPは大体3ドット程度しか
ガイ、スバル、紅の順に片手剣奥義スキル﹁ノヴァ・アセンション﹂、刀奥義スキル﹁散
!!
!
クリスの一言でプレイヤー達を奮い立たせる。
!!
紅を先頭に3人も動き出す。
!
!! !
第3話 ボスの罠
19
﹁なっ、こいつ相当硬いぞ
﹁﹁えっ
﹂﹂
﹂
﹁いや、そうとは限らないと思うぜ
?
﹁なるほど、考えたな。﹂
る筈だ。そこにソードスキルを叩き込めば一気にHPを削ることが出来ると思う。﹂
﹁あれだけHPが減らなくても、何処かに必ず弱点、つまりクリティカルポイントはあ
﹂
﹁かと言って流石にこれじゃあ相当時間がかかるな⋮﹂
のある戦いが出来るのだから。
3人も流石にこれには驚いていた。しかし同時に楽しんでもいた。久々にやりがい
﹁流石ボスモンスター、通常のとは一味違うな⋮﹂
﹁奥義スキルを使ってもこれとはな⋮﹂
!?
紅には何か考えがあるらしい
?
20
﹁なら早速隅々まで調べあげますかな
﹂
!
﹂
﹁多分クリティカルポイントは分かりやすい感じになってるかもだからそこから重点
﹂﹂
的に探っていこう
﹁﹁了解
!
バルが僅かだが、ほかの場所よりHPが削れた場所を見つけた。
﹂
胸の辺りの宝石がはめてある場所がポイントの可能性がある
﹂﹂
!
﹁あったぞ
﹁﹁おう
﹁よし、そこに奥義スキルで叩く
!
残り2本だったものが一気にラストゲージの半分近くまで削られた。
を叩き込んだ。するとボスモンスターは悲鳴を上げながら体を仰け反らせた。HPも
片手剣奥義スキル﹁エクストリームガイア﹂、刀奥義スキル﹁桜吹雪﹂、計32回の斬撃
紅の合図で3人は胸の所にある宝石に、片手剣奥義スキル﹁ノヴァ・アセンション﹂、
!!
﹂
3人はクリティカルポイントの様な所をしらみつぶしに攻撃していった。するとス
!!
!
第3話 ボスの罠
21
﹁とどめだっ
﹂
リゴン粒子となり爆散した。
紅はもう一度﹁ノヴァ・アセンション﹂を発動、HPを0にし、ボスモンスターはポ
!!!
﹁そろそろ二刀流取りに行くか
﹂
﹁そうだな、レベル的にも問題ないだろうし。﹂
﹁じゃあ明日にでも試練の山にアタックするか
!
?
入ると4人で入った筈なのに1人になっていて⋮⋮という所で、恐怖でこれ以上は話す
モンスターが出現するという。しかもこの2層は特殊らしく、
﹁孤独の間﹂では、部屋に
ルクールとなっている。そして上の2層は、
﹁孤独の間﹂と﹁混沌の間﹂となっていて、
なっているらしい。下から﹁斜面の間﹂、
﹁迷路の間﹂、
﹁暗闇の間﹂と、主に謎解きやパ
クエストを発動させるNPCの話によると、
﹁試練の山﹂は、大きく分けて5つの層に
次の日、3人はフィールドの外れにある﹁試練の山﹂に来ていた。
﹂
ルは51、ガイは50と全員が50以上になった。
紅達3人はレベルが高いことに越したことはないと、更にレベリングをし、紅とスバ
35層のボス攻略から一週間が経った。
第4話 試練の先にある闇
22
第4話 試練の先にある闇
23
ことはできないと言われ、聞くことが出来なかった。
﹁上の2層に関しては自分達で確かめるしかないか⋮﹂
﹁﹁そうだな﹂﹂
3人は少し恐怖を感じながらも最初の試練に挑んでいった。
最初の﹁斜面の間﹂は、斜面にある足場を使って上に登って行くという簡単なもので、
﹂
難なくクリアできた。次の﹁迷路の間﹂は、名前の通り迷路なのだが、余りにも単純過
ぎて、数分でクリア出来てしまった。
﹁これ、クエスト間違えてたりとか無いよな⋮
﹁﹁あるわけないだろ⋮﹂﹂
﹁ですよね⋮﹂
ガイが2人にツッコまれたりもしながら次の﹁暗闇の間﹂にたどり着いた。
よう。﹂
﹁まあ次の暗闇の間は名前的になんかありそうな気もするから、とりあえず進んでみ
?
24
この部屋も迷路になっているっぽいのだが、やはり名前のごとく真っ暗で中がどう
なっているのかよくわからない。
﹁な、何も見えない⋮﹂
﹁こういう時の為に索敵スキルを取得しといといたんだな∼。﹂
﹁こんなことの為ではなかったんだが⋮まあいい、俺が先導する。﹂
﹁﹁任せた︵る︶﹂﹂
﹁暗闇の間﹂の迷路も索敵スキルのお陰で時間を余り使わずにクリアすることが出来
た。そして、やっとのことで﹁孤独の間﹂にたどり着けた。
そんなことあんのかな∼﹂
﹁さあこっからは未知の部屋になる訳なんだが⋮﹂
﹁この部屋に入ったら1人になってるんだっけ
?
特にガイ
?
﹂
﹁まあダンジョンの中で強制転移させられることは無いわけではないからな⋮﹂
﹂
﹁まああのNPCのにのまえにはなるなよ
﹁えっ俺
﹁﹁うん。﹂﹂
!?
!
第4話 試練の先にある闇
25
﹁扱いひどっ
俺だってこんなとこで逃げたす理由ないだろ
﹂
!!
そんな所で3人は4層目、﹁孤独の間﹂に足を踏み入れたのだった⋮
﹁そうだな⋮﹂
﹁まあその言葉を信じてやるか⋮﹂
!
第5話 闇に潜む見えぬ敵
みを感じるわ⋮︶﹂
?
遡ること20分程前⋮
﹁全く、こういう系のは2度とやりたくないな。﹂
込む。するとHPゲージがラスト1本となった。
そう言いながら、片手剣ソードスキル﹁ビーストファング ﹂を発動、3連撃を叩き
﹁さて、どうしたものかな
﹂
﹁︵くっ⋮ここまでレベルを上げても1人だと苦戦するものか⋮改めて仲間のありがた
額の汗が滴る。
﹁はぁ⋮はぁ⋮はぁ⋮﹂
26
﹂
3人が孤独の間に入った直後⋮
﹁なっ
?
た。
?
HPの減少によって、モンスターが悲鳴の様な叫びをした後、片手剣ソードスキル﹁ギ
という訳で今に至るのであった⋮
﹂
色々と考えていると、部屋の奥から怒号とも言えるモンスターの叫びが響き渡ってき
﹁強制転移されたのか
﹂
紅の周りに2人の姿は無かった。
!?
﹁あーあ、怒らせちゃったか
第5話 闇に潜む見えぬ敵
27
ガントスパイク﹂を放ってきた。紅はどうにか4撃を捌くが、HPは徐々に削られ、イ
エローゾーンに突入した。
﹁出来るかは五分五分だが⋮賭ける
!
ルである。
﹂
今使った﹁ジャックスクエア﹂は、紅が戦闘時に偶然発動したオリジナルソードスキ
のHPを0にした。
風の如くモンスターに突進し、連続で多方向から計11回の斬撃を放ち、モンスター
﹁ジャックスクエア
﹂
紫色のライトエフェクトが剣を包み込む。
!
そうつぶやくと、いつもより低い体勢になってモーションに入る。
﹁そろそろケリをつけないと⋮長期戦は色々と厳しくなるからな⋮。﹂
28
﹁ふぅ⋮﹂
深く息を吐いてから剣を鞘に収めると同時くらいに次の部屋、
﹁混沌の間﹂の前に転移
された。
﹁お前が一番最後とは意外だな。﹂
﹂
﹁1人だと色々と考えて攻撃に集中できなくてな。﹂
﹁なるほどね∼。﹂
﹁さ、次のボスもちゃっちゃと倒しちゃいましょ
﹁そう簡単にいけば苦労しないって何度も言ってるだろ⋮﹂
!
﹁さて、これで最後だ。﹂
たので、紅は﹁黒龍﹂、スバルは﹁咲夜﹂、ガイは﹁炎龍﹂にそれぞれ装備を変更した。
さっきの戦いで、3とも剣の耐久値が次の戦闘までもってくれるか微妙なところだっ
﹁俺らはお前が来る前に変えておいたわ。﹂
﹁俺の武器、耐久値ギリギリだからさっきドロップしたやつに変えるかな。﹂
第5話 闇に潜む見えぬ敵
29
﹁メチャ強なボスなんだろうな∼。﹂
﹂﹂
!
!!
﹁なっ
﹂
﹁こいつ⋮﹂
!?
!?
﹁﹁﹁︵くっそ柔らかい
︶﹂﹂﹂
リームガイア﹂、刀奥義スキル﹁桜吹雪﹂、合計32連撃をモンスターに叩き込んだ。
ガイを先頭に攻撃を仕掛ける。片手剣奥義スキル﹁ノヴァアセンション﹂、
﹁エクスト
﹁先手必勝
﹂
玉座に座るモンスターを確認した。
﹁混沌の間﹂に入ると、赤い炎が松明に灯り、部屋全体を明るくした。すると部屋の奥に
3人は最後の間、﹁混沌の間﹂に入っていった。
﹁﹁おう
﹁それでも倒すまでだ。﹂
30
なんと、今の攻撃で4本あったHPゲージを一気にラスト1本まで削ったのだ。
﹁おいおい大丈夫かよこれ⋮﹂
﹁流石にこれは⋮﹂
﹂
と、突然部屋全体が揺れだし、モンスターにエネルギーの様な黒い光が集まり、モン
スターを包んでいく。
﹁な、何が起きてるんだ
ガイの疑問に返答は無かった。そうしているうちに、モンスターがみるみる小さく
?
どこに行⋮﹂
なっていき、プレイヤーと変わらない程の大きさとなった。そしてその場から〝消えた
〟
!
まった。それにより全員のHPが3分の1削られた。
直後、スバルは黒い影に吹き飛ばされた。そしてガイ、紅と次々に吹き飛ばされてし
﹁なっ
第5話 闇に潜む見えぬ敵
31
﹂
﹁ぐっ⋮なん⋮だと⋮﹂
﹁何が起きた⋮
﹁任せた。ガイも対応出来るか
﹂
﹁頑張ってみるわ
﹂
﹁頼んだ。行くぞ
﹂
ころか防御するだけで精一杯という状況までに陥ってしまった。
﹂
スバルの判断で紅を中心として攻撃を展開する。だが、中々刃を当てられず、それど
!
?
﹁⋮やってみる﹂
﹁こりゃ今回は紅を中心に攻撃を展開させた方が良さそうだな⋮頼めるか
紅だけがモンスターの動きを僅かだが捉えられた様だ。
攻撃してきてた⋮速過ぎて防御が間に合わなかった⋮﹂
﹁あいつが⋮高速移動しながら
?
!
?
32
﹁ガイ正面
﹂
﹂
﹁スバル後ろ
!
﹁紅
分かったかも
﹂
﹁︵このままだと3人とも⋮︶﹂
エローゾーンに突入した。
紅も敵の位置を伝えているが、防御は間に合い切らず、少しずつHPは減っていきイ
!
!!
﹁俺も分かったことがある。こっちが防御した時、少しの間動きが止まる。そのタイミ
うとしても糸も簡単に避けられるんだけどね⋮﹂
ギー溜めてまた動き出すっていうループだな。まあエネルギー溜めてる時に攻撃しよ
んだ。それで攻撃する順番は単純に近いやつから攻撃する。それで今みたいにエネル
﹁多分だけど、あいつの動き出す位置と止まる位置がほぼ同じ所で固定されてると思う
?
﹂
ガイが相手の行動パターンが分かったと言ってきた。
!
﹁どうなってる
第5話 闇に潜む見えぬ敵
33
ングに叩くことが出来ればいけると思うんだが⋮﹂
倒してもらうか
﹂
﹂
﹁はいよ。てかリアルの名前で呼ぶなよ⋮﹂
﹁やっぱ〝紅〟って呼びづらいんだもん
!
﹁はぁ⋮まあいい、スバルも今言ったので良いか
﹁ああ、問題ない。﹂
﹁じゃあそれで行こう。﹂
﹁﹁了解。﹂﹂
?
!
!!
紅は索敵スキルを使いモンスターの動きを見ようとした。その時、見えた範囲はいつ
﹁︵これ以上2人を傷つかせる訳には⋮絶対にいかない⋮
︶﹂
モンスターがパワーを溜め切った様で、攻撃を開始しようとしていた。
るようにした。
ガイとスバルはモンスターからの距離をほぼ同じ所に立ち、どちらに来ても対応出来
﹂
﹁なるほどね∼。じゃあシステムを誘導して、俺とスバルで防御した時に〝りょう〟に
34
﹂
もより〝広かった〟。
﹁ガイの方だ
﹁⋮うおぉぉお
﹂
初めて使ったスキルということもあり、全て当てることはできなかったが、それでも
の切り下げ+3撃の水平切りの計14連撃となっているスキルである。
ソードスキル﹁陽炎の舞﹂は、7撃の高速突き+2撃の左右の切り上げ+2撃の左右
スキル﹁陽炎の舞﹂を発動する。
手剣の﹁黒龍﹂
﹁炎龍﹂
﹁雷龍﹂
﹁龍神﹂を装備した時のみ発動することの出来る特殊奥義
2人がモンスターの攻撃を受け止め、一瞬動きが止まる。そこを逃すまいと、紅は片
!!!
﹁今だりょう
!
﹂
﹁ぶちかませ
﹂
はソードスキルのモーションに入る。
モンスターが消えたのとほぼ同時に紅の指示が飛ぶ。スバルとガイは防御体勢に、紅
!
!
第5話 闇に潜む見えぬ敵
35
﹂﹂﹂
﹂
﹂
11撃を与えることができ、モンスターのHPを0にしポリゴン粒子となり消失させ
た。
﹁﹁﹁いよっしゃあ
﹁ふぅ⋮﹂
﹁これで二刀流ゲットだ
﹁やっと終わった∼
!!
﹁全く⋮﹂
!
軽い口論をしながらボスでドロップの報酬を確認する。すると二刀流スキルに加え、
﹁元々種蒔いたのお前だろ⋮﹂
﹁さ、報酬の確認確認
﹂
﹁まあガイと同じ理由だな。﹂
﹁てかさっき、スバルも俺のことリアルの名前で呼んだだろ⋮﹂
3人に喜びと疲れが同時にやってきた。
!
!
