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1 - JMAP 一般社団法人 日本慢性疾患重症化予防学会

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1 - JMAP 一般社団法人 日本慢性疾患重症化予防学会
2016年2月14日
日本慢性疾患重症化予防学会(JMAP)
糖尿病の無症候性冠動脈疾患の診断と治療
冠動脈疾患画像診断の最新知見:
冠動脈CTおよびMRIを中心に
国立循環器病研究センター 心臓血管内科
野口暉夫
虚血診断/狭窄度診断と比べて不安定プラーク診断は発展途上
再現性・信頼性の高い診断法は
確立していない
冠危険因子のコントロール
薬物治療
食事療法
適度な運動
負荷心電図
負荷RI
冠動脈CT
冠動脈バイパス術(CABG)
冠動脈形成術(PCI)
薬物治療(β遮断薬・硝酸薬)
冠危険因子(心血管リスクファクタ-)
主要因子
糖尿病
高血圧
脂質異常症
喫煙
肥満(メタボリック症候群)
家族歴
危険因子(肥満・高血圧・高血糖・脂質異常症)の
重積数と冠動脈疾患の相対リスク
危険因子が3個以上重なると急に
冠動脈疾患リスクが上昇する
*平均年齢49.7歳の労働者のデータ
Nakamura T et al. Jpn Circ J 2001; 65: 11-17
急性心筋梗塞(1032人)に対する冠動脈危険因子の
寄与度(熊本大学)
男女混合の結果
1
2
3
急性心筋梗塞に対する男女別の冠動脈危険因子
の寄与度(熊本大学))
女性(280人)
高血圧
男性(752人)
女性:
①喫煙
②糖尿病
③高血圧
喫煙
糖尿病
家族歴
高コレステロール
血症
肥満
糖尿病があると女性では冠動脈
疾患のリスクが6倍になる
男性:
①高血圧
②喫煙
③糖尿病
高血圧合併糖尿病と循環器病のハザード比
(吹田コホート研究)
6
多
変
量
調
整
ハ
ザ
ー
ド
比
5
DM(-)HT(-)
4
DM(-)HT(+)
3
DM(+)HT(-)
2
DM(+)HT(+)
1
0
男女
男性
女性
多変量調整:(性)年齢、喫煙、飲酒、BMI、高脂血症既往歴.
REVERSAL(スタチンの効果)
(REVERSing Atherosclerosis with aggressive Lipid lowering)
IVUS
IVUS
二重盲検
対象患者



冠動脈疾患既往
30~75歳
アトルバスタチン 80mg n=327
654例
狭窄率≧20%の冠
動脈が一枝以上
1次エンドポイント:
 IVUS による全冠動脈プラーク容積の変化率
このスライドには国内承認外の内容が含まれています. 国内承認用法用量は最新の添付文書をご覧ください .
プラバスタチン 40mg
n=327
18 カ月間
Nissen SE et al: JAMA 291: 1071-1080, 2004
REVERSAL研究
動脈硬化の著明な退縮が認められた1例
(REVERSing Atherosclerosis with aggressive Lipid lowering)
投与前
IVUS検査
内腔面積
7.7 mm2
外弾性板面積プラーク面積
20.7 mm2
13.0 mm2
アトルバスタチン
18カ月投与後の
IVUS追跡調査
内腔
面積
9.8 mm2
外弾性板面積プラーク面積
17.1 mm2
7.4 mm2
Nissen SE et al: JAMA 291: 1071-1080, 2004
1次エンドポイント
REVERSAL:
プラ-ク容積の変化率
(REVERSing Atherosclerosis with aggressive Lipid lowering)
プ
ラ
ー
ク
容
積
の
変
化
率
(
中
央
値
)
(%)
3
p= 0.02**
2.7*
2
1
0
- 0.4†
-1
プラバスタチン
* ベースラインに対して進展(p=0.001,Wilcoxon signed rank test)
† ベースラインに対して変化なし(p=0.98,Wilcoxon signed rank test)
** ANCOVA
アトルバスタチン
Nissen SE et al: JAMA 291: 1071-1080, 2004
スタチンを使用した大規模研究では、LDLが80mg/dl未満に
低下させて初めてIVUで冠動脈のプラークが退縮した。
Nissen, S. E. et al. JAMA 2006;295:1556-1565
PERISCOPE研究
目的
インスリン感受性改善薬とインスリン分泌系薬それぞれの代表としてピオグリタゾンと
グリメピリドを選択し、異なる2つの治療アプローチが動脈硬化の進展に対してどのよう
な影響をもたらすかを検討する。
対象
冠動脈疾患を合併した2型糖尿病患者543例
(ピオグリタゾン:270例、グリメピリド:273例)
試験薬ならびに試験期間
ピオグリタゾン(15~45mg/日)またはグリメピリド(1~4mg/日)のいずれかを
18ヵ月間投与
主要評価項目
IVUSによる冠動脈標的血管の「%プラーク体積」の変化
Nissen S.E. et al.:JAMA,299,1561,2008.
