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【講 義】 近代文献について② 「国文学研究資料館における 近代文献の
【講 義】 近代文献について② 「国文学研究資料館における 近代文献の電子化 ─情報公開の現状と課題」 講師 青田寿美(国文学研究資料館准教授) 1/ 平成26年度 日本古典籍講習会 2015/01/28 於・国文学研究資料館 大会議室 国文学研究資料館における近代文献の電子化 情報公開の現状と課題 国文学研究資料館・研究部 青田 寿美 2/ 概 要 現状報告 ⅰ.研究事業系の電子化事業について ⅱ.近代文献の調査収集と情報公開 ⅲ.データベースの構築とシステム改修 今後の課題と展望 ⅰ.次世代への継承 ⅱ.外部データベースとの連携 まとめ 1 3/ ⅰ 電子化事業の流れ [国文学研究資料館 組織図] (2014年4月1日現在) [公開データベース] 電子資料館 (データベース数:29+3) 学術調査・学術研究の振興及び教育活動を目的とする公開 http://www.nijl.ac.jp/pages/database/ { 近代書誌データベース 「近代文献情報データベース」 近代画像データベース 明治期出版広告データベース http://school.nijl.ac.jp/kindai/ 4/ ⅰ 調査収集事業と電子化(近代書誌・近代画像DB) ① 近代書誌データベース・・・当館が全国の調査員と 共に行っている、明治以降の文献資料調査によって得ら れた書誌情報を提供。(調査実績:約1,400~1,500件/年) ② 近代画像データベース・・・当館がデジタル収集した 明治以降の文献の全文画像を収録。文献ごとに詳細な目 次を備える。(画像公開ペース:約700~1,000件/年) ◎ 更新状況と公開データ数 2000 2006/ 3 2010/ 1~3 2013/12 2014/ 9 2014/10 一般公開開始(「近代文献画像データベース」画像:43件ヵ) 書誌:約11,000件、画像:約 400件 11,000 400 近代書誌DBに目次情報・逐刊情報追加 近代画像DBで逐刊画像の公開開始 近代書誌・近代画像DBのシステム改修 書誌:約38,380件、画像:約 4,240件 38,380 4,240 2 5/ ⅰ 研究成果の電子化(明治期出版広告DB) ③ 明治期出版広告データベース・・・近代日本の出版 事情を探ることを目的として、明治初期の新聞・雑誌等に 掲載された出版物の広告を集成。主に対象としたのは東 京日日新聞で、明治23年末までの広告情報を広告全文 とともに収めており、搭載広告書名のジャンルは極めて多 岐に亘る。 ◎ 更新状況と公開データ数 2002/ 3 2003/ 3 2006/ 3 2011/11 2013/ 3 2014/10 館内限定運用 個別広告数: 2,185件 2,185 一般公開開始 公開状況 個別広告数:約8,100件 8,100 トップページ作成(出版広告例、検索の使い方) 近代書誌DBとのデータベースリンク改修 アップデート 個別広告数:約66,700件 66,700 6/ ⅰ 研究成果の電子化(附・蔵書印DB) ④ 蔵書印データベース・・・当館所蔵の古典籍を中心 に原本から採取した蔵書印情報を印影とともに一覧する システム。他館の画像DBを参照した蔵書印情報や『近代 蔵書印譜』を始め数点の蔵書印譜からも印影等を収載。 採録対象は、いわゆる蔵書印に加え、仕入れ印や貸本屋 印を含む書肆印、蔵書票・書肆票の類、また、写本等で 作成に関わった人物の印記や書画等の落款に及ぶ。 ◎ 更新状況と公開データ数 一般公開開始 蔵書印レコード数:14,773件 印影数: 8,970点 8,970 2014/ 3 アップデート 蔵書印レコード数:25,246件 印影数:23,499点 23,499 2012/ 3 3 7/ ⅱ 近代文献の調査収集 昭和47年(1972)5月に国文学研究資料館が創設され、 文献資料部の事業もその時点から始まった。「文献資料 部においては、国文学に関する文献その他の資料の調 査研究及び収集を行う。」(大学共同利用機関組織運営規則第13条 第1項)という条文に記すごとく、当館の主たる経常業務は、 国文学資料の調査と収集との二点である。 ➠ 平成10年度(1998)に近代担当部門を設置 1年間の目標を、7,000点調査、5,000点収集というところ に置いている。この数字は、『国書総目録』に基き、 約70万から80万に達すると推定される国文学関係書を ➠ 100年かけて調査・収集する ことを目途として、 当館創設時に算出されたものであり (『国文学研究資料館30年誌』平成14年11月発行 より) 8/ ⅱ 近代文献の情報公開 個別調査カード 典拠ファイル 認定著者名(統一著者名) 識別子:文献コード 個別広告 典拠ファイル 認定書名(統一書名) 識別子:個別広告 ID http://school.nijl.ac.jp/kindai/ 4 9/ ⅲ データベースの構築要件 ◎ 有機的リンク → 横断検索とは一線を画する効用 ◎ 作業マニュアル・利用マニュアルの整備 → 均一かつ高品質な結果を返すための必須条件 ◎ 高次の展開に向かう視座 → マッピングの重要性 → 時空間システムへの応用 等々 10/ ⅲ システム改修事例① 2013/ 3 相互リンク情報と機能を追加 「近代書誌・近代画像データベース」 「明治期出版広告データベース」 広告情報あり 書誌・所在情報あり 5 11/ ⅲ システム改修事例② 2014/ 3 印文文字数等、検索機能を追加 「蔵書印データベース」 左) 現行<詳細検索>画面 下) 改修イメージ画面 12/ ⅰ 今後の課題 次世代への継承 ◎ 作成マニュアル、ハンドブックの整備 作成 [事例①] 国文研ホーム > 調査収集事業部 > 文献調査(国文学文献資料調査員の方へ) 「国文学文献資料調査要領(近代)(PDF形式:11.6MB)」 http://www.nijl.ac.jp/pages/images/youryou_kindai.pdf → “百年事業” の、その先へ ◎ 「注記」項目への梃子入れ 同定と差異化 [事例②] 近現代資料における個別書誌入力基準 → 「近代文献」を扱う上での、書誌学的コンセンサスが緊要な問題 [事例③] 分からないことをも、蓄積することの重要性 書誌の1つ1つは、掛け算ではなく足し算であるということ 6 13/ ⅱ 今後の展望 外部データベースとの連携 [事例④] 「『木簡画像データベース・木簡字典』『電子くずし字字典データベース』連携検索」 http://r-jiten.nabunken.go.jp/ (奈良文化財研究所, 東京大学史料編纂所) [事例⑤] 「nihuINT」 (大学共同利用機関法人人間文化研究機構・統合検索システム) http://int.nihu.jp/ [事例⑥] 「Web NDL Authorities」 (国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス) http://id.ndl.go.jp/auth/ndla 「VIAF」 (バーチャル国際典拠ファイル) http://viaf.org/ 14/ まとめ 出版広告や書誌注記を媒介とした、 書脈 人脈 の広がりへ ○ 書誌情報・所在情報と出版広告をリンクさせる → 近代日本の出版事情と書籍をめぐる環境を書物の「今」に繋ぐ ○ 印影を始めとする注記情報を可能な限り集積する → 個々の資料の学術的価値・意義の発掘・再考 ◎ 通時的・共時的に、「近代文献」を展いていく → 書誌学・出版文化史・風俗文化学その他への、 複合的な情報ナビゲーションの役割をも担う 7