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「教育目標の形成評価システム」の導入

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「教育目標の形成評価システム」の導入
生命健康科学研究所紀要 Vol8 (2011)
研究報告
保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入
-第 1 期生 4 年間の形成評価表の分析より-
堀井直子1)、足立はるゑ1) 、山口直己1)、近藤暁子 1)、横手直美 1)、荒川尚子1)、
中山奈津紀1)、三浦清世美 2)、石黒彩子1)
1)
中部大学生命健康科学部、2)社会保険中京病院
要
旨
【目的】学科が考案した「教育目標の形成評価システム」に基づいて実施した 1 期生の 4 年間の形
成評価表を分析し、学科の教育評価ならびに教育方法改善の示唆を得ることである。
【方法】対象は 2006 年度保健看護学科入学生(第1期生)80 名である。分析方法は学生が半期毎
に自己評価した形成評価表(9 つの教育目標に対する行動目標 38 項目で構成、5 段階評価)の単純
集計と各期の変化を確認するために自己評価平均得点の比較(Wilcoxon の符号付順位検定)を行っ
た。
【結果と考察】学年進行に伴い各行動目標の平均点は有意に上昇しており、順調に学習課題を習得
できていると考える。卒業時Ⅷ期の平均点では行動目標 38 項目中 36 項目が 4.0 以上で「十分でき
る」の範囲にあり、他の 2 項目も「かなりできる」であった。各期の平均点の推移から臨地実習が
学生の教育目標の到達を導く上で大きな影響力があると考えられた。本研究は学生の自己評価をも
とに行っており客観的な限界があることは否めないが、本学科の教授活動、教育支援は教育目的・
目標にそって概ね良好に行われていることが推測された。
Ⅰ.はじめに
(資料1)。また、本学が私学であり、少子化に
急速な医療の進歩や高齢社会の到来などの医
伴う大学全入時代による多様な学生を迎える可
療環境の変化は、看護職者に対する役割と期待の
能性を鑑み、大学生としての自律的な学習姿勢を
高まりを示している。また近年は学生の多様化に
養う方策を検討した。そして、学生自身が大学生
より、本学保健看護学科でも様々な入学動機を持
活に主体的に取り組み、学習意欲を継続するには、
った学生が入学していることが調査より明らか
大学で何を学び、どのような能力を身に付けるこ
1)
になっている 。このような背景を受けて、看護
とが必要かを理解し、その達成度を段階的に自己
基礎教育の現場では、教育内容や教育方法の見直
評価することが、主体的な学習につながると考え、
しが課題として指摘され、自校の特徴ある教育支
「教育目標の形成的評価システム」を考案して
援が求められている。
本学科は平成 18 年の開設時より、大学の建学
実施してきた。2010 年 3 月には第 1 期生を社会へ
と送り出した。また 2012 年 4 月からは新しいカ
精神である「不言実行、あてになる人間の育成」
リキュラム運用の下、看護学教育を実施していく。
を基盤とした「あてになる看護専門職者の育成」
この時期に、形成評価システムを再度見直し、本
を目指し、看護基礎教育の今日的課題である臨床
学科の教育評価ならびに教育改善について検討
における「判断力」
、
「対応力」
、
「看護実践能力」
する。
の向上を踏まえて 2)、教育目的・目標を作成した
56
堀井直子
足立はるゑ
山口直己
近藤暁子 横手直美
荒川尚子
中山奈津紀
2 「教育目標の
教育目標の形成評価システム
形成評価システム」
システム」の概要
確にする。
1)「
1)「教育目標の
教育目標の形成評価システム
形成評価システム」
システム」とは
3) リフレクション
三浦清世美
石黒彩子
形成評価システムは、学生自身が主体的に行う
本学科では、リフレクションを「経験により引
ものであり、「教育目標の形成評価」と、自己の
き起こされた、気にかかる問題に対する内的な吟
体験を振り返る「リフレクション」の二つの側面
味および探求の過程であり、自己に対する意味づ
から段階的に評価を行うものである。4 年間の教
けを行い、概念的な見方に対する変化をもたら
育課程において、各セメスターに 1 回、計 8 回行
す」4)という Boyd と Fales の定義に基づき、主と
う。学生は自己評価をもとに指導教授と面接を行
して臨地実習での経験をリフレクションシート
うことによって、自己の成長や課題を確認する仕
に書くことで、自らの学びを明らかにさせている。
組みをいう。一般的に「形成評価」とは教育活動
学生は指導教授とディスカッションを行い、経験
の途上で中間的成果を把握し、活動自体の軌道修
を内的吟味することで、経験の質を高め、将来、
正のために、また次の段階の指導や学習の方向や
リフレクティブな看護実践家になるための実践
課題を明確にするために行う評価をいう 3)。本シ
的思考能力の向上を目指す。
ステムもこの考え方に沿うものである。
2) 教育目標の
教育目標の形成評価
以上のような「教育目標の形成評価システム」
を、入学から卒業までの 4 年間にわたり実施して
教育目標の形成評価は、「教育目標の形成評価
きた。リフレクションに関する成果はすでに発表
表(以後、形成評価表という。資料 2)
」に基づい
した 5)。本稿では 4 年間の形成評価表の分析結果
て学生自身が自己評価を行っていく。形成評価表
を報告する。
には、本学科の 9 つの教育目標とそれを達成する
ための 38 の行動目標が提示されている。学生は
Ⅱ.研究方法
卒業までの半期ごとに、
「形成評価記入の手引き」
1.調査対象
を参考にしながら、形成評価表に自己評価を1
2006 年度生命健康科学部保健看護学科入学生
(まったくできない:0~19%)
、2(少しできる:
(第1期生)80 名である。
20~39%)
、3(まぁまぁできる:40~59%)
、4(か
2.調査時期
なりできる:60~79%)、5(十分できる:80~
調査は1年次~4 年次の各学期(Ⅰ~Ⅷ期)終
100%)の 5 段階の基準で評価する。なお、カリ
了後に実施した。
キュラムの進行上、評価時点で該当しないと判断
3.調査方法
される行動目標には、あらかじめ形成評価表に「N
各学期終了時に学生が自己評価した形成評価
(該当なし)」として明示した。また、各行動目
表を回収した。評価項目は 9 つの教育目標に対す
標によって卒業時までの到達度が異なるため、学
る行動目標 38 項目である。ただし、カリキュラ
生は、自己評価をする際には、到達度(C1:概念
ムの進行上、該当しない N 項目(未履修)は除い
を把握する、C2:技術を知る、C31:基礎レベル
て分析した。
で適切な助言のもとに実施できる、C32:応用レ
4.分析方法
ベルで適切な助言のもとに実施できる、C4:ひと
調査時期毎に形成評価表の自己評価得点を単
りで実施できる)を考慮して行う。その後、形成
純集計した。各期の変化を確認するために、Ⅰ期
評価表をもとに指導教授とディスカッションを
とⅡ期、Ⅱ期とⅢ期、Ⅲ期とⅣ期、Ⅳ期とⅤ期、
行い、目標とするレベルと現在の自分のレベルと