36
それぞれに武器がドロップしていた。紅はラストアタックという事もあり、レア度の高
い﹁龍神﹂、ガイは﹁雷龍﹂、スバルは﹁夜桜﹂を入手した。 ﹁これがあれば攻略も大分進みそうだな。﹂
な。﹂
﹁そうだな、それぞれの武器も組み合わせ次第で、特殊スキルも見つかるかもしれないし
﹂
!
3人はこれからのことを話しながら、﹁試練の山﹂から宿に戻っていくのであった。
﹁それはあるかも
第5話 闇に潜む見えぬ敵
37
第6話 黒の剣士との決闘
紅達が二刀流を取得してから一ヶ月半近く経ち、攻略も大分進み45層まで来ること
が出来た。二刀流のクエストは、あの後情報を公開したが、未だにクリアした者は自分
達を除き、1人しかいないらしい。
﹂
?
﹂
ある日の夕方、ガイがある事を紅に伝えるために、宿の部屋に転がる様に入ってきた。
﹁大変だ
﹁どうしたんだよ⋮﹂
﹂
﹁二刀流スキルを獲得したヤツが分かったんだよ
﹂
﹂
﹁あの1人でクエストに挑んだ強者の事か
﹁誰だったんだ
﹂
﹁知ってるのかりょう
﹁なっ
﹁キ⋮キリト⋮﹂
?
﹁なんであの人が⋮﹂
?
!!
!
!!
38
紅とガイが頷く。
﹂
〝黒の剣士キリト〟
﹂
﹁しかもその人が明日、45層の広場でデュエルをするんだって。﹂
﹁そりゃまたなんで
﹁何かのメンバーを探してるらしい⋮﹂
﹁行く。﹂
﹁即決だな⋮﹂
﹁あの人とは1度やり合ってみたかったんだ。﹂
﹂ ﹁ちよっと待てって、誰だよキリトって﹂
﹁〝黒の剣士〟と言えば分かるか
?
も思わなかった。
姿を見せなくなったと聞いていたが、まさかこのゲームにログインしていたとは3人と
イムオンライン︵ALO︶を拠点に、様々なゲームに出没していた。が、最近はあまり
ヒースクリフこと茅場晶彦を倒し、SAOをクリアさせた英雄。クリア後はアルヴヘ
?
?
﹁黒の剣士ってあのSAOをクリアさせたっていう伝説の
第6話 黒の剣士との決闘
39
いった。
?
?
からな。﹂
﹁1度あの人の動きを見ておきたい。全くわからない状態で突っ込むわけにもいかない
﹁どうする
﹂
キリトは新たな対戦相手を探す。
﹁他に誰かやりたいやつはいるか
﹂
いた。そして、話し終わったあと、男性プレイヤーが肩を落としながら中央から去って
デュエルが終わった所らしかった。中央の所を見るとプレイヤー2人が何かを話して
次の日3人は45層の広場に向かった。広場に着くと、人だかりができていて、丁度
﹁﹁ああ﹂﹂
﹁とりあえず明日、45層に行こう。﹂
40
﹂
すると、1人のプレイヤーが名乗りをあげた。
﹁よし、やるか
﹁お見事⋮﹂
を流れるようにかわし、プレイヤーの背中の方に刃を当て、決着がついた。
0になったのとほぼ同時に、プレイヤーがキリトに突進していく。が、キリトはそれ
静まっていった。
すぐにデュエルの申請をして、カウントが始まる。数が減っていくにつれ、野次馬も
!
﹁他に誰かいないか
﹂
?
3人も感嘆の声を漏らす。
﹁なるほど、流石だ。﹂
﹁なんて流れ技だ⋮﹂
第6話 黒の剣士との決闘
41
また周囲に呼びかけるキリト
﹁行くのか
﹂
紅が頷く。
﹁俺がやる。﹂
﹁お、来たな。やるか
!
?
?
﹁つまり俺がお前に攻撃をしろと
﹂
が、攻撃に対しては皆無だからな。﹂
﹁まだあんたの動きが判断出来てなくてな。防御に関してはまあなんとなくって感じだ
﹁ん、どうした
﹂
まり、カウントが0になった。が、2人とも動くことは無かった。
デュエルの申請をし、カウントが始まる。互いに鞘から剣を抜き、構える。周囲も静
﹂
﹁よし、なんとなくだが分かった。﹂
42
?
﹁まあそうなる。﹂
﹁な る ほ ど、面 白 い や つ だ な お 前。普 通 な ら 攻 撃 な ん か さ せ ま い と 突 っ 込 ん で く る の
に。﹂
﹁またそれでも良かったんだが、見てる人が同じようなのをずっと見てても飽きてくる
﹂
だろうし、俺もただ負けるのは嫌だからな。﹂
﹂
﹂
﹁それは剣士のプライドってやつなのか
﹁さあね
﹁そうか⋮じゃあ行くぜ
﹁⋮来い。﹂
?
読んでいたかのように剣を弾き反撃をするがかわされる。
キリトが動く。一気に紅の目の前まで移動し、剣で突こうとする。だが紅は、それを
?
?
﹁ほう⋮これは久々に骨のある戦いができそうだ。﹂
﹁まあなんとなく読めたので。﹂
﹁今のを弾いたのは流石だな。﹂ 第6話 黒の剣士との決闘
43
44
2人が同時に動き、鈍い金属音を広場に響かせる。
その時の2人は楽しんでいるようで笑っていた⋮
第7話 決着
﹂
デュエルが始まってから20分以上経ったが、未だに決着はつかなかった。
攻守共に、一進一退の戦いであった。
﹁そろそろ終わりにしたい所ではあるのだが、まだ本気では無いな
﹂
﹁そういうキリトさんこそ。﹂
﹁バレてたか
﹁ご名答。﹂
﹁バレるも何も、あなたは〝二刀流〟を使ってこそ、本当の戦いが出来るのでは
?
は唐突に訪れる。
!
﹂
﹂
もお構い無しに、2人は再び激突する。相変わらずの一進一退の攻防が続いたが、それ
2人は新たにもう1本の剣を装備した。その光景に周囲はどよめく。そんなことに
?
?
﹁これで決めてやる
第7話 決着
45
﹁っ
﹂
﹁スターバースト⋮ストリーム
﹂
キリトの剣が水色のライトエフェクトに輝く。
!!
﹁そうはさせない⋮それを使えるのはあんただけじゃない⋮
!
﹁終わりだ
!
後からは完全にキリトのスピードに追いついていった。
キリトは紅に初撃を与えようとする。が、それに紅の剣がギリギリで衝突する。その
﹂
動き出していた。
紅も︽スターバーストストリーム︾を発動しようとしたが、その時にはもうキリトは
﹂
キリトは二刀流奥義スキル︽スターバーストストリーム︾を発動させた。
!
46
﹁︵くっ⋮もっと速く動けないと⋮抜かれる
︶﹂
の最後の16撃目が放たれた。その直後、キリトは驚愕した。紅は、システム外スキル
キリトに焦りが出てきた。だが、スキルのスピードが追い抜かれることはなく、互い
!
︽剣技連携︵スキルコネクト︶︾が起動し、片手剣特殊奥義スキル﹁陽炎の舞﹂を発動し
﹂
ていたのだ。
﹂
﹁はああ
﹁くっ
!!
まさかシステム外スキルが使えるやつが俺以外にいたとは。し
2撃がキリトの懐を捉えた。これにより、長きに渡ったデュエルに決着がついた。
た紅は、2度目の剣技連携を使い、二刀流ソードスキル︽オーバーウィング︾を発動し、
が、最後の2撃で剣を2本とも弾かれ、大きな隙が出来てしまった。そこを逃さなかっ
キリトはどうにかクリティカルヒットが入らないように弾いたり捌いたりしていた
!
﹁いや∼負けた負けた
!
第7話 決着
47
かも2度も使えるとはな。﹂
﹂
?
た。
?
いけど。﹂
﹁︵せ、閃光
!?
やって来たのは、キリトのパートナーである、アスナであった。
︶﹂
﹁まあ決まったは決まったんだが、こいつソロじゃないんだって、ギルドには所属してな
﹁キリト君決まった∼
もう立ってるの疲れちゃったんだけど。﹂
キリトが何か考えていると、後方の方から1人の女性プレイヤーが歩いてやって来
﹁なるほどな。う∼ん⋮﹂
やってる。﹂
﹁ま あ ギ ル ド に は 所 属 は し て な い け ど、ソ ロ で は 無 い。い つ も は 3 人 で ボ ス 攻 略 と か
﹁まあそうだな∼。そういえばお前ってソロでやってるのか
﹁最初は偶然だったけど2度目はなんとなく狙ってだけど⋮相当疲れる。﹂
48
あ、3人ですけど⋮﹂ ﹂﹂﹂
﹂
﹂
?
﹁おいおい、なんで俺らまで呼ばれたんだよ
﹂﹂
﹁分からない。が、多分⋮﹂
﹁﹁多分
﹁﹁﹁何でしょう︵か︶
﹂﹂﹂
!
?
﹂
﹁パーティ組んでるってことね∼。ねぇ君、それって君含めて何人
﹁え
﹂
﹁3人か∼⋮う∼ん⋮まいっか。その人達ってここにいる
﹂
﹁いますよ。呼びます
﹁お願いしていい
?
アスナに頼まれ、紅はスバルとガイを呼ぶ。
?
﹁俺達の⋮ギルドに入団してほしい
﹁﹁﹁⋮
!?
?
?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
?
﹁お前達に頼みたい事がある。﹂
第7話 決着
49
﹂
?
﹂
﹁⋮はい
﹁え
﹂
?
﹁まあ3人てのは最初は悩んだが、お前ら全員〝二刀流〟を持ってるな
﹁ええ、まあ⋮﹂
﹂
?
?
﹁全然大丈夫ですよ
﹂
﹂
紅達3人は、顔を見合わせる。が、直ぐにキリト達の方を向き、返答する。
﹁﹁﹁えーっと⋮﹂﹂﹂
﹁どう⋮かな⋮
頼んでるって感じなんだが⋮﹂
﹁あのクエストは俺も苦戦してたんだ。それをクリアしたやつらなら問題ないと思って
?
しいってことになって探してたの。﹂
﹁まあ今のメンバーでもレベル的には問題ないんだけど、それでも後1人2人くらい欲
な。﹂
﹁実 は 俺 達 も そ ろ そ ろ ボ ス 攻 略 に 参 戦 し よ う と 思 っ て る ん だ が、人 数 に 不 安 が あ っ て
﹁やっぱり⋮﹂
!?
50
﹁断る理由もないし。﹂
﹂﹂
﹁そろそろ俺らだけなのは限界が来てると思ってたし。﹂
﹁﹁良かった∼
﹂
?
!
せます。﹂
﹁なるほど、じゃあよろしくな、スバル、ガイ、りょう
﹂
﹁俺は紅です。まあこいつらにはリアルネームのりょうって呼ばれてるんで呼び方は任
!
﹁俺はスバルです。よろしく。﹂
﹂
2人の自己紹介の後、3人も自己紹介をする。
﹁俺はキリト。ギルドの団長をやってる。﹂
はアスナ、よろしくね。一応ギルドでは副団長を務めています。﹂
﹁そういえば、私達の自己紹介がまだだったね。まあ知ってるでしょうけど改めて。私
﹁じゃあ早速メンバーを紹介したいから、一緒にギルドホームに来てくれるか
﹁﹁﹁︵いや、むしろあんたらにお願いされて断るやつの顔を見てみたいわ⋮︶﹂﹂﹂
﹁断られたらどうしようって思ったよ∼。﹂
!
﹁俺はガイって言います。よろしくです
第7話 決着
51
こうして5人は他のメンバーが待つ、ギルドホームに向かうのであった。
﹁﹁﹁はい。﹂﹂﹂
52
第8話 光輝の方舟
キリト達のギルド〝光輝の方舟〟のギルドホームがある22層には、モンスターが平
地ではポップしない、静かな森林をイメージしたのどかな所である。SAOの時もAL
それなら人数が少
Oの時も22層のコテージを使っていたという。このゲームもSAOをモデルとして
いるので、同じような感じだったらしい。
﹁しかし、なんで最初の方からボス攻略に参戦しなかったんですか
ないとか関係ないと思うんですけど。﹂
ら。後、モンスターの種類が少ないから飽きてくるんだよな。﹂
﹁最初の方だとやりがいがない。全体的にレベルも低いし、直ぐに上がりにくくなるか
﹁名前を隠したかったというのがあるんだけど、キリト君は違うみたいで⋮﹂
?
﹁﹁﹁はあ⋮﹂﹂﹂
るし、何よりやりがいがある。﹂
﹁まあ中ボス系のゲリラクエストは何度もやったな。普通のモンスターより経験値稼げ
﹁﹁﹁︵その少ない種類のモンスターでレベルを上げてきた俺達の努力は⋮︶﹂﹂﹂
第8話 光輝の方舟
53
そうこうしている内にギルドホームに着いた。
﹂
?
ユイの説明を終えた所で、奥から2人の女性プレイヤーがやって来た。
﹁な、なるほど⋮。﹂
﹁はい。私はパパとママの娘でもありますが、攻略でもサポートします。﹂
﹁ああ、ユイは俺達の娘だ。﹂
﹁この子は
﹁ただいま、ユイちゃん。﹂ ﹁ただいま、ユイ。﹂
﹁お帰りなさい。パパ、ママ。﹂
中に入ると、少女がキリトに飛びついてきた。
﹁﹁ただいま∼﹂﹂
54
﹁おかえり∼アスナ、キリト。﹂
﹁随分と遅かったじゃない。で
その人達が新メンバーなの
﹂
?
3人の紹介を済ませた後、ギルドメンバーの紹介をキリトがする。
﹁りょうって呼ばれてるけど⋮一応プレイヤーネームは紅なんで、まあよろしく。﹂
﹁ガイっす。﹂
﹁スバルです。よろしく。﹂
﹁ああ、紹介するよ。新メンバーとして、スバル、ガイ、りょうだ。﹂
?
よろしくね
﹂
﹁ねぇねぇ、なんでりょうって呼ばれてるの
﹂
﹂
﹁うちのメンバーはALOをメインに色んなゲームをしている仲間だ。﹂
﹁ボクはユウキ
﹁シノンよ。よろしく。﹂
!
﹁うっ⋮﹂
﹁まあ確かに。﹂
﹁リアルネームなんだよ。みんな紅って呼びづらいって言われて⋮﹂
?
?
!
﹁まあそんな感じだ。なんかお互いに聞きたいこととかあるか
第8話 光輝の方舟
55
﹂
﹁後、皆そんな改まらなんても大丈夫だから
﹁ああ、分かった。﹂
﹁かしこまってると疲れるしな
﹂
!
﹁りょうよく知ってるね∼。まさかボク達のことストーカーしてたりして
﹂
!
ない様だった。
?
