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医療・福祉分野における モバイルソリューション
エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) ■ NTT ドコモ 医療・福祉分野における モバイルソリューション 医療現場における モバイルソリューション 医療や福祉・介護の分野において 担当部長) NTT ドコモでは、すでに医療の 現場において、以下に示すようなソ ㈱ NTT ドコモ 法人営業本部 第一法人営業部 担当部長 リューションを提供している。 W A N 、L A N 、P A N (P e r s o n a l Area Network)の組み合わせで、 ●携帯端末番号を利用した端末 佐藤 一夫氏 時間、場所、利用者の属性に応じた 認証 さまざまなサービス提供を可能にす 東京大学医学部付属病院では、医 るモバイルを活用した各種ソリュー 師サイドから求められる医療情報の on the Planet NETworking System」 ションが注目を集めている。 提供に極めて有効な手段として、i を構築。地域や特定の医療機関に限 NTT ドコモでは、法人営業本部 モードイントラによる携帯端末の機 定しない患者中心の医療情報ネット の中で公共分野を担当する第一法人 体番号認証を活用し、簡易に診療情 ワークを実現している。PLANETで 営業部と、ソリューションビジネス 報を見ることができる仕組みを構築 は、オープンカルテというコンセプ 部が連携して医療プロジェクトチー している。 トのもとで、患者の意思に基づき参 Patient Centered Lifetime Anywhere ムを編成。ソリューションの開拓や 本ソリューションは、①パケット 加医療機関は相互に患者のカルテ 実証実験、さらには提案活動を積極 フィルタリングによるネットワーク (診療情報)を参照して記載すること 的に推進している。 セキュリティ、②携帯端末の機体番 を可能にしているほか、患者はネッ 「私どもは、病院内の基幹系シス 号認証による端末セキュリティ、③ トワークを経由して自身のカルテ情 テムではなく、主としてフロント系 ユーザーID/パスワードによる利用 報を閲覧できると同時に、自己の健 システムを中心に、モバイルならで 者セキュリティ、④暗号通信(SSL) 康データを入力し、情報発信するこ はの特長を活かしたソリューション の4重のセキュリティ機能によって、 とも可能となっている。 を展開しています。現在は、社会貢 医師が患者の診療情報をiモード端末 献的な意味合いが強く、実際のビジ を利用して見ることができるという IC カードを利用した PC による ネスとしてはまだまだこれからです のが大きな特長である。 PLANET へのアクセス以外に、携 亀田総合病院と NTT ドコモは、 帯電話からのセキュアなアクセスを が、医療や福祉・介護分野における モバイルソリューションに関するニ ● FirstPass を利用した端末認証 共同検討。FOMA の電子認証サー ーズは非常に高いことから、今後も 情報化推進に先進的に取り組んで ビス「FirstPass」を個人認証ツー 積極的に取り組んでいきたいと考え いる千葉県鴨川市の亀田総合病院で ルとして活用することで、高セキュ ています。」(㈱ NTT ドコモ 法人 は、南房総を中心とした地域医療連 アでかつ IC カードでの認証システ 営業本部第一法人営業部 佐藤一夫 携ネットワーク「PLANET : ムより安価な地域医療連携を可能に 28 ビジネスコミュニケーション 2006 Vol.43 No.6 エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) ■ NTT ドコモ FOMA で、医療現場から離れた場所から携 地域医療連携ネットワーク PLANET PLANET 患者:●様 自己記録登録 血圧 自己記録 経過記録履歴 薬歴情報履歴 朝:80∼120 登録 帯端末での医療画像の確認が可能と なる。