Comments
Description
Transcript
C10G-0081H リチウムイオン二次電池材料分析・試験
C10G-0081H 性能•安全性向上に貢献する Analysis and Testing of Lithium Ion Battery Materials リチウムイオン二次電池材料分析•試験 ― 活物質、電解液、セパレータからセルまで ― ■ セパレータ ■ 電 解液 ● 成分分析:FTIR P.6 ● 熱特性評価、熱重量測定:DSC、TGA ● 加熱観察(細孔状態の変化):SPM P.7 ● 成分分析:GCMS、GC P.12 P.5 ● 細孔測定:オートポア P.7 ● 充電容量低下後の生成物解析:LCMS-IT-TOF P.13 ● 熱特性(融解、収縮):DSC、TMA P.8 ● 定性分析:XRD P.8 ● 突き刺し強度試験:材料試験機 P.9 ● 圧縮試験:MCT P.9 ● 引張試験/XY軸伸び幅計測:材料試験機 ● 損傷セパレータのひずみ観察:DIC解析 P.9 , P.10 P.11 セル断面 正極 正極集電箔 正極活物質 電解液 負極 導電助剤 セパレータ バインダー 負極活物質 負極集電箔 ■ 活 物質 ● 粒径、分散・凝集評価:SALD P.4 ● 活物質材料の微小圧縮試験:MCT P.4 ● 表面・深さ方向の化学状態:XPS P.6 ● 結晶構造:XRD P.8 ● 正極・負極材の観察:X線CT ● マッピング観察(EPMA)および導電性マッピング観察:SFT、SPM P.14 P.3 , P.6 ■ セル・モジュール 2 ● 小型二次電池のひずみ観察:DIC解析 P.11 ● セルからの発生ガス分析:GC、GCMS P.12 ● 小型LiBの非破壊内部構造観察:X線CT P.15 正極断面の活物質 / バインダ界面観察、導電性分布の微視的観察 LiCoO2 LiCoO2 LiCoO2 LiCoO2 PVdF PVdF レーザー顕微鏡画像(倍率約 2400 倍) SPM 高さ画像(倍率約 5000 倍) SPM 高さと導電性の重ね合わせ画像 赤色部が導電性の良い (電流値大) 部分を 示しています。 試料提供:株式会社住化分析センター様 リチウムイオン電池材料研究センター (LIBTEC)様 導電性マッピング模式図 試料に電圧を印加しながら導電性カンチ レバーに流れる電流量を測定、画像化 A 導電性が低い(抵抗が大きい)ために カンチレバーに流れる電流量は小さい 導電性が高い(抵抗が小さい)ために カンチレバーに流れる電流量は大きい 天然黒鉛表面画像 レーザー顕微鏡画像 (倍率約 2400 倍) 人造黒鉛表面画像 SPM 高さ画像 (倍率約 20,000 倍) レーザー顕微鏡画像 (倍率約 2400 倍) SPM 高さ画像 (倍率約 20,000 倍) 試料提供:日本黒鉛工業株式会社様 日立化成株式会社様 負極材(グラファイト)の観察 レーザー顕微鏡輝度像 (約 2400 倍) レーザー顕微鏡輝度像 (約 6000 倍) SPM 形状像(約 10 万倍) SPM 位相像(約 10 万倍) ・ 電気化学用溶液セル:電解溶液中で電気化学反応による試料表面の変化をAFM観察。 ・ 雰囲気制御ユニット:嫌気・嫌水試料の観察、試料を過熱・冷却しながらの観察が可能。 ・ グローブボックスへの設置、運用実績あり。 ナノサーチ顕微 微鏡 SFT-4500 走査型プロ ブ顕微鏡 走査型プローブ顕微鏡 SPM-9700 走査型レーザー顕微鏡と 走査型プローブ顕微鏡を 一台に集約 3 カーボンブラックの粒子径、分散 / 凝集評価 カ ー ボ ン ブ ラック は 光 を 吸 収し や すく測 定 が 相対粒子量(頻度) 困 難 で す が 、S A L D - 2 3 0 0 で は 散 乱 光 の 高 感 度 測 定 を 実 現しており、分 散 処 理 前 の 凝 集 体 から の 強 い 散 乱 光 だ け で な く、分 散 処 理 後 の サ ブ ミクロン 粒 子 からの 弱 い 散 乱 光であっても信 頼 性 の 高 い 測 定を行うことができます。 