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資料1 - 国土交通省
資料1 旅行業に係る安全マネジメントと 着地型旅行の普及について 国土交通省 観光庁 平成25年11月28日 目次 Ⅰ.旅行に係る安全確保の必要性 Ⅰ-1. 組織的安全マネジメントの必要性の高まり Ⅰ-2. 運輸安全マネジメント Ⅰ-3. 旅行業における組織的な安全マネジメントに係る論点 Ⅱ.着地型旅行の普及 Ⅱ-1 着地型旅行とは Ⅱ-1. Ⅱ-2. 着地型旅行市場の現状 Ⅱ-3. 地方自治体からの要望 Ⅱ-4. 着地型旅行に関する旅行業制度の規制緩和に係る論点 Ⅰ 旅行に係る安全確保の必要性 Ⅰ. Ⅰ-1 組織的安全マネジメントの必要性の高まり Ⅰ-1. 近年の旅行中における主な日本人死亡事故発生状況 発生年度 事 故 名 平成20年度 ○バス事故(マレ シア) ○バス事故(マレーシア) 平成21年度 ○トムラウシ山遭難事故(北海道) ○実弾射撃場火災事故(韓国・釜山) 平成22年度 ○スイス氷河鉄道脱線事故(スイス・バレー州) ○バス事故(アメリカ・ユタ州) 平成23年度 該当なし 平成24年度 ○関越自動車道高速ツアーバス事故(群馬県) ○関越自動車道高速 ア バ 事故(群馬県) ○万里の長城付近における遭難事故(中国) ○グアム島邦人死傷事件(グアム) ○エジプト気球墜落事故(エジプト カイロ) ○エジプト気球墜落事故(エジプト・カイロ) ○カンボジア邦人死亡事故(カンボジア・シェリムアップ州) 日本人 死亡者数 1 7 10 1 3 7 3 3 4 1 -5- 観光産業政策検討会提言(平成25年4月とりまとめ)(抜粋) 4.旅行の安全の確保 (1)組織的な安全マネジメント等の安全への取組み 旅行者の安全を確保することは観光産業における大前提であり、今一度、安全確保の重要性に ついて認識すべきである。 これらの事件・事故の原因は様々であり、再発防止策についても一律には論じられないが、旅 行の安全性をできる限り向上させ、事故を防止する観点から、運輸事業者に導入されている運輸 安全マネジメントシステムを参考としつつ、旅行業における組織的な安全マネジメントのあり方を 検討する必要がある。このため、具体的な制度設計のための議論を行う場を設け、自ら輸送サー ビスを提供しない点で運輸事業と異なっている旅行業について、どのような仕組みが適切か等を 検討し、平成25年度に方針を取りまとめるべきである。 ま 、併 また、併せて、旅行会社に対する行政の立入検査の充実、事業者による自主チェックの仕組み 、旅行会社 対する行政 入検 充実、事業者 る自 ック 仕組 の導入等も進めるべきである。 -6- Ⅰ-2 運輸安全マネジメント Ⅰ-2. 運輸安全マネジメントに関する制度整備の経緯 ○ 平成17年の福知山線事故、近鉄バス転覆事故等を契機に、各種検討委員会での議論を経て、法令 平成17年の福知山線事故 近鉄バス転覆事故等を契機に 各種検討委員会での議論を経て 法令・ガイ ガイ ドライン等の整備が順次図られてきた。 ○ 特に、ヒューマンエラーを防ぐための組織的対応、PDCAサイクルを重視した経営トップから現場までを含 む安全管理体制の構築等に焦点があてられている。 <運輸安全マネジメント等に関する制度整備の経緯> 平成17年 鉄道・航空・海運・自動車等事故が多発 平成17年 6月 公共交通にかかるヒューマンエラー事故防止対策検討委員会 平成18年 3月 運輸安全一括法の公布 平成18年 10月 運輸安全マネジメント制度の開始 平成18年 2月 大規模事故における相互連携マニュアル 平成21年 6月 公共交通における事故による被害者等への支援のあり方検討会報告書 平成22年 3月 運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン(改定) 平成23年 6月 調整支援室設置(国土交通省公共交通事故被害者支援室) 平成23年 10月 情報提供担当専門官設置(運輸安全委員会) -8- 運輸安全一括法等について ○ 平成18年に運輸安全 平成18年に運輸安全一括法を制定し 括法を制定し、各事業法を改正。制定当時、「安全管理規程に係るガイドライン」が定 各事業法を改正。制定当時 「安全管理規程に係るガイドライン」が定 められたが、その後、事業者における安全管理体制の構築・改善の状況や知見を踏まえ、平成22年にガイド ラインが改訂された。 ○ 運輸安全一括法により改正された事業法 鉄道事業法、軌道法、航空法、道路運送法、貨物自動車運送事業法、 海 運送法、内航海運業法 海上運送法、内航海運業法 ○ 法律に規定された事項 輸送の安全の確保、輸送の安全性の向上、安全管理規程の届出 安全統括管理者 選任と届出 輸送 安全 関わる情報 安全統括管理者の選任と届出、輸送の安全に関わる情報の公表 表 ○ 安全管理規程に定める事項の詳細は、各事業法の省令に規定 ○ 現行のガイドライン(※)の内容 運輸事業者に期待される安全管理の取組として、安全方針・安全重点施策の策定、 ヒヤリ・ハット情報等の収集・活用、内部監査、マネジメントレビュー等のPD CAの内容等について記載。 ※ 「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」(平成22年3月国土交通省大臣官房運輸安全管理官) -9- 運輸安全マネジメントの対象事業者 ○鉄道、海運にお ては、ガイドラインとは別に小規模事業者向けの安全管理の進め方を提示。 ○鉄道、海運においては、ガイドラインとは別に小規模事業者向けの安全管理の進め方を提示。 ○自動車、航空においては、一定規模以上の事業者に対して安全管理規程の作成及び届出を義務付け。 鉄道 安全管理規程の作成・届出等義務付け対象事業者 小規模事業者向けの対応 鉄道事業法 許可を受けた鉄道事業者及び索道事業者 すべて 軌道法 特許を受けた軌道経営者すべて 無軌条電車事業者・鋼索鉄道事業者・索道事業者は、「安 全管理規程に係るガイドライン」に代えて、「鋼索鉄道・索 道事業者等における安全管理の進め方」に記載する内容 をもとに取り組むことが可能。 自動車 道路運送法 許可を受けた旅客自動車運送事業者のう ち、200両以上の事業用自動車を保有するバス事業者 及び300両以上の事業用自動車を保有するハイヤー・ タクシー事業者 タクシ 事業者 貨物自動車運送事業法 許可を受けた貨物自動車運送 事業者のうち、300両以上の事業用自動車(被けん引 自動車を除く。)を保有する事業者 海運 海上運送法 許可を受け又は届出を行った事業者すべ 許 を受け は届出を行 た事業者すべ て 内航海運業法 登録を受けた内航海運業者すべて(船 舶の貸渡しをする事業のみ行うものを除く。) 航空 許可を受けた本邦航空運送事業者のうち、運航する航 空機の客席数が30席以上又は最大離陸重量15,00 キ グラ 以 ある事業者 0キログラム以上である事業者 - 小規模海運事業者は、「安全管理規程に係るガイドライン」 小規模海運事業者は 「安全管理規程 係るガイド イ に代えて、 「小規模海運事業者における安全管理の進め 方」を本冊子に記載する内容をもとに取り組むことが可能。 - 資料:「運輸安全一括法に規定する安全管理規程に係るガイドラインの手引」(平成19年12月)より作成 -10- 輸送の安全に関するPDCAサイクル 経営トップの責務 経営トップは、安全管理体制に主体的かつ積極的に関与し、リーダーシップを発揮 安全統括管理者の責務 安全方針 要員の責任・権限 情報伝達及びコミュニケーションの確保 安全方針を策定・周知 事故、ヒヤリ・ハット情報等の収集・活用 安全重点施策 安全方針に沿って、年度の安全 に関する目標とそれを達成する ための取組計画を策定・周知 Plan 関係法令等の遵守の確保 安全管理体制の構築 改善に必要な教育 訓練等 安全管理体制の構築・改善に必要な教育・訓練等 Act マネジメントレビューと継続的改善 レビューの結果等、安全管理体制の中で 明らかにな た課題等について 継続的 明らかになった課題等について、継続的 に是正措置及び予防措置を実施 文書の作成及び管理 Do 重大な事故等への対応 Check 内部監査 自社の安全管理体制の構築・運用状況の社内 チ クを少なくとも1年毎に自らチ ク(重大 チェックを少なくとも1年毎に自らチェック(重大 事故等の場合は随時) 記録の作成及び維持 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」セミナー資料より作成 -11- 経営トップの責務について 経営トップの責務 1)経営トップは、輸送の安全の確保のため、次に掲げる事項について、主体的に関与し、事業者組織全 体の安全管理体制を構築し、適切に運営。 ① 関係法令等の遵守と安全最優先の原則を事業者内部へ徹底。 ② 安全方針を策定。 ③ 安全統括管理者、その他経営管理部門で安全管理に従事する者(以下「安全統括管理者等」とい 安全 括管 経 管 安全管 事 「安全 括管 等 う。)に指示するなどして、安全重点施策を策定。 ④ 安全統括管理者等に指示するなどして、重大な事故等への対応を実施。 