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市民公開講座
皮膚病総合医学研究所
神保
◆主催
加齢皮膚医学研究会
◆共催
公益財団法人札幌国際プラザ
孝一
皮膚悪性腫瘍研究会
2016年6月26日(日)
1
夏に起こりやすい主な皮膚トラブル
湿疹・皮膚炎
・アトピー性皮膚炎の悪化
・汗疹(あせも)
接触皮膚炎
・植物かぶれ
・金属かぶれ
皮膚感染症
日焼け・虫刺され
・とびひ
・水いぼ
皮膚に異常を感じた時は放置せず、
皮膚科医に相談を
2
虫刺咬時に診察が勧められる10の症状
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
呼吸困難
喉の閉塞感
唇や舌、顔が腫れる
胸痛
数分以上続く動悸
めまい
嘔吐
頭痛
ダニに咬まれた後に発症するドーナツ状あるいは
的状の赤い発疹
(抗生物質治療を要するライム病の兆候の可能性)
10. 赤色または黒色斑状発疹の広がりを伴う発熱
(直ちに治療を要するダニ媒介の細菌感染の可能性)
3
虫刺咬時に医師の診察を
受けた方が良い症状
1. 虫に刺されても、ほとんどの場合は無害:家庭薬(ヒドロ
コルチゾン軟膏、抗ヒスタミン剤の服用)で十分
2. 虫の毒へのアレルギーや虫が媒介する病気により危険とな
る場合がある。
3. アレルギー体質の子供、一度に大量の虫に刺咬された場合
は注意が必要
4. 呼吸困難や喉の閉塞感、唇や舌、顔が腫れるなどの症状が
あれば直ぐに救急処置を受ける。
5. 疲労感が続いている、頭痛や発熱、体の痛みがある、ある
いは、虫に咬まれた後に発疹が広がる場合には、直ちに専
門医を受診が必要。
4
虫刺されの種類と治療
虫の種類
症状
治療
• かゆみを伴って皮膚が
赤く腫れる
蚊・ブヨ(ブユ)・ • 症状がすぐ現れる即時
アブ・ハチ
型と、半日程度たって
から症状が現れる遅延
型がある
刺された部分を冷やし
外用薬を塗布
ムカデ
• 刺された直後に激しい
痛みを感じて皮膚が赤
く腫れる
患部を流水で洗い流し
て冷やし外用薬を塗布
毛虫
• 刺された直後からかゆ
みを伴って皮膚が赤く
腫れる
• 翌日には激しいかゆみ
と赤いブツブツ(丘
疹)が多発
毒針毛に触れたら、す
ぐにセロハンテープな
どで皮膚についた毒針
毛を取り除き、よく泡
立てたセッケンと流水
で洗い流す
5
夏のアトピー性皮膚炎の問題点と改善策
1.皮膚バリア機能破壊:汗の体内蓄積
皮膚温上昇
発汗減少
掻痒亢進
2.長期ステロイド外用
皮膚萎縮
発汗減少
掻痒亢進
3.皮膚バリア機能の改善
保湿剤外用
水分増加
6
アトピー性皮膚炎の緊急課題
難治性成人型発生例の増加
1.アトピー性皮膚炎は成人になるまでに治ることが多い
が、近年難治例や成人型が増加している。
2.顔面に難治性の発赤、頚部を主体に明らかな色素沈着、
全身に痒みの強い小結節(痒疹)が多発する症例が注
目されている。
3.子供の頃にはアトピー性皮膚炎はなかったが、20歳頃
に初めて症状が出ることもあり、その場合は顔面から
頚部にかけて強く発赤を認めることが多くなる。
7
成人型・大人のアトピーの特性
大人のアトピー性皮膚炎は、首から上に症状が
出やすい。
・皮膚からフケのようなものが落ちる
・眼の下にしわがよる(デニエ兆候)
・眼の下の鼻の部分が黒っぽくなる(モルガン兆候)
Aタイプ
乳児期にアトピーが発症して、思春期を過ぎても治ら
ない。ステロイド依存症や保湿依存症を伴っているこ
とが多い。顔面紅斑が見られる。
Bタイプ
アトピーの素因をもともと持っていた人が、大人に
なって発症する。肌の乾燥がよく見られる。
8
アレルギーマーチとアトピー性皮膚炎患者の経過
成人喘息
寛解
高齢者のアトピー
アレルギー性鼻炎
花粉症
経気道感作
寛解
吸入性抗原
気管支喘息
(ハウスダストなど)
経皮膚感作
食餌性抗原
アトピー性皮膚炎
(卵・牛乳など)
経胎盤感作
アトピー素因
【アレルギーマーチ】アトピー素因のある人に、アレルギー性疾患が次から
次へと発症してくる様子を行進(マーチ)に例えた言葉
