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日本側補充報告 (2) 外国人の人権: 刑事法の観点から

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日本側補充報告 (2) 外国人の人権: 刑事法の観点から
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日本側補充報告(2) 外国人の人権 : 刑事法の観点から
白取, 祐司
北大法学論集, 46(6): 315-323
1996-03-29
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/15651
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
46(6)_p315-323.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
外国人の人権
補充報告凶
1
刑事法の観点から
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日本側
外国人の人権
序 ーl 何 が 問 題 か
祐
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という。彼は英語で
﹁
mzm岡田市三曲者}、内﹃﹂と叫ぴ続けたが、無視された。さらに、裁判官は勾留質問の際、専門の通訳を一履いながら、勾留
彼 は 、 自 分 が 何 の 嫌 疑 で 逮 捕 さ れ た の か 、 窃 盗 ら し い が 寸 刑 事 の 英 語 が ブ ロ l クンで分からない
い わ ゆ る ﹁ 当 番 弁 護 士 ﹂ 第 一 号 と し て 接 見 に か け つ け た 二 人 の 弁 護 士 を 待 っ て い た の は 、 ニュージーランド人であった。
問題の所在を示すため、 ま ず 具 体 的 事 例 を あ げ る 。 こ れ は 一 九 九 一 年 に 札 幌 で 起 こ っ た 事 件 で あ る 。 同 年 四 月 二 六 日 、
取
(gg吋 ) ﹂ と 言 っ た ま ま 説 明 し な か っ た と い う 。 弁 護 士 は 、 国 際 人 権 法 に 定 め る 外 国 語 使 用 原 則 が 遵
質問の意義や勾留の要件・効果などについて説明しないまま勾留決定をした。このニュージーランド人被疑者の質問に
対しては、﹁あとで
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守されないまま勾留決定がなされたとして勾留取消を求めて準抗告をした。
一九九一年五月一
O 日、札幌地裁は、英語
での勾留質問の意義等につき﹁説明することは被疑者保護のためにより望ましい﹂としながら、 そ の 説 明 を 欠 い て も 直
(1)
ち に 手 続 は 違 法 に な ら な い と し て 棄 却 し た 。 弁 護 人 の 特 別 抗 告 に 対 し て 、 最 高 裁 は 、 五月一四日、これを棄却したが、
同時に、全国の地裁刑事部に、外国人に対してはその理解できる言語で勾留質問の説明を尽くすよう通達をだした。
この事件を簡単に総括すると、まず、①逮捕段階でなされるべき被疑事実および権利告知が、十分行われなかった、
一定の配慮は示した。
②勾留という裁判官が関与する段階でも、十分勾留の意義等の説明が行われなかった、③裁判所は、これらの手続の違
法を正面から認めることはしなかったものの、通達というかたちで、
刑事手続に、 日 本 語 を 解 さ な い 外 国 人 が 関 わ っ た と き ど う す べ き か の 問 題 は 、 今 は じ ま っ た ば か り で あ る 。 本 題 に 入
る前に、問題の背景に日を向けてみよう。
問題の背景
外国人犯罪の増加
一九八O年の二・五%パーセントから、
一九九三年には四・一パ 1
0年 間 で 五 ・ 六 倍 に な っ て い る と い う 。 そ の 結
