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≪ 企業年金基金 ≫ 平 成 2 5 年 度 決 算 代 議 員 会 の ご 参 考 資 料
≪ 企業年金基金 ≫ 平 成 2 5 年 度 決 算 代 議 員 会 の ご 参 考 資 料【Q&A】 平成26年6月 目 次 <財政運営関係> Q1. 財務諸表の簡素化、継続基準の財政検証について P. 2 Q2. 非継続基準の財政検証について P. 4 Q3. 積立上限額を超える場合の取扱いについて P. 7 Q4. 許容繰越不足金の算定方法及びその変更について P. 8 Q5. 積立金の額の評価方法及びその変更について P. 9 Q6. 剰余金発生時の取扱いについて P. 11 Q7. 財政運営基準の変更(平成 24 年 9 月 26 日付変更)について P. 12 <給付設計関係> Q8. 給付水準の引下げについて P. 13 Q9. 旧基本プラスアルファ年金に対する代替給付について P. 18 Q10. キャッシュ・バランス・プランについて P. 20 Q11. 確定拠出年金について P. 21 <記録関係> Q12. 年金記録問題に関して P. 22 Q13. 加入者の住所管理について P. 23 Q14. 裁定請求の勧奨について P. 25 Q15. 加入者等に対する記録等の提供について P. 25 Q16. 基礎年金番号の管理について P. 26 <運用関係> Q17. 受託機関が破綻した場合の年金資産の保全について P. 27 Q18. 信託法の改正について P. 28 <その他> Q19. 年金確保支援法について P. 30 Q20. 企業会計基準の動向について P. 31 Q21. 日本版SOX法について P. 33 Q22. 育児・介護休業法の改正に伴う規約変更について P. 34 Q23. 老齢厚生年金の支給開始年齢引上げに伴う、独自給付等の取 P. 36 扱いについて Q24. 高年齢者雇用安定法改正について P. Q25. 厚生年金基金制度の見直しに関する改正法について P. 41 Q&A P.1 40 Q1.財務諸表の簡素化、継続基準の財政検証について A: ○財務諸表の簡素化≪平成 25 年 3 月末財政決算より適用≫ ・財務諸表において、数理的評価の調整科目である「資産評価調整額」を廃止 ・資産勘定の未償却過去勤務債務残高等と、負債勘定の数理債務を一つにまとめ、 「責任準備金」として計上(未償却過去勤務債務残高等と数理債務は欄外に記載) <貸借対照表> (平成25年3月末日より前の財政決算) <貸借対照表> (平成25年3月末日以降の財政決算) 未償却過去勤務 債務残高等 純資産額 未償却過去勤務 債務残高等 数理債務 純資産額 資産評価調整額 (不足金が増加) 不足金 不足金 数理債務 責任準備金 (※)図は資産の評価方法が数理的評価方式である場合。 「数理的評価額(数理上資産額) > 時価評価額(純資産額) 」ならば、当該差額相 当額分だけ不足金が増加。数理的評価方式を適用していない場合は、不足金に影響は ない。 ○継続基準の財政検証≪平成 25 年 3 月末財政決算より適用≫ 継続基準の財政検証とは、制度が今後も継続されていくという観点で、積立金の 額(純資産額)が責任準備金に対して十分であるかを検証するものであり、毎事業 年度の財政決算において行います。(法第 61 条) 具体的には、「純資産額」が「責任準備金」を下回った場合、継続基準に抵触す ることになります。 さらに、「責任準備金」から「数理上資産額」を控除した金額(繰越不足金)が 「許容繰越不足金」を上回った場合、当該繰越不足金を解消し、掛金の見直しを行 う(財政再計算を行う)ことになります。(法第 62 条) 財政再計算後の掛金は、遅くとも当該事業年度の翌々事業年度の初日までに適用 しなくてはなりません。(規則第 57 条) ※.継続基準の財政検証(基準抵触の判定、財政再計算の要否の判定)につきまし ては、次頁の図をご参照ください。なお、参考として、平成 25 年 3 月末日より 前の財政決算における継続基準の財政検証につきましても次頁に記載していま す。 Q&A P.2 <基準抵触の判定> 流動資産 標準掛金 収入現価 流動負債 特別掛金 収入現価 支払備金 固定資産 給付現価 数理債務 純資産額 責任準備金 大小比較 『 純資産額 ≧ 責任準備金 』 ⇒ 『継続基準に抵触せず』 『 純資産額 < 責任準備金 』 ⇒ 『継続基準に抵触』 <財政再計算の要否の判定> 数理上資産額 責任準備金 許容繰越不足金 繰越不足金 大小比較 継続基準に抵触した場合 『 許容繰越不足金 ≧ 繰越不足金 』 ⇒ 『掛金の見直しは不要』 『 許容繰越不足金 < 繰越不足金 』 ⇒ 『財政再計算による掛金の見直しが必要』 ~参考(平成 25 年 3 月末日より前の財政決算における継続基準の財政検証)~ 流動資産 流動負債 標準掛金 収入現価 支払備金 特別掛金 収入現価 固定資産 純資産額 数理上資産額 責任準備金 資産評価調整額 数理上資産額 責任準備金 許容繰越不足金 繰越不足金 大小比較 『 許容繰越不足金 ≧ 繰越不足金 』 ⇒ 『継続基準に抵触せず』 『 許容繰越不足金 < 繰越不足金 』 ⇒ 『継続基準に抵触』 Q&A P.3 給付現価 Q2.非継続基準の財政検証について A: ○非継続基準の財政検証 非継続基準の財政検証とは、制度が終了された場合に加入者や受給者の受給権が 確保されているかという観点で、積立金の額(純資産額)が最低積立基準額に対し て十分であるかを検証するものであり、毎事業年度の財政決算において行います。 (法第 61 条) 具体的には、「純資産額」が「最低積立基準額×1.0(※)」を下回った場合には、 一定のルールに基づき、追加掛金が必要かどうかの判定を行います。 ≪積立比率に応じて追加掛金を設定する方法(規則第 58 条)に基づく判定≫ 最低積立基準額× 1.0 (※) C 最低積立基準額 × 0.9 積立比率に応じて B 異なった割合で償却 最低 積立 基準額 最低積立基準額 × 0.8 A 純資産額 翌事業年度の最低積 立基準額の伸び(注) + Aの部分の 1/5 Bの部分の 1/10 Cの部分の 1/15 積立金の積立てに = 必要となる額(下限) (注)平成 25 年 3 月末日以降の基準日の場合、当該額が負となる場合は、零とすることとなりました。 (平成 25 年 5 月 28 日事務連絡) 「純資産額」及び「最低積立基準額」から「積立金の積立てに必要となる額」 を算出します。この「積立金の積立てに必要となる額」から翌事業年度における 掛金の見込額を引いた額を、追加拠出することとなります。(翌事業年度におけ る掛金の見込み額が、「積立金の積立てに必要となる額」を上回る場合は、追加 拠出が不要となります。) なお、「純資産額」及び「最低積立基準額」から「積立金の積立てに必要とな る掛金の額」を算出する際には、積立金として数理上資産額を用いることは認め られません。 (※)P.6「(※)積立比率」をご参照ください。 Q&A P.4 ≪回復計画を策定する方法(規則の一部を改正する省令(平成 24 年第 13 号)附 則第 4 条)に基づく判定≫ この方法は、事業年度の末日が平成 30 年 3 月 30 日までの財政決算・財政検証に限っ て使用できる経過措置とされておりましたが、当該経過措置は延長され、当分の間は使 用できることとなりました。 (平成 26 年 3 月 24 日付厚生労働省令第 20 号) 財政決算において一定のルールに基づいたシミュレーション(積立比率の推計)を行 い、既に策定している回復計画の期間(終了期限)までに「純資産額」が「最低積立基 準額×1.0(※)」以上とならない場合には、追加拠出が必要となる可能性があります。 (「純 資産額」が「最低積立基準額×1.0(※)」以上となる場合は、追加拠出が不要となります。 ) この場合、財政決算後に回復計画を再策定することとなり、新たに設定された期間(終 了期限)までに「純資産額」が「最低積立基準額×1.0(※)」以上とならない場合には、 「純資産額」が「最低積立基準額×1.0(※)」以上となるように追加拠出が必要となりま す。 <回復計画の前提> 平成 24 年度以降の財政決算・財政検証において回復計画を使用する場合には、回復計 画の期間、積立金の運用利回り等の前提は次の①~④のとおりとなります。なお、積立 金として数理上資産額を用いることは認められません。 ①回復計画の期間 翌々事業年度の初日から起算して 7 年以内の事業年度の末日までの期間が終了期限 (ただし、平成 24 年 3 月末以前の基準日で既に回復計画(当初回復計画)を策定 済の場合は、平成 24 年 4 月 1 日以降の基準日で回復計画を再策定する場合にお いても、当初回復計画における終了期限を継続使用することが可能。 ) ②積立金の運用利回り 次のア~ウのうち最も高い率を上回らない率 ア.当該事業年度の末日における最低積立基準額の算定に用いる予定利率 イ.翌事業年度の末日における最低積立基準額の算定に用いる予定利率 ウ.直近 5 事業年度における積立金にかかる運用利回りの実績の平均 (ただし、平成 26 年 4 月 1 日以降を基準日とする場合については、ウの上限を掛金 の額の計算に用いる予定利率とする。) ③最低積立基準額の算定に用いる予定利率 次のア、イのうち高い方の率を上回らない率 ア.当該事業年度の末日における最低積立基準額の算定に用いる予定利率 イ.翌事業年度の末日における最低積立基準額の算定に用いる予定利率 ④掛金の額の見込額 直近 5 事業年度における加入者数の実績を用いて、平準的に定められるもの又は前 事業年度における掛金の水準の伸びを上回らないように定めるもの (※)P.6「(※)積立比率」をご参照ください。 Q&A P.5 なお、上記のどちらかの方法に基づく判定によって追加掛金の拠出が必要と判定 された場合であっても、財政検証を行った事業年度において、「純資産額」が「最 低積立基準額×0.9(※)」以上であり、かつ、当該事業年度を除く直近 3 事業年度の うち、2 事業年度において「純資産額」が「最低積立基準額×1.0(※)」以上である場 合には追加掛金を拠出しないことができます。