Ⅴ期とⅥ期、Ⅵ期とⅦ期、Ⅶ期とⅧ期の自己評価
の格差を解決するために、今後自分はどのような
平均得点の比較には Wilcoxon の符号付順位検定
学習をしたらよいのか、次期に向けての課題を明
を行った。分析には、統計解析用ソフト SPSS 15.0
57
保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入
J for Windows を用い、統計的有意水準を 5%未
に 23 項目に増えている。臨地実習が、学生の教
満とした。
育目標の到達を導く上で非常に大きな影響力を
5.倫理的配慮
もつと考える。
Ⅰ期の調査前に、口頭および書面にて研究目的、
行動目標に示した卒業時の到達度は、厚生労働
協力の自由、成績評価に影響しないこと、プライ
省の報告書 1)や社会のニーズを反映して本学科が
バシーの守秘について説明し、協力を依頼した。
設定した。「C4:自分でできる」に該当する 22
書面にて同意が得られた学生の形成評価表を分
項目については、学生は平均点 4.0 以上と自己評
析の対象とした。
価をしていた。
これら 22 項目の自己評価結果は、
すべての臨地実習が終了したⅦ期において既に
Ⅲ.結果および考察
4.0 以上を示しており、学生は臨地実習から多く
1.対象の属性
の学びを得て、成長を自覚していたといえる。
分析の対象は、Ⅰ~Ⅱ期では男子 12 名を含む
以上より、学生は卒業時の到達目標に向けて成
80 名であったが、Ⅲ期 79 名、Ⅳ期 78 名、Ⅴ期
長・発展していることを自ら自覚していること、
76 名、Ⅵ期 74 名、Ⅶ期 68 名、Ⅷ期 67 名であっ
成長・発展には臨地実習の体験が大きいことが伺
た。各期における既習の専門教育科目を(資料 3)
える。また学生の自己評価が学年進行に伴い有意
に示した。
に上昇していたことは、本学科の教授活動、教育
2.Ⅰ期からⅧ期の自己評価平均得点の推移
支援は教育目的・目標にそって概ね良好に行われ
表 1-1、表 1-2、表 1-3 にⅠ期とⅡ期、Ⅱ期と
Ⅲ期、Ⅲ期とⅣ期、Ⅳ期とⅤ期、Ⅴ期とⅥ期、Ⅵ
期とⅦ期、Ⅶ期とⅧ期の自己評価平均得点(以下、
ていると推測された。
3.教育目標の成果と課題
教育目標1〔倫理的判断力〕では 4 項目ともに
平均点とする)の比較を示した。学年進行に伴い
平均点が有意に上昇しており、対象の意思決定支
各行動目標の平均点は有意に上昇しており、順調
援や権利の擁護に関する自己評価が高まってい
に学習課題を習得できていると考える。卒業時Ⅷ
た。上田らは、学士課程卒業者は、患者の倫理的
期の平均点では行動目標 38 項目中 36 項目が 4.0
な疑問に焦点をあてる手伝いができる必要があ
以上で「十分できる:80~100%」の範囲にあっ
る 6)と述べており、倫理的判断力の育成は重要な
た。残りの 2 項目である《31)組織マネジメント
課題である。
《3)個人情報の保護》では 1 期より
の説明》と《38)国際社会の看護専門職者の役割》
一貫して自己評価が高く、Ⅷ期においては全 38
は「かなりできる:60~79%」であった。この 2
項目の中で最も評価点は高く 4.8±0.5 であった。
項目は、〔看護マネジメント〕と〔国際協力・支
学内実習を経て様々な臨地の場や看護研究等の
援〕に関する学習内容であり、学士課程では実際
学習を通して、具体的、実際的に倫理的判断力が
に経験する機会も少なく発展的な教育目標でも
身についたと考える。看護職者は個人情報の漏え
あるため、妥当な結果であると考える。
いによって法的に罰せられる。職業を前提とした
保健看護学科のカリキュラムの特徴に 23 単位
倫理的判断力が内面に定着したと考える。今後は
(1035 時間)の臨地実習があり、学生は 1 年以上
医療の場だけでなく、大学生活に密着した高い倫
にわたり病院や施設で看護実習を行う。この臨地
理への関心と思考・態度を育成していく。
実習を節目として平均点の推移をみると、Ⅴ期の
教育目標 2〔援助的人間関係の形成〕では 3 項
時点で 3.5 以上の項目は《3)個人情報の保護》と
目とも平均点が有意に上昇しており、援助的人間
《7)対象の思いや考えに共感できる》の 2 項目で
関係の形成について自己評価が高まっていた。そ
あったが、応用実習が開始されたⅥ期には、一気
の理由として、日常生活のみならず頻回に行うグ
58
堀井直子
足立はるゑ
山口直己
近藤暁子 横手直美
荒川尚子
中山奈津紀
三浦清世美
石黒彩子
ループワークを通してメンバーとの共感や信頼
全管理行動がとれるようになってきたと推測さ
関係の構築を繰り返し経験していることが影響
れる。臨地実習では患者の療養の場で教育が行わ
していると推測する。3 年生秋学期(Ⅵ期)から
れるという制約があり、看護師免許を有さない学
はじまる応用臨地実習では、身体的・精神的に特
生は、まだ十分に育っていない知識や技術を手が
殊なニーズをもち学生と格差のある年齢の対象
かりに実践を経験する。学生の看護実践能力が一
者との間で援助的人間関係を形成できることが
定レベルまで到達していない場合、医療事故防止
目標となる。そのため自己評価が低下する可能性
やクライエントの権利保護を考慮するために、学
が危惧された。しかし、Ⅵ期以降も順調に平均得
生が経験できる技術や機会が制限される現状に
点が上昇し有意差も認められた。臨地実習中には
ある 8)。そのため指導者は患者の権利を保証しな
対象者との関わりに困難をきたす学生は多い。
がらも学生が学ぶことができるように教育の場
日々、教員や臨地実習指導者の具体的な指導によ
としての学習環境を調整していくことが求めら
って、実習終了時には援助的人間関係の形成につ
れる。今後も教員と臨地実習指導者が連携を密に
いて、自らの成長の手ごたえを感じていることが
して学習環境を整え技術教育を行っていくこと
伺えた。今後も学生のコミュニケーション能力に
が必要である。
応じた指導の継続が必要である。
教育目標5〔看護専門職者としてのアイデンテ
教育目標 3〔看護援助における問題解決力〕で
ィティの形成〕では、4項目とも平均点が有意に
は 9 項目とも平均点が有意に上昇しており、看護
上昇していた。
《26)自己の看護観を述べる》のみ
過程の展開に必要な知識と実践力に関する自己
Ⅰ期とⅡ期に有意な差はみられなかったものの、
評価が高まっていた。Ⅰ期~Ⅴ期において、紙上
その後は各期において平均点が有意に増加して
事例の看護過程(問題解決思考を用いた看護の方
いた。これは、学内実習やグループワーク、臨地
法)を学内で展開することで科学的根拠を基盤と
実習を通して看護の役割を理解し、適切な態度や
したアセスメント、看護診断、計画立案の基礎を
課題達成に向けた行動を実践することで自己評
土台として、Ⅵ期以降の臨地実習において受け持
価が高まったと推測される。学生は大学生活の中
ちケースの個別性を考慮した看護を行うことで、
で看護師として何を大切にしたいのかを見出し、
更に実践能力が高まった結果と考える。学生は
学内実習や臨地実習を通して自分の看護観を磨
様々な健康問題を抱えた患者を通して問題解決
き、看護専門職者としてのアイデンティティを確
のプロセスを学ぶ。学生が看護を学ぶ現場は、普
立していく。小山は、教員がもつ「看護観」や「教