交 通 関 係 業 過 を 除 く ) は、七、二七六人で、
一九九三年の来日外国人(日本にいる外国人のうち、 い わ ゆ る 定 着 居 住 者 、 在 日
果、刑法犯検挙人員総数に占める外国人の比率も、
刑法犯検挙人員総数の二・四パーセントを占める。この数値は、最近一
米 軍 関 係 者 お よ び 在 留 資 格 不 明 の 者 以 外 の 者 を い う ) の刑法犯の検挙人員
平成六年版﹃犯罪白書﹄によれば、
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セントと上昇している。
次に罪名別特徴であるが、来日外国人による罪名は、最近のどの年次においても窃盗が首位を占め、次いで占有離脱
物 横 領 と な っ て い る 。 一 九 九 三 年 の 罪 名 別 構 成 比 を み る と 、 窃 盗 が 五 四 ・ 九 パ ー セ ン ト 、 占 有 離 脱 物 横 領 が 三0 ・五パ l
セントで、このふたつで来日外国人の刑法犯検挙人員総数の九割近くを占める。なお、来日外国人の特別法犯の送致人
員をみると、入管法違反が全体の六九・七パーセントで首位、以下順に、売春防止法違反八・一パーセント、覚せい剤
取締法違反五・五パーセント、大麻取締法違反四・七パーセントとなっている。国籍別でいうと、刑法犯では、中国、
韓国、朝鮮、イラン、 フィリピン、 マレイシア等が、特別法犯では、 タイ、中国、韓国・朝鮮、 フィリピン、 マレイシ
ア等が多い。
最後に、検察庁の来日外国人被疑事件の終局処理状況だが、起訴率五四・四パーセント、起訴猶予率四三・三パ l セ
O年で一一・ O倍になった。
ントとなっている。検察庁で処理された全事件に比べ、起訴率が低く、起訴猶予率が高くなっている。また、起訴後、
通 訳 人 の つ い た 外 国 人 事 件 の 一 審 有 罪 人 員 は 、 三 、 五二一人であり、ここ一
以上が、統計に現れた外国人刑事事件の動向である。とりわけアジア諸国からの来日外国人の激増に比例して、全検
挙犯に占める外国人の割合、絶対数ともに急増している。しかも、通訳人のついた事件数・率から推測できるとおり、
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来日外国人の被疑者・被告人には、 日 本 語 を 解 さ な い 者 が き わ め て 多 数 含 ま れ て い る よ う で あ る 。
現行法の不備と対策
それでは、外国人被疑者・被告人の権利に関して、現行法はどのような規定を置いているか。
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まず、 日本国憲法は、 そ の コ 二 条 以 下 に 、 刑 事 法 上 の 人 権 規 定 を 多 数 置 い て い る 。 そ れ ら の 規 定 の い ず れ も が 、 権 利
の主体を﹁何人も﹂と表し、﹁日本国民﹂に限定してはいないことに注意しなければいけない。現行憲法に外国人の人
権に関する規定はないが、憲法の精神からすれば、 た と え ば 令 状 を 外 国 人 被 疑 者 に 提 示 す る 際 に は 訳 文 の 添 付 が 必 要 で
あると解すべきであろう。
市民的及ぴ政治的権利に関する国際規約一四条三項川は、﹁無料で通訳人の援助を受ける権利﹂を定めている。この
権利は、公判段階においては、現行刑訴法施行時より保障されてきた。すなわち、裁判所では日本語を用いることにな
っているが (裁判所法七四条)、﹁国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない﹂
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(刑訴法一七五条)とあるので、外国人が被告人となる刑事事件では通訳が付される。被告人が外国人でも、証人が日
本語で証言する場合には刑訴法上は必ずしも通訳をつけなくてもよいようだが、実務上は必ず通訳をつけているという。
刑事訴訟法上は、右の規定の他に、翻訳に関する一七七条、捜査官の通訳の嘱託に関する一一二三条一項があるのみで