(規則第 59 条) (※)積立比率 原則、事業年度の末日が平成 29 年 3 月 30 日までの財政決算については、下表 に掲げる期間の区分に応じて「1.0」を「基準値Ⅰ」に、「0.9」を「基準値Ⅱ」 に読み替えます。 平成 25 年 3 月末財政決算以降、最低積立基準額の積立目標について、経過措 置である 0.9(90%)から 0.02(2%)ずつ引き上げ、平成 29 年 3 月末財政決算 以降の積立目標は 1.0(100%)となります。(規則附則第 2 条・下表 1 参照) 表1 事業年度 の末日 ~平成 25 年 3 月 30 日 基準値Ⅰ 0.90 0.92 0.94 0.96 0.98 1.00 基準値Ⅱ 0.80 0.82 0.84 0.86 0.88 0.90 平成 25 年 3 月 31 日~ 平成 26 年 3 月 31 日~ 平成 27 年 3 月 31 日~ 平成 28 年 3 月 31 日~ 平成 29 年 3 月 31 日~ 平成 26 年 3 月 30 日 平成 27 年 3 月 30 日 平成 28 年 3 月 30 日 平成 29 年 3 月 30 日 また、上記の下線部の判定は、平成 32 年 3 月 30 日までの財政決算においては、 当該事業年度を除く直近 3 事業年度(前年度、2 年前、3 年前)のそれぞれの年 度について「基準値Ⅰ」を下表 2 に読み替えて行うこととなります。 表2 当該事業年度 平成 25 年 3 月 31 日~ 平成 26 年 3 月 31 日~ 平成 27 年 3 月 31 日~ 平成 28 年 3 月 31 日~ 平成 26 年 3 月 30 日 平成 27 年 3 月 30 日 平成 28 年 3 月 30 日 平成 29 年 3 月 30 日 の末日 前年度 0.90 0.92 0.94 0.96 2 年前 0.90 0.90 0.92 0.94 3 年前 0.90 0.90 0.90 0.92 当該事業年度 平成 29 年 3 月 31 日~ 平成 30 年 3 月 31 日~ 平成 31 年 3 月 31 日~ 平成 32 年 3 月 31 日~ 平成 30 年 3 月 30 日 平成 31 年 3 月 30 日 平成 32 年 3 月 30 日 の末日 前年度 0.98 1.00 1.00 1.00 2 年前 0.96 0.98 1.00 1.00 3 年前 0.94 0.96 0.98 1.00 Q&A P.6 Q3.積立上限額を超える場合の取扱いについて A: 「Q1. 財務諸表の簡素化、継続基準の財政検証について」及び「Q2.非継続 基準の財政検証について」の積立比率の財政検証とは別に、積立金の額(数理上資 産額)が、財政の安定性を長期間にわたって確実に確保することができる水準(積 立上限額)を超過していないかという観点でも検証を行います。(法第 64 条) 具体的には、毎事業年度の財政決算において「積立金の額(数理上資産額)」が (※) を上回った場合、当該上回った額と、上回った額に対する利子相 「積立上限額」 当額を、遅くとも抵触した事業年度の翌々事業年度初の掛金から控除をすることと なります。控除方法は法令上 2 通りの方法(前詰方式、均等方式)が認められてい ます。(規則第 60 条) (※)「積立上限額」(規則第 62 条) 次のいずれか大きい額に 1.5 を乗じた額となります。 ・予定利率を下限予定利率、予定死亡率を基準死亡率に加入者、加入者であった 者又はその遺族等の区分に応じて定められた率を乗じた率(加入者:0、男子 の受給権者:基準死亡率の 0.9 倍、女子の受給権者:基準死亡率の 0.85 倍) として算定した数理債務 ・最低積立基準額 (控除方法) ・前詰方式 控除額が控除期間中の初回掛金額より大きい場合は、当該掛金額は 0 となり、 控除残額を同様の考え方で次回以降の掛金額から控除する。以降、控除額が無 くなるまで掛金から控除する。 ・均等方式 翌々事業年度の末日までの期間の掛金から同額を控除する。 Q&A P.7 Q4.許容繰越不足金の算定方法及びその変更について A: 許容繰越不足金とは、責任準備金に対して積立不足が発生した場合であっても、 財政再計算を必要としない範囲を定めた額で、その額の算定方法として、以下の 3 通りが認められております。 ○許容繰越不足金の算定方法(規則第 56 条) ① 当該事業年度以後 20 年間における標準掛金予想額の現価に規約に定める 率[15%以下の率]を乗じて得た額 ② 当該事業年度の末日における責任準備金の額に規約で定める率[15%(数 理的評価を用いている場合は 10%)以下の率]を乗じて得た額 ③ ①、②の額のいずれか小さい額 (ご参考)許容繰越不足金の考え方と一般的な特徴 方法 考え方 一般的な特徴 ①の方法 母体企業の掛金負 担 能 標準掛金の計算の基準となる加入者 力に応じて、積立金の積 数や給与額により許容額が定まる。 立不足の許容度を 定 め る方法 ②の方法 理論的な必要積立 水 準 積立金の規模と許容額が一般的に連 (責任準備金)に 応 じ 動する方法である。 て、積立金の積立不足の 許容度を定める方法 ○算定方法等の変更 規約で定める許容繰越不足金の算定方法及び規約で定める率は、基金様の判断で 変更することが可能です(※)。なお、当該変更は、決算提出締め切り前を施行日と して、当該事業年度の末日から遡及適用する規約変更を行うことで、当該変更を決 算の結果へ反映することができます。 (※)許容繰越不足金の算定方法及び規約で定める率は財政運営上の重要な基準の一つであり、 継続的に使用することが原則とされています。変更を行う際には、変更の影響等を踏まえ て慎重に決定する必要があります。 Q&A P.8 Q5.積立金の額の評価方法及びその変更について A: 積立金の額の評価方法として、以下の 3 通りが認められております。 ○積立金の額の評価方法(規則第 48 条) ① 時価により評価する方法 ② あらかじめ定めた過去の一定期間(最長 5 年間)における時価により評 価した積立金の額を用いて、時価の短期的な変動を緩和する方法 (時価移動平均方式、収益差平滑化方式、評価損益平滑化方式の 3 方式があ ります。) ③ ①、②の額のいずれか小さい額とする方法 ○評価方法の変更 積立金の額の評価方法は継続して用いることが原則ですが、以下の事項に該当 する場合には変更することができます。なお、許容繰越不足金の算定方法等の変 更と同様、決算提出締め切り前を施行日として、当該事業年度の末日から遡及適 用する規約変更を行うことで、当該変更を決算の結果へ反映することができます。 また、財政再計算時に変更することも認められており、規約変更を行うことで、 当該変更を財政再計算の結果へ反映することができます。 評価方法の変更条件 ・基金の合併・分割や給付設計の変更等(規則第 50 条)により、積立金の額または責 任準備金の額が著しく増加または減少する場合 ・運用の目的等(確定給付企業年金法施行令第 45 条第 1 項及び規則第 83 条第 1 項) の運用に関する基本方針を大幅に見直した場合 ・上記の他、評価方法を変更する合理的な理由(※)がある場合 (※) 「評価方法の決定時点に想定した予測範囲を超えるような運用状況となった場 合」や「運用環境の著しい変化があった場合」については、合理的な理由に該当 し評価方法を変更することができます。 また、上記理由により評価方法を変更した後に、再度上記理由に該当すること となった場合は、再度評価方法を変更することもできます。 Q&A P.9 (ご留意事項1) ②の方法を適用しており、許容繰越不足金の算定方法を「責任準備金の額 に規約で定める率を乗じた額」としている場合、規約で定める率は 10%以下 とする必要があります。(規則第 56 条) 積立金の額の評価方法の変更に併せ、前述「Q4.許容繰越不足金の算定 方法及びその変更について」に記載のとおり、「規約に定める率」の変更が 必要となりますのでご留意ください。 (ご留意事項2) ①の方法から②の方法へ変更しても、基本金(別途積立金・繰越不足金) は変動いたしません。なお、財政再計算には資産評価調整加算額・資産評価 調整控除額が加味されるため、事業所脱退時の一括拠出額の算出方法におい て資産評価調整加算額・資産評価調整控除額を加味する場合は別途当該箇所 の規約変更が必要となります(※)のでご留意ください。 (※)事業所・加入者減少時の掛金一括拠出規定について、以下に該当する場 合は規約変更が必要となります。 資産の評価方法:数理的評価方式 一括拠出規定:継続基準ベースとしており、かつ、現行一括拠出規定上 「繰越不足金」及び「資産評価調整額(時価と数理的評 価の差額)」を掛金拠出の対象としている。 Q&A P.10 Q6.剰余金発生時の取扱いについて A: 財政決算を行った結果、運用環境等の好転により、剰余金が発生した場合、前年 度決算において繰越不足金があれば相殺され、さらに剰余が残る場合には別途積立 金として計上されます。 別途積立金は任意のタイミングにおいて、その全額または一部を取り崩して、特 別掛金を引き下げることや、償却年数を短縮することができます。 また、別途積立金は、「特別掛金への充当」以外にも「予定利率引下げや給付増 額など制度変更時における未償却過去勤務債務の増加の抑制」に使用することがで きます。 過去の運用結果を見ますと、大きく運用差損が発生した年度もあります。別途積 立金を取り崩した場合、運用環境が悪化した際に大幅な掛金の増額になる可能性が 高まりますので、その取り崩しについては慎重に検討する必要があります。 Q&A P.11 Q7.財政運営基準の変更(平成 24 年 9 月 26 日付変更)について A: ○予定利率の引下げを促進する措置《平成 24 年 9 月 26 日より適用》 平成 24 年 9 月 26 日以降を掛金適用日とする財政計算(予定利率の引下げを伴うも のに限る)より、予定利率の引下げにより生じる積立不足について、最大 30 年で償 却できることとなりました。(変更前は最大 20 年) 詳細な取扱いのうち主なものは下表のとおりです。 項目 内容 特別掛金の設定方法 「予定利率引下げにより生じる積立不足相当分の特別 掛金(最大 30 年償却)」と「その他の特別掛金(最大 20 年償却)」を別々に算定し、設定する必要があります。 (特 別掛金が複数存在することとなります。) 特別掛金の償却方法 ・「予定利率引下げにより生じる積立不足相当分の特別 掛金」と、「その他の特別掛金」は異なる償却方法によ り設定することができます。 ・予定利率引下げにより生じる積立不足相当分を、まず 現行掛金の償却期間延長により償却し、残りの積立不足 を 20 年超償却により償却することができます。 20 年超の掛金設定後 当初の 20 年超の掛金設定を据え置くか、原則的な取扱 の財政計算時の取扱 いにより新たに掛金設定するかのいずれかとなります。 い 予定償却期間を 20 年超の範囲で延長または短縮するこ とはできません。 別途積立金の取扱い 別途積立金が計上されている場合、別途積立金を取り崩 さずに予定利率引下げにより生じる積立不足相当分を 20 年超で償却するような特別掛金を設定することはで きません。 Q&A P.12 Q8.給付水準の引下げについて A: 平成 24 年 7 月 6 日に取りまとめられた「厚生年金基金等の資産運用・財政運営 に関する有識者会議」の報告書を踏まえ、企業年金制度のより安定的な財政運営を 目的として給付減額の手続きの明確化・簡素化が図られました。平成 24 年 9 月 26 日付の省令・通知改正に伴う変更内容は以下のとおりです。 給付減額の手続きの明確化・簡素化 変更内容 母体企業の経営状況に係る減額理由である「母体企業の経営悪化」、 「掛金負担困 難」を「掛金負担困難」に一本化し、該当基準を明確化する。 受給者減額時に希望する受給者に対して支給する一時金について、現行の額(最 低積立基準額)に加えて複数の選択肢を設けることを認める。また、減額の対象 を同意者のみとする場合は、当該一時金の措置を講じないこととする。 減額の選択肢を追加する規約変更であって、かつ、変更前後の総給付現価及び各 加入者、受給者の最低積立基準額が下がらない場合、給付減額として取り扱わな いことを明示する。 改正後の取扱いは以下のとおりとなります。 以下の何れかひとつに該当する場合には、給付水準の引下げ(=給付減額)と判 定されます。 ・給付設計の変更前後の総給付現価が減少する場合 ・一部の加入者又は受給者等について給付設計の変更前後の総給付現価が減少す る場合 ・各加入者又は各受給者等の最低積立基準額が減少する場合(但し、少なくとも 5年程度は最低積立基準額を保証する経過措置を設けている場合を除く) なお、減額となる新たな給付を選択肢として追加する場合は、給付減額として手 続きすることなく、規約変更することが可能です。 これは、給付の選択肢を追加しても、(より給付の大きい)従来の給付に基づき 債務計算を行うことにより、減額基準判定に用いられる給付現価や最低積立基準額 が減少しないと整理できる場合が該当します。 Q&A P.13 ○加入者の給付水準の引き下げ 給付水準を引下げる場合は次の①から④の要件をすべて満たしていることと されています。 ①次のア~エの何れかに該当していること。 ア.実施事業所において労働協約等が変更され、給付設計の見直しを行う必要 があること。 イ.実施事業所の経営状況の悪化又は掛金の額の大幅な上昇により事業主が掛 金を拠出することが困難になると見込まれるため、給付の額を減額するこ とがやむを得ないこと(※1)。この場合は、直近の給付改善の変更時から原 則として 5 年経過していること。 ウ.制度統合・基金合併等の場合で、給付減額について「やむを得ない」事由 があること。 「やむを得ない」とは、合併等により給付設計の変更を行わなければ給 付水準に大幅な格差が生じることとなるため、これを是正する必要がある 場合をいいます。 エ.確定拠出年金(企業型)へ移行すること。 (※1) 次の(ア)から(ウ)のいずれかに該当する場合に、イ.の要件に該当する ものとして取り扱うこととされています。 (ア) 過去 5 年間程度のうち過半数の期において、事業主の当期純利益がマイナ ス又はその見込みであること。 (イ) 減額しない場合に増加する掛金の額が事業主の当期純利益の過去 5 年間程 度の平均の概ね 1 割以上となっていること。 (ウ) 複数の事業主で確定給付企業年金を実施している場合は、 (ア)に該当す る事業主が全事業主の概ね 5 割以上又は(イ)に該当する事業主が全事業主 の概ね 2 割以上となっていること。ただし、一部の事業主が連結決算を行っ ている場合は、当該事業主を一の事業主として、当該事業主の増加する掛金 の額の合計及び連結決算における当期純利益を用いることができること。 ②変更後の給付設計が承認認可基準を満たしていること。 ③次のア及びイに掲げる同意を得ていること。(実施事業所が 2 以上であるとき は、ア及びイの同意は各事業所について得ること) ア.加入者(加入者の一部が減額の場合は減額対象者)の 1/3 以上で組織する労 働組合があるときは、当該労働組合の同意 イ.加入者の 2/3 以上の同意(ただし、加入者の 2/3 以上で組織する労働組合 があるときは、当該労働組合の同意をもって、これに代えることができる) Q&A P.14 ④変更日における加入者については受給権保全のための経過措置を講じている こと。 ・経過措置が講じられていないことを十分に説明した上で、労働組合、加入者 の同意を得ている場合には、経過措置を設けなくてもよいこととされていま す。 ・変更日の加入者に対して経過措置として支給する給付の現価は、変更前後の 給付設計による最低積立基準額の差額を下回らないものとする。 ○受給権者等の給付水準の引き下げ 受給者及び受給待期脱退者については、原則、年金額を引下げることはでき ません。受給者はDB給付を主たる所得として生計を営んでいるケースが多い ことから、加入者の給付減額に比べ、より厳格な減額理由、手続きが求められ ます。なお、受給待期者の給付を減額する場合も、受給者の給付減額と同様で す。 加入者同様、給付水準を引下げる場合は次の①、②の要件の両方を満たして いることとされています。 ①次の要件に該当していること。 ・実施事業所の経営状況の悪化又は掛金の額の大幅な上昇により事業主が掛 金を拠出することが困難になると見込まれるため、給付の額を減額すること がやむを得ないこと。 加入者の給付を減額する場合とは異なり、上記の減額理由しか認められませ ん。要件に該当するものとして取り扱われる場合は、加入者の給付水準の引き 下げと同様です。 ②以下の2つの手続きが必要となります(規則第 6 条、第 13 条)。 ア.受給権者等の 2/3 以上の個別同意 イ.受給権者等のうち希望する者(※2)に対し、規約変更日における規約変更前 の最低積立基準額を一時金として支給すること。その他の当該最低積立基 準額が確保される措置を講じていること(受給権者等の全部が給付の額の 減額に係る規約の変更に同意する場合を除く。) (※2)希望する者に支給する一時金は次頁のとおり。 Q&A P.15 ※.希望する受給権者等に支給する一時金 受給権者等について給付減額を行う際には、希望する者に対して当該受給 権者等に係る最低積立基準額に相当する額を一時金として支給する措置を 講じることとされております。一時金を支給する方法として以下①及び②の 2通りの方法が認められております。 ①希望する者に減額前後の最低積立基準額の差額を一時金として支給する方法 【一時金を希望する者】 給付減額実施 前の年金額 【一時金を希望しない者】 この部分の最低積立基準額 を支給する 給付減額実施 前の年金額 給付減額実施 後の年金額 給付減額実施 後の年金額 給付減額 実施日 給付減額 実施日 一時金の支給を希望す るか? 減額時の一時金 減額後の年金額 希望する 減額前後の最低積立 基準額の差額 減額実施後の年金額 希望しない なし 減額実施後の年金額 ②希望する者に減額前の最低積立基準額を一時金として支給する方法 【一時金を希望しない者】 【一時金を希望する者】 給付減額実施 前の年金額 減額前の最低積立基準額 を支給する 給付減額実施 前の年金額 給付減額 実施日 一時金の支給を希望す るか? 減額時の一時金 減額後の年金額 給付減額実施 後の年金額 給付減額 実施日 希望する 減額前の最低積立 基準額 なし 希望しない なし 減額実施後の年金額 また、①及び②の「最低積立基準額」に代えて、 「給付現価相当額」又は「選 択一時金額」とした額を支給する方法を選択肢として追加することが可能です。 (選択肢の追加であるため、①または②を設けることは必須です。) なお、受給権者等の減額対象者の全部(連絡が取れない受給権者等を除外する ことは不可)が減額に同意している場合は、①及び②を設ける措置は不要とさ Q&A P.16 れています。 Q&A P.17 Q9.旧基本プラスアルファ年金に対する代替給付について A: 平成23年3月に、代行返上と同時に年金受給権者(受給待期者を含む)を対象に旧 基本プラスアルファ年金(基本上乗せ年金および独自給付年金)に対する代替給付 を設定する際の給付減額の取扱および代行返上後に旧基本プラスアルファ年金に 対し代替給付を設定する場合の取扱が明確化されております。 その結果、代行返上と同時に代替給付を設ける場合は、これまでどおり給付減額 に該当しないのに対し、代行返上後に代替給付を設定する場合は、「確定給付企業 年金法並びにこれに基づく政令および省令について(法令解釈)」(平成14年3月29日 年発第0329008号)第一の二(2)にもとづく給付減額の判定(以下、現行法令に基づく 給付減額判定とします)が必要であり、給付減額となった場合には年金受給権者の 給付減額として取扱う必要があります(減額同意の取得および減額理由等)。 ただし、平成23年3月以前に代行返上を行っている場合には、確定給付企業年金 としての初回定例再計算の適用日までに当該規約変更を行う場合に限り、代替給付 の設定にかかる給付減額の判定を現在、確定給付企業年金(旧基本プラスアルファ 年金部分)の財政運営で使用している基礎率(予定利率・死亡率等)を用いて算定し た給付現価のみを比較することでよいものとされております。 代替給付の設定時に経過的な給付減額判定となる場合の取扱事項は、以下のとお りとなります。 ○関係する確定給付企業年金 ・代行返上に伴い発足した確定給付企業年金 ・代行返上に伴い発足した確定給付企業年金から旧基本プラスアルファ年金部分に 対する給付の支給に関する権利義務を承継した確定給付企業年金 ○経過的な給付減額判定の内容 従前給付と代替給付の給付現価の比較のみで減額判定を行います。 ただし、給付現価の算定には現在、確定給付企業年金(旧基本プラスアルファ年 金部分)の財政運営で使用している予定利率・死亡率等を用いるものとします。 また、独自給付年金については、過去の支給実績等を用いて合理的に判定を行 うものとされております。 Q&A P.18 ○経過的な給付減額判定となる代替給付を設けられる時期 確定給付企業年金としての初回定例再計算の適用日までに当該規約変更を行う 場合 ○経過的な給付減額判定となる代替給付の内容 (1)やむを得ない事情により代行返上時に代替給付の検討ができなかった場合 新たに代替給付を設ける場合は、以下のいずれの方法でも設定できます。 ・上乗せ年金もしくは独自給付年金のいずれか一方に選択肢を設ける。 ・上乗せ年金もしくは独自給付年金のそれぞれに選択肢を設ける。 ・上乗せ年金と独自給付年金を一体で選択肢を設ける。 (2)既に代替給付を設けている場合 未だ代替給付を設けていない部分に対して代替給付を設定すること、および既 に代替給付を設けている部分に対して追加して代替給付を設定すること(ただし、 既に設けている代替給付の選択期間が終了していない場合に限ります)ができま す。 (3)既に設けている代替給付の選択期間を延長する場合 既に設けている代替給付の選択期間を延長する場合は、選択期間が終了してい ない場合に限り、給付減額の判定なしに選択期間を延長することができます。 なお、年金受給権者に対し、現行法令に基づく給付減額判定を行って代替給付 の選択肢を追加する場合(給付減額に該当する場合は減額同意の取得等の必要な 手続きを行う)や明らかに給付増額となる選択肢を追加する場合は、従前どおり 引き続き認められます。 Q&A P.19 Q10.キャッシュ・バランス・プランについて A: キャッシュ・バランス・プランは、もともと米国で、確定給付型年金と確定拠出 型年金の両方の特徴をもつ設計として発案されたハイブリッド・プラン(混合型年 金)の一種で、我が国でも導入したいという声が高まったことから平成 14 年 4 月 の確定給付企業年金法施行から認められるようになった方式です。また、厚生年金 基金でも同時に通知の改正によって認められるようになったものです。 キャッシュ・バランス・プランと他の設計の一番大きな違いは、年金額や一時金 額の計算の中で加入中・受給中の指標変動が反映されるということです。指標を何 にするかは予め規約に規定する必要がありますが、国債の利回り、消費者物価指数、 賃金指数、市場インデックス(東証株価指数等)等が使えます。各人の入社以来の 状況に応じて、指標が高い時代が長ければ年金額や一時金額は大きく、低い時代が 長ければ年金額や一時金額は小さくなります。 キャッシュ・バランス・プランの年金額・一時金額が、指標変動を反映すること は、これらが年金資産の運用環境とある程度相関関係を持つことを意味します。こ のことは、年金財政の安定化に効果があると言われています。また、(単連基金で は、)母体の会社会計における退職給付債務額の安定化の効果があると言われてい ます。また、時々の指標動向が反映されることは、加入者にとっても実質価値が維 持されることから却って公平感があるようにも思われます。 平成 15 年 9 月からは、退職時の脱退一時金や選択一時金は従来通り(給与比例 式、定額式、ポイント制)としながら年金の受給待期中と受給中について年金額を 指標に応じて変動させること(いわゆる、キャッシュ・バランス・プラン類似制度) が認められました。その後、使用できる指標の追加等、制度設計の選択肢が拡充さ れ、キャッシュ・バランス・プランは、新たな給付設計の一つとして定着した感が あります。 Q&A P.20 Q11.確定拠出年金について A: 確定拠出年金は、平成 13 年 10 月 1 日付で施行された確定拠出年金法により導入 された、確定拠出型の年金制度です。その背景には、新しい退職給付会計の導入や 運用環境低迷による年金費用増加、雇用の流動化などに対応した企業の労務政策ニ ーズ等があったと言われています。 事業主サイドから見ると、確定給付型制度と比べ、後発債務(利差損等)は発生 しませんが、逆に運用環境が良い状況下においては、利差益で掛金負担が軽減され るといったこともなくなります。また、拠出金が予め確定していることから収支計 画が立てやすく、退職一時金制度・企業年金制度といった他制度から移行をすれば 退職給付債務の削減や将来の費用増加の抑制などが図れる効果が期待できます。し かし、過去勤務分の移行のためには、不足金を一括償却するためのキャッシュ負担 等の一定の要件を満たす必要があります。 従業員サイドから見ると、提示された複数の運用商品の中から自らの判断で投資 対象を選択でき、資産を個人勘定で管理するため自己持ち分を常時明確に把握する 事ができるなどの特徴があります。しかしながら、その運用結果により自身の年金 額が増減するリスクを負います。また、退職一時金が認められないため、死亡や障 害等の場合を除き、原則的に 60 歳まで払い出しができないという制限があります。 なお、確定給付企業年金制度の給付設計として確定拠出年金が認められるもので はありません。 Q&A P.21 Q12.年金記録問題に関して A: 社会保険庁(現 日本年金機構)は、平成 9 年に、それまで本人が加入する年金制 度を変わる都度、発番されていた年金手帳番号を、1人につき1つの基礎年金番号 に統合することとしました。 昨今の年金記録問題とは、この統合が、婚姻による姓の変更や、転勤や転居によ る住所不明、社会保険庁や自治体の入力ミス(氏名、生年月日が不明、読み仮名相 違等)などの理由で完全に統合することが出来ず、5,000 万件の年金記録が未統合 のまま残っていた事態が発覚したことに端を発するものです。 この年金記録問題に対する対応を政府において検討し、平成 19 年 7 月に「年金 記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」というタイト ルの対応策を公表し、対応策のフォローアップを随時実施しています。 また、従来は、社会保険庁の年金記録が訂正された結果、年金が増額した場合で も、時効消滅により直近の 5 年間分の年金に限って支払っていた点を改めるため、 平成 19 年 7 月に、政府は、5 年を超える部分も含めて全額を支払う年金時効特例法 を施行しました。 加えて、事業主が厚生年金保険料を天引きしていたものの、事業主から保険料納 付がなされていないために社会保険庁並びに厚生年金基金の年金記録が無いケー ス等に対応するために「厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関す る法案」が平成 19 年 11 月に国会提出されており、12 月 12 日に成立しています。 なお、こうした一連の社会保険庁の年金記録問題を受け、平成 19 年 11 月に、厚 労省年金局長通知「確定給付企業年金における加入者原簿の記録の適正な管理等に ついて」が発出されており、この中で記録の適正な管理を促すとともに、「定期的 に加入者等に対し、管理している記録及び将来の給付に関する必要な情報を分かり やすい形で事業主を通じ又は直接、加入者等に通知するように努めること」や、 「裁 定請求の勧奨に努めること」、 「住所不明者の住所把握に努めること」等が記載され ています。 裁定請求勧奨や、定期的な加入者等への情報提供のために必須となる住所把握に 関しては、平成 20 年 4 月に、確定給付企業年金法の省令等を改正し、待期者の住 所変更届出の制度化等の住所管理の強化を行っています。 Q&A P.22 Q13.加入者の住所管理について A: 平成 20 年 4 月より加入者・加入者であった者について、適正な住所管理を行うこ ととされました。その概要は以下の通りです。 ○住所届出の制度化 <企業年金基金の加入者> ・資格喪失時の住所届出が義務化されました。 ・加入中の氏名変更届出が義務化されました。 ・住所記録の管理保管等について、下記のように定められました。 ① 加入者および加入者であった者(脱退一時金の全部を支給された者を除く) についても常に現況を把握しておく。 ② 基金は事業主に対する加入者の申出等に基づき、加入者の住所記録を管 理・保管する。 ③ ②について、事業主に住所記録を管理・保管させても差し支えないが、基 金は事業主の住所記録の管理・保管状況を定期的に確認する。 <規約型企業年金の加入者> ・住所記録の管理保管等について、下記のように定められました。 加入者の住所に異動が生じたときは、すみやかに当該加入者からの申出を 受け、当該異動内容を把握しておく。 <待期者> ・受給待期中の住所変更の届出に関し、下記のとおり制度化されました。 加入者であった者(脱退一時金の全部を支給された者を除く)について氏 名または住所に異動があった場合は、本人からすみやかに届出書を提出させ、 当該異動内容を把握しておくこと。 <受給者> 受給権者の氏名または住所に変更があった場合は、すみやかに所定の届出書を 基金・事業所に提出するものとされました。 Q&A P.23 また、平成 22 年 1 月より国の保有する住所情報について、企業年金連合会経由で の照会が可能となりました。⇒所謂≪住所情報≫の提供開始 (平成 21 年 11 月 5 日付事務連絡「確定給付企業年金に係る住所情報の提供について」) 照会手続きの概要と対象者は以下の通りです。 ○≪住所情報≫の照会に係る手続きの概要 ①(初回のみ)≪住所情報≫の照会について、厚生労働省経由で日本年金機構理 事長宛の「申出書」を提出する。 ②(初回のみ)①の後、企業年金連合会へ≪住所情報≫の照会に係る申込書を提 出する。 ③住所照会依頼書と住所照会データを作成し、企業年金連合会を経由して照会す る。 企業年金連合会への提出は、毎月 10 日締切。初回締切は平成 22 年 1 月 10 日。 ④照会月の 2 ヶ月後の上旬に、国が所有する該当者の≪住所情報≫が、日本年金 機構本部から企業年金連合会経由で提供される。初回提供は 3 月上旬。 ※企業年金連合会会員様でない場合は、住所照会に要する諸経費 10,000 円を企 業年金連合会にお支払いいただく必要がございます。 ○≪住所情報≫の照会の対象者 受給権取得後一定期間経過後においても裁定請求を行っていない者のうち、 住所不明者 (企業年金連合会の事務処理要領では、「加入者であった者および受給権者のう ち、住所不明者」となっています。) Q&A P.24 Q14.裁定請求の勧奨について A: 「規約で定める受給権を取得する前」や「受給権取得後一定期間経過後において も裁定請求を行っていないもの」に対して裁定請求書の送付を行う等により、裁定 請求の勧奨に努めることとされました。また、住所不明者に対しては市区町村に対 し住民票の写しの交付を求める等により、住所の把握に努めることとされました。 また、平成 23 年 8 月に公布された「国民年金及び企業年金等による高齢期にお ける所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律」により、住 民基本台帳法が一部改正されました。これにより、年金や一時金の給付を行うため、 企業年金基金の加入者や受給者等に関する住民基本台帳の情報が、企業年金連合会 に接続されることとなりました。 それに伴い、企業年金基金様は企業年金連合会を通じて、住民基本台帳の住民票 記載項目に関する情報を元にした情報(【住基情報】といいます。)を入手すること が出来ます。 なお、情報入手に当っては、企業年金連合会と契約を締結することが必要です。 また、情報の提供を受けるにあたっては、費用負担が必要となります。 Q15.加入者等に対する記録等の提供について A: 平成 20 年度から企業年金基金及び規約型企業年金を実施する事業主の実情にあ わせて、定期的に、管理している記録及び将来の給付に関する必要な情報を分かり やすい形で、事業主を通じ又は直接加入者等に通知するように努めることとされま した。 なお、住所不明により通知することが困難である場合には、市区町村に対し住民 票の写しの交付を求める等により、住所の把握に努めることとされました。 (平成 19 年 12 月 17 日付事務連絡) Q&A P.25 Q16.基礎年金番号の管理について A: 1 基礎年金番号の管理義務化について 平成 22 年 2 月 26 日付で「厚生年金基金規則等の一部を改正する省令(平成二十 二年厚生労働省令第二十号)」が公布されました。これに伴い、平成 22 年 3 月 5 日 付で、以下の通知が発出されております。 ① 厚生年金基金規則等の一部を改正する省令の施行について(年発 0305 第 1 号) ② 確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度における基礎年金番号の管理 について(年企発 0305 第 1 号) 2 省令・通知の概要について 確定給付企業年金法施行規則の一部改正により、確定給付企業年金制度において、 以下のとおり基礎年金番号の管理が追加されることになりました(施行日:平成 22 年 4 月 1 日) ① 加入者原簿での管理項目に基礎年金番号を追加 ② 資格取得時の届出事項に基礎年金番号を追加 ③ ポータブル移換時の提出事項に基礎年金番号を追加 さらに通知により、施行日時点での既加入者に関する具体的な取り扱いやデータ の保護については、以下のとおり明記されました。 ① 時機をとらえて、早期に基礎年金番号の確認を行う。 ② ①の確認前に喪失した加入者については、資格喪失届の提出時に基礎年金番 号の確認を行う。 ③ 基礎年金番号は、各年金制度を通じた加入者ごとの固有の番号であり、 加入期間や報酬等の個人情報を管理するものであるため、データの保護には 万全を期す必要がある。また、国民年金法の規定(基礎年金番号の利用制限 等)に基づき、必要がある場合のみの利用とする。 基礎年金番号管理の義務化の背景は、以下のとおりです。 住所不明者等の住所情報を企業年金連合会へ照会する際、該当者の「基礎年金番 号・氏名・生年月日・性別」が必要となりますが、このうち、「基礎年金番号」に ついては、加入者原簿での管理が法令上義務付けられておりませんでした。そこで 今後は、適切な記録管理をより徹底する観点から「基礎年金番号」の所有・管理を 法令上明確化し、各種届出等の記載事項等に「基礎年金番号」を追加することとな ったものです。 Q&A P.26 Q17.受託機関が破綻した場合の年金資産の保全について A: ○信託契約(年金信託・年金特金)の場合 ① 信託法第 22 条「信託財産に属する債権等についての相殺の制限」 ② 信託法第 25 条「信託財産と受託者の破産手続等との関係等」 ③ 信託法第 34 条「受託者の分別管理義務」 等 により信託銀行固有の財産からの独立性が維持されています。 加えて、(株)証券保管振替機構に預託された株券等については、振替口座簿 に信託財産である旨を記載することで、第三者への対抗要件が具備されます。 (社債、株式等の振替に関する法律第 142 条「信託財産に属する振替株式につい ての対抗要件」 他) ○生命保険契約の場合 (1)一般勘定 保険業法に基づき設立された生命保険契約者保護機構が資金援助を行うことに より、責任準備金の 90%まで補償されることとなっています。 ① 保険業法第 265 条の 28「業務」~保険契約者保護機構~ ・保険会社が経営危機に陥った場合、保険契約の移転等を実施するための 資金的援助を行う等 ② 保険業法第 270 条の 3「保険契約の移転等における資金援助」 ・保険契約者保護機構が実施する資金援助額の決定等 (2)特別勘定 特別勘定に係る資産は分別管理が行われておりますが、責任準備金が削減され るか否かは破綻会社の更生計画によることとなります。(個別の更生手続の中で 確定することとなります。) ① 保険業法施行規則第 75 条の 2 ・特別勘定に属する資産については分別管理を行う等 Q&A P.27 Q18.信託法の改正について A: 信託法が平成 19 年 9 月 30 日に全面的に改正されて施行されております。 【対応】 平成 19 年 9 月 30 日以降については、新信託法に基づく契約を締結することになり ます。平成 19 年 9 月 30 日より前の契約につきましては、今後も旧信託法に基づい て各種手続きを行うことになりますので、特段の対応は不要です。 【概要】 なお、法改正の概要は以下のとおりです。 (1)受益者の権利行使の実効性・機動性を高めるための規律の整備 ① 受託者を監視・監督する信託監督人制度等の創設 現行の信託管理人制度に代わって以下の3制度が設けられることになりまし た。 (ⅰ)信託管理人:受益者として権利を行使することができるものがいない場合、 受益者に代わってその権利を行使 (ⅱ)信託監督人:受益者に代わって受託者を監視・監督 (ⅲ)受益者代理人:受益者に代わってその権利を行使 ② 帳簿等の作成、保存等に関する規律の整備 受益者が必要な情報を入手できるよう、受託者の帳簿等の作成、保存等に関 する規定が整備されました。 ③ 受益者が複数の信託における意思決定方法の合理化 受益者が多数決で意思決定することが認められたほか、受益者集会などの制 度が創設されました。 ④ 受託者の行為の差止め請求権を創設 損失てん補等の請求に加えて、違法行為の差止請求の制度が創設されました。 (2)受託者の義務等の内容を適切な要件の下で合理化 ① 忠実義務に関する規定の合理化 信託行為の定め、重要な事実の開示を受けた受益者の承認があるとき等につ いては、形式的には利益相反行為に該当する行為であっても、許容されること になりました。 ② 自己執行義務に関する規定の合理化 信託の目的に照らして相当であるときには、信託行為に信託事務処理の第三 者への委託を許容する旨の定めがない場合でも、委託を行うことが可能となり ました。なお、年金信託契約では、一定条件を満たす第三者への委託を許容す る定めを置いております。 Q&A P.28 (3)多様な信託の利用形態に対応するための制度の整備 ① 信託の併合・分割の制度が創設されました。 ② 以下のような新しい類型の信託が創設されました。 (ⅰ) 限定責任信託:受託者の履行責任の範囲が信託財産に限定される信託 (ⅱ) 自己信託:委託者が自ら受託者となる信託 (ⅲ) 目的信託:受益者の定めのない信託 (ⅳ) 受益証券発行信託:受益権の有価証券化を一般的に許容 Q&A P.29 Q19.年金確保支援法について A: 「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための 国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、平成 23 年 8 月 10 日に公布されま した。企業年金関連事項の概要は以下のとおりです。 ≪厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金≫ ① 情報収集等業務の委託 未請求者対策を推進するため、事業主・企業年金基金は、加入者に関する記録の 収集等を企業年金連合会に委託することができるものとする。 ≪厚生年金基金・確定給付企業年金≫ ② 事業所脱退にかかる一括拠出要件の拡充 複数事業主制度(総合設立の厚生年金基金等)における「実施事業所の減少」の 定義を“実施事業所の事業主が、分割又は事業の譲渡により他の実施事業所の事 業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合”などを含むよう 拡大して、一括拠出をするべきケースに含めるよう改正する。 ≪確定給付企業年金≫ ③ 雇用期間延長への対応 規約に定めるところにより、60 歳以上についても退職を支給開始要件とする設計 を可能とする。 ≪確定拠出年金≫ ④ 従業員拠出(マッチング拠出)の導入 ⑤ 拠出限度額の考え方を法定 企業型DCにおける拠出限度額について、厚生年金基金におけるプラスアルファ 給付の努力目標水準の規定を引用し、これを勘案して政令で定めるよう、その考 え方を明記する。 ⑥ 投資教育の充実 ⑦ 雇用期間の延長への対応 60~65 歳の資格喪失年齢を規約で定めることが出来ることとし、60 歳以上も引き 続き雇用される者については、企業拠出を可能とする。 ⑧ 自動移換者に関する措置 国民年金基金連合会への自動移管者(企業型DCの資格を喪失し、6 ヶ月間移換の 手続きをとらなかったもの)について、個人型DCの加入者であったものとみな すことを規定し、連合会移換者に関する給付の方法等について、個人型DCの規 約に定めることとする。 ⑨ 中途脱退要件の緩和 企業型DCの資格喪失後、2 年以上継続して個人型運用指図者である者について、 特別の措置を講じる旨の改正を行う。 Q&A P.30 Q20.企業会計基準の動向について A: 国際会計基準(以下、IFRS)は、2005 年にEUがEU内上場企業に適用を義務付け たことを皮切りに、世界中へと広がり、現在では 100 カ国超の国で採用されておりま す。また、新たにカナダ、ブラジル、韓国などにおいて、IFRS を適用、または準拠し た会計基準を作成する動きがあります。これらの国際的な動向をうけて、我が国でも IFRS の導入(アドプション)に向けての検討が始められています。 2009 年 6 月に金融庁が公表した「我が国における国際会計基準の取扱いについて (中間報告)」においては、国際的な財務・事業活動を行っている上場企業の 2010 年 3 月期以降における連結財務諸表に IFRS の任意適用を認めること、また、IFRS の強 制適用について 2012 年を目途に判断することなどの考えが示されました。しかし、 2011 年に IFRS の強制適用の判断を行う予定であった米国が判断時期を延期したこと や政局が不安定であることなどを理由に、その判断は延期とされました。その後、金 融庁(企業会計審議会)における議論の結果、2013 年 6 月に IFRS の任意適用が可能 な会社の要件の簡素化などの方向性が示され、同年 7 月には企業会計基準委員会によ る IFRS のエンドースメント(日本版 IFRS)に関する議論が開始されました。 また、アドプションの動きと並行して、我が国の会計基準と IFRS で作成された財 務諸表が比較可能となるレベルに会計基準を共通化させようとする動き(コンバージ ェンス)も並行して進められています。 2007 年 8 月の「会計基準のコンバージェンスの加速化に向けた取組みへの合意」 (東 京合意)以来、我が国の会計基準と IFRS との差異を解消する取り組みが進んでおり、 2010 年 6 月 24 日の企業会計基準委員会で「包括利益の表示に関する会計基準」の公 表を承認したことにより、3 月期決算の上場企業は、2011 年 3 月期から連結財務諸表 で包括利益の表示を義務付けられることとなりました。 退職給付会計に関しては、プロジェクトをステップ 1 とステップ 2 に分けて検討す るとされており、ステップ 1 の位置づけとして、2012 年 5 月 17 日に、 「退職給付に関 する会計基準」等が改正されました。主な要点として「BS 即時認識(連結財務諸表の み)」、「退職給付債務評価方法の見直し」、「開示項目の拡充」があり、2014 年 3 月末 以降(一部改正は、2014 年 4 月以降)の財務諸表から適用されております。 ステップ 2 の進め方、詳細なスケジュールは明らかにされていませんが、検討項目 は、2011 年 6 月 16 日に改正された退職給付に係る IFRS(従業員給付(IAS19))との 差異となる見込みです。 (具体的な変更内容及び我が国の会計基準との比較は次ページご参照) Q&A P.31 (IAS19 と、我が国の会計基準の比較) 項目 IAS19 我が国の会計基準 従来 改正後 費用の分解表示 可能 不可 不可 期待運用収益 割引率をベースに 利息費用とネット して表示 あり あり 数理計算上の差異 (表示方法) BS:即時 PL:なし OCI:即時 (リサイクルなし) BS:遅延 PL:遅延 BS:即時 PL:遅延 OCI:即時 (リサイクルあり) BS:遅延 PL:遅延 BS:即時 PL:遅延 OCI:即時 (リサイクルあり) 過去勤務費用(表示 方法) BS:即時 PL:即時 ※OCI…その他包括利益 ※改正後の基準は連結財務諸表に適用され、個別財務諸表は従来通りの取扱い (ご参考)IFRS に関する海外の動き (欧州) ・ 2005 年から、EU 内企業が EU で上場する場合の連結決算に IFRS 適用を義務付け ・ 2009 年から、EU 外の企業が EU 内で財務活動をする際に IFRS と同等とみなされ る基準の適用を義務付け →欧州委員会は日本の会計基準は米国会計基準と同様に IFRS と同等であると発 表し、日本の連結財務諸表の EU 内使用を容認(2008 年 12 月) ・ 従業員給付(IAS19)に関しては、2011 年 6 月 16 日に改正後基準が公表され、 2013 年 1 月 1 日以降に開始する事業年度から適用された。 (米国) ・ 2009 年 12 月以降から、米国内上場企業に対して IFRS の任意適用を認め、2011 年内に IFRS 適用の最終判断を出すとしていたが、2011 年 11 月に最終判断を見 送ることを決定した。 ・ その後、自国の会計基準を徐々に国際会計基準に近づけた後に、最終的には国 際会計基準を採用(アドプション)する「コンドースメント」アプローチを採用 している。 Q&A P.32 Q21.日本版SOX法について A: ※内部統制の対象に含めるか否かについては、母体企業が金額的・質的重要性を 考慮して決定することになります。このため、母体企業の経営管理担当部署に対 して内部統制の確認方法を相談し、対応の要否を確認する必要がございます。 以下は、内部統制対応が必要とされた場合の想定問答になります。以下の記述に ついて、方針が確定している場合には、適宜ご修正ください。 【概要】 会計不祥事やコンプライアンスの欠如などを防止するため、米国のサーベンス・オ クスリー法(SOX 法)に倣って整備された日本の内部統制法制のことを日本版 SOX 法 と呼びます。 具体的には、金融商品取引法に記載された内部統制報告書の提出の義務および監査 に関する部分を指し、平成 20 年 4 月 1 日以降に開始される事業年度から、上場企業 が有価証券報告書等の財務諸表を提出する際に、財務報告に係る内部統制の経営者に よる評価と公認会計士等による監査が義務付けられました。 【対応】 このため、基金で対応が必要となった場合については、 ・フローチャート(業務の流れを図にしたもの) ・業務記述書(業務マニュアルに近いイメージ) ・リスクコントロールマトリクス(リスクと統制の対応を示す表) の整備を一般的には行うことになります。 ただし、これらの整備には多くの費用・時間が必要となることから、重要度および 費用対効果等により実際に何を整備する必要があるか(例えば、事務マニュアルの整 備等)を母体企業と相談する必要があります。 【委託先に関する対応】 退職給付会計について、内部統制の確認が必要とされた場合には、母体企業に対し て、内部統制についての確認結果を報告することになります。信託銀行等では、監査 法人による監査を受けており、その監査報告書の提出を求めることができます。 (なお、弊社では、「加入者データ管理業務」「資産管理・運用業務」「DBO計算 業務(ただし、年金数理人の関与部分を除く)」 について、SSAE16およびI SAE3402(※)基準での監査を受けており、監査報告書を貴基金に対して提出 することが可能です。) (※)SSAE16 は、SAS70(外部委託業務の受託業務について評価する外部監査人の業務に関する指針)の後継として 米国公認会計士協会が定めたものです。また、ISAE3402 は、国際会計士連盟が定めた同様の指針です。なお、 この動きを受けて、日本公認会計士協会が策定した指針「委託業務に係る統制リスクの評価」も平成 23 年 10 月 13 日に「受託業務に係る内部統制の保証報告書(中間報告)」として見直されました。 Q&A P.33 Q22.育児・介護休業法の改正に伴う規約変更について A: 改正育児・介護休業法の施行(平成 22 年 6 月 30 日付)による介護休暇制度(介 護のための短期の休暇制度)の創設その他に伴い、規約変更を行う場合の手続きに ついて、厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課より各地方厚生局に対して平成 22 年 5 月 11 日付で「育児・介護休業法の改正に伴う確定給付企業年金規約の変更 手続きについて」が示されました。 法改正前後において、年金制度の期間等の取扱いにより、規約変更手続きが必要 となる場合がございます。(規約変更手続きの詳細は次ページにてご確認くださ い。) なお、遡及適用に関しては、厚生局へ事前にご相談いただいたうえでご対応いた だきますようお願いいたします。 Q&A P.34 (ご参考)確定給付企業年金における育児・介護休業法の改正に伴う規約変更手続き一覧 【前提】 ・法改正前のDB規約において、育児介護休業期間については、有効日、規定名称、引用条番号を用いて定めている。 規約例:平成△年△月△日現在において効力を有する育児介護休業規則第□条に規定する育児介護休業期間 *ご参考(改正育児・介護休業法の施行(平成22年6月30日付)の概要): http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0701-1.html ■ ご検討①お客様の方針により、規約変更が必要な場合がございます。 法改正前のDBにおける期間の 取り扱い 法改正後のDBにおける期間の 規約変更手続きの概要 取り扱い ⇒ 法改正によりDBの取り 扱いを変更しない ⇒ 規約変更不要(*2) ⇒ 法改正によりDBの取り 扱いを変更する(*1) ⇒ ⇒ 法改正によりDBの取り 扱いを変更しない ⇒ 規約変更不要(*2) 育児・介護休業期間を 加入者期間等から控除している 規約変更要 ご確認 ください 育児・介護休業期間を 加入者期間等から控除していない (*2) 期間の名称変更、条の 新設・廃止等に伴う引 用条数等の変更等(内 容の実質的な変更を伴 わない)を理由とした諸 規定の有効日の変更を 行う場合は、規約変更 手続きが必要となりま す。