﹁しかし、なんでこの3人なのか、まだ理由を聞いて無かったわね
﹁あ、そうだったな。﹂
﹂
﹂
ユウキの笑顔に、紅は少し見とれてしまった。ハッとして周りを見たが、バレてはい
﹁えへへ。﹂
﹁本人が知らなかったとは⋮﹂ ﹁へ∼、ボク達そんなに有名になってたんだ
なったから話題にあがることは少なくなったけど。﹂
﹁いや絶対にしないから。ゲーマーの中じゃ有名だよ。まあ最近はあまり姿を見せなく
?
シノン⋮二つ名を持った人しかいない⋮﹂
﹁けど、凄いメンバーだよな。黒の剣士キリト、閃光のアスナ、絶剣ユウキ、氷の狙撃手
!
56
キリトは2人にデュエルであったことを話した。
今度ボクともデュエルしようよ
﹁という訳で、3人をギルドに誘ったんだ。﹂
﹁へぇ、キリトに勝つなんてりょう凄いね
﹁別に構わないが。﹂
﹂
!
にしたいな。﹂
﹁それはそうだけど、まだ扱い切れてないからな。もう少し特訓して完全に使えるよう
﹁それでも2回目は狙ったんならもう自分のものに出来てるじゃない。﹂
﹁まああれは偶然なんだけど⋮﹂
﹁まさかキリトの他にシステム外スキルを使えるプレイヤーがいたとはね。﹂
!
﹂
?
この後紅達は、これまでやってきたゲームの武勇伝や、このゲームであった出来事な
﹁なるほどね⋮﹂
﹁特にそういうゲーム馬鹿なとことか特にね。﹂
﹁そうなのか
﹁あなたってほんとにキリトにそっくりね。﹂
第8話 光輝の方舟
57
どを語り合ったりした。
たりもしたんだけど実物を見た方が分かりやすいし。﹂ ﹁それ、ボクも賛成∼﹂
﹂ ﹁そうね、3人のお手並を拝見させてもらいましょうか。﹂
皆その意見に賛成の様で頷いていた。
﹁皆それでいいみたいだな。場所はどうする
﹁ボス攻略をするなら迷宮区に行ってボス情報を手に入れればいいんじゃないか
﹁なるほど、迷宮区の攻略か。﹂
﹂
﹁敵のレベル的にも手強いからな、実力が見れそうだな。﹂
?
?
﹁ついでにボス部屋も見つかれば一石二鳥だし
﹁じゃあそうしましょうか。﹂
!
﹂
﹁とりあえず皆がどんな感じの攻撃やら動きをするかを実際に見てみたいな。話わ聞い
⋮﹂
﹁さて、全員の親睦も深まったみたいだし、これからのことを皆で話し合いたいんだが
58
第8話 光輝の方舟
59
こうして、一同は45層の迷宮区へ向かっていくのであった。
第9話 力の見極め
﹂
紅達は、45層の迷宮区の攻略を着々と勧め、マップのコンプリートもあと半分くら
いまできていた。
﹁結構奥まで来たな。﹂
﹁そうだな。ユイ、ここら辺にゲリラクエストとかあるか
﹁はいパパ、ちょっと待ってくださいね⋮﹂
﹁はいです
﹂
﹁そうか、ありがとうユイ。﹂
そのモンスターなのですが、2体ポップするようです。﹂
﹁分かりました。この先の階に、中ボスレベルのモンスターが出るクエストがあります。
ユイで、攻略などでの情報を色々教えてくれる。
小さな妖精が、キリトの質問に対応する。妖精とは、ナビゲーションピクシーの姿の
?
60
!
﹁やっぱりこのゲームのデータのインストールが出来たのはありがたいですね。﹂
でしょ、キリトさん。﹂
﹁いえ、私が確認できるのは一部のクエストの情報程度ですので、攻略に関しての情報の
取得にも限界があります。﹂
﹁それでも無いよりは全然良いって
﹁この先の部屋でゲリラクエストが発生します。﹂
屋の近くまでやって来た。
話している間に次の階に続く階段を見つけた。そして、ゲリラクエストが発生する部
﹁そうだな、色々とユイには助けてもらってるしな。お、階段見っけ。﹂
!
﹂
﹁了解。さて、ここで1つ提案なんだが。﹂
﹁なんだ
?
﹂
?
﹁ボクも賛成∼﹂
﹁いい考えね。ここらので手こずられるのも不安になるしね。﹂
どうだ
そこでだ、りょうたちの入団テストとしてメンバーを分けて攻略しようと思ったんだが
﹁このゲリラクエストはさっき言ってた通り、2体のモンスターがポップするらしい。
第9話 力の見極め
61
他のメンバーも了承する。
支援して欲しい。﹂
﹁了解した。﹂
!
﹂﹂﹂﹂
﹁さっき言った通り、グループに分かれてやるぞ
﹁﹁﹁﹁おう︵うん︶
!
それぞれのグループに分かれて攻撃を開始する。紅、スバル、ガイは順に、片手剣ソー
!
﹂
部屋に入るとクエストが発動し、部屋の中心に2体のモンスターがポップする。
作戦を決め、部屋に入っていく。
﹁よし、行こう。﹂
﹁別に構わないわ。遠くからの方が動きをよく見れるし。﹂
﹁ボク達も大丈夫だよ
﹂
﹁じゃあメンバーなんだが、りょう達3人と俺達3人で、シノンはそれぞれを遠距離から
62
ドスキル﹁アトミックフレイム﹂、刀ソードスキル﹁鷹爪﹂、片手剣ソードスキル﹁ギガ
ントスパイク﹂、計17連撃をモンスターに叩き込む。それにより3本のHPゲージの
6分の1を削った。
﹁まあファーストアタックはこんなもんか。﹂
﹂
﹁こっからは相手の攻撃を見極めつつ、各自で攻撃するぞ。﹂ ﹁任せとけぃ
﹂
!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
モンスターのブレスが飛んで来たが、3人とも上手く躱し攻撃に移っていった。
﹁はいはい。来るぞ
﹁じゃあこれからの指示はりょうに任せるかな∼。﹂
﹁前みたいなことがあったから、少しは練習しておこうかと。﹂
﹁珍しいな、りょうから積極的に指示を出してくなんて。﹂
!
キリトが紅達を見ながら笑みを浮かべる。
﹁良い連携してるなあいつら。﹂
第9話 力の見極め
63
﹁そうだね。私達も負けないように頑張らなきゃ
﹁行くぞ
アスナ
﹂
!
﹂﹂
!
﹂
!
﹁了解よ。﹂
﹁そうだね。﹂
﹁そろそろ決めるか。﹂
残り1本半となった。
﹂
キル﹁ノヴァアセンション﹂、
﹁ハリケーン﹂を放ち続く。それらにより、HPゲージも
アスナが細剣ソードスキル﹁リニアー﹂で先攻し、キリト、ユウキも片手剣ソードス
の周りを走って背後に回り込む。
キリト達も攻撃を展開する。キリトとアスナは正面から突進し、ユウキもモンスター
!
﹁﹁了解︵分かった︶
ら、ユウキは背後から攻撃してくれ
﹁そうだな。俺達は俺達にやれることをするまでだ。俺とアスナで正面から突っ込むか
!
64
﹂
キリトはもう1本剣を装備し、二刀流を使う。
﹂﹂
﹁終わらせるぞ
﹁﹁うん
!
﹂
!
﹂
﹁よし行くぞ。ガイ、〝あれ〟をやる
! !!
頼むぞ2人とも
!!
﹁マジかよ⋮たっくしゃあねぇなぁ
﹂﹂ ﹁失敗してもバランスは崩せる筈だ
﹁﹁おう︵よ︶
!
﹂
放って削り切る。削り切れなくても俺らがそっちに加わる。﹂
と思う。だから俺とガイで足元を狙い、バランスを崩した所をスバルにソードスキルを
﹁全員二刀流になって攻撃を展開。多分だが、相手のクリティカルポイントは後頭部だ
時をほぼ同じくして、紅達のモンスターのHPも1本半となっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
!
﹁﹁了解した。﹂﹂
第9話 力の見極め
65
﹂
2人はモンスターが2人の中心になる様に距離をとり、ほぼ同時に走り出す。
﹂
﹁今回こそ決める
﹁はああ
﹂
!!
り返していたのだが、中々成功しなく、今回が初めて成功したのだ。
紅とガイは、このスキルが一瞬発動したことに気づいたことで発見し、練習を何度も繰
ングで攻撃するとシステムが判断した時のみ発動することのできる特殊スキルである。
グ﹂を、2人のプレイヤーが、かつ互いに同じモンスターを対象に発動し、同じタイミ
今放ったスキル﹁ウィングオブシャイン﹂は、二刀流ソードスキル﹁オーバーウィン
2人の放った斬撃は、モンスターの足元を切りつけ、バランスを崩させた。
﹁シャイン
﹁ウィングオブ⋮﹂
スキルが共鳴するかのように、青いライトエフェクトが白に変化する。
2人は同時に二刀流ソードスキル﹁オーバーウィング﹂を発動する。すると、互いの
!!
!
66
︶﹂
モンスターがバランスを崩したことにより、後頭部が狙いやすくなった。
﹂
!
﹂
〝疾風大竜巻〟
﹁︵2人が作ってくれたチャンス、無駄にはしない
﹁行けスバル
﹁俺の切り札で沈める
!!
紅達がモンスターを撃破した少しあとに、キリト達もモンスターを撃破した。
ルである。
エア﹂と同じ様な感じで、普通に動いてたら自然に発動したという奇跡で発見したスキ
スバルが使ったオリジナルソードスキル﹁疾風大竜巻﹂は、紅の持つ﹁ジャックスク
﹁疾風大竜巻﹂が発動、モンスターに12連撃全てを叩き込み、HPを消滅させた。
スバルの2本の刀が緑のライトエフェクトに包まれ、二刀流オリジナルソードスキル
!
!
﹁いや、クリティカルポイントらしきとこを見つけたから、スバルにスキルを叩き込んで
﹁そうだね。﹂
﹁うん。﹂
﹁お疲れ様。まさか先に攻撃を始めた俺らより早く終わるとはな。﹂
第9話 力の見極め
67
もらったからな。﹂
た⋮
ユウキ達の話を、不敵な笑みを浮かべながら聞いていたキリトに気づく者はいなかっ
﹁⋮ふふっ⋮﹂
﹁まあそうなんだけどね∼。﹂
﹁ボス攻略に参戦するんだから仕方ないでしょ。﹂
﹁なんだか最近忙し過ぎて、休みがないから疲れちゃうね∼。﹂
﹁ボス部屋が見つかったら攻略会議か∼。﹂ な。﹂
﹁羨ましいもんだな。さて、先に行くとしようか。多分ボス部屋が近くにあると思うし
﹁目は良いもので。﹂
﹁よく見てたな⋮﹂
﹁そこを攻撃したら、ほんの少し動きが止まったと思ってな。﹂
﹁なるほど、よく見つけたな。﹂
68
第10話 攻略会議前夜
ゲリラクエストの後、ボス部屋を発見した。ボス情報は他のプレイヤーによって入手
されていたので、攻略会議の準備が始まり、二日後に開かれることとなった。それによ
り一日間があるので、攻略前日に予定していたボス攻略の準備を、一日前倒しして用意
してしまおうということとなった。
話って。﹂
﹂
その夜、キリトから話があると、食事の後にリビングに集まった。
﹁なんだ
﹁明日のことで少し厄介な問題があるんだ。﹂
﹂
﹁なるほど。﹂
大体想像できるだろ
﹁俺らを除いたメンバーなんだぞ
﹂
?
?
!
﹁分かったのか
りょう。﹂
﹁まあこれはりょう達を除いた話になるんだが・・・﹂
?
﹁う∼ん・・・さっぱり分からん
?
?
﹁問題って
第10話 攻略会議前夜
69
それに囲まれたらまあ終わりだと考えたほうがいいな。﹂
﹁ガイは頭固いからな。まあ簡単に説明すると、四人が有名が故に会議場に人が集まっ
﹂
てくるだろ
﹁なぜ
?
﹂
!?
﹁そういうことだ。﹂
﹁さっすがりょうだね
﹂ ﹁十分想像はできたからな。で、どうするんだ
﹂
﹁少人数での行動にしたいと思うんだが、どうだろう
﹁なるほど、全員で移動するよりも効率的だな。組み合わせはどうするんだ
?
?
!
﹂
?
﹁お前らが早すぎるんだよ
﹂
?
!!
﹁喧嘩はそこまでにして、皆もこれでいいか
﹂
﹁他に誰がいるよ。前だってすぐどっか行くし・・・﹂
﹁おい、それって俺のことか
﹁それでいいと思う。問題児も監視が二人もいることだし。﹂
﹂
﹁一応俺とアスナ、りょうとユウキ、シノンとスバルとガイって考えてたんだが・・・﹂
?
﹂
﹁冗談だ。まあそんな事にならないようにする為の作戦を決めようってとこだな。﹂
﹁なっ・・・
﹁身動きとれずにあんなことやこんなことを・・・﹂
?
70
キリトの声に皆が頷く。
﹁よし、じゃあ明日は今言ったメンバーで行動してくれ。﹂
﹁﹁﹁﹁了解︵分かった︶﹂﹂﹂﹂
﹁今日はゆっくり休んでくれ。おやすみ。﹂
それぞれが部屋に戻ってから暫くして、ユウキが紅の部屋を訪ねてきた。
﹁どうしたんだユウキ。﹂
﹁明日の事でちょっとね。﹂ ?
﹁で、明日のことって
﹂
紅はユウキを部屋に入れ、紅茶とクッキーを用意してからユウキの隣に座る。
﹁じゃあお言葉に甘えて・・・﹂
﹁そうか。立ち話もなんだし、入れよ。丁度紅茶を淹れてたところだったから。﹂
第10話 攻略会議前夜
71
﹂
﹁明日のグループに分かれた時、多分すぐには合流しないと思うんだ。そこで相談なん
﹂
だけど・・・﹂
﹁ん
﹁前に約束したデュエルをその時にできないかな∼って思ったんだけど、どう
﹂
俺も早くやりたかったし、絶好の機会だ。﹂
ありがとうりょう
﹁ああ、構わないぞ
﹁やった
!
?
﹂
?
そうだったから聞いてみたかったんだ。﹂
﹁りょうってホントよく見てるよね∼。﹂
じゃあ何から話そうかな・・・そうだ
!
﹁周りをよく見てるんでな。﹂ ﹁そっか
!
こうしているうちに夜も更けていった。
ユウキの話は遅くまで続いた。紅は紅で、興味津々にユウキの話を聞いていた。そう
前にね∼︳︳︳︳﹂
﹁ああ。今までにどんなことをしてきたのかの武勇伝とかをな。前のときに、話足りな
﹁聞きたいこと
﹁おう。まあ今夜はゆっくりして行ってくれ。俺も少し聞きたいこともあるし。﹂
!
