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クレジット・インシュアランス 常教

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クレジット・インシュアランス 常教
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企業相互間の取引は、一般に信用取引によることが多いo しかし、信用取引には貸倒損失の発
生も避け難い。売掛金の迅速且つ確実な回収は企業にとって最も肝要なことである。企業倒産の
多くが売掛金の回収不能によって起ることは統計の示すとおりである。今日のように、高度に発
達した信用経済においては、企業倒産の連鎖反応によって拡大する経済不安はきわめて大きい。
種々な性質の経済不安を除き経済の安定を図る手段として、保険の必要なことは改めて論ずるま
でもない。にもかかわらず、売掛金の貸倒れを保険事故とする損害保険は、保険技術上の困難性
もあって、各国ともいまだ充分な発達をみていない。本稿では、現在アメリカにおいて民間の保
険会社が営んでいる貸倒保険としてのクレジット・インシュアランス(credit insurance)をと
りあげ、その特質と機能について、若干の分析と吟味を試みることとしたい。
I クレジット・インシュアランスの定義
今日、わが国の損害保険会社によって営業されている保険種目としての信用保険は、雇主に対
する雇人の身元保証に関する普通信用保険と身元保証人責任保険とであって、むしろ身元保証保
険と称すべき性質の保険である。したがって、本稿でとりあげる貸倒保険としてのクレジット・
インシュアランスに文字どおり信用保険という用語をあてはめると、貸倒保険とは全ぐ性質の異
なる身元保証保険との混同を招くおそれがある。もっとも、わが国においても、公営保険として
の棉出(信用)保険・中小企業信用保険・機械類信用保険等においては、信用保険という用語が
貸倒保険の意味に用いられている。すなわち、わが国においては、信用保険という用語が二つの
全く性質の異なる保険の意味に用いられているわけである。また、信用保険を貸倒保険の意味に
限ってみても、国によって保険契約の内容や形式あるいは保険の経営形態等の点からみて、かな
りその性質を異にするものが多い。しかし、本稿にとりあげたクレジット・インシュアランス
は、上述のように、現在アメリカにおいて民間の保険会社が営んでいる損害保険であって、企業
間取引における商品(サ-ビスを含む)の売掛金貸倒保険を意味するO したがって、本稿に言う
クレジット・インシュアランスにおける保険者は民間の保険会社であって、政府関係の保険機関
ではない。また、被保険者としての企業は、他の企業と取引関係にある製造業者・卸売業者・広
告代理業者・サービス業者等の企業であって、小売業者あるいは消費者金融機関等ではない。し
たがって、消費者に対する売掛金の回収不能によって生ずる貸倒損失を填補する消費者信用保険
(consumer credit insurance)とはその性質を異にする。本稿に言うクレジット・インシュア
ランスと消費者信用保険との区別はクレジット・インシュアランスを特に商業信用保険(com-
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クレジット・インシュアランス(岡部)
mercial credit insurance)と呼ぶことによって明確にすることができる日。以上のような意
味におけるクレジット・インシュアランスは、現在わが国においては行なわれていない。すなわ
ち、民営保険としては、企業の企業に対する普通の売掛金についての貸倒保険は行なわれていな
いO民営の貸倒保険としては、割賦販売代金の貸倒保険のみである。輸出代金保険・中小企業信
用保険・機械類信用保険・住宅融資保険等の貸倒保険が行なわれているが、これらは公営保険で
あって、本稿に言うクレジット・インシュアランスとはその性格を異にする。以下、本稿におい
ては、上述のような特色をもつクレジット・インシュアランスを商業信用保険と呼び、次のよう
な定義を与えておくこととしたい。 「商業信用保険とは、被保険者としての企業に対し、その版
完先企業の支払不能によって被保険者が被る貸倒損失を填補する責任を引受けるとともに、その
保険関係に付随する種々の補助的・助成的便益を被保険者としての企業に供与する保険契約であ
る`2㌦」
轟1近年、アメリカにおいて credit insuranceという用語がcredit life insuranceとかretail
credit insuranceなどの用語にみられるように広義につかわれるようになってきT=が、本来は
credit insuranceといえばcommercial credit insuranceのみをさす用語であった。
J.L. McCauley, Credit Insurance : Its History and Functions, 1959, p. 3.