ある。
このように、現行法は、公判段階における通訳に関しては明文を置き、実務上も通訳を受ける権利は守られているよ
うであるが、 と り わ け 捜 査 段 階 、 公 訴 提 起 の 場 面 に お け る 外 国 人 の 権 利 保 障 に つ い て の 規 定 が 整 備 さ れ て い な い 。
立 法 な い し 制 度 上 の 整 備 が 将 来 不 可 欠 で あ る こ と 言 を 待 た な い が 、 現 実 の 多 数 の 外 国 人 被 疑 者 ・ 被 告 人 を 前 に 、 さし
あたり、何らかの手を打たなければいけない。そこでまず、法務省・検察庁では、全国版の通訳人名簿の作成・配布、
通訳人マニュアル、各国語の﹁法廷用語対訳集﹂の配布などを行ってきた。裁判所サイドでも、高裁単位の通訳人名簿
の作成・備付け、﹁法廷通訳ハンドブック﹂の作成・配布を行った。各地の単位弁護士会では、地域の通訳人協会の設立、
外国人被疑者・家族に日本の刑事手続を理解させるためのパンフレットの作成を行うほか、全国レベルでマニュアル等
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外国人の人権
の 作 成 、 外 国 人 弁 護 を テ 1 マとする経験交流会の開催などを行ってきた。
以上が、現行法の不備と、 それを埋め合わせるための実務法曹の対応の概略である。次に、 刑事手続の流れに沿って、
外国人の人権の現状と問題点を概観することにしよう。
権利保障実現のために
捜査段階
捜査の場面で最も﹁人権﹂が問題になるのは、被疑者が外国人であるか否かを問わず、取調べであろう。外国人の場
一九九O年 に 無 罪 判 決 の あ っ た パ
合には、取調べ一般の問題に加え、黙秘権・弁護権等の権利告知が通訳を介して適正に行われたか、という別の問題が
(4)
生じる。近年、この点が争われた事例・判例がいくつか登場しているが、ここでは、
キスタン人現住建造物放火事件を取り上げる。この事件の被告人は、ウルドウ語しか理解できないのでウルドウ語の通
訳を介して取調べが行われたが、その通訳人は黙秘権を知らなかった等法律的素養に欠ける者であった。そのため、被
疑者に対する黙秘権、弁護人選任権等の告知が不十分であったほか、自白させようと同国人の被害者を被疑者と面談さ
せて圧力をかけたこと、別件の不法残留の罪で逮捕して取調べ中の自白であること等を理由として、浦和地裁は、この
ようにして得られた自白の証拠能力、信用性を否定し、無罪を言い渡した。
この判決で注目すべきは、通訳人を付すにあたっての一般論として、次のように論じていることである。すなわち、
本件のような能力・素養のない通訳人については、捜査官が通訳人にその責務を自覚させるとともに、﹁少なくとも供
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一般に、外国人被疑者に対する取調べにおいては、﹁最小限度、供述調書の読み聞けと署名・指印に関する
述調書の読み聞けの段階については、これを録音テiプに収めるなどして、後日の紛争に備えるくらいの対策が要求さ
れ﹂るし、
﹂
。
応 答 及 ぴ 取 調 べ の 冒 頭 に お け る 権 利 告 知 の 各 状 況 に つ い て は ﹂ 確 実 に 録 音 テ 1プに収める必要がある、 シ
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他にも、通訳人の通訳の正確性や公平さに疑問があるとして原判決を破棄した一九九一年の大阪高裁判例、
(6)
語 を 母 国 語 と す る 被 害 者 の 取 調 べ を 英 語 の 通 訳 人 を 介 し て 行 わ れ た こ と の 違 法 性 が 争 わ れ (結果的には適法とされ)
一九九二年の東京高裁判例などがある。いずれの場合にも、取調べが密室で行われ、弁護人の立会いも認められていな
いという、可視化されていない日本の捜査実務の問題点が背景にある。取調べにおける弁護人の立会いが無理なら、浦
一般に、弁護人が被疑者の母国語を
