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Kobe University Repository
Kobe University Repository : Thesis
学位論文題目
Title
Quantification of Pregenomic RNA and Covalently
Closed Circular DNA in Hepatitis B Virus-Related
Hepatocellular Carcinoma(B型肝炎ウイルス関連肝細胞
癌におけるプレゲノムRNAと閉環状DNAの定量)
氏名
Author
Bai, Fugui
専攻分野
Degree
博士(医学)
学位授与の日付
Date of Degree
2014-03-25
資源タイプ
Resource Type
Thesis or Dissertation / 学位論文
報告番号
Report Number
甲第5997号
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/D1005997
※当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。
著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。
Create Date: 2017-03-28
宜呈主E些
(課程博士関係)
学位論文の内容要旨
B型肝炎ウイルスは慢性持続性感染をきたし、肝硬変から肝細胞癌を引き起こす発癌ウ
イノレスとして知られている。 B型肝炎ウイルスが肝細胞に感染すると、宿主細胞の核の中で
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閉環状 DNAとなり、宿主細胞由来の RNAポリメラーゼによりプレゲノム RNAが合成される。
この RNAから DNAポ!Jメラーゼの逆転写酵素活性により DNAが合成され、ウイルス DNA
は細胞外に放出される。慢性持続性感染では、ウイルスは肝組織内でこの複製課程を繰り
返して存在している。このため、肝臓組織内におけるプレゲノム RNAと閉環状 DNA発現レ
B型肝炎ウイルス関連肝細胞癌におけるプレゲノム RNAと
間環状 DNAの定量
ベルは、 B型肝炎ウイルスの持続感染や複製能を意味するものと考えられている。
慢性 B型肝炎では HBs抗原が陽性であるが、その経過中に HBs抗原が陰性となること
がある。しかしながら肝内には HBV-DNAが潜伏感染を来すことがあり、このような場合 B型
肝炎ウイルスの潜伏性感染 (occultHBV感染)として知られており、肝細胞癌発癌にも関与
しているとされている。しかしながら潜伏性感染における肝組織中の肝炎ウイルスの複製能
についてはあまり知られていない。本研究の目的は、さまざまな病態の B型肝炎ウイルス感
白福貴、矢野嘉彦、福本巧、武部敦志、田中基文、蔵瀦蕪
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染関連肝細胞癌の組織内のプレゲノム RNAと閉環状 DNAレベルを定量的に測定し、組
織中の HBV複製能を検討することである。
斉藤雅也、平野仁崇、早雲孝信、瀬尾靖、東健、具英成、林祥剛
盆室主主蓋
神戸大学病院で 2010年 4月から 2
0
1
1年 1
2月までに手術を行われた 3
8例の肝細胞癌
神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
病理病態学
(指導教員:林祥剛教授)
4例
、 HBs抗原陰性かっ HBc抗体陽性の感染既
患者を対象とした。 HBs抗原陽性例が 1
往と考えられる例が 24例である。感染既往例では肝癌および背景肝切除組織から DNAを
拍出し、 B型肝炎ウイルスの X,
S,
C,
P各領域について PCRによりウイルス DNAの検出を
行い、うち 2領域以上の領域で PCRが陽性となり、微量なウイルスの存在する例を潜伏性
白福貴
感染例と判断した。次いで HBs抗原陽性例と潜伏性感染例の肝癌および背景肝組織から
DNAおよび RNAを抽出し、特異的プライマーを用いてリアルタイム PCR法により組織内の
プレゲノム RNAと関環状 DNAレベノレを定量的に測定し、比較検討を行った。
・
DNA複製が起こっていることを示しているが、逆の結果
組織中においては特に高い HBV
を示している報告もある。これは背景肝組織の線維化進展度や炎症の程度が異なっている
藍塁
ためではないかと考えられた。本研究により、プレゲノム RNAと閉環状 DNAはいずれも潜
HBs抗原陽性例と陰性例では、 HBs抗原陰性例において有意に年齢 (
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1
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3歳 v
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:
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)
、 B閲 >22の頻度 (58%v
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.21%)、Hb
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:
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.