安全統括管理者等に指示するなどして 重大な事故等への対応を実施 ⑤ 安全管理体制を構築・改善するために、かつ、輸送の安全を確保するために、安全統括管理者等に 指示するなどして、必要な要員、情報、輸送施設等(車両、船舶、航空機及び施設をいう。)が使用 で きるようにする。 ⑥ マネジメントレビューを実施。 2)上記のほか、経営トップは、リーダーシップを発揮し、安全統括管理者等に指示するなどして、取組の 構築・改善を行い、もって安全管理体制を適切に機能させる。 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」より作成 -12- 運輸事業者に係る安全管理の方針等の策定(Plan) 安全方針の策定・周知 安全方針の策定 周知 経営トップは、事業者の輸送の安全の確保に関する基本理念として、安全管理にかかわる事業者の全 体的な意図及び方向性を明確に示した安全方針を策定 事業者向けマネジメントにおける安全重点施策 1)事業者は、安全方針に基 き、事業者が達成したい成果として、会社全体、各部門又は支社等において、 1)事業者は、安全方針に基づき、事業者が達成したい成果として、会社全体、各部門又は支社等において、 輸送の安全の確保に関する目標(以下「目標」という。)を設定し、目標を達成するため、輸送の安全を 確保するために必要な取組計画(以下「取組計画」という。)を作成。 2)事業者は 目標の設定及び取組計画の作成に当たっては 以下の点に留意 2)事業者は、目標の設定及び取組計画の作成に当たっては、以下の点に留意。 ・ 目標年次を設定すること ・ 可能な限り、数値目標等の具体的目標とし、外部の者も容易に確認しやすく、事後的にその達成状況を検証・評価 できるものとすること ・ 事故やヒヤリ・ハットの発生状況、現場からの改善提案、内部監査の結果、マネジメントレビューの結果、保安監査 事故やヒヤリ トの発生状況 現場からの改善提案 内部監査の結果 マネジメントレビ の結果 保安監査 の結果、運輸安全マネジメント評価の結果、利用者からの意見・要望などにより、輸送現場の安全に関する課題を具 体的かつ詳細に把握し、それら課題の解決・改善に直結するものとすること ・ 取組計画実施に当たっての責任者、手段、実施期間・日程等を明らかにすること 等 3)事業者は、目標を達成すべく、取組計画に従い、輸送の安全に関する取組を着実に実施する。 4)事業者は、安全重点施策について定期的に進捗・達成状況を把握するとともに、少なくとも1年毎に見直 しを行う。 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」より作成 -13- 事故、ヒヤリ・ハット情報の収集・活用(Do) ○ 医療や運輸で実施されているように、事故、ヒヤリ・ハット情報の蓄積は、ICTと相まってヒューマン・エラー防 止に役立つ。 ヒヤリ・ハット情報の蓄積フロー 情報収集の方法 ・報告書の提出 ・管理者による聴き取り 調査 ・メールでの報告など ・大事故 ・大事故につながる危険 の高いヒヤリ・ハット ・多発する事故 等に着目して選ぶ ①情報収集 (事故、ヒヤリ・ハット等) ⑥輸送現場に潜在す る危険の掘りおこし ・その出来事が起 きる可能性 ・事故につながる 可能性 ・影響の大きさで 響 絞り込み ②集まった情報の分類・整理 事例の抽出 ⑦対策を取る 危険の絞りこみ 危険 絞り 分析の方法 ・なぜなぜ分析 ・特性要因図 など ・大事故や多発する事 故等の主な原因、現 場が関心をもってい る原因に絞って、対 策をたてる。 ③根本原因の分析 ④対策の検討と実施 ⑤リスク管理をうまく進めるための環境整備 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」セミナー資料より作成 -14- 安全管理に係る施策の実施・遂行の徹底(Do) 安全重点施策を踏まえた安全管理に係る施策の実施 安 重点施策を踏ま 安 管理 係る施策 実施 ●安全統括管理者の責務 安全統括管理者を選任し、安全管理の取組みを積極的に行い、安全目標が達成できるよう努力し、経 営トップに報告を適時、適切に行う。 ●要員の責任・権限 安全管理体制を適切に構築・改善するために必要な要員の責任・権限を定め、事業者内部へ周知し、 必要とされる要員に、安全管理体制の運営上、必要な責任・権限等を与える。 ●情報伝達及びコミュニケーションの確保 事業者内部に、輸送の安全の確保に係る的確な情報伝達及びコミュニケーションが現場から図られる ようにするとともに、外部に対する必要な情報の公表、安全啓発活動等を行う。 ●重大な事故等への対応 重大な事故等(通常の事故等の対応措置では対処できない事故・災害等)が発生した場合に備え、対 応手順を定め、事業者内部への周知等を行い、重大な事故等の発生時には、事故等の発生の速報を 事 等 事 等 事 等 速 関係する要員に伝達する等、適切に事故対応を行う。 ●関係法令等の遵守の確保 輸送 安全を確保す 輸送の安全を確保する上で関係法令等の規定を遵守し、安全統括管理者等は、各部門や各要員にお 係法令等 規定を遵守 安全統括管 者等 各部 各 員 ける遵守状況を定期的に確認する。 ●安全管理体制の構築・改善に必要な教育・訓練等 経営 プ 安全統括管 者 各部門 安全管 経営トップ、安全統括管理者、各部門の安全管理に従事する責任者及びその補助者等並びに内部監 従事する責任者 び 補助者等並び 内部監 査を担当する者に対して、必要な教育・訓練を計画的に実施し、見直し・改善を図る。 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」より作成 -15- 内部監査について(Check) ・年間及び個別監査計画の立案 年間及び個別監査計画の立案 ・監査員等の決定 ①監査計画の立案 監査手順、 監査手順 監査員教育の見直し ・全体監査方針の策定 ・全体監査計画の報告・承認 ⑤内部監査の レビュー ・監査員打合せ ・個別チェックリスト作成 レビューの報告 ビ ・次回監査方針 ・監査計画への情報提供 経営トップ 安全統括管理者 ・監査報告 ・監査結果に対する指示 是正状況の報告 ④フォローアップ監査 ・是正状況の確認 ②内部監査の実施 ③報告書の作成 ③報告書 作成 被監査部署での 是正措置 ・不適合の提供 ・是正要求全体の報告書作成 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」セミナー資料より作成 16 評価・検証を踏まえた改善施策の継続的実施(Act) ○ 評価(Check)によって導出された個々の課題・改善策を踏まえた「マネジメントレビュー」を通じて安全管理 体制全般を見直すことによって継続的改善が実現。 ○ マネジメントレビュー(安全管理体制の見直し)は少なくとも年に1回、事業者における安全管理体制全般に ついて、経営トップ主導のもと、包括的に評価を行う。 マネジメントレビ マネジメントレビュー(安全管理体制全般の見直し) (安全管理体制全般の見直し) マネジメントレビューに必要な情報 (インプット) 安全管理体制の実施状況に関する 必要な情報を網羅的に収集・整理 (例えば) ・輸送の安全に関する目標や計画の 達成状況・進捗状況 ・安全管理体制に係る内部監査の結果 ・事故・トラブル等の発生状況 ・現場や利用者からの意見・要望 ・保安監査結果 ・運輸安全マネジメント評価結果 等 マネジメントレビュー実施 ネジ ビ 実施 (方法その1) ・経営トップが出席する 会議体(見直し会議等) で審議・決定 (方法その2) ・安全統括管理者が左記 情報を取りまとめ、経営 トップに報告 ⇒経営トップが適宜見直し を指示 マネジメントレビューの結果 (アウトプット) 改善の必要性、方向性、 実施時期等を決定 (例えば) ・安全方針の改正・維持の決定 安 針 改 維持 決定 ・次年度の安全重点施策(安全 目標・取組計画)の策定の決定 ・安全管理規程その他安全に関す る各種手順書・マニュアルの見直 し・維持の決定 ・安全の組織体制、安全投資計画の 見直し・維持の決定 等 ポイント:経営トップが主体的に関与・実施! 資料:国土交通省「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」セミナー資料より作成 -17- (参考)運輸安全マネジメントに関する各種取り組みの整理 ( )ガイド イ (1)ガイドライン 運輸事業者における安全管理 進め方に関するガイド イ 運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン 小規模海運事業者における安全管理の進め方~事故・トラブルの防止に向けて~ (2)解説冊子 安全管理体制に係る「内部監査」の理解を深めるために 安全管理体制に係る「マネジメントレビューと継続的改善」の理解を深めるために 運輸安全一括法に規程する安全管理規程に係るガイドラインの手引き (3)連携協力 大規模事故における相互連携マニ アル(東京都等自治体と事業者等の間) 大規模事故における相互連携マニュアル(東京都等自治体と事業者等の間) (4)窓口設置 (被害者対応) 