下表B・D・F・Hをご 確認下さい。なお、旧規 定の条項を引用したま まとする場合は有効日 の更新は任意となりま す。 今回の法改正による ⇒ 取り扱いの対象外 (*3) (*1)その他、介護休暇中の期間について、ポイントや拠出クレジットの累積をストップする場合等の変更を含みます。 (*3)現行制度で育児・介護休業期間を加入者期間等から控除していない場合について、個別に内容の確認が必要となります。 ⇒ 法改正によりDBの取り 扱いを変更する(*1) ■ご検討②変更内容により規約変更手続きが異なります。 法改正後のDBにおける期間の 取り扱い 規約変更手続き *規約変更例:有効日の変更、引用条番号の変更等を想定 加入者期間等から控除する ⇒A 規約変更の認可申請 (規約上は内容の実質的な変更) 加入者期間等から控除しない ⇒B お、旧規定の条項を引用したままとする場合は有効日の更新は任意となります。) 届出手続きを行う場合の例:期間の名称変更、条の新設・廃止等に伴う引用条数等の変更等(内容 子の看護 1 休暇制度 の拡充 手続き不要(但し、諸規定の有効日を最新に更新する場合は、届出の手続きが必要。な の実質的な変更を伴わない)を理由とした諸規定の有効日の変更 *規約変更例:有効日の変更、引用条番号の変更等を想定 加入者期間等から控除する ⇒C 規約変更の認可申請 (規約上は内容の実質的な変更) 加入者期間等から控除しない ⇒D お、旧規定の条項を引用したままとする場合は有効日の更新は任意となります。) 届出手続きを行う場合の例:期間の名称変更、条の新設・廃止等に伴う引用条数等の変更等(内容 パパ・ママ 2 育休プラ ス 手続き不要(但し、諸規定の有効日を最新に更新する場合は、届出の手続きが必要。な 加入者期間等から控除する *規約変更例:有効日の変更、引用条番号の変更等を想定 ⇒E 規約変更の認可申請 (規約上は内容の実質的な変更) 加入者期間等から控除しない ⇒F 加入者期間等から控除する ⇒G 規約変更の認可申請 (規約上は内容の実質的な変更) 加入者期間等から控除しない ⇒H お、旧規定の条項を引用したままとする場合は有効日の更新は任意となります。) 届出手続きを行う場合の例:期間の名称変更、条の新設・廃止等に伴う引用条数等の変更等(内容 父親の育 3 児休業再 取得 手続き不要(但し、諸規定の有効日を最新に更新する場合は、届出の手続きが必要。な お、旧規定の条項を引用したままとする場合は有効日の更新は任意となります。) 届出手続きを行う場合の例:期間の名称変更、条の新設・廃止等に伴う引用条数等の変更等(内容 の実質的な変更を伴わない)を理由とした諸規定の有効日の変更 、 の実質的な変更を伴わない)を理由とした諸規定の有効日の変更 ご弊 連社 絡総 く幹 だ事 さの いお ま客 す様 よは う お弊 願社 い営 い業 た担 し当 ま者 すま で 。 *規約変更例:有効日の変更、引用条番号の変更等を想定 4 介護休暇 手続き不要(但し、諸規定の有効日を最新に更新する場合は、届出の手続きが必要。な の実質的な変更を伴わない)を理由とした諸規定の有効日の変更 *規約で引用している諸規定の名称・有効日のみ変更する場合(例:育児介護休暇規則→育児介護休業規則)は、規約変更の届出が必要となります。 *本改正に伴う規約変更については理事長専決が不可とされております。 Q&A P.35 Q23.老齢厚生年金の支給開始年齢引上げに伴う、独自給付等の取扱いについて A: 平成 12 年の厚生年金保険法の改正(国民年金法等の一部を改正する法律(平成 12 年 3 月 31 日公布 法律第 18 号))により、老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始 年齢が 61 歳~65 歳に段階的に引き上げられます。 (引上げの対象者については、下図 をご参照ください。) 報酬比例部分 引上げの対象 Q&A P.36 支給開始年齢の引上げにより、60 歳以上において無年金期間が発生することとなり ますが(S28.4.2~S30.4.1 生の男子であれば、60 歳から 61 歳到達までの間は年金給 付がありません)、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢(『特例支給開始年齢』と いいます。)到達前に【支給繰上げ請求】を行うことで、特例支給開始年齢到達前に 老齢厚生年金の受給を受けることが出来ます。 厚生年金基金から代行返上してDBに移行した基金様(『代行返上DB』といいま す。)で、次の条件に当てはまる受給者様に対する独自給付について、影響が生じま す。 ① 支給開始年齢引上げに該当する方で、平成 14 年 4 月より前に【喪失時点で 裁定】している方 ≪退職時裁定方式≫ ② 上記①の方で、支給繰上げ請求を行った方 ①の要件を満たしている方については、旧基金で決定した支給開始年齢から特例開 始年齢に到達するまでの間は、独自給付として支給することとなっていますが、該当 者が②支給繰上げ請求を実施した場合、独自給付の支給方法について、次の2通りの 対応が可能です。(支給繰上げに伴う独自給付についてご参照) 一方で、年金支給開始時点で裁定する【支給時裁定】(つまり、現時点で未裁定の 方)や、すでにプラスアルファ支給開始年齢を国の年金にあわせた年齢で支給する裁 定をしている方については、支給繰上げによって独自給付への影響はないものの、プ ラスアルファ給付への影響が発生します。(支給繰上げに伴うプラスアルファ給付の 取り扱いについてご参照) Q&A P.37 支給繰上げに伴う独自給付について (S28.4.2~S30.4.1 生まれの男子で、H14.4 より前に退職時裁定している例) ● 支給繰上げを実施しない場合 ⇒ 60歳 基本的な姿 61歳 プラスアルファ年金 独自給付 老齢厚生年金 (代行返上部分) 厚生年金基金として60歳で基本年金 の裁定を実施していることから、本来の 代行年金額を支給開始年齢到達まで支 給する。 上記例の方が支給繰上げを請求した場合の独自給付について、以下の2通りの対応が可能です。 (パターン1) ⇒ 支給繰上げ時の原則的な考え方 60歳から繰上げ請求までは代行相当額を支給し、繰上げ請求後は、繰上げ請求による代行 相当額の減額部分を、終身に亘って支給する。 ①60歳から繰上げ請求までの間は、旧 60歳 繰上げ 61歳 基金の代行相当額を月割りで給付す る。 (図は、60歳6ヶ月から繰上げ請求した例。 ) プラスアルファ年金 ②支給繰上げ請求後は、 支給繰上げよっ 独自給付 て減額となった代行年金額の差額を、 老齢厚生年金 終身給付する。 (繰上げによる減額後) 60歳から繰上げ受給の場合、①はゼロになり ます。 【例】本来、支給開始年齢が61歳の方が、60歳6ヶ月時点で支給繰上げを請求した場合 (本来の代行年金額を60万円の例) ①60歳から支給繰上げまでの独自給付支払額 … 60万円×6ヶ月÷12ヶ月=30万円 ②支給繰上げ後の独自給付(年額)…60万円×0.5%×6ヶ月(繰上げ月数)=18,000円 ⇒60歳7ヶ月から年額18,000円を終身で支給 (パターン2) ⇒ 厚生労働省より認められた、もうひとつの考え方 60歳から支給開始年齢までの間、代行相当額を支給する。(繰上げは反映させない方式) 60歳 繰上げ 61歳 プラスアルファ年金 独自給付 老齢厚生年金 (繰上げによる減額後) 厚生年金基金として60歳で基本年金 の裁定を実施していることから、本来の 代行年金額を支給開始年齢到達まで支 給する。 ⇒支給繰上げを実施しない場合と同じ 扱いです。 支給繰上げを反映する(パターン1)は、①支給繰上げの情報を入手する必要があること ② 独自給付額を再計算しなければならないこと から事務が煩雑になります。一方で、 (パターン2) は、独自給付の支給については【支給繰上げを実施しない場合と同じ】ですので、新たな事務負 荷はありません。 ⇒業務効率化を勘案した場合、 (パターン2)で給付することが望ましいと考えられます。 なお、受給者ごとでパターンが異なることは望ましくありませんので、基金様として統一の取 扱を決定(事務局で決定し、代議員会で報告等)します。 Q&A P.38 支給繰上げに伴うプラスアルファ給付の取り扱いについて (S28.4.2~S30.4.1 生まれの方で、支給時裁定(未裁定)の方の例) 支給繰上げを実施しない場合 60歳 61歳 プラスアルファ年金 老齢厚生年金(代行返上部分) 老齢厚生年金の支給開始年齢の到 達により、プラスアルファの支給 が開始となります。 (変更点ではありません) 上記例の方が支給繰上げを請求した場合のプラスアルファの支給について、以下の2通りの対 応が可能です。 (パターン1) 支給繰上げの請求有無にかかわらず、本来の支給開始年齢到達により、プラスアルファ年金 (減額しない金額)を支給する。 60歳 支給繰上げ 61歳 プラスアルファ年金 ↓繰上げによる減額 老齢厚生年金の支給繰上げ請求の 有無にかかわらず、本来の支給開 始年齢でプラスアルファを支給す るため、現行と取扱は同じです。 老齢厚生年金(代行返上部分) (パターン2) 老齢厚生年金の支給繰上げに請求に応じて、プラスアルファの支給開始年齢も繰り上げる。 その結果、支給繰上げ時点から、減額したプラスアルファ年金額を支給する。 60歳 支給繰上げ 61歳 ↓繰上げによる減額 プラスアルファ年金 ↓繰上げによる減額 老齢厚生年金(代行返上部分) プラスアルファの金額は、繰り上 げた期間に応じて減額となりま す。 減額率:繰上げ月数×0.5% 業務効率化を勘案した場合、 (パターン1)で給付することが望ましいと考えられます。 プラスアルファの取扱いにつきましても、受給者ごとでパターンが異なることは望ましくあり ませんので、基金様として統一の取扱を決定(事務局で決定し、代議員会で報告等)します。 Q&A P.39 Q24.