?
?
72
﹂
﹁ふあぁ・・・話疲れて眠くなって来ちゃった∼・・・﹂
﹁もうこんな時間か・・・結構話したな。﹂
﹂ ﹁いや∼久々にこんなに喋ったよ∼。ありがとね
﹂
﹁俺こそありがとな。﹂
﹁うん
﹁それじゃあそろそろ・・・え
!
ていたのだが、話しているうちに寄っていた様だ。
キが肩に頭を預けて眠っていた。二人が座っていたソファは四人用で少し広めで使っ
立ち上がろうとした紅の肩に何かが乗ってきた。驚いてそちらに目を向けると、ユウ
?
!
﹁夢の中でもうデュエルしてるのか。﹂
﹁行くよりょう・・・勝負だよ・・・﹂
すぐ横がベッドだったので、そこから毛布を取りユウキにかける。
﹁ついさっきまで話してたのに・・・よほど疲れてたんだな。﹂
第10話 攻略会議前夜
73
74
ユウキの寝顔を見てるうちに紅も眠くなってきて、そのままユウキにもたれるように
して眠った。
第11話 攻略会議と逃走劇
﹁⋮⋮⋮⋮参ったな。﹂
紅は朝から危機に直面していた。
昨日互いに寄りかかって寝たのだが、寝ている内に横になって、紅の上にユウキが
乗った状態になっていた。
﹂
﹂
﹁︵流石に起こすわけにもいかないしな⋮かといってそれだと俺が動けないしな⋮︶﹂
﹁ん、起きたか
?
倒す。
ユウキがうっすらと目を開けて体を起こす。が、すぐにユウキが倒れてきて紅を押し
﹁お、おう﹂
﹁う∼ん⋮おはよう、りょう∼⋮﹂
?
﹁ん∼⋮
第11話 攻略会議と逃走劇
75
﹁え、ちょっユウキ
﹁あと10分∼﹂
﹂
﹂
﹁え、マジかよ⋮ぐっ
!?
﹂
﹁何でしょうか⋮
?
﹂
?
﹂
とろんとした目で笑みを浮かべたと思ったら、そのまま顔がゆっくりと落ちて来る。
﹁へ
﹁えへへへ。﹂
ユウキの顔が少し起き上がって紅の顔の前に近づく。
?
﹁りょう⋮
﹁︵まずいこのままだと理性が⋮︶﹂
徐々に顔が近づいて来る。
ユ ウ キ は 紅 を 抱 き 枕 の よ う に し て が っ ち り 掴 ま れ て い て 身 動 き が 取 れ な い。更 に
!
76
﹁∼∼∼∼∼∼
﹂
攻略会議はいつものごとく、指揮役のファガン、補佐のクリスを中心に進んでいった。
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
と、ハプニングに見舞われた朝であった。
﹁ふぅ⋮朝からとんでもないことを⋮⋮﹂
た。
きがとれるようになり、ユウキを起こさないようにしながらユウキをソファに下ろし
か、すぐに顔が横にずれ、そのままユウキはまた眠ってしまった。手足が解かれ、身動
ユウキと紅の口が重なった。あまりに突然の出来事で混乱していたが、不幸中の幸い
!!!?
ましょう。他に範囲攻撃でブレスをやってくるのですが、厄介なのがそのブレスの中に
様です。そして背中に武器を装備していて、これはHP減少で武器を変えてくると考え
﹁今回のボスですが、偵察隊の情報によるとメイン武器は両手剣を片手で装備している
第11話 攻略会議と逃走劇
77
﹂
﹂
﹂
麻痺ブレスが含まれているようで、注意が必要となります。ここまでで何か質問はあり
ますか
﹁麻痺ブレスの見分け方は分かっているのか
キリトが手を挙げる。
﹁ちょっといいか
?
﹂﹂﹂﹂
明日のボス戦で勝利し、46層の地に立つぞ
﹁﹁﹁﹁おう
﹂
!
!!
!
﹁まだ何か聞きたいことがあったら俺達の所に来てくれ。では解散
﹂
たなギルドも参戦してくれ、全体的に意識が高まってきているのは確かだ。この調子で
必要ない。このメンバーでならどんな壁でも超えていけると信じている。今回から新
﹁情報が少なく心許ない部分が多くあると思う。だが今の攻略組に不可能という言葉は
﹁そうか⋮﹂
ね。﹂
﹁残 念 な が ら そ こ ま で の 情 報 は 入 っ て い ま せ ん。実 際 に 見 て 判 断 と い う 形 に な り ま す
?
?
78
各々、行動を始める。
﹂
﹁作戦通り、分かれて行動する。いいな
﹁﹁﹁﹁了解。﹂﹂﹂﹂
﹁よし⋮⋮GO
﹂
?
﹂
﹁黒の剣士様∼♡﹂
﹁アスナちゃ∼ん
﹂
直後、会議場の出入口からプレイヤーが流れ込む様に入ってきた。
!
﹁げっ⋮﹂
!
﹁ボク達凄い人気だね∼﹂
﹁こんなにいんのかよ∼
﹂
など、黄色い悲鳴やら怒号やら色々と聞こえてくる。
!!
!
﹁俺とデュエルしろ∼
第11話 攻略会議と逃走劇
79
﹁そんな呑気なこと言ってないで早く逃げるぞ。﹂
﹁そうだね。どうする
﹁え
わあ
﹂
!
転移結晶使う
﹂
?
﹁そうだね。後そろそろ下ろしてもらえると助かるんだけど⋮﹂
﹁ふぅ∼やっとまけたか⋮﹂
抜ける。それにより野次馬をまくことができた。
紅はユウキを持って、世間で言うお姫様抱っこをして、一気にスピードを上げて駆け
?
﹁それは流石に後々辛くなるからな。ん∼⋮ちょっと失礼⋮﹂
?
﹁このままだと追いつかれるのも時間の問題だな。﹂
ない。流石にこんなことで転移結晶を使うわけにも行かないのでがむしゃらに走った。
場から抜け出す。が、会議場の周辺も野次馬に囲まれていて、中々振り切ることができ
キリトとアスナ、紅とユウキ、シノンとスバル、ガイのグループの順にそれぞれ会議
﹁は∼い。﹂
80
﹁あ、すまん。﹂
紅はユウキを下ろした。
﹁全くびっくりしたよ。急に、お、お姫様抱っこしてくるなんて⋮﹂
﹁ごめんって、あのままだと追いつかれると思ったからつい⋮﹂
﹁しょうがないなぁ。ご飯奢ってくれたら許してあげる。﹂
﹁はいよ⋮﹂
ユウキをなだめて、昨日決めたデュエルをする場所に行こうとした時にキリトから
メールが来た。内容は簡潔にまとめると⋮
﹂
!
﹁どうするか⋮﹂
とのことだった。
﹁夜まで自由行動で
第11話 攻略会議と逃走劇
81
﹁とりあえず⋮行こっか。﹂
2人は転移門を目指し歩き出した。
﹁だな。﹂
82
第12話 自由行動⋮
∼紅、ユウキグループ∼
に使ってたんだ。﹂
﹁ああ。前に小規模だったけど、デュエルトーナメントがあってな。それに参加した時
﹁へ∼こんなとこあったんだ。﹂
紅とユウキは、30層にあるテントを訪れていた。
?
!
カウントが10を切り、攻撃のモーションを取る。
とにした。
だが、ユウキに﹁やるからには本気だからね ﹂と言われ、悩んだ結果二刀流でいくこ
を終え、カウントが始まり互いに剣を構える。紅は始め、片手剣でやろうとしていたの
施設の軽い説明をした後、使用料を払って施設内に入り準備を始める。デュエル申請
﹁そうなんだ。﹂
第12話 自由行動…?
83
﹂
﹁いくよりょう
﹁ああ⋮
﹂
!
?
﹂
﹁さっきメール飛ばしたら、どっちからも返信が返ってきたから問題ないんじゃないか
﹁皆大丈夫かな
﹂
∼キリト、アスナグループ∼
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
カウントが0になると同時に走り出し、部屋全体に金属音が響いた。
!
84
せてやろうぜ
﹂
﹁もしかしてこのために昨日攻略の準備をしたの
﹂
﹁そういうことだ。けど今となっちゃ、準備どころじゃなかっただろ
?
?
﹁まあそうだね。じゃあ今日は楽しんじゃおうかな
!
﹂
?
﹂
﹁大丈夫だって。ユウキとかも休みたいな∼とか言ってたから、前日くらいゆっくりさ
﹁そういうことじゃなくて、勝手に自由行動にしちゃって本当に良かったのかなって。﹂
?
﹁そうこなくっちゃな
﹁大丈夫なのですか
ユイ、出てきていいぞ。﹂
﹂
﹂
﹂
キリトの声に反応して、胸ポケットから小さな妖精がひょこっと顔を出す。
!
﹁ああ。今日はパパとママとピクニックに行こう
﹁やった∼
!
?
!
﹂
﹂
﹂
﹁この街の外れに花畑が広がってるところがあるからそこに行こう
﹁了解しました
﹂
!
!
﹁じゃあ行こっか
﹁おう
﹁はいです
!
!
﹂
ユイはポケットから出てくると白い光に包まれ、少女の姿に変わった。
!
﹁どこに行こっか。﹂
第12話 自由行動…?
85
3人は仲睦まじく歩いていった。
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
∼シノン、スバル、ガイグループ∼
﹁同感だ。﹂
﹁それでどうする
探しに行く
﹂
?
﹁いや、あそこに戻るのは流石にリスクが高い。それに、そもそも事の発端はガイがやっ
?
﹁やっぱり鎖でも繋げておくべきだったわ。﹂
ぐれたようだ。
れてしまったのだ。警戒はしていたのだが、あの騒ぎで目を離してしまい、その隙には
シノン、スバル、ガイグループは、会議場を出てすぐに問題が発生した。ガイとはぐ
﹁﹁いい加減にしろよ︵しなさいよ︶⋮﹂﹂
﹁あいつは本当に⋮﹂
﹁全く⋮﹂
86
たことだからほっとこう。自業自得だ。﹂
﹂
﹁そうね。心配させた分、何か奢ってもらいましょ。﹂
﹁賛成。で、これからどうする
速さが紅に追いついてきて、一進一退の状態が暫く続いていた。
2人のデュエルは激戦を繰り広げていた。最初は紅がおしていたが、徐々にユウキの
紅、ユウキグループ
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・
シノンとスバルは街の中を歩いていった。
﹁あ、ハイ...﹂
﹁探す必要が無いというのなら、ゆっくり街を巡りましょ。荷物持ちよろしくね。﹂
?
紅は言葉を返しつつ互いのHPゲージを確認する。
﹁そりゃど∼も。﹂
﹁りょうもすごいよ⋮ここまで続いたのりょうが初めてかも。﹂
﹁はあ⋮はあ⋮やるなユウキ﹂ 第12話 自由行動…?
87
﹁次で決めるよ
な。﹂
﹂
﹁あれは切り札だからな。最後まで取っておいたんだ。そうそう乱発なんて出来ないし
﹁く∼惜しかったな∼。まさか最後の最後に剣技連携を使ってくるなんて。﹂
ライク﹂を発動し、硬直で動けないユウキに突進し、ダメージを与え決着が着いた。
が、紅は違った。スキル終了直後に剣技連携を使い、片手剣ソードスキル﹁マッハスト
互いに剣を弾き逸らしを繰り返し、どちらともダメージがないままスキルが終了した。
動した。紅も片手剣オリジナルソードスキル﹁ジャックスクエア﹂を発動し衝突した。
同時に走り出し、ユウキは片手剣オリジナルソードスキル﹁マザーズロザリオ﹂を発
!!
!
﹁これで終わらせる
﹂
剣を握り直してユウキを見る。ユウキも同じ考えのようで、剣を構えている。
﹁︵次で決まるか⋮︶﹂
88
﹁そうだね。ふ∼、疲れてお腹空いてきちゃった。﹂
﹁そうだな。街のレストランで昼メシにするか。﹂
﹂
!
2人はテントから出て主街区に戻って行った。
﹁賛成
第12話 自由行動…?
89
第13話 街での騒動
﹂
街に戻ると、街にいたNPC達が騒がしかった。
﹁また出たらしいぞ。﹂
﹁今度は何人やられたんだ
?
﹁何かあったみたいだね。人攫いみたい。﹂
﹁そのようだな。クエストだろうが、どうする
﹁う∼ん⋮クエストの内容次第かな。﹂
﹁だな。聞くだけ聞いてみるか。﹂
﹂
NPCの話の声を聞きながらユウキと紅は相談する。
﹁5人か⋮今月だけでももう9人だぞ⋮﹂
﹁女が2人と子供が3人らしい。﹂
?
90
﹂
そう言って、話をしていたNPCに話しかける。
﹁どかしたんですか
﹁女と子供だけ
﹂
﹁しかもその人狩り、女と子供しか狙わないのです。﹂
﹁おお、これは騎士殿。実は最近この街で人狩りが起きていまして⋮﹂
?
特にクエストも起動せずにNPC達は去ってしまった。
﹁それでは私達はこれで⋮﹂
﹁あ、ああ分かった。﹂
﹁ええ。騎士殿もご用心を。﹂
?
﹂
?
かないか
もしユウキが攫われてもすぐに見つけられるし、状態異常になってても分か
﹁まあゲリラクエだからいつ始まるかは分からんけどな。念のためパーティを組んでお
﹁じゃあこれからクエストが始まる可能性があるんだね
﹁クエストには変わりは無い。きっとクエスト発動のキーなんだろうな。﹂
﹁行っちゃったね。何だったんだろ。﹂ 第13話 街での騒動
91
?
るしな。﹂
﹁ぶ∼。ボクそんな簡単に攫われないよ
﹁だから念のためだって、念のため。﹂
﹁む∼、分かったよ⋮﹂
﹁ホントに
やった∼
﹂
!!
﹂
!!
﹂
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
2人は中心街あるレストランに向かった。
﹁うん
﹁約束だろ。さ、早く行こうぜ。﹂
!
﹁さて、飯食べに行こう。今回は俺が奢ってやるんだし。﹂
ユウキは渋々了承し、紅とパーティを組んだ。
!!
92
﹁いや∼おいしかった∼
﹂
﹁悪女か己は⋮﹂
﹁何か言った
近くに原っぱがあったからそこにしよう
﹂
やっぱ他の人に奢って貰うご飯は良いね∼﹂
!
﹁何も⋮少しお昼休憩としますか。﹂
﹁賛成
!
?
だ。
﹁ん∼
気持ち良いね∼﹂
2人は中心街から少し外れの路地にある小さな広場に行き、そこの原っぱに寝転ん
!
!