分散状態が異なるカーボンブラック粒子の測定 ・ 粒子径測定範囲:17 n m∼2500 µm ・ 0.1p p m ∼20%までの粒子濃度に対応 ・ 最短1秒間隔での連続測定機能により分散・凝集の過渡現象をモニタできます。 ・ 試料量15 µL から300 mLまでに対応(オプション選択) レーザー回折式粒子径分布測定装置 SALD-2300 シリーズ 相対粒子量(頻度) 相対粒子量(積算) 電極スラリーの高濃度測定 高 濃 度 サンプル 測 定 定ユ ユ ニットを用 い れ ば、 ば 活物質や導電助剤 単 体 だ け で なく、高 濃 度 な 電 極 スラリー を 最 小 限 の 希 釈 で 高濃度サンプル測定ユニットSALD-HC23と測定例 測 定 することができます。 正極・負極活物質の微小圧縮試験 上部加圧圧子 試料散布 試料情報と試験結果 下部加圧盤 試料名 破壊試験力[mN] 粒子径[µm] LiMn2O4 1.67 13.0 強度[MPa] 7.79 LiCoO2 16.23 13.3 72.75 活物質圧縮試験の概念図 活物質の圧縮試験結果 測 長 キットにより画 面 上 で 試 料 の 長 さ測 定・画 像 保 存 を、抵 抗 測 定 キットにより 導 電 性 微 粒 子 の 接 続 抵 抗と圧 縮 率との 相 関を得ることができます。 高 温システムにより室 温 から2 5 0 ℃まで の 高 温 環 境 下で の 微 小 圧 縮 試 験 が 可 能。 上 下 の 圧 盤を電極として使 い、圧 縮 試 験を行 い な がら電 気 抵 抗を測 定します。 微小圧縮試験機 MCT シリーズ 4 充放電前後の正極活物質と電解液の熱特性評価 未 充 電 の 正 極 活 物 質と電 解 液 を S U S 製 耐 圧 セ ル に サン 充 電 後 の 電 池より得られ た 正 極 活 物 質と電 解 液 を 同 様 プリングし測 定しました 。3 0 0 ℃ 付 近 に 小 さな 発 熱 変 化 に 測 定しました 。充 電 により活 物 質 が 不 安 定 に なり2 0 0 が観察されます。 ℃ 付 近より分 解 による大きな 発 熱ピークが 観 察されます。 SUS 製耐圧セル 示差走査熱量計 DSC-60 Plus ジグ 油圧プレス 電 解 液 を 測 定しました 。3 0 0 ℃ 付 近 で 分 解 によると見ら 電 池 部 材 は S U S 製 耐 圧 セ ル に 封 入 後 D S C で 測 定します。 れるシャープな発 熱ピークが 観 察されます。 今 回 、非 常 にコン パクトでグ ロ ーブ ボックス 内 で の 操 作 が 容 易 な 油 圧プレスを用 いて試 料 作 製を行 いました。 TGAによる電極材料の水分、揮発分の測定 T G A により正 極 材 料 、負 極 材 料として 使 用 さ れる L i F e P O 4 、天 然 黒 鉛 200.00℃ −0.033% (日本 黒 鉛 製 )、L i T i O 2 粉 末 を 加 熱しそ の 水 分 、揮 発 成 分 率 の 測 定 を 行 いました。 各試料とも200℃まで の減量率を示しました。 特 に 、黒 鉛 の 測 定 に は T G A - 5 1 マクロ 型 熱 重 量 測 定 装 置 + 大 型 セ ル を 用 い 、1 g 以 上 の 天然黒鉛 試 料 を サンプリング することにより、微 量 な 減 量を検 出 することができました。 