2 C. W. Phelps, Commercial Credit Insurance as a Management Tool, 1961, p.10.
R. H. Cole, Consumer and Commercial Credit Managent, 1968, p.545.
I 商業信用保険の基本的特質
アメリカにおける商業信用保険の歴史は1837年頃まで遡ることができるが、実際に商業信用保
険事業を営んだ保険会社としては、 1887年以来今日までの間に19社を数えることができる‖'o し
かし、現在、アメリカにおいて商業信用保険を営んでいる会社は、このうち2社のみであるo一
つは American Credit Indemnity Company of New Yorkであり、もう一つはLondon
Guarantee and Accident Company, Ltd.である。前者は1893年の創業であり脚、通称AC
I社と呼ばれ、、商業信用保険を専門に営んでいる保険会社である。後者は本店をロンドンにおく
保険会社であって、アメリカにおいて商業信用保険事業を始めたのは1892年である(3'。営業種目
としては商業信用保険に限らず、その他各種の損害保険を兼営している。両者はともに商業信用
保険事業分野におけるバイオニヤー的存在であるが、商業信用保険事業を始めた多くの保険会社
のうち、この2社のみが今日まで存続し営業を続けているという事実は注目すべきであろう。ま
た、このような事実は、その経営が適切でない限り、商業信用保険事業は、非常に危険の多い保
険事業であることを物語るものといえよう。ところで、保険契約の様式は、従来、両者ともほと
んど同一であったが、近年、 AC I杜において形式・内容ともにかなりの修正が加えられた。ま
た、アメl)カにおける商業信田保険は大部分AC I杜によって取扱われている。したがって、以
下、本稿においては主としてAC I社の資料に基づき、商業信用保険の基本的特質を明らかにし
たい。
商業信用保険契約の内容は固定的なものではなく、弾力性にとみ、保険契約者は、それぞれの
必要に応じて最も適当な内容の保険証券を選ぶことができる。保険証券は、標準形式としては数
種類であるが、それと多くの裏書・特約条項とを組み合わせることによって、保険証券の内容に
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いろいろと変化をもたせ、それぞれ保険契約者の必要に応じて、その要求に適合するように作成
される。
被保険者はその完掛金勘定をすべて付保するのが原則であるが、付保の必要がない販売先勘定
については特約によって除外することもできるo しかし、逆に保険会社の方から有利な売掛金勘
定の保険のみを引受け、他の勘定の引受けを拒絶するようなことは、もちろん、ありえない。
被保険者の販売先売掛金勘定ごとの個別勘定担保限度額(individual account coverage)に
ついてみれば、その販売先が商業興信所の信用格付をもたない場合は、すべて一律の担保限度額
が適用され、信用格付をもっている場合は、その格付等級に応じて信用格付等級別担保限度額表
に定められた、それぞれの担保限度額が通用される。被保険者の販売先に対する売上高がいずれ
も比較的少なく、そのほとんどが興信所によって信用格付きれていないか、あるいは信用格付さ
れていても下級格付の販売先を多数にもっ被保険者の場合は、標準形式のうちで最も簡単な無格
付保険証券が用いられる。この場合、個別勘定担保限度額は興信所の格付によることなく、単一
担保限度額が適用される。被保険者の販売先に対する売上高がいずれも比較的多く、売掛金残高
にかなり差異があり、販売先が一般に上級の信用格付をもつ場合、個別勘定担保限度額は、商品
積送日現在における販売先の信用格付等級にしたがって信用格付等級別担保限度額表に定められ
ているとおり、自動的に決定される。以上のように、信用格付のある勘定については、その勘定
の個別勘定担保限度額が信用格付等級別担保限度額表によって自動的に決定されることになる
が、信用格付は被保険者の希望する興信所…による信用格付であり、第三者の公平な判定である。
保険契約者は担保額を担保限度額の範囲内で自由にきめることができるのであって、保険料もそ
の担保額に対する保険料のみを支払えばよい。ある販売先に対して担保限度額以上に販売するこ
とを希望する場合は、保険証券にその販売先の名称を特記して担保限度増額裏書をすればよい。
また、保険期間中その担保金額を増額あるいは減額することも自由である。商業信用保険は、上
述のように弾力性に富むばかりでなく、煩雑な手続きを要せず、保険契約者は保険会社に対し商
品積送のつど報告する必要もなく、日々の取引が自動的に保険されることになるわけである。
被保険者は個々の売掛金勘定について、上述の如くそれぞれ規定された最高額までの保険担保
を得るが、それとは別に被保険者がうけることのできる保険保護の総額すなわち保険金額が保険
証券に明記される。言うまでもなく、保険金は保険者が被保険者に対し填補の責任を負う貸倒損
失の総額(最高限度額)である。したがって、被保険者の貸倒損失に対する損害填補額は、個刺