調整支援室設置(国土交通省公共交通事故被害者支援室) 情報提供担当専門官設置(運輸安全委員会) 統一窓口(問い合わせ電話等)の設置(運輸事業者等) (5)データ構築・活用 事故、ヒヤリ・ハット情報の収集・活用の進め方~事故の再発防止・予防に向けて~ (6)普及パン レ ト (6)普及パンフレット 運輸の安全確保に向けて 運輸安全 ネジメント制度とは 運輸の安全確保に向けて~運輸安全マネジメント制度とは~ 「運輸安全マネジメント評価」パンフレット 運輸安全マネジメント制度の理解を深めるために 小規模海運事業者における安全管理の進め方について (7)業界内・事業者内 の教育研修 運輸安全セミナー、運輸安全マネジメント「評価」セミナー、経営トップセミナー 社内教育研修 連携協力訓練 社内教育研修、連携協力訓練 運輸安全に向けた社内体制整備について -18- Ⅰ-3. 旅行業における組織的な 安全マネジメントに係る論点 旅行業における安全マネジメントの諸制度の創設に係る論点 ① 旅行業者が安全管理を行うべき範囲はどこまでか。 ② 安全マネジメント制度の対象とすべき旅行業者の範囲はどこまでか。 -20- 旅行業における安全マネジメントの諸制度の創設に係る論点 【制度内容に係る論点】 ① 旅行業者が安全管理を行うべき範囲はどこまでか。 ⇒ 旅行業者は、運輸事業者のような直接のサービス提供事業者ではなく、あくまで運送・宿泊サービス等をあっ 旅行業者は 運輸事業者 ような直接 サ ビ 提供事業者 はなく あくま 運送 宿泊サ ビ 等をあ せんする事業者である。旅行業者はどの範囲までを安全管理の対象とすべきか。 【旅行のイメージ図】 サービス提供事業者 の責任? 新幹線、航空機 等による移動 アクティビティ (観光名所巡り、 登山 スキ 登山・スキューバ等) バ等) バス、タクシー等 による移動 食事 宿泊 旅行業者の責任? 運輸事業者 (鉄道、航空等) 旅行業者(添乗員)? 登山ガイド? インストラクター? 運輸事業者 (バス、タクシー等) 飲食店 宿泊事業者 選定 選定 選定 選定 選定 旅行商品の造成(旅程の作成) 旅行業者 -21- 旅行業における安全マネジメントの諸制度の創設に係る論点 【制度内容に係る論点】 ② 安全マネジメント制度の対象とすべき旅行業者の範囲はどこまでか。 ⇒ 大手企業から中小企業まですべてをカバーするものとすべきか、運輸安全マネジメントのように対象範囲を限 大 企業 中 企業ま す を バ するも す き 輸安全 ネジ う 対象範 を限 定すべきか。 ⇒ 近年発生している事故を踏まえれば、海外旅行、国内旅行や着地型旅行(ツアー登山等)など、旅行商品の内 容により安全管理の方法を分けることも考えられる。 容により安全管理の方法を分けることも考えられる 【対象範囲と分類の例】 事業規模による分類 大規模企業 中規模企業 小規模企業 旅行業区分による分類 募集型 企 旅行 企画旅行 旅行商品による分類 海外旅行 国内旅行 着地型旅行 (登山 (登山、 スキューバ等) 受注型 企 旅行 企画旅行 手配旅行 ???による分類 ・・・ ・・・ ・・・ -22- Ⅱ 着地型旅行の普及 Ⅱ. Ⅱ-1 着地型旅行とは Ⅱ-1. 観光産業政策検討会提言(平成25年4月とりまとめ)(抜粋) 5.IT技術の発展に対するニーズの高まり等新しい事象への対応 (4)地域との関わり・地域への貢献 観光産業は、当然のことながら、国内各地域との結びつきも非常に強いものがある。地域の全 般的な観光振興だけでなく、土産物等の物販業や農業 水産業等といった地場産業の活性化等、 般的な観光振興だけでなく、土産物等の物販業や農業・水産業等といった地場産業の活性化等、 経済面・雇用面で地域に大きな貢献を果たすべきである。 (中略) 今後は、地域の観光資源を活かした着地型旅行の普及を図るとともに、意欲ある地域の観光 関係団体 旅館 ホテル等が自ら着地型の旅行商品を企画する旅行業 の参入を促す仕組みを 関係団体、旅館・ホテル等が自ら着地型の旅行商品を企画する旅行業への参入を促す仕組みを 構築すべきである。 -25- 着地型旅行について ○着地型旅行とは 旅行者を受け入れる地域(着地)側が、地域の観光資源を基にした旅行商品や体験プログラム を旅行者へ提供する旅行形態。 着地型旅行の例としては、以下のようなものがある。 <エコツ リズム> <エコツーリズム> <スポ ツツ リズム> <スポーツツーリズム> 自然観光資源の保護に配慮しつつ当該自然観光資源と 触れ合い、これに関する知識及び理解を深める旅行形態。 スポーツを「観る」「する」ための旅行に加え、スポーツを 「支える」人々との交流も含む旅行形態。 <グリーン・ツーリズム> <産業観光> 農作業体験や農産物加工等、農山漁村地域において自 然 然、文化、人々との交流を楽しむ旅行形態。 交流を楽 む旅行 態 歴史的・文化的価値のある工場等を対象とし、学びや体 験を伴う旅行 態 験を伴う旅行形態。 <ヘルスツーリズム> 自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や料理を 味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持する旅 行形態。 <文化観光> 日本の歴史、伝統といった文化的な要素に対する知的 欲求を満たすことを目的とする旅行形態。 -26- Ⅱ-2 着地型旅行市場の現状 Ⅱ-2. 着地型旅行の市場規模 ○ 着地型旅行を対象として調査を行った「着地型旅行市場現状調査報告」(2011年)によると、着地型旅行の市 着地型旅行を対象として調査を行 た「着地型旅行市場現状調査報告 (2011年)によると 着地型旅行の市 場規模は331億円。一方で、隣接市町村等を実施可能区域とする第3種旅行業者の募集型企画旅行の平成 20年度取扱額は約20億円。 ○ また、消費者の意識として、有名観光地志向、旅行会社での情報収集、効率重視といった従来の価値観では ない価値観が定着しつつある。 旅の価値観 年間推定市場規模 着地型旅行商品の平均単価 約12,800円 年間参加人数 259万人/年 市場規模(参加人数×単価) 約33,100百万円 単価: ANTA、JATA加盟旅行会社、観光協会、自治体、NPO/NGO法人等を対象とするアン ケート調査 参加人数:約20,000を対象としたインターネットアンケート調査による参加率(2.7%)×人口 参加人数 単価 市場規模 (人) (円/人) (百万円) 年間推定市場規模 2,590,000 12,780 33,100 産業観光合計 1 635 789 1,635,789 6 886 6,886 11 264 11,264 グリーン・ツーリズム 506,316 9,532 4,826 エコツーリズム 555,000 10,701 5,939 ヘツスツーリズム 404,079 10,538 4,258 文化観光 1,309,605 4,500 5,893 その他 827,632 3,528 2,920 資料:観光庁「着地型旅行市場現状調査報告」(平成23年度)より作成 新しい価値観 (A) Aに近い 情報収集は自分で 積極的体験 のんびり滞在 閑散期に Aにやや近い Bにやや近い Bに近い ややAに近い ややBに近い 37.2% 行先は自分の興味 土地の人との交流 従来の価値観 Aに近い A:新しい価値観 13.0% 28.1% 28.5% 23.6% 19.8% 20.6% 32.4% 25.6% 25.5% 36.8% 30.6% 40.0% Bに近い 29.4% 40.1% B:従来の価値観 無回答 13.2% 有名観光地 25.2% 仲間内 23.9% 旅行会社 27.0% 15.0% 出費を抑える 21.9% 17.1% 効率よくまわる 14.6% 4.3% (B) シーズン中に 資料:「レジャー白書2007」より作成 -28- 着地型観光の市場構造 ○ 着地型観光においては、①認知度の向上(調査対象者の51%が認知) 着地型観光においては ①認知度の向上(調査対象者の51%が認知) 、②参加率の向上(興味を持っ ②参加率の向上(興味を持っ た人の28%が参加)が課題。 着地型観光の市場構造 100.0% 90.0% 80.0% ①認知度が低い 70.0% 60.0% 50.0% 100.0% 40 0% 40.0% 30.0% ②参加率が低い 50.8% 20.0% 38.5% 10.0% 11.0% 0.0% 全員 認知者 興味者 資料:観光庁「着地型旅行市場現状調査報告」(平成23年度)より作成 参加者 5.8% リピーター リピ タ ※約20,000名を対象としたインターネットアンケート調査 -29- 着地型観光の認知度、参加率の問題点 ○ 認知度の向上については、興味者(参加したことがない者)は、TV番組やインタ 認知度の向上については、興味者(参加したことがない者)は、TV番組やインターネットの情報を頼りにして ネットの情報を頼りにして おり、旅行先でのポスター・パンフレットに注目していない。他方、参加者は交通機関、宿泊施設等で認知して 参加しており、交通機関、宿泊施設等での情報発信が重要。 ○ 参加率の向上については、「詳しい情報がない」「知りたい情報までたどり着けない」「申し込む場所がわから ない が参加しない理由の上位を占めており マ ケテ ング活動が課題 ない」が参加しない理由の上位を占めており、マーケティング活動が課題。 着地型観光の情報源 0% 5% 10% 15% 20% 25% 着地型観光に参加しない理由 30% 35% 40% 45% マスメディア(新聞・雑誌の記事) 0% 50% 10% 20% 30% 40% 50% そもそも旅行に行くタイミングがない マスメディア(新聞・雑誌の広告) 詳しい情報がない マスメディア(テレビコマーシャル) 知りたい情報まで簡単にたどり着けない マスメディア(テレビ番組) マスメディア(ラジオコマーシャル) 申し込む場所がわからない マスメディア(ラジオ番組) 料金が高い 旅行先以外のパンフレット等(公共団体など) 一緒に参加してくれる(同じ趣味・嗜好のある)人がいない 旅行先以外のパンフレット等(旅行会社・交通機関など) 着地型旅行を行っている場所まで行く機会がない 1週間前までに申込みなど事前に 申し込まなければならない パッケージツアーに参加しないと着地型旅行に 参加できないので参加しない 友人などの同行してくれる人が、(参加する)と首肯しない 主催している会社などが (知らない名称で)信頼がおけない 見ず知らずの人と体験ツアーをおこないたくない 旅行先のパンフレット等(バス) 旅行先のパンフレット等(タクシー) 旅行先のパンフレット等(駅) 旅行先のパンフレット等(空港・港) 旅行先のパンフレット等(観光地) 旅行先のパンフレット等(宿泊先) 旅行先のパンフレット等(観光案内所) 店頭(旅行会社) 店頭(宿泊先からの紹介) 店頭(観光案内所からの紹介) インターネット(旅行主催者等のHP) インターネット(ブログなど) 口コミ(ソーシャルメディア) 口コミ(友人・知人の紹介) ミ(友人 知人の紹介) 口コミ(家族の紹介) インターネットで申し込めない 参加者で 十分満足したと回答した人 興味者( ま だ参加したことはな い) プログラム内容に不安がある 天候が悪い時の代替案がわからない (わかるが内容に不安がある) 安全面で不安がある いわゆる(旅行のプロ)ではない人が 運営や宿泊することに抵抗がある プログラムが長すぎる 本当は地元の人が歓迎していなさそう その他(その他) ガイドや講師が頑固そう 資料:観光庁「着地型旅行市場現状調査報告」(平成23年度)より作成 ※約20,000を対象としたインターネットアンケート調査 -30- Ⅱ-3 地方自治体からの要望 Ⅱ-3. 着地型旅行に係る特例措置要望事例 営業保証金の減額、資格要件の緩和等関係 【パターンA:公的な主体が企画実施】 ○ 地方公共団体、地域の観光協会等の公的団体が旅行を企画・実施する場合、一定の要件を満たせば旅行業務取扱 管理者の選任や営業保証金の供託の免除を可能にしてほしい。 【パターンB:ツアー内容が限定的】 ○ 第3種旅行業者が地域に限定したエコツアーを実施する場合は、旅程管理主任者の資格要件を緩和してほしい。(当 該県 在住 旅行業務取扱管 者 あ 該県内在住の旅行業務取扱管理者であれば、研修及び実務経験を不要としてほしい) 、研修及 実務経験を 要 ) 【パターンC:公的な主体が企画実施、かつ、ツアー内容が限定的】 ○ 市町村から委託を受けた法人が、過疎地域や中山間地域において、体験交流型の観光事業を実施する場合は、第2 種旅行業の営業保証金や基準資産額の減額をしてほしい。 旅行業法の適用等関係 【パターンA:公的な主体が企画実施】 ○ NPO、商工会議所、地元住民の団体等が地域の魅力を活かした旅行を企画・実施する場合は、旅行業法の適用除外 にしてほしい。 【パターンB:ツアー内容が限定的】 【パタ ンB:ツア 内容が限定的】 ○ 地域の旅行業者が地元でルートが完結する旅行を企画・実施する場合は、旅行業法の適用除外にしてほしい。 【パターンC:公的な主体が企画実施、かつ、ツアー内容が限定的】 ○ まちおこしグループや地域の観光ガイド団体等が宿泊を伴わない簡易な旅行を単発的かつ非営利で企画・実施する まちおこしグル プや地域の観光ガイド団体等が宿泊を伴わない簡易な旅行を単発的かつ非営利で企画 実施する 場合は、旅行業の登録を不要としてほしい。 ※第1次~第20次までの構造改革特区提案のうち、着地型観光に係る主な提案を整理したもの -32- Ⅱ-4. 