9
アトピー性皮膚炎の治療法
外用療法(ぬり薬)
光線療法
1.PUVA(プーバ)療法
1.保湿剤
(ソラレンを内服、または外用し
2.ステロイド
長波長紫外線照射)
3.免疫抑制剤(タクロリムス)
2.ナローバンドUVB
(311~313nm中波長紫外線照射)
内服療法(のみ薬)
1.ステロイド
(短期パルスは問題なし)
2.シクロスポリン
(免疫異常を抑える。
副作用:血圧上昇、腎障害)
3.メソトレキセート
(細胞増殖を抑える。
副作用:間質性肺炎、肝硬変)
ビタミンD3産生を介し、
フィラグリン産生を増加させ、
表皮セラミド産生を亢進させ、
抗菌ペプチド産生を促し
皮膚免疫を活性化させ、
バリア機能を改善させ、炎症を抑え、
表皮内かゆみ受容体をブロックし、
掻痒を抑制。
10
ナローバンドUVB療法
ナローバンド
UVB
顆粒細胞(ケラトヒアリン含有)
フィラグリン産生
天然保湿因子産生
角化細胞(ケラチノサイト)
®®®
抗菌ペプチド産生
局所免疫亢進・炎症抑制
痒み神経線維
痒み受容体®阻止
11
太陽光線と日光の皮膚吸収
オゾン層
(地上20~25km)
200nm
宇宙線
X線
290nm
400nm
紫外線
可視光線
(51.8%)
(6.1%)
200nm
短波長
紫外線
UV-C
(0.5%)
(5.6%)
290nm 320nm
中波長
紫外線
UV-B
760nm
波長
赤外線
(42.1%)
(エネルギー量)
400nm
長波長
紫外線
UV-A
12
日光暴露が関係していると考えられる
皮膚障害
慢性
急性
①日焼け
①シワ(菱形皮膚)
(サンバーン、サンタン)
②皮膚炎の悪化
②免疫機能低下
③シミ、日光黒子
③皮膚炎
④良性腫瘍
⑤前がん症
(日光角化症、悪性黒子)
⑥皮膚がん
13
自然老化と光(紫外線)老化
1. 皮膚の老化;
(1) 経年的老化
(2) 光老化
2. 経年的老化(生理的老化、自然老化);
全身の皮膚、殊に非露光部の細かいシワ(皺)で
真皮の委縮に基づく
3. 光老化
永年繰り返された紫外線への暴露に依る、しみ、
荒い深いシワ(弾力繊維の破壊、消失に基づく)
及び免疫低下・皮膚がん等の老化現象
4. 白人顔面皮膚の老化;
20%が自然老化、80%が光老化
14
光老化と真皮の変化;皺の形成
表皮
UVB
UVA
UV
UV
真皮
線維芽細胞
mtDNA
TMP-1
崩壊したコラーゲン/
不十分な修復
MMPs
皺の形成
ミトコンドリア
MMP: 細胞外
マトリックス分解酵素
DNAの
大規模な損傷
日光暴露による瘢痕
荒くて深い皺
光老化
細かく浅い皺
自然老化
【皺形成】
紫外線暴露:コラーゲンを減少さ
せる分解酵素が活生化、皮膚に溝
(皺)を形成。
GJ, Fisher et al. N Engl J Med
337:1419-1428, 1997
15
皮膚の発がんを起こす仕組み
日光
DNA損傷
日光(紫外線)による
細胞内DNAの傷の直し
間違い(突然変異)が、
がん遺伝子、ガン抑制遺
伝子に起こる。
免疫抑制
(がん細胞が生じる)(がんを排除できない) (がんの増殖)
16
代表的表皮内腫瘍と皮膚ガン
表皮
日光角化症
有棘細胞癌
(有棘層)
脂漏性角化症
(有棘層)
色素性母斑
(基底層)
基底細胞癌
(基底層)
日光性黒子
(基底層)
シミ(黒子、
母斑、角化症)
(基底層)
角化細胞
メラノーマ
(基底層)
メラニン産生細胞
(ケラチノサイト) (メラノサイト)
17
紫外線暴露と代表的皮膚ガン・前駆症
1.日光角化症
表皮内角化細胞ガン。日光露光部。
2.ボーエン病(がん)
表皮内がん。日光露光・非露光部発生。
3.基底細胞癌(過誤腫、紫外線、免疫異常後など)
高齢者の日光露光部、非露光部に発生。
4.有棘細胞癌(紫外線、外傷、化学薬剤後など多様)
白人に発症頻度が高い。約20%に転移をおこす。
5.悪性黒色腫(メラノーマ)
・早期より全身転移を起こす
最も悪性で治療法の無いガン。
・ホクロのがん。日光露光・非露光部に発生。
18
有棘細胞ガンの増殖様式と転移率
・・
・・
-
・・
・・
脂漏性
角化症