段とは違う膨大な刺激の中であるため、思考が中
育観」によって学生の成果は大きく影響を受ける
断することがあるといわれている 7)。今後も、学
ため、教員は自分の「看護観」「教育観」を言語
生の理解の促進に向け、思考を導き出せるような
化し、客観的に分析する必要があると述べている
指導を行い問題解決力の向上を目指していく。
9)
。したがって、教員は看護の専門家として、自
教育目標 4〔看護技術の習得〕では、6 項目と
らの体験を学生に積極的に伝え、学生が看護に対
も平均得点が有意に上昇しており、対象に適した
してさらに興味や関心がもてるような教授方法
看護技術の選択と提供に関する自己評価が高ま
を工夫することも必要である。
っていた。学内実習で基礎を学んだ後、基礎実習
教育目標6〔保健・医療・福祉チームにおける
である、生活援助実習、看護過程実践実習、そし
協働〕では、3項目ともに平均得点が有意に上昇
てその後の応用実習において、対象に応じたケア
しており、講義を通して保健医療福祉システムの
を幾度となく経験し、対象の安全・安楽を考慮し
中での看護の役割理解に関する自己評価が高ま
た看護技術の提供や状況に応じた自分自身の安
っていた。またⅥ期から始まる応用臨地実習では、
59
保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入
現場での体験を通して他職種との協働や役割分
効果もあり、課題や疑問に取り組むための文献活
掌について理解を深める重要な機会となったと
用と主体的学習ができており、自己評価が高まっ
考える。本学科では教育目的のひとつとしてケア
たと推測できる。《35)論文のクリティーク》に
(care)型の地域医療に対応できる高度な専門性
おいては、Ⅴ期に開講される看護研究概論、Ⅵ期
を備えた看護専門職者の育成を目指しているた
~Ⅷ期にかけて開講される看護セミナーⅠ・Ⅱと
め、活動を形成していく保健医療福祉システムや
研究の基礎的知識から実践までを通して研究論
リーダーシップ・メンバーシップのあり方に関す
文をクリティークする体験をした。結果、看護専
る知識は不可欠なものである。2012 年度生からは
門職者に必要な研究的思考の育成とエビデンス
新しいカリキュラムが運用され、統合臨地実習で
のある研究成果を看護実践に活用する自信が高
は医療チームに参加してリーダーシップ・メンバ
まった結果と考える。
ーシップの看護活動体験を行う予定である。今後
教育目標 9〔国際協力・支援〕では、2 項目と
は実践を通した理解が深まることが期待できる。
もに平均得点が有意に上昇していた。この行動目
教育目標7〔看護活動マネジメント〕の 4 項目
標には、国内外の健康問題や看護の動向に関心が
のうち、
《30)自己マネジメント》においてⅠ期と
もてることが含まれており、低学年から講義を通
Ⅱ期の平均点に有意な差がみられなかったもの
して関心を持ち自己評価が高くなったと考える。
の、その他はすべて有意に上昇していた。
《30)自
将来、グローバルな視点で健康問題の理解や国際
己マネジメント》には健康管理や主体的な学習課
協力・支援について実践できる基盤はできたと考
題の遂行が含まれているが、Ⅰ期の行動目標 22
える。
項目中、平均点 2.2±0.9 で最高得点を示してい
た。これは1年生に対し入学当初よりPSアワー
Ⅴ.まとめ
(PROFESSOR-STUDENT HOUR)を活用した大学生活
教育目標の達成度を確認するために、入学時か
における自己マネジメント能力を高めるための
ら卒業時までに 8 回行った自己評価得点を集計し
支援を計画的に行った成果と考える。そのためⅡ
た結果、形成的に自己評価が上昇していたことを
期との比較において有意な差がみられなかった
確認した。本学科が行っている形成評価システム
と推測する。Ⅱ期以降は平均点も有意に上昇して
は、単に学生に形成評価表を提出させるのではな
いることから、臨地実習に臨むために不可欠であ
く、face to face で学生と教員の関係形成のもと、
る自己の健康管理や主体的な学習態度は実習前
半期に 1 回の面接がシステム化されていることが
に確立できていると考える。《31)組織マネジメ
特徴である。そのため学生個々の性格や今までの
ントの説明》は唯一Ⅷ期のみの行動目標である。
学生の成長など、十分にレディネスを把握して関わる
Ⅷ期に組織マネジメント論を履修し学習するた
ことができるため、学生の意欲を高め、成長発展を促
め、以後の学習の積み重ねができず、平均点も 3.8
すうえで有効と考える。学生も常に学科の教育目標
±1.0 と 38 項目中で最も低い結果になったと推測
を意識し、自分の課題を見据え、成長を具体的に確
する。しかし組織マネジメントに関する学習は学
認しながら日々の学業に取り組むことができる。教育
士課程の教育では経験することが難しく、概念の
とは学生-教員間の相互作用である。学生が自信喪
把握が到達目標となる。専門職業人になってから
失した時はモチベーションを高めるチャンスで
発展させるための基盤づくりはできたと考える。
もある。心理学者デシが述べている内発的動機づ
教育目標 8〔探究心・研究的思考〕の 3 項目は
けを支える 3 つの心理的欲求(有能さ・自律性・
ともに平均点が有意に上昇していた。本学科で企
関係性)10)が満たされることで、学生は学ぶ楽し
画した情報リテラシーと文献検索方法の演習の
さと達成感を感じることができる。教員は温かい
60
堀井直子
足立はるゑ
山口直己
近藤暁子 横手直美
荒川尚子
人間関係のもとで学生に肯定的なフィードバッ
中山奈津紀
三浦清世美
石黒彩子
139、2003。
クを行い、学生のもつ力を最大限引き出すような
9)
小山眞理子編集:看護教育の原理と歴史、医学
教育的支援を行うことが重要である。
書院、1-12、2003。
本研究の限界は、学生の自己評価をもとに行っ
10)
エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト(桜
ており、客観性においては課題が残る。しかし形
井茂男・監)
:人を伸ばす力;内発と自律のすす
成評価を行う本来の目的から考えれば、教育的意
め。新曜社、50.1999。
図は十分に達成できたと考える。今後も形成評価
システムを活用した学生との関わりを継続し、学
Title: Introduction of "Formative Evaluation
生の成長発展のために、教育改善ならびに教育の
System for Educational Goals" in Department
質向上を目指していく予定である。
of Nursing -An analysis of the formative
evaluation during the 4 years for the 2006
謝辞
cohort-
本学科の開設当初より、形成評価システムを活
Author(s): Naoko Horii1 ), Harue Adachi1 )
用し、調査にご協力をいただいた保健看護学科
Naomi Yamaguchi1 ), Akiko Kondo1 ),
2006 年度生(1 期生)の皆さんに心より感謝いた
Naomi Yokote1 ),Natsuki Nakayama1 ),
