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価値観を共有し、 共にカスタマー・ロイヤルティを高める

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価値観を共有し、 共にカスタマー・ロイヤルティを高める
ステークホルダー対談❶
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価値観を共有し、
共にカスタマー・ロイヤルティを高める
1998年以来、
日本郵船グループの物流事業におけるタイの拠点、
マプタプット拠点の
最大荷主であるDow Chemical社。両社のパートナーシップについてDow Chemical社のPaul Dean氏に、
NYK Logistics(Thailand)社の赤羽泰三が伺います。
地球環境と安全への共通の思い
めている
「カーボン・ニュートラル・プロジェクト」
があります。2007年
赤羽:はじめに、
NYK Logistics Thailand
(以下、
NYK)
をパート
苗木を植樹しました。10年から15年後には、
これらの木々が我々の
6月にNYKはタイの森林管理局から土地を借り受け、
約2,000本の
ナーに選んだ理由をお聞かせください。
排出する二酸化炭素を中和するのに役立ってくれることでしょう。
Dean: 10年前にパートナーシップを開始したとき、
ダウとNYKは
Dean:ダウも同様に自社の二酸化炭素排出量について検討を進
協力し合って安全および品質の改善を行いました。そして現在ま
めており、2015年に向けた目標にいくつかの施策を盛り込んで
で6年間、報告すべき物流上の事故を起こさずにきています。これ
います。かつて、
「悪いこと」を減らすという取組みに力を注いでい
こそが、
NYKを選んだ理由です。
ました。現在は、二酸化炭素排出量だけでなく水資源や、我々が属
赤羽: NYKは安全や品質と同時に、企業としての社会的責任や環
するコミュニティに対してどのような影響を与えるかという観点か
境に対する責任の重要性について、ダウ社から多くのことを学ん
ら、
「良いこと」をより多く行うことについて考えています。
できました。
Dean:ダウは、顧客に今すぐに欲しいと感じさせること、
コストを
削減してカスタマー・ロイヤルティを向上させるための革新的な施
と目標を持ったパートナーを求めています。また健全な地球環境と
尊敬される企業に
なるために
安全に対する当社の思い入れを、サプライヤーや顧客の各社と共
赤羽: 御社のミッションについ
有し、
ともに成長してくれることを誇りに思っています。
てお話しいただけますか。
赤羽: NYKも、
その思い入れを共有しています。一例として、
現在進
Dean:ダウのミッションは、科
策を実行することで、他社との差別化をはかっています。当社とと
もに成長し、革新を実現できる会社を必要とし、同じような価値感
30
学と技術を学び、使いこなすことによ
るパフォーマンスを確保するための管理システムを作る究極の責
り、人間の進歩に欠かすことのできな
任があると考えています。
いものを継続的に向上させることで
赤羽: その通りですね。業界でよく知られている理論ですが、1件
す。科学技術企業として、
これらを社員
の重大事故の背景には300件のニアミスがあると言われています
やコミュニティ、
ひいては世界全体にそ
(P.20参照)
。ですから、ニアミスが本当の事故になるのを防ぐた
れぞれ合ったさまざまなやり方で役立
めに、ニアミスとその根本的原因に注目するという御社の経営ス
て、より良いものにする方法を追求し
タイルには強く賛同します。
ています。
このことは世界最大の、
最も
Dean: 私は社員に、問題をそのままにしない気持ちを持つよう指
利益をあげる、そして最も尊敬される
導しています。何故問題が起こったのか、それが二度と起こらない
化学企業になるという当社のビジョン
ようにするにはどうすればいいのかといった好奇心も役立ちます。
と一致しています。難しいのは、
「 最も
このような姿勢により、当社は持続可
尊敬される」
という部分です。当社のサ
能な世界一流のパフォーマンスを達成
できるようになるのです。
Paul Dean
プライヤー、コミュニティ、さらに世界
ポール・ディーン
の各国指導者たちは、当社をどのよう
Manufacturing Director
SCG-DOW Group
に見ているでしょうか。我々は、我々の
ダウ・ケミカル社
(The Dow Chemical Company)
