...

平成21年度 - 自然科学研究機構

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Transcript

平成21年度 - 自然科学研究機構
88
平成 21 事業年度に係る業務の実績及び
中期目標期間に係る業務の実績に関する報告書
平成22年6月
大学共同利用機関法人
自然科学研究機構
【目
法人の概要 ··················································· 1
全体的な状況 ················································· 9
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況 ······························· 14
(1)業務運営の改善及び効率化 ····························· 14
① 運営体制の改善に関する目標 ························· 14
② 研究組織の見直しに関する目標 ······················· 19
③ 人事の適正化に関する目標 ··························· 24
④ 事務等の効率化・合理化に関する目標 ················· 27
(1) 業務運営の改善及び効率化に関する特記事項等 ········· 29
(2)財務内容の改善 ······································· 34
① 外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標 ····· 34
② 経費の抑制に関する目標 ····························· 36
③ 資産の運用管理の改善に関する目標 ··················· 39
(2) 財務内容の改善に関する特記事項等 ··················· 41
(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供 ··········· 45
① 評価の充実に関する目標 ····························· 45
② 広報及び情報公開等の推進に関する目標 ··············· 47
(3) 自己点検・評価及び当該状況に関する特記事項等 ······· 56
(4)その他の業務運営に関する重要事項 ····················· 61
① 施設設備の整備・活用等に関する目標 ················· 61
② 安全管理に関する目標 ······························· 65
(4) その他の業務運営に関する特記事項等 ················· 69
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況 ······························· 72
(1)研究に関する目標 ····································· 72
① 研究の成果等に関する目標 ··························· 72
② 研究実施体制等の整備に関する目標 ··················· 86
(2)共同利用等に関する目標 ······························· 93
① 共同利用等の内容・水準に関する目標 ················· 93
② 共同利用等の実施体制等に関する目標 ················ 103
次】
(3)教育に関する目標 ····································· 106
① 大学院への教育協力に関する目標 ····················· 106
② 人材養成に関する目標 ······························· 109
(4)その他の目標 ········································· 111
① 社会との連携、国際交流等に関する目標 ··············· 111
② その他 ············································· 115
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況に関する特記事項 ··········· 116
Ⅲ 予算(人件費見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画 ····· 121
Ⅳ 短期借入金の限度額 ······································· 122
Ⅴ 重要財産を譲渡し、又は担保に供する計画 ··················· 122
Ⅵ 剰余金の使途 ············································· 122
Ⅶ その他 ··················································· 123
(1)施設・設備に関する計画 ······························· 123
(2)人事に関する計画 ····································· 125
(注)
1.「Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況」の「進行状況」欄のローマ数字は、
次の基準で記載。
Ⅳ:年度計画を上回って実施している。
Ⅲ:年度計画を十分に実施している。
Ⅱ:年度計画を十分には実施していない。
Ⅰ:年度計画を実施していない。
2.「Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況」の【 】は、添付資料「実績報告書
記載事項との対応」のポイント番号
3.岡崎3機関とは、基礎生物学研究所、生理学研究所及、分子科学研究所(共
通研究施設及び組織を含む。)をいう。
自然科学研究機構
○
法人の概要
(1) 現況
① 法人名
大学共同利用機関法人自然科学研究機構
② 所在地
法人の本部
東京都三鷹市
大学共同利用機関
国立天文台
東京都三鷹市
核融合科学研究所 岐阜県土岐市
基礎生物学研究所 愛知県岡崎市
生理学研究所
愛知県岡崎市
分子科学研究所
愛知県岡崎市
③ 役員の状況
機構長 志村 令郎
(任期:平成16年4月1日~平成22年3月31日)
理事数 5(2)人
監事数 2(1)人
※( )は非常勤の数で、内数(国立大学法人法第24条第1項及び
第2項)
④ 大学共同利用機関等の構成
大学共同利用機関
国立天文台
核融合科学研究所
基礎生物学研究所
生理学研究所
分子科学研究所
研究施設等
国立天文台
水沢 VLBI 観測所、野辺山宇宙電波観測所、野辺山太陽電波観測
所、太陽観測所、岡山天体物理観測所、ハワイ観測所、天文シ
ミュレーションプロジェクト、ひので科学プロジェクト、AL
MA推進室、重力波プロジェクト推進室、RISE月探査プロ
-
⑤
1
-
ジェクト、天文データセンター、先端技術センター、天文情報
センター
核融合科学研究所
大型ヘリカル研究部、シミュレーション科学研究部、炉工学研
究センター、連携研究推進センター、安全管理センター、六ヶ
所研究センター
基礎生物学研究所
培養育成研究施設、形質転換生物研究施設、情報生物学研究セ
ンター
生理学研究所
行動・代謝分子解析センター、多次元共同脳科学推進センター、
脳機能計測・支援センター、情報処理・発信センター
分子科学研究所
極端紫外光研究施設、分子制御レーザー開発研究センター、分
子スケールナノサイエンスセンター、機器センター、装置開発
室
岡崎共通研究施設
岡崎統合バイオサイエンスセンター、計算科学研究センター、
動物実験センター、アイソトープ実験センター
新分野創成センター
教職員数(平成21年5月 1 日現在、任期付職員を含む。)
研究教育職員 484人
技術職員・事務職員 353人
自然科学研究機構
教育を進め、国際的に活躍が期待される研究者の育成を積極的に推進するこ
とを目指す教育組織でもある。
各分野における国際的研究拠点であると同時に、分野間連携による学際的
研究拠点及び新分野形成の国際的中核拠点としての活動を展開するために、
欧米、アジア諸国などとの連携を進め、自然科学の長期的発展を見通した国
際共同研究組織の主体となることを目指している。
(2) 法人の基本的な目標等
国立大学法人法第30条の規定により、大学共同利用機関法人自然科学研
究機構(以下「本機構」という)が達成すべき業務運営の目標を定める。
大学共同利用機関法人である本機構は、天文学、物質科学、エネルギー科
学、生命科学等、自然科学分野の拠点的研究機関として、先端的・学際的領
域の学術研究を行い、大学共同利用機関としての責任を果たすとともに、自
然科学分野における学術研究成果の世界への発信拠点としての機能を果た
す。
大学の要請に基づいて特色ある大学院教育を推進するとともに、若手研究
者の育成に努める。
適切な自己点検や外部評価を行い、学術の基礎をなす基盤的研究に加え、
先進的装置の開発研究等のプロジェクト的研究、自然科学分野の関連する研
究組織間の連携による学際的研究の推進を図る。
本機構の国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究
所、分子科学研究所(以下「各機関」という)は、当該研究分野の拠点とし
て、基盤的な研究を推進することを使命としている。また、共同研究、研究
集会などにより、国公私立大学をはじめとする我が国の研究者コミュニティ
に研究データを公開提供するとともに、多くの情報を発信することを本務と
している。更に大規模な研究施設・設備を設置・運営し、これらを全国の大
学等の研究者の共同利用に供することにより、効果的かつ効率的に世界をリ
ードする研究を推進する方式は、世界的にも例のない優れたものである。以
上のように各機関が、当該研究分野の拠点的研究機関としての機能を有して
いることに鑑み、国公私立大学をはじめとする我が国の研究者コミュニティ
を代表する外部委員を含む運営会議を設置し、各機関の運営に当たっている。
また、本機構は、各機関の特色を生かしながら、更に各々の分野を越え、
広範な自然の構造、歴史、ダイナミズムや循環等の解明に総合的視野で取り
組んでいるとともに、自然の理解を一層深め、社会の発展に寄与し、自然科
学の新たな展開を目指している。そのため各機関に跨る国際シンポジウムや
新分野の創成を目指すシンポジウムの開催などをはじめ、大学等の研究者コ
ミュニティと有機的な連携を強め、新しい学術分野の創出とその育成を進め
ている。
本機構は、我が国における自然科学研究の拠点として、大学や大学の附置
研究所等との連携を軸とする学術研究組織である。また、総合研究大学院大
学及び連携大学院等をはじめとして、全国の大学と協力して特色ある大学院
-
2
-
自然科学研究機構
(3) 法人の機構図
-
3
-
自然科学研究機構
-
4
-
自然科学研究機構
-
5
-
自然科学研究機構
-
6
-
自然科学研究機構
-
7
-
自然科学研究機構
-
8
-
自然科学研究機構
全
体
的
な
状
況
本機構は、平成16年の設置以降、自然科学分野の研究拠点として、先端的・学際
的領域の学術研究を行い、大学共同利用機関としての責任を果たすとともに、学術
研究成果の世界への発信拠点としての機能、役割を果たしてきた。また、各機関(国
立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所)
の特色を生かしながら、各分野を越え、自然科学分野の関連する研究組織間の連携
による学際的研究を推進するとともに、欧米、アジア諸国などとの連携を進め、自
然科学の長期的発展を見極めながら国際的研究拠点の形成を推進してきた。特に、
自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体化するために、平成21年度
に「ブレインサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究分野」の2つ
の新たな研究分野の研究を行うことを目的とした「新分野創成センター」を設置し
た。その活動として、ブレインサイエンス研究分野においては、今後の我が国にお
ける脳科学研究推進体制の在り方を検討するとともに、脳科学研究に係る機構シン
ポジウムを2回開催し、合計約600名の参加者を得た。また、イメージングサイエ
ンス研究分野においては、自然現象の研究データを用いた時間的空間的階層連結の
手法の開発を行い、その成果を発信するための機構シンポジウムを開催し、約600
名の参加者を得た。
各機関においては、各分野の拠点として、基盤的な研究を推進する一方、大型研
究施設・設備を設置・運営し、国内外の研究者による共同利用・共同研究を推進し
て成果を上げてきた。また、総合研究大学院大学の基盤機関として各機関に置かれ
た大学院専攻において大学院教育を実施するとともに、リサーチアシスタント制度
やポストドクトラル・フェローシップ制度の充実を図るなど、若手研究者の育成に
も積極的に取り組んできた。
(業務運営)
業務運営については、機構長の下、労務、財務から個人情報保護等の様々な業務
について各担当理事を定めるとともに、それらを支援する各種委員会等を組織し、
実効性・機動性のある運営体制を構築してきた。更に、理事の他、各機関の長を副
機構長に任命して、機構長、理事及び副機構長を構成メンバーとする機構会議を設
置し、重要事項について審議することにより、機構として一体的かつ円滑で適正な
運営を行った。また、機構長裁量経費を設け、分野間連携事業、若手研究者の育成、
研究環境の整備、及び機構シンポジウムの開催等に充てるなど、機構長のリーダー
-
シップの強化を図るとともに、戦略的・効果的な資源配分を行った。更に、外部有
識者を役員に招へいするとともに、経営協議会や教育研究評議会に外部の有識者・
企業経営者・学識経験者を積極的に加えたほか、外部有識者との学術のあり方に関
する意見交換の場として「自然科学懇話会」を設置するなど、多様な意見が取り入
れられるよう、法人として責任ある運営体制の整備を進めた。
各機関においては、各機関の長のリーダーシップの下、約半数の外部委員を含む
運営会議において、共同利用・共同研究、研究教育職員の人事、自己点検・外部評
価等の当該機関の運営に関する重要事項について審議するなど、連携する研究者コ
ミュニティの意向を業務運営に反映させた。
事務体制については、人事・給与、共済組合、財務・会計の各システムを導入す
る等、各機関の共通的な業務を一元化・集約化し、機構事務局で一元処理すること
により、事務の改善・効率化を図った。
人事面については、研究教育職員の採用について、公募制、内部昇格禁止、任期
制の導入など、各機関で人事の活性化、流動化を図りつつ、最先端の研究を推進す
るための人材の確保に取り組んできた。また、国立天文台ハワイ観測所を活用した
国際共同研究支援職員研修等を実施し、機構職員の資質の向上を図った。
(財務内容)
財務内容については、機構長のリーダーシップにより、概算要求をとりまとめる
とともに、予算配分の早期化を図り、計画的な執行に取り組んだ。また、自己収入
確保の観点からは、機構事務局において資金収支計画及び「自然科学研究機構資金
管理方針」に基づき、短期・長期的な運用を行い、運用益の増収を図るとともに、
各機関においては、科学研究費補助金において高水準の採択率を維持するなどして
外部資金獲得に努めた。また、国立天文台では、平成20年度以降、Webページから
寄附金の申し込み及びクレジットカードでの振り込みを可能とするなど寄附金を
いつでも広く一般国民から受け入れる体制を整備し、更に寄付者からの意見を取り
入れるなど寄附金の受け入れ体制を強化した。資産の効率的かつ適正な管理のた
め、資産の管理及び使用状況等について定期的に現物実査を行うとともに、重要資
産の有効活用の観点から、学術研究の動向等から各機関では使用の見込みがなくな
った施設について、機構全体での再利用(転用)を検討していくこととし、平成21
年度において、国立天文台野辺山地区の職員宿舎及び共同利用研究者宿泊施設の一
9
-
自然科学研究機構
部を職員の福利厚生施設も兼ねた「自然科学研究機構野辺山研修所」に転用し、そ
の運営を開始するとともに、国立天文台乗鞍コロナ観測所施設について、「国立天
文台乗鞍コロナ観測所施設の転用に関する検討会」を設置し、その転用の在り方の
検討を開始した。更に、事務の情報化を推進し、その効率化を図ることにより経費
の削減を図った。
人件費削減目標の確実な達成に向けては、採用計画を含めた機構全体の人件費管
理を行い、削減目標を確実に達成した。
(自己点検・評価、広報)
自己点検・評価については、各機関において、各分野の研究動向を踏まえて、共
同利用・共同研究及び機関の運営等に対する自己点検・外部評価を実施するととも
に、その結果に基づき、教育研究評議会や経営協議会等の意見を聴取した上で、研
究組織の改革を推進した。
広報活動については、広報活動を効率的かつ効果的に実施するため、機構におけ
る「広報の基本方針」を決定し、機構が取り組む広報の考え方を明らかにした。学
術及び基礎科学の重要性を広く一般社会に訴えるとともに、各機関の役割について
理解を求めるため、リーフレット「学術研究とは?」と「大学共同利用機関って何?」
を作製して、Webページに掲載するとともに、全国の大学等へ配布した。また、平
成20年度には、海外の著名研究者(ノーベル賞受賞者等)を招へいし、「分子生物
学フォーラム-ワトソンとスタイツが語る未来の生命科学-」を東京都と岡崎市で
開催して、広く一般市民の学術研究への理解増進及び、若手研究者等の育成を図っ
た。更に、一般市民に向けて、最新の研究成果を分かり易く説明するために、自然
科学研究機構シンポジウムを法人化以降6年間で合計9回開催した。平成21年度に
ついては、新分野創成センターを中心として、「脳が諸学を生み、諸学が脳を総合
する」、「霊長類の脳科学 -将来展望と日本の脳科学-」、「ビックリ 4Dで
見るサイエンスの革新」というテーマで開催し、それぞれ、約400名、約200名、約
600名といった多数の参加者を得るなど、好評を得た。一方、各機関においては、
共同利用等の募集、実施、成果等について各Webページに掲載するとともに、学術
雑誌・年次報告等で積極的に研究活動の成果を公表し、新たな利用者や研究者の発
掘に努めた。これらの結果、平成21年度の各機関を含めた機構全体のWebページの
総アクセス件数は約3億2千万件となり、年度計画で目安とした1億件を大きく上
回った。
-
10
(その他、業務運営に関する重要事項)
環境配慮については、平成18年度以降、環境配慮の実施状況を「環境報告書」と
して、毎年Webページにて公表している。また、平成18年度に「温室効果ガス排出
抑制等のための実施計画」を制定し、省エネルギーを推進した。その結果、平成21
年度の温室効果ガス排出量は、平成17年度比で14.1%の削減となった。また、平成
22年度より施行される「エネルギーの使用の合理化に関する法律の改正」に向け、
新たに選任が必要となるエネルギー管理企画推進者の資格を職員に取得させ、本機
構全体としての省エネルギーの推進体制の準備を開始した。
契約方法について、工事における競争入札は、客観性、透明性、競争性をより高
めるため、平成19年度以降、全ての入札において、一般競争入札・電子入札方式を
実施した。同様に平成19年度以降、工事における品質確保及び環境配慮を図るため、
総合評価方式による入札を実施した。設計業務委託契約においても、環境対策、透
明性、公正性、競争性、品質確保を図るため、平成20年度より環境配慮簡易公募型
プロポーザル方式を取り入れた。これにより分子科学研究所実験棟は改修前と比べ
ると20.2%の温室効果ガス排出量の削減が可能となった。また、国立天文台アルマ
東アジア地域センター新営工事の設計においても、平成21年度に同様の環境配慮簡
易公募型プロポーザル方式の契約を行った。
施設整備については、本機構「施設マネジメント・ポリシー」に基づき、平成
17 年度より、施設実態調査、満足度調査、クオリティマネジメント、スペースマ
ネジメント、コストマネジメントを実施した。また、適宜キャンパス年次計画の見
直しを行い、施設マネジメントの取組状況を毎年、Web ページにて公表している。
特に研究教育活動を安全・安心な環境で行うために、耐震改修を最重要事項に掲げ、
平成 17 年度までに全建物の耐震診断を完了させ、平成 18 年度から耐震補強工事が
必要な 17 棟及び2橋の工事に順次着手し、平成 21 年度末までには 15 棟及び 2 橋
の補強工事が完了した。
危機管理については、災害時における機構内情報伝達方法実施訓練を各機関の防
災訓練時に実施し、機構本部と各機関の連携を確認した。文部科学省防災推進室か
ら機構本部、機構本部から各機関への連絡訓練を実施し、緊急時の対応に備えた。
災害発生時等における複数緊急連絡体制を更に見直し、機構長までの情報伝達が速
やかに行われるように危機管理体制の強化を図った。平成 21 年度には、文部科学
省文教施設応急危険度判定士に本機構の一級建築士免許取得者の全員である7名
-
自然科学研究機構
を登録し、大規模地震発生時における学校施設等の建物判定要請に速やかに応じら
れる危機管理体制を整えた。
情報セキュリティについては、本機構の重要な情報資産を内外の脅威から守るた
め、「情報システム運用基本方針」及び「情報システム運用基準」の情報セキュリ
ティポリシーを決定し、運用の基本方針、管理体制の整備を行った。
安全保障輸出管理については、国際的な平和及び安全の維持の観点から、我が国
の研究機関として国際的責任を果たすため、機構の安全保障輸出管理の基本方針に
従い、引き続き安全保障輸出管理を確実に実施した。また、機構が保有する一般包
括輸出許可及び一般包括役務取引許可の更新を行った。
(機構及び各機関の研究推進に関する取組状況)
機構においては、機構長のリーダーシップにより分野間連携による学際的・国際
的研究拠点形成のためのプロジェクトを推進した。また、国際的研究拠点形成の第
一歩として締結した、欧州分子生物学研究所(EMBL)との学術交流協定に基づき、
基礎生物学研究所において、EMBLとの合同シンポジウムを開催したほか、改良型
DSLM(デジタル走査式平面照射顕微鏡)の開発に着手した。
また、国際的な研究の推進等を機構として戦略的に取り組むため、国際戦略本部
及び国際連携室において、本機構の国際戦略である分野間連携のスキームをもとに
した今後の国際連携のあり方を検討し、平成21年度には米国プリンストン大学との
包括的協定を締結し、共同研究の促進、会議シンポジウムなど学術活動への参加、
交流、大学院生のトレーニングコースへの参加及び情報交換など、学術、教育及び
技術交流を進めることとした。
各機関においては、以下のように自然科学各分野における大学共同利用機関とし
ての役割と機能の一層の充実に努めてきた。
国立天文台では、日米欧の国際協力で進めているアタカマ大型ミリ波サブミリ波
干渉計計画(以下、「アルマ計画」という。)において、アンテナを始めとする日
本担当装置の建設を着実に進め、国際プロジェクトを牽引した。水沢VLBI観測所は、
東アジア中核天文台連合の下に設置した東アジアVLBI観測網コンソーシアムを通
じて、VLBI相関局の韓国との共同開発など国際的な研究協力を進めた。ハワイ観測
所では、新しい高感度CCDの開発を軸に、プリンストン大学、台湾・中央研究院と
協力した超広視野CCDカメラの開発を進めた。また、次世代30m級望遠鏡構想の実現
に向けて、ELTプロジェクト室が米国の30m望遠鏡TMT建設プロジェクトグループと
-
11
の国際協力活動を強化した。平成21年度の主な研究成果としては、光赤外線天文学
では、すばる望遠鏡による、太陽型星をめぐる惑星候補天体の直接撮像成功や、恒
星の自転に逆行して公転する惑星系の発見などがある。電波天文学では、南米チリ
に設置したASTE望遠鏡によるサブミリ波観測で、非常に多くの大質量の爆発的星形
成銀河が発見された。太陽観測衛星「ひので」は、太陽面の至る所に出現する短寿
命水平磁場を発見し、また、極端紫外域輝線観測やX線観測からコロナ加熱機構に
関する新しい描像を得つつある。月探査衛星「かぐや」は、裏側を含む世界初の正
確な月重力及び地形分布の高精度化や月全体の地殻厚さ分布の作成などの成果を
上げた。
核融合科学研究所では、我が国独自のアイデアに基づくヘリオトロン磁場を用い
た世界最大の超伝導大型ヘリカル装置(LHD)を用いて、将来の炉心プラズマの実
現に必要な、1億度を超える無電流・定常プラズマに関わる物理的、工学的研究課
題を解明することを目指し、研究を進めた。平成21年度には電子温度1億7千万度
を達成するなどプラズマの性能を増進させるとともに、イオン温度が高くなるとプ
ラズマ中心部から不純物が排除される現象に原子番号依存性を見い出すなど、予測
精度の向上につながる物理の理解が進んだ。この他にも、加熱方法と粒子供給の最
適化により、プラズマと磁場の圧力比が経済性の指標となる5%程度に高まった状
態の安定保持や、中心密度が従来の核融合条件の10倍を超える1,200兆個/ccの高密
度プラズマの実現に成功した。大規模数値シミュレーション研究においては、プラ
ズマの巨視的不安定性やミクロ物理が起因となる乱流輸送特性の理解が進むとと
もに、実験結果との直接的な比較を可能とする各種シミュレーションコードの開発
を進めた。更に、将来の核融合炉条件を推測する数値試験炉の構築に向け、統合コ
ードの整備を実施した。平成20年度の更新によりその実効速度を10倍に高めたプラ
ズマシミュレータ(スーパーコンピュータ)の能力を最大限に発揮するための各種
プログラムの最適化を行った。核融合工学分野では、炉工学研究センター、炉シス
テム・応用技術研究系、及び安全管理センターが国内外の共同研究と連携して炉設
計、ブランケット・材料、超伝導マグネット・低温、トリチウム・放射線、等の基
盤研究を着実に進展させ、平成21年度は核融合工学全体の体制充実を目指して中期
計画期間全体の活動に対して外部評価を実施し、高い評価を受けると共に次年度に
向けて組織改変の準備を行った。双方向型共同研究においては、双方向型共同研究
委員会で4つの参画センターと重要研究課題の分担を行い、特に九州大学には新装
-
自然科学研究機構
置を建設し平成20年度に共同研究に供した。平成21年度には次期中期計画期間に向
けた検討を行い、新たに2センターを加えた新体制を決定した。
基礎生物学研究所では、生物現象の基本原理を明らかにすることを目指し、細胞
生物学、発生生物学、神経生物学、進化多様性生物学、環境生物学等の基盤研究並
びに共同利用研究を推進し、数多くの優れた研究成果を上げた。また、バイオリソ
ース事業、国際共同研究事業、トレーニングコース事業等を通じて、国内外の基礎
生物学分野の研究者に対する支援を進めた。平成21年度の主な研究成果として、細
菌感染に対する植物の防御メカニズムの解明、神経管形成に必要なアクチン集積機
構の解明、マウス精子幹細胞の分化開始後の「若返り」の発見、ヒトデにおけるヒ
トリラキシン様ホルモンの発見、神経軸索ガイダンス分子の軸索内細胞骨格制御機
構の解明、マカクザルにおける両眼視情報処理に関連する遺伝子発現解析、染色体
凝縮におけるコンデンシンの結合機構解明、花粉管による卵装置認識に関わる因子
の発見、マメ科植物における根粒数の制御機構の解析、ナメクジウオにおけるエス
トロゲン受容体の解析、微生物比較ゲノムデータベースの改良等が挙げられる。共
同利用研究の更なる推進を図るため、旧来の組織を再編し、新たに生物機能解析セ
ンター、モデル生物研究センターを設置するとともに、各センターの運営のために
それぞれ特任准教授を平成22年度に配置することとした。研究者コミュニティから
の要請に応え、新たにDSLM共同利用実験、次世代DNAシーケンサー共同利用実験、
所外主催の実習コース等のためのトレーニングコース実習室施設利用の公募を開
始した。メダカバイオリソースにおいて、室内飼育室整備によるメダカの保存・提
供体制の充実ならびに、系統の受け入れから系統特性のデータベース化までの効率
化を図った。EMBL-NIBB合同シンポジウムを昨年度に引き続き開催するとともに、
EMBLにおける学生主催シンポジウムへの大学院生の派遣を行った。新たにマックス
プランク植物育種研究所との国際共同研究協定を締結して第1回シンポジウムを
ドイツで開催し、同研究所と共同研究を希望する研究者を全国から公募して現地に
派遣した。また、ヒメツリガネゴケ及びメダカの基生研国際実習コースを開催し、
国内外の若手研究者に対して先端的技術の講習を行った。
生理学研究所では、サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同利用研究を行
う研究者を受け入れる流動連携研究室を多次元共同脳科学推進センターに新設し、
長期滞在型の共同研究を開始した。脳科学以外の領域の若手研究者に基本的な脳科
学の知識を提供する「多次元トレーニング&レクチャー」を開催した。計画共同研
-
究として今年度より新たに「マウス・ラットの行動様式解析」を開始した。平成21
年度の代表的研究成果としては、視床下部オレキシン神経細胞が、味覚刺激とそれ
に伴う動機づけ行動によって活性化し、骨格筋でのグルコース利用を促進すること
を明らかにしたこと、機能的磁気共鳴画像と脳磁図を用いて痒み認知の脳部位が痛
み認知部位と類似しているが明らかに異なること、ミクログリアによる正常脳およ
び障害脳におけるシナプス監視機構とシナプス再編への関与を多光子励起顕微鏡
により生体で明らかにしたことなどが挙げられる。また、社会的判断等の神経科学
的基盤を研究する目的で、2名の被検者の脳機能を同時に測定することができる同
時計測用高磁場磁気共鳴画像装置を導入した。技術面では、既存の蛍光タンパク質
の中で最も短い波長の蛍光を発する群青色蛍光タンパクの開発、ニホンザル脳機能
計測への機能的磁気共鳴画像の適用等がある。
分子科学分野において、X線から電波に及ぶ電磁波、電子線、磁場等の外場、極
低温等を利用する物理化学的計測法、分子物質の設計・合成手法、理論及び超高速
計算機によるシミュレーション等を駆使し、分子及び分子集合体の構造・機能・ダ
イナミクス、更には生体機能等に関する実験・理論研究を推進した。また高度化し
た極端紫外光研究施設(UVSOR)、920MHz核磁気共鳴(NMR)装置、分子科学計算用
大型計算機等の、大型研究設備やその他の特徴的な研究設備による共同研究体制を
整備・改善し、共同研究を強力に推進した。「化学系研究設備有効活用ネットワー
ク」を継続的に運営し、利便性を向上させるとともに、大学の設備の修理・アップ
グレードを進めた。平成21年度の主な研究成果としては、量子化学計算の高速化、
高精度化や分子動力学法の超並列計算アルゴリズムの開発・高度化による、巨大分
子系、複雑系・複合分子系の反応中間体、電子状態、動的過程の解明、分子のコヒ
ーレント光制御による分子状態制御や情報処理、放射光分光による次世代スピント
ロニクス材料の強磁性発現メカニズムの解明、仕事関数閾値近傍での巨大な2光子
発光磁気旋光分散変化の観測、新規な芳香属フッ素化合物高性能n-型半導体の開
発、金属錯体の1光子励起による2電子還元とその繰り返しによる4、6電子還元
反応の開拓、水中機能性固定化ナノ触媒によるグリーンケミストリーの研究、蛋白
質フォールディングを担う複合蛋白分子の構造研究における顕著な成果、等が挙げ
られる。大学共同利用機関として、以下の活動を推進した。920 MHz NMR装置は共
同利用運転時間を大幅に拡大するとともに、固体温度可変プローブの開発を行っ
た。高度化により大幅に競争力を増した極端紫外光研究施設を年間のべ1000人・週
12
-
自然科学研究機構
以上もの共同利用に供した他、光源強度を長時間一定に保つトップアップ運転を週
に一度、24時間導入した。文部科学省「中部地区ナノテク総合支援」の代表機関と
しての高度な装置群の利用促進、「化学系研究設備有効活用ネットワーク」の中心
機関としての取りまとめと運用システムの継続的な改善、25大学の設備の修理・ア
ップグレードを実施した。計算科学研究センターでは、超高速分子シミュレータ並
びに高性能分子シミュレータの継続的な運用、超高速分子シミュレータの更新を通
じて大規模計算の共同利用を強化・推進した他、「最先端・高性能汎用スーパーコ
ンピュータの開発利用-ナノ分野グランドチャレンジ研究-」の拠点として「ナノ
統合シミュレーションソフトウェア」の開発を進めた。
-
13
-
自然科学研究機構
項 目 別 の 状 況
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(1) 業務運営の改善及び効率化
① 運営体制の改善に関する目標
中 期 目 標
①
②
③
④
機構長及び研究所長がリーダーシップを発揮できる体制を整備する。
外部有識者を含めて機構内部で、組織・運営、研究・事業について評価を実施し、本機構の業務運営の改善及び効率化に反映させる体制を整備する。
戦略的な資源配分や研究環境の整備に努め、研究成果の一層の向上を目指す。
技術職員、事務職員の専門性等の向上を目指す。
中期計画
年度計画
【1】
① 本機構の運営に際して、研
究所等の活動状況を適切に反
映させるため、機構に研究所
長等を含む機構会議を置く。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、ほぼ毎月1回機構会議を開催し、中期目標、中期計画、年
度計画、研究連携、評価、予算配分、監査体制、組織改編、研究費の不正使用防
止等、機構の業務運営の重要事項について審議を行った。また、ほぼ毎月1回機
構懇談会を開催し、より率直な意見交換及び情報交換を行うことにより、効果的
な運営を図った。更に、「4機構長会議」を開催し、今後の学術研究のあり方等
について、幅広く議論した。
【1-1】
① 本機構に設置された研究所
長等を含む機構会議をほぼ毎
月開催し、また、外部有識者
からの意見も積極的に取り入
れ、適切に機構運営を行う。
【2】
② 本機構においては、広く研
判断理由(計画の実施状況等)
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【1-1】
前年度に引き続き、ほぼ毎月1回機構会議を開催し、中期目標、中期計画、年
度計画、研究連携、評価、予算配分、監査体制、組織改編、研究費の不正使用防
止等、機構の業務運営の重要事項について審議を行った。また、ほぼ毎月1回機
構懇談会を開催し、より率直な意見交換及び情報交換を行うことにより、効果的
な運営を図った。更に、4機構長のみで構成される「4機構長会議」に加え、大
学共同利用機関法人に共通する今後の学術研究のあり方や機構の運営等の諸課
題について、情報交換及び連絡調整を図ることを目的に「機構長会議」を設置し、
4機構長及び事務局長などにより、幅広く情報交換等を行った。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
分野間連携プロジェクト等については、随時、役員会及び機構会議に報告し、
-
14
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
機構長・理事及び副機構長レベルでの検討を行うとともに、教育研究評議会にお
いて進捗状況等を審議した。
研究連携委員会及び研究連携室会議を開催し、各機関間の研究連携及び研究交
流の具体的方策について検討を行った。また、前年度に引き続き、分野間連携に
よる学際的・国際的研究拠点形成に向けたプロジェクト(国際的基礎生物学研究
拠点形成、新4次元可視化技術による科学の普及、他14件)を採択し、総額503
百万円を措置し、実施した。
更に、自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体化するために、
「ブレインサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究分野」の2つ
の新たな研究分野の研究を行うことを目的とした「新分野創成センター」を、平
成21年度に設置することを決定した。
究情報の収集に努め、機構と
し て の 研 究の 指 針 を 検討 す
る。また、多様な研究需要へ
の対応や新たな分野の開拓等
を可能にする体制の整備を図
る。
【2-1】
② 教育研究評議会、機構会議、
研究連携委員会、研究連携室
会議及び各研究所等の運営会
議において、研究需要への対
応や新分野形成について検討
する。
【3】
③ 研究計画その他の重要事項
について専門分野ごと及び境
界領域・学際領域ごとに外部
学識者からの指導・助言に基
づき業務運営の改善、効率化
を行い、機動的かつ柔軟な研
究体制の整備を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【2-1】
分野間連携プロジェクト等については、随時、役員会及び機構会議に報告し、
機構長・理事及び副機構長レベルでの検討を行うとともに、教育研究評議会にお
いて進捗状況等を審議した。
前年度に引き続き、分野間連携による学際的・国際的研究拠点形成に向けたプ
ロジェクト(国際的基礎生物学研究拠点形成、新4次元可視化技術による科学の
普及、他15件)を採択し、総額499百万円を措置し、実施した。
更に、自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体化するために、
「ブレインサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究分野」の2つ
の新たな研究分野の研究を行うことを目的とした「新分野創成センター」を設置
し、活動を開始した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
経営協議会や教育研究評議会等において、業務実績を踏まえ、業務運営に関し
て、委員に意見を伺い、改善、効率化、目的積立金の使途等の検討を引き続き行
った。
機構長のリーダーシップの下、目的積立金を活用し、「機構長裁量経費」の大
幅な増額を図り、老朽化が著しく、円滑な共同利用・共同観測の実施に支障を来
している国立天文台45m電波望遠鏡の改修に着手するなど、各機関の喫緊の懸案
事項に対し予算を措置した。また、前年度に引き続き、本機構シンポジウムの開
催(2回)、各機関間が連携して行う分野間連携プロジェクトの実施、大学国際
戦略本部強化事業及び外国人著名研究者招へい事業を推進した。
【3-1】
③ 経営協議会等における外部
有識者の意見を踏まえ、業務
運営の改善、効率化を行う。
【3-2】
④ 機構長のリーダーシップの
下に戦略的な運営を図るため
の経費を引き続き措置する。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【3-1】
経営協議会や教育研究評議会等において、業務実績を踏まえ、業務運営に関す
る意見を伺い、業務の改善や効率化、目的積立金の使途等の検討を引き続き行っ
た。
Ⅲ 【3-2】
機構長のリーダーシップの下、目的積立金を活用し、「機構長裁量経費」を約
8.9億円確保し、すばる望遠鏡制御システムの機能更新や大型ヘリカル装置の機
能増強等、前年度に引き続き各機関の喫緊の懸案事項に対し予算を措置した。ま
た、前年度に引き続き、本機構シンポジウムの開催(2回)、各機関間が連携し
-
15
-
自然科学研究機構
て行う分野間連携プロジェクトの実施、大学国際戦略本部強化事業を推進した。
【4】
④ 研究所長等は、副所長、研
究総主幹、研究主幹・施設長
等とともに研究体制・共同利
用体制の充実を図る。
Ⅲ
プロジェクト制及びテーマグループ制の推進、重点共同利用研究の実施及び外
部評価など、各機関において他の研究機関の研究者と共同して研究体制・共同利
用体制の充実を図った。
国立天文台では、4月に国際連携室を設置し、国際共同研究、国際研究集会、
国際研究協力協定の支援強化を進めた。また、平成20年度より、分野別の専門委
員会には副台長2名のどちらかが陪席し、執行部と分野コミュニティとの連携を
強化した。
核融合科学研究所では、シミュレーション科学研究部の作業班、ヴァーチャル
リアリティタスクフォースを強化して、研究基盤の強化を図った。また、連携研
究推進センターの研究部門を構成員の研究内容に相応しい研究体制に改編した。
生理学研究所では、多次元共同脳科学推進センターを新設し、既設のNBR(ナ
ショナルバイオリソース)事業推進室に加えて、新たに脳科学新領域開拓研究室、
脳内情報抽出表現研究室、霊長類脳基盤研究開発室の3室を設置した。また、広
報・資料収集等に関わる4室を、情報処理・発信センターの下に再編した。更に、
文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの課題A「ブレイン・マシン・インタ
ーフェース(BMI)の開発」の参画機関、課題C「独創性の高いモデル動物の
開発」の拠点機関となるとともに、プログラム事務局を設置した。
【4-1】
⑤ 研究所長等は、副所長、研
究総主幹、研究主幹・施設長
等とともに運営体制、研究体
制及び共同利用等の体制を一
層充実する。
【5】
⑤ 分子科学研究所、基礎生物
学研究所、生理学研究所の所
(平成20年度の実施状況概略)
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【4-1】
プロジェクト制及びテーマグループ制の推進、重点共同利用研究の実施及び外
部評価など、各機関において他の研究機関の研究者と共同して研究体制・共同利
用体制の充実を図った。
国立天文台では、平成20年度に引き続き、分野別の専門委員会に担当する副台
長が陪席し、執行部と分野コミュニティとの連携強化に努めた。
核融合科学研究所では、平成21年度より新プラズマシミュレータ(スパコン)
の運用を開始した。これに伴いユーザーの管理方法を変更し、LHD数値解析シ
ステムと統一することでユーザーの利便を図った。LHDの重水素実験に向けた
準備として、必要となる建物の改造や安全管理計画について詳細な検討を進め
た。
基礎生物学研究所では、共同利用研究の推進を図るため、旧来の施設を再編し、
新たに生物機能解析センター、モデル生物研究センターを設置した。
生理学研究所では、サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同利用研究を
行う研究者を客員教授、客員准教授又は客員助教として受け入れる流動連携研究
室を多次元共同脳科学推進センターに新設し、長期滞在型の共同研究を開始し
た。
分子科学研究所では、協力研究、研究会等の緊急を要する課題の随時受付を開
始し、共同研究の一層の充実を図った。また、アジアを中心とする国々との国際
共同研究の一層の充実を図るための体制の強化を行った。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
分子科学研究所(第3金曜日)、基礎生物学研究所(第2金曜日)、生理学研究所
(第2火曜日)では、毎月1回(8月を除く)定期定例で教授会議を開催した。
-
16
-
自然科学研究機構
Ⅲ (平成21年度の実施状況)
長は、運営会議に加えて、機 【5-1】
動的・戦略的運営を図るため、 ⑥ 分子科学研究所、基礎生物
【5-1】
定 期 的 に 教授 会 議 を 開催 す
学研究所、生理学研究所では、
分子科学研究所(第3金曜日)、基礎生物学研究所(第2金曜日)、生理学研究所
る。
教授会議をほぼ毎月開催す
(第2火曜日)では、毎月1回(8月を除く)定期定例で教授会議を開催した。
る。
【6】
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
⑥ 技術職員、事務職員の専門
技術職員、事務職員の専門的能力の向上を図るため、研修年度計画を策定し、
的能力の向上を目指すため、
研修機会の拡充を図った。
研修、研究発表会等への積極
機構横断的な研修として昨年度に引き続き、国立天文台ハワイ観測所での実務
的な参加を促す。
研修も含めた国際共同研究支援職員研修を実施した。この研修により、職員の国
際関係業務に対応する能力を向上させた。また、各機関の技術職員を対象とした
合同研修会(自然科学研究機構技術研究会)を引き続き開催した。
このほか、機構事務局では、人間文化研究機構事務局、情報・システム研究機
構事務局と合同で個人情報保護研修を行った。
核融合科学研究所では、技術職員2名を英国の研究所に派遣し、重水素実験の
準備のための情報収集や大型ヘリカル装置に関するプレゼンテーションを行っ
た。
【6-1】
Ⅲ (平成21年度の実施状況)
⑦ 技術職員、事務職員の専門
【6-1】
的能力の向上を図るため、研
技術職員、事務職員の専門的能力の向上を図るため、研修年度計画を策定し、
修年度計画を策定し、研修機
研修機会の拡充を図った。
会の拡充を図りつつ、積極的
機構横断的な研修として昨年度に引き続き、国立天文台ハワイ観測所での実務
な参加を促す。
研修も含めた国際共同研究支援職員研修を実施した。この研修により、職員の外
国人研究員の受け入れ業務に対応する能力を向上させた。また、各機関の技術職
員を対象とした合同研修会(自然科学研究機構技術研究会)を引き続き開催した。
このほか、機構事務局では、人間文化研究機構事務局、情報・システム研究機
構事務局と合同で個人情報保護研修を行った。
国立天文台では、平成21年度より技術系職員を対象にジョブサポート制度を発
足させ、スーパーバイザーの設定、年度当初の目標設定シートの記入、年度終了
時の達成度報告書の提出を実施した。
核融合科学研究所では、高圧ガス製造保安責任者講習、クレーン技能講習、放
射線安全管理講習、その他各種技術研修を受講させ、技能の維持・向上を図った。
また、事務職員の研修として、英語研修のほか、今年度から新たに簿記研修及び
パソコンスキルアップ研修を実施した。
岡崎3機関では、新規採用の事務職員研修の充実を図るため、3カ月間の研修
を行った。また、簿記研修、語学研修期間の見直しの検討など自己啓発研修を充
実する取組を行った。
基礎生物学研究所では、大学等の専門技術分野の技術者や研究者を招いた生物
学技術研究会を実施するとともに、高い専門性を要求される機器等の研修会や講
習会に技術職員を積極的に参加させた。
生理学研究所では、生理学技術研究会等を開催して専門分野の研究者を招き、
生理学研究所技術職員だけでなく他大学等の関係専門技術分野の技術職員も含
めた研修を実施した。
-
17
-
自然科学研究機構
分子科学研究所では、専門技術分野の研究者・技術者を外部より招き、各機関
の関係する技術職員を対象とした「技術課セミナー」を開催し、技術職員研修を
実施した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き、監査室において、監査計画を策定し、計画的に内部監査を実施した。
内部監査においては、引き続き、機関等間で相互監査を行うことにより、機関等
間の相互牽制が図られる体制とした。
また、機構事務局及び各機関において、内部監査、監事監査及び会計監査人監
