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前希釈on-lineHDFの臨床効果
医療法人城南会 西條クリニック鷹番
朝日大樹、中島成仁、土屋光清、下地
嶋貫久美子、西條公勝、西條元彦
博
目的
• 血液透析(以下、HD)から30L前希釈onlineHDF さらに、50L前希釈on-lineHDFに置換
液量を増加した時、栄養状態やESA製剤使用量の
推移および臨床症状の変化について検討した。
• 置換液量の増加によって、ヘモダイアフィルタの
膜面積が、低分子量蛋白領域の除去率とTMPおよ
び血清β2-MG濃度に関係があるか検討した。
対象と方法
HDから30L前希釈on-lineHDF(以下、30L)
さらに、50L前希釈on-lineHDF(以下、50L)に変更した症例 36名
・ 平均年齢: 63.1±8.3 歳
・ 平均透析歴: 8.2±6.3年
・ 原疾患 : DMN 20名、CGN 2名、不明 10名、腎硬化症 3名、IgA腎症 1名
変更条件
①75歳未満
②血清アルブミン 3.5g/dL 以上
③除去率 α1-MG 30% 未満
対象と方法
評価期間
18ヶ月間(30Lから50L前希釈on-lineHDF施行期間)
評価項目
• 栄養状態(GNRI、n-PCR、血清リン、血清アルブミン、DW)の推移
• ESA製剤(エポエチンカッパ、ダルベポイエチン)使用量の推移
• β2-MG、α1-MG除去率
• 愛Pod調査シート(HD、30Lおよび50L変更時)
統計学検定
栄養状態およびESA製剤使用量は、HDをベースラインとしてWilcoxonの
符号付き順位検定で比較し、愛Pod調査シートは、Kruskal-Wallis H 検定
を使用して、危険率5%未満を有意水準とした。
対象と方法
愛Pod調査シートとは
自己記入形式(家族またはスタッフによる聞き取りも可)
質問数20項目、各項目0~4の5段階評価のフェイススケール
点数が低い方が愁訴が少ない(合計最高点 0点 最低点 76点)
関節痛、かゆみ、いらいら、寝つき、睡眠、食欲、
の6項目の質問で、愛Pod2点以上の患者に着目
政金生人
(2011年)「患者視点の新しい透析治療―わかりやすい計画から実際の処方」 より引用
新興医学出版社
各治療条件の設定平均値(n=36)
膜種
QB [mL/min]
HD
30L
50L
P値
Ⅳ・ⅴ型
積層型透析器
MFX-S
MFX-S
-
243
±33
252
±25
253
N.S.
±0.25
N.S.
膜面積 [m2]
1.92±0.30
1.97
β2-MG 除去率
(%)
-
76.2
±4.1
78.0
±3.8
P<0.01
α1-MG 除去率
(%)
-
22.5
±4.0
27.5
±6.0
P<0.01
±0.25
1.98
±25
QDtotal
[mL/min]
500
-
透析液
カーボスターP
-
栄養状態の推移(on-lineHDF変更後18ヶ月間)
DW(Kg) /
GNRI (-)
**P<0.01
*P<0.05
mean±SD
血清リン (mg/dL) /
血清アルブミン (g/dL)
30L
*
30L
50L
**
50L
週あたりのESA使用量(on-lineHDF変更後18ヶ月間)
*感染症や出血傾向が少ない患者
[ IU /週 ]
N=9
*P<0.05
mean±SD
エポエチンカッパ
Hb
*
[ g /dL ]
*
*
30L
50L
N=14
[ μg /週 ]
ダルべポイエチン
[ g /dL ]
Hb
30L
50L
愛Pod 2点以上の患者割合(%)
愛Pod調査シート結果(愛Pod 2点以上の患者割合)
対象と方法
Kruskal-Wallis H 検定( N.S. )
置換液量増加とβ2-MG&α1-MG除去率
アクションレベルの設定値
**P<0.01
mean±SD
(%)
N=22
(%)
N=7
**
**
β2-MG
α1-MG
β2-MG
α1-MG
α1-MG除去率と4時間目TMPの関係
アクションレベルの設定値
N=22
N=7
血清β2-MGの推移(透析前値)
mg/L
2012年6月
HD
2013年6月
30L
2.1m2
(N=22)
1.5m2
( N=7 )
2013年12月
2014年6月
50L
考察①(臨床効果の向上を目指して)
アクションレベルの設定値
前希釈on-lineHDF治療(MFX-S)は、置換液量増加により
β2-MGとα1-MGの除去率が向上し、栄養状態の良好な推移と、
かゆみ症状およびESA製剤減少に寄与した。
更なる除去率向上には、ブロードな分画特性を有する膜種の選
択や置換液増加が必要である。
置換液量増加はヘモダイアフィルタ透析液側入口流量が低下す
るため、拡散除去を主体とするβ2-MGの除去には不利である。
膜種・置換液量・血流量のバランスの良い条件選択
考察②(臨床効果の向上を目指して)
アクションレベルの設定値
α1-MG除去率は、ALB漏出量と相関関係があり、治療中の過度
のTMP上昇はα1-MG除去率を増加させ、ALB漏出量も増加する
ことが予測される。
膜面積の増加は、単位膜面積あたりの濾過量を減少させ、TMP
上昇を抑えることによって、α1-MG除去率のバラツキやALB漏
出量も抑えることができる可能性が示唆された。
長期的で安定したon-lineHDF治療が可能
結語
アクションレベルの設定値
前希釈on-lineHDF治療は、低分子量蛋白領域の除去率
が向上し、かゆみ症状とESA製剤が減量した。
また、置換液量増加に伴い、膜面積を増加させる必要
があると思われた。
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