アメリカ合衆国ミシガン州ミ
ッドランドを本拠地に、世界
50カ 国、総 勢 4 万 6,000
名の社員を抱える世 界 最
大の石油化学品メーカー
行動によって、そしてもっと重要なこと
は、
我々がそれをどのように行うかによ
事業とCSR活動
って尊敬されたいと願っています。
赤羽:さて、
グローバル・リーダーとして
赤羽: 私は常に社員たちへ、
ビジョン、
長く認められてきたダウ社のCSR活
プライド、そして敬意を得ることについ
動についての話を伺いたいのですが。
て話をします。誰でも尊敬される会社
Dean:ダウは世界の課題の解決に役
に勤めたいものです。経営陣がビジョ
立ちたい、我々の存在と関与によって
ン、
ミッション、
ゴールを明確に示せば、
コミュニティが改善される手助けをし
赤羽 泰三
社員はそのゴールに到達するよう協力
たいと考えています。タイでは現地の
Taizo Akabane
し合うことができます。社員は関与することに誇りを感じ、
このこと
慈善団体に寄付金の提供と製品の寄
で会社へのロイヤルティ
(忠誠心)
が生まれるのです。社会的責任、
付を行っています。また、
奨学金も提供
社会貢献、環境意識などすべてが、
このプライド、敬意、そして会社
しています。これは、新しい世代のリー
のビジョンにつながっています。ですから私は、
ダウ・ケミカル社のグ
ダーたちを教育することが、世界全体
President
NYK Logistics
(Thailand)Co., Ltd.
ローバル・ミッションを心から理解しています。
でそうであるように、
タイにとっても非常に重要であると考えてい
Dean: NYKは社内のロイヤルティを育てようと努力しつつ、
当社
るからです。津波の被害者にも寄付金と清潔な水を寄付しました。
と協力して顧客のロイヤルティを育てようとしていますね。それこ
世界の限りある天然資源に対する需要が増えつつある今、寄付金
そが、
我々が最も望むことなのです。
の提供のみでは充分ではありません。科学技術企業として、
我々は
赤羽:NYKのサービスはどのようなものだと考えていらっしゃいま
減少しつつあるこれらの資源の管理に向けたソリューションも提供
すか。
しなければなりません。
Dean: 積極的である、
と考えています。NYKは問題に迅速に対処
赤羽: 御社は、
事業とCSRは別個のものではないとおっしゃってい
し、
根本的な原因にすばやくたどり着きますね。
るように見受けられます。
赤羽: 運送業においては、
輸送中、
リスクが常に存在します。当社の
Dean: その通りです。
この2つはまさに統合されています。当社の
ドライバーたちにはいつも速度制限やトラックのメンテナンスにつ
全世界でのCSR活動は重要ですが、当社を経済的に持続させるこ
いて話をしますが、同時に、他のドライバーを事故に巻き込んでし
ともまた重要です。だからこそ、当社と価値感を共有し、当社ととも
まった場合、そのドライバーの家族も辛い目に遭うことを忘れない
にカスタマー・ロイヤルティを育ててくれるサプライヤーを求めてい
ようにと話します。当社が継続的に行っている研修では必ずこのこ
るのです。そして率直に言って、
サプライヤーには我々が事業を継続
とを取り上げています。
していける価格でサービスを提供していただく必要があります。
御社とNYKとのコミュニケーションによって革新されたこと、
また
赤羽: NYKは質の高いサービスを提供するよう最善の努力を払
は改善されたことの例はありますでしょうか。
い、引き続き安全と無欠陥に力を注いでいきます。本日はお話を
Dean:これまで多くのニアミス事例がありました。我々は協力し
聞かせていただき、
どうもありがとうございました。
て今後の問題を防止できるよう、
管理システムの見直しを行ってい
Dean:ダウの安全と環境に関するビジョン
「Vision of Zero※1」
ます。人間の誤操作によるものも含め、すべての問題は最終的に
へのご協力を感謝します。
は管理システムの問題であると考えています。社員たちを訓練し、
より意欲を持たせることは可能です。彼らの仕事に対するプライド
も高めることができます。企業のリーダーとして私は、会社の求め
※1 Vision of Zero
Vision of Zero につきましては、
(http://www.dow.com/commitments/stewardship/prevent.htm)
をご参照ください
(2008年3月 対談実施)
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