査の指摘等を踏まえた内部牽制体制の確保を図る等、業務の改善に取り組んだ。
【1~6-1】
⑧ 内部監査計画に基づき、計
画的な内部監査を実施するほ
か、監査方法等の見直しを行
い、内部監査機能を一層充実
する。また、内部監査、監事
監査及び監査法人監査の結果
を踏まえ、適切な運営を引き
続き行う。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【1~6-1】
引き続き、監査室において、監査計画を策定し、計画的に内部監査を実施した。
内部監査においては、引き続き、機関等間で相互監査を行うことにより、機関等
間の相互牽制が図られる体制とした。
また、機構事務局及び各機関において、内部監査、監事監査及び会計監査人監
査の指摘等を踏まえた内部牽制体制の確保を図る等、業務の改善に取り組んだ。
ウェイト小計
-
18
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(1) 業務運営の改善及び効率化
② 研究組織の見直しに関する目標
中 期 目 標
外部評価を踏まえ、本機構の多様な研究組織を見直し、機動的かつ柔軟なものとする。
中期計画
【7】
① 自己点検や外部評価を踏ま
え、機構長及び研究所長等の
リーダーシップの下に研究組
織の見直しを図る。
年度計画
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
各機関において、研究組織について自己点検や運営会議等による外部評価を実
施した。教育研究評議会及び経営協議会において、各研究所で実施した自己点検
及び外部評価結果について報告を行い、意見を聴取し、その意見を元に各機関に
おいて組織等の一部の見直しを図った。
国立天文台では、例年行っている自己点検評価に加え、平成19年度に実施した
分野ごとの国際外部評価の結果を受け、平成20年5月に全台を総合した国際外部
評価を実施した。
核融合科学研究所では、平成16年度の法人化に併せて制度化された双方向型共
同研究の4年間の活動状況について外部評価を実施した。また、顧問及び著名な
外国人研究者による評価を実施し、研究の在り方について点検を行い、今後の改
善に役立てることとした。
基礎生物学研究所では、運営会議外部委員に対して、学術研究活動、教育、研
究者コミュニティに対する活動、研究所の体制、広報活動に関する新しい試みに
ついての意見を書面で徴するとともに、4名の運営会議外部委員を招聘して外部
点検評価会議を実施した。
生理学研究所では、研究活動並びに諸活動に関する自己点検を行うとともに、
外国人を含む研究者による外部評価を3研究部門に対して行い、それらの結果を
報告書としてまとめ運営会議にて審議した。外部評価者の選定にあたっては、関
係学会である日本生理学会と日本神経科学学会に依頼して透明性を高めた。
分子科学研究所では、各研究領域・施設で自己点検を行うとともに、コミュニ
ティからの意見等を含めて分子研リポートにまとめ、運営会議に報告し、議論を
行った。
-
19
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
Ⅲ
【7-1】
① 各研究所等に設置された運
営会議において、研究組織の
自己点検及び外部評価を行
い、教育研究評議会で意見を
聴取し、必要な場合は見直し
を実施する。
【8】
② 研究者の自由な発想に基づ
く基盤研究を基本的活動とす
るために、研究体制について
見直しを図る。
(平成21年度の実施状況)
【7-1】
各機関において、研究組織について自己点検や運営会議等による外部評価を実
施した。教育研究評議会及び経営協議会において、各研究所で実施した自己点検
及び外部評価結果について報告を行い、意見を聴取し、その意見を元に各機関に
おいて組織等の一部の見直しを図った。
核融合科学研究所では、外国人委員を含む所外委員のみで構成する運営会議外
部評価委員会において、核融合工学研究及び安全管理を評価対象とした外部評価
を実施し、評価結果を報告書としてまとめ、Webページにも公表した。
基礎生物学研究所では、運営委員に外部有識者を加えた評価者によって、研究
所の体制、研究活動、共同利用、国際連携、大学院生教育について書面及び評価
会議による評価を行い、今後の改善に役立てることとした。
生理学研究所では、研究活動並びに諸活動に関する自己点検を行うとともに、
外国人を含む研究者による外部評価を3研究部門に対して行い、それらの結果を
報告書としてまとめ運営会議にて審議した。外部評価者の選定にあたっては、関
係学会である日本生理学会と日本神経科学学会に依頼して透明性を高めた。ま
た、上記2学会とは異なる関連学会(日本神経化学学会、日本薬理学会)の代表
的研究者2名により、第1期中期計画・中期目標期間全体にわたる研究所の活動
に関する外部評価を行った。
分子科学研究所では、各研究領域・施設で自己点検を行うとともに、外国人運
営顧問やコミュニティからの意見等を含めて分子研リポートにまとめ、運営会議
に報告し、議論を行った。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関において、外部委員を含む自己点検・評価の結果を踏まえて、自由な発
想に基づく研究体制を検討し、その体制の見直しが可能なものから実施した。
国立天文台では、Bプロジェクト(大型装置の建設過程プロジェクト)であっ
たRISE推進室を、Cプロジェクト(共同利用推進プロジェクト)に移行しRISE月
探査プロジェクトとした。また、Aプロジェクト(萌芽的プロジェクト)であっ
たスペースVLBI推進室を、新たなBプロジェクトとして強化しVSOP-2推進室とし
た。MIRA推進室は解散、4次元デジタル宇宙プロジェクトは発展的解消した。野
辺山宇宙電波観測所の6素子干渉計は平成20年度で運用を停止した。太陽観測
所・乗鞍コロナ観測所については、平成21年度をもって閉所することとした。建
設後16年を経過した野辺山太陽電波観測所・電波ヘリオグラフについても、運営
コスト削減の可能性を検討した。
核融合科学研究所では、連携研究推進センターの構成員の研究内容と合致し
た、産学連携部門及びイノベーション工学部門の新設や原子分子周辺プラズマデ
ータ研究部門を学術連携研究室のもとに置くなどの研究体制の整備を行った。
基礎生物学研究所では、平成19年度に実施した教員外部評価における「能力の
高い若手研究者を見つけ採用することにあらゆる努力を尽くす必要がある」との
指摘に基づき、3名の若手教授及び1名の若手独立准教授を採用し、研究体制の強
化を行うとともに、これらの研究者に対して、重点的な経費配分を行った。また、
若手研究者確保の一環として、研究所雇用のポストドクトラル・フェローをNIBB
リサーチフェローと改称するとともに制度を整備した。
-
20
-
自然科学研究機構
生理学研究所では、研究及び業務の体制の見直しを行うとともに、新設された
多次元共同脳科学推進センター脳科学新領域開拓研究室において、我が国の代表
的な脳神経科学者を集めて、今後の神経科学研究の方向性及び若手研究者育成の
ための具体的計画を立案した。
分子科学研究所では、コミュニティからの意見等を参考に、研究体制を点検し、
長期的な基盤研究を推進するとともに、若手研究者の充実を図るため、助教に準
じる条件の特任助教制度導入の準備を行った。
【8-1】
② 外部委員を含む自己点検・
評価の結果を踏まえ、研究体
制について見直しを行う。
【9】
③ 共同利用を円滑に行うため
の研究体制やプロジェクト型
研究に対する研究体制につい
て客員制度を含めて見直しを
図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【8-1】
各機関において、外部委員を含む自己点検・評価の結果を踏まえて、自由な発
想に基づく研究体制を検討し、その体制の見直しが可能なものから実施した。
国立天文台では、野辺山太陽電波観測所の電波ヘリオグラフを今後5年を限度
として運用することを決定し、その間の研究推進のため、国立天文台外の研究者
を半数以上含む電波ヘリオグラフ科学運用コンソーシアムを結成した。
核融合科学研究所では、運営会議のもとに外部委員を含む組織検討委員会を設
置し、第2期中期目標・中期計画に対応した研究所の研究組織の在り方について
検討を行った。その結果に基づき、2研究部・3センター体制を、平成22年度か
ら1研究部体制とし、また、研究系を横断する研究プロジェクトを設置すること
とした。
基礎生物学研究所では、平成19年度に実施した外部評価における提言を受け、
研究施設を再編して「モデル生物研究センター」「生物機能解析センター」を設
置するとともに、各センターの運営のためにそれぞれ特任准教授を平成22年度に
配置することとした。
生理学研究所では、サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同研究が幅広
く行えるように、客員教授・客員准教授に加えて客員助教の制度を整備した。
分子科学研究所では、前年度までに議論の上に準備した特任助教制度を開始
し、優秀な若手研究者の採用を進めた。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関の運営会議、研究計画委員会、共同研究委員会及び点検評価委員会等に
おいて、それぞれ研究組織の改廃等の審査を実施するなど研究者コミュニティの
意見を踏まえての見直しを行った。
国立天文台では、研究計画委員会等での評価検討に基づき、Bプロジェクト(大
型装置の建設過程プロジェクト)であったRISE推進室を、かぐや衛星打ち上げの
成功により、Cプロジェクト(共同利用推進プロジェクト)に移行しRISE月探査
プロジェクトとした。また、Aプロジェクト(萌芽的プロジェクト)であったス
ペースVLBI推進室を、新たなBプロジェクトとして強化しVSOP-2推進室とした。
MIRA推進室は解散し、4次元デジタル宇宙プロジェクトは天文シミュレーション
プロジェクトと天文情報センターに発展的に分離改組した。野辺山宇宙電波観測
所では、電波専門委員会や電波コミュニティでの議論を経て、使命を終えた6素
子電波干渉計(直径10mアンテナ)の運用を平成20年度で停止した。太陽観測所
の乗鞍施設については、装置の老朽化や、ひので衛星など先進的観測装置への世
代交代を考慮し、太陽天体プラズマ専門委員会での検討、コミュニティからの意
見聴取を経て、平成21年度をもって閉所することとした。建設後16年を経過した
-
21
-
自然科学研究機構
野辺山太陽電波観測所・電波ヘリオグラフについても、太陽天体プラズマ専門委
員会での検討ののち、ワーキンググループを設置して運営コスト削減の可能性を
検討した。
核融合科学研究所では、研究所顧問及び著名な外国人研究者による特別評価を
実施し、研究の在り方について点検を行い、今後の改善に役立てることとした。
また、90名を超える研究者及び著名な外国人研究者2名が参加するシミュレーシ
ョン科学シンポジウムにおいて、プラズマ・核融合に関するシミュレーション科
学研究の進め方を議論し、スーパーコンピュータの運用に反映することにした。
基礎生物学研究所では、共同利用推進に関連しては、「メダカ」バイオリソー
ス運営委員会及び大型スペクトログラフ室運営委員会、国際学術交流に関連して
は、OBC(生物学国際高等コンファレンス)運営委員会、研究推進に関連しては、
バイオイメージングアドバイザリー委員会が、それぞれ所外委員を迎えた委員会
として存在し、毎年開催される会議を通じて研究者コミュニティの意見を反映さ
せる仕組みとなっており、平成20年度もそれぞれ実施した。
生理学研究所では、運営会議外部委員の要望等、コミュニティの意見を踏まえ、
サバティカル制度等を利用した研究者を受け入れるため、流動連携研究室の設置
を準備した。平成21年度より受け入れの予定である。
分子科学研究所では、コミュニティからの意見聴取の結果をとりまとめ、それ
を元に更に所内で議論を進め、今後の共同利用体制の発展の方策について検討し
た。
【9-1】
③ 各分野における基盤研究推
進や共同利用等の推進に適した
研究体制及びプロジェクト型研
究に適した研究体制について、
運営会議等、研究者コミュニテ
ィの意見を踏まえた点検を行
う。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【9-1】
各機関の運営会議、研究計画委員会、共同研究委員会及び点検評価委員会等に
おいて、それぞれ研究組織の改廃等の審査を実施するなど研究者コミュニティの
意見を踏まえた見直しを行った。
国立天文台では、VLBI研究において一体的なシステム開発・研究推進を強化す
るために、水沢VERA観測所(Cプロジェクト)とVSOP-2推進室(Bプロジェクト)
を融合し、水沢VLBI観測所(Cプロジェクト)とした。建設後60年を経た太陽観
測所・乗鞍コロナ観測所は共同利用運用を終了した。平成22年度からサブプロジ
ェクトであるASTE推進室を廃止し、ASTEの運用を、野辺山宇宙電波観測所とALMA
推進室で連携して行うことを決定した。
核融合科学研究所では、運営会議の下に組織検討委員会を設置し、第2期中期
計画期間に向けた研究組織体制の検討を行った。その結果、現状の2研究部3研
究センター体制を見直し、研究部を1つに統合した上で横断的なプロジェクトを
複数実施する体制に改変することが望ましいとして、平成22年度より組織改編を
行うこととした。
基礎生物学研究所では、研究者コミュニティの要望に配慮し、共同利用の推進
を図るため、新たな二つの研究センターを組織し、その運営に携わる特任准教授
を平成22年度から採用し、配置することとした。
生理学研究所では、サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同利用研究を
行う研究者を受け入れる流動連携研究室を多次元共同脳科学推進センターに新
設し、長期滞在型の共同研究を開始した。
分子科学研究所では、コミュニティからの意見聴取の結果や共同利用の状況の
-
22
-
自然科学研究機構
推移をとりまとめ、それを元に外部委員を含む共同利用委員会及び所内で議論を
進め、今後の共同利用・共同研究、研究会の発展の方策について検討した。
ウェイト小計
-
23
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(1) 業務運営の改善及び効率化
③ 人事の適正化に関する目標
中 期 目 標
柔軟かつ多様な人事システムの構築を促進する。
「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された総人件費改革の実行計画を踏まえ、人件費削減の取組を行う。
中期計画
年度計画
【10】
① 公募制を取り入れ、研究教
育職員の人事選考の透明性を
確保する。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、研究教育職員の採用については、原則として公募制による
選考採用を行うこととし、教育研究評議会の意見を踏まえて機構が定めた選考基
準に基づき、外部委員を約半数含む運営会議(各機関に設置)で選考することに
より、透明性・公平性を確保した。
【10-1】
① 研究教育職員の採用は原則
として公募制により実施し、
その人事選考は外部委員を含
む運営会議で行い、透明性・
公平性の確保を図る。
【11】
② 各専門分野に適した任期制
を導入して、研究教育職員の
流動化・活性化を図る。また、
分子科学研究所においては内
部 昇 格 禁 止の 制 度 も 導入 す
る。
判断理由(計画の実施状況等)
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【10-1】
前年度に引き続き、研究教育職員の採用については、原則として公募制による
選考採用を行うこととし、教育研究評議会の意見を踏まえて機構が定めた選考基
準に基づき、外部委員を約半数含む運営会議(各機関に設置)で選考することに
より、透明性・公平性を確保した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、各機関の専門分野に適した任期制により、研究教育職員の
流動化・活性化を図るとともに、任期制の一層の推進を図った。
国立天文台では、引き続き、58歳に達した研究教育職員を2年任期付き職へ異
動し、翌年に、60歳を超える再任についての可否を審査する手続きを実行した。
また、助教は5年の任期付きで採用し、4年目に任期なし助教への移行審査を実
施している。研究教育職員の人事交流の促進を図るため、他機関との間の研究者
の出向制度及び特任教員制度を発足させた。
核融合科学研究所では、引き続き、採用、昇任及び他機関からの人事異動によ
り任用した研究教育職員について、任期制(任期5年、再任可)を適用した。
基礎生物学研究所では、任用から1年を経過する特任教授について、研究所内
の評価委員による業績評価を行った。また、任期制導入後に雇用した准教授と助
-
24
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
教のうち任期が5年を経過する者についても業績評価を行った。
生理学研究所では、新規採用の研究教育職員全員に任期制を適用する制度を継
続して実施し、運営会議の下に設置された再任評価委員会にて、任期更新に関す
る審査を行った。
分子科学研究所では、研究教育職員について内部昇格禁止とする制度を継続し
て実施し、機関の人事の流動化と人事交流の活性化を図るとともに、大学と連携
して次世代の研究者の育成に寄与した。
【11-1】
② 各研究所等に適した任期制
を継続して、研究教育職員の
流動化・活性化を図る。また、
分子科学研究所においては内
部昇格禁止の制度を継続す
る。
【12】
③ 外国人研究者の採用を促進
して、国際的な研究機関とし
て広い視点を取り込む。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【11-1】
前年度に引き続き、各機関の専門分野に適した任期制により、研究教育職員の
流動化・活性化を図るとともに、任期制の一層の推進を図った。
国立天文台では、引き続き、58歳に達した研究教育職員を2年任期付き職へ異
動し、翌年に、60歳を超える再任についての可否を審査する手続きを実行した。
また、助教は5年の任期付きで採用し、4年目に任期なし助教への移行審査を実
施した。
核融合科学研究所では、引き続き、採用、昇任及び他機関からの人事異動によ
り任用した研究教育職員について、任期制(任期5年、再任可)を適用した。
基礎生物学研究所では、新規採用の准教授、助教、特任研究教育職員に任期制
の適用を継続するとともに、特任教授1名について研究所内の評価委員による業
績評価を行った。
生理学研究所では、新規採用の研究教育職員全員に任期制を適用する制度を継
続し、運営会議の下に設置された再任評価委員会にて、任期更新に関する審査を
行った。
分子科学研究所では、研究教育職員について内部昇格禁止とする制度を継続し
て実施し、機関の人事の流動化と人事交流の活性化を図るとともに、大学と連携
して次世代の研究者の育成に寄与した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関において、外国人研究者の採用を促進するとともに、外国人来訪者等を
適宜受け入れるなど、国際的な研究機関として広い視点を取り込んだ。また、外
国人研究職員(客員教授、研究員)や国際共同研究員等の制度を活用し、国際的
な共同研究も積極的に行った。
【12-1】
③ 外国人研究者の採用を促進
して、国際的な研究機関とし
て広い視点を取り込む。
【13】
④ 事務職員について、大学、
研究機関等との人事交流を推
進する。
【13-1】
④ 事務職員について、大学、
研究機関等との人事交流を継
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【12-1】
各機関において、外国人研究者の採用を促進するとともに、外国人来訪者等を
適宜受け入れるなど、国際的な研究機関として広い視点を取り込んだ。また、外
国人研究職員(客員教授、研究員)や国際共同研究員等の制度を活用し、国際的
な共同研究も積極的に行った。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、国立大学法人等と必要な検討・協議を行い、事務職員につ
いて、大学、研究機関等と人事交流を行った。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【13-1】
前年度に引き続き、国立大学法人等と必要な検討・協議を行い、事務職員につ
-
25
-
自然科学研究機構
続する。
【14】
⑤ 技術職員及び事務職員につ
いて、国家公務員採用試験に
代 わ る 適 切な 採 用 方 法を 採
る。
いて、大学、研究機関等と人事交流を行った。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
事務職員及び技術職員の採用について、国立大学法人等職員採用試験制度によ
り、国立天文台1人、核融合科学研究所4人、分子科学研究所2人及び岡崎統合
事務センター3人の計10人を採用した。
また、選考採用による技術職員の採用について、国立天文台2人、核融合科学
研究所1人、基礎生物学研究所1人及び分子科学研究所1人の計5人を採用し
た。
Ⅲ
【14-1】
⑤ 技術職員及び事務職員の採
用については、国立大学等職員
採用試験制度に参加するととも
に、専門性の高い職種について
は、選考採用を実施する。
【15】
⑥ 技術職員及び事務職員につ
いて、適切な勤務評価制度を
導入する。
(平成21年度の実施状況)
【14-1】
事務職員及び技術職員の採用について、国立大学法人等職員採用試験制度によ
り、国立天文台3人、核融合科学研究所2人及び岡崎統合事務センター3人の計
8人を採用した。
また、選考採用による技術職員の採用について、核融合科学研究所1人及び分
子科学研究所2人の計3人を採用した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
技術職員及び事務職員に係る勤務評価制度について、国家公務員の新たな勤務
評価制度の検討を踏まえ、機構としての適切な制度を平成21年度中に導入するこ
とを決定した。
【15-1】
⑥ 技術職員及び事務職員につ
いて、適切な勤務評価制度を
導入する。
【16】
⑦ 「行政改革の重要方針」
(平
成17年12月24日閣議決
定)において示された総人件
費改革の実行計画を踏まえ、
平成21年度までに概ね4%
の人件費の削減を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【15-1】
技術職員及び事務職員に係る勤務評価制度について、国家公務員の新たな勤務
評価制度の検討を踏まえ、機構としての適切な制度を導入した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
計画的な人件費削減目標の達成のため、予算配分時に前年度配分額から1%を
削減した額を配分するとともに、機構事務局及び各機関における人件費の円滑な
抑制を図る観点から、採用計画を策定した。これらを取りまとめて機構全体とし
ての採用計画を把握することなどにより、人件費の抑制を行った。
各機関では、今後の異動見込に基づき、人件費の試算を行い、人件費の推移を
把握するとともに、引き続き定時退勤日の設定等により超過勤務の抑制に務め、
人件費の抑制を図った。
【16-1】
⑦ 「行政改革の重要方針」
(平
成17年12月24日閣議決定)に
おいて示された総人件費改革
の実行計画を踏まえ、引き続
き概ね1%の人件費の削減を
図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【16-1】
計画的な人件費削減目標の達成のため、予算配分時に前年度配分額から1%を
削減した額を配分するとともに、機構事務局及び各機関における人件費の円滑な
抑制を図る観点から、採用計画を策定した。これらを取りまとめて機構全体とし
ての採用計画を把握するなどにより、人件費の抑制を行い、「行政改革の重要方
針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された総人件費改革における目標
値を達成した。
各機関では、今後の異動見込に基づき、人件費の試算を行い、人件費の推移を
把握するとともに、引き続き定時退勤日の設定等により超過勤務の抑制に務め、
人件費の抑制を図った。
ウェイト小計
-
26
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(1) 業務運営の改善及び効率化
④ 事務等の効率化・合理化に関する目標
中 期 目 標
情報化や外部委託を含め、業務及び組織体制の見直しを行い、効率的で合理的な事務処理体制を整備する。
中期計画
年度計画
【17】
① 本機構、国立天文台、核融
合科学研究所及び岡崎3機関
(基礎生物学研究所、生理学
研究所及び分子科学研究所を
いう。)に事務組織を設け、
重複事務を避ける等、効率的
に業務を遂行するため各々の
権限と義務を明確化する。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
国際戦略本部が実施した国際共同研究支援職員研修を通じて、外国人研究者雇
用ハンドブックを作成し、本マニュアルにより、外国人研究者の雇用に関する基
礎知識及びノウハウ等の共有を図るとともに、業務手順を統一した。
新たに、設計業務委託契約において、環境対策、透明性、公正性、競争性及び
品質確保を図るため、環境配慮簡易公募型プロポーザル方式を導入し、
(明大寺)
実験棟改修(分子研)設計契約において実施した。
国立天文台では、各プロジェクト等で個別に行われていた国際協力及び国際連
携に関する事務を一元化し効率化するため、台長の下に研究教育職員を長とする
国際連携室を4月に設置した。
核融合科学研究所では、検収センターを設置し、一元的な納品検収体制を構築
した。
岡崎3機関では、物品検収室を設置し、検収の一層の徹底を図った。特に、研
究室等に直接納品されるものに迅速に対応するため、直接研究室等へ出向き納品
確認を行う体制を整えた。
【17-1】
① 引き続き、業務の見直しを
行い、共通的な事務について
集約化に関する検討を行うと
ともに、費用対効果の観点か
ら事務の簡素化・合理化を進
める。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【17-1】
国際戦略本部が実施した国際共同研究支援職員研修を通じて、外国人研究者等
のための危機管理ハンドブック(英語・日本語)を作成し、Webページ等により周
知を行った。
引き続き、設計業務委託契約において、環境対策、透明性、公正性、競争性及
び品質確保を図るため、環境配慮簡易公募型プロポーザル方式により、2件の契
約を実施した。
国立天文台では、事務の効率化に向けて、総務課情報担当と各担当が協力をし、
-
27
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
公文書管理システムのリニューアル、一般公開用研究教育職員一覧の管理サイト
の開設等を行った。
核融合科学研究所では、管理部において、課業分担一覧表を作成し、業務の改
善、事務の簡素化及び合理化を進めた。
岡崎3機関では、事務組織の見直しを行い、図書館係と情報処理係の2係を1
係に統合し、事務の集約化を図るとともに、短時間契約職員及び派遣職員の配置
について見直し、並びに会計伝票照査のうち、定型的な部分やファイリングをア
ウトソーシングすることにより業務の効率化・合理化を図った。また、自動販売
機設置の入札を実施し収入を確保したほか、食堂業者の公募を実施した。
【18】
② 事務処理、技術支援の内容
を定期的に見直し、事務組織
に流動性を持たせ、専門性に
応 じ て 外 部委 託 等 を 検討 す
る。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、警備、メンタルヘルス、診療報酬請求明細書整理、医療状
況実態統計調査、医療費通知事業、Webページ及びメールサーバの管理運営等の
専門性の高い業務について、外部委託を行った。
機構事務局では、各クライアントにはデータを保持しない事務用シンクライア
ントシステムを新たに導入し、情報漏えい防止対策、情報セキュリティ対策を強
化するとともに運用の効率化を図った。
【18-1】
② 事務情報システムの基盤強
化について引き続き検討を行
うとともに、経常的業務等に
ついて、費用対効果を勘案し
つつ、外部委託の推進に努め
る。
【19】
③ 情報ネットワークを整備
し、事務の情報化、会議の合
理化等を図り、事務及び運営
の効率化に努める。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【18-1】
前年度に引き続き、警備、メンタルヘルス、診療報酬請求明細書整理、医療状
況実態統計調査、医療費通知事業、消費税計算、財務諸表作成支援、Webサーバ
及びメールサーバの管理運営等の専門性の高い業務について、外部委託を行っ
た。
機構事務局では、メールサーバのホスティングに際し、迷惑メール対策を導入
することを条件とし、迷惑メールに起因する非効率な業務を排除し、また、メー
ルの受信前にウィルスチェックを行うことにより、情報セキュリティを高めた。
更に、財務会計システムの基盤強化を図るため、ソフトウェアのバージョンア
ップ及びデータアーカイブシステムの整備を実施し、処理速度を向上させること
により、会計事務の効率化を促進した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き会議及び業務打合せ等は、テレビ会議システムを活用するとともに、
開催通知は電子メールで行うなど、業務の効率化、経費の節減に努めた。また、
中期計画・年度計画の進捗状況確認や策定に係る作業効率を高めるため、目標・
計画データベース(仮称)の導入について、検討を開始した。
【19-1】
③ テレビ会議システムを活用
し、会議や業務打合せ等の効
率化を図るとともに、事務の
情報化について、引き続き取
り組む。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【19-1】
引き続き会議及び業務打合せ等は、テレビ会議システムを活用するとともに、
開催通知は電子メールで行うなど、業務の効率化、経費の節減に努めた。また、
中期計画・年度計画の進捗状況確認や策定に係る作業効率を高めるため、目標・
計画データベース(仮称)の導入のための環境整備を行った。
核融合科学研究所では、研究主幹等会議及び安全衛生委員会の資料を電子ファ
イルで配付するなど、業務の効率化、経費の節減に努めた。
ウェイト小計
ウェイト総計
-
28
-
自然科学研究機構
(1)
業務運営の改善及び効率化に関する特記事項等
結果を教育研究評議会及び経営協議会において報告を行い、意見を聴取した上
で、各機関の長のリーダーシップにより柔軟かつ機動的な見直しを行った。
国立天文台では、A プロジェクト(萌芽的プロジェクト)であったスペース VLBI
推進室を、新たな B プロジェクトとして強化し VSOP-2 推進室とした。MIRA 推進
室は解散、4次元デジタル宇宙プロジェクトは発展的解消した。野辺山宇宙電波
観測所の6素子干渉計は平成 20 年度で運用を停止するなど、組織・施設の効率
的運用を図った。
核融合科学研究所では、連携研究推進センターの構成員の研究内容と合致し
た、産学連携部門及びイノベーション工学部門の新設や原子分子周辺プラズマデ
ータ研究部門を学術連携研究室のもとに置くなどの研究体制の整備を行った。
基礎生物学研究所では、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)「メ
ダカ」の拠点として、バイオリソース室を設置し、専任の准教授を配置した。ま
た、連携・広報企画運営戦略室(後に情報・戦略室、広報国際連携室に分離)を
設置し、情報収集、広報活動、国際連携事業の運営等の充実を図った。
生理学研究所では、新たに多次元共同脳科学推進センターを設置した。脳内情
報抽出表現研究室及び霊長類脳基盤研究開発室において、新たな共同研究の場の
整備を開始した。また、脳科学新領域開拓研究室においては、脳科学の将来ビジ
ョンを検討し、更に、モデル講義を開催するなど若手研究者育成に向けての具体
的計画を策定した。
分子科学研究所では、研究系と研究施設の編成を全面的に見直し、研究系に一
部の研究施設を統合して、理論・計算分子科学、光分子科学、物質分子科学、生
命・錯体分子科学の4つの研究領域を設置した。また機器センターを新たに設置
した。更に,研究活動の広報と研究所の歴史史料の整理のために、それぞれ広報
室と史料編纂室を設置した。
3)任期制の推進
各機関の専門分野に適した任期制を導入し、研究教育職員の流動化・活性化を
図った。また、柔軟な研究者人事を行うために、特任教授、特任助教授及び特任
助手の制度を活用しているほか、分子科学研究所において、内部昇格を禁止とす
1.特記事項
【平成 16~20 年度】
1)法人化のメリットを活用した取組
各機関の長を副機構長に任命して機構長の補佐体制を強化するとともに、機構
長、理事及び副機構長を構成メンバーとする機構会議を設置し、機構として一体
的かつ、円滑な運営を行うとともに、外部有識者を非常勤理事として招へいし、
利益相反、個人情報保護の担当理事として機構の運営に参画させるとともに、専
門的な視点による的確な意見や情報提供等を受ける体制を整えた。
機構に研究連携担当の理事を委員長とする研究連携委員会及び研究連携室を
設置して、各機関の特色を活かしながら分野を超えての連携を企画・推進するた
めの体制を整備し、分野間連携プロジェクトの実施や、国際協定締結など学際
的・国際的拠点形成に向けた取り組みを積極的に進めた。更に、分野間連携によ
る学際的・国際的研究拠点形成に向けたプロジェクトを進めるとともに、「自然
科学における階層と全体」や「イメージングサイエンス」のテーマでシンポジウ
ムを開催するなど、その推進を図った。
また、国際的な研究の推進等を機構として戦略的に取り組むため、機構長を本
部長とした国際戦略本部及び国際交流担当理事を室長とする国際連携室を設置
し、本機構の国際戦略を策定するとともに、国際的な研究活動推進のための情報
収集を行い、各機関における国際活動に反映させるための検討を行うとともに、
ネイティブスピーカーを国際アソシエイトとして機構事務局に配置し、英文事務
のみならず、各機関の Web ページ、各種書式の翻訳や協定文の確認を支援し、機
構横断的に国際活動に関する業務運営の効率化を図った。国際的な業務運営への
対応能力の向上を図るため、若手の事務職員を国立天文台ハワイ観測所に2週間
派遣する海外実務研修を含む国際共同研究支援職員研修等を開始し、平成 20 年
度には、海外実務研修の期間を4週間とし、研修内容をより充実させた。
2)研究組織の見直し
各機関に組織されている外部委員を含む運営会議、また、研究計画、共同研究、
点検評価等の委員会において、それぞれ研究組織の改廃等の検討を行った。その
-
29
-
自然科学研究機構
る制度を継続実施し、流動化・活性化を図るとともに、大学と連携して次世代の
研究者の育成に寄与した。
国立天文台では、引き続き、58 歳に達した研究教育職員を2年任期付き職へ
異動し、翌年に、60 歳を超える再任についての可否を審査する手続きを実行し
た。また、助教は5年の任期付きで採用し、4年目に任期なし助教への移行審査
を実施している。
核融合科学研究所では、採用、昇任及び他機関からの人事異動により任用した
研究教育職員について、任期制(任期5年、再任可)を適用した。
基礎生物学研究所では、任用から1年を経過する特任教授について、研究所内
の評価委員による業績評価を行った。また、任期制導入後に雇用した准教授と助
教のうち任期が5年を経過する者についても業績評価を行った。
生理学研究所では、採用する教授・准教授・助教の全員に任期制を適用してい
る。初めての任期終了時期である平成 21 年3月に向けて、運営会議の下に再任
評価委員会を設け、約2年間に亘って評価基準、評価方法の決定と任期更新の審
査を行った。その結果 15 名が任期更新となった。
分子科学研究所では、准教授、助教の流動性を促進するために内部昇格を禁止
しており、更に、助教に対しては6年を目処に転出を推奨するように制度化して
いる。
2)研究組織の見直し
国立天文台では、地上からの VLBI 観測を行う水沢 VERA 観測所と、スペースか
らの VLBI 観測を目指す VSOP-2 推進室を、水沢 VLBI 観測所として統合し、人材・
資源の有効活用を図った。太陽観測所・乗鞍コロナ観測所は閉所し、野辺山太陽
電波観測所・電波ヘリオグラフは5年を限度に運用することとした。平成 22 年
度からサブプロジェクトである ASTE 推進室を廃止し、ASTE の運用を、野辺山宇
宙電波観測所と ALMA 推進室が連携して行うことを決定した。
核融合科学研究所では、運営会議の下に組織検討委員会を設置し、第2期中期
計画期間に向けた研究組織体制の検討を行った。その結果、現状の2研究部3研
究センター体制を見直し、研究部を1つに統合した上で横断的なプロジェクトを
複数実施する体制に改変することが望ましいとして、平成 22 年度より組織改編
を行うこととした。
基礎生物学研究所では、共同利用の推進を図るため、分析室、培養育成研究施
設、形質転換生物研究施設、情報生物学研究センターを廃止し、新たに生物機能
解析センター、モデル生物研究センターを設立した。
生理学研究所では、サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同利用研究を
行う研究者を客員教授、客員准教授又は客員助教として受け入れる流動連携研究
室を多次元共同脳科学推進センターに新設し、長期滞在型の共同研究を開始し
た。
分子科学研究所では、共同利用と共同研究の一層の強化を図るため、広報室に
研究経験の豊富な技術職員を採用し、新に広報展示室を設置すると共に、新しい
研究成果や設備の充実等を積極的に公開できる体制を整えた。
3)任期制の推進
国立天文台では、引き続き、58 歳に達した研究教育職員を2年任期付き職へ
異動し、翌年に、60 歳を超える再任についての可否を審査する手続きを実行し
た。また、助教は5年の任期付きで採用し、4年目に任期なし助教への移行審査
を実施した。
核融合科学研究所では、引き続き、採用、昇任及び他機関からの人事異動によ
り任用した研究教育職員について、任期制(任期5年、再任可)を適用した。任
期付職員数の割合は、前年度と比較して1%弱増加した。
基礎生物学研究所では、新規採用の准教授、助教、特任研究教育職員に任期制
【平成 21 年度】
1)法人化のメリットを活用した取組
引き続き、機構会議の開催を通じて、機構として一体的かつ、円滑な運営を行
うとともに、分野間連携プロジェクトの実施や、国際協定締結など学際的・国際
的拠点形成に向けた取り組みを積極的に進めた。更に、分野間連携推進の結果、
自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体化するために、「ブレイ
ンサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究分野」の2つの新たな
研究分野の研究を行うことを目的とした、「新分野創成センター」を設置し、研
究連携活動を開始した。
国際戦略の推進については、国際的な研究活動推進のための情報収集を行い、
各機関における国際活動に反映させるための検討を行った。また、国際共同研究
支援職員研修等を引き続き実施し、国際的な業務運営能力の向上を図った。
-
30
-
自然科学研究機構
の適用を継続し、特任教授1名について研究所内の評価委員による業績評価を行
った。
生理学研究所では、採用する教授・准教授・助教の全員に任期制を適用してい
る。運営会議の下に任期更新審査委員会を設け3名の該当者の任期更新審査を行
った。
分子科学研究所では、准教授・助教について内部昇格禁止し、また、助教に対
しては6年を目処に転出を推奨する制度を継続して実施し、研究教育職員の流動
化・活性化に寄与した。
分野間連携事業の強化、自然科学研究機構シンポジウムの開催(7回)、地震等
の災害で被害を受けた共同利用観測機器の復旧及び海外の著名研究者(ノーベル
賞受賞者等)の招聘事業を実施した。特に平成 20 年度においては、目的積立金
を活用して予算の大幅な増額を図り、老朽化が著しく円滑な共同利用・共同観測
の実施に支障を来している国立天文台 45m 電波望遠鏡の改修に着手するなど、各
機関の喫緊の懸案事項に対し予算を措置し、戦略的、効果的かつ弾力的に資源配
分を行った。
3)業務運営の効率化
本機構に事務局を設置し、法人としての管理・運営体制を強化するとともに、
給与計算、共済組合、支払い等の共通的な業務を機構事務局に集約し、ネットワ
ークを利用した給与計算事務システム、共済組合事務システム、財務会計システ
ムを導入することにより、事務の効率化を図った。また、支払処理については、
メインバンクと交渉して振込手数料を安価に設定するとともに、振込通知に電子
メールを用いるなど経費節減を図った。
また、各機関においても、効率化のための事務組織の見直しを行った。
更に警備、メンタルヘルス、診療報酬請求明細書整理、医療実態統計調査、医
療費通知事業、消費税計算、財務諸表作成支援、ホームページ及びメールサーバ
の管理運営等専門性の高い業務について、費用対効果の観点から外部委託を行っ
た。
資金の効率的な運用面では、平成 18 年度に資金管理及び支払業務を機構事務
局に一元化し、短期的な資金運用を開始した。平成 19 年度には機構全体の資金
の動向を分析するとともに、「自然科学研究機構資金管理方針」を制定し、それ
にそって短期的・長期的資金運用を本格的に開始した。運用にあたっては、複数
の金融機関を対象に競争見積もりにより、最も有利な条件を提示した金融機関の
金融商品により運用益の確保に努めた。
このほか資産管理の効率的かつ適正な運用の面では、管理及び使用状況等の現
物実査を計画的に実施するとともに、機構全体で資産を有効に活用するため、平
成 20 年度には学術研究の動向等により、当該機関で将来利用が見込めない施設
について、機構全体での再利用の途を検討するため、財務担当理事を中心に現地
調査を実施した。
「研究機関における公的資金等の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に
2.共通事項に係る取組状況
【平成 16~20 年度】
1)戦略的運営
機構長の下に、労務、財務、研究連携、国際交流、評価、広報、大学院教育、
知財、利益相反、個人情報保護等の種々の業務について各担当理事を定めるとと
もに、各担当業務において委員会及びタスクフォース等を設置するなど、法人と
して責任ある体制を構築した。また、役員会及び機構会議(構成員は役員会メン
バー及び副機構長)をほぼ毎月 1 回開催し、中期計画、年度計画、研究連携、予
算配分、労働条件の改善、諸規程の整備等、機構の業務に関する重要事項につい
て審議・決定することにより、機構の運営を円滑に進めた。また、自由に意見交
換するため「機構懇談会」をほぼ毎月 1 回開催した。
運営の改善・充実を図るため、外部有識者からなる「組織運営に関する懇談会」
を設置し、機構長に提言を行った。更に、今後の学術研究の振興について、研究
組織の立場から検討する大学共同利用機関法人4機構長による「4機構長会議」
を設置し、検討を行った。学術のあり方等について外部有識者との自由な意見交
換会の場として機構長の下に「自然科学懇話会」(構成員は他機構の長1名、経
営協議会委員3名、機構会議メンバー)を設置し、意見交換を行った。
各機関において、当該機関の運営に関する重要事項について、外部委員を含む
運営会議において、共同利用・共同研究、研究教育職員の人事、自己点検・外部
評価等を審議し、関連する研究者コミュニティの意向を業務運営に反映させた。
2)戦略的資源配分
機構長のリーダーシップの下、
「機構長裁量経費」により若手研究者育成事業、
-
31
-
自然科学研究機構
基づき、平成 19 年 10 月に「競争的資金等取扱規程」等を定め、研究費不正使用
防止担当理事の下、各機関において研究費不正使用防止に取り組んだ。
機構事務局では、各クライアントにはデータを保存しない事務用シンクライア
ントシステムを新たに導入し、情報漏えい防止対策、情報セキュリティ対策等を
行った。
4)人件費の抑制
中期計画において掲げた「平成 21 年度までに概ね4%」の人件費削減目標値
の達成のため、引き続き、各機関で毎年度採用計画を策定し、機構全体としての
採用計画を把握した。機構事務局及び各機関において、効果的かつ効率的な組織
体制の整備や事務の見直しを行い、人件費について前年度から1%を削減した額
を配分した。
5)外部有識者の活用
経営協議会においては、半数以上を外部有識者で構成し、教育研究評議会にお
いても、半数近くを外部有識者で構成しており、これら外部委員との意見交換を
行う時間を設けている等、経営協議会、教育研究評議会の場を積極的に活用して
いる。更に、各事業年度に係る業務の実績に関する評価結果及び「組織運営に関
する懇談会」の審議報告書の意見を踏まえ、経営協議会の外部委員として民間人
の経営に関する実務経験者を2名新規に任命した。これにより、経営協議会等に
おける審議事項等に多角的な観点での意見を聴取する体制が整備された。また、
平成 18 年度から、外部有識者を非常勤理事として招へいし、利益相反、個人情
報保護の担当理事として機構の運営に参画させるとともに、役員会・機構会議で
の審議事項等について、専門的な視点による的確な意見や情報提供等を受ける体
制を整えた。更に機構利益相反委員会においては、委員のうち3名を外部有識者
とするなど、積極的に外部有識者を活用する体制を整えた。平成 20 年度には、
岡崎3機関で、動物及び動物実験の管理に関する専門家である他大学の名誉教授
を、動物実験コーディネータとして特任教授に採用した。また、研究所史料の編
纂に、名誉教授の協力を得ている。
6)監査機能の充実
平成 19 年4月から機構長の下に独立した監査室を設置し、内部監査体制を強
化するとともに、監査室長の下、機関間の相互監査を実施した。また、監事及び
監査法人による監査結果への対応状況を内部監査の際に確認するなど、監査の強
-
化を図った。また、平成 19 年度から会計監査人の選考に当たっては、会計監査
人希望者をホームページ等で広く募集し、会計監査人選考委員会を設け総合的に
評価、判断することとして、従来の随意契約を改め、会計監査人候補者の選考に
競争性、公平性を確保した。
7)男女共同参画の推進
仕事と育児の両立を支援し、女性教職員が活躍できる環境作りに向け、平成
18 年度には、岡崎3機関にさくら保育園を開設するとともに、子育て支援ネッ
トワークを発足させた。また、国立天文台では、5年の任期が定められている助
教について、産前産後休暇及び育児休暇を当該任期の計算に含めないこととして
いる。
8)その他
情報セキュリティについては、本機構の重要な情報資産を内外の脅威から守る