熱重量測定装置 TGA-50/51 200.00℃ −0.214 % LiFePO4 110.00℃ −2.387 % 200.00℃ −3.245 % LiTiO2 5 正極活物質の分散確認やバインダー および導電助剤の分布観察 活物質表面皮膜(SEI)の化学状態評価 ・ トランスファーベッセルによる大気非暴露分析(オプション) タ オ ダ の深さ方向分析 ・ ナノメ ナノメーターオーダーの深さ方向分析 電子線マイクロアナライザ EPMA-1720/1720H KRATOS イメージング X 線光電子分析装置 AXIS-ULTRADLD セパレータの組成・成分分析 バ インダ ー、電 解 質 、セ パレ ータの 組 成・成 分 分 析 に 有 効 で す。A T R 法 により前 処 理 を ほとんど必 要とせ ず、材 料 表 面 、薄 膜 の 1 0 µ m 程 度 の 微 小 領 域 の 分 析 が 可 能で す。 赤外顕微システム IRTracer-100 Abs No1 No2 No3 No1_t No2_t No3_t Abs 試料③ 試料③ ポリプロピレン ポリプロピレン 試料② 試料② 試料① 試料① 1500 1400 1300 1200 1100 1000 900 800 1回反射ATR法による表面の分析例 700 1/cm 1500 1400 1300 1200 1100 1000 900 800 700 1/cm 透過法による膜全体の分析 グローブボックスを用いた大気非暴露分析システム例(FTIR) F T I R はメンテナンスが 容 易 なように 本 体をG B 外 側 面 に 設 置し 、透 過 窓 を 通して G B 内 部 に 設 置し た 第 二 試 料 室で 測 定 を 行 います。G B 内 部 の 光 学 系を 設 計 す れ ば 、透 過 法 を 初 め 、反 射 法 、全 反 射 法 等 ご要望の測 定 に 対 応できます。 GB と FTIR 接続例 6 GB 内 FTIR 第二試料室 SPMによるセパレータ細孔観察 よるセパレ タ細孔 ・加熱によるPoreの収縮観察 走査型プローブ顕微鏡 SPM-9700 雰囲気制御システム 試料① 試料② 試料③ 異なる3種セパレータのポア観察 セパレータの融解により徐々にポアが 縮小していく様子がわかります 室温 125℃ 140℃ 試料①の加熱変化 水銀ポロシメータによるセパレータの細孔測定 Log Differential Intrusion (mL/g) 1 2 3 0.5 試料番号 細孔容積(mL/g) メディアン径(µm) ① 0.50 0.18 ② 0.80 0.13 ③ 0.41 0.07 ・ 3種のセパレータの試料細孔につ いてのメディアン径は 試 料 ① > 試 料 ② > 試 料 ③であり、S P M による観 察 結 果と整 合していること がわかります。 ・ 同時に測定した細孔容積では試料②が他に比べて大きいことがわかります。 0.0 0.01 0.1 1 Pore Size Diameter (μm) 3種セパレータの細孔分布測定例 自動ポロシメータ オートポアⅣ 9500 シリーズ 7 熱分析によるセパレータの熱特性評価 DSCによるセパレータの融解測定 示差走査熱量計 DSC-60 Plus TMAによるセ TMAによるセパレータの収縮測定 異 なる3 種 類 の セ パレ ータ、そ れ ぞ れ フィル ム に 微 小 な 引 張 方 向 の 負 荷 を で 1 0 0 ∼ 1 5 0 ℃ に か けてポリエチレン 与えな がら、その 伸 びまた は 収 縮 の 寸 の 溶 解と考 えら れ る 吸 熱 ピ ークが 測 法 変 化 を 測 定しま す。2 種 試 料 を M D 定されました。 方 向( 長 辺 方 向 )と T D 方 向( 短 辺 方 液 体 窒 素 冷 却 槽を内 蔵しており、冷 却 向 )で 測 定 実 施 。試 料 ①と② を比 較 す 過程の測定も可能です。 るとM D 、T Dとも試 料 ② の ほうが 高 温 で 収 縮 が 見られ 、また 試 料 ① 、②とも 熱機械分析装置 TMA-60 収 縮 量 は M D よりT D の ほうが 小 さく、 さらに T D 同 士 の 比 較で は ②より① の 収縮率が小さいことがわかります。 