着地型旅行に関する旅行業制度 の規制緩和に係る論点 着地型旅行の普及に係る問題点 ○観光産業政策検討会提言(平成25年4月とりまとめ)(抜粋) ○観光産業政策検討会提言(平成 年 月とりまとめ)(抜粋) 今後は、地域の観光資源を活かした着地型旅行の普及を図るとともに、意欲ある地域の観光関 係団体、旅館・ホテル等が自ら着地型の旅行商品を企画する旅行業への参入を促す仕組みを構 築す きである。 築すべきである。 旅行業への参入には、次の2つが主なネックとなっていると考えられる ① 人員的な要件 (ex.旅行業務取扱管理者の設置等) ② 財産的な要件 (ex.営業保証金、基準資産額) -34- 人員的な要件について(旅行業務取扱管理者) ○ 旅行業法では、旅行業者及び旅行業者代理業者が、営業所ごとに、 旅行業法では 旅行業者及び旅行業者代理業者が 営業所ごとに 一人以上の旅行業務取扱管理者を選任 人以上の旅行業務取扱管理者を選任 し、取引の明確性や旅行に関するサービスの提供の確実性その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利 便を確保するため必要な事項の管理・監督に関する事務を行わせることを義務付け。 ○ 旅行業務取扱管理者は、国内外の旅行を取り扱うことができる「総合」と国内のみの「国内」の2種類であり、 着地型旅行を行う場合、少なくとも国内旅行業務取扱管理者試験を受けなければならない。 【旅行業務取扱管理者のイメージ】 管理・監督 【H24年の合格者数等】 旅行に関する 旅 す 計画の作成 総合旅行業務取扱管理者 実施年 旅行業務取扱管理者 旅旅 受験 者数 H24年 11,514 管理・監督 管理・監督 旅行取引 合格 者数 合格率 3,517 31% 累計 国内旅行業務取扱管理者 受験 者数 143,013 15,042 合格 者数 合格率 累計 5,534 37% 177,232 【試験範囲(国内の場合)】 ①旅行業法及びこれに基づく命令 ②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款 ③国内旅行実務 ・運送機関及び宿泊施設の利用料金その他の旅行業務に関連する料金 運送機関及び宿泊施設の利用料金その他の旅行業務に関連する料金 ・旅行業務の取扱いに関する実務処理 旅程管理 -35- 財産的な要件について(営業保証金制度・基準資産額) 登録行政庁 録 業務範囲 (申請先) 企画旅行(注1) 募集型 第1種 観光庁長官 登録要件 録 営業保証金 手配旅行 (注2) 基準資産 旅行業務取扱 管理者の選任 受注型 海外 国内 ○ ○ ○ ○ 7000万 (1400万) 3000万 必要 × ○ ○ ○ 1100万 (220万) 700万 必要 × △ (隣接市 町村等) ○ ○ 300万 (60万) 300万 必要 × △ △ △ (隣接市 (隣接市 (隣接市 町村等) 町村等) 町村等) 100万 (20万) 100万 必要 不要 - 必要 不要 - 研修修了者で 代替可能 旅 行 業 者 主たる営業所の 第2種 所在地を管轄する 都道府県知事 主たる営業所の 第3種 地域限定 (※新設) 旅行業者代理業 所在地を管轄する 都道府県知事 主たる営業所の 所在地を管轄する 都道府県知事 主たる営業所の 所在地を管轄する 都道府県知事 旅行業者から委託された業務 観光圏内限定 観光圏整備実施計画における 旅行業者から委託された業務 旅行業者代理業 国土交通大臣の認定 (観光圏内限定、対宿泊者限定) (注1)「企画旅行」とは、あらかじめ(募集型)又は旅行者からの依頼により(受注型)、旅行に関する計画を作成するとともに、 運送又は宿泊サービスの提供にかかる契約を、自己の計算において締結する行為。 ビ 算 (注2)旅行業協会に加入している場合、営業保証金の供託に代えて、その5分の1の金額を弁済業務保証金分担金として納 付。また、金額は年間の取扱額が2億円未満の場合であり、以降、取扱額の増加に応じて、供託すべき金額が加算。 -36- 着地型旅行の普及に係る規制緩和のメリット・デメリット 緩和の内容 旅行業務取扱管理者の設置 の緩和 緩和 メリット ・旅行商品の販路拡大 ・旅行業務取扱管理者の設置 費用の軽減 デメリット ・旅行商品の造成・販売・実施 に係る責任が不明確 係る責任が 確 ・旅行業務取扱管理者の取り扱 う商品の数が増加し 適切な う商品の数が増加し、適切な 管理・監督ができなくなる恐れ 営業保証金・基準資産額の引 ・旅行業の登録が容易に き下げ ・既存の旅行業者の負担軽減 ・経営が不安定な事業者に旅行 商品の造成を任せることとなる 恐れ ・営業保証金の減額分を経営 資金等に回すことが可能 ・持ち逃げ、倒産等があった場 合に消費者保護が十分に図れ ない可能性 -37-