また、FOMAカードと携帯ネ 電子カルテ 網・インターネット網 FOMA 戻る 診療所等 ットワークを活用して、救急車から ユーザ証明書 健康データ入力 カルテ情報閲覧 救急病院・救命センターに状況映像 SSL通信 FOMA+PC を送信し、映像による指示を受ける 亀田メディカルセンター 『FirstPass』 ユーザー証明書 USB接続 FOMAで取得した証明書をPCで利用することも可能 ことにより的確な応急処置が可能に ケータイからでもPCからでもPKI技術を 用いたクライアント認証が可能に。 いつでもどこでもセキュアなモバイルアク セスを実現 電子カルテ なるほか、受け入れ態勢を整えるこ 診療所等 とも可能になる。さらには、より高 ICカードとカードリーダーの代替 FirstPassセンター 精細な映像を送信するためにボック ドコモルートCA証明書+失効リスト提供 ユーザ証明書発行 ス型のデコーダを活用した医療画像 図 1 FirstPass を利用した端末認証用事例 の伝送実験も行われている。 療・健康機器との連携によってバイ している(図1参照)。 タルデータを収集して、アドインア ●モバイルヘルスケアの プリによる簡易解析を行い、ヘルス 電波を利用した 聴覚障害者支援システム サービスモデル ケアセンタもしくは産業医に転送 これは、携帯端末を活用して、 これは、ビジネスユースに注力し し、アドバイスを受けることによっ WAN、LAN、PANの組み合わせで、 た FOMA M1000 をハブとして活用 て疾病予防を行うといったサービス 時間、場所、属性(ID)に応じたサ するサービスモデルである。M1000 が実現できる。 ービス提供を可能とし、複数の手段 は、WAN と LAN(IEEE802.11b)、 さらには Bluetooth による PAN と (視覚:映像・テキスト、触覚:バイ ●医療データ配信 ブレータ、聴覚:骨伝導 等)で聴覚 いう3つのネットワークが使えるほ 電子カルテの閲覧以外に、医療画 障害者の動線を支援するシステムであ か、ブラウザ機能の搭載、アドイン 像の閲覧や配信実験も各所で行われ る。図2に示すように、携帯端末をハ アプリの利用や、遠隔でのアドイン ている。携帯端末への医療画像の配 ブとして機能させることにより、赤外 アプリの起動といったさまざまな特 信については、医療データ(DICOM 線や QR コード、FeliCa、GPS、 長を持つ。この特長を活かし、各医 等)をサーバ上に格納しておくこと Bluetoothなどを利用し、無線ネット ワークアクセ WAN (BB-NW、ケータイNW) スのユビキタ サービス サービス アプリケーショ ョン ン アプリケーシ ス性、シーム レス性を活か 無線L 無線LA AN N すことが可能 無線LAN エリア WANエリア となる。 Bluetooth対応機器 QRコード FeliCa-R/W PP AA N N Bluetooth対応センサー GPS PP AA N N また、写真 1に示すよう M1000 なバイブレー N900iL *PAN:Personal Area Network(赤外線、QR、FeliCa、Bluetooth等) タ機能を搭載 ・場所検知方法:ケータイ在圏位置、 GPS取得位置、無線LAN−AP位置、 PAN機器設置位置 ・時間検知方法:端末操作時、無線LAN−AP検出時、 PAN通信時、定期 図 2 電波を利用した聴覚障害者支援システム ビジネスコミュニケーション 2006 Vol.43 No.6 写真 1 Bluetooth 対応 ペン型骨伝導端末 したペン型の Bluetooth対応 29 エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 骨伝導端末と P902i をつなぎ、子機 として利用することもできる。 ウェルネス向け モバイルソリューション 経済産業省などによる健康サービ ス事業に対する支援に加え、介護保 険制度改革による「介護予防サービ ス」の創設もあって、ウェルネス (健康サービス)産業が注目を集め アクセス アクセス・ ・空メ 空メール送信 ール送信 読み取り 読み取り 簡単 簡単 ログイン ログイン Push型・ Pull型情報配信 入会・サイト誘導 QRコードアクセス 入力操作なしに、個人サイトにログイン。 また会員登録も空メールやQRコード読 取りにより簡便に実現できるので、 どこ でもいつでも入会が可能 会員登録後に 携帯電話に画面メモ お知らせメール配信 モバイルカード プロモーション・ニーズ 把握 サービス申込及び受付 健康サービス利用予約 講習会申込 本人確認 アンケート 抽選 携帯電話で健康サービスを予約。 