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頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進
R2804 理化学研究所 頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム 3.国際共同研究 3-(1) 全体概要 【採択時公表】 本欄には、本事業を実施することにより、到達目標へどのように繋げていくのかを、2.に記載した実施体制等を含めて、 全体的な概念を図等を使って分かりやすく示した上で、以下に続く3-(2)研究目的及び到達目標、3-(3)研究計画・ 方法の各項目について全体的な概要を簡潔にまとめて記述してください。 (図と記述で 1 頁以内) なお、本欄(3-(1) )は採択された場合、採択後本会 HP 等で公表される予定です。 〔研究目的及び到達目標〕 研究目的 宇宙初期のビッグバンは、時空の加速膨張「インフレーション」が種火となって生み出され た。そして、ビッグバンと共に生み出された原始重力波の存在を示すことがその決定的な検証となる。宇 宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光の大角度スケール渦パターン「原始重力波 B モード」は、その最良のプ ローブの一つである。これに対し、2014 年に BICEP2 実験が B モード信号の兆候を報告したが、のちに銀 河ダストを主成分とする前景放射の残差と誤差が大きいことが明らかとなり、依然として未発見のままで ある。その決着をつけるうえで、広い天空域の観測による「空間スペクトル測定」が切望されている。そ こで本プログラムでは、CMB 偏光観測実験「GroundBIRD」を行い、独自の先駆的技術を駆使して広範囲に わたる B モード空間スペクトル測定を世界で初めて実現する。連携機関が運営する実験と協力し、多帯域 にわたる観測データを統合解析するとともに、前景放射に対してもロバストな国際研究網を構築する。 到達目標 究極性能を有する超伝導ミリ波センシング技術、広い天空域の観測を可能とする独自の先駆 的技術、前景放射の高精度除去を可能にする多帯域観測の 3 つを融合し、広範囲にわたる B モードの空間 スペクトル測定を実現する。具体的には以下の目標達成を目指す。 (a)世界一の実装実績を誇るオランダ 宇宙研究所(SRON)と協力し、最先端の超伝導検出器 MKID を開発・生産する。 (b)カナリア天文物理研 究所(IAC)が保有する観測サイトに GroundBIRD 望遠鏡を建設し、超伝導検出器を実装して観測を実行す る。 (c)IAC が同サイトにて運営する低周波域の望遠鏡(QUIJOTE)と連携し、観測帯域の量を 3 倍に拡 大する(多帯域性の追求) 。これらにより、CMB の前景放射(ダスト放射とシンクロトロン放射)を高精 度で理解し、超精密 CMB 偏光観測を可能とする戦略的研究ネットワークを構築する。また、本頭脳循環 は、当該分野でのオランダ-スペイン間の国際連携を初めて構築するという重要な役目も果たす。 〔研究計画・方法〕 21 22 先行研究 本プログラム期間 平成年度 平成年度 23 24 25 26 28 27 29 30 期間後 ・・・ 31 検出器高感度化研究 超伝導検出器開発 検出器マスプロダクション に向けた国際共同研究 光学系 派遣③、招へい①、②、③ 担当研究者+期間後の連携 検出器マスプロダクション 統 合 望遠鏡建設・ 化 検出器実装 冷凍機 GroundBIRD観測(CMB+ダスト) 高速回転機構 画 CMB・前景放射統合解析 派遣④、招へい①、②、④ 担当研究者+期間後の連携 超伝導ミリ波 センシング × 広天域観測 多帯域観測 理 物 基盤(S)、新学術領域・計 研究、 基盤(A)、若手(A)、三菱財団助成、 総研大学融合事業、国立天文台共 同開発研究事業など 派遣①、招へい③ 担当研究者+期間後の連携 オランダ宇宙研究 所(SRON), デルフ ト工科大との連携 QUIJOTEによるシンクロトロン放射観測・解析 平成25年度よりIACと観測に関する研究交流開始 3回にわたる観測サイト視察 留 生 平成22年度より、SRONやデルフト工科大と技術交流開始 平成27年度には大学院 が3ヶ月間 学 派遣②、招へい①、② 担当研究者+期間後の連携 研 カナリア天体 究所(IAC)との連携 原始重力波Bモード 空間スペクトルの測定 連携機関と日本側チームの専門性を融合した新たな国際研究ネットワークを構築する。計画概要と派遣 者・招へい者の役割分担を上図に示す。本研究の成功の鍵となる GroundBIRD 望遠鏡の開発・製作は先 行して進んでいる。それぞれの目標達成へ向け、以下の研究体制で遂行する。 目標(a) 派遣者①,③が中心となり、SRON のノウハウを導入して超伝導検出器の開発・生産を行う。 目標(b) 派遣者③,④が IAC と協力し、GroundBIRD 望遠鏡の建設・観測・CMB 解析を主導する。 目標(c) 派遣者②がいち早く IAC に乗り込み、前景放射の理解を追求する国際共同研究を展開する。 また、本研究を円滑かつ効率的に推進するために連携機関研究者を招へいする。平成 28 年度から(a)、(c) を開始し、(b)は日本側の準備が整う平成 29 年度より開始する。すでに IAC とは MoU と協定の締結の準 備を進めており、また、SRON とは大学院生留学をはじめとする交流実績を有するため、迅速に研究開始 可能である。また、IAC とは GroundBIRD 望遠鏡の開発・運営を行うマッチングファンドが本プログラ ム期間後も継続する予定で、共同研究・ネットワークの維持が見込める。なお、IAC が実施する QUIJOTE 実験との統合解析や検出器共同開発は上記のファンドの枠組みには入りきらないため、本プログラムで実 行能力を得る。 ※本ページは増やせません。 (平成28年度公募) 4