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ゲートドライブ用低消費電流フォトカプラ
ゲートドライブ用低消費電流フォトカプラ 新製品解説 ゲートドライブ用低消費電流フォトカプラ Low dissipation Current Photocoupler for Gate Drive 森 川 弘 章*1 Hiroaki Morikawa 増 田 佳 史 *2 Yoshifumi Masuda 村 田 武 士 *2 Takeshi Murata まえがき モータドライブ技術では省エネルギー化の為に IGBT や MOSFET を PWM(Pulse width Modulation:パ ルス幅変調) 制御により駆動させるインバータ制御が 主流となっている。IGBT 及び MOSFET のゲートドラ イブ部と PWM 制御部との間には,高絶縁耐圧機能と 高速スイッチングに起因する dv/dt カップリングノイ ズを除去する機能が必要であり,それに適したフォト カプラが要求されている。 近年,フォトカプラ駆動用電源部には簡素化の為, コンデンサとダイオードのブートストラップ電源の使 用が増加しており,フォトカプラへの消費電流(ICCL/ ICCH)の低減化が強く要望されている。 今回,低消費電流にて駆動可能な OPIC チップを開 発し,IGBT ゲートドライブ用低消費電流タイプの フォトカプラ PC923L0NSZ を製品化したのでその概 要を説明する。 写真1 外観 特長 (1)8 ピン DIP パッケージ (2)2 重トランスファーモールドパッケージ (3)低消費電流(ICCL,ICCH:MAX. 3mA) (4)高速応答(tPLH,tPHL:MAX. 0.5 μ s) (5)高CMR型(CMR:MIN.15kV/μs,VCM=1.5kV) (6)入出間絶縁耐圧が高い(Viso(rms):5.0kV) 仕様 外形 図1にPC923L0NSZの外形寸法図を,写真1に外観 を示す。 表1に PC923L0NSZ の最大定格を表2に電気的光 学特性を示す。 表1 最大定格及び電気的特性 図1 外形寸法図 (Ta=25℃) 記号 定格値 単位 項目 IF 20 順方向電流 mA 入力 5 逆電圧 V VR 35 供給電圧 V Vcc 0.1 O1出力電流 A Io1 0.6 A O1ピーク出力電流※1 Io1P 出力 O2出力電流 0.1 A Io2 0.6 A O2ピーク出力電流※1 Io2P 35 V O1出力電圧 Vo1 500 mW 許容損失 Po 550 全許容損失 mW Ptot 5 絶縁耐圧※2 kV Viso(rms) -40 to +85 ℃ 動作温度 Topr -55 to +125 ℃ 保存温度 Tstg 270 ℃ はんだ付け温度※3 Tsol ※1 パルス幅≦0.15μs, Duty Ratio:0.01 ※2 AC for 1min, 40 to 60%RH, Ta=25℃ ※3 10秒間 1 * 電子部品事業本部 オプトデバイス事業部 第2技術部 *2 電子部品事業本部 オプトデバイス事業部 第1技術部 87 シャープ技報 第89号・2004年8月 表2 電気的特性 項目 順電圧 入 力 記号 VF1 VF2 IR Ct Vcc Vo1L Vo2H Vo2L Io1L Io2L ICCH ICCL 条件 ※1 Ta=25℃, IF=10mA Ta=25℃, IF=0.2mA Ta=25℃, VR=5V Ta=25℃, V=0, f=1MHz 最小値 ― 1.2 ― ― 15 ― 20 ― ― ― ― ― 0.3 0.2 5×1010 ― ― ― ― (指定無き場合Ta=Topr) 標準値 最大値 単位 1.6 1.75 V 1.5 ― V ― 10 μA 60 150 pF ― 30 V 0.2 0.4 V 22 ― V 0.5 0.8 V ― 500 μA ― 500 μA 1.3 3 mA 1.3 3 mA 1.5 3 mA ― 5 11 10 ― Ω 0.5 0.3 0.5 0.3 μs 0.5 0.2 0.5 0.2 逆電圧 端子間容量 電源電圧 O1ローレベル出力電圧 Vcc1=12V, Vcc2=-12V, Io1=0.1A, IF=5mA O2ハイレベル出力電圧 Vcc=Vo1=24V, Io2=-0.1A, IF=5mA O2ローレベル出力電圧 Vcc=24V, Io2=-0.1A, IF=0mA 出 力 O1リーク電流 Vcc=Vo1=35V, IF=0mA O2リーク電流 Vcc=Vo2=35V, IF=5mA ハイレベル供給電流 ※3 Vcc=24V, IF=5mA ローレベル供給電流 ※3 Vcc=24V, IF=0mA “L→H” Ta=25℃, Vcc=24V IFLH スレッショルド入力電流 ※2 Vcc=24V Ta=25℃, DC=500V, 40to60%RH 絶縁抵抗 RISO “L→H”伝達遅延時間 tPLH Ta=25℃ tPHL 伝 “H→L”伝達遅延時間 Vcc=24V, IF=5mA, 達 応答時間(上昇) tr 特 RG=47Ω, CG=3000pF 応答時間(下降) tf 性 瞬時同相除去電圧 Ta=25℃, VCM=1.5kV(p-p) CMH ― -15 ― (出力ハイレベル) IF=5mA, Vcc=24V, ΔVO2H=2.0V kV/μs 瞬時同相除去電圧 Ta=25℃, VCM=1.5kV(p-p) ― 15 ― CML (出力ローレベル) IF=0mA, Vcc=24V, ΔVO2L=2.0V ※1 出力側特性、 伝達特性測定時には、 デバイス近傍のVcc(8番)-GND(7番)間に0.01μF以上の容量を持つバイパスコンデンサを付加するものとする。 ※2 IFLHはO2が“LowからHigh”になるときの順電流。 ※3 O2出力端子はOPENとする。 機能 図2にブートストラップ方式における PC923L0NSZの使用例を示す。本デバイスは入力側に 発光ダイオード,出力側に OPIC チップを備え,パッ ケージは2重トランスモールド方式によりエポキシ樹 脂封止している。 なお,OPIC チップは定電圧回路,フォトダイオー ド,Amp 回路,コンパレータ回路,出力駆動回路から 構成される。 今回,低消費電流及び IGBT ゲート容量充放電の高 速動作を実現させる為に, 出力電圧が変化する時にだ け各出力トランジスタのベース電流を増加させる回路 を新たに設けた。 むすび 2次側電源のブートストラップ方式の増加により低 消費電流タイプの需要はますます拡大していくと考え られる。 さらに大容量 IGBT の増加に伴い,大電流出力タイ プの需要も増加していくものと考えられる為,市場 ニーズに対応した低消費電流かつ大電流タイプの新製 品を開発していく。 (2 004年5月24日受理) 〈お問い合わせ先〉 電子部品営業本部 システム販売促進部 図2 PC923L0NSZ 使用例 88 〒545-8522 大阪市阿倍野区長池町22番22号 電話(06) 6621−1221 (大代表)