ため、「情報システム運用基本方針」及び「情報システム運用基準」の情報セキ
ュリティポリシーを決定し、運用の基本方針、管理体制の整備等を行った。
【平成 21 年度】
1)戦略的運営
引き続き、ほぼ毎月1回定期的に開催される機構会議及び役員会並びに機構懇
談会において、中期目標、中期計画、年度計画、研究連携、評価、予算配分、監
査体制、規程の整備、組織改編、研究費の不正使用防止、研究活動上の不正防止、
職員の勤務条件の改善等、機構の業務運営について審議を行った。
2)戦略的資源配分
機構長のリーダーシップの下、引き続き目的積立金を活用して、「機構長裁量
経費」を約 8.9 億円確保し、すばる望遠鏡制御システムの機能更新や大型ヘリカ
ル装置の機能増強、野辺山研修所の整備等、各機関の喫緊の懸案事項に対し予算
を措置した。また、前年度に引き続き、本機構シンポジウムの開催(2回)、各
機関間が連携して行う分野間連携プロジェクトの実施、大学国際戦略本部強化事
業を推進した。
3)業務運営の効率化
平成 20 年度に実施した財務会計システムサーバの更新に続き、ソフトウエア
のバージョンアップ及びデータアーカイブシステムの整備を実施し、処理速度を
32
-
自然科学研究機構
向上させることにより、会計事務の効率化を図った。
また、資金運用面では、本機構の資金管理方針に沿って、メインバンクや専門
家の意見を踏まえ元本の安全性を確保した上で、短期的・長期的な資金運用を行
い、約 15 百万円の運用益を得た。
引き続き、研究費不正使用防止担当理事の下、各機関において研究費不正使用
防止に取り組んだ。
機構事務局では、各クライアントにはデータを保存しない事務用シンクライア
ントシステムに加え、サーバホスティングの仕様に、迷惑メール対策を行うこと
を盛り込み、情報漏えい防止対策、情報セキュリティ対策等を行った。
4)人件費の抑制
中期計画において掲げた「平成 21 年度までに概ね4%」の人件費削減目標値
の達成のため、引き続き、各機関で毎年度採用計画を策定し、機構全体としての
採用計画を把握した。機構事務局及び各機関において、効果的かつ効率的な組織
体制の整備や事務の見直しを行い、人件費について前年度から1%を削減した額
を配分するなど、人件費の抑制を行い、「行政改革の重要方針」(平成 17 年 12
月 24 日閣議決定)において示された総人件費改革における目標値を達成した。
5)外部有識者の活用
引き続き、積極的に外部有識者を活用し、意見を取り入れ機構の研究業務の活
性化を行った。
6)監査機能の充実
引き続き、監査室長の下、総務、研究連携、財務及び施設関係事務について機
関間相互監査を実施し、全ての機関において法令等の重大な違反などの不適正執
行が無いことを確認した。また、引き続き、内部監査の際には、併せて監事及び
会計監査人による監査結果への対応状況を確認するなど監査の強化を図った。
7)男女共同参画の推進
更なる男女共同参画の推進に向け、役員会において協議を行い、「男女共同参
画推進に関する検討会」を設置した。男女共同参画推進に関する検討会では、男
女共同参画に係る基本理念、推進方法の企画立案及びその実施等について検討を
行うこととした。
8)その他
情報セキュリティについては、本機構の重要な情報資産を内外の脅威から守る
-
ため、「情報システム運用基本方針」及び「情報システム運用基準」の情報セキ
ュリティポリシーに基づき、運用を行った。
33
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(2) 財務内容の改善
① 外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標
中 期 目 標
外部研究資金その他の自己収入の増加に努めるとともに、各事業年度の収支計画を作成し、当該収支計画に沿った効率的な運営に努める。
中期計画
年度計画
【20】
① 本機構の研究成果等研究活
動の広報普及に努めるととも
に、寄付及び受託研究等の受
入れ手続きの簡素合理化を図
るなど、受入れ体制を整備す
る。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関では、研究者を対象とした講演会を実施したほか、一般向け、青少年向
けの講演会や施設の一般公開を行った。また、文部科学省及び各機関において適
宜記者発表を行い、積極的に研究成果等を公表したほか、産学官連携推進会議、
イノベーション・ジャパン等に参加して研究成果等の広報普及に努めた。
各省庁の補助金事業や民間の研究助成財団の情報を積極的に収集し、競争的研
究資金の獲得に努めた。また、各機関において、申請及び執行等に関する科学研
究費補助金の説明会を実施した。
【20-1】
① 引き続き、講演会の開催等
により研究成果等の広報普及
に努める。外部資金獲得のた
めの情報収集に努めるととも
に説明会を実施する。
【21】
② 特許等の取得手続きの組織
体制を整備するとともに、知
的財産に関する講習会の開催
判断理由(計画の実施状況等)
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【20-1】
各機関では、研究者を対象とした講演会を実施したほか、一般向け、青少年向
けの講演会や施設の一般公開を行った。また、文部科学省及び各機関において適
宜記者発表を行い、積極的に研究成果等を公表したほか、産学官連携推進会議、
イノベーション・ジャパン等に参加して研究成果等の広報普及に努めた。
各省庁の補助金事業や民間の研究助成財団の情報を積極的に収集し、競争的研
究資金の獲得に努めた。また、各機関において、申請及び執行等に関する科学研
究費補助金の説明会を実施した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
知的財産委員会で承継された知的財産の、管理に関する企画・立案や知的財産
に関する啓発活動・研修等の知的財産に関するマネジメントについて、検討を行
った。
-
34
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
などにより、組織全体として
の意識向上を図る。
利益相反委員会において、各機関が策定した利益相反ガイドラインを承認し、
利益相反に関する体制の整備を進めた。また、利益相反ポリシーの見直しについ
て検討を開始した。
【21-1】
② 知的財産委員会及び利益相
反委員会を中心に、各研究所
等において、知的財産及び利
益相反に関する知識・ルール
の徹底を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【21-1】
知的財産委員会で承継された知的財産の、管理に関する企画・立案や知的財産
に関する啓発活動・研修等の知的財産に関するマネジメントについて、検討を行
った。
機構利益相反委員会(第3回)において承認された機構利益相反マネジメント
ポリシーに基づき、各機関の利益相反委員会において利益相反マネジメントガイ
ドライン改正した。
ウェイト小計
-
35
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(2) 財務内容の改善
② 経費の抑制に関する目標
中 期 目 標
適切な財務内容の実現を図るため、合理的な管理及び計画的、かつ、効率的な予算執行を行う。
中期計画
年度計画
【22】
① 必要に応じ定型業務等の外
部委託を行う等、管理業務の
合理化を図るとともに、効率
的な機構運営を行うこと等に
より、経費の節減に努める。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、電子ファイルや電子メール等を活用したペーパーレス化を
促進するとともに、会議資料を電子化した会議を38回開催した。
また、資料作成については、ミスコピー裏面の利用、両面印刷の徹底、不要な
カラーコピーの抑制等、周知徹底を図った。
なお、リサイクルペーパーについて、環境偽装による環境省の方針が定まって
いなかったため、通常1年契約のところ半年の年2回に分け、確実なグリーン購
入法に則った契約方法を実施した。
【22-1】
① 引き続き、電子ファイル、
電子メール等を活用し、ペー
パーレス化の促進を図るほ
か、会議、連絡等に係る管理
部門における紙の使用量の削
減に努めるとともに、一層の
経費節減を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【22-1】
前年度に引き続き、電子ファイルや電子メール等を活用したペーパーレス化を
一層図った。
また、機構事務局及び国立天文台において、コピー用紙については、毎月使用
量を計測し、前年度同月との比較を行い、その結果を電子メール等で報告し、使
用量の削減を呼びかけた。また、コピー機の前に使用量削減を啓発するための掲
示を行った。打合せ等に用いる資料は、原則、両面によることとし、適宜、縮小・
集約を行った。両面印刷・両面コピー、集約印刷・集約コピーの徹底及び不要と
なった用紙を再利用するよう、啓発ポスターを掲示するとともに、電子メール及
びスタッフミーティングにおいて周知した。不要となった用紙(ミスコピーや使
用済文書等)について、裏面利用のためのストックボックスをコピー機前に設置
し、再利用を図った。
核融合科学研究所では、居室、実験室等で使用する蛍光管について、グリーン
-
36
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
購入法に対応した「照明機能提供業務」を契約し、経費節減及び廃棄に係る業務
負荷の軽減を図った。
【23】
② 事務手続きの簡素化・迅速
化、省エネルギー化等を推進
することにより、経費の抑制
に努める。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
環境配慮の状況を昨年に引き続き「環境報告書」として取りまとめ、Webペー
ジにて公表するとともに、「温室効果ガス排出抑制等のための実施計画」に基づ
き、機構全体で省エネルギー推進等を更に進めた。その結果、平成20年度の温室
効果ガス排出量は、平成17年度に比べ14%の削減となった。
環境配慮を促進するため、平成21年度以降の「温室効果ガス排出抑制等のため
の実施計画」を決定した。
「環境物品等の調達の推進を図るための方針」の改定を行うとともに、引き続
き、省エネルギーに配慮した製品購入や定時退勤日の徹底及び職員への省エネル
ギーに対する周知を行った。
機構事務局では、環境配慮の促進に関する事務局ワーキングにおいて、環境配
慮の具体的取組みを検討し、実施した。また、夏期・冬期において「節電の協力」
を職員に電子メール及びスタッフミーテイングにおいて口頭で周知するととも
に、省エネルギーの啓発ポスター等を掲示し、省エネルギー意識の更なる高揚を
図った。
国立天文台では、水沢VERA観測所本館等の改修工事においてインバーター方式
の空調機やHf型照明器具を採用した他、トップランナー型変圧器の設置、窓ガラ
スをペアガラスとするなどの省エネルギー対策を実施した。
核融合科学研究所では、超伝導マグネット研究棟防水改修工事において、防水
仕上材に省エネに効果のある遮熱塗料を使用した。また、引き続き、空調の熱源
設備にインバーターを導入する改修工事を行った。
基礎生物学研究所では、実験研究棟の改修工事において空調機器の更新、屋上
断熱シートの設置及び真空ガラスの採用により省エネルギー化を図った。
【23-1】
② 引き続き、省エネルギー化
を推進するなど、適切、効率
的な運営を図り経費の抑制に
努める。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【23-1】
本機構における環境配慮の取組状況を昨年に引き続き「環境報告書」として取
りまとめ、Webページ等にて公表するとともに、平成20年度に見直しを行った新
たな「温室効果ガス排出抑制等のための実施計画」に基づき、機構全体で更なる
省エネルギー推進を進めた。その結果、平成21年度の温室効果ガス排出量は、平
成17年度に比べ14.1%の削減となった。この結果を環境担当理事が役員会にて報
告し、役職員一丸となり更なる削減を目指すこととした。「環境物品等の調達の
推進を図るための方針」の改定を行うとともに、引き続き、省エネルギーに配慮
した製品購入や定時退勤日の徹底及び職員への省エネルギーに対する周知を行
った。
平成22年度より施行される「エネルギーの使用の合理化に関する法律の改正」
に向けて、職員に、新たに選任が必要となるエネルギー管理企画推進者の資格を
取得させ、本機構全体としての省エネルギーの推進体制の整備を開始した。
施設整備においても環境対策を図るため、国立天文台のアルマ東アジア地域セ
ンター新営工事設計業務(建築)及びアルマ東アジア地域センター新営工事設計
業務(設備)のふたつの設計業務委託契約において、環境配慮簡易公募型プロポ
-
37
-
自然科学研究機構
ーザル方式を採用した。また、平成21年3月に同様の環境配慮型契約をした分子
科学研究所実験棟改修の設計業務及び設備設計業務において、平成21年6月の設
計完了時に環境性能評価を行ったところ、改修前と同水準の設備と比べると
20.2%の温室効果ガス排出量の削減が可能となった。
工事における品質確保及び環境配慮を図るため、総合評価落札方式による入札
を8件実施した。
機構事務局では、環境配慮の促進に関する事務局ワーキングにおいて検討した
環境配慮の具体的取組を引き続き実施した。また、「節電の協力」を電子メール
及びスタッフミーテイングにおいて職員に周知するとともに、省エネルギーの啓
発ポスター等を通じて、省エネルギー意識の更なる高揚を図った。
国立天文台では、アルマ東アジア地域センター棟新営工事において、インバー
ター方式の空調機やHif型照明器具を採用したほか、トップランナー型変圧器の
設置、窓ガラスの熱線反射複層ガラスへの変更、LED照明の採用等省エネルギー
対策を実施した。
核融合科学研究所では、省エネルギー推進のためのポスターを掲示し、空調機
の設定温度の徹底を図った。各棟の廊下等共通部分の照明を人感センサー式に改
修した。超伝導マグネット研究棟の照明設備を、消費電力の少ない高効率型に取
り替えた。空調用自動制御設備改修工事において、大型の空調機をインバーター
制御方式に改修した。屋上防水改修工事において、防水仕上材に省エネ効果のあ
る遮熱塗料を使用した。
基礎生物学研究所では、平成20年度までに行った耐震改修工事において採用し
たペアガラスを工事対象外の棟にも採用し、省エネルギー化を図った。
生理学研究所では、明大寺実験研究棟の照明に自動点灯装置を導入し、省エネ
化を図った。また、平成20年度に引き続き、夏季に定時退所日、節電休暇日を設
定した。
分子科学研究所では、実験棟改修工事において環境配慮型の設計を行い、外壁
断熱、熱線反射複層ガラス、屋上緑化、高効率照明器具、高効率空調機等を採用
し、省エネルギー化を図った。
ウェイト小計
-
38
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(2) 財務内容の改善
③ 資産の運用管理の改善に関する目標
中 期 目 標
資産については、その種類に応じて効果的効率的な運用管理を行う。
中期計画
年度計画
【24】
① 本機構の機能に資産の運用
管 理 を 所 掌す る 部 署 を設 置
し、資産の運用及びリスク管
理等を外部の専門家の意見も 【24-1】
聞きながら実施できる体制の ① 引き続き、外部専門家の意
整備を図る。
見を聞き、積極的な資産活用
を図る。また、資産運用管理
部署を設置する。
【25】
② 資産の適正な運用管理を図
るため、その管理状況につい
て定期的に点検し、必要に応
じて見直しを行う。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き、複数の金融機関等からの情報収集や、資産運用に関する説明会への
参加等を行った。これにより、資金の安全性を確保した上で短期的・長期的な運
用を行 い、約34百万円の運用益を得た。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【24-1】
引き続き、複数の金融機関等からの情報収集を行った。これにより、資金の安
全性を確保した上で短期的・長期的な運用を行い、約15百万円の運用益を得た。
また、資産の運用・管理をより徹底するため、事務局財務課財務係に専門の担当
職員を2名配置した。更に平成22年4月に資産管理係を設置することを決めた。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き、資産の有効活用・管理を図るため計画的に現物実査を行った。な
お、学術研究の動向から、共同利用を終了する予定の国立天文台乗鞍コロナ観測
所及び生理学研究所伊根実験室並びにアルマ東アジア地域センターの国立天文
台三鷹地区への設置が確定したことに伴い、将来的に利用の見込みが無くなった
国立天文台野辺山地区の職員宿舎及び共同利用研究者宿泊施設の一部について
は、当該施設の有効利用の観点から別途再利用の途がないか検討するため、財務
担当理事を中心に当該施設の実地調査を行い、機構本部直接管理による施設とし
て再利用の途を検討していくことにした。
【25-1】
② 引き続き、資産の有効活
用・管理を図るため計画的に
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【25-1】
引き続き、資産の有効活用・管理を図るため計画的に現物実査を行った。なお、
-
39
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
現物実査を行う。また、資産
の有効活用について検討を行
い、必要に応じて見直しを行
う。
機構本部主導の下、機構全体での資産の有効活用を図る観点から、学術研究の動
向により、将来的に利用の見込みが無くなった国立天文台野辺山地区の職員宿舎
及び共同利用研究者宿泊施設の一部については、機構事務局管理の下、機構全体
の職員の福利厚生施設も兼ねた「自然科学研究機構野辺山研修所」に転用し、運
営を開始した。更に平成21年度で共同利用観測を終了した国立天文台乗鞍コロナ
観測所施設については、「国立天文台乗鞍コロナ観測所施設の転用に関する検討
会」を設置し、転用の在り方等について検討を開始した。
ウェイト小計
ウェイト総計
-
40
-
自然科学研究機構
(2)
財務内容の改善に関する特記事項等
3)効果的な資金運用
安全な資金の管理及び効率的な自己収入確保の観点から、本機構の資金管理に
ついては、機構事務局で一元管理する体制を確立し、平成 18 年度から資金運用
を開始した。平成 19 年度には機構全体の資金の動向を分析するとともに、「自
然科学研究機構資金管理方針」を制定し、それにそって短期的・長期的資金運用
を本格的に開始した。運用にあたっては、複数の金融機関を対象に競争見積もり
により、最も有利な条件を提示した金融機関の金融商品により運用益の確保に努
めた。
4)積極的な経費節減
省エネルギーや環境配慮に対する取組を推進するため、本機構における「環境
物品等の調達の推進を図るための方針」の改定や環境配慮の状況を「環境報告書」
として取りまとめるとともに、「温室効果ガス排出抑制等のための実施計画」を
策定し、機構全体で省エネルギー推進等に努めた。
機構事務局や各機関においては、個々の契約について、見直し等を行い、専門
業務の外注化や、賃貸借等機器の台数制限など、経費削減に取り組んだ。
5)適正な財務管理
業務効率化や内部牽制の面では、財務会計システムを導入、運用し、機構内の
全ての支払い業務については、平成 17 年度に事務局財務課に一元化するととも
に、平成 19 年度からメインバンクとのオンラインによる支払いシステムを導入
することにより、支払いの安全性を確保しつつ、業務の効率化を図った。
資産管理の面では、平成 18 年度からの減損会計の導入に対して規程の整備を
行うとともに、資産の有効活用・管理を図るため、平成 18 年度より計画的に重要
資産の現物実査(現物確認、稼働状況等)を行った。なお、平成 20 年度に、学
術研究の動向から、共同利用を終了する国立天文台乗鞍コロナ観測所及び生理学
研究所伊根実験室並びに将来的に利用の見込みのなくなった国立天文台の野辺
山地区の職員宿舎及び共同利用研究者宿泊施設の一部については、当該施設の有
効利用の観点から、財務担当理事を中心に現地調査を行い、機構本部直接管理に
よる施設として再利用の途を検討することを決めた。このほか、国立天文台では、
1.特記事項
【平成 16~20 年度】
1)外部資金の獲得
厳しい財政状況下において、自然科学分野における基礎研究を推進するという
中期目標の達成のため、運営費交付金のほか、科学研究費補助金、受託研究、受
託事業等の外部資金の獲得に努めた。外部資金確保に当たっては、機構事務局及
び各機関において、国等の競争的資金交付機関が開催する説明会等へ積極的に参
加してそこで得られた情報や、収集した民間の研究助成団体等の公募情報を役職
員等に周知するとともに、職員等を対象とした科学研究費補助金の申請・執行の
説明会を開催し、積極的な申請を促した。
2)その他の収入の確保
各機関において、効果的な自己収入の確保や利用者の利便性向上の観点から、
各機関が管理する共同研究者宿泊施設について、インターネットを通じた空室情
報の提供や宿泊申し込みが行えるシステムを整備した。
国立天文台では、広く一般社会に科学全般の最新データを提供するため、「理
科年表」を編纂し出版社を通じて刊行し、版権使用料として毎年4百万円を超え
る収入を確保した。また、平成 20 年度には、国立天文台において、広く一般国
民から寄附金を募るため、「天文学振興募金」を設立し、Web ページからの寄附
の申し込みや、クレジットカードでの寄附も可能とするなどの寄附金の受入れ体
制の整備を進めるとともに、外国の大学と研究協力を前提に複数年にわたり多額
の寄附金を受け入れる協定を締結するなどして寄附金の大幅な受け入れ増を図
った。
核融合科学研究所では、これまでの研究成果の蓄積や研究能力を活用し、新産
業の創出、地域振興等に応えるために、産業界等との研究協力・連携を積極的に
推進している。この結果生じた成果は、企業へ技術移転し産業化され、製品の売
り上げに応じて特許実施料として4百万円以上の収入があった。
また、機構本部においても、平成 20 年度に「機構シンポジウム収録集」を刊
行し、著作権使用料として 80 万円の収入を得た。
-
41
-
自然科学研究機構
観測機器等を処分する場合、その情報をホームページに掲載し、再利用先を公募
するなどの方策により、また、核融合科学研究所では、双方向型共同研究によっ
て共同研究を活性化するとともにコミュニティ全体で資産を効率的・効果的に運
用した。
施設等の新たな整備手法として、地方公共団体、財団との連携により各種整備
を行った。国立天文台においては、石垣島天文台の整備に際して、石垣市がイン
フラ及び道路整備を実施した。また、岡崎3機関においては、地震防災強化地域
にある岡崎3機関及び近隣住民の安全確保を目的とし、愛知県に依頼し、愛知県
の費用による急傾斜地の安全対策として、よう壁工事が実施された。更に、21
世紀職業財団から助成金を受け、事業所内保育所の設置・運営を開始した。加え
て、老朽化の著しい山手地区共同利用研究員宿泊施設(山手ロッジ)の土地を、
明大寺東隣接地の所有者との交渉により、当該隣接地との交換契約を締結するこ
とにより、より利用効率の高い土地を取得するとともに老朽・狭隘化した共同利
用研究員宿泊施設の建て替えを実現することになった。
本機構の運営の透明性の確保の面では、平成 19 年 1 月以降に締結する 5 百万
円以上の随意契約については、契約内容等をホームページ上で定期的に公表する
こととした。また、各機関においては、機構が定める基準での随意契約であって
も、予定価格を作成するなど、契約の透明性確保に努めた。また、平成 19 年度
に策定した「随意契約見直し計画」に基づき、経済性・効率性を高める契約方式
への移行に取り組んだ。更に平成 19 年度には、工事における競争入札において、
客観性、透明性及び競争性をより高めるため、すべての入札において、一般競争
入札・電子入札方式を実施するとともに、設計業務委託契約においても、環境対
策並びに透明性、公正性、競争性及び品質確保を図るため、環境配慮簡易公募型
プロポーザル方式を取り入れた。
機構として研究費の不正使用の防止・抑制の面では、平成 19 年 10 月に競争的
資金等の不正使用防止担当理事を置き、「競争的資金等の不正防止委員会」を設
置するとともに、「競争的資金等取扱規程」等を制定した。これに基づき、各機
関において「競争的資金等の不正防止計画」等を策定するなど、研究費の不正使
用防止のための体制整備を図り、不正使用防止に取り組んだ。
1)外部資金の獲得
引き続き、自然科学分野における基礎研究を推進するという中期目標の達成の
ため、運営費交付金のほか、外部資金の獲得に努め、約 5,574 百万円を獲得した。
外部資金等に関する情報収集を図り、説明会の開催等により機構内の職員に周知
した。特に国立天文台では、引き続き、ホームページからの寄附の申し込みや、
クレジットカードでの寄附も可能な「天文学振興募金」を運営して広く一般国民
から寄付を募るとともに、前年度に締結した外国の大学と研究協力を前提に複数
年にわたり多額の寄附金を受け入れる協定に基づくなどして、343 百万円の寄附
金を受け入れた。
2)その他の収入の確保
引き続き、国立天文台では、「理科年表」を編纂し、版権使用料として約5百
万円の収入を得た。
3)効果的な資金運用
引き続き、本機構の資金管理を機構事務局で一元的に管理し、
「資金管理方針」
に沿って、元本の安全性を確保した上で、短期的・長期的な資金運用を行い、約
15 百万円の運用益を得た。
4)積極的な経費節減
本年度においても、更なる省エネルギー対策及び環境配慮の取組を実施するた
め、本機構における「環境物品等の調達の推進を図るための方針」の改定や環境
配慮の状況を「環境報告書」として公表し、「温室効果ガス排出抑制等のための
実施計画」に基づき、機構全体で省エネルギー推進に務めた。
平成 22 年度より施行される「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の改
正に向け、新たに選任が必要なエネルギー管理企画推進者の資格を機構本部職員
に取らせ、本機構としての省エネルギーの推進体制の整備を行い始めた。
工事における競争入札は、客観性、透明性及び競争性をより高めるため、引き
続き全ての入札において、一般競争入札・電子入札方式を実施し、事務の効率化
及び合理化を推進した。また、工事における品質確保及び環境配慮を図るため、
総合評価落札方式による入札を8件実施した。設計業務委託契約においても、環
境対策、透明性、公正性、競争性及び品質確保を図るため、環境配慮簡易公募型
プロポーザル方式を取り入れた。これにより分子科学研究所実験棟は改修前と同
水準の設備と比べると 20.2%の温室効果ガス排出量の削減が可能となった。ま
【平成 21 年度】
-
42
-
自然科学研究機構
た、国立天文台アルマ東アジア地域センター新営工事においても、同様の環境配
慮簡易公募型プロポーザル方式にての設計契約を行った。
また、岡崎3機関では、工事の設計段階において既設再利用、工法の再検討を
行い工事費の縮減を行ったほか、保有車両のうちトラックを廃止し、経費節減を
図った。
5)適正な財務管理
平成 19 年度に策定した「随意契約見直し計画」に基づき、経済性・効率性を
高める契約方式への移行に取り組んだ。
引き続き、資産の有効活用・管理を図るため計画的に現物実査を行った。なお、
機構本部主導の下、機構全体での資産の有効活用を図る観点から、学術研究の動
向等により、将来的に利用の見込みが無くなった国立天文台野辺山地区の職員宿
舎及び共同利用研究者宿泊施設の一部については、機構事務局管理の下、機構全
体の職員の福利厚生施設も兼ねた「自然科学研究機構野辺山研修所」に転用し、
運営を開始した。さらに平成 21 年度で共同利用観測を終了した国立天文台乗鞍
コロナ観測所施設については、「国立天文台乗鞍コロナ観測所施設の転用に関す
る検討会」を設置し、転用の在り方等について検討を開始した。
岡崎3機関では、平成 21 年 10 月、土地交換により取得した明大寺東隣接地に、
老朽・狭隘化した共同利用研究員宿泊施設に替わる新たな共同利用研究員宿泊施
設の建設に着工した。平成 22 年の6月に竣工が予定されている。
また、各機関においては、平成 19 年度に策定した「競争的資金等の不正防止
計画」に沿って、研究費の不正使用の防止に取り組んだ。
工事における競争入札は、客観性、透明性及び競争性をより高めるため、引き
続き、全ての入札において、一般競争入札・電子入札方式を実施し、事務の効率
化及び合理化を推進した。設計業務委託契約においても、環境対策、透明性、公
正性、競争性及び品質確保を図るため、環境配慮簡易公募型プロポーザル方式を
取り入れた。
2.共通事項に係る取組状況
【平成 16~20 年度】
1)財務内容の改善・充実
予算確保においては、機構長のリーダーシップの下、中期目標を達成するため、
各機関の研究の進捗状況等を踏まえた運営費交付金の要求を行うとともに、多様
-
43
な研究費確保の観点から、科学研究費補助金等の外部資金の獲得、版権料や特許
実施料などの自己収入の確保を行った。
予算配分においては、予算の効率的な執行を図るため、前年度中に機構内予算
配分を確定した。これを受け、各機関においては、各機関の長の下、財務担当の
副所長や予算配分のための委員会を設け、プロジェクト単位等の個別の研究成
果・進捗状況等の評価に基づき、適切な予算配分を実施している。また、年度途
中における業務の進捗状況あるいは地震などの突発事態に対し、経費の再配分
等、柔軟に対応する体制も整えた。
執行においては、機構事務局及び各機関において、経費の削減方策及び増収方
策に積極的に取り組んだ。具体的には、平成 18 年度より本機構の資金管理を、
機構事務局で一元管理することにより、運営費交付金を含む自己収入の受入時
期、各機関における執行時期、執行見込額等の資金動向を分析したうえで、平成
19 年度に制定した「自然科学研究機構資金管理方針」にそって、短期的・長期
的な資金運用を行った。運用に当たっては、メインバンクの他、複数の金融機関
を対象に競争見積もりにより、最も有利な条件を提示した金融機関の金融商品に
より運用益の確保に努めた。
また、国立天文台では、ハワイ観測所への運営費交付金等の海外送金について
は、為替相場の変動の影響を平準化するため、四半期に1回としていたものを毎
月送金する方法に変更した。また、アルマ計画の推進に必要な分担金等の海外送
金については、送金額が多額なため、為替予約により邦貨を確定させて予算の早
期執行に努めた。
2)人件費の削減
研究教育の質を維持しつつ、計画的な人件費削減を図る観点から、各機関で毎
年度採用計画を策定し、これらを取りまとめて機構全体としての採用計画を把握
した。また、機構事務局及び各機関において、効果的かつ効率的な組織体制や事
務体制の見直しを行うとともに、定時退勤日の設定等により、超過勤務の縮減に
努めるなどにより人件費の削減を図った。
【平成 21 年度】
1)財務内容の改善・充実
予算確保においては、機構長のリーダーシップの下、中期目標を達成するため、
-
自然科学研究機構
各機関の研究の進捗状況等を踏まえた平成 22 年度概算要求を行った。特に、第
2期中期目標期間を見据えて、機構としての一体的な活動や新分野の創成に力点
を移して活動していくため、機構長のリーダーシップにより進める「自然科学研
究における国際的学術拠点の形成」、「新分野創成」及び「資産の有効活用によ
る自然科学研究推進施設の形成」を最重点事項として概算要求を行い、所要の予
算を確保した。また、多様な研究費確保の観点から、科学研究費補助金等の外部
資金の獲得、版権使用料や特許実施料、資金運用による運用利息収入などの自己
収入の確保に努めた。
予算配分においては、引き続き、予算の効率的な執行を図るため、前年度中に
機構内予算配分を確定した。
執行においては、機構事務局及び各機関において計画的な執行に努めるととも
に、引き続き、本機構「資金管理方針」に沿って、元本の安全性を確保した上で
短期・長期的な資金運用を行った。運用に当たっては、メインバンクの他、複数
の金融機関を対象に競争見積もりにより、最も有利な条件を提示した金融機関の
金融商品により運用益の確保に努め、約 15 百万円の運用益を得た。
2)人件費の削減
研究教育の質を維持しつつ、計画的な人件費削減を図る観点から、引き続き、
各機関で採用計画を策定し、これらを取りまとめて機構全体としての採用計画を
把握した。また、機構事務局及び各機関において、効果的かつ効率的な組織体制
や事務体制の見直しを行うとともに、定時退勤日の設定等により、超過勤務の縮
減に努めるなどにより人件費の削減を図り、「行政改革の重要方針」(平成 17
年 12 月 24 日閣議決定)において示された総人件費改革における目標値を達成し
た。
-
44
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(3) 自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供
① 評価の充実に関する目標
中 期 目 標
自己点検及び外部評価を実施し、それらの結果を適切な形で公表して社会への説明責任の一端を果たすと共に、評価結果を機構運営の改善に反映させる。
中期計画
年度計画
【26】
① 自己点検及び外部評価の結
果を、機構運営に反映させる
システムを構築する。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
随時、役員会、機構会議において、具体的施策について検討するとともに、経
営協議会、教育研究評議会等で審議し、外部評価の結果に対する意見等を運営に
反映させた。
国立天文台では、5月に行った国際外部評価において、評価委員5名のうち4
名が外国人からなる評価委員会を構成し、議長も外国人委員を選定した。
核融合科学研究所では、双方向型共同研究の活動について評価を行った委員
は、すべて所外、かつ大部分を分野外の有識者から選定した。
基礎生物学研究所の教員外部評価においては、全体を5分野に分け、各分野を
代表する研究者3名(内1名は外国人)を評価委員に選定した。研究者の面接と
評価結果の作成においては、外国人評価委員が座長を務めた。
生理学研究所では、広く研究者コミュニティの意見を研究所運営に反映するた
めに、運営会議委員の選定に際して、研究領域と研究業績だけではなく地域、国
公私立、性別等の要素も考慮した。また、研究評価の外部評価委員は、関連学会
(日本生理学会、日本神経科学学会)の推薦により選定している。
分子科学研究所では、外部委員の評価報告を、印刷公表する部分と、所長宛の
非公開親書に分けて依頼し、所長に対して率直な意見が述べられる機会を確保し
た。
【26-1】
① 自己点検及び外部評価の結
果に対する経営協議会、教育
研究評議会の意見を踏まえ
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【26-1】
随時、役員会、機構会議において、具体的施策について検討するとともに、経
営協議会、教育研究評議会等で審議し、外部評価の結果に対する意見等を運営に
-
45
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
て、機構会議及び運営会議に
おいて具体的施策を検討す
る。
反映させた。
核融合科学研究所では、運営会議の所外委員9名、専門性を配慮し、日本人研
究者9名及び著名な外国人研究者4名を運営会議の議を経て、外部評価委員を選
定した。
基礎生物学研究所では、研究所の体制、研究活動、共同利用、国際連携につい
て運営委員に外部有識者を加えた評価者による書面および評価会議による評価
を行い、その結果を運営に反映させた。
生理学研究所では、広く研究者コミュニティの意見を研究所運営に反映するた
めに、運営会議委員の選定に際して、研究領域と研究業績だけではなく地域、国
公私立、性別等の要素も考慮した。また、研究評価の外部評価委員は、関連学会
(日本生理学会、日本神経科学学会)の推薦により選定した。また、上記2学会
とは異なる関連学会(日本神経化学学会、日本薬理学会)の代表的研究者2名に
より、第1期中期計画・中期目標期間全体にわたる研究所の活動に関する外部評
価を行った。
分子科学研究所では、外国人顧問による評価報告を、印刷公表する部分と、所
長宛の非公開親書に分けて依頼し、所長に対して率直な意見が述べられる機会を
確保した。この報告書をはじめ、所内での研究所の在り方の議論の結果等を、運
営会議や研究顧問会議で報告し、意見交換を行った。
【27】
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
② 自己点検・外部評価の結果
中期目標・中期計画の見直しなどについて、評価に関するタスクフォースにお
を踏まえ、中期目標期間終了時
いて検討した。また、次期中期目標、中期計画について、新たに設置した第二期
までに、次期中期目標期間以降
中期目標及び中期計画等検討委員会で検討するとともに、組織及び業務全般につ
を念頭において、機構として理
いて役員会・機構会議で検討した。
念・目標等の見直しを行い、見 【27-1】
Ⅲ (平成21年度の実施状況)
直した部分を明らかにして公 ② 引き続き、次期中期計画等
【27-1】
表する。
を作成する上で、理念・目標
引き続き、第二期中期目標及び中期計画等検討委員会において、次期中期目標、
等の見直しについても、役員
中期計画の検討を行い、評価に関するタスクフォースと合同で、第二期の年度計
会・機構会議等で検討を行う。
画、特に平成23年度の年度計画について検討を行った。経営協議会、教育研究評
議会等で外部からの意見を取り入れつつ、役員会・機構会議にて最終決定を行い、
中期目標原案の提出、中期計画の認可申請、年度計画の提出を行った。
ウェイト小計
-
46
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(3) 自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供
② 広報及び情報公開等の推進に関する目標
中 期 目 標
①
②
③
国民に開かれた研究機構として、研究成果等の広報活動、運営諸規則及び施設の公開等を実施し、積極的に国民や研究者に対して情報の発信を行う。
国民に対して自然科学に関する正しい知識や情報を広く迅速に提供し、我が国の知的基盤の向上を図る。
国民に対しての信頼性を高め、職員の規律を図る。
中期計画
年度計画
【28】
① 情報公開請求に適切に対応
できる組織整備を図る。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
本機構の「情報公開規程」、「情報公開委員会規程」に基づき、機構事務局及
び各機関における情報公開請求に対応する組織体制の下、体制を整備したが、情
報公開請求は無かった。
【28-1】
① 情報公開委員会において、
情報公開法に基づく情報公開
請求に適切に対応する。
【29】
② 報道機関等への研究成果の
迅速な公表を図る等、専門分
野の情報を適切に提供し、成
果の活用に関して対応できる
組織を整備する。
【29-1】
② 本機構の広報担当者によ
り、報道機関等への研究成果
の公表を積極的に行う。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【28-1】
本機構の関係規程に基づき、機構事務局及び各機関における情報公開請求に対
応する組織体制の下、体制を整備しているが、情報公開請求は無かった。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き報道機関への記者発表等により、研究成果の発表を行うとともに、Web
ページ等を活用して、積極的な広報に努めた。
国立天文台では、天文情報センター広報室を中心に、6件の記者会見と15件の
ウェブリリースを行った。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【29-1】
引き続き報道機関への記者発表等により、研究成果の発表を行うとともに、Web
ページ等を活用して、積極的な広報に努めた。
国立天文台では、天文情報センター広報室を中心に、9件の記者会見と11件の
ウェブリリースを行った。
基礎生物学研究所では、引き続き報道機関向けのリリース(記者発表17件を含
む)や、Webページでの情報発信などを活用し、積極的な広報に努めた。
-
47
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
生理学研究所では、広報展開推進室を中心に8件の記者会見と18件のプレスリ
リースを行ったほか、16件の研究成果Webリリースを行った。
分子科学研究所では、広報室を中心に4件の記者会見と8件のWebリリースを
行った。
【30】
③ 研究所等によっては高度な
知識や経験を持つアマチュア
科 学 者 向 けの 窓 口 を 設置 す
る。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
国立天文台では、天文情報センター広報室に設置した対応窓口において、新天
体の発見による連絡を受け、国際天文連合小惑星中央局への報告及び新天体の事
実確認、国際機関への連絡などの運用を継続し、関連Webページによる情報公開
を行った。更に、流星群などの天文現象を広く一般市民に理解してもらうために
キャンペーン(観察した結果を報告してもらうという双方向型の情報発信)を実
施して、人々の関心を呼び起こすとともに、全国規模の同好会とも協力しつつ「天
文同好会サミット」を開催し、相互の人的ネットワークを構築した。また、2009
年の世界天文年に向けて、各種イベントを行った。同センター普及室では、各種
講習会・講演会の開催、生涯学習や教育・普及に関する諸事業及び公開天文台ネ
ットワーク(PAONET)・三鷹ネットワーク大学等の対外協力活動を継続した。同セ
ンターのサブプロジェクトとして科学文化形成ユニットを設置し、科学プロデュ
ーサーコース及び映像クリエータコースを開講し、人材養成を行った。ま た、
4次元デジタル宇宙シアターの公開の体制を強化した。
生理学研究所では、見学者に本研究所を紹介するための広報展示室を設置し
た。また、岡崎市教育委員会理科部と提携し、理科教員に対する研修講演を行っ
た。岡崎市医師会と連携して医師を対象とした講演会を開催するとともに、本年
度より新たに岡崎市歯科医師会と連携して歯科医師を対象とした講演会を開催
した。
【30-1】
③ 国立天文台では、アマチュ
ア天文学者、天文愛好家向け
の窓口活動を継続し、天文情
報センターを中心として情報
の提供方法をより工夫する。
また、三鷹ネットワーク大学
を活用して、高度な知識を持
つ人材を育成するとともに、
地元自治体や関連大学ととも
に科学映像祭や科学フェステ
ィバルの開催を支援する。
核融合科学研究所では、広
報室、評価情報室、アーカイ
ブ室、キッズ・エネルギー科
学館など社会活動の中核的組
織の整備を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【30-1】
国立天文台では、天文情報センター広報室に設置した対応窓口において、新天
体発見の報告業務を継続した。同センター普及室では、各種講習会・講演会の開
催、生涯学習や教育・普及に関する諸事業、三鷹ネットワーク大学等の対外協力
活動を継続した。同センターの科学文化形成ユニットは、科学プロデューサーコ
ース及び映像クリエータコースを開講し、人材養成を行った。また、水沢VLBI
観測所において、敷地内に地元奥州市が設置した奥州宇宙遊学館と共同し、研究
成果の広報活動に取り組んだ。
核融合科学研究所では、社会活動の中核的組織の整備について検討した結果、
広報体制の強化を図るため、広報管理室、広報室、Web室、地域連携室、理科工
作室、教育連携室の6室で構成する広報部を設置した。また、理科工作室には専
門研究職員を置き、地域における科学工作教室等の教育連携活動に関与した。
基礎生物学研究所では、連携・広報企画運営戦略室を改組し、より広報に特化
した広報国際連携室を設置し、広報体制の強化に努めた。
生理学研究所では、岡崎市教育委員会理科部と提携して、「心と体の科学」理
科理解増進事業を開始した。岡崎市医師会及び岡崎市歯科医師会と連携して講演
会を開催した。
分子科学研究所では、一般見学者向けに研究所を紹介するための広報展示室の
-
48
-
自然科学研究機構
面積を確保し、展示物の準備を行った。また、広報室において一般市民に対して
研究内容を広く紹介することを目指し、技術職員の増員を行った。
【31】
④ 本機構の業務活動、諸規程、
各研究者の研究成果等を広報
誌やホームページ等により広
く社会に情報発信する。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
前年度に引き続き、一般市民を対象にした自然科学研究機構シンポジウム「宇
宙究極の謎 - 暗黒時代、暗黒物質、暗黒エネルギー -」と「科学的発見とは
何か -「泥沼」から突然「見晴らし台」へ」を開催し、機構の研究成果につい
ての広報活動を実施した。また、機構パンフレット(日本語版・英語版)、4大
学共同利用機関法人合同のパンフレット(日本語版)を改訂し、全国の大学等に
配布した。
機構及び各機関のWebページに改良を加え、内容の充実を図った結果、Webペー
ジの総アクセス件数は、機構及び各機関の合計が約1億7,656万件となり、年度
計画で目安とした9,000万件を大きく上回った。
国立天文台では、全頁カラーの広報誌「国立天文台ニュース」を毎月発行し
た。国立天文台を紹介するパンフレットの日本語版・英語版を発行し、広く配布
した。また、広報活動の一環として、すばる望遠鏡によって撮像された天体画像
を素材にしたカレンダー(壁掛け)を制作した。
核融合科学研究所では、核融合研究の意義と重水素実験計画について理解の増
進を図るため、地域住民向けの市民説明会を30会場で実施した。引き続き、広報
誌「NIFSニュース」を発行するとともに、研究所の活動を地域住民を中心として
一般に分かりやすく紹介するため、広報誌「プラズマくんだより」を6月に創刊
した。更に、核融合研究の意義と重水素実験計画の安全性について、簡潔に分か
りやすく記載したリーフレットを新たに作成し、市民説明会や一般公開等で広く
配布した。
基礎生物学研究所では、一般市民に向けて、研究所の出来事や実験生物材料、
研究者等を紹介するWebサイト「基礎生物学研究所WEBマガジン」を公開した。ま
た、研究者の人物像を多角的に紹介するリーフレット「研究に情熱を捧げるひと
たち」を企画し第1号を作成・配布した。
生理学研究所では、一般向けの情報冊子「せいりけんニュース」の発行を継続
して行った。
分子科学研究所では、平成19年度におけるワーキンググループでの検討をもと
に、Webページのリニューアルに関する実務作業を行った。また、研究所のパン
フレット(日本語版及び英語版)を改訂し、各グループの研究内容に関する平易