します。
Naoko Arakawa1 ), Kiyomi Miura2 ),Ayako Ishiguro1 )
Address(es):
引用文献
1)
2)
1 )
Department of Nursing, Chubu
University College of Life and Health Sciences, 1200
堀井直子、三浦清世美、久米 香、他:本学看護
Matsumoto-cho, Kasugai, Aichi, 487-8501, Japan;
学生の入学時における学科志望動機-入学動機
2 )
を反映させた教育を探る-。中部大学生命健康
Minami-Ku, Nagoya,Aichi ,457-8510, Japan
科学研究所紀要、第 4 号、11~18、2008。
Keywords: Nursing Students, Formative Evaluation
厚生労働省:看護学教育の在り方に関する検討
Social Insurance Chukyo Hospital,1-1-10 Sanjo,
System,Self-valuation
会報告、看護実践能力育成の充実に向けた大学
卒業時の到達目標、平成 16 年 3 月 26 日。
3)
梶田叡一: 形成的評価のために、明治図書、1987。
4)
Sarah Burns & Chris Bulman/田村由美ら監訳:
看護における反省的実践、専門的プラクティシ
ョナーの成長、ゆみる出版、2005。
5)
堀井直子、近藤暁子、三浦清世美、他:保健看
護学科における「教育目標の形成評価システム」
の導入―学生と指導教授からの評価―、中部大
学教育研究、10、109-116、2010。
6)
上田玲子編著:看護大学・大学院教育の到達目
標、多賀出版、21-40、2006。
7)
藤岡完治、屋宜譜美子(編)
:看護教員と臨地実
習指導者、医学書院、16-19、2006。
8)
厚生労働省:
「看護基礎教育における技術教育の
あり方に関する検討会」報告書、看護、55(14)
、
61
保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入
資料1
資料1 保健看護学科の教育理念、教育目的、教育目標
【教育理念】
教育理念】
保健看護学科は、本大学の建学の精神である「不言実行 ~あてになる人間~」を信条とし、“生命の本質”を理解し、
人々に信頼される実践力を備えた人材を育成する。さらに、多様化・国際化の進む社会において、将来、看護学の発展
に寄与できる看護専門職者を育てることを目指す。
【教育目的】
教育目的】
1. 「生命(いのち)と人間の理解」
人間にとってたいせつな生命(いのち)の尊厳を深く理解し、人を人として尊ぶ倫理観を培う。自己の価値や
尊さに気づき、多様な価値観をもって社会で生活する人々の尊厳と権利を擁護できる人を育成する。
2. 「心のふれあい」
生命(いのち)を見守る優しさと強さを備え、喜びや悲しみを分かち合える豊かな人間性を養う。心と心をつ
なぐコミュニケーションにより、人々が本来もっている「生きる力」を育み、支える事ができる人を育成する。
3. 「看護の知と技」
看護の基盤となる、幅広い教養、専門的知識・技術を修得し、人々の健康と生活に関する問題に対して、科学
的根拠をもとに判断、解決できる能力、創造力を養う。さらに、これらの知識と技術を統合し、個人や家族・
地域社会に貢献できる看護実践力を養う。
4. 「自律性とコラボレーション」
看護専門職者として、自ら考え、実践する自律性を養う。同時に、人々を含む保健・医療・福祉チームにおけ
るコラボレーションの重要性を理解し、人々のニーズに合った援助を調整するためのリーダーシップおよびマ
ネジメント能力を養う。
5. 「看護学の発展」
学習体験を通して自己啓発力を高め、将来、看護の実践・教育・研究の分野において、リーダーとして貢献で
きる基礎的能力を育成する。また、国際社会の動向を見据え、グローバルな視野で活動できる看護専門職者へ
と導く。
【教育目標】
教育目標】
1. 人を人として尊ぶ心を養い、看護専門職者として、対象の意志決定の支援および権利が擁護できる倫理的判断能
力を身につける。
2. ヒューマンケアを実践できる人間性を養う中で、多様な価値観を持つ対象の思いや考えを理解し、援助的人間関
係を形成できる能力を身につける。
3. 対象の健康と生活に関する問題を改善または解決するために、科学的根拠を基盤とした看護過程(アセスメント、
看護診断、計画、実施、評価)が展開できる。
4. 対象に応じた適切な看護技術を選択し、提供できる。また、効果的な看護技術の開発の必要性を理解する。
5. 理論と実践の統合を通して看護の役割を理解し、看護専門職者としてのアイデンティティーを形成する。
6. 対象のニーズに合った援助をコーディネートするため、保健・医療・福祉チームにおける他職種との協働や役割
分掌を理解する。
7. 看護専門職者の自律性を高めるために、看護マネジメントの方法を理解する。
8. 看護における課題・疑問に対し、自ら探求し解決するための研究的思考を身につけ、看護実践に活用できる。
9. 国際的な視点で健康問題を捉え、看護を通じて国際協力・支援活動への関心を持つことができる。
62
堀井直子
足立はるゑ
山口直己
近藤暁子 横手直美
荒川尚子
中山奈津紀
三浦清世美
石黒彩子
資料2
資料2
【教 育 目 標 の 形 成 評 価 表】
学籍番号 氏名
教 育 目 標
行 動 目 標
2年
3年
4年
到 1年
達
度 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ
人間としての尊厳と権利を尊重し、人々の価値観、習慣、信念に十分配慮した行
1 〔倫理的判断力〕
C4
1)
動ができる
人を人として尊ぶ心を養い、看護専門職者と
して、対象の意志決定の支援および権利が 2) 看護場面における倫理問題について倫理原則を適用して説明できる
C2
擁護できる倫理的判断力を身につける。
3) 守秘義務を遵守し、個人情報の保護が適切にできる
C4
4) 対象の意思決定に必要な情報を適切な方法で提供できる
2 〔援助的人間関係の形成〕
5) 理論・原理に基づき、対象に合ったコミュニケーション技法を活用できる
ヒューマンケアを実践できる人間性を養う中
で、多様な価値観を持つ対象の思いや考え
を理解し、援助的人間関係を形成できる能 6) コミュニケーション技法を用いて、対象と信頼関係を築くことができる
力を身につける。
7) 信頼関係を築く中で、対象の思いや考えに共感できる
C31
C4
N
C4
N
C4
3 〔看護援助における問題解決力〕
8) 対象の看護に必要な情報を収集し記述できる
C4
対象の健康と生活に関する問題を改善また
対象の健康レベル、身体的状態、精神・心理的状態、社会的状態をアセスメントで
9)
C4
は解決するために、科学的根拠を基盤とし
きる
た看護過程(アセスメント、看護診断、計画、
10) 対象の成長発達状態をアセスメントできる
C4
実施、評価)が展開できる。
11) 情報を統合し看護診断を記述できる
C4
*看護過程1)~9)すべての
段階において、理論、原理、
および科学的根拠のある文献
などを活用し、提供する看護
の根拠を説明できる.