勘定の担保限度額および紐街としての保険金額によって制約をうけることになるO しかし、被保
険者がその貸倒損失に対し実際にうけることのできる貸倒損害填補親は、さらに次の二つの控除
項目によって制約をうけることになるo一つはコインシュアランス(co-insurance)であり、い
ま一つはプライマリー・ロス(primary loss)である。
コインシュアランスは一種の保険者免責歩合であり,信用危険の程度に応じて一定割合で貸倒
損失額から控除される金額である。その目的は被保険者にも危険を負担させることにより被保険
者をして、その販売先に対する信用供与をより慎重におこなわしめ、遺徳的危険を少なくし、被
保険者による保険の濫用を防ぐためである。コインシュアランスは信用格付が一級ないし三級の
販売先の売掛金勘定については10%、その他の販売先勘定については20%程度である。換言すれ
ば、被保険者が受取り得る最高限度の貸倒損害填補額は担保限度額の90-80%となるわけであ
る1960年から採用されたA形式とB形式の標準保険証券には、コインシュアランス条項がつけ
られていない。したがって、この形式の保険証券においては、控除項目はプライマリー・ロスの
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みである。プライマリー・ロスは通常1%以下であるから、コインシュアランス条項のないA形
式およびB形式の保険証券では、被保険者は売掛金勘定の99%以上の損害填補をうけ得ることに
なるO近年、この形式の保険証券の利用が増加しているO
被保険者はコインシュアランス条項をつけることによって保険料を安くすることができる。し
たがって、コインシュアランス条項のない保険は高い保険料を支払わなければならない。保険会
社としては、コインシュアランス条項をつけない保険からは高い保険料が得られるわけであるか
ら、コインシュアランスなしの保険もすすんで引受けているが、ただしその場合、保険申込者に
ついて充分慎重に吟味し、経営の健全な企業を選ぶよう注意をねこたらないことは言うまでもな
い。
次にプライマリー・ロスの間塩であるが、商業信用保険はすべての貸倒損失を填補するもので
はなく、通常発生しがちなノーマル・ロス(normal loss)をこえて発生するアブノーマル・ロ
ス(abnormal loss)を填補するものである。言うまでもなく、個別的にみて予測可能な事故い
わゆる確定事故によって引き起こされる経済不安を保険の対象とすることは適切でない。貸倒れ
のなかには、健全な信用販売政策にしたがい、売掛金勘定の管理を慎重にし、効果的な集金方法
をとっても、なおかつ避けられない、毎年だいたいきまって発生する、個別的にみて予測可能と
考えられる貸倒れがある。このような貸倒れは、いわば、確定事故による貸倒損失ともみなしう
るもので、保険の対象とすることは不合理であり、他の経費や利潤と同様、商品やサービスの価
格のなかに含めらるべき性質のものである。これがノーマル・ロスであり、このノーマル・ロス
をこえて発生する、個別的には予測不可能な偶然事故による貸倒損失がアブノーマル・ロスであ
って、商業信用保険の填補対象となる貸倒損失である。ノーマル・ロスは商業信用保険ではプラ
イマリー・ロスと呼ばれ、被保険者の負担すべき貸倒損失として、付保販売高総額に対する比率
(百分率)およびその最少限度の金額が保険証券に明記される。保険会社は数十年以上の長期に
わたって、正確な全国的経験率を示すプライマリー・ロス表の作成に保険数理的研究を続けてき
たのであるが、その結果作成されたプライマリー・ロス表には、被保険者の事業種別・年販売高
別・保険担保類別にプライマリー・ロス率が示されている。プライマリー・ロス率は、事業種別
によって異なるが、一般に同じ業種では、販売高の大きい企業ほど低い。これは販売高の大きい
企業ほど、その企業のクレジット部門が効果的な機能を果すからであろう。プライマリー・ロス
率を決定するもう一つの方法は、被保険者の個々の経験による方法である.通常、調査期日の属
する事業年度直前の三事業年度および調査事業年度の調査期日までの期間内に実際に発生した貸
倒損失率を確認する。そのようにして得られた比率が、その業種について販売高別・担保額別に
示されたプライマリー・ロス表の比率より高い場合には、その実績率が保険証券の作成に際して
プライマリー・ロス率として採用され、また、その比率がプライマリー・ロス表の比率より低い
場合は、プライマリー・ロス率とプライマリー・ロス金額が軽減される。被保険者は規定のプラ
イマリー・ロス率以上にプライマリー・ロスを負担することにより保険料を軽減することもでき
る。また、一級・二級の信用格付をもつ販売先勘定に限り、被保険者はプライマリー・ロス免除
裏書をつけることもできる。商業信用保険においては、上述のように、コインシュアランス条項
およびプライマリー・ロス条項のいずれか、あるいは双方ともに除くことができるが、被保険者
は、双方ともに残しておく場合が多い。被保険者は、コインシュアランス条項を残しておいた万
が有利であり、またプライマリー・ロスは他の諸経費と同様予測可能な経常経費とみなし、商品
やサ-ビスの価格の中に含めらるべき性質のものと考えているからであろうO