な説明を加えた。
岡崎3機関(基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所)では、3機
関に共通の広報誌OKAZAKIを引き続き発行し、地域に根ざした広報に努めた。
年次報告書及び環境報告書を作成し、機構のWebページに掲載したほか、環境
報告書については大学等の関係機関に配布し、広く情報発信を行った。
【31-1】
④ 本機構の諸活動について情
報発信するためのホームペー
ジや広報誌等を更に充実させ
る。ホームページの総アクセ
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【31-1】
前年度に引き続き、一般市民を対象にした自然科学研究機構シンポジウム「脳
が諸学を生み、諸学が脳を総合する」と「ビックリ 4Dで見るサイエンスの革
新」を開催し、機構の研究成果についての広報活動を実施した。また、機構パン
-
49
-
自然科学研究機構
ス件数は、機構全体で年間1
億件を目指す。
フレット(日本語版・英語版)、4大学共同利用機関法人合同のパンフレット(日
本語版)を改訂し、全国の大学等に配布した。
機構及び各機関のWebページに改良を加え、内容の充実を図った結果、Webペー
ジの総アクセス件数は、機構及び各機関の合計が約3億2千万件となり、年度計
画で目安とした1億件を大きく上回った。
国立天文台では、全頁カラーの広報誌「国立天文台ニュース」を毎月発行した。
国立天文台を紹介するパンフレットの日本語版・英語版を発行し、広く配布した。
また、広報活動の一環として、野尻泡影の「星の和名」を切り絵で紹介したカレ
ンダー(壁掛け)を制作した。
核融合科学研究所では、引き続き、広報誌「NIFSニュース」及び「プラズマく
んだより」を隔月で発行し、関係機関や地域住民に広く配布した。また、地域住
民向けの市民説明会や一般公開等では、これらの広報誌に加え、核融合研究の必
要性や重水素実験計画の安全性等について説明したパンフレット等を配布した。
更に、核融合研究について一般見学者等へ分かりやすく紹介するためのパンフレ
ット「未来をつくるエネルギー核融合」を作成した。また、Webページをより見
やすくするため、トップページ等を更新した。
基礎生物学研究所では、英語版Webサイト上での情報発信の強化を目指し、広
報担当のアメリカ人翻訳者らを中心に英語ニュース配信体制を強化した。また、
インターネットの動画サイトに基礎生物学研究所チャンネルを設置し、研究者イ
ンタビューの動画配信を開始した。
生理学研究所では、一般向けの情報冊子「せいりけんニュース」の発行を継続
して行った。また、英語版Webサイトの強化の手始めとして、大学院教育関係の
英語内容の充実を図った。
分子科学研究所では、Webページのリニューアルを実行した。また研究所のパ
ンフレット等の更新を行った。広報活動の強化を目的とし、広報室所属の技術職
員を1名増員した。
Ⅲ 【31-2】
機構の年次報告書及び環境報告書を作成し、Webページに掲載して広く社会へ
公表したほか、環境報告書については大学等の関係機関に配布し、広く情報発信
を行った。
【31-2】
⑤ 本機構の年次報告書及び環
境報告書を引き続き作成し、
本機構の活動実績について、
ホームページ等を活用し、公
表する。
【32】
⑤ 職員の倫理、セクシュアル
ハラスメント、機器調達契約
等の守るべきガイドラインを
定め、公表する。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関において、それぞれセクシュアルハラスメント防止に関する講習会を実
施し、職員の意識向上に努めた。
国立天文台では、春と秋にセクシュアルハラスメント防止に関する講演会を行
ったほか、現状把握のためのアンケート調査、ハラスメント相談員のための研修
を実施した。
岡崎3機関では、セクシュアルハラスメント、アカデミック・ハラスメント及
びパワー・ハラスメントの防止の徹底を図るため、外部相談員による相談窓口を
開設した。
調達契約等に関しては、
「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」
-
50
-
自然科学研究機構
に基づき、本機構「環境物品等の調達の推進を図るための方針」を定め、Webペ
ージにより公表した。
また、岡崎3機関においては、研究者等のルールの認識不足による経費の不正
使用を防止するために、会計ルールを簡潔にまとめたリーフレットを作成し、職
員に配付した。
Ⅲ
【32-1】
⑥ 職員の倫理、セクシュアル
ハラスメント、機器調達契約
等の守るべきガイドラインを
一層周知徹底し、必要に応じ
て改定する。
【33】
⑥ 研究成果を年次報告等とし
て公表する。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関は、研究成果について年次報告を作成し、関係機関に配付するとともに、
Webページにより公表した。
【33-1】
⑦ 各研究所等は、研究成果及
び活動実績について年次報告
を作成し、大学を始め関係機
関等へ周知する。
【34】
⑦ 研究所等の一般公開を計画
的に行う。
(平成21年度の実施状況)
【32-1】
各機関において、それぞれセクシュアルハラスメント防止に関する講習会を実
施し、職員の意識向上に努めた。
国立天文台では、春にハラスメント防止に関する講演会を行い、秋に管理者向
けのハラスメント防止の研修会を行ったほか、平成20年度に行った実態調査結果
を報告書にまとめた。また、外部相談窓口を設置した。
核融合科学研究所では、外部講師によるセクシュアルハラスメント防止対策研
修会を実施した。
岡崎3機関では、ハラスメント防止パンフレットを作成し、職員等に広く配布
した。また、外部講師によるハラスメント防止研修会を3回実施した。
調達契約等に関しては、引き続き「国等による環境物品等の調達の推進等に関
する法律」に基づき、本機構「環境物品等の調達の推進を図るための方針」を定
め、Webページにより公表した。
核融合科学研究所では、調達契約に関するガイドラインについて、見直しを行
い、改定するとともに、職員に周知徹底を図った。また、情報セキュリティポリ
シー、情報セキュリティに関するガイドライン等について、見直しを行い、改定
するとともに、職員に周知徹底を図った。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【33-1】
引き続き、各機関は、研究成果について年次報告を作成し、関係機関に配付す
るとともに、Webページにより公表した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関において、一般公開等を実施するとともに、フィードバックシステムと
して見学者へのアンケートを実施し、実行委員会等においてアンケートの結果を
踏まえ、公開内容や公開方法の改善について検討した。
国立天文台では、天文学や科学全般の普及を目的に、定例観望会(月2回)、常
時公開、特別公開等を実施した。見学者に対しアンケートを実施し、これらのイ
ベントの改善に努めた。また、英語・韓国語・中国語の見学パンフレットを作成
配付した。
核融合科学研究所では、オープンキャンパス(一般公開)を実施(来場者数約
3,100名)するとともに、フィードバックシステムとして見学者及びスタッフへ
のアンケートを実施し、実行委員会等においてその結果を踏まえ、公開内容や公
-
51
-
自然科学研究機構
開方法の改善について検討した。
生理学研究所では、一般公開を実施し、過去最高の2千名を超す参加者があっ
た。また、一般公開と併せ、岡崎市教育委員会と提携して、小中学校の岡崎市理
科作品展の優秀研究を発表する場を設けた。
Ⅲ
【34-1】
⑧ 研究所等の一般公開を定期
的に実施し、積極的な広報を
行うとともに、参加者やスタ
ッフのアンケート調査等の結
果を踏まえて、公開内容や公
開方法の改善に努める。
【35】
⑧ 機構が関わる研究分野・関
連分野における国際的に優れ
た国内外の研究者の一般市民
向け公開講演会を積極的に行
う。また、地域社会と連携し
た一般市民向け公開講座等も
実施する。
(平成21年度の実施状況)
【34-1】
各機関において、一般公開等を実施するとともに、フィードバックシステムと
して見学者へのアンケートを実施し、実行委員会等においてアンケートの結果を
踏まえ、公開内容や公開方法の改善を行った。
国立天文台では、天文学や科学全般の普及を目的に、定例観望会(月2回)、常
時公開、特別公開等を実施した。見学者に対しアンケートを実施し、これらのイ
ベントの改善に努めた。また、英語・韓国語・中国語の見学パンフレットを作成
し、配付した。
核融合科学研究所では、オープンキャンパス(一般公開)を実施した。(来場
者数約2,300名)また、実施に当たって、昨年のアンケート結果等を踏まえ、公
開内容や公開方法の改善を行った。
基礎生物学研究所では、平成22年度の一般公開に向けて、機構新分野創成セン
ター、イメージングサイエンス分野との連携により生物学における3次元、4次
元映像展示のための準備を進めた。
生理学研究所では、見学者に研究内容を説明するための広報展示室を常設して
おり、286名の施設見学者があった。
分子科学研究所では、一般公開を実施し、1,346名の参加者があった。また一
般公開に併せ、岡崎市教育委員会と提携して、小中学校の岡崎市理科作品展の優
秀研究を表彰した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
本機構及び各機関において、一般市民向けにシンポジウムや公開講演会等を実
施した。
一般市民を対象に、自然科学研究機構シンポジウム「宇宙究極の謎 - 暗黒
時代、暗黒物質、暗黒エネルギー -」と「科学的発見とは何か -「泥沼」か
ら突然「見晴らし台」へ」を開催したほか、更に、外国人著名研究者を招いて「分
子生物学フォーラム」(東京都、岡崎市)を開催し、学術研究への理解を深める
ための活動を行った。
国立天文台では、2009年の世界天文年に関する理解増進のため、「世界天文年
2009キックオフシンポジウム ―宇宙・地球・生命 みんなで解き明かすために
―」や、各地区の特別公開に併せた講演会、夏休みのジュニア天文教室における
小中学生向けの講演会、更に三鷹ネットワーク大学などと協力して、「アストロ
ノミー・パブ」という市民向けサイエンスカフェ形式の講演会を11回、「星と風
のカフェ」における講演会を16回開催した。
核融合科学研究所では、地球環境問題、エネルギー問題等に関連した第一人者
を講師として招き、一般市民向けの市民学術講演会を4回開催したほか、核融合
研究の意義と重水素実験計画について理解の増進を図るため、地域住民向けの市
民説明会を30会場で実施した。また、科学館や公共施設等で研究活動の紹介を実
-
52
-
自然科学研究機構
施したほか、小・中学生を主な対象とする特別展・実験教室を大阪、京都、奈
良、六ヶ所村(青森)の4か所で開催した。更に、地域の要請に応じ公民館等で
工作教室を行った。
基礎生物学研究所では、名古屋市科学館、でんきの科学館での研究紹介展示に
協力した。
生理学研究所では、岡崎市保健所と連携し「せいりけん市民講座」を6回開催
した。
分子科学研究所では、「分子科学フォーラム」を6回開催した。本年度より、
一般市民に科学の面白さ・楽しさを広く知ってもらう「市民一般公開講座」とし
て新たに位置づけし、社会人向け、高校生向け等、ターゲットを絞った講演を企
画・実施した。
岡崎3機関が行うアウトリーチ活動の円滑な運営に資することを目的に、地域
社会や学校との連携活動を推進するための岡崎3機関アウトリーチ活動連絡委
員会を組織した。
【35-1】
⑨ 一般市民向け公開講演会を
積極的に実施して学術研究の
理解を深める活動に努める。
また、科学館等において研究
活動の紹介や地域の学校との
教育連携活動を実施する。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【35-1】
本機構及び各機関において、一般市民向けにシンポジウムや公開講演会等を実
施した。
一般市民を対象に、自然科学研究機構シンポジウム「脳が諸学を生み、諸学が
脳を総合する」と「ビックリ 4Dで見るサイエンスの革新」を開催し、学術研
究への理解を深めるための活動を行った。
国立天文台と三鷹市との協力事業である、「三鷹・星と森と絵本の家」が7月7
日に三鷹キャンパス内に開館した。各地区の特別公開に併せた講演会、夏休みの
ジュニア天文教室における小中学生向けの講演会、更に三鷹ネットワーク大学な
どと協力して、「星と風のカフェ」における講演会を45回開催した。
核融合科学研究所では、エネルギー・地球環境問題、核融合研究の重要性及び
研究活動について、地域の理解を得るために「宇宙の太陽 地上の太陽」などを
テーマとした市民学術講演会を2回実施した。また、LHDによる重水素実験計画
及び安全性等についての理解増進のため、地域住民向けの市民説明会を25会場で
実施するとともに、地域住民を対象とした見学会を実施する等、施設見学者を積
極的に受け入れた。(平成21年度見学者数約8,000人)科学館等において超伝導
や真空などが体験できるイベントを開催したほか、文部科学省の「子ども見学デ
ー」や地域のイベントにパネルや模型などを出展し、研究活動の紹介を行った。
また、地域の要請に基づき、公民館や小中学校等で科学に関する実験・工作教室
を実施した。地域の中学校及び高等学校の生徒を受け入れ、職場体験学習を実施
した。
基礎生物学研究所では、名古屋市科学館において研究紹介実演を行った。中
学・高校への出前授業及び特別講演を計6回、実習を計3回実施した。また、国
際生物学オリンピック代表者(高校生)を対象とした特別教育を担当し、講義及
び実習を行うとともに、中部地区の高校理科教員向けに実験講習会「両生類のオ
ーガナイザー移植実験」を実施した。
生理学研究所では、岡崎市保健所と連携して「せいりけん市民講座」を5回開
-
53
-
自然科学研究機構
催した。骨格筋の電気活動を示す理科教材「マッスルセンサー」を開発するとと
もに、高校・中学校への出前授業を計24回行った。
分子科学研究所では、一般市民に科学の面白さ・楽しさを広く知ってもらう「市
民一般公開講座」として「分子科学フォーラム」を4回開催した。また、一般の
見学者に研究内容の概要を紹介する広報展示室設置の準備を進めた。
岡崎3機関では、一般を対象とした科学コミュニケーション活動の推進のた
め、日本科学未来館と相互協力に関する協定を結び、キックオフイベントとして
ライブイメージング技術に関するみらいCANホールにてシンポジウムを開催し
た。
【36】
⑨ 各専門分野における社会に
対する説明責任と研究評価に
資するため、研究所アーカイ
ブスの整備を行う。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
各機関では、研究活動の記録等の資料保存に努めるとともに、展示室等におい
て、活動状況や実際に実験等で使用していた観測機器等を展示するなど研究活動
の体系的記録・保存を行った。
国立天文台では、天文データセンターで保有する岡山天体物理観測所、東京大
学天文学教育研究センター木曽観測所、すばる望遠鏡によって取得された天体等
の観測データのアーカイブ化を進め、データ総量は17TB(テラバイト)に達した。
また、古い天文機器等の整備整理、保存展示、情報収集と記録を情報センターに
おいて開始した。
核融合科学研究所核融合アーカイブ室では、国際標準である符号化記録史料記
述(EAD)に準拠した公開史料目録の数が2,500件に達した。史料の収集に努め、
登録データ数は約19,000件に達した。関連して、日本の核融合研究50年の歴史を
示すフローチャートを作成し、広く核融合コミュニティに公開した。
基礎生物学研究所では、研究所アーカイブス整備を進めるための組織として、
連携・広報企画運営戦略室の体制を見直した。平成21年度からは、情報・戦略室
及び広報国際連携室に分割し、アーカイブス整備は前者を中心に進めることとし
た。
生理学研究所では、史料を整理・保存する部屋を整備し、名誉教授の協力を得
て研究所史料の収集、保存、整理を行った。
分子科学研究所では、史料編纂室において、引き続き、研究所創設に係わる史
料の収集と保存、整理を行った。
【36-1】
⑩ 各研究所等でアーカイブ室
等を中心として、研究所アー
カイブス又は研究活動の記録
を引き続き整備し、公開する。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【36-1】
各機関では、研究活動の記録等の資料保存に努めるとともに、展示室等におい
て、活動状況や実際に実験等で使用していた観測機器等を展示するなど研究活動
の体系的記録・保存を行った。
国立天文台では、天文データセンターで保有する岡山天体物理観測所、東京大
学天文学教育研究センター木曽観測所、すばる望遠鏡によって取得された天体等
の観測データのアーカイブ化を進め、データ総量は30TB(テラバイト)に達した。
また、古い天文機器等の整備整理、保存展示、情報収集と記録を引き続き天文情
報センターにおいて行った。
核融合科学研究所核融合アーカイブ室では、史料の収集を続ける傍ら、登録デ
ータの整備を行い、その数は約20,000件に達した。国際標準である符号化記録史
-
54
-
自然科学研究機構
料記述(EAD)に準拠した公開史料目録の数が約5,000件に達した。これらは、京
大湯川記念館史料室アーカイブス他との間の横断検索に供されている。大学共同
利用機関の成立史の一環として、核融合アーカイブスを基にし、核融合科学研究
所の成立史をまとめた。
基礎生物学研究所では、情報・戦略室を中心としてアーカイブス整備の方策を
検討した。
生理学研究所では、名誉教授の協力を得て研究所史料の収集、保存、整理を継
続して行った。
分子科学研究所では、史料編纂室において、引き続き、研究所創設に係わる史
料の収集と保存、整理を行った。
ウェイト小計
ウェイト総計
-
55
-
自然科学研究機構
(3)
自己点検・評価及び当該状況に関する特記事項等
1.特記事項
【平成 16~20 年度】
1)自己点検・外部評価の実施
各機関で組織している運営会議等の意見を受けて外部評価委員会等を設置し、
共同利用・共同研究の運営・成果及び機関全体の運営等に対する自己点検・外部
評価を実施した。また、計画・評価担当理事の元に設置した評価に関するタスク
フォースにおいて、中期計画や年度計画の達成状況の取りまとめを行い、機構全
体の評価に関する事項を検討した。
国立天文台では、研究水準の検証、組織体制の点検及び将来計画への評価のた
め、研究計画委員会において例年行う自己点検評価のほか、平成 19 年度に全分
野で実施した国際外部評価の結果を受け、全台を総合した国際外部評価を平成
20 年5月に実施した。
核融合科学研究所では、毎年研究所の活動について項目を立て運営会議の下に
外部評価委員会を組織して外部評価を実施した。外部評価委員会の委員はすべて
所外、かつ大部分が分野外の有識者で構成され、制度設計から研究成果に至るま
で様々な視点から評価されるとともに今後に向けた提言をいただいた。これらの
評価結果はいずれも報告書としてまとめ、Web ページにも掲載している。
基礎生物学研究所では、運営会議外部委員に対して、学術研究活動、教育、研
究者コミュニティに対する活動、研究所の体制、広報活動に関する各年度の新し
い試みについての意見を書面で徴するとともに、運営会議外部委員から数名ずつ
を招聘して外部点検評価会議を毎年開催した。また、平成19年度にはこれに替
えて、全ての教授、准教授の書面とインタビューによる評価を、各研究領域ごと
に3名の外部評価委員(内1名は外国人)を招いて実施した。併せて、法人化後
の研究所の活動全般についても評価を受けた。
生理学研究所では、毎年研究所活動の自己点検と研究部門の外部評価を2つの
柱とする評価作業を行った。平成 20 年度には、自己点検及び所内研究協力促進
を目的として、所内研究発表会を開催し、各部門・センターが1年間の研究進捗
状況を発表した。研究の方向性及びそれらに対応するための問題点等を総括し、
-
点検評価報告書の一部とした。
分子科学研究所では、外国人運営顧問によるヒアリングを毎年行い、その報告
の内、公開分は「分子研リポート」にまとめて掲載した。所長に対しては非公開
親書として率直な意見・提言が報告された。この他に必要に応じて研究系(平成
18 年度まで)・研究領域(平成 19 年度から)及び研究施設の外部評価を、国内
外の関連分野の研究者に依頼して行い、特に平成 19 年度には全研究領域・施設
の外部評価を実施した。また、毎年度1月末に、研究顧問(国内)3名と所長に
よる、研究成果及び次年度の研究計画のヒアリングを行い、厳正な採点・コメン
トを受けた。また、所内で随時、研究所と研究体制のあり方に関する自己点検・
議論を行った。
2)評価結果の反映
各機関が実施した自己点検及び外部評価の結果は、運営会議で報告するととも
に、適宜、役員会、機構会議、経営協議会及び教育研究評議会等で報告し、そこ
での意見を聴取した上で、運営等の改善に反映させた。また、中期計画の達成状
況の評価結果を踏まえ、第二期中期目標及び中期計画等検討委員会において、次
期中期目標・中期計画の検討に反映した。
国立天文台では、研究計画委員会等での検討結果を受けて、B プロジェクト(大
型装置の建設過程プロジェクト)であった RISE 推進室を、C プロジェクト(共
同利用推進プロジェクト)に移行し RISE 月探査プロジェクトとした。また、A
プロジェクト(萌芽的プロジェクト)であったスペース VLBI 推進室を、新たな
B プロジェクトとして強化し VSOP-2 推進室とした。MIRA 推進室は解散、4次元
デジタル宇宙プロジェクトは発展的解消した。野辺山宇宙電波観測所の6素子干
渉計は平成 20 年度で運用を停止した。
核融合科学研究所では、外部評価の結果を基に運営の改善を進めた。例えば双
方向型共同研究の評価結果について、研究所の双方向型共同研究委員会において
3回にわたってその内容を逐一吟味し、改善点のリストアップを行った。課題審
査に外部委員を入れるなどこれら改善項目の一部についてはすでに実施した。
基礎生物学研究所では、運営会議外部委員の意見等に基づいて、研究者育成の
56
-
自然科学研究機構
国際的貢献の観点からバイオサイエンストレーニングコースの国際化を行うと
ともに、ナショナルバイオリソース事業への貢献の観点からメダカバイオリソー
スの拠点として体制を整備した。また、共同利用研究の項目についても見直し、
重点共同利用研究、モデル生物・技術開発共同利用研究を新しく開始した。また、
平成 19 年度に実施した教員外部評価における「能力の高い若手研究者を見つけ
採用することにあらゆる努力を尽くす必要がある」との指摘に基づき、3名の若
手教授及び1名の若手独立准教授を採用し、研究体制の強化を行うとともに、こ
れらの研究者に対して、重点的な経費配分を行った。更に、教員外部評価の結果
及び各学会代表者の意見をもとに生物学国際高等コンファレンス(OBC)の開催
形態と運営体制を見直した。
生理学研究所では、これまでの点検評価報告書では研究所としての研究の方向
性が分かりにくいという外部評価委員の指摘を受け、平成 20 年度より所内研究
発表会を開催するとともに、点検評価報告書に研究総括の項を設けた。
分子科学研究所では、自己点検と外部評価の結果を受けた議論を踏まえ、平成
19 年度に研究組織の再編を行ったほか、協力研究の随時受付制度等、共同研究
体制の改善を実施した。研究グループへの研究費配分に関して、1月末の研究ヒ
アリングで行われた研究顧問3名と所長による採点・コメントに基づいて配分を
行った。また、評価結果を教授・准教授に個別に知らせ、改善等を促した。
と「安全管理」の2課題について法人化後6年間の実績について評価を受けた。
特に「安全管理」は研究業績評価とは観点が異なるが、大学共同利用機関として
は非常に重要な課題であり、これを取り上げたこと自身も評価委員から高く評価
された。評価結果は報告書としてまとめられ、Web ページにも掲載した。
基礎生物学研究所では、運営委員に外部有識者を加えた評価者によって、研究
所の体制、研究活動、共同利用、国際連携について書面及び評価会議による評価
を行い、今後の改善に役立てることとした。
生理学研究所では、例年通り研究所活動の自己点検と研究部門の外部評価を2
つの柱とする評価作業を行った。今年度は第1期中期目標・中期計画期間の最終
年であり、本期間における研究所全体の外部評価を行い、今後の研究所のあり方
の議論も含めた報告書を点検評価報告書の一部とした。
分子科学研究所では、外国人運営顧問2名によるヒアリングを平成 21 年 10
月・11 月に行い、その報告の内、公開分は「分子研リポート 2009」にまとめた。
非公開分は所長に対する親書として率直な意見・提言が報告された。また、平成
22 年1月末に、研究顧問(国内)2名と所長による、研究成果及び次年度の研
究計画のヒアリングを行い、厳正な採点・コメントを受けた。また、所内及び運
営会議、運営顧問会議で研究所と研究体制のあり方に関する自己点検・議論を行
った。
2)評価結果の反映
各機関が実施した自己点検及び外部評価の結果は、運営会議で報告するととも
に、適宜、役員会、機構会議、経営協議会及び教育研究評議会等で報告し、そこ
での意見を聴取した上で、運営等の改善に反映させた。また、中期計画の達成状
況の評価結果を踏まえ、第二期中期目標及び中期計画等検討委員会において、次
期中期目標・中期計画の検討に反映した。
国立天文台では、地上からの VLBI 観測を行う水沢 VERA 観測所と、スペースか
らの VLBI 観測を目指す VSOP-2 推進室を、水沢 VLBI 観測所として統合し、人材・
資源の有効活用を図った。太陽観測所・乗鞍コロナ観測所は閉所し、野辺山太陽
電波観測所・電波ヘリオグラフは5年を限度に運用することとした。
核融合科学研究所では、平成 19 年度に実施した「双方向型共同研究」外部評
価の結果を受けて、同双方向型共同研究に参画している4つの大学附置研究所・
センターの安全査察を双方向型共同研究委員会の委員が実施することを決めた。
【平成 21 年度】
1)自己点検・外部評価の実施
各機関で組織している運営会議等の意見を受けて外部評価委員会等において、
共同利用・共同研究の運営・成果及び機関全体の運営等に対する自己点検・外部
評価を実施した。また、計画・評価担当理事の元に設置した評価に関するタスク
フォースにおいて、中期計画や年度計画の達成状況の取りまとめを行い、機構全
体の評価に関する事項を検討した。
国立天文台では、今年度も研究計画委員会(台内委員6名、台外委員5名)に
おいて、各プロジェクト等から提出された自己点検評価を元に、点検評価を行っ
た。
核融合科学研究所では、運営会議の下に所外運営委員9名、所外専門家 13 名
(外国人4名を含む)で構成する外部評価委員会を設置し、「核融合工学研究」
-
57
-
自然科学研究機構
平成 21 年度は第1回目として京都大学エネルギー理工学研究所附属エネルギー
複合機構研究センターを訪問し、共同利用者の視点から安全に対する提言を行っ
た。当日の指摘事項に対してはその後改善がなされた。
基礎生物学研究所では、平成 19 年度に実施した外部評価における「モデル動
物を用いた研究を一層推進すべきである」「研究施設をできるだけサポートし、
適切な運営を行わなければならない」との提言を受け、研究施設を再編して「モ
デル生物研究センター」「生物機能解析センター」を設置するとともに、各セン
ターの運営のためにそれぞれ特任准教授を平成 22 年度に配置する準備を完了し
た。
生理学研究所では、長期滞在して共同研究を行いたいというコミュニティの意
見を反映し、サバティカル制度等を利用した研究者を受け入れる「流動連携研究
室」を設置するとともに、広く利用できるように客員助教の制度を設けた。
分子科学研究所では、運営会議等での意見を受け、共同研究における制限の緩
和、例えば協力研究を連続して申請できる期数や最大来所日数の緩和、研究会の
随時受付化等を検討し、一部実行を開始した。研究内容に関しては、平成 22 年
1月末の研究ヒアリングで行われた研究顧問3名と所長による採点・コメントに
基づいて研究費の配分を行い、また、評価結果を教授・准教授に個別に知らせ、
改善等を促した。
広報活動を効率的かつ効果的に実施するため、機構における「広報の基本方針」
を策定し、機構が取り組む広報の考え方を明らかにした。
機構パンフレット(日本語版・英語版)、4大学共同利用機関法人合同のパン
フレット(日本語版)を改訂し、全国の大学等に配布したほか、環境報告書を作
成し、関係機関に配布した。
引き続き、機構 Web ページに改良を加え、内容の充実を図った。Web ページの
総アクセス件数は、機構及び各機関の合計が約1億 7,656 万件となった。
自然科学研究機構シンポジウム「宇宙究極の謎 - 暗黒時代、暗黒物質、暗
黒エネルギー -」と「科学的発見とは何か -「泥沼」から突然「見晴らし台」
へ」を開催したほか、更に、外国人著名研究者を招いて「分子生物学フォーラム」
(東京都、岡崎市)を開催し、学術研究への理解を深めるための活動を行った。
各機関では、引き続き、以下のような多彩な広報活動に取り組んだ。
国立天文台では、一層の情報公開に努め、特に Web ページアクセス数は年間1
億 5,000 万件(ヒット数)を超えている。また、「公開講演会」や「天体観望会」、
「君が天文学者になる4日間」など天文教育・普及活動の実績を積み重ねている。
更に、全頁カラーの広報誌「国立天文台ニュース」を毎月発行した。国立天文台
を紹介するパンフレットの日本語版・英語版を発行し、広く配布した。また、広
報活動の一環として、すばる望遠鏡によって撮像された天体画像を素材にしたカ
レンダー(壁掛け)を制作した。
核融合科学研究所では、地球環境やエネルギー問題及び核融合研究の重要性に
ついて、一般市民の理解を得るため、市民学術講演会を毎年開催したほか、核融
合研究の意義と重水素実験計画について理解の増進を図るため、地域住民向けの
市民説明会を 30 会場で実施した。また、広報誌「NIFS ニュース」を発行すると
ともに、研究所の活動を地域住民を中心として一般に分かりやすく紹介するた
め、広報誌「プラズマくんだより」を平成 20 年 6 月に創刊した。更に、核融合
研究の意義と重水素実験計画の安全性について、簡潔に分かりやすく記載したリ
ーフレットを新たに作成し、市民説明会や一般公開等で広く配布した。
基礎生物学研究所では、平成 17 年度に連携・広報企画運営戦略室を設置し、
広報活動の体制を整えた。平成 18 年度には科学コミュニケーターとして広報専
任の研究員1名を配置した。平成 19 年度にはプレスリリースなど報道発表の体
制を整えた。また、基礎生物学研究に使われているモテル生物について小・中学
2.共通事項に係る取組状況
【平成 16~20 年度】
1)情報公開の促進
広報担当理事の元に設置した広報に関するタスクフォースにおいて、機構全体
の情報発信を強化するための方策や広く社会へ向けた広報について、引き続き検
討を行い、可能なものから実施した。また、研究成果等の社会への発信について
は、引き続き、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業への
協力のほか、一般市民向けの公開講演会(生涯教育)、更に教員・医師等に対す
る講演会(専門家教育)の開催を通して地域社会への貢献を行った。
核融合科学研究所では、機関リポジトリ「NIFS リポジトリ」を構築し、公開
した。
2)広報普及の推進
-
58
-
自然科学研究機構
生にも分かるように解説したカラー冊子「研究を支える生きものたち」を作製し、
一般公開参加者や見学者へ配布した。また、ホームページの全面リニューアルを
行い、親しみやすいホームページを目指した。平成 20 年度には、一般向け特設
Web サイト「基礎生物学研究所 WEB マガジン」を開設し、研究者の随筆や研究紹
介などを掲載した。また、研究者の人物像を多角的に紹介するリーフレット「研
究に情熱を捧げるひとたち」を企画し、作成配布した。
生理学研究所では、平成 19 年度秋に実質的な活動を開始した広報展開推進室
の活躍により、以前に比較してプレス発表・新聞掲載の数が著しく増加した。ま
た、常設の広報展示室を設け、見学者に対して効率的に研究所の活動を紹介でき
るようにした。
分子科学研究所では、平成 17 年度まで広報委員会が行ってきた広報活動を再
編してより強化するため、平成 18 年度に広報室を設置して専任の技術職員と技
術支援員をおき、日常的な広報活動や広報に関する企画を行う体制を整備した。
また平成 19 年度には史料編纂室を設置し、研究所史料の保存、整理及び収集を
行った。平成 19 年度には研究所公式 Web ページ、研究所パンフレット(日本語
版及び英語版)や、プレスリリース体制の見直しを行い、平成 20 年度にそれら
の改訂(あるいは全面改訂に向けた実務作業)を行った。平成 19 年度まで、地
域の一般市民を含む広い範囲の聴衆を対象とした、分子科学およびその関連研究
領域に関する講演会「分子科学フォーラム」を年6回開催し、平成 20 年度には
これを、一般市民に科学の面白さ・楽しさを広く知ってもらう「市民公開講座」
として新たに位置づけし、社会人や中高生、大学生などターゲットをできるだけ
明確にして企画を立案・実施した。
核融合科学研究所では、機関リポジトリ「NIFS リポジトリ」を構築し、公開
した。
2)広報普及の推進
機構パンフレット(日本語版・英語版)、4大学共同利用機関法人合同のパン
フレット(日本語版)を改訂し、全国の大学等に配布したほか、環境報告書を作
成し、関係機関に配布した。
引き続き、機構 Web ページに改良を加え、内容の充実を図った。Web ページの
総アクセス件数は、機構及び各機関の合計が約3億2千万件となった。
自然科学研究機構シンポジウム「脳が諸学を生み、諸学が脳を総合する」と「ビ
ックリ 4Dで見るサイエンスの革新」を開催し、学術研究への理解を深めるた
めの活動を行った。
各機関では、引き続き、以下のような多彩な広報活動に取り組んだ。
国立天文台では、一層の情報公開に努め、特に Web ページアクセス数は年間2
億9千万件(ヒット数)を超えている。また、「公開講演会」や「天体観望会」、
「君が天文学者になる4日間」など天文教育・普及活動の実績を積み重ねている。
更に、全頁カラーの広報誌「国立天文台ニュース」を毎月発行した。国立天文台
を紹介するパンフレットの日本語版・英語版を発行し、広く配布した。また、広
報活動の一環として、野尻泡影の「星の和名」を切り絵で紹介した天体画像を素
材にしたカレンダー(壁掛け)を制作した。
核融合科学研究所では、エネルギー・地球環境問題、核融合研究の重要性及び
研究活動について、地域の理解を得るために「宇宙の太陽 地上の太陽」などを
テーマとした市民学術講演会を2回実施した。また、LHD による重水素実験計画
及び安全性等についての理解増進のため、地域住民向けの市民説明会を 25 会場
で実施するとともに、地域住民を対象とした見学会を実施する等、施設見学者を
積極的に受け入れた。
(平成 21 年度見学者数約 8,000 人)引き続き、広報誌「NIFS
ニュース」及び「プラズマくんだより」を発行し、広く配布した。更に、核融合
研究について一般見学者等へ分かりやすく紹介するためのパンフレット「未来を
つくるエネルギー核融合」を作成した。また、Web ページをより見やすくするた
め、トップページ等を更新した。
基礎生物学研究所では、連携・広報企画運営戦略室を改組し、より広報に特化
した部署として新たに広報国際連携室を設置した。英語版 Web サイト上での情報
【平成 21 年度】
1)情報公開の促進
広報担当理事の元に設置した広報に関するタスクフォースにおいて、機構全体
の情報発信を強化するための方策や広く社会へ向けた広報について、引き続き検
討を行い、可能なものから実施した。また、研究成果等の社会への発信について
は、引き続き、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業への
協力のほか、一般市民向けの公開講演会(生涯教育)、更に教員・医師等に対す
る講演会(専門家教育)の開催を通して地域社会への貢献を行った。
-
59
-
自然科学研究機構
発信の強化を目指し、アメリカ人翻訳者らを中心に英語ニュース配信体制を強化
した。また、インターネットの動画サイトに基礎生物学研究所チャンネルを設置
し、研究者インタビューの動画配信を開始した。名古屋市科学館において研究紹
介実演を行った。中学・高校への出前授業及び特別講演を計6回、実習を計3回
実施した。また、国際生物学オリンピック代表者(高校生)を対象とした特別教
育を担当し、講義及び実習を行った。また、中部地区の高校理科教員向けに実験
講習会「両生類のオーガナイザー移植実験」を実施した。
生理学研究所では、骨格筋の電気活動を示すことが出来る簡易型筋電計「マッ
スルセンサー」を開発し理科教材として提供した。
分子科学研究所では、Web ページの全面改訂を行って平成 21 年度当初より運
用を開始した。「市民一般公開講座」として新たに位置づけした「分子科学フォ
ーラム」は、バラエティに富んだ内容になるように講演を厳選し、4回開催した。
また、一般の見学者に研究内容の概要を紹介する広報展示室設置の準備を進め
た。更に、広報活動の一層の充実を図るために、広報室所属の技術職員1名を新
規に採用した。公式 Web ページの全面改訂を実施した。
岡崎3機関では、一般を対象とした科学コミュニケーション活動の推進のた
め、日本科学未来館と相互協力に関する協定を結び、みらい CAN ホールにてキッ
クオフイベントとしてライブイメージング技術に関するシンポジウム等を開催
した。
-
60
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(4) その他の業務運営に関する重要事項
① 施設設備の整備・活用等に関する目標
中 期 目 標
施設設備の整備・利用状況等を点検し、研究スペースの利用の適正化を図るとともに、施設整備に関する長期計画を策定し、計画的な施設管理・整備を図る。
共同研究に対する研究環境を整備する。
中期計画
年度計画
【37】
① 定期的に施設の実態や利用
状況を自己点検・評価し、教
育研究活動や共同利用等の施
設の有効活用を図る。
進捗
状況
中 年
期 度
Ⅲ
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
機構における「施設マネジメント・ポリシー」に基づき、引き続き施設実態調
査、満足度調査を実施し、キャンパス年次計画の再検討を行った。また、機構に
おける施設マネジメントの取組状況を引き続きWebページにて公表した。
国立天文台では、施設の有効活用として、前年度に引き続き施設利用実態調査
及び満足度調査を行い、改修工事の計画において研究室スペースの配分見直しを
行った。
核融合科学研究所では、研究棟1階ホール周辺を子供向けの科学実験展示スペ
ースとすることにより、有効活用を図った。
基生研実験研究棟改修工事(Ⅱ期)において、共同利用スペースとして実験室
等を466㎡確保した。
【37-1】
① 引き続き、施設マネジメン
ト・ポリシーに基づき施設実
態調査を行い、施設の有効活
用を推進する。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【37-1】
本機構「施設マネジメント・ポリシー」に基づき、引き続き施設実態調査及び
職員からの施設使用における満足度調査を行い、キャンパス年次計画の更なる検
討を実施した。本機構施設マネジメントの取組状況を昨年に引き続きWebページ
にて公表した。
施設の有効活用としては、アルマ東アジア地域センターを国立天文台三鷹地区
に設置したことに伴い、使用見込みが無くなった国立天文台野辺山地区の職員宿
舎及び共同利用研究者宿泊施設の一部について、本機構全体の研修施設として用
途変更を行い、運用を始めた。
国立天文台では、施設の有効活用として、前年度に引き続き施設利用実態調査
-
61
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
を行い、改修工事の計画において研究室スペースの配分見直しを行った。
核融合科学研究所では、「核融合科学研究所における施設の有効活用に関す
る規則」に基づき、研究所内全施設の利用状況等の実態調査を行い、有効活用
を図るための基礎資料を作成した。
岡崎3機関では、分子研実験棟改修工事において、共同利用スペースとして実
験室等を209㎡確保した。
【38】
② 施設の老朽化、狭隘化、耐
震対策、既存施設の点検・評
価及び共同研究等の研究活動
の進展に伴い必要となる施設
の整備計画を作成し、計画的
な施設整備を行い、研究施設
等の適正な確保に努める。
Ⅲ
機構における耐震性の劣る建物一覧を引き続きWebページにて公表するととも
に、機構としての耐震補強年次計画に沿って耐震補強を実施した。
国立天文台においては、水沢VERA観測所本館の耐震補強・老朽化解消を実施し
た。また、故障率の高い計算機室用空調機の改修を行った。
核融合科学研究所では、空調の熱源設備において複数台ある機器について、年
度毎に順次点検整備を実施した。また、各建物の屋上の防水改修及び各電気室の
直流電源設備の取替についても、年度計画を立て計画的に改修及び取替工事を実
施した。
岡崎3機関では、耐震補強年次計画に基づき、基礎生物学研究所実験研究棟改
修のⅡ期工事において、耐震補強及び老朽化解消を含めた施設整備を行った。ま
た、竜美ヶ丘住宅においても2、3号棟の耐震補強工事を行った。更に、老朽化
の進んでいる動物実験センター棟Ⅰ、Ⅱの熱源機器改修を行った。
【38-1】
② 施設・設備の定期的な点検
を実施し、緊急度の高いもの
から計画的に整備を行う。
【39】
③ 環境を考慮した施設整備に
努める。
(平成20年度の実施状況概略)
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【38-1】
機構における耐震性の劣る建物一覧を昨年に引き続きWebページにて公表する
とともに、本機構耐震補強年次計画に沿い、分子科学研究所実験棟Ⅰ期の耐震補
強・老朽化改修工事、岡﨑3機関みどり橋、管路橋、竜美ヶ丘宿舎7号棟・8号
棟の耐震補強工事の計5事業を実施した。
国立天文台では、空調器の改修年次計画を作成して解析研究棟の改修を行っ
た。
核融合科学研究所では、実験棟内のクレーン保守点検の結果報告に基づき、イ
ンバーター制御装置の改修工事を実施した。また、構内外灯及びグランドのフェ
ンスの塗装劣化による腐食防止のため、支柱の塗装改修工事を実施した。更に、
電気の供給について、研究・実験のための安定的な確保及び安全確保の観点から、
早急に整備すべきと判断し、避雷器を設置した。
岡崎3機関では、中長期施設管理計画書に基づき、老朽化が進んでいた竜美ヶ
丘住宅2号棟、3号棟用の受水槽改修工事、基礎生物学研究所実験研究棟の外壁
の修繕及び省エネルギーに資する窓ガラスの真空ガラス化を行い安全のための
飛散防止フィルムの貼付を実施した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き、各種工事において、環境に配慮した資材・製品の調達に努め、省エ
ネルギー対策、再生資源の建材を使用した。また、環境配慮の状況を「環境報告
書」として取りまとめ、Webページ等において公表した。
国立天文台では、断熱材、センサー照明、節水器具、インバータ式空調等の設
置により省エネに配慮した。また、水沢VERA観測所本館では、身障者対応エレベ
-
62
-
自然科学研究機構
ータと多目的トイレを設置し、バリアフリー化を図り、重油式ボイラーをガス式
ボイラーへ改修を行い、CO2、ばい煙排出量の削減を図った。
核融合科学研究所では、超伝導マグネット研究棟防水改修工事において、防水
仕上材に省エネに効果のある遮熱塗料を使用した。また、引き続き、実験棟の空
調用熱源設備にインバーター制御を導入し、省エネルギー対策を実施した。
基礎生物学研究所では、実験研究棟の改修工事において空調機器の更新、屋上
断熱シートの設置及び真空ガラスの採用により省エネルギー化を図った。
岡崎3機関では、山手地区において植栽等(約1,000㎡)を実施し、研究所の
施設環境向上を図った。
【39-1】
③ 省エネルギー対策、再生資
源の活用、空気汚染物質対策
等を推進する。
【40】
④ 施設の安全で効率的な管
理・運営のため、施設・設備
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【39-1】
各種工事において、計画及び設計段階において、環境を配慮し、環境に優しい
資材や製品を使用し、省エネルギー対策、再生資源の建材使用に努めた。昨年に
引き続き、本機構における環境配慮の取組を「環境報告書」として取りまとめ、
Webページ等において広く公表した。また、「エネルギーの使用の合理化に関す
る法律の改正」に向け、新たに選任が必要なエネルギー管理企画推進者の資格を
機構本部職員に取らせ、本機構全体としての省エネルギーの推進体制を整備し
た。
国立天文台では、アルマ東アジア地域センター棟新営工事の設計契約におい
て、環境配慮簡易公募型プロポーザル方式を採用した。その結果、断熱材、熱線
反射複層ガラス、窓上部に庇、センサー照明、LED照明、節水器具、インバー
ター式空調等省エネに配慮した施設整備が実現した。また、残土を構内処分とし
資源の活用を図った。
核融合科学研究所では、省エネルギー推進のためのポスターを掲示し、空調機
の設定温度の徹底を図った。各棟の廊下等共通部分の照明を人感センサー式に改
修した。超伝導マグネット研究棟の照明設備を、消費電力の少ない高効率型に取
り替えた。空調用自動制御設備改修工事において、大型の空調機をインバーター
制御方式に改修した。屋上防水改修工事において、防水仕上材に省エネ効果のあ
る遮熱塗料を使用した。
基礎生物学研究所では、前年度までに行った耐震工事において採用したペアガ
ラスを工事対象外の棟にも採用し、省エネルギー化を図った。
生理学研究所では、明大寺実験研究棟の照明に自動点灯装置を導入し、省エネ
化を図った。また、昨年度に引き続き、夏季に定時退所日、節電休暇日を設定し
た。
分子科学研究所では、実験棟の改修工事において環境配慮型の設計を行い、外
壁断熱、熱線反射複層ガラス、屋上緑化、高効率照明器具、高効率空調機等を採
用し、省エネルギー化を図った。
岡崎3機関では、経費を節減するため、保有する自動車のうちトラックを廃止
した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き、機構における施設整備計画及び耐震補強年次計画について、施設の
更なる安全で効率的な管理運営のため、見直しを行うとともに、計画的な耐震補
-
63
-
自然科学研究機構
の利用計画、維持管理の計画
を作成する。
強整備を実施した。
核融合科学研究所では、建物修繕年次計画の見直しを行い、年次計画に基づい
た建物修繕を行った。
分子科学研究所では、実験棟改修設計業務において環境を考慮した環境配慮型
仕様提案により設計業者を選定した。
【40-1】
④ 施設の安全で効率的な管
理・運営のため、施設・設備