12) 対象の状況を判断し、看護診断の優先順位を設定できる
C4
13) 対象のニーズを考慮した問題解決のための目標が設定できる
C4
14) 目標達成のための看護計画を立案できる
C4
15) 看護計画にもとづいた看護援助を提供できる
C4
継続的なアセスメントにもとづいた看護問題の評価、計画の変更および優先順位
16)
C4
の変更ができる
17) 理論、原則、および科学的根拠のある文献にもとづき看護技術を提供できる
C4
4 〔看護技術の習得〕
対象に応じた適切な看護技術を選択し、提
供できる。また、効果的な看護技術の開発の 18) 対象に応じた適切な看護技術を選択し、実施できる
必要性を理解する。
19) 看護技術を提供する際、対象に対し安全な実践を促進できる
N
N
N
N
C32 N
C32 N
20) 看護技術を提供する際、対象の安楽を促進するための工夫ができる
C32 N
21) 看護技術を提供する際、自分自身の安全管理行動がとれる
C4
N
自分自身または他のケア提供者の技術を振り返ることにより、技術の向上のための
22)
C32 N
様々な方法を討論できる
5 〔看護専門職者としてのアイデンティティ-の形 23) 看護専門職者としての適切な態度で行動できる
成〕 理論と実践の統合
を通して看護の役割を理解し、看護専門職 24) 学習体験を通し、自己理解を深め自分自身の価値や尊さに気づくことができる
者としてのアイデンティティ-を形成する。
25) 学習体験を通して、自己の課題を明らかにし、解決するための行動ができる
26) 既習の知識と看護実践を統合し、自己の看護観を述べることができる
6 〔保健・医療・福祉チームにおける協働〕
27) 保健医療福祉システムについて説明できる
対象のニーズに合った援助をコーディネート
するため、保健・医療・福祉チームにおける 28) 保健医療福祉システムの中での看護の役割を説明できる
他職種との協働や役割分掌を理解する。
看護の役割を遂行するために、状況に応じたリーダーシップおよびメンバーシップ
29)
のあり方を討論できる
7 〔看護活動のマネジメント〕
30) 看護専門職者として自律するために、自己マネジメントができる
看護専門職の自律性を高めるために、看護
31) 状況に応じた組織マネジメントの方法が説明できる
マネジメントの方法を理解する。
看護援助における質の保証の必要性を、理論、原理、文献、および体験にもとづき
32)
説明できる
社会の動向や保健医療福祉にかかわる社会のニーズを見極め、求められる看護
33)
のあり方について述べることができる
8 〔探究心・研究的思考〕
34) 看護における課題や疑問の解決に向けた国内外の文献・情報収集ができる
看護における課題・疑問に対し、自ら探求し
解決するための研究的思考を身につけ、看 35) 研究論文を適切にクリティークできる
護実践に活用できる。
36) 看護実践の充実に向けて科学的根拠のある研究成果が活用できる
C4
C4
C4
C4
C2
C2
C4
C1
N N N N N N N
C1
C2
C4
C32 N
N N N
C32 N
9 〔国際協力・支援〕
異なる国や民族の健康問題や看護に対する考え方・態度・生活習慣を尊重しなが
C1
国際的な視点で健康問題を捉え、看護を通 37) ら、看護専門職者として望ましい対応について述べることができる
じて国際協力・支援活動への関心を持つこ
国際保健医療関連組織の活動を知り、国際社会における看護専門職者の役割を
C1
38)
とができる。
述べることができる
<到達度>
C1 : 概念を把握する
C2 : 技術を知る
C31: 基礎レベルで適切な助言のもと実施できる
C32: 応用レベルで適切な助言のもと実施できる
C4 : ひとりで実施できる
N
C32
N
<評価基準>
1: まったくできない 0~19%
2: 少しできる 20~39%
3: まぁまぁできる 40~59%
60~79%
4: かなりできる
80~100%
5: 十分できる
N: 該当なし
63
保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入
資料3
資料3
区分 授業科目
生命科学入門
導
入 医科学入門
科 生涯発達看護論
目
生と死の文化人類学
基
礎
保
健
医
科
学
病
態
保
健
専 医
門 科
基 学
礎
科
目
社
会
保
健
医
科
学
64
看
護
介
入
領
域
単
位
数
区分 授業科目
単
位
数
① ○
母性看護学
②
① ○
母性看護学演習
①
小児看護学
②
小児看護学演習
①
○
家族看護学
②
○
地域看護学Ⅰ
②
地域看護学Ⅱ
②
○
地域在宅看護学演習
①
○
1年 2年 3年 4年
ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦⅧ
①
○
2
○
生化学
② ○
生理学
②
○
生命物理化学
2
○
解剖・組織学
② ○
病理学
②
臨床病理学
1
薬理学
①
微生物学
②
免疫学
1
看
護
介
入
領
域
○
○
○
○
○
生体防御学
1
遺伝・実験動物学
1
疾病病態学概論
②
○
疾病治療学概論
②
○
放射線看護論
①
栄養治療学
①
環境衛生学
2
公衆衛生学
②
臨床心理学
②
生命倫理学
①
学校保健学
①
社会福祉学
② ○
保 看護情報学
健
保健行政論
管
理 看護マネジメント論
指
導 リスクマネジメント論
学 国際看護論
学
科
専
門
科
目
保健看護学科専門教育科目(単位数)と履修時期
学
科
専
門
科
目
○
○
○
○
○
○
○
○
○
1
○
②
○
①
○
①
○
1
○
看護学概論
② ○
基本看護技術論Ⅰ
① ○
基本看護技術論Ⅱ
②
○
基礎看護援助論Ⅰ
③
○
基礎看護援助論Ⅱ
③
看護過程演習
①
成人慢性期看護学Ⅰ
②
成人慢性期看護学Ⅱ
①
成人急性期看護学Ⅰ
②
成人急性期看護学Ⅱ
①
老年看護学
②
○
○
○
○
地域看護活動論
①
在宅看護論
②
ふれあい実習
① ○
生活援助実習