紅もユウキの隣に横になる。
﹁⋮もう寝たのか﹂
﹁⋮すう﹂
﹁今日は昼寝には最高の気象だな。﹂ 第13話 街での騒動
93
﹁︵しかし良い寝顔して寝るな。ここがデスゲームだと忘れそうになる。︶﹂
ユウキの寝顔を見ていると、世界がとても穏やかに思えてしまう。
紅はそのまま眠った⋮
おじさん。﹂
﹂
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
﹁ボク達に何か用
﹁おじさんとは少し失礼じゃあねえか
﹁まあいい。しかし相方の方はよくまぁ呑気に寝てられるなぁ。これから面白い事が起
中のリーダーらしき男が話を続ける。
のする方を見る。そこには3人の男達がいた。
紅が起きると、ユウキが誰かと言い合いをしているようだった。薄っすら目を開け声
?
?
94
きるっていうのによぉ⋮﹂
﹁その面白い事って、ボクがこの人の前から消えちゃうってことかな
﹁何だ、俺らのこと知ってんのか。なら話は早いな⋮﹂
男達は武器を構える。
﹂
﹁少し、俺らのショーに付き合ってもらうぜ
﹂
﹂
?
﹁全くもう⋮﹂
﹂
待つのは嫌なんでねぇ。﹂
?
﹁悪かったって。﹂
﹁おいおいおいおい
いい加減話を進めてもいいかぁ
﹁まさか、ちょくちょくこっちの方見てたから分かってた。﹂
﹁やっと話に入ってきた。ボクが起きてないのに気づかないとでも思った
紅もこれは流石に不味いと口を挟む。
﹁ならそのショー、俺も混ぜてもらおうかな
?
!
?
?
第13話 街での騒動
95
リーダーらしき男、﹁カリス﹂が苛立ちながら話に割ってはいる。
ボクだって最初話しかけらけた時は驚いたよ。﹂
?
﹂
!
紅が挑発するが、カリスはふっと笑った。
﹁さあ来い⋮相手になってやる。﹂
紅とユウキは剣をとる。
﹁望むところだよ
﹁ざっと30人⋮単純計算で1人15人だが⋮﹂
﹁気づかなかったの
﹁こいつら良く見たら全員NPCじゃねえか⋮﹂
カリスが指をパチンと弾くと、多くのローブ姿の人達に囲まれた。
﹁苛立たせた分、たっぷり返させてもらうぞぉ⋮﹂
96
﹁意気込んでるとこ悪いが、こっちは正面からぶつかることはしないんだよ。やれ。﹂
その瞬間、周囲のNPCから何かが2人に向かって飛んで来る。2人はそれを弾こう
とするが、全ては防ぎ切れずに飛んできたものが肩などに刺さった。直後、体の力が抜
けてその場に倒れた。
﹁麻痺針⋮だと⋮﹂
同じことをモンスターにやってんだ。今回は
﹁しかもそれを全方位からって⋮卑怯だよ⋮﹂
﹁ターゲットを倒すのに卑怯も無いだろ
﹂
じゃあな、剣士さんよ
﹂
!!
﹁ぐはっ
カリスは紅の腹に蹴りを入れ去っていく。
!
?
NPC達がユウキを担いで連れて行く。そしてカリスは紅に近づく。
そのターゲットがプレイヤーだった。それだけだ。﹂
?
﹁俺らは任務が達成されるなら何でもするぜ
第13話 街での騒動
97
そのまま意識が遠のいていった⋮
﹁くっ⋮ユウ⋮キ⋮⋮﹂
98
第14話 奪還へ
紅が気づいたのは、ユウキが攫われてから15分近く経ってからだった。
くるとは⋮〝あの頃〟が懐かしいな。さてと⋮﹂
﹁はあ⋮近頃のNPCは大分進化したな。こっちの話していることを理解して応対して
NPCの進化を賞賛しつつ、ユウキの現在位置を確認する。
じか。後はどうユウキを救出するかだな⋮多分人数はアジトなんだしさっき以上を想
﹁︵ユウキの場所は36層か⋮この層は洞窟が多いからそこをアジトとして使ってる感
定して⋮︶う∼ん⋮⋮﹂
考えていると、スバルからメールが届いた。内容は、
とのことだった。
﹁ガイ見つけたら首輪でも付けて無理矢理でも連れて帰ってくれ。﹂
第14話 奪還へ
99
﹁あいつあの監視をも掻い潜ったのかよ⋮ん
スバル
﹂
?
紅は少し考えてから何か閃いたらしく、素早くスバルに返信をする。
?
ないか
落ち合う場所は36層にしたいんだが、どうだ
36層に転移すると転移門の前にスバルがいた。
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
と、連絡が来たので、紅も36層に向かった。
﹁OK。俺らも丁度36層にいるからそこでいいぞ。﹂
暫くして、スバルから
?
﹂
﹁了解した。それと一つ頼みがあるんだが、少しの間でいい、OSSをトレードしてくれ
100
?
﹁急にOSSをトレードするって、何かあったのか
﹁厄介ってどんな感じに
﹂
﹂
﹁ちょっとゲリラクエに巻き込まれてな。そのヤツらがちょっと厄介でな。﹂
?
﹁頼めるか
﹂
﹁しゃあねぇな。今日だけだぞ
﹁恩に着る。﹂
﹂
﹁あ∼、そりゃ厄介だな。それで俺のOSSが必要な訳だな。﹂
﹁相手はNPCで、大勢で全方位の同時攻撃をしてくる。﹂
?
2人は﹁ジャックスクエア﹂と﹁疾風大竜巻﹂をトレードした。
である。
あったが、これはそれだけでなく、技と技の交換や、技そのものを渡すことができるの
〝トレード〟とは、このゲームで追加された。今までのゲームでは、技の伝授だけで
紅はさっとメニュー画面を開き、トレードを始める。
?
?
﹁おう。頑張れよ。﹂
﹁ありがとう。これでクエストが進展することが出来る。﹂
第14話 奪還へ
101
﹁お前もな。﹂
紅はスバルと別れ、ユウキのいる座標を目指した。
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
時々肌寒い風が吹く、薄暗い洞窟の中にある牢屋にユウキはいた。ユウキの他に、子
供と女性、合わせて13人も一緒に囚われていた。
﹁ボク達をどうするつもり
﹁明確には決めてねぇよ
﹂
まあ女は俺らの癒しになってもらっても構わねぇんだがなぁ
?
?
暗闇の中からカリスがやって来る。
﹁こりゃいい眺めだねぇ∼。﹂
102
﹂
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
ユウキは心の中で強く願った。
﹁︵りょう⋮早く⋮早く助けに来て⋮︶﹂
そう言ってカリスはまた暗闇の中へ消えていった。
﹁だから俺はおじさんじゃねぇって。まあ褒め言葉として貰っておこうかねぇ。﹂
﹁おじさん、最低だね。﹂
?
﹁座標的にはここか⋮﹂
第14話 奪還へ
103
紅はある洞窟の前にいた。
﹁⋮ここは通さん。﹂
!?
紅はローブ集団に突進し、攻撃を仕掛けに行った。
﹁こっちにだってやらなきゃならないことがあんだよ。⋮⋮強行突破だな。﹂
﹁さっさと引き ﹁うるせぇな。﹂ 何
﹂
すると洞窟の中から待っていたかのように15人くらいのローブ姿の人が出てきた。
﹁やっぱり攻略となればこれだな。さてどうやって攻略していくか⋮﹂
紅はストレージから﹁龍神﹂と﹁黒龍﹂を装備をして二刀流とした。
﹁さてと、準備準備⋮﹂
104
第15話 紅の異変
少し前から洞窟内が何やら騒がしい。団員の話が聞こえてきたのだが、何やら侵入者
﹂
随分早かったね。︶﹂
が1人で乗り込んできて、団員をばったばった倒していっているらしい。
﹂
﹁︵これってりょうのことだよね
﹂
﹁今度は誰に攫われるの⋮
﹁えっ
?
﹁また新しい人攫いが来るんでしょ
?
に、他のNPC達からも様々な声が聞こえてくる。
﹂
!
﹂
ボクを信じて
﹂
!
﹁え
だからきっと助かる
!
?
﹁この騒ぎはボクの仲間が助けに来たんだよ
!
一緒に捕まっていたNPCの一人が怯えた様にユウキに聞く。それにつられるよう
?
?
﹁違うよ
第15話 紅の異変
105
﹁でも違ったら⋮
﹂
﹂
﹁違くてもボクが皆を守るよ
﹂
﹁本当に⋮
﹁うん
﹂
!
?
こ、ここだ
ここに捕まえたやつらがいる
落ちるかのようにやって来た。
﹁ひ、ひいぃ
!
﹂
団員が逃げた方向から一人の姿が見えた。
﹁ひいいい
﹁そうか、お役目ご苦労さん。﹂
!!
剣を二つ持ち、ユウキに笑いかける二刀流のプレイヤー。紛れもない紅だった。
﹁待たせたなユウキ。﹂
﹂
ユウキの言葉でどうにか場を落ち着かせる。直後騒ぎのあった方向から団員が転げ
!
?
!!
!
106
﹁ボクの予想より早かったから許してあげる。﹂
﹁はいはい。少し下がってろ、この檻壊すから。﹂
﹂
﹂
ユウキが下がってから、片手剣ソードスキル﹁スラント﹂を発動、檻の一部を破壊し
抜け道を作る。
﹂ !?
早く脱出して ﹁ちょっと待ってもらおうかぁ
ユウキの言葉にカリスが割って入ってきた。
﹁さあ皆行こう
?
﹁よくもまあうちのアジトを見つけ、ここまで崩壊してくれたなぁ剣士さん
﹂
﹁街の人は愚か、俺の仲間にまで手を出したんだ。当然だ。﹂
﹁大分狩ったと思っていたがまだこんなにいたのか⋮﹂
カリスは指を鳴らす。紅の周りにローブ集団が集結する。
?
?
!
﹁あっそ∼。あの時のがまだ懲りてないみたいだなぁ
第15話 紅の異変
107
﹁あの時の倍だ。前の時点で防ぎ切れなかったのに、これをどうやって防ぐんだぁ
﹂
カリスは防げる訳が無いと口元が緩む。しかし予想外の返答が返ってきた。
﹂
﹁ふっ⋮なぜ今自分の身を守らないといけない
﹁は
﹂
?
﹁ほう
じゃあ守ってみろよぉ
紅はカリスに剣を向ける。
その守るべきものってものをよぉ
?
﹁もちろんそのつもりだ。ユウキ達には指一本触れさせはしない⋮
﹂
﹂
!!
!!
?
だよ。俺は盾になる。何かを守るには命を賭けなきゃだめなんだよ。﹂
﹁今の俺にはユウキ達を守る使命がある。そんな時に自分の身を案じている暇はねぇん
。
これにはカリスも驚く。紅は少し笑いながら続ける
?
?
108
直後紅の剣が緑色のライトエフェクトに包まれ、二刀流ソードスキル﹁疾風大竜巻﹂を
﹂
それも無い今、お前達は
発動させる。それにより、麻痺針を打とうとしていた団員を次々と吹き飛ばし、3分の
2近くの人数をポリゴン粒子に変えた。
どうするんだ
﹂ ﹁麻痺針はあくまで護身用として一本しか持ってないんだろ
﹁くっ⋮こうなりゃお前のお望み通りぶつかってやるよぉ
?
ふとカリスを見ると⋮
何故だ、この状況をひっくり返せるほどの策でもあるのか
?
﹁︵笑っている
︶﹂
うで簡単に捌くことができた。紅はというと、多くはないが経験はしている。
またNPCの進歩を感じながら攻撃を捌く。このNPC達は対人戦は初期状態のよ
﹁︵さっきので学習したか⋮流石AI搭載のNPCだな。︶﹂
してきた。
残りの団員が一斉に動き出す。今の攻撃で学習をしたようで、2,3人の同時攻撃を
!!
?
?
第15話 紅の異変
109
考えようとすると攻撃によって思考を遮られる。
ここに来てようやくカリスが動いた。真っ直ぐ紅の方向⋮ではなく、ユウキ達の方向
に駆け出した。
﹁な、しまっ⋮﹂
カリスを追おうとするが団員の攻撃に阻まれる。紅がすぐに団員を倒しきったが、そ
﹂
の時にはユウキを人質に取られてしまっていた。
﹁残念ながら守りきれなかったなぁ
﹁くっ⋮﹂
﹁⋮りょ⋮う⋮﹂
カリスの剣がユウキの首に触れ、少しずつ押し込まれていく。
?
110
ユウキから一筋の涙が流れる。その時、紅の中で何かが切れた。よく堪忍袋の緒が切
﹂
れたと言うが、そういうものではなく、何かと何かを繋ぎ止める鎖が切れ、巨大な力が
解き放たれた感じだ。
何か言ったか
﹁⋮せよ。﹂
﹁あぁ
?
﹁どこを見ている
﹂
自分の懐を見ると、人質はいなく、剣を持っていた右手も消えていた。
もうどうなっても知ったことか
﹂
?
﹁くそ
!!
﹂
後ろから声が聞こえ振り向くと、そこにはユウキを抱えた紅がいた。カリスは慌てて
?
その瞬間、目の前から紅が消えた。
﹁放せって言ったんだよ。﹂
?
!!
﹁おいおい、まさか自分から二つも消えていたのに気づかなかったのか
第15話 紅の異変
111
カリスは攻撃の態勢をとる。どこからかまた団員が集まってきた。
﹂
﹁ね、ねえりょう⋮﹂
﹁何だ
﹂
?
曖昧な返答に困惑する。ユウキを背に、紅は戦いの場に立つ。
﹁え
﹁お前の不信感に間違いは無い。まあそこらはまたガイにでも聞いてくれ。﹂
ユウキはいまの紅に恐怖がある。いつもの紅のオーラが無いのだ。
?
?
﹁本当に⋮本当にりょうなの
﹂
紅はユウキを捕まっていたNPCの所に連れて行きカリスの所に戻ろうとする。
﹁ははっ、久々に暴れられるな。っとその前に⋮﹂
112
こっちはお前らを⋮﹂
?
﹂
﹁待たせたなAIども⋮やるなら全力で来いよ
剣を構え、続ける。
?
この後の記憶は無い。
﹁〟殺す気〟だからな
第15話 紅の異変
113
第16話 紅の秘密
紅が気がついた時にはもう何もかもが終わっていた。ユウキの話だと、あの後カリス
達は全員攻撃を仕掛け、数で押し切ろうとしたようだが、紅は﹁疾風大竜巻﹂では無い、
﹂
別のソードスキルを使い倒したらしい。
﹁別のソードスキル
﹁う、うん⋮﹂
﹁詳しい事はホームに戻ってから話す⋮とりあえずNPC達を街に返しに行こう。﹂
﹁ねえりょう⋮さっきのって⋮﹂
﹁やつめ、これを置き土産にしていったか⋮﹂
紅はメニューを開き、スキル画面を見る。すると、新しいスキルが追加されていた。
﹁スターバーストストリームに近い⋮まさか⋮﹂
﹁うん。なんとなくスターバーストストリームに近かったような⋮﹂
?