和地裁のいうように、 せめてテ lプ 録 音 を し て 手 続 の 適 正 さ を 担 保 す る 方 途 が と ら れ る べ き で あ ろ う 。
捜査段階で外国人の人権が問題になる他の場面は、弁護人との接見交通である。
解することを期待することはできないから、通訳人を同行する。ここから、 日 本 人 の 場 合 と は 異 な る 問 題 が 生 じ る 。 す
なわち、①地方によっては通訳人の身分の確認が厳しく、接見に支障を来す、②通訳の時間がかかるため、接見時間も
通常の倍以上かかる、③そもそも通訳人を探して速やかに接見に赴くことが、特に少数言語の場合、困難なことが少な
くない、等である。
(7)
異郷の地で逮捕、勾留されている被疑者の不安を除去し、自白強要を防止するためにも、右のような困難はあるもの
公判・裁判・執行
の、早期かつ適切な接見が望まれるところである。
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外国人の人権
検 察 官 に よ り 公 訴 提 起 が な さ れ る と 、 裁 判 所 は 遅 滞 な く 起 訴 状 の 謄 本 を 被 告 人 に 送 達 し な け れ ば な ら な い (刑訴法二
七一条一項)。これは、適正手続の一内容として被告人に﹁告知と聴問﹂を受ける権利を保障し、速やかに防御の準備
を開始できるようにするためのもので、二カ月以内に謄本が被告人に送達されないときは公訴提起はさかのぼってその
効力を失う(同条二項)。このような法の趣旨からすれば、外国人に対する起訴状謄本の送達に際して、翻訳文の添付
が望ましいことについては異論がない。しかし、添付が法的な義務か否かについては、訳文添付を命じる法の明文がな
(8)
一九九一年の東京高裁は、訳文が添付されていなくても、公判手続全体を通して訴追事実を告
く、実務上も、起訴状受理後謄本送達までのわずかな時間の聞に、すべての言語につき正確な訳文を付すことが極めて
困難であるところから、
一部の言語につき、起訴状謄本、弁護人選任に関する通知および照会書を送達する際に、被告人が起訴された
げられ防御の機会を与えられていれば﹁憲法三一条には違反していない﹂とする。ただ、実務において、右判決を契機
として、
(9)
という事実のほかに、弁護人選任手続および公判手続の概略について、当該被告人に理解できる一言語で分かりゃすく説
明した文書を併せて送付する措置が講じられるようになった。
(叩)
次に公判段階だが、ここでの通訳は、先に述べたとおり、刑訴法一七五条によって保障されている。ただ、捜査段階
についた通訳人が公判廷でも法廷通訳人として選任されうるかは、公正の観点から問題となりうる。法廷通訳人につい
て、より公正なチェックをするために、 い わ ゆ る ﹁ チ ェ ッ ク イ ン タ ー プ リ タ 1﹂ の 採 用 が 考 え ら れ る 。 こ れ は 、 法 廷 通
訳 者 の 通 訳 を そ の 場 で チ ェ ッ ク し 、 弁 護 人 を 介 し 、 または弁護人とともに異議を述べる制度で、 日 本 で は ﹁ 日 本 国 と ア
メリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に
(日)
関する協定﹂(一九六O年 ) 一 七 条 九 項 川 の ﹁ 必 要 と 認 め た と き は 、 有 能 な 通 訳 を 用 い る 権 利 ﹂ に も と づ き 、 ア メ リ カ
合衆国の軍人、軍属にのみ認められている。これを一般の外国人にも拡げるべきであると強く主張されている。
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最後に、行刑処遇上の問題点にふれることにする。一九九三年の外国人新受刑者は七三四人であり、国別では、韓国・
、 アメリカ一八人、 そ の 他 一 二 九 人 で あ る 。 こ の う ち 、 ﹁ 日 本 人 と 異 な る 処 遇 を 必 要 と す る
朝 鮮 四 五 七 人 、 中 国 四O 人
外 国 人 ﹂ と 判 定 さ れ た F級受刑者は二四五人で、 そ の 大 半 は 府 中 刑 務 所 に 集 め ら れ て い る 。 法 務 総 合 研 究 所 が 一 九 九 三