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以上に述べたところから明らかなように、一般に被保険者が保険会社から最終的に損害填補を
うけることのできる正味の損害填補総額は、個々の売掛金勘定の個別担保限度額からコインシュ
アランスを差引き、その金額の合計から、さらに、その被保険者のプライマリー・ロスを差引い
た金額である。しかし保険金が支払われた後に、貸倒勘定について保険会社が多少ともその回収
に成功した場合には、被保険者は貸倒損失の追加填補をうけることができるから、上述のように
して計算きれた損害填補総額以上に貸倒損失の填補をうけ得ることになる。すなわち、保険金が
支払われると、その貸倒勘定についての債権は保険会社に譲渡され、保険会社はその債務者から
できる限り多く、貸倒金を回収しうるよう回収手続きを進める。回収に成功した場合、保険会社
は回収金から、それに要した経費を差引き、残額について貸倒勘定ごとの回収金分配率(salvage
interest)に応じて算出された金額を被保険者に追加填補として支払うO 正味回収金総額が支払
保険金縫額を上回った場合には、差引回収金残高はすべて被保険者に支払われる。ある売掛金勘
定についての回収金分配率は、たとえば、その売掛金勘定全額が貸倒れとなっているものとすれ
ば、その勘定の担保限度額からコインシュアランス金額を差引いた金額を、売掛金(貸倒損失
額)から差引いた金額(要するに、その保険によってかヾ-されていない金額)の、売掛金(貸
倒損失額)に対する比率として計算されるO
次に、保険期間についてみれば、商業信用保険の保険期間は通常1か年である。保険証券は
保険期間に関連して二形式にわけられるO バック・カバ-リッジ・ポリシー(back coverage
policy)とフォワード・カバーリッジ・ポリシー(toward coverage policy)であるO前者は
販売(積送)期日が保険期間中のものであると保険期間以前のものであるとを問わず、当該保険
期間中に発生した貸倒損失をすべて填補するものであり、後者は当該保険証券の販売(積送)期
間(12か月)中に販売(積送)-された売掛金勘定につき発生した貸倒損失を填補するものであ
る。ただし、後者の形式の保険証券においては、その保険期間の満了を明確にするために、 12か
月の販売(積送)期間の最終日から3か月と最長支払条件期間を加算した期間(7か月をこえる
ことはできない)内にクレームをファイルすることが要求される。保険契約者はこの両者のう
ち、いずれかを自由に選択すればよいわけであるが、 AC I社の実績によれば、前者の形式が約
85%を占めている。
次に保険料についてみれば、 AC I社のニューヨーク州保険局への提出資料によると、付保販
売高総額に対する保険料総額の比率は、だいたい0.1%の数字を示している。言うまでもなく、
個々の保険契約者の支払保険料は、付保きれる売掛金勘定の信用危険度・担保限度額・保険金・
販売条件・特約ないし裏書条項等にもとづいて決定されるわけであり、一様ではない。保険料
は、普通の場合、付保販売額の0.05-0.2%の範囲内である。しかし、販売高の非常に大きい優
良企業の場合は、その支払保険料は付保販売額の0.01%程度となっている。前にも述べたよう
に、商業信用保険は、その保険契約の内容について非常に弾力性をもたせているから、保険契約
者は自己の必要に応じて最も適当な保険証券を選べばよいわけで、たとえば、高率のプライマ')
- 1ロスの引受け、コインシュアランスの引受け、担保額の限定、付保取引先勘定の限定等いろ
いろな方法で保険料の軽減を図ることができる.
註1 J.A. Churella, An Evaluation of Credit Insurance and Its Effects on Business
Management, 1958, pp. 4, 5.
2 AC I社は最初1887年にルイジアナで設立されたが、 American Credit Indemnity Company
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クレジット・インシュアランス(岡箭)
of New Yorkという名称で、ニュ-ヨーク州法により会社組織となったのは1893年である。
J.A. Churella, op. cit., p.5.
J上. McCauley, op. cit., p.4.
ACI社はCommercial Credit Companyの子会社である。
C.W. Phelps, op. cit., p.12.
3 J. A. Churella, op.cit., p.5.
J.L. McCauley, op. cit., p.4.
London Guarantee and Accident Company, Ltd.は1968年にニューヨークのContinenntal
王nsurance Company の子会社となった。 (南カリフォルニア大学経済学部フェルブス教授より
筆者宛の書簡(1969年7月11日付)による。 )
4 保険契約者のほとんどはDun & Bradstreet, Inc.を選んでいるようである。
C.W. Phelps, op. cit., p.7.