ピオグリタゾンは冠動脈プラークの進展を抑制した
PERISCOPE研究
(%)
p=0.002
0.8
%プラーク体積の変化
グリメピリド
(n=181)
ピオグリタゾン
(n=179)
0.73
0.6
LS mean
(95%信頼区間)
(0.33,1.12)
0.4
0.2
p=0.44
(対投与前)
0
p<0.001
(対投与前)
-0.16
(-0.57,0.25)
-0.2
冠動脈造影で少なくとも1枝病変に20%以上の狭窄を認める2型糖尿病患者543例を二重盲検下でピオグリタゾン
(15~45mg/日)またはグリメピリド(1~4mg/日)に分け、IVUSを用いて「%プラーク体積」の変化を主要評価項目とし
て18ヵ月フォローアップした。
Nissen S.E. et al.:JAMA,299,1561,2008.
薬剤の効果判定
IMT(非侵襲的)→だが、変化小さくて測定困難
IVUS(侵襲的)→ PCIの時にしか認められにくい
プラークの面積・厚みを定量しているが、
プラークの質の変化を鋭敏に反映していない
プラークの質の変化→性状変化を観察できないか?
急性冠症候群となりうる不安定plaqueの病理学的特徴
① 脂質成分に富む(Lipid-rich)
② plaque量が多い
③ positive remodeling
④ 線維被膜菲薄化(thin fibrous cap)
⑤ 炎症細胞浸潤
⑥ 血管新生
plaqueの病理組織
コレステロールの結晶に富んだ
Lipid richなplaque
CT値と病理組織との対比
脂質に富むプラーク 50 Hounsfield Unit (HU)未満
線維性プラーク
石灰化プラーク
内腔
線維質
脂質
Schroeder S, et. al. JACC 2004;28:449
51-119 HU
120 HU以上
Plaque progression
2年後
リモデリン比
-50< CT値 < 0
0< CT値<50
50< CT 値 <150
1.47
9.7%
18.6%
28.4%
1.61
16.2%
25.7%
24.7%
急性冠症候群となりうる不安定plaqueの病理学的特徴
① 脂質成分に富む(Lipid-rich)
② plaque量が多い
③ positive remodeling
④ 線維被膜菲薄化(thin fibrous cap)
⑤ 炎症細胞浸潤
⑥ 血管新生
Plaque remodeling
Positive remodeling plaque
Negative remodeling plaque
血管の内径が厚くなり外径自体も大きくなる
冠状動脈の硬化が起こる
血管内膜の過形成により外径は細くなる
Positive remodeling 例
プラーク
血管腔
冠動脈断面
血管外膜
プラーク進行例(糖尿病患者)
初回CT
1年後
2回目
虚血性心疾患診断における各検査の被曝量
85
%
3~5mSV
5~20mSV
冠動脈CTを1回受けるときの被曝線量:
5~20mSV(胸部レントゲン写真の100枚分))
・心房細動例:20mSV 以上
・ヘリカル撮影(HR 70~90bpm): 5~20mSV
・フラッシュ撮影(HR 50~60bpm):1~2mSV
症例を選べれば、最大1~2mSV程度までに低減している
(自然放射線は年間 2.4mSV)
MRIの登場
非造影T1強調画像
MRIによるマルチコントラスト・イメージは、プラークの構成成分である
線維皮膜と脂質プールを可視化できる
T1強調でHigh、T2強調・PDでLow
プラーク内出血を反映
T1強調でIso、T2強調・PDでHigh
線維性皮膜の描出
Arterioscler Thromb Vasc Biol 2001;21(10):1623-9
頸動脈プラークの組織性状評価(multi contrast image)
C
T1WI
TOF
T2WI
HIP (high-intensity plaque)
T1WI
T2WI
Noguchi T. Circ J. 2013;77(8): 1975-83. 2013
MPRAGE(非造影T1強調画像)高輝度プラークは、
同側の虚血性脳血管イベントを高率に引き起こす
MPRAGE高輝度プラークは
不安定プラークを表している
DWI
Contrast MRA
MPRAGE (T1強調画像)
Yamada N et al, AJNR. 28:287-92. 2007
MRIによる頸動脈プラークの性状評価は心血管イベントを予測できる
C
HIP
217 patients with
clinically stable CAD
116 patients
Non-HIP
101 patients
A
HIP (high-intensity plaque)
HIP
D
B
Non-HIP
Noguchi T. J Am Coll Cardiol. 58(4):416-422. 2011
冠動脈MRI画像の撮像
問題点
・ 呼吸性変動
・ 冠動脈は蛇行して走行
・ 血管径が細い
・ 呼吸・心電図同期
・ 撮像時間の短縮
・ 高いコントラストで血管壁描出
Arterial
lumen
Chiribiri A, et al. Prog Cardiovasc Dis. 2011;54:240-252.