の利用計画、維持管理計画の
作成・見直しを引き続き行う。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【40-1】
施設の安全で効率的な管理・運営のため、施設整備計画や耐震補強年次計画の
更なる見直しを行い、計画的な耐震補強を着実に実施し、本機構における耐震化
率を大幅に上げた。建物修繕年次計画に基づき工事を実施し、予防保全に努めた。
核融合科学研究所では、引き続き、建物修繕年次計画の見直しを行い、年次計
画に基づいた建物修繕を行った。
岡崎3機関では、中長期施設管理計画書の見直しを行い、この計画書に基づき
概算要求、建物の改修、修繕を行い予防保全に努めた。
ウェイト小計
-
64
-
自然科学研究機構
Ⅰ 業務運営・財務内容等の状況
(4) その他の業務運営に関する重要事項
② 安全管理に関する目標
中 期 目 標
労働安全衛生法等、各種法令等に適合した安全管理・事故防止に努める。
中期計画
年度計画
進捗
状況
中 年
期 度
【41】
① 労働安全衛生法等に係る諸
事項の評価と点検を実施する
とともに、関連諸規程・規則、
作業基準、安全マニュアルを
整備し、適切な管理を行う。
判断理由(計画の実施状況等)
(平成20年度の実施状況概略)
事業所毎に開催される安全衛生委員会に異なる事業所の委員が相互出席する
体制を継続し、担当者の連絡体制を強化した。また、安全管理に必要な健康診断・
作業環境測定・定期自主検査・作業場の巡視等を計画的に実施した。
また、衛生管理者講習会を独自に開催し、衛生管理者の育成に努めた。
機構事務局では、ビル内アスベスト浮遊調査を実施し、安全を確認した。ま
た、施設点検を実施し、安全確認・確保を行った。
国立天文台では、新たに改定された測定方法で調査した結果、アスベストが検
出されたため、三鷹地区及び水沢地区でアスベスト除去作業を実施した。
核融合科学研究所では、職員及び外注業者等を対象とした安全講習会を実施し
た。
分子科学研究所では、安全衛生講習教材の電子化を日本語版・英語版共に進め
た。その結果、随時の安全衛生講習が可能となった。
【41-1】
① 各研究所等において安全衛
生委員会を開催するととも
に、安全管理に必要な健康診
断・作業環境測定・定期自主
検査・作業場の巡視等を計画
的に実施する。また、安全衛
生連絡会議を開催し、情報の
共有等を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【41-1】
引き続き、安全管理に必要な健康診断・作業環境測定・定期自主検査・作業場
の巡視等を計画的に実施した。
また、衛生管理者講習会を独自に開催し、衛生管理者の育成に努めた。
機構事務局では、借用建物の天井裏等に、アスベストを吹付けてあるため、浮
遊調査を実施し、空気が汚染されていない状態であることを確認した。また、日々
及び定期的に施設点検を行い、施設の安全確認及び安全確保を行い、非常時に備
えた。
-
65
-
ウェ
イト
中 年
期 度
自然科学研究機構
国立天文台では、平成21年12月から安全衛生推進室を設置し、安全衛生管理体
制の強化を行った。
核融合科学研究所では、引き続き、職員及び外注業者等を対象とした安全講習
会を実施した。
基礎生物学研究所では、引き続き職員の労働安全衛生関連資格の取得を積極的
に進めた。また、定期的に有資格者による巡視及び安全講習会を行った。
生理学研究所では、引き続き衛生管理者の有資格者による安全衛生巡視を定期
的に行った。また、麻薬、向精神薬、毒物等の安全な取り扱いに関する講演会を
行った。
分子科学研究所では、引き続き電子教材による日本語・英語の安全衛生講習を
進めた。
岡崎3機関では、労働安全の観点からAEDの設置場所を見直すとともに、設置
箇所を増やした。
【42】
② 自然災害等への対応マニュ
アルを整備するとともに、危
機管理体制の構築を図る。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
本機構防災基本規程に定められている機構内情報伝達方法等に基づく実施訓
練を各機関の防災訓練時に併せて機構本部と実施し、防災に対する機構の連携を
確認した。また、文部科学省防災推進室と機構本部、機構本部と各機関との連絡
訓練を実施し、緊急時に備えた。
機構における災害発生時等における緊急連絡体制を複数制に見直し、機構長ま
での情報伝達が速やかに行われるように危機管理体制の強化を図った。
文部科学省文教施設応急危険度判定士に本機構職員5名を登録し、大規模地震
発生時における学校施設等の建物判定要請に速やかに応じられるよう、危機管理
の体制を整えた。
機構事務局では、消防計画、防火、防災マニュアルの見直し、非常持ち出し袋
の再整備、棚の固定見直し、年2回の防災訓練(防災教育、避難訓練、煙体験訓
練、消火訓練、救命講習会の開催)、防火対象物定期点検等を実施し、災害対策
を強化した。
国立天文台では、新型インフルエンザへの対応マニュアルを作成するととも
に、安全衛生マニュアルの英語版を整備した。
核融合科学研究所では、消防署の協力を得て、直下型大規模地震発生を想定し
た防災訓練を実施した。また、大型ヘリカル実験棟内の火災を想定した消火訓練
を行った。更に、地元自治体と連携して、広域救助訓練を実施した。安全ハンド
ブックの見直しを行い、日本語版とともに英語版を改訂した。また、職員及び外
注業者等を対象とした安全講習会を実施した。
岡崎3機関では、防災計画に基づき防災の手引きを作成し職員に配布した。
【42-1】
② 引き続き、危機管理体制の
充実を図るとともに、各機関
において安全管理に関する対
応マニュアル(日本語版・英
語版)について、必要に応じ
て見直す。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【42-1】
消防法改正に伴い、改正に係る機関の防火管理者には防災管理新規講習を受け
させ、それらの機関において新たに防災管理者を選任し、消防計画、防災マニュ
アル等の再整備を行った。
災害発生時等における防災訓練の一貫として、文部科学省防災推進室と機構本
部、機構本部と各機関との連絡訓練を実施し、緊急時に備えた。
-
66
-
自然科学研究機構
本機構の災害発生時等における複数制緊急連絡体制を更に見直し、速やかに機
構長へ情報伝達が行われるように危機管理体制を強化した。
文部科学省文教施設応急危険度判定士に本機構一級建築士免許取得者職員の
全員である7名を登録し、大規模地震が発生した場合、文部科学省からの要請に
速やかに対応できる体制を整備した。
機構事務局では、消防計画、防火・防災マニュアルの見直し、非常持ち出し袋
の再整備、棚の転倒防止の見直し、年2回の防災訓練(避難訓練、防災教育、煙
体験訓練、消火訓練、救急救命訓練)、外部評価による防災管理・防火対象物点
検を実施し、防災対策の強化を更に図った。
核融合科学研究所では、消防法の改正に伴い、研究所の防災規則を改正すると
ともに、自衛防災隊組織に設置が義務付けられた統括管理者を選任し、大規模地
震の発生を想定した防災訓練を実施した。また、LHD実験関係者による、実験室
内消火訓練を実施し、緊急時にLHD実験装置の損傷を最小限にするための手順を
確認した。
岡崎3機関では、改正された消防法に基づき大規模地震を想定した防災訓練を
実施するとともに、各研究所の防災用品の補充を行い防災対策の強化を図った。
【43】
③ 教育研究活動等に起因して
職員、共同利用・共同研究者 【43-1】
に被害がもたらされた場合の ③ 各種保険等の契約内容を引
補償等に対応するため、保険
き続き見直し、更なる充実を
等による対策を図る。
図る。
【44】
④ 職員の過重労働に起因する
労働災害を防止するため、勤
務時間の適正化に努める。
Ⅲ
引き続き、国立大学法人総合損害保険及び公用車の任意保険に加入した。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【43-1】
引き続き、国立大学法人総合損害保険及び公用車の任意保険に加入した。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
引き続き、毎週特定曜日を定時退勤日とすることとし、職員の勤務時間の適正
化を図るとともに、四半期毎に休暇取得予定表を作成して、積極的な休暇取得の
促進に努め、働きやすい職場環境の構築を図った。
また、職員のメンタルヘルスケアの一環として、メンタルヘルス講習会を実施
するとともに、外部にメンタルヘルスの相談窓口を設け、職員のこころの健康管
理に努めた。
【44-1】
④ 定時退勤日を設けるなど勤
務時間の適正化に引き続き努
めるとともに、メンタルヘル
スに係る対策等を行う。
【45】
⑤ 労働安全衛生法等に関する
講習会等に積極的に参加させ
るなど、職員に対する安全管
理・事故防止に関して周知徹
(平成20年度の実施状況概略)
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【44-1】
引き続き、毎週特定曜日を定時退勤日とすることとし、職員の勤務時間の適正
化を図るとともに、四半期毎に休暇取得予定表を作成して、積極的な休暇取得の
促進に努め、働きやすい職場環境の構築を図った。
また、職員のメンタルヘルスケアの一環として、メンタルヘルス講習会を実施
するとともに、外部にメンタルヘルスの相談窓口を設け、職員のこころの健康管
理に努めた。
Ⅲ
(平成20年度の実施状況概略)
機構事務局及び各機関において、労働安全衛生法等に関係した各種講習会等に
計画的に参加させ、業務に必要な各種資格を取得させた。
更に、職員に対して労働安全衛生法等に基づいた安全講習会を実施し、労働安
全衛生に関する情報交換会を実施した。
-
67
-
自然科学研究機構
底を図るとともに、種々の資
格者の育成を図る。
機構事務局では、改正された環境関係法令遵守に対応するため、グリーン購入
法基本方針説明会等に積極的に参加した。
核融合科学研究所では、安全ハンドブックの改訂版を配布した。
岡崎3機関では、交通安全への意識を高め、通勤災害等を防止するため、交通
安全講習会を実施した。
【45-1】
⑤ 講習会等に積極的に参加さ
せ、種々の資格取得者の育成
を図る。
Ⅲ
(平成21年度の実施状況)
【45-1】
機構事務局及び各機関において、労働安全衛生法等に関係した各種講習会等に
計画的に参加させ、業務に必要な各種資格を取得させた。
また、職員に対して労働安全衛生法等に基づいた安全講習会を実施し、労働安
全衛生に関する情報交換会を実施した。
ウェイト小計
ウェイト総計
-
68
-
自然科学研究機構
(4)
その他の業務運営に関する特記事項等
1.特記事項
【平成 16~20 年度】
1)安全衛生管理の実施
機構事務局では、事務所内のアスベスト浮遊調査を行い、健康安全の確認をし
た。日々の施設点検を実施し、火災等の非常時における安全確認を行った。
国立天文台では、新たに改定された測定方法で調査した結果、アスベストが検
出されたため、三鷹地区及び水沢地区でアスベスト除去作業を実施した。
核融合科学研究所では、安全ハンドブックの見直しを逐次行い、日本語版とと
もに英語版の改訂版を作成した。また、職員及び外注業者等を対象とした安全講
習会を毎年実施するとともに、安全ハンドブックの改訂版を配布した。
2)適切な施設維持・整備
耐震化を計画的に推進していくにあたり、学生・教職員等の関係者間での理解
を促進していくために、本機構の耐震性の劣る建物一覧をWebページにて公表す
るとともに、耐震診断年次計画に基づき、国立天文台水沢本館の耐震補強・老朽
化改修工事、基礎生物学研究所実験研究棟耐震補強・老朽化改修工事を行った。
岡崎3機関竜美ケ岡宿舎2号棟・3号棟の耐震補強工事を施工した。
核融合科学研究所では、施設整備委員会の基に施設の活用調査を実施し、その
結果を基に企画委員会で建物の有効活用を図った。年度計画に沿って、空調用熱
源設備の点検整備を実施した。各建物屋上の防水改修及び各電気室の直流電源設
備の取替を、改修年度計画を立て、計画的に実施した。
環境対策・省エネルギー対策として、超伝導マグネット研究棟防水改修工事に
おいて、防水仕上材に省エネ効果のある遮熱塗料の使用や実験棟空調用熱源設備
のインバーター制御化を図った。
の施設点検を実施し、火災等の非常時に備えた施設の安全確認及び安全確保を行
った。
国立天文台では、新たに改定された測定方法で調査した結果、アスベストが検
出されたため、三鷹地区及び水沢地区でアスベスト除去作業を実施した。
核融合科学研究所では、職員及び外注業者等を対象とした安全講習会を実施す
るとともに、安全ハンドブックの改訂版を配布した。
2)適切な施設維持・整備
本機構の耐震性の劣る建物一覧を昨年に引き続きWebページにて公表するとと
もに、本機構耐震診断年次計画に沿い、平成21年度は緊急度の高い耐震補強事業
である分子研実験棟Ⅰ期の耐震・老朽改修工事、岡﨑3機関のみどり橋、管路橋、
竜美ヶ丘宿舎7号棟・8号棟の耐震改修工事の計5事業を行った。平成18年度よ
り着手した耐震補強工事は21年度末までには15棟の建物及び2橋の橋梁補強が
完成となった。これにより、21年度末時点で構造耐震指標の劣る耐震補強が必要
な既存建物は2棟のみとなった。
核融合科学研究所では、図書館1階ホールの広報室と見学者案内用AV室の空
調制御を改修し、快適化を図った。年度計画に沿って、空調用熱源設備の点検整
備を実施するとともに、各建物屋上の防水改修の、改修年度計画を立て、計画的
に実施した。また、落雷による被害防止のため、分電盤に避雷設備を設置した。
環境対策・省エネルギー対策として、制御棟等の防水改修工事において、防水
仕上材に省エネ効果のある遮熱塗料の使用や実験棟空調用熱源設備のインバー
ター制御化を図った。また、超伝導マグネット研究棟の照明設備を高効率型の省
エネルギー型設備に改修するとともに、各建物の廊下、階段の不必要な時間帯の
消灯のため人感センサーを設置した。
【平成 21 年度】
1)安全衛生管理の実施
機構事務局では、借用建物内部に吹付けアスベストが存在するため、昨年度に
引き続き浮遊調査を実施し、職員の健康安全の確認をした。また、昨年同様に日々
-
2.共通事項に係る取組状況
【平成 16~20 年度】
1)施設マネジメントの実施
平成17年度に本機構「施設マネジメント・ポリシー」を策定し、そのポリシー
69
-
自然科学研究機構
に基づき、施設実態調査、満足度調査を実施し、キャンパス年次計画の再検討を
行った。建物修繕年次計画に基づく老朽化改修工事を主とするクオリティマネジ
メント、各室の使用状況調査により、研究室・実験室・ホール等の有効利用を図
ったスペースマネジメント、省エネルギー対策工事、複数年契約等の契約の見直
しによるコストマネジメント、それらの施設マネジメントの取組状況を平成17
年度より毎年Webページにて公表した。本機構における耐震補強年次計画に沿っ
て耐震補強を計画的に実施し、平成20年度末までに研究棟等を13棟補強した。
2)危機管理への取組等
防災基本規程に定められている機構内情報伝達方法等に基づく実施訓練を防
災訓練において、機構本部と各機関と実施し、防災に対する機構の危機管理連絡
体制を確認した。文部科学省防災推進室と機構本部、機構本部と各機関との非常
時における連絡訓練を実施し、緊急時に備えた。
機構における災害発生時等における緊急連絡体制を複数制に改善し、機構長ま
での情報伝達が大至急実行されるように危機管理体制の強化を図った。
文部科学省文教施設応急危険度判定士に本機構職員5名を登録し、大規模地震
発生時における学校施設等の建物判定要請に速やかに応じられるような危機管
理の体制を整えた。
機構事務局では、消防計画、防火、防災マニュアルの見直し、非常持ち出し袋
の再整備、棚の固定見直し、年2回の防災訓練(防災教育、避難訓練、煙体験訓
練、消火訓練、救命講習会の開催)、第3者評価による防火対象物定期点検等を
実施し、災害対策を更に強化した。
核融合科学研究所では、毎年消防署の協力を得て、直下型大規模地震発生を想
定した防災訓練を実施した。また、大型ヘリカル実験棟内の火災を想定した消火
訓練を行った。更に、地元自治体と連携して、広域救助訓練を実施した。その他、
職員及び外注業者等を対象とした安全講習会の実施や、安全ハンドブックを見直
して日本語版とともに英語版の改訂版を作成・配布するなど、危機管理への取組
を行った。
岡崎3機関では、大規模地震対策特別措置法に基づく東海地震の警戒宣言が発
令されたと想定し防災訓練を実施した
また、防災計画に基づき防災の手引きを作成し職員に配布した。
情報セキュリティについては、本機構の重要な情報資産を内外の脅威から守る
-
70
ため、「情報システム運用基本方針」及び「情報システム運用基準」の情報セキ
ュリティポリシーを決定し、運用の基本方針、管理体制の整備等を行った。
安全保障輸出管理については、輸出管理最高責任者、輸出管理統括責任者、輸
出管理責任者及び輸出管理者の下、引き続き、研究設備等の輸出管理業務を適切
に行った。
動物実験については、岡崎3機関動物実験委員会の下に動物実験コーディネー
タを置き、従来より頻回に動物実験実施者への教育訓練を行うとともに、動物実
験に関連する事項の周知、研究所内の実験動物の飼養保管施設及び動物実験実験
室の整備並びに動物実験計画の審査等を行った。
【平成 21 年度】
1)施設マネジメントの実施
本機構「施設マネジメント・ポリシー」に基づき、引き続き施設実態調査及び
職員からの施設の満足度調査を行い、優先度の高い実施可能な小規模工事は平成
21年度中に実施し、大型事業においては、キャンパス年次計画の更なる見直しを
実施した。建物修繕年次計画に基づく老朽化改修及び耐震改修工事や地球に優し
い環境対策によるクオリティマネジメント、各室の使用状況調査を行い、宿舎・
研究室・実験室等の有効利用を図ったスペースマネジメント、省エネルギー対策
工事、複数年契約等の契約の見直しによるコストマネジメント、本機構における
それらの施設マネジメントの取組状況を引き続きWebページにて公表した。
核融合科学研究所では、施設の有効活用に関する規則に基づき、研究所全体の
利用状況調査を実施し、施設の有効活用を図るうえでの基礎資料を作成した。
2)危機管理への取組等
平成21年度施行の消防法改正に伴い、改正に係る機関の防火管理者には防災管
理新規講習を受けさせ、防災管理者を新たに選任し、消防計画、防災マニュアル
等の再整備を行った。
本機構の防災基本規程に定められている機構内情報伝達方法等に基づく実施
訓練を防災訓練において、機構本部と各機関と実施し、防災に対する機構として
の危機管理連絡体制を確認した。文部科学省防災推進室と機構本部、機構本部と
各機関との非常時における連絡訓練を実施し、大規模地震を含めた緊急時に備え
た。
-
自然科学研究機構
機構における災害発生時等における緊急連絡体制を更に改善し、機構長までの
情報伝達が大至急実行されるように危機管理体制の強化を図った。
文部科学省文教施設応急危険度判定士に本機構の全一級建築士職員7名を登録
し、大規模地震発生時における学校施設等の建物判定要請に速やかに応じられる
ように危機管理体制を整えた。
機構事務局では、消防計画、防火・防災マニュアルの見直し、非常持ち出し袋
の再整備、棚の転倒防止の見直し、年2回の防災訓練(避難訓練、防災教育、煙
体験訓練、消火訓練、救急救命訓練)、第3者評価による防災管理・防火対象物点
検を実施し、防災対策の更なる強化を図った。
核融合科学研究所では、消防法改正施行による防災管理者の選出、防災計画の
作成、及び自衛防災隊の再編を行い、消防署の協力を得て、直下型大規模地震発
生を想定し、緊急地震速報を使った防災訓練を実施した。また、大型ヘリカル実
験棟内の火災を想定した消火訓練を行った。更に、職員及び外注業者等を対象と
した安全講習会の実施や、安全ハンドブックを配布するなど、危機管理への取組
を行った。
岡崎3機関では、消防法改正施行による防災管理者の選出、防災計画の見直し、
及び自衛消防隊の再編を行なった。また、大規模地震対策特別措置法に基づく東
海地震の警戒宣言が発令されたと想定し防災訓練を実施した
情報セキュリティについては、本機構の重要な情報資産を内外の脅威から守る
ため、「情報システム運用基本方針」及び「情報システム運用基準」の情報セキ
ュリティポリシーに基づき、運用を行った。
安全保障輸出管理については、輸出管理最高責任者、輸出管理統括責任者、輸
出管理責任者及び輸出管理者の下、引き続き、研究設備等の輸出管理業務を適切
に行った。
岡崎3機関では、安全保障貿易管理に関する研修会を実施するとともに、安全
保障貿易管理ハンドブックを職員に配布し、安全保障貿易に関する意識の啓発を
行った。
-
71
また、不審者の侵入等防犯対策として、岡崎3機関では、構内主要出入口に防
犯カメラを設置又は更新し強化を図った。
動物実験については、岡崎3機関動物実験委員会の下に置かれた動物実験コー
ディネータが中心となって、頻回に動物実験実施者への教育訓練を行うととも
に、動物実験に関連する事項の周知、研究所内の実験動物の飼養保管施設及び動
物実験実験室の整備並びに動物実験計画の審査等を行った。
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(1) 研究に関する目標
① 研究の成果等に関する目標
中 期 目 標
本機構は、宇宙、物質、エネルギー、生命等に関わる自然科学諸分野の学術研究を積極的に推進する。
複数の基礎学術分野の連携によって新たな学術分野の創成を目指す。
天文学及びその関連分野では、大型観測装置等を用いて、高水準の研究成果を達成するとともに、理論的研究、先端的観測装置等の開発研究並びに必要な事
業を行う。
また、天象観測並びに暦書編製、中央標準時の決定及び現示並びに時計の検定に関する事務を行う。国立天文台は、米国に設置されたハワイ観測所において
も業務運営を円滑に実施する。
エネルギー科学分野、とりわけ核融合科学分野では、我が国における核融合科学研究の中枢機関として、大学や研究機関と共に核融合科学及び関連理工学の
発展を図る。環境安全性に優れた制御熱核融合の実現に向けて、大型の実験装置や計算機を用いた共同研究から、国際協力による核融合燃焼実験への支援まで
を含む日本全体の当該研究を推進する。
基礎生物学分野では、生物現象の基本原理に関する総合的研究を行い、卓越した研究拠点として基礎生物学分野の発展に寄与する。
生理学(医科学、基礎医学)分野では、分子、細胞、個体等のレベルの研究とそれらの統合により、脳神経系を中心とするヒト及び動物の生体の機能とメカ
ニズム及びその病態の理解の発展に寄与する。
分子科学分野では、物質・材料の基本となる分子及び分子集合体の構造、機能、反応に関して、原子及び電子のレベルにおいて究明することにより、化学現
象の一般的法則を構築し、新たな現象や機能を予測、実現する。
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【46】
【46-1】
大学共同利用機関法人自然科学研 ① 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(以
究機構(以下「本機構」という。)
下「本機構」という。)は、天文学、物質科学、
は、天文学、物質科学、エネルギー
エネルギー科学、生命科学等(以下「各分野」
科学、生命科学等、自然科学分野(以
という。)、自然科学分野における研究所等(本
下「各分野」という。)における研
機構が設置する大学共同利用機関をいう。以下
究所等の役割と機能を充実させる。
同じ。)の役割と機能を一層充実させる。また、
また、統合バイオサイエンスセン
各分野間の連携を積極的に行い、学際的・国際
ターにおける研究の推進など、研究
的研究拠点形成を目指す。
所間の連携による新たな分野形成の 【46-2】
-
72
-
【46】
本機構が設置する国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、
生理学研究所、分子科学研究所は、天文学、物質科学、エネルギー科学、
生命科学等における大学共同利用機関としての役割と機能の一層の充実
に努めるとともに、各分野間の連携を進めた。
各機関では、当該研究分野コミュニティを代表する外部委員を含む運
営会議を設置し、研究所長等(台長及び研究所長)は運営会議に対して
機関運営のための諮問を行っている。具体的には、各機関において運営
会議を適宜開催して、共同利用・共同研究に関する事項、機関の研究教
育職員の人事及びその他重要事項について審議した。
自然科学研究機構
可能性を検討する。
② 研究所等に置かれた運営会議は、共同研究計
国際専門誌上や国内外の学会、討
画に関する事項、研究者人事等に関する事項、
論会等で研究成果を積極的に公表す
組織の改編に関する事項及びその他研究所等に
る。
関する重要事項で研究所長等が必要とする事項
研究所等に研究所長等の諮問機関
について諮問を受け、答申する。
として所外研究者を含む運営会議を
各分野において研究の進展、公表の状況、研
置き、共同研究計画に関する事項、
究者等の大学や研究機関との交流の状況等をま
研究者人事等に関する事項及びその
とめ、研究水準・成果の検証を行うため、外部
他機関の運営に関する重要事項で研
委員を含む委員会で自己点検を行う。
究所長等が必要とするものについて 【46-3】
諮問する。
③ 研究所等で得られた研究成果を、国内外の学
各専門分野において国内の外部委
会等において積極的に公表をする。
員を含む委員会で自己点検を行い、
国際的に第一線で活躍する著名な研
究者による評価に基づいて研究水
準・成果の検証を行う。
自らの研究水準を高めるととも
に、高度な研究者を養成し大学等研
究機関に輩出する。
また、各機関では、外部委員(一部は外国人研究者を含む)を含む評
価組織において、研究成果、研究所の運営、各分野・プロジェクトの研
究の進捗状況について、自己点検及び外部評価を積極的に実施したほか、
国際専門誌上や国内外の学会等を通じて、研究成果を積極的に発表・公
表した。更に、計画・評価担当の理事の下に設置した評価に関するタス
クフォースにおいて、中期計画や年度計画の達成状況の取りまとめを行
い、機構全体の評価に関する事項を検討した。
分野間連携については、分野間の連携による学際的・国際的研究拠点
形成に向けたプロジェクト(国際的基礎生物学研究拠点形成、新 4 次元
可視化技術による科学の普及、他 15 件)に総額 499 百万円を措置し、実
施した。特に、自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体
化するために、「ブレインサイエンス研究分野」と「イメージングサイ
エンス研究分野」の2つの新たな研究分野の研究を行うことを目的とし
た「新分野創成センター」を設置し、研究連携活動を開始した。
また、機構長を本部長とする国際戦略本部及び国際交流担当の理事を
室長とする国際連携室において、国際共同研究支援職員研修を引き続き
実施するなど、着実な国際戦略の実施を図った。
各分野の特記事項を以下に示す。
【47】
(国立天文台)
広範な天文学分野において、太陽
系からビッグバン宇宙までを研究対
象として高水準の研究成果を生み出
す。国内観測所及び観測施設を活用
した最先端の観測天文学の推進を行
う。
また、超高速計算機システムを活
用したシミュレーション研究や理論
天文学の更なる推進を目指す。
人類が未だ認識していない宇宙の
【47~54】
(国立天文台)
光学赤外線天文学の特記すべき成果は以下の通りである。
ハワイ観測所のすばる望遠鏡により、太陽型星をめぐる惑星候補天体
を直接撮像で発見することに世界で初めて成功した。また、恒星の自転
に逆行して公転する惑星系が存在することを初めて観測的につきとめ
た。誕生から8億年後という初期の宇宙において、現在の銀河系円盤に
匹敵する巨大な天体がすでに存在していることを明らかにした。
岡山天体物理観測所では、天体観測史上最も遠い131億光年の光をガン
マ線バーストによる残光でとらえることに成功した。また、精力的に進
めている太陽系外惑星探査では、日韓共同研究により初めて褐色矮星の
検出に成功した。
【ポイント:A-①~④、B-①】
各分野の特記事項を以下に示す。
【47-1】
(国立天文台)
広範な天文学分野において、大型観測装置や各
種観測装置を用いた観測的研究、高速計算機を用
いたシミュレーション解析も含んだ理論的研究を
推進するとともに、新たな観測装置やソフトウェ
アの開発研究を推進する。
-
73
-
自然科学研究機構
未知の領域を開拓するため最先端の
技術を用いて新鋭観測装置の開発・
整備に努めるとともに、また新たな
科学技術の基盤の創成に寄与する。
このため、大型望遠鏡、観測装置、
計算機等の開発研究や整備及び運用
を円滑に行う。
【48】
【48-1】
① 国際観測施設であるハワイ観測 ① ハワイ観測所においては、重点プログラムと
所において、高水準の研究成果を
して宇宙論、銀河形成と進化及び太陽系外惑星
達成する。
等の観測的研究を推進する。また、次世代観測
装置の開発研究、特に主焦点広視野カメラ Hyper
Suprime-Cam の開発及びそれに対応する望遠鏡
改修の検討を進める。
【48-2】
② 野辺山宇宙電波観測所においては、45mミ
リ波望遠鏡とASTE10mサブミリ波望遠鏡
を連携して用いて、遠方銀河探査や近傍銀河の
広域観測、星形成・惑星系形成領域の広域サー
ベイ、更には分子輝線サーベイを強力に推進す
る。
【49】
【49-1】
② 国際協力事業としてのアタカマ ③ 国際協力事業として、平成16年度に開始し
大型ミリ波サブミリ波干渉計の建
たアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(以下
設(以下「アルマ計画」という。) 「アルマ計画」という。)の建設を引き続き推
を開始して、全装置の完成前でも
進する。特に、アンテナ、相関器及び受信機の
一部の装置を用いて部分観測を始
製作等並びに部分運用を引き続き行う。また、
める。また、それに必要な経費・
アルマ東アジア地域センターの整備を行う。
人員・体制の整備を行う。
-
74
-
ソフトウェア、データベース面では、天文データセンターのバーチャ
ル天文台(VO)システムの運用が順調に進み,より分かりやすい検索シス
テムを充実させた結果、月あたり平均400ギガバイト、最大7テラバイト
の天文データを世界各地に発信した。SMOKAが提供するすばる望遠鏡の観
測データ公開システムに重なり領域の検索機能などを追加し,同システ
ムを利用した論文が多数生み出された。すばる望遠鏡次世代広視野カメ
ラであるHyper SuprimeCam(HSC)によるデータの効率的処理方法などの検
討・試験を進め,データ解析パイプラインにより観測即時のデータ品質
の評価を可能にした。
【ポイント:A-①~③、⑤、B-③】
装置開発面では、京都大学、イギリス、オーストラリアと共同で開発
したすばる望遠鏡の主焦点近赤外多天体分光器の共同利用観測の募集を
開始した。すばる望遠鏡用次世代コロナグラフ撮像装置と補償光学装置
による戦略的な観測を開始した。広視野カメラ Hyper Suprime-Cam(HSC)
の開発を進めるとともに、カメラ搭載に必要な望遠鏡改修の検討を進め
た。先端技術センターでは、アルマ計画及びHSCの開発に続く装置開発計
画(地上計画とスペース計画を含む)の検討を開始し、電波カメラ、完
全空乏型CCD、重力波検出装置などの基礎開発を開始した。また、マシン
ショップ、デザインショップ、超精密ユニットを統合し、メカニカルエ
ンジニアリングショップ(MEショップ)を立ち上げ、より効率的に装置
開発を行うことができる体制とした。
【ポイント:A-②~④、B-①】
電波天文学での特記すべき成果は以下の通りである。
南米チリに設置したASTE望遠鏡による深宇宙探査により、非常に多く
のサブミリ波銀河と呼ばれる大質量の爆発的星形成銀河を発見し、それ
らが遠方の原始銀河団に、群れ集まっている様子を世界ではじめて捉え
た。野辺山の45mミリ波望遠鏡では、誘発的に星団形成が起る領域のサー
ベイ観測を推進し、分子流や分子雲衝突による星形成の誘発が起ること
を明らかにした。また、45m鏡で分子輝線サーベイを波長3mm帯で推進す
自然科学研究機構
【50】
【50-1】
③ 先端的電子技術、情報処理技術、 ④ 情報処理技術とデータ利用技術を天文学に融
データ利用技術を天文学と融合す
合したバーチャル天文台の運用を進め、バーチ
ることにより、新たな分野を開拓
ャル天文台を利用した研究を進める。同時に、
する。
国内外の研究者と連携しながら提供データや機
能の充実を図るとともに、講習会等を通じて利
用者拡大に努める。
【51】
【51-1】
④ 太陽観測、月探査、位置天文、 ⑤ 宇宙航空研究開発機構と協力して太陽観測衛
電波天文、赤外線天文分野等を軸
星「ひので」及び月探査衛星「かぐや」の運用
として、スペース天文学の基礎開
を行うとともに、超長基線電波干渉計(以下「V
発研究を推進する。
LBI」という。)観測衛星ASTRO-Gの
設計検討、及び対応する地上観測システム、観
測運用システムなどの検討を進める。次期太陽
観測衛星計画については具体的な検討を進め
る。また、将来の位置天文衛星、太陽系外惑星
探査衛星、月探査衛星等の実現に向けて検討を
進めるとともに、先端技術センターにおいて将
来のスペースプロジェクトへ向けた基礎開発研
究を開始する。
【52】
【52-1】
⑤ 光学赤外線望遠鏡、電波望遠鏡 ⑥ 北海道大学、茨城大学、筑波大学、岐阜大学、
又は超長基線電波干渉計(VLBI)
大阪府立大学、山口大学、鹿児島大学及び宇宙
観測網の充実等、観測装置の開発
航空研究開発機構並びに情報通信研究機構等と
研究を進めるため、国内大学及び
の連携による国内VLBI観測網による観測を
海外の研究機関との連携・協力を
推進する。東アジアVLBI観測網(日本・中
図る。
華人民共和国・大韓民国)構築のため開発研究
を国際連携で推進する。また、天文広域精測望
遠鏡(VERA)による高精度位置天文観測を推
進する。
広島大学、東京工業大学等と光赤外線望遠鏡
を使用した共同研究を推進するとともに、新観
-
75
-
るとともに、超広帯域の新観測システムの開発導入を行い、試験観測に
成功した。
水沢VLBI観測所では、韓国宇宙天文科学院と協力し、世界最高速度で
データ処理が可能なVLBI専用相関処理装置を共同で開発し、ソウルの延
世大学構内に設置を完了した。また、日本のVERA観測網で取得した観測
データを使用し、その性能の確認がなされた。観測面では、日本が開発
したVLBI観測装置をKVNの3局(ソウル、タンナ、ウルサン)及び中国上
海局に配備し、日中韓での試験観測を行い、日本の観測局と中国、韓国
の観測局を電波干渉計として結合することに成功した。
大学間連携VLBI事業関連では、北海道大学苫小牧11m望遠鏡からの観測
データを学術情報ネットワークで三鷹相関局に伝送し、実時間で他の大
学望遠鏡(岐阜大学11m、山口大学32m)との実時間データ合成に成功し
た。
ALMA推進室においては、日本が担当する主要装置であるアタカマ密集
型干渉計(ACA)用7mアンテナ及び受信機カートリッジ、ACAシステムの
製造を進めるとともに、12mアンテナ等の製造完了した装置を用いた試験
調整を継続し、平成21年11月、標高5,000mの山頂において、日本製造の
アンテナ1台と米国製造のアンテナ2台、合計3台による干渉実験に成
功し、アンテナを含むシステムが「干渉計」として仕様通り機能するこ
とを確認した。先端技術センターは、ALMA推進室と協力してアルマ受信
機の量産体制を整えるとともに、最高周波数帯であるバンド10受信機に
ついて世界最高性能の技術開発に成功した。また、アルマ東アジア地域
センターの整備を行うため、アルマ東アジア地域センター棟を建設した。
スペースからの天文観測での特記すべき成果は以下の通りである。
太陽観測衛星「ひので」の科学運用を定常的に実施するとともに、全
取得データの即時公開を継続して行い、世界の研究者に供した。太陽面
の至る所に出現する短寿命水平磁場の発見や、極端紫外域輝線観測やX線
観測からコロナ加熱機構に関する新しい描像が得られつつあるなど、科
学的成果が多数、論文として出版された。次期太陽観測衛星の科学目的
について2回目となる国際研究集会を主催し、今年度設置した国際ワー
キンググループでの検討結果も踏まえ、ミッション提案に向けて今後の
方針・課題をを確認した。
自然科学研究機構
測装置の開発を推進する。京都大学、名古屋大
学等と新たな望遠鏡建設に向けた基礎技術開発
を行う。
岩手大学、東北大学、東京大学、会津大学、
千葉工業大学、宇宙航空研究開発機構、情報通
信研究機構と共同して、次期月探査、惑星探査
計画の検討、基礎開発を行う。
国際協力により、すばる望遠鏡の次世代観測
装置開発を行うとともに、ハワイ観測所の将来
計画として次世代超大型光赤外線望遠鏡の建設
構想の検討を推進する。また、京都大学、名古
屋大学、東京大学などと連携して、すばる望遠
鏡の次期観測装置開発、次世代超大型光赤外望
遠鏡の実現に向けた分割鏡制作方式の開発、並
びに同望遠鏡用の観測装置開発を行う。
【53】
⑥ 天象観測の成果として、暦象年
表を毎年発行すると共に、暦要項
として官報に掲載し、一般公衆に
広く公表する。
【54】
⑦ 中央標準時の決定及び現示を行
い、国際原子時及び世界時の決定
に寄与し、依頼に応じ、時計の検
定を行う。
【55】
(核融合科学研究所)
制御熱核融合の実現を目指した核
融合科学とその基盤となるプラズマ
物理学、炉工学などにおいて、学術
的体系化を図り、世界に先駆けた成
果を上げる。
月探査衛星「かぐや」の科学運用を6月まで継続すると共に、裏側を
含む世界初の正確な月重力及び地形分布の高精度化や月全体の地殻厚さ
分布の作成などの成果を上げた。次期月探査計画に向けての測月観測機
器の検討や技術開発を行った。
位置天文観測衛星(JASMINE)計画を進めるJASMINE検討室は、技術実
証実験等を目的とした超小型衛星Nano-JASMINEの開発を進めたが、衛星
打ち上げに関しては、2011年に海外のロケットにより打ち上げられるこ
とが正式に決定した。また、小型科学衛星による小型JASMINE計画の検討
や技術開発を引き続き行った。
太陽系外惑星探査プロジェクト室は、アメリカ航空宇宙局(NASA)及
び欧州宇宙機関(ESA)の次世代系外惑星探査装置の検討に参加した。
暦、報時関係では、平成23年の暦象年表について計算・編集・発行を
行うとともに、その概要を暦要項として平成22年2月に官報に掲載した。
暦象年表の計算結果と他のデータを併せて、平成22年版理科年表を平成
21年11月に刊行した。また、高精度時刻維持のための業務(協定世界時
決定への寄与・インターネットによる時刻基準の提供など)を継続した。
【53-1】
⑦ 暦を決定する業務を実施し、暦象年表を発行 また、今後の業務の維持のために、システムを冗長系にし、火災や非常
するとともに、暦要項を一般公衆に広く公表す 停電などに備えた。
水沢VLBI観測所では、複数の原子時計を維持運用し、中央標準時を管
る。
理している。この時刻情報は国際報時局に定期的に報告するとともに、
インターネットを介した時刻配信業務も進めている。
【54-1】
⑧ 高精度時刻維持により協定世界時の決定へ寄
与する。また、インターネットへの時刻基準提供
サービスを行う。
【55-1】
(核融合科学研究所)
制御熱核融合の実現を目指した核融合科学とそ
の基盤となるプラズマ物理学、炉工学などにおい
て、学術的体系化を図り、世界に先駆けた成果を
上げる。
-
76
-
【55~60】
(核融合科学研究所)
【55-1】
制御熱核融合の実現を目指した核融合科学とその基盤となるプラズマ
物理学、炉工学などにおいて、学術的体系化を図るため、以下に示すよ
うに世界に先駆けた成果を上げた。
【ポイント:A-②】
自然科学研究機構
【56】
【56-1】
① 大型ヘリカル実験装置(LHD) ① 大型ヘリカル装置(以下「LHD」という。)
の性能を最大限に発揮させ、環状
の性能を最大限に発揮させ、環状プラズマの総
プラズマの総合的理解と核融合炉
合的理解と核融合炉心プラズマの実現に向けた
心プラズマの実現に向けた学術研
学術研究を行うため、昨年度に引き続き、次の
究を行う。このためにプラズマ加
事項を中心に研究を進める。
熱機器及び計測機器の整備・増強、 1.プラズマ加熱機器の整備・増強、改良を進め
装置の改良を進め、核融合炉心プ
ることにより、将来の炉の経済的指標となるベ
ラズマを見通せるLHDプラズマ
ータ値(プラズマと磁場の圧力の比)が大きい
の高性能化を目指す。
プラズマ、平均電荷数の小さい高イオン温度プ
ラズマ等を実現し、核融合炉心プラズマを見通
せるLHDプラズマの高性能化を目指す。また、
関連する学術研究を行う。
2.プラズマの詳細な分布が得られる計測機器の
整備・増強、改良を進め、プラズマの高性能化
に必要なデータの取得に努める。
【57】
【57-1】
② プラズマの高性能化に必要とな ② プラズマの高性能化に必要となる物理機構の
る物理機構の解明を、研究所や大
解明等を、研究所や大学・附置研究所・センタ
学・附置研究所・センターの装置・
ーの装置・設備を有機的に活用し、双方向型共
設備を有機的に活用し、双方向型
同研究として進める。具体的には、次のように
共同研究として進める。さらなる
行う。
閉じ込め改善を実現するための先 1.筑波大学プラズマ研究センター、京都大学エ
進的な磁場配位を持つ新規実験装
ネルギー理工学研究所附属エネルギー複合機
置の検討を、コミュニティの共通
構研究センター、大阪大学レーザーエネルギー
の課題として推進する。
学研究センター及び九州大学応用力学研究所
炉心理工学研究センターと本研究所の間で双
方向型共同研究を推進する。また、双方向型共
同研究の一環として各センターが持つ全国共
同利用の機能により、センターと全国の大学等
との共同研究の更なる活性化を図る。
2.双方向型共同研究の研究推進基盤を更に強固
-
77
-
【56-1】
LHDの性能を最大限に発揮させ、環状プラズマの総合的理解と核融合炉
心プラズマの実現に向けた学術研究を進めた。
プラズマ加熱機器の整備・増強、改良を進めることにより、これまで
の最高電子温度1億2千万度を更新し、1億7千万度を達成した。
荷電交換再結合分光法及び重イオンビームプローブを利用した計測機
器の整備を進め、イオン温度が上昇する閉じ込め改善状態で見られる不
純物排除現象について詳細かつ体系的な研究が進んだ。不純物がプラズ
マの中心部から排除される現象は原子番号が大きくなるにつれて顕著に
なることが明らかとなり、将来の核融合炉で必要とされるヘリウム灰5%
以下や金属が1万分の1以下などの不純物条件を満足する結果を得た。
この他にも、ベータ値(プラズマと磁場の圧力の比)が核融合炉条件
を満足する5%という高い値において、閉じ込め性能とMHD不安定性の関
係を定量的に示すことができるようになった。このように、プラズマ性
能の向上研究と関連する学術研究を進展させ、ヘリカル型核融合炉設計
への物理基盤に大きく貢献した。
【ポイント:A-①】
【57-1】
プラズマの高性能化に必要な物理機構の解明を図るため、筑波大学プ
ラズマ研究センター、京都大学エネルギー理工学研究所附属エネルギー
複合機構研究センター、大阪大学レーザーエネルギー学研究センター及
び九州大学応用力学研究所高温プラズマ力学研究センターとの双方向型
共同研究を進め、74件の研究課題を採択した。特に九州大学では、本共
同研究の基に建設を進めたQUEST装置が定格運転を達成した。筑波大学、
京都大学に於いても新しい領域へ研究を展開するための先進磁場配位を
検討し、具体的な改造案を固めた。双方向型共同研究委員会を7回開催
し、外部評価指摘事項への対応や第2期中期計画期間の本共同研究のあ
り方を議論した。後者に関してはワーキンググループを設置し、2回に
わたって議論を行った。その結果、平成22年度より東北大学金属材料研
究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センター及び富山大学水素同
位体科学研究センターを新たな参画機関とすることにし、公募案内を作
成した。また、外部評価指摘事項に対応して京都大学の安全視察を行っ
自然科学研究機構
【58】
③ 核融合プラズマ閉じ込めの物理
機構解明及びその体系化を進める
とともに、それを支える基礎研究
としての複雑性の科学を探求する
ため、理論・シミュレーション研
究を推進する。このため大型シミ
ュレーション研究用解析装置を積
極的に活用する。
にするため、必要な装置の整備等を研究者コミ た。
ュニティの意見も反映させて進める。
【ポイント:A-②】
3.更に、閉じ込め改善を実現するための先進的
【58-1】
な磁場配位を持つ新規実験装置の検討を、研究
核融合プラズマ閉じ込めの物理機構解明とその体系化及び複雑性の科
者コミュニティの共通の課題として進める。
学を探究するため、高エネルギー粒子シミュレーションでは、駆動型不
安定性の時間発展における帯状流の形成過程と不安定性飽和レベルの抑
【58-1】
③ 核融合プラズマ閉じ込めの物理機構解明とそ 制機構を解明した。磁気流体シミュレーションでは、乱流による巨視的
の体系化及び複雑性の科学を探究するため、平 磁気島の形成過程、高波数圧力駆動型不安定性の飽和機構、プラズモイ
成 19 年度に創設したシミュレーション科学研究 ドの挙動に関する解析を実施した。運動論シミュレーションでは、LHD実
部のプロジェクト研究体制を基に、特に次の研 験の3次元平衡磁場配位を正確に取り扱うことのできるジャイロ運動論
的シミュレーションコード(GKV-X)を新たに開発し、イオン温度勾配不安
究を実施する。
1.高エネルギー粒子駆動型不安定性に起因する 定性とゾーナルフロー応答の磁場配位依存性を明らかにした。周辺プラ
帯状流の形成、及び巨視的 MHD 不安定性と微視 ズマシミュレーションでは、1次元流体モデル及びモンテカルロ法を用
的乱流の相互作用を解明する。LHD プラズマの いて、ダイバータ板近傍のプラズマ分布、シース電位分布、輸送及び第
二流体平衡と線形安定性を解析するとともに、 一壁への再堆積量を求めた。階層統合シミュレーションでは、過渡応答
高波数圧力駆動型不安定性の役割、プラズモイ モデルとして線形MHD固有関数を用いた安定限界ベータ分布解析モデル
ドの挙動を解明する。LHD 実験により即した条 を導入し、モデルの改良と到達可能ベータ値の詳細な解析を進めた。
また、レーザー統合シミュレーションでは、低密度フォームコーティ
件を扱えるように、ジャイロ運動論的シミュレ
ーションコードの拡張を進める。境界層プラズ ングターゲットにおいて、加熱に最適なフォーム密度と厚さと、その物
マと壁との相互作用を取り入れた周辺プラズマ 理機構の解明及び高速電子生成における衝突効果の評価を行った。階層
の総合的モデルの構築を行う。第一世代階層統 繰り込みシミュレーションでは、開発したモデルを世界で初めて無衝突
合コードを LHD 実験データ解析に適用すること リコネクション現象に応用し、モデルの物理的妥当性を検証した。グラ
により、理論モデルの妥当性の検証、数値モデ ファイトへの水素照射シミュレーションでは、従来に比べ約10倍の空間
サイズへの拡張を実現した。
ルの検証・改良・拡張を進める。
【ポイント:A-①】
2.コーン付ターゲットを用いた高速点火実験
【59-1】
FIREX-I におけるターゲットの基礎的な特性評