Ⅱ 商業信用保険の機能
商業信用保険の基本的機能は、言うまでもなく、貸倒損失の填補責任の引受けにある。しか
し、前述の定義にも示しておいたように、商業信用保険は保険機能のほかに、保険関係に付随す
る種々の副次的機能を同時に果していることを見落としてはならない.むしろ、保険機能そのも
のよりも、その副次的・補助的・助成的機能によって受け得る利益が大であるために、商業信用
保険を利用する企業が多いと言っても過言ではないように思われる。商業信用保険は保険機能と
同時に、たとえば(i)支払不能勘定・支払遅滞勘定の回収、 (ii)販売高の維持・増進、 (iii)餐
金調達力の強化・信用状態の改善、 (iv)資本回転率の増大・経費の節約等、企業経営に欠くこ
とのできない重要な副次的機能を果している。
(i)まず、支払不能勘定・支払遅滞勘定の回収についてみれば、商業信用保険において支払
不能と認定きれる場合については、約款に規定されているが、その解釈は法的な意味におけるほ
ど厳格なものではなく、被保険者に有利になるよう弾力的に認定されている。付保勘定について
被保険者が支払不能と認めた場合、その日から10日以内に保険会社に対し所定の様式にしたがっ
て通知しなければならない。通知をうけた保険会社は、その売掛金勘定の回収につとめるが、そ
の成否にかかわらず被保険者は損害填補をうけ得ることは言うまでもない。その費用について
は、担保額までは無料、担保額をこえる部分についてのみ手数料が徴収される。支払期限が経過
した支払遅滞勘定についても、支払期限から一定期間(普通3か月)以内に保険会社に集金を委
託すれば、支払不能勘定の場合と同様、クレームとして取扱われる。支払遅滞勘定についての集
金は、最初の請求日より10日以内に支払われた場合は無料であるが、それ以上の日数や手数を要
する集金については、料金が徴収される。しかし、その料金は他の集金代理人の約半額である.
商業信用保険会社は、このようにして引受けた売掛金の集金・回収業務を、充分な訓練をうけた
有能な専門職貝によって、相手方企業の感情を害することのないように∴保険会社・被保険者お
よび被保険者販売先企業の相互の人間関係を充分尊重しながら、慎重に誠実に遂行する。支払期
限経過勘定については、すべてその集金業務を保険会社に委託することを強制されるものではな
く、保険会社は被保険者とその販売先との人間関係を無視してまで、被保険者による集金の自由
を奪うものではない。したがって、被保険者は、その集金業務を他の集金代理人に委任すること
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もできる。しかし、普通の集金代理人は単に売掛金の取立てに努力するのみで、それが不成功に
終った場合も損害填補の責任を負うものではない。保険会社には、もしそれが成功しなければ、
その貸倒損失を填補する責任がある。両者の間に、その業務遂行上すべての点において相違が生
ずるのは、むしろ当然であると考えられる。
(ii)販売高の維持・増進についてみれば、被保険者企業は商業信用保険を利用することによ
り、予測し難い販売先企業の倒産による貸倒損失を避けることができるから、貸倒危険を危供し
て信用販売の不当な引締政策をとり、販売高の縮少を招くようなことを避け、さらに積極的によ
り大きい信用危険を受入れることによって販売増進を図ることができる。被保険者企業は商業信
用保険を利用しない場合、その信用危険を自己の販売先のみの限られた売掛金勘定に分散しうる
にすぎないが、保険会社は引受危険を多数の被保険者の、多数の売掛金勘定に分散させ、さらに
引受危険を再保険することもできるから、被保険者企業は保険会社を通じて信用危険の合理的分
散を図り、保険会社の負担において、その販売先企業に許与するクレジット限度を引上げ、販売
先の一層の好意を増進し、販売高ならびに利潤の増大を期待することができる。また、販売高の
積極的拡大を図るためには、販売先企業のクレジット許与限度を引上げるだけでなく、さらに進
んで新市場の開拓を図ることが必要である。商業信用保険は、このような場合にも、被保険者企
業をして安全に新市場の開拓を図ることを可能にする。一般に、企業の販売部門とクレジット部
門の間には、意見の衝突がおこりがらであるが、商業信用保険は両者の協調にも充分な役割を果
たし、販売増進に好結果をもたらしている。商業信用保険においても、もちろん道徳的危険が考
えられる。投機的・賭博的・詐欺的動機によって信用を濫用しようとする企業もあろう。また、
放漫な信用販売により商業信用保険が濫用される危険もある。しかし、保険会社は保険契約の前
に、保険申込企業を充分調査し、しかる後でなければ保険証券を発行しないから、そのような道
徳的危険は避けられているようである。
(iii)資金調達力の強化・信用状態の改善についてみれば、企業、殊に中小企業にとって資金
調達は最も重要な問題である。一般に、金融機関は企業に対する貸出限度を決定する際、その企
業の売掛金勘定に特に注目し、売掛金勘定が商業信用保険に付保されていない場合には、その評
価を大幅に切下げるのが普通である。売掛金勘定が付保されている場合には、その評価の切下げ
は必要でなく、金融機関にとって、より多くの貸付、あるいは、より高い貸出限度の許与も安全
である。したがって、商業信用保険契約を締結している企業は、無担保貸付をうけるにしても、
銀行から優良貸付先と認められ、受取手形を割引くにしても有利な評価が与えられ、充分な手取
金額を入手することができるO銀行は貸出しの担保とした売掛金勘定の保険証券に、銀行を保険