Real-time navigator
Black-blood and fat suppression
心臓MRIの撮像法
ナビゲーターエコー法
横隔膜の動きをリアルタイムに検知し、
高精度の呼吸同期が可能。
肺
gating window
呼気
冠動脈静止時間でのデータ
収集
シネ撮像を用いて右冠動脈の静
止時間を検索し、静止時間に合
わせてデータ 収集を行う。
心拍数 60の場合
R
R
600ms800ms
吸気
肝臓
ペンシルビームが横隔膜として検知
しているポイント
Gating Window 間の呼気時のみのDataを収集
冠動脈静止
期間 200ms
非造影T1強調画像の冠動脈プラークへの応用
AO
AO
LV
LV
T1強調画像
MDCTで低CT値を示したプラークは、非造影T1強調画像で高輝度に描出される
1.5 Tesla MR imager with 5-element cardiac coils
(Intera, Philips Medical Systems)
CT
非造影T1強調画像で高輝度に病出されるプラークは
①Positive remodeling ②低CT値 ③IVUSで減衰エコーを示し、
④PCI時に高率に末梢塞栓を起こす
MDCT
T1強調MRI
血管内超音波
ER
CAG
Kawasaki T. JACC Cardiovasc Imaging. 6:720-728.2009
冠動脈造影検査で右冠動脈中間部に狭窄を認め(黄色矢印)、非造影T1強調画像では、
同部位は高輝度プラーク:high-intensity plaque(HIP)として描出された
非造影T1強調画像 axial
冠動脈造影検査
非造影T1強調画像 CPR
高輝度プラーク(HIP)の部位で急性冠症候群を起こした
10ヶ月後
右冠動脈
CT
T1強調画像
緊急CAG
血管内超音波
Tanaka A. Circulation. 120:2400-2401. 2009
非造影T1強調画像による高輝度プラークの評価
PMR (coronary Plaque to Myocardium Ratio)
= signal intensity of (plaque / myocardium)
PMR >1.0 ⇒ HIP 陽性
T1W
HIP in RCA
Signal intensity of
plaque:302
Signal intensity
of myocardium:170
= 1.78
(PMR)
非造影T1強調画像で高輝度に描出されるプラーク(HIP)は
冠動脈イベントを予測するか?
IMTの肥厚
不安定プラークの
画像的特徴
高感度-CRP
従来の冠危険因子
(高血圧、糖尿病..)
冠動脈
イベント
?
CT
IVUS
OCT etc.
HIP
非造影T1強調画像でHIPを有する患者を前向き観察研究
冠動脈疾患の既往・冠動脈疾患が疑われた連続650人を冠動脈CTでスクリーニング後に
非造影T1強調画像でプラークの評価を行った
112 人が除外(画像不良例、ACS症例など)
568 人が前向き研究に登録
冠動脈イベントあり (55人)
冠動脈イベントなし (513人)
ROC解析 にて、冠動脈イベントを予測する
PMRの至適カットオフ値の解析
Step 1
Step 2
PMR ≥ 1.4
(n = 159)
PMR 1.0 to 1.4
(n = 131)
PMR <1.0 or プラークなし
(n = 278)
Noguchi T. J Am Coll Cardiol. 63,989-99,2014
冠動脈イベントを予測できる信号強度のカットオフ・ポイントはあるか?