DSC TMA mW μm 5.00 ① 2.00 mg 融解熱量 −134.8 J/g ① TD 0 (PE) 0.00 ② 1.80 mg 融解熱量 −186.3 J/g (PE) ③ 1.98 mg ② TD 130.2°C (PP) −1000 [温度プログラム] 融解熱量 −199.2 J/g (PE) −5.00 −2000 137.1°C −3000 −10.00 10°C/min 137.2°C 50.00 100.00 加熱温度 ホールド温度 ホールド時間 [°C/min] [°C] [min] 10.00 200.0 0 ② MD ① MD −4000 50 150.00 100 150 Temp [°C] Temp [°C] DSC測定結果 TMA測定結果 セパレータの定性分析、活物質の結晶構造解析 ・ 正極材、負極活物質の結晶構造、配向、サイズの解析 ・ セパレータの定性分析、結晶化度、配向度などの解析 ・ ポリキャピラリ光学系により凹凸のある試料表面や曲率面を持つ試料の測定も可 能。 ・ 空 気 あるい は 不 活 性ガス雰 囲 気(N 2 )で 最 高 1 5 0 0 ℃まで の 加 熱 測 定 により各 温 度で の 比較が可能。また試料加熱・低温アタッチメントも利用できます。 X 線回折装置 XRD-6100 X線回折パターン 01-074-3321 (Li0.99Ni0.01 ((Ni0.7Co0.15Al0.15)O2) 01-007-1563 Li(Ni0.7Co0.3)O2 正極材料の回折パターンによる定性分析 8 検索結果 セパレータの引張試験における伸び幅測定 ビデオ式非接触伸び幅計 TRView X 応力−ひずみグラフ 幅の減少量−伸びグラフ 試験の様子 非接触式のビデオ伸 び 幅 計 の 利 用 により、試 験 力と共 に伸 び 幅 の 測 定 が 可 能で す。 異なる雰囲気温度中でのセパレータの突き刺し強度測定 5.0 試験力(N) 60°C 25°C 4.0 3.0 90°C 2.0 1.0 0.0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 変位(mm) 試験力、変位曲線 恒温槽 恒温槽内写真 2 5 ℃と6 0 ℃ に お ける試 験 力 を 比 較 すると、最 大 試 験 力 は 同 等 で す が 、 試験温度に対する最大試験力と最大変位 試験温度(℃) 最 大 変 位 の 値 は 6 0 ℃ に お いて増 大していることが わ かります。6 0 ℃と 最大試験力(N) 最大変位(mm) 25 3.85 4.45 60 4.07 6.63 90 2.13 6.68 9 0 ℃ に お ける特 性 値を比 較 すると、9 0 ℃で 最 大 試 験 力 の 低 下 が 見られ ますが、最大変位については同様の値となっています。以上より、本試験 に 用 い たリチウムイオン電 池 セ パレ ータは 6 0 ℃ に お いて、伸 び 特 性 が 上 がるにもか かわらず、強 度 の 低 下を示さな いことが 推 測できます。 * 防 爆チャンバーによるセル圧壊試験実績あり 微小圧縮試験機によるセパレータの圧縮試験 微小圧縮試験機 MCT シリーズ 試料番号 厚さ (µm) 最大試験力(mN) 圧縮量(µm) 圧縮率(%) ・ セパレータは製造工程、使用中に圧力を受けるために、品質を ① 20 49.9 3.651 18.3 ② 20 49.9 3.371 16.9 ③ 10 50.0 1.038 10.4 保つ上で構造材料単体での強度評価が重要です。 ・ 高 温システムにより室 温 から2 5 0 ℃まで の 高 温 環 境 下で の 微 小 圧縮試験が可能。 