金受取人とする裏書をしておけば、その返済も安全且つ確実である。企業の売掛金金融日の利
用が増加するにつれて、商業信用保険の利用も増加し、このような銀行裏書の方法もますます多
くの保険証券に採用されているようである。また、企業は仕入先から許与されるクレジットを利
用することによっても、金融機関からの資金借入れと同様に、その運転資本の増加を図り得る。
商業信用保険は企業の売掛金勘定資産の価値を増大し、その価値を保証するから、企業の財政状
態を改善し、信用を高め、仕入先からのクレジット限度を増大し、それだけ運転資本の増加を図
ることができる。このように、被保険者は、その売掛金勘定を付保することにより、その売掛金
勘定資産の質の向上と担保能力の増大を図り得るから、運転資金の調達が容易となり、信用状態
を改善することができる。
(iv)資本回転率の増大・経費の節約についてみれば、被保険者企業は保険会社による売掛金
i Rii;
クレジット・インシュアランス(岡部)
の回収によって、支払遅滞勘定から最も早く、しかも蕨も多く運転資金を回収することが可能と
なり、運転資金の固定化を防ぐことができる。また、保険会社は被保険者企業自身による売掛金
の回収についても、適切な助言と技術的援助を与える。貸倒損失の発生は永久にそれだけ運転資
金の喪失を招くが、商業信用保険により賃倒損失が填補きれるならば、填補によって得られた資
金は再び運転資本として回転し始め、利潤の増大に寄与し得る。また、支払遅滞勘定の管理には
非常な手数と費用とを要するものであるが、商業信用保険を利用することにより、そのような諸
経費を節減することができる。さらに、支払が遅滞しなければ得られたはずの種々の有利な利潤
獲得機会の喪失による犠牲はきわめて大きいが、商業信用保険を利用すれば、そのような犠牲を
避けることもできる。
その他、商業信用保険の副次的機能を、全般的経営管理の観点よりみれば、商業信用保険は企
業の財務計画・利益計画・生産計画等において、その不安定要因を軽減し、予測を一層確実なも
のとし、経営計画の遂行に重要な役割を果している。
註1売掛金金融については、拙稿「アメリカにおける中小企業と受取勘定金融」 PR第9巻 第10号を
冠岨HjiaB!
Ⅳ 商業信用保険の利用とその限界
商業信用保険を利用することができる企業は、前にも述べたとおり、製造業者・卸亮業者・広
告代理業者・企業を販売先とするサービス業者等に限られるO保険契約者は、業穣別にみるとき
わめて多様であり、規模別にみても資本額・販売高ともに区々である。商業信用保険において
は、小売業者の消費者に対する売掛金勘定は保険の対象としない。また、製造業者・卸売業者そ
の他一般的には商業信用保険を利用することが可能な企業であっても、経験的に貸倒損失発生率
が異常に高く、保険料の保険数理的算出の基礎を欠くような業種の企業は保険の利用を認められ
ない。さらに、信用の濫用、投機的取引を行なう傾向の明らかな企業に対しても、もちろん保険
利用の機会が与えられない。書うまでもなく、商業信用保険はすべての企業にとって利用価値が
あると言うわけではない。商業信用保険が利用価値のあるものであるか否かは、企業の個々の事
情によって異なり、一概には言えないが、要するに、その企業が内部的には、どの程度の貸倒吸
収力をもち、また外部的には、どの程度の貸倒危険にさらされているかによって決まる間塩であ
る。外部事情についてみれば、販売先が少数企業へ集中している場合、販売先がある業種に限ら
れている場合、あるいは販売先がある地方に集中している場合などには、特に異常な貸倒危険発
生の可能性が大であり、全般的な景気後退や不況もまた異常な貸倒れの発生を招く原因となる。
もちろん、すべての企業が商業信用保険を利用するようになったとしても、それによって景気後
退や不況の到来を防ぎ得るものではないが、少なくとも被保険者企業に対するそれらの影響を軽
減し得ることは確かであろう。また、信用状態のよくわからない、貸倒れの発生しがちな多数の
小口の販売先をもっている企業にとっては、商業信用保険は特に有用な保険であり、クレジット
部門の充実していない小規模企業においても、商業信用保険は重要な役割を果すものと考えられ
る。しかし、政府や地方公共団体、あるいは、それらの関係機関を販売先とする企業、売掛金を
ファクター目する企業、現金販売を行なう企業等にとっては、商業信用保険は不必要である。
また、内部的にみれば、経営規模が小さく、運転資本も不足し、危険の分散を充分に図り得ない
クレジット・インシュアランス(岡部)
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ような企業では、商業信用保険は利用価値が高いであろう。しかし、企業財政に余裕があり、充
分な運転資本をもち、異常貸倒損失の危険を広くその売掛金勘定へ分散し得るような企業にとっ
ては、商業信用保険の利用価値は比較的少ないものと考えられる。以上述べたように、商業信用
保険には、その利用におのずから限界がある。しかし、それにもかかわらず、多くの企業がその
有用性を認め、商業信用保険を利用していることも事実である。たとえば、 1969年には年間120130億ドル榊 にのぼる販売高が付保されている.この数字は比較的少ないようにも思われるが、
商業信用保険を利用することができる企業は限定されていること、および、それら企業は主とし
て販売額の比較的少ない中小企業であることなどを考慮すれば、かなり大きな数字であると考え
てよいであろう。
註1ファクターについては、拙稿「商業金融における77クタT)ングについて」 PR第8巻 第12号を