114
第16話 紅の秘密
115
紅は暗い表情のまま歩き出す。ユウキも不安になりながらも後を追った。
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
NPC達を街に送り届けた後、丁度転移門の所でスバルとシノンと合流したので、一
緒にホームに帰った。
ホームに戻ると、すでにキリト達は帰ってきており、ガイもいた。因みにガイは、は
ぐれてから、直ぐにホームに戻っていたようだ。
紅は皆に、今日自分の身に起きたことを話した。紅が話し終えると暫くの沈黙があっ
たが、キリトが口を開く。
﹁話を聞く限り、りょうとは明らかに違う存在が現れたということだよな。それに関し
てはガイが知っている、と。⋮教えてもらってもいいか、ガイ。﹂
ガイは少し戸惑い紅を見ると、少し頷き、話していいとのことだったので、ガイは知っ
ている限りのことを話した。
﹁蒼⋮か。﹂
?
﹁俺が知ってるのはこんくらいだな。﹂
﹁りょうはその人格に心当たりは無いのか
スバルが紅に聞く。
﹂
がそれなんだ。俺らはそいつを〟蒼︵あおい︶〟と呼んでいる。﹂
え危うい状態までに自分自身のコントロール出来なかったんだ。その時に出来た人格
交通事故で亡くなったんだ。それでりょう自体に精神的負荷がかかって一時は生死さ
前からなんだ。丁度あの﹁SAO事件﹂の起きる数日前だ。その頃に、りょうの母親が
﹁俺も全てを知ってる訳では無いけど、りょうにこういうことが起き出したのは10年
116
﹂
﹂
﹁俺が蒼と入れ替わっている間の記憶はほとんど無いから分からない。﹂
﹂
﹂
﹁そうか⋮﹂
﹁ねえねえ
﹁何だユウキ
ここでユウキも話に加わる。
﹁そういうことって、蒼本人に聞けないのかな
﹁あ⋮﹂
﹁確かにそれは一利あるな。けどそんな事可能なのか
わる感じだからな。﹂
﹁多分可能だろうが、今はそういう事が出来たことは無い。向こうから突然出て入れ替
?
?
?
!
﹁そうだな。﹂
﹁今日はお開きとしよう。これ以上考えても明日の攻略に響くだけだ。﹂
﹁俺も少しは蒼をコントロールできるようにはしてみる。﹂
﹁とりあえずは現状維持って感じか。﹂
﹁そっか⋮﹂
第16話 紅の秘密
117
﹁それじゃあ皆、明日はボス攻略だ。色々と思うところはあるだろうが、まずはボスを倒
﹂﹂﹂﹂
して一歩を踏み出そう。﹂
﹁﹁﹁﹁おう
ちょっとした会議を終え、各自、自分の部屋に戻っていき、紅も寝ることにした。
﹁それじゃあゆっくり休んでくれ。おやすみ。﹂
!!
118
第17話 決断の夜
紅が目を覚ますとまだ深夜だった。
ベッドに入ったはいいが、蒼の事が気になって中々寝つけず、ようやく寝ても1時間
弱しか経っていなかった。
ふと窓の外を見てみると、綺麗な満月が昇っていた。
紅は上体を起こし部屋を出た。
﹁このままじゃ寝れそうもないからな。外の風にでも当たるか。﹂
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
外に出ると、月の光が湖に反射していて幻想的な風景であった。湖の周りを回ってか
ら、その先にある高台に行って改めて景色を見ようと思い歩き出した。
湖の周りを歩き、高台を登ると人影があった。
︶﹂
?
﹁︵こんな時間に⋮何をしている
第17話 決断の夜
119
﹂
少し警戒しながら近づくと、ユウキだった。
﹂
なんだりょうか∼ビックリした
﹁眠れないのか
﹁ふぇ
!
何だ
﹂
﹁ねえ、りょう
﹁ん
?
?
﹂
?
暫く景色を見ながら話をしていた。
﹁そうだな。俺もここの景色を見てると落ち着くんだ。﹂
んだ∼﹂
﹁ここの景色って何時見ても綺麗だよね∼。昼も夜もその時々で違った雰囲気だと思う
ユウキの隣に立ち二人で景色を眺める。
﹁悪かったな﹂
!?
?
120
﹁⋮りょうって何のために戦ってるの
﹁随分と唐突だな⋮﹂
﹁ちょっと気になってね﹂
﹂
﹁う ∼ ん ⋮ ま あ 今 ま で は 自 分 の 為 だ っ た。け ど、ギ ル ド に 入 っ て か ら は 自 分 の 為 だ け
?
﹂
じゃなくて、仲間の為にも剣を振るおうと思ってる。﹂
﹁そうなんだ⋮﹂
﹁ユウキはどうなんだ
?
﹂ ﹁ボクは皆に笑顔でいて欲しいんだ。だからボクは皆の笑顔を守るためって言えるかな
﹁うん
!
﹁ひゃい
﹂
﹁ユウキ﹂
﹁︵話途切れちゃった⋮どうしよう⋮︶﹂
﹁⋮﹂
﹂
﹁なるほどな﹂
?
﹁⋮﹂
第17話 決断の夜
121
!
急に呼ばれて変な声が出てしまった。
あ⋮﹂
﹁ふっ、やっぱ面白いなお前は﹂
﹁え
﹁蒼なの
﹂
ボクに何か用でもあるの
﹂
これは驚いたな。ガイでもすぐには気づかなかったのにな。﹂
﹁雰囲気が全然違ったからね。で
﹂
﹁まあな∼。お前に伝えておきたい事があってな。﹂
﹁何
﹂
﹁まあこれはあいつの事になるんだが、聞いて後悔するなよ
﹂
﹁勿体ぶらないで早く言ってよ。﹂
﹂
﹁あいつ、お前に惚れてるぜ
﹁⋮へ
?
﹂
?
﹁っ
?
ユウキは紅の雰囲気が違うことに気づいた。
?
!!
?
﹁全く、会って三日やそこらで惚れるとはな∼。ん
?
?
?
?
122
﹁∼∼∼
﹂
﹁ま、こうなるのが当然か。﹂
﹂
﹁⋮ねえ﹂
﹁何だ
﹁それって本当にりょうが思ってる事なの
﹂
余りにも唐突な告白に、なんの心の準備もしていなかったユウキは混乱していた。
!
蒼は深く頷く。
思ってることは共有されてる。﹂
﹁そうだ、こんなことに嘘をつく意味がないしな。俺とあいつは人格は違えど、考えや
?
?
だよ。じゃあな。﹂
﹁時間切れだ。今の俺はあいつに押さえ込まれてるから、出られる時間に制限があるん
﹁え、頑張れってどういう⋮﹂
﹁じゃ、後は頑張れ。﹂
第17話 決断の夜
123
﹂
﹁え、ちょっと
﹁ユウキ
﹁あ⋮﹂
﹂
!
﹁あいつと⋮何か話してたのか
﹂
まだ蒼に聞きたいことが、と続けようとしたが紅の人格に戻ってしまった。
?
﹂
?
﹂
?
﹂
!?
?
﹁りょうってボクのこと⋮好き⋮
﹂
ユウキは蒼から聞いたことが本当なのか聞いてみた。
﹁何だ
﹁⋮ねえりょう
﹁そうか、良かった⋮﹂
﹁う、うんもちろん﹂
﹁そうか⋮あいつに何かされたとか無いよな
﹁え⋮あ、うん、りょうのことでちょっとね﹂
?
124
﹁⋮は
﹁⋮﹂
﹁⋮﹂
﹂
︶﹂
﹂
ボクの
やっぱ蒼と⋮けど聞かれた
﹁︵あわわわわ、聞くのはいいけどよく考えたらボクの方が恥ずかしいじゃんか
馬鹿∼
﹁︵何を言うかと思えば⋮今日は唐突な事が多過ぎないか
からには何か返事を⋮けど、う∼ん⋮︶﹂
お互いに顔を赤らめて俯いている。
﹁⋮﹂
﹁え
?
!!
暫く沈黙が続いたが、ようやく紅が口を開いた。
?
!
?
﹁⋮だ﹂
﹁⋮﹂
第17話 決断の夜
125
﹁好き⋮だ﹂
﹁そ、そっか⋮それは恋愛対象として⋮だよね
﹁あの野郎、余計なことを⋮﹂
﹁実は蒼からそんな感じのことを聞いてね⋮﹂
﹂
﹂
﹁う、うん⋮てか、何でこんなことを聞くんだよ
?
﹂
﹁けどね、ボクも⋮まだちょっとだけど、好きだよ りょうのこと
⋮﹂
﹁⋮え
れ、恋愛対象として
!
!
﹂
!
紅は湖の方を向きながら言う。
﹁⋮決めた﹂
ユウキはまた俯いてしまう。
﹁ユウキ⋮﹂
くてもね
﹁ボクは今日のことで、りょうの事を支えたいって思った。それがどんなに辛くて苦し
?
?
126
﹁ユウキが俺のことを支えてくれるなら、俺はユウキを守る。どんな苦難があろうと、俺
は俺の役目を最後まで貫き通す。だから⋮﹂
﹂
一瞬言葉が途切れるが、すぐにユウキの方を見て続ける。
﹁だから、俺と一緒に戦ってくれるか
?
紅は少し笑う。それにつられてユウキも笑顔になる
﹂
!!
。
﹁⋮うん
第17話 決断の夜
127
第18話 黒と白の剣舞・紅と紫の乱舞
それと新たにボスに関する情
ボス攻略当日。会議に出席していた全員が集まっていた。
﹁今日はボス攻略だ。皆の力を結集させ、ボスを倒すぞ
報を入手した。クリス、説明を頼む﹂
クリスが前に出て話す。
﹂
﹂﹂﹂﹂﹂
!
です。﹂
行うように
﹁よし、ではこれよりボス攻略に向かう
﹁﹁﹁﹁﹁おお
!! !
各チーム道中で話し合って攻略の最終確認を
ゲ取りを行うのがうちのチームなので、最高でも3人でお願いします。自分からは以上
うです。なので、行動に関しては少人数でというのを心がけて下さい。目安としてはタ
﹁会議後に入手した情報なのですが、ボスの攻撃は主に人が固まっている場所にするよ
!
128
攻略組は迷宮区へ向かっていった。
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
迷宮区では、先頭に立つギルド﹁聖王騎士団﹂がポップしたモンスターを次々倒して
行くので、紅達はボス前の最終確認をする。
﹁そうだね﹂
﹁それで良いと思う﹂
動してたメンバーでやろうと思ったんだがどうだ
﹂
いく。変更点とすれば、さっきの情報で、少人数にした方が良いってことだが、昨日行
﹁作戦自体は話し合いの時に言った通り、ソードスキルとスイッチを使って連携をして
第18話 黒と白の剣舞・紅と紫の乱舞
129
?
キリトの案に紅とアスナが答え、他の皆も賛成する。
﹁分かったわ﹂
任せとけぇ
!!
﹁任された﹂
!
﹁ああ、俺もユウキを守る。﹂
ユウキは少し微笑みながら言う。
﹁夜言ったように、ボクはりょうを支えるよ﹂
に聞こえない声で話す。
話を終え、各々のグループで最終チェックをする。紅とユウキも近寄って、周りの人
﹁じゃあ各自最終チェックをしてくれ﹂
﹁おう
﹂
﹁シノンは今回は全体的なサポートを頼む。何かあればスバルとガイに任せる。﹂
130
紅も頷きながら返答する。
他のグループも確認が終わった頃、ボス部屋の扉の前に辿り着いた。
の層へ行くぞ
﹂﹂﹂﹂﹂﹂
﹂
﹁俺から言うことは1つだ。毎回言っているが⋮ボスを倒し、誰1人欠けることなく次
﹁では行くぞ
﹂
色に発光し、絵の中からボスモンスターが現れ、咆哮した。
目が慣れて来て奥を見ると、とても大きな絵が飾ってあった。すると、絵の額縁が緑
部屋の中は暗く、静まり返っていて不気味な雰囲気が漂っていた。
ファガンが扉を開け、プレイヤーが部屋にながれこんだ。
!
ファガンの声にみんなの士気が盛り上がる。
!!!!
!!
﹁﹁﹁﹁﹁﹁うおおぉ
第18話 黒と白の剣舞・紅と紫の乱舞
131
﹂
!!
﹂﹂﹂﹂﹂﹂
!!
﹂
﹁俺達も行くぞ。アスナ
﹁うん
﹁ボクらも行こうりょう
﹂
﹂
!
!!
﹁はあぁ
﹂
﹂
紅達も配置に移動し攻撃を展開させる。
﹁あいよ
﹁呑気なこと言ってないでさっさと行くぞ﹂
﹁随分手の込んだ登場だったな∼﹂
﹁ああ
!
!
!
!
﹂
各々部屋全体に散開していく。
﹁﹁﹁﹁﹁﹁おう
﹁各隊に分かれて役目に当たれ
132
﹁やあ
﹁やあ
﹂
﹂
﹂
﹁うおぉ
﹂
﹁おりゃあぁ
﹂
﹂
﹂
はあっ
﹁スイッチ
﹁任せた
﹁せやあぁ
﹂
ニアー﹂を発動してダメージを与える。それに他のメンバーも続く。
キリトは、片手剣ソードスキル﹁ギガントスパイク﹂、アスナは細剣ソードスキル﹁リ
!!
!!
!!
がすぐ出来たので難なく避けられた。武器はまだ変える様子は無かった。
ていた。ボスも途中何度もブレスを打ってきたが、打つのに時間が掛かっていて、対処
戦闘が始まって30分近く経った頃にはボスのHPゲージはイエローゾーンとなっ
!
!!
!!
!!
!
!!
﹁ふっ
第18話 黒と白の剣舞・紅と紫の乱舞
133
﹂
﹂﹂﹂﹂﹂﹂
﹁後少しでレッドゾーンだ
﹁﹁﹁﹁﹁﹁おう
!!
﹂﹂﹂﹂
﹁俺達も行くぞ
﹁﹁﹁﹁了解
!!
全員攻撃で畳み掛ける
!
﹂
﹂
﹁アスナ
﹁うん
!
﹂
!!
援する。
﹂
!!
!
﹂
護してくれ
﹁8年経っても黒と白の剣舞は健在か⋮負けてられないな。ユウキ
﹁了解
!
俺達も続くぞ、援
発動、アスナも細剣ソードスキル﹁スタースプラッシュ﹂を発動してキリトの攻撃を支
キリトは二刀流を装備して、二刀流ソードスキル﹁スターバースト・ストリーム﹂を
!
キリトの指示で動き出す。
!