当日の受付は携帯電話の画面に会員を特定 する情報を表示(モバイル会員証)。それによ それ り、 リアルサービスでスムーズな本人確認を実 によ り、 リアルサービスでスムーズな本人 現 (二次元バーコー ドによる認証も可能) 。 確認を実現 (二次元バーコー ドによる認証 も可能)。 会員証表示 抽選イベントや先着イベントなどのプロモー などのプ シ ョンやアンケー トによる健康サービス利 ロモーシ ョンやアンケー トによる健康 用者ニーズ調査を簡単 ・即座に実施。 サービス利用者ニーズ調査を簡単 ・即 座に実施。 携帯電話の画面に会員を特定する情報を表示。 QRコー QRコード等の認証も実現可能。 (※QRコー ド認証はオプシ ョ ン開発) (※ QRコー ド認証はオプシ ョ ン 開発) ている。介護予防サービスは、介護 図 3 携帯電話を利用した健康サービス会員管理 状態の悪化を防ぐために運動プログ ラムや栄養状態改善プログラムなど を提供するもので、利用者には介護 保険が適用される。従来フィットネ スクラブなどの健康サービス事業者 が、全額利用者負担で提供していた 携帯メールアドレスを利用して、Push型で の情報提供が可能。 属性別情報により、One To Oneマーケティ ングを実現。 属性別情報配信 医療機関に行く前に いつでも簡単に予約可能。 予約管理の稼動も軽減。 診察の時 FeliCa機能を利用し受付から支払 までの手続きをスムーズ化。 院内で 在宅で ICタグを利用し患者や 医療機器・薬剤を徹底管理 いつでも簡単に 無線技術を活用し カルテを閲覧可能。 バイタルデータを携帯経由 でセンターへ送信。データ マイカルテ に基づき健康管理可能。 診察予約 日時選択 希望医師 病院選択・Web予約 ICタグ ICタグ 診察履歴 投薬履歴 支払履歴 ICタグ カルテ閲覧 受付→呼出→支払→明細閲覧 サービスが介護保険の適用になるこ とは、利用者にとっては負担軽減、 運営情報 救急医療 情 報 事業者にとっては収入の安定と利用 創出支援事業」の一つとして採択さ れた「大阪ウェルネス」において、 NTT ドコモは携帯電話を利用した 健康サービス会員管理システムを提 供している。本システムは、身近な 携帯電話を使い、図3に示すような 会員管理を実現するものである。 モバイル技術を利用した 医療の将来像 バイタル データ 正常値 電子 カルテ 救急患者 対応 災害発生 対応 者増につながる。 経済産業省の「健康サービス産業 患 者 基本情報 Pi 診察券による患者特定や、災害 情報や応需情報等を携帯により、 迅速に共有が可能。 医療全体として バイタル データ 異常値 急変患者 対応 患者情報 バイタルデータ GPS情報付加 医療機関の連携 データの蓄積と分析 根拠に基づいた医療の実現 健康管理 FeliCa機能により、携帯から 患者の情報を確認し、的確な 対応が可能。 患者の急変を察知するとともに 病状や現在位置を確認し、 的確および迅速な対応が可能。 緊急時 図 4 モバイル技術を利用した医療の将来像 ● Web 予約システム できるほか、キャンセルの減少も期 待できる。 病院へ行く前に、患者が携帯端末 を利用し、インターネット経由でい ● FeliCaを利用した次世代診察券 つでもどこからでも簡単に病院の確 FeliCa を搭載した携帯電話によ 認、診察予約を可能にするシステム である。病院情報を公開することで、 り、患者の診察手続き等をサポート NTT ドコモでは、医療機関に行 患者は症状にあった病院を選択する するシステムである。患者は、携帯 く前、診察時、院内、在宅、医療機 ことが可能になるほか、自分の都合 をかざすだけで、受付や支払い処理 関連携、緊急時など、活用シーンに に合わせて、診断予約をすることが が可能となり、手続き時間の短縮が 応じて、図4に示すようなモバイル できる。病院側にとっても、電話で 期待できるほか、携帯を使って、呼 技術を利用した医療の将来像の実現 の問合わせが減少することで、予約 出メール受信、支払い明細履歴閲覧 に向けた取組みを加速させている。 