ヘリカル炉設計のシステムコードを整備し、多次元の拘束条件に対す
価及び実験結果の解析を、連携研究として推進
る設計可能領域の明確化および最適化を可能にするとともに、中性粒子
する。
3.階層繰り込みモデルを地球磁気圏及び核融合 ビーム加熱と燃料ペレットによる高密度プラズマ自己点火シナリオと制
プラズマでのリコネクション現象に応用するた 御アルゴリズムを提案した。ブランケットの長寿命化と効率化に向け、
高温耐食性とクリープ強度の向上を図った。液体リチウムにおいて窒素
めの様々な物理検討を実施する。
4.グラファイトへの水素照射シミュレーション 不純物を、溶融塩Flinakにおいて酸素不純物をそれぞれ低減することに
-
78
-
自然科学研究機構
【59】
④ 核融合炉を目指した大学の炉工
学研究の中核として、炉工学研究
の集約と学術的体系化を推進する
とともに、関連する幅広い工学研
究の進展に寄与する。
【60】
⑤ 基礎プラズマ科学や極限的条件
下におけるプラズマ研究、原子分
子データ等の核融合基礎データの
評価・集積、環境や安全性等核融
合の社会的受容性に関する研究の
一層の推進など、核融合を巡る幅
広い分野で共同研究の中心機関と
して活動する。
を拡張し、適用できる空間スケールの拡大を目 より、構造材の高温腐食を大きく抑制できることが明らかになった。フ
指す。
ェライト鋼の酸化物ナノ粒子分散強化により、クリープ変形を大幅に低
減し、使用温度を約150℃上げられることが分かった。LHD超伝導システ
【59-1】
④ ヘリカル炉設計、炉材料、ブランケット、超 ムにおいては、サブクールシステムの制御法を確立して安定な連続運転
伝導、安全技術に関する研究を進めるとともに、 を実現するとともに、高電圧化したコイル電源の電流値制御法の最適化
システム統合に向けて幅広い所内及び国内の連 を進めた。超伝導マグネットシステム開発研究として、間接冷却型超伝
導マグネットへの適用を目指し、摩擦攪拌接合を用いたアルミニウム合
携を強化する。
1.特にブランケットの長寿命化と効率化に関わ 金被覆Nb3Sn超伝導導体の製造技術を確立すると共に、核融合中性子照射
る共同研究を強化し、総合性能試験施設の実現 研究の分野間連携研究体制の拡大、耐放射線電気絶縁材料開発、放射線
に向けた要素研究を進めるとともに、各要素分 管理区域への15.5T超伝導マグネットの導入(原子力基礎基盤戦略研究イ
野における研究成果の集約を図り、学術的体系 ニシアティブ事業による)、日本機械学会 核融合設備規格 超伝導マグ
化を進める。また、超伝導マグネットシステム ネット構造規格(JSME S KA1-2008)制定への主導的貢献などを押し進め
開発での分野間連携を強化し、定量的な理解の た。高温型プロトン導電性酸化物による水素回収、低温圧力スイング吸
着法による同位体分離、高分子分離膜を用いた水蒸気の分離において、
発展に貢献する。
2.連携研究推進のための組織の活動を通じ、他 それぞれ高効率化を目指した運転の最適条件を見出した。ハニカム型酸
分野との研究連携や産学連携を視野に入れた幅 化触媒では実用化を目指した大型化と新材料の性能試験を押し進めた。
高感度トリチウム検出器の開発で実用化に向けた装置全体の軽量・単純
広い工学研究の進展を推進する。
化の見通しが得られた。
【60-1】
電力分野との研究連携として、イットリウム系高温超伝導導体の磁場
⑤ プラズマ物理学及び材料科学の基礎を含む核
中での大電流通電特性の評価及び自励振動式ヒートパイプを応用した超
融合に関連した学際的研究領域の拡充を図ると
ともに、研究成果の社会への還元を推進する。 伝導マグネットの新しい冷却方式の提案を行った。
【ポイント:A-①、③、⑤】
【60-1】
プラズマ物理学及び材料科学の基礎を含む核融合に関連した学際的研
究領域の拡充を図るために、プラズマと電磁波による物質の非平衡構造
転移に関する物理研究を進め、その研究成果の社会への還元を推進する
ため、企業との産学官連携研究を積極的に推進した。
【61】
【61-1】
【61~64】
(基礎生物学研究所)
(基礎生物学研究所)
(基礎生物学研究所)
細胞生物学、発生生物学、進化多
細胞生物学、発生生物学、進化多様性生物学、
各重点基盤領域において、細菌感染に対する植物の防御メカニズムの
様性生物学、神経生物学、環境生物 神経生物学、環境生物学、理論生物学、イメージ 解明、神経ネットワークの形成・維持に必須なmRNA移送機構、オートフ
-
79
-
自然科学研究機構
学、理論生物学等の基盤研究をさら ング・サイエンス等の基盤研究を更に強化発展し、 ァジーにおけるAtg13タンパク質の役割、神経管形成に必要なアクチン集
に強化発展させ、独創的で世界を先 独創的で世界を先導する研究を創成、推進すると 積機構の解明、体節の空間パターン形成におけるRipply遺伝子の役割、
導する研究を創成、推進する。
ともに生物学の新しい展開を目指した基礎生物学 マウス精子幹細胞の分化開始後の「若返り」の発見、ヒトデにおけるヒ
研究者コミュニティの形成を促進する。
トリラキシン様ホルモンの発見、メダカにおけるnanos遺伝子発現の体系
的把握、神経軸索ガイダンス分子の軸索内細胞骨格制御機構の解明、マ
【62】
【62-1】
① 基礎生物学研究所独自の装置 ① 波長可変レーザー照射システムの試用を開始 カクザルにおける両眼視情報処理に関連する遺伝子発現解析、mpk1遺伝
(大型スペクトログラフ等)、生
する。メダカバイオリソースの中核機関として、 子変異マウスの作成と解析、染色体凝縮におけるコンデンシンの結合機
物資源(モデル生物等バイオリソ
飼育施設の高度化を進めるとともに、実験技術 構解明、花粉管による卵装置認識に関わる因子の発見、マメ科植物にお
ける根粒数の制御機構の解析、ナメクジウオにおけるエストロゲン受容
ース)の一層の充実により、高水
の講習会を企画する。
体の解析、葉形の遺伝子制御におけるオーキシンシグナルの関与機構、
準の研究基盤をつくる。
微生物比較ゲノムデータベースの改良等において大きな進展があった。
【63】
【63-1】
【ポイント:A-①】
② バイオインフォーマティクス ② 研究所主催の国際会議等において、実験生物
波長可変レーザー照射システムの一部として、水中試料への細胞小器
等、実験生物学と理論生物学との
学と理論生物学の交流・融合を促進する。
官レベルでの限局された照射を可能とする反射型液晶パターン照射装置
融合による先端的研究を強化す
(LCOS-SLM)を導入し設置調整を行った。メダカバイオリソースにおい
る。
て、室内飼育室整備によるメダカの保存・提供体制の完成並びに、系統
【64】
【64-1】
③ 今後の生物学に必要とされる、 ③ 水生動物バイオリソースの運用を進めるとと の受け入れから系統特性のデータベース化までの効率化を行った。また、
遺伝子導入メダカの作成と精子凍結による系統保存及び凍結精子を用い
研究材料の発掘、技術の導入をと
もに、植物バイオリソースの充実を図る。
た人工授精に関する国際講習会を開催した。
おして、新しい生物学の展開を推 【64-2】
【ポイント:A-①、②、B-①、②】
進する。
④ デジタル走査式平面照射顕微鏡(DSLM)を多様
第7回生物学高等コンファレンス、第56回基生研コンファレンス、
な試料に適用しながら整備を進めるとともに、
第9回欧州分子生物学研究所(EMBL)合同シンポジウムにおいて、実験
共同利用に供するための準備を進める。
生物学と理論生物学の演題を併設し両分野間の交流・融合を図った。ま
た、新たにバイオインフォマティックス・トレーニングコースを開催し、
マイクロアレイ解析によって得られた実験データを理論的に分析する手
法を31名の受講者に講習した。
【ポイント:A-②、③】
メダカバイオリソースにおいて、11種類の完全長cDNAライブラリーに
由来する25万クローンの塩基配列解析から約16,000種類の異なったcDNA
の塩基配列を完全に決定し、Webページで公開した。ミヤコグサバイオリ
ソースの充実を図るため、奄美大島・沖縄本島由来のミヤコグサと薬剤
処理及びイオンビーム照射処理由来の共生変異体の形質確認と種子増殖
-
80
-
自然科学研究機構
を行った。また、種子増殖を大規模に行うための屋外型温室を設置した。
【ポイント:A-①、B-①、②】
デジタル走査式平面照射顕微鏡(DSLM)をマウス、カエル、メダカ、
ゼブラフィッシュ、ニワトリ、アメーバの各種観察に適用し、多様な要
請に応える実績を積んだ。その過程で、精密な温度調整を可能にする空
調機の導入及び観察可能な対象を広げるための405nmレーザーの設置と
60x対物レンズが使用できる試料チャンバーの製作を実施した。
【ポイント:B-①】
【65】
(生理学研究所)
分子生物学、細胞生理学、生物物
理学、神経解剖学、神経生理学、神
経発生学、感覚情報生理学、認知行
動学、病態生理学等広範な生理学分
野及び関連分野において、ヒト及び
動物の生体の機能とメカニズムを解
明するため、共同研究を含む世界的
に高水準な研究基盤を発展強化す
る。
【65-1】
(生理学研究所)
分子生物学、細胞生理学、生物物理学、神経解
剖学、神経生理学、神経発生学、感覚情報生理学、
認知行動学、病態生理学等広範な生理学分野及び
関連分野において、ヒト及び動物の生体の機能と
メカニズムを解明するため、世界的に高水準な研
究を展開し、その基盤を強化するとともに、全国
の関連研究者との共同研究等により研究拠点とし
ての機能を一層強化する。
【66】
【66-1】
① 非侵襲的計測技術及び遺伝子改 ① 機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)や脳磁
変技術を含めた方法を用い、個体
計等の脳イメージング技術を用いて、霊長類の
の認知・行動機能や生体恒常性維
高次脳機能の発達や機能代償に関わる研究及び
持機構の発達・適応過程の研究を
ヒトの社会的認知能力(social cognition)や
行う。
言語習得に関わる研究を進める。霊長類遺伝子
改変技術の開発を進める。
【67】
【67-1】
② 生命現象を担うナノスケールの ② 位相差電子顕微鏡の高度化として、蛋白質、
分子複合体(超分子)の構造と機
オルガネラ等の立体構造解析を可能とする位相
能を解析する研究を進める。
差低温トモグラフィーを開発する。バイオ分子
センサー等の生体分子の機能及びそれらの脂質
等による修飾に関する研究を進める。
-
81
-
【65~69】
(生理学研究所)
生理学(医科学、基礎医学)の幅広い研究分野において、以下に示す
ように基盤的学術研究を展開し、痒み認知の脳活動、視床下部オレキシ
ンによる糖代謝調節、ミクログリアによるシナプス監視機構等の多くの
研究成果を上げた。
機能的磁気共鳴画像と脳磁図を用いて痒み認知時の脳活動を詳細に記
録し、痒み認知は痛み認知と類似の脳活動を示すが、頭頂葉後部にある
楔前部が痒み認知時に特別に活動する事を明らかにした。社会的報酬に
より生じる脳活動には、線条体を含む報酬系と内側前頭前野の相互作用
が関与していることを、機能的MRIにより明らかにした。ニホンザルで脊
髄損傷の機能的代償として生じる大脳皮質の変化を分子生物学的に解析
し、軸索の伸長とシナプス形成に関与することが知られているGAP43
(growth-associated protein 43)の発現が上昇することを示した。カ
ルシウム・カルモジュリン依存性タンパクキナーゼII(CaMKII)の酵素
活性をなくす遺伝子改変により、細胞から行動に至るすべてのレベルで
学習や記憶が、CaMKIIノックアウトマウスよりもより著明に障害される
ことを示した。その他多くの遺伝子改変マウスを用いて、神経機能の解
析等を行った。ウイルスベクターを用いたニホンザル等の霊長類への遺
伝子導入を開始した。
【ポイント:A-①】
位相差電子顕微鏡を用いて脳組織を観察し、無染色標本でシナプス内
超微小形態が観察可能であることを示した。蛍光タンパク質の中で最も
自然科学研究機構
【68】
【68-1】
③ 分子・細胞のレベルで得られた ③ 生体恒常性維持機能及びその発達、
破綻による
生体の働きと仕組みに関する知見
病態等の分子・細胞メカニズムに関する基盤的
を器官・個体レベルの機能として
研究を進める。
統合し、それらをシステムとして
理解する研究を進める。
【69】
【69-1】
④ 神経細胞や神経回路網の研究か ④ 大脳皮質、大脳基底核、視床、脳幹、脊髄等
ら認知・行動などの高次脳機能の
における神経回路の機能、グリアの働き等を、
解明や心のメカニズムの解明に迫
多面的に解析する。てんかん、大脳基底核疾患、
るとともに、脳神経疾患における
大脳皮質損傷等の神経疾患モデル動物の病態解
病態解明のための基礎的研究を進
析を進める。
める。
-
82
-
波長の短い蛍光を発する群青色蛍光タンパク質を開発した。また細胞周
期をマークする蛍光プローブFucciを開発し、発生途上のゼブラフィッシ
ュ胚の個々の細胞の細胞周期を追跡することに成功した。ATP受容体チャ
ネルP2X2の膜電位依存性の分子メカニズムを明らかにした。
【ポイント:A-①】
アストロサイトからのグルタミン酸放出通路が容積感受性外向整流性
アニオンチャネルであることを同定した。パルミトイル化酵素群による
シナプス伝達の制御機構の一端を解明した。樹状突起に局在するパルミ
トイル化酵素DHHC2が神経活動を感知してAMPA受容体の恒常性維持を制
御していることを見出した。膀胱移行上皮に発現するTRPV4チャネルが伸
展を感知するセンサーであることを見いだした。皮膚の温度感知は、表
皮ケラチノサイトに発現するTRPV3とTRPV4がセンサーとして機能し、そ
の情報をATPを介して感覚神経に伝達して行われることを示した。視床下
部オレキシン神経細胞が、味覚刺激とそれに伴う動機づけ行動によって
活性化し、骨格筋でのグルコース利用を促進することを明らかにした。
レプチンが視床下部腹内側核に作用を及ぼし、メラノコルチン経路を活
性化することによって末梢組織でのグルコース利用を促進することを明
らかにした。
【ポイント:A-①】
外側膝状体の興奮性シナプスで、網膜からの入力と大脳皮質からの入
力でグルタミン酸受容体の数と密度が異なることを見出した。大脳皮質
のガンマ振動が、パルブアルブミン陽性抑制性神経細胞のセロトニン受
容体を介して調節される可能性を明らかにした。サルに機能的MRIを用い
てニホンザル下側頭皮質における色情報の局在を明らかにすることに成
功した。下側頭皮質後部のニューロンの色選択性のマッピングを行い、
後側頭溝の周辺に鋭い色選択性を持つニューロンが固まって存在する領
域が存在することを見出した。サル後部頭頂皮質ニューロンが離散的な
要素をつなぎ合わせる視覚的グルーピングに関係していることを見出し
た。ミクログリアによる正常脳および障害脳におけるシナプス監視機構
とシナプス再編への関与を多光子励起顕微鏡により生体で明らかにし
た。ヒトてんかん関連タンパク質LGI1の欠損マウスで、てんかん発作を
再現した。更に、LGI1の受容体としてADAM22、ADAM23を同定し、LGI1欠
自然科学研究機構
損マウスにおいてこれら受容体が脱局在化してAMPA受容体機能が低下す
ることを見出した。髄鞘タンパク質plp1遺伝子改変マウスで、オリゴデ
ンドロサイトの異常が伝導速度の低下及び多様な認知障害に至ることを
示した。大脳皮質脳梗塞モデルマウスにおいて、障害部位と対側の半球
の相同部位が障害機能の代償機能を獲得する過程を神経回路レベルで解
明した。
【ポイント:A-①】
【70】
(分子科学研究所)
分子科学分野において、光・X線・
電子線・磁場等の外場、極低温等を
利用する最先端の物理化学的方法、
分子物質の設計・合成手法、超高速
計算機による理論シミュレーション
等を駆使し、分子及び分子集合体の
構造・機能等に関する実験研究並び
に理論研究を行う。
【70-1】
(分子科学研究所)
分子科学分野において、X 線から電波に及ぶ広い
波長範囲の電磁波、電子線、磁場等の外場、極低
温等を利用する最先端の物理化学的実験法、分子
物質の設計・合成手法、理論的手法や超高速計算機
によるシミュレーション等を駆使し、分子及び分
子集合体の構造・機能とダイナミクス、生体機能の
解明等に関する実験研究並びに理論研究を行う。
【71】
【71-1】
① 化学反応や分子物性を支配する ① 理論・計算分子科学研究領域を中心に理論分
普遍的な因子を理論的に解明し、
子科学の研究を展開する。特に、量子化学計算
反応予測や新物性の設計を可能と
の高速化と高精度化による機能性分子の開発、
する分子理論を構築する。
散逸系量子ダイナミクス、凝縮系のダイナミク
スの解析、電子状態の理論、液体統計力学理論
と蛋白質計算、光誘起非平衡協力現象などの研
究を更に展開していく。また、3D-RISM/RISM 理
論と一般化ランジェヴァン理論を組み合わせ
て、溶媒の揺らぎに相関した蛋白質の構造ダイ
ナミクスを記述する理論構築に着手する。
【72】
【72-1】
② 精緻で高度な分子分光法を発展 ② 光分子科学研究領域、物質分子科学研究領域、
させ、分子や分子集合体の状態評
生命・錯体分子科学研究領域の連携によって、表
価手法としての確立を図る。併せ
面やナノ物質の光学的性質と励起状態の性質と
-
83
-
【70~75】
(分子科学研究所)
分子科学分野において、X線から電波に及ぶ電磁波、電子線、磁場等
の外場、極低温等を利用する物理化学的計測法、分子物質の設計・合成
手法、理論及び超高速計算機によるシミュレーション等を駆使し、分子
及び分子集合体の構造・機能・ダイナミクス、更には生体機能等に関す
る実験・理論研究を行い、以下の各分野において質の高い成果を上げた。
理論・計算分子科学研究領域が中心になって、量子化学計算の並列高
速化と新しい理論に基づく高精度化による機能性ナノ分子の開発、ナノ
構造体の近接場光局所電子ダイナミクスの理論的解明を進めた。また、
液体統計力学理論に基づくM2チャネルのプロトン透過機構の解明、多時
間相関関数による凝縮系の不均一ダイナミクスの解析を行った。また
3D-RISM/RISM理論と一般化ランジュヴァン理論を用いて蛋白質の構造ダ
イナミクスを扱う理論構築を開始した。有機導体を光照射して相転移す
るか否かの電子格子状態からの解明、新しい内核電子分光の提案、共役
有機・金属分子の計算の多参照電子状態理論の開発などを進めた。
【ポイント:A-②】
光分子科学研究領域、物質分子科学研究領域、生命・錯体分子科学研
究領域の連携によって、様々な分子物質、ナノ物質や表面の機能と動的
過程の解明、及び制御のための、分光法・顕微鏡法、光制御法の更なる
高度化を進めた。例えば分子の回転運動の光制御の新手法の開発等に成
功したほか、紫外光電子磁気円二色性に基づく顕微観測手法の開発では
2光子観測に世界で初めて成功し、その有効性が示された。また、それ
らの利用研究として、シャペロニンGroEL/GroES複合体の核磁気共鳴
(NMR)分光解析による複合蛋白分子の構造解明、金属錯体の1光子励起
自然科学研究機構
て、実用的な物性評価装置、計測
装置を提案する。
【73】
③ 分光学や光化学反応の光源とし
て、新しいレーザーの開発及び放
射光による極端紫外光源の開発を
行い、さらに化学反応動力学や新
物質創成等の利用研究を推進す
る。
【74】
④ 新しい機能を有する分子、ナノ
スケール分子素子、分子性固体等
を開発し、物質開発の指針を確立
するための物性研究を行う。
【75】
⑤ 実験では解明不可能な化学現
象・物理現象の根元的な理解を深
めるため、理論及びコンピュータ
シミュレーションによる研究を進
める。
機能を解明・制御する基礎的実験手法の高度化 による2電子還元及びその繰り返しによる4、6電子還元反応の一般的
と利用を進める。また、金属蛋白質を含む各種 経路の開拓等で大きな進展があった。またシリコンをベースとしたイオ
蛋白質の機能と構造との相関の解明、バイオセ ンチャンネルバイオセンサーの開発を進めた。
ンサーの効率化を目指した研究を行う。
【ポイント:A-②】
光分子科学研究領域が中心になって、分子制御レーザー開発研究セン
【73-1】
③ 光分子科学研究領域を中心として、分子制御 ター、極端紫外光研究施設と連携し、エクストリーム・フォトニクス連
レーザー開発研究センター、極端紫外光研究施 携事業を軸とした研究を進めた。その結果、レーザー光源開発、近接場
設と連携し、波長域、パルス性、エネルギー等 顕微鏡や表面和周波発生顕微分光法の応用研究、コヒーレント分子制御、
において特徴ある光源の開発を引き続き進め 分子量子情報処理、レーザー高次高調波を用いた深紫外フェムト・アト
る。また、分子のコヒーレンス及びダイナミク 秒分光法の開拓等の研究が更に進展した。また、極端紫外光研究施設で
スの観測制御法や高分解能光電子分光法の様々 は、自由電子レーザーの短波長化の研究、コヒーレント光の波長制御・
な分子系への応用などの研究を引き続き進め 高出力化の研究、高分解能極端紫外・軟X線分光法による有機薄膜、太
陽電池、水溶液、分子クラスター、気相反応、超伝導体の局所状態解析
る。
等の研究が進展した。
【74-1】
【ポイント:A-②、③】
④ 物質分子科学研究領域、生命・錯体分子科学
物質分子科学研究領域が主体となって、新規な高性能n-型有機半導体
研究領域を中心に、有機半導体太陽電池の一層
の開発、光・電子機能性共有結合性2次元・3次元有機構造体の世界に
の効率化、新規な機能性有機構造体及び有機強
誘電体の開発、光合成モデル分子の光反応高効 先駆けての創出、新規な超高速応答性の強誘電体の開発、キラリティを
率化、新規な金属/炭素ナノ構造体を用いた機 持つバッキーボウルの世界初の合成など、新たな機能性物質の開拓に成
能性材料の開発、水中特異的有機合成反応の開 功した。グラフェン壁を持つ革新的多孔性炭素材料の2次電池への応用
発、物質変換に伴って起こるエネルギー変換反 に成功するなど、応用に繫がる顕著な成果をも上げた。また、一次元有
応の開発を目指した錯体触媒の開発等を目標に 機導体では異常超伝導相を見いだした。生命・錯体分子科学研究領域が
主体となって、両親媒性金属錯体の自己集積化とマイクロフロー反応場
研究を進める。
の構築による超高速の有機合成系への展開を進めた。また、窒素循環サ
【75-1】
⑤ 理論・計算分子科学研究領域、計算科学研究 イクルの脱窒反応を担う亜硝酸還元酵素の反応活性種モデル錯体の合成
センターを中心に、量子化学、分子動力学法、 と反応性の解明により脱窒過程の制御に成功したほか、化学エネルギー
RISM 法等に対する超並列計算アルゴリズムや計 変換能を持つ錯体の合成とその反応性制御等に成功した。
【ポイント:A-②】
算プログラムの開発等、これまで不可能であっ
理論・計算分子科学研究領域と計算科学研究センターが中心になって、
た巨大計算を実現するためのソフトウエアの高
量子化学、分子動力学法、RISM法の超並列計算アルゴリズムや計算プロ
度化を更に推し進め、巨大系や複雑系、複合系
グラムの開発や高度化を更に進め、電子励起状態の高精度計算、タンパ
に対する分子科学研究を引き続き行う。
ク質、脂質膜などの巨大分子系や複雑系・複合分子系に対する分子科学
-
84
-
自然科学研究機構
研究を引き続き展開した。
【ポイント:A-②】
-
85
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(1) 研究に関する目標
② 研究実施体制等の整備に関する目標
中 期 目 標
先端的で創造的な学術研究を持続的に可能とする研究体制を構築する。また十分な研究支援体制の確保に努める。
研究水準を向上させるため、外部評価を定期的に行い、その結果に基づき、研究者の適切な再配置と研究環境の改善を行う。
知的財産の創出、取得、管理、活用に関する体制を整備する。
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【76】
【76-1】
① 本機構に研究連携委員会及び研 ① 研究連携委員会及び研究連携室において、研
究連携室を設置して、研究所等の
究所等間の研究連携及び研究交流の促進を図
間の研究連携並びに研究交流の促
る。また、研究連携室の主導で、機構内分野間
進を図る。
の連携による新分野形成に向けた活動を実施す
るとともに、これまでの進展状況の検証を行い、
引き続き活動の強化を図る。
【77】
【77-1】
② 本機構知的財産委員会を中心に ② 引き続き、知的財産委員会において、知的財
知的財産の創出・取得・管理・活
産の創出・取得・管理・活用を積極的に行う。
用を積極的に行うため、システム
を整備し、効果的な活用を促進す
る。
【78】
【78-1】
③ 各研究所等は、定期的に自己点 ③ 各研究所等は、引き続き自己点検、外部評価
検及び外部評価を行い、その結果
を実施し、研究の質の向上に努める。
に基づき、研究の質の向上に努め
るとともに適正な研究実施体制等
-
86
-
【76~81】
分野間の連携による学際的・国際的研究拠点形成のため、分野間連携
プロジェクト(国際的基礎生物学研究拠点形成、新 4 次元可視化技術に
よる科学の普及、他 15 件)に、総額 499 百万円を措置し、実施した。
実施した新分野創成型連携プロジェクトについては、外部評価者を含
む研究成果報告会を開催し、その評価結果を今後のプロジェクトの実施
に活用した。
また、機構長のリーダーシップにより国際的研究拠点形成の第一歩と
して締結した、欧州分子生物学研究所(EMBL)との学術交流協定に基づ
き、基礎生物学研究所において、EMBL との合同シンポジウムを開催した
ほか、改良型 DSLM(デジタル走査式平面照射顕微鏡)の開発に着手した。
自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体化するため
に、「ブレインサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究
分野」の2つの新たな研究分野の研究を行うことを目的とした、「新分
野創成センター」を設置し、研究連携活動を推進した。
知的財産委員会を開催し、知的財産の適切な管理等を行った。また、
教職員を対象に知的財産に関する意識の高揚及び知識の啓発を目的とし
て、知的財産の諸問題を内容とした「知的財産セミナー」等を行った。
自然科学研究機構
の整備を図る。
【79】
④ 適切なポストドクトラル・フェ
ローシップの構築を検討する。ま
た、研究支援を行うスタッフの充
実と資質の向上を図る。
【80】
⑤ 他研究機関、大学、企業との研
究者の交流を促進するための研究
部門の充実を図る。
【81】
⑥ 本機構内の共通施設、センター
との兼担制度を設け、境界領域の
分野の発展を促す。
各機関において、自己点検及び外部評価を実施し、運営会議等に諮り
審議した。その審議結果を研究実施体制等に反映させるなど、研究の質
【79-1】
④ 各研究所等は、ポストドクトラル・フェロー の向上に努めた。
国立天文台では、研究計画委員会において例年行う自己点検評価のほ
シップを維持して、引き続き若手研究者の育成
か、平成
19 年度に実施した分野別国際外部評価の結果を受け、全台を総
に努める。分子科学研究所では、新たなポスト
ドクトラル・フェロー制度の運用を開始する。 合した国際外部評価を実施した。
核融合科学研究所では、運営会議外部評価委員会において、核融合工
【80-1】
学研究及び安全管理を評価対象とした外部評価を実施し、その評価結果
⑤ 他研究機関、大学、企業との研究者交流等の
促進のため、分野間連携に係るシンポジウム等、 を今後の改善に役立てることとした。
基礎生物学研究所では、運営委員に外部有識者を加えた評価者によっ
引き続き広く開放された研究会等を企画・実施
て、研究所の体制、研究活動、共同利用、国際連携、大学院生教育につ
する。
いて書面及び評価会議による評価を行い、今後の改善に役立てることと
【81-1】
⑥ 各分野間の連携を目指して、岡崎統合バイオ した。
生理学研究所では、例年の研究所活動の自己点検と研究部門の外部評
サイエンスセンターでは、生体分子研究、生体
発生研究、神経系研究などを中心に統合バイオ 価に加えて、第1期中期目標・中期計画期間全体の研究所活動の外部評
サイエンスを発展させるとともに、各研究所間 価を行い、点検評価報告書としてまとめ公表した。
分子科学研究所では、各研究領域・施設において自己点検を実施し、
及び他研究機関との研究連携を引き続き強化す
また、外国人顧問による研究所全体の運営に関するヒアリングを実施し、
る。
その結果を評価報告書(分子研リポート)として取りまとめ公表した。
【81-2】
これらに基づき運営会議等において議論し、今後の体制整備に資するこ
⑦ 機構内外の研究者コミュニティの連携と協力
ととした。
により、新分野の創成を図るため、新分野創成
各機関において、ポストドクトラル・フェローを採用(計 283 人)し、
センターを設置し、ブレインサイエンス研究分
若手研究者の育成に努めた。更に、若手研究者のキャリアパス教育とし
野、及びイメージングサイエンス研究分野の研
て、外部から講師を招きキャリアセミナーを開催した。
究連携を強化する。
分子科学研究所では、機関独自のポストドクトラル・フェロー制度(IMS
フェロー)を、各研究グループの判断で随時に IMS フェローを雇用でき
るようにするとともに、分子科学研究所特別研究員(特任助教の称号付
与)の制度を新たに設け、平成 21 年度から新制度の運用を開始した。
分野間連携に係るシンポジウム「自然科学における階層と全体」や研
究会を実施し、他機関の研究者との学術交流を図った。
核融合科学研究所では、内閣府主催第8回産学官連携推進会議、科学
振興機構・NEDO 主催イノベーションジャパン 2009 等にブースを出展し、
-
87
-
自然科学研究機構
核融合研究で生まれる技術の工業応用など社会的ニーズに応える活動を
積極的に推進した。
基礎生物学研究所では、バイオイメージングに関連して大学・研究所
所属の研究者と企業の研究者が率直な情報・意見交換をするためのバイ
オイメージングフォーラムの第4回を平成 21 年 10 月 1~2 日に開催した。
生理学研究所では、名古屋大学環境医学研究所との合同セミナーを継
続して開催した。また韓国 Korea 大学および Yonsei 大学との合同シンポ
ジウムをソウルで開催し、生理学研究所より大学院生9名を含む 21 名が
参加した。
分子科学研究所では、豊田中央研究所との交流・共同研究を推進する
ために、双方の研究所における研究活動に関する情報交換を効率的に推
進するための研究交流会を開催し、共同研究を一部開始すると同時に本
格的に行う準備をした。
岡崎統合バイオサイエンスセンターと大阪大学蛋白質研究所との連携
研究を昨年度に引き続き実施し、膜蛋白質の構造と機能に関する最先端
の成果を得た。また、「先端的蛋白質科学研究の国際シンポジウム」を
大阪大学蛋白質研究所と共同開催し、国際的な研究交流を行った。
各分野の特記事項を以下に示す。
各分野の特記事項を以下に示す。
【82】
【82-1】
(国立天文台)
(国立天文台)
① プロジェクト研究の推進に関し ① プロジェクト研究の推進に関して適切な責任
ては、従来の研究系等にとらわれ
と計画性を発揮できる体制としての、プロジェ
ない適切な責任と計画性を発揮で
クト室等の充実を図る。
きる体制を導入する。
【83】
【83-1】
② プロジェクトの立ち上げ・廃止、 ② プロジェクト室等の外部評価を実施する。具
研究経費・人材等リソースの配分
体的には、プロジェクト室等の成果発表会を開
に関しては、評価に基づいて企画
催して、計画の進捗状況を自己点検するととも
調整する体制を確立する。
に、外部委員も含む研究計画委員会により評価
を行う。また、財務委員会により、プロジェク
トの研究計画の妥当性、進捗状況等を審査して
予算配分を行う。
-
88
-
【82~84】
(国立天文台)
【82-1】
国立天文台では、研究計画委員会等での評価検討に基づき、地上から
のVLBI観測を行う水沢VERA観測所と、スペースからのVLBI観測を目指す
VSOP-2推進室を、水沢VLBI観測所として統合し、人材・資源の有効活用
を図った。RISE月探査プロジェクトのもとにサブプロジェクトとして月
惑星探査検討室を設けた。
太陽観測所・乗鞍コロナ観測所は閉所し、野辺山太陽電波観測所・電
波ヘリオグラフは5年を限度に運用することとした。
次期太陽観測衛星計画を検討するため、ひので科学プロジェクトのサ
ブプロジェクトであるSolar-C検討室は、ISAS/JAXA並びに新設された
JSPECのワーキンググループと密接な連携のもとに活動を発展させた。ひ
ので衛星により取得された科学データを蓄積・即時公開しつつ、観測結
果の速報システムを充実させ、ひので衛星と他の太陽観測衛星や地上設
自然科学研究機構
【84】
【84-1】
備との国際共同観測、共同研究を推進した。共同研究の参加者数はアジ
③ 基盤研究や個人の自由な発想に ③ 基盤的研究や個人の自由な発想に基づく研究 アの研究者を主体に増加している。
基づく研究体制を整備する。
を推進する体制の充実を引き続き図る。
【83-1】
平成21年12月にプロジェクト室等の成果報告会と平成22年度活動・予
算計画発表を兼ねたプロジェクト・ウィークを開催し、計画の進捗状況
を報告して自己点検を行うほか、外部委員を含む研究計画委員会により
評価を行い、また、平成22年度の予算案概要について審議した。予算案
の詳細は財務委員会の下に設置された財務タスクフォースによるプロジ
ェクト個別ヒアリングを経て、平成22年1月の財務委員会で決定した。
台内での公募による競争的研究費・環境整備費の配分は平成22年3月に
決定した。
【84-1】
引き続き、光赤外、電波、太陽天体プラズマ、理論の4研究部におい
て、研究者の自由な発想に基づく個人研究及び小規模グループ研究が確
実に推進できるように、一定額の基盤的研究費を保証するとともに、台
内において平成22年度の競争的研究経費を公募し、審査の上で配分した
(平成22年3月)。
【85】
【85-1】
(核融合科学研究所)
(核融合科学研究所)
① 集約的研究成果を生み出すため ① 中期計画を確実に遂行するため、炉工学研究
に、柔軟かつ有機的な運営が可能
などの組織において更なる研究体制の充実を図
な組織を目指し、これまでの研究
る。
系やセンターの機能を見直して新
たな組織改編を行う。
【86】
【86-1】
② 大学等との連携協力体制の強化 ② 大学等との連携協力体制の強化に加え、大学
に加え、大学等における研究への
等における研究への支援体制を強化する。特に
支援体制を強化する。
私立大学との連携協力体制の強化を図る。また、
本機構内の連携研究と産業界との共同研究の促
進、研究支援体制の強化を図り、今後の展開に
対応できるよう円滑な運用を行う。
【87】
【87-1】
-
89
-
【85~88】
(核融合科学研究所)
【85-1】
工学分野の組織改変を視野に置き、運営会議の下に外部評価委員会を
設置して、研究所で行われている工学研究全体に関する外部評価を実施
した。その結果、核融合工学を統括的に進める組織の必要性が提言され、
同時期に行われた次期中期計画に向けた組織改編の議論に反映された。
【ポイント:A-①】
【86-1】
新たに名古屋工業大学及び日本原子力研究開発機構と連携協力の推進
に関する協定を締結し、大学等における研究への支援体制を更に強化し
た。
【ポイント:A-①】
【87-1】
連携研究推進センター学術連携研究室レーザー連携研究部門は、双方
自然科学研究機構
③
超高密度プラズマ等の学術基盤 ③ 慣性核融合研究分野での連携協力を進めるた
の発展を図るために、慣性核融合
め、以下のとおり実施する。
研究分野での連携協力を進める。
1.大阪大学レーザーエネルギー学研究センター
と共同で、レーザー核融合の連結階層シミュレ
ーション研究を継続する。
2.大阪大学レーザーエネルギー学研究センター
と共同で高速点火実験用クライオターゲット
の研究開発を推進し、FIREX―I計画での
使用を確実にする。
【88】
【88-1】
④ 国際共同研究を推進するための ④ 連携研究推進センター学術連携研究室国際連
研究支援体制を作る。
携研究部門を中心に国際共同研究支援を行う。
インドその他の発展途上国との研究者交流な
ど、新しい国際連携を目指した活動を開始する。
【89】
【89-1】
(基礎生物学研究所)
(基礎生物学研究所)
① 柔軟な研究組織への改編を行う ① 研究グループ間の交流を促進するため、所内
ことにより、自由な発想から生ま
のセミナーと連動した交流会を開催する等、所
れる研究や研究グループ間の共同
員交流室(インターラクションルーム)を効果
研究を促進する。
的に運用する。
【90】
【90-1】
② 基盤研究の大きな発展を逃さ ② 著しい進展が期待される研究部門に対し、所
ず、重点的な人材や研究資金の配
長のリーダーシップにより、非常勤研究員の配
分を行う。
置や傾斜的な経費・研究スペースの配分を行う
など、特に配慮した支援を行う。
【91】
【91-1】
③ 国内外の研究者を組織して継続 ③ 萌芽的な研究テーマについて、基礎生物学研
した研究会を開催し、萌芽的な学
究所研究会などを年に数回開催して、研究者間
術研究を推進する。
の情報交換、共同研究を推進する。
【92】
【92-1】
-
90
-
向型共同研究等により大阪大学レーザーエネルギー学研究センターとの
共同研究を推進した。具体的には、統合シミュレーションにより、平成
21 年度から開始された FIREX-I 統合実験結果の解析を行った。この結果、
加熱用レーザーのプリパルスの存在が、加熱効率の低下に重大な影響を
与えていることがわかった。また、クライオターゲットの開発について
は、外部熱源を用いる新しい燃料層形成手法の研究を重点的に行った。
この結果、ターゲット内温度分布の精密制御に成功し、直径2mm のシェ
ル内にほぼ均一な燃料層を形成することができた。
【ポイント:A-①】
【88-1】
学術連携研究室の主導の下に ITER を始めとする国際共同研究を推進し
た。東アジアの中で既に学術交流協定を締結している韓国、中国からの
来訪者は 1,733 名であり、従来からの幅広い研究分野において共同研究
を実施した。インドからの来訪者は6名にのぼり、ITER・超伝導、高周
波加熱、エネルギー・環境の分野において共同研究を推進した。
【ポイント:A-②】
【89~92】
(基礎生物学研究所)
若手教員連絡会が中心となって、所外の有識者を招聘して開催する「基
生研セミナー」、新任教員紹介のためのセミナー等において所員交流室
(インターラクションルーム)及び研究交流室を用いた交流会を併催し、
研究グループ間の交流を促進した。
【ポイント:A-③】
若手研究者の要望を積極的に取り入れ、研究設備を計画的に充実させ
た。また、著しい発展が期待される研究部門、研究室に対して重点的な
研究スペースの配分を行った。
【ポイント:A-④】
「大脳皮質の構成と機能発現」「マウス初期発生の基本メカニズム」
「植物器官発生を制御する細胞間シグナル分子」を標題とした基礎生物
学研究所研究会を開催し、研究者間の情報交流を推進した。
【ポイント:A-③】
欧州生物学研究所(EMBL)との共同研究の一環として、第9回合同シ
自然科学研究機構
④
共同研究事業を見直し、国内及 ④ EMBL(欧州分子生物学研究所)との共同研究 ンポジウム「機能イメージング」を開催し、加えてEMBLでの学生シンポ
び国際的な共同研究を拡充するこ
事業の一環として国際シンポジウム開催並びに ジウムに大学院生を派遣した。
とによって生物学の知の拠点形成
EMBL 及び総合研究大学院大学所属の大学院生間
【ポイント:A-③】
を目指す。
の交流を行う。
【93】
【93-1】
(生理学研究所)
(生理学研究所)
① 基盤研究の育成に定常的に力を ① 新領域開拓を目指す討論の場として生理学研
注ぐとともに、大きく展開し始め
究所研究会等を開催する。顕著な成果を上げた
た研究分野には、短期集中的な取
若手研究者に、研究推進のための支援を行う。
組を行う。
多次元共同脳科学推進センターにおいて世界の
研究動向を調査するとともに、他分野との連携
によるブレインマシンインターフェースの基礎
的研究及び霊長類遺伝子改変技術の開発を行
う。
【93-2】
② 発展が期待される研究テーマを、広く公募し
て一般共同研究として設定するとともに、重要
と考えられる領域には計画共同研究を設定す
る。「バイオ分子センサー」事業を強力に推進
し、その成果を発信する。
【94】
【94-1】
② 新たな研究領域の開拓のために ③ 客員部門を活用してサバティカル制度等を利
組織体制の再編成を図り、弾力的
用する研究者を受け入れる体制を整備する。行
な運用を行うとともに、必要な研
動・代謝分子解析センターの充実を継続して行
究教育・技術職員の充実を図る。
う。
-
91
-
【93~94】
(生理学研究所)
生理科学の諸分野のテーマに関して、公募で採択された生理学研究所
研究会を25件開催し、延べ1,450名が参加した。また、研究会の国際版で
ある国際研究集会を1件開催し、188名の参加者があった。
第40回生理研国際シンポジウム「PAT-CVR国際合同シンポジウム:アニ
オン輸送と細胞容積調節」を開催し、52名の国外シンポジストを含む約
200名の参加者があった。
多次元共同脳科学推進センターでは、20年後の脳科学の将来を論じる
ブレインストーミングを開催するとともに、脳科学以外の領域の若手研
究者に基本的な脳科学の知識を提供する「多次元トレーニング&レクチ
ャー:運動制御回路の構造と機能」を開催した。
若手研究者の支援に申請を審査の上、15件合計10,546千円を配分した
他、バイオ分子センサー関連の業績が顕著な若手研究者からの申請に対
して審査の上、9件合計5,844千円の研究費支援を行った。また、女性研
究者へ研究費18件合計13,800千円の特別配分を行った。
【ポイント:A-①】
一般共同研究37件、計画共同研究37件を行った。計画共同研究として
今年度より新たに「マウス・ラットの行動様式解析」を開始した。また、
超高圧電子顕微鏡利用実験14件、磁気共鳴装置共同利用実験16件、生体
磁気計測共同利用実験7件を実施した。
また、機構内連携としてバイオ分子センサーの学際的・融合的研究を
推進するとともに、5年間を総括するシンポジウムを開催した。
【ポイント:A-①】
行動・代謝分子解析センター行動様式解析室の設備が整い、本格的な
稼動を開始し、また、計画共同研究を受け入れた。
サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同利用研究を行う研究者
自然科学研究機構
を客員教授、客員准教授又は客員助教として受け入れる流動連携研究室
を多次元共同脳科学推進センターに新設し、長期滞在型の共同研究を開
始した。
【95】
【95-1】
(分子科学研究所)
(分子科学研究所)
① 大学との連携を基に一定期間、 ① 特定の客員研究部門に限らず、いずれの部門
分子科学研究所の一員として研究
においても、必要に応じて長期滞在型の共同研
に専念できる制度の構築に努め
究に対応できるように、共同研究費、スペース
る。
等の配分を可能とする体制を整備する。
【96】
【96-1】
② 研究系と施設が適切に連携した ② 各研究領域内での協力体制と領域間の連携体
柔軟性ある組織に再編・整備する
制の強化を一層進める。特にレーザー及び放射
とともに、研究成果を上げるため、 光を活用した新しい光分子科学の開拓を引き続
研究設備の利用促進と整備を行
き推進する。超高磁場NMRの高度化に向けた
う。
装置開発研究、生物物理化学上の諸問題を解明
するための計算分子科学、分子科学研究推進の
ための様々な装置開発等において、施設の利用
促進を行うとともに、大学共同利用機関として
様々な形態での大学との相互の協力関係を強化
する。
-
92
-
【95~96】
(分子科学研究所)
専任的客員部門として運用した先導分子科学研究部門における核磁気
共鳴(NMR)装置利用研究は、現在、岡崎統合バイオサイエンスセンター
兼務の教授2名が他大学(名古屋大学・名古屋市立大学等)の研究者と
の共同研究として発展的に継続し、また、物質分子科学研究領域の准教
授が京都大学や横浜国立大学等と共同で固体 NMR 用の精密温度制御装置
開発の検討を行うなど、新しい研究対象の開拓を行っている。これを一
つのモデルケースとして、研究所として今後の専任的客員部門の運用方
法についての検討を継続している。
【ポイント:A-①、②、③、B-①】
各研究領域と関連研究施設が密に連携した体制の実質的な運用を引き
続き強化した。その結果、高度な分子理論と大規模計算の融合、レーザ
ーの特性を有する放射光の開発研究、超高磁場NMRの高度化に向けた開発
等において、共同研究や装置の共同運用が進んだ。特に超高磁場NMRでは
共同利用運用時間を大幅に拡大した。
【ポイント:A-②、③】
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(2) 共同利用等に関する目標
① 共同利用等の内容・水準に関する目標
中 期 目 標
本機構は、各専門分野に関して研究活動の充実を図るとともに、国内外の研究者との共同利用・共同研究を一層推進する。
大学の当該分野の中核的組織として、各種情報の提供、ネットワークの要としての役割を果たす。
研究者コミュニティに開かれた体制の下に資源配分を行い、様々な研究情報を提供して、共同利用・共同研究の活性化を図る。
国際的レベルの研究水準を維持し、先端的研究・開発を達成する。
高速ネットワークを利用した共同研究の実施について積極的に検討を行う。
国立天文台は、米国に設置されたハワイ観測所においても、共同利用を円滑に実施する。
①
②
③
④
⑤
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【97】
【97-1】
① 各専 門分 野 にお ける 共 同利 ① 引き続き、共同利用・共同研究(以下「共同利
用・共同研究の内容や水準を向
用等」という。)の内容や水準を向上させるため
上させるための基本的方策を策
の基本的方策(募集の内容、周知の方法、フィー
定し、具体的運営に関して、運
ドバックシステムを含む)を策定し、具体的運営
営会議に諮り審議する。
に関して、運営会議に諮りつつ推進する。
【98】
【98-1】
② 各専門分野において成果を上 ② 大型の装置や施設を活用した共同利用等を推進
げるため、本機構の所有する特
する。また、共同研究の相手方機関の設備・研究
徴ある大型装置や大型施設を活
環境も活用できるよう、必要に応じて本機構研究
用した共同利用・共同研究を推
者を派遣する等、引き続き双方向性のある研究体
進する。また、共同研究の相手
制の整備を進め、実施する。
方機関の設備・研究環境も活用
できるよう、必要に応じて本機
構研究者を派遣する等、双方向
性のある研究体制を整備する。
【99】
【99-1】
③ 共同利用公募を行い、利用者 ③ 引き続き、共同利用公募に関して、必要分野ご
-
93
-
【97~105】
引き続き、共同利用・共同研究の内容や水準を向上させるための基本
的方策(募集の内容、周知の方法、フィードバックシステムを含む)を
検討・実施し、具体的運営に関して、運営会議に諮り、各機関に置かれ
た専門委員会等で推進した。その結果、平成16年度比で約21%増加の
6,658人の共同研究者を受け入れ、高い水準の共同利用・共同研究を行っ
た。
【ポイント:A-①】
大型装置や大型施設を活用した共同利用・共同研究を推進するため、