134
﹂
2人もボスに向かって走り出す。ユウキが先行してボスに攻撃をする。その間に紅
﹂
も二刀流を装備する。
﹁スイッチ
﹂
紅の声に反応し、ユウキがボスの剣筋を逸らし道を作ってスイッチする。
﹁スターバースト・ストリームの強化技⋮〝 メテオバースト・ストリーム〟
紅の剣が水色のライトエフェクトに包まれる。が、直後赤色に変化する。
!!
無くしたものである。かと言って全てをカバー出来ているわけではないのでダメージ
この技は、大技故に隙が多くなるスターバースト・ストリームを、出来る限りの隙を
紅は二刀流オリジナルソードスキル﹁メテオバーストストリーム﹂を発動した。
!!
!!
﹁あいつの置き土産だ、とくと味わえ
第18話 黒と白の剣舞・紅と紫の乱舞
135
は受ける。だが、そこをユウキが片手剣オリジナルソードスキル﹁マザーズロザリオ﹂を
発動してカバーした。
﹂﹂
?
﹂
?
﹁﹁いやいや、あんたらがスゴすぎるんだよ⋮﹂﹂
﹁最後はあっさりだったな∼﹂
タックボーナスは、27連撃と最も連撃数が多かった紅が持っていった。
そうこうしている内にHPを削り切り、ポリゴン粒子を四散させた。因みにラストア
ボスも反撃しようとしていたが、攻撃の隙が無く、防戦一方の様子だった。
減っていっている。
4人の剣技は、まるで光のショーを見ているかの様に華麗であった。HPもみるみる
﹁﹁さあ
﹁あの2人、何かあったの
何も考えてないのにタイミングが合ってる⋮正に〝 紅と紫の乱舞と言える〟⋮﹂
﹁キリトとアスナはまだしも、りょうとユウキはマジでヤバイだろあれ⋮2人とも多分
﹁す、すげぇ⋮﹂
136
﹁しかしりょうはまた新しいOSSを出してくるとはな、俺も負けてられないな
﹂
﹂
﹁ものにするのに大分苦労したけど、上手く出来て良かったよ。﹂
﹂
﹁ふふっ、私もOSS作ってみようかな
﹁その時はボクが手伝ってあげるよ
﹁ありがとユウキ。キリト君もやってみる
?
﹁もちろんだ。俺もOSSには興味がある。﹂
?
!
﹂
!
皆の力があってこそのクリアだ、これからもよろしく頼
紅達が話していると、ファガンが全体に声をかける。
﹂
!
む
﹁﹁﹁﹁﹁﹁おう
!
!
﹁⋮あれが⋮紅⋮﹂
近づいているとも知らずに⋮
一行は次の層へ向かって行く。紅達も後に続いて足を進めていった。闇が少しずつ
﹂﹂﹂﹂﹂﹂
﹁ボス攻略大変ご苦労だった
第18話 黒と白の剣舞・紅と紫の乱舞
137
138
黒いローブを被ったプレイヤーが、紅を見ていた。その顔には笑みが見えた。そして
もう一つ、別の影が見えた気がしたのだが⋮
第19話 キース
キリト達のギルドがボス攻略に参加してからの攻略スピードは凄まじい程に向上し
ていた。クォーターポイントと言われていた50層も、ボスの断続的に繰り返される範
囲攻撃には苦労したが、スバルの新OSS﹁メテオダンス﹂、ガイの新OSS﹁ボルケー
ノラッシュ﹂の解禁によって、どうにか1人の犠牲者も出さずにクリアする事が出来た。
この頃になると、紅には﹁神速﹂、スバルは﹁風雅の六連星﹂、ガイは﹁不屈﹂と、3
人にも二つ名がつくようになっていた。
ある日、いつもの如く攻略に出ようとしていた紅達にある情報が流れてきた。
?
全に壊滅してるしな。一体なんでこんなことが⋮﹂
﹁それにしてもだ。何でこんな急に〝PK〟が行われたんだ
﹂
﹁あのラフィンコフィンは、SAOクリア後でも色々とやらかしてくれたけど、それも完
﹁SAOの時だって5層くらいからちらほら聞かれてたのにね﹂
﹁まさか今頃になって急にか⋮﹂
第19話 キース
139
﹁そいつの行動が全くもって理解できないわね﹂
だ﹂
﹁⋮そうだな﹂
﹁けどどうやって皆に伝えるんだ
﹂
﹁アテがない訳では無いが⋮﹂
﹁無いがって何かあるの
?
﹁あいつ⋮あんまり好きになれないんだよな⋮﹂
?
﹂
に協力を仰ごう。後37層でクリア出来るんだ。そんなとこで足止め食らうのは御免
﹁俺達だけで考えてても意味がない。これはこのゲーム全体に関わる問題だ。他のやつ
皆この状況には行き詰まりで黙ってしまう。だが、紅が口を開く。
﹁八方塞がりとはこういう事を言うのですな∼⋮﹂
﹁周りのやつに警戒を呼びかける程度か⋮けど俺らそんなに力ないしな﹂
﹁けど今の状態じゃ何から始めていいかも分からんからどうしようもないだろ﹂
﹁何もしないで諦めるのはボクは嫌だな﹂
﹁早くも白旗上げときたいもんだわな∼﹂
140
﹁あいつって
﹂
﹂
﹁そうだな、じゃあ行くか。﹂
﹁話は聞いてくれる様だ。﹂
後に話の場を設けると返信があった。
紅はそういうと、キースに今回の件について話がしたいとメールをした。すると数分
﹁⋮仕方ないか﹂
てくれるか
﹁聖王騎士団なら今最も勢力を持ったギルドって言われてるからな。聞くだけ聞いてみ
﹁またデカイとこと繋がってんな∼おい⋮﹂
﹁⋮聖王騎士団ギルドマスター〝キース〟﹂
?
?
﹁でも⋮﹂
﹁キリト君が行ってもまともに話せないでしょ
?
﹂
?
﹁うっ⋮ご最もで⋮﹂
﹁だからここはりょう君に任せるとしましょ
﹂
﹁いや、ここは俺が行く。大人数で行っても迷惑だろうし、何より目立つだろ。﹂
第19話 キース
141
﹁⋮そうだな﹂
﹂
﹁ねえ、ボクりょうの方について行ってもいい
﹁別に良いけど何でだ
﹂
?
﹁分かった、また連絡するね
﹁はい⋮﹂
﹂
それじゃあ皆行こっか
?
﹂
それにボクはキリトみたい
ほら、キリト君も
!
﹁まあ他のみんなはレベリングでもしててくれ、後で俺らも行くからさ。﹂
﹁あ、はい⋮すいません﹂
に内気じゃなくてフレンドリーだからね
﹁こんな物騒なとこに1人で行かせる訳に行かないでしょ
?
﹂
!
紅たち2人もキースに会うために50層に向かった。
﹁レッツゴ∼
﹁まあ大丈夫だろ。それじゃ俺らも行きますか﹂
﹁ちょっと言いすぎたかな⋮﹂
﹁ありゃ大分ショック受けてるな﹂
紅とユウキを除くメンバーは先にレベリングのため、63層に向かった。
!
!
?
142
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
いつまで溜息ついてるのさ、ボクもいい加減怒るよ
﹁はあ⋮﹂
﹁もう
﹂
!
ほら、来たよ﹂
?
た。
﹁どこでやるの
﹂
﹁いや、そんなに待ってないから大丈夫だ。それじゃ移動するか﹂
?
﹂
前方から白を基調とした重装備の、いかにも偉い位にいそうなプレイヤーがやって来
﹁自分でやるって言ったんだから最後までやりきってよ
﹁いやだって、あんま関わりたくないやつと面と向かって話すなんて憂鬱過ぎる⋮﹂
!
﹁すまない、待たせてしまったかな
第19話 キース
143
?
﹁この近くに喫茶店がある。そこならあんま人もいないから人目を気にしないで話せる
と思う。﹂
3人は喫茶店に向かっていった⋮
﹁それじゃ⋮行くか⋮﹂
﹁了解した。﹂
144
第20話 動き出した闇
﹁へぇ∼こんな所があったんだ﹂
﹁私も初めて来たな﹂
3人が居るのは、主街区から少し入り組んだ路地を行ったところにひっそりと営業し
ている喫茶店である。
てのがあって、それからちょくちょく来るようになったんだ。まあこの話はまた話すと
﹁俺も知ったのは最近だからな。前に受けたクエストでここに食材を集めて持ってくっ
して、本題に入ろう。﹂
紅が話を変えると同時に、場の雰囲気も張り詰めた雰囲気となる。
﹂
?
﹁今回の件について、お前はどう思ってるんだ
第20話 動き出した闇
145
キースは腕を組み、考える素振りを見せる。
﹂
?
﹁つまりこの事件自体が虚無の事実の可能性があると
キースは頷く。
﹂
﹁そこが問題なのだ。可能性が0にならない限り、プレイヤーの皆は安心して攻略に勤
﹁けど、虚無かどうかも分からないんだよな﹂
﹁明らかに大きな事件にも関わらず、情報が無さすぎるのだよ﹂
?
る﹂
いう事は誰も分からないだろう。ただただ、PKが起きたという情報だけが流れてい
﹁はっきり言ってしまうと、この事件は誰がいつ、どこで、どうやってPKされたのかと
だがキースは首を横に振る。
﹁やっぱそこが気になるよな⋮何か情報とかがあれば教えくれないか
﹁やはりこの事件はよく分からない事が多い。何故今になってPKが起きたのか⋮﹂
146
しむことは出来ない﹂
﹁だな。取り敢えずは注意喚起を皆に伝えるんだ。そこから俺達で調査をしていくとし
よう﹂
﹁そうだな。その事も幹部会議で話し合おうと思っている﹂
﹁そこは任せたぜ。俺達も独自に調査はするつもりだ﹂
﹁了解した、また何かあったら教えてくれ。では私はそろそろお暇させてもらうよ。こ
の後定例会議があってな。﹂
﹁ああ。忙しいとこ悪かったな。﹂
﹁こちらこそ、こんないい所を教えてくれた。また機会があったら今度はゆっくりとし
たティータイムを過ごすよ。では﹂
キースが店を出てから、ほんの数秒の沈黙が店に訪れたが、糸が切れたように紅がず
るずると崩れた。
﹂
!
﹁まあ簡潔に言えば、情報の共有をしていきましょってことだ。﹂
﹁ボク、途中から展開が早くて全然理解が出来なかったんだけど⋮﹂
﹁は∼疲れた∼
第20話 動き出した闇
147
﹁なるほどね⋮﹂
﹂
﹁食べたいけど、早く皆の所に行くんでしょ
ユウキはジト目で紅を見る。
﹁なにそれ⋮﹂
﹁俺の自論だ﹂
紅はにっと笑う。
﹂
﹁はあ⋮早く食べて行こうね
﹁おう
?
2人は喫茶店で暫しティータイムとした。 !
﹂
﹁腹が減っては戦はできぬ。糖分減っては頭動かぬだ。﹂
?
?
﹂
﹁は ぁ ⋮ 考 え る の は 辞 め だ。疲 れ た ら 糖 分 摂 取 を 忘 れ ず に。ユ ウ キ も 何 か 食 べ る だ ろ
148
∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼・∼
﹁あ∼美味かったな∼、あのチーズケーキの味は今までに食べたことない新体験だった
な∼。また食べに行こ⋮﹂
﹁まだ言ってるし⋮まあ確かに美味しかったけどさ。﹂
﹂
!
﹂
﹁あのチーズケーキ、テイクアウトしといたから帰って皆で食べような
﹂
!
?
?
﹁どうしたのりょう
﹂
ユウキは走り出そうとしたが、目の前に紅の手が出てきて止められる。
﹁そうだね、急ご
﹁気にするな。早くキリト達と合流しよう﹂
﹁いつの間に⋮てゆうか甘いもの食べてから何かキャラ変わってない
第20話 動き出した闇
149
このままだとお前らの方が確実に不利になると思うんだが
すると紅は来た道を向く。
﹁いいのか
﹂
﹁はっ、こりゃ適わねぇな
だから何となく分からなくもないんだが﹂
﹁多分思った通りだと思うからあえて言わないでおくとしようか
﹁⋮そうか﹂
﹂
﹂
紅はそう言うと、ストレージを開き、
﹁黒龍﹂を装備して二刀流となる。ユウキも抜刀
?
?
?
まあハイドスキルまで使ってまでつけてくるようなやから
俺達に何の用だ
!
﹁それで
?
﹁悪いがこっちはだいぶ前にコンプリートしてるんでな﹂
﹁あらら、バレてたか。それなりにハイドスキルは上げてたんだが﹂
紅が言うと、ローブを被った黒ずくめが3人出てきた。
?
150
する体勢をとる。
ぞ
﹂
﹁殺せるもんなら殺してみな
黒ずくめ達も剣を構える。
﹂
言っておくが、俺らはそう簡単に殺される程弱くはない
?
互いに走り出し、剣が衝突した。辺りに鈍い金属音が鳴り響いた。
!!
?
﹁はっ、そっちの方が狩りがいがあるってもんだろ∼
第20話 動き出した闇
151
第21話 闇との対峙
紅達の戦況はどう見ても劣勢だった。
手数では同じだが、人数的には相手の方が多く、紅が2人を相手取っている状態だ。
紅とユウキもどうにか相手の剣をいなしているが、それでも抑えきれず、2人のHP
ゲージはそろそろイエローゾーンに突入しそうであった。
﹂
そんな時、丁度紅とユウキが背中合わせになった。
﹁さて、どうしたもんかな
﹂
﹁だな。⋮一か八か賭けてみるか⋮﹂
﹁どうするの
﹁蒼、こいつらの相手してもらっていいか
?
?
何で俺がやんなきゃなんねぇんだよ︶
?
紅は目を閉じ、また開く。瞬間、紅の雰囲気が一変する。
︵はぁ⋮俺はピンチに駆けつけるヒーローじゃないんだがな。しゃあねぇなぁ⋮︶
﹁最近暴れたりてなさそうだからな。少しは楽しめると思ったんだが﹂
︵はあ
﹂
﹁明らかに押されてるね。相手にまだ余裕が見えるよ﹂
?
152
﹂
﹁てなわけで、どう遊んでやるかな
﹁え
そんなの無茶だよ
﹂
!
﹂
グが遅くそれより先に蒼の剣が刺さる。
!!
﹁ぐっ⋮﹂
さっきまでの威勢はどこいったんだよ
?
﹂
?
