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100M ネットワーク
100M ネットワーク ネットワークの混雑を解決するもう 1 つの方法に、100M ネットワークがありま す。ここでは従来の 10M ネットワークやスイッチングハブとの違い、そして活用 法を解説します。 100M ネットワークとは る巨大なデータも効率よく転送できるので、 大きなデータが出入りするネットワークプリ ンタやファイルサーバの接続に100BASE-TXを 100M ネットワークとは、100Mbps で通信可 利用すると、非常に効果的です。 能なイーサネット規格の俗称で、従来の 10BASE と比較すると理論値で 10 倍の効率で 通信することが可能です。この規格にはいく 100BASE-TX のポイント つもの種類がありますが、100BASE-TXと呼ば 6 100 ネットワーク M れるものが最も普及しています。 1 0 0 B A S E - T X の伝送システムは基本的に これを道路に例えると、10BASE が 1 車線で 10BASEと何ら変わりません。データの衝突も あるのに対し、100BASE-TX は 10 本の車線を 発生しますが、データ転送効率が10倍である 持っているイメージです。 ため、10BASEで流すのと同等のデータ量であ かつて日本は、全国に高速道路網を整備す れば衝突が発生する確率は減少します。ま ることで、急速な経済成長を実現しました。 た、衝突が発生しても影響は少なくて済みま 人とモノを高速に、しかも大量に輸送できる す。道路の渋滞を解決する最善の方法は、車 ようにすることで、増え続ける輸送需要を満 線の広い高速道路を建設することに似ていま たし、経済の発展にブレーキをかけないよう す。新しく LAN 構築をするのであれば、初め にしたのです。実は、100BASE-TX というテク から100BASE-TXで構築することをお勧めしま ノロジーが登場した背景も、これと同じ理由 す。 「まずは安価な10BASEでLAN構築して、ト なのです。 ラフィックが増えてきたらスイッチングハブ ネットワークに接続されるパソコンやその を導入する」というのも 1 つの方法ではあり 用途は急速な拡大を続けています。そこで将 ますが、第 5 章で述べたとおり、スイッチン 来にわたり増え続けることが予想される負担 グハブの導入には大規模な構成の変更が必要 に耐えられる様、大容量のネットワークが必 になったり、工事が必要になることもありま 要になった訳です。 す。スイッチングハブはトラフィックの影響 100BASE-TXでは、道幅が拡がるのでネット を他のセグメントに与えないという点では効 ワークの混雑(トラフィック)は起きにくな 果がありますが、10BASE で構築した場合、 ります。また、10BASE では送信に時間のかか データ伝送路の幅は狭い上に、データの宛先 ..................................................... 20 活用マニュアル を解釈するので、その分タイムラグが発生し ことが効率的と言えます。 ます。大量のデータを送信すると、更に遅れ が大きくなることも考えられます。 LAN 上を流れるデータ量は、年々大型化す 10BASE と互換性はない る傾向にあります。データのサイズが小さい 10BASE との互換性は「ありません」。 間は、スイッチングハブの導入によって混雑 100BASE-TXは、10BASEと電気的な仕様が異 を緩和することができますが、データのサイ なります。そのため、100BASE-TX のハブに ズが大きくなると再び LAN は遅くなります。 10BASEのLANボードを接続しても動作しませ つまり、スイッチングハブの導入は、あくま んし、10BASEのハブをカスケード接続しても で対症療法なのです。ネットワークの混雑を 動作しません。つまり、100BASE-TX のハブに 根本的に解消したいのであれば、100BASE-TX 接続する全てのNICやハブを100BASE-TX対応 への移行をメインに据えるべきでしょう。 の製品に揃える必要があります。 100BASE-TX の注意点 10 と 100 の混在 これから LAN を新規に導入する場合は、機 100BASE-TXは、10BASE-Tによく似ています 器の統一は比較的容易ですが、既設の LAN が が、転送速度以外にも違いがあり注意しなく 10BASE である場合、互換性がないため、簡単 てはならない点もあります。 には移行できません。しかし、以下のような 方法を用いることによって、1 0 B A S E と 100BASE-TX を混在させることができます。 ケーブルはカテゴリ 5 第 1 章でも簡単に触れましたが、100BASETX で使用できるケーブルの規格はカテゴリ5 ブリッジを用いる だけです。この規格であれば、10BASE でも ブリッジは、複数のネットワークの仲立ち 100BASEーTXでも使用できます。 (各機器との の役目をする機器です。<写真 6-1 > 接続に関する制限距離については各製品の 10M/100Mの両方に対応したブリッジを用い 「接続マニュアル」 を参照してください) れば、10BASE の LAN と 100BASE-TX を接続でき るようになります。 <図6-1> 100 M ネットワーク 10BASEのLANを構築する場合でも、弊社製ETP シリーズのようなカテゴリ5ケーブルを使用 しておけば、将来100BASEに移行する際にも、 ケーブルを交換せずに済みます。 カスケードは 2 段まで 10BASEではハブ同士を4段までカスケード 接続で連結できましたが、100BASE-TX では 2 段までとなっています。そのため、LAN 拡張 時には、スタック接続との組み合わせで使う 6 <写真 6-1 > 弊社製 LBG-1022 ..................................................... 21 <図 6-1 > 10M/100M ブリッジ 間を太いパイプで結んだように見えることか 10M/100M 対応スイッチングハブを用いる ら、このネットワーク構成は「プリンタ・ビッ ブリッジを利用する以外に、10M/100Mの両 グパイプ」と呼ばれています。 <図 6-2 > 方に対応したスイッチングハブを利用すると いう方法もあります。<写真 6-2 > これによって、従来の10BASEによるネット ワークを維持しつつ、効率化も行い、さらに 100BASE-TXとの混在環境も作り上げることが できます。例えば、スイッチングハブの 100M ポートに弊社製プリントサーバ LPV-TX を接 続すると、負担の激しいプリンタとスイッチ ングハブの間を 100M の太い道幅で結ぶこと ができます。スイッチングハブとプリンタの <写真 6-2 > 弊社製 LSW-1082 6 100 ネットワーク M <図 6-2 > プリンタ・ビックパイプ(負担の激しいプリンタとスイッチングハブの間を 100M の太いパイプ(ビックパイ プ)で結びデータの流れを円滑にする) ..................................................... 22 活用マニュアル デュアルスピードハブを用いる いくら10M/100M両対応のスイッチングハブ があるとはいえ「スイッチを使う程、困って いない」という場合もあります。そこで「と りあえず 10M と 100M を単純に混在させる」為 に登場したのが、リピータハブでありながら 10M でも 100M でも兼用できるハブです。弊社 製 FLEX HUB シリーズがそれです。<写真 6-3 > <写真 6-3 > 弊社製 FLEX HUB シリーズ LHB10/100-S8 これは一般にデュアルスピード・ハブと呼 ばれ、スイッチ機能を持たずに、10BASE-T と 100BASE-TXのどの機器も接続混在させること ができます。 6 100 ネットワーク M ..................................................... 23