圧縮率(%)=(圧縮量)÷(厚さ)×100(%) 9 異なる温度でのセパレータの(引張方向・垂直方向)引張強度試験 長辺方向 精密万能試験機 AGS-X (恒温槽オプション) 短辺方向 ダンベル試験片(イメージ図) 200 200 ① MD RT 60°C 90°C 150 応力(N/mm 2) 応力(N/mm 2) ① TD 100 50 0 0 200 400 600 800 1000 RT 60°C 90°C 150 100 50 0 1200 0 100 200 Fig.1 「試料①短辺方向」の応力‒ひずみ Fig.2 「試料①長辺方向」の応力‒ひずみ 200 ② TD ② MD RT 60°C 90°C 150 応力(N/mm 2) 応力(N/mm 2) 400 ひずみ(%) 200 100 50 0 300 ひずみ(%) 0 200 400 600 800 1000 RT 60°C 90°C 150 100 50 0 1200 0 100 200 300 400 ひずみ(%) ひずみ(%) Fig.3 「試料②短辺方向」の応力‒ひずみ Fig.4 「試料②長辺方向」の応力‒ひずみ F i g . 1 および F i g 2 . に お いて、数 値で 比 較 すると試 料 ① 長 辺 方 向 は 試 料 ① 短 辺 方 向と比 べて、引 張 強 度 が 約 5 倍 の 値と なり、また 破 断 ひ ず み が 約 1 / 1 5 に 減 少しています。また 、F i g . 3 および F i g . 4 から試 料 ② 短 辺 方 向 の 引 張 強 度 は 試 料 ① 短辺方向の 約 2 倍 になり、また 破 断 ひ ず み は 大 幅 に 減 少していることがわ かります。 Table 1 試料①および②の短辺方向と長辺方向の機械的特性値 60 ° C 25 ° C 試料 引張強度 (MPa) 90 ° C 破断ひずみ (%) 引張強度 (MPa) 破断ひずみ (%) 引張強度 (MPa) 破断ひずみ (%) ①短辺方向 36.9 471.4 35.4 898.8 19.3 1044.0 ①長辺方向 175.6 26.8 162.5 57.0 129.9 76.7 ②短辺方向 78.2 138.5 68.8 347.6 33.8 427.9 ②長辺方向 129.5 34.1 118.3 105.3 58.7 367.2 試 験 温 度 に 対 する機 械 的 特 性 に つ いても、2 5 ℃と6 0 ℃ に お けるサンプル の 破 断 ひ ず みと引 張 強 度 を比 べると、試 験 温 度 の 上 昇 によって、6 0 ℃ に お ける破 断 ひ ず み の 値 は 2 倍 程 度 大きくなっているにもか か わらず、引 張 強 度 の 低 下 は わ ず か なことが わ かりま す。上 記と同 様 、6 0 ℃と9 0 ℃ に お けるこれらの 特 性 値 を 比 較 すると、破 断 ひ ず み は 2 5 ℃と 6 0 ℃ の 値を比 べ た 場 合と同 様 に 値 が 大きくなる傾 向 があります が、引 張 強 度 に つ いては 値 が 著しく低 下していること がわかります。 10 リチウムイオン二次電池のDIC解析・評価 DIC解析(Digital Image Correlation) DIC解析システム構成 物 体 表 面 のランダ ムパターンを物 体 変 形 前 後 で 比 較し、パターン の 移 動 量 を 調 べる手 法 。高 温 下 に お ける部 材 、大 型 構 造 物 および 顕 微 鏡 下 に お ける微 小 部 材 の ひ ず み 解 析 などにも 利用可能。 精密万能試験機 オートグラフ AG-Xplus 非接触式伸び幅計 TRViewX StrainMaster (LaVision GmbH) *引張/圧縮/突き刺し試験に使用 *デジタル動画取得に使用 *画像解析に使用 リチウムイオン二次電池セパレータの引張試験 引張サイクル試験に対するひずみ観察(DIC解析) セ パレ ータが 損 傷を受 けた 場 合を想 定して、突き刺し損 傷 後 の セ パレ ータがどのような ひ ず み 特 性を示 すの かを、引 張試験および一 定 の 試 験 力を目標 値とした 引 張 サイクル 試 験を実施して評 価しました。 ■セパレ ータの 引張試験(撮影速度30 f p s、画像は20秒間隔) 負荷 速 度 1 0 m m/m i n 損傷発生 損傷部 (円孔) 標点 突き刺し試験 ■セパレ ータの 引張サイクル試験(撮影速度30 f p s) 目標 試 験 力 2 0 N、負荷速度20 mm /mi n、サイクル数20 試験力(N) 20 N引張負荷時のひずみ分布(図中の番号は試験力•ストローク線図の番号と対応) ④⑥ ① ②③ ⑤ ⑦ ‥‥ ⑳ 20 試験前 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 15 10 5 0 サイクル試験回数が増加するごとに損傷部(円孔)にひずみが集中 0 1 2 3 4 5 6 7 8 ストローク (mm) リチウムイオン二次電池 電池筐体の圧縮試験に対するひずみ観察(DIC解析) 本 試 験 に お いては 、携 帯 電 話 に 使 用されるリチウムイオン 二 次 電 池 を 小 形 圧 盤 を 用 いて圧 縮し、負 荷 を 加えた 際 に 発生したひずみ分 布を観 察しました。 ■ 電 池 筐 体 の 圧 縮試験(撮影速度30 f p s、画像は6秒間隔) 負荷 速 度 1 m m / mi n、300 Nまで圧縮 リチウムイオン 二次電池筐体 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 圧縮試験 圧縮部位 青色はひずみ量が小さいことを示しており、赤色へと色が 近づくにつれてひずみ量が大きいことを示しています。 小形圧盤直下でひずみが発生 11 GCMSによる電解液の分析、 リチウムイオン二次電池からの発生ガスの分析 溶 媒として使 用されるジメチルカー ボ ネ ート、エ チルメチル カー ボ ネ ートおよび エチレンカー ボ ネ ートがライブラリ検 索 結 果 か ら 確 認 で き まし た 。ま た 、添 加 剤 として 使 用 さ れ る ビニレンカーボネートが同様に同定できました。 ガスクロマトグラフ質量分析装置 ガ GCMS-QP2010 Ultra アルミラミネ ートセ ル 型 のリチウム イオン 二 次 電 池 を 8 0 ℃ で 5 日 間 保 管し た 後 、発 生し た ガ ス を ガ スタイトシリン ジ で 直 接 採 取し、G C - M Sを用 いて定 性 分 析した 結 果で す。セル 中 で 発 生した 成 分 や 電 解 液 由 来 の 成 分 が 多 数 同 定されました 。 GCによる水素を含む無機ガス類およびC1∼C3の炭化水素類の一斉分析 高 感 度ガスクロ マトグラフシステム T r a c e r aで は 、水 素 を 含 む 無 機ガス類とC 1 ∼ C 3まで の 炭 化 水 素 類 の 一 斉 分 析 が 可 能で す。従 来 の 装 置で 必 要 だったキャリアガ ス切り替えや 複 数 装 置 の 併 用 が 必 要ありません。Traceraが搭載するBID検出器は 高感度のた め、数 十 µL の 少 量 サンプルでも分 析 が 可 能で す。 高感度ガスクロマトグラフシステム Tracera *ガスタイトシリンジを用いて発生ガスを採取、 GCに50 µL注入 *O2、N2は注入時の混入ブランクを含む *カラムには信和化工製 MICROPACKED ST (1mm I.D., 2m)を使用 発生ガスのクロマトグラム例 初期品 100 容量維持率約85% 容量維持率約70% 容量維持率約60% (初期品)のラミネートタイプの電池を準備しました。 