・・ ・・
・・
・・
・・ -
-
-
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・ ・・
・・
・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
-
-
-
日光角化症
ボーエン病
- - ・・ ・・
有棘細胞ガン
転移率
0%
転移率
20%
19
悪性黒色腫(メラノーマ)の病態
・メラノサイト系の悪性腫瘍で、黒褐色のホクロ
としてみられることが多い。
・悪性度が高く、きわめて転移しやすいガン腫瘍
である
・発症頻度は民族差があり、人口10万人当たり
年間白人は10~20人、日本人は2人、黒人は
0.5人である
・近年世界的に急増しており、生活様式の変化、
オゾン層破壊に伴う紫外線照射増加が原因の
一つと考えられている
・臨床的に4型あるが、日本人には末端黒子型と
結節型が多く見られ、足底に好発する。
20
ホクロのガン(悪性)とそうでないもの(良性)の
A B C D E 基準
悪性(ガン)
良性
A: Asymmetry
左右非対称
左右対称
B: Border
辺縁不整
辺縁整
C: Color
多彩な色調
単一な色調
D: Diameter
直径7mm以上
7mm以下
E: Enlargement
増大
不変
21
悪性黒色腫(メラノーマ)の治療
・早期発見、早期切除が鉄則。
「がん」が表皮内に限局している時期に切除すると
100%完治
・原発病巣の厚さが最も重要な予後規定因子であり、
これが厚くなるほど予後不良となる。
・リンパ節転移が5個以内の場合、5年生存率は50%。
5個以上の場合、2年生存率が10%以下。
一度内臓に転移すると治療が困難
・広範囲切除
・放射線療法
・免疫療法
・ペプチド療法、遺伝子療法
・集学的治療法
22
夏の皮膚の健康
1.夏に多い・悪化する皮膚病
2.紫外線による皮膚老化・皮膚病
3.日常生活での紫外線対策
23
日光と上手につきあう
可視光
生体リズムの調節、気分爽快、
消化液の分泌、胃腸の働き快調
赤外線
血行をよくする
神経・筋肉の緊張を解く
紫外線
ビタミンD3の合成
Ca+の吸収促進
殺菌、新陳代謝の促進
24
紫外線の生物学的、理学的性質
UV-A:長波長
UV-C UV-B UV-A
UV-A(長波長)
深い皺
• サンバーン(赤み・紅 UV-Bへの協調、
班)を起こすのにUV- 薬疹、免疫低下
Bの1000倍の照射量
を必要とする
• 日光にUV-B(中波
長)の10倍量含まれ
ている
• UV-Aは窓ガラスを通
過する(UV-Bは通過
しない)
UV-B:中波長
癌、しみ、色素
沈着、浅い皺
UV-C:短波長
奇形、癌
290-400
nm
室内*窓ガラス
320-400 nm
UV-A
25
サンスクリーン剤(日焼け止め)の
「SPF」と「PA」
SPF(Sun Protection Factor)
・メラニン色素を作る紫外線UVB防止効果の数値
・人の肌が赤くなり始める時間を何倍遅らせるかを示す
30
(例)SPF30の場合
UV-Bによって肌が赤くなり始めるのは約20分後
20(分)×30(SPF)=600(分)
⇒600分(10時間)程度の日焼け止め効果が
期待できる。
PA(Protection Grade of UVA)
・肌を黒くし、老化の原因になる紫外線UVA防止
効果の指標
・4段階に分かれており、「+」が増えるほどUVA
防止効果がある。
26
紫外線カット率
カット率(%)
100
SPF
50
0
0
10
20
SPF1
30
40
50
60
SPF
SPF20
SPF1
SPF20
SPF(Skin Protecting Factor )20前後で十分
27
メラニン形成ホルモンの
産生・分泌を刺激
紫外線を浴びない
部分も影響を受ける
皮膚角化細胞
メラノサイト
刺激ホルモンの
産生と分泌
全身に循環
MC1R
メラノサイト
しみ・そばかす・メラノーマ
28
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