年 に 行 っ た 調 査 に よ る と 、 調 査 対 象 と な っ た F級受刑者三七二人のうち、 日 本 語 、 英 語 、 中 国 語 の 三 カ 国 語 の す べ て が
﹁ ま っ た く で き な い ﹂ 者 が 、 日 常 会 話 で 二 四 人 、 読 書 き で 六 一 人 い る と い う 。 信 仰 し て い る 宗 教 で は 、 キ リ ス ト 教 三0 ・
一般の日本人受刑者の居室より広く、外国人
一パーセント、 イスラム教一人・ O パ ー セ ン ト 、 仏 教 一 六 ・ 四 パ ー セ ン ト で あ る 。 こ れ ら の 事 情 か ら 、 処 遇 上 格 別 の 配
慮がなされ、外国人被収容者の居室はベッドが備え付けられているため、
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用に机、椅子、シャワー設備があるほか、外国人の風俗・習慣・宗教上の慣行等を参酌して相応の配慮がなされている
とい、っ。
(日)
しかし、 それでも、 日 本 で 逮 捕 ・ 勾 留 さ れ た イ ギ リ ス 人 の 青 年 が 、 母 親 に 手 紙 で ﹁ ( 日 本 の ) 拘 置 所 は 生 き 地 獄
訴え、 イ ギ リ ス の 新 聞 に 報 じ ら れ た 。 拘 置 所 は 未 決 の 被 疑 者 ・ 被 告 人 が 収 容 さ れ る と こ ろ で 、 無 罪 の 推 定 原 則 か ら い っ
ても、刑務所以上に人間的に扱われなければならないはずだが、たとえば﹁室内では、 みだりに立ったり、横になった
り、寝具によりかかったりしないこと﹂﹁窓・鉄椅子に衣類・タオルなどを掛けないこと﹂といった細かい規則が定め
られ、懲罰によって強制されている。このイギリス人にとって、 日本の拘置所は想像を絶するものだったようだ。
ここから見えてくるのは、外国人の人権ないし処遇の問題を通して、実は、 日 本 の 刑 事 司 法 、 あ る い は 行 刑 の 水 準 が
間われているということである。﹁国際化﹂とは、外に向かって体裁を整えることではなく、 ほ か な ら ぬ 我 々 自 身 の 問
題であった。
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外国人の人権
注
(9) 藤永幸治ほか編﹃大コンメンタ lル刑事訴訟法﹄四巻(一九九四年)三四二頁。
(1) 以上の経緯につき、村岡啓一寸ケ 1ス・レポート・外国人窃盗事件﹂﹃法学セミナー﹄四四六号(一九九二年)六二頁、
札幌地決平成三・五・一 O判タ七六七号二八O頁、札幌地判平成三・一一・二五判タ七八七号二八五頁参照。
(2) 法務省法務総合研究所編﹃平成六年版犯罪白書﹄二四 O頁以下。以下の数値も同白書に拠る。
(3) 喜田村洋一﹁法廷通訳﹂﹃法学教室﹄一七人口万二九九五年)二頁。その理由は、被告人が手続を理解できないのであれ
ば防御権を適切に行使できないし、適正な手続(憲法三一条)ともいえないからである。
(4) 浦和地判平成二・一 0 ・一二判時一三七六号二四頁。
(5) 大阪高判平成三・一一・一九判時一四三六号一四三頁。
(6) 東京高判平成四・四・八判時一四三四号一四O頁。他に、東京高判平成四・七・二 O判時一四三回号一四O頁がある。
(7) 梓津和幸 H三木恵美子﹁外国人事件の弁護はどのように行うか﹂竹浮哲夫ほか編﹃刑事弁護の技術(下)﹄(一九九四年)
四六八頁。
(8) 東京高判平成二・一一・二九高刑集四三巻三号二O二頁、同平成三・九・一八高刑集四四巻三号一八七頁等。
(5))
参照。
(叩)大阪高判平成三・一一・一九(前注
。
(日)梓津和幸 H三木恵美子・前掲論文四八O頁
(ロ)前掲・﹃平成六年版犯罪白書﹄二七三頁以下。以下の数値および法務総合研究所の調査結果とも、同箇所による。
(日)前田朗﹁巧目、。。玄何寸 O ﹄﹀司﹀Z叫﹂﹁法学セミナー﹄四五O号(一九九二年)七O頁
。
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