90 12 80 組成比(%) 70 60 これらの 内 部 発 生ガスを測 定し、酸 素と窒 素を除く 8 無 機 ガス 類 および C 3まで の 炭 化 水 素 類 の 組 成 比 4 を 求 め たところ、容 量 維 持 率 が 低 下 する に 伴って 50 水 素 の 比 率 が 低 下し、炭 化 水 素 類 の 比 率 が 増 加 す 0 40 CO CO2 CH4 C2H4 C2H6 C3H6 C3H8 30 20 10 0 H2 CO CO2 CH4 C2H4 C2H6 C3H6 C3H8 電池劣化に伴う組成比の変化(酸素と窒素を除く成分)n=3平均値 12 充 放 電を繰り返して容 量 維 持 率 が 6 0 % から1 0 0 % る様 子 が 確 認できました。 LCMS-IT-TOFによる劣化電解液中生成物解析(多変量解析) L C M S - I T - T O F は、高 速 液 体クロマトグラフと、イオントラップ 型 質 量 分 析 計( I T )および 飛 行 時 間 型 質 量 分 析 計( T O F )を 結 合させ た、液 体クロマトグラフ質 量 分 析 装 置で す。IT による M S n 能 力と、T O F による 高 分 解 能・精 密 質 量 測 定 の 能 力 を 兼 ね 、従 来 型 の L C / M S / M Sで は 不 可 能であった M S n にお ける 精密質量測定を可 能 にしました。 液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-IT-TOF 充 電 済 み の 電 池 から充 放 電を繰り返した 電 池 に い たるまで、様々な 容 量 維 持 率をもつ 電 池(3 ∼ 1 0 0 %)から取り出さ れた電解液につ いて、L C M S-IT -T OFを使 用して測 定を実 施しました。 データ処理には、ピーク抽出ソフトウェア Profiling Solution 1 . 1 を 使 用しまし た 。この ソフトウェア は 、分 析し た 多 数 の データファイル中のピークを自動的に検出し、表にまとめます。 この 表を多 変 量 解 析ソフトウェアなどの 統 計 的 手 法を用 いて 解 析 することにより、データ間 の 変 動(違 い)をとらえることが できます。 容量維持率 高 60%,70%, 85%,100% 低 容量維持率に 特徴的 高 低 30% 3%,15% PLSスコアプロット ローディングプロット 多 変 量 解 析を行った 結 果、容 量 維 持 率(3 %、1 5 %)、3 0 %、 (6 0 %、7 0 %、8 5 %、1 0 0 %)のグル ープ に 分 類 することがで きました。 低 容 量 維 持 率( 3 % 、1 5 % )に 特 徴 的 な 成 分 で あ る m / z 335.103の組成推定結 果から、C 10 H 24 O 8 P 2 である ことが予測されました。 さらに、過 去 の 知 見より構 造を予 測し、M S 2 、M S 3 測 定 結 果 に お けるプ ロダクトイオンを 帰 属 することで、構 造の確認を行いました。 m/z 335.103をプリカーサイオンとしたMS2、MS3データ 13 産業用X線CT装置による正極・負極材の観察例 軟 素 材を高 拡 大、高コントラストで 3 次 元 観 察 可 能で す。 任 意 の 断 面 像 が 得られ 、表 面 だ けで なく、微 小 内 部 構 造を3 次 元 的 に 観 察できます。 マイクロフォーカス X 線 CT システム inspeXio SMX-100CT 正極材(コバルト酸リチウム)CT画像 負極材(カーボン)CT画像 Volume Rendering画像:正極材 Volume Rendering画像:負極材+Cu電極板 新品の携 帯 電 話 用リチウムイオン二 次 電 池と劣 化 電 池とを同 時 撮 像し、形 状 比較を行った 例で す。 新 品 電 池と劣 化 電 池とを3 次 元 解 析ソフトウェアで 新 品 電 池を基 準 に 位 置 照 合し、形 状 の ず れ 量(変 形 量)を 色で 表 現しています。 