高年齢者雇用安定法改正について A: 平成 24 年 8 月 29 日に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正す る法律」が国会で可決・成立し、これまで労使合意により設定可能であった継続雇 用制度の対象者基準が廃止となり、希望者全員の 65 歳までの雇用確保が企業に義 務付けられることになりました。 ○改正内容 高年齢者雇用確保措置のうち、労使協定により設定可能であった継続雇用制度の 対象者基準が廃止。 (労働政策審議会で作成する指針において、対象者を一部除外(※1)。) 施行日:2013 年(平成 25 年)4 月 1 日(※2) <高年齢者雇用確保措置> ① 定年延長 ② 継続雇用制度(勤務延長、再雇用制度) ③ 定年の定めの廃止 (※1)心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等 (※2)法改正前の対象者基準は、対象者の年齢に応じ、以下の期日まで有効とする経過措置があ ります。 ・2016 年(平成 28 年)3 月 31 日まで 61 歳以上 ・2019 年(平成 31 年)3 月 31 日まで 62 歳以上 ・2022 年(平成 34 年)3 月 31 日まで 63 歳以上 ・2025 年(平成 37 年)3 月 31 日まで 64 歳以上 この経過措置は老齢厚生年金(報酬比例部分)の男子の支給開始年齢に到達するまでは希 望者全員を継続雇用する内容になっています。(※1 に該当する者を除く) 弊社総幹事先の基金様におかれまして、本法改正により、制度変更をご検討される場 合は、弊社営業担当者宛ご連絡ください。 Q&A P.40 Q25.厚生年金基金制度の見直しに関する改正法について A: 厚生年金基金制度の見直しを含む厚生年金保険法改正法が、平成 25 年通常国会 において可決・成立し、平成 26 年 4 月 1 日に施行されました。同法では一定の基 準を満たさない基金に対する解散命令の発動や、特例解散制度の見直しなどが盛り 込まれています。また、同法に係る政省令等についても平成 26 年 4 月 1 日に施行 されました。 ※ 同法は、第 3 号被保険者の記録不整合問題への対応等とあわせて「公的年金制度の健全性及 び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」として取りまとめられ ましたが、本稿では厚生年金基金制度の見直しに係る部分のみを記載いたします。 1.改正法の概要 (1)改正法の趣旨 改正法の趣旨については、 「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保を図るため、 厚生年金基金について、 ①その新設を行うことができないこととすること、②他 の企業年金制度等への移行を促進しつつ、③解散の特例を導入すること等の措置 を講ずるもの。」としております。 (2)厚生年金基金制度見直しのプロセス 施行日から 5 年間を「代行割れ問題」に集中的に対応する期間とし、特例解散 制度の見直し等により基金の早期解散を促進するとしています。また、施行日か ら 5 年後以降は「代行割れを未然に防ぐための制度的措置」を導入する期間とし、 一定の基金存続条件を定め、これを満たさない基金に対しては、厚生労働大臣は 予め社会保障審議会の意見を聴いて解散命令を発動できるとしています。 代行割れでない基金 代行割れ基金 健全基金 施行日から5年以内 -代行割れ問題に集中的に対 応する期間 特例解散制度による解散 ・自主解散を基本 ・清算型解散も導入 ⇒2.代行割れ基金の早期解散 のための方策を参照 施行日から5年後以後 -代行割れを未然に防ぐため の制度的措置を講じる期間 - Q&A P.41 代行割れ予備軍 ・制度移行 ・通常解散 ⇒3.厚年基金から他制度への移行支援策を参照 基金存続又は制度移行 厚生労働大臣による解 散命令 2.代行割れ基金の早期解散のための方策 代行割れ基金の早期解散のための方策として(1)「特例解散制度の見直し」と (2)「解散認可基準の変更」が実施されました。 (1) 特例解散制度の見直し ①特例解散制度の見直しの概要は以下のとおりです。 なお、申請期限は施行日から 5 年間とされています。 納付額の特例 (対象:代行割れ基金) ・いずれか低い額(現行特例と同じ) ①通常ル-ルで計算した額 ②基金設立時から厚生年金本体の実績利回りを用いて計算した額 (下限は年金資産 額):減額責任準備金相当額 納付の猶予の特例 ・事業所間の連帯債務外し(解散時に各事業所の債務を確定し、各事業所が直接国に納付) (対象:代行割れ基金) ・利息の固定金利化(注) ・最長納付期間の延長(現行 15 年→30 年) 解散プロセス ・自主解散を基本。「清算型解散」の導入 ・特例解散の申請の翌月分以降、上乗せ給付を支給停止 ・年金記録の整理等に先行して代行資産を返還できる仕組みを導入 (将来返上認可を受けた基金は、最低責任準備金の全部又は一部を前納することが可能) (注)解散年度の4月に発行される10年国債応募者利回り (ただし、前年度の10年国債応募者利回りの平均 を上回る場合には、当該平均の利回り) <減額責任準備金相当額の計算方法>基金設立以降のコロガシ法によって計算 最低責任準備金 減額責任準備金相当額 将来法 コロガシ法 設立 コロガシ法 コロガシ法 H11.9 現在 (利回りは「期ずれ」解消後を用いることを原則としますが、「期ずれ」解消前を使用する こともできます。 ) Q&A P.42 ②代行割れ基金は基金主体で解散を行う「自主解散型」と行政主体で解散を促す「清 算型解散」に分類されます。 自主解散型基金 定義 プロセス ※ 清算型解散基金 下記要件を満たすとして、厚生労働大 臣が認めたもの ①事業年度末の年金資産が「最低責 任準備金×0.8」を下回ること ②その他事業の継続が著しく困難なも のとして政令で定める要件に適合す る基金 ③業務運営に相当の努力をしたものと して政令で定める要件に適合する 基金 解散しようとする日において年金資産が最低責任準備金を下回っていると見込 まれる基金 <納付額の特例> ①厚生労働大臣に最低責任準備金の 減額の認定を申請 ②業務運営について相当な努力をし たものとして政令で定める要件に適 合すると認められるときは認定 ③減額した最低責任準備金相当額を 納付 ④基金名、最低責任準備金相当額、 減額した最低責任準備金相当額等 が公表される <納付の猶予の特例> ①厚生労働大臣に納付の猶予(納付 計画)の承認を申請 ②業務運営について相当な努力をし たものとして政令で定める要件等に 適合すると認められるときは認定 ③納付計画に基づき積立不足額を納 付 ④猶予期間内に納付することができな いやむを得ない理由があるときは期 間延長が可能 ⑤基金名、最低責任準備金相当額、 猶予期間、猶予額等が公表される ①厚生労働大臣が「清算型基金」とし て指定 ②清算計画を作成し、厚労大臣に承 認申請 ③承認を受けたときに基金解散 ④納付額の特例と納付の猶予の特例 については、自主解散型基金の場 合と同様 「納付額の特例」と「納付の猶予の特例」の両方を受ける場合は、同時に申請を行います。 (2) 解散認可基準の変更 解散認可基準については、改正法及び政省令等において以下のとおり変更され ております。 現行 代議員会における法定議決要件 解散認可申請の事前手続要件 解散認可申請の理由要件 基準変更後 定数の3/4以上による議決 定数の2/3以上による議決 全事業主の3/4以上の同意 全加入員の3/4以上の同意 全受給権者に対する解散理由等に係る 説明 加入員の 1/3 以上で組織する労働組合 の同意(当該労働組合が複数あるとき は、その 3/4 以上の同意) 全事業主の2/3以上の同意 全加入員の2/3以上の同意 全受給権者に対する解散理由等に係る 説明 加入員の 1/3 以上で組織する労働組合 の同意(当該労働組合が複数あるとき は、その 3/4 以上の同意) 母体企業が退職金規程等に基づく退職 給付義務を履行することが必要であるこ との周知等 母体企業の経営悪化等の理由が必要 理由要件を撤廃 ※ 代行返上の場合も、同様に緩和されます。 なお、代行返上の場合、理由要件は、現行においても課せられていません。 Q&A P.43 3.厚年基金から他制度への移行支援策 基金上乗せ部分の受給権を保全するための措置として以下の支援策が実施されま した。 (1)上乗せ部分の受給権保全のための移行支援策 内 容 DB への移行支援 ・移行時の積立不足の償却期間を延長 ・基金解散後、事業所単位で DB へ残余財産を交付できる仕組みの創設 DC への移行支援 ・基金を脱退した事業所の従業員が基金から DC へ資産移換できるように規制緩和 ・基金解散後に DC に移行する場合の積立基準に関する規制緩和 退職金の再積立支援 ・代行割れ基金の解散後、各事業主が、厚年本体への積立不足額の納付と、退職金の再積 立を両立できるようにするための措置 (各事業所が退職金の再積立の観点から、DB 等のスキ-ムを活用する場合の積立基準に 関する規制緩和 等) その他 ・基金解散後、企業単位で中退共へ移行できる仕組みの創設 (2)企業年金の選択肢の多様化 内 容 キャッシュバランスプランの制 度設計の弾力化 ・給付設計に用いる指標の選択肢に運用実績を追加 ・基準金利等の規制緩和(但し、元本は保証) 簡易型 DB の対象拡大 ・簡易な制度設計や手続きで設立できる DB の対象を拡大 Q&A P.44 本資料は、情報の提供を目的として作成しており、具体的な対応についてはお客様の ご判断により行っていただくことになります。 本資料は、作成日において弊社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成したも のであり、その情報の正確性・確実性について保証するものではありません。また、 今後の金融情勢・社会情勢等の変化により、内容が変更となる場合がございます。 本資料は、法律・会計・税制上の助言をなすものではないため、法律・会計・税制上 の取り扱いについては各専門家にご確認くださいますようお願い申し上げます。 本資料の内容に関して疑問に思われる点、ご不明な点等がございましたら、弊社営業 担当店部等にご照会下さいますようお願い申し上げます。 【資料作成日:平成 26 年 6 月 23 日】