公募、審査、報告のスケジュール及び募集要項等を、研究者向けのメー
リング・リスト、Webページなどを活用して研究者コミュニティに周知し
た。
また、双方向型共同研究を推進し、研究機関が連携して機器の更なる
有効活用を図るため、委員会委員による参画機関の研究環境視察を開始
した。
国立天文台・先端技術センターでは、共同利用の受け入れを共同開発
研究と施設利用に分け、共同開発研究の推進体制を強化した。
分子科学研究所では、高度化した極端紫外光研究施設(UVSOR)の共同
自然科学研究機構
の代表を含む委員会で、審査に
よりテーマを採択する。共同利
用・共同研究の運用全般につい
て外部委員を含む委員会で検証
し、検証結果を運用に反映させ
る。
との審査委員会の審査によりテーマを採択する。
共同利用等の運用全般については、外部委員を含
む委員会で検証し、今後の運用に反映させる。
利用、ナノネットを通じた920MHz核磁気共鳴(NMR)装置や高分解能分析
電子顕微鏡ほかの共同利用が一段と活性化した。また、化学系研究設備
有効活用ネットワークを通した他大学の研究設備の利用も増加してい
る。
【ポイント:A-①、③、B-①】
各機関において、公平性・透明性を図るために外部委員を含む専門委
員会又は共同研究委員会等において、研究分野ごとの共同利用・共同研
【100】
【100-1】
④ 我が国の代表的な学術研究機 ④ 国際戦略本部及び各研究所等において、各分野 究のテーマを審査し採択したほか、共同利用・共同研究の運用全般につ
関として、各専門分野の国際的
の国際的窓口機能を向上させ、国際共同研究及び いて検討を重ね、運営に反映させた。
【ポイント:A-①】
窓口としての機能を向上させ、
国際協定に基づいた様々な研究活動の積極的な展
国際戦略本部では、国際アソシエイト等の専門的な人材を配置するこ
国際的共同研究、相互の共同利
開を図るとともに、成果の分析等によって、国際
とにより、機関における協定締結に必要な支援を行うなど、国際的な研
用及び国際的協定に基づいた
協力活動を引き続き強化する。
究機関との窓口機能を強化させたほか、12件の国際交流協定を締結又は
様々な協力活動を積極的に行
更新した。また、国際共同研究を支援する職員及び組織の国際性の強化
う。
を図るため、国際研究支援職員研修を引き続き実施し、外国人共同研究
【101】
【101-1】
⑤ 共同研究・共同利用の実施、 ⑤ 共同利用等の実施、募集、成果等について、ホ 者受入れ業務の改善を図った。
国立天文台では、アメリカ・プリンストン大学並びに台湾中央研究院・
募集、成果等について情報公開
ームページ、大学その他研究機関への通知等によ
を積極的に行い、新たな利用者
り情報公開を積極的に行い、引き続き新たな利用 天文天体物理研究所との協力協定にもとづき、すばる望遠鏡Hyper
や研究者の発掘に努めるととも
者や研究者の発掘に努め、利用者の便宜を図る。 Suprime-Cam の製作や、太陽系外惑星観測における国際協力の窓口とし
て活動した。
に、利用者の便宜に供する。
核融合科学研究所では、平成22年10月に韓国で開催予定の「第23回IAEA
【102】
【102-1】
⑥ 共同利用・共同研究環境の整 ⑥ 引き続き情報ネットワーク等インフラストラク 核融合エネルギー会議」の国内事務局を担当し、国内参加者の選考・参
備強化や情報ネットワーク等イ
チャーの改善を行い、共同利用等の環境整備を行 加に係る事務手続きを行った。日韓核融合協力事業において、韓国国立
ンフラストラクチャーの整備を
う。分子科学研究所においては、「化学系研究設 核融合研究所(NFRI)へ研究所の装置を貸与し、国際共同研究を推進し
行う。
備有効活用ネットワーク」の各地域拠点・全国拠点 た。ドイツのカールスルーエ研究センター(現カールスルーエ技術研究所
の組織化に向けた活動を引き続き行い、新しい運 (KIT))との国際学術交流協定を2年間延長とする追加同意書を交わし
た。
用管理システムの更なる改善と一層の普及を図
【ポイント:A-②】
る。
共同利用・共同研究の募集、実施、成果等について、機構全体及び各
【103】
【103-1】
機関のWebページに掲載するとともに、学術雑誌・年次報告等で積極的に
⑦ コミュニティの研究者の参画 ⑦ 各分野の研究者コミュニティからの参画を得
公表し、新たな利用者や研究者の発掘に努めるとともに、利用者の利便
を得て計画の具体的立案及び研
て、引き続き利用者の要望を一層取り入れた共同
向上を図った。また、共同利用・共同研究のカテゴリーごとに研究成果
究課題の抽出を行う。
利用等の計画の具体的立案及び研究課題の抽出を
-
94
-
自然科学研究機構
行う。
【104】
⑧ 国内外との共同利用・共同研
究を通じて学際的な研究の推進
にも恒常的に取り組む。
【105】
⑨ 共同利用・共同研究を推進す
るため、高度な実験・観測装置
を開発整備する。
報告会等を開催し、その研究内容を広く公開した。なお、Webページへの
掲載に当たっては、共同研究関係の情報を集約して研究者の利便性の向
上を図った。
【ポイント:A-⑤】
核融合科学研究所では、SINET3を用いて全国の核融合研究拠点を接続
【104-1】
⑧ 分野間連携における学際的・国際的研究拠点の する「全日本核融合バーチャルラボラトリ(SNET)」において、「双方
形成に向けた共同利用等を、引き続き実施すると 向共同研究カテゴリー」を新設した。九州大学や筑波大学の実験装置の
ともに、国内外との共同利用等を通じて学際的な 実験データをLHDのデータ収集システムで収集し、SNET上で利用できるよ
うにした。日本-フランス間で長距離高効率データ転送試験に成功した。
研究を更に推進する。
分子科学研究所が中心となった「化学系研究設備有効活用ネットワー
【105-1】
ク」の登録利用者数は、73機関5,800名、登録設備は206台となった。イ
⑨ 引き続き、高度な実験装置・観測装置の開発整
備、増強、改良を進め、共同利用等に提供する。 ンターネットを活用した利用予約・利用料課金ソフトは、世界に例のな
い大規模なものとして完成し、更なる高度化を図っている。
【ポイント:A-⑤】
研究者コミュニティの参画を得て、独創的で世界を先導する研究を創
成、発展させるため、他の研究機関の研究者と共同して行う重点共同利
用研究など、新たな共同利用・共同研究の枠組みについて具体化しつつ、
検討を進めた。
分野間連携における学際的・国際的研究拠点の形成に向けて、国内外
の研究機関との共同利用・共同研究を通じて、学際的な研究の推進を図
った。
研究者及びコミュニティの要請に応じ、共同利用・共同研究等に供す
るため、最新の実験装置・観測装置の開発整備を進めた。
国立天文台・先端技術センターでは、大型クリーンルーム及びスペー
スチャンバーショップの共同利用を開始した。
生理学研究所では、社会的判断等の神経科学的基盤を研究する目的で、
2名の被検者の脳機能を同時に測定することができる同時計測用高磁場
磁気共鳴画像装置を導入した。平成22年度より稼動の予定であり、平成
23年度より共同利用に提供することを目指している。
各分野の特記事項を以下に示
各分野の特記事項を以下に示す。
す。
【106-1、107-1】
【106】
(国立天文台)
【106~108】
(国立天文台)
観測装置の共同利用に関する特記事項は以下の通りである。
-
95
-
自然科学研究機構
(国立天文台)
① ハワイ観測所、野辺山宇宙電波観測所、野辺山
① 米国に設置されたハワイ観測
太陽電波観測所、水沢 VERA 観測所、岡山天体物理
所に関しては、円滑な共同利
観測所、太陽観測所、天文データセンター、天文
用・共同研究が可能なように体
シミュレーションプロジェクト、先端技術センタ
制を整えて、運営に当たる。共
ーは、活発で円滑な共同利用等のための体制を整
同利用・共同研究により高い研
え、運営に当たる。観測計画等は、広く国内外に
究成果を達成する。
公募し、運営会議の下に置かれた関連専門委員会
において、透明性が高く厳正な審査を実施し、高
【107】
い科学的成果が期待される観測計画等を採択す
② 野辺山宇宙電波観測所、野辺
る。
山太陽電波観測所、岡山天体物
理観測所、水沢観測所、天文学
データ解析計算センター、天文
機器開発実験センターにおいて
は広範な共同利用・共同研究を
実施して、質の高い研究成果を
上げる。
【108】
【108-1】
③ 国際プロジェクトに積極的に ② アルマ計画について、欧米との協力を図り、国
参加し、応分の負担を行うとと
内コミュニティの協力を得ながら、引き続き建設
もに、それに見合った観測時間
を進めていく。また、東アジア地域におけるアル
を獲得し、これを共同利用に供
マ計画での協力関係の確立に向けて協議を進め
する。特に、アジア、環太平洋
る。
地域との協力を重視する。
【108-2】
③ 「ひので」衛星により取得された太陽観測デー
タを共同利用等に供して、太陽物理学関連分野に
おける科学的成果の促進を図る。
【108-3】
④ 東アジアVLBI網計画のために設立された国際委
員会(日本、中華人民共和国及び大韓民国)など
を通じて積極的に国際協力を進める。
【108-4】
⑤ 系外惑星探査プロジェクトの国際共同研究開発
-
96
-
ハワイ観測所では、共同利用に 292 夜を供し、98 件の研究課題で 357
名(うち、外国人 49 名)の観測者を受け入れた。世界最高水準の研究成果
を出し続けるため、大規模観測プログラムを設定し、その一つとして星・
惑星系形成に関する観測プログラムを開始した。主焦点近赤外多天体分
光器は 2010 年前期、新しいコロナグラフ撮像装置は 2010 年後期からの
共同利用を開始することとし、募集を開始した。
野辺山宇宙電波観測所では、45m鏡共同利用で 40 件の研究課題で 203
名(うち、外国人 39 名)の観測者を受け入れた。観測時間をより有効に
使用するため、天候に合わせた観測が実施できるよう新たにバックアッ
ププログラムの募集を行い、3件が採択された。また、大学等での大学
院生の教育をサポートする目的の教育支援枠で1件が採択された。
水沢 VLBI 観測所が運用する VERA 観測網の共同利用の一環として大学
が主導する大学連携 VLBI 観測を実施し、メタノールメーザ天体の観測、
活動的銀河中心核の観測、突発的変動天体の観測を実施した。また、一
般公募による共同利用観測も8件実施した。
岡山天体物理観測所では、188cm 望遠鏡を 228 夜の共同利用に供し、プ
ロジェクト観測1件、学位論文支援観測2件、一般観測 24 件の研究課題
を実施した。
太陽観測所・乗鞍コロナ観測所では、25cm コロナグラフを中心とする
共同利用観測で8課題を採択し、18 名の共同利用観測者を受け入れた。
これが同観測所の最後の共同利用運用となった。
【ポイント:A-①~④、B-①】
野辺山太陽電波観測所では、電波ヘリオグラフおよび強度偏波計によ
る太陽観測を行っており、取得したデータはインターネットを介して全
て一般公開し共同利用に供している。このデータを用いた研究のテーマ
は 39 件、ユーザーは 36 機関・9カ国にわたった。
【ポイント:A-①~④、B-①、③】
天文データセンターでは、共同利用形態を、計算機利用からデータベ
ース利用へと徐々に重みを変えてきている。平成 21 年度の計算機利用は
120 名であったが、同センターが構築してきたデータベース利用について
は国内外からアクセスがあり、アクセス総ページ数は 2,886,197 ページ、
データ送信総量は 9,297,832 メガバイトであった。
自然科学研究機構
を推進する。
【108-5】
⑥ ハワイ観測所では、研究者に対し多様な観測機
能を提供するために、マウナケア山の他の観測所
と望遠鏡利用権の部分的交換を行う。
【108-6】
⑦ 次世代の口径 30m クラス超大型光学赤外線望遠
鏡に関する国際協力について、ELT 推進室を中心
に検討を進める。
-
97
-
【ポイント:A-①、③、B-③】
天文シミュレーションプロジェクトでは、大規模な数値シミュレーシ
ョン用大型計算機システムの共同利用運用を行っている。
平成 20 年4月に運用を開始したベクトル並列・スカラ並列スーパーコ
ンピュータの複合システムについて、平成 21 年度後期の利用者数はベク
トル並列システムが 46 名、スカラ並列システムが 93 名であった。こ
の複合システムに加え、専用計算機 GRAPE システム(利用者数 35)や PC
クラスタ(利用者数 23)、及びそれらを包括する計算機ネットワークや大
容量ファイルサーバについても共同利用運用が行われている。
【ポイント:A-①、③、B-①】
先端技術センターでは、共同利用を年2回の公募により受入審査を行
っており、平成 21 年度は合計 47 件(うち共同開発研究 11 件、施設利用
36 件)の受入を行っている。
【ポイント:A-①、③、B-①】
国際協力に関する特記事項は以下の通りである。
アルマ評議会への参加、JAO(合同アルマ事務所)との定期的協議、米
欧装置建設チームとの協議などを通じて建設における連携を引き続き強
化し、アンテナ建設を始めとして国際プロジェクトをリードした。EASAC
(東アジア科学諮問委員会)により、東アジア地域におけるアルマを利
用した天文学研究方策を検討するなど、アルマ計画に対する国内外コミ
ュニティの理解を深めた。
【ポイント:A-②】
ひので衛星により取得された科学データを蓄積・即時公開しつつ、観
測結果の速報システムを充実させ、ひので衛星と他の太陽観測衛星や地
上設備との国際共同観測、共同研究を推進した。
日本の観測局(VERA 及び大学と連携した日本の VLBI 観測網に参加する
計 11 の VLBI 観測局)と KVN 及び中国局と連携した東アジア VLBI 観測網
の設立準備を進めており、
日本が開発した VLBI 観測装置を KVN の 3 局
(ソ
ウル、タンナ、ウルサン)及び中国上海局に配備し、日中韓で試験観測
を開始した。その結果、それぞれの観測局で独立に観測したデータの合
成処理に成功し、天体画像の取得にも成功した。
【ポイント:A-①、②】
自然科学研究機構
ハワイ観測所では、Gemini 天文台(ハワイ及びチリ)、Keck 天文台(ハ
ワイ)とそれぞれ 11 夜、6夜の観測時間交換を実施した。望遠鏡利用者
会議で観測成果の交流を行うとともに、2009 年5月には京都において
Gemini 天文台と共同で国際研究会を開催し、協力の強化を図った。
【109】
【109-1】
(核融合科学研究所)
(核融合科学研究所)
① 大型ヘリカル装置(LHD)など ① LHDなどの実験装置を用いた共同利用等を推
の実験装置を用いた共同利用・
進するために、環境を整備する。特に次のような
共同研究を推進するために、環
点について整備を図る。
境を整備する。
1.共同研究の成果報告会等を行い、研究内容を
広く公開し、共同研究に関する委員会の審査に
反映させる。これにより、研究水準の向上を図
る。
2.共同研究の採択審査時に、実験実施の可能性
も含めて、LHD実験の実施責任者の意見を求
め、共同研究者が実験に参加し易いようにする。
一旦共同研究として受け入れた後は、遠隔実験
参加システムやメールの活用により、所内と同
等に近い研究環境を提供し、共同研究の更なる
発展を図る。
【110】
【110-1】
② 大型シミュレーション研究を ② 大型シミュレーション研究(一つの学際分野と
一つの学問・学際分野として確
してのシミュレーション科学)を推進するため、
立することを目指し、大型計算
以下の事項を推進する。
機システムを活用した共同利
1.階層統合コードの共同研究・共同利用促進を
用・共同研究を推進する。
図るために、第一世代階層統合コードの共同研
究者への公開と、入力パラメータの設定、実行
スクリプトの作成等を支援するグラフィカルユ
ーザインターフェース(GUI)を備えたアプ
リケーションの開発を行う。
2.シミュレーション科学を共同研究を母体とし
て組織的に発展させるため、シンポジウムを開
-
98
-
【109~112】
(核融合科学研究所)
【ポイント:A-①、⑤】
【109-1】
LHD 計画共同研究、双方向型共同研究、一般共同研究の成果報告会を開
催し、発表された成果は Web ページを利用して広く公開した。LHD 計画共
同研究については、採択された全ての研究課題の成果報告を行い、引き
続き、新規研究課題についても目的、研究方法等のヒアリングを行った。
それらに基づきコミュニティを代表する委員からなる LHD 計画共同委員
会で審査を行い、研究課題の採択と研究経費を決定した。また、双方向
型共同研究については、4つの研究センターの研究課題、あらかじめ双
方向型共同研究委員会が指定した研究課題及び各センター長が推薦した
研究課題について成果報告を行った。研究課題採択の審査は、継続研究
課題の場合、応募書類、成果報告書、成果報告会の評価に基づいて、ま
た、新規研究課題の場合、応募書類に基づいて双方向型共同研究委員会
が先ず評価を行い、この結果を受けて各センターが採択の可否と研究経
費の案を作成し、これを双方向型共同研究委員会が審査・審議の上決定
した。一般共同研究の成果報告は、あらかじめ一般共同研究委員会が指
定した研究課題について行われ、研究課題採択の審査は、継続研究課題
の場合、応募書類と成果報告書に基づいて、また、新規研究課題の場合、
応募書類に基づいて一般共同研究委員会が審査し、研究課題採択の可否
と研究経費を決定した。最終的には、運営会議で決定した。
LHD 実験の共同研究については、共同研究の応募書類受領後、実験が実
際に実施できるか否かも含めた留意点について実施責任者が参加する
LHD 実験会議が検討し審査に反映させた。これにより、提案された実験の
遂行に際しての問題をあらかじめできる限り解決した上で、共同研究者
が共同研究に参加できるようになった。共同研究として採択後は、イン
ターネットを用いた遠隔地からのデータアクセス、SINET を用いた遠隔実
自然科学研究機構
催して国内外の研究者と研究戦略について検討
を行い、次年度の研究計画に結びついた議論を
展開する。
3.大規模シミュレーションの共同研究成果の情
報交換を促進するために、計算結果の可視化の
ためのバーチャル・リアリティ方式の研究開発
を推進する。
【111】
【111-1】
③ 実験・理論双方からの基礎プ ③ 実験・理論双方を取り込んで充実した基礎プラ
ラズマ科学研究を推進する体制
ズマ科学の研究推進母体が中心となって、共同研
の充実を図る。核融合に関する
究委員会の下に組織される研究会や作業会を計画
データの収集等に当たっては、
的に開催し、核融合に関するデータの収集、研究
共同研究委員会の下に組織され
者間の情報交換の迅速化、若手研究者・大学院学
た作業会等を活用する。
生の育成等を図る。
【112】
【112-1】
④ 大学の炉工学研究の集約と推 ④ 総合工学実験棟の整備を継続し、長時間熱クリ
進のため、炉工学分野の共同研
ープ試験、長時間腐食試験など、先進ブランケッ
究・共同利用機能の充実を図る。 トの長寿命化に関する共同研究などを推進するた
めの設備拡充を図る。また、大学等の基礎研究設
備の拡充と有効活用、中性子照射基盤整備の維持
拡大に努め、超伝導マグネットシステムの合理的
設計に向けて、共同利用機能の一層の活性化を図
る。
-
99
-
験参加、制御室の画像と音声のリアルタイム送信、前日の実験結果と翌
日の実験予定と週間レポートの電子メール配信等により、共同研究者に
対して所内と同等に近い研究環境を提供した。国際的にも LHD 関連機器
のハードウェア仕様からデータアクセスの方法までを記述した LHD 実験
ガイドブックを英文で作成し、冊子体を主だった海外の研究機関に送付
するとともに、Web での閲覧ができるようにした。
【ポイント:A-①】
【110-1】
階層統合コードの実行支援を目的とした、Web ベースの GUI を含む実行
支援アプリケーションのプロトタイプ版を開発し、検証を目的として共
同研究者に対して限定的に公開した。
シミュレーション科学シンポジウムを開催し、シミュレーション科学
の発展に向けた研究戦略を検討した。シンポジウムを、プラズマ・核融
合分野と他分野の先進的シミュレーション研究に関する招待講演、当研
究所のスーパーコンピュータを用いた共同研究の成果発表、及び国際協
力とスーパーコンピュータの運用方針に関する議論セッションで構成
し、今後のシミュレーション研究の推進について活発な議論を行った。
時間発展する電磁場中での荷電粒子の軌道追跡を行うため、バーチャ
ルリアリティ空間において粒子の初期位置を対話的に設定して可視化で
きるソフトウェアを開発した。また、バーチャルリアリティ空間におい
て、CAD データを基にして実スケールの実験装置の再現を行い、シミュレ
ーション結果との同時可視化を行った。
【ポイント:A-①】
【111-1】
実験・理論を問わず、プラズマ科学から、核融合工学、原子分子素過
程に至る幅広い研究領域に渡り、参加者数 30~60 名規模の研究会を 24
件、一般共同研究の枠組みの中で開催した。また、いくつかの共同研究
課題に於いては 10 名程度の作業会を計画的に開催した。これらにより、
核融合に関するデータの収集、研究者間の情報交換の迅速化、若手研究
者・大学院学生の育成等を図った。
【ポイント:A-①】
【112-1】
自然科学研究機構
総合工学実験棟において、ブランケット耐食試験用に長時間連続高速
攪拌腐食試験を可能とする設備整備を行い、共同研究による試験を開始
した。微小試験片クリープ装置をより高温化仕様とし、酸化物分散強化
合金の高温クリープ試験を共同研究により推進した。日本原子力研究開
発機構との共同研究でサテライトトカマク JT-60SA の超伝導導体の性能
評価を実施した。超伝導マグネット用耐放射線電気絶縁材料開発設備を
導入し、分野間共同研究によって新材料開発を進めるとともに、超伝導
線材の高磁場試験設備を拡大した。また、軽水炉での極低温照射設備構
想を提起し原子力分野との連携を深めた。真空容器内材料からのトリチ
ウム放出挙動研究を富山大学、静岡大学、九州大学、北海道大学との連
携拡大により、また、環境測定器開発や安全評価研究を九州大学、茨城
大学、名古屋大学、秋田大学等との連携拡大により、共同研究を強力に
推し進めた。
【113】
【113-1】
(基礎生物学研究所)
(基礎生物学研究所)
① 従来の大型スペクトログラフ ① 共同利用等の実施を目指して、波長可変レーザ
施設の発展・充実を図り、世界
ー照射システムの試用を開始する。
に唯一の同施設の共同利用・共
同研究を一層拡大するための環
境整備を行う。
【114】
② 生物学研究者コミュニティの
意見を反映した質の高い国際カ
ンファレンスを開催することに
より、国際的な生物学の知の拠
点を形成する。
【115】
③ 形質転換生物研究施設及び培
養育成施設を再編・拡充し、高
水準の施設維持、技術開発を行
うため、設備、人員等組織の強
化を図る。
【113~115】
(基礎生物学研究所)
大型スペクトログラフ施設の高度化の一環として導入した波長可変レ
ーザー照射システムに関して、共同利用において必要となる水中試料へ
の細胞小器官レベルでの限局された照射を可能とする反射型液晶パター
ン照射装置(LCOS-SLM)を導入し設置調整を行った。
【ポイント:B-①】
第7回生物学国際高等コンファレンス(OBC7)「共生システムの進化」
【114-1】
② 生物学の新領域の開拓を目指して、
引き続き OBC を平成22年1月に国内36名、国外10名の参加の下に開催した。また、平
成22年3月にOBC運営委員会を開催し、今後のテーマ選定方法等について
(Okazaki Biology Conference)を開催する。
論議した。
【ポイント:A-②、③】
研究支援施設を改組し、新たに生物機能解析センター、モデル生物研
究センターを設置した。両センターを利用して次世代DNAシーケンサーに
【115-1】
③ 研究支援施設の整備・再構築を進め、同施設を よるゲノム情報の解析等の研究技術開発を推進した。
【ポイント:B-①】
利用した研究・技術開発を推進する。
-
100
-
自然科学研究機構
【116】
(生理学研究所)
① 研究 の高 度 化に 対応 す るた
め、動物施設等の整備を行うと
ともに、疾患モデル動物等作成
のための設備整備と技術開発を
行う。
【116-1】
(生理学研究所)
① 動物実験施設の整備を継続して行う。
【116-2】
② 計画共同研究の一環としてトランスジェニック
ラット、遺伝子ノックアウトマウスを作製する。
新しい遺伝子改変ラットの作製法等の技術開発を
継続して行う。
【117】
【117-1】
② 生理学実験に必要な動物資源
③ ニホンザルのナショナルバイオリソースプ
の確保に努める。
ロジェクト(NBRP)事業を更に強力に推進し、よ
り高品質のサルの供給を目指すとともに、長期的
な供給に向けて体制を整備する。
【118】
【118-1】
(分子科学研究所)
(分子科学研究所)
① 放射光及びレーザーを光源と ① 分子制御レーザー開発センターと極端紫外光研
する先端的光科学研究設備につ
究施設において、先端的な光源開発を進めること
いて、高度な共同利用・共同研
で、利用研究分野を拡大する。
究を推進する。また、国内外の
1.レーザー分子科学において、理化学研究所と
放射光科学の研究動向を見極め
の「エクストリーム・フォトニクス」連携事業
て大型研究施設の整備を進め
や国内外の共同研究の強化を継続して進める。
る。
2. 放射光分子科学において、放射光源のトップ
アップ運転(常時入射により放射光強度を一定
にする運転)を定常化するための測定技術を確
立するとともに、世界最高水準の真空紫外・軟
X線光電子分光装置、赤外・テラヘルツ分光装
置等を利用した国内外の共同利用等を推進す
る。
【116~117】
(生理学研究所)
動物実験コーディネータ室が整備され、動物実験に関する教育訓練の
内容を充実させ定期的に実施した。ウイルスベクターを用いたニホンザ
ル等の霊長類への遺伝子導入実験を開始した。
【ポイント:A-①】
計画共同研究の一環として、トランスジェニックラット、ノックアウ
トマウスを作製するとともに、ノックアウトラット作製に向けて技術開
発を継続して行った。
ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)事業によるニホンザ
ルの飼育・繁殖事業を継続して実施した。供給申請を審査し68頭を全国
の研究者に供給した。なお、本事業は平成20年度まで委託事業として行
われてきたが、平成21年度から補助金事業に変更された。
【ポイント:A-①】
【118~120】
(分子科学研究所)
極端紫外光研究施設と分子制御レーザー開発研究センターの連携によ
り、自由電子レーザー、高調波発生、テラヘルツ光などのコヒーレント
放射光源開発が更に進んだ。
レーザー分子科学分野では、「エクストリーム・フォトニクス」連携
事業をはじめとする精選された研究主題に順調な進展が見られた。理化
学研究所と共同して高輝度マイクロチップレーザーを用いた広帯域波長
可変小型テラヘルツ光パラメトリック光源の開発に成功し、並行して更
なる高出力テラヘルツ光発生のためのエッジ励起マイクロチップレーザ
ーのモードロック発振に成功した。また、近接場顕微鏡や表面和周波発
生顕微分光法を用いた金属ナノ構造や有機半導体電界トランジスターに
おける電荷分布の観測に成功した。アト秒精度の凝縮系コヒーレント制
御、回転方向を制御した回転波束生成法や、分子振動波動関数を用いた
量子情報処理の実証、及びレーザー高次高調波を用いた深紫外フェム
ト・アト秒分光法の開拓などにも進展が見られた。
【119】
【119-1】
極端紫外光研究施設では、トップアップ運転を試行的に利用者に開放
② 巨大計算に向かっている計算 ② 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの
し、定常運転化に必要となる利用技術の開発を進めた。世界トップレベ
科学、生物分子科学、ナノ分子
開発利用-ナノ分野グランドチャレンジ研究-」
-
101
-
自然科学研究機構
科学の国内外における動向を見
極めて超大型計算機の整備を進
め、高度な共同利用・共同研究
を推進する。また、超高速コン
ピュータ網形成プロジェクト
(NAREGI)の成果を発展
的に引き継ぎ「最先端・高性能
汎用スーパーコンピュータの開
発利用」の研究開発を推進する。
の研究開発を引き続き推進する。また、計算科学 ルの光電子分光装置と軟X線分光装置に対し、固体物性研究などの国際
研究センターに導入した高性能分子シミュレータ 共同研究を進めるとともに、高分解能軟X線光電子分光研究の強化のた
及び超高速分子シミュレータを中心に大規模分子 めに新たなアンジュレータビームラインの利用を開始した。
科学計算の共同利用等を強力に推し進める。
【ポイント:A-①、③、B-①】
「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用-ナノ分野グ
ランドチャレンジ研究-」の研究開発において「中核アプリケーション
の高度化」を始め「ナノ統合シミュレーションソフトウエア」の開発を
さらに進めるとともに、それらのアプリケーションの実証研究を開始し
た。また、計算科学研究センターに導入した高性能分子シミュレータの
継続的な運用に加えて超高速分子シミュレータの更新作業を開始し、大
【120】
【120-1】
③ 高磁場核磁気共鳴装置等の先 ③ 先端的分光分析・物性評価設備の充実を図ると 規模分子科学計算の共同利用・共同研究を強化、推進した。
【ポイント:A-①、③、B-①】
端的分光分析・物性評価装置に
ともに、高度な共同利用等を推進するための支援
「化学系研究設備有効活用ネットワーク」では、平成 21 年度も引き続
ついて、高度な共同利用・共同
体制を強化する。
き利用予約・課金システムの大幅なアップグレードを実現し、利便性を
研究を推進する。
1.「化学系研究設備有効活用ネットワーク」に
よる相互利用を一層推進するとともに、修理・ 向上させるとともに、相互利用設備数を増加した。また、25 大学の設備
更新を必要に応じて行う。また、「ナノテクノ の修理・増強を実施した。機器センターでは、上記ネットワークの支援
ロジーネットワーク」を通して、先端機器分析 に加えて共同利用のための汎用機器の拡充を図り、生体分子計測用高磁
や新規分子物質合成などの共同利用等を行う。 場低エネルギー核磁気共鳴装置、高感度パルス電子スピン共鳴装置、温
希釈冷凍高磁場極低温比熱測定装置、温度可変 度可変顕微ラマン分光装置を新設し、高感度蛍光分光度計を更新した。
高磁場固体核磁気共鳴プローブ等の開発を行 分子スケールナノサイエンスセンターでは、920MHz 核磁気共鳴(NMR)装
置の共同利用支援を行うとともに、以前から要望の強かった固体温度可
う。
2.切削・研磨加工の高精度化を行うとともに、 変プローブの開発を継続し、平成 22 年度中の共同利用開始に目処が立っ
加工材料の多様化に対応できるようにする。更 た。また、ナノテクノロジーネットワークを通して、先端機器分析や新
に、高密度集積回路の製作と回路評価装置の整 規分子物質合成などの共同利用を引き続き推進した。
高精度機械加工技術へのニーズや加工材料の多様性の高まりに備え、
備も行い、装置開発の共同利用等を推進する。
フェムト秒レーザー加工実験、ナノ切削による金属モールドの製作及び
そのナノインプリントエンボスへの応用などの技術開発を行った。電子
回路部門では、平成 20 年度に引き続いて大規模集積システム設計教育研
究センター(VDEC)利用による Si 大規模集積回路設計製作環境の整備を進
めた。他大学などへの技術支援活動として、東京大学の光触媒表面解析
装置を完成させ納品した。
【ポイント:A-①、③、B-①】
-
102
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(2) 共同利用等に関する目標
② 共同利用等の実施体制等に関する目標
中 期 目 標
大学共同利用機関として適切な共同利用施設を設置し、研究資源の提供を行い、所内外、国内外の研究者の共同利用に広く供するとともに、共同利用研究者、
学識経験者の参加を得て、施設の人員配置、設備整備等を見直し、適切な運営に当たる。
① 共同利用・共同研究に携る研究者・技術者の養成や、研究グループの育成に努める。
② 共同利用・共同研究の活動や成果を内外に発信するための体制を構築する。
③ 共同利用・共同研究に関して、より良い形態を求めるための評価並びにフィードバックシステムを構築する。
中期計画
【121】
本機構に属する研究所等は、そ
れぞれの特徴を生かして共同利用
等の実施体制等に関して以下のよ
うな措置をする。
【122】
① 国内外の研究者との幅広い共
同利用・共同研究を実施するた
めの必要な施設、設備の研究環
境を整備するとともに資源配分
の公平性と透明性を図り、積極
的な推進及び円滑な運営を目指
して、組織、体制を構築する。
【123】
② 資金・設備等を活用し、萌芽
的研究及びその共同研究を進め
る。
【124】
③ 共同利用・共同研究の成果は、
年度計画
計画の進捗状況
【121-1】
【121~129】
本機構全体として、活発な共同利用等の実施体
機構全体として共同研究にも発展できるよう、共同利用・共同研究の実
制に関して以下のような措置をする。
施体制に関して以下のような措置を行った。
各機関において、機器開発のための環境を引き続き整備した。また、運
営会議の下に設置されている、外部委員を含む共同研究委員会等において、
共同利用・共同研究の計画の採択、実施体制の検討を行い、資源配分の公
【122-1】
① 共同利用等に供するための機器開発を行える 平性と透明性の向上を図った。
核融合科学研究所の双方向型共同研究では、全ての参画機関において双
環境を引き続き整備し、大学・学会等と広く協
力して、共同利用等の計画の採択、実施体制の 方向型共同研究を推進する委員会を外部委員を含む構成に整備し、研究課
検討を行うために、外部委員を含んだ委員会に 題の採択における資源配分の公平性と透明性を高めた。
分子科学研究所では、各研究施設の運営委員会(外部委員を半数程度含
おいて、資源配分の公平性と透明性の向上を図
む)で共同利用の質の向上を図る方策を継続して検討した。施設利用申請
る。
書(これまでの成果を含む)に評点を付けて資源の配分枠や旅費滞在費支
援枠を決める措置を、計算科学研究センターとUVSOR施設で導入済である。
【123-1】
【ポイント:A-①】
② 共同利用等の計画の採択の際に萌芽的研究の
各機関に設置している、大学・学会等を代表する外部委員を含む共同研
推進の観点も充分考慮する。
究委員会等において、萌芽的研究の推進の観点にも考慮しながら、共同利
用・共同研究の計画の採択、実施体制の検討を行った。
【124-1】
【ポイント:A-①】
③ 共同利用等の成果は、引き続き学術雑誌、出
-
103
-
自然科学研究機構
出版物等多様なメディアを利用
し公表する。
版物、ホームページ等の多様なメディアを活用
して公表する。
【125】
【125-1】
④ 共同利用・共同研究の運営・ ④ 引き続き、共同利用等の外部評価を行うとと
成果に関する外部評価を行い、
もに、その評価結果を、今後の運用に反映させ
その結果を将来構想等に反映さ
る。
せる。
【126】
【126-1】
⑤ 共同利用・共同研究における ⑤ 技術職員の技術力向上のため、引き続き研
技術者の技術力向上のため、研
修・技術交流等の充実を図る。また、自然科学
修等を実施する。
研究機構技術研究会を引き続き実施する。
【127】
【127-1】
⑥ 特別共同利用研究員等若手研 ⑥ 特別共同利用研究員等若手研究者に対する研
究者に対する研究支援の強化を
究支援を強化する。
図る。
【128】
【128-1】
⑦ 共同利用者用の宿泊施設等の ⑦ 共同利用者用の宿泊施設について、引き続き
研究環境を整備する。
付帯設備等の充実を検討し利便性の向上を図
る。
【129】
【129-1】
⑧ 実験・観測データの公開を一 ⑧ 国内外の共同利用者に対して実験・観測デー
層進めるとともに、広く利用で
タの公開を引き続き進める。
きるデータベースを構築する。
-
104
-
各機関において、共同利用・共同研究の成果を年次報告、要覧、年報等
の形で刊行するとともに、学術雑誌への掲載及びWebページにより公表する
ことで、研究成果を周知した。また、自然科学研究機構シンポジウム「脳
が諸学を生み、諸学が脳を総合する」と「ビックリ 4Dで見るサイエン
スの革新」を開催し、本機構における研究活動等の状況を広く一般社会に
発信した。
【ポイント:A-⑤】
各機関では、運営会議等の意見を受け、外部評価委員会等により共同利
用・共同研究の運営・成果等に対する評価を実施し、その評価結果をそれ
ぞれの機関の運営に反映させた。
核融合科学研究所では、核融合工学研究及び安全管理について外部評価
を実施し、共同利用・共同研究の面からも評価を受けた。
【ポイント:A-①】
各機関において、技術者の技術力向上を目的とした研修等を実施すると
ともに、機構全体の技術職員を対象とした合同研修会(自然科学研究機構
技術研究会)を引き続き開催し、技術者の技術力の向上及び技術の継承に
資するため、その内容を報告書にまとめた。また、各専門分野の研修会に
積極的に参加した。
大学、高等専門学校及び大学共同利用機関の技術職員が、日常業務で携
わっている実験設備・装置の開発、維持管理から改善改良にわたる広範囲
な技術活動について発表する技術研究会に積極的に参加し、発表を行った。
【ポイント:A-④】
各機関において、特別共同利用研究員受入要領により公募し、91人の受
入れを決定した。
【ポイント:A-④】
Webページへの宿泊施設情報の掲載や宿泊施設に関する満足度調査等を
行い、利便性の向上に努めた。また、各機関において、宿泊施設の据え付
け物品を増やすなど、利便性の向上を図った。
【ポイント:A-①】
可能な研究分野については、データを取得した共同利用・共同研究者に
一定の占有期間を与えるなどの原則に基づき、インターネットによる実
験・観測データの公開を促進した。
自然科学研究機構
【ポイント:A-⑤】
各分野の特記事項を以下に示
す。
【130】
(国立天文台)
新たな共同利用施設の構築を目
指してアルマ計画を推進する。
各分野の特記事項を以下に示す。
【130-1】
(国立天文台)
新たな共同利用施設の構築を目指して、アルマ
計画を継続して推進する。
【130】
(国立天文台)
米欧とアルマの運用に関する協議を進めるとともに、国内では、初めて
のユーザーズミーティングを開催し、大学の研究者と協力してアルマの共
同利用に関する検討を引き続き行った。
【ポイント:A-②】
【131】
(核融合科学研究所)
① 大学及び研究機関にある研究
者コミュニティとの双方向性を
持った共同研究を推進するため
の制度を新たに構築する。
【131-1】
(核融合科学研究所)
共同利用等の双方向型共同研究、LHD計画共
同研究、一般共同研究の3つのカテゴリーを利用
して、共同利用等をより活発に推進する。具体的
には、本研究所と大学等の間で共同研究契約を結
んで行う双方向型共同研究、大学等で育まれてい
る各種の研究、技術等をLHD実験に適用・集約
するため、大学等で先ず行うLHD計画共同研究、
大学等からの研究者が本研究所の設備を使って行
う一般共同研究により、本研究所を中心とした
種々の形態の共同利用等に対応する。
【131】
(核融合科学研究所)
引き続き、研究所と大学等の間で共同研究契約を結んで行う双方向型共
同研究、大学等で育まれている各種の研究、技術等を LHD 実験に適用・集
約するため、大学等で先ず行う LHD 計画共同研究、大学等からの研究者が
本研究所の設備を使って行う一般共同研究、の3つのカテゴリーの下で共
同研究を遂行した。並行して共同研究委員会に於いて制度の改善について
議論を進め、双方向型共同研究に於いては、次年度より新たな参画機関を
取り込むことにより工学分野への展開を図ることを決定し、公募内容に反
映させた。
【ポイント:A-①】
-
105
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(3) 教育に関する目標
① 大学院への教育協力に関する目標
中 期 目 標
大学における大学院教育に携わり、大学院生に対し、本機構内研究者による高度で先端的な研究指導を行い、本機構が整備・維持管理する各種研究装置を活
用し、高度な研究者や職業人の育成に努める。
広く大学院生を受入れ、我が国の自然科学及び関連分野の広範な発展に努める。
総合研究大学院大学との緊密な連携・協力により大学院教育を行う。
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【132】
【132-1】
① 大学共同利用機関としての ① 総合研究大学院大学の教育に積極的に参加する
特長を生かした特色ある教育
など、自然科学の広い視野と知識を備えた若手研
を実施する。大学院教育を機構
究者の育成を推進するため、大学院教育を実施す
の重要項目として位置づけ、総
る。また、大学院教育に関する検討会において、
合的に大学院教育を検討する
大学院教育を一層充実させるための検討を行う。
組織を機構に設ける。また、具
体的事項(受託、単位認定、研
究教育等)について検討する組
織として、各研究所に委員会を
設置する。
【133】
② 研究所等は、総合研究大学院
大学と緊密に連携・協力し、特
色ある大学院博士課程教育を
以下の専攻において実施する。
ア 核融合科学研究所に設置
された核融合科学専攻
イ 基礎生物学研究所に設置
【132~137】
全ての専攻で5年一貫制大学院教育を実施したほか、東京大学大学院理
学系研究科及び名古屋大学大学院医学系研究科との単位互換制を維持し
た。
各機関は、総合研究大学院大学との連携により、8 専攻の担当教員 363
名で、174 人の大学院学生に対し、79 講義(専攻をまたぐ共通科目を含む)、
126 演習を実施し、適切に単位認定した。また、42 人(内、論文博士2人)
の博士の学位を授与した。
国立天文台では、総合研究大学院大学との連携により、1専攻の担当教
員 98 名で、26 人の大学院生に対し、9講義(専攻をまたぐ共通科目を含
む)、11 演習、2実習、1研究中間レポートを実施し、適切に単位を認定
した。また、6人の博士の学位を授与した。更に、アジア冬の学校(すば
【133-1】
② 総合研究大学院大学の5年一貫制大学院教育等 る、38 人)など、専攻にまたがる国際的な教育活動を行った。
核融合科学研究所では、総合研究大学院大学との連携により、1専攻の
においては、8専攻の教員約330名が学生約1
担当教員
62 名で、19 人の大学院学生に対し、18 講義(専攻をまたぐ共通
70名に対し、講義、単位認定、学位授与に加え
て、各種セミナーによる総合的大学院教育を行う。 科目を含む)、16 演習を実施し、適切に単位認定した。また、3人の博士
の学位を授与した。
更に、夏の体験入学(36 人)、アジア冬の学校(26 人)など専攻にまたがる
教育活動や留学生を中心としたインターナショナル・サマースクール(12
-
106
-
自然科学研究機構
された基礎生物学専攻
国立天文台に設置された
天文科学専攻
エ 生理学研究所に設置され
た生理科学専攻
オ 分子科学研究所に設置さ
れた構造分子科学専攻及び
機能分子科学専攻
ウ
【134】
【134-1】
③ 東京大学大学院理学系研究 ③ 東京大学大学院理学系研究科、名古屋大学大学
科、名古屋大学大学院理学研究
院理学研究科、同工学研究科、北海道大学大学院
科、同工学研究科との協力によ
工学研究科、富山大学大学院理工学教育部、東邦
る大学院教育を実施する。
大学大学院理学研究科、広島大学大学院理学研究
科等との間で、緊密な連携のもとに大学院教育を
行う。
【135】
【135-1】
④ 研究所等は、国立大学法人の ④ 各研究所等の研究教育職員は、要請に応じて特
要請により連携大学院制度や
別共同利用研究員として学生を受託し、大学院教
特別共同利用研究員制度によ
育を行う。(平成21年度は、100名程度)
り大学院教育に協力する。
【136】
【136-1】
⑤ リサーチアシスタント制度 ⑤ 約170名の大学院生をリサーチアシスタント
の活用などにより、大学院生に
として採用し、高度な研究能力を備えた研究者の
対する支援を行う。
育成を行う。
【137】
⑥ 学生に多様な教育の機会を
与えるとともに、カウンセリン
グなど心と体のケアにも配慮
する。
【137-1】
⑥ 大学及び総合研究大学院大学の他専攻との単位
互換制度を継続する。
【137-2】
⑦ カウンセリングを相談窓口で実施する。
-
107
-
人)などの国際的な教育活動を行った。
基礎生物学研究所では、総合研究大学院大学との連携により、担当教員
55 名で、28 人の大学院学生に対し、11 講義(専攻をまたぐ共通科目を含
む)、36 演習を実施し、適切に単位認定した。また、4名に対し博士の学
位を授与した。また、名古屋大学理学部及び農学部のグローバル COE との
連携を進め、教員及び学生がシンポジウムに参加して研究教育の交流を図
った。加えて名古屋大学の GCOE 大学院生を欧州分子生物学研究所での学生
シンポジウムに派遣した。
生理学研究所では、担当教員 69 名で、61 人の大学院学生に対し、22 講
義(専攻をまたぐ共通科目を含む)、35 演習を実施し、適切に単位認定し
た。また、21 名(内2名は論文博士)に対し博士の学位を授与した。また、
体験入学を実施し 24 名(内海外より6名)の参加者があった。
分子科学研究所では、総合研究大学院大学との連携により、2専攻の担
当教員 79 名で、40 人の大学院学生に対し、19 講義(専攻をまたぐ共通科
目を含む)、28 演習を実施し、適切に単位認定した。また、8人の博士の
学位を授与した。更に、夏の体験入学(9人)、総研大アジア冬の学校(28
人)、日本学術振興会アジア研究教育拠点(アジアコア)事業による冬の
学校(韓国・ソウル国立大にて開催、大学院生4人を含む分子研研究者 18
名、中国・韓国・台湾含めて総計 69 名が参加)や最新のテーマについての
シンポジウムなどの、大学院生、若手研究者を対象とした国際的な教育活
動を行った。
各機関は、東京大学大学院理学系研究科、名古屋大学大学院理学研究科、
同工学研究科、北海道大学大学院工学研究科、富山大学大学院理工学研究
科、九州大学大学院総合理工学府、東邦大学大学院理学研究科、京都大学
大学院理学研究科、東北大学大学院理学研究科、鹿児島大学大学院理学研
究科、大阪大学大学院工学研究科等と連携して大学院教育を行い、人材育
成を図った。
【ポイント:A-④】
大学からの要請に応じ、各機関において、81 名の特別共同利用研究員を
受入れ、各機関の特色を活かした大学院教育を行った。
各機関において、137 名のリサーチアシスタントを採用し、若手研究者
の育成を行った。
自然科学研究機構
引き続き、総合研究大学院大学物理科学研究科と東京大学大学院理学系
研究科、総合研究大学院大学生理科学専攻と名古屋大学医学系研究科との
単位互換を行い、総合研究大学院大学物理科学研究科核融合科学専攻と名
古屋大学大学院工学研究科との単位互換の協議を整えた。また、総合研究
大学院大学物理学研究科の科目に共通専門基礎科目を設け、「東京西キャ
ンパス群共通」、「東海キャンパス群共通」に分け研究科内の他の専攻と
の単位互換制度を引き続き行った。