正 極・負極 端 子 部、ケース端 部 は 変 形 が ほとんど無く (緑 色)、カバ ー 中 央 部 の 変 形 量 が 大きい(赤色)ことが 確 認できました。 新品電池 新品電池縦断面像 劣化電池 劣化電池縦断面像 新品電池と劣化電池の MPR 画像 14 新品電池と劣化電池の Volume Rendering 画像 新品電池と劣化電池の 形状比較解析結果 産業用X線CTによる18650型リチウムイオン二次電池の劣化観察 劣 化 電 池で は、円周 状 に 巻 か れ た 中 心 部分 MPR MPR が 変 形している様 子 が 確 認できます。 V V マイクロフォーカス X 線 CT 装置 inspeXio SMX-225CT 産業用X線CTによる携帯電話用LiB内部構造観察 セパレ ータにより分 離され た 電 極(正 極と負極) が 巻 い た 状 態 で 電 解 液 に 浸 漬されている構 造 を見ることができます。 産業用X線CTによる破裂リチウムイオン二次電池の観察例 温 度 試 験 槽 内で 加 熱し、過 充 電を加えることで 強 制 的 発 火・破 裂させ た 1 8 6 5 0 型リチウムイオン二 次 電 池 の 観 察 例で す。破 裂したリチウムイオン二 次 電 池 は 内 部 の 電 極・セパレ ータが 変 形しています。加 熱を続 けることで 発 火・破 裂 が 進 み、安全弁等の蓋 が 外 れ た 様 子 が 観 察されました。 破裂燃焼した電池内部CT画像 TAB部が破損した電池内部CT画像 破裂した電池の Volume Rendering画像 60℃の環境下において1日∼2週間放置させた小容量リチウムイオン二次電池のX線CT画像 新品 1日 1週間 2週間 6 0 ℃ の 環 境 下 に お いて1日∼ 2 週 間 放 置させ た 小 容 量リチウムイオン二 次 電 池 の 観 察 例で す。熱負荷 により、金 属 容 器 が膨張している様 子 が 確 認できます。 データ提供:成蹊大学 理工学部 物質生命理工学科 小島先生、山崎先生、加藤先生、菅沼先生、 片山様 15 部材 部位 良く用いられる成分 評価項目 (分析装置) 組成 (ICP、 XRF) 活物質 2 LiCoO(コバルト酸リチウム) Coの代わりにMn、 Niなども使用 結晶 (XRD、 ラマン) 粒径 (粒度分布) 電子状態 (XPS) 比表面積/細孔分布(ガス吸着) 正極 分子量分布 (GPC) バインダー フッ化ビニリデン (ポリビニリデンフロライド;PVDF) 表面形状 (SPM) 組成 (FTIR) 導電助剤 活物質 炭素 (カーボンブラック、 アセチレンブラック、 グラファイト他) 結晶 (XRD、 ラマン) 比表面積/細孔分布(ガス吸着) カーボン、 グラファイト 結晶 (XRD、 ラマン) 粒径 (粒度分布) 比表面積/細孔分布(ガス吸着) 微小圧縮試験 (MCT) Li、 P、 Cu、 Na、 Co、 Ca、 K等 組成 (ICP) SBR (スチレンブタジエン系ラテックス) CMC (カルボキシメチルセルロース)、 PVDF 構造 (FTIR) 接着力 (万能試験機) ポリオレフィン系 (高密度ポリエチレン) 構造 (FTIR) 細孔 (SEM) 細孔分布(自動ポロシメータ) 熱特性 (TG) 引張強度 (万能試験機) 釘差し試験 (材料試験機) 負極 微量添加物質 バインダー セパレータ 溶媒 電解液 セル エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等 組成 (GCMS、 GC、 LC) 電解質 LiPF6 、 LiBF4 組成 (LC、 ICP) 添加剤 ビニレンカーボネート等 組成 (GCMS、 ICP) 単体、モジュール 圧縮強度 (万能試験機) 釘差し試験 (材料試験機) 内部観察 (X線CT装置) 3656-10402-500NS リチウムイオン二次電池材料分析•試験 リチウムイオン二次電池用 評価装置マトリクス