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4.個人差の測定 (1)いろいろな分野に関わる 人格心理学における測定
15/12/04 (1)いろいろな分野に関わる 4.個人差の測定 (1)いろいろな分野に関わる (2)有名な人々 (3)研究例(ひねくれ) 人格心理学における測定 • 類型論:いくつかの型に分類する。 クレッチマーの体型と気質類型 細長型=分裂気質(非社交的、無口、きまじめ) 肥満型=循環気質(高揚と沈滞) 頑健型=粘着気質(几帳面、鈍重、爆発性) • 特性論:複数の特性の組み合わせで記述。 キャッテルの12特性モデル 現代の5因子モデル(BIG5):脳との関係を考慮。 知能研究における測定 • 知能:知識と才能。「目的的に行動し、合理 的に思考し、効果的に環境を処理する総 合的な能力」 • 知的障害児の早期発見や効率のよい徴兵 検査などの目的で、19世紀末から盛んに 知能検査が開発された。単一因子説、多 因子説などが登場。 • 現場では有効なツールだが、批判も多い。 • 人格心理学における測定 質問紙法、投影法などなど • 知能研究における測定 言語検査、非言語検査 • 測定そのものの研究 教育心理学での「測定と評価」 数理心理学、計量心理学ともいう Psychometrics 人格心理学における測定 測定の技法 (1)面接法 (2)投影法(ロールシャッハ、文章完成法、 バウム・テストなど) (3)質問紙法(MPI,YG,MMPIなど) 測定そのものの研究 • 信頼性と妥当性の高い質問紙の開発 • データ処理・統計分析の手法の開発 • 生徒の能力をいかに的確に評価するか、と いう問題は、そもそも「知的能力」とは何か、 という原理的問題の検討が必須。 • 言語的知能と非言語的知能 1 15/12/04 (2)有名な人々 Sir Francis Galton, 1822-‐1911 ダーウィンのいとこ。裕福な家系に生まれ、 生涯を学問研究に捧げる。人類学、気象 学など、あらゆる分野に関与。1884年に 「世界健康展覧会」で「人間測定実験室」 を開設。9337人のデータを取ったという。 著書多数。「遺伝的天才」、「人間能力の 研究」。共感覚など、多数の先駆的研究。 統計研究を進め、 1901年にBiometrikaを 創刊。ロンドン大学に優生学講座を開設。 ロンドン大学は生物統計学の中心地とな り、ピアソン、バート、スピアマンなどが輩 出。 (2)有名な人々 Hermann Rorschach, 1884-‐1922 スイス生まれの精神科医。幼いこと からインクのシミで遊ぶのが趣味 だったという。流行の遊びだったら しい。チューリヒ大学でオイゲン・ブ ロイラーに師事。精神分析の影響 のもとでインクのシミを精神医学診 断に用いることを構想。ビネーも同 様の構想を持っていたという。1921 年に「精神診断法」を出版。その直 後に腹膜炎で若くして死す。 (3)研究例(ひねくれ) • 人間以外の動物における性格次元 • Gosling, S.D. and John, O.P. (1999). Personality Dimensions in Nonhuman Animals: A Cross-‐Species Review. Current Direc+ons in Psychological Science, 8(3), p 69-‐75. • 進化論的には、身体的特徴のみが淘汰圧にさらされて、心 理学的特徴はその例外であるとする根拠は何もない。この 論文では、従来の研究をまとめて動物の性格特徴の主要な 次元は何なのかについて論じている。 • BIG5モデル:不安(N)、同調性(A)、向性(E)、好奇心(O)、 衝動性(C) • チンパンジー、ゴリラ、カニクイザル、ベルベットモンキー、ハ イエナ、犬、猫、ロバ、豚、ラット、グッピー、タコ、の行動を観 察。 (2)有名な人々 Alfred Binet, 1857-‐1911 フランス生まれ。ソルボンヌ大学の 生理心理学実験室を指導。動物磁 気や骨相学を研究を経て「知能の実 験的研究」を創始。思考は観念の連 合以上のものと主張。1905年にパリ 教育局の要請で精神遅滞児の選別 基準として「ビネー・シモン式知能テ ストを開発。このテストはのちに「スタ ンフォード・ビネー式検査」、「田中・ ビネー式検査」となる。 (2)有名な人々 Joy P. Guilford, 1897-‐1987 スピアマンの知能の一因子説を 批判し、多因子モデルを構想。 内容x操作x所産の3次元で構成 される計4x5x6=120種類の知 能を区別する「知能の立方体モ デル」を提唱。因子分析法を発 展させる。 「精神測定法」(1959)はその後 の心理学における統計技法の バイブルとなった。 (3)研究例(ひねくれ) • E(外向・内向)、N(不安)、A(同調性)は多 くの動物に共通? • E,Nは12種すべてに見られ、Aはグッピーとタコ を除くすべてに見られた。この驚くべき一致は、こ れらの特性が基本的な生物学的傾向のあらわれ である事を示唆。 • しかしその現われ方は種によって異なる。内向的 な人間はパーティでも隅に引っ込んでいるが、大 胆さに欠けるタコは餌を食べるときも蛸壺に隠 れて、体色を変えたり墨を吹いたりして自分を隠そ うとする。 2 15/12/04 (3)研究例(ひねくれ) • C(衝動性と熟慮性)は人間とチンパンジー だけ? • Cが独立の因子として抽出されたのはチン パンジーのみであった。 • C因子は、規範に従う、行動前に考える、 衝動をコントロールする、などの「超自我」 的な側面を含む。こうした側面は、比較的 最近の霊長類の進化において始めて現れ たものなのかもしれない。 (3)研究例(ひねくれ) • 性差 • 人間では男性より女性のほうが一般にN(不安) が高い。しかしハイエナでは反対で、オスのほうが メスよりも不安傾向が高いことがわかった。ハイエ ナの社会は母系性で、メスのほうが体が大きくて 支配的である。 • このように、性格の性差というものは、その動物 種における両性の生態学的ニッチによって影響を 受けることが明らかであり、性格が生物学的要因 と社会学的要因の相互作用によって形成されるこ とを示す。比較研究の重要性を示す例である。 3