①
看護過程実践実習
②
成人慢性期看護学実習
③
○
(○)
実 成人急性期看護学実習
践
領 精神看護学実習
域 母性看護学実習
③
○
(○)
②
○
(○)
○
○
○
○
②
○
(○)
小児看護学実習
③
○
(○)
老年看護学実習
②
○
(○)
在宅看護論実習
②
○
(○)
地域看護学実習
②
○
(○)
看護研究概論
①
看護セミナーⅠ
①
看護セミナーⅡ
③
○ ○
1
○
1
○
1
○
看
護 看護制度論
発
展 先進医療看護論
領 ターミナルケア論
域
災害看護論
○
○
1
○
ピアカウンセリング
1
○
総合看護論
①
○
(注)
※単位数の○は必修科目を示す。
※各セメスターの○は履修時期を示す。
※成人慢性期看護学実習,成人急性期看護学実習,
精神看護学実習,母性看護学実習,
小児看護学実習,老年看護学実習,
在宅看護論実習,地域看護学実習の8科目は
Ⅵ期またはⅦ期に集中して履修する。
○
○
○
○
○
○
○
成人精神老年看護学演習
②
○
老年福祉看護論
①
○
精神看護学
②
○
1年 2年 3年 4年
ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ Ⅷ
堀井直子
足立はるゑ
山口直己
近藤暁子 横手直美
荒川尚子
中山奈津紀
三浦清世美
石黒彩子
表1-1 Ⅰ期~Ⅷ期の自己評価得点の比較 (教育目標1~3)
教 育 目 標
行 動 目 標
1 〔倫理的判断力〕
1) 人間としての尊厳と権
人を人として尊ぶ心を
利を尊重し、人々の価
養い、看護専門職者と
値観、習慣、信念に十
して、対象の意志決定
分配慮した行動ができ
の支援および権利が擁
る
護できる倫理的判断力 2) 看護場面における倫理
問題について倫理原則
を身につける。
を適用して説明できる
到 Ⅰ期(N=80) Ⅱ期(N=80) Ⅲ期(N=79) Ⅳ期(N=78) Ⅴ期(N=76) Ⅵ期(N=74) Ⅶ期(N=68) Ⅷ期(N=67)
達
度 Mean±SD Mean±SD Mean±SD Mean±SD Mean±SD Mean±SD Mean±SD Mean±SD
C4
1.8 ± 0.6 2.1 ± 0.6 2.5 ± 0.7 2.9 ± 0.7 3.4 ± 0.8 3.9 ± 0.8 4.2 ± 0.7 4.7 ± 0.6
***
C2
C4
4) 対象の意思決定に必要
な情報を適切な方法で
提供できる
C31
2 〔援助的人間関係の形 5) 理論・原理に基づき、
成〕
対象に合ったコミュニ
ヒューマンケアを実践
ケーション技法を活用
できる人間性を養う中
できる
で、多様な価値観を持 6) コミュニケーション技
つ対象の思いや考えを
法を用いて、対象と信
理解し、援助的人間関
頼関係を築くことがで
係を形成できる能力を
きる
身につける。
7) 信頼関係を築く中で、
対象の思いや考えに共
感できる
C4
***
***
***
***
***
***
***
***
***
1.9 ± 0.7 2.3 ± 0.7 2.7 ± 0.8 3.3 ± 0.9 3.7 ± 0.9 4.1 ± 0.8 4.5 ± 0.7 4.8 ± 0.5
***
***
***
***
***
***
***
1.6 ± 0.6 1.9 ± 0.7 2.3 ± 0.7 2.8 ± 0.8 3.1 ± 0.8 3.5 ± 0.8 4.0 ± 0.7 4.6 ± 0.7
***
***
***
***
***
***
***
***
***
1.8 ± 0.6 2.2 ± 0.7 2.7 ± 0.8 3.2 ± 0.7
C4
***
3.7 ± 0.7 4.1 ± 0.7 4.5 ± 0.6
***
***
***
1.8 ± 0.7 2.2 ± 0.7 2.8 ± 0.8 3.3 ± 0.8 3.8 ± 0.7 4.2 ± 0.7 4.6 ± 0.6
***
C4
***
***
1.4 ± 0.6 1.7 ± 0.6 2.1 ± 0.7 2.4 ± 0.7 2.8 ± 0.7 3.2 ± 0.8 3.9 ± 0.7 4.4 ± 0.7
***
3) 守秘義務を遵守し、個
人情報の保護が適切に
できる
***
***
***
***
***
***
2.1 ± 0.7 2.4 ± 0.7 2.7 ± 0.7 3.1 ± 0.8 3.5 ± 0.8 4.0 ± 0.7 4.4 ± 0.7 4.7 ± 0.5
**
***
***
***
**
***
***
3 〔看護援助における問 8) 対 象の看 護に必要な情 C4
1.7 ± 0.6 1.9 ± 0.6 2.4 ± 0.6 2.9 ± 0.6 3.3 ± 0.7 3.7 ± 0.7 4.2 ± 0.7 4.5 ± 0.7
題解決力〕
報を収集し記述できる
対象の健康と生活に関
する問題を改善または
***
***
***
***
***
***
***
解決するために、科学 9) 対象の健康レベル、身 C4
±
±
±
±
±
±
的根拠を基盤とした看
1.4
0.6 1.9
0.7 2.5
0.8 3.1
0.7 3.6
0.7 4.0
0.6 4.5 ± 0.7
体的状態、精神・心理
護過程(アセスメン
的状態、社会的状態を
ト、看護診断、計画、
アセスメントできる
***
***
***
***
***
***
実施、評価)が展開で
10)
対
象の成 長発達状態を C4
きる。
±
±
±
±
±
±
1.5
0.6 1.9
0.6 2.5
0.8 3.0
0.9 3.6
0.7 4.0
0.7 4.5 ± 0.7
アセスメントできる
*看護過程1)~9)
すべての段階におい
て、理論、原理、お
よび科学的根拠のあ
る文献などを活用
し、提供する看護の
根拠を説明できる
***
***
***
***
***
***
11) 情 報を統 合し看護診断 C4
1.5 ± 0.5 1.6 ± 0.5 2.0 ± 0.6 2.5 ± 0.7 3.1 ± 0.8 3.6 ± 0.6 4.1 ± 0.7 4.5 ± 0.7
を記述できる