ぐに消えたが、3人の姿も無くなっていた。
﹂
ローブ1人が黒い玉を地面に叩きつけると周囲に黒い煙が立ち込めた。その煙はす
﹁⋮チッ出直しだ。依頼に失敗したのはいつぶりだろうな。﹂
﹁おいおい、このままだとお前ら3人、あの世行きだぜ
いつの間にか、3人を圧倒し、防戦一方となっていた。
﹁ほらどぉした
﹂
ローブ男達は蒼の気迫に押されて、攻撃には移らず、防御の構えをとるが、タイミン
﹁っ
﹁お前らに戦い方のいろはってものがなんなのかその身に教えてやるよぉ
ユウキの制止も聞かず、蒼はローブの男達に突っ込んでいく。
﹁出来なかったらそん時考えるさっ
﹂
﹁いや、3人まとめて相手するからフォローよろしく∼﹂
﹂
﹁さっきと同じで良いんじゃないの
?
!
!
!
!!
?
第21話 闇との対峙
153
﹁弾幕で逃げたか。そうでなくっちゃ面白くねぇな﹂
﹁もうその台詞聞くとどっちが悪者か分からないよ⋮﹂
﹁まああいつらは置いておいて⋮﹂
いつまでも見てるだけってのは無いだろ
?
すると蒼は本来自分達の進む筈だった方向を見る。
すると出てきたのは⋮
﹁そろそろ出てきたらどうだ
﹂
?
154
キースだった。
﹂
﹂
﹁やはりバレていたか。しかし良いものを見せてもらったよ﹂
﹂
蒼は殺気を放ちながら剣を握り直す。
﹁今度はお前が相手になるのか
﹁いや、それはまたの機会に。今回は別の用件で来たんだ。﹂
﹁なんだ、さっき会った時に言えば良かったんじゃないのか
﹂
﹁会議で出た話題だったからね。﹂
﹁手短にしろよ
﹁⋮ほう
?
?
﹁分かった。簡潔に言うと、君を引き抜きに来たんだ。﹂
?
ドに加入すれば、その力の解放に助力出来ると思うのだが、どうだい
﹁ああ⋮﹂
﹂
蒼は紅へと人格を戻す。
﹁俺から一つ、いいか
﹁構わない﹂
?
﹂
﹁君の力にはまだ上がある筈だ。私はそこに可能性を感じているんだ。もし、私のギル
?
︵⋮変わってくれ︶
第21話 闇との対峙
155
?
﹂
﹁お前の言いたい事は分かった。だが腑に落ちない所がある。俺は今のギルドじゃその
力の解放は出来ないっていうのか
?
﹂
?
﹂
!
﹁随分とあっさり諦めてったね。とゆうか、キースさんに歩いていった時はどうなるか
そう言ってキースは転移結晶を使って転移していった。
﹁そうか、ならば仕方がない。また攻略で会おう﹂
は無い。てか、可能性が低かったり、ピンチな程燃えるタイプだから﹂
間を裏切ることはしない。それにお前を信用出来ていない。そんなやつの下になる気
﹁これが答えだキース。まず俺にはこんな事を決められる権利は無いし、それ以前に仲
ライク︾を放った。だが、キースはそれを読んでいたかのように躱した。
ユウキがまた名前を呼ぶとほぼ同時に、キースに片手剣ソードスキル︽ マッハスト
﹁りょう
ユウキは声をかけるが立ち止まる気配はない。
﹁え、りょう
すると紅はキースの方に歩きだした。
﹁⋮そうか﹂
られる可能性が高いという事だ﹂
﹁そういう訳では無い。光輝の方舟と聖王騎士団を比べて私達のギルドの方が解放させ
156
と思ったよ
﹂
﹁とりあえずキリトさんの所へ行こうか﹂
﹁全くもう⋮﹂
﹁さっき言ったとおり、ユウキや他の人を裏切ることはしないって﹂
!
2人はキリト達のいる所へ向かって言った。
﹁そうだね﹂
第21話 闇との対峙
157
第22話 違和感
俺は紅だ。今あるやつの張り込みをしている所だ。ローブ三人衆とやりあってから
数日が経ったが、その間にも被害が出ていたらしい。それで奴らとやりあってた時に気
になったことを踏まえて、今回の張り込みに至るわけなんだが⋮
?
が、〝猫のミケ〟という二つ名がついた。
﹁しっかし、ほんとにアイツがPK集団の1人なのか
﹂
との事だった。それで、鼠を追っかけてたからなのか名前からなのか定かではない
に見えたけどな∼﹂
﹁弟子になってたのか、あいつ、学ぶって言うよりアルゴの後を追っかけしてたって感じ
たらしい。ミケの事をキリトに聞くと
ミケは一時期、SAOやALOでも名の知れた情報屋、鼠のアルゴの弟子になってい
屋〝ミケ〟と見張りを変わる。
俺は伸びをして、フード付きマントの装備で、頭にゴーグルを付けた白髪の女、情報
﹁ん、そうか。ん∼﹂
﹁くー、そろそろ交代だ﹂
158
﹁さあな、違ったら違ったでまた探すまでだ﹂
﹁またこき使われるのか∼﹂
このまま出てこなかったらどうするんだ
﹁人聞きの悪いこと言うなよ。お前が頼りなんだよ﹂
﹁はいはい。それで
﹂
?
﹁関係無しに叩き起してやるから安心して寝てな﹂
﹁そうさせてもらうか。何かあったら叩き起こせよ
﹂
﹁まあいいや、とりあえず寝とけ。もうじき夜が明ける﹂
﹁⋮そうだな﹂
﹁意外とノープランだな﹂
を片付ける﹂
﹁今日クリスと一緒にクエやったときに明日もやろうと誘われてるからまた一緒にクエ
?
紅は仮眠をとった。
﹁⋮あいよ﹂
第22話 違和感
159
?
﹂
紅が起きたのは、仮眠をとると言ってから2時間ほど経った頃だった。
﹁動きはあったか
﹂
?
けどここはデスゲームだ。そんな事があったらそれこ
?
﹁そうなんだよな∼。さてどうしたものか⋮﹂
るんだから、互いのことは知ってるだろ。﹂
﹁けどそれならファガンが黙ってないだろ。あいつとクリスは1層からずっと前線にい
そ大事件だ。最悪攻略がストップする事態だって考えられる﹂
ゲームなら良くあるやつだろ
﹁攻略組のトップにいるやつが一転、プレイヤーを殺す殺戮者になるシナリオ、普通の
紅は頷く。
﹁逆
﹁それもそうなんだが、俺はむしろ逆だと思うんだよな﹂
﹁そもそもクリスがPK集団の1人なんて考え自体可笑しいだろ﹂
﹁⋮そうだな。俺の予想が外れてたか∼﹂
﹁何も動きはないな。時間的にもそろそろ限界だな﹂
紅は欠伸をしながらミケに聞く。
?
160
﹁とにかく本人に会って確かめたらどうだ
﹁そう⋮だな﹂
仕方ない⋮諦めて行くとするか⋮
﹂
?
さてと、集合が8:00で、今が7:46、いつも通りの15分前行動だな。
﹁いつも早いですね、紅さん﹂
﹁今日もよろしく頼むな、クリス﹂
﹂
さてバーティ申請を⋮
﹂
﹁どうかしましたか
?
じゃあ行きましょうか﹂
??
﹁⋮ああ﹂
﹁
﹁いや⋮なんでもない﹂
?
﹁ん
第22話 違和感
161
162
おかしい⋮こんなことある訳が⋮
第22話 違和感
俺は紅だ。今あるやつの張り込みをしている所だ。ローブ三人衆とやりあってから
数日が経ったが、その間にも被害が出ていたらしい。それで奴らとやりあってた時に気
になったことを踏まえて、今回の張り込みに至るわけなんだが⋮
﹁くー、そろそろ交代だ﹂
俺は伸びをして、フード付きマントの装備で、頭にゴーグルを付けた白髪の女、情報
﹁ん、そうか。ん∼﹂
屋〝ミケ〟と見張りを変わる。
ミケは一時期、SAOやALOでも名の知れた情報屋、鼠のアルゴの弟子になってい
たらしい。ミケの事をキリトに聞くと
?
が、〝猫のミケ〟という二つ名がついた。
﹁しっかし、ほんとにアイツがPK集団の1人なのか
﹂
との事だった。それで、鼠を追っかけてたからなのか名前からなのか定かではない
に見えたけどな∼﹂
﹁弟子になってたのか、あいつ、学ぶって言うよりアルゴの後を追っかけしてたって感じ
第22話 違和感
163
﹁さあな、違ったら違ったでまた探すまでだ﹂
﹁またこき使われるのか∼﹂
このまま出てこなかったらどうするんだ
﹁人聞きの悪いこと言うなよ。お前が頼りなんだよ﹂
﹁はいはい。それで
?
紅は仮眠をとった。
﹁⋮あいよ﹂
﹁関係無しに叩き起してやるから安心して寝てな﹂
﹁そうさせてもらうか。何かあったら叩き起こせよ
﹂
﹁まあいいや、とりあえず寝とけ。もうじき夜が明ける﹂
﹁⋮そうだな﹂
﹁意外とノープランだな﹂
を片付ける﹂
﹂
﹁今日クリスと一緒にクエやったときに明日もやろうと誘われてるからまた一緒にクエ
?
164
?
﹂
紅が起きたのは、仮眠をとると言ってから2時間ほど経った頃だった。
﹁動きはあったか
﹁そもそもクリスがPK集団の1人なんて考え自体可笑しいだろ﹂
﹁⋮そうだな。俺の予想が外れてたか∼﹂
﹁何も動きはないな。時間的にもそろそろ限界だな﹂
紅は欠伸をしながらミケに聞く。
?
﹁それもそうなんだが、俺はむしろ逆だと思うんだよな﹂
﹂
紅は頷く。
﹁逆
?
けどここはデスゲームだ。そんな事があったらそれこ
?
﹁そうなんだよな∼。さてどうしたものか⋮﹂
るんだから、互いのことは知ってるだろ。﹂
﹁けどそれならファガンが黙ってないだろ。あいつとクリスは1層からずっと前線にい
そ大事件だ。最悪攻略がストップする事態だって考えられる﹂
ゲームなら良くあるやつだろ
﹁攻略組のトップにいるやつが一転、プレイヤーを殺す殺戮者になるシナリオ、普通の
第22話 違和感
165
﹁とにかく本人に会って確かめたらどうだ
﹂
?
﹁ん
﹂
じゃあ行きましょうか﹂
??
﹁⋮ああ﹂
﹁
﹁いや⋮なんでもない﹂
?
?
﹁どうかしましたか
﹂
さてバーティ申請を⋮
﹁今日もよろしく頼むな、クリス﹂
﹁いつも早いですね、紅さん﹂
さてと、集合が8:00で、今が7:46、いつも通りの15分前行動だな。
仕方ない⋮諦めて行くとするか⋮
﹁そう⋮だな﹂
166
第22話 違和感
167
おかしい⋮こんなことある訳が⋮
﹂
第23話 闇の正体
﹁お前らは何者だ
﹂
?
時は遡ること30分程前⋮
?
からだ。既に手分けして他の層は回ったので、後はここだけとなっている。
うまでもなくクリスの捜索だ。2人を呼んだのは、この件について色々と話をしていた
俺は今、ミケとキリトさんと一緒に60層の街を走り回っている。何故かと言えば言
﹁りょうは本当に面白いところを見てるな﹂
﹁ああ、それは寝ぼけてても明らかにおかしいと思ってるだろうしな﹂
﹁なあクー、ホントにそれは確かなのか
﹂
俺は今クリスとファガンに会っているんだが⋮
﹁俺達が何かしたか
﹁どうしたんですか急に﹂
?
168
﹁ここにもいなかったらどうする
﹁どうするクー
﹂
﹂
見るとそこにはクリスとファガンが真剣な顔で話し合っていた。
﹁﹁あ⋮﹂﹂
﹁その心配無くなったみたいだぞ﹂
﹁そうなったら八方塞がりだな。こんなんだったらフレンド登録しとくんだったな⋮﹂
?
そして現在に至るのである⋮
﹁ああ、追いかけるぞ﹂
﹁動いたね﹂
3人は暫く動くのを待った。すると、2人が移動した。
﹁じゃあここから動くのを待つってことか⋮まあ仕方ないな﹂
﹁暫く様子を見るどちらにせよ、ここでは互いに動けないだろうし﹂
?
﹁簡潔に言うならお前らのレベリングの仕方だ﹂
第23話 闇の正体
169
﹁レベリングですか
﹂
ファガンの肩がピクッと震えた。
?
﹂﹂
!?
﹂
?
﹂
?
﹁そう、俺達はプログラムされたAIだ。そして今回のPKの首謀者だ。﹂
﹁ええ、この期に及んで言い逃れは出来ないでしょうし﹂
﹁あっさり認めるんだな。自分が〝人〟じゃないと﹂
﹁はあ⋮まさかこんなにも早く気づかれるとはな﹂
﹁やっぱり気づいていたんですね⋮﹂
そしてクリスが口を開いた。
2 組 の 間 に し ば ら く の 沈 黙 が 訪 れ た。さ っ き ま で 晴 れ て い た 空 も 雲 行 き が 怪 し い。
〝
﹁⋮そうだ。〝なぜ夜中1度も外に出なかったお前のレベルが5つも上がっていたんだ
﹁それがレベルと言いたいんですね
﹁そして次の日、明らかにおかしい所があった﹂
2人が明らかに動揺した目をした。それを確認した上で紅は続けた。
﹁﹁っ
俺とミケでお前を監視してたんだよ、夜通しな﹂
﹁⋮ああ。前にクリスと俺は2日間連続でクエストをやった事があったよな。その時、
170
﹂
﹂
﹁紅さんは私の動きで気づいていたんですよね
﹁そうだ﹂
ここでキリトが割り込んで来た。
﹁それで、何故お前達はこんな事をするんだ
?
﹁⋮そうです﹂
﹁PKもその一つだと
﹂
﹁俺達はプログラムの通りに動いてる。ただそれだけだ﹂
?
突然声が聞こえ、物陰から男が1人出てきた。
﹁おっとそこまでだ、そっから先を聞きたいなら事務所を通してもらわなきゃ∼﹂
﹁それってどういう一﹂
﹁だがこれが行われている理由は後々分かることになるだろう﹂
?
﹁俺か
﹂
ジョーカーってブラッドファントムのギルマスか
俺はジョーカーだが
﹁ジョーカー
のか⋮﹂
﹁悪い噂しか聞かないけどな﹂
この件にも絡んでた
?
?
﹁なんだ知ってるのか、俺も有名になったもんだな∼﹂
?
?
﹁︵誰の索敵にも引っかからなかったみたいだな⋮コイツはやるな⋮︶誰だお前は﹂
第23話 闇の正体
171
こういう役は﹂
﹂
﹁俺にあってるだろ
﹁お前もAIか⋮
?
﹁⋮ああ﹂
﹁大変な事になってきたな⋮﹂
ジョーカーは煙幕を張り、3人は姿を消した。
﹁ああそうだ。さあ、これから楽しい楽しいダンスパーティの始まりだぁ
?
これから先⋮どうしたもんかな⋮
﹂
!!
172
Fly UP