Sensitivity
信号強度1.4が冠動脈
イベントを予測する
最も感度・特異度の高
いカットオフポイントで
あった
2.05
感度= 69.5%
特異度= 82.3%
AUC = 0.83
1-Specificity
CT
T1
568 study patients
信号強度 ≥ 1.4
(n = 159)
Coronary event
(n = 41)
25.7%
No event
(n = 118)
信号強度 1.0 ~1.4
(n = 131)
Coronary event
(n = 11)
8.4%
No event
(n = 120)
信号強度 <1.0
(n = 278)
Coronary event
(n = 3)
1.1%
No event
(n = 275)
568人を信号強度1.4以上のプラークある・なし、冠動脈疾患(CAD)のある・なしで、
4群に分けて予後を観察した
冠動脈イベント
心臓突然死、ST上昇AMI、非ST上昇AMI
トロポニンT上昇UAP、労作性狭心症
Cumulative event-free rate
総冠動脈イベント
1.0
多変量解析
0.8
0.6
強度 < 1.4 + no CAD (340人)
強度 < 1.4 + CAD
0.4
(69人)
強度 ≥ 1.4 + no CAD (85人)
0.2
強度 ≥ 1.4 + CAD
0.0
(74人)
p < 0.001 by the log-rank test
0
12
24
36
48
60
年齢
Hazard
Ratio
1.04
男性
2.61
0.071
0.92 – 7.39
HbA1C, %
1.04
0.018
1.03 – 1.36
CADの既往
3.56
<0.001
1.76 – 7.20
信号強度1.4
3.96
<0.001
1.92 – 8.17
p value
95% CI
0.023
1.01 – 1.07
72
Months of follow-up
CAD(冠動脈疾患)の既往が無くても、信号強度1.4以上のプラークあれば、
冠動脈イベントを起こす。
Intima-media
thickness
(IMT)
hs-CRP
Conventional
risk factors
Cardiac
event
Coronary
plaque
characteristics
?
HIP
AQUAMARINE -Pilot Survey
LDLコレステロールを80mg/dl未満まで低下
心臓
MRI
患者同意
MDCT
非投与群(Historical control)
適格性確認期間
心臓MRI / MDCT
ピタバスタチン 4mg 投与群
観察期間(12ヶ月)
ピタバスタチン 群
ベースライン
12ヶ月後
Total, mg/dl
208 ± 34
152 ± 25
LDL-C, mg /dl
124 ± 29
HDL-C, mg/dl
コントロール群
ベースライン
12ヶ月後
p値
< 0.001
204 ± 38
190 ± 34
0.041
69 ± 15
< 0.001
121 ± 30
119 ± 25
0.789
51 ± 13
52 ± 13
0.945
50 ± 10
48 ± 11
0.269
Triglycerides, mg/dl
177 ± 95
138 ± 80
< 0.001
158 ± 81
153 ± 66
0.244
HbA1c, %
6.1 ± 1.2
6.2 ± 1.0
0.828
6.2 ± 1.1
6.2 ± 1.1
0.896
高感度CRP, ng/ml
570 (293 - 1,950)
p値
295 (172 - 559) < 0.001 562 (158 - 1,622) 581 (164 - 1703)
0.773
PMR 上昇例 (control 群)
PMR = 0.92
a
a
Baseline
b
b
c
A
B
C
c
PMR = 1.35
d
Follow-up
d
e
e
f
E
F
G
f
PMR 減衰例 (statin群)
a
Baseline
a
Baseline
b
b
c
PMR = 1.68
c
A
B
d
e
d
Follow-up
e
PMR = 1.08
f
f
C
D
結果
対照群
3.5
(n=48)
PMR
3.5
スタチン群
40
(n=48)
30
PMR変化率
4.2
2.8
2.8
2.1
2.1
1.4
1.4
0.0
p < 0.001 by ATT
19.2%
10
スタチン群
0
-10
対照群
-20
0.7
0.7
20
%
-18.9%
-30
ベースライン
12ヶ月後
0
ベースライン
-40
12ヶ月後
高感度CRP変化率
LDL-C変化率
TG変化率
r = 0.533
p < 0.001
r = 0.347
p =0.0004
PMR変化率
PMR変化率
r = 0.251
p =0.018
PMR変化率
謝辞
古賀21病院放射線科
国立循環器病研究センター 心臓内科
新古賀病院心臓センター

藤原玲子
 川崎友裕

浅海泰栄
 古賀伸彦
同・放射線科

山田直明

森田佳明
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