0
4
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.
33%)が
伏性感染例では HBs抗原陽性例に比べて有意に低く、転写・複製活性は低いことが示さ
れたが、肝発癌には十分なリスク因子となると考えられた。
HBs抗原陽性例よりも高く、高齢で糖尿病に関連した症例が多いことが示唆された。 HBs抗
r
藍宣
原陰性の 24例については、 24例中 20例において、 X,
S,
C,
P領域のうち 2領域以上の領
域での PCRが陽性となり、潜伏性感染例と判断された。潜伏性感染例は解析可能であった
1
8例すべてが遺伝子型 C2であった。 HBs抗原陽性者の背景肝におけるプレゲノム RNA
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陪 DNA)はいずれも
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陪 RNA)と閉環状 DNA
潜伏性感染例におけるプレゲノム RNA(
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∞pies/μgDNA)よりも有意に高い結果 (pく0.00であった。肝癌組織におい
ても同様に HBs抗原陽性患者でより高い結果であったが、潜伏性感染例でも肝癌組織中
にプレゲノム RNA(6.11:
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∞pies/同 RNA)と閉環状 DNA(7.84:
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,
∞pies/jμg
DNA)が検出された。
主室
潜伏性感染が肝障害に関連するかどうかは未だ議論があり、肝細胞癌に関連する独立
した危険因子であるとする報告がある一方、肝障害の進行とは関係がないとする報告もある。
過去の報告では、潜伏性感染例では急性肝炎時の細胞障害性 T 細胞が持続的に存在し、
肝組織に影響を与えるとされるが、肝発癌にはその他の複合的な要因が関わっている可能
性が高い。今回の症例では、潜伏性感染例は HBs抗原陽性例に比べて有意に年齢が高く、
Hb
Alcおよび B聞が高いことから、脂肪性肝炎 (NASH)の要素が加わっていることは否定
できない。
潜伏性感染例、 HBs抗原陽性例ともに、がん組織におけるプレゲノム RNAとcccDNAは
、
非癌部組織よりも高値を示しており、これまでの報告とも合致するものであった。これはがん
プレゲノム RNAおよび閉環状 DNAについては、 B型肝炎感染例では背景肝組織の
みではなく肝癌組織にも存在することが証明された。またこれについては HBs抗 原 陽 性 例
のみではなく潜伏性感染例でも組織中の肝炎ウイルスの複製が確認され、肝発癌に寄与し
ている可能性が示唆された。
神戸大学大学院医学系研究科(博士課程)
萱呈主~~
言命コ主ご零手重量三町〉系吉長畏旬〉蔓要旨・
B型肝炎ウイルスは慢性持続性感染をきたし、肝硬変から肝細胞癌を引き起こす発癌ウイルス
受付番号
甲 第 2388号
として知られている。 B型肝炎ウイルスが肝細胞に感染すると、宿主細胞の核の中で閉環状 DNA
となり、宿主細胞由来の RNAポリメラーゼによりプレゲノム RNAが合成される。この RNAから
論文題目
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Carcinoma
DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性により DNAが合成され、ウイルス DNAは細胞外に放出され
る。慢性持続性感染では、ウイルスは肝組織内でこの複製課程を繰り返して存在している。このた
め、肝臓組織内におけるプレゲノム RNAと閉環状 DNA発現レベルは、 B型肝炎ウイルスの持続
B型肝炎ウイルス関連肝細胞癌におけるプレゲノム R
N
Aと
NAの定量
閉環状 D
感染や複製能を意味するものと考えられている。
慢 性 B型肝炎では HBs抗原が陽性であるが、その経過中に HBs抗原が陰性となることがある。
しかしながら肝内には HBV-DNAが潜伏感染を来すことがあり、このような場合 B型肝炎ウイルス
審査委員
Examiner
宣 伝l尾 久 美
ChiefExaminer
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:亀臥工ヰキ
査 い
