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ワールド・ワイドに航空事業を展開する中で、 世界各地の社員の
ら∼にんぐ JAN TOYO 127 02.1.28 1:33 PM ページ12 お客様事例 e-ラーニング 日本航空株式会社様 ワールド・ワイドに航空事業を展開する中で、 世界各地の社員の専門知識レベルを 維持するための e-ラーニング 日本航空株式会社(JAL)ではインターネットを活用した“e割”や“eチケット”など、次々 と新しい顧客サービスを展開しています。その一方、グループ全体を最新のITを活用し たベスト・プラクティス企業へと発展させるための“e-JAL”プロジェクトが推進されてい ます。この“e-JAL”プロジェクトの柱のひとつが、 “e-WorkStyle”と名付けられたITを 活用して仕事のやり方を変えようとする取り組みです。JALグループのe-ラーニングは この“e-WorkStyle”の取り組みのひとつです。まだサービスをスタートして間もない時 期ですが、国際的に事業展開をするJALグループにとって、大きな成果が得られるもの と期待されています。 のハード面ともに常に新しいものを導入 国際航空事業における e-ラーニング していく必要があり、これらを使うスタッ フへの教育は非常に大切です。一方、 JALグループではe-ラーニング基盤とし 課長 佐藤 圭一郎 氏 顧客サービス、安全運航に関わる拠点 を導入し は世界各国に広がっています。このよう ました。競争の激しい航空業界におい な状況で従来型の集合教育や通信教 ては、機内サービスや新しい割引運賃 育だけでは、スピード・効率性・コストの などのソフト面、機材・情報システムなど 面から大きな課題が残ります。e-ラーニ て、日本IBM社のUnicorn 経営企画室 e- JAL 推進部 (註1) 日本航空の e-WorkStyle e-ラーニング概念図 (e-WorkStyleの中の1要素としての e-ラーニング) 個別研修 講師 空港スタッフ コンテンツ・ サーバー 集合研修 パイロット 整備士 受講者 受講者 受講者 客室乗務員 e-ラーニング データベース・ サーバー アプリケーション・ サーバー Unicorn 受講者 プロファイル・ サーバー Active Directory 一般社員 受講者 ibmらーにんぐ JAN. 2002 12 ら∼にんぐ JAN TOYO 127 02.1.28 1:33 PM ページ13 ング導入は、こうした課題をクリアするた 「 “e-WorkStyle”は、ITを活用して情報 間にそれぞれの都合に合わせて学習 めに極めて有用であり、また現場サイド の共有化を図り、ルーチン・ワークの効 することができます。現在はイントラネット からの要望とも合致するものです。ここ 率化と業務全体の付加価値向上を目的 での稼働ですが、自宅や出張先でも学 では世界規模で航空事業を展開する とするものです。この“e-WorkStyle” を 習できるインターネットでの利用も視野に JALグループにおけるe-ラーニングについ 始めるにあたり、パソコンの基礎知識を 入れながら、さまざまなバリエーションを て、その導入の背景、狙い、配慮すべき 習得する必要からe-ラーニングの導入が 考えています」 と佐藤氏はe-ラーニングの ポイント、あるいは今後の展望などをご紹 検討されました。一方で世界各地に専 メリットについて強調します。 介します。 門スタッフを展開している整備やフライ (註1)Unicorn:Webベースで受講生のユーザー ト・オペレーションなどの部門から、専門 登録、研修コースの検索、申し込み受付、掲示板、 知識レベルを維持するためにe-ラーニン ニュース、QAメールによるお知らせ、コンテンツ グ化の要望があったことから導入を決定 コンテンツの多くは外部の専門家に依頼 しました」(経営企画室 e-JAL推進部 して作 成しますが、できるものは J A L 課長 佐藤圭一郎氏)。 内 部 で作成する方針です。そのため、 航空会社にとって専門知識レベルの維 PowerPointで作成したプレゼンテーショ 持は、安全運航のために欠かすことの ン資料から簡単にWeb教材を作成する できない非常に重要なものです。東京 ツールを導入しました。 で集合教育を開催する場合には、受講 elPublisherと呼ばれるこのツールは、 “e-JAL”プロジェクトはERP(統合業務) 者のスケジュール調整、出張に関わる費 ●Microsoft PowerPointで作成した資料 パッケージによる会計、資材調達、人事な 用はもとより、その間の代替要員派遣や をそのまま教材のベースに使用すること どの基幹業務の統括と、ITを活用して業 主催者側の講師確保など調整項目が多 が可能 務の付加価値向上を図る “e-WorkStyle” 岐にわたり、スタッフ教育の効率化は大 から構成されています。e-ラーニングは きな課題となっています。 配信、テスト作成・自動採点とランキング、受講実 績管理などを行うIBMのお客様向け研修ソリュー ション・パッケージ。 e-ラーニング導入の経緯 “e-WorkStyle”の一環として導入されま した。 