総合研究大学院大学派遣カウンセラー、精神科医によるメンタルヘルス
カウンセル又は外部委託によるカウンセラーを配置するなど、引き続き心
と体のケアにも配慮した。
-
108
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(3) 教育に関する目標
② 人材養成に関する目標
中 期 目 標
研究拠点として各種ポストドクトラル・フェローシップを設計し、若手研究者の育成に積極的に努める。
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【138】
【138-1】
【138~141】
本機構は以下のように、各種ポ
本機構は以下のように、各種ポストドクトラ
運営費交付金に加え、外部資金を活用することで、各種ポストドクトラ
ストドクトラル・フェローシップ ル・フェローシップを整備し、若手研究者の育成 ル・フェローシップを整備し、若手研究者の育成と流動化に努めた。
を整備し、若手研究者の育成と流 と流動化の促進に一層努める。
ポストドクトラル・フェローの今後の進路指導を行う上での参考とする
動化の促進に努める。
ため、また、修了生ネットワークの構築のために、進路先について調査し、
修了生の現況の把握に努めた。
【139】
【139-1】
各機関において、求人依頼・公募案内を Web ページ等に随時掲示するこ
① 大学院修了後やポストドクト ① ポストドクトラル・フェローの進路先につい
とで、大学院生等への進路情報を提供した。
ラル・フェローシップ任期終了
て調査する。
外部資金の公募等に関する説明会を開催する等により、科学研究費補助
後の活動状況の把握に努め、今
金等外部資金の獲得に努め、若手研究者の研究を支援した。
後の方策の指針とする。
【138~143】
【140】
【140-1】
総合研究大学院大学の大学院説明会「オープンキャンパス」を開催した
② 本機構で教育指導を受けた大 ② ホームページなどで求人(公募)一覧を掲載
学院生等の博士号取得後の進路
するなど、広い分野から人材発掘を可能にする ほか、「夏の体験入学」及び「アジア冬の学校」を引き続き実施し、国内
外の学部学生、大学院生を対象として研究教育体験を通した人材発掘とそ
について、若手研究者の流動化
ように取り組む。
のための広報活動を積極的に行った。
の一環として国内外の研究機関
国立天文台では、公開講座・総合研究大学院大学入試説明会を関東地区
への異動を推奨する。
と関西地区で開催したほか、すばる春の学校を引き続き実施した。
【141】
【141-1】
核融合科学研究所では、主として外国人留学生を対象に「インターナシ
③ 大学院生・博士号取得者の処 ③ 引き続き、外部資金獲得に努めるとともに、
-
109
-
自然科学研究機構
遇改善方策について検討する。
大学院生・博士号取得者の支援を充実させる。
【138-1~143-1】
④ 「夏の体験入学」や「アジア冬の学校」を引
き続き実施し、研究教育体験を通じて、国内外
の学部学生、大学院生の人材育成や人材発掘を
図る。継続的に実施することで研究所の研究活
動を広く周知する。
ョナル・サマースクール」を実施し、12人の参加があった。
基礎生物学研究所では、国内から39名が1週間程度の体験入学をした。
また、国外の学生を対象としたNIBBインターン制度によりインド、エジプ
トから2名の学生が約10週間の体験入学をした。総合研究大学院大学生命
科学研究科として中国の北京大学で学部学生対象の大学院説明会を開催し
人材発掘に努めた。
生理学研究所では、18名が1週間程の体験入学をした。また、海外から
の学生も参加し、6名が2~10週間の体験入学をした。
分子科学研究所では、日本学術振興会アジア研究教育拠点(アジアコア)
事業により、冬の学校や最新のテーマについてのシンポジウムを開催し、
大学院生の育成を行うとともに、人材発掘を図った。
各分野の特記事項を以下に示
各分野の特記事項を以下に示す。
す。
【142-1】
【142】
(基礎生物学研究所)
(基礎生物学研究所)
引き続き、国際トレーニングコースを実施する。
所内及び所外研究者コミュニテ
ィの提案により、我が国における
研究レベルの向上と若手研究者の
養成のためバイオサイエンストレ
ーニングコースを開催する。
【142】
(基礎生物学研究所)
第4回基生研国際実習コース「ヒメツリガネゴケの実習とワークショッ
プ」を平成 21 年6月に、国外 12 名、国内5名の受講生に対して5日間に
わたって開催した。また、第5回基生研国際実習コース「小型魚類モデル
の発生遺伝学」を平成 22 年1月に、国外 13 名、国内2名の受講生に対し
て8日間にわたって開催した。いずれのコースにおいても、国内外の著名
研究者による先端的技術の実習を行った。
【ポイント:A-④】
【143】
(生理学研究所)
我が国における研究レベルの向
上と若手研究者の養成のため、生
理学及び関連分野の実験技術に関
するトレーニングコースを開催す
る。
【143】
(生理学研究所)
生理科学実験技術トレーニングコースを開催した。5日間の期間中、148
名の受講生が 16 の実習コースに分かれて、実習に励んだ。
多次元共同脳科学推進センターでは、脳科学以外の領域の若手研究者に
基本的な脳科学の知識を提供する「多次元トレーニング&レクチャー:運
動制御回路の構造と機能」を開催した。
IBRO(国際脳研究機構)アジア太平洋委員会との共催で、IBRO 神経科学
上級コースを2週間にわたって開催し、約 150 名の応募者から選考された
8カ国からの 14 名が参加した。
【ポイント:A-④】
【143-1】
(生理学研究所)
大学院生を含む若手研究者の育成のため、生理
科学実験技術トレーニングコースを開催する。多
面的な知識を有する脳科学研究者を育成するため
に、レクチャーコースの開講に向けて準備を進め
る。
-
110
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(4) その他の目標
① 社会との連携、国際交流等に関する目標
中 期 目 標
研究成果を社会に公表し、共同研究や受託研究等、社会との連携を推進する。
社会に対して自然科学に対する理解を深める活動を行う。
我が国の代表的な自然科学分野の学術機関として、学術の発展のため国際交流に積極的に努める。
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【144】
【144-1】
本機構は以下のように、社会と
以下のように、社会との連携や国際協力等に関
の連携や国際協力等に関して具体 して具体的な計画を推進する。
的な計画を推進する。
【144~152】
以下のように、社会との連携や国際協力等に関して、積極的な広報活動
や産学連携の推進等の具体的な計画を推進した。
【145】
【145-1】
① 自然科学研究における基礎的 ① 本機構及び各研究所等のホームページ、広報誌
研究の重要性を広く社会・国民
等を更に充実するとともに、一般市民向けのシン
に訴え、得られた研究成果を国
ポジウムを開催して、本機構の活動内容や研究成
民と共有できるように広報・情
果等を広く社会に発信する。
報発信に努める。
国立天文台では、国連で制定された世界天文年
(IYA2009)事業の支援を行う。
機構として、一般市民を対象に、自然科学研究機構シンポジウム「脳が
諸学を生み、諸学が脳を総合する」と「ビックリ 4Dで見るサイエンス
の革新」を開催し、科学への理解を深めるため、積極的な情報発信に努め
た。
本機構及び各機関の Web ページに改良を加え、内容の充実を図った。
機構パンフレット(日本語版・英語版)と4大学共同利用機関法人の合
同パンフレット(日本語版)を改訂し、全国の大学等に配布したほか、環
境報告書を作成し、関係機関へ配布した。
国立天文台は、国連が制定した世界天文年の日本事務局を務め、種々の
シンポジウムや、各地区の特別公開に併せた講演会などを実施した。ハワ
イ観測所では、19 件の記者発表・Web 発表を行い、研究成果を広く世界に
発信するとともに、世界天文年の関連イベントのハワイの他の天文台との
共催や、学校での多数の出前授業など地元での普及活動に大きく貢献した。
核融合科学研究所では、エネルギー・地球環境問題、核融合研究の重要
【146】
② 高度な技術力を持つ企業と
様々な連携を図り、企業や企業
内研究者との共同研究を進める
ための方策について検討する。
【146-1】
② 知的財産委員会及び利益相反委員会におい
て、知的財産・利益相反等に関する理解を深め
るための活動を行い、産学官連携を推進する。
【147】
③ 研究成果やノウハウの活用の
【147-1】
③ 各種審議会や学会・地方公共団体の委員会等
-
111
-
自然科学研究機構
ため、各種審議会、地方公共団
体の委員会等への積極的な参加
を推奨する。一般講演会、ホー
ムページ、資料等を通じて広く
一般社会への情報発信に努め
る。産業界に向けた研究成果や
技術成果の発信にも努める。
に積極的に参加する。講演会、ホームページ、
各種資料等を通じて広く一般社会への情報発信
に努める。情報発信の状況及び効果についても
調査を行う。
【148】
④ 生涯学習・学校教育・専門家
教育面で地域からの要請に積極
的に対応する。
【148-1】
④ 一般市民向けの講演会を開催するとともに、
スーパーサイエンスハイスクール及びサイエン
スパートナーシッププロジェクトの取り組み等
に協力する。また、教員、各分野の専門家の生
涯教育に貢献する。
【149】
【149-1】
⑤ 研究成果を海外や国内の大
⑤ 研究成果は学術雑誌に論文として発表すると
学・研究機関の研究者へ積極的に
ともに、様々な情報発信媒体(ホームページ、パ
公開する。国際会議や学会の企
ンフレット、解説資料等)を通じて積極的に公表
画、及び様々な情報発信媒体(ホ
する。また、核融合科学研究所では、学術機関リ
ームページ、パンフレット、解説
ポジトリの運用により、研究所の知的生産物を電
資料(英語版も整備))を通じて
子的形態で収集、蓄積、保存し、ホームページを
公表する。
通じて公開する。
【150】
⑥ 国際シンポジウム・国内研究
会を積極的に実施して、国内研
究者の研究活動を支援する。会
議の立案、サポート体制等、具
体的な実行案を策定する。
【150-1】
⑥ 研究所等間の連携を考慮しつつ、国際シンポ
ジウム・国内研究会を積極的に実施し、国内研
究者の研究活動を更に支援する。
【151】
⑦ 科学技術協力事業、二国間、
多国間等政府・機構・研究所レ
ベルの国際共同研究事業を一層
推進する。
【151-1】
⑦ 海外の国際的な中核研究機関との連携を強化
するとともに、科学技術協力事業、二国間、多
国間事業等、いろいろなレベル・規模の国際共
同研究事業を引き続き推進する。その状況を調
-
112
-
性及び研究活動について、地域の理解を得るために「宇宙の太陽 地上の
太陽」などをテーマとした市民学術講演会を2回実施した。また、LHD に
よる重水素実験計画及び安全性等についての理解増進のため、地域住民向
けの市民説明会を 25 会場で実施するとともに、地域住民を対象とした見学
会を実施する等、施設見学者を積極的に受け入れた。(平成 21 年度見学者
数約 8,000 人)引き続き、広報誌「NIFS ニュース」及び「プラズマくんだ
より」を発行し、広く配布した。更に、核融合研究について一般見学者等
へ分かりやすく紹介するためのパンフレット「未来をつくるエネルギー核
融合」を作成した。また、Web ページをより見やすくするため、トップペ
ージ等を更新した。
基礎生物学研究所では、英語版 Web サイト上での情報発信の強化を目指
し、英語ニュース配信体制を強化した。また、インターネットの動画サイ
トに基礎生物学研究所チャンネルを設置し、研究者インタビューの動画配
信を開始した。また、研究者の人物像を多角的に紹介するリーフレット「研
究に情熱を捧げるひとたち」を新たに4編作成し配布した。名古屋市科学
館において研究紹介実演を行った。中学・高校への出前授業および特別講
演を計6回、実習を計3回実施した。
生理学研究所では、岡崎市保健所と連携して「せいりけん市民講座」を
5回開催した。また、一般市民向けの冊子「せいりけんニュース」を6回
発行した。海外への情報発信の強化を目指して、リサーチニュース、大学
院案内等の英語 Web ページの充実化を図った。
分子科学研究所では、Web ページの全面改訂を行い、研究者コミュニテ
ィや学生のみならず一般の利用者にとってもアクセスしやすいものに変更
した。また、研究成果の公式 Web ページにおける発信やプレスリリースを
積極的に行った。更に、一般の見学者に研究内容の概要を紹介する広報展
示室設置の準備を進めた。
知的財産委員会及び利益相反委員会を開催し、知的財産の管理・運営及
び産学連携を推進するための体制の整備を行った。
各機関の利益相反委員会において、利益相反マネジメントガイドライン
を制定し、利益相反に関する体制を整備した。
岡崎3機関では、発明・特許相談を2回開催した。
自然科学研究機構
査し年度報告として公表する。
【152】
⑧ 海外研究者、留学生、博士号
取得者の受入れを推進するため
の制度の基礎整備を図る。
各種審議会や学会・地方公共団体の委員会等へ参加し、社会貢献を行っ
た。
【152-1】
各機関において、講演会を実施し、実施状況を Web ページで公表するな
⑧ 海外研究者や留学生等の受入れに関する情報
の英語化等、広報活動を積極的に行うとともに、 どして、一般社会への情報発信に努めた。なお、情報発信の状況及び効果
生活環境の整備及び安全対策の一層の充実を図 については、Web ページや広報誌に問い合わせ先等を設け、広く意見募集
る。また、受入れ担当者向けマニュアルを充実 等を行い、改善に努めた。
核融合科学研究所では、引き続き、中部 ESD 拠点協議会に参加し、持続
させるほか、セミナー等を実施して情報の共有
可能な発展のための教育への取組みに協力した。
や業務の効率化を図る。
一般向けの自然科学研究機構シンポジウムを、企画・実施し、機構の研
究内容の情報発信に努めた。
各機関では、一般向けの学術講演会を多数開催した。また、スーパーサ
イエンスハイスクール事業に積極的に協力するとともに、サイエンスパー
トナーシッププログラムの取組みにも引き続き協力した。更に、中学校及
び高等学校の職場体験学習、市民講座等への講師派遣、観望会(毎月 2 回)
の実施、教員を対象とした講演会、文化活動団体からの招聘による講演会
等、生涯教育にも貢献した。
国立天文台水沢 VLBI 観測所は、地元の水沢高校のスーパーサイエンスハ
イスクール活動に協力し、電波による天文学研究を行った。特に新天体を
発見し、日本天文学会ジュニアセッションで発表するなどの成果を上げた。
研究成果は、学術論文及び学会発表を行ったほか、年次報告・年報等の
形で公表するとともに、Web ページ、記者発表、パンフレット等でも積極
的に公表した。
機構パンフレット(日本語版・英語版)と4大学共同利用機関法人の合
同パンフレット(日本語版)を改訂し、全国の大学等に配布した。
核融合科学研究所では、学術機関リポジトリをより利用しやすいシステ
ムにするために、機能の追加を行った。
各機関において、国際シンポジウムを合計 17 回開催したほか、国内研究
会についても実施し、研究活動の支援を行った。また、分野間連携プロジ
ェクトの内、国際的研究拠点形成のプロジェクト(3 件)を引き続き実施
した。
核融合科学研究所では、第 19 回国際土岐コンファレンスを開催したほ
か、研究所主催の第9回トリチウム国際会議(平成 22 年 10 月開催予定)
-
113
-
自然科学研究機構
について、国内組織委員会及び専門委員会において、引き続き準備を進め
た。
機構として米国プリンストン大学との包括的協定を締結し、共同研究の
促進、会議シンポジウムなど学術活動への参加、交流、大学院生のトレー
ニングコースへの参加及び情報交換など、学術、教育及び技術交流を進め
ることとした。
機構本部及び各機関において、国際交流協定を締結(新規8件、更新4
件)し、海外の国際的な中核研究機関との共同研究の実施、研究者の受入
等の交流を推進するとともに、二国間協力事業、多国間協力事業、政府間
合意に基づく科学技術協力事業、日本学術振興会を通じた拠点交流事業を
実施し、その成果を年次報告等で公表した。
国立天文台では、アメリカ・プリンストン大学並びに台湾中央研究院・
天文天体物理研究所と協力協定にもとづき、すばる望遠鏡 Hyper
Suprime-Cam の製作や系外惑星観測における共同研究を推進した。
核融合科学研究所では、平成 22 年 10 月に韓国で開催予定の第 23 回 IAEA
核融合エネルギー会議の国内事務局を担当し、国内参加者の選考・参加に
係る事務手続きを行った。日韓核融合協力事業において、韓国国立核融合
研究所(NFRI)へ研究所の装置を貸与し、国際共同研究を推進した。ドイ
ツのカールスルーエ研究センター(現カールスルーエ技術研究所(KIT))と
の国際学術交流協定を2年間延長とする追加同意書を交わした。
機関内メールの英文・和文併記の実施、外国語に堪能なスタッフの配置、
職員向けの語学研修の実施により、英語による情報発信を強化し、引き続
き外国人研究者の受入の利便性の向上に努めた。また、国際共同研究を支
援する職員及び組織の国際性の強化を図るため、外国人共同研究者受入れ
業務のマニュアル化を進めた。
各機関では、各機関及び各専攻の英文 Web ページの充実化を図り、引き
続き研究者及び留学生等の利便性の向上に努めた。
核融合科学研究所では、博士論文出願及び授業料免除申請のための英文
マニュアルを整備し、引き続き留学生の利便性の向上に努めた。
-
114
-
自然科学研究機構
Ⅱ 教育研究等の質の向上の状況
(4) その他の目標
② その他
中 期 目 標
自然科学における各専門分野の情報発信の拠点を形成する。
中期計画
年度計画
計画の進捗状況
【153】
【153-1】
① 図書、雑誌(電子ジャーナル ① 他の大学共同利用機関法人及び総合研究大学院
を含む)の充実を図り、各専門
大学と連携し、アクセス可能な電子ジャーナル利
分野の情報センターとしての機
用を推進させ、各分野の情報センターとしての機
能を拡充する。
能を拡充する。
【154】
② 本機構本部、研究所等間のネ
ットワーク等の整備を行い、情
報連絡の効率的運用を図る。ネ
ットワークセキュリティにも留
意する。
【154-1】
② 情報セキュリティに考慮しつつ、本機構と研究
所等間のネットワーク等の効率的運用を推進す
る。
-
115
-
【153~154】
各機関では、論文検索システム及び蔵書検索システム等を引き続き整
備するとともに、国立大学法人等が所蔵している図書館資料(図書・雑
誌)の所蔵状況を検索できる国立情報学研究所のシステムに加入し、専
門分野の情報センターとして整備を引き続き行った。
構内の情報ネットワーク及びテレビ会議システムを活用して、情報連
絡の効率化を図った。
核融合科学研究所では、情報ネットワーク及び情報セキュリティに関
して、管理・運用等を行うためにネットワーク管理運用室を設置した。
岡崎3機関では、ファイアウォールを全面的に更新し、最新の情報ネ
ットワークセキュリティに対応すると共に、本機構と研究所等間のネッ
トワーク等の効率的運用を阻害しないシステムを構築した。
自然科学研究機構
Ⅱ
教育研究等の質の向上の状況に関する特記事項
1.自然科学における研究の推進
本機構の国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分
子科学研究所は、天文学、分子科学、エネルギー科学、生命科学等における大学共
同利用機関としての役割と機能の一層の充実に努めたほか、各分野間の連携も進め
た。
1)分野間連携等の推進
分野間の連携による学際的・国際的研究拠点形成のため、分野間連携プロジェ
クト(16 件)に、総額 503 百万円を配分し、実施した。
自然科学研究の新分野の創成を目指す機構の理念を具体化するために、「ブレ
インサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究分野」の2つの新た
な研究分野の研究を行うことを目的とした、「新分野創成センター」を平成21
年度に設置した。
2)天文学の推進
すばる望遠鏡、野辺山 45m ミリ波望遠鏡をはじめとする世界最高性能の望遠鏡
を国内外の研究者が共同利用することにより、世界トップクラスの天文学を推進
した。特に、太陽型星をめぐる惑星候補天体の直接撮像成功や、恒星の自転に逆
行して公転する惑星系の発見(ハワイ観測所)、サブミリ波深宇宙探査による、
多くの大質量の爆発的星形成銀河の発見(野辺山宇宙電波観測所)、太陽観測衛
星「ひので」による、太陽面の至る所に出現する短寿命水平磁場の発見、月探査
衛星「かぐや」による、裏側を含む世界初の正確な重力分布、地殻厚さ分布の決
定などが挙げられる。
アルマ計画においては、日本が担当する主要装置であるアタカマ密集型干渉計
(ACA)用7m アンテナ及び受信機カートリッジ、ACA システムの製造を進めると
ともに、12m アンテナ等の製造完了した装置を用いた試験調整を継続し、平成 21
年 11 月、標高 5,000m の山頂において、日本製造のアンテナ1台と米国製造のア
ンテナ2台、合計3台による干渉実験に成功し、アンテナを含むシステムが「干
渉計」として仕様通り機能することを確認した。
3)核融合科学の推進
大型ヘリカル装置においては、電子温度について1億7千万度を達成し、高温
-
116
無衝突プラズマの閉じ込め磁場の最適化が、この核融合条件を越えた領域でも成
立することを実証した。また、高い中心イオン温度をもたらすプラズマ中心部で
のイオン系エネルギー輸送の改善と不純物イオンの排除の両立という、将来の核
融合炉にとって最も好ましい結果が得られた。更に、従来の核融合条件の 10 倍
を超える超高密度プラズマや高ベータ(5%)プラズマの準定常的な維持ができ
るようになるなど大きな進展があった。大規模数値シミュレーション研究ではプ
ラズマの電磁流体的不安定性や乱流輸送の特性がより深く理解された。これらを
統合解析することにより、実験結果との直接的な比較が可能となり、将来の核融
合炉条件を推測する数値試験炉の実現に向けた研究計画を策定した。核融合工学
研究では、液体ブランケットの高温化と長寿命化を目的として、軽元素不純物低
減による構造材の高温腐食の大幅抑制、およびフェライト鋼への酸化物ナノ粒子
分散強化による使用温度の約 700℃達成を実証し、機構の理解が大きく進んだ。
超伝導マグネットに関して、摩擦攪拌接合による導体製造技術を確立し、間接冷
却型による大型化への展望を開いた。
4)基礎生物学の推進
細胞生物学、発生生物学、神経生物学、進化多様性生物学、環境生物学等の基
盤研究を推進し、数多くの優れた研究成果を上げた。代表例として、プレスリリ
ースを通じて公開され新聞記事掲載に至った研究成果を以下に列挙する。①無脊
椎動物の生殖腺刺激ホルモンを初めてヒトデで発見した。このホルモンは、ヒト
の妊娠や分娩を助ける働きのあるリラキシンと呼ばれるホルモンと似た化学構
造を持つ。今後、動物の生殖システムの進化を明らかにする上で、リラキシンが
重要な鍵となることが期待される(読売新聞他4紙)。②ヒメツリガネゴケにお
いて細胞の記憶を制御する PRC2 遺伝子を破壊すると、絶滅した化石植物(前維
管束植物)に似た、多数の枝分かれを持つようになることが分かった。現在は枝
分かれを持たないコケ植物も潜在的にその能力を持つことが示され、陸上植物の
進化を論ずる上で重要な一歩となった(朝日新聞他4紙)。③マウスにおいて精
子の幹細胞が、一旦精子への分化を開始した後からでも、再び幹細胞の状態に復
帰することが可能なことを示した。幹細胞を確実に維持し、多年にわたる多数の
精子生産を保障しているメカニズムの一端が明らかになった(日経産業新聞他4
-
自然科学研究機構
紙)。④脊椎動物の脳や脊髄の元となる神経管は、神経板という平面状の組織が
くぼんで作られるが、この時に、神経板の細胞の片面にアクチン(筋収縮にかか
わるタンパク質)が集積して収縮することが原動力となると考えられている。こ
の集積に2種類の細胞間接着分子が関わっていることを明らかにした。形態形成
の基本メカニズム解明につながる成果である(日経産業新聞他2紙)。⑤植物の
細胞が細菌感染した時に発動される免疫機構のひとつを解明した。細菌感染後
に、細胞内の液胞と細胞外をつなぐ通路が形成され、液胞内の抗菌タンパク質を
放出するとともに、自らは細胞死を起こし感染の拡大を防止していた。植物の自
己防衛能力の一端が明らかになった(中日新聞他4紙)。
5)生理学の推進
生理学・神経科学の分野で、数多くの優れた研究成果をあげた。代表的な成果
としては、以下のものがあげられる。視床下部オレキシン神経細胞が、味覚刺激
とそれに伴う動機づけ行動によって活性化し、骨格筋でのグルコース利用を促進
することを明らかにした。機能的磁気共鳴画像と脳磁図を用いて痒み認知時の脳
活動を詳細に記録し、痒み認知は痛み認知と類似の脳活動を示すが、頭頂葉後部
にある楔前部が痒み認知時に特別に活動する事を明らかにした。ミクログリアに
よる正常脳及び障害脳におけるシナプス監視機構とシナプス再編への関与を多
光子励起顕微鏡により生体で明らかにした。
また技術面では、既存の蛍光タンパク質の中で最も短い波長の蛍光を発する群
青色蛍光タンパクを開発した。機能的磁気共鳴画像をニホンザルに適用し、視覚
認知に関与する脳機能の計測が可能となった。
6)分子科学の推進
量子化学計算、分子動力学法の計算プログラムの並列高速化や新しい理論に基
づいた、ナノ分子系、巨大分子系、複雑系・複合分子系に対する、電子状態、反
応中間体、光励起ダイナミクスの解明において格段の進展があった。様々な分子
物質、ナノ物質等の機能と動的過程の解明及び制御を目的とした、分光法・顕微
鏡法、光制御法の更なる高度化、新規なレーザー光源、コヒーレント放射光源の
開発と高度化においても大きな進展があった。特に、蛋白質フォールディングを
担う複合タンパク分子の核磁気共鳴(NMR)分光解析による構造解明、金属錯体
の1光子励起による2〜6電子還元反応の一般的経路の開拓等に成功した。新規
な構造・機能・電子物性をもつ様々な有機化合物とその集合体の開発、グラフェ
-
ン壁を持つ革新的多孔性炭素材料の2次電池への応用にも成功した。更に、超高
速有機合成反応の開発、窒素循環サイクルの反応活性種モデル錯体の合成と反応
性の解明等でも顕著な成果があがった。
2.共同利用・共同研究の推進
1)全国共同利用の推進
国立天文台では、ハワイ観測所、水沢 VERA 観測所、野辺山宇宙電波観測所、
野辺山太陽電波観測所、太陽観測所・乗鞍コロナ観測所、岡山天体物理観測所な
どの様々な観測装置及び天文シミュレーションプロジェクトのスーパーコンピ
ュータ並びに天文データセンターの天文データベースを共同利用に供したほか、
太陽観測衛星「ひので」のデータ公開を実施した。
核融合科学研究所では、3つのカテゴリーの共同利用・共同研究を進めた。運
営会議の下に組織される共同研究委員会により研究課題を公募し、審査・採択を
行った。課題の採択件数は、一般 360 件、LHD 計画 31 件、双方向型 74 件であり、
昨年度と比較して件数は微増、経費は同規模で行った。
基礎生物学研究所では、研究者コミュニティからの要請に応え、新たに DSLM
(デジタル走査式平面照射顕微鏡)共同利用実験、次世代 DNA シーケンサー共同
利用実験の公募を開始した。また、国際実習コース実施のために整備したトレー
ニングコース実習室を、所外主催の実習コース等への利用を可能にするトレーニ
ングコース実習室施設利用の公募を開始した。DSLM を共同利用に供するための
準備として、マウス、カエル、メダカ、ゼブラフィッシュ、ニワトリ、アメーバ
の各種観察に適用し、多様な要請に応える実績を積んだ。その過程で、精密な温
度調整を可能にする空調機の導入及び、観察可能な対象を広げるための 405nm
レーザーの設置と 60x 対物レンズが使用できる試料チャンバーの製作を実施し
た。大型スペクトログラフ施設の高度化の一環として導入した波長可変レーザー
照射システムに関して、共同利用において必要となる水中試料への細胞小器官レ
ベルでの限局された照射を可能とする反射型液晶パターン照射装置(LCOS-SLM)
を導入し設置調整を行った。メダカバイオリソースにおいて、室内飼育室整備に
よるメダカの保存・提供体制の充実並びに、系統の受け入れから系統特性のデー
タベース化までの効率化を図った。また、遺伝子導入メダカの作成と精子凍結に
よる系統保存及び凍結精子を用いた人工授精に関する国際講習会を開催した。
117
-
自然科学研究機構
生理学研究所では、サバティカル制度等を利用した長期滞在型共同利用研究を
行う研究者を受け入れる流動連携研究室を多次元共同脳科学推進センターに新
設し、長期滞在型の共同研究を開始した。脳科学以外の領域の若手研究者に基本
的な脳科学の知識を提供する「多次元トレーニング&レクチャー」を開催した。
計画共同研究として今年度より新たに「マウス・ラットの行動様式解析」を開始
した。
分子科学研究所では、例年と同じ水準で共同研究・共同利用及び研究会の開催
を活発に実施した。更に、920 MHz 核磁気共鳴(NMR)装置については、共同利
用支援を行うとともに、固体温度可変プローブの開発を継続し、平成 22 年度中
の共同利用開始に目処が立った。小型放射光光源として最高輝度を持つ極端紫外
光研究施設では、光源強度を長時間にわたり一定に保つトップアップ運転を試行
的に利用者に開放し、定常運転化に必要となる利用技術の開発を進めた。これに
よって 22 年度中の定常化に目処が立った。また、軟X線分光研究の強化のため
に新たなアンジュレータビームラインの利用を開始した。計算科学研究センター
では、「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用−ナノ分野グラン
ドチャレンジ研究−」の拠点として研究開発を推進し、アプリケーションソフト
ウェアの実証研究を開始した。
2)国際交流等の推進
国際戦略本部では、国際共同研究を支援する職員及び組織の国際性の強化を図
るため、国際研究支援職員研修を引き続き実施し、外国人共同研究者受入れ業務
の改善を図った。
国立天文台では、アルマ計画において、最高決定機関であるアルマ評議会への
参加、合同アルマ事務所との定期的協議、米欧の装置建設チームとの協議などを
通じてアルマ建設における連携を引き続き強化した。水沢 VERA 観測所では、東
アジア中核天文台連合の下に設置した東アジア VLBI 観測網コンソーシアムを通
じて、VLBI 相関局の韓国との共同開発など国際的な研究協力を進めた。ハワイ
観測所では、新しい高感度 CCD の開発、プリンストン大学や台湾・中央研究院と
の協力による新観測装置開発を進めた。また、次世代 30m 級望遠鏡構想の実現に
向けて、ELT プロジェクト室が米国の 30m 望遠鏡 TMT 建設プロジェクトグループ
との国際協力による実現を検討している。岡山天体物理観測所は普賢山天文台
(大韓民国)、興隆天文台(中華人民共和国)と協力し巨星の周りの褐色矮星の
-
118
共同発見などの研究成果を上げた。
核融合科学研究所では、外国人客員研究員として6名を受け入れ共同研究を進
めた。また、短期を含めた海外からの来訪者数は延べ 174 名であった。一方本研
究所からの派遣は共同研究 105 名、成果発表 122 名であった。
基礎生物学研究所では、自然科学研究機構が学術研究の推進のために欧州分子
生物学研究所(EMBL)との間で展開している共同研究活動において中心的な役割
を果たしており、平成 21 年度においては、第9回 EMBL-NIBB 合同シンポジウム
「機能イメージング」の開催、EMBL における学生主催シンポジウムへの大学院
生の派遣、並びに EMBL から導入したデジタル走査式平面照射顕微鏡(DSLM)の
改良型の開発を通じて積極的な共同研究活動を展開した。新たにマックスプラン
ク植物育種研究所との国際共同研究協定を締結して第1回シンポジウム「進化と
発生」をドイツで開催し、所内の研究者に加えて同研究所と共同研究を希望する
研究者を全国から公募して現地に派遣した。第4回基生研国際実習コース「ヒメ
ツリガネゴケの実習とワークショップ」及び第5回基生研国際実習コース「小型
魚類モデルの発生遺伝学」を開催して、国内外の受講生に対して先端的技術実習
を行った。第 56 回基生研コンファレンス「大脳皮質」を、国外9名国内 18 名の
招待講演者を迎えて開催した。
生理学研究所では、外国人客員教授・外国人客員研究員を延べ 13 名受け入れ、
共同研究を行った。第 40 回を迎えた生理研国際シンポジウムには、52 名の国外
シンポジストを含めて約 200 名が参加した。IBRO(国際脳研究機構)アジア太平
洋委員会との共催で、IBRO 神経科学上級コースを開催し、約 150 名の応募者か
ら選考された 8 カ国からの 14 名が参加した。韓国 Korea 大学及び Yonsei 大学
との合同シンポジウムをソウルで開催し、生理学研究所より大学院生9名を含む
21 名が参加した。
分子科学研究所では、国際交流と共同研究を推進する目的で、岡崎コンファレ
ンスの公募を行い、1件のコンファレンスを実施した。また、日本学術振興会ア
ジア研究教育拠点事業を継続して受託し、6件のシンポジウムの開催と9件の共
同研究の推進を行った。
3)大型施設・設備の提供
国立天文台のすばる望遠鏡は、8m 級では一台の望遠鏡当たりで最大の装置数
で常時の装置交換を行っている唯一の天文台であるが、望遠鏡と装置を適切に保
-
自然科学研究機構
守し、滞りない装置交換を実行することで 95%という高い運用率を維持してい
る。更に、次世代の補償光学装置の開発、太陽系外の惑星探査用装置の開発研究
等を推進して世界第一線の観測手段を提供する方策を実施している。また、他の
8m 級望遠鏡と時間交換をすることで、すばる望遠鏡のみでは実現できない観測
機能をコミュニティに提供している。
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置は世界最大の超伝導核融合実験装置で
あり、この規模の大型装置としては世界に類を見ない極めて多数の実験ショット
を信頼性よく共同研究者に提供している。平成 21 年度も1日当たり 150 回程度
(全 6,229 回)のプラズマ放電を実現し、多様な実験機会を提供した。また、シ
ミュレーション科学研究の基盤となるプラズマシミュレータ(スーパーコンピュ
ータ)は、平成 20 年度末の更新により、4,096 の CPU を有するスカラ型並列計
算機となり、共同研究者に多様な大規模シミュレーションの計算機利用環境を提
供している。平成 21 年度の利用者の総数は 144 名であり、CPU 稼働率も恒常的
に 80%を越えている。
分子科学研究所では、光源と観測装置の高度化によって大幅に競争力を増した
極端紫外光研究施設を年間のべ 1000 人・週を超える共同利用研究に提供した。
文部科学省の「中部地区ナノテク総合支援」の代表機関として受託を継続して実
施し、高度な装置群を開放した。計算科学研究センターでは、超高速分子シミュ
レータの継続的な運用に加えて高性能分子シミュレータの更新作業を行い、大規
模分子科学計算の共同利用を強化・推進した。また、高度な技術を要する装置開
発の、所外への技術支援を推進した。
4)ネットワーク型の共同研究
国立天文台では、北海道大学、茨城大学、筑波大学、岐阜大学、大阪府立大学、
山口大学、鹿児島大学及び宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構並びに国土
地理院等との「大学間連携」経費による国内 VLBI 観測網による観測を推進した。
また、広島大学と協力して同大学の 1.5m 望遠鏡「かなた」を用いた共同研究を
実施するとともに、東京工業大学とはガンマ線バースト追跡用の 50cm 光学望遠
鏡による共同観測を遂行した。国立天文台、東京大学、高エネルギー加速器研究
機構間の協定に基づき、重力波観測研究を推進した。
核融合科学研究所では、双方向型共同研究を積極的に推進した。本共同研究を
推進する母体である双方向型共同研究委員会を7回開催し、研究活動の進展とそ
-
119
の方向性について継続的に議論を行った。特に本年度は、次期中期計画期間に向
けた活動の展開をワーキンググループを設けて議論し、平成 22 年度より新たに
2センターを参画させることになった。
分子科学研究所では、全国の大学が有する研究設備の相互利用を活性化するイ
ンターネットによる「化学系研究設備有効活用ネットワーク」の中心機関として、
利用予約・課金システムの大幅な増強を実現し、また、相互利用設備数を増加し
た。また、25 大学の設備の修理・アップグレードを実施した。
5)データベースの提供
国立天文台では、天文データセンターで保有する岡山天体物理観測所、東京大
学天文学教育研究センター木曽観測所、すばる望遠鏡によって取得された天体等
の観測データの充実に努めた結果、データアーカイブ量は、30TB(テラバイト)
に達した。また、天文データセンターが中心となり、東京工業大学と共同でガン
マ線バースト残光追跡観測用望遠鏡のデータアーカイブの運用を開始するとと
もに、バーチャル天文台システムの試験公開を開始した。このほか、遠隔地の計
算機同士を連携させるグリッド・ミドルウェアに関する技術試験を高エネルギー
加速器研究機構と共同で実施した。また、ひので衛星のデータを平成 19 年度よ
り公開している。
核融合科学研究所では、連携研究推進センター原子分子周辺プラズマデータ研
究部門において、各種コード、原子分子データベースの作成・公開を推進し、世
界で広く活用された。平成 21 年度には、7,720 件(データ検索件数)の利用が
あった。また、核融合科学研究所核融合アーカイブ室では、史料の収集を続ける
傍ら、登録データの整備を行い、その数は約 20,000 件に達した。国際標準であ
る符号化記録史料記述(EAD)に準拠した公開史料目録の数が約 5,000 件に達し
た。これらは、京大湯川記念館史料室アーカイブス他との間の横断検索に供され
ている。大学共同利用機関の成立史の一環として、核融合アーカイブスを基にし、
核融合科学研究所の成立史をまとめた。
基礎生物学研究所では、各種モデル生物のデータベースとして、ヒメツリガネ
ゴケ・ミジンコ・アフリカツメガエルの EST データベース、微生物ゲノム比較デ
ータベース、植物オルガネラデータベースを構築しており、平成 21 年度は約
134,826 件アクセスがあった。
生理学研究所では、技術課が中心となり、様々な回路図、実験手法、図譜等の
-
自然科学研究機構
データベース化を継続して行い、新たにデータベースの和英バイリンガル化を進
めた。
分子科学研究所では、量子化学計算文献データベースを科学研究費補助金も導
入することによって引き続き構築し、計算科学研究センター利用者を中心に公開
した。
3.大学院教育の協力
全ての専攻で 5 年一貫制大学院教育を実施した。また、東京大学大学院理学系研
究科、名古屋大学大学院理学研究科、同工学研究科、北海道大学大学院工学研究科、
富山大学大学院理工学研究科、東邦大学大学院理学研究科等と連携して大学院教育
を実施した。更に、東京大学大学院理学系研究科及び名古屋大学大学院医学研究科
との単位互換制を維持した。また、大学からの要請に応じて、大学院生を特別共同
利用研究員として受け入れ、大学共同利用機関の特色を活かした研究指導等を行う
など、大学院教育に積極的に協力した。
4.社会連携・地域貢献の推進
各機関では、研究者を対象とした講演会を開催したほか、一般市民、青少年等を
対象とした講演会や一般公開を実施するなど、多彩な広報活動を展開したほか、教
育委員会をはじめ地域の諸団体と連携し、科学教室や出前授業等の積極的な普及活
動を実施した。また、高等学校生を対象としたスーパーサイエンスハイスクール
(SSH)事業に積極的に協力するとともに、サイエンスパートナーシッププロジェ
クト(SPP)事業に協力したほか、若者の職業能力の開発・育成のための「日本版
デュアルシステム」、中学校及び高等学校の職場体験学習にも積極的に参加して地
域との教育連携を行った。
-
120
-
自然科学研究機構
Ⅲ
予算(人件費見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画
※
財務諸表及び決算報告書を参照
-
121
-
自然科学研究機構
Ⅳ
短
期
借
入
金 の
限
度 額
中 期 計 画
年
度 計 画
実
1.短期借入金の限度額
75億円
1
短期借入金の限度額
75億円
1
2.想定される理由
運営費交付金の受入れ遅延及び事故の発生等に
より緊急に必要とされる対策費として借り入れす
ることも想定される。
2
想定される理由
運営費交付金の受入れ遅延及び事故の発生等に
より緊急に必要となる対策費として借り入れする
ことも想定される。
2
Ⅴ
績
短期借入金の限度額
該当なし
想定される理由
該当なし
重 要 財 産 を 譲 渡 し 、 又 は 担 保 に 供 す る 計 画
中 期 計 画
年
① 国立天文台水沢VERA観測所の建物(旧本館、木
造2階建、延面積634.76平方メートル)を譲渡する。
度 計 画
該当無し
実
績
実
績
該当なし
② 岡崎3機関山手地区共同利用研究員宿泊施設
(山手ロッジ)の土地(愛知県岡崎市明大寺町東山
5-1、3,022.46平方メートル)を譲渡する。
Ⅵ
剰
余
金
の
使
途
中 期 計 画
決算において余剰金が発生した場合は、次の経費
に充てる。
① 重点研究の推進
② 共同利用の円滑な実施体制の整備
③ 若手研究者の育成に必要な設備の整備
④ 広報普及活動の充実
⑤ 職場環境の整備
年
度 計 画
決算において剰余金が発生した場合は、次の経費
に充てる。
1.重点的研究の推進
2.共同利用の円滑な実施体制の整備
3.若手研究者の育成に必要な施設の整備
4.広報普及活動の充実
5.職場環境の整備
-
122
-
目的積立金全額 787 百万円を取り崩し、以下の経
費に充てた。
1.重点的研究の推進
2.共同利用の円滑な実施体制の整備
3.職場環境の整備
自然科学研究機構
Ⅶ そ
の
他
(1) 施設・設備に関する計画
中 期 計 画
施設・設備の内容
アタカマ大型ミリ
予 定 額
(百万円)
年
財
源
総額
施設整備費補助金
14,090
(14,090)
施設・設備の内容
度 計 画
予
定
額
(百万円)
総額
アタカマ大型ミリ
実
財
源
施設・設備の内容
(4,629)
施設費交付事業費
アタカマ大型ミリ
波サブミリ波干渉
波サブミリ波干渉
計(アルマ)
計(アルマ)
基幹・環境整備
垂直中性粒子入射
垂直中性粒子入射
小規模修繕
加熱用ビーム発生装
加熱用ビーム発生装
災害復旧工事
置
置
(
61)
位置制御ポロイダルコ
(注1)金額については見込みであり、中期目標を
イル コイル電源極性切
達成するために必要な業務の実施状況等を
替え装置
勘案した施設・設備の整備や老朽度合等を
(明大寺)実験棟
勘案した施設・設備の改修等が追加される
改修(分子研)
こともある。
(三鷹)アルマ東
(注2)小規模改修について17年度以降は、16
アジア地域センタ
年度同額として試算している。
ー
なお、各事業年度の施設整備費補助金につい
小規模修繕
ては、事業の進展等により所要額の変動が予想
されるため、具体的な額については、各事業年 注)金額は見込みであり、上記のほか、業務の実施
状況等を勘案した施設・設備の整備や、老朽度合い
度の予算編成過程において決定される。
等を勘案した施設・設備の改修等が追加されること
もあり得る。
波サブミリ波干渉
計(アルマ)
位置制御ポロイダルコイ
ル コイル電源極性切替
え装置
(明大寺)実験棟改
修(分子研)
(三鷹)アルマ東ア
ジア地域センター
同時計測用高磁場
磁気共鳴画像装置
500KV 位 相 差 低 温
トモグラフィー
生体分子計測用高
磁場低エネルギー
核磁気共鳴装置
高感度パルス電子
スピン共鳴装置
-
123
-
定
額
(百万円)
総額
施設整備費補助金
4,690
決
績
5,223
財
源
施設整備費補助金
(5,162)
施設費交付事業費
(
61)
自然科学研究機構
(三鷹)太陽光発電
設備
(明大寺)災害復旧
事業
小規模修繕
-
124
-
自然科学研究機構
Ⅶ そ
の
他
(2) 人事に関する計画
中 期 計 画
公募制・任期制を取り入れ、研究教育職員の人事選
考の透明性を確保するとともに、外国人研究者の採用
を促進し、国際的な研究機関として広い視点を取り込
む。
事務職員については、大学、研究機関等との人事
交流を推進するとともに、専門的能力の向上を図る
ため研修等への積極的な参加を促す。
(参考)中期目標期間中の人件費総額見込み
56,129百万円(退職手当を除く。)
年
度 計 画
公募制・任期制を取り入れ、研究教育職員の人事
選考の透明性を確保するとともに、外国人研究者の
採用を促進し、国際的な研究機関として広い視点を
取り込む。
事務職員については、大学、研究機関等との人事
交流も継続し、本機構職員の能力向上に努める。
(参考1)平成21年度の常勤職員数 922人
また、任期付職員数の見込みを76人
とする。
(参考2)平成21年度の人件費総額見込み
10,047百万円
-
125
-
実
績
前年度に引き続き、研究教育職員の採用について
は、原則として公募制による選考採用によることと
し、教育研究評議会が定めた選考基準に基づき、外
部委員を約半数含む運営会議による選考を通じて、
透明性・公平性を確保した。また、分子科学研究所
では、研究教育職員について内部昇格禁止とする制
度を継続実施し、流動化・活性化を図るとともに、
大学と連携して次世代の研究者の育成に寄与した。
各機関において、外国人研究者の採用を促進する
とともに、外国人来訪者等を適宜受け入れ、国際的
な視点を取り込んだ。
機構事務局では、引き続き国際アソシエイトを継
続雇用し、国際化に対応した。
事務職員について、大学、研究機関等と人事交流
を継続して実施し、能力向上に努めた。
自然科学研究機構
添付資料
「各年度終了時の評価における大学共同利用機関法人の特性を踏まえた評価の
留意事項(審議のまとめ)」に対応した自然科学研究機構の取り組み
1.実績報告書記載事項との対応
実績報告書記載事項末尾の各記号(例:[A-①])は、国立大学法人評価委員会大学共同利用機関法人分科会で作成された、「各年度終了時の評価における
大学共同利用機関法人の特性を踏まえた評価の留意事項(審議のまとめ)」(平成17年3月4日、一部改正:平成18年3月6日)で整理されている、以下の
項目に対応した本機構の取り組みである。
2.留意事項
(1)共通するポイント
〔ポイントA-①〕独創的・先端的な学術研究を推進する共同利用
〔ポイントA-②〕国際的な貢献・連携等、国際的に中核となる研究拠点としての役割
〔ポイントA-③〕人材集結型、ネットワーク型の共同研究
〔ポイントA-④〕最先端の研究施設・設備や国際的プロジェクトを活用した人材養成
〔ポイントA-⑤〕研究者や大学等に対する情報提供
(2)共同利用の機能・形態によって異なるポイント
〔ポイントB-①〕大型施設・設備提供型の共同利用
〔ポイントB-②〕学術資料・情報の組織的調査・研究、収集、整理、提供を行う共同利用
〔ポイントB-③〕学術情報基盤形成、データベース等の共同利用
-
126
-
Fly UP