**
12) 対象の状況を判断し、
看護診断の優先順位を
設定できる
C4
13) 対象のニーズを考慮し
た問題解決のための目
標が設定できる
C4
***
***
***
***
***
***
1.3 ± 0.5 1.5 ± 0.6 1.9 ± 0.6 2.5 ± 0.7 3.1 ± 0.8 3.7 ± 0.7 4.2 ± 0.7 4.6 ± 0.7
***
***
***
***
***
***
***
1.2 ± 0.5 1.6 ± 0.6 2.1 ± 0.6 2.5 ± 0.7 3.1 ± 0.7 3.5 ± 0.7 4.1 ± 0.7 4.5 ± 0.7
***
***
***
***
***
***
***
14) 目 標達成 のための看護 C4
1.3 ± 0.5 1.6 ± 0.6 2.0 ± 0.7 2.5 ± 0.7 3.1 ± 0.7 3.5 ± 0.7 4.2 ± 0.6 4.5 ± 0.7
計画を立案できる
***
15) 看 護計画 にもとづいた C4
看護援助を提供できる
***
***
***
16) 継続的なアセスメント
にもとづいた看護問題
の評価、計画の変更お
よび優先順位の変更が
できる
C4
<到達度>
C1 : 概念を把握する
C2 : 技術を知る
C31: 基礎レベルで適切な助言のもと実施できる
C32: 応用レベルで適切な助言のもと実施できる
C4 : ひとりで実施できる
***
***
***
***
1.6 ± 0.7 2.1 ± 0.8 2.6 ± 0.8 3.1 ± 0.8 3.6 ± 0.7 4.2 ± 0.7 4.4 ± 0.7
1.2
±
0.4 1.4
0.5 1.8
***
***
***
±
0.6 2.3
***
<評価基準>
1: まったくできない 0~19%
2: 少しできる 20~39%
3: まぁまぁできる
40~59%
4: かなりできる
60~79%
5: 十分できる
80~100%
N: 該当なし
***
±
0.7 2.9
***
***
±
0.7 3.4
***
***
±
0.6 4.1
***
***
±
0.6 4.5 ± 0.7
***
*** < .001, ** < .01, * < .05
はN該当項目
65
保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入
表1-2 Ⅰ期~Ⅷ期の自己評価得点の比較 (教育目標4~6)
教 育 目 標
行 動 目 標
到 Ⅰ期(N=80) Ⅱ期(N=80) Ⅲ期(N=79) Ⅳ期(N=78) Ⅴ期(N=76) Ⅵ期(N=74) Ⅶ期(N=68) Ⅷ期(N=67)
達
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
度 Mean±SD
C4
4 〔看護技術の習得〕 17) 理論、原則、および科
学的根拠のある文献に
対象に応じた適切な看
もとづき看護技術を提
護技術を選択し、提供
供できる
できる。また、効果的
な看護技術の開発の必 18) 対象に応じた適切な看 C32
要性を理解する。
護技術を選択し、実施
できる
1.7 ± 0.8 2.2 ± 0.7 2.6 ± 0.8 3.0 ± 0.7 3.5 ± 0.7 4.0 ± 0.7 4.3 ± 0.7
***
21) 看護技術を提供する
際、自分自身の安全管
理行動がとれる
C4
***
***
***
***
***
***
***
***
***
***
***
***
1.9 ± 0.7 2.4 ± 0.7 2.8 ± 0.8 3.2 ± 0.9 3.6 ± 0.8 4.1 ± 0.7 4.6 ± 0.6
***
***
***
***
***
***
1.9 ± 0.7 2.5 ± 0.7 3.0 ± 0.8 3.3 ± 0.8 3.8 ± 0.7 4.3 ± 0.8 4.7 ± 0.6
***
22) 自分自身または他のケ C32
ア提供者の技術を振り
返ることにより、技術
の向上のための様々な
方法を討論できる
***
2.0 ± 0.6 2.3 ± 0.7 2.8 ± 0.7 3.2 ± 0.8 3.7 ± 0.8 4.1 ± 0.8 4.6 ± 0.7
***
20) 看護技術を提供する
C32
際、対象の安楽を促進
するための工夫ができ
る
***
1.8 ± 0.8 2.4 ± 0.7 2.9 ± 0.7 3.2 ± 0.7 3.6 ± 0.7 4.2 ± 0.7 4.6 ± 0.6
***
19) 看護技術を提供する
C32
際、対象に対し安全な
実践を促進できる
***
***
***
***
***
***
1.8 ± 0.8 2.3 ± 0.8 2.8 ± 0.9 3.1 ± 0.9 3.6 ± 0.8 4.0 ± 0.8 4.4 ± 0.8
***
***
***
***
5 〔看護専門職者として 23) 看護専門職者としての C4
1.6 ± 0.6 2.0 ± 0.6 2.4 ± 0.6 2.8 ± 0.7 3.1 ± 0.8 3.7
のアイデンティティ-の形成〕
適切な態度で行動でき
る
理論と実践の統合を通
して看護の役割を理解
***
***
***
***
***
し、看護専門職者とし 24) 学習体験を通し、自己 C4
てのアイデンティ
2.0 ± 0.6 2.3 ± 0.6 2.6 ± 0.7 3.0 ± 0.8 3.3 ± 0.8 3.7
理解を深め自分自身の
ティーを形成する。
価値や尊さに気づくこ
とができる
**
***
***
***
***
25) 学習体験を通して、自 C4
1.7 ± 0.7 2.1 ± 0.7 2.4 ± 0.7 2.9 ± 0.7 3.2 ± 0.8 3.6
己の課題を明らかに
し、解決するための行
動ができる
***
***
***
***
***
26) 既習の知識と看護実践 C4
1.7 ± 0.7 1.8 ± 0.7 2.0 ± 0.7 2.5 ± 0.8 2.9 ± 0.9 3.4
を統合し、自己の看護
観を述べることができ
る
n.s.