「e-ラーニングを活用すれば、就業時間 が不規則な空港スタッフでも空いた時 e-ラーニングの コンテンツづくり ●IBM HotMediaテクノロジーを用いた小 容量・高音質なオーディオ・データを使 用したWebベース・コンテンツの作成が 可能 ibmらーにんぐ JAN. 2002 13 ら∼にんぐ JAN TOYO 127 02.1.28 1:57 PM ページ14 ●クイズの作成が可能 の維持が求められています。それらの専 らの強い要望がありますので、積極的に ● 教 材コンテンツの 国 際 標 準 である 門教育には何百というカリキュラムがあ 活用されるだろうと期待しています」 。 り、その中でe-ラーニングに適するコース カリキュラムに対するスタッフの習熟度の は順次実現していく方針です。2002年3 チェックは安全運航を図るためにも重要 月までにあと二つか三つのコンテンツを となります。今回導入したUnicornシステ フライト・オペレーション部門では“年末年 立ち上げる予定です。そのほかに客室 ムでは、グループ社員情報と連動し、受 始輸送安全総点検”キャンペーンで冬季 部門やIT部門でも新しいコンテンツ導入 講者の申し込み受け付けから進捗管 航空機運航に関わる知識をおさらいす に向けて準備をすすめています。 理、学習評価、成績管理、そして受講履 るコースをスタートさせています。この時 (註2) RVSM(Reduced Vertical Separation 歴管理までを統括して行うことができま 期はお客様が多いうえに、滑走路面が Minimum) : 航空機間の垂直方向の間隔を狭めな す。受講者は自分のIDでログインすれ AICCに対応 といった特長を持っています。 凍結したり、雪が積もったりした場合の 対策など、安全運航のための注意ポイン トがたくさんあります。これらのポイントを もう一度チェックするためにe-ラーニング を活用しています。 がら安全に航空路を増やすプログラム。 e-ラーニング活用の ポイント 「管理者がオンラインで進捗管理できる ( 註2) ば、これらのサービスを利用することがで きます。 e-ラーニング受講者の便宜を図るための 環境整備について佐藤氏は次のように 語ります。 技量維 ことは、e-ラーニングの大きなメリットだと 「一番苦心していることは、どうしたら受 持訓練についてのコンテンツを公開しよ 思います。進捗管理に関しては個別に対 講者の学習環境を整えられるかという点 うとしています。RVSM運航の概要とそ 応を考えています。例えば法令に定めら です。空港スタッフ、整備士や乗務員は の特徴を理解し、RVSM運航を継続す れている内容であれば、それに正確に 一人ひとりの専用PCを持っているわけ る整備要件のポイントを整理するため 準拠する必要がありますし、法令に定め ではありませんので、何人かのスタッフ に、図表を中心とした画面に講師のナ られていなくとも覚えていなければなら が共用で使うことができるKIOSK-PCを レーションを交えながら解説しています。 ない機器の操作法などは、日々おさらい 設置したりして環境整備を図っています。 フライト・オペレーションや整備部門では、 しチェックするというような使い方になる 稼働率などを参考にしながら、設置台 国家資格の関連からも専門知識レベル でしょう。e-ラーニングに対しては現場か 数や場所を随時見直したいと思います。 また、整備部門ではRVSM ibmらーにんぐ JAN. 2002 14 ら∼にんぐ JAN TOYO 127 02.1.28 1:57 PM ページ15 お客様事例 e-ラーニング 日本航空株式会社様 いかに受講者にとって取り組みやすい ものにできるか、これが一番大切なこと 今後の展望・課題 だと思います」 。 Unicornシステムの特徴として集合教育 今後の課題について「一人ひとりの“人 とe-ラーニングの並存処理が可能です。 財” をいかに育てるのかということが重要 JALグループの社員教育について佐藤 となってきます。人事システムとe-ラーニン 氏は、 「e-ラーニングを導入してもすべてを グを連携させて、それぞれの社員のスキ e-ラーニング化するわけではありません。 ルを把握し、将来の育成計画を策定、 カリキュラムによっては、インストラクターや 実施して社員の能力を最大限に伸ばし 受講生同士のFace-to-faceのコミュニケー ていくことが大事だと考えています」と佐 ションを通じて習得する方が効果的なも 藤氏は語ります。 のがあります。このようなコース向けには 4月から基幹業務のERPシステムと “e- 従来の集合教育を継続する必要があり WorkStyle” とe-ラーニングが本格的に ます。一方、単独で知識を学習するよう 運用される予定です。今後e-ラーニン な場合には積極的にe-ラーニングを活用 グ・システムは導入部門やコースが増え、 しようと考えています」 と従来の集合教 一層充実したシステムへと発展していくこ 育とe-ラーニングを効果的に使い分けて とが期待されます。JALグループの安全 いく考えであることを語っています。 運航と顧客サービスの向上に寄与する ために、日本IBM研修サービスは力を合 わせてこれらのシステムを作りあげてい く所存です。 日本航空株式会社 本社所在地 東京都品川区東品川二丁目4番11号 JALビル 事業内容 定期航空運送事業および不定期航空運送事業、 航空機整備事業ならびにこれに付帯または関連 する事業 代表者 代表取締役社長 兼子 勲 従業員数(2001年9月30日現在) 16,619人 ibmらーにんぐ JAN. 2002 15