参照されたい。
2 前掲、フェルブス教授の筆者宛書簡による。
Ⅴ む す び
商業信用保険は、その基本的機能として貸倒保険機能を運行するのみならず、同時にその保険
契約に付随する種々の補助的・助成的機能を果している。したがって、被保険者は商業信用保険
を利用することによって、売掛金貸倒損失の填補をうけることができるのみでなく、商業信用保
険の副次的・補助的・助成的機能によって、種々の便益をうけることができる。商業信用保険の
特色は、その基本的機能よりも、むしろ、その副次的・補助的・助成的機能にあるとみるべきで
あって、前節にのべたように、商業信用保険はその利用におのずから限界があるにもかかわら
ず、なお多くの企業によって効果的なマネージメント・トゥ-ルとして利用されているゆえん
は、商業信用保険のもつこのような特色にこそ求めらるべきものと考えられる。
万一、貸倒れが発生した場合、その損害填補をうけ得ることが被保険者にとって最大の期待と
なっていることを否定するものではない。しかし、保険の本質から言って、最も幸運な被保険者
は貸倒損失の填補を一度も経験しない被保険者であるべきはずであるO したがって、もし商業信
用保険を利用することによって、その副次的・補助的・助成的機能から得られる販売量の増大・
経費の節約・利潤の増加等の利益のみで支払保険料を償ってなお余りあるものとすれば、それは
商業信用保険をより一層魅力的な保険とするゆえんであろう。
また、商業信用保険にかわるものとして自家保険を考えることができる。しかし、その目的を
達成するためには、年々の利潤のなかからノーマル・ロスに対する準備金のみならず、さらにア
ブノーマル・ロスに対する準備金をも留保L/ておかなければならない.しかも、アブノーマル・
ロスに対するノ準備金が充分蓄積されるまで、アブノーマル・ロスが発生しないという保証はな
いo その上、企業内部のみでアブノーマル・ロスに対する危険の分散を図ることはほとんど不可
能である。貸倒対策として貸倒準備金が設定されていても、実際に貸倒損失が発生すれば、明ら
かに同額の運転資本の減少をきたすことにかわりはない。商業信用保険を利用すれば、被保険者
は保険会社を媒介として自己の信用危険を自己の売掛金勘定のみならず、多数の被保険者の多数
の売掛金勘定全体に分散させることができる。また、貸倒損失の発生によって運転資本の減少を
きたすことなく、その損害の填補をうけることができるO しかも、保険抑ま税法上、当然、経費
132
クレジッ土・インとユアラ之ス(岡部)
とみなされることは冨うまでもない。このようにして、被保険者は商業信用保険を利用すること
により、大幅な変動を示しがちな貸倒損失の負担を、確実な計算の基準をもった保険料とプライ
マリー・ロスの固定的経費負担にかえることが可能となり、貸倒準備金制度の合理化を図ること
ができるわけである。保険契約者が自家保険よりも商業信用保険を選択する理由の一つは、この
ような商業信用保険の合理性に求められるものと考えられるが、いま一つの理由は、やはり、被
保険者が商業信用保険を利用することにより、貸倒損失の填補をうけ得るのみならず、商業信用
保険の副次的・補助的・助成的機能によって、自家保険では得られない、いろいろな便益をうけ
得ることにあるように思われる。
ところで、はしがきにも指摘しておいたように、売掛金の貸倒れを保険事故とする商業信用保
険は、その必要が認められるにもかかわらず、各国ともいまだ充分な発展をみていない。その理
由は保険技術上の困難性にあるものと思われる。一般に、この種の保険には、保険契約者が危険
度の高いもののみを付保しようとする、いわゆる危険の逆選択の現象、あるいは投機的商業危険
まで保険に転嫁しようとする道徳的危険の問題などの難点があることを否定しえない。しかし、
危険の逆選択や道徳的危険を回避することは、商業信用保険の場合、他の保険に比較して、技術
的にみて、より困難であるとは必ずしも言えないように思われる。アメリカにおける商業信用保
険が90年の歴史をもち、今日なお健全に運営されている事実をみても、この困難を克服すること
は不可能ではないように思われる。もちろん、それがためには信用調査技術や信用調査機関の発
達・整備が前提条件として必要であり、より根本的には信用を何よりも重んずる商業道徳心によ
って、その基盤が支えられることが必要であろう。
また、商業信用保険は景気変動に対する対応力が弱いことも否定できないであろう。しかし、
この点についても、アメリカにおける前述の両保険会社は、創業以来90年の間に、たび重なる恐
慌あるいは不況を経験したはずであるが、にもかかわらず、その困難に耐え、今日なお健全に営
業を続けているという事実は、経営が適切であれば、大きな景気変動に対しても充分耐えうるこ
とを示しているものと言えよう`日。保険の限界を越え、商業信用保険の成立を不可能にするよう
な、激しい景気変動あるいは信用恐慌も考えられないことはない。しかし、現代の経済において
は、そのように激しい景気変動あるいは恐慌は、政策的にこれを回避することも可能であると考
えてよい。商業信用保険は景気の下降を阻止あるいは逆転させるような積極的な刺激を与えるも
のではない。しかし、少なくとも、不況の影響が経済の一つのセクターから他のセクタ--波及
し拡大することを避け,その影響を軽減し緩和する役割は果し得るように思われる。その他、な
お技術的に困難な問題点を指摘することもできるであろうが、いずれにしても、企業経営がはら
んでいる多くの危険と不安を除き、経営の安定を図り,ひいては経済全体の安定を図るために