***
***
***
***
***
±
0.8 4.2 ± 0.8 4.7 ± 0.6
***
±
***
0.7 4.1 ± 0.8 4.7 ± 0.6
***
±
***
0.8 4.2 ± 0.7 4.7 ± 0.6
***
±
***
***
0.8 4.0 ± 0.8 4.6 ± 0.7
***
***
6 〔保健・医療・福祉チー 27) 保健医療福祉システム C2
1.4 ± 0.6 1.8 ± 0.7 2.2 ± 0.8 2.5 ± 0.9 3.1 ± 0.7 3.6 ± 0.7 4.4 ± 0.8
について説明できる
ムにおける協働〕
対象のニーズに合った
援助をコーディネート
***
***
***
***
***
***
するため、保健・医 28) 保健医療福祉システム C32
療・福祉チームにおけ
1.6 ± 0.6 1.8 ± 0.6 2.0 ± 0.7 2.3 ± 0.8 2.6 ± 0.9 3.2 ± 0.8 3.7 ± 0.7 4.3 ± 0.8
の中での看護の役割を
る他職種との協働や役
説明できる
割分掌を理解する。
**
29) 看護の役割を遂行する
ために、状況に応じた
リーダーシップおよび
メンバーシップのあり
方を討論できる
<到達度>
C1 : 概念を把握する
C2 : 技術を知る
C31: 基礎レベルで適切な助言のもと実施できる
C32: 応用レベルで適切な助言のもと実施できる
C4 : ひとりで実施できる
66
C2
***
***
***
***
***
***
1.3 ± 0.6 1.5 ± 0.7 1.9 ± 0.8 2.2 ± 0.9 2.6 ± 0.9 3.1 ± 0.8 3.6 ± 0.8 4.2 ± 0.8
**
***
***
<評価基準>
1: まったくできない 0~19%
2: 少しできる 20~39%
3: まぁまぁできる
40~59%
4: かなりできる
60~79%
5: 十分できる
80~100%
N: 該当なし
***
***
***
***
*** < .001, ** < .01, * < .05
はN該当項目
堀井直子
足立はるゑ
山口直己
近藤暁子 横手直美
荒川尚子
中山奈津紀
三浦清世美
石黒彩子
表1-3 Ⅰ期~Ⅷ期の自己評価得点の比較 (教育目標7~9)
教 育 目 標
行 動 目 標
7 〔看護活動のマネジメント〕 30)
看護専門職の自律性を
高めるために、看護マ
ネジメントの方法を理
解する。
31)
看護専門職者として自
律するために、自己マ
ネジメントができる
到
達
度
Ⅰ期(N=80)
Ⅱ期(N=80)
Ⅲ期(N=79)
Ⅳ期(N=78)
Ⅴ期(N=76)
Ⅵ期(N=74)
Ⅶ期(N=68)
Ⅷ期(N=67)
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
Mean±SD
C4 2.2 ± 0.9 2.3 ± 0.8 2.6 ± 0.9 2.9 ± 0.8 3.1 ± 0.7 3.4 ± 0.7 3.9 ± 0.8 4.4 ± 0.7
n.s.
**
***
**
***
***
***
状況に応じた組織マネ
ジメントの方法が説明 C1
できる
32) 看護援助における質の
保証の必要性を、理
論、原理、文献、およ
び体験にもとづき説明
33) できる
社会の動向や保健医療
3.8 ± 1.0
C1 1.5 ± 0.6 1.7 ± 0.7 1.9 ± 0.7 2.2 ± 0.7 2.6 ± 0.8 3.1 ± 0.8 3.6 ± 0.8 4.2 ± 0.8
**
**
***
***
***
***
***
福祉にかかわる社会の C2 1.6 ± 0.6 1.8 ± 0.6 2.0 ± 0.7 2.2 ± 0.8 2.6 ± 0.8 3.1 ± 0.8 3.5 ± 0.7 4.2 ± 0.8
ニーズを見極め、求め
られる看護のあり方に
**
**
***
***
***
***
***
ついて述べることがで
きる
8 〔探究心・研究的思 34) 看護における課題や疑
± 0.7 2.0 ± 0.7 2.3 ± 0.8 2.6 ± 0.9 3.0 ± 0.8 3.4 ± 0.8 3.8 ± 0.8 4.4 ± 0.7
問の解決に向けた国内 C4 1.7
考〕
外の文献・情報収集が
看護における課題・疑
できる
問に対し、自ら探求し
***
***
***
***
***
***
***
解決するための研究的 35) 研究論文を適切にクリ
±
±
±
C32
思考を身につけ、看護
2.0
0.8 2.7
0.9 3.2
1.0 4.0 ± 0.9
ティークできる
実践に活用できる。
***
36) 看護実践の充実に向け
て科学的根拠のある研 C32
究成果が活用できる
1.3
±
0.5 1.7
***
9 〔国際協力・支援〕 37) 異なる国や民族の健康
問題や看護に対する考
国際的な視点で健康問
え方・態度・生活習慣
題を捉え、看護を通じ
を尊重しながら、看護
て国際協力・支援活動
専門職者として望まし
への関心を持つことが
い対応について述べる
できる。
ことができる
38) 国際保健医療関連組織
の活動を知り、国際社
会における看護専門職
者の役割を述べること
ができる
<到達度>
C1 : 概念を把握する
C2 : 技術を知る
C31: 基礎レベルで適切な助言のもと実施できる
C32: 応用レベルで適切な助言のもと実施できる
C4 : ひとりで実施できる
±
0.7 2.0
±
***
0.9 2.3
***
±
0.9 2.8
***
***
±
0.9 3.3
***
±
***
0.8 4.1 ± 0.9
***
1.4 ± 0.6 1.8 ± 0.7 2.1 ± 0.8 2.3 ± 0.9 2.7 ± 0.9 3.1 ± 1.0 4.0 ± 1.0
C1
***
***
**
***
***
***
C1 1.4 ± 0.5 1.6 ± 0.6 1.8 ± 0.7 1.9 ± 0.8 2.2 ± 0.9 2.6 ± 1.0 3.0 ± 1.0 3.9 ± 1.0
*
**
*
<評価基準>
1: まったくできない 0~19%
2: 少しできる 20~39%
3: まぁまぁできる 40~59%
4: かなりできる
60~79%
5: 十分できる
80~100%
N: 該当なし
***
***
***
***
*** < .001, ** < .01, * < .05
はN該当項目
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