管理・診察管理業務の効率化が期待 ができるため、サービス向上につな 30 ビジネスコミュニケーション 2006 Vol.43 No.6 エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) ■ NTT ドコモ がる。携帯に内蔵されている タグを利用して、医薬品の在庫及び 場合、前述の救急患者対応支援シス FeliCa は遠隔でロックできるので、 消費状況を把握することで効率的な テムと同じ仕組みで、患者へ的確な 紛失しても悪用される心配はない。 運用を可能にする医薬品トレーサビ 対応が可能となるほか、災害発生時 リティシステムを検討しています。 」 に、特定患者等に対する安全確認や なお、運用には社会全体の体制整 備が必要であるが、FeliCaには診察 (佐藤一夫担当部長) 券だけでなく、健康保険証等も組み 込むことが技術的には可能である。 急連絡一斉同報メールも可能である。 ●健康管理支援システム 通信機能を内蔵した測定器を患者 ●医療機器/患者の位置管理 連絡・指示を行うことができる。緊 に携帯してもらい、バイタルデータ ケアコンシェルジェ サービスシステム 病院内にセンサーを敷設し、高額 を遠隔管理するシステムである。バ 最後に紹介するのが導入障壁の低 なME(医療)機器や、患者に付いて イタルデータを管理することで、病 い携帯電話の特長を活かした健康相 いるアクティブタグから所在を管理 状の早期発見や生活習慣病の予防に 談サービスの例で、ケアコンシェル するシステムである。リアルタイム つながるアドバイスができるほか、 ジェサービス提供事業者に FOMA に患者の所在を簡単に把握すること データが異常値を示した場合には、 らくらくホンと、ビジュアルネット ができるほか、禁止区域への入室制 患者の位置情報も合わせて把握し、 を利用した TV 電話によるシステム 限や患者のバイタルデータによる健 救急対応が可能である。しかも、測 を提供している。この事業者は、1 康状態を把握することが可能である。 定機能付きリストバンドからバイタ 日 1 回、ケアコミュニケータが会員 また、医療機器の貸し出し管理や、 ルデータを無線で携帯へ送るため、 に対して TV 電話をし、健康状態や 点検・修理の管理も容易に行える。 煩わしさがないといった特長がある。 様子を確認して緊急時には家族に連 絡して確認を依頼するエブリデイコ ●医薬品トレーサビリティ システム ●救急患者対応支援システム ールサービス、ケアコミュニケータ 身元および病状が分からない患者 が話し相手をするコミュニケーショ IC タグを利用して、医薬品の在 に対して、適切に処置を行うための ンコールサービス、ケアコミュニケ 庫管理を実現するシステムである。 支援システムである。患者の携帯に ータを介しての医療サポートサービ 製造元から流通、病院、患者への医 格納されている ID より患者を特定 ス(空きベッドの予約、診療予約、 療行為や履歴を一元的に管理するこ し、対象者の医療情報を現場に開示 在宅医療紹介、介護施設紹介など)、 とができる。また、不良品回収依頼 することで、的確な対応が可能とな 提携病院の医師と TV 電話を利用し があった場合、当該医薬品の所在を る。また、患者情報を各医療機関で た医療相談サービス、さらには同じ すぐに確認できるので、迅速に対応 共有することで、あらゆるシーンで 趣味や興味・関心を持った会員同士 することができる。 迅速な対応が可能となる。 でコミュニティを作り、相互通話を 「医療過誤の防止、病院の業務改 善・経営改善、患者本位の医療の実 行うコミュニティコールサービスを ●災害時情報共有システム 現などを目的に、いつ、誰が、どの 災害発生時、災害発生情報や各医 患者に対して、どんな医療行為を行 療機関の応対状況をリアルタイムに ったかが文字通りリアルタイムでト 把握・共有するシステムである。患 レースできるような仕組みの構築が 者情報を各医療機関で共有すること 注目を集めています。私どもでは、 で、あらゆるシーンで迅速な対応が この考え方をベースに、安価な IC 可能となる。災害により怪我をした ビジネスコミュニケーション 2006 Vol.43 No.6 提供している。 お問い合わせ先 ㈱ NTT ドコモ 法人営業本部 第一法人営業部 第四営業担当 Tel : 03-5156-2041 URL: http://www.docomo.biz/contact/ 31