は、その一つの手段として商業信用保険が必要であり、同時に商業信用保険がマネージメント・
トゥ-ルとしても企業経営上欠くことのできない重要な役割を果しうるものであるとすれば、本
稿にとりあげた商業信用保険は、わが国においても、今後の研究課題として充分な価値があるも
のと考えられる。
本稿に言う商業信用保険すなわちアメリカのクレジット・インシュアランスあるいはコマーシ
ャル・クレジット・インシュアランスに関する文献は、わが国においては、ほとんど見当らな
い。また、アメリカにおいても、きわめて少ない。本稿の主要参考文献はフェルブス教授ならび
にAC I社から筆者に直接贈られたものであるので、ここにフェルブス教授ならびにAC I杜の
ご好意に対し深く謝意を表して本稿をとじることとしたい。
クレジット・インシュアランス(岡部)
133
註1アメリカのクレジット・インシュアランスに関する1921年から1951年に至る保険料収入と支払保険
金についてのJ.T. Trappの研究によれば、このように結論してもよいように思われる。
J.T. Trapp, Credit Insurance, A Factor in Bank Lending, 1953, p. ll.
主要参考文献
C.W. Phelps, Commercial Credit Insurance as a Management Tool, 1961.
J.A. Churella, An Evaluation of Credit Insurance and Its Effects on Business Management, 1958.
J.T. Trapp, Credit Insurance, A Factor in Bank Lending, 1953.
J.L. McCauley, Credit Insurance : Its History and Functions, 1959.
その他の参考文献
R.H. Cole, Consumer and Commercial Credit Management, 1968.
P.G. Hastings, Business Finance, 1966.
W. Beranek, Working Capital Management, 1966.
H. Karrer, Elements of Credit Insurance, An International Survey, 1958.
資 料(ACI社,1969年)
American Credit Insurance Primer.
Commercial Credit Insurance by American.
The Competitive Edge.
Know Your Policy.
Know Your Endorsements.
Specimen Copy of Policy.
(1972年5月31日受理)
134
CREDIT
Department
The
selling
of Economics,
of commodities
INSURANCE
Tsuneo Okabe
Nara University
and services
of Education,
by business
firms
Nara, Japan
to other
businesses
is
generally
business
without
conducted
on a credit
basis.
No manufacturer,
wholesaler,
or other
enterprise
can expect
to follow
a general
policy
of selling
on credit
having some bad-debt
losses.
In all business
enterprises
it is desirable
to
eliminate
Credit
insured
this credit
risk.
insurance
is the guaranteeing
resulting
from the debtor's
sale,
shipment
of insurance
by the insurer,
inability
to pay
and delivery
of merchandise
is distinct
from consumer
of the losses sustained
by the
obligations
arising
from the
or perfomance
credit
insurance
of a service.
where the
This
debtors
type
are
consumers buying on credit
or borrowing
money. It is commercial
credit
insurance.
In Japan,
there is no company writing
commercial
credit
insurance.
But, in the
United
States,
there are two companies offering
this service.
The object
of this paper is to examine the basic
features
of commercial
credit
insurance
in the United
States,
and its functions.
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