(要旨は 1, 000 字~2 ,
の潜伏性感染 (ωc
叫tHBV感染)として知られており、肝細胞癌発癌にも関与しているとされてい
る。しかしながら潜伏性感染における肝組織中の肝炎ウイルスの複製能についてはあまり知られ
ていない。本研究の目的は、さまざまな病態の B型肝炎ウイルス感染関連肝細胞癌の組織内の
プレゲノム RNAと閉環状 DNAレベルを定量的に測定し、組織中の HBV複製能を検討すること
である。
主室主主塗
000字程度)
神戸大学病院で 2
0
1
0年 4月から 2
0
1
1年 1
2月までに手術を行われた 3
8例の肝細胞癌患者
を対象とした。 HBs抗原陽性例が 1
4例
、 HBs抗原陰性かっ HBc抗体陽性の感染既往と考えら
れる例が 2
4例である。感染既往例では肝癌および背景肝切除組織から DNAを抽出し、 B型 肝
S,
C,
P各領域について PCRによりウイルス DNAの検出を行い、うち 2領域以上
炎ウイルスの X,
の領域で PCRが湯性となり、微量なウイルスの存在する例を潜伏性感染例と判断した。次いで
HBs抗原陽性例と潜伏性感染例の肝癌および背景肝組織から DNAおよび RNAを抽出し、特異
的プライマーを用いてリアルタイム PCR法により組織内のプレゲノム RNAと閉環状 DNAレベル
を定量的に測定し、比較検討を行った。
盆塁
報告もある。これは背景肝組織の線維化進展度や炎症の程度が異なっているためではないかと
考えられた。本研究により、プレゲノム RNAと関環状 DNAはいずれも潜伏性感染例で、は HBs抗
HBs抗原陽性'例と陰性例では、 HBs抗原陰性例において有意に年齢 (
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33%)が HBs抗原
原陽性例に比べて有意に低く、転写・複製活性は低いことが示されたが、肝発癌には十分なリス
ク因子となると考えられた。
陽性例よりも高く、高齢で糖尿病に関連した症例が多いことが示唆された。 HBs抗原陰性の 24O
"
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については、 24例中 20例において、 X,
S,
C,
P領域のうち 2領域以上の領域での PCRが陽性と
藍宣
8例すべてが遺伝子型
なり、潜伏性感染例と判断された。潜伏性感染例は解析可能であった 1
プレゲノム RNAおよび関環状 DNAについては、 B型肝炎ウイルス感染例では背景肝組織の
C2であったo HBs抗原陽性者の背景肝におけるプレゲノム RNA(7.55
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みではなく肝癌組織にも存在するこをが証明された。またこれについては HBs抗原陽性例のみで
と閉環状 DNA(
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本研究は、 B 型肝炎ウイルス感染症患者に発生した肝細胞癌におけるウイルス核酸の存在様式
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gDNA)が検出された。
を調べたものであるが、従来よく知られていなかった癌組織と非癌組織におけるプレゲノム RNA
および閉環状 DNAの存在様式を明らかにし、肝発癌機序の解明につながる重要な知見を得たも
主室
のとして価値ある集積であると認める。よって、本研究者は、博士(医学)の学位を得る資格がある
と認める。
潜伏性感染が肝障害に関連するかどうかは未だ議論があり、肝細胞癌に関連する独立した危
険因子であるとする報告がある一方、肝障害の進行とは関係がないとする報告もある。過去の報
告では、潜伏性感染例では急性肝炎時の細胞障害性 T 細胞が持続的に存在し、肝組織に影響
を与えるとされるが、好発癌にはその他の複合的な要因が関わっている可能性が高い。今回の症
A1cおよび BMIが高
例では、潜伏性感染例は HBs抗原陽性例に比べて有意に年齢が高く、Hb
いことから、脂肪性肝炎 (NASH)の要素が加わっていることは否定できない。
潜伏性感染倒、 HBs抗原陽性例ともに、がん車郎裁におけるプレゲノム RNAと閉環状 DNAは、非
癌部組織よりも高値を示しており、これまでの報告とも合致するものであった。これはがん組織中
においては特に高い HBV-DNA複製が起こっていることを示しているが、逆の結果を示している
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